(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】原着ポリエチレン原糸およびこれを含む機能性生地
(51)【国際特許分類】
D01F 6/04 20060101AFI20241112BHJP
D01F 1/04 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
D01F6/04 Z
D01F1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532967
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2022019716
(87)【国際公開番号】W WO2023106796
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0175078
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨン ス
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン ウン
(72)【発明者】
【氏名】イ,シンホ
【テーマコード(参考)】
4L035
【Fターム(参考)】
4L035AA05
4L035BB36
4L035BB55
4L035BB81
4L035CC06
4L035DD20
4L035EE01
4L035EE08
4L035EE09
4L035EE20
4L035HH10
4L035JJ10
4L035JJ28
(57)【要約】
本発明は原着ポリエチレン原糸およびこれを含む機能性生地に関するものであって、より詳しくは、優れた色均一度を有する原着ポリエチレン原糸およびこれを含む機能性生地に関するものである。本発明による顔料を含む原着ポリエチレン原糸において、下記測定条件で測定されたL*、a*、およびb*について、下記式を満足する。[測定条件]平面状の基材上に、前記原着ポリエチレン原糸を巻き付けて測定領域を形成して、前記測定領域に対してCCM(Computer Color Matching)測定を行うにあたり、前記基材に対して前記原着ポリエチレン原糸が70回巻き付けられるごとにCCM測定を行って、少なくともn(nは50以上の自然数)回以上測定[式](Cmax-Cmin)/Caver×100≦15(前記Cmax、Cmin、およびCaverは、L*、a*、およびb*から選択されたいずれか一つについての最大、最小、および平均値をそれぞれ意味する。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料を含む原着ポリエチレン原糸において、
下記測定条件で測定されたL*、a*、およびb*について下記式を満足する、原着ポリエチレン原糸。
[測定条件]
平面状の基材上に、前記原着ポリエチレン原糸を巻き付けて測定領域を形成して、前記測定領域に対してCCM(Computer Color Matching)測定を行うにあたり、前記基材に対して前記原着ポリエチレン原糸が70回巻き付けられるごとにCCM測定を行って、少なくともn(nは50以上の自然数)回以上測定
[式]
(C
max-C
min)/C
aver×100≦15
(前記C
max、C
min、およびC
averは、L*、a*、およびb*から選択されたいずれか一つについての最大、最小、および平均値をそれぞれ意味する。)
【請求項2】
前記原糸のCCM測定時、前記L*値の標準偏差は3以下である、請求項1に記載の原着ポリエチレン原糸。
【請求項3】
前記原着ポリエチレン原糸の全体重量に対して前記顔料0.00005~1w%を含有する、請求項1に記載の原着ポリエチレン原糸。
【請求項4】
前記原糸の結晶化度は60~80%である、請求項1に記載の原着ポリエチレン原糸。
【請求項5】
前記原糸はASTM D2256でもって測定される初期モジュラスが10~300cN/dtex、強度は1.5~20g/dである、請求項1に記載の原着ポリエチレン原糸。
【請求項6】
前記原糸はASTM D1238にしたがって測定された溶融指数(melt index:MI、@190℃)が0.5~22g/10minである、請求項1に記載の原着ポリエチレン原糸。
【請求項7】
前記原糸は、ASTM D4974-04による乾熱収縮率(@100℃)が2~15%である、請求項1に記載の原着ポリエチレン原糸。
【請求項8】
請求項1~7のうちのいずれか一つの請求項の原着ポリエチレン原糸から製造された機能性生地。
【請求項9】
前記生地は、20±2℃、65±2%R.Hにて、20±2℃の生地に対して30±2℃の熱板(T-box)を接触させて測定される接触冷感が0.1~0.3W/cm
2である、請求項8に記載の機能性生地。
【請求項10】
前記生地は、20±2℃、65±2%R.Hにて、20±2℃の生地に対して30±2℃の熱源板(BT-box)を接触させて測定される厚さ方向の熱伝導度(thermal conductivity)が、0.05~0.25W/mKである、請求項8に記載の機能性生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原着ポリエチレン原糸、およびこれを含む機能性生地に関するものであって、より詳しくは、優れた色均一度を有する原着ポリエチレン原糸、およびこれを含む機能性生地に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高密度ポリエチレン(HDPE)原糸は、0.94g/cm3以上の密度を有する高強度ポリエチレン原糸を意味するものであって、高密度ポリエチレン原糸は、高強度を要求する、スポーツ用ロープ、釣り糸、保護服、防弾服、および防刃服などの多様な素材として活用されており、超高強度を要求する複合材料にも、多様に応用されている。
【0003】
また、高密度ポリエチレン原糸は、フォノン(phonon)という格子振動(lattice vibration)によって高い熱伝導度を有し、比重が0.93程度であって水に浮く程度に軽いことから優れた軽量性を有する。
【0004】
よって、前述のスポーツ用ロープ、釣り糸、保護服、防弾服、および防刃服といった高強度を要求する繊維製品だけでなく、冷感性を要求する夏服、作業服、およびスポーツウェアなどの多様な用途に活用されている。
【0005】
しかし、高密度ポリエチレン原糸は、高結晶性による疎水性によって、染色システムでいかなる染料を使用しても染色がほとんど不可能であることから難染性繊維と知られている。
【0006】
現在、このような高密度ポリエチレン原糸を染色する方法は、二つ程度の着色法が用いられている。そのうちの一つは、紡糸時に顔料を添加して紡糸する原着法であり、他の一つは、染色が可能な他の高分子を混合する高分子ブレンド技法である。
【0007】
しかし、高分子ブレンド技法で製造された原着ポリエチレン原糸は、ポリエチレン以外の他の物性を有する高分子が混合されるにつれて、高い熱伝導度および軽量性などの、高密度ポリエチレン原糸に特有の物性を維持しにくいという短所がある。
【0008】
よって、従来は、大韓民国登録特許第10-1992444号‘原着ポリエチレンマルチフィラメント仮撚糸製造方法’に開示されているように、顔料を追加したマスターバッチチップを溶融紡糸するという原着法を通じて製造した原着ポリエチレン原糸を使用した。
【0009】
しかし、このような従来の原着ポリエチレン原糸は、比較的に高粘度特性を有するポリエチレンに顔料が均一に混合されにくくて、顔料とポリエチレン原料との間の混合の不均一による原糸の色不均一が深刻であるという問題点がある。よって、原着原糸自体の不均一度によって品質が低下するだけでなく、要求する色発現のために多量の顔料が添加されるにつれて、強度などといった原糸物性が低下するという短所がある。さらに、原糸から製造された最終製品も品質が低下するという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、優れた色均一度を有する原着ポリエチレン原糸およびこれを含む機能性生地を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による原着ポリエチレン原糸は、顔料を含む原着ポリエチレン原糸において、下記測定条件で測定されたL*、a*、およびb*に対して、下記式を満足する。
【0012】
[測定条件]
平面状の基材上に、前記原着ポリエチレン原糸を巻き付けて測定領域を形成して、前記測定領域に対してCCM(Computer Color Matching)測定を行うにあたり、前記基材に対して前記原着ポリエチレン原糸が70回巻き付けられるごとにCCM測定を行って、少なくともn(nは50以上の自然数)回以上測定
【0013】
[式]
(Cmax-Cmin)/Caver×100≦15
【0014】
(前記Cmax、Cmin、およびCaverは、L*、a*、およびb*から選択されたいずれか一つの最大、最小、および平均値をそれぞれ意味する。)
【0015】
本発明の一実施形態による原着ポリエチレン原糸において、前記原糸のCCM測定時、前記L*値の標準偏差は3以下であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態による原着ポリエチレン原糸において、前記原着ポリエチレン原糸全体重量に対して前記顔料0.00005~1w%を含有することができる。
【0017】
本発明の一実施形態による原着ポリエチレン原糸において、前記原糸の結晶化度は60~80%であってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態による原着ポリエチレン原糸において、前記原糸は、ASTM D2256で測定される初期モジュラスが10~300cN/dtex、強度は1.5~20g/dであってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態による原着ポリエチレン原糸において、前記原糸は、ASTM D1238によって測定された溶融指数(melt index:MI、@190℃)が0.5~22g/10minであってもよい。
【0020】
本発明の一実施形態による原着ポリエチレン原糸において、前記原糸は、ASTM D4974-04による乾熱収縮率(@100℃)が2~15%であってもよい。
【0021】
本発明による機能性生地は、前述の原着ポリエチレン原糸から製造されたものである。
【0022】
本発明の一実施形態による機能性生地において、前記生地は20±2℃、65±2%R.Hで、20±2℃の生地に対して30±2℃の熱板(T-box)を接触させて測定される接触冷感が0.1~0.3W/cm2であってもよい。
【0023】
本発明の一実施形態による機能性生地において、前記生地は2、0±2℃、65±2%R.Hで、20±2℃の生地に対して30±2℃の熱源板(BT-box)を接触させて測定される厚さ方向の熱伝導度(thermal conductivity)が0.05~0.25W/mKであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるポリエチレン原糸は優れた色均一度を有することによって、顔料投入量に比べて優れた発色特性を有することができる。
【0025】
また、本発明によるポリエチレン原糸は、顔料が投入されるにも拘わらず高密度ポリエチレン固有の優れた熱伝導度を維持することができて、優れた冷感特性を有する生地の製造が可能である。
【0026】
また、本発明による機能性生地は、優れた色均一度、および優れた熱伝導度を有するポリエチレン原糸を含むことによって、優れた発色力および色均一度を有することができると同時に冷感特性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態による原糸の製造工程を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態による機能性生地のCCM(Computer Color Matching)を測定する装置の写真である。
【
図3】本発明の一実施形態による機能性生地の接触冷感を測定する装置を概略的に示した模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態による機能性生地の厚さ方向の熱伝導度を測定する装置を概略的に示した模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態による原糸のCCM測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で使用される技術用語および科学用語において他の定義がなければ、この発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有するのであり、下記の説明および添付図面にて、本発明の要旨を不必要にぼやけさせうる公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0029】
また、本明細書で使用される単数の形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数の形態も含むと意図することができる。
【0030】
また、本明細書にて特別な言及なく使用された単位は重量を基準とするのであり、一例として、%または比の単位は重量%または重量比を意味するのであって、重量%は、異なるように定義されない限り、一つの全体組成物中におけるいずれか一つの成分が組成物内で占める重量%を意味する。
【0031】
また、本明細書で使用される数値範囲は、下限値、上限値、その範囲内での全ての値、定義される範囲の形態と幅において論理的に誘導される増分、このうち限定された全ての値、および互いに異なる形態に限定された数値範囲の上限および下限の全ての可能な組み合わせを含む。本発明の明細書で特別な定義がない限り実験誤差または値の丸めによって発生する可能性がある数値範囲以外の値も定義された数値範囲に含まれる。
【0032】
本明細書の用語、‘含む’は‘備える’、‘含有する’、‘有する’または‘特徴とする’などの表現と等価の意味を有する開放型記載であり、追加的に列挙されていない要素、材料または工程を排除しない。
【0033】
従来の原着ポリエチレン原糸は比較的に高粘度特性を有するポリエチレンに顔料が均一に混合されにくくて、顔料およびポリエチレン原料間の混合不均一による原糸色不均一が深刻であるという問題点がある。よって、原着原糸自体の不均一度によって品質が低下するだけでなく、要求する色発現のために多量の顔料が添加されるにつれて、強度などのような原糸物性が低下するという短所がある。さらに、原糸から製造された最終製品も品質が低下するという短所がある。
【0034】
よって、本出願人は物性は維持するが優れた色均一度を有するポリエチレン繊維を開発するために長期間踏み込んだ研究を行った結果、顔料とポリエチレン原糸の原料間の混合度を高めて優れた色均一度を有する新たな原着ポリエチレンを開発した。
【0035】
具体的に、本発明による原着ポリエチレン原糸は顔料を含む原着ポリエチレン原糸で、下記測定条件で測定されたL*、a*、およびb*に対して下記式を満足する。
【0036】
[測定条件]
平面状基材上に前記原着ポリエチレン原糸を巻いて測定領域を形成して、前記測定領域に対してCCM(Computer Color Matching)測定を行うにあたり、前記基材に対して前記原着ポリエチレン原糸が70回巻き付けられるごとにCCM測定を行って、少なくともn(nは50以上の自然数)回以上測定
【0037】
[式]
(Cmax-Cmin)/Caver×100≦15
【0038】
(前記Cmax、Cmin、およびCaverは、L*、a*、およびb*から選択されたいずれか一つの最大、最小、および平均値をそれぞれ意味する。)
【0039】
具体的に、上述の式において、(Cmax-Cmin)/Caver×100は、10以下、具体的に0.1~8、さらに具体的に3~7であってもよい。このような原着ポリエチレン原糸は、優れた色均一度を有することによって、顔料投入量に比べて優れた発色特性を有することができる。また、少量の顔料が投入されるにも拘わらず、優れた発色特性を有することによって、高密度ポリエチレンに固有の優れた熱伝導度を維持することができることから、優れた冷感特性を有する生地の製造が可能である。
【0040】
具体的に、平面状の基材上に原着ポリエチレン原糸が巻き付けられることにより、基材上に、原着ポリエチレンによって覆われた領域、即ち、測定領域が形成される。
【0041】
この際、基材の周りに沿って巻き付けられにあたり、基材のいずれか一方向に進行するようにn-1(nは2以上の自然数)回目に巻かれた原着ポリエチレン原糸と、n回目に巻かれた原着ポリエチレン原糸とが互いに接し得る。
【0042】
このような測定領域は、基材上に原着ポリエチレン繊維糸が覆われて形成されることによって、原着ポリエチレン繊維糸が、生地に製造される時と類似の色を示す。測定領域は、CCM測定が可能な面積であれば限定されない。但し、基材の大きさと、原着ポリエチレン原糸の太さおよび巻取り回数によって測定領域が基材上で占める面積が適切に調節できる。非限定的な一例として、横6.5cm、縦6.5cm、高さ0.5cmを有する四角板状型基材上に、410Deの太さの原着ポリエチレン原糸が30回以上、詳細には40~100回、さらに詳細には50~90回巻かれて、測定領域を形成することができる。
【0043】
前述の方法を通じて形成された測定領域を通じて、n-1(nは2以上の自然数)番目のCCMを測定した後、n番目のCCMを測定する時には、n-1番目CCM測定のために形成された測定領域上に、n番目CCM測定のための測定領域を形成することができる。
【0044】
以下、先行して形成された測定領域を第1測定領域、以後に形成された測定領域を第2測定領域と仮定して説明する。
【0045】
原着ポリエチレン原糸が、基材の一方向に進行するように70回巻き付けられて形成された第1測定領域についてのCCM測定を行った後、第1測定領域上に原着ポリエチレン原糸が再び巻き付けられて形成された第2測定領域についてのCCM測定を行う。即ち、基材の一方向と反対である方向に進行方向が変わりつつ第1測定領域を覆うように原着ポリエチレン原糸が巻き付けられて第2測定領域が形成される。
【0046】
よって、n-1番目のCCMが測定された第1測定領域と比較して、n番目のCCMが測定された第2測定領域は、互いに大きさが同一であり、基材上に測定領域が形成する厚さは、第1測定領域上に第2測定領域が形成される際に、原着ポリエチレン原糸の厚さだけ増加する。第1測定領域および第2測定領域において、CCMが測定される位置は同一でありうる。
【0047】
このような測定領域を通じて測定されたCCMのL*、a*、およびb*は、前述の式を満足することができる。
【0048】
具体的に、原着ポリエチレン原糸は、全体重量に対して顔料0.0001~0.5重量%、詳細には0.002~0.05重量%、さらに詳細には0.01~0.03重量%が含まれうるが、これに限定されない。但し、前記範囲で、投入量に比べて優れた発色力および色均一度を有することができる。
【0049】
ここで、原糸のCCM測定時、前記L*値の標準偏差は、3以下、具体的に2以下、さらに具体的に1.5以下であって、肉眼で簡単に区別されない非常に優れた色均一度を有することができる。
【0050】
本発明において、顔料は、従来の、ポリエチレン原着時に使用される顔料または原料として知られたものであれば限定されない。一具体例として、黒色ポリエチレン原糸である時、顔料はカーボンブラック粒子でありうる。
【0051】
原着ポリエチレン原糸は、ASTM D2256によって測定される初期モジュラスが10~300cN/dtex、具体的に50~300cN/dtex、さらに具体的に、70~150cN/dtexでありうる。ここで、ASTM D2256によって測定される強度は1.5~20g/d、具体的に4~20g/d、さらに具体的に、10~15g/dでありうるが、これに限定されるわけではない。但し、前記範囲で、高い熱伝導度を有すると同時に製織性に有利な適切な強撚度を有することができる。
【0052】
また、原着ポリエチレン原糸は、多分散指数が5~20、さらに具体的に、7~15であってもよく、ここで、原着ポリエチレン原糸は重量平均分子量が45,000~300,000g/mol、好ましくは100,000~200,000g/molでありうる。前記範囲で、原糸の溶融押出時溶融物の流れ性が良く、熱分解発生を防止し、延伸時糸切れが発生しないなど、工程性が確保されることから均一な物性の原糸を製造することができ、耐久性に優れた生地を提供することができる。
【0053】
また、原着ポリエチレン原糸は、ASTMD1238にしたがって190℃ 2.16kgで測定された溶融指数(melt index:MI、@190℃)が、0.5~22g/10min、具体的に1~10g/10min、さらに具体的に、2~8g/10minでありうる。また、原着ポリエチレン原糸は、密度が0.93~0.97g/cm3でありうる。また、原着ポリエチレン原糸は、紡糸を通じた結晶化度が60~80%、具体的に65~75%でありうる。前記ポリエチレン原糸の結晶化度は、X線回折分析器を用いた結晶性分析時、微結晶の大きさと共に導出できる。前述のように、溶融指数、密度、および結晶化度が前記範囲を満足する範囲で、高密度ポリエチレン(HDPE)の共有結合を通じて連結された分子鎖方向に、‘フォノン(phonon)’という格子振動(latticevibration)を通じて、熱が急速に拡散および発散されるのであって、汗および息などの水分排出機能が向上して冷感に優れた生地を提供することができる。
【0054】
そして原着ポリエチレン原糸は、ASTMD4974-04による乾熱収縮率(@100℃)が2~15%、具体的に、2.7~5%で非常に低い乾熱収縮率を有することによって、優れた形態安定性を有することができる。
【0055】
このような本発明の原着ポリエチレン原糸は、原着法を通じて製造することができる。
【0056】
具体的に、原着ポリエチレン原糸は、チップ(chip)形態のポリエチレンに顔料を混合した後、乾燥させて第1次マスターチップを製造する段階、および、第1次マスターチップを溶融して再混合した後に乾燥させる段階を、n回(nは1以上の自然数)繰り返して第n次マスターチップを製造する段階;を含んで製造されたカラーマスターバッチを含むポリエチレン樹脂組成物から製造されたものであってもよい。ここで、nは、非限定的に、2~5、具体的に、2~3であってもよい。前記段階から製造されたカラーマスターバッチをポリエチレン樹脂に含めるようにして樹脂組成物を製造することにより、原着ポリエチレン原糸は、より優れた色均一度を有することができる。
【0057】
カラーマスターバッチ内顔料の含量は、多様に調節できるが、カラーマスターバッチの全体重量に対して顔料0.05~10.0重量%、具体的に、0.1~5重量%が含まれうる。前記範囲で、従来、カラーマスターバッチと比較して低含量で顔料を含むにも拘わらず、優れた発色力を有することができる。
【0058】
また、このようなカラーマスターバッチを含むポリエチレン樹脂組成物は、前述の原糸内顔料含量比によって、適切にカラーマスターバッチが混合できる。具体的に、ポリエチレン樹脂組成物の全体重量に対して、カラーマスターバッチ0.1~10重量%を含有することができる。
【0059】
このような原着法を通じて製造された原着ポリエチレン原糸は、前述のように非常に優れた色均一度を有することができることから、高品質の生地を提供することができるようにする。
【0060】
以下、
図1を参照して、本発明の一様態による原着ポリエチレン原糸の製造方法を具体的に説明する。
【0061】
まず、チップ(chip)形態のポリエチレンに顔料を混合した後、乾燥させた第1次マスターチップを再び溶融し再混合して第2次マスターチップを得る。その後、製造した第2次マスターチップ、および、チップ形態のポリエチレンを、エクストルーダー(extruder)100に投入して溶融させることによって原着ポリエチレン溶融物を得る。
【0062】
溶融されたポリエチレンが前記エクストルーダー100内のスクリュー(図示せず)によって口金200を通じて運搬され、前記口金200に形成された多数のホールを通じて押出される。前記口金200のホールの個数は、製造される原糸のDPF(Denier Per Filament)および繊度によって決定できる。例えば、75デニールの総繊度を有する原糸を製造する場合、前記口金200は20~75個のホールを有することができ、450デニールの総繊度を有する原糸を製造する場合、前記口金200は、90~450個、好ましくは100~400個のホールを有することができる。
【0063】
前記エクストルーダー100内での溶融工程、および、口金200を通じた押出工程は、ポリエチレンチップの溶融指数によって変更適用可能であるが、具体的に、例えば150~315℃、好ましくは250~315℃、さらに好ましくは265~310℃で行われることが好ましい。即ち、エクストルーダー100および口金200が、150~315℃、好ましくは250~315℃、さらに好ましくは265~310℃に維持されることが好ましい。
【0064】
前記紡糸温度が150℃未満である場合、低い紡糸温度によって、ポリエチレンの均一な溶融が行われないことから紡糸が困難でありうる。反面、紡糸温度が315℃を超過する場合、ポリエチレンの熱分解が引き起こされることから、所望の強度を発現できないのでありうる。
【0065】
前記口金200の、ホール直径Dに対するホール長さLの比率であるL/Dは、3~40でありうる。L/Dが3未満であれば、溶融押出時にダイスウェル(Die Swell)現象が発生し、ポリエチレンの弾性挙動の制御が困難になることによって、紡糸性が良くないものとなり、L/Dが40を超過する場合には、口金200を通過する溶融ポリエチレンの、ネッキング(necking)現象による糸切れと共に、圧力降下による吐出不均一の現象が発生しうる。
【0066】
溶融されたポリエチレンが口金200のホールから吐出されながら、紡糸温度と室温との間の差によってポリエチレンの固化が始まり、半固化状態のフィラメント11が形成される。本明細書では、半固化状態のフィラメントはもちろん、完全固化されたフィラメントも、全て“フィラメント”と統称する。
【0067】
複数の前記フィラメント11は、冷却部(または“quenching zone”)300で冷却されることによって完全固化される。前記フィラメント11の冷却は、空冷方式で行うことができる。
【0068】
また、冷却部で冷却時に多段冷却を行うことによって、さらに均一に結晶化が行われるようにすることができ、これにより、湿気および汗の排出をさらに円滑にし、冷感性に優れた原糸を製造することができる。
【0069】
次いで、集束機400に、前記冷却および完全固化されたフィラメント11を集束させて、マルチフィラメント10を形成させる。
【0070】
図1に例示されているように、本発明のポリエチレン原糸は、直接紡糸延伸(DSD)工程を通じて製造することができる。即ち、前記マルチフィラメント10が複数のゴデットローラー部GR1…GRnを含む多段延伸部500に直接伝達されて、2~20、好ましくは3~15倍の総延伸比で多段延伸された後、ワインダー600に巻き取られる。また、多段延伸時、最後の延伸区間では1~5%の収縮延伸(弛緩)を付与することによって、耐久性が、より優れた原糸を提供することができる。
【0071】
代替案として、前記マルチフィラメント10を未延伸糸として一一旦巻き取った後、前記未延伸糸を延伸することによって、本発明のポリエチレン原糸を製造することもできる。即ち、本発明のポリエチレン原糸は、ポリエチレンを溶融紡糸して未延伸糸を一旦製造した後、前記未延伸糸を延伸する2段階工程を通じて製造することもできる。
【0072】
本発明による機能性生地は、前述の原着ポリエチレン原糸を含むもので、優れた色均一度および優れた熱伝導度を有する原着ポリエチレン原糸を含むことにより、優れた発色力および色均一度を有することができると同時に、冷感特性を示すことができる。
【0073】
本発明による機能性生地は、前記説明された原着ポリエチレン原糸を単独で使用するものでありうるのであり、他の機能性をさらに付与するために、異種原糸をさらに含むこともできるが、冷感性および優れた色均一度を同時に有することができる観点からは、前記ポリエチレン原糸を単独で使用することが好ましい。
【0074】
具体的に、機能性生地は、20±2℃、65±2%R.Hにて、20±2℃の生地に対して30±2℃で加熱された熱板(T-box)を接触させて測定される接触冷感が0.1~0.3W/cm2であり、20±2℃の生地に対して30±2℃で加熱された熱源板(BT-box)を接触させて測定される厚さ方向の熱伝導度(thermal conductivity)が0.05~0.25W/mKであり得る。さらに具体的に、接触冷感が0.15~0.22W/cm2であり、熱伝導度(thermal conductivity)が0.08~0.2W/mKであり得る。このような冷感を有する機能性生地は、後で製品に製造または加工されて使用者に着用される時、高温環境下で使用者が快適感を感じることができる適切な冷感を提供することができる。
【0075】
このような生地は、適切な冷感性が要求される冷感性製品として加工できる。製品は、従来の繊維製品は全て可能であるが、好ましくは、人体に冷感性を付与するための夏季の夏服、スポーツウェア、マスク、および作業服であり得る。
【0076】
以下、実施例を通じて本発明についてさらに詳しく説明する。但し、下記実施例は、本発明を詳しく説明するための一つの参照に過ぎず、本発明がこれに限定されるのではなく、様々の形態に実現できる。
【0077】
また、別に定義されない限り、全ての技術的用語および科学的用語は、本発明の属する当業者の中の一人によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。本願で説明に使用される用語は、単に特定実施例を効果的に記述するためのものであり、本発明を制限するものと意図されない。また、明細書で特に記載していない添加物の単位は、重量%であり得る。
【実施例】
【0078】
物性は以下のように測定した。
【0079】
[原糸物性測定]
<1.CCM(Computer Color Matching)測定>
図2に示されているように、横6.5cm、縦6.5cm、および高さ0.5cmである基材上に、原糸を巻き付けて測定領域を形成し、測定領域に対してCCM(Computer Color Matching)測定を行うにあたり、基材に対して原着ポリエチレン原糸が70回(±10)巻き付けられるごとにCCM測定を行った。トータルのCCM測定回数は135回であった。
【0080】
色差計(KAE1-063、GNB TECH)を通じてCCMを測定して、L*、a*、およびb*値、および下記式の値を導出した。
【0081】
[式]
(Cmax-Cmin)/Caver×100
【0082】
(前記Cmax、Cmin、およびCaverは、L*、a*、およびb*から選択されたいずれか一つについての最大、最小、および平均値をそれぞれ意味する。)
【0083】
<2.重量平均分子量(Mw)(g/mol)および多分散指数(PDI)>
ポリエチレン原糸を下記の溶媒に完全に溶解させた後、次のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて、前記ポリエチレン原糸の重量平均分子量(Mw)および多分散指数(Mw/Mn:PDI)をそれぞれ求めた。
【0084】
-分析機器:Tosoh社 HLC-8321 GPC/HT
-カラム:PLgel guard(7.5×50mm)+2×PLgel mixed-B(7.5×300mm)
-カラム温度:160℃
-溶媒:トリクロロベンゼン(TCB)+0.04wt.% ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)(0.1% CaCl2での乾燥後;after drying with 0.1% CaCl2)
-インジェクタ―、検出器の温度(Injector、Detector温度):160℃
-検出器(Detector):RI Detector
-流速:1.0ml/min
-注入量:300mL
-試料濃度:1.5mg/mL
-標準試料:ポリスチレン
【0085】
<3.強度(g/d)、初期モジュラス(g/d)>
ASTM D2256方法によって、インストロン社(Instron Engineering Corp、Canton、Mass)の万能引張試験機を用いてポリエチレン原糸の変形-応力曲線を得た。サンプル長さは250mmであり、引張速度は300mm/minであり、初期ロード(load)は0.05g/dに設定した。破断点での応力と伸長から強度(g/d)を求め、前記曲線の原点付近の最大勾配を付与する接線から初期モジュラス(g/d)を求めた。それぞれの原糸ごとに5回測定した後、その平均値を算出した。
【0086】
<4.結晶化度>
XRD機器(X-ray Diffractometer)[製造社:PANalytical社、モデル名:EMPYREAN]を用いてポリエチレン原糸の結晶化度を測定した。具体的に、ポリエチレン原糸を切断して2.5cmの長さを有するサンプルを準備し、前記サンプルをサンプルホルダーに固定させた後、下記の条件下で測定を実施した。
【0087】
-光源(X-ray Source):Cu-K α radiation
-電力(Power):45KV×25mA
-モード:連続スキャンモード
-スキャン角度範囲:10~40°
-スキャン速度:0.1°/sec
【0088】
<5.強力(kgf)、切断伸び(%)>
ASTM D-885試験方法にしたがって、インストロン試験機(Instro Engineering Corp.、Canton、Mass)を用い、250mmのサンプルに対して300m/minの引張速度を加えつつ、原糸サンプルの切断強力(Strength at Break)を測定することによって求めた。
【0089】
<6.乾熱収縮率>
ASTM D4974-04の方法にしたがって、乾熱収縮率測定装備(製造社:TESTRITE、モデル名:MK-V)を用い、0.2g/dの荷重が印加された状態におけるサンプルの最初の長さL1、および、100℃で0.2g/dの荷重が印加された状態で2分経過した後におけるサンプルの長さL2を、それぞれ測定し、この後、下記の式2にしたがって原糸の乾熱収縮率(%)を算出した。
【0090】
[式2]
乾熱収縮率(%)=[(L1-L2)/L1]×100
【0091】
<7.溶融指数>
ASTM D1238にしたがって190℃ 2.16kgでの溶融指数(melt index:MI、@190℃)を測定した。
【0092】
[生地の物性測定]
<1.接触冷感>
韓国衣類試験研究院に依頼して、KES-F7(Thermo Labo II)装置を用い、試験環境20±2℃、65±2% R.Hで測定した。
【0093】
具体的に、20cm×20cmのサイズの生地サンプルを準備した後、20±2℃の温度および65±2%のRHの条件下で24時間放置した。次いで、20±2℃の温度および65±2%のRHのテスト環境で、KES-F7 THERMO LABO II(Kato Tech Co., LTD.)装置を用いて生地の接触冷感(Q max)を測定した。具体的に、
図3に例示されているように、20℃±2℃に維持されるベースプレート(‘Water-Box’とも称される)21上に、前記生地サンプル23を載せておき、30℃±2℃に加熱された熱板(T-Box)22a(接触面積:3cm×3cm)を、前記生地サンプル23上に1秒間のみ載せた。即ち、一面がベースプレート21と接触している前記生地サンプル23における他面を、T-Box22aに瞬間的に接触させた。前記T-Box22aによって前記生地サンプル23に加えられた接触圧力は6gf/cm
2であった。次いで、前記装置に連結されたモニター(図示せず)に表示されたQ max値を記録した。このようなテストを10回繰り返し、Q max値の算術平均を算出した。
【0094】
<2.熱伝導度>
20cm×20cmのサイズの生地サンプルを準備した後、20±2℃の温度および65±2%のRHの条件下で24時間放置した。次いで、20±2℃の温度および65±2%のRHのテスト環境で、KES-F7 THERMO LABO II(Kato Tech Co., LTD.)装置を用いて生地の熱伝導度および熱伝達係数を求めた。具体的に、
図4に例示されているように、20℃±2℃に維持されるベースプレート21上に前記生地サンプル23を載せておき、30℃±2℃の熱源板(BT-Box)22b(接触面積:5cm×5cm)を、前記生地サンプル23上に1分間載せた。前記BT-Box22bが前記生地サンプル23と接触する間にも、その温度が30℃±2℃に維持されるように、前記BT-Box22bに熱が持続的に供給された。前記BT-Box22bの温度維持のために供給された熱量[即ち、熱流損失((heat flow loss))]が、前記装置に連結されたモニター(図示せず)に表示された。このようなテストを5回繰り返し、熱流損失の算術平均を算出した。次いで、生地の熱伝導度および熱伝達係数を、下記の式3および式4を用いて算出した。
【0095】
[式3]
K=(W・D)/(A・ΔT)
【0096】
[式4]
k=K/D
【0097】
ここで、Kは熱伝導度(W/cm・℃)であり、Dは生地サンプル23の厚さ(cm)であり、Aは前記BT-Box22bの接触面積(=25cm2)であり、ΔTは生地サンプル23両面の温度差(=10℃)であり、Wは熱流損失(Watt)であり、kは熱伝達係数(W/cm2・℃)である。
【0098】
[実施例1]
<カラーマスターバッチの製造>
チップ(chip)の形態のポリエチレンに顔料を混合した後、乾燥させた第1次マスターチップを再び溶融および混合して、第2次マスターチップ、即ち、カラーマスターバッチを得た。この時、カラーマスターチップの全体重量に対して0.83重量%の顔料が混合された。
【0099】
<ポリエチレン原糸の製造>
総繊度が410デニールである原着ポリエチレン原糸を製造した。
【0100】
具体的に、154,604g/molの重量平均分子量(Mw)を有するポリエチレンチップと、第2次マスターチップとをエクストルーダーに投入し、溶融させて溶融物を形成した。この時、溶融物の全体重量に対して第2次マスターチップ3重量%が混合された。溶融物は、200個のホールを有する口金を通じて押出された。口金の、ホール直径(D)に対するホール長さ(L)の比率であるL/Dは、6であった。口金温度は270℃であった。
【0101】
口金のノズルホールから吐出されながら形成されたフィラメントは、冷却後、集束された後に延伸された。次いで、前記延伸されたマルチフィラメント糸はワインダーに巻き取られた。巻取り張力は0.8g/dであった。
【0102】
製造された原糸の物性を測定し、導出された(Cmax-Cmin)/Caver×100値を△C値として、下記表1に示した。
【0103】
<機能性生地の製造>
前記製造された原着ポリエチレン原糸を製織して、面密度500g/m2の機能性生地を製造した。製造された機能性生地の物性を測定して、下記表2に示した。
【0104】
[実施例2]
実施例1において、カラーマスターバッチ内の顔料の含量を0.83重量%から0.40重量%に変更し、溶融物内のカラーマスターバッチの含量を3重量%から3.3重量%に変更したことを除いて、実施例1と同一に原糸および生地を製造した。また、実施例1と同一に製造された原糸および生地についての物性を測定して、下記表1および表2にそれぞれ示した。
【0105】
[実施例3]
実施例1において、カラーマスターバッチ内の顔料の含量を0.83重量%から0.40重量%に変更し、溶融物内のカラーマスターバッチの含量を3重量%から3.8重量%に変更したことを除いて、実施例1と同一に原糸および生地を製造した。また、実施例1と同一に製造された原糸および生地についての物性を測定して、下記表1および表2にそれぞれ示した。
【0106】
[比較例1]
実施例1において、134,277g/molの重量平均分子量(Mw)を有するチップ(chip)形態のポリエチレンに顔料を混合した後、乾燥させた第1次マスターチップをカラーマスターバッチとして使用し、カラーマスターバッチ内の顔料の含量を10.0重量%、溶融物内のカラーマスターバッチの含量を3重量%から0.25重量%に変更したことを除いて、実施例1と同一に原糸および生地を製造した。また、実施例1と同一に製造された原糸および生地についての物性を測定して、下記表1および表2にそれぞれ示した。
【0107】
【0108】
【0109】
上記表1~表2を参照すれば、実施例による生地の場合、強度および伸び率などといった機械的物性に優れると同時に、冷感特性を有するということを確認することができ、原糸の色均一度が非常に優れているのを確認することができた。
【0110】
図5は、実施例によって原着ポリエチレン原糸を紡糸したのであり、
図2に示された原着ポリエチレン原糸の測定領域を通じて、時間に依存するCCM値の測定結果が示されている。具体的に、実施例1~3および比較例による原着ポリエチレン原糸のCCM値が示されている。
【0111】
図5を参照すれば、本発明による原着ポリエチレン原糸は、長時間紡糸時にも色変化がほとんどなく、色均一度に優れた原糸生産が可能であるのを確認することができた。
【0112】
以上のように、本発明では、特定の事項と、限定された実施例および図面によって説明されたが、これは本発明の、より全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎないのであり、本発明は、前記の実施例に限定されるのではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形が可能である。
【0113】
したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定され決められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的変形がある全てのものは、本発明思想の範疇に属するというべきである。
【符号の説明】
【0114】
10:マルチフィラメント
11:フィラメント
21:ベースプレート
23:生地
22a:T-box
22b:BT-box
100:エクストルーダー
200:口金
300:冷却部
400:集束部
500:延伸部
600:ワインダー
【国際調査報告】