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特表2024-543201データ伝送制御方法、装置、コンピュータ機器、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】データ伝送制御方法、装置、コンピュータ機器、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/16 20220101AFI20241112BHJP
   G06N 3/092 20230101ALI20241112BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20241112BHJP
【FI】
H04L41/16
G06N3/092
G06N20/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532531
(86)(22)【出願日】2023-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 CN2023096237
(87)【国際公開番号】W WO2024012065
(87)【国際公開日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】202210835843.8
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517392436
【氏名又は名称】▲騰▼▲訊▼科技(深▲セン▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】TENCENT TECHNOLOGY (SHENZHEN) COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】35/F,Tencent Building,Kejizhongyi Road,Midwest District of Hi-tech Park,Nanshan District, Shenzhen,Guangdong 518057,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100150197
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 波
(72)【発明者】
【氏名】欧▲陽▼ 昌葵
(72)【発明者】
【氏名】汪 福裕
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ 成
(57)【要約】
本願の実施例は、データ伝送制御方法、装置、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータ機器、及びコンピュータプログラム製品を開示する。ここで、方法は、コンピュータ機器により実行され、方法は、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップと、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するステップと、総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するステップと、データ伝送品質指数、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、オブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するステップと、複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつターゲットデータ伝送パラメータに基づいてデータ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記方法は、コンピュータ機器により実行される、データ伝送制御方法であって、前記方法は、
複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ前記履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップであって、前記複数のオブジェクトグループは、前記複数のデータ伝送オブジェクトを分割することにより獲得される、ステップと、
各々のオブジェクトグループの前記グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、前記複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するステップと、
前記総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、前記各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するステップと、
前記データ伝送品質指数、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するステップと、
前記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、前記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつ前記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて前記データ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御するステップと、を含む、データ伝送制御方法。
【請求項2】
前記総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、前記各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するステップは、
各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づき相応なオブジェクトグループの強化学習パラメータを計算するステップと、
前記総合ネットワークパフォーマンスデータを前記強化学習モデルの状態値として決定し、前記強化学習パラメータを前記強化学習モデルの報奨値として決定するステップと、
前記状態値と前記報奨値を前記訓練後の強化学習モデルに入力し、前記訓練後の強化学習モデルによって各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を出力するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づき相応なオブジェクトグループの強化学習パラメータを計算するステップは、
各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを取得するステップと、
各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータにおいて有効スループットデータ、及び平滑化往復伝送時間データを抽出するステップと、
各々のオブジェクトグループに対応する有効スループットデータと平滑化往復伝送時間データとの間の比を計算するステップと、
前記比を相応なオブジェクトグループの強化学習パラメータとして決定するステップと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ前記履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップは、
複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトのインターネットプロトコルアドレスデータを取得し、且つ、各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得するステップと、
各々のデータ伝送オブジェクトのインターネットプロトコルアドレスデータに基づいて、前記複数のデータ伝送オブジェクトを複数のオブジェクトグループに分割するステップと、
各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップと、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップは、
各々のオブジェクトグループにおける各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループに対応する履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合を決定するステップと、
各々の履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合における履歴ネットワークパフォーマンスデータの平均値を計算するステップと、
各々の履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合に対応する平均値を、相応なオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータとして決定するステップと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各々のオブジェクトグループの前記グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、前記複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するステップは、
各々のオブジェクトグループの重み係数を取得するステップと、
前記重み係数に基づいて各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、前記複数のデータ伝送オブジェクトに対応する総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するステップと、を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
各々のオブジェクトグループの重み係数を取得するステップは、
各々のオブジェクトグループにおいて含まれるデータ伝送オブジェクトの数量を取得するステップと、
各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの数量と前記複数のデータ伝送オブジェクトの数量との間の比を、相応なオブジェクトグループの重み係数として決定するステップと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記データ伝送品質指数、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定する前記ステップは、
各々のオブジェクトグループ各自の前記グループネットワークパフォーマンスデータの中から、各々のオブジェクトグループの有効スループットデータ、及び最小往復伝送時間データを抽出するステップと、
各々のオブジェクトグループの有効スループットデータ、最小往復伝送時間データ、及びデータ伝送品質指数に基づいて、相応なオブジェクトグループの初期ウィンドウデータを計算するステップと、
各々のオブジェクトグループの初期ウィンドウデータに基づいて相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するステップと、を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、前記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつ前記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて前記データ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御するステップは、
前記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、前記ターゲットデータ伝送オブジェクトのターゲットインターネットプロトコルアドレスを取得するステップと、
前記ターゲットインターネットプロトコルアドレスに基づき前記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するターゲットオブジェクトグループを決定するステップと、
前記ターゲットオブジェクトグループのターゲットデータ伝送パラメータを取得するステップと、
前記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて前記ターゲットデータ伝送オブジェクトに対してデータ伝送を行うステップと、を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
データ伝送制御装置であって、前記装置は、
複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ前記履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するように構成される取得ユニットであって、前記複数のオブジェクトグループは、前記複数のデータ伝送オブジェクトを分割することにより獲得される、取得ユニットと、
各々のオブジェクトグループの前記グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、前記複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するように構成される第1計算ユニットと、
前記総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、前記各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するように構成される学習ユニットと、
前記データ伝送品質指数、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するように構成される第2計算ユニットと、
前記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、前記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつ前記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて前記データ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御するように構成される制御ユニットと、を含む、データ伝送制御装置。
【請求項11】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体には複数の実行可能命令が記憶され、前記実行可能命令は、プロセッサにより実行されるときに、請求項1~9のいずれか1項に記載のデータ伝送制御方法を実現するように構成される、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
コンピュータ機器であって、メモリと、プロセッサと、前記メモリにおいて記憶されかつ前記プロセッサ上で動作することができる実行可能命令と、を含み、前記プロセッサは、前記実行可能命令を実行するときに、請求項1~9のいずれか1項に記載のデータ伝送制御方法を実現する、コンピュータ機器。
【請求項13】
コンピュータプログラム製品、又はコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラム製品、又はコンピュータプログラムは、実行可能命令を含み、前記実行可能命令は、コンピュータ可読記憶媒体において記憶され、
コンピュータ機器のプロセッサが前記コンピュータ可読記憶媒体から前記実行可能命令を読み取り、かつ前記実行可能命令を実行するときに、請求項1~9のいずれか1項に記載のデータ伝送制御方法を実現する、コンピュータプログラム製品、又はコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、通信の技術分野に関し、データ伝送制御方法、装置、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータ機器、及びコンピュータプログラム製品に関するが、これらに限定されない。
【0002】
本願は、出願番号が第202210835843.8号であり、出願日が2022年7月15日である中国特許出願に基づいて提案されており、かつ該中国特許出願の優先権を主張し、該中国特許出願の全部の内容は、ここで参照として本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、様々なショートビデオビジネスが盛んになりつつあるにつれて、オーディオビデオトラフィックは爆発的な増加を呈しており、クライアントにおいて増大し続けるユーザ体験へのニーズと、ネットワーク伝送性能の遅延との間の矛盾は、既に現在早急に解決すべき主な矛盾点となっている。これに対し、当業者は、一連の輻輳制御技術を提案しており、たとえば、パケットロス情報に基づくキュービックバイナリ輻輳制御(Cubic、Cubic Binary Increase Congestion)アルゴリズム、帯域幅検出に基づくネットワーク輻輳制御アルゴリズム(BBR、Bottleneck Bandwidth and RTT)等がある。上記輻輳制御アルゴリズムは、一定の程度においてネットワーク伝送の品質を改善することができる。
【0004】
しかしながら、関連技術における輻輳制御アルゴリズムは、いずれも専門家の経験に基づいて設定された、固定規則に合致する制御アルゴリズムであり、変化の多いネットワーク状態とネットワークビジネスに適応することが困難である。従って、いくつかの新たなシーンに直面する際に、現在の輻輳制御アルゴリズムはこれらの新たなシーンに適合することができず、それによりネットワークのデータ伝送性能が低下し、またネットワーク性能が不安定になるという問題を引き起こしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例は、データ伝送制御方法、装置、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータ機器、及びコンピュータプログラム製品を提供し、ネットワークのデータ伝送性能とネットワーク性能の安定性を向上させることができる。
【0006】
本願の実施例は、データ伝送制御方法を提供し、前記方法は、コンピュータ機器により実行され、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ前記履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップであって、前記複数のオブジェクトグループは、前記複数のデータ伝送オブジェクトを分割することにより獲得される、ステップと、各々のオブジェクトグループの前記グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、前記複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するステップと、前記総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、前記各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するステップと、前記データ伝送品質指数、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するステップと、前記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、前記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつ前記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて前記データ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御するステップと、を含む。
【0007】
本願の実施例は、データ伝送制御装置を提供し、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ前記履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するように構成される取得ユニットであって、前記複数のオブジェクトグループは、前記複数のデータ伝送オブジェクトを分割することにより獲得される、取得ユニットと、各々のオブジェクトグループの前記グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、前記複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するように構成される第1計算ユニットと、前記総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、前記各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するように構成される学習ユニットと、前記データ伝送品質指数、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するように構成される第2計算ユニットと、前記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、前記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつ前記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて前記データ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御するように構成される制御ユニットと、を含む。
【0008】
本願の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ可読記憶媒体には複数の実行可能命令が記憶され、前記実行可能命令は、プロセッサにより実行されるときに、前記データ伝送制御方法を実現するように構成される。
【0009】
本願の実施例は、コンピュータ機器を提供し、メモリと、プロセッサと、前記メモリにおいて記憶されかつ前記プロセッサ上で動作できる実行可能命令と、を含み、前記プロセッサは、前記実行可能命令を実行するときに、前記データ伝送制御方法を実現する。
【0010】
本願の実施例は、コンピュータプログラム製品、又はコンピュータプログラムを提供し、前記コンピュータプログラム製品、又はコンピュータプログラムは、実行可能命令を含み、前記実行可能命令は、コンピュータ可読記憶媒体において記憶され、コンピュータ機器のプロセッサが前記コンピュータ可読記憶媒体から前記実行可能命令を読み取り、かつ前記実行可能命令を実行するときに、前記データ伝送制御方法を実現する。
【0011】
本願の実施例は、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得することにより、かつ履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算する。オブジェクトグループは、複数のデータ伝送オブジェクトを分割して獲得されるグループである。次に、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得し、かつ総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づいて、訓練後の強化学習モデルを呼び出して予測し、各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得する。さらに次には、データ伝送品質指数、及びグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定し、最後に、複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつターゲットデータ伝送パラメータに基づいてデータ伝送過程を制御する。このようにして、本願が提供するデータ伝送制御方法は、データ伝送オブジェクトに対してグループ分割を行い、次に個々のオブジェクトグループの最近の一定期間の履歴ネットワークパフォーマンスデータを採用して強化学習を行うことによって、各々のオブジェクトグループの現在の時間での最適なネットワークデータ伝送パラメータを獲得する。このように、複数のデータ伝送オブジェクトに対してグループ分割を行い、また、個々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して強化学習を行う過程によって、データ伝送パラメータに対してより正確な制御を行うことを実現できる。各々のデータ伝送オブジェクトのために最適なデータ伝送パラメータをマッチングし、現在決定されたデータ伝送パラメータが現在のネットワークデータ伝送シーンにより適合するようにすることにより、データ伝送制御方法のシーン適合性とネットワークのデータ伝送性能を高め、さらにネットワーク性能の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の記述において使用される必要がある図面を簡単に紹介する。明らかなように、以下の記述における図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって言えば、創造的な労働を行わない前提において、さらにこれらの図面に基づきその他の図面を得ることができる。
【0013】
図1】本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法の1つのシーンの模式図である。
図2】本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法のフロー模式図である。
図3】本願の実施例が提供する製品側の模式図である。
図4】本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法の別のフロー模式図である。
図5a】本願の実施例が提供する全部の規則に応じてIPアドレスを分割する模式図である。
図5b】本願の実施例が提供する部分規則に応じてIPアドレスを分割する模式図である。
図6】本願の実施例が提供するネットワーク測定モジュールによるQoS情報の測定を実現するフロー模式図である。
図7】本願の実施例が提供する知能学習モジュールの処理のフロー模式図である。
図8】本願の実施例が提供する自己適応制御モジュールの処理過程の模式図である。
図9】本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法のさらに別のフロー模式図である。
図10】本願の実施例が提供するデータ伝送制御装置の構造模式図である。
図11】本願の実施例が提供するコンピュータ機器の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願の実施例における図面と併せて、本願の実施例における技術的解決手段を明確、かつ完全に記述する。明らかなように、記述される実施例は、本願の実施例の一部に過ぎず、実施例の全部ではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わない前提において得た全てのその他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0015】
本願の実施例は、データ伝送制御方法、装置、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータ機器、及びコンピュータプログラム製品を提供する。ここで、該データ伝送制御方法は、データ伝送制御装置において使用することができる。該データ伝送制御装置は、コンピュータ機器において集積することができ、該コンピュータ機器は、端末であってもよく、サーバであってもよい。ここで、端末は、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコン、スマートテレビ、ウェアラブルスマート機器、パーソナルコンピュータ(PC、Personal Computer)、及び車載端末等の機器であってもよい。サーバは、独立した物理サーバであってもよく、複数の物理サーバで構成されるサーバクラスタ、又は分散システムであってもよく、クラウドサービス、クラウドデータベース、クラウドコンピューティング、クラウド関数、クラウド記憶、ネットワークサービス、クラウド通信、ミドルウェアサービス、ドメイン名サービス、安全サービス、ネットワーク加速サービス(CDN、Content Delivery Network)、及びビッグデータと人工知能プラットフォーム等の基礎的なクラウドコンピューティングサービスを提供するクラウドサーバであってもよい。ここで、サーバは、ブロックチェーンにおけるノードであってもよい。
【0016】
図1に参照されるように、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法の1つのシーンの模式図である。図1に示すように、データ伝送制御システムにおいてゲートウェイサーバAと端末Bが少なくとも含まれ、端末Bは、ゲートウェイサーバAが特定のデータに対してデータ伝送を行うように要求することができ、すなわち、端末Bは、ゲートウェイサーバAにデータ伝送要求を送信することで、ゲートウェイサーバAが伝送対象のデータに対してデータ伝送を行うように要求することができる。ゲートウェイサーバAは、端末Bのデータ伝送要求に応答して要求データを取得し、かつ要求データを端末Bに戻すことができる。ゲートウェイサーバAは、端末Bのデータ伝送要求を受信する前に、ゲートウェイサーバAは、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算することができる。オブジェクトグループは、複数のデータ伝送オブジェクトを分割して獲得されるグループであり、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、該複数のデータ伝送オブジェクトに対応する総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得する。次に、総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づいて、訓練後の強化学習モデルを呼び出して予測し、各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得する。さらに次に、データ伝送品質指数、及び各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを計算して獲得する。いくつかの実施例において、データ伝送制御システムにおいてデータ記憶ユニットがさらに含まれてもよく、各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを計算して獲得した後に、各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータをデータ記憶ユニットにおいて記憶することができる。このように、ゲートウェイサーバAが端末Bから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、端末Bが属するオブジェクトグループに基づき該オブジェクトグループに対応するターゲットデータ伝送パラメータを決定し、次に該ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて端末Bのデータ伝送過程を制御することができる。つまり、端末Bを1つのデータ伝送オブジェクトとして、端末Bの端末識別子に基づき、該端末Bがどのオブジェクトグループに属するかを決定し、次にデータ記憶ユニットの中から該オブジェクトグループのデータ伝送パラメータを取得し、取得されたデータ伝送パラメータを端末Bのターゲットデータ伝送パラメータとして決定する。その後、該ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて端末Bのデータ伝送過程を制御し、要求データを端末Bに戻すことを実現することができる。
【0017】
例を挙げて言えば、端末B上にショートビデオアプリケーションがインストールされてもよい。ユーザは、ショートビデオアプリケーションのクライアントによってリフレッシュ操作を行い、ショートビデオアプリケーションのクライアントは、ユーザのリフレッシュ操作に応答して、ビデオ推奨要求を生成し、かつビデオ推奨要求を本願の実施例のデータ伝送要求としてゲートウェイサーバAに送信してもよい。ゲートウェイサーバAは、端末Bがショートビデオアプリケーションのクライアントによって送信したビデオ推奨要求に応答する前に、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法を採用し、各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを計算して獲得することができる。ここで、オブジェクトグループは、ショートビデオアプリケーションにおける異なるショートビデオアカウントであってもよい。ゲートウェイサーバAは、端末Bがショートビデオアプリケーションのクライアントによって送信したビデオ推奨要求に応答するときに、ゲートウェイサーバAは、該ビデオ推奨要求を解析することで、ユーザのショートビデオアプリケーションにおけるショートビデオアカウントを取得することができる。該ショートビデオアカウントと端末Bとの間にはマッピング関係があり、従って、該ショートビデオアカウントに基づいて端末Bが属するオブジェクトグループを決定することができ、端末Bが属するオブジェクトグループに基づき該オブジェクトグループに対応するターゲットデータ伝送パラメータを決定する。次に該ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて、端末Bがショートビデオアプリケーションのクライアントを介して送信したビデオ推奨要求のショートビデオデータ伝送過程を制御することができる。
【0018】
説明する必要がある点として、図1に示されるデータ伝送制御シーンの模式図は1つの例に過ぎず、本願の実施例で記述されるデータ伝送制御シーンは、本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するためのものであり、かつ本願の実施例が提供する技術的解決手段に対する限定を構成するものではない。当業者であれば、データ伝送制御シーンが進化し、また新たなビジネスシーンが出現するにつれて、本願の実施例が提供する技術的解決手段が、類似する技術的問題に対して、同様に適用されることが分かる。
【0019】
上記実施シーンに基づいて、以下、詳細な説明をそれぞれ行う。
【0020】
ネットワークデータ伝送シーンにおいて、伝送する必要があるオーディオビデオデータ量が比較的大きいときに、データ伝送の輻輳の問題が出現することになる。データ伝送の輻輳問題を解決し、データ伝送効率とデータ伝送品質を向上させるために、当業者は、複数種の輻輳制御アルゴリズムを提案することで、ネットワーク伝送品質を改善する。この面では、近年、人工知能技術がますます成熟するにつれて、機械学習に基づく自己適応輻輳制御は、ネットワーク状態の変化に自動的に適応し、かつパラメータ設定等の方式によってネットワーク伝送性能上の収益を手に入れることができる。これらの方法は、強化学習の方法によって、輻輳制御の関連パラメータを設定することで、ネットワークデータ伝送品質を向上させることができる。しかしながら、これらの方法は、パラメータ集合が人為的経験によって設定されており、且つこれらの方法が既存の輻輳制御メカニズムから完全に離脱するため、実行可能性を備えることが非常に困難である。また、これらの方法には安定性が不足するという問題が存在しており、現在のネットワークにおいて配備して使用することができなくなっている。これに対し、本願の実施例は、データ伝送制御方法を提供することで、データ伝送における輻輳問題を一定の程度において緩和し、データ伝送性能を向上させることができることを期待する。
【0021】
本願の実施例は、データ伝送制御装置の角度から記述されており、該データ伝送制御装置は、コンピュータ機器において集積することができる。ここで、コンピュータ機器は、端末であってもよく、サーバであってもよい。図2に示すように、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法のフロー模式図であり、本願の実施例は、データ伝送制御方法がコンピュータ機器におけるサーバにより実行されることを例として説明されており、該方法は、以下のステップS101~ステップS105を含む。
【0022】
ステップS101:複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算する。
【0023】
本願の実施例において、複数のデータ伝送オブジェクトは、あるアプリケーションプログラムの全ての登録ユーザであってもよい。たとえば、インスタントメッセージングアプリケーションプログラム、又はショートビデオアプリケーションプログラムは、いずれもデータサービスを提供するアプリケーションサーバ、及び該アプリケーションを登録する複数のアプリケーションクライアントを有する。個々のアプリケーションクライアントは、いずれも該アプリケーションプログラムのアプリケーションサーバがデータ伝送を行うオブジェクトであってもよいため、ここでは該アプリケーションプログラムを登録する全てのアプリケーションクライアントが複数のデータ伝送オブジェクトであると決定することができる。又は、いくつかの状況において、該アプリケーションプログラムを登録する一部のクライアントは、複数のデータ伝送オブジェクトとなるように設定されてもよい。たとえば、前述ショートビデオアプリケーションであり、該ショートビデオアプリケーションのアプリケーションクライアントのうち、一部の登録ユーザのクライアントのみが、会員ユーザクライアントであれば、これらの会員ユーザクライアントのみについてデータ伝送制御を行うことで、これらの会員ユーザクライアントがデータ伝送を行うときのデータ伝送性能を最適化し、これらの会員ユーザクライアントのために良好なデータ伝送サービスと流暢な視聴体験を提供することができる。さらに又は、いくつかの状況において、一部のユーザのデータ伝送に対するニーズが比較的少ないが、別の一部のユーザのデータ伝送に対するニーズが比較的高いければ、これらのデータ伝送ニーズが比較的高いユーザについて的確な最適化を行い、これらのデータ伝送ニーズが比較的高いユーザを複数のデータ伝送オブジェクトとして決定することができる。ここで、ユーザのデータ伝送の頻度及び伝送が要求されたデータの量に基づきユーザのデータ伝送ニーズパラメータを決定することができ、いずれか1つのユーザのデータ伝送ニーズパラメータがニーズパラメータ閾値よりも大きいときに、該ユーザのデータ伝送ニーズが比較的高いことを表し、いずれか1つのユーザのデータ伝送ニーズパラメータがニーズパラメータ閾値よりも小さかいか、又は等しいときに、該ユーザのデータ伝送ニーズが比較的低いことを表す。つまり、本願の実施例において、複数のデータ伝送オブジェクトに対して個性化設定を行うことができるが、ここでは限定しない。
【0024】
データ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータは、該データ伝送オブジェクトの現在の時刻よりも前の一定期間長さ内のネットワークパフォーマンスデータを統計した後に獲得されるデータであってもよい。たとえば、データ伝送オブジェクトのネットワークパフォーマンスデータに対し定期的に統計を取ることができる。たとえば、T時間間隔おきに前回の統計時刻から今回の統計時刻までの間の時間長さ内のネットワークパフォーマンスデータに対し統計を取る。データ伝送を制御する必要があるときに、直近に統計を取ったデータ伝送オブジェクトのネットワークパフォーマンスデータを該データ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータとすることができる。
【0025】
いくつかの実施例において、データ伝送オブジェクトのネットワークパフォーマンスデータは、該データ伝送オブジェクトがデータ伝送を行うときのネットワーク伝送性能を反映することに用いられるパラメータであり、データ伝送オブジェクトのネットワークパフォーマンスデータは、該データ伝送オブジェクトがデータ伝送を行うときのネットワークサービス品質情報(QoS、Quality of Service)を特徴付けることができる。データ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータとは、履歴期間内のネットワークパフォーマンスデータを指し、該データ伝送オブジェクトが該履歴期間内にデータ伝送を行うときのネットワーク伝送性能を反映することに用いられるパラメータである。
【0026】
例を挙げて言えば、ネットワークパフォーマンスデータは、データ伝送オブジェクトがデータ伝送を行うときの最小往復伝送時間(RTT、Round Trip Time)(min_rttとして表されてもよい)、最大往復伝送時間(max_rttとして表されてもよい)、平滑化往復伝送時間(srttとして表されてもよい)、最大移動量(max_inflightとして表されてもよい)、有効スループット(goodputとして表されてもよい)、再伝送率(retran_ratioとして表されてもよい)、初期ウィンドウ(init_cwndとして表されてもよい)、及び最大ウィンドウ(max_cwndとして表されてもよい)等のQoS情報であってもよい。
【0027】
いくつかの実施例において、複数のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算することは、以下の方式によって実現することができる。先ず、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトのインターネットプロトコルアドレスデータを取得し、且つ、各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得する。次に、各々のデータ伝送オブジェクトのインターネットプロトコルアドレスデータに基づいて、複数のデータ伝送オブジェクトを複数のオブジェクトグループに分割する。最後に、各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、該オブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算する。
【0028】
本願の実施例において、オブジェクトグループとは、複数のデータ伝送オブジェクトに対してグループ化を行った後に獲得されるグループを指し、任意の1種のグループ化方式に応じて、複数のデータ伝送オブジェクトを複数のグループに分割することができる。個々のグループは、1つのオブジェクトグループと呼ぶことができる。このようにして、個々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき該オブジェクトグループに対応する履歴ネットワークパフォーマンスデータを計算することができ、すなわち各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算して獲得することができる。
【0029】
本願の実施例において、複数のデータ伝送オブジェクトに対してグループ分割を行うことは、個々のデータ伝送オブジェクトのインターネットプロトコルアドレスデータに基づき分割することであってもよい。たとえば、インターネットプロトコルアドレスデータは、データ伝送オブジェクトのIPアドレス(Internet Protocol Address)であってもよい。上記したように、データ伝送オブジェクトが1つのアプリケーションプログラムのクライアントであってもよければ、データ伝送オブジェクトのIPアドレスは、該クライアントが搭載される端末のIPアドレスであってもよい。該端末は、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、又はパソコン等の、インターネット接続、及びデータ伝送を行うことができる任意の端末であってもよい。
【0030】
例を挙げて言えば、まず、複数のデータ伝送オブジェクトのIPアドレス、及び個々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得することができる。次に、個々のデータ伝送オブジェクトのIPアドレスに基づいて複数のデータ伝送オブジェクトを複数のオブジェクトグループに分割することができ、たとえば、予め設定されたアドレス区間内に属するIPアドレスに対応するデータ伝送オブジェクトを1つのオブジェクトグループにおいて分割することができる。つまり、予め設定されたアドレス区間に基づいてデータ伝送オブジェクトのIPアドレスを分割し、同一の予め設定されたアドレス区間内に属するIPアドレスに対応するデータ伝送オブジェクトを1つのオブジェクトグループにおいて分割することができる。さらに次には、各々のオブジェクトグループにおいて含まれるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算する。ここで、データ伝送オブジェクトのIPアドレスに基づきグループ分割を行うことは、IPアドレスの地域、オペレータ番号、自律システム(AS、Autonomous System)番号、アクセス方式等の規則に基づき分割することであってもよい。データ伝送オブジェクトのIPアドレスデータに応じてグループ分割を行うときに、全部の規則に応じて分割してもよく、部分的な規則に応じて分割してもよい。たとえば、全部の規則に応じて分割するときには、地域+オペレータ+AS番号+アクセス方式のような方式に応じて分割することができ、部分的な規則に応じて分割するときには、地域+オペレータ、地域+アクセス方式、又は地域等の規則に応じて分割することができる。理解できるように、同一のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトのデータ伝送過程は、同様のネットワーク転送経路を有すると同時に、同様のネットワーク状態情報も有する。すなわち、同じオブジェクトグループのデータ伝送オブジェクトは、データ伝送制御を行うときに、同一のデータ伝送パラメータを採用して制御することができる。
【0031】
いくつかの実施例において、各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算することは、以下の方式によって実現することができる。先ず、各々のオブジェクトグループにおける各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループに対応する履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合を決定し、次に、各々の履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合における履歴ネットワークパフォーマンスデータの平均値を計算し、各々の履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合に対応する平均値を、相応なオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータとして決定する。
【0032】
本願の実施例において、各々のオブジェクトグループに対応するグループネットワークパフォーマンスデータに対する計算では、各々のオブジェクトグループにおいて含まれるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを平均化し、履歴ネットワークパフォーマンスデータの平均値を獲得し、該履歴ネットワークパフォーマンスデータの平均値を相応なオブジェクトグループに対応するグループネットワークパフォーマンスデータとして決定することができる。たとえば、まず、各々のオブジェクトグループにおいて含まれるデータ伝送オブジェクトを決定し、次に該オブジェクトグループにおける各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを決定し、各々のオブジェクトグループに対応する履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合を獲得することができる。その後、各々の履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合における履歴ネットワークパフォーマンスデータの平均値を計算することができる。つまり、履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合における全部の履歴ネットワークパフォーマンスデータを加算し、その後、加算結果を履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合における履歴ネットワークパフォーマンスデータの個数で除算し、履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合における履歴ネットワークパフォーマンスデータの平均値を獲得し、それにより各々のオブジェクトグループに対応するグループネットワークパフォーマンスデータを獲得する。
【0033】
いくつかの実施例において、各々のオブジェクトグループにおける複数のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータの平均値を計算し、それにより該オブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算する前に、さらに、まず各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに対して異常検知を行うことで、該オブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータにおいて異常データが存在するか否かを決定することができる。これにより該オブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータにおいて異常データが存在することを回避することで、グループネットワークパフォーマンスデータの計算の正確性を確実にすることができる。ここで、各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに対して異常検知を行うにあたり、予め設定された長さの時間次元上での履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて検知することができ、該予め設定された長さは、履歴ネットワークパフォーマンスデータに対応する時間長さよりも大きい。たとえば、データ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータが、現在の時間から1時間以内に遡ったQoSデータであれば、データ伝送オブジェクトの現在の時間から1カ月以内に遡ったQoSデータを採用して、該データ伝送オブジェクトに対して1時間以内に遡ったQoSデータを検知することで、該QoSデータには明らかな異常が発生するかどうかを決定することができる。実現の過程においては、データ伝送オブジェクトの現在の時間から1カ月以内に遡ったQoSデータに基づき、データ伝送オブジェクトの現在の時間から1時間以内に遡ったQoSデータを予測し、予測されたQoSデータを獲得する。次に予測されたQoSデータと実際に統計されたQoSとの間の差異を計算し、もし差異率が予め設定された比率よりも大きければ、該データ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータが異常であると決定することができる。
【0034】
もしデータ伝送オブジェクトのQoSデータに異常が存在すると決定するなら、グループネットワークパフォーマンスデータの計算を行うときに該データ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを除去することができる。
【0035】
ステップS102:各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得する。
【0036】
ここでは、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算して獲得した後に、さらに全てのオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行うことで、全てのデータ伝送オブジェクトの全体ネットワークパフォーマンスデータを獲得することができ、ここでは、総合ネットワークパフォーマンスデータと呼ぶことができる。
【0037】
いくつかの実施例において、グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得することは、以下の方式によって実現することができる。先ず、各々のオブジェクトグループの重み係数を取得する。次に、重み係数に基づいて各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、複数のデータ伝送オブジェクトに対応する総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得する。
【0038】
本願の実施例において、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づいて総合ネットワークパフォーマンスデータを計算するには、まず各々のオブジェクトグループに対応する重み係数を取得し、次に各々のオブジェクトグループの重み係数に基づいて該オブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、それにより総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得することができる。
【0039】
いくつかの実施例において、以下の方式によって各々のオブジェクトグループの重み係数を取得することができる。先ず、各々のオブジェクトグループにおいて含まれるデータ伝送オブジェクトの数量を取得する。次に、各々のグループにおけるデータ伝送オブジェクトの数量と複数のデータ伝送オブジェクトの数量との間の比を計算し、各々のオブジェクトグループの重み係数を獲得する。つまり、各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの数量と複数のデータ伝送オブジェクトの数量との間の比を、相応なオブジェクトグループの重み係数として決定する。
【0040】
本願の実施例において、各々のオブジェクトグループの重み係数は、相応なオブジェクトグループにおいて含まれるデータ伝送オブジェクトの数量に基づいて計算して獲得することができる。たとえば、まず各々のオブジェクトグループにおいて含まれるデータ伝送オブジェクトの数量を取得し、次に各々のグループにおけるデータ伝送オブジェクトの数量と前述複数のデータ伝送オブジェクトの数量との間の比を計算することができる。すなわち各々のグループにおけるメンバー数量が全体メンバー数量を占める比を計算し、さらに各々のオブジェクトグループの重み係数を獲得する。
【0041】
ステップS103:総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得する。
【0042】
ここで、強化学習モデル(RL、Reinforcement Learning)は、機械学習分野におけるモデルの1つであり、強化学習モデルは、強化学習に基づいて実現されるデータ処理モデルである。強化学習は、行為心理学に啓発され、主に、エージェントがどのように環境において異なる行動を取るかに注目することで、累積的な報奨を最大限に高める。強化学習は、主に、エージェント(Agent)、環境(Environment)、状態(State)、アクション(Action)、報奨(Reward)からなる。エージェントがあるアクションを実行した後に、環境は1つの新たな状態に変換され、該新たな状態環境に対して報奨信号(正の報奨又は負の報奨)を与える。その後で、エージェントは、新たな状態と環境によってフィードバックされた報奨に基づき、一定のポリシーに応じて新たなアクションを実行する。上記過程は、エージェントと環境が状態、アクション、報奨によってインタラクションを行う方式である。エージェントは、強化学習によって、自分がどのような状態において、どのようなアクションを取って、自体が最大報奨を得るようにするべきであるかを知ることができる。エージェントと環境とのインタラクション方式は、人類と環境とのインタラクション方式と類似するため、強化学習は、1セットの汎用的な学習フレームワークであるとみなすことができ、汎用的な人工知能の問題を解決するために用いることができる。従って、強化学習は、汎用的な人工知能の機械学習方法とも呼ばれる。
【0043】
本願の実施例において、強化学習モデルの上記特性に基づいてデータ伝送過程におけるネットワークパフォーマンスデータの設定を制御することができる。たとえば、総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づいて対応する報奨と環境状態を設定することで、予め設定された強化学習モデルが各々のオブジェクトグループに対応するデータ伝送品質指数を学習するようにすることができる。該データ伝送品質指数は、対応するオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを制御することでより良好な報奨値を得ることに用いることができる。つまり、データ伝送品質指数は、強化学習モデルにより出力された、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを制御することに用いられるデータである。
【0044】
いくつかの実施例において、総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づいて、訓練後の強化学習モデルを呼び出して予測し、各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得することは、強化学習モデルに基づいて総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して強化学習を行い、それにより各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得することであってもよい。いくつかの実施例において、以下の方式によって各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得することができる。先ず、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づき各々のオブジェクトグループの強化学習パラメータを計算する。次に、総合ネットワークパフォーマンスデータを強化学習モデルの状態値とし、強化学習パラメータを強化学習モデルの報奨値として強化学習モデルに入力し、出力された各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得する。
【0045】
いくつかの実施例において、訓練後の強化学習モデルは、任意の1種の強化学習モデルであってもよく、たとえば、深層強化学習(DRL、Deep Reinforcement Learning)モデル、検索と監督に基づくDRLモデル、値関数に基づくDRLモデル、ポリシー勾配に基づくDRLモデル等であってもよい。
【0046】
本願の実施例において、まず各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づき各々のオブジェクトグループの強化学習パラメータを計算し、強化学習パラメータを強化学習モデルの報奨値とする。次に上記の計算して獲得された総合ネットワークパフォーマンスデータを強化学習モデルの状態値とし、かつ報奨値と状態値を強化学習モデルに入力し、上記報奨値と状態値に基づいて強化学習モデルに対して強化学習処理を行い、強化学習モデルが学習して獲得した出力パラメータを獲得することができる。つまり、強化学習モデルによって各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を出力することができる。
【0047】
理解できるように、異なるオブジェクトグループに対しては、それにより計算して獲得された強化学習パラメータが異なり、すなわち強化学習モデルの報奨値が異なると、学習された出力パラメータも同じではない。すなわち、異なるオブジェクトグループに対しては、強化学習モデルは、異なる出力パラメータを学習することができる。該出力パラメータは、対応するオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを制御することで、オブジェクトグループの強化学習パラメータが向上し続けるようにすることができ、従って、該出力パラメータは、データ伝送品質指数とも呼ぶことができる。
【0048】
いくつかの実施例において、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づき各々のオブジェクトグループの強化学習パラメータを計算することは、以下の方式によって実現することができる。先ず、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータにおいて有効スループットデータ、及び平滑化往復伝送時間データを抽出する。次に、各々のオブジェクトグループに対応する有効スループットデータと対応する平滑化往復伝送時間データとの間の比を計算し、該比を各々のオブジェクトグループの強化学習パラメータとして決定する。
【0049】
本願の実施例において、各々のオブジェクトグループの強化学習パラメータを計算する際には、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータにおける有効スループットデータ、及び平滑化往復伝送時間データを採用して計算することができる。まず各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータの中から、有効スループットデータ、及び平滑化往復伝送時間データを抽出する。次に有効スループットデータと平滑化往復伝送時間データとの間の比を計算し、該比を相応なオブジェクトグループの強化学習パラメータとすることができる。本願の実施例において、有効スループットデータと平滑化往復伝送時間データとの間の比をオブジェクトグループの強化学習パラメータとして設定することは、該比を強化学習モデルの報奨値とすることであってもよい。ここでは、主に、強化学習モデルの学習ターゲットがより高い報奨値を得ることを考慮する。つまり、より大きな有効スループット、及びより少ない平滑化往復伝送時間を獲得することが望ましく、すなわち、より良好なQoSを獲得するために、有効スループットデータと平滑化往復伝送時間データとの間の比を強化学習モデルの報奨値とする。
【0050】
ここで、説明する必要がある点として、スループットとは、1秒あたりに受信された、制御データを含まないビット数を指す(フレームがないときに、機器は最大レートを低減させることになる)。有効スループットデータ(goodput)とは、単位時間あたりに正しいターゲットインターフェースに送信されるビット数を指し、減少すると廃棄されるか、又は再伝送される。コンピュータネットワーク(無線ネットワークを含む)では、goodputは、アプリケーションプログラムレベルのスループットであり、すなわち個々の単位はビットを使用して表され、あるソースアドレスからのネットワークをある目的地に転送する数は、プロトコルオーバーヘッドとデータパケットの再伝送データを含まない。たとえば、1つのファイルが転送される有効スループットの場合、ユーザ体験は、ファイル伝送の時間をビットファイルの大きさに分けることに対応する。有効スループットが一般的にスループット(総ビットレート伝送物理)よりも低い場合、通常はネットワークアクセス接続速度(チャネル容量と帯域幅)よりも低い。有効スループットデータとは、ネットワークで伝送されるデータ量を指し、有効スループットデータは、ネットワークの性能を評価することができ、有効スループットデータとは、ネットワークで伝送される有効データ量を指す。
【0051】
平滑化往復伝送時間データとは、重み付け平均往復時間を指し、ここでは、往復時間とは、メッセージセグメントが発行された時間と、相応な確認を受信する時間との差を指す。往復時間の計算方法は、TCPメッセージヘッダのオプションにおいてタイムスタンプオプションがあり、ここでタイムスタンプ値とタイムスタンプループバックフィールドとがあり、タイムスタンプ値とタイムスタンプループバックフィールドとに基づいて往復時間を計算することができることである。重み付け平均往復時間は、平滑化往復時間とも呼ばれ、往復時間に対して平均重み付けを行った後に獲得される往復時間である。
【0052】
いくつかの実施例において、強化学習モデルを採用して各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を学習することは、強化学習モデルを採用して、総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数回の強化学習を行い、各々のオブジェクトグループの複数のデータ伝送品質指数を獲得することであってもよい。次に、さらにこの複数のデータ伝送品質指数の平均値を計算し、最後に各々のオブジェクトグループのより正確なデータ伝送品質指数を獲得する。本願の実施例において、複数回学習して獲得された出力パラメータの平均値を最終的な出力パラメータとすることによって、学習誤差による、学習されたデータ伝送品質指数が正確ではないという問題を回避することができ、それにより学習されたデータ伝送品質指数の正確性を向上させることができる。
【0053】
ステップS104:データ伝送品質指数、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定する。
【0054】
強化学習モデルを採用して各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を学習して獲得した後に、さらに各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数に基づき、各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを調整することで、各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを獲得することができる。各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータで対応するオブジェクトグループのデータ伝送過程を制御することによって、より良好なデータ伝送効果を獲得することができ、すなわちデータ伝送性能を向上させることができる。
【0055】
本願の実施例において、データ伝送パラメータは、データ伝送過程を制御することに用いられる制御パラメータである。データ伝送を行う過程において、データ伝送オブジェクトのデータ伝送パラメータに基づいて相応なデータ伝送オブジェクトのネットワーク帯域幅を制御し、それによりネットワーク輻輳を回避し、ネットワーク全体の伝送性能を保証することができる。
【0056】
いくつかの実施例において、データ伝送品質指数、及びグループネットワークパフォーマンスデータに基づき各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを計算して獲得することは、以下の方式によって実現することができる。先ず、グループネットワークパフォーマンスデータの中から各々のオブジェクトグループの有効スループットデータ、及び最小往復伝送時間データを抽出する。次に、各々のオブジェクトグループの有効スループットデータ、最小往復伝送時間データ、及びデータ伝送品質指数に基づいて、相応なオブジェクトグループの初期ウィンドウデータを計算し、かつ各々のオブジェクトグループの初期ウィンドウデータに基づいて相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定する。
【0057】
本願の実施例において、学習された各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数に基づいて相応なオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを調整することは、まず各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータの中から有効スループットデータ、及び最小往復伝送時間データを抽出し、次に有効スループットデータ、最小往復伝送時間データ、及び学習されたデータ伝送品質指数に基づいて、各々のオブジェクトグループの初期ウィンドウデータを計算して獲得し、さらに各々のオブジェクトグループの初期ウィンドウデータを相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータとして決定できることであってもよい。いくつかの実施例において、さらに、各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを対応するオブジェクトグループに関連付けて記憶することができる。このようにデータ伝送パラメータを使用してデータ伝送制御を行う必要があるときに、記憶されたデータの中からオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを問い合わせることができ、それによりデータ伝送の効率を高める。
【0058】
ステップS105:複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつターゲットデータ伝送パラメータに基づいてデータ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御する。
【0059】
各々のオブジェクトグループに対応するデータ伝送パラメータを決定した後で、次のサイクルの履歴ネットワークパフォーマンスデータの統計を完了する前に、いずれも上記各々のオブジェクトグループに対応するデータ伝送パラメータに基づいて相応なデータ伝送オブジェクトのデータ伝送過程を制御することができる。
【0060】
実現の過程において、ターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、まず該ターゲットデータ伝送オブジェクトに対応するオブジェクトグループを決定する。次に該オブジェクトグループのターゲットデータ伝送パラメータを取得し、かつ該ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて該ターゲットデータ伝送オブジェクトのデータ伝送過程を制御することができる。たとえば、あるアプリケーションのクライアントがアプリケーションサーバに送信したデータ接続要求を受信したときに、該クライアントが属するターゲットオブジェクトグループを決定し、かつ該ターゲットオブジェクトグループの初期ウィンドウデータを決定し、次に該初期ウィンドウデータを採用して該クライアントに対してデータ伝送過程の制御を行うことができる。
【0061】
上記の記述に基づき分かるように、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法は、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得することによって、履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算する。オブジェクトグループは、複数のデータ伝送オブジェクトを分割して獲得されるグループである。次に、グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得し、かつ総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づいて、訓練後の強化学習モデルを呼び出して予測し、各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得する。さらに次に、データ伝送品質指数、及びグループネットワークパフォーマンスデータに基づき各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを計算して獲得する。このように、ターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつターゲットデータ伝送パラメータに基づいてデータ伝送過程を制御する。このようにして、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法は、データ伝送オブジェクトに対してグループ分割を行い、次に個々のオブジェクトグループの最近の一定期間の履歴ネットワークパフォーマンスデータを採用して強化学習を行うことによって、各々のオブジェクトグループの現在の時間での最適なネットワークデータ伝送パラメータを獲得する。該方法は、ネットワークデータ伝送パラメータに対して微細化の制御を行い、それにより各々のデータ伝送オブジェクトのために現在の時間での最適なネットワークデータ伝送パラメータをマッチングすることができる。このようにして、データ伝送オブジェクトのデータ伝送性能を大幅に向上させることができる。また、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法は、データ伝送制御をより微細化し、且つより正確にすることができ、接続を達成したときのセッションパラメータの設定もより的確になる。個々のオブジェクトグループのためにそのネットワーク特徴に合致するデータ伝送制御パラメータ値を設定するこのような方法は、ネットワークシステム全体の伝送品質を向上させることにおいて有利である。つまり、複数のデータ伝送オブジェクトに対してグループ分割を行い、且つ、個々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して強化学習を行う過程によって、データ伝送パラメータに対してより正確な制御を行うことを実現することができる。各々のデータ伝送オブジェクトのために最適なデータ伝送パラメータをマッチングし、現在決定されたデータ伝送パラメータが現在のネットワークデータ伝送シーンにより適合するようにすることにより、データ伝送制御方法のシーン適合性とネットワークのデータ伝送性能を高め、さらにネットワーク性能の安定性を高めることができる。
【0062】
説明する必要がある点として、本願の実施例において、ユーザ情報の内容に関しては、たとえば、各々のユーザの履歴ネットワークパフォーマンスデータ(すなわち各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータ)、各々のユーザが属するユーザグループ(すなわちオブジェクトグループ)、各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータ等の情報がある。もしユーザ情報、又は企業情報に関連するデータに関するのであれば、本願の実施例が具体的な製品、又は技術において運用されるときには、ユーザの許可、又は同意を得る必要がある。また関連データの収集処理は、実例を応用する際には、関連国の法律法規の要件に厳密に基づき、個人情報主体による事情を知った上での同意、又は単独同意を取得しなければならず、かつ法律法規、及び個人情報主体の認可する範囲内において、その後のデータ使用、及び処理行為を展開しなければならずない。
【0063】
いくつかの実施例において、上記データ伝送制御方法は、ネットワークトラフィック伝送性能の最適化分野に属する、ネットワーク通信システムにおいてユーザグループに向けて分割された自己適応輻輳制御技術であってもよい。本願の実施例において、サーバは、先ず、地域、オペレータ等の情報に基づきクライアントのIPアドレスを異なるオブジェクトグループに分割し、かつ一定の期間おきに個々のオブジェクトグループのネットワークストリームの前の時間サイクルのネットワークパフォーマンスデータに対して統計を取る。サーバは、上記統計された前のサイクルのネットワークパフォーマンスデータに基づき、専門家の経験、又は人工知能方法によって本サイクルに適用される個々のオブジェクトグループのネットワーク伝送パラメータ値(例えば、初期送信ウィンドウ、初期送信レート等)を出力する。クライアントからの新たな接続要求がサーバに到達するときに、サーバはクライアントのIPアドレスに基づき該クライアントに対応するオブジェクトグループ識別子とネットワーク伝送パラメータを問い合わせて得る。サーバは、該ネットワーク伝送パラメータに基づきクライアントの要求に応答し、かつ相応なネットワークデータを送信する。本願の実施例に関する自己適応輻輳制御技術は、安定性が高く、制御が精密化されており、自己適応程度が高く、軽量化する等の利点を備えており、実行可能性を確実にすると同時に、ネットワークシステム全体の伝送性能を高めることにおいて有利である。
【0064】
本願の実施例の目的は、現在のネットワークトラフィックが自己適応輻輳制御を実現できないという難題を解決すると同時に、安定性、精密制御等の利点を両立させることである。本願の実施例が提案するユーザグループ(すなわち上記オブジェクトグループ)向けの自己適応輻輳制御技術の場合、該技術は、ネットワークによって測定された履歴情報と強化学習とを結合する方法により、機械学習が実行過程において遭遇する安定性の問題を効果的に解決し、ユーザグループの分割とユーザグループ向けのネットワーク測定の方式によって、個々のユーザグループのために特定の初期化ネットワークパラメータを設定し、ネットワークトラフィック送信初期段階に対する精密化制御を実現する。
【0065】
図3は、本願の実施例が提供する製品側の模式図である。図3に示すように、クラウドサーバ301Aは、ゲートウェイサーバ302Aと接続され、ゲートウェイサーバ302Aは、地域、オペレータ、アクセス方式等の異なる規則に基づき、クライアントIPを異なるユーザグループ(UG、User Group)303Aに分割し、かつ最新たなネットワーク状態に基づき強化学習の方式によって該ユーザグループのセッションのために専用の輻輳制御パラメータを設定する。ゲートウェイサーバ302Aがクライアントからの接続要求を受信したときに、クライアントIPに対応するユーザグループ識別子を問い合わせることによって、該ユーザグループに適合する(初期化)輻輳制御パラメータを取得し、かつ該輻輳制御パラメータに基づいてクライアントの要求に応答することができる。
【0066】
本願の実施例は、データ伝送制御方法をさらに提供する。該方法は、コンピュータ機器において使用することができ、該コンピュータ機器は、サーバであってもよい。図4に示すように、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法の別のフロー模式図であり、方法は、以下のステップS201~ステップS209を含む。
【0067】
ステップS201:サーバは、ユーザに対してグループ分割を行い、複数のユーザグループを獲得する。
【0068】
ここで、サーバは、ユーザに対応するクライアントのIPアドレスを地域、オペレータ、AS番号、アクセス方式等の規則に応じて分割し、クライアントのIPアドレスを異なるユーザグループに分割することができる。ここで個々のユーザグループの接続(又はセッション)は、同様のネットワーク転送経路を備えると同時に、同様のネットワーク状態情報も備える。ユーザグループの分割は、全てのクライアントのIPアドレスについて分割することに限定されず、いくつかの特定のIPアドレスプレフィックス、又はいくつかのトラフィックの割合がトラフィック割合閾値よりも大きいIPアドレスプレフィックスについて分割してもよい。
【0069】
いくつかの実施例において、ユーザグループを分割する規則は、全部の規則(すなわち地域、オペレータ、AS番号、アクセス方式等)に応じて分割することであってもよく、部分的な規則、例えば地域+オペレータ、地域+アクセス方式、地域に応じて分割することであってもよい。図5a、及び図5bは、ユーザクライアントのIPアドレスを分割する解決手段の模式図である。ここで、図5aは、全部の規則に応じて分割し、図5bは、部分的な規則(地域)に応じて分割する。
【0070】
【表1】
【0071】
表1は、ユーザグループの分割情報表であり、IPアドレスプレフィックスに応じてユーザグループの分割を行うことができる。同一のユーザグループに属するIPアドレスは、いずれも同じユーザグループ識別子を有する。
【0072】
ステップS202:サーバは、統計サイクル内のQoSデータに対し統計を取り、かつ統計を取ったQoSデータに基づき各々のユーザグループのQoSデータを計算して獲得する。
【0073】
本願の実施例において、サーバは、各データストリームのネットワークのQoS情報(すなわちQoSデータ)とクライアントのIPアドレスを記録することができる。たとえば、各ストリームが終了するときに、サーバは、このストリームの関連QoS情報とクライアントのIPアドレスをサーバのログファイルにおいて書き込むことになる。QoS情報は、最小RTT(min_rtt)、最大RTT(max_rtt)、平滑化RTT(srtt)、最大移動量(max_inflight)、有効スループット(goodput)、再伝送率(retran_ratio)、初期ウィンドウ(init_cwnd)、最大ウィンドウ(max_cwnd)等の情報を含む。すなわち、上記QoS情報は、ネットワークのサービス品質を指示する。サーバは、各データストリームの伝送が終了した後に、該データストリームのIPアドレス、及び該データストリームの最小RTT(min_rtt)、最大RTT(max_rtt)、平滑化RTT(srtt)、最大移動量(max_inflight)、有効スループット(goodput)、再伝送率(retran_ratio)、初期ウィンドウ(init_cwnd)、最大ウィンドウ(max_cwnd)等の情報を記録することになり、それによりデータストリームのQoS情報に対する取得を実現する。
【0074】
サーバは、一定の期間(統計サイクルT)おきに個々のユーザグループのサイクルT内のQoS平均値、及び関連する分位点値(例えば50分位点、又は90分位点のQoS値)を統計することができる。たとえば、サーバ側は、ログファイルの中から各ストリームのQoS情報とクライアントのIPアドレスを1つずつ読み取り、IPアドレスとユーザグループ識別子との間の対応関係を問い合わせることによって、各データストリームのユーザグループ識別子を得る。かつ同じユーザグループ識別子を有するデータストリームのQoS情報に平均値、又は関連する分位点(例えば50又は90分位点)を取る。
【0075】
たとえば、時間サイクルT=15minsであり、この期間に含まれるIPアドレスが192.168.0.0/24のセッションは、100個あり、IPアドレスが192.168.1.0/24、及び192.168.2.0/24のセッションは、それぞれ200個あり、IPアドレスが192.168.3.0/24、及び192.168.4.0/24のセッションは、それぞれ50個ある。従って、ユーザグループ1(UG_1)のセッションの数量は、500であり、ユーザグループ2(UG_2)のセッションの数量は、100である。本願の実施例において、UG_1における500個のセッションのQoS平均値(QoS_avg_1)は、それぞれ最小RTT平均値(min_rtt_avg_1)、最大RTT平均値(max_rtt_avg_1)、平滑化RTT平均値(srtt_avg_1)、有効スループット平均値(goodput_avg_1)、再伝送率平均値(retran_ratio_avg_1)、初期ウィンドウ平均値(init_cwnd_avg_1)、及び最大ウィンドウ平均値(max_cwnd_avg_1)であり、UG_2における100個のセッションのQoS平均値(QoS_avg_2)は、それぞれ最小RTT平均値(min_rtt_avg_2)、最大RTT平均値(max_rtt_avg_2)、平滑化RTT平均値(srtt_avg_2)、有効スループット平均値(goodput_avg_2)、再伝送率平均値(retran_ratio_avg_2)、初期ウィンドウ平均値(init_cwnd_avg_2)、及び最大ウィンドウ平均値(max_cwnd_avg_2)であると仮定する。従って、UG_1の報奨値(reward)は、goodput_avg_1/srtt_avg_1であり、UG_2の報奨値は、goodput_avg_2/srtt_avg_2である。
【0076】
いくつかの実施例において、一定の期間おきに個々のユーザグループの前の時間サイクルのQoS情報を測定しかつ統計を取ることは、サーバにおけるネットワーク測定モジュールによって実現することができる。図6は、本願の実施例が提供するネットワーク測定モジュールによるQoS情報の測定を実現するフロー模式図である。図6に示すように、先ず、セッションログ情報601とユーザグループ情報602を取得し、次に、取得されたセッションログ情報601とユーザグループ情報602に対してネットワーク測定とデータ統計603を行い、それにより異なるユーザグループのQoS情報を獲得する。例えば図6において示されるユーザグループ1のQoS情報、ユーザグループ2のQoS情報……ユーザグループnのQoS情報となり、nは、2よりも大きい整数である。
【0077】
ステップS203:サーバは、各々のユーザグループのQoSデータに対して重み付け計算を行い、かつ重み付け計算により獲得されたデータを強化学習モデルの状態値とする。
【0078】
さらには、サーバは、各々のユーザグループの重み係数を取得することができ、該重み係数は、ユーザが手動で設定するものであってもよく、ユーザグループにおけるユーザの数量に基づき計算して獲得されるものであってもよい。各々のユーザグループの重み係数を決定した後に、各々のユーザグループの重み係数に基づいて各々のユーザグループのQoSデータに対して重み付け計算を行い、かつ重み付け計算により獲得された結果を強化学習モデルの状態値とすることができる。
【0079】
いくつかの実施例において、サーバにおける知能学習モジュールによって各々のユーザグループのQoSデータに対して重み付け計算を行うことができる。別のいくつかの実施例において、知能学習モジュールは、サーバに位置してもよく、又は、知能学習モジュールは、ゲートウェイに位置してもよく、遠位端の専用サーバに位置してもよい。知能学習モジュールにおいては1つの強化学習モデルが含まれ、該強化学習モデルは、複数のユーザグループトラフィックについて伝送された初期化パラメータの制御を実現することができる。すなわち、該強化学習モデルは、複数のユーザグループのトラフィックのために輻輳制御パラメータの設定を行うことができる。
【0080】
本願の実施例において、サーバは、QoS情報をユーザグループに応じて重み付けし、ここでユーザグループiのQoSデータは、QoS_iと表記され、QoS_iの重みは、w_iと表記される。このとき、重み付け後のQoSは、式(1)に示される。
【0081】
【数1】
【0082】
ステップS204:サーバは、各々のユーザグループQoSデータにおける有効スループットデータと平滑化往復伝送時間データを抽出し、かつ有効スループットデータと平滑化往復伝送時間データとの比を計算し、該比を強化学習モデルの報奨値として決定する。
【0083】
本願の実施例において、サーバは、各々のユーザグループのQoSデータにおける有効スループットデータgoodputと平滑化往復伝送時間データsrttを抽出し、かつ有効スループットデータgoodputと平滑化往復時間データsrttとの比を計算し、該比を強化学習モデルの報奨値として決定する。ここで、強化学習モデルの報奨値Rewardの計算式は、以下の式(2)に示される。
【0084】
【数2】
【0085】
いくつかの実施例において、式(2)における有効スループットデータ(goodput)をスループット(throughput)に置き換えるか、又は、さらに、データのアプリケーション層からネットワーク層までのダウンロードレート(download_speed)に置き換えることができる。別のいくつかの実施例において、さらに、式(2)における有効スループットデータ(goodput)を平均RTT、最小RTT、又は最大RTTに置き換えることができる。
【0086】
ステップS205:サーバは、強化学習モデルに基づいて状態値、及び各々のユーザグループに対応する報奨値に対して強化学習を行い、強化学習モデルにより出力された各々のユーザグループに対応する学習パラメータを獲得する。
【0087】
強化学習モデルの状態値と報奨値を決定した後に、上記状態値と報奨値を強化学習モデルに入力して強化学習を行い、強化学習モデルにより出力されたパラメータαを獲得することができる。ここで、ここでの強化学習モデルは、1つの強化学習モデルであってもよく、複数の強化学習モデルであってもよい。異なるユーザグループは、強化学習モデルに異なる報奨値を提供するため、異なるユーザグループに対しては、強化学習モデルにより学習された学習パラメータも同じではない。例を挙げて言えば、強化学習モデルの出力は、パラメータセット{-1、-0.5、0、0.5、1}のうちの1つ(αと表記され、デフォルト値が0である)であってもよい。
【0088】
図7は、本願の実施例が提供する知能学習モジュールの処理のフロー模式図である。図7に示すように、知能学習モジュール700において入力された強化学習モデル701の入力パラメータは、ユーザグループ重み付けQoSデータ702である。ユーザグループ重み付けQoSデータ702は、RTT、有効スループットデータ(goodput)、最大移動量(max_inflight)、報奨値を含むが、これらに限定されない。強化学習モデル701の出力は、パラメータαである。
【0089】
ステップS206:サーバは、各々のユーザグループに対応する学習パラメータと各々のユーザグループのQoS情報に基づいて相応なユーザグループに対応するデータ伝送パラメータを計算する。
【0090】
ここで、各々のユーザグループに対応する学習パラメータを学習して獲得した後に、さらに各々のユーザグループの学習パラメータとQoS情報に基づき該ユーザグループに対応するデータ伝送パラメータを計算することができる。ここでは、データ伝送パラメータは、初期化輻輳制御パラメータとも呼ぶことができ、各々のユーザグループのデータ伝送パラメータは、初期送信ウィンドウinit_cwndと初期RTTの値init_rttを含み、ここで、初期送信ウィンドウinit_cwndと初期RTTの値init_rttは、以下の式(3)と式(4)に応じて計算することができる。
【0091】
【数3】
【0092】
たとえば、上記ユーザグループ1、すなわちUG_1に対しては、ユーザグループ1の初期化輻輳制御パラメータ、すなわちユーザグループ1の初期送信ウィンドウinit_cwnd_1とユーザグループ1の初期RTTの値init_rtt_1の計算式は、以下の式(5)と式(6)に示される。
【0093】
【数4】
【0094】
ここで、min_rtt_avg_1は、ユーザグループ1の最小RTT平均値を表し、goodput_avg_1は、ユーザグループ1の有効スループット平均値を表す。
【0095】
各々のユーザグループに対しては、いずれも上記方法を採用して該ユーザグループのデータ伝送パラメータを計算して獲得することができる。次に各々のユーザグループのデータ伝送パラメータを保存することで使用に備えることができる。表2に示すように、保存された初期化パラメータリストの模式図である。
【0096】
【表2】
【0097】
本願の実施例において、上記データ伝送パラメータの計算過程は、自己適応制御モジュールによって実現することができる。図8は、本願の実施例が提供する自己適応制御モジュールの処理過程の模式図である。図8に示すように、自己適応制御モジュールは、ユーザグループiのQoS情報(QoS_i)とパラメータαに基づいて、パラメータ計算の方式によって個々のユーザグループ(UG_i)のために該ユーザグループに適用される初期輻輳パラメータ値を計算する。本願の実施例において、全てのユーザグループの初期輻輳パラメータは、初期パラメータリストを共同で構成し、例えば図8において最終的に獲得されたデータ伝送パラメータにおけるUG_1、UG_2……UG_nに対応するinit_rttとinit_cwndである。
【0098】
ステップS207:サーバがユーザクライアントから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、ユーザクライアントのIPアドレスを取得する。
【0099】
サーバがユーザクライアントから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、該接続要求において含まれるIPアドレスを取得することができる。
【0100】
ステップS208:サーバは、ユーザクライアントのIPアドレスに基づき対応するグループ情報を決定し、かつ該グループ情報に対応するデータ伝送パラメータを決定する。
【0101】
ユーザクライアントのIPアドレスを取得した後に、さらに該ユーザクライアントに対応するグループ情報を決定し、及びさらにグループ情報に基づいて初期化パラメータリストにおいて該グループに対応する初期化パラメータを見つける。すなわち対応するデータ伝送パラメータを見つけることができる。
【0102】
ステップS209:サーバは、対応するデータ伝送パラメータに基づきユーザクライアントの接続要求に応答して、かつユーザクライアントにデータを送信する。
【0103】
本願の実施例において、サーバ側がユーザクライアントからのデータ伝送要求(たとえば1つのセッション要求であってもよい)を受信したときに、先ず、ユーザクライアントのIPアドレスに基づいてユーザグループ識別子(UG_i)を問い合わせる。次に得られたUG_iに基づき初期パラメータリストを問い合わせ、UG_iに対応する初期化輻輳パラメータinit_rttとinit_cwndを得る。最後に、サーバは、init_rttとinit_cwndでユーザクライアントのデータ伝送要求に応答し、かつデータを送信する。
【0104】
ユーザクライアントに対応するユーザグループのデータ伝送パラメータを決定した後に、該パラメータに基づきユーザクライアントのデータ接続要求に応答し、かつユーザクライアントに要求データを送信することができる。たとえば、もしユーザIDに基づきユーザが属するユーザグループがUG_2であると決定するならば、該ユーザグループの初期データ伝送パラメータにおける初期RTTがInit_rtt_2であり、初期cwndがInit_cwnd_2であると決定することができる。このようにして、ユーザクライアントにデータを送信するときの初期ネットワークパラメータにおけるRTTをInit_rtt_2に設定し、及び初期ネットワークパラメータにおけるcwndをInit_cwnd_2に設定し、次に相応なデータ伝送を行うことができる。
【0105】
関連技術における輻輳制御アルゴリズムは、2つの種類に分けることができる。1つは、専門家の経験に基づく「規則式」輻輳制御アルゴリズムであり、この種類のアルゴリズムは、パケットロス情報、時間遅延情報、又は帯域幅検出情報等の方式に基づいて現在のネットワークにおいて輻輳現象が出現するか否かを判断し、それにより輻輳回避等のアクションを実行する。これらの方法は、ネットワーク人員の経験に依存して輻輳回避の方式を設定することが多く、ネットワーク状態と関連ビジネス(例えばオーディオビデオビジネス)に対して非常に良好な適応性が不足しており、ネットワーク伝送性能の最適化による収益が比較的少なくなっている。もう1つの種類の輻輳制御アルゴリズムは、主に、人工知能の方式に基づいており、このような種類の方法は、既存の輻輳制御アルゴリズムを完全に覆すか、安定性、精密制御等の面で多くの問題が存在するため本格的に配備することができない。本願の実施例が提案するユーザグループ向けの自己適応輻輳制御方法(すなわち上記データ伝送制御方法)は、上記問題を比較的良好に解決することができ、ネットワーク測定技術を利用することによって、従来の輻輳制御の利点を保留し、新たな輻輳制御パラメータが従来の輻輳制御アルゴリズムを基礎上として設定され、関連技術における機械学習に基づく輻輳制御アルゴリズムが収束性上で直面するチャレンジを回避し、提案される自己適応輻輳制御方法の安定性を一定の程度上で保証することができる。それと同時に、本願の実施例は、地域、オペレータ、アクセス方式等の規則に基づきクライアントIPを異なるユーザグループに分割し、かつ強化学習の方式に基づいて、単一の強化学習モジュールによって個々のユーザグループのために専用の初期化輻輳制御パラメータを設定し、ネットワークトラフィック伝送過程における輻輳回避の精密化及び軽量化制御を実現する。本願の実施例が提案する自己適応輻輳制御方法は、既存の輻輳制御アルゴリズムの初期化パラメータの設定等の面で比較的大きな収益を手に入れることができ、ビデオオーディオトラフィックのネットワーク伝送性能を向上させることができ、オーディオビデオビジネスの競争力を向上させることにおいて有利である。
【0106】
図9は、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法のさらに別のフロー模式図である。図9に示すように、該フローは、ネットワーク測定モジュール10、知能学習モジュール20、パラメータ計算モジュール30、及び伝送制御モジュール40の4つのモジュールにより実行することができる。ここで、ネットワーク測定モジュール10は、複数のユーザの履歴ネットワークパフォーマンスデータ101を取得することができ、またユーザをIPアドレスに応じて複数のユーザグループに分割し、個々のユーザのユーザグループ情報102を獲得し、かつ個々のユーザの履歴ネットワークパフォーマンスデータ101に基づいて個々のユーザグループに対応するグループネットワークパフォーマンスデータを決定することができる。さらには、ネットワーク測定モジュール10は、さらに、複数のユーザグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、重み付けネットワークパフォーマンスデータ103を獲得することができる。知能学習モジュール20は、重み付けネットワークパフォーマンスデータを状態値とし、またグループネットワークパフォーマンスデータにおける有効スループットと平滑化RTTとの比を報奨値とし、強化学習モデルを経て強化学習を行い、学習されたデータ伝送品質指数を獲得することができる。パラメータ計算モジュール30は、強化学習モデル201により学習されたデータ伝送品質指数301を採用することで、各々のユーザグループに対応するデータ伝送パラメータ302を計算し、データ伝送パラメータリスト403を形成することができる。伝送制御モジュール40は、ユーザによりアップロードされたデータ伝送要求401を受信したときに、ユーザのIPアドレスに基づきユーザが属するユーザグループを決定し、ユーザグループ情報402を獲得し、次にデータ伝送パラメータリスト403においてそのユーザグループに対応するデータ伝送パラメータを問い合わせ、対応するデータ伝送パラメータを採用してデータ伝送過程に対してデータ伝送制御404を行うことができ、それによりデータ伝送の伝送性能を向上させることができる。
【0107】
上記の記述に基づき分かるように、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法は、複数のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得することによって、履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて各々のオブジェクトグループ(すなわち上記ユーザグループ)のグループネットワークパフォーマンスデータを計算する。オブジェクトグループは、複数のデータ伝送オブジェクトを分割して獲得されるグループであり、グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得し、かつ総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づいて、訓練後の強化学習モデルを呼び出して予測する。各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得し、データ伝送品質指数、及びグループネットワークパフォーマンスデータに基づき各々のオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを計算して獲得し、ターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつターゲットデータ伝送パラメータに基づいてデータ伝送過程を制御する。
【0108】
これにより、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法は、データ伝送オブジェクトに対してグループ分割を行い、次に個々のオブジェクトグループの最近の一定期間の履歴ネットワークパフォーマンスデータを採用して強化学習を行うことによって、各々のオブジェクトグループの現在の時間での最適なネットワークデータ伝送パラメータを獲得する。該方法は、ネットワークデータ伝送パラメータに対して微細化された制御を行い、それにより各々のデータ伝送オブジェクトのために現在の時間での最適なネットワークデータ伝送パラメータをマッチングすることができる。このようにしてデータ伝送オブジェクトのデータ伝送性能を大幅に向上させることができる。
【0109】
以上のデータ伝送制御方法をより良好に実施するために、本願の実施例は、データ伝送制御装置をさらに提供し、該データ伝送制御装置は、端末、又はサーバにおいて集積されてもよい。
【0110】
図10に示すように、本願の実施例が提供するデータ伝送制御装置の構造模式図である。該データ伝送制御装置は、取得ユニット1001と、第1計算ユニット1002と、学習ユニット1003と、第2計算ユニット1004と、制御ユニット1005とを含むことができる。ここで、取得ユニット1001は、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ上記履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算することであって、上記複数のオブジェクトグループは、上記複数のデータ伝送オブジェクトを分割することにより獲得される、ように構成されている。第1計算ユニット1002は、各々のオブジェクトグループの上記グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、上記複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するように構成されている。学習ユニット1003は、上記総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び上記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、上記各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するように構成されている。第2計算ユニット1004は、上記データ伝送品質指数、及び上記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するように構成されている。制御ユニット1005は、上記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、上記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつ上記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて上記データ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御するように構成されている。
【0111】
いくつかの実施例において、学習ユニットは、さらに、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づき相応なオブジェクトグループの強化学習パラメータを計算し、上記総合ネットワークパフォーマンスデータを上記強化学習モデルの状態値として決定し、上記強化学習パラメータを上記強化学習モデルの報奨値として決定し、上記状態値と上記報奨値を上記訓練後の強化学習モデルに入力し、上記訓練後の強化学習モデルによって各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を出力するように構成されている。
【0112】
いくつかの実施例において、第1計算ユニットは、さらに、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを取得し、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータにおいて有効スループットデータ、及び平滑化往復伝送時間データを抽出し、各々のオブジェクトグループに対応する有効スループットデータと平滑化往復伝送時間データとの間の比を計算し、上記比を相応なオブジェクトグループの強化学習パラメータとして決定するように構成されている。
【0113】
いくつかの実施例において、取得ユニットは、さらに、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトのインターネットプロトコルアドレスデータを取得し、且つ、各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、各々のデータ伝送オブジェクトのインターネットプロトコルアドレスデータに基づいて、上記複数のデータ伝送オブジェクトを複数のオブジェクトグループに分割し、各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するように構成されている。
【0114】
いくつかの実施例において、第2計算ユニットは、さらに、各々のオブジェクトグループにおける各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループに対応する履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合を決定し、各々の履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合における履歴ネットワークパフォーマンスデータの平均値を計算し、各々の履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合に対応する平均値を、相応なオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータとして決定するように構成されている。
【0115】
いくつかの実施例において、第1計算ユニットは、さらに、各々のオブジェクトグループの重み係数を取得し、上記重み係数に基づいて各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、上記複数のデータ伝送オブジェクトに対応する総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するように構成されている。
【0116】
いくつかの実施例において、第1計算ユニットは、さらに、各々のオブジェクトグループにおいて含まれるデータ伝送オブジェクトの数量を取得し、各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの数量と上記複数のデータ伝送オブジェクトの数量との間の比を、相応なオブジェクトグループの重み係数として決定するように構成されている。
【0117】
いくつかの実施例において、第2計算ユニットは、さらに、各々のオブジェクトグループ各自の上記グループネットワークパフォーマンスデータの中から、各々のオブジェクトグループの有効スループットデータ、及び最小往復伝送時間データを抽出し、各々のオブジェクトグループの有効スループットデータ、最小往復伝送時間データ、及びデータ伝送品質指数に基づいて、相応なオブジェクトグループの初期ウィンドウデータを計算し、各々のオブジェクトグループの初期ウィンドウデータに基づいて相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するように構成されている。
【0118】
いくつかの実施例において、制御ユニットは、さらに、上記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、上記ターゲットデータ伝送オブジェクトのターゲットインターネットプロトコルアドレスを取得し、上記ターゲットインターネットプロトコルアドレスに基づき上記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するターゲットオブジェクトグループを決定し、上記ターゲットオブジェクトグループのターゲットデータ伝送パラメータを取得し、上記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて上記ターゲットデータ伝送オブジェクトに対してデータ伝送を行うように構成されている。
【0119】
説明する必要がある点として、以上の各ユニットは、独立したエンティティとして実現されてもよく、任意に組み合わせられてもよく、同一の、又は複数のエンティティとして実現されてもよい。以上の各ユニットの具体的な実施は、上記方法実施例を参照すればよく、ここでは詳細な説明を省略する。
【0120】
上記の記述に基づき分かるように、本願の実施例が提供するデータ伝送制御装置は、取得ユニット1001によって複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算する。第1計算ユニット1002が、グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得する。学習ユニット1003が、総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得する。第2計算ユニット1004が、データ伝送品質指数、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定する。複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、制御ユニット1005が、ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつターゲットデータ伝送パラメータに基づいてデータ伝送過程を制御する。
【0121】
これにより、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法は、データ伝送オブジェクトに対してグループ分割を行い、次に個々のオブジェクトグループの最近の一定期間の履歴ネットワークパフォーマンスデータを採用して強化学習を行うことによって、各々のオブジェクトグループの現在の時間での最適なネットワークデータ伝送パラメータを獲得する。該データ伝送制御方法は、ネットワークデータ伝送パラメータに対して微細化された制御を行い、それにより各々のデータ伝送オブジェクトのために現在の時間での最適なネットワークデータ伝送パラメータをマッチングすることができる。このようにしてデータ伝送オブジェクトのデータ伝送性能を大幅に向上させることができる。
【0122】
本願の実施例は、コンピュータ機器をさらに提供する。該コンピュータ機器は、端末、又はサーバであってもよい。図11に示すように、本願の実施例が提供するコンピュータ機器の構造模式図である。該コンピュータ機器は、1つ、又は1つ以上の処理コアの処理ユニット1101、1つ、又は1つ以上の記憶媒体の記憶ユニット1102、電源モジュール1103、及び入力モジュール1104等の部材を含むことができる。当業者であれば理解できるように、図11において示されているコンピュータ機器の構造は、コンピュータ機器に対する限定を構成するものではなく、図示されるものより多い、又はより少ない部材を含んでもよく、又はいくつかの部材を組み合わせ、又は異なる部材で配置されてもよい。ここで、処理ユニット1101は、該コンピュータ機器の制御センタであり、各種のインターフェースと回線を利用してコンピュータ機器全体の各部分を接続し、記憶ユニット1102内に記憶されるソフトウェアプログラムとモジュールのうちの少なくとも1つを動作させ、又は実行し、また記憶ユニット1102内に記憶されるデータを呼び出すことによって、コンピュータ機器の各種の機能と処理データを実行する。いくつかの実施例において、処理ユニット1101は、1つ、又は複数の処理コアを含むことができ、処理ユニット1101は、アプリケーションプロセッサとモデムプロセッサを集積することができる。ここで、アプリケーションプロセッサは、主に、オペレーティングシステム、オブジェクトインタフェース、及びアプリケーションプログラム等を処理し、モデムプロセッサは、主に、無線通信を処理する。理解できるように、上記モデムプロセッサは、処理ユニット1101において集積されなくてもよい。
【0123】
記憶ユニット1102は、ソフトウェアプログラム、及びモジュールを記憶するように構成されてもよく、処理ユニット1101は、記憶ユニット1102に記憶されるソフトウェアプログラム、及びモジュールを動作することによって、各種の機能アプリケーション、及びデータ処理を実行してもよい。記憶ユニット1102は、主に、プログラム記憶領域とデータ記憶領域を含むことができる。ここで、プログラム記憶領域は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラム(例えば、音声再生機能、画像再生機能、及びウェブページアクセス等)等を記憶することができ、データ記憶領域は、コンピュータ機器の使用に基づき新規作成されたデータ等を記憶することができる。また、記憶ユニット1102は、高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、不揮発性メモリ、たとえば少なくとも1つの磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、又はその他の揮発性固体記憶デバイスをさらに含むことができる。記憶ユニット1102は、メモリコントローラをさらに含むことで、処理ユニット1101の記憶ユニット1102に対するアクセスを提供することができる。
【0124】
コンピュータ機器は、各部材に電力を供給する電源モジュール1103をさらに含み、電源モジュール1103は、電源管理システムによって処理ユニット1101と論理的に接続され、それにより電源管理システムによって充電、放電管理、及び消費電力管理等の機能を実現することができる。電源モジュール1103は、1つ、又は1つ以上の直流、又は交流電源、再充電システム、電源故障検出回路、電源変換器、又はインバータ、及び電源状態インジケータ等の任意のコンポーネントをさらに含むことができる。
【0125】
いくつかの実施例において、該コンピュータ機器は、入力モジュール1104をさらに含むことができ、該入力モジュール1104は、入力された数字、又は文字情報を受信し、またオブジェクト設定、及び機能制御に係るキーボード、マウス、操作レバー、光学、又はトラックボール信号入力を生成するように構成されてもよい。
【0126】
ここに示されてはいないが、コンピュータ機器は、表示ユニット等をさらに含むことができるが、詳細な説明は省略する。本実施例において、コンピュータ機器における処理ユニット1101は、以下の命令に応じて、1つ、又は1つ以上のアプリケーションプログラムのプロセスに対応する実行可能命令を記憶ユニット1102においてアップロードし、かつ処理ユニット1101により記憶ユニット1102において記憶されるアプリケーションプログラムを動作させることにより、各種の機能を実現することができる。たとえば、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算する機能と、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得する機能と、総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得する機能と、データ伝送品質指数、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定する機能と、複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつターゲットデータ伝送パラメータに基づいてデータ伝送過程を制御する機能と、が挙げられる。
【0127】
説明されているように、本願の実施例が提供するコンピュータ機器は、上記実施例における方法と同一の構想に属しており、以上の各操作の具体的な実施は、上記実施例を参照すればよく、ここでは詳細な説明を省略する。
【0128】
当業者であれば理解できるように、上記実施例の各種の方法における全部、又は一部のステップは、命令によって完了することができる、又は命令によって関連するハードウェアを制御して完了することができる。該命令は、1つのコンピュータ可読記憶媒体において記憶され、かつプロセッサによりアップロード、及び実行されることができる。
【0129】
これにより、本願の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、ここで複数の実行可能命令が記憶されている。該実行可能命令は、プロセッサによりアップロードされることで、本願の実施例が提供するいずれかの方法におけるステップを実行することができる。たとえば、該実行可能命令は、複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップと、各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するステップと、総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するステップと、データ伝送品質指数、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するステップと、複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつターゲットデータ伝送パラメータに基づいてデータ伝送過程を制御するステップと、を実行することができる。
【0130】
以上の各操作の具体的な実施は、上記実施例を参照すればよく、ここでは詳細な説明を省略する。
【0131】
該コンピュータ可読記憶媒体は、読み取り専用メモリ(ROM、Read Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク、又は光ディスク等を含むことができる。
【0132】
該コンピュータ可読記憶媒体において記憶される実行可能命令は、本願の実施例が提供するいずれかの方法におけるステップを実行することができる。従って、本願の実施例が提供するいずれかの方法が実現できる有益な効果を実現することもできるが、詳細は、上記実施例を参照し、ここでは詳細な説明を省略する。
【0133】
本願の実施例の1つの態様に基づき、コンピュータプログラム製品、又はコンピュータプログラムを提供する。該コンピュータプログラム製品、又はコンピュータプログラムは、実行可能命令を含み、該実行可能命令は、コンピュータ可読記憶媒体において記憶される。コンピュータ機器のプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体から該実行可能命令を読み取り、プロセッサは、該実行可能命令を実行し、該コンピュータ機器が上記データ伝送制御方法における各種の選択可能な実現形態において提供する方法を実行するようにする。
【0134】
以上、本願の実施例が提供するデータ伝送制御方法、装置、コンピュータ可読記憶媒体、コンピュータ機器、及びコンピュータプログラム製品を詳細に紹介した。本明細書において具体的な例を応用して本願の原理、及び実施形態を詳述しているが、以上の実施例の説明は、本願の方法、及びその核心的な思想の理解を助けることに用いられるものに過ぎない。同時に、当業者にとって、本願の思想を根拠として、具体的な実施形態、及び応用範囲のいずれに対しても変更を行うことができる。以上より、本明細書の内容は、本願に対する限定として理解されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記方法は、コンピュータ機器により実行される、データ伝送制御方法であって、前記方法は、
複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ前記履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップであって、前記複数のオブジェクトグループは、前記複数のデータ伝送オブジェクトを分割することにより獲得される、ステップと、
各々のオブジェクトグループの前記グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、前記複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するステップと、
前記総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、前記各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するステップと、
前記データ伝送品質指数、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するステップと、
前記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、前記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつ前記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて前記データ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御するステップと、を含む、データ伝送制御方法。
【請求項2】
前記総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、前記各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するステップは、
各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づき相応なオブジェクトグループの強化学習パラメータを計算するステップと、
前記総合ネットワークパフォーマンスデータを前記強化学習モデルの状態値として決定し、前記強化学習パラメータを前記強化学習モデルの報奨値として決定するステップと、
前記状態値と前記報奨値を前記訓練後の強化学習モデルに入力し、前記訓練後の強化学習モデルによって各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を出力するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに基づき相応なオブジェクトグループの強化学習パラメータを計算するステップは、
各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを取得するステップと、
各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータにおいて有効スループットデータ、及び平滑化往復伝送時間データを抽出するステップと、
各々のオブジェクトグループに対応する有効スループットデータと平滑化往復伝送時間データとの間の比を計算するステップと、
前記比を相応なオブジェクトグループの強化学習パラメータとして決定するステップと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ前記履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップは、
複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトのインターネットプロトコルアドレスデータを取得し、且つ、各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得するステップと、
各々のデータ伝送オブジェクトのインターネットプロトコルアドレスデータに基づいて、前記複数のデータ伝送オブジェクトを複数のオブジェクトグループに分割するステップと、
各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するステップは、
各々のオブジェクトグループにおける各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループに対応する履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合を決定するステップと、
各々の履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合における履歴ネットワークパフォーマンスデータの平均値を計算するステップと、
各々の履歴ネットワークパフォーマンスデータ集合に対応する平均値を、相応なオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータとして決定するステップと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各々のオブジェクトグループの前記グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、前記複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するステップは、
各々のオブジェクトグループの重み係数を取得するステップと、
前記重み係数に基づいて各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、前記複数のデータ伝送オブジェクトに対応する総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
各々のオブジェクトグループの重み係数を取得するステップは、
各々のオブジェクトグループにおいて含まれるデータ伝送オブジェクトの数量を取得するステップと、
各々のオブジェクトグループにおけるデータ伝送オブジェクトの数量と前記複数のデータ伝送オブジェクトの数量との間の比を、相応なオブジェクトグループの重み係数として決定するステップと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記データ伝送品質指数、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定する前記ステップは、
各々のオブジェクトグループ各自の前記グループネットワークパフォーマンスデータの中から、各々のオブジェクトグループの有効スループットデータ、及び最小往復伝送時間データを抽出するステップと、
各々のオブジェクトグループの有効スループットデータ、最小往復伝送時間データ、及びデータ伝送品質指数に基づいて、相応なオブジェクトグループの初期ウィンドウデータを計算するステップと、
各々のオブジェクトグループの初期ウィンドウデータに基づいて相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、前記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつ前記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて前記データ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御するステップは、
前記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、前記ターゲットデータ伝送オブジェクトのターゲットインターネットプロトコルアドレスを取得するステップと、
前記ターゲットインターネットプロトコルアドレスに基づき前記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するターゲットオブジェクトグループを決定するステップと、
前記ターゲットオブジェクトグループのターゲットデータ伝送パラメータを取得するステップと、
前記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて前記ターゲットデータ伝送オブジェクトに対してデータ伝送を行うステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
データ伝送制御装置であって、前記装置は、
複数のデータ伝送オブジェクトのうちの各々のデータ伝送オブジェクトの履歴ネットワークパフォーマンスデータを取得し、かつ前記履歴ネットワークパフォーマンスデータに基づいて複数のオブジェクトグループのうちの各々のオブジェクトグループのグループネットワークパフォーマンスデータを計算するように構成される取得ユニットであって、前記複数のオブジェクトグループは、前記複数のデータ伝送オブジェクトを分割することにより獲得される、取得ユニットと、
各々のオブジェクトグループの前記グループネットワークパフォーマンスデータに対して重み付け計算を行い、前記複数のデータ伝送オブジェクトの総合ネットワークパフォーマンスデータを獲得するように構成される第1計算ユニットと、
前記総合ネットワークパフォーマンスデータ、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータを訓練後の強化学習モデルに入力し、前記各々のオブジェクトグループのデータ伝送品質指数を獲得するように構成される学習ユニットと、
前記データ伝送品質指数、及び前記各々のオブジェクトグループ各自のグループネットワークパフォーマンスデータに基づき、相応なオブジェクトグループのデータ伝送パラメータを決定するように構成される第2計算ユニットと、
前記複数のデータ伝送オブジェクトのうちのいずれか1つのターゲットデータ伝送オブジェクトから送信されたデータ伝送要求を受信したときに、前記ターゲットデータ伝送オブジェクトが属するオブジェクトグループに基づきターゲットデータ伝送パラメータを決定し、かつ前記ターゲットデータ伝送パラメータに基づいて前記データ伝送要求に対応するデータ伝送過程を制御するように構成される制御ユニットと、を含む、データ伝送制御装置。
【請求項11】
コンピュータ機器であって、メモリと、プロセッサと、前記メモリにおいて記憶されかつ前記プロセッサ上で動作することができる実行可能命令と、を含み、前記プロセッサは、前記実行可能命令を実行するときに、請求項1~9のいずれか1項に記載のデータ伝送制御方法を前記コンピュータ機器に実現させるように構成されている、コンピュータ機器。
【請求項12】
ンピュータプログラムであって
ンピュータ機器のプロセッサが前記コンピュータプログラムを実行するときに、前記コンピュータ機器に請求項1~9のいずれか1項に記載のデータ伝送制御方法を実現させるように構成されている、コンピュータプログラム。
【国際調査報告】