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特表2024-543162風力タービンブレード設置システム及び関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】風力タービンブレード設置システム及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/10 20160101AFI20241112BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20241112BHJP
   B66C 23/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
F03D13/10
F03D1/06 A
B66C23/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024531324
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2022061311
(87)【国際公開番号】W WO2023095003
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】2021903775
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524194322
【氏名又は名称】グレゴリー、ジョン、ネイバーズ
【氏名又は名称原語表記】NEIGHBOURS, Gregory John
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、ジョン、ネイバーズ
【テーマコード(参考)】
3F205
3H178
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205AA06
3F205BA01
3F205CA03
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC02
3H178CC23
3H178CC25
3H178DD67X
3H178DD70X
(57)【要約】
風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドに風力タービンブレードを設置する方法及び関連するシステムであって、方法は、ブレードを実質的に垂直な向きでタワーに吊り上げるステップを含み、タワーの上へのブレードの移動は、ブレードとタワーとの中間の少なくとも1つのキャリッジであって、ブレードに着脱可能に固定された少なくとも1つのキャリッジによって案内され、少なくとも1つのキャリッジは、ブレードが吊り上げられているときにタワーの1つ又は複数の外面に接触する、方法及び関連するシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドに風力タービンブレードを設置する方法であって、
a.前記ブレードを、ブレード根元部を最上部とし、且つ前記ブレードが実質的に垂直に延びる向きにおいて、前記ブレードと前記タワーとの中間の少なくとも1つのキャリッジによって前記タワーに沿って案内されて、前記タワーに吊り上げるステップであって、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードに着脱可能に固定され、且つ前記ブレードが吊り上げられるときに前記タワーの1つ又は複数の外面に接触する、ステップと、
b.前記少なくとも1つのキャリッジを使用して前記タワーに対する前記ブレードの位置を調整することにより、前記ブレード根元部を前記ロータヘッドのブレード取付フランジと整列して位置決めするステップであって、それにより、根元部ボルトは、根元部ボルト開口部に挿入することができる、ステップと、
c.前記ブレードを移動させて、根元部ボルトを前記ボルト開口部に挿入するステップと、
d.前記根元部ボルトを使用して前記ブレードを前記ロータヘッドに固定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのキャリッジは、吊上げ中、前記ブレード根元部又はその近傍で前記ブレードに固定される上側キャリッジである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吊上げは、前記ブレード及び/又は前記少なくとも1つのキャリッジ(好ましくは前記上側キャリッジ)に取外し可能に取り付けられた支持ケーブル又はロープによるものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記吊上げ前に、前記ブレード(好ましくはそのアンカ、例えば吊上げアンカ)及び/又は少なくとも1つのキャリッジに支持ケーブル又はロープを取り付けるステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記吊上げ前に、前記ブレードが、それに固定された前記少なくとも1つのキャリッジと共に、前記タワーに隣接する地面によって支持された実質的に水平な状態であるとき、前記ブレード及び/又は少なくとも1つのキャリッジに支持ケーブル又はロープを取り付けるステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ブレードは、前記吊上げ前に支持車両又は支持ラック上で前記地面によって支持される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ブレードは、クレーンにより、その水平状態から、その垂直のタワーに沿った吊上げ状態に移行される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレードは、前記ブレードを持ち上げることができるクレーンにより、その水平状態から、その垂直のタワーに沿った吊上げ状態に移行される、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ブレードは、前記吊上げアンカから離間された位置で前記ブレードを持ち上げることができるクレーンにより、その水平状態から、その垂直のタワーに沿った吊上げ状態に移行される、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記離間された位置は、前記ブレードのリフティングアンカによって規定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記リフティングアンカは、その後、前記ブレードの前記吊上げが行われる場所よりもブレード先端部の近傍に位置する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのキャリッジは、吊上げ中、前記ブレード根元部又はその近傍で前記ブレードに固定される上側キャリッジであり、前記離間された位置は、ブレード先端部のより近傍で前記ブレードに固定される、前記少なくとも1つのキャリッジの第2のものによって規定される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記クレーンは、リフティングブームと、前記リフティングブームから前記ブレードまで延びて前記ブレードを持ち上げるリフティングケーブル又はロープとを含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記クレーンは、車載型である、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記水平状態において、前記ブレード及び前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーから離されている、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
前記クレーン及び前記支持ケーブルは、連係して前記ブレードを懸架し、且つその水平状態からその吊上げ状態に移動させる、請求項7~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記クレーン及び前記支持ケーブルは、前記少なくとも1つのキャリッジを前記タワーの1つ又は複数の外面に接触させることにより、連係して前記ブレードを懸架し、且つその水平状態からその吊上げ状態に移動させる、請求項7~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記クレーンは、前記ブレードが垂直であり、及び前記少なくとも1つのキャリッジが前記タワーに対して位置すると、前記ブレードから切り離される、請求項7~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記クレーンは、前記ブレードが前記吊上げケーブル又はロープのみによって完全に懸架されると、前記ブレードから切り離される、請求項7~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記吊上げ状態において、少なくとも2つ、好ましくは3つのキャリッジは、離間された位置で前記ブレードに取外し可能に固定され、前記ブレードと前記タワーとの中間に位置して前記タワーによって案内される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記吊上げ状態において、上側キャリッジは、前記ブレード根元部又はその近傍で前記ブレードに取外し可能に固定され、下側キャリッジは、前記ブレード先端部の近傍で前記ブレードに取外し可能に固定され、且つ前記上側キャリッジから独立している、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記吊上げ中、前記タワーの表面のうちの前記表面上及びその上方で移動することができる車輪又はベアリングを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記車輪又はベアリングは、吊上げ中に前記ブレードが前記タワーに対して揺れることを防止するのに役立つ、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーの表面のうちの前記表面の上方を移動し、且つ前記少なくとも1つのキャリッジが前記タワーから所定の距離で前記ブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーの表面のうちの前記表面の上方を移動し、且つ前記少なくとも1つのキャリッジが前記タワーから所定の径方向位置で前記ブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーの表面のうちの前記表面の上方を移動し、且つ前記少なくとも1つのキャリッジが前記タワーから所定の接線方向位置で前記ブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ブレードの前記位置決めは、前記少なくとも1つのキャリッジによって実現される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのキャリッジ(好ましくは少なくとも前記上側キャリッジ)は、前記ブレードと前記タワーとの相対位置が調整されることを可能にする機構を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記機構は、少なくとも2軸の並進機構である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記機構は、前記キャリッジにおいて前記タワーに対して前記ブレードを径方向及び接線方向に変位させることができる少なくとも2軸の並進機構である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記機構は、前記ブレードを移動させて、前記根元部ボルトを前記ボルト開口部に挿入させることができる、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードの吊上げ中、前記タワーと滑り接触又は転がり接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記吊上げは、前記ブレードの上方の吊上げ点から行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記吊上げ点は、前記タワーに対して固定される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記吊上げ点は、吊上げ中、前記ブレード及びその固定されたキャリッジにおいて、表面のうちの前記タワー表面に向かって重力の偏りがあるように位置する、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記ブレードを吊り上げるためのウインチは、前記タワーが支持される前記地面によって支持される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ブレードを吊り上げるためのウインチは、前記タワーが支持される前記地面によって固定される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ブレードを吊り上げるためのウインチは、前記タワーが支持される前記地面に且つその上で固定される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記支持ケーブル又はロープは、吊上げ中、前記ブレード又は前記少なくとも1つのキャリッジから上方に吊上げ点まで延びる、請求項3~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記支持ケーブル又はロープは、吊上げ中、前記ブレード又は前記少なくとも1つのキャリッジから上方に吊上げ点まで延び、且つ前記吊上げ点から前記地面に向かって吊上げウインチまで延びる、請求項3~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記ブレードを固定した後、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードから取り外される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ブレードを固定した後、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードから取り外され、且つ前記地面まで下降される、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記ブレードを固定した後、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードから取り外され、且つ前記支持ケーブルによって前記地面まで下降される、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ブレードは、好ましくは、道路車両である支持車両によって(例えば、トラックによって、例えば前記トラックのトレーラ上で)遠隔位置から前記風力発電機に送られる、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記ブレードは、支持車両によって遠隔位置から前記風力発電機に送られ、及び前記クレーンは、前記車両に取り付けられる、請求項7~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドから風力タービンブレードを取り外す方法であって、
a.前記ブレードの根元部ボルトとロータヘッドとの固定を解除するステップと、
b.前記ブレードを移動させて、前記根元部ボルトをボルト開口部から取り外すステップと、
c.前記ブレードを、前記ブレード根元部を最上部とし、且つ前記ブレードが実質的に垂直に延びる向きにおいて、前記ブレードと前記タワーとの中間の少なくとも1つのキャリッジによって前記タワーに沿って案内されて、前記タワーの下に下降させるステップであって、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードに着脱可能に固定され、且つ前記ブレードが下降されるときに前記タワーの1つ又は複数の外面に接触する、ステップと
を含む方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記下降前に前記ブレードに固定される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つのキャリッジは、下降中、前記ブレード根元部又はその近傍で前記ブレードに固定される上側キャリッジである、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記下降は、前記ブレード及び/又は前記少なくとも1つのキャリッジ(好ましくは前記上側キャリッジ)に取外し可能に取り付けられた支持ケーブル又はロープによるものである、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記下降前(及び好ましくは前記固定解除前)に、前記ブレード(好ましくはその吊上げアンカ)及び/又は少なくとも1つのキャリッジに支持ケーブル又はロープを取り付けるステップをさらに含む、請求項46~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記ブレードは、支持車両又は支持ラック上に下降される、請求項46~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ブレードは、クレーンにより、垂直のタワーに沿った吊上げ状態からその水平状態に移行される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ブレードは、前記ブレードを持ち上げることができるクレーンにより、垂直のタワーに沿った吊上げ状態からその水平状態に移行される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記ブレードは、前記吊上げアンカから離間された位置で前記ブレードを持ち上げることができるクレーンにより、垂直のタワーに沿った吊上げ状態からその水平状態に移行される、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記離間された位置は、前記ブレードのリフティングアンカによって規定される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記リフティングアンカは、その後、前記ブレードの前記下降が行われる場所よりもブレード先端部の近傍に位置する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記水平状態において、前記ブレード及び前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーから離されている、請求項52~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記クレーン及び前記支持ケーブルは、連係して前記ブレードを懸架し、且つその垂直下降状態からその水平状態に移動させる、請求項52~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記下降は、前記ブレードの上方の吊上げ点から行われる、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
前記ブレードを下降させるためのウインチは、前記タワーが支持される地面によって支持される、請求項46~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
ウインチは、前記タワーが支持される前記地面によって固定される、請求項46~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
ウインチは、前記タワーが支持される前記地面に且つその上で固定される、請求項46~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドに又はそれから風力タービンブレードを設置し、及び/又は取り外すためのシステムであって、
a.前記ブレードを垂直状態で支持し、且つ前記ブレードの上方の位置から前記ブレードを吊り上げ、及び/又は下降させることができる支持ケーブル又はロープ、
b.前記ブレードと前記タワーとの中間に位置し、及び前記ブレードに着脱可能に固定され、且つ前記ブレードが前記支持ケーブルによって吊り上げられ、及び/又は下降されるときに前記タワーの1つ又は複数の外面に接触する少なくとも1つのキャリッジであって、前記ブレードと前記タワーとの相対位置が調整されることを可能にして、前記少なくとも1つのキャリッジを使用して前記タワーに対する前記ブレードの前記位置を調整することにより、ブレード根元部を前記ロータヘッドのブレード取付フランジと整列して位置決めする機構を含み、それにより、根元部ボルトは、根元部ボルト開口部に挿入することができる、少なくとも1つのキャリッジ
を含むシステム。
【請求項64】
風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドに又はそれから風力タービンブレードを設置し、及び/又は取り外すためのシステムであって、
a.前記ブレードを垂直状態で支持し、且つ前記ブレードの上方の位置から前記ブレードを吊り上げ、及び/又は下降させることができる支持ケーブル又はロープ、
b.前記ブレードと前記タワーとの中間に位置し、及び前記ブレードに着脱可能に固定され、且つ前記ブレードが前記支持ケーブルによって吊り上げられ、及び/又は下降されるときに前記タワーの1つ又は複数の外面に接触する少なくとも1つのキャリッジ、
c.前記ブレードを持ち上げ、及び前記支持ケーブルと連係して、前記ブレードを、前記タワーに平行であり且つ隣接するその垂直状態と、前記タワーからより離れた水平状態との間で移行させることができるクレーン
を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンブレード設置システム及び関連する風力タービンブレード設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンブレードの設置は、典型的には、風力タービンのタワーの頂部にあるナセルのロータハブ又はヘッドまで風力タービンブレードを持ち上げることを必要とする。ほとんどの風力タービンの高さ(約100メートル以上)を考えると、これは、危険であり得、したがって時間及びコストのかかるプロセスであり得る。
【0003】
知られている方法は、地面レベルで支持され、ブレードの様々な部分に接続する複数の高所クレーンを利用し得、ブレードが風力タービンのナセルに到達するまでブレードを繰り返し徐々に持ち上げる。これは、風力タービン設置ファーム/フィールドでの典型的には強風の状況での特異なプロセスであり得、強風によってクレーンケーブル、したがってブレード自体の危険な揺れが引き起こされ得る。さらに、揺れがときに共振に達し得、クレーンケーブル/ブレードの非常に高周波数及び高振幅の運動をもたらす。これは、危険であり、これによりブレードとナセルのロータハブ又はヘッドとの最終的な位置合わせが非常に困難になることが多い。タワー自体に取り付けられたクレーンも、複雑で時間のかかる組立て及び解体プロセスを必要とし得、コスト及び建造時間をさらに増加させる。
【0004】
他の方法は、ヘリコプターなどの航空機を利用して、ブレードをナセルまで直接空輸し得る。しかし、ブレードを持ち上げるために必要なヘリコプターの所要トン数及びその結果生じる燃料消費を考えると、これは、非常に高価であり得る。さらに、強風の状況で飛行が安全でないと考えられ得ることが多く、それにより、空輸は、選択肢として完全にないわけではないが困難である。
【0005】
したがって、知られている方法及びシステムの上記の問題を少なくとも部分的に回避する風力タービンブレード設置システム及び対応する方法を提供する必要がある。
【0006】
本明細書では、特許明細書及び他の文献を含む外部情報源が参照され得、これは、通常、本発明の特徴を論じるための文脈を提供することを目的とする。特に記載がない限り、そのような情報源への言及は、いかなる管轄区域でもそのような情報源が先行技術であること又は当技術分野における一般常識の一部を成すことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0007】
本明細書の目的では、方法ステップが順に述べられる場合、その順序は、順序を解釈する他の論理的な方法がない限り、必ずしもそれらのステップが時系列的にその順序で並べられなければならないことを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の欠点のいくつかを克服するか若しくは少なくとも部分的に改善するか、又は少なくとも有用な選択肢を公に提供する風力タービンブレード設置システム及び/又は方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドに風力タービンブレードを設置する方法であって、
ブレードを、ブレードの根元部を最上部とし、且つブレードが実質的に垂直に延びる向きにおいて、ブレードとタワーとの中間の少なくとも1つのキャリッジによってタワーに沿って案内されて、タワーに吊り上げるステップであって、少なくとも1つのキャリッジは、ブレードに着脱可能に固定され、且つブレードが吊り上げられるときにタワーの1つ又は複数の外面に接触する、ステップと、
必要に応じて、任意選択で、少なくとも1つのキャリッジを使用してタワーに対するブレードの位置を調整することにより、ブレード根元部をロータヘッドのブレード取付フランジと整列して位置決めするステップであって、それにより、根元部ボルトは、根元部ボルト開口部に挿入することができる、ステップと、
ブレードを移動させて、根元部ボルトをボルト開口部に挿入するステップと、
根元部ボルトを使用してブレードをロータヘッドに固定するステップと
を含む方法と言うことができる。
【0010】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、吊上げ中、ブレード根元部又はその近傍でブレードに固定される上側キャリッジである。
【0011】
好ましくは、前記吊上げは、ブレード及び/又は少なくとも1つのキャリッジ(好ましくは上側キャリッジ)に取外し可能に取り付けられた支持ケーブル又はロープによるものである。
【0012】
好ましくは、本方法は、前記吊上げ前に、ブレード(好ましくはそのアンカ、例えば吊上げアンカ)及び/又は少なくとも1つのキャリッジに支持ケーブル又はロープを取り付けるステップをさらに含む。
【0013】
好ましくは、本方法は、前記吊上げ前に、ブレードが、それに固定された前記少なくとも1つのキャリッジと共に、タワーに隣接する地面によって支持された実質的に水平な状態であるとき、ブレード及び/又は少なくとも1つのキャリッジに支持ケーブル又はロープを取り付けるステップを含む。
【0014】
好ましくは、ブレードは、前記吊上げ前に支持車両又は支持ラック上で地面によって支持される。
【0015】
好ましくは、ブレードは、クレーンにより、その水平状態から、その垂直のタワーに沿った吊上げ状態に移行される。
【0016】
好ましくは、ブレードは、ブレードを持ち上げることができるクレーンにより、その水平状態から、その垂直のタワーに沿った吊上げ状態に移行される。
【0017】
好ましくは、ブレードは、吊上げアンカから離間された位置でブレードを持ち上げることができるクレーンにより、その水平状態から、その垂直のタワーに沿った吊上げ状態に移行される。
【0018】
好ましくは、離間された位置は、ブレードのリフティングアンカによって規定される。
【0019】
好ましくは、リフティングアンカは、その後、ブレードの吊上げが行われる場所よりもブレード先端部の近傍に位置する。
【0020】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、吊上げ中、ブレード根元部又はその近傍でブレードに固定される上側キャリッジであり、離間された位置は、ブレード先端部のより近傍でブレードに固定される、前記少なくとも1つのキャリッジの第2のものによって規定される。
【0021】
好ましくは、クレーンは、リフティングブームと、リフティングブームからブレードまで延びてブレードを持ち上げるリフティングケーブル又はロープとを含む。
【0022】
好ましくは、クレーンは、車載型である。
【0023】
好ましくは、水平状態において、ブレード及び少なくとも1つのキャリッジは、タワーから離されている。
【0024】
好ましくは、クレーン及び支持ケーブルは、連係してブレードを懸架し、且つその水平状態からその吊上げ状態に移動させる。
【0025】
好ましくは、クレーン及び支持ケーブルは、少なくとも1つのキャリッジをタワーの1つ又は複数の外面に接触させることにより、連係してブレードを懸架し、且つその水平状態からその吊上げ状態に移動させる。
【0026】
好ましくは、クレーンは、ブレードが垂直であり、及び少なくとも1つのキャリッジがタワーに対して位置すると、ブレードから切り離される。
【0027】
好ましくは、クレーンは、ブレードが吊上げケーブル又はロープのみによって完全に懸架されると、ブレードから切り離される。
【0028】
好ましくは、吊上げ状態において、少なくとも2つ、好ましくは3つのキャリッジは、離間された位置でブレードに取外し可能に固定され、ブレードとタワーとの中間に位置してタワーによって案内される。
【0029】
好ましくは、吊上げ状態において、上側キャリッジは、ブレード根元部又はその近傍でブレードに取外し可能に固定され、下側キャリッジは、ブレード先端部の近傍でブレードに取外し可能に固定され、且つ上側キャリッジから独立している。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、前記吊上げ中、タワーの表面のうちのその表面上及びその上方で移動することができる車輪又はベアリングを含む。
【0031】
好ましくは、車輪又はベアリングは、吊上げ中にブレードがタワーに対して揺れることを防止するのに役立つ。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、タワーの表面のうちのその表面の上方を移動し、且つ少なくとも1つのキャリッジがタワーから所定の距離でブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む。
【0033】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、タワーの表面のうちのその表面の上方を移動し、且つ少なくとも1つのキャリッジがタワーから所定の径方向位置でブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む。
【0034】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、タワーの表面のうちのその表面の上方を移動し、且つ少なくとも1つのキャリッジがタワーから所定の接線方向位置でブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む。
【0035】
好ましくは、ブレードの位置決めは、少なくとも1つのキャリッジによって実現される。
【0036】
好ましくは、前記少なくとも1つのキャリッジ(好ましくは少なくとも前記上側キャリッジ)は、ブレードとタワーとの相対位置を調整されることを可能にする機構を含む。
【0037】
好ましくは、前記機構は、少なくとも2軸の並進機構である。
【0038】
好ましくは、前記機構は、前記キャリッジにおいてタワーに対してブレードを径方向及び接線方向に変位させることができる少なくとも2軸の並進機構である。
【0039】
好ましくは、機構は、ブレードを移動させて、根元部ボルトをボルト開口部に挿入させることができる。
【0040】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、ブレードの吊上げ中、タワーと滑り接触又は転がり接触する。
【0041】
好ましくは、吊上げは、ブレードの上方の吊上げ点から行われる。
【0042】
好ましくは、吊上げ点は、タワーに対して固定される。
【0043】
好ましくは、吊上げ点は、吊上げ中、ブレード及びその固定されたキャリッジにおいて、表面のうちのそのタワー表面に向かって重力の偏りがあるように位置する。
【0044】
好ましくは、ブレードを吊り上げるためのウインチは、タワーが支持される地面によって支持される。
【0045】
好ましくは、ブレードを吊り上げるためのウインチは、タワーが支持される地面によって固定される。
【0046】
好ましくは、ブレードを吊り上げるためのウインチは、タワーが支持される地面に且つその上で固定される。
【0047】
好ましくは、支持ケーブル又はロープは、吊上げ中、ブレード又は前記少なくとも1つのキャリッジから上方に吊上げ点まで延びる。
【0048】
好ましくは、支持ケーブル又はロープは、吊上げ中、ブレード又は前記少なくとも1つのキャリッジから上方に吊上げ点まで延び、且つ吊上げ点から地面に向かって吊上げウインチまで延びる。
【0049】
好ましくは、ブレードを固定した後、少なくとも1つのキャリッジは、ブレードから取り外される。
【0050】
好ましくは、ブレードを固定した後、少なくとも1つのキャリッジは、ブレードから取り外され、且つ地面まで下降される。
【0051】
好ましくは、ブレードを固定した後、少なくとも1つのキャリッジは、ブレードから取り外され、且つ支持ケーブルによって地面まで下降される。
【0052】
好ましくは、ブレードは、好ましくは、道路車両である支持車両によって(例えばトラックによって、例えばトラックのトレーラ上で)遠隔位置から風力発電機に送られる。
【0053】
好ましくは、ブレードは、支持車両によって遠隔位置から風力発電機に送られ、及びクレーンは、前記車両に取り付けられる。
【0054】
さらなる態様では、本発明は、風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドから風力タービンブレードを取り外す方法であって、
ブレードの根元部ボルトとロータヘッドとの固定を解除するステップと、
ブレードを移動させて、根元部ボルトをボルト開口部から取り外すステップと、
ブレードを、ブレード根元部を最上部とし、且つブレードが実質的に垂直に延びる向きにおいて、ブレードとタワーとの中間の少なくとも1つのキャリッジによってタワーに沿って案内されて、タワーの下に下降させるステップであって、少なくとも1つのキャリッジは、ブレードに着脱可能に固定され、且つブレードが下降されるときにタワーの1つ又は複数の外面に接触する、ステップと
を含む方法と言うことができる。
【0055】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、前記下降前にブレードに固定される。
【0056】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、下降中、ブレード根元部又はその近傍でブレードに固定される上側キャリッジである。
【0057】
好ましくは、前記下降は、ブレード及び/又は少なくとも1つのキャリッジ(好ましくは上側キャリッジ)に取外し可能に取り付けられた支持ケーブル又はロープによるものである。
【0058】
好ましくは、本方法は、前記下降前(及び好ましくは前記固定解除前)に、ブレード(好ましくはその吊上げアンカ)及び/又は少なくとも1つのキャリッジに支持ケーブル又はロープを取り付けるステップをさらに含む。
【0059】
好ましくは、ブレードは、支持車両又は支持ラック上に下降される。
【0060】
好ましくは、ブレードは、クレーンにより、垂直のタワーに沿った吊上げ状態からその水平状態に移行される。
【0061】
好ましくは、ブレードは、ブレードを持ち上げることができるクレーンにより、垂直のタワーに沿った吊上げ状態からその水平状態に移行される。
【0062】
好ましくは、ブレードは、吊上げアンカから離間された位置でブレードを持ち上げることができるクレーンにより、垂直のタワーに沿った吊上げ状態からその水平状態に移行される。
【0063】
好ましくは、離間された位置は、ブレードのリフティングアンカによって規定される。
【0064】
好ましくは、リフティングアンカは、その後、ブレードの下降が行われる場所よりもブレード先端部の近傍に位置する。
【0065】
好ましくは、水平状態において、ブレード及び少なくとも1つのキャリッジは、タワーから離されている。
【0066】
好ましくは、クレーン及び支持ケーブルは、連係してブレードを懸架し、且つその垂直下降状態からその水平状態に移動させる。
【0067】
好ましくは、下降は、ブレードの上方の吊上げ点から行われる。
【0068】
好ましくは、ブレードを下降させるためのウインチは、タワーが支持される地面によって支持される。
【0069】
好ましくは、ウインチは、タワーが支持される地面によって固定される。
【0070】
好ましくは、ウインチは、タワーが支持される地面に且つその上で固定される。
【0071】
さらなる態様では、本発明は、風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドに又はそれからタービンブレードを設置し、及び/又は取り外すためのシステムであって、
a.ブレードを垂直な状態で支持し、且つ前記ブレードの上方の位置から前記ブレードを吊り上げ、及び/又は下降させることができる支持ケーブル又はロープ、
b.ブレードとタワーの中間に位置し、及びブレードに着脱可能に固定され、且つブレードが支持ケーブルによって吊り上げられ、及び/又は下降されるときにタワーの1つ又は複数の外面と接触する少なくとも1つのキャリッジであって、ブレードとタワーとの相対位置が調整されることを可能にして、少なくとも1つのキャリッジを使用してタワーに対するブレードの位置を調整することにより、ブレード根元部をロータヘッドのブレード取付フランジと整列して位置決めする機構を含み、それにより、根元部ボルトは、根元部ボルト開口部に挿入することができる、少なくとも1つのキャリッジ
を含むシステムと言うことができる。
【0072】
さらなる態様では、本発明は、風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドに又はそれから風力タービンブレードを設置し、及び/又は取り外すためのシステムであって、
a.ブレードを垂直な状態で支持し、且つ前記ブレードの上方の位置から前記ブレードを吊り上げ、及び/又は下降させることができる支持ケーブル又はロープ、
b.ブレードとタワーの中間に位置し、及びブレードに着脱可能に固定され、且つブレードが支持ケーブルによって吊り上げられ、及び/又は下降されるときにタワーの1つ又は複数の外面と接触する少なくとも1つのキャリッジ、
c.ブレードを持ち上げて、及び支持ケーブルと連係して、ブレードを、タワーに平行であり且つ隣接するその垂直状態と、タワーからより離れた水平状態との間で移行させることができるクレーン
を含むシステムと言うことができる。
【0073】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、吊上げ中、ブレード根元部又はその近傍でブレードに固定される上側キャリッジである。
【0074】
好ましくは、前記吊上げ及び/又は下降は、ブレード及び/又は少なくとも1つのキャリッジ(好ましくは上側キャリッジ)に取外し可能に取り付けることができる支持ケーブル又はロープによるものである。
【0075】
好ましくは、ブレードを持ち上げて、支持ケーブルと連係して、ブレードを、タワーに平行であり且つ隣接するその垂直状態と、タワーからより離れた水平状態との間で移行させることができるクレーンが提供される。
【0076】
好ましくは、クレーンは、ブレードを持ち上げることができる。
【0077】
好ましくは、クレーンは、吊上げアンカから離間された位置でブレードを持ち上げることができる。
【0078】
好ましくは、離間された位置は、ブレードのリフティングアンカによって規定される。
【0079】
好ましくは、リフティングアンカは、その後、ブレードの吊上げが行われる場所よりもブレード先端部の近傍に位置する。
【0080】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、吊上げ中、ブレード根元部又はその近傍でブレードに固定することができる上側キャリッジであり、離間された位置は、ブレード先端部のより近傍でブレードに固定される、前記少なくとも1つのキャリッジの第2のものによって規定される。
【0081】
好ましくは、クレーンは、リフティングブームと、リフティングブームからブレードまで延びてブレードを持ち上げるリフティングケーブル又はロープとを含む。
【0082】
好ましくは、クレーンは、車載型である。
【0083】
好ましくは、水平状態において、ブレード及び少なくとも1つのキャリッジは、タワーから離されている。
【0084】
好ましくは、クレーン及び支持ケーブルは、連係してブレードを懸架し、且つその水平状態からその吊上げ状態に移動させる。
【0085】
好ましくは、少なくとも2つ、好ましくは3つのキャリッジは、離間された位置でブレードに取外し可能に固定されるように提供される。
【0086】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、前記吊上げ中、タワーの表面のうちのその表面上及びその上方で移動することができる車輪又はベアリングを含む。
【0087】
好ましくは、車輪又はベアリングは、吊上げ中にブレードがタワーに対して揺れることを防止するのに役立つ。
【0088】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、タワーの表面のうちのその表面の上方を移動し、且つ少なくとも1つのキャリッジがタワーから所定の距離でブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む。
【0089】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、タワーの表面のうちのその表面の上方を移動し、且つ少なくとも1つのキャリッジがタワーから所定の径方向位置でブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む。
【0090】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、タワーの表面のうちのその表面の上方を移動し、且つ少なくとも1つのキャリッジがタワーから所定の接線方向位置でブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む。
【0091】
好ましくは、前記少なくとも1つのキャリッジは、ブレードとタワーとの相対位置が調整されることを可能にして、少なくとも1つのキャリッジを使用してタワーに対するブレードの位置を調整することにより、ブレード根元部をロータヘッドのブレード取付フランジと整列して位置決めする機構を含み、それにより、根元部ボルトは、根元部ボルト開口部に挿入することができる。
【0092】
好ましくは、前記機構は、少なくとも2軸の並進機構である。
【0093】
好ましくは、前記機構は、前記キャリッジにおいてタワーに対してブレードを径方向及び接線方向に変位させることができる少なくとも2軸の並進機構である。
【0094】
好ましくは、機構は、ブレードを移動させて、根元部ボルトをボルト開口部に挿入させることができる。
【0095】
好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、ブレードの吊上げ及び/又は下降中にタワーと滑り接触又は転がり接触するように適合及び構成される。
【0096】
好ましくは、吊上げ及び/又は下降は、ブレードの上方の吊上げ点から行われる。
【0097】
好ましくは、吊上げ点は、タワーに対して固定される。
【0098】
好ましくは、吊上げ点は、吊上げ中、ブレード及びその固定されたキャリッジにおいて、表面のうちのそのタワー表面に向かって重力の偏りがあるように位置する。
【0099】
好ましくは、ブレードを吊り上げる/下降させるためのウインチは、タワーが支持される地面によって支持される。
【0100】
好ましくは、ブレードを吊り上げる/下降させるためのウインチは、タワーが支持される地面によって固定される。
【0101】
好ましくは、ブレードを吊り上げる/下降させるためのウインチは、タワーが支持される地面に且つその上で固定される。
【0102】
好ましくは、支持ケーブル又はロープは、吊上げ中、ブレード又は前記少なくとも1つのキャリッジから上方に吊上げ点まで延びる。
【0103】
好ましくは、支持ケーブル又はロープは、吊上げ中、ブレード又は前記少なくとも1つのキャリッジから上方に吊上げ点まで延び、且つ吊上げ点から地面に向かって吊上げウインチまで延びる。
【0104】
好ましくは、システムは、支持車両をさらに含む。
【0105】
好ましくは、支持車両は、ブレードを支持することができる。
【0106】
好ましくは、支持車両は、ブレードを遠隔位置から風力発電機に送り、且つ風力発電機から遠隔位置に送ることができる。
【0107】
好ましくは、支持車両は、道路車両(例えば、トラックによる)である。
【0108】
本明細書及び特許請求の範囲で使用するとき、「含んでいる」という用語は、「少なくとも部分的に~からなる」という意味である。「含んでいる」という用語を含む、本明細書及び特許請求の範囲における記述を解釈するとき、各記述でこの用語の前に記載の特徴以外の特徴も存在し得る。「含む」及び「含んだ」などの関連語も同様に解釈することができる。
【0109】
本明細書に開示される数値の範囲(例えば、1~10)への言及は、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、10)への言及及びまたその範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5、3.1~4.7)への言及も組み込み、したがって、本明細書に明示的に開示される全ての範囲の全ての部分範囲は、本明細書によって明示的に開示されることを意図される。これらは、特に意図されるもののいくつかの例にすぎず、列挙される最低値と最高値との間の数値の全ての可能な組合せが同様に本出願に明示的に記載されているものとみなされる。
【0110】
本発明は、本出願の本明細書に個別に又は集合的に言及又は記載された部品、要素及び特徴並びに任意の2つ以上の前記部品、要素又は特徴の任意の又は全ての組合せを含むと広範に言うこともでき、本発明が関連する技術分野で知られている均等物を有する特定の整数が本明細書に記載される場合、そのような知られている均等物も、個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれると考えられる。
【0111】
本明細書で使用するとき、名詞の後の「(s)」という用語は、その名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0112】
本明細書で使用するとき、「及び/又は」という用語は、「及び」若しくは「又は」又は文脈上両方が可能な場合を意味する。
【0113】
本発明は、上記を含み、且つ以下で単に例として提示する構成も想定する。
【0114】
ここで、単に例として図面を参照して本発明を述べる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
図1】設置前の、水平方向に向けられた例示的な風力タービンブレードの斜視図である。
図2A】ブレードの少なくとも1つの設置を待機している例示的な風力タービンタワーの斜視図である。
図2B図2Aの例示的な風力タービンタワーのナセルの詳細斜視図である。
図3A】風力タービン設置システムの実施形態の例示的な第1の/上側キャリッジの斜視図である。
図3B図3Aの例示的な第1の/上側キャリッジの分解斜視図である。
図4A】風力タービン設置システムの実施形態の例示的な第2のキャリッジの斜視図である。
図4B図4Aの例示的な第2のキャリッジの分解斜視図である。
図5】水平方向に向けられた風力タービンブレードの持上げを開始する直前の風力タービン設置システムの実施形態の斜視図である。
図6】ブレードを地面から持ち上げた、図5の風力タービン設置システムの実施形態の斜視図である。
図7】ブレードをさらに上に持ち上げた、図6の風力タービン設置システムの実施形態の斜視図である。
図8】ブレードをほぼ垂直向きに持ち上げた、図7の風力タービン設置システムの実施形態の斜視図である。
図9】ブレードを垂直向きに持ち上げた、図8の風力タービン設置システムの実施形態の斜視図である。
図10A】ブレードを風力タービンロータヘッドの近傍まで持ち上げた、図9の風力タービン設置システムの実施形態の斜視図である。
図10B】明瞭にするために風力タービンロータヘッド及びナセルが断面で示された、図10Aの風力タービン設置システムの実施形態の詳細斜視図である。
図11A】示力図が示されている、風力タービン設置システムの実施形態の側面図である。
図11B図11Aの本実施形態による風力タービン設置システムの背面図及びその断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0116】
上記の図面を参照すると、同様の特徴は、全体として同様の参照番号で示され、本発明の第1の態様による風力タービンブレード設置システムは、全体を参照番号1000で示される。
【0117】
図1は、例示的な風力タービンブレード10を示す。図1~11Bに示し、本明細書で述べる風力タービンブレード10の形状、長さ及び構成は、長さ約80メートルである典型的な風力タービンブレードの例示にすぎない。
【0118】
同様に、図2Aに例示的な風力タービンタワー200が示されている。タワー200は、風力タービンタワーの組立て及び建設/架設の既知の方法を使用してそのナセル210及びロータヘッド220が既に設置された状態で示されている。このタワー200は、タワーにそのブレードを接続するために本明細書で述べるシステム及び方法を採用することができる風力タービンタワーの例示的な構成にすぎない。タワー200は、一例として、ナセル210の頂面からその基礎230までの高さが約165メートルであり得る。
【0119】
図2Bは、タワー200のロータヘッド220を透明にして示し、設置される3つのブレードに対応する3つの開口部又はブレード取付フランジ222を例示する。これらのブレード取付フランジ222は、根元部ボルト開口部224を有する環状リングを有して示されている。
【0120】
一般に、ブレード10は、最上部のブレード根元部12、中央部14及びブレード先端部16を有する。根元部12は、一般に、図1に示されるように実質的に円筒状又は管状の構成を有し得、根元部ボルト開口部12Aの環状リングが根元部12の周りに周方向に延びる。他の形状の根元部も当技術分野で知られており、本明細書で述べるシステム及び方法で使用するように当業者が適応させることができる。
【0121】
本明細書では、「ボルト」という用語は、風力タービンナセル210のロータヘッド220のブレード取付フランジ222を結合するために使用される手段の一例としてのみ使用される。風力タービン200全体、ナセル210、そのロータヘッド220、そのブレード取付フランジ220及び/又は所与のブレード10の根元部構成の特定の構成に応じて、当業者に知られている他の固定手段を採用することもできる。
【0122】
図1では、ブレードは、実質的に水平な向きで示されている。一般に、これは、ブレード10が輸送車両によって運ばれて現場に到着する状態であると理解することができ、後に架設及び設置が行われる。ブレード10は、フラットベッド支持ラックを有する多輪トラックなどの支持車両を使用して現場に到着し得る。ブレード10は、実質的に水平な状態でタワーの基礎付近に輸送され得る。
【0123】
図1でのブレード10には、複数のキャリッジ1020、1040が着脱可能に固定されて示されている。これらのキャリッジ1020、1040は、以下に述べるシステム1000の一部を形成し得るが、システム及びそのキャリッジを構成することができる方法の単なる例示的な手段にすぎない。キャリッジは、ブレード10が現場に到着した後、支持車両/トラックの支持ラック/フラットベッド上にブレード10が乗っている状態でブレード10に固定することができ、前記支持車両/トラックの支持ラック/フラットベッドにブレード10が到着する前にブレード10に固定することができ(すなわち、ブレード10は、キャリッジが事前に配置された状態で現場に到着する)、且つ/又はブレードが支持車両/トラックの支持ラック/フラットベッドから持ち上げられて若しくは他の方法で移動されてタワーの基礎での/基礎付近での地面に置かれた後にブレード10に固定することもできる。
【0124】
一般に、本明細書で述べるシステム1000では、少なくとも1つのキャリッジが採用され、図1~11Bに関連して図示して述べるように、ブレード10をその実質的に水平な状態から実質的に垂直な向きに移動させることを支援するために提供され、実質的に垂直な向きでは、ブレード根元部12は上に向けられ、下に向けられたブレード先端部16よりも高い。
【0125】
しかし、図1には、第1又は上側キャリッジ1020と第2又は中間キャリッジ1040との2つのキャリッジが採用されるシステム1000の例示的実施形態が示されている。
【0126】
一般に、システム1000により、ブレード根元部12又はその近傍に少なくとも1つの上側キャリッジ1020が採用されるが、設置すべきブレード10の長さ又は他の特徴に応じて、第2、第3又はさらなるキャリッジを採用することが有利であり得る。
【0127】
第2又は中間キャリッジ1040は、第1又は上側キャリッジ1020と組み合わせて採用されるとき、一般に、ブレード10の中央部14又はその近傍で、根元部12と先端部16との間に配置される。しかし、より一般には、第2又は中間キャリッジ1040は、第1のキャリッジ1020が配置されるブレード根元部12から離間されたブレード10に沿った任意の場所に配置され得、一般には前記第1のキャリッジ1020よりもブレード先端部16に向けて又はブレード先端部16の近傍に配置され得る。
【0128】
図1には、第1及び第2のキャリッジ1020、1040から離間された位置で、ブレード先端部16又はその近傍に配置されたリフティングアンカ1100も示されている。
【0129】
本明細書で述べるシステム及び方法で採用されるキャリッジ及びリフティングアンカ1100の数及び位置は変えることができ、特にバランス/重心の最適化及びリフティング中のブレード10の揺れ/回転の低減など、多くの設計、設置及び工学上の考察に依存し得ることを当業者は理解するであろう。
【0130】
例えば、2つのキャリッジが採用される図示される例示的実施形態では、第1又は上側キャリッジ1020は一般にブレード根元部12に設けられ、第2のキャリッジ1040は中央部14に設けられ、リフティングアンカ1100はブレード先端部16又はその付近に設けられる。
【0131】
しかし、別の実施形態では、第2のキャリッジを用いずに第1のキャリッジ1020のみがブレード根元部12で採用され得、リフティングアンカ1100がブレード先端部16又はその付近に設けられる。そのような場合、ブレード10を持ち上げるときに異なる重心を実現するために、第1のキャリッジ1020及びリフティングアンカ1100の位置は、図1に示されている位置と異なり得る。
【0132】
同様に、別の実施形態では、リフティングアンカ1100が設けられず、第1及び第2のキャリッジ1020、1040のみが採用され得る。そのような場合、第2のキャリッジ1040をブレード先端部16に向けてさらに移動させ、ブレード10を持ち上げるときに異なる重心をここでも実現することができる。
【0133】
図1は、2本の張力付与ケーブル1200も示し、一方は、ぴんと張った状態で第1のキャリッジ1020から第2のキャリッジ1040まで延び、他方は、第2のキャリッジ1040からリフティングアンカ1100まで延びる。そのような張力付与ケーブル1200は、ブレード10が持ち上げられる際にブレード10を概して一直線に保つ、すなわちブレード10の長軸の周りでの偏揺れ/回転を減らすことを促進するように採用され得る。
【0134】
図3A及び3Bは、第1のキャリッジ1020の例示的実施形態の詳細図を示す。図3Aでは、第1又は上側キャリッジ1020がブレード10に接続されて示されており、図3Bは、上側キャリッジ1020自体の分解図を示す。
【0135】
第1又は上側キャリッジ1020は、一般に、ブレード10の根元部12に接続する2つの取付フランジ1026を有するトラス1024の形状を取る取付構造1022を含む。特に、取付フランジ1026は、ブレード根元部12の根元部ボルト開口部12Aの環状リングに合致し、それにより接続するように構成(形状設定/寸法設定)される。任意の数の取付フランジ1026を、ブレード10の根元部12の周りに様々な様式で設けて配置することができる。しかし、ここでは、根元部12の円周の向かい合う端部に配置された2つの取付フランジ1026が示されている。
【0136】
図3Bは、以下を含むキャリッジ1020の少なくとも2軸並進機構、特に3軸並進機構を示す。
・前後並進構造1028。前後並進構造1028は、例えばレール1028Bの間に取り付けられたローラ1028Aにより、取付構造1022が前記前後並進構造1028に対して前後に並進できるようにする。
・横方向並進構造1030。横方向並進構造1030は、例えば、レール1030Bの間に取り付けられたローラ1030Aにより、前後並進構造1028が前記横方向並進構造1030に対して横方向(左右)に並進できるようにする。
・案内構造1032。案内構造1032は、例えばレール1032Bの間に取り付けられたローラ1032Aにより、横方向並進構造1030が前記案内構造1032に対して垂直方向(上下)に並進できるようにする。
【0137】
この実施形態の3軸並進機構は、例示にすぎず、ローラ/レール以外の多くの他の構造及び手段を採用して、キャリッジ1020の3軸並進を提供することができ、タワー200(すなわちタワー200の表面に接触し、それによりブレード10をタワー200に沿って上に案内する案内構造1032)に対するブレード10(すなわちブレード10に接続する取付構造1022)の位置を調整することができる。
【0138】
そのために、案内構造1032は、タワー200の予想外径に応じてタワー200の外周の周りに概して延びるように構成された複数の案内脚部1034を含む。したがって、案内脚部1034には複数のローラ1036が取り付けられ、ローラ1036は、タワー200の外周/外面に接触して転がり接触又は滑り接触を実現することができ、したがってブレード10が持ち上げられるときにキャリッジ1020全体をタワー200に沿って上に移動させることができる。最前方の案内脚部1034の末端部には、支持ケーブル又はロープ1400を取外し可能に取り付けることができる吊上げ点1038が取り付けられる。案内構造1032の後部には、上述した張力付与ケーブル1200が接続することができる吊上げ点(図示せず)が取り付けられる。
【0139】
図3Aは、支持ローラ1027も示し、支持ローラ1027は、タワー200の外周/外面に最初に接触し、したがって転がり接触又は滑り接触の提供を補助し、したがってキャリッジ1020全体の移動を補助することができる。いくつかの実施形態では、これらの支持ローラ1027は、モータなどによって駆動されて、タワー200に沿って上へのキャリッジ1020の前記初期移動を補助することができる。
【0140】
図4A及び4Bは、第2のキャリッジ1040の例示的実施形態の詳細図を示す。図4Aには、第2のキャリッジ1040が中央部14又はその近傍でブレード10に接続されて示されており、図4Bは、第2のキャリッジ1040自体の分解図を示す。
【0141】
第2のキャリッジ1040は、一般に、ブレード10の中央部14に接続する取付脚部1044を有する取付構造1042を含む。これは、直接接続(すなわち締結具などの使用)によるものであり得るか、又は例えばラチェットストラップ、被張力ケーブルなどによるものであり得るか、又は前記取付脚部1044をブレード10の中央部14の表面又はアンカに結合する任意の他の適切な手段によるものであり得る。
【0142】
図4Bは、キャリッジ1040の角度枢動機構、特に案内構造1046を示し、これは、例えば、レール1046Bの間に取り付けられたローラ1046Aにより、取付構造1042が前記案内構造1046に対して垂直方向(上下)に並進できるようにする。したがって、案内構造1046に対する取付構造1042の垂直位置を変えることにより、全体的なピッチ角度(すなわちタワー200の長軸に対するブレード10の長軸の角度)を変えることができる。
【0143】
この実施形態の角度枢動機構は、例示にすぎず、ローラ/レール以外の多くの他の構造及び手段を採用してキャリッジ1040の角度枢動を提供することができ、これによりタワー200(すなわちタワー200の表面に接触し、それによりブレード10をタワー200に沿って上に案内する案内構造1046)に対するブレード10の中央部14(すなわち中央部14に接続する取付構造1042)の角度ピッチ/位置を調整することができる。
【0144】
そのために、案内構造1046は、タワー200の予想外径に応じてタワー200の外周の周りに概して延びるように構成された複数の案内脚部1048を含む。したがって、案内脚部1048には複数のローラ1049が取り付けられ、ローラ1049は、タワー200の外周/外面に接触して転がり接触又は滑り接触を実現することができ、したがってブレード10が持ち上げられるときにキャリッジ1040全体をタワー200に沿って上に移動させることができる。案内構造1046の後部及び前部には、上述した張力付与ケーブル1200が接続することができる吊上げ点1047が取り付けられる。
【0145】
ここで、リフティングシステム1000並びに関連する例示的なリフティングプロセス及び方法を述べる。
【0146】
図5は、リフティングの初期開始点を示し、ブレード10がその水平状態である。基礎230に、タワーのナセル210のロータヘッド220の端部とは反対側に、ウインチ装置1300が位置する。このウインチ装置は、任意の適切なリフティング手段、すなわち図示されるように2つのウインチを含み得る。吊上げ手段、例えばその被張力ケーブル1400は、前記ウインチ装置1300からタワー200の内部に延び、それを通して上方にタワー200の頂部まで延びる。
【0147】
次いで、ケーブル1400は、タワー200の壁から外方に延びて抜け、タワー200のナセル210の近傍及びナセル210の下に延びる。これは図10Bに示されており、ケーブル1400は、タワー200の側面からアイドルプーリ1410まで延びる。これらのアイドルプーリ1410は、そこから下方に延びる吊上げケーブル1400が、第1又は上側キャリッジ1020の最前方の案内脚部1034の吊上げ点1038とほぼ位置合わせされるように位置決めされる。
【0148】
これらの吊上げ手段、例えば第1のキャリッジ1020をタワー200に沿って上に持ち上げる被張力ケーブル1400により、ブレード10が持ち上げられる。
【0149】
いくつかの実施形態では、ウインチ装置1300は、タワー200自体の内部に設けられ得るが、依然として地面/基礎レベルにあり、その吊上げ手段、例えば被張力ケーブル1400は、タワー200の頂部まで上方に延びる。
【0150】
他の実施形態では、ウインチ装置1300は、タワー200の内部でナセル210の真下に設けられ得、その吊上げ手段、例えば被張力ケーブル1400は、前述のアイドルプーリ1410まで下方に延びる。
【0151】
当業者は、ウインチ装置1300を位置決めする場所及びそのケーブルを引き回す方法の変形形態を想起するであろう。すなわち、ウインチは、前記アイドルプーリ1410ではなく、タワー200の頂部に取り付けることもできる。
【0152】
しかし、ブレードが持ち上げられるときにブレードをタワー200のロータヘッド220にできるだけ近づけることができるように、ケーブル1400はナセル210の近くから延びることが一般に好ましい。
【0153】
ケーブルが大部分をタワー200の内部を通して引き回され、典型的には強風の風力タービン設置フィールド/ファームでケーブル/クレーンが受ける揺れを回避又は軽減することも一般に好ましい。したがって、これは危険を軽減し、ブレード10とロータヘッド210との最終的な位置合わせを支援することができる。
【0154】
図5には、前述のリフティングアンカ1100によってブレード10の後部又は先端部16を持ち上げるために提供される補助クレーン1500も示されている。車載型クレーンとして示されているが、独立して設置することもできるこのクレーン1500は、タワー200に沿って上への第1のキャリッジ1020の吊上げからブレード10が上方に傾くと共に、ブレード10の先端部16が過度に下方に枢動して地面に接触/衝突することを防ぐために設けられる。
【0155】
リフティングアンカ1100は、図面全体を通して、ブレード10の周縁部の周りに配置されて示されており、その上方に、クレーン1500のケーブルが接続する2つの上側吊上げ点1100Aを有し、さらに、上述した張力付与ケーブル1200が第2又は中間キャリッジに接続することができる下側吊上げ点1100B 1040(図6及び7で見える)を有する。
【0156】
いくつかの実施形態では、リフティングアンカ1100が必要ないことがあり、第2、第3、第4などのキャリッジをブレード先端部16に向けてさらに移動させるのみでよく、そのキャリッジにクレーン1500が接続されてブレード先端部16の懸架を補助することをできることを当業者は理解するであろう。
【0157】
さらに、いくつかの実施形態では、リフティングアンカ1100に車輪付き構成又はローラ構成が設けられ得、タワー200の表面に沿った上方へのリフティングアンカ1100の案内を支援する。
【0158】
しかし、一般に、第1のキャリッジ1020がブレード根元部12から(ブレードの水平状態に対して)「下」に延びる程度は、多くの場合、持ち上げ中にブレード先端部16がタワー200に全く接触し得ないようなものである。
【0159】
図6は、図5での位置から上方向に持ち上げられているブレード10を示す。ブレード10の角度は、依然として複数のローラ1036がタワー200の表面に接触するほどではないが、キャリッジ1020のより高い位置及びより前方の位置にある支持ローラ1027がタワー200に接触する。クレーン1500は、(リフティングアンカ1100によって)図5よりも高い位置にブレード10の先端部16を持ち上げることが分かる。
【0160】
図7では、ブレード10は、さらに高く、タワー200に対するブレード10の角度(ピッチ)は、第1又は上側キャリッジ1020の複数のローラ1036の少なくともいくつかがタワー200と接触するようなものである。
【0161】
図8では、ブレード10は、ここではほぼ実質的に垂直且つ直立の向き又は状態であり、ブレード根元部12は、ブレード先端部16の実質的に上方で、ブレード先端部16と(垂直方向で)一直線上にあり、第1又は上側キャリッジ1020の複数のローラ1036のうちの全てのローラ及び第2のキャリッジ1040の複数のローラ1049のうちの全てのローラがタワー200の表面と実質的に接触する。
【0162】
図9では、ブレード10は、十分な高さにあるため、もはやクレーン1500を採用する必要はない。さらに、ブレード10は、ここでは実質的に垂直な状態であり、ブレード根元部12は、ブレード先端部16の上方で、ブレード先端部16と(垂直方向で)一直線上にある。ここで、吊上げ手段1400は、ブレード10をナセル210に向けて最終区間を通して持ち上げる。
【0163】
最後に、図10Aでは、ブレード10は、その終点に到達し、ブレード10の根元端部12は、風力タービンナセル210のロータヘッド220のブレード取付フランジ222に近接する。
【0164】
この詳細図が図10Bに示されており、タービンナセル210とロータヘッド220の前部を通る断面が取られ、作業者1600(1人は、ナセル内部フロア210Aの上に支持され、もう1人は、ブレード10の根元部12内に着脱可能に取り付けられたフラットデッキ12Bの上に支持される)を示している。これらの作業者1600(任意の所要の人数であり得る)は、ブレード根元部12、ナセル210及び/又はロータヘッド220の内部で協働して、ロータヘッド220のブレード取付フランジ222の開口部222Aをブレード根元部12の根元部ボルト開口部12Aの環状リングと位置合わせすることができる。
【0165】
位置合わせ後、根元部ボルトを両方の組の開口部12A、222Aに通して締め付けて、ロータヘッド210へのブレード10の設置を完了することができる。
【0166】
いくつかの場合、両方の組の開口部12A、222Aを完全に位置合わせするために、ブレード10の位置の微調整が行われる必要があり得る。
【0167】
これは、いくつかの方法で行うことができる。ブレード10のわずかな移動を許容するために、吊上げケーブル1400に弛みが与えられ得る。さらに、ウインチ装置1300の一方のウインチに、他方のウインチに比べて大きい又は小さい張力をかけることができ、それに対応して、一方の吊上げケーブル1400の張力又は長さを他方の吊上げケーブル1400に対して増加/減少させる。これにより、ブレード10の片側でブレード10のわずかな弛みが生じ得、さらに移動が許容される。これらの両方の場合におけるブレード10の移動は、作業員1600によって実行され得る。なぜなら、懸架されたブレード10は、そのような高さで小さい増分だけ移動させるために、人力よりも大きい力を必要としないことがあるためである(例えば、ナセル210内の作業員1600がブレードを手前に引くことができ、ロータヘッド210内及び一時的にデッキ12Bの上にいる作業員1600がこの操作を支援する)。
【0168】
当業者は、開口部12A、222Aの位置合わせを支援する他の手段を想定することもできる。例えば、ロータヘッド220のブレード取付フランジ222に位置合わせレールを配置し、対応するガイドレールをブレード根元部12に配置し、根元部12がロータヘッド220に近づくとき、位置合わせレールとガイドレールとが協働して、根元部12とロータヘッド220とを正しく同軸位置合わせする。
【0169】
さらに、いくつかの実施形態では、第1又は上側キャリッジ1020の複数のローラ1036及び第2のキャリッジ1040の複数のローラ1049は、作動可能であり得(すなわちその回転位置が遠隔から可動であり得)、ブレード10の位置に所要の微調整を行うために必要なわずかな移動のみを提供するのに十分なモータによってさらに駆動され得る。
【0170】
換言すると、キャリッジのローラに修正を施すことができ、それらが、キャリッジとタワー200の表面との間の滑り接触又は回転接触を受動的に提供するだけでなく、前記ローラを駆動するモータなどによって作動可能及び制御可能な移動も提供できるようにする。必要に応じてブレード10のピッチ角度を調整するために、キャリッジから延びてタワー200の表面を押すように構成された作動ジャックも設けられ得る。
【0171】
さらに、第1又は上側キャリッジ1020の3軸並進機構及び第2のキャリッジ1020の角度枢動機構のローラ及びレール構成は受動的であり得、したがってキャリッジの様々なサブ構造の自由な移動を可能にするように緩いことがあり得るが、代わりに、それらのキャリッジを、ブレード10の小さい移動を遠隔位置から行うことができるように作動又は駆動させて、開口部12A、222Aの最終的な位置合わせを支援することもできる。
【0172】
図10Bは、前方に位置決めされたアイドルプーリ1410Aも示すことに留意されたい。アイドルプーリ1410Aを(ウインチ装置1300の被張力ケーブル1400がそれを通して引き回されるときに)使用して、ブレード10の持上げの最も初期の段階(すなわち図5に示される位置又はその前)で、第1又は上側のキャリッジ1020の支持ローラ1027間で結合点に結合することができる。
【0173】
これは、横方向アイドルプーリ1410を通したさらなるケーブル1400の引き回しと組み合わせて行うことができることを理解されたい。第1又は上側キャリッジ1020を持ち上げるために、ナセル210の下の様々な周方向位置で、任意の数の吊上げケーブル1400及び任意の数のアイドルプーリ1410を使用することができる。
【0174】
開口部12A、222Aを通した根元部ボルトの最終的な結合/締結の前に、ブレード10の根元部12に接続する取付フランジ1026を少なくとも部分的にそれから切り離さなければならず、それにより根元部12とブレード取付フランジ222との最終的な押し合わせを妨げないようにすることも理解されたい。例えば、最初に根元部ボルトのいくつかを部分的に締結し、次いで根元部12に接続している取付フランジ1026を切り離すことができ、その後、部分的に締結された根元部ボルトによってブレードが支持され、次いで全ての根元部ボルトが位置決めされて完全に締結されて、ブレード10の設置を完了する。
【0175】
キャリッジの全体的な寸法及び幾何形状は、タワー200に対するブレードの根元部12及び先端部16の適切な距離及び位置合わせを支援するために、状況ごとに調整することができる。例えば、第1のキャリッジ1020に関して、(吊上げケーブル1400が接続する)吊上げ点1038と、取付フランジ1026(及び/又はブレードの根元部12が接続する他の手段)との間の距離は、ブレード根元部12がその最終的な位置合わせ及び設置位置に近づくとき、タワー200の表面に対するブレード根元部12のオフセット距離を決定することができる。
【0176】
図11A及び11Bは、本明細書で述べるシステム及び方法を採用するときに当業者が構成することができる力に関する考察の少なくとも一部を示す。
【0177】
図11Aは、ブレード10が図9のその実質的に垂直な状態に達する前に、ブレード10の持上げ中に解消する必要があり得る様々な力の概略的な示力図を示す。吊上げケーブル1400が第1又は上側キャリッジ1020に接続する吊上げ点1038から上方に、第1の垂直持上げ力FY1が延びる。同様に、クレーン1500が接続し得るリフティングアンカ1100の吊上げ点1100Aから上方に、第2の垂直持上げ力FY2が延びる。これら2つの上向きの垂直持上げ力は、ブレードの重心C.O.G(図11A及び11Bでの重心の位置は、例示にすぎない)付近で作用するブレードの重量による下向きの重力を相殺しなければならない。ブレード10の角度付きピッチによって生成される水平方向の力の成分(FXと表される)もあり、したがって、合力の角度付き成分は、FTで表すことができる。
【0178】
これらの様々な力FX、C.O.G、FT、FY1及びFY2の全ては、吊上げケーブル1400及びいくつかの実施形態ではクレーン1500によって付与される張力/持上げ力の適切な構成によって解決しなければならない。場合によっては、クレーン1500は、上向きの垂直持上げ力への大きい寄与因子ではないことがあり、そのため、無視できるとみなされることもある。しかし、一般に、これらの力のほとんどは、ブレード10が図5の実質的に水平な状態から図9の実質的に垂直な状態に徐々に滑らかに移行するようにバランスを取られなければならない。
【0179】
ブレード10の重心C.O.Gの周りでのモーメントが生成され得ることにも留意されたい。これは、そこからの距離により、第1及び第2の垂直持上げ力FY1、FY2がブレードを反対方向に回転させるように作用し得るからである(すなわち、図11Aに関して、FY1は、ブレード10を時計回りに回転させ得、FY2は、ブレード10を反時計回りに回転させ得る)。したがって、当業者は、垂直持上げ力FY1、FY2がブレード10自体のピッチ角をどのように変えるかについても考慮する必要があり得る。
【0180】
そのために、当業者であれば理解できるように、第1又は上側キャリッジ1020の3軸並進機構及び第2のキャリッジ1040の角度枢動機構によって行われるブレード10の位置の変化を使用して、図5の実質的に水平な状態から図9の実質的に垂直な状態への移行中にブレード10の位置を慎重に調整して、これらの力及びモーメントに関する考察の少なくとも一部を軽減することができる。
【0181】
図11Bは、典型的には風力タービンブレード10のずれた重心C.O.Gを補償するために、各吊上げケーブル1400(2本のケーブルがタワー200の側面にあるアイドルプーリ1410から下に延び、キャリッジ1020の吊上げ点1038に接続する実施形態における)の張力の変更を行うことができる方法も示す。見て分かるように、C.O.Gは、必ずしもブレードの中心(すなわちその長軸を直接通る)に位置決めされないことがあり、ブレード10のより厚い前縁に向けて偏り得る。
【0182】
したがって、各吊上げケーブル1400のF1及びF2の垂直持上げ力は、前記ずれた重心C.O.Gまでの異なる距離によって生じるモーメントを見込むように調節される必要があり得る。断面A-Aは、吊上げケーブル1400が接続してブレード10を持ち上げるキャリッジ1020の吊上げ点1038を横切って延びる断面で見たときにD1及びD2として示される、C.O.Gに対するF1及びF2の距離のこれらの差も示す。
【0183】
本明細書で述べるシステム及び方法の様々な側面の前述の例は、両方の組の開口部12A、222Aの最終位置合わせ中にブレードの位置を調整するように構成することができ、図11A及び11Bに関連して上述した力の考察を解決するときに当業者が同様に採用することができることに留意されたい。
【0184】
したがって、本明細書で述べるシステム1000及び方法は、風力タービンブレードを持ち上げて設置する安全で費用対効果の高い手段を提供することができ、
・ブレード持上げに関与するケーブル1400を内部に引き回し、ナセルの真下にあるアイドルプーリ1410からケーブルを供給することで、地面レベルで支持された(多くの場合には複数の)高所クレーンに関連する揺れの問題を低減する。
・ブレード10を、着脱可能に固定された(ブレード10とタワー200との中間に位置決めされる)キャリッジを介してタワー200の表面に沿って上に案内することは、従来採用されていた扱いにくい高所クレーン又は純粋に水平な空輸方法と比較して、ブレードの重心をタワー200にできるだけ近く常に保ち、且つ主要なリフト手段(吊上げケーブル1400)にできるだけ近く常に保つことを促進する。
・角度変更中にブレード先端部16が地面に接触しないようにするためにのみ、ときに低所クレーン1500のみが必要になり得、キャリッジの使用と併せて、複数の高所クレーン又は空輸手段の利用に比べてコストが大幅に削減される。
【0185】
上述した方法/システムの反転又は逆転の順序を、ロータヘッド210からのブレード10の取外し又は設置解除に採用することができることも理解されたい。例えば、
・キャリッジは、上述したようにウインチ装置によってナセルの頂部まで持ち上げることができる。
・キャリッジは、ブレード10と位置合わせし、ブレード10に接続することができる。
・ブレードの根元部12がロータヘッド210から切り離され(例えば、それに配備されている作業員1600によって)、ブレード10の重量をロータヘッド210からキャリッジ及び吊上げケーブル1400に移動させる。
・次に、図5~10に示される移動と同様に、しかし反転して、ブレード10が下降され、補助クレーン1500が地面レベルに位置し、ブレード10の先端部16又はその付近に接続する準備を整えられる。
・前記クレーンがブレード10の前記先端部16に接続し、吊上げケーブル1400がキャリッジを下降させ、ブレードは、その実質的に垂直な状態から、図1におけるような実質的に水平な状態に戻る。
・ブレード10がメンテナンス/修理のために地面に降ろされ、且つ/又は必要に応じて現場外に輸送するために支持車両のフラットベッドなどに降ろされる。
【0186】
以上の説明では、知られている均等物を有する要素又は整数に言及される場合、そのような均等物も、それらが個別に記載されているかのように含まれる。
【0187】
例として且つ特定の実施形態を参照して本発明を述べてきたが、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、変更形態及び/又は改良形態がなされ得ることを理解されたい。
【0188】
さらに、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して述べられる場合、本発明がマーカッシュ群の個々の要素又は要素のサブグループに関しても述べられていることを当業者は認識するであろう。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドに風力タービンブレードを設置する方法であって、
a.前記ブレードを、ブレード根元部を最上部とし、且つ前記ブレードが実質的に垂直に延びる向きにおいて、前記ブレードと前記タワーとの中間の少なくとも1つのキャリッジによって前記タワーに沿って案内されて、前記タワーに吊り上げるステップであって、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードに着脱可能に固定され、且つ前記ブレードが吊り上げられるときに前記タワーの1つ又は複数の外面に接触し、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーに対して径方向、接線方向及び長手方向に前記ブレードを変位させて、前記ブレードと前記タワーとの相対位置が調整されることを可能にするように構成された3軸並進機構を含む、ステップと、
b.前記少なくとも1つのキャリッジを使用して前記タワーに対する前記ブレードの位置を調整することにより、前記ブレード根元部を前記ロータヘッドのブレード取付フランジと整列して位置決めするステップであって、それにより、根元部ボルトは、根元部ボルト開口部に挿入することができる、ステップと、
c.前記ブレードを移動させて、根元部ボルトを前記ボルト開口部に挿入するステップと、
d.前記根元部ボルトを使用して前記ブレードを前記ロータヘッドに固定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのキャリッジは、吊上げ中、前記ブレード根元部又はその近傍で前記ブレードに固定される上側キャリッジである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吊上げは、前記ブレード及び/又は前記少なくとも1つのキャリッジ(好ましくは前記上側キャリッジ)に取外し可能に取り付けられた支持ケーブル又はロープによるものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記吊上げ前に、前記ブレード(好ましくはそのアンカ、例えば吊上げアンカ)及び/又は少なくとも1つのキャリッジに支持ケーブル又はロープを取り付けるステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記吊上げ前に、前記ブレードが、それに固定された前記少なくとも1つのキャリッジと共に、前記タワーに隣接する地面によって支持された実質的に水平な状態であるとき、前記ブレード及び/又は少なくとも1つのキャリッジに支持ケーブル又はロープを取り付けるステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ブレードは、前記吊上げ前に支持車両又は支持ラック上で前記地面によって支持される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ブレードは、クレーンにより、その水平状態から、その垂直のタワーに沿った吊上げ状態に移行される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレードは、前記ブレードを持ち上げることができるクレーンにより、その水平状態から、その垂直のタワーに沿った吊上げ状態に移行される、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ブレードは、前記吊上げアンカから離間された位置で前記ブレードを持ち上げることができるクレーンにより、その水平状態から、その垂直のタワーに沿った吊上げ状態に移行される、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記離間された位置は、前記ブレードのリフティングアンカによって規定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記リフティングアンカは、その後、前記ブレードの前記吊上げが行われる場所よりもブレード先端部の近傍に位置する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのキャリッジは、吊上げ中、前記ブレード根元部又はその近傍で前記ブレードに固定される上側キャリッジであり、前記離間された位置は、ブレード先端部のより近傍で前記ブレードに固定される、前記少なくとも1つのキャリッジの第2のものによって規定される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記クレーンは、リフティングブームと、前記リフティングブームから前記ブレードまで延びて前記ブレードを持ち上げるリフティングケーブル又はロープとを含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記クレーンは、車載型である、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記水平状態において、前記ブレード及び前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーから離されている、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
前記クレーン及び前記支持ケーブルは、連係して前記ブレードを懸架し、且つその水平状態からその吊上げ状態に移動させる、請求項7~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記クレーン及び前記支持ケーブルは、前記少なくとも1つのキャリッジを前記タワーの1つ又は複数の外面に接触させることにより、連係して前記ブレードを懸架し、且つその水平状態からその吊上げ状態に移動させる、請求項7~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記クレーンは、前記ブレードが垂直であり、及び前記少なくとも1つのキャリッジが前記タワーに対して位置すると、前記ブレードから切り離される、請求項7~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記クレーンは、前記ブレードが前記吊上げケーブル又はロープのみによって完全に懸架されると、前記ブレードから切り離される、請求項7~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記吊上げ状態において、少なくとも2つ、好ましくは3つのキャリッジは、離間された位置で前記ブレードに取外し可能に固定され、前記ブレードと前記タワーとの中間に位置して前記タワーによって案内される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記吊上げ状態において、上側キャリッジは、前記ブレード根元部又はその近傍で前記ブレードに取外し可能に固定され、下側キャリッジは、前記ブレード先端部の近傍で前記ブレードに取外し可能に固定され、且つ前記上側キャリッジから独立している、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記吊上げ中、前記タワーの表面のうちの前記表面上及びその上方で移動することができる車輪又はベアリングを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記車輪又はベアリングは、吊上げ中に前記ブレードが前記タワーに対して揺れることを防止するのに役立つ、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーの表面のうちの前記表面の上方を移動し、且つ前記少なくとも1つのキャリッジが前記タワーから所定の距離で前記ブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーの表面のうちの前記表面の上方を移動し、且つ前記少なくとも1つのキャリッジが前記タワーから所定の径方向位置で前記ブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーの表面のうちの前記表面の上方を移動し、且つ前記少なくとも1つのキャリッジが前記タワーから所定の接線方向位置で前記ブレードに固定される場所に前記ブレードを保持することができる車輪又はベアリングを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ブレードの前記位置決めは、前記少なくとも1つのキャリッジによって実現される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも前記上側キャリッジは、前記ブレードと前記タワーとの前記相対位置が調整されることを可能にする前記機構を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記機構は、前記ブレードを移動させて、前記根元部ボルトを前記ボルト開口部に挿入させることができる、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードの吊上げ中、前記タワーと滑り接触又は転がり接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記吊上げは、前記ブレードの上方の吊上げ点から行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記吊上げ点は、前記タワーに対して固定される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記吊上げ点は、吊上げ中、前記ブレード及びその固定されたキャリッジにおいて、表面のうちの前記タワー表面に向かって重力の偏りがあるように位置する、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項34】
前記吊上げ点は、前記ナセルに近接して且つその下に位置する、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ブレードを吊り上げるためのウインチは、前記タワーが支持される前記地面によって支持される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ブレードを吊り上げるためのウインチは、前記タワーが支持される前記地面によって固定される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ブレードを吊り上げるためのウインチは、前記タワーが支持される前記地面に且つその上で固定される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記支持ケーブル又はロープは、吊上げ中、前記ブレード又は前記少なくとも1つのキャリッジから上方に吊上げ点まで延びる、請求項3~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記支持ケーブル又はロープは、吊上げ中、前記ブレード又は前記少なくとも1つのキャリッジから上方に吊上げ点まで延び、且つ前記吊上げ点から前記地面に向かって吊上げウインチまで延びる、請求項3~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記支持ケーブル又はロープは、吊上げ中、前記吊上げウインチから前記タワーの内部に、前記タワーを通して上方に且つ前記タワーの前記頂部まで延び、前記支持ケーブル又はロープは、前記タワーから前記ナセルの近傍の且つその下の前記吊上げ点まで外方に抜ける、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ブレードを固定した後、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードから取り外される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ブレードを固定した後、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードから取り外され、且つ前記地面まで下降される、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記ブレードを固定した後、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードから取り外され、且つ前記支持ケーブルによって前記地面まで下降される、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ブレードは、好ましくは、道路車両である支持車両によって(例えば、トラックによって、例えば前記トラックのトレーラ上で)遠隔位置から前記風力発電機に送られる、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記ブレードは、支持車両によって遠隔位置から前記風力発電機に送られ、及び前記クレーンは、前記車両に取り付けられる、請求項7~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドから風力タービンブレードを取り外す方法であって、
a.前記ブレードの根元部ボルトとロータヘッドとの固定を解除するステップと、
b.前記ブレードを移動させて、前記根元部ボルトをボルト開口部から取り外すステップと、
c.前記ブレードを、前記ブレード根元部を最上部とし、且つ前記ブレードが実質的に垂直に延びる向きにおいて、前記ブレードと前記タワーとの中間の少なくとも1つのキャリッジによって前記タワーに沿って案内されて、前記タワーの下に下降させるステップであって、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレードに着脱可能に固定され、且つ前記ブレードが下降されるときに前記タワーの1つ又は複数の外面に接触し、前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーに対して径方向、接線方向及び長手方向に前記ブレードを変位させて、前記ブレードと前記タワーとの相対位置が調整されることを可能にするように構成された3軸並進機構を含む、ステップと
を含む方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つのキャリッジは、前記下降前に前記ブレードに固定される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つのキャリッジは、下降中、前記ブレード根元部又はその近傍で前記ブレードに固定される上側キャリッジである、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記下降は、前記ブレード及び/又は前記少なくとも1つのキャリッジ(好ましくは前記上側キャリッジ)に取外し可能に取り付けられた支持ケーブル又はロープによるものである、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記下降前(及び好ましくは前記固定解除前)に、前記ブレード(好ましくはその吊上げアンカ)及び/又は少なくとも1つのキャリッジに支持ケーブル又はロープを取り付けるステップをさらに含む、請求項46~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記ブレードは、支持車両又は支持ラック上に下降される、請求項46~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ブレードは、クレーンにより、垂直のタワーに沿った吊上げ状態からその水平状態に移行される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ブレードは、前記ブレードを持ち上げることができるクレーンにより、垂直のタワーに沿った吊上げ状態からその水平状態に移行される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記ブレードは、前記吊上げアンカから離間された位置で前記ブレードを持ち上げることができるクレーンにより、垂直のタワーに沿った吊上げ状態からその水平状態に移行される、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記離間された位置は、前記ブレードのリフティングアンカによって規定される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記リフティングアンカは、その後、前記ブレードの前記下降が行われる場所よりもブレード先端部の近傍に位置する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記水平状態において、前記ブレード及び前記少なくとも1つのキャリッジは、前記タワーから離されている、請求項52~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記クレーン及び前記支持ケーブルは、連係して前記ブレードを懸架し、且つその垂直下降状態からその水平状態に移動させる、請求項52~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記下降は、前記ブレードの上方の吊上げ点から行われる、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
前記ブレードを下降させるためのウインチは、前記タワーが支持される地面によって支持される、請求項46~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
ウインチは、前記タワーが支持される前記地面によって固定される、請求項46~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
ウインチは、前記タワーが支持される前記地面に且つその上で固定される、請求項46~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドに又はそれから風力タービンブレードを設置し、及び/又は取り外すためのシステムであって、
a.前記ブレードを垂直状態で支持し、且つ前記ブレードの上方の位置から前記ブレードを吊り上げ、及び/又は下降させることができる支持ケーブル又はロープ、
b.前記ブレードと前記タワーとの中間に位置し、及び前記ブレードに着脱可能に固定され、且つ前記ブレードが前記支持ケーブルによって吊り上げられ、及び/又は下降されるときに前記タワーの1つ又は複数の外面に接触する少なくとも1つのキャリッジであって、前記ブレードを径方向、接線方向及び長手方向に変位させて、前記ブレードと前記タワーとの相対位置が調整されることを可能にして、前記少なくとも1つのキャリッジを使用して前記タワーに対する前記ブレードの前記位置を調整することにより、ブレード根元部を前記ロータヘッドのブレード取付フランジと整列して位置決めするように構成された3軸並進機構を含み、それにより、根元部ボルトは、根元部ボルト開口部に挿入することができる、少なくとも1つのキャリッジ
を含むシステム。
【請求項64】
風力発電機のタワーの頂部に位置するナセルのロータヘッドに又はそれから風力タービンブレードを設置し、及び/又は取り外すためのシステムであって、
a.前記ブレードを垂直状態で支持し、且つ前記ブレードの上方の位置から前記ブレードを吊り上げ、及び/又は下降させることができる支持ケーブル又はロープ、
b.前記ブレードと前記タワーとの中間に位置し、及び前記ブレードに着脱可能に固定され、且つ前記ブレードが前記支持ケーブルによって吊り上げられ、及び/又は下降されるときに前記タワーの1つ又は複数の外面に接触する少なくとも1つのキャリッジであって、前記タワーに対して径方向、接線方向及び長手方向に前記ブレードを変位させて、前記ブレードと前記タワーとの相対位置が調整されることを可能にするように構成された3軸並進機構を含む少なくとも1つのキャリッジ、
c.前記ブレードを持ち上げ、及び前記支持ケーブルと連係して、前記ブレードを、前記タワーに平行であり且つ隣接するその垂直状態と、前記タワーからより離れた水平状態との間で移行させることができるクレーン
を含むシステム。
【国際調査報告】