(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】バッテリアセンブリおよびバッテリアセンブリを組み立てるための方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/107 20210101AFI20241112BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241112BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241112BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20241112BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20241112BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20241112BHJP
H01M 50/131 20210101ALI20241112BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241112BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20241112BHJP
【FI】
H01M50/107
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/647
H01M10/6551
H01M50/131
H01M10/625
H01M50/103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531616
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 CA2022051741
(87)【国際公開番号】W WO2023092240
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520302394
【氏名又は名称】レーザラックス インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メランコン ステファヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレ カトリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】デシェーヌ ジャン-ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】フレーザー アレックス
【テーマコード(参考)】
5H011
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H011AA02
5H011CC06
5H011DD07
5H011KK01
5H031AA09
5H031HH08
5H031KK01
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT04
5H040AY05
5H040JJ01
5H040NN01
(57)【要約】
バッテリアセンブリについて説明する。バッテリアセンブリは、概して、第1の表面を有する第1のバッテリ構成要素と、第1の表面に面した第2の表面を有する第2のバッテリ構成要素と、第1の表面と第2の表面との間に延びている間隙と、間隙内に延びており、第1の表面と第2の表面とを互いに結合するインターフェース材料と、を有し、第1の表面が、第1の表面の一部にレーザー形成された第1のパターン化された特徴部を有し、第1のパターン化された特徴部が、第1のパターン化された特徴部の形成より前の第1の表面の一部の初期表面積よりも大きい第1の有効表面積を有する第1のテクスチャ加工部分を画定している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面を有する第1のバッテリ構成要素と、
前記第1の表面に面した第2の表面を有する第2のバッテリ構成要素と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に延びている間隙と、
前記間隙内に延びており、前記第1の表面と前記第2の表面とを互いに結合するインターフェース材料と、を備えるバッテリアセンブリであって、
前記第1の表面が、前記第1の表面の一部に形成された第1のパターン化された特徴部を有し、前記第1のパターン化された特徴部が、前記第1のパターン化された特徴部の形成より前の前記第1の表面の前記一部の初期表面積よりも大きい第1の有効表面積を有する第1のテクスチャ加工部分を画定している、バッテリアセンブリ。
【請求項2】
前記第2の表面が、前記第2の表面の一部に形成された第2のパターン化された特徴部を有し、前記第2のパターン化された特徴部が、前記第2のパターン化された特徴部の形成より前の前記第2の表面の前記一部の初期表面積よりも大きい第2の有効表面積を有する第2のテクスチャ加工部分を画定している、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のパターン化された特徴部が、レーザーシステムのパターン形成ビームを使用してレーザー形成され、前記パターン形成ビームが、前記第1の表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有する、請求項1または2に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項4】
前記第1のテクスチャ加工部分を画定している前記第1のパターン化された特徴部が、前記第1の表面への前記インターフェース材料の接着剤接合のために選択的に成形されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のレーザーテクスチャ加工部分を画定している前記第1のパターン化された特徴部が、前記インターフェース材料を介した前記第1のバッテリ構成要素と前記第2のバッテリ構成要素との間の熱伝達のために選択的に成形されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のバッテリ構成要素がバッテリセルであり、前記第2のバッテリ構成要素がサーマルプレートである、請求項1~5のいずれか1項に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の表面が、前記バッテリセルの缶によって画定されており、前記第1の表面が、前記缶の外面の一部であり、前記第1のテクスチャ加工部分が、前記缶の前記外面に広がっている、請求項6に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項8】
前記缶が厚さを有し、前記第1のパターン化された特徴部のそれぞれが、前記缶の前記厚さの最大約20%の特徴部サイズを有する、請求項7に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のパターン化された特徴部のそれぞれが、前記インターフェース材料の厚さの最大約10%の特徴部サイズを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のパターン化された特徴部のそれぞれが、約0.01~約0.12mmの範囲の特徴部サイズを有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項11】
前記第1のパターン化された特徴部が、前記第1の表面に、マイクログリッド、マイクロディンプル配列、および平行マイクロ溝のうちの少なくとも1つを画定している、請求項1~10のいずれか1項に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のバッテリアセンブリを備えるバッテリパック。
【請求項13】
バッテリアセンブリを組み立てるための方法であって、前記バッテリアセンブリが、第1の表面を有する第1のバッテリ構成要素と、第2の表面を有する第2のバッテリ構成要素とを備え、前記方法が、
レーザーシステムを使用して、前記第1の表面にパターン形成ビームを方向付けることであって、前記パターン形成ビームが、前記第1の表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有し、前記方向付けることが、第1のテクスチャ部分を有する第1のパターン化された特徴部を選択的に形成することを含み、前記第1のテクスチャ部分が、前記形成することより前の前記第1の表面の一部の初期テクスチャ部分とは異なっている、方向付けることと、
前記第1の表面および前記第2の表面の前記第1のパターン化された特徴部同士の間に配置されたインターフェース材料を使用して、前記第1のバッテリ構成要素と前記第2のバッテリ構成要素を互いに結合することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記方向付けることが、前記第2の表面に前記パターン形成ビームを方向付けることを含み、前記パターン形成ビームが、前記第2の表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有し、前記方向付けることが、第2のテクスチャを画定する第2のパターン化された特徴部を選択的に形成することを含み、前記第2のテクスチャが、前記形成することより前の前記第2の表面の一部の初期テクスチャとは異なっている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のパターン化された特徴部を選択的に形成することより後、かつ前記結合することより前に、前記第1のパターン化された特徴部にコーティングを施すことをさらに含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のパターン化された特徴部が、前記形成することより前の前記第1の表面の前記一部の有効表面積よりも大きい有効表面積を有する、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウムイオンバッテリなどのバッテリセルは、携帯用電子機器、電動車両、および医療器具など、様々なシステムに電力を供給するために一般的に使用されている。バッテリセルは、一般に、円筒型セル、角柱型セル、またはパウチ型セルなど、様々な形状および構成で利用可能である。電動車両などのいくつかのシステムでは、電動車両に所望される航続距離および電力を提供するために、バッテリセルは、バッテリモジュールおよび/またはバッテリパックになるようにパッケージ化される。
【背景技術】
【0002】
複数のバッテリセルを電動車両のバッテリパックになるようにパッケージ化することは、特にバッテリパックの機械的/構造的完全性およびバッテリパックに収容されたバッテリセルの熱管理の点で、課題を伴う。バッテリパックの機械的/構造的完全性は、堅牢で、衝撃および振動に耐えることのできるバッテリパックを提供するように設計されている。バッテリパックの熱管理は、バッテリセルの寿命の延長をもたらし、過熱に対する保護を改善し、それによって電動車両の信頼性、安全性、航続距離を改善するように設計されている。
【0003】
したがって、これらのバッテリアセンブリを含むバッテリパックに、より優れた機械的/構造的完全性および/または熱管理を提供するために、バッテリ構成要素をバッテリアセンブリになるように形成する方法の改善が望まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Lu, L., Zhang, Z., Guan, Y., & Zheng, H. (2018). 「Enhancement of Heat Dissipation by Laser Micro Structuring for LED Module」. Polymers, 10(8),886.<URL:https://doi.org/10.3390/polym10080886>
【非特許文献2】Ayer, M. (2010) 「A Study of the Influence of Surface Roughness on Heat Transfer」. Worcester Polytechnic Institute.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、第1の表面を有する第1のバッテリ構成要素と、第1の表面に面した第2の表面を有する第2のバッテリ構成要素と、第1の表面と第2の表面との間に延びている間隙と、間隙内に延びており、第1の表面と第2の表面とを互いに結合するインターフェース材料と、備えるバッテリアセンブリであって、第1の表面が、第1の表面の一部にレーザー形成された第1のパターン化された特徴部を有し、第1のパターン化された特徴部が、第1のパターン化された特徴部の形成より前の第1の表面の一部の初期表面積よりも大きい第1の有効表面積を有する第1のテクスチャ加工部分を画定している、バッテリアセンブリが提供される。
【0006】
さらに本開示の第1の態様によれば、第2の表面が、例えば、第2の表面の一部に形成された第2のパターン化された特徴部を有することができ、第2のパターン化された特徴部が、第2のパターン化された特徴部の形成より前の第2の表面の一部の初期表面積よりも大きい第2の有効表面積を有する第2のテクスチャ加工部分を画定している。
【0007】
またさらに本開示の第1の態様によれば、第1のパターン化された特徴部が、例えば、レーザーシステムのパターン形成ビームを使用してレーザー形成されることができ、パターン形成ビームが、第1の表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有する。
【0008】
またさらに本開示の第1の態様によれば、第1のテクスチャ加工部分を画定している第1のパターン化された特徴部が、例えば、第1の表面へのインターフェース材料の接着剤接合のために選択的に成形されることができる。
【0009】
またさらに本開示の第1の態様によれば、第1のレーザーテクスチャ加工部分を画定している第1のパターン化された特徴部が、例えば、インターフェース材料を介した第1のバッテリ構成要素と第2のバッテリ構成要素との間の熱伝達のために選択的に成形されることができる。
【0010】
またさらに本開示の第1の態様によれば、第1のバッテリ構成要素が、例えば、バッテリセルであることができ、第2のバッテリ構成要素がサーマルプレートである。
【0011】
またさらに本開示の第1の態様によれば、第1の表面が、例えば、バッテリセルの缶によって画定されることができ、第1の表面が、缶の外面の一部であり、第1のテクスチャ加工部分が、缶の外面に広がっている。
【0012】
またさらに本開示の第1の態様によれば、缶が、例えば、厚さを有し得、第1のパターン化された特徴部のそれぞれが、缶の厚さの最大約20%の特徴部サイズを有する。
【0013】
またさらに本開示の第1の態様によれば、第1のパターン化された特徴部のそれぞれが、例えば、インターフェース材料の厚さの最大約10%の特徴部サイズを有することができる。
【0014】
またさらに本開示の第1の態様によれば、第1のパターン化された特徴部のそれぞれが、例えば、約0.01~約0.12mmの範囲の特徴部サイズを有することができる。
【0015】
またさらに本開示の第1の態様によれば、第1のパターン化された特徴部が、例えば、第1の表面に、マイクログリッド、マイクロディンプル配列、および平行マイクロ溝のうちの少なくとも1つを画定することができる。
【0016】
またさらに本開示の第1の態様によれば、上記のバッテリアセンブリを備えるバッテリパックが提供される。
【0017】
本開示の第2の態様によれば、バッテリアセンブリを組み立てるための方法であって、バッテリアセンブリが、第1の表面を有する第1のバッテリ構成要素と、第2の表面を有する第2のバッテリ構成要素とを備える方法が提供され、本方法が、レーザーシステムを使用して、第1の表面にパターン形成ビームを方向付けることであって、パターン形成ビームが、第1の表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有し、上記方向付けることが、第1のテクスチャを有する第1のパターン化された特徴部を選択的に形成することを含み、第1のテクスチャが、形成することより前の第1の表面の一部の初期テクスチャとは異なっている、方向付けることと、第1の表面および第2の表面の第1のパターン化された特徴部同士の間に配置されたインターフェース材料を使用して、第1のバッテリ構成要素と第2のバッテリ構成要素を互いに結合することと、を含む。
【0018】
さらに本開示の第2の態様によれば、上記方向付けることが、例えば、第2の表面にパターン形成ビームを方向付けることをさらに含むことができ、パターン形成ビームが、第2の表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有し、上記方向付けることが、第2のテクスチャを画定する第2のパターン化された特徴部を選択的に形成することを含み、第2のテクスチャが、上記形成することより前の第2の表面の一部の初期テクスチャとは異なっている。
【0019】
またさらに本開示の第2の態様によれば、本方法は、例えば、第1のパターン化された特徴部を選択的に形成することより後、かつ上記結合することより前に、第1のパターン化された特徴部にコーティングを施すことをさらに含むことができる。
【0020】
さらに本開示の第2の態様によれば、第1のパターン化された特徴部が、例えば、上記形成することより前の第1の表面の一部の有効表面積よりも大きい有効表面積を有することができる。
【0021】
本開示の第3の態様によれば、第1の表面を含む第1のバッテリ構成要素と、第1の表面に面した第2の表面を含む第2のバッテリ構成要素と、第1の表面と第2の表面との間に延びている間隙と、間隙内に延びており、第1の表面と第2の表面とに結合されたインターフェース材料と、を含むバッテリアセンブリが提供され、第1の表面および第2の表面の少なくとも1つが、レーザーシステムのパターン形成ビームによって少なくとも表面の一部に選択的に形成されたパターン化された特徴部を含み、パターン形成ビームが、表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有し、パターン化された特徴部が、パターン化された特徴部の形成より前の表面の有効表面積よりも大きい有効表面積を有する、表面のレーザーテクスチャ加工部分を画定している。
【0022】
本開示の第4の態様によれば、バッテリアセンブリを形成するための方法であって、第1の表面を含む第1のバッテリ構成要素を準備することと、第2の表面を含む第2のバッテリ構成要素を準備することと、第1の表面および第2の表面の少なくとも1つにパターン形成ビームを出力するように構成されたレーザーシステムを準備することであって、パターン形成ビームが、第1の表面および第2の表面の少なくとも1つを形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有する、レーザーシステムを準備することと、パターン形成ビームで第1の表面および第2の表面の少なくとも1つにパターン化された特徴部を選択的に形成することであって、パターン化された特徴部が、第1の表面および第2の表面の少なくとも1つに、第1の表面および第2の表面の少なくとも1つの初期テクスチャとは異なるレーザーテクスチャ加工部分を画定している、形成することと、第1の表面と第2の表面との間に配置されたインターフェース材料を使用して第1のバッテリ構成要素と第2のバッテリ構成要素とを結合することと、を含む方法が提供される。
【0023】
本開示の第5の態様によれば、少なくとも1つの特徴部を含む表面を形成している基板を含むバッテリ構成要素が提供され、この特徴部が、レーザーシステムの少なくとも1つのパターン形成ビームによって表面の少なくとも一部に選択的に形成されており、パターン形成ビームが、基板の表面を形成している基板のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有し、少なくとも1つの特徴部が、表面のレーザーテクスチャ加工部分を画定しており、レーザーテクスチャ加工部分が、少なくとも1つの特徴部の形成より前の表面の有効表面積よりも大きい有効表面積を有する。
【0024】
本開示の第6の態様によれば、バッテリ構成要素の表面を選択的にテクスチャ加工するための方法が提供され、本方法は、初期テクスチャを有する表面を形成している基板を含むバッテリ構成要素を準備することと、基板の表面に少なくとも1つのパターン形成ビームを出力するように構成された少なくとも1つのレーザーシステムを準備することであって、パターン形成ビームが、基板の表面を形成している基板のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有する、レーザーシステムを準備することと、パターン形成ビームで基板の表面の少なくとも一部に少なくとも1つの特徴部を選択的に形成することであって、少なくとも1つの特徴部が、表面に、初期テクスチャとは異なるレーザーテクスチャ加工部分を画定する、形成することと、を含む。
【0025】
本開示を読めば、当業者には、本改良に関する多くのさらなる特徴およびその組み合わせが明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
ここで、添付の図面を参照する。
【0027】
【
図1A】1つまたは複数の実施形態による、サーマルパッドと熱的に結合した3つのバッテリセルを伴って示される、バッテリアセンブリの一例の概略図である。
【
図1B】1つまたは複数の実施形態による、液体ディスペンス式ギャップフィラーと熱的に結合した3つのバッテリセルを伴って示される、バッテリアセンブリの別の例の概略図である。
【
図2A】1つまたは複数の実施形態による、角柱型バッテリセルの一例の斜視図である。
【
図2B】1つまたは複数の実施形態による、
図2Aの角柱型バッテリセルなどの角柱型バッテリセルを含むバッテリアセンブリの一例の斜視図である。
【
図2C】1つまたは複数の実施形態による、
図2Bのバッテリアセンブリなどのバッテリアセンブリを含むバッテリパックの一例の斜視図である。
【
図3A】1つまたは複数の実施形態による、円筒型バッテリセルの一例の長手方向断面斜視図である。
【
図3B】1つまたは複数の実施形態による、パウチ型バッテリセルの一例の斜視図である。
【
図4A】1つまたは複数の実施形態による、パターン形成ビームを使用して表面にパターン化された特徴部を形成するためのレーザーテクスチャ加工プロセスの一例の概略斜視図である。
【
図4B】1つまたは複数の実施形態による、マイクロディンプル配列を含む、表面のレーザーテクスチャ加工部分の一例の上面図である。
【
図4C】1つまたは複数の実施形態による、マイクロ溝を含む、表面のレーザーテクスチャ加工部分の別の例の上面図である。
【
図4D】1つまたは複数の実施形態による、マイクログリッドを含む、表面のレーザーテクスチャ加工部分の別の例の上面図である。
【
図5A】1つまたは複数の実施形態による、初期テクスチャの表面を有するケース伴って示される、円筒型バッテリセルの一例の斜視図である。
【
図5B】1つまたは複数の実施形態による、レーザーテクスチャ加工部分を含む表面を有するケースを伴って示される、円筒型バッテリセルの一例の斜視図である。
【
図6A】1つまたは複数の実施形態による、
図5Bの円筒型バッテリセルの上から見た斜視図であり、バッテリセルのベースがパターン形成ビームに曝されている、斜視図である。
【
図6B】1つまたは複数の実施形態による、レーザーテクスチャ加工プロセス中の
図6Aの円筒型バッテリセルの側壁の拡大斜視図である。
【
図6C】1つまたは複数の実施形態による、
図6Bの円筒型バッテリセルの側壁の拡大斜視図である。
【
図7A】1つまたは複数の実施形態による、表面のレーザーテクスチャ加工部分および表面に結合されたインターフェース材料の例の概略断面図である。
【
図7B】1つまたは複数の実施形態による、表面のレーザーテクスチャ加工部分および表面に結合されたインターフェース材料の例の概略断面図である。
【
図8A】1つまたは複数の実施形態による、レーザーテクスチャ加工部分を含む、かつ/または別々のインターフェース材料を使用した、別々の試料における、凝集破壊および接着破壊に必要な引き剥がし強度を示すグラフである。
【
図8B】1つまたは複数の実施形態による、レーザーテクスチャ加工部分を含む、かつ/または別々のインターフェース材料を使用した、別々の試料における、凝集破壊および接着破壊に必要なラップせん断強度を示すグラフである。
【
図9A】1つまたは複数の実施形態による、別々の表面粗さを有する別々のバッテリ構成要素を含む別々のバッテリアセンブリの概略図である。
【
図9B】1つまたは複数の実施形態による、バッテリ構成要素と、バッテリ構成要素同士の間に配置されたインターフェース材料と、を含むバッテリアセンブリの概略図である。
【
図9C】1つまたは複数の実施形態による、別々の構成を有するバッテリアセンブリにおける熱伝達対熱伝導率を示すグラフである。
【
図10】1つまたは複数の実施形態による、バッテリアセンブリを組み立てるための方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1Aは、バッテリ構成要素を含むバッテリアセンブリ20の一例を示しており、バッテリ構成要素は、3つの円筒型バッテリセル22と、サーマルプレート24と、バッテリセル22の表面22aとサーマルプレート24の表面24aとによって画定される間隙28内に延びたインターフェース材料26とを含む。サーマルプレート24は、バッテリセル22から熱を吸い取ることができる、および/またはバッテリセル24に熱を供給することができる熱管理システムのバッテリ構成部品である。例えば、サーマルプレート24は、実施形態によって、ヒートシンクまたは冷却プレートであってもよい。この例では、インターフェース材料26は、サーマルパッドである。インターフェース材料26は、互いに面した表面22aおよび表面24aに露出している。さらに後述するように、インターフェース材料26は、バッテリセル22をサーマルプレート24に結合し、バッテリセル22とサーマルプレート24との間の熱伝達を可能にする。バッテリセル22とサーマルプレート24とに結合されるインターフェース材料26は、インターフェース材料26が比較的剛性の高い材料で作られている場合には、構造的に剛性の高いバッテリアセンブリ20を形成し得る。表面22aおよび表面24aは、典型的には、鋼、アルミニウム合金、ニッケル、銅、ステンレス鋼、またはそれらの組み合わせなどの金属材料で形成される。
【0029】
図1Bは、バッテリアセンブリ20の別の例を示す。この特定の実施形態では、インターフェース材料26は液体ディスペンス(投与)式ギャップフィラーである。液体ディスペンス式ギャップフィラーは、ペースト、シリコンベースの材料、接着剤、またはその他の適切なサーマルインターフェース材料であり得る。この場合もやはり、インターフェース材料26は、バッテリセル22をサーマルプレート24に結合し、バッテリセル22とサーマルプレート24との間の熱伝達を可能にする。この例では、液体ディスペンス式であるインターフェース材料26は、各バッテリセル22の表面22aおよびサーマルプレート24の表面24aにより良好に適合することができる。このようにして、液体ディスペンス式ギャップフィラーは、
図1Aに示されるサーマルパッドよりも効果的に間隙28を埋めることができる。液体ディスペンス式ギャップフィラーの性質にもよるが、インターフェース材料26とバッテリセル22との間の接触面が増すことにより、バッテリセル22とサーマルプレート24との間の熱伝導性が増加することが予想される。さらに、インターフェース材料26は、液体ディスペンス式であるが、構造的に剛性の高いバッテリアセンブリ20を提供したり、表面22と表面24aとの間の熱伝達を提供したり、ならびに/または構造的に剛性の高いバッテリアセンブリ20および表面22aと表面24aとの間の熱伝達の両方を提供したりできることも想定される。
【0030】
本開示では、第1の表面を有する第1のバッテリ構成要素と、第1の表面に面した第2の表面を有する第2のバッテリ構成要素とを有するバッテリアセンブリについて説明する。いくつかの実施形態では、第1のバッテリ構成要素はバッテリセル22であり、第1の表面は表面22aである。いくつかの実施形態では、第2のバッテリ構成要素はサーマルプレート24であり、第2の表面は表面24aである。上で説明したように、間隙28などの間隙が、第1のバッテリ構成要素の第1の表面と第2のバッテリ構成要素の第2の表面との間に延びている。インターフェース材料が間隙内に延びており、第1の表面と第2の表面を互いに結合している。インターフェース材料の例としては、サーマルパッド、液体ディスペンス式ギャップフィラー、接着剤、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。以下でさらに詳しく説明するように、第1の表面は、第1のパターン化された特徴部46を有し、この特徴部46は、第1の表面の一部にレーザー形成されている。このようにして、第1のパターン化された特徴部46は、第1のパターン化された特徴部46の形成より前の第1の表面の一部の初期表面積よりも大きい第1の有効表面積を有する第1のテクスチャ加工部分を画定している。第1のパターン化された特徴部46は、表面22aおよび表面24aの一方または両方に形成することができる。実際、いくつかの実施形態では、第2の表面は、第2の表面の一部に形成された第2のパターン化された特徴部46を有する。第2のパターン化された特徴部46は、第2のパターン化された特徴部46の形成より前の第2の表面の一部の初期表面積よりも大きい第2の有効表面積を有する第2のテクスチャ加工部分を画定している。第1のパターン化された特徴部および第2のパターン化された特徴部によってそれぞれ提供される第1の表面および第2の表面のより大きな有効表面積により、間隙内に延びたインターフェース材料によって実行される接合またはその他の結合を強化することができる。以下に説明するように、第1および第2のパターン化された特徴部46は、レーザーシステムのパターン形成ビームを使用してレーザー形成される。このような実施形態では、パターン形成ビームは、第1の表面および/または第2の表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有する。
【0031】
図2Aには、1つの角柱型バッテリセル22が示されている。いくつかの実施形態では、第1および第2のバッテリ構成要素は、両方とも1つのバッテリセル22の一部であってもよい。
図2Bでは、このような角柱型のバッテリセル22が、バッテリアセンブリ20になるように、複数個組み合わされており、バッテリアセンブリ20は、バッテリセル22の上下に配置されたサーマルプレート24を含む。インターフェース材料26(図示せず)は、バッテリセル22とサーマルプレート24との間の熱伝達を可能にし、場合によってはバッテリアセンブリ20に構造的な剛性をもたらすために、バッテリセル22とサーマルプレート24との間に配置される。いくつかの実施形態では、第1のバッテリ構成要素は、バッテリセル22の一部であってもよく、第2のバッテリ構成要素は、隣接するバッテリセル22かまたはバッテリアセンブリ20の別の構成要素であってもよい。
図2Cでは、このようなバッテリアセンブリ20が複数個、バッテリパック30に入っている。この場合もやはり、インターフェース材料26は、バッテリアセンブリ20と、バッテリパック30の冷却プレート32などの構成要素との間に配置されることができる。インターフェース材料26は、バッテリパック30の構成要素同士の間に延びた1つ以上の間隙を埋め、バッテリアセンブリ20と冷却プレート32との間の熱伝達を可能にする。いくつかの実施形態では、第1のバッテリ構成要素は、バッテリセルまたはバッテリアセンブリの一部であってもよく、第2のバッテリ構成要素は、バッテリパック30の別の構成要素の一部であってもよい。
【0032】
図3Aを参照すると、円筒型のバッテリセル22が描かれている。バッテリセル22は、電気エネルギーの蓄積および供給を担う化学反応を提供するのに適したセル層および円筒型の材料ロールを含む。バッテリセル22は、表面22aを画定している缶34を有する。缶34は、表面22aの一部である、上部および下部ベース34aと側壁34bとを有する。バッテリセル22を取り囲んでいる環境および材料への熱伝達は、ベース34aおよび側壁34bを介して行われる。円筒型バッテリセル22がリチウムイオンバッテリであるいくつかの実施形態では、缶34は、ニッケルが鋼にもたらす優れた耐薬品性および腐食防止性により、ニッケルコーティングされた鋼で構成されてもよい。別の実施形態では、缶34は、ステンレス鋼がもたらす優れた耐薬品性および腐食防止性により、ステンレス鋼で構成されてもよい。
【0033】
図3Bを参照すると、パウチ型バッテリセル22が図示されている。パウチ型バッテリセル22は、熱伝達を行うことができる表面22aを有する。
【0034】
明確にするために、以下の説明では、
図1A、
図1B、および
図3Aに示す円筒型バッテリセル22を参照するが、上述の
図2Aの角柱型バッテリセルおよび
図3Bのパウチ型バッテリセルなどの他の形状およびタイプのバッテリセルが本技術の文脈において使用されてもよい。バッテリアセンブリ20は、様々な形状および構成を取り、様々な構成要素を含むことができ、以下の説明は、円筒型バッテリセル22およびサーマルプレート24などの構成要素を含むバッテリアセンブリ20のほんの数例を説明することを意図している。しかしながら、本技術の文脈では、他のバッテリ構成要素が使用されることも想定される。
【0035】
図4Aを参照すると、レーザーテクスチャ加工プロセス40が概略的に表されている。レーザーシステム44のパターン形成ビーム42が、表面Sに方向付けられている。パターン形成ビーム42は、表面Sを形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有する。表面Sを形成している材料がパターン形成ビーム42に曝されるとアブレーションされるため、表面Sにパターン化された特徴部46が形成される。図示のように、パターン化された特徴部46は、表面Sのレーザーテクスチャ加工部分48を画定している。パターン化された特徴部46により、表面Sのレーザーテクスチャ加工部分48の有効表面積が、パターン化された特徴部46の形成より前の表面Sの有効表面積よりも大きくなる。言い換えれば、レーザーテクスチャ加工プロセス40は、表面Sの有効表面積を増加させるために、表面Sにパターン化された特徴部を形成する。パターン化された特徴部は、その形成より前の表面Sの一部の初期テクスチャとは異なるテクスチャを有することに留意されたい。
【0036】
レーザーテクスチャ加工プロセス40は、表面の有効表面積を増加させるために使用することができる化学研磨剤またはグリットブラストなどの他のプロセスに比べて、利点がある。これらの利点としては、研磨媒体が不要であること、他の技術に比べて運用コストとメンテナンスが少ないこと、表面に汚染物質が露出しないことなどを挙げることができるが、これらに限定されない。レーザーテクスチャ加工プロセス40は、高精度かつ再現性の高い、様々なパターン化された特徴部46(個別化された形状、サイズなどを有する)を提供するように構成することもできる。
【0037】
図4B~
図4Dを参照すると、別々のレーザーテクスチャ加工プロセス40から得られるパターン化された特徴部46が示されている。
図4Bには、ディンプル直径が約100μmのマイクロディンプル配列が示されている。
図4Cには、平行なマイクロ溝が示されており、各マイクロ溝の幅は、約100μmである。
図4Dには、マイクログリッドが示されている。以下の説明では、「特徴部サイズ」という表現は、レーザーテクスチャ加工プロセス40によって提供されるパターン化された特徴部を形成している個々の特徴部の典型的なサイズを指すものとする。特徴部サイズとは、個々の特徴部の形状に応じて、深さ、幅、または長さを指し得る。パターン化された特徴部46同士の組み合わせが同じレーザーテクスチャ加工部分48に存在してもよいことが想定され、図面に示されているもの以外の、他のパターン化された特徴部の構成(サイズ、形状、深さ、高さなど)も想定される。
【0038】
図5Aを参照すると、側壁34bの表面22aが初期テクスチャを有する円筒型バッテリセル22が示されている。初期テクスチャは、比較的滑らかで、表面粗さが比較的低く、有効表面積が比較的小さい場合がある。
図5Bは、上記のようなレーザーテクスチャ加工プロセス40によって提供されるレーザーテクスチャ加工部分48を含む側壁34bの表面22aを有する別の円筒型バッテリセル22を示す。
【0039】
図3A、
図4A、および
図5Bを参照すると、初期テクスチャの有効表面積に比べて表面22aの有効表面積を増加させるために、表面22aを形成している缶34の側壁34bが、レーザーシステム44のパターン形成ビーム42に曝され、側壁34bの表面22aを形成している材料の一部のアブレーション時に、表面22aに、パターン化された特徴部46を選択的に形成し、それによって、レーザーテクスチャ加工部分48を形成する。いくつかの実施形態では、缶34は、250~300μmの範囲の厚さを有し、パターン化された特徴部46のそれぞれは、缶34の構造特性に大きな影響を与えないように、缶34の厚さの最大約20%の特徴部サイズを有する。いくつかの実施形態では、パターン化された特徴部46のそれぞれは、インターフェース材料26の厚さの最大約10%の特徴部サイズを有する。いくつかの実施形態では、インターフェース材料26の厚さは、表面22aと表面24aとの間の間隙28の平均幅として決定されてもよい。さらにいくつかの他の実施形態では、パターン化された特徴部46のそれぞれは、約0.01~0.12mmの範囲の特徴部サイズを有する。パターン化された特徴部46の形状および構成は、熱伝達を改善するか、インターフェース材料26への接着剤接合を改善するか、またはその両方を行うように選択することができる。
【0040】
図6Aを参照すると、ベース34aの表面22aを形成している材料の一部のアブレーション時に、表面22aにパターン化された特徴部46が選択的に形成するために、バッテリセル22の缶34のベース34aが、レーザーシステム44のパターン形成ビーム42に曝される。
図6Bでは、
図5Bに示されるレーザーテクスチャ加工部分48とは異なる別のレーザーテクスチャ加工部分48aを提供するために、側壁34bの一部が、レーザーシステム44のパターン形成ビーム42にさらに曝される。
図6Cは、レーザーテクスチャ加工部分48のパターン化された特徴部46と、側壁34bに形成された溝50と、を含むテクスチャ加工部分48aを示す。レーザーテクスチャ加工部分48aは、レーザーテクスチャ加工部分48よりも大きな有効表面積を有する。レーザーテクスチャ加工部分48aは、他の実施形態では、バッテリセル22の表面22aに他の方法で広がっていてもよい。
【0041】
図面には示されていないが、バッテリアセンブリ20の他の構成要素も、それらの表面の少なくとも一部の有効表面積を増加させるために、レーザーテクスチャ加工プロセス40を施されてもよい。例えば、
図1Aおよび
図1Bに示されるサーマルプレート24の表面24aは、表面24aの少なくとも一部の有効表面積を増加させるために、レーザーテクスチャ加工プロセス40を施されてもよい。
【0042】
図1A、
図1B、および
図6Aを参照すると、バッテリセル22の表面22aおよび/またはサーマルプレート24の表面24aにレーザーテクスチャ加工部分48(および/またはレーザーテクスチャ加工部分48a)を有することにより、それらに対するインターフェース材料26の接着剤接合が増強される。インターフェース材料26が付着することができる表面積が広くなるため、レーザーテクスチャ加工プロセス40が施されていない表面22aおよび表面24aと比べて、表面22aおよび表面24aとインターフェース材料26との間の接合を強化することができる。表面22aおよび表面24aに形成されたパターン化された特徴部46の形状および構成は、インターフェース材料26との接着剤接合をさらに強化するように選択できることが想定される。さらに、パターン化された特徴部46の形成により、インターフェース材料26と表面22aとの間の化学結合をさらに改善し得る化合物(金属酸化物など)が形成されることもある。
【0043】
インターフェース材料26が表面22aに完全に接触しない可能性を低減するために、レーザーテクスチャ加工部分48を選択的に形成することができることが想定される。
図7Aを参照すると、インターフェース材料26と表面22aとの間の空隙52が欠陥となり得、インターフェース材料26と表面22aとの間の凝集破壊を引き起こし得る。インターフェース材料26の粘度もまた、インターフェース材料26と表面22aとの間の空隙52の数を低減するために考慮すべきパラメータである。
図7Bを参照すると、空隙52が、インターフェース材料26と表面22aとの間に空気を閉じ込めることもあり得、それによってバッテリセル22とインターフェース材料26との間の熱伝導率を低下させ得る。さらに、表面22aにどのようなパターン化された特徴部46が形成されるかに関係なく、表面が未着手のままで残らないようにし、表面22aとインターフェース材料26との間の接合に欠陥が生じる表面がないようにするために、表面22aが完全に処理される(つまり、各レーザーパスの間に間隙がない)必要があることが判明している。
【0044】
図8Aに表されるグラフは、レーザーテクスチャ加工プロセス40を施された表面が、凝集破壊および接着破壊の両方において、基準となる未処理表面(1番目の棒)およびサンドブラスト処理された表面(2番目の棒)よりも、引き剥がし強度性能が改善していることを示す。この改善は、3つの異なるタイプのインターフェース材料26で示されている。
図8Bに表されるグラフは、レーザーテクスチャ加工プロセス40を施された表面が、凝集破壊および接着破壊の両方において、基準となる未処理表面(1番目の棒)およびサンドブラスト処理された表面(2番目の棒)よりも、ラップせん断強度性能が改善していることを示す。この改善もまた、3つの異なるタイプのインターフェース材料26で示されている。
【0045】
ここで、
図9A~
図9Cを参照して、バッテリセル22とサーマルプレート24との間の熱伝達についてさらに詳しく説明する。表面22aと表面24aとが比較的小さな隙間28によって間隔が空いている場合(
図9Aの1番目および2番目の図)、インターフェース材料26の厚さが比較的小さいため、インターフェース材料26を介した熱伝導率は比較的高くなる。しかしながら、比較的大きな間隙によって表面同士の間隔が空いている場合(
図9Aの3番目、4番目、5番目の図)、インターフェース材料26の熱伝導率の影響が大きくなり、表面22aと表面24aとの間の熱伝導率を低下させる可能性がある。インターフェース材料26は、表面22aと表面24aとの間の断熱材のように機能する。表面22aとインターフェース材料26との間の熱伝導率、およびインターフェース材料26から表面24aへの熱伝導率を高めるために、表面22aおよび/または表面24aにレーザーテクスチャ加工部分48を形成することにより、それらの有効表面積が増加し、各表面とインターフェース材料26との間の接触面積が増加する。パターン化された特徴部46は、サーマルプレート上のフィンとして機能し、表面22aと表面24aとの間の全体的な熱伝導率を高める。
図9Bを参照すると、A(すなわち、有効表面積)が増加すると、距離Lだけ間隔が空いた媒体T2とT1との間で、それらの間を結合している伝導性材料を介した伝導性熱伝達が上昇するという効果がある。
図9Cもまた、中型および大型の間隙の場合、「フィン表面」があると2つの媒体間の熱伝導率が増加することを示す。
【0046】
場合によっては、バッテリアセンブリ20内で、バッテリセル22とサーマルプレート24との間の間隙28(
図1Aおよび
図1B)は数ミリメートルになることがある。このような間隙28は、上述のレーザーテクスチャ加工プロセス40によって形成されたパターン化された特徴部46の特徴部サイズよりもはるかに大きい。条件によっては、1mmの間隙28は、特徴部サイズの約10倍の大きさである。表面22aおよび表面24aを形成している材料と比べて低い熱伝導率を有するインターフェース材料26の影響を軽減するために、表面22aおよび表面24aの一方または両方にレーザーテクスチャ加工部分48を画定することで、表面22aと表面24aとの間の熱伝導率を改善することができる。
【0047】
科学文献から、インターフェース材料26に露出しているバッテリセル22およびサーマルプレート24の表面の少なくともいくつかの部分の有効表面積を増加させることによって、あるバッテリ構成要素から別のバッテリ構成要素への熱伝導性が増加し得ることが合理的に予測される。この点に関して、出版物、Lu, L., Zhang, Z., Guan, Y.,& Zheng,H.(2018).Enhancement of Heat Dissipation by Laser Micro Structuring for LED Module. Polymers,10(8),886.https://doi.org/10.3390/polym10080886; Ayer, M.(2010)A Study of the Influence of Surface Roughness on Heat Transfer.Worcester Polytechnic Instituteが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
したがって、寿命および信頼性を高め、過熱に対する保護を改善するために熱管理される必要がある複数のバッテリセル(
図2A)を含むバッテリパック30(
図2C)などの用途では、バッテリセル22の表面22aの一部が比較的大きい有効表面積をもつことで、バッテリパック30の熱管理を改善できる可能性がある。
【0049】
さらに、インターフェース材料26が表面22aおよび/または表面24aのレーザーテクスチャ加工部分48に配置されると接着剤接合が改善されるため、バッテリセル22とサーマルプレート24との間の熱経路の信頼性が改善される。言い換えれば、インターフェース材料によって提供される接着剤接合が改善されるため、インターフェース材料26の凝集破壊および/または接着破壊の可能性が減少し、したがってインターフェース材料26内に、および/またはインターフェース材料26と表面22aおよび表面24aのうちの1つとの間に、亀裂が形成される可能性が減少する。このような亀裂は、空気バリアを形成し、それによって表面22aと表面24aとの間の熱伝導率を低下させることがある。したがって、比較的大きい有効表面積を有する表面をインターフェース材料と接触させることで相乗効果がもたらされるが、これは、前述のように、(i)接着剤接合を改善することができ、(ii)材料インターフェース26を介した熱伝導性を改善することができ、および/または(iii)バッテリ構成要素間の熱経路の信頼性を改善することができるためである。
【0050】
図1A、
図1B、
図10を参照すると、バッテリアセンブリ20を組み立てるための方法100が提供される。バッテリアセンブリは、第1の表面を有する第1のバッテリ構成要素と、第2の表面を有する第2のバッテリ構成要素とを有する。いくつかの実施形態では、第1のバッテリ構成要素はバッテリセル22であり、第2のバッテリ構成要素はサーマルプレート24である。いくつかの他の実施形態では、第1のバッテリ構成要素はサーマルプレート24であり、第2のバッテリ構成要素はバッテリセル22である。ブロック102では、方法100は、第1のバッテリ構成要素を準備するステップを含む。ブロック104では、方法100は、第2のバッテリ構成要素を準備するステップを含む。ブロック106では、レーザーシステム44は、パターン形成ビーム42を第1の表面、第2の表面、またはその両方に出力するように構成されている。パターン形成ビーム42は、第1の表面および第2の表面の少なくとも一方を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有する。ブロック108では、パターン形成ビームが、第1の表面および第2の表面のいずれか一方に方向付けられる。このステップは、パターン形成ビーム42で、第1の表面および/または第2の表面にパターン化された特徴部を選択的に形成することを含む。パターン化された特徴部46は、第1の表面および/または第2の表面の初期テクスチャとは異なる第1のテクスチャを画定している。ブロック110では、第1の表面と第2の表面との間に配置されたインターフェース材料26を使用して、第1のバッテリ構成要素と第2のバッテリ構成要素が互いに結合される。インターフェース材料26が接着剤である場合、インターフェース材料26は、第1の表面22aと表面24aとを互いに接合する。方法100は、ブロック112において、第1のテクスチャに、またはより具体的には、パターン化された特徴部の少なくとも一部に、コーティングを施す任意選択ステップをさらに含む。このステップは、例えば、ブロック108とブロック110とのステップの間に遅延が発生し、表面22aと表面24aに望ましくない化合物が形成される可能性がある場合に実行することができる。
【0051】
理解され得るように、上記で説明し図示した例は、例示のみを目的としている。範囲は添付の請求項によって示される。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面を有する
バッテリセルと、
前記第1の表面に面した第2の表面を有す
るバッテリ構成要素と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に延びている間隙と、
前記間隙内に延びており、前記第1の表面と前記第2の表面とを互いに結合するインターフェース材料と、を備えるバッテリアセンブリであって、
前記第1の表面が、前記第1の表面の一部に形成された第1のパターン化された特徴部を有し、前記第1のパターン化された特徴部が、前記第1のパターン化された特徴部の形成より前の前記第1の表面の前記一部の初期表面積よりも大きい第1の有効表面積を有する第1のテクスチャ加工部分を画定している、バッテリアセンブリ。
【請求項2】
前記第2の表面が、前記第2の表面の一部に形成された第2のパターン化された特徴部を有し、前記第2のパターン化された特徴部が、前記第2のパターン化された特徴部の形成より前の前記第2の表面の前記一部の初期表面積よりも大きい第2の有効表面積を有する第2のテクスチャ加工部分を画定している、請求項1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のパターン化された特徴部が、レーザーシステムのパターン形成ビームを使用してレーザー形成され、前記パターン形成ビームが、前記第1の表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有する、請求項
1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項4】
前記第1のテクスチャ加工部分を画定している前記第1のパターン化された特徴部が、前記第1の表面への前記インターフェース材料の接着剤接合のために選択的に成形されている、請求項
1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のレーザーテクスチャ加工部分を画定している前記第1のパターン化された特徴部が、前記インターフェース材料を介した前記
バッテリセルと前
記バッテリ構成要素との間の熱伝達のために選択的に成形されている、請求項
1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項6】
前記バッテリ構成要素がサーマルプレート
、前記バッテリセルの一部、隣接するバッテリセル、および前記バッテリアセンブリの別の構成要素のうちの1つである、請求項
1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の表面が、前記バッテリセルの缶によって画定されており、前記第1の表面が、前記缶の外面の一部であり、前記第1のテクスチャ加工部分が、前記缶の前記外面に広がっている、請求項6に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項8】
前記缶が厚さを有し、前記第1のパターン化された特徴部のそれぞれが、前記缶の前記厚さの最大約20%の特徴部サイズを有する、請求項7に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のパターン化された特徴部のそれぞれが、前記インターフェース材料の厚さの最大約10%の特徴部サイズを有する、請求項
1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のパターン化された特徴部のそれぞれが、約0.01~約0.12mmの範囲の特徴部サイズを有する、請求項
1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項11】
前記第1のパターン化された特徴部が、前記第1の表面に、マイクログリッド、マイクロディンプル配列、および平行マイクロ溝のうちの少なくとも1つを画定している、請求項
1に記載のバッテリアセンブリ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のバッテリアセンブリを備えるバッテリパック。
【請求項13】
バッテリアセンブリを組み立てるための方法であって、前記バッテリアセンブリが、第1の表面を有するバッテリセルと、第2の表面を有す
るバッテリ構成要素とを備え、前記方法が、
レーザーシステムを使用して、前記第1の表面にパターン形成ビームを方向付けることであって、前記パターン形成ビームが、前記第1の表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有し、前記方向付けることが、第1のテクスチャ部分を有する第1のパターン化された特徴部を選択的に形成することを含み、前記第1のテクスチャ部分が、前記形成することより前の前記第1の表面の一部の初期テクスチャ部分とは異なっている、方向付けることと、
前記第1の表面および前記第2の表面の前記第1のパターン化された特徴部同士の間に配置されたインターフェース材料を使用して、前記
バッテリセルと前
記バッテリ構成要素を互いに結合することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記方向付けることが、前記第2の表面に前記パターン形成ビームを方向付けることを含み、前記パターン形成ビームが、前記第2の表面を形成している材料のアブレーション閾値よりも大きいレーザーエネルギーを有し、前記方向付けることが、第2のテクスチャを画定する第2のパターン化された特徴部を選択的に形成することを含み、前記第2のテクスチャが、前記形成することより前の前記第2の表面の一部の初期テクスチャとは異なっている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のパターン化された特徴部を選択的に形成することより後、かつ前記結合することより前に、前記第1のパターン化された特徴部にコーティングを施すことをさらに含む、請求項1
3に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のパターン化された特徴部が、前記形成することより前の前記第1の表面の前記一部の有効表面積よりも大きい有効表面積を有する、請求項1
3に記載の方法。
【国際調査報告】