(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】電気バッテリ相互接続バーを覆うための絶縁性かつ難燃性のポリアミド組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 77/00 20060101AFI20241112BHJP
C08K 5/5313 20060101ALI20241112BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20241112BHJP
H01B 3/30 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K5/5313
C08L23/26
H01B3/30 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531506
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 FR2022052209
(87)【国際公開番号】W WO2023099845
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マッソ, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】アブグラル, フローラン
(72)【発明者】
【氏名】マーコート, マージョリー
【テーマコード(参考)】
4J002
5G305
【Fターム(参考)】
4J002BB203
4J002BB213
4J002CL011
4J002CL031
4J002CL032
4J002CL052
4J002EV287
4J002EW136
4J002FD027
4J002FD136
4J002GQ01
5G305AA02
5G305AB17
5G305AB25
5G305CA01
5G305CA20
5G305CD13
5G305CD17
(57)【要約】
本発明は、電気バッテリバスバーを覆うための難燃性絶縁組成物であって、重量で、(a)30~65%、より具体的には30~63.9%、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、(d)5~20%、より具体的には5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、(e)0~6%、より具体的には1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤を含み、構成成分(a)~(f)の合計が100%である、難燃性絶縁組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気バッテリバスバーを覆うための難燃性絶縁組成物であって、重量で、
(a)30~65%、より具体的には30~63.9%、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~20%、より具体的には5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)0~6%、より具体的には1~6%、特に2~4%の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である、
難燃性絶縁組成物。
【請求項2】
ポリアミドが、窒素原子あたりの炭素の数が8以上、より具体的には9以上、特に10以上の長鎖ポリアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記長鎖ポリアミドが、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA11及びPA12から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミドが、PA1010、PA1012、PA11及びPA12、より具体的にはPA11及びPA12から選択され、特にPA11であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記半芳香族ポリアミドが、式MXDYのポリアミドであることを特徴とし、式中、MXDは、m-キシリレンジアミンに対応し、YはC6~C18、特にC9~C18、より具体的にはC9~C12の脂肪族ジカルボン酸である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
式MXDYの前記半芳香族ポリアミドが、MXD6、MXD10、及びMXD12から選択され、より具体的にはMXD10であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
難燃剤が、ホスフィン酸の金属塩、ジホスフィン酸の金属塩、少なくとも1つのホスフィン酸の金属塩を含むポリマー、及び少なくとも1つのジホスフィン酸の金属塩を含むポリマーから選択される金属塩であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ポリオレフィンが架橋されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
添加剤が、抗酸化剤、着色顔料及び難燃性相乗剤から選択され、特に窒素相乗剤、より具体的にはメラミン系の相乗剤であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ポリエーテルブロックアミド(PEBA)を含まないことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
強化繊維を含まないことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
電気バッテリバスバーを被覆し、絶縁し、難燃化するための請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
前記バスバーが、電気バッテリ、より具体的には、車両、特に自動車の電気バッテリの内部及び/又は外部に配置されることを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を電気バッテリバスバー上に押し出す工程、又は前記組成物を電気バッテリバスバー上に粉体塗布する工程を含む、覆われ、絶縁された、難燃性の電気バッテリバスバーを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気バッテリバスバーを覆うための絶縁性かつ難燃性のポリアミド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両の分野では、バッテリの内外で高電流を循環させるためにバスバー(相互接続バー)と呼ばれるコネクタが存在する。これらのバーは、機械的応力及び経年劣化に耐える絶縁コーティングで保護する必要がある。このような環境で火災が発生した場合の影響を考慮すると、コーティングは優れた耐火性も示す必要がある。
【0003】
バスバーを製造するには、多くのプロセスが存在する。主なものは、中央の銅ストリップの周囲にポリマーを押出しすることである。次に、この構造は、車両の配置に必要な形状をとるように(周囲温度で)切断され、曲げられる。最も複雑なバスバー形状では、特定の等級の粉体塗布も使用することができる。
【0004】
バッテリバスバーの用途に関連する技術的な問題は、バスバーの変形に対応する高レベルの柔軟性を維持しつつ、耐火性のある(0.8mmでUL94 V0)、薄いポリマー層を形成することである。曲げ加工時に、硬すぎる材料は外面に亀裂を生じ、内面に「波」又は「ビード」を形成するが、この現象は、用途上許容することができない。
【0005】
したがって、材料の塑性閾値における挙動は非常に重要である。閾値での低い応力と閾値での大きい伸びが望ましい。
【0006】
これらのコーティングの変形レベルは依然として低いままであるが、それでも材料は、50%を超える破断伸びを有する必要がある。良好な耐摩耗性も、この用途にとって必要である。
【0007】
コーティングは電気絶縁体としても作用する必要があり、これは、破壊電圧、絶縁強度、及び600Vを超える比較トラッキング指数(CTI)などの特性につながる。この絶縁性は、最大で150℃までの加速熱劣化中でも維持される必要がある。
【0008】
最後に、合金のレオロジー特性は、0.5mm程度の薄いポリマー層の押し出しに適合する必要がある。
【0009】
ポリアミド(PA)組成物で最も頻繁に用いられる難燃剤は、ホスフィネートの類いの難燃剤である。その作用モード及び熱安定性により、ポリアミドマトリクスに特に適している。したがって、米国特許出願公開第2006/0084734号明細書には、ホスフィネート系難燃剤及びそれらの調製について記載されており、米国特許出願公開第2005/0014874号明細書には、芳香族又は半芳香族ポリアミドの難燃化におけるこれらのホスフィネートの使用例が記載されている。この特許出願は、ホスフィネート系難燃剤の存在下、脂肪族PAと比較した半芳香族ポリアミド(PAP)の優れた耐火性に関する情報を提供している。
【0010】
さらに、欧州特許出願公開第1741753号明細書には、無機強化材(ガラス繊維)の存在下での脂肪族PAと半芳香族PAとの混合物における、このタイプの難燃剤の組成物が記載されている。この特許出願では、ホスフィネート系難燃剤は必然的にメラミン系の窒素相乗剤と組み合わされる。
【0011】
最後に、鉄道分野では、米国特許出願公開第2017/0037198号明細書には、任意選択的にポリオレフィン及び/又はPEBA耐衝撃性改質剤を加えた、可塑化及びホスフィネート系難燃剤PA12をベースにした配合が提示されている。
【0012】
それでもなお、これらのさまざまな文書では、耐火性PA又は延性PAを取得する方法に関する情報が提供されている。しかしながら、延性と耐火性とを兼ね備えた薄肉の製品を得ることは困難である。引用された先行技術では、ガラス繊維を含む配合物のみが0.8mmでL94 V0を有している。ガラス繊維を含まない合金は、より厚い厚さであってもUL94を有する。しかしながら、厚さが薄くなるほど、耐火性がより困難になる。
【0013】
さらには、先行技術では、バッテリバスバー用途に必要な柔軟性と耐火性とを同時に達成するために配合物内の組合せに関する情報は提供されていない。
【発明の概要】
【0014】
したがって、本発明は、重量で、
(a)30~65%、より具体的には30~63.9%、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、特に15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~20%、より具体的には5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)0~6%、より具体的には1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である、
電気バッテリバスバーを覆うための難燃性絶縁組成物に関する。
【0015】
したがって、本発明者らは、特定の割合の半結晶性脂肪族ポリアミドと半芳香族ポリアミドとの混合物に、同様に特定の割合のホスフィネート系難燃剤及び官能化ポリオレフィンを組み合わせ、任意選択的に可塑剤及び添加剤を組み合わせると、バッテリバスバー用途に必要な上記の基準を示す組成物を構成可能になることを見出した。
【0016】
本発明の組成物によるバスバーの被覆により、耐火性、並びに機械的応力及び劣化に対し耐性のある絶縁コーティングによってバスバーを保護することが可能となる。
【0017】
前記バスバーは、電気バッテリ、より具体的には、車両、特に自動車の電気バッテリの内部及び/又は外部に配置される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
半結晶性脂肪族ポリアミド(a)
前記少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド(a)は、組成物中に重量で、30~65%、より具体的には30~63.9%、特に30~60%で存在する。
【0019】
半結晶性ポリアミドとは、室温では一般に固体であり、温度が上昇すると、より具体的にはガラス転移温度(Tg)を超えると軟化し、いわゆる融点(Tm)を超えると急激に溶融することができ、温度が結晶化温度未満に低下すると再び固体になる材料を意味するものと理解される。
【0020】
Tg、Tc、及びTmは、それぞれ、規格11357-2:2013及び11357-3:2013に準拠した示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。
【0021】
前記半結晶性ポリアミドの数平均分子量Mnは、好ましくは、10,000~85,000、特に10,000~60,000、好ましくは10,000~50,000、さらになお好ましくは12,000~50,000の範囲にある。これらのMn値は、ISO規格307:2007に準拠してm-クレゾール中で測定して0.8以上の固有粘度に相当しうるが、溶媒は変更されている(硫酸の代わりにm-クレゾールを使用、温度は20℃)。
【0022】
ポリアミドの定義に用いられる命名法は、ISO規格1874-1:2011 “Plastics - Polyamide (PA) moulding and extrusion materials - Part 1: Designation”、特に、3ページ(表1及び2)に記載されており、当業者にはよく知られている。
【0023】
ポリアミドという用語は、ホモポリアミドとコポリアミドの両方を含む。
【0024】
前記少なくとも1つの脂肪族半結晶性ポリアミドは、少なくとも1つのラクタムの重縮合、又は少なくとも1つのアミノ酸の重縮合、又は少なくとも1つのジアミンXと少なくとも1つのジカルボン酸Yとの重縮合、又はそれらの混合物から得られる。
【0025】
前記少なくとも1つの脂肪族半結晶性ポリアミドが少なくとも1つのラクタムの重縮合から得られる場合、前記少なくとも1つのラクタムは、C8~C18、好ましくはC10~C18、さらに好ましくはC10~C12のラクタムから選択することができる。C8~C18のラクタムは、特にデカノラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウリルラクタムである。
【0026】
前記少なくとも1つの脂肪族半結晶性ポリアミドが少なくとも1つのラクタムの重縮合から得られる場合、それは単一のラクタム又は複数のラクタムを含みうる。
【0027】
有利には、前記少なくとも1つの脂肪族半結晶性ポリアミドは、単一のラクタムの重縮合から得られ、前記ラクタムは、ラウリルラクタム及びウンデカノラクタム、有利にはラウリルラクタムから選択される。
【0028】
前記少なくとも1つの脂肪族半結晶性ポリアミドが少なくとも1つのアミノ酸の重縮合から得られる場合、前記少なくとも1つのアミノ酸は、C8~C18、好ましくはC10~C18、さらに好ましくはC10~C12のアミノ酸から選択することができる。
【0029】
C8~C18アミノ酸は、特に9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、10-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、及び11-アミノウンデカン酸、並びにそれらの誘導体、特にN-ヘプチル-11-アミノウンデカン酸である。
【0030】
したがって、前記少なくとも1つの脂肪族半結晶性ポリアミドが少なくとも1つのアミノ酸の重縮合から得られる場合、それは、単一のアミノ酸又は複数のアミノ酸を含みうる。
【0031】
有利には、前記脂肪族半結晶性ポリアミドは、単一のアミノ酸の重縮合から得られ、前記アミノ酸は、10-アミノデカン酸、11-アミノウンデカン酸、及び12-アミノドデカン酸から選択され、有利には11-アミノウンデカン酸である。
【0032】
前記少なくとも1つの脂肪族半結晶性ポリアミドが、少なくとも1つのC6~C36、好ましくはC6~C18、好ましくはC6~C12、さらに好ましくはC10~C12のジアミンXと、少なくとも1つのC6~C36、好ましくはC6~C18、好ましくはC6~C12、さらに好ましくはC10~C12の二酸Yとの重縮合から得られる場合、前記少なくとも1つのジアミンXは脂肪族ジアミンであり、前記少なくとも1つの二酸Yは脂肪族二酸である。
【0033】
ジアミンは、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。有利には直鎖状である。
【0034】
前記少なくとも1つのC6~C36のジアミンXは、特に、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、1,13-triデカメチレンジアミン、1,14-テトラデカメチレンジアミン、1,16-ヘキサデカメチレンジアミン及び1,18-オクタデカメチレンジアミン、オクタデセンジアミン、エイコサンジアミン、ドコサンジアミン、及び脂肪酸から得られるジアミンから選択することができる。
【0035】
有利には、前記少なくとも1つのジアミンXは、C6~C18であり、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、1,13-triデカメチレンジアミン、1,14-テトラデカメチレンジアミン、1,16-ヘキサデカメチレンジアミン、及び1,18-オクタデカメチレンジアミンから選択される。
【0036】
有利には、前記少なくとも1つのC6~C12ジアミンXは、特に、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、及び1,12-ドデカメチレンジアミンから選択される。
【0037】
有利には、前記少なくとも1つのC6~C12ジアミンXは、特に、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、及び1,12-ドデカメチレンジアミンから選択される。
【0038】
有利には、用いられるジアミンXは、C10~C12であり、特に1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、及び1,12-ドデカメチレンジアミンから選択される。
【0039】
前記少なくとも1つのC6~C36ジカルボン酸Yは、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、及び脂肪酸から得られる二酸から選択することができる。
【0040】
二酸は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。有利には直鎖状である。
【0041】
有利には、前記少なくとも1つのジカルボン酸Yは、C6~C18であり、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、及びオクタデカン二酸から選択される。
【0042】
有利には、前記少なくとも1つのジカルボン酸Yは、C6~C12であり、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、及びドデカン二酸から選択される。
【0043】
有利には、前記少なくとも1つのジカルボン酸Yは、C10~C12であり、セバシン酸、ウンデカン二酸、及びドデカン二酸から選択される。
【0044】
前記脂肪族半結晶性ポリアミドが少なくとも1つのジアミンXと少なくとも1つのジカルボン酸Yとの重縮合から得られる場合、それは、単一のジアミン又は複数のジアミン、並びに単一のジカルボン酸又は複数のジカルボン酸を含むことができる。
【0045】
有利には、前記脂肪族半結晶性ポリアミドは、単一のジアミンXと単一のジカルボン酸Yとの重縮合から得られる。
【0046】
一実施形態では、前記少なくとも1つのポリアミドは、窒素原子あたりの炭素の数が8以上、より具体的には9以上、特に10以上である、長鎖ポリアミドである。
【0047】
別の実施形態では、前記少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミドは、ポリアミドPA610、PA612、PA1010、PA1012、PA11、及びPA12から選択される。
【0048】
有利には、前記少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミドは、ポリアミドPA1010、PA1012、PA11、及びPA12、より具体的にはPA11及びPA12から選択され、特にPA11である。
【0049】
半芳香族ポリアミド(b)
前記少なくとも1つの半芳香族ポリアミド(b)は、組成物中に重量で15~40%、より具体的には15~30%で存在する。
【0050】
一実施形態では、半芳香族ポリアミドは、半結晶性半芳香族ポリアミド、特に、欧州特許出願公開第1505099号明細書に記載されている式X/YArの半芳香族ポリアミド、特に、Aが、アミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位、及び式(Caジアミン).(Cb二酸)の単位から選択される、式A/XTの半芳香族ポリアミドであり、式中、aはジアミンの炭素原子の数であり、bは二酸の炭素原子の数であり、a及びbは各々が4と36の間、有利には9と18の間であり、(Caジアミン)単位は、直鎖又は分岐鎖の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びアルキル芳香族ジアミンから選択され、(Cb二酸)単位は、直鎖又は分岐鎖の脂肪族二酸、脂環式二酸、及び芳香族二酸から選択される;
【0051】
X.Tは、Cxジアミンとテレフタル酸との重縮合から得られる単位を表し、xはCxジアミンの炭素原子の数を表しており、xは5と36の間、有利には9と18の間であり、特に、式A/5T、A/6T、A/9T、A/10T、又はA/11Tのポリアミドであり、Aは上で定義された通りであり、より具体的には、PA MPMDT/6T、PA11/10T、PA 5T/10T、PA 11/BACT、PA 11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA 11/BACT/6T、PA 11/MPMDT/6T、PA 11/MPMDT/10T、PA 11/BACT/10T、PA 11/MXDT/10T、又は11/5T/10Tから選択されるポリアミドである。
【0052】
特に、半結晶性半芳香族ポリアミドは、ポリアミド11/5T又は11/6T又は11/10T、MXDT/10T、MPMDT/10T、及びBACT/10Tから選択される。
【0053】
Tは、テレフタル酸に対応し、MXDはm-キシリレンジアミンに対応し、MPMDはメチルペンタメチレンジアミンに対応し、BACは、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに対応する。
【0054】
一実施形態では、単位AのCb二酸には、イタコン酸が含まれない。
【0055】
別の実施形態では、前記少なくとも1つの半芳香族ポリアミドは、式X1Y、X1Yのポリアミドであり、これは、アリールアミンから選択されるジアミン(X1)と、上に定義される少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸(Y)との重縮合から得られる繰り返し単位である。
【0056】
一実施形態では、式X1Yの半芳香族ポリアミドの脂肪族ジカルボン酸(Y)には、イタコン酸は含まれない。
【0057】
有利には、この実施形態では、アリールアミンは、m-キシリレンジアミン(MXD、CAS番号:1477-55-0)又はp-キシリレンジアミン(PXD、CAS番号:539-48-0)から選択される。
【0058】
別の実施形態では、前記少なくとも1つの半芳香族ポリアミドは式MXDYのポリアミドであり、ここで、MXDはm-キシリレンジアミンに対応し、YはC6~C18である。
【0059】
有利には、式MXDYの前記半芳香族ポリアミドは、MXD6、MXD10、及びMXD12から選択され、より具体的にはMXD10である。
【0060】
一実施形態では、前記半芳香族ポリアミドには、2-ピロリドン単位は含まれない。
【0061】
ホスフィネート系難燃剤(c)
前記少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤(c)は、組成物中に重量で、15~30%、より具体的には20~25%で存在する。
【0062】
難燃剤は、特に、ホスフィン酸の金属塩、ジホスフィン酸の金属塩、少なくとも1つのホスフィン酸の金属塩を含むポリマー、及び少なくとも1つのジホスフィン酸の金属塩を含むポリマーから選択される金属塩である。難燃剤は、前述の難燃剤の混合物であってもよい。
【0063】
難燃剤はまた、次の式(I)のホスフィン酸の金属塩、及びの次の式(II)のジホスフィン酸金属塩から選択することもできる:
[式中、
R1及びR2は、互いに独立して、直鎖又は分岐鎖のC1~C6アルキル基又はアリール基を表し、
R3は、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキレン、C6~C10アリーレン、C6~C10アルキルアリーレン、又はC6~C10アリールアルキレン基であり、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、若しくはKイオン、及び/又はプロトン化アミン塩基であり、
mは、1~4の整数を表し、
nは、1~4の整数を表し、
xは、1~4の整数を表し、
n及びmは、塩が中性である、すなわち電荷を帯びないように選択される]。
【0064】
好ましくは、Mは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、又は亜鉛イオンである。
【0065】
好ましくは、R1及びR2は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、及び/又はフェニル基を表す。
【0066】
好ましくは、R3は、メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレン、n-オクチレン、n-ドデシレン;フェニレン、ナフチレン;メチルフェニレン、エチルフェニレン、tert-ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチルナフチレン、tert-ブチルナフチレン;フェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレン、又はフェニルブチレン基である。
【0067】
官能化ポリオレフィン(d)
前記少なくとも1つの官能化ポリオレフィン(d)は、組成物中に重量で、5~20%、より具体的には5~15%で存在する。
【0068】
官能化ポリオレフィンは、反応単位(官能性)を有するアルファオレフィンのポリマーであってよく、このような反応単位は、酸、無水物、又はエポキシ官能である。一例として、不飽和エポキシド、例えば(メタ)アクリル酸グリシジルで、又はカルボン酸若しくは対応する塩又はエステル、例えば(メタ)アクリル酸(これは、Znなどの金属で完全に又は部分的に中和可能である)で、あるいはカルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸でグラフト化又は共重合化又は三元共重合化された、前述のポリオレフィン(B2)を挙げることができる。官能化ポリオレフィンは、例えば、PE/EPR混合物であり、その重量比は、例えば40/60と90/10の間の広い範囲内で変化することができ、前記混合物は、無水物、特に無水マレイン酸と、例えば0.01~5重量%のグラフト度で、共グラフト化されている。
【0069】
官能化ポリオレフィンは、グラフト化度が例えば0.01~5重量%である、無水マレイン酸又はメタクリル酸グリシジルでグラフト化された次の(コ)ポリマーから選択することができる:
- PE、PP、例えば35~80重量%のエチレンを含有する、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン、又はオクテンとの共重合体、
- エチレン/アルファ-オレフィン、例えば、エチレン/プロピレン、EPR(エチレン-プロピレン-ゴムの略)、及びエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)共重合体など、
- スチレン/エチレン-ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)及びスチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)ブロック共重合体、
- エチレンと、最大で40重量%の酢酸ビニルとの共重合体酢酸ビニル(EVA)、
- エチレンと、最大で40重量%のアルキル(メタ)アクリレートを含むアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体、
- エチレンと酢酸ビニル(EVA)及び最大で40重量%のコモノマーを含むアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体。
【0070】
官能化ポリオレフィンは、無水マレイン酸でグラフトされ、その後モノアミノ化ポリアミド(又はポリアミドオリゴマー)と縮合された、プロピレンが主成分のエチレン/プロピレン共重合体(欧州特許出願公開第0342066号明細書に記載されている生成物)から選択することもできる。
【0071】
官能化ポリオレフィンはまた、少なくとも次の単位の共重合体又は三元共重合体であってもよい:(1)エチレン、(2)アルキル(メタ)アクリレート、又は飽和カルボン酸ビニルエステル、及び(3)無水物、例えば、マレイン酸又は(メタ)アクリル酸の無水物、又はエポキシ、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル。
【0072】
後者のタイプの官能化ポリオレフィンの例としては、次の共重合体:
- エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸又は無水マレイン酸又はメタクリル酸グリシジル共重合体;
- エチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸又はメタクリル酸グリシジル共重合体;
- エチレン/酢酸ビニル又はアルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸又は無水マレイン酸又はメタクリル酸グリシジル共重合体
を挙げることができ、ここで、エチレンは好ましくは少なくとも60重量に相当し、ターモノマー(その官能性)は例えば共重合体の0.1~10重量%に相当する。
【0073】
前述の共重合体において、(メタ)アクリル酸は、Zn又はLiで塩化することができる。
【0074】
「アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、C1~C8のメタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキルを指し、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸エチルから選択することができる。
【0075】
さらに、上記の官能化ポリオレフィンは、任意の適切なプロセス又は薬剤(ジエポキシ、二酸、過酸化物など)によって架橋することもできる;官能化ポリオレフィンという用語には、上記のポリオレフィンと、それらと反応可能な二酸、二無水物、ジエポキシなどの二官能性試薬との混合物、又は互いに反応可能な少なくとも2つの官能化ポリオレフィンの混合物も含まれる。
【0076】
上記の共重合体は、ランダムに又は順次共重合されてもよく、直鎖状又は分岐鎖状の構造を有していてもよい。
【0077】
これらのポリオレフィンの分子量、MFI指数、及び密度も、当業者に認識されるであろう広い範囲内で変化させることができる。MFIは、メルトフローインデックスの略語である。これは、ASTM規格1238に準拠して測定される。
【0078】
一実施形態では、ポリオレフィンは架橋されている。
【0079】
可塑剤(e)
前記少なくとも1つの可塑剤(e)は、組成物中に重量で、0~6%、より具体的には1~6%、特に2と4%の間で存在し得る。
【0080】
可塑剤は、(一又は複数の)ポリアミドをベースとする組成物に一般的に用いられる可塑剤でありうる。
【0081】
有利には、さまざまなポリマーを混合する段階、及び得られた組成物を変換する段階中に煙が形成されないように、良好な熱安定性を示す可塑剤が用いられる。
【0082】
特に、この可塑剤は、次から選択することができる:
ベンゼンスルホンアミド誘導体、例えば、n-ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)、エチルトルエンスルホンアミド(ETSA)のオルト及びパラ異性体、N-シクロヘキシルトルエンスルホンアミド、及びN-(2-ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP-BSA)、
ヒドロキシ安息香酸のエステル、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸2-エチルヘキシル(EHPB)及びp-ヒドロキシ安息香酸2-デシルヘキシル(HDPB)、
テトラヒドロフルフリルアルコールのエステル又はエーテル、例えば、オリゴエチレンオキシ-テトラヒドロフルフリルアルコール、並びに
クエン酸又はヒドロキシマロン酸のエステル、例えばオリゴエチレンオキシマロネート。
【0083】
好ましい可塑剤は、n-ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)である。
【0084】
別の特に好ましい可塑剤は、N-(2-ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP-BSA)である。これは、後者が、押し出しによる変形の段階での押出スクリュー及び/又はダイでの堆積物(「ダイドロール」)の形成を防止するという利点を示すためである。
【0085】
明らかに、可塑剤の混合物が用いられる場合がある。
【0086】
添加剤(f)
前記少なくとも1つの添加剤(f)は、組成物中に重量で、0~10%、より具体的には0.1~5%で存在することができる。
【0087】
少なくとも1つの添加剤は、安定剤、染料、変換を支援する補助剤(加工助剤)、界面活性剤、核剤、顔料、光沢剤、抗酸化剤、潤滑剤、ワックス、難燃性相乗剤、又はそれらの混合物から選択することができる。
【0088】
一例として、安定剤は、UV安定剤、有機安定剤、又は、より一般的には、例えば、フェノール系抗酸化剤(例えばCiba-BASF社によるIrganox(登録商標)245若しくは1098若しくは1010などのタイプ)、又はホスファイト系抗酸化剤(例えば、Ciba-BASF社によるIrgafos(登録商標)126若しくはIrgafos(登録商標)168)などの有機安定剤の組合せ、さらに任意選択的に、例えばヒンダードアミン光安定剤を意味するHALS(例えば、Ciba-BASF社によるTinuvin(登録商標)770)、抗UV剤(例えば、Ciba社によるTinuvin(登録商標)312)、又はリン系安定剤などの他の安定剤でありうる。また、Crompton社のNaugard(登録商標)445などのアミンタイプの抗酸化剤、あるいはClariant社のNylostab(登録商標)S-EEDなどの多官能性安定剤も使用することができる。
【0089】
この安定剤は、銅ベースの安定剤などの鉱物安定剤でありうる。このような鉱物安定剤の例としては、酢酸銅及びハロゲン化銅などを挙げることができる。ちなみに、銀などの他の金属も考慮される可能性があるが、前記金属は効果が低いことが知られている。これらの銅ベースの化合物は、典型的には、アルカリ金属、特にカリウムのハロゲン化物と組み合わせられる。
【0090】
難燃性相乗剤は、特に、国際公開第2005121234号に記載されている。
【0091】
それらは、窒素相乗剤、及びリン/窒素相乗剤から選択することができる。
【0092】
窒素相乗剤には、好ましくは、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコールウリル、メラミン、メラミンシアヌレート、ジシアンジアミド、グアニジン、及びカルボジイミドが含まれる。
【0093】
窒素相乗剤は、好ましくは、メラミン縮合生成物を含む。一例として、メラミンの縮合生成物は、メレム、メラム、若しくはメロン、又はこのタイプの高縮合度の化合物、又はそれらの混合物であり、一例として、米国特許第5,985,960号明細書に記載されるプロセスによって調製することができる。
【0094】
リン/窒素相乗剤は、メラミンとリン酸又は縮合リン酸との反応生成物を含むことができるか、あるいはメラミン縮合生成物とリン酸又は縮合リン酸との反応生成物を含むことができるか、あるいは指定された生成物の混合物を含むことができる。
【0095】
一実施形態では、添加剤は、抗酸化剤、着色顔料、及び難燃性相乗剤、特に窒素相乗剤、より具体的にはメラミン系の相乗剤から選択される。
【0096】
組成物
電気バッテリバスバーを覆うための前記難燃性絶縁組成物は、重量で、
(a)30~65%、より具体的には30~63.9%、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~20%、より具体的には5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)0~6%、より具体的には1~6%、特に2~4%の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0097】
有利には、電気バッテリバスバーを覆うための前記絶縁かつ難燃性組成物は、重量で、
(a)30~65%、より具体的には30~63.9%、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~20%、より具体的には5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)0~6%、より具体的には1~6%、特に2~4%の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
からなり、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0098】
第1の変形では、前記組成物は、重量で、
(a)30~64%、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~20%、より具体的には5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0099】
この第1の変形の一実施形態では、前記組成物は、重量で、
(a)30~64%、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~20%、より具体的には5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0100】
有利には、前記組成物は、重量で、
(a)30~59%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~20%、より具体的には5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0101】
さらに有利には、前記組成物は、重量で、
(a)30~64%、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0102】
さらにもっと有利なことには、前記組成物は、重量で、
(a)30~59%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0103】
さらにもっと有利なことには、前記組成物は、重量で、
(a)30~58.9パーセントの少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0104】
第2の変形では、前記組成物は、重量で、
(a)30~59%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~20%、より具体的には5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0105】
この第2の変形の一実施形態では、前記組成物は、重量で、
(a)30~59%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0106】
この第2の変形の別の実施形態では、前記組成物は、重量で、
(a)30~58.9パーセントの少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~20%、より具体的には5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0107】
第3の変形では、前記組成物は、重量で、
(a)30~64%、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0108】
この第3の変形の一実施形態では、前記組成物は、重量で、
(a)30~64%、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0~10%、より具体的には0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0109】
この第3の変形の別の実施形態では、前記組成物は、重量で、
(a)30~63.9パーセント、特に30~60%の少なくとも1つの半結晶性脂肪族ポリアミド、
(b)15~40%、より具体的には15~30%の少なくとも1つの半芳香族ポリアミド、
(c)15~30%、より具体的には20~25%の少なくとも1つのホスフィネート系難燃剤、
(d)5~15%の少なくとも1つの官能化ポリオレフィン、
(e)1~6%、特に2と4%の間の少なくとも1つの可塑剤、
(f)0.1~5%の少なくとも1つの添加剤
を含み、
構成成分(a)~(f)の合計が100%である。
【0110】
有利なことに、これら3つの変形の実施形態が何であれ、本発明は、成分(a)~(f)を含む代わりに、前記成分(a)~(f)の合計が100%に等しくなるものからなる同じ組成物にも及ぶ。
【0111】
一実施形態では、上に定義される組成物は、50%を超える破断伸びを有する。
【0112】
別の実施形態では、上に定義される組成物は、20MPa未満、好ましくは17MPa未満、さらに好ましくは14MPa未満の閾値における応力を有する。
【0113】
さらに別の実施形態では、上に定義される組成物は、3%超、好ましくは5%超、さらに好ましくは10%超の閾値における伸びを有する。
【0114】
別の実施形態では、上に定義される組成物は、50%超の破断伸び、及び20MPa未満、好ましくは17MPa未満、さらに好ましくは14MPa未満の閾値における応力を有する。
【0115】
別の実施形態では、上に定義される組成物は、50%超の破断伸び、及び3%超、好ましくは5%超、さらに好ましくは10%超の閾値における伸びを有する。
【0116】
別の実施形態では、上に定義される組成物は、50%超の破断伸び、20MPa未満、好ましくは17MPa未満、さらに好ましくは14MPa未満の閾値における応力、及び3%超、好ましくは5%超、さらに好ましくは10%超の閾値における伸びを有する。
【0117】
有利には、前記組成物は、ISO規格9352:2012に準拠して測定して、良好な耐摩耗性を示す。有利には、被覆後の本発明の組成物は、IEC規格60243-1に準拠して測定された破壊電圧を有する電気絶縁体として機能する。
【0118】
有利には、上記定義された組成物は、IEC規格60243-1に準拠して測定して、高い絶縁強度(90℃で5kV/mm超)を有する。
【0119】
有利には、上記定義された組成物は、23℃で、40kV/mmを超える、好ましくは50kV/mmを超える絶縁強度を有する。
【0120】
有利には、上記定義された組成物は、IEC60112に準拠して測定して、600Vを超える比較トラッキング指数(CTI)を示す。この絶縁性は、最大で150℃までの加速熱劣化中でも維持される。
【0121】
有利には、被覆後の本発明の組成物は、直流(DC)において厚さ500μmで30kVを超え、交流(AC)において15kVを超える破壊電圧、及び600Vを超える比較トラッキング指数(CTI)を有する電気絶縁体として機能する。
【0122】
有利には、被覆後の本発明の組成物は、90℃で5kV/mmを超える絶縁強度と、600Vを超える比較トラッキング指数(CTI)とを有する。
【0123】
有利には、被覆後の本発明の組成物は、23℃で、40kV/mmを超える、好ましくは50kV/mmを超える絶縁強度と、600Vを超える比較トラッキング指数(CTI)とを有する電気絶縁体として機能する。
【0124】
本発明の前記組成物は、耐火性であり、厚さ0.8mmでのUL94耐火試験でV0の結果を有する。
【0125】
PEBAは除外される可能性がある
一実施形態では、前記組成物は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)を含まない。
【0126】
ポリエーテルブロックアミド(PEBA)は、アミド単位(Ba1)とポリエーテル単位(Ba2)とを含む共重合体であり、前記アミド単位(Ba1)は、少なくとも1つのアミノ酸から得られる単位、又は少なくとも1つのラクタムから得られる単位、又は
- 少なくとも1つのジアミン(前記ジアミンは、直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族ジアミン又は芳香族ジアミン又はそれらの混合物から選択される)と、
- 少なくとも1つのカルボン酸二酸(前記二酸は、脂肪族二酸又は芳香族二酸から選択される)と
の重縮合から得られる単位X.Yから選択される脂肪族繰り返し単位に対応し、
前記ポリエーテル単位(Ba2)は、特に、少なくとも1つのポリアルキレンエーテルポリオール、特にポリアルキレンエーテルジオールから得られる。
【0127】
強化繊維は除外される可能性がある
強化繊維の一実施形態では、前記組成物は、ガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、及び玄武岩ベースの繊維から選択される強化繊維を含まない。
【0128】
別の実施形態では、前記組成物は、鉱物、有機又は植物起源の強化繊維から選択される強化繊維を含まない。
【0129】
無機物質起源の繊維の中では、とりわけ、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、玄武岩繊維若しくは玄武岩ベースの繊維、シリカ繊維、又は炭化ケイ素繊維を挙げることができる。有機物質起源の繊維の中では、とりわけ、熱可塑性又は熱硬化性ポリマーに基づく繊維、例えば半芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、又はポリオレフィン繊維などを挙げることができる。植物起源の繊維の中では、とりわけ、亜麻、麻、絹、特にクモの糸、サイザルに基づく天然繊維及び他のセルロース繊維、特にビスコース繊維を挙げることができる。
【0130】
別の態様によれば、本発明は、電気バッテリバスバーを被覆し、絶縁し、難燃化するための上に定義された組成物の使用に関する。
【0131】
上に定義された特性はすべて、この使用に有効である。
【0132】
本発明の組成物により、バスバーの変形に対応する高レベルの柔軟性を維持しつつ、0.1mm~2mm、より具体的には0.2mm~1mm、特に0.3mm~0.8mm、より具体的には0.4mm~0.6mmの薄い層でバスバーを覆うことが可能となる。
【0133】
硬すぎる材料は、用途に適さない亀裂又は「波」を形成する。
【0134】
一実施形態では、前記バスバーは、電気バッテリ、より具体的には、車両、特に自動車の電気バッテリの内部及び/又は外部に配置される。
【0135】
さらに別の態様によれば、本発明は、上に定義された組成物を電気バッテリバスバー上に押し出す工程、又は前記組成物を電気バッテリバスバー上に粉体塗布する工程を含む、覆われ、絶縁された、難燃性の電気バッテリバスバーを製造する方法に関する。
【0136】
上記定義された特性はすべて、該プロセスに有効である。
【0137】
一実施形態では、前記バスバーは、電気バッテリ、より具体的には、車両、特に自動車の電気バッテリの内部及び/又は外部に配置される。
【0138】
次に、本発明の範囲を限定しない実施例により、本発明を説明する。
【実施例】
【0139】
ポリマーペレットを難燃剤及び添加剤と溶融ブレンドすることによって、表1の組成物を調製した。このブレンドは、直径40mmの共回転二軸スクリュー押出機で、250℃の平坦な温度プロファイル(T°)で混練することによって実施した。スクリュー速度は300rpmであり、スループットは70kg/時である。
【0140】
(一又は複数の)ポリアミド、ポリオレフィン及び添加剤を、メインホッパーでの混練プロセス中に導入する。難燃剤は、サイドフィーダを介してスクリューの中央で溶融ポリマーに添加される。可塑剤が存在する場合には、これもポンプを介して溶融ポリマーに導入される。
【0141】
次に、組成物を、1m/分の速度でキャスト押し出しによって0.8mmフィルムの形態で押し出し、押出機の温度設定値を230℃、フィルムを回収するロールの温度設定値を65℃に設定し、以下の基準に従って機械的特性と耐火性を調べた。
【0142】
試験試料をこのフィルムからダイカットする。
【0143】
閾値及び破断時における伸び及び応力を、乾燥試料(0.8mm厚のフィルムから切り取ったダンベル)上でISO規格527-1:2012に準拠して23℃で測定した。
【0144】
機械はInstron 5966を使用する。クロスピースの速度は50mm/分である。
【0145】
試験条件は、乾燥試料上、23℃±2℃である。
【0146】
本発明の組成物及び比較組成物を、通常、UL94と呼ばれ、NFT規格51072に準拠して0.8mm厚の試験片上で行われる炎伝播試験によって試験した。
【0147】
本発明による合金EI1の絶縁強度は、90℃で12kVと測定され、5kVに設定された目標よりも高かった。したがって、本発明は電気絶縁の要件も満たしている。
NC:未分類
PA 11は、粘度1.35のArkema PA 11である。
MXD10は、m-キシレンジアミンとセバシン酸との重縮合から誘導される粘度0.9のArkema PAである。
Exolit(登録商標)OP1311は、Clariant製品(アルミニウムジエチルホスフィネートをベースとした難燃剤)である。
BBSA(ベンジルブチルスルホンアミド)
Lotader AX8900:エチレン、アクリル酸メチル、及びメタクリル酸グリシジルの共重合体(Et/MA/GMA-重量で68/24/8)(SK官能性ポリマー)。
Lotader 4700:エチレン、アクリル酸エチル、及び無水マレイン酸の共重合体(Et/EA/MAH-重量で69/30/1)(SK官能性ポリマー)。
Escor(登録商標)5000:エチレン-アクリル酸共重合体(Exxon Mobil chemicals社)
Lowinox(登録商標)44B25(CAS No.:85-60-9)、フェノール系一次抗酸化剤。
Alkanox(登録商標)240(CAS No.:31570-04-4)、亜リン酸系二次抗酸化剤(Bren
Melapur(登録商標)MC25:メラミンシアヌレート系難燃剤(BASF)
【0148】
上記表1は、本発明の組成物EI1及びEI2が、MXD10を含まない比較組成物EC1、又はMXD10の量が15%未満である比較組成物EC5とは異なり、UL94試験で結果V0を示すことを示している。
【0149】
加えて、MXD10を含まない比較組成物EC1、又はMXD10の量が15%未満である比較組成物EC5、又はポリオレフィンを含まない組成物EC6、又はMXD10の量が15%を超えるが難燃剤がホスフィネート型ではない比較組成物EC2~4とは異なり、本発明の組成物のみが、50%超の破断伸びを示している。
【0150】
本発明の組成物は、ポリオレフィンを含まないEC6とは異なり、閾値における応力が20MPa未満であり、閾値における伸びが3%超であることも示している。
【国際調査報告】