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特表2024-543150薬物、タンパク質及び水溶性ポリマーの三元複合体非晶質形態
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  • 特表-薬物、タンパク質及び水溶性ポリマーの三元複合体非晶質形態 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】薬物、タンパク質及び水溶性ポリマーの三元複合体非晶質形態
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/38 20060101AFI20241112BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241112BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241112BHJP
   A23L 33/19 20160101ALI20241112BHJP
   A61K 31/58 20060101ALN20241112BHJP
   A61K 31/519 20060101ALN20241112BHJP
   A61K 31/05 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
A61K9/38
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/34
A61K9/00
A61K47/38
A23L33/19
A61K31/58
A61K31/519
A61K31/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024531264
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2022083157
(87)【国際公開番号】W WO2023094538
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21210275.0
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522222548
【氏名又は名称】セリオン ファーマ アンパーツゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】コービニアン レープマン
(72)【発明者】
【氏名】ドングライ レング
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ティエン
(72)【発明者】
【氏名】ブルト ブルドゥク
(72)【発明者】
【氏名】オーレ ビボーウ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD18
4B018MD20
4B018ME14
4B018MF02
4B018MF06
4B018MF07
4B018MF14
4C076AA99
4C076CC40
4C076CC41
4C076EE06
4C076EE09
4C076EE11
4C076EE14
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE32
4C076EE38
4C076EE41
4C076EE48
4C076FF33
4C076GG01
4C076GG03
4C076GG06
4C076GG09
4C086CB06
4C086DA12
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA02
4C206CA19
4C206MA03
4C206MA05
4C206NA02
(57)【要約】
本発明は、タンパク質及び水溶性ポリマーと組み合わせて薬物化合物、栄養補給食品又は栄養補助食品を含む三元複合体非晶質形態に関する。複合体非晶質形態は、成分が分子レベルで均一に混合されている均一な非晶質系を形成する3つ以上の成分の組み合わせである。本発明の三元複合体非晶質形態は、薬物化合物、栄養補給食品及び栄養補助食品の増加した溶解度及び溶解速度を提供する。これは、したがって、これらの化合物のバイオアベイラビリティを増加させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質及び水溶性ポリマーとの薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品の複合体非晶質形態であって、前記タンパク質は、β-ラクトグロブリンである、複合体非晶質形態。
【請求項2】
前記β-ラクトグロブリンの純度は、前記複合体非晶質形態のタンパク質の総量の少なくとも92%(w/w)である、請求項1に記載の複合体非晶質形態。
【請求項3】
前記水溶性ポリマーは、HPMCAS、PVPVA、PVP、PVAc、PVOH、PVAP(ポリ酢酸フタル酸ビニル)、ポロキサマー型ポリマー(例えば、ポロキサマー188)、PEG、MC、HPMC、HPC、HEC、HPMCAS、HPMCP、キトサン、ポリメタクリレート系コポリマー(例えば、Eudragit型ポリマー)、ポリアクリル酸ポリマー(例えば、カルボマー又はCarbopol 940)、酢酸酪酸カルボキシメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、加工デンプン及び他の多糖、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(Soluplus)、ポリスチレンスルホネート(PSS)並びにそれらの任意の混合物から選択される、請求項1又は2に記載の複合体非晶質形態。
【請求項4】
前記水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー型ポリマー、ポリメタクリレート系コポリマー、ポリスチレンスルホネート及びそれらの任意の混合物から選択される、請求項3に記載の複合体非晶質形態。
【請求項5】
前記薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品化合物は、薬物化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合体非晶質形態。
【請求項6】
前記薬物化合物は、BCSクラスII又はIVに分類される、請求項5に記載の複合体非晶質形態。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の複合体非晶質形態を調製する方法であって、前記薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品、タンパク質及び水溶性ポリマーは、噴霧乾燥、溶媒蒸発、凍結乾燥、超臨界流体からの沈殿、溶融クエンチ、ホットメルト押出、エレクトロスピニング、2Dプリンティング、3Dプリンティング及び任意の粉砕プロセス、例えば湿式粉砕、ボールミル粉砕及び極低温粉砕に一緒に供される、方法。
【請求項8】
薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品とともに複合体非晶質形態を調製するためのタンパク質及び水溶性ポリマーの使用であって、前記タンパク質は、β-ラクトグロブリンである、使用。
【請求項9】
タンパク質及び水溶性ポリマーとの薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品の複合体非晶質形態であって、前記水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー型ポリマー、ポリメタクリレート系コポリマー、ポリスチレンスルホネート及びそれらの任意の混合物から選択される、複合体非晶質形態。
【請求項10】
前記水溶性ポリマーは、ポリスチレンスルホネートである、請求項9に記載の複合体非晶質形態。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質及び水溶性ポリマーと組み合わせて薬物化合物、栄養補給食品又は栄養補助食品を含む三元複合体非晶質形態に関する。このような三元複合体非晶質形態は、薬物化合物、栄養補給食品及び栄養補助食品の増加した溶解度及び溶解速度を提供する。これは、したがって、これらの化合物のバイオアベイラビリティを増加させる。
【背景技術】
【0002】
本来であれば難溶性の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品分子の溶解度及び溶解が、水溶性ポリマーとともにこれらの分子の複合体非晶質形態を形成することによって増加され得ることは、当技術分野で公知である。
【0003】
より最近では、API及びタンパク質の複合体非晶質形態は、水溶性ポリマーより大きくAPIの溶解度及び溶解速度を増加させることが示されている(国際公開第2018/113890号パンフレット及び国際公開第2021/110983号パンフレット)。この増加は、該当するAPIに応じて、程度の差こそあれ顕著である。
【0004】
意外にも、ここで、溶解度及び溶解速度は、薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品化合物の三元複合体非晶質形態をタンパク質及び水溶性ポリマーと一緒に調製することによってさらに一層増加され得ることが分かった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は、タンパク質及び水溶性ポリマーとの薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品の複合体非晶質形態に関する。
【0006】
これらの三元複合体非晶質形態は、タンパク質又は水溶性ポリマーのいずれかを含む二元複合体非晶質形態と比較して、非常に低い水溶解度を有する化合物の予想外に高い溶解度を提供することが分かった。
【0007】
別の態様では、本発明は、本発明に係る複合体非晶質形態を調製する方法であって、薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品、タンパク質及び水溶性ポリマーは、噴霧乾燥、溶媒蒸発、凍結乾燥、超臨界流体からの沈殿、溶融クエンチ、ホットメルト押出、エレクトロスピニング、2Dプリンティング、3Dプリンティング及び任意の粉砕プロセス、例えば湿式粉砕、ボールミル粉砕及び極低温粉砕に一緒に供される、方法に関する。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品とともに複合体非晶質形態を調製するためのタンパク質及び水溶性ポリマーの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】25%(w/w)の薬物充填量の化合物Aの二元及び三元複合体非晶質形態(a)、23%(w/w)の薬物充填量の化合物Bの二元及び三元複合体非晶質形態(b)、40%及び56%(w/w)の薬物充填量の酢酸アビラテロンの二元及び三元配合物(c)、50%(w/w)の薬物充填量のイブルチニブの二元及び三元配合物(d)、20%及び30%(w/w)の薬物充填量のカンナビジオールBSPGの二元配合物並びに30%(w/w)の薬物充填量のカンナビジオールBSPGの三元配合物(e)のXRPDディフラクトグラム。
図2】FaSSGF(a)及びFaSSIF-V2(b)における、25%(w/w)の薬物充填量の化合物Aの二元及び三元複合体非晶質形態の粉末溶解。
図3】FaSSIF-V1における、23%(w/w)の薬物充填量の化合物Bの二元及び三元複合体非晶質形態の粉末溶解。
図4】FaSSIF-V1における、40%及び56%(w/w)の薬物充填量の酢酸アビラテロンの二元及び三元複合体非晶質形態の粉末溶解。
図5】FaSSIF-V2における、50%(w/w)の薬物充填量のイブルチニブの二元及び三元複合体非晶質形態の粉末溶解。
図6】FaSSIF-V2における、結晶性カンナビジオールBSPG、20%及び30%(w/w)の薬物充填量のカンナビジオールBSPGの二元複合体非晶質形態及び30%(w/w)の薬物充填量のカンナビジオールBSPGの三元複合体非晶質形態の粉末溶解。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本発明に関連して、「複合体非晶質」という用語は、成分が単相又は二相で均一に混合されている均一な非晶質系を形成する3つ以上の成分の組み合わせを指す。X線粉末回折(XRPD)は、示差走査熱量測定(DSC)と一緒に用いられて、例えばブラッグピークの非存在及び1つ又は2つのガラス転移温度、すなわち分子レベルで混合が行われなかった場合に観察され得る少なくとも3つ未満のTの出現を測定することにより、試料が調製後に「複合体非晶質」であるかどうかを特定することができる。典型的に、「複合体非晶質形態」は、単一のTを有する形態を指す。
【0011】
本発明に関連して、β-ラクトグロブリンなどの複合体非晶質形態のタンパク質に関連する「純度」という用語は、複合体非晶質形態に含まれるタンパク質の総量のパーセンテージ(w/w)として定義される。複合体非晶質形態が医薬組成物に含まれる場合、医薬製剤中に賦形剤として含まれ得るゼラチンなどのいずれのさらなるタンパク質も、複合体非晶質形態に含まれるβ-ラクトグロブリンの純度の計算に含めない。さらに、さらなるタンパク質が医薬組成物中に賦形剤として含まれる場合、前記さらなるタンパク質は、複合体非晶質形態のガラス転移温度に加えて、さらなるガラス転移温度(非晶質である場合)又は融点(結晶性である場合)を生じ得る。
【0012】
本発明に関連して、「栄養補給食品」という用語は、薬物又は医薬品として登録されていないか又は登録を必要とせず、疾患の予防及び治療を含む医学的な又は健康上の効果を与え得る食物又は食物の部分を意味する。「栄養補助食品」という用語は、ビタミン;ミネラル;ハーブ若しくは他の植物;アミノ酸;総食餌摂取量を増加させることによって食事を補うためにヒトによって使用するための食餌物質;又は濃縮物、代謝産物、構成成分、抽出物あるいは上記の物質の組み合わせ」としてFDAによって定義されている。したがって、「栄養補助食品」は、「栄養補給食品」の一部を構成する。
【0013】
本発明に関連して、「薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品化合物」という用語は、医薬品有効成分、動物用医薬品又は食餌成分、例えばビタミン、ミネラル、アミノ酸及びハーブ又は植物並びに食事を補完するために使用され得る他の物質を含有する製品を指すことが意図される。一実施形態では、「薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品化合物」という用語は、医薬品有効成分を指す。本発明に関連して、「ある(a)」薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品化合物に言及する場合、それは、1つ以上の薬物又は栄養補助食品化合物を指し得る。
【0014】
本発明に関連して、「タンパク質」という用語は、好ましくは、少なくとも40個のアミノ酸を含む合成、組み換え又は天然ポリペプチドを指す。「タンパク質」という用語は、修飾タンパク質、例えばタンパク質加水分解物又はリン酸化、グリコシル化、脂質化、ユビキチン化、カルボニル化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、パルミトイル化、アミド化、酸化、ニトロ化、ホルミル化、硫酸化、水酸化、ミリストイル化によって得られる修飾も含む。本発明に関連して「水溶性ポリマー」に言及する場合、ペプチド系でないポリマー、すなわちポリマーを形成するのに使用されるモノマーの10%未満、例えば5%未満、例えば1%未満、より特に0%がアミノ酸であるポリマーが言及される。
【0015】
(複合体)非晶質形態
一態様では、本発明は、タンパク質及び水溶性ポリマーとの薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品の複合体非晶質形態に関する。本発明の複合体非晶質形態は、一相又は二相を有し得る。一実施形態では、それは、単相を有する。
【0016】
本発明の複合体非晶質形態は、1~99%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品、例えば5~95%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品を含有し得る。一実施形態では、複合体非晶質形態は、10~90%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び10~90%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。さらなる実施形態では、複合体非晶質形態は、20~90%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び10~80%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。さらに他の実施形態では、複合体非晶質形態は、30~85%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び15~70%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。別の実施形態では、複合体非晶質形態は、50~85%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び15~50%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。さらなる実施形態では、複合体非晶質形態は、55~75%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び25~45%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。さらに別の実施形態では、複合体非晶質形態は、30%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び70%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。さらに他の実施形態では、複合体非晶質形態は、50%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び50%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。さらに他の実施形態では、複合体非晶質形態は、60%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び40%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。さらに別の実施形態では、複合体非晶質形態は、70%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び30%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。
【0017】
より少ない薬物充填量は、低い溶解度を有する薬物分子、特に非常に低い溶解度を有する薬物分子の特に良好な溶解を与えることが分かった。したがって、一実施形態では、複合体非晶質形態は、5~35%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び65~95%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。さらなる実施形態では、複合体非晶質形態は、10~30%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び70~90%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。さらに他の実施形態では、複合体非晶質形態は、12~25%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び75~88%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。さらに他の実施形態では、複合体非晶質形態は、15~20%(w/w)の薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及び80~85%(w/w)のタンパク質及び水溶性ポリマーを含む。
【0018】
タンパク質及び水溶性ポリマーの相対量は、所望のレベルの溶解度を有する複合体非晶質形態を調製するために必要に応じて調整され得る。一実施形態では、タンパク質と水溶性ポリマーとの間の重量比は、10:1~1:10の範囲である。別の実施形態では、タンパク質と水溶性ポリマーとの間の重量比は、5:1~1:5の範囲である。さらに別の実施形態では、タンパク質と水溶性ポリマーとの間の重量比は、5:1~1:3の範囲である。さらに別の実施形態では、タンパク質と水溶性ポリマーとの間の重量比は、4:1~1:2の範囲である。さらに別の実施形態では、タンパク質と水溶性ポリマーとの間の重量比は、3:1~2:3の範囲である。さらなる実施形態では、タンパク質と水溶性ポリマーとの間の重量比は、2:1~1:1の範囲である。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品とともに複合体非晶質形態を調製するためのタンパク質及び水溶性ポリマーの使用に関する。
【0020】
複合体非晶質形態は、本発明の実施例又は国際公開第2018/113890号パンフレットに開示される一般的な方法に従って調製され得る。したがって、一態様では、本発明は、本発明の複合体非晶質形態を調製する方法であって、薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品及びβ-ラクトグロブリンを噴霧乾燥、溶媒蒸発、凍結乾燥、超臨界流体からの沈殿、溶融クエンチ、ホットメルト押出、エレクトロスピニング、2Dプリンティング、3Dプリンティング及び任意の粉砕プロセス、例えば湿式粉砕、ボールミル粉砕及び極低温粉砕に一緒に供することから選択される方法に関する。
【0021】
タンパク質
タンパク質(ペプチド系ポリマー)は、複合体非晶質形態として医薬品有効成分とともに調製されるとき、低可溶性医薬品成分の溶解度を増加させることが示されている(国際公開第2017/186889号パンフレット、国際公開第2018/113890号パンフレット及び国際公開第2021/110983号パンフレット)。一実施形態では、タンパク質は、ホエイタンパク単離物、大豆タンパク質、大豆タンパク質加水分解物、エンドウマメタンパク質、トウモロコシタンパク質、コムギタンパク質、麻タンパク質、ライムギタンパク質、オートムギタンパク質、ピーナッツタンパク質、オオムギタンパク質、ミオグロビン、リゾチーム、卵タンパク質単離物、卵白タンパク質単離物、卵白タンパク質加水分解物、オボアルブミン、カゼイン、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、ラクトフェリン、ゼラチン、アルブミン、血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、卵アルブミン、魚アルブミン、ケラチン、エラスチン、コラーゲン、免疫グロブリンG、米タンパク質単離物、米タンパク質加水分解物、酵母タンパク質加水分解物及びそれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、タンパク質は、β-ラクトグロブリンである。
【0022】
特に、高い純度のβ-ラクトグロブリンは、高い溶解度を有する複合体非晶質形態に寄与することが分かった。したがって、一実施形態では、β-ラクトグロブリンの純度は、タンパク質の総量の少なくとも92%(w/w)である。本発明のさらなる実施形態では、β-ラクトグロブリンの純度は、タンパク質の総量の少なくとも94%(w/w)である。本発明の別の実施形態では、β-ラクトグロブリンの純度は、タンパク質の総量の少なくとも95%(w/w)である。本発明のさらに別の実施形態では、β-ラクトグロブリンの純度は、タンパク質の総量の少なくとも96%(w/w)である。さらに別の実施形態では、β-ラクトグロブリンの純度は、タンパク質の総量の少なくとも97%(w/w)である。本発明のさらなる実施形態では、β-ラクトグロブリンの純度は、タンパク質の総量の少なくとも98%(w/w)である。
【0023】
水溶性ポリマー
錠剤、カプセル剤などで医薬品有効成分と製剤化されるとき、有効成分の溶解速度を上昇させ、且つ/又は有効成分の水溶解度を増加させるためのいくつかのポリマー賦形剤が当技術分野で公知である。水溶性ポリマーは、25℃でpH範囲1~14の少なくとも一部で水性媒体に可溶性である。したがって、水溶性ポリマーは、あるpHレベルでのみ可溶性であるポリマーのタイプ、例えば酸性pHで可溶性であるが、中性pHで可溶性でないポリマーを含む。本発明で使用するのに好適な水溶性ポリマーは、当技術分野で公知である。本発明で使用するのに好適な水溶性ポリマーは、セルロース系又は非セルロース系であり得る。ポリマーは、水溶液中で中性又はイオン性であり得る。
【0024】
好適なクラスの水溶性ポリマーは、ポリマーが疎水性及び親水性部分を有することを意味する「両親媒性」の性質のポリマーを含む。疎水性部分は、脂肪族又は芳香族炭化水素基などの基を含み得る。親水性部分は、ヒドロキシル、カルボン酸、エステル、アミン又はアミドなど、水素結合することが可能なイオン性基又は非イオン性基のいずれかを含み得る。
【0025】
本発明で使用するのに好適なあるクラスの水溶性ポリマーは、中性非セルロース系ポリマーを含む。例示的なポリマーとしては、ヒドロキシル、アルキルアシルオキシ又は環状アミドの置換基を有するビニルポリマー及びコポリマー;非加水分解(酢酸ビニル)形態におけるそれらの繰返し単位の少なくとも一部を有するポリビニルアルコール;ポリビニルアルコールポリ酢酸ビニルコポリマー;ポリビニルピロリドン;ポロキサマーとしても知られているポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー;及びポリエチレンポリビニルアルコールコポリマーが挙げられる。
【0026】
本発明で使用するのに好適な別のクラスの水溶性ポリマーは、イオン性非セルロース系ポリマーを含む。例示的なポリマーとしては、カルボン酸官能化ビニルポリマー、例えばカルボン酸官能化ポリメタクリレート及びカルボン酸官能化ポリアクリレート、例えばEvonik(Darmstadt,Germany)によって製造されるEUDRAGITS(登録商標)、アミン官能化ポリアクリレート及びポリメタクリレート;及びカルボン酸官能化デンプン、例えばデンプングリコレートが挙げられる。
【0027】
両親媒性である非セルロース系水溶性ポリマーは、比較的親水性及び比較的疎水性モノマーのコポリマーである。例としては、アクリレート及びメタクリレートコポリマー並びにポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーが挙げられる。このようなコポリマーの例示的な商用グレードとしては、メタクリレート及びアクリレートのコポリマーであるEUDRAGITS並びにポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーである、BASFによって供給されるPLURONICSが挙げられる。
【0028】
本発明で使用するのに好適な、さらなるクラスの水溶性ポリマーは、イオン性又は中性であり得るセルロース系ポリマーを含む。中性両親媒性セルロース系水溶性ポリマーは、親セルロース系ポリマーが、少なくとも1つの比較的疎水性の置換基とともに各糖繰り返し単位に存在する3つのヒドロキシル基のいずれか又は全てにおいて置換されたポリマーを含む。疎水性置換基は、十分に高いレベル又は置換度に置換される場合、セルロース系ポリマーを本質的に水溶液不溶性にし得る、本質的にあらゆる置換基であり得る。疎水性置換基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのエーテル結合アルキル基;又はアセテート、プロピオネート、ブチレートなどのエステル結合アルキル基;並びにフェニル、ベンゾエート又はフェニレートなどのエーテル結合及び/又はエステル結合アリール基が挙げられる。ポリマーの親水性領域は、非置換ヒドロキシル自体が比較的親水性であるため、比較的置換されていない部分又は親水性置換基で置換される領域のいずれかであり得る。親水性置換基としては、エーテル結合又はエステル結合非イオン性基、例えばヒドロキシアルキル置換基ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びアルキルエーテル基、例えばエトキシエトキシ又はメトキシエトキシが挙げられる。特に好ましい親水性置換基は、カルボン酸、チオカルボン酸、置換フェノキシ基、アミン、ホスフェート又はスルホネートなど、エーテル結合又はエステル結合イオン性基であるものである。
【0029】
あるクラスのセルロース系水溶性ポリマーは、ポリマーが水溶液中で実質的に非イオン性であることを意味する中性ポリマーを含む。このようなポリマーは、エーテル結合又はエステル結合され得る非イオン性置換基を含有する。例示的なエーテル結合された非イオン性置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基;及びヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシアルキル基が挙げられる。例示的なエステル結合された非イオン性置換基としては、アセテート、プロピオネート、ブチレートなどのアルキル基が挙げられる。水溶性ポリマーとして使用され得る例示的な中性ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースアセテート及びヒドロキシエチルエチルセルロースが挙げられる。
【0030】
一実施形態では、水溶性ポリマーは、PVP(ポリビニルピロリドン)、PVAc(ポリ酢酸ビニル)、PVOH(ポリビニルアルコール)、PVAP(ポリ酢酸フタル酸ビニル)、ポロキサマー型ポリマー(例えば、ポロキサマー188)、PEG、MC、HPMC、HPC、HEC、HPMCAS、HPMCP、キトサン、ポリメタクリレート系コポリマー(例えば、Eudragit型ポリマー)、ポリアクリル酸ポリマー(例えば、カルボマー又はCarbopol 940)、酢酸酪酸カルボキシメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、加工デンプン及び他の多糖、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(Soluplus)及び異なるPVPVAグレード(例えば、PVPVA64)並びにそれらの任意の混合物から選択される。
【0031】
さらなる実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー型ポリマー、ポリメタクリレート系コポリマー、ポリスチレンスルホネート及びそれらの任意の混合物から選択される。さらに他の実施形態では、水溶性ポリマーは、ポリスチレンスルホネートである。
【0032】
薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品化合物
本発明に係る方法で使用される薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品化合物は、原理上、人が摂取するのに好適な薬学的に有効な成分、栄養補給食品又は栄養補助食品化合物であり得る。典型的に、このような化合物は、水への低い溶解度を有する。これは、特に、バイオアベイラビリティに関して再現性を必要とする薬物化合物について問題になり得る。したがって、本発明は、薬物化合物に特に有用である。したがって、一実施形態では、薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品化合物は、薬物化合物である。さらなる実施形態では、薬物化合物は、BCSクラスII又はIVに分類される。これらのクラスの薬物化合物は、それぞれ「低溶解度及び高透過性」及び「低溶解度及び低透過性」を指す。別の実施形態では、薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品化合物は、アビラテロン、酢酸アビラテロン、アセクロフェナク、アセタゾラミド、アセチルサリチル酸、アクリジニウム臭化物、アシクロビル、アファメラノチド酢酸塩、アルベンダゾール、アルブテロール硫酸塩、アリスキレンフマル酸塩、アロプリノール、アルプロスタジル、アマンタジン塩酸塩、アミノレブリン酸塩酸塩、アミオダロン塩酸塩、アモキシシリン、アンプレナビル、アナグレリド塩酸塩、アニデュラフンギン、アパルタミド、アピキサバン、アプレミラスト、アプレピタント、アリピプラゾール、アトルバスタチン、アゼライン酸、アジスロマイシン、ベニジピン、バゼドキシフェン酢酸塩、ベダキリンフマル酸塩、ベンゾナテート、ベキサロテン、ビカルタミド、ビニメチニブ、ビサコジル、ブリバラセタム、ブデソニド、カンデサルタン、カルバマゼピン、カベルゴリン、カンナビジオール、カンナビノイド、カーフィルゾミブ、カリソプロドール、カルベジロール、セフジニル、セフジトレン、セフィキシム、セフォチアム、セフポドキシム、セフロキシムアキセチル、セレコキシブ、クラリスロマイシン、クロロキン、クロルプロマジン、シクレソニド、シレキセチル、シロスタゾール、シプロフロキサシン、クラドリビン、クラリスロマイシン、クロファジミン、クロナゼパム、クロピドグレル、クロザピン、コビシスタット、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、クルクミン、シクロスポリン、シプロテロン、ダブラフェニブメシル酸塩、ダパグリフロジン、ダプソン、ダプトマイシン、ダサブビル、ダサチニブ、デフェラシロクス、デラフロキサシンメグルミン、デキサメタゾン、デキサメチルフェニデート塩酸塩、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジロキサニド、ドセタキセル、ドルテグラビルナトリウム、ドキシサイクリン、デュタステリド、デュベリシブ、エバスチン、エファビレンツ、エルクサドリン、エルビテグラビル、エンパグリフロジン、エナシデニブメシル酸塩、エンザルタミド、エパルレスタット、エプロサルタン、エリスロマイシン、エスリカルバゼピン酢酸塩、必須脂肪酸、エストラジオール、硫酸エストロン、イコサペント酸エチル、エトポシド、エトラビリン、エベロリムス、エゼチミブ、ファモチジン、フェノフィブラート、フリバンセリン、フルオシノニド、フルルビプロフェン、フルチカゾンフランカルボン酸エステル、プロピオン酸フルチカゾン、葉酸、ホルモテロールフマル酸塩、フロセミド、ゲフィチニブ、グラチラマー酢酸塩、グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリコピロラート、グリセオフルビン、ハロペリドール、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシジン、イブプロフェン、イブルチニブ、イコサペント酸エチル、イマチニブ、インジナビル、イルベサルタン、イリノテカン、イソトレチノイン、イトラコナゾール、イヴァカフトール、イベルメクチン、ケトプロフェン、L-カルボシステイン、ラモトリギン、レナリドミド、レシヌラド、レテルモビル、レバブテロール酒石酸塩、レボドパ、レボノルゲストレル、リネゾリド、ロピナビル、ロラタジン、ロラゼパム、ロバスタチン、ルビプロストン、マニジピン、メベンダゾール、メドロキシプロゲステロン、メフロキン、酢酸メゲストロール、メラトニン、メロキシカム、メルファラン、メナテトレノン、メルカプトプリン、メサラミン、メタキサロン、メチルフェニデート、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミドスタウリン、モダフィニル、フロ酸モメタゾン、モルヒネ硫酸塩、モサプリド、マイカミン、ナビロン、ナブメトン、ナリジクス酸、ナプロキセンナトリウム、ネルフィナビル、ネパフェナク、ネビラピン、ネラチニブ、ニセルゴリン、ニクロサミド、ニフェジピン、ニロチニブ、ニロチニブ塩酸塩一水和物、ニルバジピン、ニメスリド、ニモジピン、ニンテダニブ、ニチシノン、ニトロフラントイン、酢酸ノルエチンドロン、ナイスタチン、オランザピン、オラパリブ、オルメサルタン、オマダサイクリン、オピカポン、オルリスタット、オスペミフェン、オクスカルバゼピン、オキシコドン、パクリタキセル、パリペリドンパルミチン酸エステル、パロノセトロン塩酸塩、パリカルシトール、パゾパニブ塩酸塩、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、ピオグリタゾン、ピタバスタチン、ポサコナゾール、プランルカスト、プラジカンテル、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾン、プロゲステロン、ピランテル、ピリメタミン、クエチアピン、キニーネ、ラロキシフェン、レバミピド、レゴラフェニブ、レチノール、リボシクリブコハク酸塩、リファンピシン、リファキシミン、リルピビリン、リメゲパント、リオシグアト、リスペリドン、リトナビル、リバーロキサバン、ロフェコキシブ、ロラピタント塩酸塩、ロキシスロマイシン、ルカパリブ、サフィナミドメシル酸塩、サキナビル、センノシドA、セルトラリン、炭酸セベラマー、シルデナフィル、シメプレビル、シンバスタチン、シロリムス、ソホスブビル、ソニデギブリン酸塩、ソラフェニブトシル酸塩、スピロノラクトン、クエン酸スフェンタニル、スガマデクスナトリウム、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルタミシリン、スルピリド、スニチニブリンゴ酸塩、スボレキサント、タクロリムス、タダラフィル、タファミジス、タファミジスメグルミン、タモキシフェン、タシメルテオン、テコビリマット、テラプレビル、テルミサルタン、テロトリスタットエチル、テプレノン、テリフルノミド、テオフィリン、チクロピジン、チプラナビル、トコフェロールニコチン酸エステル、酒石酸トルテロジン、トポテカン塩酸塩、トスフロキサシン、トレチノイン、トリフルサール、トリメトプリム、ウメクリジニウム臭化物、ウリジントリアセテート、ウルソデオキシコール酸、バルプロ酸、バルサルタン、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、ビタミンA、ビタミンD、ベラパミル、ボリコナゾール、ワルファリン、ジプラシドン塩酸塩及びザルトプロフェンからなる群から選択される。
【0033】
溶解度の増加
本発明に係る複合体非晶質形態は、薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品の溶解度を増加させ、従来技術に係る二元複合体非晶質形態と比較して増加した溶解度でそれを増加させる。したがって、一実施形態では、タンパク質及び水溶性ポリマーとの複合体非晶質形態における薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品の溶解度は、同じタンパク質との二元複合体非晶質形態における薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品の溶解度と比較して増加される。
【0034】
さらなる実施形態では、タンパク質及び水溶性ポリマーとの複合体非晶質形態における薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品の溶解度は、同じ水溶性ポリマーとの二元複合体非晶質形態における薬物、栄養補給食品又は栄養補助食品の溶解度と比較して増加される。
【0035】
別の実施形態では、二元複合体非晶質形態と比較した溶解度の増加は、少なくとも50%である。さらに別の実施形態では、増加は、少なくとも70%である。さらに別の実施形態では、増加は、少なくとも100%である。
【0036】
一般的事項
本発明に係る化合物に関連して上述される任意の特徴及び/又は態様は、本明細書に記載される方法との類似性によって適用されることが理解されるべきである。
【0037】
以下の図及び実施例は、本発明を例示するために以下に提供される。それらは、例示的であることが意図され、限定的であると決して解釈されるものではない。
【実施例
【0038】
材料
以下に記載される実験について、化合物A(Mw=418.4g/mol、融点(Tm)=125℃、logP=3.998、pKa=5.41)、化合物B(Mw=385.4g/mol、Tm=208℃)、酢酸アビラテロン(Mw=391.6g/mol、Tm=147℃、logP=5.12、pKa=5.19)、イブルチニブ(Mw=440.5g/mol、Tm=149-158℃、pKa=3.74)、カンナビジオール(BSPG Laboratories,Sandwich,Kent,UK)(不純物プロファイル<0.15%を有する規格98%~102%の純粋なCBD単離物及びLOD 0.000004%を有するゼロTHCを含む)(Brains Bio,BSPG Laboratories,Sandwich,Kent,UK)((Mw=314g/mol、Tm=67.5℃、pKa=9.7)、タンパク質分画中>98%の純度割合を有するβ-ラクトグロブリン(BLG)、ポリビニルピロリジンK25(PVP K25,Kollidon(登録商標)25、BASF,Ludwigshafen,Germany)、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(1:1)タイプA(Eudragit(登録商標)L100-55,Evonik,Darmstadt,Germany)、ポリスチレンスルホネート(PSS,Sigma Aldrich,St.Louis,MO,USA)、微結晶性セルロース(MCC,Avicel PH 102,DuPont Nutrition,Ireland)、ポロキサマー407(Kolliphor(登録商標)P 407,BASF,Ludwigshafen,Germany)を使用した。
【0039】
方法
固体状態の調査のためのX線粉末回折(XRPD)
調製された配合物の固体状態を、Cu Kα線(λ=1.54187Å)を用いて、X’Pert PANanalytical PRO X線回折計(PANanalytical,Almelo,the Netherlands)を用いて調べた。試料を0.067°2θ/sの走査速度及び0.026°2θのステップサイズで5°~30°2θの反射モードにおいて走査した。加速電圧及び電流は、それぞれ45kV及び40mAである。
【0040】
ガラス転移温度(Tg)の測定のための温度変調示差走査熱量測定(mDSC)
試料のmDSCサーモグラムを、50mL/分の窒素ガス流下で、Discovery DSC(TA instruments,New Castle,USA)を用いて収集した。試料を0.2120℃の基本的な変調温度振幅及び40秒の期間で2℃/分の加熱速度において分析した。カンナビジオールについて試料を-40℃から150℃に加熱し、全ての他の化合物について試料を0℃から250℃に加熱した。合計で4~8mgの試料粉末をアルミニウムTzeroパン中に充填し、アルミニウムTzero蓋で密閉した。ガラス転移温度(Tg)を逆熱流シグナルからの中間点として決定した。
【0041】
実施例1-化合物Aの二元及び三元複合体非晶質形態の調製
調製方法
25%の薬物充填量における二元複合体非晶質形態を、30Hzにおいて4℃の低温室中で振動ボールミル粉砕(MixerMill MM400,Retsch GmbH&Co.,Haan,Germany)を用いて調製した。125mgの化合物A及び375mgのBLGの質量を25mLの粉砕ジャーに量り入れ、粉砕を、60分間にわたって2つの12mmのステンレス鋼ボールを用いて行った。
【0042】
25%の薬物充填量における三元複合体非晶質形態も30Hzにおいて4℃の低温室中で振動ボールミル粉砕を用いて調製した。100mgの化合物A、150mgのPVPK25及び150mgのBLGの質量を25mLの粉砕ジャーに量り入れ、粉砕を、120分間にわたって2つの12mmのステンレス鋼ボールを用いて行った。
【0043】
溶解方法-FaSSGF及びFaSSIF-V2における化合物Aの二元及び三元複合体非晶質形態の溶解
化合物Aの二元及び三元複合体非晶質形態の粉末溶解を溶解媒体として絶食状態模擬胃液(FaSSGF,Biorelevant)及び絶食状態模擬腸液V2(FaSSIF-V2,Biorelevant)中で室温において測定した。20mgの化合物Aに相当する試料を、200rpmの速度で撹拌しながら、20mLの溶解媒体を含むエルレンマイヤーフラスコ中に加えた。
【0044】
2mLの体積の溶解媒体を5、10、20、40、60、90及び120分の時点で溶解容器から取り出し、直ちに2mLの新鮮な溶解媒体で置き換えた。溶解試料を0.45μmのフィルタに通してろ過し、アセトニトリルを用いて希釈し、その後、0.45μmのフィルタに通して再度ろ過した。最後に、試料を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて薬物含量に対して分析した。溶解プロファイルを累積濃度としてプロットした。
【0045】
結果
非晶質ハロの出現(図1a)は、二元及び三元複合体非晶質形態の両方についての非晶質化の成功を示した。三元複合体非晶質形態のmDSCサーモグラムにおける単一のTgの出現(表1)は、それが均一な単相複合体非晶質系であることを示唆した。
【0046】
図2に示されるように、FaSSGFでは、三元複合体非晶質形態は、最初に約650μg/mLの化合物A(5分)を放出し、その後、化合物Aが約110μg/mLの濃度レベルになるまで沈殿した。比較すると、二元複合体非晶質形態は、全溶解期間中に約6~10μg/mLの低い濃度に達したに過ぎなかった。
【0047】
FaSSIF-V2では、三元複合体非晶質形態は、最初に約380μg/mLの化合物A(5分)を放出し、その後、化合物Aが約83μg/mLの濃度レベルになるまで沈殿した。比較すると、二元複合体非晶質形態は、同様に、全溶解期間中に15~25μg/mLの低い濃度に達したに過ぎなかった。これらの結果は、BLG及びPVPK25とともに配合された三元複合体非晶質形態が、二元複合体非晶質形態と比較して、化合物Aの溶解速度及び溶解度を有意に増加させたことを実証した。
【0048】
実施例2-化合物Bの二元及び三元複合体非晶質形態の調製
調製方法
23%の薬物充填量における二元及び三元複合体非晶質形態を、拡張カラム及び大型サイクロンが装着されたProCepT噴霧乾燥機(ProCepT,Zelzate,Belgium)を用いた噴霧乾燥によって調製した。二元複合体非晶質形態の場合、化合物B及びBLGを5%の固体濃度でギ酸に溶解させた。三元複合体非晶質形態の場合、化合物B、BLG及びEudragit L100-55(化合物B:BLG:EudL比:23:54:23、w/w/w)を6.5%の固体濃度でギ酸に溶解させた。噴霧乾燥プロセスを以下のプロセス設定下で行った:110℃の入口温度、0.4m/分の入口ガス流、300L/分のサイクロンガス流、6L/分のノズルガス流及び約2.5g/分の供給速度。カラム出口温度は、約67℃であると記録された。
【0049】
溶解方法-FaSSIF-V1における化合物Bの二元及び三元複合体非晶質形態の溶解
化合物Bの二元及び三元複合体非晶質形態の粉末溶解を溶解媒体として絶食状態模擬腸液V1(FaSSIF-V1,Biorelevant)中で室温において測定した。10mgの化合物Bに相当する試料を、200rpmの速度で撹拌しながら、10mLの溶解媒体を含むエルレンマイヤーフラスコ中に加えた。1mLの体積の溶解媒体を5、10、20、40、80及び120分の時点で溶解容器から取り出した。溶解試料を0.22μmのフィルタに通してろ過し、アセトニトリルを用いて希釈し、その後、0.22μmのフィルタに通して再度ろ過した。最後に、試料を、HPLCを用いて薬物含量に対して分析した。溶解プロファイルが各時点における濃度として示された。
【0050】
結果
非晶質ハロの出現(図1b)は、二元及び三元複合体非晶質形態の両方についての非晶質化の成功を示した。三元複合体非晶質形態のmDSCサーモグラムにおける2つのTの出現(表1)は、三元複合体非晶質形態が二相複合体非晶質系をもたらしたことを示唆した。
【0051】
図3に示されるように、化合物Bの三元複合体非晶質形態は、最初に約166μg/mLの化合物B(5分)を放出し、その後、120分後に濃度が約136μg/mLにわずかに減少した。比較すると、化合物Bの二元複合体非晶質形態は、最初に約38μg/mLの化合物B(5分)を放出し、その後、化合物Bが約15μg/mLの濃度レベルになるまで顕著に沈殿した。この試験は、BLG及びEudragit L100-55とともに配合された三元複合体非晶質形態が溶解度を増加させ、化合物Bの沈殿を防止したことを実証した。
【0052】
実施例3-酢酸アビラテロンの二元及び三元複合体非晶質形態の調製
調製方法
40%(w/w)及び56%(w/w)の薬物充填量における二元及び三元複合体非晶質形態を、拡張カラム及び大型サイクロンが装着されたProCepT噴霧乾燥機を用いた噴霧乾燥によって調製した。40%(w/w)の薬物充填量における二元配合物の場合、酢酸アビラテロン及びBLGを4%の固体濃度で50%(v/v)の水性1-プロパノールに溶解させた。56%(w/w)の薬物充填量における二元複合体非晶質形態の場合、酢酸アビラテロン及びBLGを3.5%の固体濃度で57%(v/v)の水性1-プロパノールに溶解させた。40%(w/w)及び56%(w/w)の薬物充填量における三元複合体非晶質形態の場合、酢酸アビラテロンを1:1の重量比のBLG及びEudragit L100-55(BLG:Eudragit L100-55)と一緒に4.5%の固体濃度で1-プロパノール、水及びギ酸の混合物(10:10:2、v/v/v)に溶解させた。噴霧乾燥プロセスを以下のプロセス設定下で行った:100℃の入口温度、0.4m/分の入口ガス流、300L/分のサイクロンガス流、6L/分のノズルガス流及び約4g/分の供給速度。カラム出口温度は、約58℃であると記録された。
【0053】
溶解方法-FaSSIF-V1における酢酸アビラテロンの二元及び三元複合体非晶質形態の溶解
酢酸アビラテロンの二元及び三元複合体非晶質形態の粉末溶解を溶解媒体として絶食状態模擬腸液V1(FaSSIF-V1,Biorelevant)中で室温において測定した。20mgの酢酸アビラテロンに相当する試料を、200rpmの速度で撹拌しながら、20mLの溶解媒体を含むエルレンマイヤーフラスコ中に加えた。
【0054】
2mLの体積の溶解媒体を5、10、20、40、60、90及び120分の時点で溶解容器から取り出し、直ちに2mLの新鮮な溶解媒体で置き換えた。溶解試料を0.45μmのフィルタに通してろ過し、アセトニトリルを用いて希釈し、その後、0.45μmのフィルタに通して再度ろ過した。最後に、試料を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて薬物含量に対して分析した。溶解プロファイルを累積濃度としてプロットした。
【0055】
結果
非晶質ハロの出現(図1c)は、三元複合体非晶質形態についての非晶質化の成功を示した。三元配合物のmDSCサーモグラムにおける単一のTgの出現(表1)は、両方の配合物が均一な単相複合体非晶質系をもたらしたことを示唆した。しかしながら、二元複合体非晶質形態は、ディフラクトグラムにおいて残っている結晶回折を示し、これは、それらが完全に非晶質でなかったことを示す。
【0056】
図4に示されるように、40%の薬物充填量における三元複合体非晶質形態は、約115μg/mLの酢酸アビラテロンを放出し(120分)、56%の薬物充填量における三元複合体非晶質形態は、約85μg/mLの酢酸アビラテロンを放出した(120分)。比較すると、40%の薬物充填量における二元配合物は、約85μg/mLの酢酸アビラテロンを放出し(60分)、その後、酢酸アビラテロンが120分後に約70μg/mLの濃度レベルになるまで沈殿した。56%の薬物充填量における二元配合物は、約57μg/mLの酢酸アビラテロンを放出したに過ぎなかった(120分)。これらの結果は、BLG及びEudragit L100-55を含む三元複合体非晶質形態が、二元配合物と比較して、酢酸アビラテロンの溶解速度及び溶解度を有意に増加させたことを実証した。
【0057】
実施例4-イブルチニブの二元及び三元複合体非晶質形態の調製
調製方法
50%の薬物充填量における二元及び三元複合体非晶質形態を、拡張カラム及び大型サイクロンが装着されたProCepT噴霧乾燥機(ProCepT,Zelzate,Belgium)を用いた噴霧乾燥によって調製した。二元複合体非晶質形態の場合、イブルチニブをBLG又はポリスチレンスルホネート(PSS)と一緒に2.6%の固体濃度でメタノール及び水の混合物(74:26、v/v)に溶解させた。三元複合体非晶質形態の場合、イブルチニブを1:1の重量比のBLG及びPSS(BLG:PSS)と一緒に2.6%の固体濃度でメタノール及び水の混合物(74:26、v/v)に溶解させた。噴霧乾燥プロセスを以下のプロセス設定下で行った:120℃の入口温度、0.4m/分の入口ガス流、300L/分のサイクロンガス流、6L/分のノズルガス流及び約4g/分の供給速度。カラム出口温度は、約64℃であると記録された。
【0058】
溶解方法-FaSSIF-V2におけるイブルチニブの二元及び三元複合体非晶質形態の溶解
イブルチニブの二元及び三元複合体非晶質形態の粉末溶解を溶解媒体として絶食状態模擬腸液V2(FaSSIF-V2,Biorelevant)中で室温において測定した。20mgのイブルチニブに相当する試料を、250rpmの速度で撹拌しながら、20mLの溶解媒体を含むエルレンマイヤーフラスコ中に加えた。2mLの体積の溶解媒体を5、10、20、40、60、90及び120分の時点で溶解容器から取り出した。溶解試料を14600rpmで3分間にわたって遠心分離し、上清を収集し、アセトニトリルを用いて希釈した。その後、試料を0.45μmのフィルタを通してろ過し、HPLCを用いて薬物含量に対して分析した。溶解プロファイルが各時点における濃度として示された。
【0059】
結果
非晶質ハロの出現(図1d)は、二元及び三元複合体非晶質形態の両方についての非晶質化の成功を示した。三元配合物のmDSCサーモグラムにおける単一のTgの出現(表1)は、この配合物が均一な単相複合体非晶質系をもたらしたことを示唆した。
【0060】
図5に示されるように、イブルチニブの三元複合体非晶質形態は、最初に約181μg/mLのイブルチニブ(5分)を放出し、その後、120分後に約127μg/mLに濃度が減少した。比較すると、PSSを含む二元複合体非晶質形態は、約117μg/mLのイブルチニブを放出したに過ぎず(5分)、その後、約80μg/mLに濃度が減少し(120分)、BLGを含む二元複合体非晶質形態は、全溶解期間中に67μg/mLを放出したに過ぎなかった。この試験は、BLG及びPSSとともに配合された三元複合体非晶質形態が、二元配合物と比較して、イブルチニブの溶解度を増加させたことを実証した。
【0061】
実施例5-カンナビジオールの二元及び三元複合体非晶質形態の調製
調製方法
二元及び三元複合体非晶質形態を、拡張カラム及び大型サイクロンが装着されたProCepT噴霧乾燥機(ProCepT,Zelzate,Belgium)を用いた噴霧乾燥によって調製した。カンナビジオール及びBLGを、ポロキサマー407と一緒に又はポロキサマー407なしで、3~4%の固体濃度でメタノール及び水の混合物に溶解させた。さらに、不溶性微結晶性セルロース(MCC)を含む三元複合体非晶質形態を、カンナビジオール、BLG及びポロキサマー407を含有する溶液中にMCCをさらに分散させることによる以外には三元配合物と同じ溶液から噴霧乾燥させた。BLGを含む二元配合物を薬物充填量20及び30%で調製した。三元配合物を30%の薬物充填量で調製し、カンナビジオール_30%DLと略記する。さらなるMCCを含む三元配合物の場合、カンナビジオールBSPG、BLG及びポロキサマー407間の比率は、30:55:15であったが、分散されたMCCを含む場合、成分間の比率は、23:42:12:23であった。三元配合物についての比率は、同じままであるため、この配合物をカンナビジオール_30%DL(MCC)と略記する。噴霧乾燥プロセスを以下のプロセス設定下で行った:100℃の入口温度、0.4m/分の入口ガス流、300L/分のサイクロンガス流、6L/分のノズルガス流及び約4g/分の供給速度。
【0062】
溶解方法-FaSSIF-V2におけるカンナビジオールBSPGの二元及び三元複合体非晶質形態の溶解
カンナビジオールの二元及び三元複合体非晶質形態の粉末溶解を溶解媒体として絶食状態模擬腸液V2(FaSSIF-V2,Biorelevant)中で37℃において測定した。10mgのカンナビジオールに相当する試料を、100rpmの速度において小型のパドルで撹拌しながら、100mLの溶解媒体を含むERWEKA DT 70溶解試験機(ERWEKA,Langen,Germany)でUSP II設備中に加えた。2mLの体積の溶解媒体を5、10、20及び40分の時点で溶解容器から取り出した。溶解試料を14500rpmで3分間にわたって遠心分離し、上清を収集し、メタノールを用いて希釈した。その後、試料を0.45μmのフィルタを通してろ過し、HPLCを用いて薬物含量に対して分析した。溶解プロファイルが各時点における濃度として示された。
【0063】
結果
非晶質ハロの出現(図1e)は、三元複合体非晶質形態についての非晶質化の成功を示した。三元配合物のmDSCサーモグラムにおける単一のTgの出現(表1)は、両方の配合物が均一な単相複合体非晶質系をもたらしたことを示唆した。しかしながら、20%及び30%の薬物充填量における二元複合体非晶質形態は、ディフラクトグラムにおいて残っている結晶回折を示し、これは、それらが完全に非晶質でなかったことを示す。
【0064】
図6に示されるように、MCCを含む及び含まない30%の薬物充填量におけるカンナビジオールの三元複合体非晶質形態は、それぞれ約98μg/mL及び80μg/mLのカンナビジオールを放出した(40分)。比較すると、30%の薬物充填量及びさらにより少ない薬物充填量(20%)における二元複合体非晶質形態は、約31μg/mLのカンナビジオールを放出したに過ぎず(5分)、その後、約24μg/mLの濃度に減少した(40分)。この試験は、BLG及びポロキサマー407とともに配合された三元複合体非晶質形態が、二元配合物と比較して、カンナビジオールの溶解度を増加させたことを実証した。
【0065】
実施例6-オラパリブの二元及び三元複合体非晶質形態の調製
60:25:15の重量比でオラパリブ、BLG及びEudragit Lを含む三元オラパリブ配合物は、オラパリブ、BLG及びEudragit Lをエタノール及び水の混合物又はエタノール、水及びギ酸の混合物に溶解させることによって調製され得、次に得られた溶液を上述のように噴霧乾燥させて、BLG及びEudragit L中のオラパリブの三元複合体非晶質形態を生成した。
【0066】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】