(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】経口薄膜のための適用補助剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/00 20060101AFI20241112BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20241112BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61K9/00
A61K9/70
A61K47/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024531253
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2022083375
(87)【国際公開番号】W WO2023094638
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021130950.6
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ミュラー
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA73
4C076BB22
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD61
4C076DD67
4C076EE06
4C076FF52
(57)【要約】
本発明は第1の経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体であって、経口薄膜および適用補助剤が互いに強固に接合される複合体、その製造方法、および医薬としての使用のための複合体に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体であって、経口薄膜および適用補助剤が互いに強固に接合される、複合体。
【請求項2】
適用補助剤は、第1の領域および第2の領域を含み、経口薄膜は、適用補助剤の第1の領域に配置され、適用補助剤の第2の領域は、経口薄膜が触れられないように使用者が適用補助剤に触れることができるよう設計される、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
適用補助剤は、経口薄膜の表面積より、少なくとも2倍大きい、好ましくは2~10倍大きい表面積を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項4】
適用補助剤は、1cm
2~30cm
2の表面積を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項5】
適用補助剤は、少なくとも1つの水溶性ポリマーを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項6】
適用補助剤は総じて水溶性である、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項7】
適用補助剤は、香味料、味覚マスキング剤および/または麻酔剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項8】
経口薄膜は、膜の形態の、発泡体の形態の、および/またはマイクロニードルシステムの形態の経口薄膜を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項9】
経口薄膜は、少なくとも1つの水溶性ポリマーを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項10】
経口薄膜は、少なくとも1つの医薬品有効成分を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項11】
適用補助剤および経口薄膜は、接着層、好ましくは水溶性接着層によって、シール、好ましくはヒートシールによって互いに接合され、ならびに/または、順に重ねるようにコーティングすることによって互いに接合される、請求項1~10のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項12】
適用補助剤は、20秒~5分以内に患者の口腔中で溶解する、請求項1~11のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の複合体の製造方法であって、
- 適用補助剤を用意する工程と、
- 経口薄膜を用意する工程と、
- 適用補助剤を経口薄膜に強固に接合する工程と
を含む、方法。
【請求項14】
強固な接合は、接着層、好ましくは水溶性接着層によって、シール、好ましくはヒートシールによって、および/または順に重ねるようにコーティングすることによって行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
医薬品としての使用のための請求項1~12のいずれか1項に記載の複合体または請求項13もしくは14に記載の方法によって得られる複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口薄膜および前記経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体、その製造方法ならびに医薬品としての使用のための複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
経口薄膜は、通常、医薬品有効成分を含有する薄膜であり、薄膜は口腔中に直接置かれ、または口腔粘膜に適用され、そこで溶解する。具体的には、これらの経口薄膜は、有効成分を含有するポリマーをベースとする薄膜であり、粘膜に、特に口腔粘膜に適用される際、有効成分を粘膜中に直接放出する。これらの経口薄膜は、一般的に、外側が粘着性ではない。口腔粘膜の良好な血液循環によって、有効成分が血流中に迅速に吸収されることが確実になる。この投与システムは、有効成分が粘膜を介して大部分吸収され、したがって、不利となり得る、通常、液体と共に服用される錠剤形態における有効成分の従来の投与形態で起こる「初回通過代謝」を回避するという利点を有する。有効成分は、膜に溶解され、乳化され、または分散される。好適な有効成分はまた、口の中で経口薄膜が溶解した後に飲み込むこともでき、したがって消化管を介して吸収される。
【0003】
経口薄膜の適用は、問題となる場合がある。経口薄膜の形、大きさ、特性、および所期の適用部位のために、さらに使用者の障害のために、所望の部位への経口薄膜の適用において、困難が生じることもある。特に有効成分流速を増加させるために一方の面にマイクロニードルを備える経口薄膜の場合、いかなる適用の前にもこれらのマイクロニードルが損傷されないことは重要である。
【0004】
従来の適用補助剤はこの問題を改善し得るが、これらの適用補助剤は、通常、難儀して経口薄膜から取り外す必要があり、および/または、複雑な構造を有している。使用者が適用補助剤を不注意に飲み込むというリスクもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本出願は、上記の不利を克服する経口薄膜のための適用補助剤を提供するという課題に基づくものであった。適用補助剤は、経口薄膜を所望の部位に適用するために、高い触覚安定性(haptic stability)を有するべきである。さらに、適用補助剤を飲み込むというリスクは総じて最小限にするべきであり、使用者が適用前に経口薄膜を破壊し、または損傷するというリスクは最小限にするべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、驚くべきことに、請求項1による複合体によって、特に経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体であって、経口薄膜および適用補助剤が互いに強固に接合される、複合体によって解決された。
【0007】
このような接合の利点は、経口薄膜を適用するために、使用者が経口薄膜自体に触れる必要がないということである。接触は、適用補助剤を介してのみ行われることが好ましい。さらに、好ましい実施形態において、適用補助剤は、使用者の口腔中で溶解するように設計される。適用補助剤との強固な接合により、非常に薄い経口薄膜、特に400μm未満の厚さを有する経口薄膜、または一方の面にマイクロニードルを備える経口薄膜は、有利に適用される。
【0008】
本明細書において、「含む」という用語はまた、「からなる」も意味し得る。
【0009】
「適用補助剤」という用語は、本明細書では、可能な限り広範な意味において理解される。
【0010】
適用補助剤は、その表面に経口薄膜が強固に接着される、0.1mm~4mmの好ましい厚さ、好ましくは0.1mm~2mm、または0.5mm~2mm、または100μm~500μmの平坦な構造を含むことが好ましい。
【0011】
適用補助剤は、本明細書では、いかなる形態もとることができる。例えば、適用補助剤は、本質的に円形、卵形、または楕円形とすることができる。
【0012】
しかし、適用補助剤はまた、必要に応じて丸みのある角と共に、三角形または四角形とすることもできる。必要に応じて丸みのある角と共に考えられる他の多角形の形もまた可能である。
【0013】
混合した形態も可能であり、適用補助剤は総じてテニスラケットの形に似ている形を有するように、例えば、第1の円形の領域、卵形の領域、または楕円形の領域、および、例えば、この第1の領域に接着している帯状、三角形、または四角形(多角形も同様)である第2の領域を有し、第2の領域は、本明細書では、好ましくは「ハンドル」として機能し、第1の領域は経口薄膜を保持するように機能する。
【0014】
この場合、「強固に接合される」は、使用者が膜を破壊しなければ接合を離すことができないように、適用補助剤および経口薄膜が互いに接合されることを意味する。この接合はまた、より長い期間保存しても損なわれるべきではない。
【0015】
本発明による複合体は、適用補助剤が第1の領域および第2の領域を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0016】
経口薄膜は、適用補助剤の第1の領域に配置されることが好ましい。
【0017】
適用補助剤の第2の領域は、経口薄膜が触れられないように使用者が適用補助剤に触れることができるよう設計されることが好ましい。
【0018】
経口薄膜は、適用補助剤の面の初めの3分の1または初めの半分に接着されることが好ましい。こうすると、適用補助剤の3分の2または後の半分が自由になり、それにより経口薄膜を適用するための「ハンドル」として機能することができる。
【0019】
本発明による複合体は、適用補助剤が、経口薄膜の表面積より、少なくとも2倍大きい、好ましくは2~10倍または2~4倍大きい表面積を有することを特徴とすることが好ましい。
【0020】
可能な実施形態において、適用補助剤は、1cm2~30cm2、好ましくは2cm2~15cm2、または2cm2~10cm2の表面積を有する。
【0021】
可能な実施形態において、経口薄膜は、0.3cm2~10cm2、好ましくは0.5cm2~7cm2の表面積を有する。
【0022】
可能な実施形態において、適用補助剤は、1cm~10cm、好ましくは2cm~5cmの長さを有する。
【0023】
可能な実施形態において、適用補助剤は、0.5cm~5cm、好ましくは1cm~3cmの幅を有する。
【0024】
可能な実施形態において、経口薄膜は、0.5cm~5cm、好ましくは1cm~4cmの長さを有する。
【0025】
可能な実施形態において、経口薄膜は、0.5cm~4cm、好ましくは1cm~4cmの幅を有する。
【0026】
可能な実施形態において、適用補助剤は、0.1mm~4mm、好ましくは0.1mm~2mm、または100μm~500μmの厚さを有する。
【0027】
可能な実施形態において、経口薄膜は、0.01mm~2mm、好ましくは0.05mm~1mm、または100μm~400μmの厚さを有する。
【0028】
可能な実施形態において、適用補助剤は、20g/m2~800g/m2、より具体的には20g/m2~500g/m2の単位面積あたりの重量を有する。
【0029】
可能な実施形態において、経口薄膜は、10g/m2~600g/m2、好ましくは10g/m2~400g/m2の単位面積あたりの重量を有する。
【0030】
適用補助剤は、単層または多層に形成される。
【0031】
本発明による複合体は、適用補助剤が少なくとも1つの水溶性ポリマーを含むことを特徴とすることが好ましい。
【0032】
水溶性ポリマーは、化学的にかなり異なる天然ポリマーまたは合成ポリマーを含み、その共通の特徴は、これらの水または水性媒体への溶解度である。前提条件は、これらのポリマーが、水溶性に十分な数の親水性基を有し、架橋されていないことである。親水性基は、非イオン性、アニオン性、カチオン性および/または双性イオン性であってもよい。
【0033】
水溶性は、25℃の水中で100g/Lを超える溶解度を意味すると理解されることが好ましい。
【0034】
少なくとも1つの水溶性ポリマーは、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースもしくはプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリラート、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-ビニルアセタートコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲン、アルギナート、ペクチン、プルラン、トラガカント、キトサン、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラゲナン、ならびに/または天然ゴムからなる群より選択されることが好ましく、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0035】
本発明による複合体は、少なくとも1つのポリマー、好ましくは水溶性ポリマーが、適用補助剤の総重量に対して、10~100%(w/w)、または10~95%(w/w)、好ましくは60~90%(w/w)、特に好ましくは80~90%(w/w)の量でマトリックス層に存在することを特徴とすることが好ましい。
【0036】
本発明による複合体は、適用補助剤が総じて水溶性であることを特徴とすることが好ましい。ここでまた、水溶性は、25℃の水中で100g/Lを超える溶解度を意味すると理解されることが好ましい。
【0037】
本発明による複合体は、適用補助剤が、芳香(aroma)、味覚マスキング剤(taste masking agent)、および/または麻酔剤もしくは局所麻酔剤を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0038】
麻酔剤または局所麻酔剤として、リドカインなどのアミノアミド、プロカイン、ホモカイン、キニソカイン、またはシクロニン(cyclonine)などのアミノエステルが、本明細書では好適である。
【0039】
これらの麻酔剤または局所麻酔剤は、適用補助剤の総重量に対して、0.1~10%(w/w)または0.1~5%(w/w)の量で含有されることが好ましい。
【0040】
本発明による複合体は、適用補助剤が、着色剤、甘味料、可塑剤、乳化剤、増強剤、pH調節剤、湿潤剤、保存料、および/または抗酸化剤を含む群より選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含むことを特徴とすることが好ましい。
【0041】
これらの添加剤のそれぞれは、適用補助剤の総重量に対して、それぞれ、0.1~40%(w/w)、好ましくは0.1~30%(w/w)、特に好ましくは0.1~15%(w/w)、最も好ましくは0.1~10%(w/w)、または0.1~5%(w/w)の量で存在することが好ましい。
【0042】
具体的には、適用補助剤の安定性は、可塑剤含有量によって調整される。
【0043】
好適な可塑剤は、グリセリンを含む。
【0044】
可塑剤は、適用補助剤の総重量に対して、0.1~15%(w/w)、最も好ましくは0.1~10%(w/w)、または0.1~5%(w/w)、特に約5%(w/w)の量で存在することが好ましい。
【0045】
本発明による複合体は、適用補助剤が、できる限り平滑である膜の形態であることを特徴とすることが好ましい。
【0046】
別の実施形態において、本発明による複合体は、適用補助剤が、空洞を有する固化発泡体の形態であることを特徴とする。
【0047】
適用補助剤の空洞および関連する表面積がより大きいことによって、水もしくは唾液または他の体液が適用補助剤の内部に到達することが特に促進され、したがって適用補助剤の溶解が加速する。
【0048】
その一方で、これらの空洞は固化した泡を表すので、例えば、これらの空洞が迅速に溶解し、または迅速に破壊されるように、言及した空洞の壁の厚さは低いことが好ましい。
【0049】
この実施形態のさらなる利点は、発泡体としての製造により、単位面積あたりの重量が比較的に高いもかかわらず、比較できる非発泡組成物を用いるよりも速い乾燥時間が得られることである。
【0050】
本発明による複合体は、空洞が互いから隔離され、好ましくは泡の形態であることを特徴とすることが好ましく、空洞は、空気またはガスで、好ましくは不活性ガスで、特に好ましくは窒素、二酸化炭素、ヘリウム、またはこれらのガスのうちの少なくとも2つの混合物で充填される。
【0051】
別の実施形態によれば、好ましくはマトリックスを貫通するつながったチャネルシステムを形成することによって空洞が互いに連結されることが提供される。
【0052】
前述の空洞は、適用補助剤の総体積に対して、5~98%、好ましくは50~80%の体積分率を有することが好ましい。このようにして、適用補助剤の溶液は、好ましい形で影響を受ける。
【0053】
さらに、表面活性物質もしくは界面活性剤が、発泡体形成のために適用補助剤に添加され、または乾燥の前もしくは後の発泡体の安定性を改善するために、乾燥の前もしくは後の得られた発泡体に添加される。
【0054】
本発明による適用補助剤の特性に影響を及ぼす別のパラメータは、空洞または泡の直径である。泡または空洞は、発泡体泡立てマシンを用いて製造されることが好ましく、それを用いて泡の直径はほとんど意のままに広範囲に調整される。したがって、泡または空洞の直径は、0.01~350μmの範囲にわたり得る。直径は、10~200μmの範囲であることが特に好ましい。
【0055】
本発明による複合体は、経口薄膜が、膜の形態の、発泡体の形態の、および/またはマイクロニードルシステムの形態の経口薄膜を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0056】
本発明による複合体中の経口薄膜は、マトリックス層を含むことが好ましい。
【0057】
膜は、発泡体の形態ではなく、補助器具を用いることなく、または拡大することなく光学的に分析されたときに、いかなる顕著なむらも示さないということを特徴とすることが好ましい。膜は、例えば、ポリマー含有溶液、ポリマー含有エマルション、ポリマー含有懸濁液、またはポリマー含有溶解物を広げ、乾燥することによって製造される。
【0058】
別の実施形態において、経口薄膜は、マトリックス層または経口薄膜が、空洞を有する固化発泡体の形態で存在することを特徴とする。
【0059】
膜の空洞および関連する表面積が大きいことによって、水もしくは唾液または他の体液が投与形態の内部に到達することが促進され、したがって投与形態の溶解および有効成分の放出が加速する。
【0060】
急速吸収有効成分の場合、経粘膜吸収もまた、急速な溶解により改善される。
【0061】
その一方で、これらの空洞は固化した泡を表すので、例えば、これらの空洞が迅速に溶解し、または迅速に破壊されるように、言及した空洞の壁の厚さは低いことが好ましい。
【0062】
この実施形態のさらなる利点は、発泡体としての製造により、単位面積あたりの重量が比較的に高いもかかわらず、比較できる非発泡組成物を用いるよりも速い乾燥時間が得られることである。
【0063】
経口薄膜は、空洞が互いから隔離され、好ましくは泡の形態であることを特徴とすることが好ましく、空洞が空気またはガスで、好ましくは不活性ガスで、特に好ましくは窒素、二酸化炭素、ヘリウム、またはこれらのガスのうちの少なくとも2つの混合物で充填される。
【0064】
別の実施形態によれば、好ましくはマトリックスを貫通するつながったチャネルシステムを形成することによって空洞が互いに連結されることが提供される。
【0065】
前述の空洞は、マトリックス層の総体積に対して、5~98%、好ましくは50~80%の体積分率を有することが好ましい。このようにして、マトリックス層の溶解を加速することの有利な効果は、都合よく影響を受ける。
【0066】
さらに、表面活性物質もしくは界面活性剤が、発泡体形成のためにマトリックス層に添加され、または乾燥の前もしくは後の発泡体の安定性を改善するために、乾燥の前もしくは後の得られた発泡体に添加される。
【0067】
本発明による投与形態の特性に影響を及ぼす別のパラメータは、空洞または泡の直径である。泡または空洞は、発泡体泡立てマシンを用いて製造されることが好ましく、それを用いて泡の直径はほとんど意のままに広範囲に調整される。したがって、泡または空洞の直径は、0.01~350μmの範囲にわたり得る。直径は、10~200μmの範囲であることが特に好ましい。
【0068】
マイクロニードルアレイとしても知られるマイクロニードルシステムは、支持体に複数のマイクロニードルを含むシステムを含むことが好ましい。
【0069】
担体(carrier)は、少なくとも1つのポリマーをベースとする経口薄膜を含むことが好ましい。好ましくは5μm~1000μmの長さを有するニードルは、セラミック、スチール、ポリマーまたはSiO2などの異なる材料で製造される。
【0070】
マイクロニードルシステムは、100μm~600μm、好ましくは250μm~350μm、特に好ましくは約300μmの長さを有するマイクロニードルを含むことが好ましい。
【0071】
本発明による複合体は、マイクロニードルシステムが、好ましくはガラス、SiO2、スチール、セラミック、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースもしくはプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリラート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲン、アルギナート、ペクチン、プルラン、トラガカント、キトサン、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラゲナン、ならびに天然ゴムをベースとするマイクロニードルシステムであることを特徴とすることが好ましく、この群は網羅的ではない。
【0072】
マイクロニードルは、接着層によって経口薄膜に接着されることが好ましい。例えば、適用補助剤を経口薄膜に連結することについて定義されているような接着層が、接着層として好適である。
【0073】
あるいは、マイクロニードルを有する経口薄膜はまた、経口薄膜およびマイクロニードルが一体化となるように、経口薄膜の製造時にマイクロニードルのネガ型(negative mold)を使用することによっても製造される。
【0074】
あるいは、マイクロニードルは、任意の好適な接着手段を使用して経口薄膜に接着される。
【0075】
ニードルは、支持体にも存在するポリマーを含むことが好ましい。
【0076】
本発明による複合体は、マイクロニードルが存在する場合、特にマイクロニードルに隣接する場合、好ましくは適用補助剤に接着した隆起した領域があることを特徴とすることが好ましい。
【0077】
隆起した領域は、マイクロニードルを保護するように設計されることが好ましく、特にこの隆起した領域はマイクロニードルよりも高く形成されるので、その結果この隆起した領域はマイクロニードルが触れられる前に触れられる。
【0078】
隆起した領域は、囲まれる領域がマイクロニードルシステムと少なくとも同じ領域、特に好ましくは経口薄膜の領域を含むこと、および隆起した領域の高さが少なくともマイクロニードルの高さに一致することを特徴とすることがさらに好ましい。
【0079】
これにより、マイクロニードルが隆起した領域によって全ての側から保護されることが確実になる。
【0080】
前記隆起した領域は、連続した成形体の形態に成形され、正方形、長方形、楕円形、または円形の基部面を囲むことが好ましく、この隆起した領域はマイクロニードルシステムの配置に特に適合される。
【0081】
別の実施形態において、隆起した領域は、連続した成形体ではないが、部分的にマイクロニードルシステムを囲む。
【0082】
隆起した領域は、この隆起した領域が水溶性ポリマー(上記で定義されているような)を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0083】
隆起した領域は、適用補助剤と同じ材料を含むことが好ましい。
【0084】
経口薄膜の形態に関係なく、経口薄膜は、経口薄膜が少なくとも1つの水溶性ポリマー(上記で定義されているような)を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0085】
少なくとも1つの水溶性ポリマーは、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースもしくはプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリラート、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-ビニルアセタートコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲン、アルギナート、ペクチン、プルラン、トラガカント、キトサン、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラゲナン、ならびに/または天然ゴムからなる群より選択されることが好ましく、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0086】
経口薄膜は、少なくとも1つのポリマー、好ましくは水溶性ポリマーが、前記マトリックス層の総重量に対して、10~100%(w/w)、または10~99%(w/w)、または30~95%(w/w)、好ましくは60~90%(w/w)、特に好ましくは70~90%(w/w)の量でマトリックス層に存在することを特徴とすることが好ましい。
【0087】
本発明による複合体は、経口薄膜が総じて水溶性であることを特徴とすることが好ましい。ここでまた、水溶性は、25℃の水中で100g/Lを超える溶解度を意味すると理解されることが好ましい。
【0088】
本発明による複合体は、経口薄膜が少なくとも1つの医薬品有効成分を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0089】
経口薄膜中の少なくとも1つの医薬品有効成分は、睡眠薬、鎮静薬、抗てんかん薬、アンフェタミン、向精神神経薬(psychoneurotropics)、神経弛緩薬、神経筋遮断薬、鎮痙薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、強心薬、抗不整脈薬、利尿薬、降圧薬、昇圧薬、鎮咳薬、去痰薬、鎮痛薬、甲状腺ホルモン、性ホルモン、糖質コルチコイドホルモン、抗糖尿病薬、抗腫瘍薬、抗生物質、化学療法薬、麻薬、抗パーキンソン病薬、抗アルツハイマー病薬、および/またはトリプタンからなる群より選択されることが好ましく、この群は網羅的ではない。
【0090】
具体例は、アセトアミノフェン、アドレナリン、アルプラゾラム、アムロジピン、アナストロゾール、アポモルヒネ、アリピプラゾール、アトルバスタチン、バクロフェン、ベンゾカイン、ベンゾカイン/メントール、ベンジダミン、ブプレノルフィン、ブプレノルフィン/ナロキソン、ブプレノルフィン/ナロキソン/セチリジン、セチリジン、クロルフェニラミン、クロミプラミン、デキサメタゾン、デキストロメトルファン、デキストロメトルファン/フェニレフリン、ジクロフェナク、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン/フェニレフリン、ドネペジル、ドロナビノール、エピネフリン、エスシタロプラム、ファモチジン、フェンタニル、グリメピリド、GLP-1ペプチド、グラニセトロン、インスリン、インスリンナノ粒子、インスリン/GLP-1ナノ粒子、ケタミン、ケトプロフェン、ケトチフェン、カフェイン、レボセチリジン、ロペラミド、ロラタジン、メクリジン、メチルフェニデート、ミダゾラム、ミロデナフィル(mirodenafil)、モンテルカスト、マルチメリック-001(multimeric-001)、ナロキソン、ニコチン、ニトログリセリン、オランザピン、オロパタジン、オンダンセトロン、オキシブチニン、ペクチン、ペクチン/メントール、ペクチン/アスコルビン酸、pediaSUNAT(アルテスナートおよびアモジアキン)、ピロキシカム、フェニレフリン、プレドニゾロン、プソイドエフェドリン、リスペリドン、リバスチグミン、リザトリプタン、セレギリン、センナ配糖体、クエン酸シルデナフィル、シメチコン、スマトリプタン、タダラフィル、テストステロン、トリアムシノロンアセトニド、トリプタン、トロピカミド、ボグリボース、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ならびに/または薬学的に許容されるこれらの化合物の塩を含む。
【0091】
医薬品有効成分はまた、異なる有効成分の混合物であってもよい。
【0092】
経口薄膜中の有効成分の量は、そのタイプによって決まり、経口薄膜の総重量に対して、通常、0.01~70%(w/w)、好ましくは0.1~50%(w/w)、特に好ましくは1~40%(w/w)である。
【0093】
経口薄膜が、着色剤、香味料、甘味料、味覚マスキング剤、界面活性剤、増強剤、pH調節剤、保存料、抗酸化剤、および/または可塑剤を含む群より選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含有することは有利であり得る。
【0094】
これらの添加剤は、経口薄膜に0.001~20%(w/w)の量でそれぞれ含有されることが好ましい。
【0095】
原則として、経口薄膜は、経口薄膜が含有できる層の数に制限されない。
【0096】
したがって、経口薄膜がさらなる層を含む実施形態が考えられる。上記の定義は、他の層にも類似的に適用する。
【0097】
本発明による複合体は、適用補助剤および経口薄膜が、接着層、好ましくは水溶性接着層によって、シール、好ましくはヒートシールによって互いに接合され、ならびに/または、順に重ねるようにコーティングすることによって互いに接合されることを特徴とすることが好ましい。
【0098】
接着層は、DIN EN923:2016-03に定義されているように、接着剤として作用できる層と理解される。
【0099】
水溶性接着層は、DE102014127452A1に記載されているように、接着層として特に好適であり、この関連内容は全て本明細書に含まれる。
【0100】
好適な接着層は、少なくとも1つの水溶性ポリマーおよび少なくとも1つの可塑剤を含み、少なくとも1つの水溶性接着層中の少なくとも1つの水溶性ポリマーは、シェラック、ビニルピロリドン-ビニルアセタートコポリマー、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドンを含み、少なくとも1つの水溶性接着層中の少なくとも1つの可塑剤は、グリセリン、ポリエチレングリコール、特にポリエチレングリコール200、および/またはクエン酸トリブチルを含む。少なくとも1つの接着層における少なくとも1つの水溶性ポリマーの少なくとも1つの可塑剤に対する重量比は、約85対50~約15対50であることが好ましい。
【0101】
少なくとも1つの水溶性ポリマーおよび少なくとも1つの可塑剤を含有するこのような接着層は、中間の水溶性接着層として、それら自身が粘着性ではない2つのさらなる層を互いに強固に接着でき、したがって多層複合体を形成することが可能になる。
【0102】
シールは、適用補助剤および経口薄膜が互いに接合される任意の可能な方法を意味すると理解される。しかし、これは結論的に(concludingly)、エンボス加工および/またはヒートシールによる接合を含まない。
【0103】
ヒートシールは、点状の加熱および加圧によって適用補助剤および経口薄膜を接合することを指す。点状の加熱によって、適用補助剤または経口薄膜に存在する少なくとも1つのポリマーが融解され、それにより再冷却の後、強固な接合となる。温度は、それぞれのポリマーの融解温度またはガラス転移温度を超える温度まで点状に(punctiformly)上昇されることが好ましい。
【0104】
ヒートシールの通常の温度は、約50℃~200℃である。
【0105】
ヒートシールは、約50℃~200℃の温度で、約5秒間、好ましくは約3秒間、および特に好ましくは約2秒間以下で行われることが好ましい。
【0106】
順に重ねるようにコーティングすることは、既存の第1の層の上に第2の層を直接適用することを意味すると理解されることが好ましい。
【0107】
例えば、適用補助剤が形成され、経口薄膜の組成物が、例えば、溶液、エマルション、または懸濁液として、加工可能な形態で適用補助剤に適用(コーティング)される。したがって、乾燥後、強い複合体が形成される。経口薄膜を形成し、経口薄膜を適用補助剤でコーティングすることもまた可能である。
【0108】
本発明による複合体は、適用補助材が、20秒~5分、好ましくは30秒~3分以内に患者の口腔中で溶解することを特徴とすることがさらに好ましい。
【0109】
本発明による複合体は、適用補助剤および経口薄膜が、20秒~5分、好ましくは30秒~2分以内に患者の口腔中で溶解することを特徴とすることがさらに好ましい。
【0110】
本発明はまた、好ましくは上記のような複合体の製造方法であって:
- 適用補助剤を用意する工程と、
- 経口薄膜を用意する工程と、
- 適用補助剤を経口薄膜に強固に接合する工程と
を含む、方法にも関する。
【0111】
複合体、経口薄膜および適用補助剤について上記で定義されている全ての実施形態は、本発明による方法にも類似的に適用する。
【0112】
本明細書では、適用補助剤と経口薄膜のどちらが第1の工程で用意されるかは、問題ではない。
【0113】
適用補助剤および/または経口薄膜は、それぞれに、適用補助剤または経口薄膜の全ての成分を含む溶液、エマルション、溶解物、または懸濁液を製造することに続いて、この溶液、エマルション、溶解物、または懸濁液を広げ、乾燥する方法によって用意されることが好ましい。
【0114】
全ての好適な形は、これらの乾燥した溶液、エマルション、溶解物、または懸濁液から、切り抜かれるか、または打ち抜かれる。
【0115】
マイクロニードルが存在すべき場合には、これらのマイクロニードルは、接着層によって経口薄膜に接着されることが好ましい。例えば、適用補助剤を経口薄膜に接合するための上記で定義されているような接着層が、本明細書では接着層として好適である。
【0116】
あるいは、マイクロニードルを有する経口薄膜はまた、経口薄膜およびマイクロニードルが一体化となるように、経口薄膜の製造時にマイクロニードルのネガ型を使用することによっても製造される。
【0117】
あるいは、マイクロニードルは、任意の好適な接着手段を使用して経口薄膜に接着される。
【0118】
適用補助剤および/または経口薄膜が発泡体の形態で存在する場合、方法はまた、ガスもしくはガス混合物を導入することによって、化学ガスを発生させることによって、または溶解ガスを膨張させることによって、溶液、エマルション、溶解物、または懸濁液を起泡する工程も含む。
【0119】
強固な接合は、上記で定義されているように、水溶性接着層によって、シール、好ましくはヒートシールによって、および/または順に重ねるようにコーティングすることによって、得られることが好ましい。
【0120】
本発明はさらに、上記の方法によって得られる複合体にも関する。
【0121】
複合体、経口薄膜、および適用補助剤について上記で定義されている全ての実施形態は、上記の方法によって得られる複合体にも類似的に適用する。
【0122】
さらに、本発明は、医薬品としての上記のような複合体または上記の方法によって得られる複合体にも関する。
【0123】
複合体、経口薄膜、および適用補助剤について上記で定義されている全ての実施形態は、本発明による医療的用途にも類似的に適用する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【
図1】経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体の可能な実施形態を示す。
【
図2】経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体の別の可能な実施形態を示す。
【
図3】経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体の可能な実施形態の横断面を示す。
【
図4】経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体の別の可能な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0125】
図面の説明:
図1:
図1は、経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体の可能な実施形態を示す。複合体は、経口薄膜が配置される適用補助剤の第1の領域、および経口薄膜が触れられないように使用者が適用補助剤に触れることができるように設計される適用補助剤の第2の領域を有する。
【0126】
接着層(2)は適用補助剤(1)に適用され、その第1の領域に経口薄膜(3)が適用される。場合により、適用補助剤(1a)の断片は、使用者が接着層に触れる必要がないように、第2の領域の接着層に再度適用される。
【0127】
経口薄膜は、場合によりマイクロニードル(5)を備えることができる。これらのマイクロニードル(5)は、別の接着層(4)で経口薄膜に適用されるか、または代替の接着手段を使用して経口薄膜に接着される。
【0128】
図2:
図2は、経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体の別の可能な実施形態を示す。ここで、複合体は、経口薄膜が配置される適用補助剤の第1の領域、および経口薄膜が触れられないように使用者が適用補助剤に触れることができるように設計される適用補助剤の第2の領域を有する。使用者は、図案化された手(9)によって表される。
【0129】
経口薄膜(7)は、使用者が彼の手(9)で触れる領域とは異なる領域の適用補助剤(6)に適用される。経口薄膜(7)は、場合によりマイクロニードル(8)を備えることができる。
【0130】
図3:
図3は、経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体の可能な実施形態の横断面を示す。複合体は、適用補助剤の第1の領域を有し、その上にマイクロニードルが損傷されないことを確実にするために、経口薄膜、マイクロニードル、およびマイクロニードルを囲む隆起した領域が配置される。
【0131】
接着層(2)は適用補助剤(1)に適用され、その第1の領域に経口薄膜(3)が適用される。場合により、適用補助剤(1a)の断片は、使用者が接着層に触れる必要がないように、第2の領域の接着層に再度適用される。
【0132】
経口薄膜は、マイクロニードル(5)を備え、隆起した領域(6)は、適用補助剤(1)に適用され、この隆起した領域はマイクロニードル(5)を囲む。マイクロニードル(5)および隆起した領域(6)は、別の接着層(4)で経口薄膜に適用されるか、または代替の接着手段を使用して経口薄膜に接着される。
【0133】
図4:
図4は、経口薄膜および経口薄膜のための適用補助剤を含む複合体の別の可能な実施形態を示す。複合体は、適用補助剤の第1の領域を有し、その上にマイクロニードルが損傷されないことを確実にするために、経口薄膜、マイクロニードル、およびマイクロニードルを囲む隆起した領域が配置される。適用補助剤の第2の領域は、経口薄膜が触れられないように使用者が適用補助剤に触れることができるように設計される。使用者は、図案化された手(9)によって表される。
【0134】
経口薄膜(7)は、使用者が彼の手(9)で触れる領域とは異なる領域の適用補助剤(6)に適用される。経口薄膜(7)は、マイクロニードル(8)を備え、隆起した領域(10)は、適用補助剤(6)に適用され、この隆起した領域は、マイクロニードル(8)を囲む。
【0135】
本発明は、非制限的な実施例を参照して、以下により詳細に説明される。
【実施例】
【0136】
経口薄膜、この場合はマイクロニードルを有する多層系を、適用補助剤としてのポリビニルアルコール発泡体と共に用意した。
【0137】
経口薄膜を、接着層を使用して適用補助剤に適用した。
【0138】
適用補助剤は、以下の処方を有した。
【0139】
【0140】
安定な複合体を得た。しわになりやすい非常に薄い経口薄膜を適用できた。不適切な適用をするとマイクロニードルが折れることになるので、マイクロニードルの存在は適切な適用を特に必要とした。
【国際調査報告】