(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】中枢神経系(CNS)の脱髄疾患のサトラリズマブによる治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20241112BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241112BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241112BHJP
A61K 31/52 20060101ALI20241112BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20241112BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20241112BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241112BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20241112BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P37/06
A61P25/00
A61K31/52
A61K31/5377
A61K31/573
A61P43/00 121
C07K16/28
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531227
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2022039605
(87)【国際公開番号】W WO2023095510
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/043459
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月26日、https://www.accessdata.fda.gov/scripts/opdlisting/oopd/detailedIndex.cfm?cfgridkey=824521を通じて発表。
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】000003311
【氏名又は名称】中外製薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】小澤 孝俊
(72)【発明者】
【氏名】山城 舞
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 創
(72)【発明者】
【氏名】吉田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】スミス ジリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォドピーヴェッツ イヴァナ
(72)【発明者】
【氏名】レノン-クライムズ シアン
(72)【発明者】
【氏名】クリンゲルシュミット ガエル
(72)【発明者】
【氏名】フォン ビューディンゲン ハンス-クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シルバー バウマン ハンナ
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB31
4C085EE01
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC73
4C086CB07
4C086DA10
4C086GA02
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA65
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZB08
4C086ZC75
4H045AA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片を含む、抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患の治療のための、およびまた、脱髄疾患において再発のリスクを低減させるための手段を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、配列番号:6のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号:7のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)CDR1、配列番号:9のアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号:10のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片を含む、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)を、抗MOG抗体陽性である対象において治療するための、医薬品。
【請求項2】
前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、配列番号:1のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:2のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項1記載の医薬品。
【請求項3】
前記抗IL-6受容体抗体が、配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号:4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体である、請求項1または2記載の医薬品。
【請求項4】
前記抗IL-6受容体抗体が、サトラリズマブである、請求項1~3のいずれか一項記載の医薬品。
【請求項5】
MOGADの再発を遅延させる、その再発の頻度を低減させる、その再発の重症度を低減させる、またはMOGADを有する患者において再発のリスクを低減させるための、請求項1~4のいずれか一項記載の医薬品。
【請求項6】
MOGADが、(i)細胞ベースのアッセイによるMOG-IgGの血清陽性と;(ii)視神経炎(ON)、横断性脊髄炎(TM)、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎、脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群のいずれか1つまたは複数の2回以上の発作とを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項記載の医薬品。
【請求項7】
前記対象が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陰性である、請求項1~6のいずれか一項記載の医薬品。
【請求項8】
60 mgまたは120 mg、120 mgまたは180 mg、および180 mgまたは240 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片がそれぞれ40 kg未満、40~100 kg、および100 kg超の体重を有する対象に投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項記載の医薬品。
【請求項9】
抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が前記対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項記載の医薬品。
【請求項10】
抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が2週間隔(Q2W)で3回およびその後4週間隔(Q4W)で対象に投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項記載の医薬品。
【請求項11】
前記医薬品が、免疫抑制療法(IST)と組み合わせて使用されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項記載の医薬品。
【請求項12】
前記ISTが、アザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、および経口コルチコステロイド(OCS)からなる群より選択される免疫抑制剤の1つまたは複数による治療法である、請求項11記載の医薬品。
【請求項13】
前記免疫抑制剤が、プレドニゾンまたはプレドニゾロンを含む、請求項12記載の医薬品。
【請求項14】
薬学的に許容される賦形剤中に60 mgの固定用量のサトラリズマブを含む、皮下投与デバイス。
【請求項15】
薬学的に許容される賦形剤中に240 mgの固定用量のサトラリズマブを含む、皮下投与デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患の治療のための、またはその再発のリスクを低減させるための医薬品または薬学的組成物に関し、該組成物は、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片を含む。本発明はまた、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することによる、前記脱髄疾患の治療の方法、またはその再発のリスクを低減させる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)は、成人および小児における抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体(MOG-IgG)の存在を特徴とする、CNSの希少な自己免疫性脱髄疾患である。MOGは、オリゴデンドロサイトおよびミエリン鞘の外層上に発現している膜貫通タンパク質である[非特許文献19]。この疾患は、視神経炎、横断性脊髄炎、脳もしくは脳幹の炎症、またはそれらの組み合わせの発作を特徴とする(非特許文献1)。矛盾しない臨床的および放射線学的表現型とMOG-IgGの血清陽性との組み合わせが、診断を確立するために必要とされる。成人患者の約80%において、疾患は、慢性であり、再発性の経過を特徴とする(非特許文献2、非特許文献3、および非特許文献4)。再発性の疾患経過を有する青年の割合は、成人に類似していると考えられる(非特許文献5および非特許文献6)。MOGADに関連した障害は、発作/再発駆動性であり、したがって、再発予防が重要である。MOGADに対する承認された治療法はなく、コンセンサスに基づいた治療ガイドラインも存在しない。MOGADは、インターフェロン-β(IFN-β)、グラチラマー酢酸塩、テリフルノミド、フマル酸ジメチル、クラドリビン、フィンゴリモド、ナタリズマブ、およびアレムツズマブを含む、いくつかの多発性硬化症(MS)疾患改変治療によって悪化する(非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、および非特許文献6)。現在のMOGAD治療パラダイムには、発作の急性治療のための、静脈内免疫グロブリン(IVIg)または血漿交換(PLEX)を伴うまたは伴わないコルチコステロイド、ならびに、再発予防のための、経験的に選択された従来のステロイドスペアリング免疫抑制剤治療(IST)およびリツキシマブ(RTX)の使用が含まれる(非特許文献10、非特許文献9、非特許文献11、非特許文献12、および非特許文献13)。最新の文献により、多数の短期的および長期的有害効果を伴うこれらの投薬は多くの場合、部分的にのみ有効であることが示されている(非特許文献9、非特許文献14、非特許文献15、および非特許文献6)。MOGADに対する、安全で、有効と証明され、かつ便利な慢性治療が、必要とされ続けている。
【0003】
MOGADのためまたはMOGAD再発の予防のための、承認された治療はない。経験的に適応外で用いられるISTは多くの場合、部分的にのみ有効であり、多くは、多数の短期的および長期的有害効果を伴う。最近、脳脊髄液(CSF)および血清中のインターロイキン(IL)-6レベルの上昇が、MOGADを有する患者において報告されている(非特許文献16)。MOGADを有する患者における、抗IL-6受容体抗体であるトシリズマブの適応外の使用に関して、いくつかの報告がある。しかし、MOGADにおけるIL-6の正確な役割は、不明である。(非特許文献17、非特許文献18、および非特許文献19)。
【0004】
トシリズマブのようなヒト化抗体は、第1世代抗体医薬である。第1世代抗体医薬を改良することによって、有効性、利便性、およびコストが改良された第2世代抗体医薬が開発されている(特許文献2および特許文献3)。第2世代抗体医薬の中に、抗原結合能、薬物動態、および安定性の増強、ならびに免疫原性リスクの低減などの改良技術が適用された新規抗IL-6受容体抗体である、サトラリズマブ(SA237)がある(特許文献3および特許文献4)。
【0005】
サトラリズマブは、pH依存性の抗原結合を有するヒト化抗IL-6受容体モノクローナル抗体である。これは、ヒトIL-6受容体(IL-6R)を特異的に標的とし、IL-6の膜結合型IL-6Rおよび可溶性IL-6Rに対する結合を阻害することによって、IL-6シグナル伝達を抑制する。サトラリズマブは、その血漿半減期を延長するようにトシリズマブのアミノ酸配列を改変することによって、構築された。サトラリズマブはまた、トシリズマブと比較して、低下した抗体分子等電点、およびFcRnに対するより強い結合を示す。さらに、そのFc領域は、トシリズマブと比較して、抗体依存性細胞性細胞傷害および補体依存性細胞傷害性エフェクター活性を最小化するように改変されている。
本出願の発明に関連する先行技術の文献情報を、以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US2012/0039840
【特許文献2】WO2009/041621
【特許文献3】WO2010/035769
【特許文献4】WO2016/136933
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Lopez-Chiriboga AS, Majed M, Fryer J, et al. Association of MOG-IgG Serostatus With Relapse After Acute Disseminated Encephalomyelitis and Proposed Diagnostic Criteria for MOG-IgG-Associated Disorders. JAMA Neurol. 2018 Nov 1;75(11):1355-1363.
【非特許文献2】Jarius S, Ruprecht K, Kleiter I, et al. MOG-IgG in NMO and related disorders: a multicenter study of 50 patients. Part 2: Epidemiology, clinical presentation, radiological and laboratory features, treatment responses, and long-term outcome. J Neuroinflammation. 2016;13(1):280.
【非特許文献3】Hyun JW, Woodhall MR, Kim SH, et al. Longitudinal analysis of myelin oligodendrocyte glycoprotein antibodies in CNS inflammatory diseases. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2017;88(10):811-817.
【非特許文献4】Salama S, Pardo S, Levy M. Clinical characteristics of myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody neuromyelitis optica spectrum disorder. Mult Scler Relat Disord. 2019;30:231-235.
【非特許文献5】Bruijstens AL, Breu M, Wendel E-M, et al. E.U. paediatric MOG consortium consensus: Part 4 - Outcome of paediatric myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody- associated disorders. Eur J Paediatr Neurol 2020b;29:32-40.
【非特許文献6】Cobo-Calvo A, Ruiz A, Rollot F, et al. Clinical Features and Risk of Relapse in Children and Adults with Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein Antibody-Associated Disease. Ann Neurol. 2021;89(1):30-41.
【非特許文献7】Wildemann B, Jarius S, Schwarz A, et al. Failure of alemtuzumab therapy to control MOG encephalomyelitis. Neurology. 2017;89(2):207-209.
【非特許文献8】Wynford-Thomas R, Jacob A, et al. Neurological update: MOG antibody disease. J Neurol. 2019;266(5):1280-1286.
【非特許文献9】Chen JJ, Flanagan EP, Bhatti MT, et al. Steroid-sparing maintenance immunotherapy for MOG-IgG associated disorder. Neurology. 2020;95(2):e111-e120.
【非特許文献10】Stiebel-Kalish H, Hellmann MA, Mimouni M, et al. Does time equal vision in the acute treatment of a cohort of AQP4 and MOG optic neuritis? Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2019;6(4):e572.
【非特許文献11】Chen JJ and Bhatti MT. Clinical phenotype, radiological features, and treatment of myelin oligodendrocyte glycoprotein-immunoglobulin G (MOG-IgG) optic neuritis. Curr Opin Neurol. 2020;33(1):47-54.
【非特許文献12】Hegen H, Reindl M. Recent developments in MOG-IgG associated neurological disorders. Ther Adv Neurol Disord. 2020;13:1756286420945135.
【非特許文献13】Whittam DH, Karthikeayan V, Gibbons E, et al. Treatment of MOG antibody associated disorders: results of an international survey. J Neurol. 2020a;267(12):3565-3577.
【非特許文献14】Whittam DH, Cobo-Calvo A, Lopez-Chiriboga AS, et al. Treatment of MOG-IgG-associated disorder with rituximab: An international study of 121 patients. Mult Scler Relat Disord. 2020b;44:102251.
【非特許文献15】Durozard P, Rico A, Boutiere C, et al. Comparison of the Response to Rituximab between Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein and Aquaporin-4 Antibody Diseases. Ann Neurol. 2020;87(2):256-266.
【非特許文献16】Hofer LS, Mariotto S, Wurth S, et al. Distinct serum and cerebrospinal fluid cytokine and chemokine profiles in autoantibody-associated demyelinating diseases. Mult Scler J Exp Transl Clin. 2019;5(2):2055217319848463.
【非特許文献17】Mult Scler Relat Disord. 2021 Feb;48:102696
【非特許文献18】Mult Scler Relat Disord. 2020 Nov;46:102483
【非特許文献19】Neurology. 2019 Apr 16;92(16):765-767
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
MOGADのためまたはMOGAD再発の予防のための、承認された治療はない。経験的に適応外で用いられるISTは多くの場合、部分的にのみ有効であり、多くは、多数の短期的および長期的有害効果を伴う。MOGADのため、およびまた、MOGADを有する患者において長期の予後をその後改善し得るMOGAD再発の予防のための治療について、実質的にまだ満たされていない必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明者らは、MOGAD再発予防のための単剤療法として、またはベースライン/バックグラウンドISTに追加(アドオン)して、プラセボと比較したサトラリズマブの有効性、安全性、薬物動態、および薬力学を評価するための第III相、無作為化、二重盲検(DB)、プラセボ対照、多施設試験をデザインした。本明細書における第III相試験は、効果的にMOGADを治療し、MOGAD発作/再発を予防し、およびMOGAD発作/再発のリスクを低減させることが予想される。
【0010】
本開示は、以下に例示的に記載されるような態様を含むが、それらに限定されない。
[A1.1]抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患を治療するための、または抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させるための、IL-6阻害剤を活性成分として含む医薬品。
[A1.2]前記IL-6阻害剤が、抗IL-6抗体もしくはその抗原結合断片または抗IL-6受容体抗体もしくはその抗原結合断片である、A1.1の医薬品。
[A1.3]前記IL-6阻害剤が、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、A1.1またはA1.2の医薬品。
[A1.4]前記IL-6阻害剤が、ヒト化抗体である、A1.1~A1.3のいずれか1つの医薬品。
[A1.5]前記IL-6阻害剤が、配列番号:5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、配列番号:6のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号:7のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)CDR1、配列番号:9のアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号:10のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、A1.1~A1.4のいずれか1つの医薬品。
[A1.6]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、配列番号:1のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:2のアミノ酸配列を含むVLを含む、A1.5の医薬品。
[A1.7]前記IL-6阻害剤が、配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号:4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗IL-6受容体抗体である、A1.5またはA1.6の医薬品。
[A1.8]前記IL-6阻害剤が、サトラリズマブである、A1.5~A1.7のいずれか1つの医薬品。
[A1.9]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発を遅延させる、その再発の頻度を低減させる、またはその再発の重症度を低減させるための、A1.1~A1.8のいずれか1つの医薬品。
[A1.10]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSDおよび多発性硬化症(MS)以外の疾患である、A1.1~A1.9のいずれか1つの医薬品。
[A1.11]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSD、多発性硬化症(MS)、および抗NMDAR自己免疫性脳炎以外の疾患である、A1.1~A1.10のいずれか1つの医薬品。
[A1.12]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)である、A1.1~A1.11のいずれか1つの医薬品。
[A1.13]MOGADが、(i)細胞ベースのアッセイによるMOG-IgGの血清陽性と、(ii)視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎;脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作とを特徴とする、A1.12の医薬品。
[A1.14](i)前記対象が、細胞ベースのアッセイによってMOG-IgG血清陽性であると判定されている、ならびに(ii)前記対象が、視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎、脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作を経験したことがある、A1.1~A1.13のいずれか1つの医薬品。
[A1.15]前記対象が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陰性である、A1.1~A1.14のいずれか1つの医薬品。
[A1.16]前記対象が、年齢12歳以上である、A1.1~A1.15のいずれか1つの医薬品。
[A1.17]前記対象が、いかなる継続中の慢性免疫抑制療法も受けていない、A1.1~A1.16のいずれか1つの医薬品。
[A1.18]前記対象が、安定用量のアザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、経口コルチコステロイド(OCS)、またはAZAもしくはMMFとOCSとの組み合わせによる継続中の治療を受けている、A1.1~A1.16のいずれか1つの医薬品。
[A1.19]各投与について、60 mgまたは120 mg、120 mgまたは180 mg、および180 mgまたは240 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片がそれぞれ40 kg未満、40~100 kg、および100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、A1.5~A1.18のいずれか1つの医薬品。
[A1.20]各投与について、60 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40 kg未満の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、A1.5~A1.18のいずれか1つの医薬品。
[A1.21]各投与について、120 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40 kg未満の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、A1.5~A1.18のいずれか1つの医薬品。
[A1.22]各投与について、120 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40~100 kgの体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、A1.5~A1.18のいずれか1つの医薬品。
[A1.23]各投与について、180 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40~100 kgの体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、A1.5~A1.18のいずれか1つの医薬品。
[A1.24]各投与について、180 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、A1.5~A1.18のいずれか1つの医薬品。
[A1.25]各投与について、240 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、A1.5~A1.18のいずれか1つの医薬品。
[A1.26]抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が前記対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、A1.5~A1.25のいずれか1つの医薬品。
[A1.27]抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が2週間隔(Q2W)で3回およびその後4週間隔(Q4W)で対象に投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、A1.5~A1.26のいずれか1つの医薬品。
[A1.28]前記医薬品が、免疫抑制療法(IST)と組み合わせて使用されることを特徴とする、A1.1~A1.27のいずれか1つの医薬品。
[A1.29]前記ISTが、アザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、および経口コルチコステロイド(OCS)からなる群より選択される1つまたは複数の免疫抑制剤による治療法である、A1.28の医薬品。
[A1.30]前記免疫抑制剤が、プレドニゾンまたはプレドニゾロンを含む、A1.29の医薬品。
[A1.31]IL-6阻害剤の投与から、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の最初の発生までの時間を遅延させる、A1.1~A1.30のいずれか1つの医薬品。
[A1.32]以下の1つまたは複数を低減させる、A1.31の医薬品:
(a)抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の比率;
(b)神経軸のMRI上での活動性病変の比率;
(c)救助療法を受ける対象の割合;または
(d)入院の比率。
[A1.33]対象の高コントラスト最高矯正視力(BCVA)、もしくは低コントラスト視力(LCVA)、国立眼科研究所視覚機能質問票-25(National Eye Institute Visual Functioning Questionnaire-25)(NEI VFQ-25)の複合スコアもしくは下位尺度スコア、EuroQol EQ-5D-5Lスコア、もしくはSF-36v2健康調査(Health Survey)(SF-36v2)スコアを増大させる;または対象の総合障害度評価尺度(Expanded Disability Status Scale)(EDSS)スコア、EDSSの機能システムスコア(Functional System Score)(FSS)、短縮版マギル疼痛質問票(Short-Form McGill Pain Questionnaire)(SF-MPQ-2)スコア、もしくはMOG-IgG力価を低減させる、A1.1~A1.32のいずれか1つの医薬品。
[A2.1]抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患を治療するための、または抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させるための、IL-6阻害剤を活性成分として含む薬学的組成物。
[A2.2]前記IL-6阻害剤が、抗IL-6抗体もしくはその抗原結合断片または抗IL-6受容体抗体もしくはその抗原結合断片である、A2.1の薬学的組成物。
[A2.3]前記IL-6阻害剤が、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、A2.1またはA2.2の薬学的組成物。
[A2.4]前記IL-6阻害剤が、ヒト化抗体である、A2.1~A2.3のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.5]前記IL-6阻害剤が、配列番号:5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、配列番号:6のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号:7のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)CDR1、配列番号:9のアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号:10のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、A2.1~A2.4のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.6]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、配列番号:1のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:2のアミノ酸配列を含むVLを含む、A2.5の薬学的組成物。
[A2.7]前記IL-6阻害剤が、配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号:4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗IL-6受容体抗体である、A2.5またはA2.6の薬学的組成物。
[A2.8]前記IL-6阻害剤が、サトラリズマブである、A2.5~A2.7のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.9]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発を遅延させる、その再発の頻度を低減させる、またはその再発の重症度を低減させるための、A2.1~A2.8のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.10]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSDおよび多発性硬化症(MS)以外の疾患である、A2.1~A2.9のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.11]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSD、多発性硬化症(MS)、および抗NMDAR自己免疫性脳炎以外の疾患である、A2.1~A2.10のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.12]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)である、A2.1~A2.11のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.13]MOGADが、(i)細胞ベースのアッセイによるMOG-IgGの血清陽性と、(ii)視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎、脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作とを特徴とする、A2.12の薬学的組成物。
[A2.14](i)前記対象が、細胞ベースのアッセイによってMOG-IgG血清陽性であると判定されている、ならびに(ii)前記対象が、視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎;脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作を経験したことがある、A2.1~A2.13のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.15]前記対象が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陰性である、A2.1~A2.14のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.16]前記対象が、年齢12歳以上である、A2.1~A2.15のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.17]前記対象が、いかなる継続中の慢性免疫抑制療法も受けていない、A2.1~A2.16のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.18]前記対象が、安定用量のアザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、経口コルチコステロイド(OCS)、またはAZAもしくはMMFとOCSとの組み合わせによる継続中の治療を受けている、A2.1~A2.16のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.19]各投与について、60 mgまたは120 mg、120 mgまたは180 mg、および180 mgまたは240 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片がそれぞれ40 kg未満、40~100 kg、および100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記薬学的組成物が使用されることを特徴とする、A2.5~A2.18のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.20]各投与について、60 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40 kg未満の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記薬学的組成物が使用されることを特徴とする、A2.5~A2.18のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.21]各投与について、120 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40 kg未満の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記薬学的組成物が使用されることを特徴とする、A2.5~A2.18のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.22]各投与について、120 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40~100 kgの体重を有する対象に皮下投与されるように、前記薬学的組成物が使用されることを特徴とする、A2.5~A2.18のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.23]各投与について、180 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40~100 kgの体重を有する対象に皮下投与されるように、前記薬学的組成物が使用されることを特徴とする、A2.5~A2.18のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.24]各投与について、180 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記薬学的組成物が使用されることを特徴とする、A2.5~A2.18のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.25]各投与について、240 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記薬学的組成物が使用されることを特徴とする、A2.5~A2.18のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.26]抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が前記対象に皮下投与されるように、前記薬学的組成物が使用されることを特徴とする、A2.5~A2.25のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.27]抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が2週間隔(Q2W)で3回およびその後4週間隔(Q4W)で対象に投与されるように、前記薬学的組成物が使用されることを特徴とする、A2.5~A2.26のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.28]前記薬学的組成物が、免疫抑制療法(IST)と組み合わせて使用されることを特徴とする、A2.1~A2.27のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.29]前記ISTが、アザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、および経口コルチコステロイド(OCS)からなる群より選択される1つまたは複数の免疫抑制剤による治療法である、A2.28の薬学的組成物。
[A2.30]前記免疫抑制剤が、プレドニゾンまたはプレドニゾロンを含む、A2.29の薬学的組成物。
[A2.31]IL-6阻害剤の投与から、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の最初の発生までの時間を遅延させる、A2.1~A2.30のいずれか1つの薬学的組成物。
[A2.32]以下の1つまたは複数を低減させる、A2.31の薬学的組成物:
(a)抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の比率;
(b)神経軸のMRI上での活動性病変の比率;
(c)救助療法を受ける対象の割合;または
(d)入院の比率。
[A2.33]対象の高コントラスト最高矯正視力(BCVA)、もしくは低コントラスト視力(LCVA)、国立眼科研究所視覚機能質問票-25(NEI VFQ-25)の複合スコアもしくは下位尺度スコア、EuroQol EQ-5D-5Lスコア、もしくはSF-36v2健康調査(SF-36v2)スコアを増大させる;または対象の総合障害度評価尺度(EDSS)スコア、EDSSの機能システムスコア(FSS)、短縮版マギル疼痛質問票(SF-MPQ-2)スコア、もしくはMOG-IgG力価を低減させる、A2.1~A2.32のいずれか1つの薬学的組成物。
[B1]抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患を治療するための、または抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させるための、医薬品の調製における、IL-6阻害剤の使用。
[B2]前記IL-6阻害剤が、抗IL-6抗体もしくはその抗原結合断片または抗IL-6受容体抗体もしくはその抗原結合断片である、B1の使用。
[B3]前記IL-6阻害剤が、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、B1またはB2の使用。
[B4]前記IL-6阻害剤が、ヒト化抗体である、B1~B3のいずれか1つの使用。
[B5]前記IL-6阻害剤が、配列番号:5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、配列番号:6のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号:7のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)CDR1、配列番号:9のアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号:10のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、B1~B4のいずれか1つの使用。
[B6]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、配列番号:1のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:2のアミノ酸配列を含むVLを含む、B5の使用。
[B7]前記IL-6阻害剤が、配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号:4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗IL-6受容体抗体である、B5またはB6の使用。
[B8]前記IL-6阻害剤が、サトラリズマブである、B5~B7のいずれか1つの使用。
[B9]前記医薬品が、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発を遅延させる、その再発の頻度を低減させる、またはその再発の重症度を低減させるためのものである、B1~B8のいずれか1つの使用。
[B10]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSDおよび多発性硬化症(MS)以外の疾患である、B1~B9のいずれか1つの使用。
[B11]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSD、多発性硬化症(MS)、および抗NMDAR自己免疫性脳炎以外の疾患である、B1~B10のいずれか1つの使用。
[B12]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)である、B1~B11のいずれか1つの使用。
[B13]MOGADが、(i)細胞ベースのアッセイによるMOG-IgGの血清陽性と、(ii)視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎;脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作とを特徴とする、B12の使用。
[B14](i)前記対象が、細胞ベースのアッセイによってMOG-IgG血清陽性であると判定されている、ならびに(ii)前記対象が、視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎;脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作を経験したことがある、B1~B13のいずれか1つの使用。
[B15]前記対象が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陰性である、B1~B14のいずれか1つの使用。
[B16]前記対象が、年齢12歳以上である、B1~B15のいずれか1つの使用。
[B17]前記対象が、いかなる継続中の慢性免疫抑制療法も受けていない、B1~B16のいずれか1つの使用。
[B18]前記対象が、安定用量のアザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、経口コルチコステロイド(OCS)、またはAZAもしくはMMFとOCSとの組み合わせによる継続中の治療を受けている、B1~B16のいずれか1つの使用。
[B19]各投与について、60 mgまたは120 mg、120 mgまたは180 mg、および180 mgまたは240 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片がそれぞれ40 kg未満、40~100 kg、および100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されるように前記医薬品が使用されることを前記医薬品が特徴とする、B5~B18のいずれか1つの使用。
[B20]各投与について、60 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40 kg未満の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、B5~B18のいずれか1つの使用。
[B21]各投与について、120 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40 kg未満の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、B5~B18のいずれか1つの使用。
[B22]各投与について、120 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40~100 kgの体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、B5~B18のいずれか1つの使用。
[B23]各投与について、180 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が40~100 kgの体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、B5~B18のいずれか1つの使用。
[B24]各投与について、180 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、B5~B18のいずれか1つの使用。
[B25]各投与について、240 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されるように、前記医薬品が使用されることを特徴とする、B5~B18のいずれか1つの使用。
[B26]抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が前記対象に皮下投与されるように前記医薬品が使用されることを前記医薬品が特徴とする、B5~B25のいずれか1つの使用。
[B27]抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が2週間隔(Q2W)で3回およびその後4週間隔(Q4W)で対象に投与されるように前記医薬品が使用されることを前記医薬品が特徴とする、B5~B26のいずれか1つの使用。
[B28]免疫抑制療法(IST)と組み合わせて前記医薬品が使用されることを前記医薬品が特徴とする、B1~B27のいずれか1つの使用。
[B29]前記ISTが、アザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、および経口コルチコステロイド(OCS)からなる群より選択される1つまたは複数の免疫抑制剤による治療法である、B28の使用。
[B30]前記免疫抑制剤が、プレドニゾンまたはプレドニゾロンを含む、B29の使用。
[B31]前記医薬品が、IL-6阻害剤の投与から、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の最初の発生までの時間を遅延させる、B1~B30のいずれか1つの使用。
[B32]前記医薬品が、以下の1つまたは複数を低減させる、B31の使用:
(a)抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の比率;
(b)神経軸のMRI上での活動性病変の比率;
(c)救助療法を受ける対象の割合;または
(d)入院の比率。
[B33]前記医薬品が、対象の高コントラスト最高矯正視力(BCVA)、もしくは低コントラスト視力(LCVA)、国立眼科研究所視覚機能質問票-25(NEI VFQ-25)の複合スコアもしくは下位尺度スコア、EuroQol EQ-5D-5Lスコア、もしくはSF-36v2健康調査(SF-36v2)スコアを増大させる;または対象の総合障害度評価尺度(EDSS)スコア、EDSSの機能システムスコア(FSS)、短縮版マギル疼痛質問票(SF-MPQ-2)スコア、もしくはMOG-IgG力価を低減させる、B1~B32のいずれか1つの使用。
[C1]抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患を治療する際の使用のための、または抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させる際の使用のための、IL-6阻害剤。
[C2]抗IL-6抗体もしくはその抗原結合断片または抗IL-6受容体抗体もしくはその抗原結合断片である、C1の使用のためのIL-6阻害剤。
[C3]抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、C1またはC2のIL-6阻害剤。
[C4]ヒト化抗体である、C1~C3のいずれか1つのIL-6阻害剤。
[C5]配列番号:5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、配列番号:6のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号:7のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)CDR1、配列番号:9のアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号:10のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、C1~C4のいずれか1つのIL-6阻害剤。
[C6]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、配列番号:1のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:2のアミノ酸配列を含むVLを含む、C5の使用のためのIL-6阻害剤。
[C7]配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号:4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗IL-6受容体抗体である、C5またはC6の使用のためのIL-6阻害剤。
[C8]サトラリズマブである、C5~C7のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C9]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発を遅延させる、その再発の頻度を低減させる、またはその再発の重症度を低減させるための、C1~C8のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C10]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSDおよび多発性硬化症(MS)以外の疾患である、C1~C9のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C11]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSD、多発性硬化症(MS)、および抗NMDAR自己免疫性脳炎以外の疾患である、C1~C10のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C12]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)である、C1~C11のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C13]MOGADが、(i)細胞ベースのアッセイによるMOG-IgGの血清陽性と、(ii)視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎、脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作とを特徴とする、C12の使用のためのIL-6阻害剤。
[C14](i)前記対象が、細胞ベースのアッセイによってMOG-IgG血清陽性であると判定されている、ならびに(ii)前記対象が、視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎;脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作を経験したことがある、C1~C13のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C15]前記対象が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陰性である、C1~C14のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C16]前記対象が、年齢12歳以上である、C1~C15のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C17]前記対象が、いかなる継続中の慢性免疫抑制療法も受けていない、C1~C16のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C18]前記対象が、安定用量のアザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、経口コルチコステロイド(OCS)、またはAZAもしくはMMFとOCSとの組み合わせによる継続中の治療を受けている、C1~C16のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C19]各投与について、60 mgまたは120 mg、120 mgまたは180 mg、および180 mgまたは240 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、それぞれ、40 kg未満、40~100 kg、および100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されることを特徴とする、C5~C18のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C20]各投与について、60 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、40 kg未満の体重を有する対象に皮下投与されることを特徴とする、C5~C18のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C21]各投与について、120 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、40 kg未満の体重を有する対象に皮下投与されることを特徴とする、C5~C18のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C22]各投与について、120 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、40~100 kgの体重を有する対象に皮下投与されることを特徴とする、C5~C18のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C23]各投与について、180 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、40~100 kgの体重を有する対象に皮下投与されることを特徴とする、C5~C18のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C24]各投与について、180 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されることを特徴とする、C5~C18のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C25]各投与について、240 mgの抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、100 kg超の体重を有する対象に皮下投与されることを特徴とする、C5~C18のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C26]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が前記対象に皮下投与されることを特徴とする、C5~C25のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C27]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が2週間隔(Q2W)で3回およびその後4週間隔(Q4W)で対象に投与されることを特徴とする、C5~C26のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C28]免疫抑制療法(IST)と組み合わせて使用される、C1~C27のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C29]前記ISTが、アザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、および経口コルチコステロイド(OCS)からなる群より選択される1つまたは複数の免疫抑制剤による治療法である、C28の使用のためのIL-6阻害剤。
[C30]前記免疫抑制剤が、プレドニゾンまたはプレドニゾロンを含む、C29の使用のためのIL-6阻害剤。
[C31]IL-6阻害剤の投与から、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の最初の発生までの時間を遅延させる、C1~C30のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[C32]以下の1つまたは複数を低減させる、C31の使用のためのIL-6阻害剤:
(a)抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の比率;
(b)神経軸のMRI上での活動性病変の比率;
(c)救助療法を受ける対象の割合;または
(d)入院の比率。
[C33]対象の高コントラスト最高矯正視力(BCVA)、もしくは低コントラスト視力(LCVA)、国立眼科研究所視覚機能質問票-25(NEI VFQ-25)の複合スコアもしくは下位尺度スコア、EuroQol EQ-5D-5Lスコア、もしくはSF-36v2健康調査(SF-36v2)スコアを増大させる;または対象の総合障害度評価尺度(EDSS)スコア、EDSSの機能システムスコア(FSS)、短縮版マギル疼痛質問票(SF-MPQ-2)スコア、もしくはMOG-IgG力価を低減させる、C1~C32のいずれか1つの使用のためのIL-6阻害剤。
[D1]抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患を治療するための、または抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させるためのキットであって、
(1)A2.1~A2.33のいずれか1つの薬学的組成物;および
(2)対象に対する該薬学的組成物の投与を指示する添付文書またはラベル
を含む、前記キット。
[D2]薬学的に許容される賦形剤中に60 mgの固定用量のサトラリズマブを含む、皮下投与デバイス。
[D3]薬学的に許容される賦形剤中に240 mgの固定用量のサトラリズマブを含む、皮下投与デバイス。
[D4]プレフィルドシリンジである、D2またはD3の皮下投与デバイス。
[D5]オートインジェクターである、D2またはD3の皮下投与デバイス。
[E1]抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患を有する対象を治療する方法であって、
有効量のIL-6阻害剤を該対象に投与する工程
を含む、前記方法。
[E2]前記IL-6阻害剤が、抗IL-6抗体もしくはその抗原結合断片または抗IL-6受容体抗体もしくはその抗原結合断片である、E1の方法。
[E3]前記IL-6阻害剤が、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、E1またはE2の方法。
[E4]前記IL-6阻害剤が、ヒト化抗体である、E1~E3のいずれか1つの方法。
[E5]前記IL-6阻害剤が、配列番号:5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、配列番号:6のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号:7のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)CDR1、配列番号:9のアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号:10のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、E1~E4のいずれか1つの方法。
[E6]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、配列番号:1のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:2のアミノ酸配列を含むVLを含む、E5の方法。
[E7]前記IL-6阻害剤が、配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号:4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗IL-6受容体抗体である、E5またはE6の方法。
[E8]前記IL-6阻害剤が、サトラリズマブである、E5~E7のいずれか1つの方法。
[E9]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSDおよび多発性硬化症(MS)以外の疾患である、E1~E8のいずれか1つの方法。
[E10]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSD、多発性硬化症(MS)、および抗NMDAR自己免疫性脳炎以外の疾患である、E1~E9のいずれか1つの方法。
[E11]前記疾患が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)である、E1~E10のいずれか1つの方法。
[E12]対象のMOGADが、(i)細胞ベースのアッセイによるMOG-IgGの血清陽性と、(ii)視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎、脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作とを特徴とする、E11の方法。
[E13](i)前記対象が、細胞ベースのアッセイによってMOG-IgG血清陽性であると判定されている、ならびに(ii)前記対象が、視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎;脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作を経験したことがある、E1~E12のいずれか1つの方法。
[E14]前記対象が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陰性であると判定されている、E1~E13のいずれか1つの方法。
[E15]前記対象が、年齢12歳以上である、E1~E15のいずれか1つの方法。
[E16]前記対象が、いかなる継続中の慢性免疫抑制療法も受けていない、E1~E16のいずれか1つの方法。
[E17]前記対象が、安定用量のアザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、経口コルチコステロイド(OCS)、またはAZAもしくはMMFとOCSとの組み合わせによる継続中の治療を受けている、E1~E16のいずれか1つの方法。
[E18]前記対象が、40 kg未満の体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、60 mgである、E5~E17のいずれか1つの方法。
[E19]前記対象が、40 kg未満の体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、120 mgである、E5~E17のいずれか1つの方法。
[E20]前記対象が、40~100 kgの体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、120 mgである、E5~E17のいずれか1つの方法。
[E21]前記対象が、40~100 kgの体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、180 mgである、E5~E17のいずれか1つの方法。
[E22]前記対象が、100 kg超の体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、180 mgである、E5~E17のいずれか1つの方法。
[E23]前記対象が、100 kg超の体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、240 mgである、E5~E17のいずれか1つの方法。
[E24]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、前記対象に皮下投与される、E5~E23のいずれか1つの方法。
[E25]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、2週間毎に1回(Q2W)を3度およびその後4週間毎に1回(Q4W)、対象に投与される、E5~E24のいずれか1つの方法。
[E26]免疫抑制療法(IST)が、IL-6阻害剤と同時に対象に投与される、E1~E25のいずれか1つの方法。
[E27]前記ISTが、アザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、および経口コルチコステロイド(OCS)からなる群より選択される少なくとも1つを含む、1つまたは複数の免疫抑制剤を含む、E26の方法。
[E28]前記免疫抑制剤が、プレドニゾンまたはプレドニゾロンを含む、E16の方法。
[E29]前記対象に対するIL-6阻害剤の投与が、IL-6阻害剤の投与から、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の最初の発生までの時間を遅延させる、E1~E28のいずれか1つの方法。
[E30]前記対象に対するIL-6阻害剤の投与が、以下の1つまたは複数を低減させる、E29の方法:
(a)抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の比率;
(b)神経軸のMRI上での活動性病変の比率;
(c)救助療法を受ける対象の割合;または
(d)入院の比率。
[E31]前記対象に対するIL-6阻害剤の投与が、該対象の高コントラスト最高矯正視力(BCVA)、もしくは低コントラスト視力(LCVA)、国立眼科研究所視覚機能質問票-25(NEI VFQ-25)の複合スコアもしくは下位尺度スコア、EuroQol EQ-5D-5Lスコア、もしくはSF-36v2健康調査(SF-36v2)スコアを増大させる;または該対象の総合障害度評価尺度(EDSS)スコア、EDSSの機能システムスコア(FSS)、短縮版マギル疼痛質問票(SF-MPQ-2)スコア、もしくはMOG-IgG力価を低減させる、E1~E30のいずれか1つの方法。
[F1]抗MOG抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させる方法であって、
再発のリスクを低減させるのに有効なIL-6阻害剤の量を該対象に投与する工程
を含む、前記方法。
[F2]前記IL-6阻害剤が、抗IL-6抗体もしくはその抗原結合断片または抗IL-6受容体抗体もしくはその抗原結合断片である、F1の方法。
[F3]前記IL-6阻害剤が、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、F1またはF2の方法。
[F4]前記IL-6阻害剤が、ヒト化抗体である、F1~F3のいずれか1つの方法。
[F5]前記IL-6阻害剤が、配列番号:5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、配列番号:6のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号:7のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)CDR1、配列番号:9のアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号:10のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である、F1~F4のいずれか1つの方法。
[F6]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、配列番号:1のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:2のアミノ酸配列を含むVLを含む、F5の方法。
[F7]前記IL-6阻害剤が、配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号:4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体である、F5またはF6の方法。
[F8]前記IL-6阻害剤が、サトラリズマブである、F5~F7のいずれか1つの方法。
[F9]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSDおよび多発性硬化症(MS)以外の疾患である、F1~F8のいずれか1つの方法。
[F10]抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSD、多発性硬化症(MS)、および抗NMDAR自己免疫性脳炎以外の疾患である、F1~F9のいずれか1つの方法。
[F11]再発のリスクを低減させることが、対象における疾患の再発を遅延させること、その再発の頻度を低減させること、その再発の重症度を低減させること、またはその再発についての救助療法の必要性を低減させることを含む、F1~F10のいずれか1つの方法。
[F12]前記疾患が、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)である、F1~F11のいずれか1つの方法。
[F13]対象のMOGADが、(i)細胞ベースのアッセイによるMOG-IgGの血清陽性と、(ii)視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎;脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作とを特徴とする、F10の方法。
[F14](i)前記対象が、細胞ベースのアッセイによってMOG-IgG血清陽性であると判定されている、ならびに(ii)前記対象が、視神経炎(ON);横断性脊髄炎(TM);または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎;脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群からなる群より選択される脳炎のうちいずれか1つまたは複数の2回以上の発作を経験したことがある、F1~F12のいずれか1つの方法。
[F15]前記対象が、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陰性であると判定されている、F1~F14のいずれか1つの方法。
[F16]前記対象が、年齢12歳以上である、F1~F15のいずれか1つの方法。
[F17]前記対象が、いかなる継続中の慢性免疫抑制療法も受けていない、F1~F16のいずれか1つの方法。
[F18]前記対象が、安定用量のアザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、経口コルチコステロイド(OCS)、またはAZAもしくはMMFとOCSとの組み合わせによる継続中の治療を受けている、F1~F17のいずれか1つの方法。
[F19]前記対象が、40 kg未満の体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、60 mgである、F5~F18のいずれか1つの方法。
[F20]前記対象が、40 kg未満の体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、120 mgである、F5~E18のいずれか1つの方法。
[F21]前記対象が、40~100 kgの体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、120 mgである、F5~F18のいずれか1つの方法。
[F22]前記対象が、40~100 kgの体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、180 mgである、F5~F18のいずれか1つの方法。
[F23]前記対象が、100 kg超の体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、180 mgである、F5~F18のいずれか1つの方法。
[F24]前記対象が、100 kg超の体重を有すると判定され、かつ、各投与において該対象に投与される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の量が、240 mgである、F5~F18のいずれか1つの方法。
[F25]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、前記対象に皮下投与される、F5~F24のいずれか1つの方法。
[F26]前記抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片が、2週間毎に1回(Q2W)を3度およびその後4週間毎に1回(Q4W)、対象に投与される、F5~F25のいずれか1つの方法。
[F27]免疫抑制療法(IST)が、IL-6阻害剤と同時に対象に投与される、F1~F26のいずれか1つの方法。
[F28]前記ISTが、アザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、および経口コルチコステロイド(OCS)からなる群より選択される少なくとも1つを含む、1つまたは複数の免疫抑制剤を含む、F27の方法。
[F29]前記免疫抑制剤が、プレドニゾンまたはプレドニゾロンを含む、F28の方法。
[F30]前記対象に対するIL-6阻害剤の投与が、IL-6阻害剤の投与から、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の最初の発生までの時間を遅延させる、F1~F29のいずれか1つの方法。
[F31]前記対象に対するIL-6阻害剤の投与が、以下の1つまたは複数を低減させる、F30の方法:
(a)抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の比率;
(b)神経軸のMRI上での活動性病変の比率;
(c)救助療法を受ける対象の割合;または
(d)入院の比率。
[F32]前記対象に対するIL-6阻害剤の投与が、該対象の高コントラスト最高矯正視力(BCVA)、もしくは低コントラスト視力(LCVA)、国立眼科研究所視覚機能質問票-25(NEI VFQ-25)の複合スコアもしくは下位尺度スコア、EuroQol EQ-5D-5Lスコア、もしくはSF-36v2健康調査(SF-36v2)スコアを増大させる;または該対象の総合障害度評価尺度(EDSS)スコア、EDSSの機能システムスコア(FSS)、短縮版マギル疼痛質問票(SF-MPQ-2)スコア、もしくはMOG-IgG力価を低減させる、F1~F31のいずれか1つの方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、MOGADを治療するための、MOGADの発作/再発を予防するための、またはMOGADの発作/再発のリスクを低減させるための、サトラリズマブを含む医薬品(薬学的組成物)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この第III相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設試験の試験デザインを示す。DB=二重盲検;IST=(ベースライン/バックグラウンド)免疫抑制剤治療;LA=最終評価;LO=最終観察;PK=薬物動態;RA=再発評価;RFA=再発追跡評価。注釈:群AおよびB:サトラリズマブ+/-ISTまたはプラセボ+/-ISTに1:1で無作為化。サトラリズマブまたは対応するプラセボを、体重40 kg未満:60 mgまたは120 mg;40~100 kg:120 mgまたは180 mg;100 kg超:180 mgまたは240 mgに基づく段階的投与スキームに基づいて投与する。
【
図2】それぞれ、40 kg未満(30~40 kg)の体重の患者、100 kg以下(40~100 kg)の体重の患者、および100 kg超(100~160 kg)の体重の患者における4週間隔の60 mg、120 mg、および180 mgのサトラリズマブの投与後の血清中の、予測される定常状態の曝露パラメータ(最大濃度(C
max)、トラフ濃度(C
トラフ))、および受容体占有率(RO)値を示す。シミュレーションは、2000人の個体に基づく。C
maxの予測値を上のパネルに、C
トラフを中央のパネルに(C
tr=投与間隔の終了時の定常状態濃度)、およびROを下のパネルに示す。点は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)試験において観察されたのと類似した割合の参加者における抗薬物抗体(ADA)陽性を仮定したシミュレーションデータである。破線の横線を、参考のために追加した。この第III相試験の初期用量を設定する際の仮定は、MOGADにおけるサトラリズマブの薬物動態が、NMOSDにおけるものに類似していることである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
態様の説明
本発明は、抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患を治療するための、または抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させるための、IL-6阻害剤を活性成分として含む医薬品(薬学的組成物)に関する。再発は、最後の発作の少なくとも30日後(最後の発作がADEMであった場合には90日後)に出現する、新たな臨床エピソード(急性脱髄のMRIエビデンスが付随し得る、新たなまたは悪化した急性症状および臨床徴候)として定義される。
別の局面において、本発明はまた、抗MOG抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患を治療する、または抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させるための医薬品の調製における、IL-6阻害剤の使用にも関する。
さらに別の局面において、本発明は、抗MOG抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患を治療する際の、または抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させる際の使用のための、IL-6阻害剤に関する。
さらに、本発明はまた、抗MOG抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患を治療する、または抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させるためのキットであって、IL-6阻害剤を含む薬学的組成物、および対象に対する薬学的組成物の投与を指示する添付文書またはラベルを含む、前記キットに関する。
さらに、本発明はまた、抗MOG抗体陽性である対象において、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患を有する対象を治療する、または抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させる方法であって、有効量のIL-6阻害剤を該対象に投与する工程を含む、前記方法にも関する。
本開示の「IL-6阻害剤」とは、IL-6によるシグナル伝達を遮断し、IL-6の生物学的活性を阻害する物質である。IL-6阻害剤は、好ましくは、IL-6とIL-6受容体との間、および/またはIL-6/IL-6受容体複合体とgp130との間の結合を阻害する物質である。本開示のIL-6阻害剤の例には、抗IL-6抗体もしくはその抗原結合断片、抗IL-6受容体抗体もしくはその抗原結合断片、抗gp130抗体もしくはその抗原結合断片、IL-6バリアント、可溶性IL-6受容体バリアント、またはIL-6もしくはIL-6受容体の部分ペプチド、および類似した活性を示す低分子量物質が含まれるが、特にそれらに限定されない。本開示のIL-6阻害剤の例は、好ましくは、抗IL-6抗体もしくはその抗原結合断片または抗IL-6受容体抗体もしくはその抗原結合断片、より好ましくは、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片、任意で、ヒト化抗体であり得る。
【0014】
本開示のいくつかの態様において、IL-6阻害剤は、配列番号:5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)CDR1、配列番号:6のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号:7のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)CDR1、配列番号:9のアミノ酸配列を含むVL CDR2、および配列番号:10のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片である。本開示におけるある特定の態様において、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片は、配列番号:1のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:2のアミノ酸配列を含むVLを含む。本開示におけるある特定の態様において、IL-6阻害剤は、配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号:4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗IL-6受容体抗体である。本開示におけるある特定の態様において、IL-6阻害剤は、抗IL-6受容体抗体であるサトラリズマブである。
【0015】
本開示におけるある特定の態様において、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患は、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体関連疾患(MOGAD)である。ある特定の態様において、MOGADは、(i)細胞ベースのアッセイによるMOG-IgGの血清陽性と、(ii)視神経炎(ON)(例えば、慢性再発性炎症性視神経症(CRION))、横断性脊髄炎(TM)(例えば、縦方向拡張性(longitudinally extensive)横断性脊髄炎(LETM)、短セグメント横断性脊髄炎(STM))、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳幹脳炎、皮質脳炎、脱髄を伴う脳幹症候群、脱髄を伴う小脳症候群、および脱髄を伴う脳症候群のいずれか1つまたは複数の2回以上の発作とを特徴とする。ある特定の態様において、MOGADは、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陽性NMOSD、多発性硬化症(MS)、および抗NMDAR自己免疫性脳症からなる群より選択される少なくとも1つ以外の疾患である。
【0016】
上記の症状の多くは、AQP4陽性NMOSDおよびMSの典型的な提示と重複するが、MOGADは、血清またはCSF中の抗MOG-IgGの検出によって、これらの代替自己免疫疾患から区別される。したがって、ある特定の態様において、本発明は、抗アクアポリン-4(AQP4)抗体陰性である対象に適用することができる。MOG-IgG血清陽性は、Lopez-Chiriboga AS et al., JAMA Neurol. 2018 Nov 1;75(11):1355-1363に記載されているような細胞ベースのアッセイ(CBA)を用いて判定することができる。矛盾しない臨床的および放射線学的表現型(例えば、Jarius S et al., J Neuroinflammation. 2016;13(1):280およびChen JJ et al., Curr Opin Neurol. 2020;33(1):47-54に記載されている)とMOG-IgGの血清陽性の組み合わせが、診断を確立するために必要とされる。
【0017】
一部の患者、特に小児は、単相性経過を有し得るが、成人患者の約80%は、高度に再発性の経過を示す(Jarius et al. J Neuroinflammation. 2016;13(1):280;Hyun et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2017;88(10):811-817;Mult Scler Relat Disord. 2019;30:231-235)。再発性の疾患経過を有する青年の割合は、成人に類似していると考えられており(Bruijstens et al. Eur J Paediatr Neurol 2020b;29:32-40;Cobo-Calvo et al. Ann Neurol. 2021;89(1):30-41)、MOGADに関連した障害は、発作/再発により駆動され、したがって再発予防が重要である。現在のMOGAD治療パラダイムには、発作の急性治療のための、静脈内免疫グロブリン(IVIg)または血漿交換(PLEX)を伴うまたは伴わないコルチコステロイド、ならびに、再発予防のための、経験的に選択された従来のステロイドスペアリングISTおよびリツキシマブ(RTX)の使用が含まれる(Stiebel-Kalish et al. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2019;6(4):e572;Chen et al. Neurology. 2020;95(2):e111-e120;Chen and Bhatti Curr Opin Neurol. 2020;33(1):47-54;Hegen and Reindl, Ther Adv Neurol Disord. 2020;13:1756286420945135;Whittam et al. J Neurol. 2020a;267(12):3565-3577)。最新の文献により、多数の短期的および長期的有害効果を伴うこれらの投薬は多くの場合、部分的にのみ有効であることが示されている(Chen et al. 2020;95(2):e111-e120、Whittam et al. Mult Scler Relat Disord. 2020b;44:102251;Durozard et al. Ann Neurol. 2020;87(2):256-266;Cobo-Calvo et al. Ann Neurol. 2021;89(1):30-41)。
【0018】
ある特定の態様において、本発明の医薬品または薬学的組成物は、免疫抑制療法(IST)と組み合わせて使用される。ある特定の態様において、ISTは、1つまたは複数の免疫抑制剤、例えば、アザチオプリン(AZA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、ならびに経口コルチコステロイド(OCS)、例えばプレドニゾンおよびプレドニゾロンである。
【0019】
ある特定の態様において、本発明の医薬品または薬学的組成物は、IL-6阻害剤の投与から、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の最初の発生までの時間を遅延させることができる。ある特定の態様において、本発明の医薬品または薬学的組成物は、以下の1つまたは複数をさらに低減させることができる:
(a)抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発の比率;
(b)神経軸のMRI上での活動性病変の比率;
(c)救助療法を受ける対象の割合;または
(d)入院の比率。
【0020】
抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患(MOGAD)は、完全寛解を達成するのが困難である自己免疫疾患である。したがって、たとえ完全寛解が達成されなくても、軽微症状(minimal manifestation)(MM)が維持され得るレベルまで症状を緩和もしくは改善すること、またはそのような状態を維持することも、「抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患を治療すること」に含まれる。
【0021】
MOGADの重症度は、例えば、MOG-IgG力価(例えば、血清サンプル中)、ならびにEDSS、FSS、BCVA、HCVA、LCVA、NEI VFQ-25、EQ-5D-5L、SF-36v2、および/またはSF-MPQ-2を用いて評価することができる。これらの評価の詳細を、以下の実施例において説明する。例えば、NEI VFQ-25について、複合スコアおよび下位尺度スコアは、0~100の範囲であり、より高いスコアは、より良好な視覚関連機能を示す。したがって、本発明の薬学的組成物は、被験者のNEI VFQ-25スコアを増大させることができる。EQ-5D-5Lについて、より高いスコアは、より良好な健康を示す。したがって、本発明の薬学的組成物は、EQ-5D-5Lスコアを増大させることができる。SF-36v2について、より高いスコアは、より良好な健康を示す。したがって、本発明の薬学的組成物は、SF-36v2スコアを増大させることができる。SF-MPQ-2について、より低いスコアは、より少ない疼痛に等しく、より高いスコアは、より強い疼痛に等しい。したがって、本発明の薬学的組成物は、SF-MPQ-2スコアを低減させることができる。より高いMOG-IgG力価(例えば、血清サンプル中)は、MOGAD発作/再発のより高いリスクとみなされ得る。
したがって、ある特定の態様において、本発明は、本発明が適用された対象において、本発明が適用されていない対象と比較して、MOG-IgG力価を低減させることができ、かつ/またはEDSS、FSS、BCVA、LCVA、NEI VFQ-25、EQ-5D-5L、SF-36v2、および/もしくはSF-MPQ-2の1つもしくは複数のスコアもしくはポイントを改善することができる。
【0022】
MOGADの治療または再発性MOGADにおける再発のリスクの低減のための本発明の有効性は、上述の評価項目を用いて、ならびに、本発明を対象(例えば、患者)に適用する前および後にMOGADの重症度を定量的に測定することと、重症度の変化が統計的に有意であるかどうかを確認することとによって、評価することができる。あるいは、本発明が適用された患者群における、および本発明が適用されていない群(すなわち、プラセボ群)における変化または違いを、比較してもよい。例えば、上記のようなMOGADの重症度を測定するためのスコアまたはポイントの1つまたは複数を、本発明を適用する前のベースラインとして患者において決定することができ;ある特定の期間にわたって本発明を適用した後、患者のMOGAD重症度を決定してもよく、次いで、ベースラインと比較した重症度の改善を決定してもよい。上述の評価基準を、定量的評価の標準として用いてもよい。上記評価標準の任意のものにおいて、本発明を適用する前(ベースライン)と比較した投与後の所与の患者におけるスコアもしくはポイントの変化、または本発明が適用された患者の群と本発明が適用されなかった群との間のスコアもしくはポイントの違いが、統計的に有意である場合、本発明は、MOGADを治療するかまたはMOGAD再発を予防する(もしくはそのリスクを低下させる)のに有効であると言うことができる。患者のMOGADの程度が重度である場合、いくつかのMOGAD評価スコアまたはポイント、例えばEDSSスコア、EDSSのFSS、SF-MPQ-2スコア、および/またはMOG-IgG力価は高く、その他は低いと考えられ、程度が軽度である場合、それらは低いと考えられる。したがって、評価標準のうちのこれらのスコアまたはポイントの変化または違いが減少することが望ましい。他方、患者のMOGADの程度が重度である場合、他のMOGAD評価スコアまたはポイント、例えば高コントラストBCVA、LCVA、NEI VFQ-25複合スコアもしくは下位尺度スコア、EuroQol EQ-5D-5Lスコア、および/またはSF-36v2スコアは低いと考えられ、程度が軽度である場合、それらは高くなる。したがって、評価標準のうちのこれらのスコアまたはポイントの変化または違いが増大することが望ましい。
【0023】
有効性を評価するために本発明を適用する(例えば、本発明の医薬品または薬学的組成物を投与する)所与の期間は、特に限定されず、1週間、2週間、4週間、8週間、12週間、24週間、48週間、1年、2年、3年、4年、および5年を含み、かつ期間は、例示された期間よりも短くてもよく、または長くてもよい。
【0024】
本発明において、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患を有する患者は、本発明の治療(例えば、医薬品、薬学的組成物、方法など)を、例えば、2週間隔(Q2W)で3回(すなわち、ゼロ時点で、ならびに2週目および4週目にさらに)、およびその後4週間隔(Q4W)で受けてもよい。いくつかの態様において、患者は、皮下投与経路を介して、本発明の医薬品または組成物に含有される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片を受けることができる。
【0025】
本発明の抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体陽性である対象における抗MOG抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患の治療に加えて、本発明はまた、MOGADなどの、抗MOG抗体陽性である対象において抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの再発性脱髄疾患における再発のリスクを低減させるために使用される。本発明において、再発のリスクの低減には、抗MOG抗体の存在を特徴とするCNSの脱髄疾患の再発を遅延させること、その再発の頻度を低減させること、またはその再発の重症度を低減させること、またはその再発についての救助療法の必要性を低減させることが含まれるが、それらに限定されない。
【0026】
本発明において使用される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片は、IL-6受容体に結合し、IL-6のIL-6受容体に対する結合を阻害し、IL-6によるシグナル伝達を遮断し、かつIL-6の生物学的活性を阻害する。
【0027】
本発明において使用される抗IL-6受容体抗体は、公知の方法を用いて得ることができる。特に、本発明において使用される抗IL-6受容体抗体は、好ましくは、哺乳動物由来のモノクローナル抗体である。哺乳動物由来のモノクローナル抗体には、ハイブリドーマによって産生されるもの、および遺伝子操作法を用いて抗体遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換された宿主によって産生されるものが含まれる。
【0028】
本発明における「IL-6受容体抗体」の好ましい例には、トシリズマブの可変領域および定常領域を改変することによって産生されるヒト化抗IL-6受容体抗体、具体的には、配列番号:5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号:6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号:7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号:9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、および配列番号:10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体が含まれる。
【0029】
本発明におけるより好ましい抗体には、配列番号:1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号:2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体が含まれる。さらにより好ましいのは、配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖(サトラリズマブ(一般名);SA237(非公式名)の重鎖)、および配列番号:4のアミノ酸配列を含む軽鎖(サトラリズマブの軽鎖)を含む抗体である。サトラリズマブ(非公式名:SA237)が特に好ましい。
【0030】
サトラリズマブの政府による販売承認は、「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発の予防」という適応に基づいて、日本、米国、および欧州を含む多くの国において得られている。視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)および/または視神経脊髄炎(NMO)を有する患者の集団を標的とした国際共同第III相臨床試験(SA-307JG/BN40898試験およびSA-309JG/BN40900試験)中に特定された安全性プロファイルは概ね適正であった。いかなる死亡例も報告されなかった。サトラリズマブ群において重度の有害事象を経験した患者のパーセンテージは、プラセボ群におけるものとほぼ同じであった。試験薬の投与の中止につながった有害事象の頻度において、または薬物脱落につながった有害事象の頻度において、2つの群の間に大きな違いはなかった。安全性プロファイルは、単剤試験であったSA-309JG試験と、既存の治療法(経口ステロイドおよび/または免疫抑制剤)との併用試験であったSA-307JG試験との間で類似していた。
【0031】
そのような抗体は、WO2010/035769、WO2010/107108、WO2010/106812などに記載されている方法に従って得ることができる。具体的には、抗体は、上述のIL-6受容体抗体の配列に基づいて、当業者に公知の遺伝子組換え技術を用いて作製することができる(例えば、1990年にMACMILLAN PUBLISHERS LTDによって英国において出版されたBorrebaeck CAK and Larrick JW, THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIESを参照されたい)。組換え抗体は、抗体をコードするDNAを、ハイブリドーマまたは抗体産生細胞、例えば抗体産生感作リンパ球からクローニングし、そのDNAを適切なベクター中に挿入し、そして該ベクターを宿主(宿主細胞)中に導入して抗体を産生させることによって、得ることができる。
【0032】
そのような抗体は、非限定的に、抗体精製のために従来用いられている単離および精製の方法を用いて、単離および精製することができる。例えば、抗体は、カラムクロマトグラフィー、濾過、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動、透析、再結晶などを適切に選択し、組み合わせることによって、単離および精製することができる。
【0033】
本発明において使用される抗体は、ポリエチレングリコール(PEG)、放射性物質、および毒素などの様々な分子に結合した、コンジュゲート抗体であってもよい。そのようなコンジュゲート抗体は、得られる抗体を化学的に修飾することによって、得ることができる。抗体修飾のための方法は、この分野において既に確立されている。したがって、本発明における「抗体」という用語は、そのようなコンジュゲート抗体を包含する。
【0034】
本発明において使用される抗体は、それらが本発明において好適に使用され得る限り、抗体断片(抗体の抗原結合断片とも称される)またはその修飾産物であってもよい。例えば、抗体断片には、Fab、F(ab')2、Fv、ならびに、H鎖およびL鎖のFvが適切なリンカーを介して連結されている一本鎖Fv(scFv)が含まれる。
具体的には、抗体断片は、抗体をパパインもしくはペプシンなどの酵素で処理することによって、または代替的に、これらの抗体断片をコードする遺伝子を構築して発現ベクター中に導入し、次いで適切な宿主細胞においてベクターを発現させることによって、作製される(例えば、Co, M. S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976;Better, M. & Horwitz, A. H., Methods in Enzymology (1989) 178, 476-496;Plueckthun, A. & Skerra, A., Methods in Enzymology (1989) 178, 497-515;Lamoyi, E., Methods in Enzymology (1989) 121, 652-663;Rousseaux, J. et al., Methods in Enzymology (1989) 121, 663-666;およびBird, R. E. et al., TIBTECH (1991) 9, 132-137を参照されたい)。
【0035】
scFvは、抗体のH鎖V領域とL鎖V領域とを連結することによって、得ることができる。このscFvにおいて、H鎖V領域とL鎖V領域とは、リンカーを介して、好ましくはペプチドリンカーを介して連結される(Huston, J. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1988) 85, 5879-5883)。scFv中のH鎖およびL鎖のV領域は、上記の抗体のいずれに由来してもよい。V領域を連結するためのペプチドリンカーには、例えば、12~19アミノ酸残基からなる任意の一本鎖ペプチドが含まれる。
【0036】
scFvをコードするDNAは、鋳型配列中の所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を、該部分の末端を規定するプライマー対を用いたPCRにより増幅することであって、前述の抗体のH鎖またはH鎖V領域をコードするDNAおよびL鎖またはL鎖V領域をコードするDNAが鋳型として用いられる、こと、ならびに次いで、増幅されたDNA部分を、ペプチドリンカー部分をコードするDNAと、該H鎖および該L鎖の各々に連結され得るように該リンカーの両端を規定するプライマー対とを用いてさらに増幅することによって、得ることができる。
scFvをコードするDNAが調製されたら、該DNAを含む発現ベクターおよび該発現ベクターで形質転換された宿主を、従来の方法に従って得ることができる。加えて、宿主を用いることによって、従来の方法に従ってscFvを得ることができる。
上記と同様に、抗体断片は、それ自体の遺伝子を得て、発現させ、次いで宿主を用いることによって、作製されることができる。
【0037】
本発明において、「活性成分として」とは、成分が、主要な活性成分として薬学的組成物に含有されることを意味し、本発明のために使用される抗体またはその抗原結合断片が薬用成分として含まれる限り、その含有量は、具体的に示されない限り限定されない。
【0038】
本発明の医薬品または組成物に含有される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の用量は、特に限定されず、例には、1投与当たり50~800 mgの抗体、好ましくは、1投与当たり60~240 mgの抗体、およびより好ましくは、60 mg、120 mg、180 mg、または240 mgの抗体が含まれる。本発明の医薬品または組成物に含有される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の用量は、患者の体重に応じて変動し得る。本発明のある特定の態様において、40 kg未満の体重を有する対象に好適な抗IL-6受容体抗体または抗原結合断片の用量は、60 mgまたは120 mgであり;40 kg~100 kgの体重を有する対象に好適な用量は、120 mgまたは180 mgであり;および100 kg超の体重を有する対象に好適な用量は、180 mgまたは240 mgである。本発明の抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片を含む医薬品または組成物は、皮下、静脈内、筋肉内、および注入を含むがそれらに限定されない任意の経路を介して、対象に投与される。好ましい態様は、皮下投与である。
【0039】
本発明のある特定の態様において、本発明の医薬品または組成物に含有される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の連続した用量を初期期間中に対象に投与し、ここで、該初期期間中に投与される該用量は、第1の投与間隔(慣用的な投与間隔よりも短い投与間隔とも称される)、例えば、20週間、8週間、4週間、または2週間の間隔をあけられ;そして、初期期間の最終用量投与の後、第1の投与間隔よりも長い第2の投与間隔をおき、次いで、本発明の医薬品または組成物に含有される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の用量をヒト患者に投与し、ここで、任意で、複数の連続的な用量が、初期期間の最終用量投与の後に投与され、かつ、第1の投与間隔よりも長いこと以外は特に限定されない第2の投与間隔(「慣用的な投与間隔」とも称される)の間隔をあけられる。第2の投与間隔の例には、1日~24週間、好ましくは2週間~8週間、より好ましくは3~5週間、およびさらにより好ましくは4週間が含まれる。
本発明のある特定の態様において、本発明の医薬品または組成物に含有される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片は、2週間隔(Q2W)で3回およびその後4週間隔(Q4W)で、対象に投与される。
【0040】
本発明の医薬品または組成物に含有される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片の好ましい投与スケジュールは、例えば、疾患の状態および血液検査値の変化をモニターすることにより投与間隔を適切に延長することによって、調整することができる。
【0041】
本発明はまた、本発明の薬学的組成物または医薬品を含有する、本発明の方法における使用のための製品、例えばキット、デバイスなどを提供する。本発明の薬学的組成物または医薬品は、本明細書に記載されるようなIL-6阻害剤を含む。製品は、追加の薬学的に許容される担体もしくは媒体、またはキットの使い方などを記載する取扱説明書と共に包装され得る。
【0042】
一態様において、製品は、容器、および容器上のラベルまたは容器に付随する添付文書を含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ(プレフィルドシリンジおよびオートインジェクターを含む)、IV溶液バッグなどが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。一態様において、容器は、単独であるまたは、状態を治療する、予防する、および/もしくは診断するのに有効な別の組成物と組み合わされた、組成物を保持し、無菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、シリンジ、オートインジェクター、静脈内溶液バッグ、または皮下注射針によって突き刺し可能なストッパーを有するバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性成分は、本開示に記載されるようなIL-6阻害剤、好ましくは抗IL-6受容体抗体、およびより好ましくはサトラリズマブである。
【0043】
一態様において、上記のような本発明の製品としてのデバイスは、薬学的に許容される賦形剤中に、固定用量の、本開示に記載されるようなIL-6阻害剤、好ましくは抗IL-6受容体抗体、およびより好ましくはサトラリズマブを含む、静脈内、皮下などのような任意の投与経路を介した注射のためのプレフィルドシリンジであってもよい。別の態様において、デバイスは、薬学的に許容される賦形剤中に、固定用量の、本開示に記載されるようなIL-6阻害剤、好ましくは抗IL-6受容体抗体、およびより好ましくはサトラリズマブを含む、皮下投与のためのオートインジェクターであってもよい。ある特定の態様において、プレフィルドシリンジおよびオートインジェクターなどのデバイスは、60 mg、120 mg、180 mg、または240 mgのサトラリズマブを含んでもよい。
【0044】
本発明において、ラベルまたは添付文書は、薬学的組成物または医薬品が、選択された状態を治療するために使用されることを示す。さらに、製品は、(a)上記のようなIL-6阻害剤、好ましくは抗IL-6受容体抗体、およびより好ましくはサトラリズマブを含む組成物がその中に含有される、第1の容器;ならびに(b)さらなる治療剤を含む組成物がその中に含有される、第2の容器を含んでもよい。本発明のこの態様における製品は、特定の状態を治療するために組成物が使用され得ることを示す添付文書をさらに含んでもよい。代替的に、または追加的に、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む第2の(または第3の)容器をさらに含んでもよい。これは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジを含む、商業的なおよびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0045】
添付文書
「添付文書」という用語は、治療用製品の商用パッケージに慣例的に含まれる説明書を指すように用いられ、これは、そのような治療用製品の使用に関する適応症、用法、投与量、投与、併用療法、禁忌、および/または警告についての情報を含有する。
【0046】
本発明の薬学的組成物または医薬品を、必要な場合には、好適な薬学的に許容される担体、ビヒクルなどと混合することによって、凍結乾燥製剤または溶液製剤を作製するために製剤化することができる。好適な薬学的に許容される担体およびビヒクルには、例えば、滅菌水、生理的食塩水、安定化剤、賦形剤、抗酸化剤(アスコルビン酸など)、緩衝剤(リン酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン、および他の有機酸など)、防腐剤、界面活性剤(PEGおよびTweenなど)、キレート剤(EDTAなど)、および結合剤が含まれる。他の低分子量ポリペプチド、タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、および免疫グロブリン、アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸、メチオニン、アルギニン、およびリジン、糖および糖質、例えば多糖類および単糖類、ならびに糖アルコール、例えばマンニトールおよびソルビトールもまた、製剤に含有されてもよい。注射用水溶液を調製する場合に、生理的食塩水、ならびにグルコースおよび他のアジュバント、例えばD-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、および塩化ナトリウムを含む等張液が用いられてもよく;かつ適切な可溶化剤、例えばアルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(プロピレングリコールおよびPEGなど)、ならびに非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188、およびHCO-50など)が、組み合わせで用いられてもよい。ヒアルロニダーゼを製剤中に混合することによって、より多くの液量を皮下投与することができる(Expert Opin. Drug Deliv. 2007 Jul; 4(4): 427-40)。さらに、シリンジに、本発明の薬学的組成物を予め充填してもよい。溶液製剤は、WO2011/090088に記載される方法に従って調製することができる。
【0047】
必要な場合には、本発明の薬学的組成物または医薬品は、マイクロカプセル(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、およびポリ(メチルメタクリラート)で作られたもの)内にカプセル化されてもよく、またはコロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)中に組み込まれてもよい(例えば、"Remington's Pharmaceutical Science 16th edition", Oslo Ed. (1980)を参照されたい)。薬剤を制御放出薬剤として調製するための方法もまた、公知であり、そのような方法が、本発明の薬学的組成物に適用されてもよい(Langer et al., J. Biomed. Mater. Res. 15: 267-277 (1981);Langer, Chemtech. 12: 98-105 (1982);米国特許第3,773,919号;欧州特許出願公開番号EP 58,481;Sidman et al., Biopolymers 22: 547-556 (1983);およびEP 133,988)。
【0048】
本発明の医薬品または組成物に含有される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片は、任意の適切な経路を介して患者に投与することができる。例えばこれを、ボーラス注射もしくは連続的注入により静脈内に、筋肉内に、腹腔内に、脳脊髄内に、経皮的に、皮下的に、関節内に、舌下に、滑液内に、経口的に、吸入により、局所的に、または外部に、ある特定の期間にわたって患者に投与することができる。静脈内投与または皮下投与が好ましい。本発明のある特定の態様において、本発明の医薬品または組成物に含有される抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片は、対象に皮下投与される。
【0049】
本明細書において引用されるすべての先行技術参考文献は、参照により本明細書中に組み入れられる。
【実施例】
【0050】
本明細書の以下において、本発明を、実施例に関連して具体的に説明するが、それに限定されていると解釈されるべきではない。
【0051】
実施例1:サトラリズマブ(SA237)の調製
配列番号:26(本明細書では配列番号:3)のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:29(本明細書では配列番号:4)のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むとして特許文献WO 2010/035769に記載されているIL-6受容体抗体である、一般名サトラリズマブ(およびSA237という非公式名)を有する抗体を、該特許文献の記載に従って調製した。重鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号:1に示し、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号:2に示す。調製された抗体を用いて、皮下投与調製物を、特許文献WO 2011/090088に記載されている方法によって調製した。
【0052】
実施例2:第III相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設試験
1. 試験デザイン
1.1 全体のデザイン
1.1.1 試験デザインの概要
この第III相、無作為化、二重盲検(DB)、プラセボ対照、多施設試験は、MOGAD再発予防のための単剤療法として、またはベースライン/バックグラウンドISTに追加(アドオン)して、プラセボと比較したサトラリズマブの有効性、安全性、薬物動態、および薬力学を評価するために設計されている。
【0053】
試験は、最長で28日のスクリーニング期間、およびイベント主導型DB治療期間を含む。
【0054】
スクリーニング期間中に、試験参加について個体の適格性を評価する。
【0055】
この試験は、グローバル登録段階において、すべての場所にわたっておよそ152名のMOGADを有する参加者を登録する。
【0056】
【0057】
1.1.2 二重盲検治療期間
DB治療期間中に、参加者を、MOGAD再発予防のために使用される単剤療法またはベースライン/バックグラウンドISTに対するアドオン療法として、サトラリズマブ(体重に基づいて60、120、もしくは180 mg)またはプラセボのいずれかを受けるように、1:1の比で無作為化する。
【0058】
無作為化は、以下に基づいて層別化される:
-- ベースライン/バックグラウンドISTの使用
-- 地域。
【0059】
盲検化された試験薬を、0、2、4週目、およびその後、DB治療期間の終了まで4週間隔(Q4W)で、すべての参加者に皮下投与する。
【0060】
薬物動態中間解析
薬物動態(PK)データの中間解析を、DB治療期間中に行う。
中間解析の目的は、サトラリズマブに対して達成された曝露(および予測される受容体占有率[RO])が、目標範囲内であると確認することである。中間PK解析からの結果および予め指定された基準に基づいて、目標濃度を達成するために必要とされる場合には試験薬の用量を増大させてもよい(セクション1.3を参照されたい)。
【0061】
ベースライン/バックグラウンド免疫抑制療法
この試験において許容されるベースライン/バックグラウンド免疫抑制療法は、AZA、MMF、該試験においてプロトコルで定義されたOCS漸減を伴うベースラインOCS、およびAZAまたはMMFと試験においてプロトコルで定義されたOCS漸減を伴うベースラインOCSとの組み合わせである。
参加者は、DB治療期間を通して、安定用量のAZAまたはMMFのままであるべきである(安全性の理由による用量低減または中止を除く、セクション3.2.1.1を参照されたい)。
【0062】
1.1.3. MOGAD再発についての診断基準
この試験について定義されるMOGAD再発とは、治験責任医師によって確認されるような、24時間を超えて続く臨床(神経学的および眼科的)検査における客観的変化(臨床所見または徴候)を伴う、新たなまたは悪化した急性神経症状の発生である。症状は、MOGADに起因するものでなければならず、すなわち、交絡する臨床因子(例えば、発熱、感染症、傷害、気分の変化、投薬に対する副作用、または他の神経障害)は、除外されなければならない。MOGADの発作は、CNSの4つの主要な区域に影響を及ぼす場合があり、これは、対応する臨床症候群(症状、症状発現、または表現型)を結果としてもたらす:
-- 視神経炎をもたらす、視神経
-- 横断性脊髄炎をもたらす、脊髄
-- 脳幹/小脳症候群をもたらす、脳幹および/または小脳
-- 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)または、脱髄を伴うその他の脳症候群(腫脹性病変、発作を伴う皮質疾患)をもたらす、脳。
【0063】
これらの区域は、発作中に同時に影響を受ける可能性がある(例えば、発作は、同時の視神経炎および横断性脊髄炎、または視神経炎およびADEMからなる場合がある)。
【0064】
4つの関連したドメイン/CNS領域(視神経、脊髄、脳幹および/または小脳、脳)におけるMOGAD再発の診断(表1を参照されたい)は、以下を含む基準に基づく:
-- 24時間を超えて続く、新たなまたは悪化した急性神経症状の記載
-- 身体検査(神経系を含む)およびバイタルサインについての所見
-- 独立した評価者によって決定される、総合障害度評価尺度(EDSS)の機能システムスコア(FSS)
-- 独立した評価者によって決定される、高コントラスト視力(HCVA)および低コントラスト視力(LCVA)、相対的求心性瞳孔障害(RAPD)の評価、ならびに視神経乳頭の外観(新たな視神経乳頭腫脹の存在)を含む、眼科検査の結果
-- ガドリニウムを使用する全神経軸磁気共鳴画像法(MRI)スキャン。
【0065】
神経軸のMRI上での少なくとも1つの対応する活動性病変のエビデンスが、臨床所見が不明確または非特異的である症例における確認のために用いられる。
【0066】
視神経炎の発作は、LCVAの変化、RAPD(具体的には、罹患した眼における新たなRAPDまたは僚眼におけるRAPDの消失)、または罹患した眼における新たな視神経乳頭腫脹を含む追加の臨床徴候との組み合わせでの、高コントラスト最高矯正視力(BCVA)の変化に基づく。追加の臨床徴候が存在しないかまたは不明確である場合には、および、再発前の来院時の参加者の視力が指数弁(CF)またはそれよりも悪い状況では、前方視覚経路における活動性病変の存在を実証するためのMRIが必要とされる。
【0067】
横断性脊髄炎の発作は、このタイプの発作によって影響を受けるであろうEDSSの錐体、感覚、または腸および膀胱のFSSの変化に基づく。より軽症の脊髄炎において、確認には、脊髄のMRI上での活動性病変の特定が必要である。
【0068】
脳幹および/または小脳を巻き込む発作(脱髄を伴う脳幹および/または小脳症候群)については、脳幹および/または小脳における1つまたは複数の適切に位置する活動性MRI病変の特定と併せて、脳幹および/または小脳のFSSの変化が必要とされる。
【0069】
脳を巻き込む発作(脱髄を伴う脳症候群)については、1つまたは複数の適切に位置する活動性MRI脳病変の特定またはADEM特異的画像診断基準(Pohl et al. 2016)と併せて、大脳、感覚、または錐体のFSSの変化が必要とされる。
【0070】
(表1)MOGAD再発の基準
a24時間以上続かなければならない、新たな症状の急性発症または既存の症状の悪化。
b両眼性視神経炎(ON)の診断には、両眼における症状の存在、主要な臨床徴候、および追加の診断要件が必要である。
【0071】
MOGAD再発の発症から30日以内(またはADEMの場合には90日以内)に発生する、MOGADに起因する新たなまたは悪化した急性神経症状および臨床徴候は、同じ再発と考えられる。救助療法の開始後でありかつ新たな再発の基準を満たさない症状の再発生は、いわゆるMOGAD再燃エピソードに相当する(Bruijstens et al. 2020b;Bruijstens et al. 2020c)。
【0072】
個々の参加者についてのその後の再発およびMOGAD再燃エピソードの診断は、最初のMOGAD再発と同じ基準に基づきかつ同じ評価を伴う。
【0073】
再発の評価は、いずれかの救助療法を開始する前に行われるべきである。詳細については、セクション4.1.1を参照されたい。
【0074】
1.2 試験デザインの理論的根拠
1.2.1 試験集団の理論的根拠
試験により、MOGADを有する参加者においてサトラリズマブの有効性および安全性が調査される。スクリーニング時のMOG-IgG血清陽性は、細胞ベースのアッセイ(CBA)を用いて決定されなければならず、これは、それが疾患に関連する抗MOG抗体の検出を可能にする唯一のタイプのアッセイであるためである。MSを含む、重複する臨床的特徴を用いる代替診断は、除外されなければならない。
【0075】
試験は、スクリーニング時に0~6.5のEDSSスコアおよび両眼において20/800よりも良好なBCVAを有し、スクリーニング前12ヶ月以内に少なくとも1回の文書化されたMOGAD再発を有した、または過去24ヶ月以内に少なくとも2回の発作を有した参加者を、登録するように計画する。安定用量のAZAまたはMMFの試験に入る参加者は、バックグラウンド療法を受けている間のMOGAD発作を有していた必要がある。最近の疾患活動のエビデンスがある、MOGADを有する参加者の選択は、短い時間枠および小さな試験集団におけるサトラリズマブの治療効果の推定を可能にするのに適切と考えられる。
【0076】
1.2.2 青年参加者を含める理論的根拠
青年参加者を含めることは、いくつかの根拠によって支持される。第一に、根底にある病因は、MOGADを有する小児患者および成人患者において同一と考えられ、これは、BBB破壊の状況において脱髄を引き起こす、末梢で産生される抗MOG-IgGによって、駆動される(Spadaro et al. 2018;Reindl and Waters 2019)。第二に、臨床表現型(MOGAD発作/再発のタイプ)および疾患経過は、MOGADを有する青年患者および成人患者において類似している。ADEMおよび他のタイプの脳関与は、11歳を超える患者(青年および成人)においてかなり頻度が低い(Hacohen et al. 2018、Baumann et al. 2018)。これらの患者において、視神経炎および横断性脊髄炎が、単独でまたは組み合わされて、最も一般的な発作のタイプである。年齢に関連する表現型の違いは、小児期における脳の発達およびCNS成熟の様々な段階中の変化するMOG発現に起因している(Bruijstens et al. 2020a)。第三に、発作/再発に対する救助治療および再発予防のための慢性/維持治療を含む、治療の主なタイプは、MOGADを有する成人患者および小児患者において同じである。
【0077】
第III相試験は、参加者が、障害、疼痛、および全身的な健康の評価に関して信頼できる証人であることを必要とする。青年は、治験の手法に協力できると考えられる。
【0078】
サトラリズマブを、インフォームドコンセントの時に12歳から18歳未満までの年齢の9人のNMOSDを有する青年患者(平均年齢15歳)において試験し、そのうち7人の参加者を、主要な有効性および安全性の報告のための臨床カットオフ日(CCOD)の前に、BN40898試験のDB治療期間について無作為化した。これらのNMOSDを有する小児患者におけるサトラリズマブの安全性プロファイルは、成人集団において観察されたプロファイルと概して一貫していた。青年参加者において報告された有害事象はすべて軽度または中等度の重症度のものであり、解消された。有害事象のために試験を中止した青年参加者はいなかった。成人投与レジメン(120 mg Q4W)を受けた12歳から18歳未満までの年齢のNMOSDを有する患者において得られたデータは、体重を考慮した場合、サトラリズマブへの曝露が成人集団におけるものと有意には異ならなかったことを示した。
【0079】
1.2.3 許可されるベースライン/バックグラウンド治療の選択の理論的根拠
試験の目的が治療歴全体にわたって代表的かつ一般化可能な集団をリクルートすることであるため、この第III相試験は、MOGADに対する維持(慢性再発予防治療)を受けていないか、最適未満の再発予防を伴う安定用量のAZAもしくはMMFを受けているか、またはベースラインOCSを受けている、参加者を登録する。
【0080】
1.2.4 対照療法の選択の理論的根拠
この試験において、実験的療法に曝露された参加者からの安全性および有効性のデータの客観的エビデンスを提供するための対照薬(comparator)としてプラセボが用いられる。無作為化対照介入試験において安全性および有効性のプロファイルが確立されたMOGAD治療法はない。加えて、遡及的症例シリーズにより、いくつかのMS疾患修飾療法(IFN-γ、グラチラマー酢酸塩、テリフルノミド、フマル酸ジメチル、クラドリビン、フィンゴリモド、ナタリズマブ、およびアレムツズマブ)が疾患を悪化させることが、強く示唆されている(Cobo-Calvo et al. 2021)。MOGAD再発の予防のための確立された有効な治療法の非存在下において、ベースライン/バックグラウンドISTを伴うまたは伴わないプラセボの使用は、特に、活性を有する対照薬を選択することが、証明されていない単一の剤の使用を意味する場合に、許容されると考えられる。ベースライン/バックグラウンド療法の使用は、MOGAD再発予防のために適応外で一般的に用いられる治療の差し控えを避けるために、許可される。
【0081】
1.2.5 主要評価項目選択の理論的根拠
無作為化から最初の判定された再発の発症までの時間という主要評価項目が、再発性の疾患経過、排他的に発作により駆動される神経障害といういくつかの要因に基づいて、選択された。
【0082】
1.2.6 副次評価項目選択の理論的根拠
判定されたMOGAD再発の年率、神経軸のMRI上での活動性病変の年率、救助療法を受ける参加者の割合、および入院(一晩の滞在よりも長いと定義され、選択手法のためのものを除く)の年率が、サトラリズマブ対プラセボの有効性を比較するための副次評価項目として選択された。
【0083】
再発の予防および関連する救助療法の使用、ならびに医療利用の尺度としての入院の予防は、MOGADを有する患者の慢性治療における有意義な目標である。
【0084】
再発予防の重要性は、MOGADにおける障害の進行が、もっぱら発作に関連しており、かつ再発活動と独立した進行によっては駆動されないと考えられているという事実によって、強調されている(Akaishi et al. 2021)。加えて、CNS(全神経軸)のMRIは、MOGADの病理の程度および進展を研究するための最も客観的な利用可能な方法である。
【0085】
1.2.7 再発追跡評価来院の理論的根拠
判定されたMOGAD再発のアウトカムを評価するために、RA来院の12週間後にRFA来院が予定される。12週の期間は、MSおよび特発性脱髄性視神経炎を含む脱髄疾患における発作/再発後の回復のほとんどが最初の3ヶ月以内に起こることを示す文献に基づいて、規定された(Kantarci et al. 2019、Galetta et al. 2015)。12週の期間以内にすべての参加者において完全な回復が起こるとは予想されないが、この間隔はまた、判定された再発を経験したプラセボ群における参加者が、再発発症から比較的短い期間内に非盲検サトラリズマブに移行することを可能にする。高用量のコルチコステロイドおよびそれに続くOCS漸減が、MOGAD発作を治療するためならびに再燃エピソードおよびリバウンド再発を予防するために日常的に用いられており(Jarius et al. 2016;Ramanathan et al. 2018;Brujistens et al. 2020c;Whittam et al. 2020a)、したがって、RFA来院までのプレドニゾン/プレドニゾロンの連続的な使用は、すべての参加者における非盲検サトラリズマブの開始前の別の再発または再燃のリスクを最小限にして、再発回復の一貫した評価を可能にする。
【0086】
1.2.8 バイオマーカー評価の理論的根拠
バイオマーカーが、MOGADにおけるサトラリズマブの作用機序の特徴決定を補助すること、MOGADにおけるサトラリズマブ活性のエビデンスを提供すること、またはMOGAD疾患生物学の知識および理解を増大させることができるかどうかを試験により評価する。探索的バイオマーカーサンプルは、神経炎症、CNSに対する損傷、疾患活動性、または患者の免疫表現型を反映するものを含むがそれらに限定されない経路および/または疾患バイオマーカーを特定するために、研究目的で用いられる。
【0087】
薬力学(PD)バイオマーカーサンプルを、サトラリズマブ治療に応答する標的関与(例えば、IL-6およびsIL-6R)の評価のために収集する。
【0088】
1.2.9 薬物動態サンプル収集スケジュールの理論的根拠
サトラリズマブの血清濃度を評価するためのサンプルを、MOGAD集団におけるサトラリズマブの薬物動態を探索するために、各試験薬の投与の前に採取する。この評価は、サトラリズマブの薬物動態に対する様々な共変量(例えば、性別、人種、年齢、および体重)の影響、ならびに、MOGAD集団におけるサトラリズマブの推奨用量を裏付ける、曝露とPDとの間の関係、有効性、免疫原性、および安全性の評価項目を含む。PK評価はまた、MOGAD集団におけるサトラリズマブの適切な用量を確認するためにPK中間解析に情報を与えるためにも用いられる。
【0089】
1.2.10 中間薬物動態解析の理論的根拠
関節リウマチを有する患者における第I相試験から収集されたサトラリズマブのPKおよびPDデータが、NMOSDを有する患者における第III相試験のための用量選択(120 mg Q4W)に情報を与えるために用いられ、このレジメンは、安全かつ有効であることが示された。MOGADを有する患者におけるサトラリズマブのPKは、NMOSDを有する患者におけるものに類似していると仮定されるが、治験依頼者は、サトラリズマブの薬物動態において集団差の可能性があることに留意している。したがって、MOGADにおける第III相デザインは、治験依頼者が盲検のままである一方で参加者が目標曝露(NMOSD患者における近最大(near-maximal)ROに関連するものに基づく)を達成していることを確実にするために、PKデータの中間解析を考慮し、それによってこの重要な試験の完全性を維持する。既存の集団PK(popPK)モデル(健常ボランティアおよびNMOSDを有する患者におけるデータに基づく)を用いたシミュレーションが、最初に提唱された用量が目標曝露を達成しない場合に代替用量を規定するために用いられている。
PK中間解析についてのさらなる詳細は、セクション1.3および5.4.1において提供される。
【0090】
1.2.11 免疫原性サンプル収集の理論的根拠
抗薬物抗体(ADA)が、第III相試験に登録されたNMOSDを有する患者の大部分において検出された。PKに対するADAの影響が観察されたが、治療の有益性は影響を受けなかった。
【0091】
ADA用の血清サンプルを、MOGAD集団におけるADAの発生率および力価-時間プロファイルと、サトラリズマブへの曝露に対する、ならびに安全性および有効性に対する影響とを評価することを目的として、PKサンプルと並行して採取する。ADAデータは、サトラリズマブ濃度データの解釈の目的で、完全な試験データセットに基づくその後の解析に加えて8週目のPKデータの盲検検討に含まれる。
【0092】
1.2.12 層別化因子の選択の理論的根拠
無作為化は、ベースライン時の同時ISTおよび地域について層別化される。これらの因子は、治療群割り当てのバランスをとるために選択されたもので、主要評価項目についての予後値であると予想される。同時ISTの使用は、治療に応じた有効性および安全性の潜在的な違いを考慮するために含まれる。地域は、潜在的な地域の違いを考慮するために含まれる。
【0093】
1.3 用量およびスケジュールの正当化
表2に示されるように、MOGADにおけるサトラリズマブの有効性および安全性の調査のために、この試験において、SC注射を介した体重段階的投与を用いる。
【0094】
(表2)MOGADの治療のためのサトラリズマブの第III相試験における調査用の投与レジメン
PK=薬物動態;Q4W=4週間隔。
【0095】
投与レジメンは、NMOSDにおける初期開発のためのサトラリズマブのPK、PD、および安全性データを含む情報源の組み合わせに基づく。
NMOSDにおける第III相試験において調査された120 mgの固定投与レジメンは、ほとんどの参加者において、定常状態で高いトラフRO予測中央値(ROtr,ss)の値(95%以上)に関連し、かつ、すべての体重群において安全かつ有効であることが示された。MOGADにおける予想される類似した標的発現を考慮すると、NMOSDにおけるものに類似した曝露は、MOGADにおいても効果的であると予想される。
【0096】
80%未満の予測ROtr,ss値を有した、NMOSDを有する数少ない患者は概して、100 kg超のベースライン体重を有し、かつ、安全性プロファイルは体重群全体にわたって類似していたが、最も軽い参加者における曝露は、近最大ROtr,ssを維持するために必要とされるものを超過していた。したがって、予想される体重範囲にわたるMOGADを有する患者がその同じ近最大ROtr,ss値を達成するために必要とされる用量を推定するために、治験依頼者は、既存のpopPKモデル(健常ボランティアおよびNMOSDを有する患者におけるデータに基づく)を用いてシミュレーションを行い、有効性の潜在性を最大化した。標的が両方の適応症(NMOSDおよびMOGAD)において同じであり、類似した標的発現がMOGADについて予想されることを考慮すると、この目的での既存のROモデルの使用は、適切と考えられる。
【0097】
これらのシミュレーション(
図2を参照されたい)は、提唱された体重段階的投与レジメンが、NMOSD第III相試験において観察されたものに類似した、最大定常状態血漿薬物濃度中央値および定常状態でのトラフ濃度値を達成すると予想されることを示し、これは、投与間隔全体を通して近最大ROに関連していた。180 mgを受ける体重100 kg超の参加者における予測される曝露の範囲は、NMOSDにおける第III相試験において達成された最大曝露を超えず、したがって、既存の曝露-安全性の適用範囲内に留まる。逆に、20~40 kg未満の患者における60 mgレジメンについての予測される曝露は、投与間隔にわたって高い標的関与を維持しかつ不必要な過剰曝露を回避するのに十分であると予想される。
【0098】
記載されるように、この第III相試験の初期用量の設定における仮定とは、MOGADにおけるサトラリズマブの薬物動態が、NMOSDにおけるものと類似していることである。しかし、治験依頼者は、NMOSD集団と比較した健常ボランティアにおける、より高い総クリアランス(CL)値に見られるような、集団差の可能性があることに留意する(共変量値[95%CI]95.8%[67.5, 124.1])。したがって、提唱された試験デザインは、PKデータの中間解析を準備する(セクション1.2.10および5.4.1を参照されたい)。
【0099】
最初に提唱された用量が目標曝露を達成しない場合に代替用量を規定するために、既存のpopPKモデルを用いたシミュレーションが用いられる。MOGADにおけるCL値が健常ボランティアにおけるもの(NMOSD集団におけるCL値よりも高い)を反映し、したがって、目標曝露が満たされない場合、用量適応の選択肢は、それぞれ40 kg未満、100 kg以下、および100 kg超の参加者に対して120 mg、180 mg、および240 mgの予め規定された投与レジメンまで用量を増大させることである。
【0100】
いずれの場合にも、選択される投与レジメンは、NMOSD治験に基づく既存の曝露-安全性の適用範囲を有意には超えない曝露に関連している。
【0101】
NMOSDを有する青年患者におけるPKパラメータは、成人患者におけるものに類似しており、提唱される体重段階的投与レジメンから結果として生じる予測される曝露は、120 mgの固定用量で治療されたNMOSDを有する成人患者および青年患者における第III相試験で確立された既存の安全性プロファイルによって支持される。
【0102】
1.4 試験の終了の定義
参加者は、試験のすべての期間を完了した場合に、試験を完了したと考えられる。
この試験の終了は、該試験における最後の参加者の最後の来院の日、またはSFUに必要とされる最後のデータポイントを最後の参加者から受け取る日の、どちらかより遅い方として定義される。試験の終了は、イベント主導型DB治療期間の終了の2.5年後に起こると予想される。加えて、治験依頼者は、任意の時点で試験を終結することを決定してもよい。
【0103】
1.5 参加の持続期間
参加者は、最長で44ヶ月間、DB治療期間に留まると推定される。
【0104】
2. 試験集団
MOGADを有する参加者およそ152人を、この試験に登録する。参加者の数は、PK中間解析(セクション5.4.1)のアウトカムに応じて増大する可能性がある。
【0105】
2.1 組み入れ基準
参加者は、以下の基準が当てはまる場合にのみ、試験に含められる資格がある:
-- インフォームドコンセント用紙に署名する時点で年齢12歳以上である参加者
-- 青年参加者について:現地の要件に従って、両親または法的保護者が署名し、かつ同意を得た、試験参加のためのインフォームドコンセント用紙
-- 以下の基準を満たす、MOGADの確定診断:
- 以下の症状/症候群で現れる、2回以上のMOGAD発作(最初の発作および少なくとも1回の再発)の文書化された病歴:視神経炎;横断性脊髄炎;ADEM;脱髄を伴うその他の脳、脳幹、または小脳症候群;および上記の任意の組み合わせ
- 24時間を超えて続く、神経学的および/または眼科的検査での客観的変化(対応するCNS領域[すなわち、視神経、脊髄、脳幹、小脳、および/または脳]における臨床徴候もしくはMRI所見、またはその両方)を伴う、新たなまたは悪化した急性神経症状に基づく、MOGAD発作の診断、ならびに
- CBAによるMOG-IgGの血清陽性、ならびに
- MSを含む、代替診断の除外
-- 中央検査機関によって評価される、スクリーニング時のMOG-IgGの血清陽性の確認
-- スクリーニング時の20 kg以上の体重
-- スクリーニング時の0~6.5のEDSSスコア
-- スクリーニング時の両眼における20/800よりも良好なBCVA。
-- スクリーニング前12ヶ月間における1回以上のMOGAD再発、またはスクリーニング前24ヶ月間における2回以上の発作(最初の発作を含んでもよい)の病歴。
再発とは、最後の発作の後少なくとも30日間(最後の発作がADEMであった場合には90日間)で出現する、新たな臨床エピソード(急性脱髄のMRIエビデンスが付随してもよい新たなまたは悪化した急性症状および臨床徴候)として、定義される。
-- スクリーニング時にMOGADに対するいかなる継続中の慢性ISTも受けていない、または、スクリーニング前にAZA、MMF、OCS、またはAZAもしくはMMFとOCSとの組み合わせによる、継続中の治療を受けている、参加者
-- コルチコステロイドおよび2つの他の救助治療(IVIgまたはPLEX)のうちの少なくとも1つに対する禁忌なし
-- MRIに対する禁忌なし(例えば、Gd含有MRI造影剤に対する過敏性、埋め込まれたペースメーカー、除細動器、または、MRIスキャンの実施を制限する身体上もしくは身体内部の他の金属物体)
-- 妊娠の可能性のある女性について:治療期間中およびサトラリズマブの最終投与後少なくとも3ヶ月間、禁欲のままである(異性間性交を控える)ことまたは妥当な避妊法を用いることに同意する参加者
【0106】
2.2 除外基準
MOGADに関する除外基準
参加者は、以下の基準のいずれかが当てはまる場合には、試験から除外される:
-- 血清中のAQP4-IgGの存在
-- CSF中の抗NMDAR抗体の存在によって定義される抗N-メチル-d-アスパラギン酸受容体(NMDAR)脳炎を含む、MOGADとは無関連の脳炎の病歴
-- 中央読み取りセンター(central reading center)によって評価される、スクリーニング時の脳MRI上に存在するMSに典型的なMRIシーケンス
-- スクリーニング時にそのEDSSが0でない限り、ベースライン前12週間以内にMOGAD再発を経験した参加者
-- 試験中に、21日間よりも長い間、1日当たり20 mgよりも多いプレドニゾン当量の用量でのISTまたはOCSまたはIVコルチコステロイドによる治療を必要とし得る、MOGAD以外の任意の合併症。
【0107】
以前のまたは同時の治療法に関する除外基準
以前のまたは同時の治療法の使用に関する以下の基準のいずれかを満たす参加者は、試験から除外される:
-- スクリーニング前4週間以内のIVIg
-- スクリーニング前4週間以内のPLEX
-- スクリーニング前4週間以内のOCS、AZA、またはMMF(試験においてベースライン/バックグラウンドISTとして継続されない場合)
-- スクリーニング前6週間以内のタクロリムスまたはシクロスポリン
-- ベースライン前6ヶ月以内の、RTXおよびオクレリズマブを含むB細胞枯渇剤
-- スクリーニング前3ヶ月以内のメトトレキサート
-- スクリーニング前6ヶ月以内の新生児Fc受容体アンタゴニスト
-- スクリーニング前6ヶ月以内のIVシクロホスファミド
-- スクリーニング前6ヶ月以内の補体阻害剤(例えば、エクリズマブ)
-- スクリーニング前1ヶ月以内のグラチラマー酢酸塩およびIFN-β
-- スクリーニング前2ヶ月以内のフマル酸塩(フマル酸エステル)
-- 現地の処方情報に従い、コレスチラミンまたは活性炭によるテリフルノミドの加速排出手法の結果として、テリフルノミドの血清/血漿濃度がスクリーニング前に0.020μg/mL未満(20 ng/mL未満)でない限り、スクリーニング前2年以内のテリフルノミド
-- スクリーニング前6ヶ月以内の、ナタリズマブおよびS1P受容体モジュレーター(例えば、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド)を含む、他のMS疾患修飾治療
-- 随時のIL-6阻害療法(例えば、トシリズマブ)
-- 随時の全身照射、骨髄移植、および自家造血幹細胞移植
-- 随時の、アレムツズマブを含むがそれに限定されないT細胞枯渇剤
-- 随時の抗Bリンパ球刺激因子モノクローナル抗体(例えば、ベリムマブ)
-- 随時のクラドリビン、ミトキサントロン、または経口シクロホスファミド
-- スクリーニング前24週間以内または治験薬の薬物排出半減期の5倍(いずれか長い方)以内の、任意の治験薬による治療。
【0108】
再検査が実施される場合には、無作為化前の最後の再検査値は、試験基準を満たさなければならない。
【0109】
3. 試験治療および同時療法
試験治療とは、試験プロトコルに従って試験参加者に投与されるように意図された、任意の治験治療、市販製品、プラセボ、または医用デバイスと定義される。
【0110】
IMPは、120 mgのサトラリズマブに対応するSC注射用プレフィルドシリンジ(PFS)として、治験依頼者によって供給される。プラセボPFSは、サトラリズマブ PFSと組成が同一であるが、サトラリズマブ活性成分を含有しない。外観および包装は、サトラリズマブと同一である。
【0111】
3.1 投与される試験治療
DB治療期間において、参加者は、0、2、4週目にサトラリズマブまたはプラセボ(負荷用量)を、およびその後Q4Wで維持用量を受ける。試験治療の用量は、体重に基づいて決定される。参加者は、体重に応じて、60 mg(40 kg未満)、120 mg(40~100 kg)、または180 mg(100 kg超)のサトラリズマブを受ける。
【0112】
試験薬は、試験に関連するすべての他の手法が施設訪問時に行われた後、腹部または大腿部にSC注射によって投与される。
【0113】
用量は、中間PK解析の結果に基づいて、改変されてもよい(セクション1.2.10、セクション5.4.1を参照されたい)。
【0114】
3.2 同時療法
3.2.1 許可される治療法
一般的に、治験責任医師は、禁止されている治療法を除き、かつ注意すべき治療法を考慮して、臨床的に示されるように、かつ現地の標準的な実施に従って、支持療法の使用を通して参加者の医療(既存の状態を含む)を管理してもよい。
【0115】
3.2.1.1 ベースライン/バックグラウンド免疫抑制治療
以下に列記される投薬のいずれかによるバックグラウンド治療は、許可される:
-- AZA
-- MMF。
【0116】
4. 試験評価および手法
4.1 有効性評価
4.1.1 再発評価
試験開始前に、参加者は、視神経炎、脊髄炎、または任意の他のCNS領域を巻き込む再発の潜在的再発を示し得る徴候および症状について訓練を受け、潜在的再発に関連するその症状の発症の時間および持続期間を覚えておくように指示され、そのような症状がある場合には直ちに試験施設に連絡するように求められる。
【0117】
報告されたエピソードおよび、以下を含む対応する再発評価データは、治療している治験責任医師による、潜在的再発がプロトコルにおいて定義されたMOGAD再発基準を満たすかどうかの評価にかかわらず、CECに提出される:
-- 24時間を超えて続く、新たなまたは悪化した神経症状の記載
-- 身体検査(神経系を含む)およびバイタルサインについての所見
-- 独立した評価者によって決定される、EDSSのFSS
-- 独立した評価者によって決定される、HCVAおよびLCVA、RAPDの評価、ならびに視神経乳頭の外観(新たな視神経乳頭腫脹の存在)を含む、眼科検査の結果
-- Gdを用いる全神経軸MRIスキャン。
【0118】
DB治療期間中に、独立したCECが、RA来院時に得られたデータを検討し、報告されたエピソードが、MOGAD再発基準を満たすか、および、主要評価項目に寄与するMOGAD再発であるかを、判定する。CECは、必要と考えられる場合には、報告されたエピソードの評価を補助するための追加情報を要求することができる。
【0119】
4.1.2 機能システムスコアおよび総合障害度評価尺度の評価
EDSSおよびその関連するFSSは、障害を定量化するため、および経時的な障害のレベルの変化をモニターするためのシステムを提供する。7つの機能システム(FS;視覚FS、脳幹FS、錐体FS、小脳FS、感覚FS、腸および膀胱FS、ならびに大脳FS)におけるスコアを使用して、1)ある特定のタイプのMOGAD再発を定義する(セクション1.1.3、表1を参照されたい)、2)MOGAD再発の重症度を評価する、および3)再発からの回復/再発後の残存障害を評価する。EDSSは、再発からの回復/再発後の残存障害を評価するために用いられる。
【0120】
FSS/EDSS評価は、Neurostatus認定の独立した評価者(すなわち、治療している治験責任医師ではない)によって実施される。可能な限り、同じ評価者が、試験全体を通して参加者のEDSS/FSS評価を行うべきである。
【0121】
4.1.3 眼科検査
眼科的評価は、HCVAおよびLCVA、RAPDの評価、ならびに視神経乳頭の外観を評価するための眼底検査からなる。
【0122】
眼科的評価は、独立した評価者(すなわち、治療している治験責任医師ではない)、例えば、眼科医、検眼士、または適切な訓練および経験を有する別の施設メンバーによって実施される。可能な限り、各参加者について、すべての眼科的評価が、試験全体を通して同じ独立した評価者によって行われるべきである。
【0123】
4.1.3.1 相対的求心性瞳孔障害の評価
この試験の目的のために、RAPDは、一度に一方の眼に当てられた光に対して瞳孔がどのように反応するかにおける2つの眼の間の違いを検出する方法であるスイングライトテストによって、評価される。
【0124】
RAPDテストは、視神経の片側性または非対称性の機能不全(視神経障害)を評価するために用いられる。該テストの生理学的基礎は、共感性である、瞳孔の対光反射、すなわち、一方の眼に当てられた明るい光が両方の瞳孔の同等の収縮をもたらすことである。最初の共感性瞳孔収縮が、最初の直接的瞳孔収縮よりも大きい場合には、RAPDが存在する。RAPDの結果は、いずれかの眼におけるRAPDの有無として報告される。
【0125】
4.1.3.2 視神経乳頭腫脹の評価のための眼底検査
視神経乳頭腫脹の存在を評価するために、検眼鏡検査を行う。
【0126】
4.1.4 磁気共鳴画像法
脳MRI(Gdを用いない)は、主としてMSに非常に特異的である画像特徴を有する参加者を除外するためのスクリーニング時に、必要とされる。
【0127】
4.2 薬物動態
血清PKサンプルを、サトラリズマブの血清濃度の測定のために収集する。
【0128】
正当な理由があり治験責任医師と治験依頼者との間で合意された場合には、試験中の追加の時点でサンプルが収集されてもよい。
【0129】
生物学的サンプルの収集および取扱いについての指示は、治験依頼者によって提供される。各サンプルの実際の日付および時間(24時間表示)が記録される。
【0130】
サンプルは、サトラリズマブの薬物動態を評価するために用いられる。サトラリズマブ(血清)濃度の解析のために収集されたサンプルはまた、試験中または試験後に生じる懸念に関連する安全性または有効性の局面を評価するために用いられてもよい。
【0131】
4.3 薬力学
PDバイオマーカーの情報については、セクション4.4を参照されたい。
【0132】
4.4 バイオマーカー評価
適用可能な場合は、すべての施設で参加者から、以下のバイオマーカーサンプルが収集される:
-- スクリーニング時の適格性(自己抗体(MOG-IgG、AQP4-IgG))を判定するための血清サンプル
-- 経時的にMOG-IgG力価を測定するための血清サンプル
-- PDバイオマーカー(IL-6およびsIL-6R)を測定するための血清サンプル
-- バイオマーカーについての探索研究のための血清、血漿、および血液サンプル。
【0133】
探索的バイオマーカー研究には、以下が含まれ得るが、それらに限定されない:
-- 血液中の免疫細胞またはその受容体(CD19+ B細胞およびCD3+ T細胞、ならびに/またはT細胞受容体もしくはB細胞受容体、または他のマーカーを含むが、それらに限定されない)の変化
-- 血清および/または血漿中の神経炎症に関連する分子バイオマーカーの変化
-- 血液中の神経炎症、疾患活動性、または免疫細胞レパートリーに関連するRNAの変化
-- 血清中のMOG-IgGを含むがそれに限定されない自己抗体価の変化。
【0134】
4.5 免疫原性評価
すべての参加者から収集された血清サンプルにおいて、サトラリズマブに対する抗体が評価される。追加的に、試験治療を中止したまたは試験から脱落した参加者から、最終来院時に、血清サンプルが収集されるべきである。これらのサンプルは、治験依頼者または治験依頼者から指名された人によって検査される。
【0135】
血清サンプルを、サトラリズマブに結合する抗体についてスクリーニングし、確認された陽性サンプルの力価を報告する。サトラリズマブに対する抗体の安定性を立証するため、および/またはサトラリズマブの免疫原性をさらに特徴決定するために、他の解析が行われてもよい。
【0136】
サトラリズマブに対する抗体の検出および特徴決定は、治験依頼者によってまたは治験依頼者の監督下で、検証済のアッセイ法の使用を通して行われる。
【0137】
試験治療に対する抗体の検出のために収集されたすべてのサンプルもまた、抗体データの解釈を可能にするためにサトラリズマブ血清濃度について評価される。
抗体は、試験治療の活性を中和するその能力について、さらに特徴決定および/または評価されてもよい。サトラリズマブに対する免疫応答のさらなる解析を可能にするために、サンプルは、治験依頼者によって選択された施設で、最後の試験参加者の最終来院後、最長5年間(または現地の規制に従って)保存され得る。
【0138】
4.6 臨床アウトカム評価
参加者報告アウトカム(PRO)文書を完成させ、文書の記載に記されるようなサトラリズマブの治療有益性または薬剤経済学的評価を評価する。
【0139】
PROデータは、以下の文書の使用を通して収集する:NEI VFQ-25、EQ-5D-5L、SF-36v2、およびSF-MPQ-2。
【0140】
4.6.1 臨床アウトカム評価のためのデータ収集方法
PRO文書は、試験中の指定された時点において、診療所で面接者が執り行う。診療所では、可能な限り、安全性評価、ならびに他の、PROではない評価、採血、および試験治療の投与を含む、任意の他の施設での活動の前に、文書を執り行う。独立した評価者がPRO文書を執り行うべきではない。
【0141】
PRO文書は適切に現地の言語に翻訳され、治験依頼者によって提供される電子デバイスの使用を通して完成される。デバイスは、適切な文書を各々の指定された時点で執り行うことを可能にするように、予めプログラムされている。診療所来院中に、PRO文書は、以下に概説されるように執り行なわれるべきである:
-- 参加者の健康状態は、文書を執り行う前に議論されるべきではない。
-- 施設は、治験依頼者によって提供される、各文書の正式版を執り行わなければならない。文書を、プロトコルからコピーしてはならない。
-- 施設は、各々の指定された来院で30~40分間であると推定される、参加者が文書を完成させるのに十分な時間を与えるべきである。
-- 文書は、注意散漫および妨害が最小である静かな区域で、完成されるべきである。
-- 参加者は、可能な限り質問に答えるように指示されるべきであり;正解も不正解も存在しない。
-- 施設のスタッフは、設問を通訳または説明するべきではないが、要求に応じて質問を一字一句変えずに読んでもよい。
-- 参加者は、文書を完成させる時に、他人(例えば、家族または友人)から助言または助力を得るべきではない。
【0142】
4.6.2 臨床アウトカム評価文書の説明
4.6.2.1 国立眼科研究所視覚機能質問票-25(NEI VFQ-25)
NEI VFQ-25は、視覚関連の機能および視覚関連の生活の質の、参加者の認知を捕える。コア尺度には、11個の視覚関連の下位尺度を含む25項目、および全体的な健康についての1項目が含まれる(Mangione, et al. 2001)。複合スコアおよび下位尺度スコアは、0~100の範囲であり、より高いスコアは、より良好な視覚関連の機能を示す。下位尺度スコアには、一般的な視力、眼痛、近方活動(Near Activity)、遠方活動(Distance Activity)、社会活動、精神的健康、役割の困難、依存性、運転、色覚、および周辺視力が含まれる。NEI VFQ-25は、視神経炎治療治験を通して、視神経炎において検証された(Cole et al. 2000)。NEI VFQ-25は、面接者形式で執り行うのに、平均でおよそ10分かかる。NEI VFQ-25の面接者が執り行う形式は、国立眼科研究所(NEI)から入手可能であり、例えば、バージョン2000が、オンラインのhttps://www.nei.nih.gov/sites/default/files/2019-06/vfq_ia.pdfで入手可能である。
【0143】
4.6.2.2 EuroQol EQ-5D-5L
EQ-5D-5Lは、医療経済分析における使用のための健康状態効用スコアを算出するために用いられる、検証済の自己報告式健康状態質問票である(EuroQol Group 1990;Brooks 1996;Herdman et al. 2011;Janssen et al. 2013)。EQ-5D-5Lには、以下の2つの構成要素がある:移動度、セルフケア、普段の活動、痛み/不快感、および不安/ふさぎ込みを評価する5項目の健康状態プロファイル、ならびに健康状態を測定する視覚的アナログ尺度(VAS)。EQ-5D-5Lは、参加者の現在の健康状態を捕えるように設計されている。公表されている重み付けシステムにより、参加者の健康状態の単一の複合スコアの作成が可能である。EQ-5D-5Lは、完了するのにおよそ3分かかる。これは、薬剤経済学的評価に情報を提供するために、この試験において用いられる。EQ-5D-5Lのユーザーガイドは、EuroQol Groupから入手可能であり、例えば、バージョン3.0が、オンラインのhttps://euroqol.org/wp-content/uploads/2021/01/EQ-5D-5LUserguide-08-0421.pdfで入手可能である。
【0144】
4.6.2.3 SF-36v2健康調査(SF-36v2)
SF-36v2は、参加者の健康関連の生活の質(QoL)を評価する患者報告式のアウトカム尺度である(Ware and Sherbourne 1992)。この36項目の質問票は、身体機能(10項目)、日常役割機能(身体)(4項目)、体の痛み(2項目)、全体的健康感(5項目)、活力(4項目)、社会生活機能(2項目)、日常役割機能(精神)(3項目)、心の健康(5項目)の8つの領域、ならびに、報告された健康の変遷に関する追加項目からなる。SF-36v2は、1週間の想起規格を有し、項目は、3点、5点、および6点のリッカート尺度で評価される。より高いスコアが、より良好な健康を示す。SF-36v2は、完了するのにおよそ10分かかる。SF-36v2は、QualityMetric Incorporatedによって提供される。
【0145】
4.6.2.4 短縮版マギル疼痛質問票(SF-MPQ-2)
短縮版マギル疼痛質問票(SF-MPQ-2)は、神経障害性疼痛状態および非神経障害性疼痛状態の両方の疼痛症状の包括的な尺度を提供するためにR. MelzackおよびInitiative on Methods, Measurement, and Pain Assessment in Clinical Trials(IMMPACT)によって英語(米国)で開発された、22項目のPRO尺度である(Dworkin et al. 2009)。測定においてカバーされる領域には、継続的疼痛(6項目)、間欠性疼痛(6項目)、神経障害性疼痛(6項目)、および感情記述子(4項目)が含まれる。想起期間は「過去1週間のあいだ」であり、各項目は0~10の回答選択肢を有し、「なし」(0の隣)が一方のアンカーとして、および「最も最悪」(10の隣)がもう一方のアンカーとして働く。これは、グローバルスコアでスコア化するか、ドメインスコア別にスコア化するか、または項目別にスコア化することができる。より低いスコアは、より低い疼痛に匹敵し、より高いスコアは、より強い疼痛に匹敵する。この測定を完了するのに、およそ10~15分かかる。
【0146】
5. 統計的考察
5.1 統計的仮説
この試験は、MOGADを有する患者において、サトラリズマブ(それぞれ、20から40 kg未満、40~100 kg、または100 kg超の体重を有する参加者に対して、60 mg、120 mg、または180 mg)の有効性をプラセボと比較する。サトラリズマブおよびプラセボは両方とも、ベースライン/バックグラウンド療法に加えて投与されてもよい(セクション1.1を参照されたい)。
【0147】
主要評価項目は、DB期間中の最初に判定された再発までの時間(TFR)である。
【0148】
サトラリズマブ群とプラセボ群との間の、判定された再発までの時間および関連するハザード比(HR)を、α=0.05の両側有意水準で検定する。
【0149】
主要評価項目および副次評価項目を、5%有意水準で試験全体にわたる第一種過誤率を制御するために、階層的順序で試験する。
【0150】
以下の主要な仮説を、プラセボを上回るサトラリズマブの優位性についてα=0.05の両側水準で、両側ログランク検定により検定する:
ここで、S
サトラリズマブおよびS
プラセボは、それぞれ、サトラリズマブ治療参加者およびプラセボ治療参加者内の生存関数を指す。カプラン・マイヤー法を用いて、各治療群について生存関数およびTFR分布を推定する。治療群間の違いの視覚的説明が、カプラン・マイヤー曲線で提供される。
【0151】
一次解析は、用量調整が必要とされない場合には、すべての無作為化された参加者に基づいて実施される。用量調整の場合は、調整された用量について無作為化された参加者のみが、一次解析に含まれる。すべての有効性解析について、参加者は、無作為化されたとして解析される(治療企図の原則)。安全性解析については、少なくとも1つの用量の試験治療を受けたすべての登録された参加者が、含められる。
【0152】
5.2 サンプルサイズの決定
およそ152人の参加者を、試験治療に無作為に割り当てる。
【0153】
この試験の目的は、プラセボ治療と比べた、DB治療期間におけるTFRに対するサトラリズマブの効果の推定である。根底にある真のHRの点推定値および区間推定値が得られる。
【0154】
この試験のサンプルサイズは、主要エスティマンド(estimand)と整合するように決定されている。
【0155】
無作為化は、以下によって層別化される:
-- 同時IST
-- 地域。
【0156】
5.3 統計解析
統計解析計画書(SAP)は、一次解析用のデータベースロックの前に最終決定され、このセクションに記載される統計解析のより技術的かつ詳細な説明を含む。このセクションは、主要評価項目および主要副次評価項目を含む最も重要な評価項目の、計画される統計解析の概要である。
【0157】
5.3.1 一般的考察
すべての解析およびCIは、5%の両側有意水準で実施される。ほとんどの解析は、DB治療期間および全Satra治療期間について実施される。全Satra治療期間とは、サトラリズマブの最初の投与から試験の終了までの期間である。
ほとんどの有効性解析について、欠測データは、異なるように定義されない場合には、参照ベースの多重補完法を用いて補完される。補完法についてのさらなる詳細は、SAPにおいて提供される。
【0158】
5.3.2 主要評価項目
主要評価項目は、判定委員会(CEC)によって決定される、無作為化からDB治療期間におけるMOGAD再発の最初の発生までの時間である。根底にある真のHRの点推定値および区間推定値が得られる。エスティマンドフレームワークが、この試験のデザインを補助するために用いられた(ICH Working Group 2019)。
【0159】
加えて、治療効果の推定値は、層別化Cox比例ハザードモデルを用いてHRおよび95% CIとして表現される。生存関数が、両方の治療群の間で同じである場合には、推定されるHRは1であり、そうでない場合は、1に等しくない。
【0160】
この試験において、一次解析の時点で、TFR中央値に到達するとは予想されない;したがって、6ヶ月毎に、HRに加えて無再発率およびその95% CIを用いて、TFRの分布を記載する。
【0161】
主要エスティマンドの要素を、以下に定義する。一次解析アプローチおよびサンプルサイズの決定は、このエスティマンドと整合させる。
【0162】
参加者が治療から脱落した場合には、脱落の理由を、試験薬もしくは状態に関連するもの(SDCR)、または試験薬もしくは状態に関連しないもの(NSDCR)のいずれかとして分類する。この分類のより詳細は、SAPに記載される。NSDCRの理由により脱落した参加者は、試験に残っていた場合にはその無作為化された治療を受け続けていたという仮定のもとで、主要な比較は、脱落理由に関係なくすべての参加者を含む。
【0163】
集団:試験の組み入れ基準および除外基準(セクション2.1および2.2を参照されたい)によって定義される、MOGADを有する参加者
主要有効性変数:判定された再発
治療:サトラリズマブ 対 対応するプラセボ
【0164】
併発事象:
-- 判定された再発ではない、報告されたエピソードのための、救助療法による治療:治療方針
-- 判定される再発についての基準(BCVA、FSS/EDSS、MRI、またはその他)を評価する前の、救助療法による治療:治療方針
-- 試験治療からの脱落:
- 試験治療からのSDCR脱落:治療方針、利用可能である場合にはSFUからのデータが用いられる
- 試験治療からのNSDCR脱落:仮説的、患者は脱落時に打ち切りとなる
-- 治療中断:治療方針
【0165】
集約尺度:DB治療期間中のTFR(Cox比例ハザードモデルおよびログランク検定[p値]に基づく治療比較についてのカプラン・マイヤー推定値、HR、および95% CI)。
【0166】
TFRは、無作為化からDB期間中の判定された再発の最初の発生までの時間として定義される。再発を経験しなかった患者は、一次解析のCCODの日に、または脱落がNSDCRの理由による場合には脱落時に、打ち切りとなる。SDCRの理由により脱落する患者については、DB期間由来または脱落後のSFU由来のすべての観察データが、解析において考慮される。これらの患者がまた試験参加から脱落する場合には、欠測データは、参照ベースの多重補完法により補完される。
【0167】
加えて、サブグループ解析(すなわち、地域別;中国、日本、および米国について国別;ベースライン/バックグラウンド療法群別)、ならびに併発事象についての様々なアプローチを組み込む補足的評価項目の解析を実施する。特に、複合エスティマンドおよび仮説的エスティマンドなどの様々なエスティマンドアプローチが、救助療法に関連する併発事象に適用される。これらの解析は、一次解析に対する補足的解析として実施される。
【0168】
さらなる詳細は、SAPにおいて提供される。
【0169】
5.3.3 副次評価項目
5.3.3.1 主要副次有効性評価項目
主要副次有効性評価項目は、0.05の第一種過誤を制御するために、以下の階層的順序で試験される:
-- 判定されたMOGAD再発の年率
-- 神経軸のMRI上での活動性病変の年率
-- 救助療法を受ける参加者の割合
-- 入院(一晩の滞在よりも長いと定義され、選択手法のためのものを除く)の年率。
【0170】
以下の評価項目は、主要副次評価項目であり、エスティマンド属性で記載される。すべての副次評価項目を、DB治療期間中に評価する。
【0171】
二重盲検治療期間中の、判定されたMOGAD再発の年率
集団:試験の組み入れ基準および除外基準(セクション2.1およびセクション2.2を参照されたい)によって定義される、MOGADを有する参加者
主要副次有効性変数:DB治療期間中の、判定された再発の年率(ARR)
治療:サトラリズマブ 対 対応するプラセボ
【0172】
併発事象:
-- 判定された再発ではない、報告されたエピソードのための、救助療法による治療:治療方針
-- 判定される再発についての基準(BCVA、FSS/EDSS、MRI、またはその他)を評価する前の、救助療法による治療:治療方針
-- 試験治療からの脱落:
- 試験治療からのSDCR脱落:治療方針
- 試験治療からのNSDCR脱落:仮説的
-- 治療中断:治療方針
【0173】
集約尺度:各治療群における調整された年間再発率を、層別化因子について調整された負の二項モデルを用いて推定される率比を介して比較する。対数変換された、打ち切りまたは事象までの時間を、解析モデルにおけるオフセット変数として含める。主要エスティマンドについてと同じ打ち切りルールが、適用される。試験脱落による欠測データは、以下の方式で取り扱う:参加者が、有効性の欠如により試験から脱落し、かつ脱落前に再発を有しなかった場合には、再発が補完される。参加者が、他の理由により試験から脱落する場合には、いかなるデータも補完されない。どちらの場合にも、脱落当日までの観察は解析に含まれる。
【0174】
神経軸のMRI上での活動性病変の年率
集団:試験の組み入れ基準および除外基準(セクション2.1およびセクション2.2を参照されたい)によって定義される、MOGADを有する参加者
主要副次有効性変数:神経軸のMRI上での活動性病変の年率。中央読み取り値が、これらの病変を特定するために用いられる。
治療:サトラリズマブ 対 対応するプラセボ
【0175】
二重盲検治療期間中に救助療法を受ける参加者の割合
集団:試験の組み入れ基準および除外基準(セクション2.1およびセクション2.2を参照されたい)によって定義される、MOGADを有する参加者
主要副次有効性変数:DB治療期間中に救助療法を受ける参加者の割合
治療:サトラリズマブ 対 対応するプラセボ
【0176】
併発事象:
-- 救助療法による治療:救助療法の使用が評価項目に含まれるため、複合
-- 試験治療からの脱落:
- 試験治療からのSDCR脱落:治療方針
- 試験治療からのNSDCR脱落:仮説的
-- 治療中断:治療方針
【0177】
集約尺度:救助療法を受ける参加者の割合は、判定されたMOGAD再発を含むエピソードに対して救助療法を受けた参加者の数に基づく。あらゆる参加者が、この解析において1回カウントされる。参加者が、少なくとも1回救助療法を受けた場合には、その参加者はこの解析においてレスポンダーとみなされる。治療群間の割合および関連するオッズ比は、層別化因子について調整されるロジスティック回帰モデルを用いて推定される。
【0178】
一晩の滞在よりも長いと定義され、選択手法のためのものを除く、入院の年率
集団:試験の組み入れ基準および除外基準(セクション2.1およびセクション2.2を参照されたい)によって定義される、MOGADを有する参加者
主要副次有効性変数:入院(一晩の滞在よりも長いと定義され、選択手法のためのものを除く)の年率
治療:サトラリズマブ 対 対応するプラセボ
【0179】
併発事象:
-- 入院管理を必要とする重度の障害を予防することができる、症状発症から4日以内の、救助療法による判定された再発の治療(Stiebel-Kalish et al. 2019):治療方針。
加えて、症状発症と救助投薬との間のタイミングが調査される。
-- 試験治療からの脱落:
- 試験治療からのSDCR脱落:治療方針
- 試験治療からのNSDCR脱落:仮説的
-- 治療中断:治療方針
【0180】
集約尺度:各治療群における入院の年率を、層別化因子について調整された負の二項モデルを用いて推定される率比を介して比較する。対数変換された、打ち切りまたは事象までの時間を、解析モデルにおけるオフセット変数として含める。一晩の滞在よりも長く、選択手法のために行われていないすべての入院が、この解析における入院としてカウントされる。
【0181】
5.3.3.2 補足的副次評価項目
補足的副次有効性評価項目は、6ヶ月間隔での無再発参加者の割合である。これらの割合および対応する95% CIは、判定された再発に対するTFR(主要評価項目)について推定されたカプラン・マイヤー曲線に基づく。併発事象は、主要エスティマンドについて定義されるように取り扱う。
【0182】
さらなる詳細は、SAPに明記される。
【0183】
5.3.3.3 副次安全性評価項目
安全性を、試験治療への曝露、有害事象、標的とされる臨床検査室テスト結果におけるベースラインからの変化、標的とされるバイタルサイン、体重、身長(青年のみ)、ECG、および自殺傾向(C-SSRSに基づく)の概要を通して評価する。治療群における観察期間の潜在的に異なる長さのために、すべての有害事象解析は、100患者-年(100PY)当たりの割合および比率として行う。
【0184】
試験治療曝露(治療持続期間、受ける総用量、ならびにサイクルおよび用量改変の数、曝露の総患者 年など)を、記述統計でまとめる。
【0185】
すべての逐語的有害事象用語を、MedDRAシソーラス用語に対応付け、有害事象の重症度を、NCI CTCAE v5.0に従って格付けする。すべての有害事象、重篤な有害事象、死をもたらす有害事象、特に関心対象となる有害事象、および、試験治療の最初の投与時またはその後に発生した、試験治療の中止をもたらす有害事象(すなわち、治療下で発現した有害事象(treatment-emergent adverse event))を、対応付けられた用語、適切なシソーラスレベル、および重症度グレード毎にまとめる。異なる重症度の事象については、最も高いグレードを、まとめにおいて用いる。死亡および死因をまとめる。
【0186】
関連する検査室、バイタルサイン(脈拍数、呼吸数、血圧、パルスオキシメトリ、および体温)、体重、ならびにECGのデータを、時間毎に表示し、適切な場合にはグレードを特定する。追加的に、選択された検査室テストのシフト表を用いて、ベースラインのおよび最大のベースライン後重症度グレードをまとめる。バイタルサイン、体重、およびECGの変化をまとめる。
【0187】
さらなる詳細は、SAPに明記される。
【0188】
5.3.4 他の解析
5.3.4.1 薬物動態解析
PK解析集団は、投与記録およびサンプリング時間を伴う少なくとも1つの妥当な投与後濃度結果を有する、安全性解析セットにおけるすべての参加者からなる。治験は、要約統計量および非線形混合効果解析(popPK)によって、サトラリズマブ治療のPK特性を評価する。
【0189】
サトラリズマブ濃度データおよびpopPK解析の結果は両方とも、CSRとは別々に報告される。
【0190】
5.3.4.2 免疫原性解析
免疫原性解析集団は、少なくとも1つのADA評価を有するすべての参加者からなる。参加者は、受けた治療に従って、または、試験中止前にいかなる治療も受けていない場合には、割り当てられた治療に従って、群分けされる。
【0191】
ベースラインでの(ベースライン有病率)および薬物投与後の(ベースライン後発生率)、ADA陽性参加者およびADA陰性参加者の数および割合を、治療群毎にまとめる。ベースライン後発生率を決定する時、参加者は、治療誘導性ADA応答または治療増強性ADA応答を示すならば、ADA陽性であると考えられる。ベースラインでADA陰性であるかまたは欠測データを有するが、試験薬曝露後にADA応答を生じる参加者は、治療誘導性ADA応答を有する。ベースラインでADA陽性であり、かつ1つまたは複数のベースライン後サンプルの力価がベースラインサンプルの力価よりも少なくとも4倍(0.60力価単位)高い参加者は、治療増強性ADA応答を有する。ベースラインでADA陰性であるかもしくは欠測データを有しかつすべてのベースライン後サンプルが陰性である場合には、または、ベースラインでADA陽性であるが、ベースラインサンプルの力価よりも少なくとも4倍(0.60力価単位)高い力価を有するベースライン後サンプルを全く有しない(治療に影響を受けない)場合には、参加者はいかなるADA陰性であると考えられる。
【0192】
サトラリズマブについて陽性または陰性のADA結果を有する参加者のパーセンテージを、表にまとめる。PK、PD、有効性パラメータ、および安全性を、抗サトラリズマブ抗体(すなわち、サトラリズマブADA)の状態毎にまとめる。
【0193】
5.3.4.3 薬力学解析
血清IL-6およびsIL-6Rレベルを、適切に、グラフでおよび記述的に治療群および時点毎にまとめる。
【0194】
5.4 中間解析
5.4.1 計画される中間薬物動態解析
DB治療期間中に中間PK解析を行う。中間解析の目的は、サトラリズマブに対して達成された曝露(および予測されるRO)が、予想される目標範囲内であると確認することである。達成された曝露(および予測されるRO)が、予想される目標範囲内ではない場合には、用量を、それぞれ20~40 kg未満、40~100 kg(両端の値を含む)、および100 kg超の参加者に対して120 mg、180 mg、および240 mgに増大させてもよい。選択される投与レジメンは、既存の曝露-安全性の適用範囲を有意には超えない曝露に関連している。
【0195】
iDMCは、1)治験を初期用量で継続することができるか、2)予め指定された、より高い用量に、用量を適応させるべきであるか、または3)さらなる考察まで、治験へのさらなる登録を中断するべきであるか、について推奨を行う。
【0196】
5.4.2 任意の中間解析
この試験の経過中に明らかになり得る情報に適応するために、治験依頼者は、1回の中間有効性解析を実施することを選択してもよい。この中間解析は、例えば、競合分子の臨床試験の結果が入手可能になった後に行うことができる。以下は、任意の中間解析が実行される場合に本試験が完全性の最高の標準を満たし続けることを確実にするための適切な規格である。
【0197】
中間解析が実施される場合、治験依頼者は盲検のままである。中間解析は、外部の統計グループによって実施され、iDMCによって検討される。iDMCと治験依頼者との間の対話は、iDMCチャーターに明記されるように実施される。
【0198】
任意の中間解析を実施する決定は、該解析の理論的根拠、タイミング、および統計的詳細と共にSAPにおいて記録に残され、SAPは、該中間解析の実施の少なくとも2ヶ月前に、関連する保健当局に提出される。iDMCチャーターは、該解析の結果としてiDMCが治験依頼者に行う可能性のある潜在的な推奨(例えば、無益性のために試験を中止する)を記録に残すように更新され、iDMCチャーターはまた、関連する保健当局に対して入手可能とされる。試験は、中間解析の結果としての肯定的な有効性のために中止されることはない。
【0199】
中間解析の結果として無益性のために試験が中止される可能性がある場合、無益性を表すための閾値には、指定された評価項目が統計的有意性を達成するという予測確率の評価が含まれる。無益性のために試験が中止されることを推奨することに関する追加の基準が、iDMCチャーターに加えられ得る。無益性のために試験を中止することをもたらし得る中間解析は、情報の少なくとも50%(すなわち、参加者の50%)が蓄積される前には行われない。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明は、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片を含む、抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)抗体の存在を特徴とする中枢神経系(CNS)の脱髄疾患の治療のための、およびまた、脱髄疾患を再発するリスクの低減のための、手段を提供する。本発明はまた、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することによる、前記脱髄疾患の治療のためのまたはそれを再発するリスクの低減のための、医薬品または薬学的組成物も提供する。本発明はさらに、抗IL-6受容体抗体またはその抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することによる、前記脱髄疾患の治療またはそれを再発するリスクの低減の方法を提供する。
【0201】
参考文献
Akaishi T, Misu T, Takahashi T, et al. Progression pattern of neurological disability with respect to clinical attacks in anti-MOG antibody-associated disorders. J Neuroimmunol. 2021;351:577467.
Baumann M, Grams A, Djurdjevic T, et al. MRI of the first event in pediatric acquired demyelinating syndromes with antibodies to myelin oligodendrocyte glycoprotein. Journal of Neurology 2018;265:845-855.
Brooks R. EuroQol: the current state of play. Health Policy 1996;37:53-72.
Bruijstens AL, Lechner C, Flet-Berliac L, et al. E.U. paediatric MOG consortium consensus: Part 1 - Classification of clinical phenotypes of paediatric myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody-associated disorders. Eur J Paediatr Neurol. 2020a;29:2-13.
Bruijstens AL, Breu M, Wendel E-M, et al. E.U. paediatric MOG consortium consensus: Part 4 - Outcome of paediatric myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody- associated disorders. Eur J Paediatr Neurol 2020b;29:32-40.
Bruijstens AL, Wendel EM, Lechner C, et al. E.U. paediatric MOG consortium consensus: Part 5 - Treatment of paediatric myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody-associated disorders. Eur J Paediatr Neurol. 2020c;29:41-53.
Burnham JA, Wright RR, Dreisbach J, Murray RS. The effect of high-dose steroids on MRI gadolinium enhancement in acute demyelinating lesions. Neurology.
1991;41(9):1349-54.
Chen JJ, Flanagan EP, Bhatti MT, et al. Steroid-sparing maintenance immunotherapy for MOG-IgG associated disorder. Neurology. 2020;95(2):e111-e120.
Chen JJ and Bhatti MT. Clinical phenotype, radiological features, and treatment of myelin oligodendrocyte glycoprotein-immunoglobulin G (MOG-IgG) optic neuritis. Curr Opin Neurol. 2020;33(1):47-54.
Cobo-Calvo A, Ruiz A, Rollot F, et al. Clinical Features and Risk of Relapse in Children and Adults with Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein Antibody-Associated Disease. Ann Neurol. 2021;89(1):30-41.
Cole SR, Beck RW, Moke PS, et al. The National Eye Institute Visual Function Questionnaire: experience of the ONTT. Optic Neuritis Treatment Trial. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2000;41(5):1017-1021.
Durozard P, Rico A, Boutiere C, et al. Comparison of the Response to Rituximab between Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein and Aquaporin-4 Antibody Diseases. Ann Neurol. 2020;87(2):256-266.
Dworkin RH, Turk DC, Revicki DA, et al. Development and initial validation of an expanded and revised version of the Short-form McGill Pain Questionnaire (SF- MPQ-2). Pain. 2009;144(1-2):35-42
EuroQol Group. EuroQol: a new facility for the measurement of health-related quality of life. Health Policy 1990;16:199-208.
Galetta SL, Villoslada P, Levin N, et al. Acute optic neuritis: Unmet clinical needs and model for new therapies. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2015;2(4):e135.
Hacohen Y, Wong YY, Lechner C, et al. Disease Course and Treatment Responses in Children With Relapsing Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein Antibody- Associated Disease. JAMA Neurol. 2018;75(4):478-487.
Hegen H, Reindl M. Recent developments in MOG-IgG associated neurological disorders. Ther Adv Neurol Disord. 2020;13:1756286420945135.
Herdman M, Gudex C, Lloyd A, et al. Development and preliminary testing of the new five-level version of EQ-5D (EQ-5D-5L). Qual Life Res 2011;20:1727-36.
Hofer LS, Mariotto S, Wurth S, et al. Distinct serum and cerebrospinal fluid cytokine and chemokine profiles in autoantibody-associated demyelinating diseases. Mult Scler J Exp Transl Clin. 2019;5(2):2055217319848463.
Hyun JW, Woodhall MR, Kim SH, et al. Longitudinal analysis of myelin oligodendrocyte glycoprotein antibodies in CNS inflammatory diseases. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2017;88(10):811-817.
ICH Working Group. E9(R1) Addendum on estimands and sensitivity analysis in clinical trials to the guideline on statistical principles for clincial trials. 2019.
Janssen MF, Pickard AS, Golicki D, et al. Measurement properties of the EQ-5D-5L compared to the EQ-5D-3L across eight patient groups: a multi-country study. Qual Life Res 2013;22:1717-27.
Jarius S, Ruprecht K, Kleiter I, et al. MOG-IgG in NMO and related disorders: a multicenter study of 50 patients. Part 2: Epidemiology, clinical presentation, radiological and laboratory features, treatment responses, and long-term outcome. J Neuroinflammation. 2016;13(1):280.
Kantarci OH, Zeydan B, Atkinson EJ, et al. Relapse recovery: The forgotten variable in multiple sclerosis clinical trials. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2019;7(2):e653.
Lopez-Chiriboga AS, Majed M, Fryer J, et al. Association of MOG-IgG Serostatus With Relapse After Acute Disseminated Encephalomyelitis and Proposed Diagnostic Criteria for MOG-IgG-Associated Disorders. JAMA Neurol. 2018 Nov 1;75(11):1355-1363.
Mangione CM, Lee PP, Gutierrez PR, Spritzer K, Berry S, Hays RD; National Eye Institute Visual Function Questionnaire Field Test Investigators. Development of the 25-item National Eye Institute Visual Function Questionnaire. Arch Ophthalmol. 2001;119(7):1050-8.
Pohl D, Alper G, Van Haren K, et al. Acute disseminated encephalomyelitis: Updates on an inflammatory CNS syndrome. Neurology. 2016;87(9 Suppl 2):S38-45.
Ramanathan S, Mohammad S, Tantsis E, et al. Clinical course, therapeutic responses and outcomes in relapsing MOG antibody-associated demyelination. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2018;89(2):127-137.
Reindl M, Waters P. Myelin oligodendrocyte glycoprotein antibodies in neurological disease. Nat Rev Neurol. 2019;15(2):89-102.
Salama S, Pardo S, Levy M. Clinical characteristics of myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody neuromyelitis optica spectrum disorder. Mult Scler Relat Disord. 2019;30:231-235.
Spadaro M, Winklmeier S, Beltran E, et al. Pathogenicity of human antibodies against myelin oligodendrocyte glycoprotein. Ann Neurol. 2018;84(2):315-328.
Stiebel-Kalish H, Hellmann MA, Mimouni M, et al. Does time equal vision in the acute treatment of a cohort of AQP4 and MOG optic neuritis? Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2019;6(4):e572.
Ware JE Jr, Sherbourne CD. The MOS 36-item short-form health survey (SF-36). I. Conceptual framework and item selection. Med Care. 1992;30(6):473-83. PMID: 1593914.
Whittam DH, Karthikeayan V, Gibbons E, et al. Treatment of MOG antibody associated disorders: results of an international survey. J Neurol. 2020a;267(12):3565-3577.
Whittam DH, Cobo-Calvo A, Lopez-Chiriboga AS, et al. Treatment of MOG-IgG- associated disorder with rituximab: An international study of 121 patients. Mult Scler Relat Disord. 2020b;44:102251.
Wildemann B, Jarius S, Schwarz A, et al. Failure of alemtuzumab therapy to control MOG encephalomyelitis. Neurology. 2017;89(2):207-209.
Wynford-Thomas R, Jacob A, et al. Neurological update: MOG antibody disease. J Neurol. 2019;266(5):1280-1286.
【配列表】
【国際調査報告】