(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】環状ジエンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 45/65 20060101AFI20241112BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20241112BHJP
C07C 49/543 20060101ALI20241112BHJP
C07C 69/75 20060101ALI20241112BHJP
C07C 67/327 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C07C45/65
C11B9/00 B
C11B9/00 S
C07C49/543
C07C69/75 Z
C07C67/327
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531346
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022083079
(87)【国際公開番号】W WO2023094502
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デニス ヤコビー
(72)【発明者】
【氏名】シモーヌ シャピュイ
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス ケラー
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC13
4H006BA02
4H006BA32
4H006BB24
4H006BB41
4H006BJ20
4H006BR20
4H006KA31
(57)【要約】
本発明は、有機合成の分野に関するものであり、より具体的には、式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)の化合物と式(I)の化合物の沸点よりも高い沸点を有する塩基との反応を含む方法に関するものである。さらに、式(I)の化合物および式(II)の化合物も本発明の一部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
[式中、
nは、0~13の整数であり;R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表すか;またはR
4およびR
5が一緒になって、C
3-6シクロアルキル基を形成し;Xは、C(O)R
6基、COOR
6基、CN基またはC=NR
6基であり、R
6は、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体またはそれらの混合物の形態の製造方法であって、前記方法は、式(II)
【化2】
[式中、
n、X、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、前記式(I)で定義されるのと同じ意味を有し、R
7は、水素原子、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルキル基であって、1個以上のハロゲン原子で任意に置換されたもの、またはC
6-10アリール基であって、ヒドロキシ基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルコキシ基および/もしくはハロゲン原子のうちの1つ以上で任意に置換されたものを表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体の形態と、前記式(I)の化合物の沸点よりも高い沸点を有する塩基との反応を含む、方法。
【請求項2】
前記塩基が、金属カルボン酸塩、金属炭酸水素塩または金属炭酸塩である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記金属炭酸塩が、式
M
pCO
3 (III)
[式中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、pは、1または2であるが;ただし、Mがアルカリ土類金属である場合、pは1であり、Mがアルカリ金属である場合、pは2である]のものである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記金属炭酸水素塩が、式
M(HOCO
2)
q (IV)
[式中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、qは、1または2であるが;ただし、Mがアルカリ土類金属である場合、qは2であり、Mがアルカリ金属である場合、qは1である]のものである、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記金属カルボン酸塩が、式
(RCOO)
rM (V)
[式中、Rは、水素原子またはC
1-18炭化水素基であり;Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、rは、1または2であるが;ただし、Mがアルカリ金属である場合、rは1であり、Mがアルカリ土類金属である場合、rは2である]のものである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
Rが、水素原子、フェニル基、C
1-10アルキル基またはC
2-10アルケニル基であり、好ましくは、Rが、水素原子、フェニル基またはC
1-6アルキル基であり、好ましくは、Rが、水素原子、フェニル基またはC
1-3アルキル基である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
Mが、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウムおよびリチウムの群から選択され、好ましくはカリウムである、請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記方法を、触媒量の前記金属カルボン酸塩の存在下で実施する、請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
nが0~4の整数であり、好ましくは、nが1である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
Xが、C(O)R
6、またはCOOR
6基を表し、R
6が、水素原子、C
1-3アルキル基またはC
2-3アルケニル基を表す、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
R
2およびR
3が、互いに独立して水素原子であり;R
4およびR
5が、互いに独立して、水素原子またはC
1-3アルキル基であり;R
1が、水素原子またはC
1-3アルキル基であり、好ましくは、R
1が、メチル基またはエチル基であり、R
7が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはフェニル基である、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記式(I)の化合物を、前記方法中に連続的に取り出す、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記方法を、少なくとも1つの非プロトン性双極性溶媒の存在下で実施する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
式
【化3】
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表すか;またはR
4およびR
5が一緒になって、C
3-6シクロアルキル基を形成し;Xは、C(O)R
6基、COOR
6基、CN基またはC=NR
6基であり、R
6は、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表し、R
7は、水素原子、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルキル基であって、1個以上のハロゲン原子で任意に置換されたもの、またはC
6-10アリール基であって、ヒドロキシ基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルコキシ基および/もしくはハロゲン原子のうちの1つ以上で任意に置換されたものを表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体の形態であるが、ただし、4-(ブタ-2-エノイル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテートおよびエチル4-アセトキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレートは除外されるものとする、化合物。
【請求項15】
式
【化4】
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表すか;またはR
4およびR
5が一緒になって、C
3-6シクロアルキル基を形成し;Xは、C(O)R
6基、COOR
6基、CN基またはC=NR
6基であり、R
6は、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体またはそれらの混合物の形態であるが、ただし、エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、メチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)エタン-1-オンおよび1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンは除外されるものとする、化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機合成の分野に関するものであり、より具体的には、式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)の化合物と式(I)の化合物の沸点よりも高い沸点を有する塩基との反応を含む方法に関するものである。さらに、式(I)の化合物および式(II)の化合物も本発明の一部である。
【0002】
背景技術
共役環状誘導体は、特に香料、化粧品、医薬品または農芸化学などの様々な分野において、そのまま、あるいはより複雑な化合物を製造するのに有用な重要な中間体として使用することのできる非常に望ましい骨格を表す。香料産業において重要な共役環状誘導体は、例えば、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブタ-2-エン-1-オンまたはエチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレートであり、特にそのフローラルな香りが高く評価されている。これらの賦香成分は、香料産業において最も求められている成分の一部を表す。これらの化合物を製造するために当技術分野で知られている方法、例えば脱離工程では、α、βおよびγ異性体としても知られる、分離が不可能ないくつかの位置異性体の混合物が得られる。
【0003】
そのため、共役環状誘導体が高収率で得られる高選択的で好ましくは触媒による方法を開発することが、依然として求められている。
【0004】
本発明は、式(I)の共役ジエン、すなわちβ異性体を製造するために、式(I)の化合物の沸点よりも高い沸点を有する塩基を使用することにより、上記の課題の解決を可能にするものである。本発明者らの知る限り、本発明の条件は先行技術で報告されたことがない。
【0005】
発明の概要
本発明は、先行技術において報告も示唆もされていない方法論を用いて、他の位置異性体の形成を制限し、さらには防ぎつつ、式(I)の化合物の製造を可能にする新規の方法に関する。
【0006】
したがって、本発明の第1の主題は、式(I)
【化1】
[式中、
nは、0~13の整数であり;R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表すか;またはR
4およびR
5が一緒になって、C
3-6シクロアルキル基を形成し;Xは、C(O)R
6基、COOR
6基、CN基またはC=NR
6基であり、R
6は、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体またはそれらの混合物の形態の製造方法であって、該方法は、式(II)
【化2】
[式中、
n、X、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、式(I)で定義されるのと同じ意味を有し、R
7は、水素原子、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルキル基であって、1個以上のハロゲン原子で任意に置換されたもの、またはC
6-10アリール基であって、ヒドロキシ基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルコキシ基および/もしくはハロゲン原子のうちの1つ以上で任意に置換されたものを表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体の形態と、式(I)の化合物の沸点よりも高い沸点を有する塩基との反応を含む、方法である。
【0007】
本発明の別の主題は、式
【化3】
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表すか;またはR
4およびR
5が一緒になって、C
3-6シクロアルキル基を形成し;Xは、C(O)R
6基、COOR
6基、CN基またはC=NR
6基であり、R
6は、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表し、R
7は、水素原子、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルキル基であって、1個以上のハロゲン原子で任意に置換されたもの、またはC
6-10アリール基であって、ヒドロキシ基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルコキシ基および/もしくはハロゲン原子のうちの1つ以上で任意に置換されたものを表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体の形態であるが、ただし、4-(ブタ-2-エノイル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテートおよびエチル4-アセトキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレートは除外されるものとする、化合物である。
【0008】
本発明のさらなる主題は、式
【化4】
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表すか;またはR
4およびR
5が一緒になって、C
3-6シクロアルキル基を形成し;Xは、C(O)R
6基、COOR
6基、CN基またはC=NR
6基であり、R
6は、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体またはそれらの混合物の形態であるが、ただし、エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、メチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)エタン-1-オンおよび1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンは除外されるものとする、化合物である。
【0009】
発明の説明
驚くべきことに、式(II)の化合物を、式(I)の化合物の沸点よりも高い沸点を有する塩基と反応させることによって、式(I)の化合物を有利に製造できることが、今般発見された。この前例のない工程により、αおよび/またはγ異性体の形成を制限し、さらには防いだ状態で、β異性体に対する高い選択率で、式(I)の化合物を生成することができる。
【0010】
したがって、本発明の第1の主題は、式(I)
【化5】
[式中、
nは、0~13の整数であり;R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表すか;またはR
4およびR
5が一緒になって、C
3-6シクロアルキル基を形成し;Xは、C(O)R
6基、COOR
6基、CN基またはC=NR
6基であり、R
6は、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体またはそれらの混合物の形態の製造方法であって、該方法は、式(II)
【化6】
[式中、
n、X、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、式(I)で定義されるのと同じ意味を有し、R
7は、水素原子、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルキル基であって、1個以上のハロゲン原子で任意に置換されたもの、またはC
6-10アリール基であって、ヒドロキシ基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルコキシ基および/もしくはハロゲン原子のうちの1つ以上で任意に置換されたものを表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体の形態と、式(I)の化合物の沸点よりも高い沸点を有する塩基との反応を含む、方法である。
【0011】
明確にするために述べると、「化合物のいずれか1つの立体異性体またはそれらの混合物」などの表現は、当業者に理解される通常の意味であり、すなわち、本発明で挙げられている化合物は、純粋なエナンチオマーであってもよいし、エナンチオマーの混合物であってもよいことを意味する。換言すれば、本発明で挙げられている化合物は、少なくとも1つの立体中心を有することができ、前記立体中心は、2つの異なる立体配置(例えば、RまたはS)を有することができ、例えば、R1基は、少なくとも1つの立体中心を有することができる。前記化合物は、純粋なエナンチオマーの形態であってもよいし、エナンチオマーの混合物の形態であってもよい。本発明で挙げられている化合物はさらに、前記化合物が2つ以上の立体中心または少なくとも1つの二重結合を有する場合、純粋なジアステレオマーの形態であってもよいし、ジアステレオマーの混合物の形態であってもよい。前記化合物は、ラセミ形態であってもよいし、スカレミ形態であってもよい。したがって、前記化合物は、1つの立体異性体であってもよいし、様々な立体異性体を含むかまたはそれからなる物質組成物の形態であってもよい。
【0012】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、前記化合物は、そのEもしくはZ異性体またはそれらの混合物の形態であってよく、例えば、本発明は、同じ化学構造を有するが二重結合の配置が異なる、式(I)および(II)の1つ以上の化合物からなる物質組成物を含む。特に、化合物(I)および化合物(II)は、EおよびZ異性体からなる混合物の形態であってよい。
【0013】
「任意に」という用語は、ある基が置換されていても置換されていなくてもよいことと理解される。「1つ以上」という用語は、1~7個、好ましくは1~5個、好ましくは1~3個の官能基、より好ましくは1個または2個の官能基を含むものと理解される。
【0014】
「アルキル」および「アルケニル」という用語は、分岐状および直鎖状アルキル基およびアルケニル基を含むものと理解される。
【0015】
「アルケニル」という用語は、1、2または3個のオレフィン性二重結合、好ましくは1または2個のオレフィン性二重結合を含むものと理解される。
【0016】
「C3-6シクロアルキル」という用語は、3~6個の炭素原子を含み、前記R4およびR5基が結合している炭素原子を含む飽和環であると理解される。
【0017】
「アリール」という用語は、フェニル基、インデニル基、インダニル基、テトラヒドロナフタレニル基またはナフタレニル基のような芳香族基を少なくとも1つ含む任意の基を含むものと理解される。
【0018】
「CN基」という用語は、ニトリル基、すなわち-C≡N基であると理解される。
【0019】
本発明のいずれかの実施形態によれば、nは、0~10の整数、特に0~8の整数、特に0~6の整数、特に0~4の整数であってよい。特に、nは、0、1または2であってよい。さらにより特には、nは、1であってよい。
【0020】
本発明のいずれかの実施形態によれば、R2は、水素原子、C1-4アルキル基またはC2-4アルケニル基であってよい。特に、R2は、水素原子またはC1-3アルキル基であってよい。R2は、水素原子、メチル基またはエチル基であってよい。さらにより特には、R2は、水素原子であってよい。
【0021】
本発明のいずれかの実施形態によれば、R3は、水素原子、C1-4アルキル基またはC2-4アルケニル基であってよい。特に、R3は、水素原子またはC1-3アルキル基であってよい。R3は、水素原子、メチル基またはエチル基であってよい。さらにより特には、R3は、水素原子であってよい。
【0022】
本発明のいずれかの実施形態によれば、式(I)の化合物は、式
【化7】
[式中、
n、R
1、R
4およびR
5は、上記で定義されたのと同じ意味を有する]の化合物のいずれか1つの立体異性体またはそれらの混合物の形態である。
【0023】
本発明のいずれかの実施形態によれば、式(II)の化合物は、式
【化8】
[式中、
n、X、R
1、R
4、R
5およびR
7は、上記で定義されたのと同じ意味を有する]の化合物のいずれか1つの立体異性体の形態である。
【0024】
本発明のいずれかの実施形態によれば、R1は、水素原子、C1-4アルキル基またはC2-4アルケニル基であってよい。特に、R1は、水素原子またはC1-3アルキル基であってよい。R1は、水素原子、メチル基またはエチル基であってよい。さらにより特には、R1は、メチル基またはエチル基であってよい。
【0025】
本発明のいずれかの実施形態によれば、R4は、水素原子、C1-4アルキル基またはC2-4アルケニル基であってよい。特に、R4は、水素原子またはC1-3アルキル基であってよい。R4は、水素原子、メチル基またはエチル基であってよい。さらにより特には、R4は、メチル基またはエチル基であってよい。
【0026】
本発明のいずれかの実施形態によれば、R5は、水素原子、C1-4アルキル基またはC2-4アルケニル基であってよい。特に、R5は、水素原子またはC1-3アルキル基であってよい。R5は、水素原子、メチル基またはエチル基であってよい。さらにより特には、R5は、メチル基またはエチル基であってよい。
【0027】
本発明のいずれかの実施形態によれば、R4およびR5は一緒になって、C3-5シクロアルキル基を形成することができる。特に、R4およびR5は一緒になって、C3シクロアルキル基を形成することができる。
【0028】
本発明のいずれかの実施形態によれば、R6は、水素原子、C1-4アルキル基またはC2-4アルケニル基であってよい。特に、R6は、水素原子、C1-3アルキル基またはC2-3アルケニル基であってよい。R6は、水素原子、メチル基、エチル基またはプロパ-1-エン-1-イル基であってよい。さらにより特には、R6は、メチル基またはエチル基であってよい。
【0029】
本発明のいずれかの実施形態によれば、Xは、C(O)R6基またはCOOR6基であってよく、R6は、上記で定義されたのと同じ意味を有する。
【0030】
本発明のいずれかの実施形態によれば、R7は、水素原子、C2-4アルケニル基、C1-4アルキル基であって、1個、2個もしくは3個のハロゲン原子で任意に置換されたもの、またはフェニル基であって、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C1-6アルコキシ基および/もしくはハロゲン原子のうちの1つ以上で任意に置換されたものであってよい。特に、R7は、水素原子、C2-4アルケニル基、C1-4アルキル基であって、1個、2個もしくは3個のハロゲン原子で任意に置換されたもの、またはフェニル基であって、ヒドロキシ基、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C1-4アルコキシ基および/もしくはハロゲン原子のうちの1つ以上で任意に置換されたものであってよい。特に、R7は、水素原子、C2-3アルケニル基、C1-3アルキル基であって、1個、2個もしくは3個のハロゲン原子で任意に置換されたもの、またはフェニル基であって、ヒドロキシ基、C1-3アルキル基、C2-3アルケニル基、C1-3アルコキシ基および/もしくはハロゲン原子のうちの1つ以上で任意に置換されたものであってよい。特に、R7は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはフェニル基であってよい。さらにより特には、R7は、メチル基であってよい。
【0031】
式(I)の適切な化合物の非限定的な例としては、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、2-メチル-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、1-(6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)-2-メチルブタ-2-エン-1-オン、1-(6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、1-(5-メチルスピロ[2.5]オクタ-4,6-ジエン-4-イル)ブタ-2-エン-1-オン、1-(5-メチルスピロ[2.5]オクタ-4,6-ジエン-4-イル)エタン-1-オン、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)エタン-1-オン、1-(6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)エタン-1-オン、メチルまたはエチル6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、メチルまたはエチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、1-(2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、メチルまたはエチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、メチルまたはエチル2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、メチルまたはエチル5-メチルスピロ[2.5]オクタ-4,6-ジエン-4-カルボキシレートが挙げられる。
【0032】
式(II)の適切な化合物の非限定的な例としては、4-アセチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、4-(ブタ-2-エノイル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、3,5,5-トリメチル-4-(2-メチルブタ-2-エノイル)シクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、5-エチル-3,5-ジメチル-4-(2-メチルブタ-2-エノイル)シクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、4-(ブタ-2-エノイル)-5-エチル-3,5-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、8-(ブタ-2-エノイル)-7-メチルスピロ[2.5]オクタ-6-エン-5-イルアセテート、4-アセチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、4-アセチル-5-エチル-3,5-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、8-アセチル-7-メチルスピロ[2.5]オクタ-6-エン-5-イルアセテート、メチルまたはエチル7-アセトキシ-5-メチルスピロ[2.5]オクタ-5-エン-4-カルボキシレート、メチルまたはエチル4-アセトキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、メチルまたはエチル4-アセトキシ-6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、メチルまたはエチル4-アセトキシ-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、4-(ブタ-2-エノイル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、4-(ブタ-2-エノイル)-3,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、メチルまたはエチル4-アセトキシ-2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、メチルまたはエチル7-アセトキシ-5-メチルスピロ[2.5]オクタ-5-エン-4-カルボキシレートが挙げられる。
【0033】
本発明のいずれかの実施形態によれば、塩基は、式(I)の化合物の沸点よりも少なくとも5℃高い沸点を有する。特に、塩基は、式(I)の化合物の沸点よりも少なくとも10℃、15℃、またはさらには20℃高い沸点を有する。
【0034】
本発明のいずれかの実施形態によれば、塩基は、金属カルボン酸塩、金属炭酸水素塩または金属炭酸塩である。
【0035】
本発明のいずれかの実施形態によれば、金属炭酸塩は、式
MpCO3 (III)
[式中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、pは、1または2であるが;ただし、Mがアルカリ土類金属である場合、pは1であり、Mがアルカリ金属である場合、pは2である]のものである。
【0036】
本発明のいずれかの実施形態によれば、金属炭酸水素塩は、式
M(HOCO2)q (IV)
[式中、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、qは、1または2であるが;ただし、Mがアルカリ土類金属である場合、qは2であり、Mがアルカリ金属である場合、qは1である]のものである。
【0037】
本発明のいずれかの実施形態によれば、金属カルボン酸塩は、式
(RCOO)rM (V)
[式中、Rは、水素原子またはC1-18炭化水素基であり;Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、rは、1または2であるが;ただし、Mがアルカリ金属である場合、rは1であり、Mがアルカリ土類金属である場合、rは2である]のものである。
【0038】
「・・・炭化水素基・・・」とは、前記基が、水素原子および炭素原子からなり、脂肪族炭化水素、すなわち直鎖状または分岐状飽和炭化水素(例えば、アルキル基)、直鎖状または分岐状不飽和炭化水素(例えば、アルケニル基またはアルキニル基)、飽和環状炭化水素(例えば、シクロアルキル)または不飽和環状炭化水素(例えば、シクロアルケニル基またはシクロアルキニル基)の形態であってもよいし、芳香族炭化水素、すなわちアリール基の形態であってもよいし、前記タイプの基の混合物の形態であってもよいことを意味すると理解され、例えば、特定の基は、1つのタイプのみに対する特定の限定が言及されない限り、直鎖状アルキル、分岐状アルケニル(例えば、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する)、(ポリ)シクロアルキルおよびアリール部位を含むことができる。同様に、本発明のすべての実施形態において、ある基が、2つ以上のタイプのトポロジー(例えば、直鎖状、環状または分岐状)の形態であること、および/または飽和もしくは不飽和(例えば、アルキル、芳香族またはアルケニル)であることが言及される場合、それもまた、上記で説明されるように、前記トポロジーのいずれか1つを有するかまたは飽和もしくは不飽和である部位を含むことができる基を意味する。同様に、本発明のすべての実施形態において、基が、1つのタイプの飽和または不飽和の形態であると言及される場合(例えば、アルキル)、前記基は、任意のタイプのトポロジー(例えば、直鎖状、環状または分岐状)であるか、または様々なトポロジーを有するいくつかの部位を有することができることを意味する。
【0039】
本発明のいずれかの実施形態によれば、Mは、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウムおよびリチウムの群から選択され得、好ましくはカリウムである。
【0040】
本発明のいずれかの実施形態によれば、本発明の方法は、金属カルボン酸塩の存在下で行われる。
【0041】
本発明のいずれかの実施形態によれば、Rは、水素原子またはC1-15炭化水素基であってよい。特に、Rは、水素原子、フェニル基、C1-15アルキル基またはC2-15アルケニル基であってよい。特に、Rは、水素原子、フェニル基、C1-10アルキル基またはC2-10アルケニル基であってよい。特に、Rは、水素原子、フェニル基、C1-8アルキル基またはC2-8アルケニル基であってよい。特に、Rは、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基であってよい。特に、Rは、水素原子、フェニル基またはC1-3アルキル基であってよい。さらにより特には、Rはメチル基であってよい。
【0042】
適切な金属炭酸塩の非限定的な例としては、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸リチウムが挙げられる。
【0043】
適切な金属炭酸水素塩の非限定的な例としては、炭酸水素カリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素リチウムが挙げられる。
【0044】
適切な金属カルボン酸塩の非限定的な例としては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸リチウム、安息香酸カリウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸リチウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸リチウム、オクタン酸カリウム、オクタン酸マグネシウム、オクタン酸ナトリウム、オクタン酸カルシウム、オクタン酸リチウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カルシウムまたは2-エチルヘキサン酸リチウムが挙げられる。
【0045】
式(I)の化合物を形成するために、金属炭酸水素塩または金属炭酸塩を本発明の方法の反応媒体に広範囲の濃度で添加することができる。非限定的な例として、金属炭酸水素塩または金属炭酸塩の濃度値として、式(II)の化合物の総量に対して1mol%~10当量の範囲のものを挙げることができる。特に、金属炭酸水素塩または金属炭酸塩濃度は、1mol%~5当量であってよい。特に、金属炭酸水素塩または金属炭酸塩濃度は、1.2mol%~2当量であってよい。本方法は、より多くの金属炭酸水素塩または金属炭酸塩でも機能することは言うまでもない。しかし、金属炭酸水素塩または金属炭酸塩の最適濃度は、当業者であれば知っているように、金属炭酸水素塩または金属炭酸塩の性質、式(II)の化合物の性質、温度および所望の反応時間に依存する。
【0046】
本発明のいずれかの実施形態によれば、本発明の方法は、触媒量の金属カルボン酸塩の存在下で実施される。
【0047】
式(I)の化合物を形成するために、金属カルボン酸塩を本発明の方法の反応媒体に広範囲の濃度で添加することができる。非限定的な例として、金属カルボン酸塩濃度値として、式(II)の化合物の総量に対して0.1mol%~100mol%の範囲のものを挙げることができる。特に、金属カルボン酸塩濃度は、1mol%~50mol%であってよい。特に、金属カルボン酸塩濃度は、2mol%~20mol%であってよい。さらにより特には、金属カルボン酸塩濃度は、5mol%~15mol%であってよい。本方法は、より多くの金属カルボン酸塩でも機能することは言うまでもない。しかし、金属カルボン酸塩の最適濃度は、当業者であれば知っているように、金属カルボン酸塩の性質、式(II)の化合物の性質、温度および所望の反応時間に依存する。
【0048】
本発明の方法による式(I)の化合物の形成は、バッチ式、半連続式、または連続式の条件下で実施される。
【0049】
本発明のいずれかの実施形態によれば、式(I)の化合物や任意に式R7COOHのカルボン酸のような、本発明の方法中に生成される比較的揮発性の高い化合物は、例えば大気圧または減圧下での蒸留によって、方法中に連続的に取り出される。
【0050】
本発明の方法は、窒素またはアルゴンのような不活性雰囲気下で実施することができる。本発明の方法は、大気圧下またはわずかな真空下で実施することができる。特に、本発明の方法は、100Pa~10000Pa(1~100mbars)、特に3000Pa~5000Pa(30~50mbars)の圧力で実施することができる。当業者であれば、式(II)および(I)の化合物ならびに溶媒に応じて圧力を調整することは十分に可能である。
【0051】
本発明の方法による式(I)の化合物の形成は、溶媒の存在下または非存在下で実施することができる。溶媒が必要であるか、または実用的な理由で使用される場合、そのような反応タイプにおける慣用の任意の溶媒を本発明の目的のために使用することができ、特に少なくとも1つの非プロトン性双極性溶媒を使用することができる。非限定的な例としては、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン、N-オクチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホルアミドまたはそれらの混合物が挙げられる。溶媒の選択は、式(II)の化合物および/または塩基の性質に依存し、当業者は、反応を最適化するために、それぞれの場合に最も適した溶媒を選択することが十分に可能である。
【0052】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、本発明の方法による式(I)の化合物の形成は、80℃~250℃の温度で実施される。特に、温度は、100℃~200℃の範囲である。当業者はまた、出発生成物および最終生成物の融点および沸点ならびに所望の反応時間または転化率に応じて好ましい温度を選択することができる。
【0053】
式(I)、(II)の化合物は、総じて新規化合物であり、上記で説明し、かつ実施例で示すような多くの利点を有する。
【0054】
したがって、本発明の別の主題は、式
【化9】
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表すか;またはR
4およびR
5が一緒になって、C
3-6シクロアルキル基を形成し;Xは、C(O)R
6基、COOR
6基、CN基またはC=NR
6基であり、R
6は、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表し、R
7は、水素原子、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルキル基であって、1個以上のハロゲン原子で任意に置換されたもの、またはC
6-10アリール基であって、ヒドロキシ基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルコキシ基および/もしくはハロゲン原子のうちの1つ以上で任意に置換されたものを表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体の形態であるが、ただし、4-(ブタ-2-エノイル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテートおよびエチル4-アセトキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレートは除外されるものとする、化合物である。
【0055】
本発明のいずれかの実施形態によれば、式(II)の化合物は、4-アセチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、3,5,5-トリメチル-4-(2-メチルブタ-2-エノイル)シクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、5-エチル-3,5-ジメチル-4-(2-メチルブタ-2-エノイル)シクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、4-(ブタ-2-エノイル)-5-エチル-3,5-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、8-(ブタ-2-エノイル)-7-メチルスピロ[2.5]オクタ-6-エン-5-イルアセテート、4-アセチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、4-アセチル-5-エチル-3,5-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、8-アセチル-7-メチルスピロ[2.5]オクタ-6-エン-5-イルアセテート、メチル7-アセトキシ-5-メチルスピロ[2.5]オクタ-5-エン-4-カルボキシレート、エチル7-アセトキシ-5-メチルスピロ[2.5]オクタ-5-エン-4-カルボキシレート、メチル4-アセトキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、メチル4-アセトキシ-6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、エチル4-アセトキシ-6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、4-(ブタ-2-エノイル)-3,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート、メチル4-アセトキシ-2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、エチル4-アセトキシ-2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、メチル4-アセトキシ-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、エチル4-アセトキシ-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート、メチル7-アセトキシ-5-メチルスピロ[2.5]オクタ-5-エン-4-カルボキシレートおよびエチル7-アセトキシ-5-メチルスピロ[2.5]オクタ-5-エン-4-カルボキシレートからなる群において選択することができる。
【0056】
本発明の別の主題は、式
【化10】
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表すか;またはR
4およびR
5が一緒になって、C
3-6シクロアルキル基を形成し;Xは、C(O)R
6基、COOR
6基、CN基またはC=NR
6基であり、R
6は、水素原子、C
1-6アルキル基またはC
2-6アルケニル基を表す]の化合物のいずれか1つの立体異性体またはそれらの混合物の形態であるが、ただし、エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、メチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)エタン-1-オンおよび1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンは除外されるものとする、化合物である。
【0057】
本発明のいずれかの実施形態によれば、式(I)の化合物は、2-メチル-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、1-(6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)-2-メチルブタ-2-エン-1-オン、1-(6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、1-(5-メチルスピロ[2.5]オクタ-4,6-ジエン-4-イル)ブタ-2-エン-1-オン、1-(5-メチルスピロ[2.5]オクタ-4,6-ジエン-4-イル)エタン-1-オン、1-(6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)エタン-1-オン、メチル6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、エチル6-エチル-2,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、1-(2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、メチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート、エチル5-メチルスピロ[2.5]オクタ-4,6-ジエン-4-カルボキシレート、メチル5-メチルスピロ[2.5]オクタ-4,6-ジエン-4-カルボキシレート、メチル2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレートおよびエチル2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレートからなる群において選択することができる。
【0058】
式(I)の前記化合物は、例えばアンバータイプの香りノートを付与するための賦香成分として使用することができる。したがって、本発明の別の主題は、上記で定義された本発明の式(I)の化合物の、賦香成分としての使用である。換言すれば、本発明は、賦香組成物または着香物品または表面の香り特性を付与、増強、改善または変調する方法または方法に関し、本方法は、前記組成物または物品に、例えばその典型的なノートを付与するために有効量の本発明の物質組成物を添加することを含む。最終的な快楽的効果は、本発明の物質組成物の厳密な計量供給量および官能特性に依存し得るが、いずれにせよ、本発明の式(I)の化合物の添加は、その典型的なタッチを、計量供給量に応じてノート、タッチまたはアスペクトの形態で最終製品に付与することが理解される。
【0059】
「本発明の式(I)の化合物の使用」とは、本明細書において、本発明の式(I)の化合物を含み、かつ香料産業で有利に使用することができる任意の組成物の使用であるとも理解されなければならない。
【0060】
実際に賦香成分として有利に使用することができる前記組成物もまた、本発明の主題である。
【0061】
したがって、本発明の別の主題は、
i)賦香成分としての、上記で定義された式(I)の少なくとも1つの化合物と、
ii)香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1つの成分と、
iii)任意に、少なくとも1つの香料アジュバントと
を含む、賦香組成物である。
【0062】
「香料担体」とは、本明細書において、香料の観点から実質的にニュートラルである、すなわち賦香成分の官能特性を著しく変化させない材料を意味する。前記担体は、液体であっても固体であってもよい。
【0063】
液体担体としては、非限定的な例としては、乳化系、すなわち溶媒および界面活性剤系、または香料に一般的に使用される溶媒を挙げることができる。香料において一般的に使用される溶媒の性質および種類については、すべてを余すことなく詳細に記載できるものではない。しかし、非限定的な例としては、最も一般的に使用されている、ブチレングリコールまたはプロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコールおよびそのモノエーテル、1,2,3-プロパントリイルトリアセテート、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルアセテート、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastmanより入手可能)、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール、クエン酸トリエチルまたはそれらの混合物などの溶媒、あるいはグリセリンのような天然由来の溶媒や、パーム油、ヒマワリ油、亜麻仁油のような様々な植物油も挙げることができる。香料担体および香料ベースの双方を含む組成物については、先に規定したもの以外の適切な香料担体として、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、商標Isopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)で知られているようなイソパラフィン、または商標Dowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)で知られているようなグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、または商標Cremophor(登録商標)RH 40(供給元:BASF)で知られているような水添ヒマシ油を挙げることができる。
【0064】
固体担体とは、賦香組成物または賦香組成物の一部の成分が化学的または物理的に結合できる材料を意味する。総じて、このような固体担体は、組成物を安定化させるか、または組成物もしくはいくつかの成分の蒸発速度を制御するために使用される。固体担体は当技術分野で現在使用されており、当業者は所望の効果を得る方法を知っている。しかし、固体担体の非限定的な例としては、吸収性ガムもしくはポリマーまたは無機材料、例えば、多孔質ポリマー、シクロデキストリン、デキストリン、マルトデキストリン、木質系材料、有機もしくは無機ゲル、クレイ、石膏、タルクまたはゼオライトを挙げることができる。
【0065】
固体担体の他の非限定的な例としては、カプセル化材料を挙げることができる。そのような材料の例には、壁形成性および可塑化材料、例えば、グルコースシロップ、天然もしくは加工デンプン、ヒドロコロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質またはペクチン、植物性ガム、例えば、アカシアガム(アラビアガム)、尿素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ゼオライト、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、セッコウ、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、炭水化物、糖類、例えば、スクロース、単糖類、二糖類、三糖類および多糖類、および誘導体、例えば、キトサン、デンプン、セルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ポリオール/糖アルコール、例えば、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトールおよびイソマルト、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリビニルアルコール、アクリルアミド、アクリレート、ポリアクリル酸および関連構造、無水マレイン酸コポリマー、アミン官能性ポリマー、ビニルエーテル、スチレン、ポリスチレンスルホネート、ビニル酸、エチレングリコール-プロピレングリコールブロックコポリマー、植物性ガム、アカシアガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラギーナン、クエン酸または任意の水溶性固体酸、脂肪アルコールまたは脂肪酸およびそれらの混合物、あるいはさらにはH. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr’s Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996のような参考文献に挙げられている材料が含まれ得る。カプセル化は、当業者には周知のプロセスであり、例えば、噴霧乾燥、凝集またはさらには押出成形のような技術を使用して実施することができ;またはコアセルベーションおよび複合コアセルベーション技術を含むコーティングカプセル化からなる。
【0066】
固体担体の非限定的な例としては、特に、任意に高分子安定剤またはカチオン性コポリマーの存在下で重合、界面重合、コアセルベーション、またはそれらすべてによって誘導される相分離プロセスのような技術を用いた(前記技術はすべて先行技術に記載されている)アミノプラスト、ポリアミド、ポリエステル、ポリ尿素もしくはポリウレタンタイプの樹脂またはそれらの混合物(前記樹脂はすべて当業者に周知である)を含むコアシェルカプセルを挙げることができる。
【0067】
樹脂は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、2,2-ジメトキシエタナール、グリオキサール、グリオキシル酸またはグリコールアルデヒドおよびそれらの混合物)と、尿素、ベンゾグアナミン、グリコウリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾールなどのアミンおよびそれらの混合物との重縮合によって製造することができる。あるいはUrac(登録商標)(供給元:Cytec Technology Corp.)、Cymel(登録商標)(供給元:Cytec Technology Corp.)、Urecoll(登録商標)またはLuracoll(登録商標)(供給元:BASF)の商標で市販されているような、予め形成された樹脂であるアルキロール化ポリアミンを使用することができる。
【0068】
他の樹脂は、グリセリンのようなポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートもしくはキシリレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、またはキシリレンジイソシアネートの三量体のトリメチロールプロパン付加物(Takenate(登録商標)の商品名で知られている、供給元:三井化学株式会社)のようなポリイソシアネートとの重縮合によって製造されるものであり、ポリイソシアネートのうち、キシリレンジイソシアネートの三量体のトリメチロールプロパン付加物およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットが好ましい。
【0069】
アミノ樹脂、すなわちメラミン系樹脂とアルデヒドとの重縮合による香料のカプセル化に関連する影響力のあるいくつかの文献には、K. Dietrichらによって公開されたActa Polymerica, 1989, Vol. 40, pages 243, 325および683、ならびに1990, Vol. 41, page91などの論文が含まれる。そのような論文には、先行技術の方法にしたがったそのようなコアシェルマイクロカプセルの製造に影響を及ぼす様々なパラメータが既に記載されており、これらは、特許文献にもさらに詳述および例示されている。Wiggins Teape Group Limitedによる米国特許第4396670号明細書は、後者の適切な初期の例である。それ以降、多くの他の著者がこの分野の文献を充実させてきており、発表されたすべての進展結果を本明細書で網羅することは不可能であるものの、カプセル化技術における一般的な知識は非常に重要である。そのようなマイクロカプセルの適切な使用を開示しているより最近の関連性のある刊行物は、例えば、K. BruyninckxおよびM. Dusselierの論文であるACS Sustainable Chemistry & Engineering, 2019, vol. 7, pages 8041-8054である。
【0070】
本明細書で意味するところの「香料ベース」とは、少なくとも1つの賦香補助成分を含む組成物である。
【0071】
前記賦香補助成分は、式(I)の化合物ではない。さらに、「賦香補助成分」とは、本明細書において、快楽的効果を付与するために賦香調製物または組成物に使用される化合物、すなわち、香りを付与または変調することを主目的として使用される化合物を意味する。換言すれば、このような補助成分は、賦香性であるとみなされるためには、単に香りを有するだけでなく、組成物の香りをポジティブにまたは心地よく付与または変調することができるものと当業者に認識されなければならない。賦香補助成分は、香りを変調または付与すること以外の付加的な有益性を付与することができ、例えば、持続性、ブルーミング、悪臭中和、抗微生物効果、抗ウイルス効果、微生物安定性、または害虫駆除性などが挙げられる。
【0072】
ベース中に存在する賦香補助成分の性質および種類について、本明細書におけるより詳細な説明は保証されないが、いずれにしても網羅できるものではなく、当業者は、自身の常識に基づいて、意図する使用または用途および所望の官能効果に応じてそれらを選択することができる。一般論として、これらの賦香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、チオール、テルペン炭化水素、含窒素または含硫複素環式化合物および精油のような様々な化学的クラスに属し、前記賦香補助成分は、天然由来であっても合成由来であってもよい。
【0073】
特に、香料配合物において一般的に使用される、以下のような賦香補助成分を挙げることができる:
- アルデハイド調成分:デカナール、ドデカナール、2-メチルウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール;
- アロマティックハーバル調成分:ユーカリ油、カンフル、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.0~2,7~]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはα-ピネン;
- バルサミック調成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
- シトラス調成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、リナリルアセテート、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン;
- フローラル調成分:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、β-イオノン、2-(メチルアミノ)安息香酸メチル、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスジヒドロジャスモン酸メチル、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、ベルジルプロプリオネート、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、シス-7-p-メンタノール、プロピル(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパノエート、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、酢酸イソノニル、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、イソ酪酸ベルジルおよび/またはメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーティ調成分:γ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノライド、エチル2-メチルペンタノエート、酢酸ヘキシル、エチル2-メチルブタノエート、γ-ノナラクトン、ヘプタン酸アリル、2-フェノキシエチルイソブチレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート、ジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテートおよび/またはジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート;
- グリーン調成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、酢酸スチラリル、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク調成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オンおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッディ調成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチョリ油、パチョリ油のテルペンフラクション、Clearwood(登録商標)(供給元:Firmenich SA)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/または酢酸イソボルニル;
- 他の成分(例えば、アンバー調、パウダリースパイシー調またはウォータリー調):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチルナフト[2,1-b]フランおよびその立体異性体のいずれか、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナムアルデヒド、チョウジ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、1-フェニルビニルアセテート、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4.4]ノナンおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール。
【0074】
本発明による香料ベースは、上記の賦香補助成分に限定されず、これらの補助成分の他の多くはいずれにせよ、S. Arctanderによる文献Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはそのより新しいバージョンのような参照文献または同様の性質の他の著作物および香料分野における豊富な特許文献に列挙されている。また、前記補助成分は、プロパフュームまたはプロフレグランスとしても知られる様々なタイプの賦香化合物を制御された様式で放出することが知られている化合物であってもよいことが理解される。適切なプロパフュームの非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、トランス-3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、3-(ドデシルスルホニル)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン、(3-メルカプトプロピル)(メチル)ジメトキシシランの線状ポリシロキサンコポリマー、1-[6-エチル-2,6-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-(ドデシルスルホニル)オクタン-4-オン、4-オキソオクタン-2-イルドデカノエート、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2E,6Z)-2,6-ノナジエニルヘキサデカノエート、(2E,6Z)-2,6-ノナジエン-1-イルテトラデカノエート、(2E,6Z)-2,6-ノナジエン-1-イルドデカノエート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(2-((2-メチル-4-(2、6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(2-メチル-3-フェネトキシアリル)ベンゼン、(2-((2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、2-エトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)-4-メチルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、1-イソプロピル-2-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)-4-メチルベンゼン、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物を挙げることができる。
【0075】
「香料アジュバント」とは、本明細書において、色、特定の耐光性、化学的安定性などのようなさらなる付加的な有益性を付与し得る成分を意味する。賦香組成物に一般的に使用されるアジュバントの性質および種類については、すべてを余すことなく詳細に記載できるものではないが、こうした成分は当業者に周知であることを述べなければならない。特定の非限定的な例として以下のものを挙げることができる:粘性剤(例えば、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤および/またはレオロジー調整剤)、安定剤(例えば、防腐剤、酸化防止剤、熱/光およびまたは緩衝剤またはキレート剤、例えば、BHT)、着色剤(例えば、染料および/または顔料)、防腐剤(例えば、抗細菌剤または抗微生物剤または抗真菌剤または抗刺激剤)、研磨剤、皮膚冷却剤、固定剤、昆虫忌避剤、軟膏、ビタミン類およびそれらの混合物。「モジュレーター」とも呼ばれる「固定剤」とは、本明細書において、該モジュレーターを組み込んだ組成物の匂い、特に蒸発速度および強度が、該モジュレーターの非存在下での同じ知覚と比較して、その観察者または使用者によって経時的に知覚され得る態様に影響を及ぼす能力を有する薬剤であると理解される。特に、モジュレーターは、そのフレグランスが知覚される時間を延長することを可能にする。適切なモジュレーターの非限定的な例としては、メチルグルコシドポリオール;エチルグルコシドポリオール;プロピルグルコシドポリオール;イソセチルアルコール;PPG-3ミリスチルエーテル;ネオペンチルグリコールジエチルヘキサノエート;ラウリン酸スクロース;ジラウリン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、トリステアリン酸スクロース、ヒアルロン酸ジサッカリドナトリウム塩、ヒアルロン酸ナトリウム、プロピレングリコールプロピルエーテル;ジセチルエーテル;ポリグリセリン-4エーテル;イソセテス-5;イソセテス-7、イソセテス-10;イソセテス-12;イソセテス-15;イソセテス-20;イソセテス-25;イソセテス-30;ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム;ヘキサエチレングリコールモノドデシルエーテル;およびそれらの混合物;ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール;エチルヘキサン酸セテアリル;パンテノールエチルエーテル、DL-パンテノール、n-ノナン酸n-ヘキサデシル、n-ノナン酸ノクタデシル、プロフレグランス、シクロデキストリン、封入剤およびそれらの組み合わせを挙げることができる。賦香組成物の総重量に対して多くとも20重量%のモジュレーターを、着香消費者製品に組み込むことができる。
【0076】
当業者は、単に当技術分野の標準的な知識を適用することによってのみならず試行錯誤法によっても賦香組成物の上記の成分を混合することによって所望の効果を得るための最適な配合物を設計することが完全に可能であることが理解される。
【0077】
本発明の式(I)の化合物と少なくとも1つの香料担体とからなる本発明の組成物は、本発明の特定の一実施形態から構成されているとともに、本発明の物質組成物と、少なくとも1つの香料担体と、少なくとも1つの香料ベースと、任意に少なくとも1つの香料アジュバントとを含む賦香組成物からも構成されている。
【0078】
明確にするために述べると、出発物質、中間体または最終生成物として本発明の式(I)の化合物が含まれていると考えられる化学合成から直接的に得られる混合物、例えば、適切な精製を行っていない反応媒体は、この混合物が本発明の式(I)の化合物を香料に適した形態で提供しない限り、本発明による賦香組成物とみなすことはできないことも理解される。したがって、特に明記しない限り、未精製の反応混合物は、総じて本発明から除外される。
【0079】
本発明の式(I)の化合物は、本発明の式(I)の化合物が加えられる消費者製品の匂いをポジティブに付与または変調するために、最新の香料の分野、すなわちファインパフュームまたは機能性香料のすべての分野において有利に使用することもできる。したがって本発明の別の主題は、上記で定義された本発明の物質組成物を賦香成分として含む、着香消費者製品にも関する。
【0080】
本発明の式(I)の化合物は、そのままで添加することも、本発明の賦香組成物の一部として添加することもできる。
【0081】
明確にするために述べると、「着香消費者製品」とは、消費者製品であって、該消費者製品が適用される表面または空間(例えば、皮膚、毛髪、テキスタイルまたは家庭内表面)に少なくとも心地良い賦香効果を送達するものを表すことを意図している。換言すれば、本発明による着香消費者製品は、機能的配合物と、任意に所望の消費者製品に応じた追加の有益剤と、本発明による少なくとも1つの化合物の嗅覚的に有効な量とを含む着香消費者製品である。明確にするために述べると、前述の着香消費者製品は、非食用製品である。
【0082】
着香消費者製品の成分の性質および種類について、本明細書におけるより詳細な説明は保証されないが、いずれにしても網羅できるものではなく、当業者は、自身の常識に基づき、また該製品の性質および所望の効果に応じてそれらを選択することができる。
【0083】
適切な着香消費者製品の非限定的な例としては、香水、例えば、ファインパフューム、スプラッシュパフュームもしくはオードパフューム、コロン、シェーブローションもしくはアフターシェーブローション;布地ケア製品、例えば、液体洗剤もしくは固形洗剤であって、任意にポッドまたはタブレットの形態であるもの、布地用柔軟剤、液体もしくは固体のセントブースター、乾燥機用シート、布地用リフレッシュ剤、アイロニングウォーター、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品;ボディケア製品、例えば、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、リーブオンヘアコンディショナーもしくはリンスオフヘアコンディショナー、カラーリング用調製物もしくはヘアスプレー、カラーケア製品、整髪用製品、デンタルケア製品)、殺菌剤、インティメイトケア製品;化粧品(例えば、スキンクリームもしくはスキンローション、バニシングクリームもしくはデオドラントもしくは制汗剤(例えば、スプレーもしくはロールオン)、脱毛剤、タンニング用製品もしくは日焼け用製品もしくは日焼け後用製品、ネイル用製品、皮膚洗浄剤、化粧品);またはスキンケア製品(例えば、石鹸、シャワームース、シャワーオイルもしくはシャワージェルまたはバスムース、バスオイルもしくはバスジェル、または衛生製品もしくはフット/ハンドケア製品);エアケア製品、例えば、家庭内空間(部屋、冷蔵庫、食器棚、靴もしくは車)および/もしくは公共の空間(ホール、ホテル、モールなど)において使用することができるエアフレッシュナーもしくは「すぐに使用可能な」粉末状エアフレッシュナー;またはホームケア製品、例えば、カビ除去剤、家具ケア製品、ワイプ、食器用洗剤もしくは硬質表面用(例えば、床用、浴室用、衛生用もしくは窓拭き用)洗剤;皮革ケア製品;カーケア製品、例えば、ポリッシュ、ワックスもしくはプラスチッククリーナーが挙げられる。
【0084】
上述した着香消費者製品の一部は、本発明の物質組成物にとって攻撃的な媒体となり得るため、例えば封入によって、または酵素、光、熱もしくはpHの変化のような適切な外部刺激によって本発明の式(I)の化合物を放出するのに適した別の化学物質と化学的に結合させることによって、本発明の物質組成物を早期分解から保護することが必要となる場合がある。
【0085】
本発明の方法を実施するための典型的な方法を、以下の実施例で報告する。
【0086】
実施例
以下、本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、略称は当技術分野における通常の意味を有し、温度は摂氏(℃)で示す。溶媒は通常の手法で乾燥させ、アルゴン雰囲気下で蒸留した。NMRスペクトルは、Bruker AV 300、AV 400、またはAV 500 MHzスペクトロメーターにより20℃で記録した。化学シフトは、溶媒シグナル(クロロホルム、δH=7.26ppm、δC=77.0ppm)に対するppmで報告されている。シグナルの割り当ては、1H、1H-COSY、-NOESY、13C、1H-HSQCおよび-HMBC実験を記録することにより確認した。ガスクロマトグラフィーは、HP5カラム(30m×内径0.25mm、0.25μmフィルム)を装備したAgilent 7890 Aシリーズで行い、内部標準物質としてテトラデカンを使用した。
【0087】
実施例1
本発明の方法による1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)エタン-1-オンの製造
メカニカルスターラー、充填カラム、還流冷却器を備えた1Lのガラス製反応器に、酢酸カリウム60g(0.61mol)、2-ピロリドン250g、および4-アセチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イルアセテート250g(1.11mol)を加えた。この反応混合物を撹拌し、次いで内圧を40mbarまで徐々に下げながら135℃まで加熱した。形成された生成物を、酢酸とともに4時間かけて連続的にフラスコに蒸留した。その後、圧力を25mbarまで下げながら、この反応混合物を155℃まで加熱した。その後、留出物を別の容器に取り分け、水性ソーダで中和した後、水で洗浄した。得られた粗製油状物(188g)を65~80℃/5mbarで分留して、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)エタン-1-オン169g(収率92%)を得た。このフラクションをGCクロマトグラフィーにより分析したところ、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)エタン-1-オンが97%、1-(6,6-ジメチル-2-メチレンシクロヘキサ-3-エン-1-イル)エタン-1-オンが1.8%、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2,4-ジエン-1-イル)エタン-1-オンが0.2%であった。
【0088】
【0089】
実施例2
本発明の方法によるエチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレートの製造
メカニカルスターラー、充填カラム、還流冷却器を備えた1Lのガラス製反応器に、酢酸カリウム50g(0.50mol)、2-ピロリドン200g、およびエチル4-アセトキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート300g(1.18mol)を加えた。この反応混合物を撹拌し、次いで内圧を50mbarまで徐々に下げながら155℃まで加熱した。形成された生成物を、酢酸とともに4時間かけて連続的にフラスコに蒸留した。その後、圧力を25mbarまで下げながら、この反応材料を165℃まで加熱した。その後、留出物を別の容器に取り分け、水性ソーダで中和した後、水で洗浄した。得られた粗製油状物(228g)を65~80℃/3mbarで分留して、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート199g(収率88%)を得た。このフラクションをGCクロマトグラフィーにより分析したところ、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレートが97.2%、エチル6,6-ジメチル-2-メチレンシクロヘキサ-3-エン-1-カルボキシレートが1.0%、エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2,4-ジエン-1-カルボキシレートが1.0%であった。
【0090】
【0091】
実施例3
本発明の方法によるメチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレートの製造
メカニカルスターラー、充填カラム、還流冷却器を備えた1Lのガラス製反応器に、酢酸カリウム50g(0.50mol)、2-ピロリドン200g、およびメチル4-アセトキシ-2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート300g(1.18mol)を加えた。この反応混合物を撹拌し、次いで内圧を50mbarまで徐々に下げながら155℃まで加熱した。形成された生成物を、酢酸とともに4時間かけて連続的にフラスコに蒸留した。その後、圧力を25mbarまで下げながら、この反応材料を165℃まで加熱した。その後、留出物を別の容器に取り分け、水性ソーダで中和した後、水で洗浄した。得られた粗製油状物(231g)を65~80℃/3mbarで分留して、メチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート202g(収率89.5%)を得た。このフラクションをGCクロマトグラフィーにより分析したところ、メチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレートが98.5%、メチル2-エチリデン-6,6-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルボキシレートが0.3%、メチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2,4-ジエン-1-カルボキシレートが0.9%であった。
【0092】
【0093】
実施例4
本発明の方法によるエチル2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレートの製造
メカニカルスターラー、充填カラム、還流冷却器を備えた1Lのガラス製反応器に、酢酸カリウム50g(0.50mol)、2-ピロリドン200g、およびエチル4-アセトキシ-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシレート300g(1.18mol)を加えた。この反応混合物を撹拌し、次いで内圧を50mbarまで徐々に下げながら155℃まで加熱した。形成された生成物を、酢酸とともに4時間かけて連続的にフラスコに蒸留した。その後、圧力を25mbarまで下げながら、この反応材料を165℃まで加熱した。その後、留出物を別の容器に取り分け、水性ソーダで中和した後、水で洗浄した。得られた粗製油状物(223g)を65~80℃/3mbarで分留して、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート194g(収率85%)を得た。このフラクションをGCクロマトグラフィーにより分析したところ、2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレートが98%(シス+トランス=44:56の混合物)、エチル5,6-ジメチル-2-メチレンシクロヘキサ-3-エン-1-カルボキシレートが0.5%、エチル2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-2,4-ジエン-1-カルボキシレートが1.0%であった。
【0094】
エチル(5SR,6RS)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート(トランス異性体):
【化14】
【0095】
エチル(5RS,6RS)-2,5,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシレート(シス異性体):
【化15】
【国際調査報告】