(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】光学小滴分析のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20241112BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20241112BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20241112BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20241112BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20241112BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/112
B29C64/209
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532823
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 EP2022082897
(87)【国際公開番号】W WO2023099295
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522196674
【氏名又は名称】クアンティカ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】QUANTICA GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハートコップ,ベン
(72)【発明者】
【氏名】フェルバー,ルートビヒ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP06
4F213AP11
4F213AP12
4F213AQ01
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL85
(57)【要約】
3Dプリントヘッドのための光学小滴分析のための方法およびシステム。ここで、システムは、コリメート光ビームを発するように構成されている発光ユニットであって、光ビームは、3Dプリントヘッドから吐出された小滴の飛行経路と本質的に交差するように向けられる、発光ユニットと、小滴の飛行経路に関して発光ユニットとは反対の位置に光ビーム内で位置付けられた光検出ユニットであって、光ビームの断面に本質的に対応するエリア内で、小滴が光ビームを通過することによって引き起こされる、干渉パターンを直接検出するように、光検出ユニットが構成されている、光検出ユニットと、小滴の、少なくとも1つのパラメータを推定するために、検出された干渉パターンを処理するように構成されている処理ユニットと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリントヘッドのための光学小滴分析のためのシステムであって、前記システムが、
コリメート光ビームを発するように構成されている発光ユニットであって、前記光ビームが、前記3Dプリントヘッドから吐出された小滴の飛行経路と本質的に交差するように向けられる、発光ユニットと、
前記小滴の前記飛行経路に関して前記発光ユニットとは反対の位置に前記光ビーム内で位置付けられた光検出ユニットであって、前記光ビームの断面に本質的に対応するエリア内で、前記小滴が前記光ビームを通過することによって引き起こされる、干渉パターンを直接検出するように、前記光検出ユニットが構成されている、光検出ユニットと、
前記小滴の、少なくとも1つのパラメータを推定するために、検出された前記干渉パターンを処理するように構成されている処理ユニットと
を備える、システム。
【請求項2】
前記処理ユニットが、前記干渉パターンの中心暗エリアの中心に基づいて前記小滴の中心を推定するように構成され、
前記処理ユニットが、前記干渉パターンの中心暗エリアの直径に基づいて前記小滴の直径を推定するように構成され、または
前記処理ユニットが、前記干渉パターンの中心暗エリアの形状に基づいて前記小滴の形状を推定するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理ユニットが、前記干渉パターンの中心暗エリアの中心に基づいて前記小滴の中心を推定するように構成され、
前記処理ユニットが、前記干渉パターンの中心暗エリアの直径に基づいて前記小滴の直径を推定するように構成され、かつ
前記処理ユニットが、前記干渉パターンの中心暗エリアの形状に基づいて前記小滴の形状を推定するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理ユニットが、より高次の干渉効果の分析に基づいて、前記中心位置、前記直径、および前記形状のうちの、少なくとも1つについて推定するように構成されている、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
光ビームが、レーザビームであり、
前記レーザビームが、550nm~750nm、好ましくは600nm~690nmの波長を有し、
前記レーザビームが、前記小滴直径の8倍~170倍の直径を有し、または
前記レーザビームが、0.22~0.31mm mradのビームパラメータ積を有し、それぞれのM
2値が、1~1.3である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
光ビームが、レーザビームであり、
前記レーザビームが、550nm~750nm、好ましくは600nm~690nmの波長を有し、
前記レーザビームが、前記小滴直径の8倍~170倍の直径を有し、かつ
前記レーザビームが、0.22~0.31mm mradのビームパラメータ積を有し、それぞれのM
2値が、1~1.3である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記光検出ユニットが、アレイ画像センサ、好ましくはCMOS画像センサであり、センサエリアを有し、
前記光検出ユニットが、前記光検出ユニットの前記位置における前記光ビームの寸法に本質的に対応する寸法を有し、または
前記光検出ユニットが、前記センサエリアの少なくとも0.015%のエリアのサイズで小滴を分解するように構成されている、
請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記光検出ユニットが、アレイ画像センサ、好ましくはCMOS画像センサであり、センサエリアを有し、
前記光検出ユニットが、前記光検出ユニットの前記位置における前記光ビームの寸法に本質的に対応する寸法を有し、かつ
前記光検出ユニットが、前記センサエリアの少なくとも0.015%のエリアのサイズで小滴を分解するように構成されている、
請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
光源および/または前記光検出ユニットが、パルスモードで動作させられ、単一の小滴の1つの画像を捕捉するために前記小滴吐出にまたは互いに同期される、
請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記光源および/または前記光検出ユニットが、パルスモードで動作させられ、単一の小滴の1つの画像を捕捉するために前記小滴吐出におよび互いに同期される、
請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記発光ユニットおよび前記光検出ユニットのうちの、少なくとも一方が、前記3Dプリントヘッドと対照して機械的に参照可能であり、または
前記処理ユニットが、前記光ビーム中心に対して相対的な前記3Dプリントヘッドの位置を計算するように構成されている、
請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記発光ユニットおよび前記光検出ユニットのうちの、少なくとも一方が、前記3Dプリントヘッドと対照して機械的に参照可能であり、かつ
前記処理ユニットが、前記光ビーム中心に対して相対的な前記3Dプリントヘッドの位置を計算するように構成されている、
請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記処理ユニットが、検出された前記干渉パターン内の少なくとも中心暗領域を検出するように、ならびに前記中心暗領域の前記中心位置、直径、および形状のうちの少なくとも1つを決定するように、構成されている、
請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記検出が、エッジ検出アルゴリズムに基づく、
請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記検出が、キャニーエッジ検出オペレータに基づく、
請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
3Dプリントヘッドの最適化のためのシステムであって、少なくとも1つの調整可能な吐出パラメータを有する、3Dプリントヘッドと、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステムと、コントローラユニットと、を備え、
前記コントローラユニットが、過去の小滴の、決定された小滴パラメータに基づいて、次の小滴についての、前記吐出パラメータを最適化するように構成されている、システム。
【請求項17】
前記コントローラユニットが、過去の小滴の、前記決定された小滴パラメータに基づいて、所定の目標点に基づいて、次の小滴についての、前記吐出パラメータを最適化するように構成されている、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
光学小滴分析のための方法であって、
コリメート光ビームを発するように発光ユニットを動作させることであって、前記光ビームが、3Dプリントヘッドから吐出された小滴の飛行経路と本質的に交差するように向けられる、動作させることと、
前記光ビームの断面に本質的に対応するエリア内で、前記小滴が前記光ビームを通過することによって引き起こされる、干渉パターンを光検出ユニットで直接検出することであって、前記光検出ユニットが、前記小滴の前記飛行経路に関して前記発光ユニットとは反対の位置に前記光ビーム内で位置付けられる、検出することと、
前記小滴の、少なくとも1つのパラメータを推定するために、検出された前記干渉パターンを処理ユニットで処理することと
を含む、方法。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載のシステムを有し、請求項18に記載の方法を実行するように構成されている、3Dプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学小滴分析のための方法およびシステムに関する。特に、本発明は、好ましくはインクジェットタイプの、3Dプリンティングシステムのための光学小滴分析のための方法およびシステムに関する。本発明はまた、3Dプリントヘッドの最適化のためのシステムに、および3Dプリンタに関する。
【0002】
言い換えれば、本発明は、液体材料の小滴サイズ、小滴吐出性能、およびプリントヘッドによって吐出される小滴の位置決めなどのパラメータを評価するための光学システムに関する。さらにその上、プリントヘッドの位置の評価を実行してもよい。
【0003】
この説明では、それはしばしば「プリントヘッド」と呼ばれる。そのようなプリントヘッドは、例えば欧州特許出願公開第3825100号明細書に説明されている。当該出願のプリントヘッドおよび材料吐出システムの、すべての技術的詳細はこれにより、参照により組み込まれる。しかしながら、本発明の方法およびシステムはまた、液体材料小滴のための任意の他のプリントヘッドにも適している。
【0004】
一般的に言えば、プリントヘッドから小滴は吐出され、より具体的には、コントローラから受信された電気制御信号に基づいて、材料吐出ユニット(MEU:material ejection unit)から小滴は吐出される。典型的には、複数のMEUが、アレイ配列、典型的にはライン配置で提供される。プリントヘッドは、移動可能なプリントヘッドキャリアシステム内に設けられる。
【0005】
典型的なMEUは、ノズルまたは開口部とも呼ばれる、少なくとも1つの吐出オリフィスを有し、小滴は、そこから吐出される。電気制御信号は、アクチュエータ、好ましくはピエゾアクチュエータを制御し、それによって、小滴がオリフィスを通して吐出されることを、引き起こす。
【0006】
プリントヘッドの性能を最適化するために、複数の処理パラメータを適合させることができる。当該処理パラメータは、制御信号の電気的パラメータおよび/またはキャリアシステムの位置決めパラメータのうちの、1つ以上を含んでもよい。
【0007】
レーザビーム内の小滴によって引き起こされる干渉パターンの検出された画像に基づいて、吐出された小滴のいくつかの特性を直接推定することができることは、本発明の態様である。干渉パターンの分析は、当業者に知られているが、この分析が、簡略化されることができ、もたらされる推定が依然として、3Dプリントヘッドの小滴吐出の最適化ループのためのフィードバックパラメータとして適していることは、中核となる態様である。
【0008】
本発明による干渉パターンの検出は、費用効果的で速く、すなわちそれは、典型的な小滴吐出レートで実行されることができる。プリンティング中の典型的な吐出レートは、4.1kHzである。しかしながら、測定は、およそ100Hz~数10kHzまたはなおもより高くの、はるかにより広い範囲で可能である。
【0009】
さらにその上、中心影とも呼ばれる中心干渉最小の定量分析に基づいて推定を計算することができることは、本発明の別の態様である。この分析は、コンピュータ労力が少ないのであり、かつ、滴ずつの原理でコンピューティングすることができる。
【0010】
いっそうさらに、干渉パターンにおいて検出された、より高次の干渉パターンおよび/または輝点の、分析からさらなる情報を抽出することができることは、本発明の態様である。
【0011】
後者の分析は、小滴の純度および/または小滴における屈折率変化についての、情報を提供する。さらにその上、小滴の円形形状、および所定の屈折率を想定すると、小滴のy方向変位は、検出されたパターンの、外の明るいリングに基づいて推定することができる。
【0012】
小滴の測定可能な特性は、以下のもの、すなわち、z方向に沿った、xおよびy方向に沿った、負または正の並進を含んでもよい。小滴の測定可能な特性はさらに、小滴の形状を含んでもよい。当該形状は、多少円形または非円形であってもよいが、しかしながら、円形形状は一般に好ましい。小滴の測定可能な特性はさらに、小滴直径を含んでもよい。大まかに10~130ミクロン(すなわち、マイクロメートル)のサイズが好ましい。
【0013】
したがって、プリントヘッド内に備えられる1つ以上の吐出オリフィスの、特性付けおよび/または最適化のための、システムおよび方法を提供することは、本発明のねらいである。さらにその上、当該1つ以上のオリフィスの、小滴吐出性能は、評価され、かつ、好ましくはその後コントローラユニットを介して最適化されなければならない。最適化は好ましくは、吐出オリフィスの吐出性能を、好ましくは最善のプリンティングのための所定の閾値まで、復元する。
【0014】
上記のねらいは、独立請求項の主題によって達成される。従属請求項は、本発明のさらなる態様に関する。添付の特許請求の範囲が及ばない実施形態、ねらい、態様、および/または例に対する以下の説明における任意の参照は、本発明の一部ではないとして考慮される。
【0015】
本発明の実施形態によれば、3Dプリントヘッドのための光学小滴分析のためのシステムであって、システムが、コリメート光ビームを発するように構成されている発光ユニットであって、光ビームが、3Dプリントヘッドから吐出された小滴の飛行経路と本質的に交差するように向けられる、発光ユニットと、小滴の飛行経路に関して発光ユニットとは反対の位置に光ビーム内で位置付けられた光検出ユニットであって、光ビームの断面に本質的に対応するエリア内で、小滴が光ビームを通過することによって引き起こされる、干渉パターンを直接検出するように、光検出ユニットが構成されている、光検出ユニットと、小滴の、少なくとも1つのパラメータを推定するために、検出された干渉パターンを処理するように構成されている処理ユニットと、を備える、システムが提供される。
【0016】
処理ユニットが、干渉パターンの中心暗エリアの中心に基づいて小滴の中心を推定するように構成され、処理ユニットが、干渉パターンの中心暗エリアの直径に基づいて小滴の直径を推定するように構成され、かつ/または処理ユニットが、干渉パターンの中心暗エリアの形状に基づいて小滴の形状を推定するように構成されていることは、本発明の別の態様である。
【0017】
処理ユニットが、より高次の干渉効果の分析に基づいて、中心位置、直径、および形状のうちの、少なくとも1つについて推定するように構成されていることは、本発明の別の態様である。
【0018】
光ビームが、レーザビームであり、レーザビームが、550nm~750nm、好ましくは600nm~690nmの波長を有し、レーザビームが、小滴直径の8倍~170倍の直径を有し、かつ/またはレーザビームが、0.22~0.31mm mradのビームパラメータ積を有し、それぞれのM2値が、1~1.3であることは、本発明の別の態様である。
【0019】
光検出ユニットが、アレイ画像センサ、好ましくはCMOS画像センサであり、センサエリアを有し、光検出ユニットが、光検出ユニットの位置における光ビームの寸法に本質的に対応する寸法を有し、かつ/または光検出ユニットが、センサエリアの少なくとも0.015%のエリアのサイズで小滴を分解するように構成されていることは、本発明の別の態様である。
【0020】
光源および/または光検出ユニットが、パルスモードで動作させられ、単一の小滴の1つの画像を捕捉するために小滴吐出におよび/または互いに同期されることは、本発明の別の態様である。
【0021】
発光ユニットおよび光検出ユニットのうちの、少なくとも一方が、3Dプリントヘッドと対照して機械的に参照可能であり、かつ/または処理ユニットが、光ビーム中心に対して相対的な3Dプリントヘッドの位置を計算するように構成されていることは、本発明の別の態様である。
【0022】
処理ユニットが、検出された干渉パターン内の少なくとも中心暗領域を検出するように、ならびに中心暗領域の中心位置、直径、および形状のうちの少なくとも1つを決定するように、構成され、検出が、好ましくはエッジ検出アルゴリズムに基づき、より好ましくはキャニーエッジ検出オペレータに基づくことは、本発明の別の態様である。
【0023】
本発明の実施形態によれば、3Dプリントヘッドの最適化のためのシステムであって、少なくとも1つの調整可能な吐出パラメータを有する、3Dプリントヘッドと、本発明の先行する実施形態および態様のうちのいずれか1つによるシステムと、コントローラユニットと、を備え、コントローラユニットが、過去の小滴の、決定された小滴パラメータに基づいて、好ましくは所定の目標点に基づいて、次の小滴についての、吐出パラメータを最適化するように構成されている、システムが提供される。
【0024】
本発明の実施形態によれば、光学小滴分析のための方法であって、コリメート光ビームを発するように発光ユニットを動作させることであって、光ビームが、3Dプリントヘッドから吐出された小滴の飛行経路と本質的に交差するように向けられる、動作させることと、光ビームの断面に本質的に対応するエリア内で、小滴が光ビームを通過することによって引き起こされる、干渉パターンを光検出ユニットで直接検出することであって、光検出ユニットが、小滴の飛行経路に関して発光ユニットとは反対の位置に光ビーム内で位置付けられる、検出することと、小滴の、少なくとも1つのパラメータを推定するために、検出された干渉パターンを処理ユニットで処理することと、を含む、方法が提供される。
【0025】
本発明の実施形態によれば、本発明の先行する実施形態および態様のうちのいずれか1つによるシステムを有し、本発明の先行する実施形態の方法を実行するように構成されている、3Dプリンタが提供される。
【0026】
図面の簡単な説明
図面において、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態による3Dプリンティングシステムの概要を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による光学測定システムの分解図である。
【
図3】本発明の実施形態による光学測定システムの簡略化された分解図である。
【
図4】本発明の実施形態による光学測定システムの側面図である。
【
図5a】プリントヘッドから単一の小滴が吐出されている、本発明の実施形態による光学測定システムの側面図である。
【
図5b】プリントヘッドから小滴の列が吐出されている、本発明の実施形態による光学測定システムの側面図である。
【
図6】閉状態にある、本発明の実施形態による光検出ユニットを示す図である。
【
図7】開状態にある、本発明の実施形態による光検出ユニットを示す図である。
【
図8】本発明の実施形態による測定方法の流れ図である。
【
図9】本発明の実施形態による最適化方法の流れ図(図は2つの部分に分割されている)である。
【
図10a】本発明の実施形態による光学測定システムの分解図の時系列であり、(a)では小滴は光ビームの上方にある。
【
図10b】本発明の実施形態による光学測定システムの分解図の時系列であり、(b)では小滴は光ビーム内にある。
【
図10c】本発明の実施形態による光学測定システムの分解図の時系列であり、(c)では小滴は光ビームの下方ある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面の詳細な説明
以下では、本発明の実施形態を説明する。あらゆる説明された実施形態のいくつかの態様はまた、別段明記されまたは当業者に自明でない限り、いくつかの他の実施形態に見出されてもよいことに留意する。しかしながら、分かりやすさを高めるために、各態様は、最初に言及されたときにのみ詳細に説明され、同じ態様の任意の繰り返される説明は、省略される。
【0029】
本説明では、それはしばしば、位置、移動、およびタイミングと呼ばれる。任意の移動は相対移動として理解されるべきであり、あらゆるタイミングは相対タイミングとして理解されるべきであることが、当業者には明らかである。移動およびタイミングの両方は、それぞれ参照位置およびタイミングに対して相対的である。
【0030】
移動は、固定位置との関係でのプリントヘッドの移動を指す。当該固定位置は、固定空間内の固定位置、例えば、3Dプリンタのほぼ静止したハウジング上の参照点であってもよい。しかしながら、それはまた、移動空間内の固定点、例えば3Dプリンタの構築プラットフォーム上の参照位置であってもよい。性能最適化の文脈では、最適化が位置差に基づいて実行されるから、予め定義された参照に対する相対位置および/または移動の決定のみが関連する。
【0031】
「ゼロ時間」とも呼ばれる参照時点は自由に定義できるから、タイミングはなおもより相対的である。しかしながら、性能最適化の文脈では、最適化がタイミング差に基づいて実行されるから、相対タイミングの決定のみが関連する。
【0032】
本出願では、並進は、所定のゼロ位置に対して小滴の中心を参照することによって測定される。本発明の実施形態では、ゼロ位置は、小滴経路と後述する光学滴分析システムの光路との交差の位置として定義される。ゼロ位置に基づいて、ゼロ時間もまた、小滴がゼロ位置と交差するときの時間として定義される。好ましい実施形態では、ゼロ位置は、zおよびx方向に対するレーザビームの中心である。
【0033】
本発明によれば、小滴パラメータは、小滴がレーザビーム内にあるときに観察される干渉パターンの分析に基づいて決定される。レーザビームと小滴の寸法は類似しているため、小滴によって偏向された光は偏向されていない光と干渉する。小滴の(レーザ源から見るときの)後ろでは、以下で影とも呼ばれる干渉最小が、観察される。
【0034】
出願人は、この最小を小滴の影であるとして取り扱うことができることに気付いた。すなわち、レーザビーム位置に対する相対位置は、小滴の相対位置に対応し、最小の形状は、小滴の形状に対応する。実際の干渉パターンは複雑である場合があり、小滴形状の物理的および数学的に厳密な再構成は、当該干渉の2D画像からは可能ではないかもしれないことに留意する。
【0035】
しかしながら、本出願人は、影の位置および形状の分析に基づく大まかな近似が、プリントヘッドのための最適化手順においてフィードバックを提供するのに適した測定パラメータをもたらすことに気付いた。
【0036】
いくつかの実施形態では、形状は、単一の測定、すなわち各小滴を個別に測定することに基づいて、または複数の測定、すなわち複数の測定にわたって平均化することに基づいて決定されてもよい。単一の小滴測定は、一般に好ましい。
【0037】
上述の小滴パラメータ、例えば形状、位置、およびタイミングは、複数の制御パラメータを介して制御されてもよい。各小滴パラメータは、複数の制御パラメータにリンクされ、および逆である。すなわち、小滴吐出の最適化は複数パラメータ問題である。これは、小滴のz位置の調整の、以下の説明によって明らかであろう。
【0038】
一般に、個別のノズルに基づく調整可能な吐出パラメータは、制御信号電圧、制御信号パルス幅、制御信号周波数、および制御信号パルススペーシングを含む。プリントヘッドに影響を及ぼすさらなる調整可能な吐出パラメータは、プリントヘッドの材料温度および内圧である。
【0039】
例えば、小滴のz方向の変位を調整する必要があってもよい。すなわち、小滴はゼロ位置に対して変位しており、すなわちゼロ時間T0ではレーザビームの中心エリアに定置されていない。
【0040】
さらに、小滴がプリントヘッドによって吐出されるように、制御ユニットから制御信号を送る時間は、ゼロ時間マイナスイチT-1として表すことができ、これに従って、T-1とT0との間のデルタT0-T-1は時間の長さを表し、T-1の後でそれの後にレーザはパルス化されるべきであり、当該時間は、吐出された小滴の画像を、レーザビームの中心に対応するz方向の高さにそれが位置付けられるときに、生み出すためのパルス化する時間Tpとして表される。
【0041】
さらに、T-1とT0との間の時間デルタに対して相対的な、レーザビームをパルス化する時間Tpは、最初の測定後に光学センサユニット上で検出された画像を分析することによって調整される。最初の測定では、小滴影は、少なくとも部分的に、レーザのパルス化中にセンサ上で観察されており、次いで、z方向のオフセットは、レーザビームの中心との関係での影位置に基づいて計算される。
【0042】
デルタT-1、T0に対して相対的なレーザビームの、より低いかまたはより高いパルス化する時間Tpを有する、後続の吐出は、次いで、レーザビームの中心に対する、小滴の、より小さいかまたはより高いz方向の変位を生み出す。
【0043】
T-1とT0との間の時間デルタよりも短い、パルス化する時間Tpは、以前の測定と比較してレーザビームの中心の上方のより高い位置に現れる小滴の影につながり、時間デルタT-1、T0よりも長い、パルス化する時間Tpは、以前の測定と比較してレーザビームの中心の下方のより低い位置に現れる小滴の画像につながる。レーザをパルス化する時間は、小滴画像がレーザビームの中心で測定されることができるまで、後続の測定によって調整される。レーザの好ましいパルス長さは、1~20マイクロ秒である。
【0044】
代替的または追加的に、プリントヘッド内の1つ以上の対応するMEUを扱う電気制御信号に対して、調整を行うことができる。具体的には、当該小滴の吐出を担うアクチュエータに印加される電圧を調整してもよい。
【0045】
電圧は、小滴の吐出速度と相関し、z方向の当該測定された小滴の位置制御を有効にする。電圧の増加は、一般に、最大まで吐出速度の増加をもたらし、次いで、一般に、吐出速度の減少をもたらす。次に、吐出速度の増加は、より早い到着に起因してレーザビームの中心に対する小滴の位置を低くする。当該電圧の減少は、最大閾値未満では小滴がより小さい速度で吐出されることにつながり、したがって、より遅い到着に起因して当該レーザビームに対してより高い測定される位置につながる。
【0046】
小滴速度はさらに、制御信号のパルス幅に依存し、パルス幅の増加は、最大までは一般により速い滴吐出につながり、当該パルス幅の減少は、当該最大の下方では一般により遅い小滴の吐出につながる。
【0047】
吐出制御信号の電圧およびパルス幅の増加は、より実質的な作動に結びつき、一般に、様々な閾値内でより大きな小滴の放出につながるのであり、これの後、それは、吐出される材料のレオロジー因子に依存して減少してもよい。より低い電圧および/またはパルス幅は、一般に逆を引き起こす。
【0048】
さらにその上、高い電圧およびまたは長いパルス幅が印加されることが、所望のローリー分裂とは対照的にいわゆる風で誘発される様態で流体糸の分裂につながることに起因して、小滴が、非常に高い速度で放出される場合、小滴は、非円形になるかまたはxもしくはy方向に沿って並進してもよい。
【0049】
さらに、ノズルの辺りに過剰な材料が存在するとき、それはまた、不均一にインパルスエネルギーの小滴への伝達につながり得、非円形の小滴の吐出につながり得る。電圧またはパルス幅の低減は、流体糸の分裂のタイミングをとってエネルギーを吐出された小滴に均一に伝達することによって、円形の小滴形状を復元することができる。
【0050】
このやり方で円形形状を復元することができない場合、洗浄処理は、ノズルを取り囲む過剰な材料を除去することができ、それによってその性能を復元することができる。
【0051】
さらに、体積および速度の低減はまた、プリントヘッド内の内圧の変動によって達成することができ、なぜなら、それは、ノズル開口部内に存在するメニスカスに対して作用を有し、さらにノズルの毛細管領域内にメニスカスが位置付けられるときに小滴放出のためにより多くのエネルギーを要求するためである。
【0052】
上記で詳述したように、小滴吐出の最適化はまったく複雑であり、最適化には直接フィードバックが必要である。本発明によれば、吐出パラメータは、光学検出ユニットによって捕捉された影の分析に基づいて最適化される。
【0053】
図1は、本発明の実施形態による3Dプリンティングシステムの概要を示す。
図1に示すプリンティングシステムは、第1主方向、以下ではx方向に、沿った構築プラットフォーム102に対するプリントヘッドキャリアユニット101の運動を容易にする直線運動システムを有する。
【0054】
当該構築プラットフォーム102は、好ましくは第2運動システムを介して、第2主方向、以下ではy方向に、プリントヘッドキャリア101との関係で移動可能である。当該構築プラットフォーム102はさらに、好ましくはボールねじ直線案内運動システムを介して、第3主方向、以下ではz方向に、プリントヘッドキャリア101との関係で移動可能である。
【0055】
x、y、およびz方向は、互いに対して直交する。言い換えれば、3Dプリンタシステムの実施形態では、プリントヘッドキャリアユニット101を構築プラットフォーム102の上方のデカルト空間400内で移動させることができる。
【0056】
プリントヘッドキャリアユニット101を構築プラットフォーム102に対して相対的に構築プラットフォームの上方の空間内で移動させることができることのみが関連することに留意する。実施形態に依存して、プラットフォーム102またはプリントヘッドキャリアユニット101は、静止しているか、または1つ、もしくは2つ、もしくは3つの方向に移動可能であってもよい。
【0057】
キャリアユニット101は好ましくは、1つ以上の3Dプリントヘッド103を備え、当該プリントヘッド103はさらに各々、1つ以上の液体材料吐出オリフィスを有する1つ以上のMEUを備える。好ましくは、吐出オリフィスはラインアレイに配置される。ラインアレイは好ましくは、x方向に対して直交して位置付けられる。キャリアユニット101はさらに、参照部材104を有する(
図4を見られたい)。
【0058】
参照部材104は、キャリアユニットの位置、すなわちアクチュエータ位置を、光学測定システムと対照して機械的および/または電子的に参照するのに役立つ。言い換えれば、参照部材は、ビーム位置によって定義される測定空間とキャリアユニットの移動空間との間の参照を提供するのであり、相対的な位置決めおよびタイミングの上記の議論を参照されたい。
【0059】
本発明の実施形態では、プリントヘッド103は、当該主x方向に沿って当該プリントヘッドキャリアユニット101で介して、当該構築プラットフォーム102の上方の当該デカルト空間400の外側の、外部ベイ105に対応するエリアに移動させられてもよい。外部ベイ105は、本発明による、光学滴およびプリントヘッド測定システムを備える。
【0060】
言い換えれば、本発明による光学滴およびプリントヘッド測定システムは、3Dプリンタの構築プラットフォーム102の上方の構築空間400に隣接する空間内に置かれるのであり、プリントヘッドは、プリントヘッドキャリアユニット101の手段によって当該隣接する空間に移動させられてもよい。
【0061】
図2は、本発明の実施形態による光学測定システムを示す。実施形態による光学測定システムは、好ましくは第2直線案内運動システムを介して移動可能であり、好ましくはプリントヘッドキャリアユニット101にたいしてz方向に移動可能な、グランドプレート301を備える。
【0062】
実施形態による光学測定システムは、当該移動可能なグランドプレート301上に設置された参照プレート302を備える。
【0063】
実施形態による光学測定システムはさらに、支持要素303と、当該支持要素303に設けられ、コリメート光ビーム401を発し、好ましくはx方向に対して直交して発する、発光ユニット304、好ましくはレーザダイオードとを備える。当該発光ユニット304は、エネルギー源および制御ユニットに機能的に接続される。
【0064】
実施形態による光学測定システムはまた、好ましくはx方向に対して直交して向き付けられ、参照プレート302上に設置される、材料保持要素305を備える。
【0065】
実施形態による光学測定システムはさらに、参照プレート302に接続されたセンサユニット501を備え、好ましくは、x方向およびz方向に沿ったセンサユニット501の精密な調整を有効にするための、直交して接続された2つの直線微小並進ステージ306および307(
図5を見られたい)を介して移動可能である。
【0066】
言い換えれば、本発明によれば、発光ユニットは光ビームを生成する。光ビームはセンサユニットの方へ向けられる。z方向に、かつ光源とセンサユニットとの間で、光ビームの上方の空間内へプリントヘッドが移動されることができるように、発光ユニットおよびセンサユニットは置かれるのであり、プリントヘッドが当該空間内に置かれるときに吐出オリフィスのラインの方向が光ビームと同じ方向であるようになっている。
【0067】
すなわち、z方向に沿って進むプリントヘッドから吐出された小滴200は、光ビームによって照射される。光ビームはセンサユニットによって検出可能である。センサユニットは好ましくはさらに、電源および制御ユニットに機能的に接続される。
【0068】
図3は、
図2に示す本発明の実施形態による光学測定システムの簡略化された分解図を示す。プリントヘッドキャリアユニット101内に存在するプリントヘッド103は、ノズルアレイから外へ吐出された1つ以上の小滴200の測定が実行されることができる位置に、示されている。単なる例解目的のために、プリントヘッド103は、プリントヘッドキャリアユニット101の存在なしに、レーザビームとの空間的な位置合わせをされた材料吐出オリフィスラインアレイと共に、示されている。
【0069】
すなわち、吐出オリフィスラインアレイは、主に、z方向においてレーザビームの上方に据えられ、x-y平面においてレーザビーム401との位置合わせをされている。
【0070】
図4は、本発明の実施形態による光学測定システムの側面図を示す。
図5aは、プリントヘッド103から単一の小滴200が吐出されている、本発明の実施形態による光学測定システムの側面図を示す。それはまた、直線微小並進ステージ306および307、ならびにセンサユニット501を示す。
図5bは、プリントヘッド103から小滴200の列が吐出されている、本発明の実施形態による光学測定システムの側面図を示す。
【0071】
図6は、閉状態にある、本発明の実施形態によるセンサユニット501を示す。詳細には、センサユニット501は、開口部502を有するハウジングを備える。センサユニット501は、ビームがハウジングの当該開口部502を通過することができるように、レーザダイオード304によって発せられたレーザビーム401と位置合わせされる。
【0072】
好ましい実施形態では、開口部502を覆うために透明保護要素503がハウジング上に設けられる。クランプ要素504は、当該透明保護要素503の交換を有効にするために、取り外し可能な様態で透明保護要素503をハウジングに留めるように構成される。
【0073】
この実施形態によるセンサユニット501はさらに、当該ハウジングに接続されたバックプレート505と、当該バックプレート505上に設けられたプリント回路基板506とを備える。
【0074】
図7は、開状態にある、本発明の実施形態によるセンサユニットを示す。プリント回路基板506は、コントローラ507および光学センサユニット508、好ましくはグローバルシャッタCMOSセンサを備える。
【0075】
図7の実施形態では、コントローラ507は、
図8に示すコンピューティングユニットと通信するローカル処理ユニットを備えることに留意する。しかしながら、処理ユニットは代替的に、独立した処理ユニットとして実装されてもよい。さらにその上、すべての処理エンティティは、それらの機能に関して定義されるのであり、それらの物理的実装に関してではないことに留意する。言い換えれば、タイミングコントローラ、信号コントローラ、画像処理、および信号処理などの、1つ以上の処理エンティティを、単一の一般的な処理手段で実装することができる。実装は、ソフトウェアもしくはハードウェア、または両方の組合せによることができる。
【0076】
好ましい実施形態では、光学センサユニットは、レーザダイオードによって発せられる波長に対応する波長の光データを読み出すように構成された光捕捉セルの2次元アレイである。光捕捉セルは、モノクロ光強度の差を検出するように構成され、かつ、アレイ全体のアナログ読出しデータを、光捕捉セル当たり少なくとも10ビットのデジタル信号に同時にコンバートする。
【0077】
光学センサユニット508およびコントローラ507は両方とも、互いに機能的に接続される。センサ508は、レーザダイオード304によって発せられるレーザビーム401の方向に対して直交して位置付けられるのであり、したがって、当該レーザビームが当該CMOSセンサに正面から垂直に当たることを、可能にする。
【0078】
レーザダイオードは好ましくは、大まかには可視光周波数スペクトル内の波長、より具体的には近可視UV光および赤外光スペクトル範囲の外側の波長を有する、光ビームを発するように構成される。吐出された材料は、UV光の吸収によって悪影響を及ぼされる場合があり、または、材料は、赤外光吸収に起因して望ましくない温度上昇を経験する可能性がある。
【0079】
より好ましくは、レーザダイオードは、近可視UV範囲まで少なくとも150nmのマージンを有する、より具体的には550nm~750nmの範囲内の、波長を発するように構成される。
【0080】
本発明の例示的な実装について、2つのレーザダイオード、LD1およびLD2が試験されている。当該レーザダイオードの関連パラメータを表1に提示する。
【0081】
【0082】
本発明の実施形態では、材料保持要素305は、上部ケース要素と、下部ケース要素と、下部ケース要素の下面において接続される材料ポンピングコネクタであって、低圧を介して通り抜けるように材料がポンピングされることを可能にする材料ポンピングコネクタと、上部および下部ケース要素の間に設けられた緊張要素であって、プリントヘッドによって当該緊張要素上に液体小滴200が吐出されることを可能にする緊張要素とを備える。
【0083】
本発明の好ましい実施形態では、レーザビームは、2mmより大きく、好ましくは3mm以上の直径と、第1方向において12度未満、好ましくは8度、および当該第1方向に対して垂直な第2方向において30度未満、好ましくは22度の非コリメートビーム広がり角とを有する。さらにその上、レーザダイオードにコリメート要素が設けられることが好ましい。さらにその上、レーザダイオードはパルスモードで動作させられる。
【0084】
コリメートビームまたはコリメートされていないビームのいずれが使用されてもよいことに留意する。サイズ関係の計算のためでは、コリメートされていないビームの使用は、補正される必要がある。したがって、コリメートビームは好ましいが、必要ではない。
【0085】
レーザダイオードのパルス化は、第1コントローラユニットによって制御され、一般に、当該第1コントローラユニットを介して小滴吐出に同期されている。好ましくは、レーザダイオードは、第2コントローラユニットによって当該第1コントローラユニットに送られているトリガ信号に関してターンオンおよびターンオフされる。
【0086】
第2コントローラユニットは、1つ以上のプリントヘッドの小滴吐出を制御するように、および1つ以上の材料吐出オリフィスからプリントヘッドの下方に据えられた材料保持要素への小滴の吐出を容易にすることに対して、構成される。
【0087】
前に議論した通り、当該小滴の飛行経路および光ビームは、第1位置で本質的にオーバーラップしており、当該ビームのパルス化は、当該小滴の影がグローバルシャッタCMOSセンサ上に投影されるように、第1位置で当該小滴に照射するために遅延される。
【0088】
本発明の好ましい実施形態では、画像はグローバルにセンサから読み出される。すなわち、センサ上に存在する画素のアレイ全体は、一度に、読み出され保存される。本発明の好ましい実施形態では、当該CMOSセンサの画素ピッチは、小滴直径長さの1/10未満、およびより好ましい1/30未満である。
【0089】
小滴直径は典型的には、25マイクロメートル直径~130マイクロメートル直径の範囲とすることができる。好ましい画素ピッチは、3マイクロメートルであるが、6マイクロメートルまでの画素ピッチさえもが、約40~80マイクロメートルの平均滴直径範囲を十分な精度で測定するために適していることが示されている。これは、わずかなビーム広がりが理由であり、それは、直線的にセンサ上の小滴影のサイズを本質的に増加させて、適切なエッジ検出を可能にする。
【0090】
さらに、本発明の好ましい実施形態では、当該レーザビームおよびCMOSセンサの直径および辺長寸法はそれぞれ、滴直径の直径サイズの100~30倍に対応する。小滴の吐出およびレーザビームのパルス化は、当該CMOSセンサの読出し時間に大まかに対応するレートで、または当該CMOSセンサの読出し時間の特定の複数の間隔で、行われている。
【0091】
グローバルCMOSセンサ読出しの好ましいフレームレートは、60ヘルツよりも高い、好ましくは80ヘルツよりも高い、およびより好ましくは120ヘルツよりも高い周波数であり、固有の画素分解能におけるものである。
【0092】
センサユニットは、センサエリアの少なくとも0.015%の少なくともエリアにおいて、中心干渉パターンを検出するように構成される。すなわち、0.015%は、簡単に識別可能な干渉パターンを有する、最も小さい測定される小滴サイズに対応する。640×480のセンサ分解能では、これは、センサのエリアの0.094%に対応する、7掛ける7画素の最も小さい滴分解能および約17掛ける17画素の典型的な滴サイズ分解能をもたらす。
【0093】
撮像データは、測定された小滴の特性を分析するためのコンピューティングユニットに伝達される。測定される特性は、1つ以上の小滴の、小滴位置、小滴形状、および小滴サイズのうちの、1つ以上を含んでもよい。
【0094】
当該コンピューティングユニットは、特性の記憶されたセットからの具体的な吐出オリフィスに関する測定された各特性の偏差を決定するように、および第1コントローラユニットがプリントヘッドに送るための調整信号を計算することに対して、構成される。
【0095】
したがって、特定の吐出特性の閾値に達するまで吐出をさらに調整するために、再びセンサユニットによって測定されその後分析されるための第2小滴を当該プリントヘッドに吐出させる。
【0096】
本発明の好ましい実施形態では、滴形状は、画像データ分析処理中にエッジ検出アルゴリズムを介して得られる。当該エッジ検出アルゴリズムは、小滴エッジのデジタル表現を容易にするために、いわゆるキャニーエッジ検出オペレータに対応する。
【0097】
当該エッジ検出はさらに、小滴の、質量中心、直径、体積、形状、および位置の、計算に使用される。
【0098】
さらにその上、センサ上に投影されているレーザの画像は好ましくはさらに、エッジ検出処理で使用されるための出力を生成するために、平均画像減算の処理を介してクリーンアップされるのであり、これに従って、1回以上パルス化されているレーザビームの1つまたは複数の画像は、センサ上に存在する小滴の画像なしで捕捉され、平均画像は、画像データから計算される。当該平均画像データはその後、小滴の画像を含有する画像から減算され、それによって、レーザビームを介してセンサ上に投影された任意の残りの不変の画像データを除去する。
【0099】
本発明の好ましい実施形態では、プリントヘッドキャリアユニットおよび/またはプリントヘッドは1つ以上の参照部材をさらに有し、それらは、プリントヘッドキャリアユニットの並進および/またはセンサユニットの並進によってレーザダイオードによって発せられるレーザビームを錯乱させるように位置付けられ得る。
【0100】
当該錯乱は、測定され、並進のうちの少なくとも1つの間にコントローラユニットを介して送られている電子モータ駆動装置データとの相関を明らかにされ、したがって、センサユニットとの関係でのプリントヘッドキャリアユニットの正確な位置測定、およびプリントヘッドキャリアユニット内のプリントヘッドの位置決めの正確な測定を可能にする。
【0101】
その後、プリントヘッド位置は、正確なシステム動作のために所望の閾値内へ、手動および/または自動で調整されることができる。
【0102】
本発明の好ましい実施形態では、コンピューティングユニットは、第1位置測定との位置合わせをされているようにx方向におけるプリントヘッドの位置を決定するように構成され、当該位置は、第1制御ユニットを介して運動システムに伝えられる。
【0103】
運動システムは、参照された位置決めデータを制御ユニットを介してコンピューティングユニットに提供するように、および当該プリントヘッドに接続されたプリントヘッドキャリアユニットを並進させるように、構成される。
【0104】
第1位置測定は、当該レーザビームの方向が主y方向に対応するとき、当該x方向にかんしてレーザビームの直上に据えられるように当該プリントヘッドの吐出オリフィスを位置合わせしている。
【0105】
第1制御ユニットおよびキャリア制御ユニットを介してプリントヘッドに信号を送り、プリントヘッドに第1吐出オリフィスから液体材料の小滴を吐出させるように、コンピューティングユニットはさらに構成される。信号は、小滴吐出機構の1つ以上のパラメータに関する情報を含んでいる。
【0106】
キャリア制御ユニットは追加的に、信号同期を確実にするために、およびプリントヘッドに関するデータを送信するために、コンピューティングユニットと通信する。
【0107】
運動システムはさらに、光学測定システムをz方向に並進させるように構成される。並進はコンピューティングユニットによって制御され、運動システムはさらに、プリントヘッドの吐出オリフィスとレーザビームとの間の正確な距離を計算するために、光学測定システムの参照された位置決めデータを提供するように構成される。
【0108】
コンピューティングユニットはさらに、第1制御ユニットを介してレーザダイオードおよび光センサに信号を送るように構成される。当該信号は、所定のタイミングに関する、以前に計算された情報を含む。信号は、レーザ光のパルスをレーザダイオードに発させ、収集された光データをセンサに読み出させる。
【0109】
当該所定のタイミングは、吐出された小滴がx-z平面にかんしてレーザビームの中心に位置的に近いとき、レーザビームおよび光センサの、パルス化および読出しを発生させる。したがって、小滴は光センサ上に画像を投射している。コンピューティングユニットは、光センサからデータを受信するように構成される。
【0110】
受信された当該データは、コンピューティングユニットが、以下の特性、すなわち、x-z平面における測定された小滴の位置、小滴サイズ、小滴形状、および1次小滴の周りの限られたエリア内に存在する2次小滴の数のうちの、1つ以上を決定することを可能にする。
【0111】
測定された特性は、小滴吐出機構のパラメータのうちの1つ以上に対応している。本発明の実施形態によれば、当該特性は、当該第2小滴測定において測定されるための第2小滴の測定された特性を、小滴吐出についての特性の許容可能なセットを表現するデータにより合致するように変換するというゴールで、第2小滴吐出および第2小滴測定を生み出すために、コンピューティングユニットに存在するデータセットに従って調整されてもよい。
【0112】
当該第2測定は、許容可能な特性の閾値に従ってデータを届けることに成功するか、またはしないかのいずれかである。この閾値が満たされない場合、すると、許容可能な特性の閾値が満たされるまで調整が繰り返される。
【0113】
さらなる吐出のためにプリントヘッドに送られる信号は、作動のパラメータに影響を及ぼすために信号を、測定データに対するそれらの予想される作用に従って調整することによって、以前の測定データと理想的な測定データとの差を最小にするためにコンピューティングされる。
【0114】
例えば、電圧の増加は、滴体積の増加と強く相関する。後続の測定の閾値が満たされる場合、すると、処理は、測定されたノズルについて停止され、次のノズルは、それが閾値に合致するまで、測定および調整されることができる。これは、要求される数のノズルが閾値に合致して吐出特性を提供するまで、続く。
【0115】
図8は、本発明の実施形態による測定方法の流れ図を示す。特に、本発明の実施形態による異なる機能ユニット間の機能相互関係が例解されている。前に留意した通り、異なる機能ユニットを物理ユニット上に実装してもよく、すなわち、すべてまたはいくつかの制御ユニットを組み合わせ、1つの一般的なコンピューティング手段に実装してもよい。
【0116】
中核となるシステムは、レーザダイオード902および光センサユニット904を備える、滴およびプリントヘッド測定デバイス901である。レーザダイオードは、光センサユニット904および/または小滴903に照射12する。光センサユニット904は、処理ユニットまたはコンピューティングユニット905に機能的に接続される。処理ユニット905は、第1制御ユニット906に接続される。処理ユニット905は、光センサユニット904によって検出されたセンサ画像を処理するように構成される。第1制御ユニット906は、プリントヘッド910を移動させるためのサーボモータシステム907に接続され、照射のタイミングを制御するためにレーザダイオード902に接続され、プリントヘッド910内のキャリア制御ユニット908に接続される。制御ユニット908は、プリントヘッド910に接続され、それは、小滴を吐出する。
【0117】
図8に示す機能構造を考えると、当業者は、複数の可能なフィードバックループに気付くのであり、それらは、本発明の実施形態に従って実装することができる。処理ユニット905から出力された測定結果は、サーボモータシステムおよび/またはキャリア制御、すなわち吐出パラメータを、制御するために使用されることができる。さらにその上、レーザパラメータも、フィードバック制御されてもよい。
【0118】
図9は、本発明の実施形態による最適化方法の流れ図を示す。特に、
図8のシステムの制御ループを詳述する。
【0119】
ステップS1において、ノズルから外への、小滴測定デバイス内への1次小滴吐出は、処理ユニットによって計算され、または記憶され、および送られる、信号データのセットを介して制御される。
【0120】
ステップS2において、小滴測定は、1次小滴のレーザ照射を介して予め形成され、画像は、光センサユニットで検出され、処理ユニットに送られる。
【0121】
ステップS3において、光センサユニットによって提供された画像データがエッジ検出アルゴリズムを介して分析され、画像データに基づいて、1次小滴および潜在的に発生する2次小滴について、小滴の周囲、体積、質量中心、ならびにxおよびz位置が計算される。
【0122】
ステップS4において、計算された特性が、処理ユニットに記憶された特性の所定の目標セットと数値的に比較され、差が、各特性について計算される。
【0123】
ステップS5aおよびS5bでは、計算された差に基づいてフィードバックが決定される。ステップS5aの場合、差が特定の値以上である場合、測定から目標データへの間の差を最小にするというゴールで、ノズル調整のための信号データのセットを計算するために、測定データの信号データに対する関数従属性のデータのルックアップテーブルが利用される。
【0124】
ステップS5bの場合、計算された特性とそれぞれの目標との総合的な差が、ノズル調整のための特定の所定の値よりも小さい場合、処理が、停止される。追加的または代替的に、複数の特性の、重み付き優先度が、停止基準として使用されてもよい。
【0125】
測定と調整が繰り返される。ステップS6において、後続の、信号データのセットが、処理ユニットによって計算される。
【0126】
ステップS7において、測定されたそれぞれの特性と目標特性との間の差の十分な変化、すなわち増加または減少が複数の測定および分析サイクルにわたって計算された場合、測定データの信号データに対する関数従属性のデータの2次ルックアップテーブルが、信号データを調整するために利用される。
【0127】
ステップS8において、それぞれの測定された特性と目標特性との間の差の変化、すなわち増加もしくは減少が、複数のルックアップテーブルの助けで複数の調整サイクル全体にわたって持続している場合、または小滴関係のデータが、測定されることができない場合。ノズルが、機能していないとして特性付けられ、後続のプリンティング処理中に除外されるのであり、および/またはノズル調整処理が、終了してもよい。
【0128】
図10a~
図10cは、本発明の実施形態による光学測定システムの分解図の時系列を示し、(a)では小滴は光ビームの上方にあり、(b)では小滴は光ビーム内にあり、(c)では小滴は光ビームの下方ある。図は、
図3におけるのと同じ実施形態を示す。
【0129】
図10aでは、小滴200はレーザビームの上方にある。これは、Tp<デルタT
-1、T
0の場合である。言い換えれば、参照されるゼロ時間より前の時間にである。しかしながら、これはまた、小滴があまりにも遅く到着するときの場合でもあってもよく、相対タイミングおよびz位置の上記の議論を見られたい。
【0130】
図10bでは、小滴200はレーザビーム内にある。これは、Tp=デルタT
-1、T
0の場合である。言い換えれば、参照されるゼロ時間の辺りの時間にである。
【0131】
図10cでは、小滴200はすでにレーザビームの下方にある。これは、Tp>デルタT
-1、T
0の場合である。言い換えれば、参照されるゼロ時間より後の時間にである。しかしながら、これはまた、小滴があまりにも早く到着するときの場合でもあってもよく、相対タイミングおよびz位置の上記の議論を見られたい。
【0132】
上記で説明および例解されたものは、変形のいくつかと共に本発明の実施形態である。本明細書で使用される用語、説明および図は、例解としてのみ記載され、限定として意味しない。別段の指示がない限りすべての用語がその最も広い合理的な意義を意味する、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されることが意図されている、本発明の趣旨および範囲内で多くの変形が可能であることを当業者は認識するであろう。
【国際調査報告】