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特表2024-543178皮膚老化用のラクトバチルス(LACTOBACILLI)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】皮膚老化用のラクトバチルス(LACTOBACILLI)
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/99 20170101AFI20241112BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20241112BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241112BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20241112BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20241112BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20241112BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61K8/99
A61K35/74 A
A61P17/00
A61P43/00 111
A61Q19/08
A61K35/747
A23L33/135
C12N1/20 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531603
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2022083302
(87)【国際公開番号】W WO2023099351
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】21211430.0
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397060588
【氏名又は名称】インターナショナル エヌ アンド エイチ デンマーク エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ヘリ・アングレニアス
(72)【発明者】
【氏名】ラウラ・ティーナ・マリア・フースコネン
(72)【発明者】
【氏名】キルスティ・ティーホネン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE05
4B018MD86
4B018ME10
4B018ME14
4B065AA01X
4B065CA44
4C083AA031
4C083AA032
4C083CC03
4C083EE12
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087MA52
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA89
4C087ZB22
4C087ZC21
4C087ZC41
(57)【要約】
本発明は、対象における皮膚老化を予防、低減又は治療するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における皮膚老化を予防、低減又は治療するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物の非治療的使用。
【請求項2】
前記リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、前記皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、前記皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は前記皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせる、請求項1に記載の非治療的使用。
【請求項3】
前記リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激する、請求項1に記載の非治療的使用。
【請求項4】
前記ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生の維持及び刺激が、前記皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、前記皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は前記皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせる、請求項3に記載の非治療的使用。
【請求項5】
前記リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)種の細菌が、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)株である、請求項1~4のいずれか一項に記載の非治療的使用。
【請求項6】
前記ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)種の細菌が、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)株である、請求項1~4のいずれか一項に記載の非治療的使用。
【請求項7】
前記ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)種の細菌が、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)株である、請求項1~4のいずれか一項に記載の非治療的使用。
【請求項8】
前記ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌が、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)株及び又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株である、請求項1~4のいずれか一項に記載の非治療的使用。
【請求項9】
前記リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、組成物、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品又は薬学的に許容される組成物のうちの少なくとも1つの成分である、請求項1~8のいずれか一項に記載の非治療的使用。
【請求項10】
対象における皮膚老化の予防、低減又は治療に使用するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物。
【請求項11】
前記リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はその混合物が、前記皮膚における代謝活性/細胞生存性を維持し、前記皮膚における代謝活性/細胞生存性を増加させ、又は前記皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存性の減少を遅らせる、請求項10に記載の使用のための細菌。
【請求項12】
前記リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激する、請求項10に記載の使用のための細菌。
【請求項13】
前記ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生の維持及び刺激が、前記皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、前記皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は前記皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせる、請求項12に記載の使用のための細菌。
【請求項14】
前記リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)種の細菌が、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)株である、請求項10~13のいずれか一項に記載の使用のための細菌。
【請求項15】
前記ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)種の細菌が、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)株である、請求項10~13のいずれか一項に記載の使用のための細菌。
【請求項16】
前記ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)種の細菌が、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)株である、請求項10~13のいずれか一項に記載の使用のための細菌。
【請求項17】
前記ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌が、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)株及び/又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株である、請求項10~13のいずれか一項に記載の使用のための細菌。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚老化用のラクトバチルス(Lactobacillus)属の細菌の新規な使用、特に、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物の新規な使用に関する。本発明はまた、前記細菌を含む組成物、スキンケア組成物、食品、健康補助食品、栄養補助食品、又は薬学的に許容される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、ヒトの身体の最大の器官であり、身体を外部環境から分離するバリアである。その最も重要な役割の1つは、内部から外部への水の損失及び外部からの微生物感染から身体を保護することである。ヒトの皮膚は、細胞の2つの主要な層、表皮及び真皮からなる。表皮は、皮膚の最外層であり、主に、最終分化ケラチノサイト及び脂質から形成され、生きている分裂ケラチノサイトは、最終分化ケラチノサイトの下に位置する。表皮の主な機能は、環境問題、例えばUV放射、熱、化学物質、汚染、並びに細菌、真菌、寄生虫及びウイルスなどの病原体に対する透過性バリアを形成することである。これはまた、内部からの制御されない水の蒸発から身体を保護し、水和バランス及び皮膚代謝を維持する。表皮密着結合は、皮膚バリア機能が柔軟であり、皮膚中の他の成分と相互作用することにおいて重要な役割を果たす。
【0003】
皮膚の老化は、生まれたときから始まるが、歳をとると、明らかで目に見える老化の徴候を示す。皮膚老化は、内因性老化又は外因性老化によって引き起こされ得る。皮膚エクスポソームという用語は、皮膚の老化に寄与する、これらの外的因子及び内的因子、並びにそれらの相互作用を表す。外的因子、例えば太陽放射(紫外線、可視光及び赤外線)、熱、大気汚染、タバコ煙、アルコール消費、栄養、並びにストレス、睡眠不足、温度、及びいくつかの化粧品の利用などのいくつかのあまり明確でない様々な因子は、皮膚の老化に寄与し得る。これらの因子は、皮膚の表皮だけでなく真皮にも影響を及ぼし、複数のレベルで皮膚老化に寄与する。また、様々な疾患状態が老化に寄与し得る。例えば、密着結合の機能は、乾癬及びアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患において、並びに加齢中に乱されることが知られている。したがって、皮膚老化は、内在性又は内因性及び外来性又は外因性因子の組み合わせによって影響を受ける複雑な生物学的プロセスである。
【0004】
真皮において、最も豊富な細胞型である真皮線維芽細胞は、細胞外マトリックス(ECM)を産生することによって結合組織を生成する役割を担う。この細胞外マトリックス(ECM)は、巨大分子の2つの主要なクラス:プロテオグリカン(PG)及び線維性タンパク質から構成され、最も豊富な線維性タンパク質は、I型コラーゲン原線維、エラスチン、ラミニン及びフィブロネクチンである。老化の間、コラーゲン原線維は断片化され、線維芽細胞は、ECMタンパク質をより少なく産生し、ECMを分解するマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)をより多く産生し、これはECMの不均衡をもたらす。
【0005】
コラーゲン及びMMPの変化に加えて、以下の変化が老化において誘導され得る:核及びミトコンドリアDNA突然変異、一本鎖切断、並びに酸化ピリミジン塩基が誘導される;とりわけ、膜タンパク質カルボニル化及び脂質過酸化が増加し、表皮ケラチノサイトのアポトーシスが増加する。多くのサイトカインは、インビボで若年期にピークに達し、その後減少する。皮膚の異なる層を形成する細胞において発現されるサイトカインは、隣接する組織部分における細胞の発現に影響を及ぼす。皮膚の問題において、表皮中のケラチノサイトによって産生及び分泌されるサイトカインは、真皮中の細胞、又は線維芽細胞、並びにそれらの活性及び細胞外マトリックス産生に影響を及ぼし、同様に、線維芽細胞由来サイトカインは、ケラチノサイト増殖を刺激し、初期シグナル伝達ループの増幅をもたらす。
【0006】
これらの変化に加えて、タバコ喫煙及び大気汚染物質によって誘導される皮膚損傷は、いくつかの環境汚染物質によって誘導される毒性を媒介するリガンド依存性転写因子であるアリール炭化水素受容体(AhR)経路を活性化し、これは、既に知られている早期皮膚老化効果に関与している可能性がある。
【0007】
さらに、皮膚バリア機能は、皮膚を外部汚染物質から保護するために重要であり、したがって、皮膚バリアの適切な機能は、老化を防ぐためにも重要である。皮膚バリアは、重要な防御機構を提供する、高度に組織化された多細胞性層状構造である。表皮における脂質に加えて、密着結合、ヒアルロン酸、表皮における天然の保湿因子及び浸透圧調節物質が、全体的な皮膚バリア機能に寄与することが示されている。老化したヒト皮膚では、密着結合成分のクローディン-1及びオクルディンの発現の減少、並びにクローディン-6の異常な増加があり、これは密着結合バリア機能を低下させる。したがって、皮膚の表皮密着結合バリアは、老化中に破壊され、その後の傷害では、ホモタイプの細胞-細胞接着分子の減少又はサイトカイン産生の変化に起因して、機能の回復が低下する。特に、IL-1α産生は、傷害時に刺激され、このサイトカインの受容体のノックアウトは、バリア機能不全を悪化させ、回復を低下させる。加齢マウスにおける適切な皮膚バリア機能は、加齢に伴う全身性炎症から保護し、サイトカインもバリアに影響を及ぼし得ることも示されている。サイトカインに応じて、それは、IL-1、IL-6、IL-8、TNF-αなどの炎症誘発性であり、又はIL-10若しくはIL-4などの抗炎症性であり得、これらは、皮膚中の細胞を含む様々な細胞型によって分泌され得る。経表皮電気抵抗(TEER)を使用して、表皮密着結合の完全性及び皮膚バリア強度を測定することができる。
【0008】
皮膚の健康及び美容は、ヒトにおける全体的な「幸福」及び「健康」の認識を表す主要な因子の1つと考えられているので、いくつかの抗老化戦略がここ数年の間に開発されている。しかしながら、治療上の理由だけでなく、例えば化粧又はスキンケア用途のための非治療的使用のためにも、皮膚老化を予防、低減又は治療することができる製品及び方法が継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
対象における皮膚老化を予防、低減又は治療するための手段を提供することが本発明の目的である。特に、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存率を増大させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせる手段を提供することが本発明の目的である。さらに、老化中に減少するケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激するために、皮膚の若返り及び抗老化目的のための手段を提供することが本発明の目的である。皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存率を増大させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせるために、ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激する手段を提供することが、本発明のさらに別の目的である。ケラチノサイトのホメオスタシスサイトカインの産生を促進することにより、皮膚バリアの構造的完全性及び強度を増大及び改善する手段を提供することが、本発明のさらに別の目的である。真皮における細胞又は線維芽細胞、並びに抗老化目的のためのそれらの抗老化活性及び細胞外マトリックス産生に影響を及ぼすために、ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激する手段を提供することが、本発明のさらに別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は、対象における皮膚老化を予防、低減又は治療するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物の非治療的使用に関する。
【0011】
別の態様では、本発明は、対象における皮膚老化の予防、低減又は治療に使用するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物に関する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、対象における皮膚老化を予防、低減又は治療するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の1つ以上の細菌又はそれらの混合物を含む組成物の非治療的使用に関する。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、対象における皮膚老化の予防、低減又は治療に使用するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の1つ以上の細菌を含む組成物に関する。
【0014】
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象における皮膚老化を予防、低減又は治療する方法であって、有効量のリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の1つ以上の細菌、又はそれらの混合物を含む組成物を前記対象に投与することを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】培地対照値を100%代謝活性(生存率)に正規化した場合の、NaClストレス対照と比較した、高浸透圧ストレス(NaClによって誘導される)下での正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)細胞代謝活性(生存率)に対するLs-33、Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001株の効果を示すグラフである。統計的有意性は、以下のように示される:****p<0.0001、***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。通常の一方向ANOVA、Dunnettの多重比較検定。
図2】培地対照と比較した、正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)細胞コンフルエンシーに対するLs-33、Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001株の効果をパーセントとして示すグラフである。統計的有意性は、以下のように示される:p<0.05。通常の一方向ANOVA、Dunnettの多重比較検定。
図3】NaClストレス対照と比較した、高浸透圧ストレス(NaClによって誘導される)下での正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)細胞コンフルエンシーに対するLs-33、Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001株の効果をパーセントとして示すグラフである。統計的有意性は、以下のように示される:****p<0.0001、**p<0.01、p<0.05。通常の一方向ANOVA、Dunnettの多重比較検定。
図4】NaClストレス対照と比較した、高浸透圧ストレス(NaClによって誘導される)下で正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)細胞と共にインキュベートしたLs-33、Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001株のpg/mlにおけるIL-1αの合成を示すグラフである。統計的有意性は、以下のように示される:****p<0.0001、***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。通常の一方向ANOVA、Dunnettの多重比較検定。
図5】細胞培養培地対照と比較した、正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)細胞と共にインキュベートしたLs-33、Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001株のpg/mlにおけるIL-6の合成を示すグラフである。統計的有意性は、以下のように示される:****p<0.0001、***p<0.001。通常の一方向ANOVA、Dunnettの多重比較検定。
図6】NaClストレス対照と比較した、高浸透圧ストレス(NaClによって誘導される)下で正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)細胞と共にインキュベートしたLs-33、Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001株のpg/mlにおけるIL-6の合成を示すグラフである。統計的有意性は、以下のように示される:****p<0.0001、***p<0.001、**p<0.01。通常の一方向ANOVA、Dunnettの多重比較検定。
図7】細胞培養培地対照と比較した、正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)細胞と共にインキュベートしたLs-33、Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001株のpg/mlにおけるIL-8の合成を示すグラフである。統計的有意性は、以下のように示される:****p<0.0001、**p<0.01、p<0.05。通常の一方向ANOVA、Dunnettの多重比較検定。
図8】NaClストレス対照と比較した、高浸透圧ストレス(NaClによって誘導される)下で正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)細胞と共にインキュベートしたLs-33、Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001株のpg/mlにおけるIL-8の合成を示すグラフである。統計的有意性は、以下のように示される:****p<0.0001、***p<0.0001、**p<0.001、p<0.05。通常の一方向ANOVA、Dunnettの多重比較検定。
【発明を実施するための形態】
【0016】
利点
驚くべきことに、本発明者らは、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物の使用が、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせることができることを見出した。
【0017】
さらに、本発明者らは、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、老化中に減少するケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激するための皮膚若返り及び抗老化のための手段を提供することもできることを見出した。リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物は、ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激して、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせることができることが発見された。
【0018】
さらに、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物は、ケラチノサイトのホメオスタシスサイトカインの産生を促進することによって、皮膚バリアの構造的完全性及び強度を増加及び改善することができることが見出された。
【0019】
さらに、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、ケラチノサイトの天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激して、真皮における細胞、又は線維芽細胞、並びに抗老化目的のためのそれらの抗老化活性及び細胞外マトリックス産生に影響を及ぼすことができることが発見された。これは、対象における皮膚老化を予防、低減又は治療するリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物の能力を示す。
【0020】
細菌
本発明で使用される細菌は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属の細菌から選択される。
【0021】
好ましくは、本発明で使用されるラクトバチルス(Lactobacillus)は、一般に安全であると認識されているラクトバチルス(Lactobacillus)であり、GRAS承認されていることが好ましい。一般に安全であると認識されている(GRAS)とは、食品に添加される化学物質又は物質が専門家によって安全とみなされるというアメリカ食品医薬品局(American Food and Drug Administration)(FDA)の指定であり、したがって、通常の連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food、Drug、and Cosmetic Act)(FFDCA)食品添加物耐性要件から除外されている。
【0022】
好ましくは、本発明の細菌株は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌株、又はそれらの混合物から選択される。
【0023】
一実施形態では、本発明は、対象における皮膚老化を予防、低減又は治療するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物の非治療的使用に関する。
【0024】
本明細書で使用される「対象」という用語は、動物を内部から外部に分離及び画定する皮膚を有する動物を意味する。好ましくは、対象は哺乳動物である。
【0025】
本発明の特定の態様では、対象は、適切にはヒトであり得る。
【0026】
一実施形態では、対象は、女性であってもよい。
【0027】
一実施形態では、対象は、男性であってもよい。
【0028】
一実施形態では、対象は、ノンバイナリーの性別であってもよい。
【0029】
一実施形態では、対象は、小児ではない。本明細書で使用される「小児」という用語は、7歳以下のヒトを意味する。
【0030】
一実施形態では、対象は、8歳以上のヒトである。
【0031】
一実施形態では、対象は、16歳以上のヒトである。
【0032】
一実施形態では、対象は、18歳以上のヒトである。
【0033】
一実施形態では、対象は、健康な対象である。
【0034】
一実施形態では、対象は、癌、慢性炎症、皮膚感染、又は皮膚老化の原因となる任意の他の一過性若しくは慢性の医学的状態に罹患している。
【0035】
非治療的使用としては、化粧又はスキンケアの使用又は目的が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本明細書に記載される本発明はまた、対象における皮膚老化を予防、低減又は治療するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物の化粧又はスキンケア使用に関する。
【0036】
一実施形態によれば、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はその混合物は、皮膚における代謝活性/細胞生存性を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存性を増加させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存性の減少を遅らせる。
【0037】
ケラチノサイトは、病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる、細菌及び他の微生物上に存在する広範囲の小分子モチーフを検出することができ、これらは、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の両方に存在する。PAMPの認識は、toll様受容体(TLR)などのパターン認識受容体を介して起こる。したがって、ケラチノサイトは、防御機構又は自然免疫の第一線の一部であり、ホメオスタシス及び組織修復において重要な因子を産生し、活性化PAMP及び活性化受容体に依存して免疫応答を誘発する。サイトカイン及びケモカインを分泌することによって、ケラチノサイトは免疫細胞を動員し、活性化し、調節することができる。全てのシグナルが炎症を引き起こすわけではないが、刺激作用を示し、病原体との可能な遭遇のために免疫系を準備及び教育し、組織の炎症及び微生物の移動を制限する。これは、バリア完全性及び組織ホメオスタシスを確実にするために、微生物由来産物からのシグナルを、これらの複数のシグナルを統合する上皮細胞に統合することによって達成することができる。炎症は、創傷治癒中などの皮膚修復プロセスにも重要であり、したがって、治癒結果及び皮膚再生を改善するために炎症反応を標的とすることが望ましい。
【0038】
皮膚バリア形成に関与する構造タンパク質の機能及び発現は、サイトカイン及び他のシグナル伝達分子による分化関連様式で高度に調節される。角質細胞の皮膚バリア及び剥離の欠陥は、表皮バリアの障害をもたらし、環境有害汚染物質、アレルゲン、及び病原体の皮膚への侵入をもたらし得る。また、ケラチノサイトは、創傷治癒中などの傷害によって活性化された場合、又は外部病原体と一緒に、様々な免疫マーカー、サイトカイン及びエフェクター分子を発現する。ケラチノサイトが遭遇する高浸透圧ストレスは、正常な分化プロセスの一部であるが、病理学的条件下でも経験される。これは、頻繁な職業障害である刺激性接触皮膚炎の形成に寄与し得る。また、UV照射は、ケラチノサイトにおけるイオン調節を妨害する酸化ストレスを引き起こし、細胞収縮及び高浸透圧ストレスを引き起こす。高浸透圧ストレスは、細胞において複数の変化を誘導することが示されており、アポトーシスのために細胞をプライミングし得、細胞増殖を阻害する。NHEK中の0.5M NaClで誘導した場合、炎症誘発性であり、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-8などのサイトカインの発現を増加させるが、IL-10は増加させないことが示されている。本発明において、ストレスは、0.15M(150mM)のNaClで誘導されて、細胞死を誘導しないより穏やかな刺激を提供した。
【0039】
皮膚老化は、他の器官における老化と同様に、皮膚細胞機能性及び再生能の進行性の喪失を特徴とする。内因性と外因性の老化の影響には類似点が存在する。皮膚の老化中の最も明らかな変化は、皮膚の薄化、並びに皮膚回復の障害、並びに代謝回転の喪失、又は経時的に生じる老化及び構造変化である。増殖を促進することによって、乳酸桿菌によって刺激されるサイトカインの産生は、生存率及び増殖を増加させることによって皮膚ホメオスタシスに関与し、これによって、皮膚の老化中に減少する皮膚の自然な再生プロセス能力を増強する。ホメオスタシス免疫を制御することによって、これらの乳酸桿菌株は、皮膚老化を増強する病因及び様々な環境因子に対する自然防御機構を増強する。
【0040】
サイトカインは、抗老化成分としていくつかの化粧製品に添加され、本発明者らの発明では、プロバイオティクスが皮膚若返り及び抗老化目的のためにケラチノサイトの天然及び内因性サイトカイン産生を調節する。老化は、多くの点で、老化中に減少する皮膚の遺伝的修復機構を克服する方法で創傷治癒に関連し、創傷治癒における関連するサイトカインは、皮膚老化においても重要であることが示されている。局所投与又は乳酸桿菌株の摂取により、皮膚自身のサイトカイン産生が刺激され、皮膚老化の発現を減速又は逆転させる。したがって、皮膚ケラチノサイトにおいて、記載される乳酸桿菌株は、ホメオスタシスサイトカインの産生を促進することによって、皮膚バリアの構造的完全性及び強度を改善することができる。
【0041】
本発明の別の実施形態では、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物は、ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激する。
【0042】
老化は、多くの点で、老化中に減少する皮膚の遺伝的修復機構を克服する方法で創傷治癒に関連し、創傷治癒における関連するサイトカインは、皮膚老化においても重要であることが示されている。したがって、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物は、老化中に減少するケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激するために、皮膚の若返り及び抗老化目的のための手段を提供する。
【0043】
ケラチノサイトの天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生の維持及び刺激は、真皮における細胞、又は線維芽細胞、並びにそれらの抗老化活性及び細胞外マトリックス産生に影響を及ぼす。
【0044】
本発明によれば、ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生の維持及び刺激は、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせる。
【0045】
本発明のさらなる実施形態では、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物は、皮膚バリアの構造的完全性及び強度を増加及び改善する。皮膚バリアの構造的完全性及び強度の増加及び改善は、ケラチノサイトのホメオスタシスサイトカインの産生によって達成される。
【0046】
特に、本発明の細菌は、Ls-33、Lpc-37、HN001、Lp-12407及びLp12418株から選択される。
【0047】
株は、例えば、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品又は薬学的に許容される組成物において、個々に又は組み合わせて使用することができる。
【0048】
本発明の細菌株は、全て、DuPont Nutrition Biosciences ApSから市販されている。
【0049】
細菌株はまた、Langebrogade 1、DK-1411 Copenhagen K、DenmarkのDuPont Nutrition Biosciences ApSによって、Leibniz-Institut Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)、Inhoffenstrasse 7B、38124 Braunschweig、Germanyにおいてブダペスト条約に従って寄託され、そこで以下の登録番号で記録された:
1. Ls-33(DGCC9868)株;2021年2月23日に登録番号DSM33831で寄託。
2. Lpc-37(DGCC4981)株;2017年10月5日に登録番号DSM32661で寄託。
3. HN001(DGCC1460)株;2021年5月7日に登録番号DSM 22876で寄託。
4. Lp12418(DGCC12418)株;2017年9月27日に登録番号DSM32655で寄託。
5. Lp-12407(DGCC12407)株;2017年9月27日に登録番号DSM32654で寄託。
【0050】
本発明による特定の実施形態では、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)種の細菌は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)株である。
【0051】
別の実施形態では、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)種の細菌は、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)株である。
【0052】
さらなる実施形態では、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)種の細菌は、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)株である。
【0053】
別の実施形態では、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌は、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)株及び又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株である。
【0054】
真皮において、最も豊富な細胞型である真皮線維芽細胞は、細胞外マトリックス(ECM)を産生することによって結合組織を生成する役割を担う。老化中、コラーゲン原線維は断片化され、線維芽細胞は、ECMタンパク質をより少なく産生し、ECMを分解するマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)をより多く産生し、これはECMの不均衡をもたらす。さらなる実施形態では、対象における皮膚老化の予防、低減又は治療は、真皮における細胞、又は線維芽細胞、並びに抗老化目的のためのそれらの抗老化活性及び細胞外マトリックス産生に影響を及ぼすために、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持すること、それを増加させること、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせること、並びに/又はケラチノサイトの天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を増加若しくは維持することにより達成される。
【0055】
さらなる実施形態では、本発明は、非限定的に、酸化的損傷、DNA損傷、DNA修復障害、細胞分裂障害、過剰な炎症、炎症、免疫疾患、過剰な細胞死、太陽、日焼け、コラーゲン損傷、エラスチン損傷、老化、テロメア短縮、抗酸化酵素の発現障害、抗酸化酵素の活性障害、赤外線若しくはUV放射、熱、ホルモンの理由、栄養不良、脱水、温度、タバコ喫煙、ストレス、睡眠不足、汚染、又はアルコール消費などの内的因子及び外的因子を原因とする皮膚老化に関する。
【0056】
一実施形態では、本発明で使用される細菌は、プロバイオティクス細菌である。本明細書において、用語「プロバイオティクス細菌」は、例えば経口又は局所的に十分な量で生きて投与された場合に、宿主に健康上の利益を与える任意の非病原性細菌をカバーするものとして定義される。また、プロバイオティクス株は、一般に、経口使用が意図される場合、胃腸管の上部を通過して生存する能力を有する。それらは、非病原性、非毒性であり、一方では、常在細菌叢との生態学的相互作用を介して健康に有益な効果を発揮し、他方では、「MALT」(粘膜関連リンパ組織)を介して免疫系にポジティブな影響を及ぼすそれらの能力を介して、健康に有益な効果を発揮する。
【0057】
プロバイオティクスは、投与期間中に常在細菌叢の一部を形成することができる。このコロニー形成(又は一過性コロニー形成)により、プロバイオティクス細菌は、例えば、潜在的に病原性の細菌の抑制、それらのコロニー形成又は競合排除への抵抗、及び腸の免疫系との相互作用又は腸内微生物叢の発酵の調節による、攪乱された微生物叢の正常化などの有益な効果を発揮することができる。プロバイオティクスはまた、酵素又はビタミン又は他の生物活性物質の産生を介して、胆汁酸代謝の調節、及び他の微生物によって産生される有害な代謝産物の中和を介して、健康上の利益を媒介する。
【0058】
好ましい実施形態において、本発明で使用される細菌は、プロバイオティクスラクトバチルス(Lactobacillus)である。
【0059】
細菌は、本明細書に記載の効果を発揮することができる任意の形態で使用することができる。例えば、細菌は、生存可能な、休眠している、不活化された、溶解された、又は死滅した細菌であり得る。好ましくは、細菌は、生きた形態である。
【0060】
好ましい実施形態では、細菌は、溶解形態である。
【0061】
細菌は、細菌全体を含んでもよく、又は細菌成分を含んでもよい。そのような成分の例としては、非限的に、ペプチドグリカン、リポテイコ酸などの細菌細胞壁成分、DNA及びRNAなどの細菌核酸、細菌膜成分、並びにタンパク質、炭水化物、脂質並びにリポタンパク質、糖脂質及び糖タンパク質などのこれらの組み合わせなどの細菌構造成分が挙げられる。
【0062】
細菌はまた、又は代替的に、細菌代謝産物を含むことができる。本明細書において、用語「細菌代謝産物」は、細菌の増殖、生存、持続、移行又は存在中、プロバイオティクス製品の製造及び保管中、並びに哺乳動物における胃腸管通過中の細菌代謝の結果として、細菌によって産生又は修飾される全ての分子を含む。例としては、全ての有機酸、無機酸、塩基、タンパク質及びペプチド、酵素及び補酵素、アミノ酸及び核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、ビタミン、全ての生物活性化合物、無機成分を含有する代謝産物、並びに全ての小分子、例えば亜硝酸分子又は亜硫酸を含有する分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
別の好ましい実施形態では、細菌は、ポストバイオティクス形態である。
【0064】
ポストバイオティクスは、微生物細胞画分、タンパク質、酵素、ペプチド、テイコ酸、ペプチドグリカン由来ムロペプチド、多糖類、細胞外多糖類、細胞表面タンパク質、線毛様構造、脂質及び有機酸などであるがこれらに限定されない、発酵によってマトリックスに生成された生きた細菌によって分泌された、又は細菌溶解後に放出された、生成物又は代謝副産物又は代謝産物を指す。これらのポストバイオティクスは、それらの明確な化学構造、安全用量パラメータ、長い貯蔵寿命、及び様々なシグナル伝達分子の含有量のため、抗炎症、免疫調節、抗肥満誘発、抗高血圧、低コレステロール血症、抗増殖、及び/又は抗酸化特性を示す。
【0065】
本発明はさらに、細菌株リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)の突然変異体、変異体及び/又は子孫を提供する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「突然変異体」という用語は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株の改変から生じる任意の微生物を指す。例えば、突然変異体は、これらの株を遺伝的に改変することから生じる微生物であってもよい。
【0067】
本明細書で使用される場合、「変異体」という用語は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株に由来する天然に存在する微生物を指す。例えば、変異体は、特定の環境又は細胞培養条件への適応から生じる微生物であってもよい。
【0068】
本明細書で使用される場合、「子孫」という用語は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株のいずれか1つの生殖又は増殖から生じる任意の微生物を意味する。したがって、「子孫」は、これらの株のいずれか1つの任意の直系子孫を意味する。したがって、子孫株自体は、親株(即ち、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株)と同じ株として特定され得る。無性生殖のプロセスのために、子孫株は、親株と遺伝的に実質的に同一であることは、当業者には明らかであろう。したがって、一実施形態では、子孫は、親株と遺伝的に同一であり得、親株の「クローン」であると考えられ得る。或いは、子孫は、親株と実質的に遺伝的に同一であり得る。
【0069】
突然変異体、変異体又は子孫は、細菌ゲノムの全長にわたって、それらの親株と少なくとも90、95、98、99、99.5又は99.9%の配列同一性を有し得る。さらに、突然変異体、変異体又は子孫は、寄託された親株と同じ表現型を保持し、例えば、突然変異体、変異体又は子孫は、インビトロ細胞生存率、細胞コンフルエンシー、並びに天然及びホメオスタシスサイトカイン産生の維持又は刺激に対する同じ又は同等の効果を示し得る。
【0070】
本発明の目的のために、細菌株リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)の任意の突然変異体、変異体及び/又は子孫は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株とそれぞれ同じであるとみなされる。
【0071】
投与量
本発明に従って使用されるラクトバチルス(Lactobacillus)、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の種、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株は、10~1012CFUの細菌/g支持体、より詳細には、10~1012CFUの細菌/g支持体、好ましくは、10~1012CFUの細菌/g支持体で存在し得る。
【0072】
適切には、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の種、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)、及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株は、約10~約1012CFUの微生物/用量、好ましくは約10~約1012CFUの微生物/用量で投与することができる。用語「用量当たり」とは、この量の微生物が1日当たり又は摂取当たりのいずれか、好ましくは1日当たりで対象に提供されることを意味する。例えば、微生物が食品中、例えばヨーグルト中で投与される場合、ヨーグルトは、好ましくは約10~1012CFUの微生物を含有するであろう。しかしながら、或いは、この量の微生物は、それぞれ、より少量の微生物負荷からなる多数回投与に分割されてもよい-任意の特定の時間、例えば、24時間ごとに対象が受ける微生物の総量が約10~約1012CFUの微生物、好ましくは約10~約1012CFUの微生物である限り。
【0073】
本発明によれば、微生物の少なくとも1つの株の有効量は、少なくとも10CFUの微生物/用量、好ましくは約10~約1012CFUの微生物/用量、好ましくは約10~約1012CFUの微生物/用量であり得る。
【0074】
一実施形態において、好ましくはラクトバチルス(Lactobacillus)属、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株を、約10~約1012CFUの微生物/日、好ましくは約10~約1012CFUの微生物/日の投与量で投与することができる。したがって、この実施形態における有効量は、約10~約1012CFUの微生物/日、好ましくは約10~約1012CFUの微生物/日であり得る。
【0075】
CFUは、「コロニー形成単位」を表す。「支持体」とは、組成物、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品又は薬学的に許容される組成物を意味する。
【0076】
一実施形態において、本発明は、組成物、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品又は薬学的に許容される組成物のうちの少なくとも1つの成分としての、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株に関する。
【0077】
組成物
本発明に従ってラクトバチルス(Lactobacilli)を単独で(即ち、いかなる支持体、希釈剤又は賦形剤もなしに)投与することが可能であるが、ラクトバチルス(Lactobacilli)は、典型的には、そして好ましくは、生成物の一部として、特に組成物、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品又は薬学的に許容される組成物の成分として又は成分の1つとして、支持体上又は支持体中で投与される。これらの生成物は、典型的には、当業者に周知の追加の成分を含有する
【0078】
一実施形態では、本発明は、経口投与又は局所投与のための組成物、スキンケア組成物又は薬学的に許容される組成物に関する。局所適用のための組成物は、身体上又は身体内の特定の場所に適用される組成物である。ほとんどの場合、局所適用又は投与は、特定の病気を治療するために、また例えば、皮膚老化を予防、低減又は治療するために、皮膚又は粘膜などの身体表面に適用することを意味する。局所適用は、限定されるものではないが、ローション、セラム、ゼリー、クリーム、ゲル、エマルジョン、マスク、パッチ、ミセル水、スティック又は軟膏などの広範囲の生成物を支持体として使用して達成することができる。
【0079】
別の実施形態では、本発明は、経口投与のための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物を含む、組成物、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品又は薬学的に許容される組成物に関する。
【0080】
健康補助食品は、ピル、カプセル、錠剤、又は液体の形態で経口摂取された場合に、対象の食事を補うことが意図される任意の製品である。
【0081】
スキンケア組成物
本発明はまた、限定されるものではないが、水溶液、エマルジョン、セラム、ゼリー、マスク、パッチ、フェイスマスク、ピールオフマスク、ローション、局所保湿剤、クリーム、ペースト、香油、軟膏、ポマード、ゲル、リキッド、スプレー、フォーム及びキットを含むスキンケア組成物又は製品の形態の、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の種の細菌、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株に関する。
【0082】
スキンケア製品はまた、メイクアップ、リップスティック、マスカラ、ファンデーション、頬紅、アイライナー、リップグロス、マクロエマルジョン、日焼け止め、サンブロック、バスゲル、シャワージェル、ボディウォッシュ、フェイスウォッシュ、スキンコンディショナー、コールドクリーム、保湿剤、ボディスプレー、石鹸及びボディスクラブの形態であってもよい。
【0083】
スキンケア組成物又は製品は、溶媒としての水と、水溶性添加剤(溶質)、例えば、限定されるものではないが、活性物質、芳香剤、着色剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、又はそれらの任意の1つの組み合わせとを含む液体ローション(真溶液)を含み得る。
【0084】
スキンケア製品はまた、分散物、例えば、非限定的に、液体中液体(油中水型、W/O、O/W、W/O/W)、懸濁液(固体/液体又は液体/固体)、エアロゾル(液体/気体又は固体/気体)、フォーム/ムース(気体/液体又は気体/エマルジョン、又は気体/固体)などのエマルジョンを含んでもよい。水中油型(O/W)エマルジョンの例としては、水相、乳化剤、脂肪相及び少なくとも1つの添加剤の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。水相は、水、湿潤剤、及び安定化剤、例えば、限定されるものではないが、合成ポリマー、カルボマー、天然ポリマー、キサンタンガム、アカシアガム、カラギーナン、ジェラン、又はそれらの任意の1つの組み合わせなどを含むことができる。乳化剤としては、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、両性乳化剤、シリコーン乳化剤、自己乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪相(親油性成分)としては、ワックス、バター、脂肪エステル、トリグリセリド、植物油、鉱油(パラフィン)、シリコーン、及び増粘剤/油ゼリー化剤が挙げられるが、これらに限定されない。添加剤としては、保存剤、芳香剤(最も多くの場合、親油性)、着色剤、抗酸化剤、キレート剤、活性物質、pH調整剤(クエン酸、乳酸、AHA)、中和剤/NaOHのような強塩基性剤、トリメチルアミン(アクリルポリマーをゼリー化するための)及び粉末が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
スキンケア製品は、水相(水、湿潤剤、活性物質を含む)、ゼリー化剤(合成ポリマー、天然ポリマー、キサンタンガム、アカシアガム、カラギーナン、ジェランなどであるが、これらに限定されない)及び添加剤(芳香剤、高HLB界面活性剤、着色剤、活性物質、保存剤系、pH調整剤、中和剤、粉末などであるが、これらに限定されない)を含む水性ゲルを含む。
【0086】
スキンケア製品は、水相(水、湿潤剤)、界面活性剤、添加剤(芳香剤、高HLB界面活性剤、着色剤、活性物質、保存剤系、pH調整剤、中和剤、粉末などであるが、これらに限定されない)、及び場合によりゼリー化剤(合成ポリマー、天然ポリマー、キサンタンガム、アカシアガム、カラギーナン、ジェランなどであるが、これらに限定されない)を含む、洗浄/界面活性剤系(シャンプー、シャワーゲル、ミセル水などであるが、これらに限定されない)を含む。
【0087】
一実施形態では、有効量のスキンケア組成物を含むスキンケア製品又は製剤は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌をさらに含む。
【0088】
別の実施形態では、有効量のスキンケア組成物を含む皮膚製品又は製剤は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の種の細菌、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株及びそれらの任意の混合物をさらに含む。
【0089】
リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌を含む皮膚製品又は製剤は、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持する、それを増加させる、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせることによって、皮膚老化を予防、低減、又は治療することによって、スキンケア利益を提供し;老化中に減少する、ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激ための皮膚若返り及び抗老化のための手段を提供し;ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激して、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせ;ケラチノサイトのホメオスタシスサイトカイン産生を促進することによって、皮膚バリアの構造的完全性及び強度を増加及び改善し;ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激して、真皮における細胞、又は線維芽細胞、並びに抗老化目的のためのそれらの抗老化活性及び細胞外マトリックス産生に影響を及ぼす。
【0090】
本発明に従って使用されるリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株又はそれらの混合物は、前記スキンケア製品の総重量に対して重量基準で0.1%~10%の範囲で存在することができる。一態様では、本明細書に記載のスキンケア組成物の好ましい有効量は、前記スキンケア製品の総重量に対して重量基準で少なくとも約0.1%~5%であり得る。一態様では、本明細書に記載のスキンケア組成物の有効量は、前記スキンケア製品の総重量に対して重量基準で少なくとも約0.1%~10%であり得る。皮膚科学的に許容される成分は、スキンケア製品の総重量に対して重量基準で約10%~約99%を構成する皮膚科学的に許容される担体であり得る。一態様では、前記スキンケア製品の総重量に対して重量基準で少なくとも約0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%~10%が、本明細書に記載される生きている細菌、非生存細菌、細菌溶解物又はポストバイオティクスである。前記スキンケア製品中のスキンケア組成物の有効量は、前記製剤又はスキンケア製品の総重量に対して重量基準で、少なくとも約0.1%~5%、少なくとも約0.1%~6%、少なくとも約0.1%~7%、少なくとも約0.1%~8%、少なくとも約0.1%~9%、少なくとも約0.1%~10%であり得る。一態様では、前記スキンケア製品中のスキンケア組成物の有効量は、前記製剤又はスキンケア製品の総重量に対して重量基準で、少なくとも約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6.0%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7.0%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、8.0%、8.1%、8.2%、8.3%、8.4%、8.5%、8.6%、8.7%、8.8%、8.9%、9.0%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、~10%であり得る。
【0091】
本明細書に記載されるスキンケア製品は、スキンケアの使用に知られている、又はさもなければ有効である1つ以上の皮膚科学的又は美容的に許容される成分をさらに含み得るが、ただし、この場合による成分は、本明細書に記載される必須成分と物理的及び化学的に適合性であるか、又はさもなければ製品の安定性、審美性、若しくは性能を過度に損なわないことを条件とする。このような場合による成分の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Ninth Edition,2002、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Tenth Edition,2004に開示されている。
【0092】
一態様では、皮膚科学的又は美容的に許容される成分は、約10重量%~約99.9重量%、或いは、約50重量%~約95重量%、或いは、約75重量%~約95重量%の皮膚科学的に許容される担体を含む皮膚科学的に許容される担体である。組成物と共に使用するのに適した担体としては、例えば、ムース、トニック、ゲル、皮膚保湿剤及びローションの製剤中に使用されるものが挙げられ得る。担体は、水;有機油;シリコーン、例えば揮発性シリコーン、アミノ又は非アミノシリコーンゴム又は油、及びそれらの混合物;鉱油;植物油、例えばオリーブ油、ヒマシ油、菜種油、ココナッツ油、コムギ胚芽油、スイートアーモンド油、アボカド油、マカダミア油、アンズ油、ベニバナ油、キャンドルナッツ油、アマナズナ油、タマヌ油、レモン油及びそれらの混合物;ワックス;並びに有機化合物、例えばC2~C10アルカン、アセトン、メチルエチルケトン、揮発性有機C1~C12アルコール、C1~C20酸とC1~C8アルコールのエステル、例えば酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、及びミリスチン酸イソプロピル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、C10~C30脂肪アルコール、例えばラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール;C10~C30脂肪酸、例えばラウリン酸及びステアリン酸;;C10~C30脂肪アミド、例えばラウリン酸ジエタノールアミド;C10~C30脂肪アルキルエステル、例えばC10~C30脂肪アルキルベンゾエート;ヒドロキシプロピルセルロース、並びにそれらの混合物を含み得る。一態様では、担体は、水、脂肪アルコール、揮発性有機アルコール、及びそれらの混合物を含む。他の担体は、当業者によって配合することができる。
【0093】
本明細書に記載のスキンケア製品は、組成物に所望の粘度を提供するのを助けるために、約0.1%~約10%、或いは、約0.2%~約5.0%のゲル化剤をさらに含んでもよい。場合による適切なゲル化剤の非限定的な例としては、架橋カルボン酸ポリマー;未中和架橋カルボン酸ポリマー;未中和変性架橋カルボン酸ポリマー;架橋エチレン/無水マレイン酸コポリマー;未中和架橋エチレン/無水マレイン酸コポリマー(例えば、Monsantoから市販されているEMA 81);未中和架橋アルキルエーテル/アクリレートコポリマー(例えば、Allied Colloidsから市販されているSALCARE(商標)SC90);ポリアクリル酸ナトリウム、鉱油、及びPEG 1トリデセス-6の未中和架橋コポリマー(例えば、Allied Colloidsから市販されているSALCARE(商標)SC91);メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸の未中和架橋コポリマー(例えば、International Specialty Productsから市販されているSTABILEZE(商標)QM-PVM/MAコポリマー;疎水変性エトキシレートウレタンポリマー(例えば、Union Carbideから市販されているアルカリ膨潤性ポリマーのUCARE(商標)Polyphobe Series);並びにそれらの組み合わせが挙げられる。この文脈において、「未中和」という用語は、場合によるポリマー及びコポリマーゲル化剤材料が、未中和酸性モノマーを含むことを意味する。
【0094】
美容的に許容される媒体は、製品の総重量に対して一般に約10~約90重量%の割合で脂肪物質を含有することができ、脂肪相は、少なくとも1つの液体、固体又は半固体の脂肪物質を含有する。脂肪物質としては、油、ワックス、ガム、及びいわゆるペースト状脂肪物質が挙げられるが、これに限定されない。或いは、製品は、油中水型又は水中油型エマルジョンなどの安定な分散物の形態であってもよい。加えて、スキンケア製品は、抗酸化剤、保存剤、充填剤、界面活性剤、UVA及び/又はUVB日焼け止め剤、芳香剤、増粘剤、湿潤剤及びアニオン性、非イオン性又は両性ポリマー、並びに染料又は顔料(着色剤)を含むがこれらに限定されない、1つ以上の従来の美容的又は皮膚科学的添加剤又は補助剤を含有してもよい。
【0095】
皮膚科学的に許容される担体は、少なくとも1つの乳化剤、少なくとも1つの界面活性剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む保湿剤製剤であってもよい。
【0096】
スキンケア製品は、日焼け止め剤、保湿剤、湿潤剤、有益剤皮膚、付着剤、例えば界面活性剤、閉塞剤、水分バリア、潤滑剤、皮膚軟化剤、老化防止剤、帯電防止剤、研磨剤、抗菌剤、コンディショナー、角質除去剤、芳香剤、増粘剤、塩、脂質、リン脂質、ビタミン、泡安定剤、pH調整剤、保存剤、懸濁化剤、シリコーン油、シリコーン誘導体、精油、油、脂肪、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ワックス、ポリオール、炭化水素、及びそれらの混合物を含むスキンケア活性成分材料をさらに含むことができる。
【0097】
スキンケア製品中に含まれ得る他の成分としては、非限定的に、皮膚の病気の治療若しくは予防のための、美容効果を提供するための、又は皮膚に保湿効果を提供するための少なくとも1つの活性成分、例えば酸化亜鉛、ワセリン、白色ワセリン、鉱油、タラ肝油、ラノリン、ジメチコン、硬脂質、ビタミンA、アラントイン、カラミン、カオリン、グリセリン、又はコロイド状オートミール、及びこれらの組み合わせ、1つ以上の天然保湿因子(例えば、セラミド、ヒアルロン酸、グリセリン、スクアラン、アミノ酸、コレステロール、脂肪酸、トリグリセリド、リン脂質、スフィンゴ糖脂質、尿素、リノール酸、グリコサミノグリカン、ムコ多糖、乳酸ナトリウム、又はピロリドンカルボン酸ナトリウムなど)、グリセリド、アンズ核油、キャノーラ油、スクアラン、スクアレン、ココナッツ油、コーン油、ホホバ油、ホホバワックス、レシチン、オリーブ油、ベニバナ油、ゴマ油、シアバター、大豆油、スイートアーモンド油、ヒマワリ油、チャノキ油、シアバター、パーム油、コレステロール、コレステロールエステル、ワックスエステル、脂肪酸、並びにオレンジ油が挙げられる。
【0098】
食品
一実施形態では、ラクトバチルス(Lactobacilli)は、本発明に従って食品、例えば食品サプリメント、飲料又はミルクベースの粉末中で使用される。ここで、「食品」という用語は、広い意味で使用され、ヒトのための食品、及び動物のための食品(即ち、飼料)を包含する。好ましい態様では、食品は、ヒト消費のためのものである。
【0099】
食品は、使用及び/又は適用様式及び/又は投与様式に応じて、溶液の形態又は固体としてでもよい。
【0100】
機能性食品などの食品として、又はその調製において使用される場合、本発明の細菌は、栄養学的に許容される担体、栄養学的に許容される希釈剤、栄養学的に許容される賦形剤、栄養学的に許容される補助剤、栄養学的に活性な成分のうちの1つ以上と併せて使用され得る。
【0101】
例として、本発明の細菌は、ソフトドリンク、フルーツジュース、又は乳清タンパク質を含む飲料、健康茶、ココア飲料、乳飲料及び乳酸菌飲料、ヨーグルト及び飲料ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、ウォーターアイス及びデザート、菓子類、ビスケットケーキ及びケーキミックス、スナック食品、バランス食品及び飲料、果実充填物、ケアグレーズ(care glaze)、チョコレートベーカリー充填物、チーズケーキ風味充填物、果実風味ケーキ充填物、ケーキ及びドーナツのアイシング、インスタントベーカリー充填物クリーム、クッキー用の充填物、すぐに使用できるベーカリー充填物、低カロリー充填物、成人用栄養飲料、野菜ミルク、酸性化ダイズ/ジュース飲料、無菌/レトルトチョコレート飲料、バーミックス、飲料粉末、カルシウム強化ダイズ/プレーン及びチョコレートミルク、カルシウム強化コーヒー飲料に対する成分として使用することができる。
【0102】
有利には、製品が食品である場合、ラクトバチルス(Lactobacilli)は、食品が小売業者によって販売のために提供される通常の「賞味期限」又は「有効期限」の日まで有効であるべきである。好ましくは、有効時間は、食品腐敗が明らかになる通常の鮮度期間の終了まで、そのような日付を越えて延長されるべきである。所望の長さの時間及び通常の貯蔵寿命は、食料品ごとに異なり、当業者は、貯蔵寿命時間が食料品のタイプ、食料品のサイズ、貯蔵温度、加工条件、包装材料及び包装機器によって異なることを認識するであろう。
【0103】
医療用食品
一実施形態において、本発明の細菌は、医療用食品の形態である。
【0104】
好ましくは、ラクトバチルス(Lactobacillus)、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)の種、例えばリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株は、医療用食品の形態である。
【0105】
「医療用食品」とは、医師の監督の有無にかかわらず、消費又は投与されるように配合され、認知された科学的原理に基づいて、特有の栄養要求が確立されている特定の皮膚状態又は他の医学的状態を対象とする食品を意味する。
【0106】
医薬組成物
本発明の細菌は、医薬組成物として、又は医薬組成物の調製において使用することができる。ここで、「医薬」という用語は、広い意味で使用され、ヒト用の医薬及び動物用の医薬(即ち、獣医学的用途)を包含する。
【0107】
好ましい実施形態では、薬学的に許容される組成物は、医薬である。
【0108】
医薬組成物は、治療目的のものであり得、それは、本質的に、治癒的又は緩和的又は予防的であり得る。医薬組成物は、診断目的であってもよい。
【0109】
本発明の好ましい実施形態では、医薬は、局所適用のためのものである。
【0110】
本発明の別の好ましい実施形態では、医薬は、経口投与用である。
【0111】
薬学的に許容される組成物又は支持体は、例えば、圧縮錠剤、錠剤、カプセル、軟膏、坐剤又は飲用溶液のクリーム、フォーム、ゲル、ローション、及び軟膏の形態の製剤又は支持体であり得る。他の適切な形態は以下に提供される。
【0112】
医薬品として、又は医薬品の調製において使用される場合、本発明の組成物は、薬学的に許容される担体、薬学的に許容される希釈剤、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される補助剤、薬学的に活性な成分のうちの1つ以上と併せて使用され得る。
【0113】
医薬品は、使用及び/又は適用様式及び/又は投与様式に応じて、溶液の形態又は固体としてでもよい。
【0114】
本発明の乳酸桿菌は、医薬成分として使用することができる。ここで、組成物は、唯一の活性成分であってもよく、又はいくつかの(即ち、2つ以上の)活性成分のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0115】
医薬成分は、使用及び/又は適用様式及び/又は投与様式に応じて、溶液の形態又は固体としてでもよい。
【0116】
乳酸桿菌は、本発明に従って、単独の場合であれ、他の成分又は成分と組み合わせて存在する場合であれ、任意の適切な形態で使用することができる。同様に、本発明の細菌と他の成分(component)及び/又は成分(ingredient)(即ち、食品成分、機能性食品成分又は医薬成分などの成分)とを含む組み合わせは、任意の適切な形態で使用することができる。
【0117】
乳酸桿菌は、本発明に従って、固体若しくは液体調製物又はその代替物の形態で使用され得る。固体調製物の例としては、これらに非限定的に、水和性、噴霧乾燥又は凍結乾燥され得る錠剤、カプセル、ダスト、顆粒及び粉末が挙げられる。液体調製物の例としては、水性、有機又は水性有機溶液、懸濁液及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
形態の適切な例には、即時、遅延、修飾、持続、パルス又は制御放出用途のための、香味剤又は着色剤を含有し得る、錠剤、丸剤、カプセル剤、オビュール(ovule)、液剤又は懸濁剤のうちの1つ以上が含まれる。
【0119】
例として、本発明の細菌が機能性成分として使用するための錠剤形態で使用される場合、錠剤は、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム及びグリシンなどの賦形剤;デンプン(好ましくは、コーン、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及び特定の複合ケイ酸塩などの崩壊剤;ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン及びアカシアなどの造粒結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及びタルクなどの潤滑剤のうちの1つ以上も含み得る。形態を調製する際に使用するための栄養学的に許容される担体の例としては、例えば、水、塩溶液、アルコール、シリコーン、ワックス、ワセリン、植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、リポソーム、糖、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペトロエストライ(petroethrai)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0120】
この形態のための好ましい賦形剤としては、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖又は高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0121】
水性懸濁剤及び/又はエリキシル剤の場合、本発明の細菌は、様々な甘味剤又は香味剤、着色物質又は染料、乳化剤及び/又は懸濁剤、並びに水、プロピレングリコール及びグリセリンなどの希釈剤、並びにそれらの組み合わせと組み合わせることができる。
【0122】
形態はまた、ゼラチンカプセル;繊維カプセル、繊維錠剤など;又は繊維飲料さえも含み得る。
【0123】
形態のさらなる例としては、クリームが挙げられる。いくつかの態様では、本発明で使用される微生物は、例えば、サンクリーム及び/又はアフターサンクリームなどの薬学的及び/又は化粧品クリーム中に使用され得る。
【0124】
一態様では、本発明による細菌は、例えば気道への投与のために、エアロゾルで、例えば鼻腔スプレーによって投与することができる。
【0125】
プレバイオティクス
一実施形態において、本発明の細菌の使用は、1つ以上の繊維(fiber)/繊維(fibre)及び/又はプレバイオティクスの使用をさらに含み得る。
【0126】
プレバイオティクスは、健康上の利益を与える宿主微生物によって選択的に利用される基質として定義される。これらは、一般に、1つ又は限られた数の細菌(特に乳酸桿菌及び/又は乳酸菌、しかしこれらに限定されない)の増殖及び/又は活性を選択的に刺激することによって宿主の健康に有益に影響を及ぼし、それにより宿主の健康を改善する成分である。プレバイオティクスは、経口経路に適用することができるが、他の微生物学的にコロニー形成された部位、例えば皮膚上に局所的に適用することもできる。典型的には、プレバイオティクスは、炭水化物(オリゴ糖など)であるが、この定義は、ポリフェノールなどの非炭水化物、又は多価不飽和脂肪酸、又は限られた数の細菌によって選択的に利用されて健康上の利益を与えることができる他の成分を排除するものではない。プレバイオティクスの最も一般的な形態は、可溶性繊維(fiber)/(fibre)として栄養学的に分類される。ある程度まで、多くの形態の食物繊維は、あるレベルのプレバイオティクス効果を示す。
【0127】
一実施形態では、プレバイオティクスは、宿主の幸福及び健康に利益を与える、胃腸又は皮膚の微生物叢における組成及び/又は活性の両方における特定の変化を可能にする選択的に発酵された成分である。
【0128】
適切には、プレバイオティクスは、本発明に従って、0.01~100g/日、好ましくは0.1~50g/日、より好ましくは0.5~20g/日の量で使用され得る。一実施形態では、プレバイオティクスは、本発明に従って、1~10g/日、好ましくは2~9g/日、より好ましくは3~8g/日の量で使用され得る。別の実施形態では、プレバイオティクスは、本発明に従って、5~50g/日、好ましくは10~25g/日の量で使用され得る。
【0129】
プレバイオティクスの食事源の例としては、大豆、イヌリン源(例えば、キクイモ、ヒカマ、及びチコリー根)、生オートムギ、未精製コムギ、未精製オオムギ、及びヤーコンが挙げられる。
【0130】
適切なプレバイオティクスの例としては、アルギネート、キサンタン、ペクチン、ローカストビーンガム(LBG)、イヌリン、グアーガム、ガラクトオリゴ糖(GOS)、フルクトオリゴ糖(FOS)、ポリデキストロース(即ち、Litesse(登録商標))、ラクチトール、L-アラビノース、D-キシロース、L-ラムノース、L-マンノース、L-フコース、イノシトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、フルクトース、カラギーナン、アルギネート、微結晶セルロース(MCC)、ベタイン、ラクトスクロース、大豆オリゴ糖、イソマルツロース(Palatinose(商標))、イソマルトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、キシロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、ベータグルカン、セロビオース、ラフィノース、ゲンチオビオース、メリビオース、キシロビオース、シシオデキストリン(cyciodextrin)、イソマルトース、トレハロース、スタキオース、パノース、プルラン、ベルバスコース、ガラクトマンナン、(ヒト)乳オリゴ糖及び全ての形態の耐性デンプンが挙げられる。
【0131】
本発明によるラクトバチルス(Lactobacillus)と1つ以上の繊維及び/又はプレバイオティクスとの組み合わせは、特定の用途において相乗効果(即ち、別々に使用した場合の細菌の相加効果よりも大きい効果)を示す。
【0132】
一実施形態では、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物は、1つ以上の繊維及び/又はプレバイオティクスと組み合わせて使用される。
【0133】
特に好ましい実施形態において、1つ以上の繊維及び/又はプレバイオティクスと組み合わせて使用されるラクトバチルス(Lactobacillus)又はその混合物は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)である。
【0134】
特に好ましい実施形態において、1つ以上の繊維及び/又はプレバイオティクスと組み合わせて使用されるラクトバチルス(Lactobacillus)又はその混合物は、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)である。
【0135】
特に好ましい実施形態において、1つ以上の繊維及び/又はプレバイオティクスと組み合わせて使用されるラクトバチルス(Lactobacillus)又はその混合物は、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)である。
【0136】
特に好ましい実施形態において、1つ以上の繊維及び/又はプレバイオティクスと組み合わせて使用されるラクトバチルス(Lactobacillus)又はその混合物は、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)である。
【0137】
特に好ましい実施形態において、1つ以上の繊維及び/又はプレバイオティクスと組み合わせて使用されるラクトバチルス(Lactobacillus)又はその混合物は、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)である。
【0138】
適切には、使用されるプレバイオティクスは、ポリデキストロース、ラクチトール、イノシトール、L-アラビノース、D-キシロース、Lラムノース、D-マンノース、L-フコース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、フルクトース、カラギーナン、アルギネート、微結晶セルロース(MCC)、乳オリゴ糖又はベタインである。
【0139】
さらなる態様では、本発明は、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、若しくはラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌、又はそれらの混合物、並びに1つ以上の繊維及び/又はプレバイオティクスを含む、組成物、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品、又は薬学的に許容される組成物に関する。
【0140】
一態様では、プレバイオティクスは、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物によって産生される代謝産物であり得、この代謝産物は、例えば、皮膚上に局所的に適用される場合、他の微生物の交叉栄養として利用され得、健康に有益に影響を及ぼす。
【0141】
一態様では、プレバイオティクスは、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)株の細菌によって産生される代謝産物であり得る。
【0142】
一態様では、プレバイオティクスは、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)株の細菌によって産生される代謝産物であり得る。
【0143】
一態様では、プレバイオティクスは、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)株の細菌によって産生される代謝産物であり得る。
【0144】
一態様では、プレバイオティクスは、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)株の細菌によって産生される代謝産物であり得る。
【0145】
一態様では、プレバイオティクスは、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株の細菌によって産生される代謝産物であり得る。
【0146】
発明の実施形態
疑義を避けるために、本発明が関連する実施形態のいくつかを以下に述べる:
【0147】
実施形態1:対象における皮膚老化を予防、低減又は治療するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物の非治療的使用。
【0148】
実施形態2.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせる、実施形態1による非治療的使用。
【0149】
実施形態3.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激する、実施形態1による非治療的使用。
【0150】
実施形態4.ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生の維持及び刺激が、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせる、実施形態3による非治療的使用。
【0151】
実施形態5.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はその混合物が、皮膚バリアの構造的完全性及び強度を増加及び改善する、実施形態1による非治療的使用。
【0152】
実施形態6.皮膚バリアの構造的完全性及び強度の増加及び改善が、ケラチノサイトのホメオスタシスサイトカインの産生によって達成される、実施形態5による非治療的使用。
【0153】
実施形態7.ケラチノサイトの天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生の維持及び刺激が、真皮における細胞、又は線維芽細胞、並びにそれらの抗老化活性及び細胞外マトリックス産生に影響を及ぼす、実施形態3による非治療的使用。
【0154】
実施形態8.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)種の細菌が、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)株である、実施形態1~7のいずれか1つによる非治療的使用。
【0155】
実施形態9.ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)種の細菌が、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)株である、実施形態1~7のいずれか1つによる非治療的使用。
【0156】
実施形態10.ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)種の細菌が、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)株である、実施形態1~7のいずれか1つによる非治療的使用。
【0157】
実施形態11.ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌が、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)株及び又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株である、実施形態1~7のいずれか1つによる非治療的使用。
【0158】
実施形態12.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、生きた形態である、実施形態1~11のいずれか1つによる非治療的使用。
【0159】
実施形態13.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、溶解形態である、実施形態1~11のいずれか1つによる非治療的使用。
【0160】
実施形態14.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、ポストバイオティクス形態である、実施形態1~11のいずれか1つによる非治療的使用。
【0161】
実施形態15.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はその混合物が、組成物、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品又は薬学的に許容される組成物のうちの少なくとも1つの成分である、実施形態1~14のいずれか1つによる非治療的使用。
【0162】
実施形態16.組成物、スキンケア組成物又は薬学的に許容される組成物が、局所適用のためのものである、実施形態15による非治療的使用。
【0163】
実施形態17.組成物、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品又は薬学的に許容される組成物が、経口投与用である、実施形態15による非治療的使用。
【0164】
実施形態18.対象における皮膚老化の予防、低減又は治療に使用するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物。
【0165】
実施形態19.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせる、実施形態18による使用のための細菌。
【0166】
実施形態20.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生を維持及び刺激する、実施形態18による使用のための細菌。
【0167】
実施形態21.ケラチノサイトの表皮皮膚の天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生の維持及び刺激が、皮膚における代謝活性/細胞生存率を維持し、皮膚における代謝活性/細胞生存率を増加させ、又は皮膚における代謝活性及び/若しくは細胞生存率の減少を遅らせる、実施形態20による使用のための細菌。
【0168】
実施形態22.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、皮膚バリアの構造的完全性及び強度を増加及び改善する、実施形態18による使用のための細菌。
【0169】
実施形態23.皮膚バリアの構造的完全性及び強度の増加及び改善が、ケラチノサイトのホメオスタシスサイトカインの産生によって達成される、実施形態22による使用のための細菌。
【0170】
実施形態24.ケラチノサイトの天然及び内因性ホメオスタシスサイトカイン産生の維持及び刺激が、真皮における細胞、又は線維芽細胞、並びにそれらの抗老化活性及び細胞外マトリックス産生に影響を及ぼす、実施形態20による使用のための細菌。
【0171】
実施形態25.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)種の細菌が、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33(Ls-33)株である、実施形態18~24のいずれか1つによる使用のための細菌。
【0172】
実施形態26.ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)種の細菌が、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37(Lpc-37)株である、実施形態18~24のいずれか1つによる使用のための細菌。
【0173】
実施形態27.ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)種の細菌が、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001(HN001)株である、実施形態18~24のいずれか1つによる使用のための細菌。
【0174】
実施形態28.ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌が、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407(Lp-12407)株及び/又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418(Lp-12418)株である、実施形態18~24のいずれか1つによる使用のための細菌。
【0175】
実施形態29.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、生きた形態である、実施形態18~28のいずれか1つによる使用のための細菌。
【0176】
実施形態30.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、溶解形態である、実施形態18~28のいずれか1つによる使用のための細菌。
【0177】
実施形態31.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、ポストバイオティクス形態である、実施形態18~28のいずれか1つによる使用のための細菌。
【0178】
実施形態32.リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の細菌又はそれらの混合物が、組成物、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品又は薬学的に許容される組成物のうちの少なくとも1つの成分である、実施形態18~31のいずれか1つによる使用のための細菌。
【0179】
実施形態33.組成物、スキンケア組成物又は薬学的に許容される組成物が、局所適用のためのものである、実施形態32による使用のための細菌。
【0180】
実施形態34.組成物、スキンケア組成物、健康補助食品、栄養補助食品、食品又は薬学的に許容される組成物が、経口投与用である、実施形態32による使用のための細菌。
【0181】
実施形態35.対象における皮膚老化を予防、低減、又は治療するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の1つ以上の細菌又はそれらの混合物を含む組成物の非治療的使用。
【0182】
実施形態36.対象における皮膚老化の予防、低減又は治療に使用するための、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の1つ以上の細菌又はそれらの混合物を含む組成物。
【0183】
実施形態37.それを必要とする対象における皮膚老化を予防、低減又は治療する方法であって、有効量のリジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、又はラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)種の1つ以上の細菌又はそれらの混合物を含む組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【実施例
【0184】
材料及び方法
5つのDuPont Nutrition Biosciences ApSプロバイオティクス株、リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)Ls-33、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)Lpc-37、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)HN001、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12407及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)Lp-12418を、正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)細胞を用いてインビトロで皮膚水和、保湿及び抗老化特性に対するそれらの効果について試験した。プロバイオティクス株を、高浸透圧ストレス(NaCl)の有無にかかわらず、NHEK細胞を有する生、溶解、又はポストバイオティクス溶液として試験した。
【0185】
NHEK細胞に対する株の効果を、最初に細胞生存率及びコンフルエンシー測定によって調べた。これに加えて、NHEK細胞に対する株の効果を、産生された選択された分子:IL-1α、IL-6及びIL-8の量を測定して研究した。
【0186】
NHEK細胞
成人正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)(Gibco(商標))を、ヒトケラチノサイト増殖サプリメント(HKGS)(Gibco(商標))を補充した60μMカルシウム(Gibco(商標))を含むEpiLife(登録商標)培地中、5% CO雰囲気、+37℃で維持した。実験のために、可能な限り早い継代を利用した。
【0187】
プロバイオティクス細胞培養物及び試験試料調製物
リジラクトバチルス・サリバリウス(Ligilactobacillus salivarius)株Ls-33(DSM 33831、DGCC9868)(DuPont Nutrition Biosciences ApSから市販)、ラクチカゼイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)株Lpc-37(DSM 32661、DGCC4981)(DuPont Nutrition Biosciences ApSから市販)、ラクチカゼイバチルス・ラムノースス(Lacticaseibacillus rhamnosus)株HN001(DSM 22876、DGCC1460)(DuPont Nutrition Biosciences ApSから市販)、ラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)株Lp-12407(DSM 32654、DGCC12407)(DuPont Nutrition Biosciences ApSから市販)、及びラクチプランチバチルス・プランタルム(Lactiplantibacillus plantarum)株Lp-12418(DSM 32655、DGCC12418)(DuPont Nutrition Biosciences ApSから市販)を、MRSブロス(Neogen)中+37℃で嫌気的に培養した。生菌及び溶解菌、並びにポストバイオティクスを用いた研究のために、細菌を指数増殖期に達するまで増殖させた。細菌細胞及び可溶性代謝産物を、+4℃、5分、4000rpmで遠心分離することによって分離した。細菌ペレット(細胞)を、補充されたEpiLife(登録商標)細胞培養培地又は分化培地(DM)のいずれかに再懸濁した。細菌細胞密度は、光学密度計(BioPhotometer、Eppendorf)及びフローサイトメトリー(FACSCalibur、Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)を用いて決定した。細菌細胞溶解物を、粉砕キットVK01(Bertin Technologies)を有するPrecellys 24ビーズビーター(Bertin Technologies、SaintQuentin-en-Yvelines Cedex、France)を用いて、6800rpmで30秒の3サイクルで細胞を剪断することによって調製した。細胞の破壊を光学顕微鏡で確認した。細菌細胞溶解物を0.2μmシリンジユニット(Sartorius)で滅菌濾過した後、それらをケラチノサイトに適用した。生細胞及び溶解細菌細胞を、1つのケラチノサイト細胞に対して100個の細菌細胞として投与した。可溶性代謝産物を、補充EpiLife(登録商標)細胞培養培地又は分化培地(DM)のいずれかで10%(vol/vol)に希釈し、0.2μmシリンジユニット(Sartorius)で滅菌濾過した後、細胞に適用した。
【0188】
ストレス条件
ケラチノサイト研究のための高浸透圧ストレスは、150mMモル濃度に達するようにNaCl(J.T. Baker)を補充EpiLife(登録商標)細胞培養培地又は分化培地(DM)に加えることによって誘導し、これは浸透圧計(Ordior)により測定される約570mOsm/kg浸透圧に相当した。分化ケラチノサイトを除き、細菌試験溶液を用いて細胞にストレスを加え、分化ケラチノサイトの場合、高浸透圧ストレスを局所的に加えた一方、細菌試験溶液は基底外側にあった。
【0189】
MTT及びコンフルエンシーアッセイ
MTT 3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミドアッセイを用いて、試験試料インキュベーション後の細胞の代謝活性(生存率)を評価した。簡単に述べると、NHEK細胞の代謝活性を評価するために、10細胞を96ウェルプレート(Nunc(商標)MicroWell(商標)、Thermo Scientific)のウェルに播種し、24時間後、0,1ml容量の試験試料を局所的に適用した。NHEK細胞との24時間のインキュベーション後、試験試料を除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、0.5mg/ml MTT(Sigma-Aldrich)-試薬液(DMEM、Gibcoで希釈)で2時間、+37℃、5% CO雰囲気で処理した。MTT溶液を収集し、0,12mlのジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma-Aldrich)と交換し、光から保護して5分間オービタルシェーカー中でインキュベートした。体積0.09mlの上清を96ウェルプレートに移し、試料の吸光度を、570nmの吸光度を測定するEnSightプレートリーダー(Perkin Elmer、USA)を用いて分析した(700nmでバックグラウンド吸光度を減少させる)。
【0190】
コンフルエンシー測定を用いて、細胞によって覆われる面積を決定することによって、細胞形態関連情報を評価した。簡単に述べると、NHEK細胞の細胞コンフルエンシーを評価するために、10細胞を96ウェルプレート(Nunc(商標)MicroWell(商標)、Thermo Scientifc)のウェルに播種し、24時間後、細胞を+37℃、5% CO雰囲気で付着させ、0.1ml容量の試験試料を局所的に適用した。NHEK細胞と+37℃、5% CO雰囲気で24時間インキュベートした後、試験試料を除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。EnSightプレートリーダー(Perkin Elmer、USA)及び付属のソフトウェア(Kaleido、Perkin Elmer、USA)を用いた明視野画像化を用いて、細胞コンフルエンシーを決定した。
【0191】
ELISAアッセイ
マルチプレックスサンドイッチELISAアッセイ(Quanterix)を用いて、収集した選択試料から産生されたヒトサイトカインであるインターロイキンIL-1α、IL-6及びIL-8の量を分析した。
【0192】
2つのコンパートメントを形成するトランスウェルシステムを分化ケラチノサイトで使用して、局所ストレス状態の有無にかかわらず、産生されたバイオマーカーを決定した。ケラチノサイトを分化させるために、細胞をThinCert(商標)細胞培養インサート(Greiner Bio-one)上に10細胞/cmの密度で播種した。+37℃、5% CO雰囲気で48時間インキュベートした後、培地を吸引し、HKGSを補充した1.45mM CaClを含むEpiLife(登録商標)培地からなる分化培地(DM)に交換し、5% CO雰囲気で3日間インキュベートした。
【0193】
分化開始後3日目に、培地を基底側及び局所側の両方から新鮮なDMに変更し、cellZscopeデバイス(nanoAnalytics GmbH)によって経上皮電気抵抗(TEER)を測定することによって分化をチェックした。その後、細胞を+37℃、5% CO雰囲気でさらに一晩インキュベートした後、実験を開始した。1.5ml容量の試験試料を基底外側に適用し、高浸透圧ストレスを0.5ml容量で局所的に適用した。+37℃、5% CO雰囲気で24時間インキュベートした後、ELISAアッセイ用の試料を基底外側から収集し、分析まで-80℃で凍結保存した。
【0194】
全てのELISAバイオマーカーを、製造業者の説明書に従って、収集した細胞培養試料から分析した。
【0195】
統計解析
MTT及びコンフルエンシーアッセイ並びにバイオマーカーIL-1α、IL-6及びIL-8についてのELISAアッセイに関して、0.05以下のp値を有意とみなして、一元配置ANOVA及びDunnettの多重比較検定を用いて、GraphPad Prismバージョン9.2.0を用いて治療間の統計的有意性を決定した。
【0196】
結果の棒グラフは、平均±標準偏差を示す。
【0197】
結果
代謝活性
細胞の代謝活性は、細胞の一般的な健康状態を表す。MTT法は、生細胞の細胞代謝活性、及び細胞の還元電位、又は細胞エネルギーを駆動するための還元化合物の利用可能性を測定する。MTT法はまた、細胞の生存率を測定するためにも利用される。対照より大きい吸光度値は、細胞増殖又はより高い代謝活性を示し、一方、より低い値は、細胞死又は増殖の阻害又はより低い代謝活性を示唆する。細胞におけるMTT活性の減少は、細胞酸化還元活性の指標と考えられる。老化した細胞、又は分裂することができない細胞は、通常、経時的に老化及び光老化した皮膚に蓄積し、加齢に伴う皮膚の変化及び病理に寄与し得る。皮膚の老化に関連する表皮の薄化は、部分的には、基底ケラチノサイトの増殖及び再生能力の減少、並びに表皮幹細胞数の減少によって引き起こされる。また、表皮を下にある真皮に接続する真皮-表皮接合部(DEJ)及び真皮自体がより薄くなる。老化した細胞はその機能性を失い、炎症誘発性ケモカイン、サイトカイン及び様々なプロテアーゼを含む様々な分子を分泌することによって周囲の細胞にも影響を及ぼす。
【0198】
皮膚細胞の水和状態は、その代謝活性にとって重要である。したがって、皮膚の主要な機能の1つは、脱水及び水分喪失に対する保護を提供することである。ヒトを含む陸生動物の皮膚は、0~100%の相対湿度の湿度で変化する環境に曝露される。相対湿度が100%未満であると、表皮に著しい脱水又は浸透圧ストレスが生じる可能性があり、そして、それに反応して生物を水分喪失から保護しなければならない。老化した皮膚は、より若い皮膚よりも乾燥しており、より硬い表皮を有する。しわは、真皮の嵩変形と共に表皮の折り畳みによって形成され、脱水した硬い表皮は、より折り畳みストレスに抵抗し、したがって、より波打ちの少ない面を示し、これは、脱水がより大きな振幅及び周期でしわを生成することを意味する。角質層(SC)中の適切な量の水により、皮膚は、その無傷のバリア機能を維持し、柔らかく柔軟に感じ、滑らかで健康的に見える。より乾燥した皮膚は、より広い間隔で、より多くのしわ及びより深い溝を示す。
【0199】
NHEK細胞代謝活性 - NaClストレス
ストレス下のNHEK細胞の代謝活性を、細胞を試験溶液と共に高浸透圧ストレス(NaClによって誘導される)で24時間インキュベートした後、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイでスクリーニングした。存在する生存細胞の数は、吸光度分析によって測定することができる、MTT試薬を不溶性ホルマザンに還元するNAD(P)H依存性細胞酸化還元酵素の能力に反映される。高浸透圧ストレスは細胞浸透圧バランスを乱す。これを、脱水をモデル化するために使用した。
【0200】
NaClによって誘導された高浸透圧ストレス中に、生(32.30%、p=0.0027)及びポストバイオティクス形態(32.86%、p=0.0011)のLs-33、生Lp-12407細菌(34.27%、p=0.0001)、生Lpc-37細菌(47.75%、p<0.0001)、ポストバイオティクス形態のLp-12418(32.41%、p=0.0023)、並びに生(35.18%、p<0.0001)及びポストバイオティクス形態(30.33%、p=0.0401)のHN001は、NaCl処理対照細胞(23.88%)と比較してNHEK細胞の代謝活性(生存率)を増加させることができた。
【0201】
高浸透圧ストレスは、細胞の代謝減少を引き起こし、細胞老化を引き起こし得る。プロバイオティクスLs-33、Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001株は、高浸透圧ストレスによって引き起こされる代謝活性及び/又は細胞生存率の減少を遅らせることができ、これは、細胞増殖及び生存率を支持し、老化の徴候を誘導し得る脱水中の皮膚の浸透圧差を均等化する能力を指し得る。
【0202】
コンフルエンシー
細胞の目視検査及びコンフルエンシーの測定は、細胞によって覆われるパーセント画像面積、又は細胞によって覆われる培養皿からの面積を決定する。コンフルエンシーの増加は、細胞数が増加したこと、又は細胞がより広がっているか、若しくは基層により良く接着していること、又は細胞の体積が増加したことのいずれかを示す。上皮シートの広がりは、組織の完全性を回復するために細胞分裂及び分化と協調しなければならない基本的な細胞プロセスである。分裂するケラチノサイトは、増加した細胞密度を有する細胞コンフルエンシーが十分に高い場合、分化に関与する。老化した皮膚に存在する老化細胞は、分裂することができず、そのため、コンフルエンシーが増加することが有益である。
【0203】
高浸透圧ストレスでは、細胞体積が減少し、水流出の結果として細胞収縮が起こる。老化した皮膚では、真皮における血液循環及び浸透圧輸送体の発現が減少し、浸透圧ストレスからの細胞体積の回復が減少する。高浸透圧ストレスはまた、炎症誘発性シグナル伝達、ひいては、老化の促進にも関与している。それは、DNA合成及び修復、転写、タンパク質翻訳及び分解、並びにミトコンドリア機能を含む、全ての主要な生合成経路の停止を引き起こす。その結果、細胞周期の進行及び細胞増殖が停止する。酸化ストレスとアポトーシス経路の活性化が同時に増加し、これは細胞数の減少をもたらす可能性がある。
【0204】
NHEK細胞コンフルエンシー-ストレスなし
細胞を試験溶液と共に24時間インキュベートした後、コンフルエンシー、細胞で覆われる面積を、明視野画像化及び付随する分析ソフトウェアで評価した。
【0205】
生Lp-12407細菌(44.03%、p=0.0461)及びポストバイオティクス形態のLpc-37細菌(44.65%、p=0.0171)は、培地対照試料(38.45%)と比較してNHEK細胞コンフルエンシーにおいて統計的に有意な増加を有した(図2)。
【0206】
コンフルエンシーのわずかな増加は、細胞量とウェル基質への付着の増加を反映する可能性がある。好ましい条件では、細胞は細胞体積調節における同時バランスを伴って増殖を維持し、さらには増加させる。
【0207】
NHEK細胞コンフルエンシー-NaClストレス
細胞の浸透圧バランスを乱す高浸透圧ストレスの存在下で24時間インキュベートした後、細胞によって覆われた面積、コンフルエンシーを明視野画像化及び付随する分析ソフトウェアで評価した。コンフルエンシー分析は、特に高浸透圧条件下で、浸透圧差のバランスをとろうとするときに細胞の収縮を引き起こすので、興味深い情報を明らかにする。
【0208】
NaClストレス中、いくつかの試験化合物は、NaCl対照試料(15.84%)と比較して、中でも、生(32.77%、p<0.0001)及びポストバイオティクス形態(22.83%、p=0.0351)のLp-12407、生Lpc-37(31.00%、p<0.0001)、生(30.89%、p<0.0001)及び溶解(22.95%、p<0.0304)Lp-12418、並びに生HN001(24.66%、p=0.0032)の細胞コンフルエンシーを回復させることができた(図3)。また、生Ls-33(21.92%)は、高浸透圧ストレス対照と比較して、コンフルエンシーにおいていくらかの増加効果を有した(図3)。
【0209】
全ての株、Ls-33、Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001は、NaClストレス対照試料で細胞コンフルエンシーの減少として観察された細胞収縮及び細胞剥離を減弱させることができたので、高浸透圧条件の有害な効果を打ち消すことができた。これは、浸透圧ストレス中及び皮膚老化を引き起こし得る脱水において皮膚細胞を支持する株Lp-12407、Lpc-37、Lp-12418及びHN001の能力を指し得る。
【0210】
NHEKSバイオマーカー-ストレス及び高浸透圧ストレスなし
インターロイキン-1α(IL-1α)
高浸透圧ストレスを受けたケラチノサイトの曝露中に、全ての株及び形態、Ls-33の生(p<0.0001)、溶解(p<0.0166)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;Lp-12407の生(p<0.0001)、溶解(p<0.0061)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;Lpc-37の生(p<0.0001)、溶解(p=0.0021)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;Lp-12418の生(p<0.0001)、溶解(p=0.0006)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;並びにHN001の生(p<0.0001)、溶解(p=0.0024)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態は、対照と比較してIL-1αの発現を有意に増加させた(図4)。
【0211】
ケラチノサイトはIL-1αを構成的に産生し、これらの発現は、ケラチノサイトの増殖及び分化の刺激を介して保護機能を有する。IL-1αはまた、IL-6及びIL-8などの他のサイトカインの発現を刺激する。特に、IL-1αレベルは、老化した皮膚において減少することが示されている。IL-1αはまた、皮膚バリアの一部である脂質の形成に寄与する、ケラチノサイトにおける脂質合成の刺激及び増強においても役割を有する。マウスモデルにおいて皮膚バリアをタクロリムスで摂動させると、IL-1αは、バリア回復を増加させ、透過性及び抗菌性バリアを回復させた。さらに、オクルディン及びクローディン-1などの細胞接着、増殖及び接合形成に関連する遺伝子の発現を上方制御することが示されている。老化マウス表皮におけるIL-1α刺激は、バリアホメオスタシスを改善する。したがって、プロバイオティクスによるIL-1αの増加は、表皮における生存率並びにバリア修復及び維持を増加させる。したがって、IL-1αの増加は、老化皮膚に利益をもたらす多くの方法で皮膚バリア機能を改善するであろう。
【0212】
インターロイキン-6(IL-6)
ストレスのないケラチノサイトの曝露中、Ls-33の生(p<0.0001)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;Lp-12407の生(p=0.0005)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;並びにLpc-37の生(p<0.0001)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態は、全て、対照と比較して有意にIL-6産生を増加させることができた。
【0213】
高浸透圧ストレスを受けたケラチノサイトの曝露中、Ls-33の生(p<0.0001)及びポストバイオティクス(p=0.0006)形態;Lp-12407の全ての形態、生(p<0.0001)、溶解(p<0.0001)及びポストバイオティクス(p<0.0001);Lpc-37の生(p<0.0001)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;並びに生Lp-12418(p=0.0003)及び生HN001(p=0.0015)株は、対照と比較してIL-6の発現を有意に増加させた(図5図6)。
【0214】
IL-6は、UVB放射、TLR刺激及び様々な炎症誘発性サイトカインを含む複数の刺激によって誘導することができる。IL-6は、ケラチノサイト増殖、皮膚肥厚及び皮膚バリア修復を促進する。局所IL-6適用は、機械的損傷後の皮膚バリア修復を改善することが示されている。特に、老化皮膚において、上皮増殖は、基底及び分化集団をバランスよく維持することが望まれる。IL-6の増加は、老化皮膚に有益な、NHEKが増殖し、皮膚バリアを修復する能力の改善を示す。
【0215】
インターロイキン-8(IL-8)(ケモカインCXCL8としても知られる)
ストレスのないケラチノサイトの曝露中、Ls-33(p<0.0001)、Lp-12407(p=0.0088)、Lpc-37(p<0.0001)、及びHN001(p=0.0232)株の生きた形態は、全て、対照と比較して有意にIL-8産生を増加させることができた。
【0216】
高浸透圧ストレスを受けたケラチノサイトの曝露中、Ls-33の生(p=0.0003)、溶解(p<0.0001)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;Lp-12407の生(p<0.0001)、溶解(p<0.0001)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;Lpc-37の生(p<0.0001)、溶解(p<0.0001)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;Lp-12418の生(p<0.0239)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態;並びにHN001の生(p=0.0002)及びポストバイオティクス(p<0.0001)形態は、対照と比較して有意にIL-8産生を増加させた(図7)。
【0217】
IL-8を含むケモカインは、正常なケラチノサイトの増殖及び分化を調節する。IL-8は、傷害中に発現され、IL-1又はTNF-αなどの炎症誘発性サイトカインによって誘導され得る。それは、ケラチノサイトの移動及び増殖を刺激する。特に、老化皮膚において、上皮増殖は、基底及び分化集団をバランスよく維持することが望まれる。したがって、IL-8の増加は、老化皮膚に有益な、NHEKが増殖し、皮膚バリアを修復する能力の改善を示す。
【0218】
上記の明細書において言及された全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載された方法及びシステムの様々な修正及び変形が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されているが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解するべきである。実際、生化学及びバイオテクノロジー又は関連分野の当業者に明らかである本発明を実施するための記載された様式の様々な修正は、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】