(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】生理食塩水およびその製造方法ならびに使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 33/14 20060101AFI20241112BHJP
A61J 1/00 20230101ALI20241112BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241112BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241112BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241112BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241112BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20241112BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20241112BHJP
A61K 38/40 20060101ALI20241112BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61K33/14
A61J1/00
A61P43/00 105
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/12
A61K38/18
A61K38/17
A61K38/40
A61K47/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548521
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 US2022047331
(87)【国際公開番号】W WO2023069658
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】301040958
【氏名又は名称】ザ・チルドレンズ・ホスピタル・オブ・フィラデルフィア
【氏名又は名称原語表記】THE CHILDREN’S HOSPITAL OF PHILADELPHIA
(71)【出願人】
【識別番号】524153835
【氏名又は名称】ビターラ バイオメディカル、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】デイビー、マーカス、グレアム
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、クリストファー、シー.
(72)【発明者】
【氏名】フレイク、アラン、ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C047CC04
4C076AA12
4C076BB01
4C076CC26
4C076DD22
4C076DD22Z
4C076DD23
4C076DD23D
4C076DD25
4C076DD25Z
4C076DD41
4C076DD41Z
4C076FF11
4C076GG41
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084CA18
4C084DA41
4C084DB52
4C084DB53
4C084DB58
4C084DB62
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA17
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB352
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA02
4C086HA24
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB21
(57)【要約】
【要約】 体外胎児医療に関する生理食塩水(PSS)およびその製造、使用方法が開示されている。一態様において、本明細書に開示されるのは、以下を有するPSSである:水性溶媒:約1.0mMから約2.0mMの塩化カルシウム;約3.0mMから約5.0mMの塩化カリウム:約15.0mMから約20mMの炭酸水素ナトリウム:約90mMから約110mMの塩化ナトリウム:および約9mMから約13mMの酢酸ナトリウムを含み、溶液は約7.0から約7.4の範囲のpHおよび約250mOsmから約270mOsmの範囲の浸透圧を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理食塩水であって、
水性溶媒と、
約1.0mMから約2.0mMの塩化カルシウムと、
約3.0mMから約5.0mMの塩化カリウムと、
約15.0mMから約20mMの炭酸水素ナトリウムと、
約90mMから約110mMの塩化ナトリウムと、
約9mMから約13mMの酢酸ナトリウムと
を有し、
これら溶液は、約7.0から約7.4の範囲のpHを有する、生理食塩水。
【請求項2】
請求項1記載の生理食塩水において、前記溶液は、約250mOsmから約270mOsmの範囲の浸透圧を有する、生理食塩水
【請求項3】
請求項1から2のいずれか1項に記載の生理食塩水において、前記溶液は、さらに、成長因子、抗菌ペプチド、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤を有するものである、生理食塩水。
【請求項4】
請求項3記載の生理食塩水において、前記成長因子は、インスリン様成長因子1、インスリン様成長因子2、上皮成長因子、肝細胞成長因子、トランスフォーミング成長因子アルファ、およびトランスフォーミング成長因子ベータ-1、およびそれらの組み合わせを有する群から選択される、生理食塩水。
【請求項5】
請求項4記載の生理食塩水において、前記抗菌ペプチドは、ヒトアルファディフェンシン1-3、ヒトベータディフェンシンー1、ヒトベータディフェンシン-2、ヒトベータディフェンシン-3、ヒトベータディフェンシン-4、殺菌性/透過性増加タンパク質、ラクトフェリン、カテリシジン、カルプロテクチン、およびこれらの組み合わせを有する群より選択される、生理食塩水。
【請求項6】
請求項1記載の生理食塩水において、さらに、
緩衝剤を有するものである、生理食塩水。
【請求項7】
請求項1から6のいずか1項に記載の生理食塩水において、内部容積を有する気密容器を有する、生理食塩水。
【請求項8】
生理食塩水を調製する方法であって、
塩化ナトリウムを水性溶媒に溶解する工程と、
炭酸水素ナトリウムを水性溶媒に溶解する工程と、
塩化カリウムを水性溶媒に溶解する工程と、
塩化カルシウムを水性溶媒に溶解する工程と、
前記生理食塩水溶液を提供するためにpHを約7.0から約7.4の値に調整するために十分な量の前記水性溶媒に酢酸ナトリムを有するpH調整物質を添加する工程と
を有する、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、さらに、
成長因子、抗菌ペプチド、またはそれらの組み合わせから選択される添加剤を前記水性溶媒に導入する工程を有するものである、方法。
【請求項10】
請求項8から9のいずれか1項に記載の方法において、前記生理食塩水は、
約1.0mMから約2.0mMの塩化カルシウムと、
約3.0mMから約5.0mMの塩化カリウムと、
約15.0mMから約20mMの炭酸水素ナトリウムと、
約90mMから約110mMの塩化ナトリウムと、
約9mMから約13mMの酢酸ナトリウムと
を有するものである、方法。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載の方法において、前記生理食塩水は、約250mOsmから約270mOsmの範囲の浸透圧を有する、方法。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか1項に記載の方法において、前記pH調整物質を添加する工程は、さらに、
前記水性溶媒に塩酸を添加する工程を有するものでる、方法。
【請求項13】
請求項9記載の方法において、前記成長因子は、インスリン様成長因子1、インスリン様成長因子2、上皮成長因子肝細胞成長因子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項14】
請求項9記載の方法において、前記抗菌ペプチドは、ヒトベータディフェンシンー1、ヒトベータディフェンシン-2、ヒトベータディフェンシン-3、ヒトベータディフェンシン-4、殺菌性/透過性増加タンパク質、カルプロテクチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項15】
請求項8から14のいずれか1項に記載の方法において、さらに、
前記生理食塩水を密閉容器に保管する工程を有するものである、方法。
【請求項16】
生理食塩水循環システムであって、
生理食塩水供給部と、
前記生理食塩水供給部を胎児チャンバーに流体連通させるように構成された導管と、
前記導管に結合されたポンプであって、前記生理食塩水供給部から前記胎児チャンバーに前記生理食塩水をくみ上げるように構成された、ポンプと、
前記導管に結合されたフィルターであって、前記生理食塩水が前記生理食塩水供給部から前記胎児チャンバーにくみ上げられる際に前記生理食塩水を濾過するように構成されたフィルターと
を有する、生理食塩水循環システム。
【請求項17】
請求項16記載の生理食塩水循環システムにおいて、前記フィルターは、第1のフィルターであり、前記システムは、さらに、
前記導管に流体連通された第2のフィルターであって、前記第1および第2のフィルターの各々は、前記生理食塩水が供給源から前記胎児チャンバーに向かって流れる際に前記生理食塩水を濾過するように構成された、第2のフィルターを有するものである、生理食塩水循環システム。
【請求項18】
請求項17記載の生理食塩水循環システムにおいて、前記第1のフィルターおよび第2フィルターのうちの一方は、前記生理食塩水が前記第1のフィルターおよび第2のフィルターのうちの他方を流れる間に置き換えられるように構成されている、生理食塩水循環システム。
【請求項19】
請求項16から18のいずれか1項に記載の生理食塩水循環システムにおいて、さらに、
前記導管内の圧力を感知するように構成された圧力センサーを有するものである。生理食塩水循環システム。
【請求項20】
請求項16から19のいずれか1項に記載の生理食塩水循環システムにおいて、さらに、
前記生理食塩水を消毒するように構成された消毒器を有するものである、生理食塩水循環システム。
【請求項21】
請求項20記載の生理食塩水循環システムにおいて、前記消毒器は、第1の消毒器であり、前記胎児チャンバーから上流に配置されるように構成されており、
前記システムは、前記胎児チャンバーから下流に配置されるように構成された第2の消毒器を含み、当該第2の消毒器は、前記生理食塩水を消毒するように構成されている、生理食塩水循環システム。
【請求項22】
請求項20記載の生理食塩水循環システムにおいて、前記消毒器は、紫外線(UV)光源を有する、生理食塩水循環システム。
【請求項23】
請求項22記載の生理食塩水循環システムにおいて、前記導管は、導管中心軸に沿って細長く、前記消毒器は、紫外線が前記導管を通って前記胎児チャンバー内に移動するのを防ぐように、前記導管中心軸に対して斜めの角度で配置された光中心軸に沿って前記紫外線を放出するように構成される、生理食塩水循環システム。
【請求項24】
請求項23記載の生理食塩水循環システムにおいて、前記角度は約90度である、生理食塩水循環システム。
【請求項25】
請求項20記載の生理食塩水循環システムにおいて、前記消毒器は、前記生理食塩水を消毒するために高周波を放射するように構成される、生理食塩水循環システム。
【請求項26】
請求項20記載の生理食塩水循環システムにおいて、前記消毒器は、前記生理食塩水を加熱するために高周波を放射するように構成される、生理食塩水循環システム。
【請求項27】
請求項16から26のいずれか1項に記載の生理食塩水循環システムにおいて、さらに、
前記生理食塩水を加熱するように構成された熱交換器を有するものである、生理食塩水循環システム。
【請求項28】
請求項16から27のいずれか1項に記載の生理食塩水循環システムにおいて、さらに、
前記導管に結合された圧力開放バルブを有するものである、生理食塩水循環システム。
【請求項29】
請求項16から28のいずれか1項に記載の生理食塩水循環システムにおいて、前記ポンプは、第1のポンプであり、前記システムは、さらに、
前記導管に結合された第2のポンプであって、前記生理食塩水を前記胎児チャンバーから廃棄物容器にくみ上げるように構成される、第2のポンプを有するものである、生理食塩水循環システム。
【請求項30】
請求項29記載の生理食塩水循環システムにおいて、前記第1のポンプは、前記胎児チャンバーの上流に配置され、前記第2のポンプは、前記胎児チャンバーの下流に配置される、生理食塩水循環システム。
【請求項31】
請求項16から30のいずれか1項に記載の生理食塩水循環システムにおいて、さらに、
前記導管に結合された温度センサーであって、前記生理食塩水の温度を感知するように構成された、温度センサーを有するものである、生理食塩水循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月20日に出願された米国仮出願番号63/257,798の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、新生児医療に関し、より具体的には、生理食塩水組成物およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
極端な未熟児は、米国における乳児の疾病率と死亡率の主な原因である。早産は、多くの医学的理由のいずれか1つによって起こる。呼吸不全は、極端な未熟児に関連する一般的で困難な問題である。重篤な未熟児のガス交換は、肺の構造的および機能的な未熟さによって障害されるからである。この分野の医学が進歩してもなお、早産児、特に妊娠28週以前に生まれた胎児では、慢性肺疾患や臓器未熟による他の合併症の発生率が高い。胎児の正常な成長と臓器の成熟を数週間でもサポートできるシステムが開発されれば、極端な未熟児の疾病率と死亡率を大幅に減少させ、生存者の生活の質を向上させることができる。未熟児胎児をサポートする既存のメカニズムには欠点がある。動物モデルで胎児の十分な酸素化を達成しようとするこれまでの試みは、循環過負荷と心不全によって制限されてきた。既知のシステムは、循環不全や汚染などの受け入れがたい合併症に悩まされている。
【0004】
酸素供給の必要性に加えて、胎児が子宮または子宮外チャンバーに似た環境で発育できるような人工羊水を提供する必要性がさらにある。このような環境では、胎児は羊水を飲み込んで「吸い込み」、子宮室内に放出する。生物学的な羊水と同様に、人工羊水は次のような1若しくはそれ以上の課題を達成する。発育中の胎児がチャンバー内で動くことを可能にし、それによって適切な骨の成長を促進する、肺が適切に発育することを可能にする、熱損失を防ぐために胎児の周囲の温度を一定に保つ、外的ストレス要因から胎児を保護する。
【0005】
従って、様々な状態/障害により、生命を維持するための呼吸ガス交換が不十分な未熟児胎児、または胎児(早産児または成熟児)に体外サポートを提供するためのシステムおよび方法は、生存率を向上させる可能性がある。また、このようなシステムおよび方法において、未熟児の死亡率および病的状態を減少させるためには、生物学的羊水の代用となる人工羊水または生理食塩水(「PSS」)が必要である。
【0006】
前述のニーズのうちの少なくとも1若しくはそれ以上は、胎児チャンバーアセンブリシステム、構成要素、および生理食塩水溶液などの消耗品の様々な態様をさらに有する体外サポートシステムによって満たされ、生理食塩水溶液の使用方法および調製方法が本明細書に開示される。本開示の一態様によれば、胎児をその中に取り囲んで支持するように構成された胎児チャンバーアセンブリは、胎児をその中に受け入れるように構成された基部と、蓋部と前記基部との間に液密シールを形成するように前記基部に取り外し可能に接触するように構成された前記蓋部と、前記基部と前記蓋部との間に画定された成長チャンバーであって、前記成長チャンバーは胎児をその中に受け入れるように構成された前記成長チャンバーと、前記成長チャンバーと流体連通するカニューレチャンバーであって、前記カニューレチャンバーは胎児のカニュレーションされた臍帯をその中に受け入れるように構成された、カニューレチャンバーとを有する。前記成長チャンバーは、胎児の大きさに基づいて、妊娠中に胎児を収容する大きさに調節されるように構成される。前記胎児チャンバーアセンブリは、貯蔵容器から人工羊水からなる液体を受け取るように構成される。
【0007】
本開示の別の態様によれば、本明細書に開示されるのは、生理食塩水(PSS)が、水性溶媒、約1.0mMから約2.0mMの塩化カルシウム、約3.0mMから約5.0mMの塩化カリウム、約15.0mMから約20mMの炭酸水素ナトリウム、約90mMから約110mMの塩化ナトリウム、および約9mMから約13mMの酢酸ナトリウムを含み、溶液は約7.0から約7.4の範囲のpHおよび約250mOsmから約270mOsmの範囲の浸透圧を有する。
【0008】
さらなる態様において、生理食塩水を調製する方法は、塩化ナトリウムを水性溶媒に溶解する工程、炭酸水素ナトリウムを水性溶媒に溶解する工程、塩化カリウムを水性溶媒に溶解する工程、塩化カルシウムを水性溶媒に溶解する工程、および前記生理食塩水溶液を提供するためにpHを約7.0から約7.4の値に調整するのに十分な量の塩からなるpH調整物質を水性溶媒に添加する工程を有する。この態様または他の態様において、この方法は、さらに、成長因子、抗菌ペプチド、またはそれらの組み合わせから選択される添加剤を水性溶媒に導入する工程を有する。本態様または他の態様において、塩は酢酸塩、より具体的には酢酸ナトリウムからなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本出願は、添付の図面と併せて読むとさらに理解される。主題を説明する目的で、図面には主題の例示的な態様が示されているが、現在開示されている主題は、開示されている特定の方法、装置、およびシステムに限定されない。
【
図1】
図1は、本開示の一態様による胎児チャンバーアセンブリの透視図である。
【
図2】
図2は、基部から間隔を置いた蓋部を示す
図1の胎児チャンバーアセンブリを示す。
【
図3】
図3は、本開示の一態様による、
図1および
図2の胎児チャンバーアセンブリの基部の透視図である。
【
図6】
図6は、本開示の態様による
図1~5の胎児チャンバーアセンブリの蓋部の透視図を示す。
【
図7】
図7は、
図1~6の胎児チャンバーアセンブリの断面透視図を示す。
【
図8】
図8は、下部および成長膜から間隔を置いた上部膜を示す、本開示の一態様による成長チャンバーの透視図である。
【
図9】
図9は、上部膜が下部膜に接触している状態を示す、
図8の成長チャンバーの断面透視図である。
【
図11】
図11は、本開示の一態様による胎児チャンバーアセンブリの側面図であり、第1の容積を有する成長チャンバーを示す。
【
図12】
図12は、
図11の胎児チャンバーアセンブリの側面図であり、第2の容積を有する成長チャンバーを示す。
【
図13】
図13は、本開示の一態様による流れの接続を示す、胎児チャンバーアセンブリの上面図である。
【
図14A】
図14Aは、本開示の一態様による胎便センサーアセンブリの側断面図である。
【
図15】
図15は、本開示の別の態様による胎便センサーアセンブリの概略図である。
【
図16】
図16は、空気除去ポートおよび空気除去アセンブリを示す、本開示のさらに別の態様による胎児チャンバーセンブリの上面図である。
【
図17】
図17は、本開示の一態様による空気除去アセンブリの正面図である。
【
図18】
図18は、本開示のさらに別の態様による胎児チャンバーセンブリの透視図であり、空気除去ポートに隣接する空気を示す。
【
図19】
図19は、本開示の別の態様による生理食塩水回路の概略図である。
【
図20】
図20は、本開示の別の態様による容器の正面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示の態様を、図面を参照して詳細に説明するが、ここで、同種の参照番号は、別段の指定がない限り、全体を通して同種の要素を指す。
【0011】
本出願に開示されるシステムは、未熟な新生児に体外サポートを提供するように構成される。本出願を通じて、「胎児」および「新生児」は互換的に使用されることがあり、本明細書の記載は一方の用語または他方の用語のみに限定されないことを理解されたい。「胎児」という用語は、子宮内の生体胎児および子宮から取り出された胎児または新生児の両方を表すために使用され得る。「人工羊水」または「生理食塩水」または「PSS」という用語は、互換的に使用することができ、一方の用語または他方の用語のみに限定されるものではない。これらのシステムは、未熟児胎児が子宮内で経験するであろう環境に実質的に類似した環境を提供する。子宮環境から除去され、例えば、妊娠約23週から約24週の間にある未熟胎児の生存率は、未熟胎児を開示されたシステム環境に置くことによって増加し得る。本開示のいくつかの態様によれば、システム環境は、1)未熟児の光への曝露を制限する、2)未熟児の音への曝露を制限する、3)胎児を液体環境内に沈めた状態に維持する、4)未熟児を所望の温度範囲内に維持する、または5)それらの任意の組み合わせ、のように構成されてもよい。
【0012】
未熟な新生児は、前記新生児が発育できるように、特定の期間、適切な環境で維持することができる。前記環境は、新生児の発育がまだ子宮内にいる胎児の発育と同じになるように、できるだけ自然の子宮に近いことが望ましい。胎児が子宮から取り出されると、前記胎児は少なくとも部分的に自然の子宮を模倣した胎児成長発育システムに入れられることがある。その胎児システムは、温度、液体、ガス交換、光曝露、物理的刺激、および胎児の発育に有利なその他のパラメーターを維持することができる。前記胎児の血管は、外部循環システムに接続されていてもよい。血管は、胎児の血液が胎児から外部循環系に(例えば、前記胎児の第1の血管を通して)移動され、前記外部循環系を通り、次いで前記胎児に(例えば、前記胎児の第2の血管を通して)戻ることができるように、適切な機構および方法によってカニュレーションされてもよい。前記胎児システムは、前記胎児が成長および発育している間、胎児が数日間、数週間、または数ヶ月間その中に留まることができるように構成されてもよい。前記胎児システムは、胎児の発育に有利なチャンバーのパラメータを維持する、より大きなアセンブリまたはシステム内に配置され、その一部であってもよい。必要な栄養素、気体、および液体は、接続されたシステムを通して胎児チャンバーに供給され、廃棄物は、1若しくはそれ以上の接続されたシステムを通して前記胎児システムから除去される。本明細書に記載の前記PSSに適合する胎児システムおよび関連システムの例は、米国特許第10,085,907号、同第10,751,238号、同第10,864,131号、同第10,945,903号、および米国公開第2021/0161744号、および同第2021/0052453号に記載されている。
【0013】
生理食塩水(PSS)
本明細書に記載されるのは、望ましい胎児の発育に必要な要素で構成され、胎児の成長に有益な物理的および化学的パラメータを有する生理食塩水(PSS)である。液体が胎児に接触したときに前記胎児に損傷を与えないように、前記液体は前記胎児と生体適合性でなければならないことが理解されよう。また、前記液体は、好ましくは、前記液体が前記胎児チャンバーアセンブリまたは流体回路の他の要素に導入されたときに、前記胎児チャンバーアセンブリ10の構成要素または前記流体回路の他の要素に対して腐食性または損傷性であってはならないことも理解されよう。前記PSSは、温度、圧力、栄養含有量、気体含有量、無菌性、および/または他の特性などの様々なパラメータについて制御することができる。いくつかの態様において、前記PSSが、少なくとも部分的に、妊娠中の自然のままのヒトの子宮内に見出される羊水に類似していることが好ましい場合がある。いくつかの実施形態において、前記PSSは、その中に溶解した1若しくはそれ以上の気体を含んでもよい。
【0014】
一態様では、水性溶媒と、約1.0mMから約2.0mMの塩化カルシウムと、約3.0mMから約5.0mMの塩化カリウムと、約15.0mMから約20mMの炭酸水素ナトリウムと、約90mMから約110mMの塩化ナトリウムと、約9から約13mMの酢酸ナトリウム、および任意に少なくとも1つの緩衝剤を有するPSSであって、溶液が約7.0から約7.4の範囲のpHを有するPSSがある。この態様または他の態様において、前記溶液は約250から約270mOsmの範囲の浸透圧を有する。水性溶媒の例としては、脱イオン水、蒸留水、精製水などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
特定の態様において、前記PSSは、さらに、成長因子、抗菌ペプチド、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤を有する。前記溶液の安定性および/または生理学的効力に対する前記添加剤の影響のような特定の要因に応じて、前記添加剤は前記PSSの製造中に添加されるか、あるいは代替的に前記PSS流体回路内または体外胎児システムの他の構成要素内で前記PSSに添加される。この態様または他の態様において、前記PSSに添加することができる他の添加物は、ヒト羊水の組成に近接させ、新生児患者の成長と発達を助けるために、少なくとも1若しくはそれ以上のアミノ酸、タンパク質、炭水化物、脂質、リン脂質、尿素、酵素、電解質、ホルモン、成長因子、抗菌剤、またはそれらの組み合わせである。アミノ酸の例としては、タウリン、グルタミン、アルギニン、オルニチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。炭水化物添加物の例はブドウ糖である。成長因子添加物の例としては、インスリン様成長因子1、インスリン様成長因子2、上皮成長因子、肝細胞成長因子、トランスフォーミング成長因子アルファ、トランスフォーミング成長因子ベータ-1、エルチロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、およびそれらの組み合わせが挙げられる。抗菌ペプチド添加物の例としては、ヒトアルファディフェンシン1-3、ヒトベータディフェンシンー1、ヒトベータディフェンシン-2、ヒトベータディフェンシン-3、ヒトベータディフェンシン-4、殺菌性/透過性増加タンパク質、ラクトフェリン、カテリシジン、カルプロテクチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0016】
前述したように、前記PSSへの特定の添加物は、抗菌剤や免疫製剤を含むことができる。これらの添加物の1若しくはそれ以上の添加は、病原体、細菌、真菌、原虫、ウイルスに対する予防として作用する。これらの抗菌添加物の例としては、アルファ-ディフェンシン[HNP1-3]、ラクトフェリン、リゾチーム、殺菌性/透過性増加タンパク質、カルプロテクチン、分泌性白血球プロテアーゼインヒビター、プソリアシン、カテリシジンなどが挙げられる。
【0017】
治療薬として前記PSSに添加できるさらなる添加物には、抗生物質、サイロキシン、栄養素(すなわち、ブドウ糖、アミノ酸、脂質)、グルココルチコイド、界面活性剤、ベータ-アドレナリン受容体作動薬などがある。
【0018】
別の態様では、新生児患者の母親の羊水から幹細胞を、新生児患者がシステムに入る前に母親から得ることができる。前記羊水は、羊水穿刺やその他の手段で母親から得ることができ、細胞が分裂して幹細胞株へと繁殖するように制御された培養で育てることができる。これらの幹細胞は、所望の治療効果を得るのに十分な量を前記PSSに加えることができる。
【0019】
別の態様において、塩化ナトリウムを水性溶媒に溶解する工程と、炭酸水素ナトリウムを前記水性溶媒に溶解する工程と、塩化カリウムを前記水性溶媒に溶解する工程と、塩化カルシウムを前記水性溶媒に溶解する工程と、およびpH調整物質を前記水性溶媒に添加する工程とを含むPSSの調製方法が提供される。この実施形態または他の実施形態において、pH調整物質は、塩を有する。この実施形態またはそれ以上の実施形態において、前記塩は、限定されないが、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせのような酢酸塩を有する。前記pH調整物質は、生理食塩水を提供するためにpHを約7.0から7.4の値に調整するのに十分な量で添加することができる。任意に、pH調整物質を添加する工程は、さらに、水性溶媒に塩酸を添加する工程を有する。この態様または他の態様において、この方法は、さらに、成長因子、抗菌ペプチド、またはそれらの組み合わせから選択される添加剤を前記水性溶媒に導入する工程を有する。この導入工程は、前記流体回路における前記PSSの使用前または使用中に起こってもよい。ある特定の態様において、前記PSS溶液は,約1.0mMから約2.0mMの塩化カルシウムと、約3.0mMから約5.0mMの塩化カリウムと、約15.0mMから約20mMの炭酸水素ナトリウムと、約90mMから約110mMの塩化ナトリウムと、約9から約13mMの酢酸ナトリウムとを有する前記PSSである。この態様または他の態様において、前記PSSは約250から約270mOsmの範囲の浸透圧を有する。前記PSSを調製するための方法工程は、任意の組み合わせまたは工程(例えば、a-b-c-d-e、a-c-b-d-eなど)、同時(例えば、任意の1若しくはそれ以上の工程の少なくとも一部の間)、または任意の他の順序で連続して実施することができる。
【0020】
PSSを調製する方法は、塩化ナトリウムを含む容器に水性溶媒を通すことを含み得る。PSSを調製する方法は、炭酸水素ナトリウムを含む容器に水性溶媒を通すことを含み得る。PSSを調製する方法は、塩化カリウムを含む容器に水性溶媒を通すことを含み得る。PSSを調製する方法は、塩化カルシウムを含む容器に水性溶媒を通すことを含み得る。PSSを調製する方法は、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムのうちの1若しくはそれ以上を含む容器に水性溶媒を通すことを含み得る。前記塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムは、水性溶媒が容器を通過する際に、水性溶媒に溶解できる。前記方法は、第1の物質を含む第1の容器と第2の物質を含む第2の容器に水性溶媒を順次通すことを含み得る。前記第1の物質は、前記第2の物質とは異なることができる。前記第1の物質は、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つを含み得る。前記第2の物質は、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つを含み得る。前記方法は、水性溶媒を、水性溶媒のpHが改変されるようにpH改変物質を含む容器に通すことを含み得る。前記pH調整物質は酢酸ナトリウムを含むことができる。前記方法は、成長因子、抗菌ペプチド、またはそれらの組み合わせから選択される添加剤を含有する容器に水性溶媒を通すことを含み得る。
【0021】
PSSを調製する方法は、水性溶媒と第1の溶液とを組み合わせることを含み得る。前記第1の溶液は流体であり得る。前記水性溶媒を前記第1の溶液と組み合わせることは、前記第1の溶液を第1の濃度から第2の濃度に希釈することを含み得る。前記第2の濃度は、前記第1の濃度の約99%~約90%、約90%~約80%、約80%~約70%、約70%%~約60%、約60%~約50%、約50%~約40%、約40%~約30%、約30%~約20%、約20%~約10%、または約10%~約1%であり得る。前記第1の溶液は、塩化ナトリウムを含み得る。前記第1の溶液は、炭酸水素ナトリウムを含み得る。前記第1の溶液は、塩化カリウムを含み得る。前記第1の溶液は、塩化カルシウムを含み得る。前記第1の溶液は、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムのうちの1若しくはそれ以上を含み得る。
【0022】
PSSを調製する方法は、水性溶媒を物質発生器に通すことを含み得る。前記物質生成器は電解槽とすることができる。前記物質生成器は、前記水溶液と組み合わされる第1の物質を生成することができる。前記第1の物質は、塩化ナトリウムを含み得る。前記第1の物質は、炭酸水素ナトリウムを含み得る。前記第1の物質は、塩化カリウムを含み得る。前記第1の物質は、塩化カルシウムを含み得る。前記第1の物質は、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0023】
体外胎児システム
胎児システムおよび他の関連システムの様々な態様が、本出願を通じて開示される。
図1および
図2に示すような例示的な好ましい実施形態では、胎児チャンバーアセンブリ10は、基部100および蓋部112を含む。その中に胎児1を受け入れるように構成された成長チャンバー120が、前記基部100と前記蓋部112との間の内部空間j104に画定される。前記胎児のカニューレされた臍帯2は、カニューレチャンバー150に配置され、このカニューレチャンバー150は、前記成長チャンバー120への開口を形成する壁構造を有する。図示された好ましい実施形態において、前記成長チャンバー120は、異なるサイズの胎児を受け入れ、前記胎児が胎児チャンバーアセンブリ10内にある間の妊娠期間中の前記胎児の成長に対応するように、サイズが調節可能であるように構成される。胎児の発育に好ましい特性を有する液体が導入され、前記成長チャンバー120および前記カニューレチャンバー150を通って流される。前記胎児1は、所定の妊娠ステージに達するまで所望の時間、前記胎児チャンバーアセンブリ10内に収容することができ、前記胎児1は、システム10内の発育プロセス中に監視され、維持される。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、以下に詳細に説明する様々なセンサーおよびポートを含むことができ、これらは、胎児のバイタルおよび前記システム10の状態を監視および維持し、胎児の発育に必要なものを導入し、必要に応じて前記システム10の汚染物質または構成要素を除去するのを助ける。
【0024】
図1および
図2に示すように、胎児チャンバーアセンブリ10は、基部100および蓋部112を含む。前記蓋部112は、前記蓋部112と前記基部100との間に液密シールを選択的に形成することができるように、前記基部100に取り外し可能に取り付けられることができる。前記システム10は、前記蓋部112と前記基部100がその間に液密シールを形成する閉じた構成と、前記蓋部112と前記基部100の間に液密シールが存在しない開いた構成とを有することができる。いくつかの態様では、前記蓋部112は前記基部100から完全に取り外し可能であり、前記蓋部112が前記基部100に接触せず、前記基部100から間隔をあけて配置される。いくつかの態様では、前記蓋部112は前記基部100に蝶番状に取り付けられ、前記蓋部112は蝶番状の取り付け部に沿って、前記基部100に向かって、または前記基部100から離れるように枢動することができる。いくつかの態様では、前記蓋部112が前記基部100から完全に分離されるように、ヒンジ付きアタッチメント(図示せず)は解放可能であってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記蓋部112は、前記蓋部112を前記基部100に固定または前記基部100から取り外すためにそれぞれ選択的にロックまたはロック解除され得る1若しくはそれ以上のロック要素を介して前記基部100に固定されるように構成されてもよい。いくつかの例示的な実施形態(例えば、
図2を参照)では、前記基部100は、その上に配置された1若しくはそれ以上の締め具300を含んでもよく、前記蓋部112は、その上に配置された締め具300によって挟まれるように設計された1若しくはそれ以上の突起部304を含んでもよい。前記蓋部112の別の図が
図6に描かれている。前記基部100上の前記締め具300は、前記蓋部112上の前記突起部304と解放可能に係合するように構成されてもよい。他のロック要素も想定され、本開示は、図に描かれた特定のロック要素300、304に限定されることを意図しておらず、前記締め具300が前記蓋部112上にあり、前記突起部304が前記基部100上にあるように、前記締め具300を逆にすることができることが理解されよう。前記システム10は、複数のロック要素を含んでもよく、前記複数のロック要素は、同じロック要素であってもよいし、異なるタイプのロック要素を含んでもよい。図には、8つの突起部304と係合するように構成された8つの締め具300が描かれているが、1、2、3、、、、10など、別の適切な数のそれぞれの基部および蓋部の閉鎖要素を利用できることが理解されるであろう。前記蓋部112の容易かつ迅速な取り外しは、ユーザが前記胎児チャンバーアセンブリ10の内部内の胎児にアクセスする必要がある医療緊急事態の場合に有益である。
【0026】
図3~5を参照すると、本開示の一態様による基部100が描かれている。前記基部100は、前記基部100に剛性構造を提供する筐体108を含み、後に詳細に説明されるように、様々なポート、センサー、およびチャネルをその中に含んでもよい。前記基部100は、さらに、胎児をその中に受け入れるように構成された成長チャンバー120と、胎児のカニューレされた臍帯を受け入れるように構成されたカニューレチャンバー150とを含む。適当な液体が、前記システム10に、例えば前記筐体108に導入され、前記液体が前記成長チャンバー120を通ってカニューレチャンバー150を通って流れるようにする。
【0027】
前記成長チャンバー120は、少なくとも部分的に、前記筐体108によって取り囲まれてもよい。いくつかの態様では、前記成長チャンバー120は、垂直方向zに沿って前記筐体108を貫通して延びる開口部に配置されてもよい。前記成長チャンバー120は、前記成長チャンバー120の少なくとも一部に沿って延びるシール296によって前記筐体から分離されていてもよい。前記基部100の前記シール296は、前記基部100と前記蓋部112との間に液密シールを形成するために前記蓋部112に解放可能に接触するように構成されてもよい。いくつかの例では、前記蓋部112は、前記基部100上の前記シール296に接触するように構成されたそれぞれのシール(図示せず)を含むことができる。前記PSSまたは関連液体を前記成長チャンバーに導入するための第1の注入口194と、前記PSSまたは関連する液体を前記成長チャンバーから排出するための排出口202が、前記成長チャンバー120上に画定される。前記液体が胎児の頭部に隣接して前記成長チャンバー120に入り、前記胎児の頭部から前記胎児の足部に向かって実質的に長手方向yに沿って流れ、前記胎児の足部に隣接して前記成長チャンバー120から出るように、前記第1の注入口194および前記排出口202を配置することが好ましい場合がある。前記液体の注入口と排出口の配置についてはさらに後述する。
【0028】
前記成長チャンバー120は、前記システム10内で胎児が成長する間、前記胎児を受け入れてその中に収容するように構成されている。閉じた構成の前記システム10の断面図を示す
図7を参照すると、前記成長チャンバー120は、少なくとも部分的に、前記筐体108に取り付けられた下部膜128と、前記蓋部112に配置された上部膜124とによって画定されている。いくつかの態様では、前記成長チャンバー120は、さらに、前記成長チャンバー120の周囲を円周方向に延びる前記シール296によって画定される。前記シール296は、前記成長チャンバー120に向かって内側に延び、前記成長チャンバー120内にいるときに胎児が接触する可能性のある物理的障壁として機能する1若しくはそれ以上の緩衝部294をその上に含むことができる。前記緩衝部294は、胎児が接触したときに変形またはへこむように、十分に柔らかく可鍛性に構成される。前記緩衝部294は、前記成長チャンバーを前記剛性筐体108から分離し、前記胎児が前記筐体108の鋭利な角や剛性部分に接触して損傷を受けるのを防止する。前記緩衝部294は、少なくとも部分的に前記成長チャンバー120の周囲に延びていてもよい。前記緩衝部294は、垂直方向zに沿って前記下部膜128と前記上部膜124との間に延在することができる。いくつかの実施形態では、前記緩衝部294は、前記上部膜124および前記下部膜128の少なくとも一方が前記緩衝部294と前記成長チャンバー120内に位置する胎児との間に配置されるように、前記成長チャンバー120の外部に配置されてもよい。
【0029】
図7~
図10を一般的に参照すると、前記成長チャンバー120の前記上部膜124は、垂直方向zに沿って前記下部膜128から間隔をあけて配置されている。前記成長チャンバー120は、前記上部膜124と前記下部膜128との間の空間に胎児を受け入れるように構成されている。前記システム10が、前記閉鎖構成に移動され、前記蓋部112が前記基部100に固定されると、前記上部膜124は、胎児と前記下部膜128の上に移動される。前記上部と下部の膜124、128は同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。例えば、図に示すように、前記下部膜128は凹形状であり、前記上部膜124から離れる垂直方向zに窪んでいる場合がある。前記凹形状は、胎児を前記下部膜128上に配置するのを容易にすることができる。前記上部膜124は、横方向xと縦方向yとによって規定される平面内で実質的に平坦であってもよい。いくつかの態様では、前記上部膜124は、前記凹面が前記下部膜128から離れる垂直方向zに延びる(すなわち、前記下部膜128から延びる前記凹面の反対側)凹形状であってもよい。前記上部膜124、前記下部膜128、または両方の膜は、例えば、垂直方向zに、前記凹面の一方または各々がそれぞれの方向に深くなるように力が加えられると伸長するように構成されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、前記下部膜128は、その前記凹面を深くするように伸びるように構成されてもよい。これにより、前記成長チャンバー120の容積を増加させることができる。
【0030】
成長チャンバー
前記成長チャンバー120は、前記システム10のパラメータに基づいてサイズが変化するように構成することができる。これは、前記成長チャンバー120が異なるサイズの胎児を収容することを可能にし、また、前記システム10内に居住する間に成長する胎児を収容することを可能にするために有利である。状況によっては、前記胎児の大きさに見合った成長チャンバーに前記胎児を収容することが医学的に好ましい。すなわち、大きすぎる成長チャンバーに前記胎児を収容して保持することは好ましくない場合がある。具体的には、前記胎児が望ましくない動きにさらされたり、臍帯に絡まったりするような不必要に大きな容積に胎児が配置されないようにすることが好ましい場合もある。このような絡まりは、前記臍帯に望ましくない圧力または負荷がかかり、その結果、前記臍帯を通る血流が閉塞する可能性がある。妊娠中、胎児が前記成長チャンバー120内で過度に移動したり、潜在的に有害な位置を変えたりすることがないように、前記胎児が十分に小さな空間にいるようにすることが医学的に望ましい場合がある。このような体位変換は、胎児への損傷、臍帯への負担や損傷、または前記臍帯の偶発的な脱血を引き起こす可能性がある。逆に、胎児に対して小さすぎる成長チャンバー内に胎児を保持することは好ましくない。前記胎児を前記成長チャンバー120内に拘束すると、前記胎児に対する圧力が増大したり、前記胎児の望ましい身体的成長が妨げられたりする可能性がある。前記胎児の位置を制御することはまた、前記胎児の頭部を、胎便排出の危険性が増大する前記成長チャンバー120内の領域から遠ざけるのに役立つ。さらに、胎児の位置を制御することにより、前記胎児が前記成長チャンバー120内に位置すると予想される場所に相対して、前記システム10内に様々なセンサーおよびトランスデューサを配置することができる。このように、前記システム10は、様々な大きさの胎児に対応するために大きさを変えることができる前記成長チャンバー120を有することが有利である。前記胎児が前記システム10内に居住している間に成長するにつれて、前記胎児のサイズの対応する増加に対応するように、前記成長チャンバー120のサイズを増加させる能力を有することがさらに好ましい。
【0031】
前記成長チャンバー120は、複数の異なる容積の間で変化するように構成されてもよく、各別の容積は胎児の対応するサイズに関連付けられる。
図7~
図12を概して参照すると、前記成長チャンバー120は、上述したように、上部膜124および下部膜128を有してもよい。前記成長チャンバー120は、さらに、垂直方向zに沿って前記下部膜128から概ね間隔を空けて配置された成長膜132を含んでもよい。いくつかの態様において、前記成長膜132は、前記下部膜128が前記上部膜124と前記成長膜132との間に配置されるように配置されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、前記下部膜128と前記成長膜132は、例えば、溶接、ヒートシール、クランプ、接着剤、または他の適切な固定機構によって、それぞれの周縁に沿って互いに固定されてもよい。
【0032】
流体ポケット136は、前記下部膜128と前記成長膜132の間に画定される。前記流体ポケット136は、流体が前記下部膜128と前記成長膜132との間に保持されるように、流体をその中に受け入れるように構成されている。前記流体は液体および/または気体を含んでもよい。いくつかの好ましい実施形態では、前記流体は液体、例えば生理食塩水である。幾つかの態様では、超音波などの診断検査を前記成長チャンバー120上で実行できるようにするために、前記流体ポケット136内の前記流体が液体であることが好ましい場合がある。一部の実施形態では、前記流体は代替的に気体を含んでもよいことが理解されよう。前記流体ポケット136内の前記流体は、前記成長チャンバー120の内部、前記成長チャンバー120内の胎児、または前記成長チャンバー120内のいかなる液体または構成要素とも接触しないように構成された静止流体である。
【0033】
前記流体は、前記成長チャンバー120上に配置され、前記流体ポケット136と流体連通する流体ポケットポート140(
図10に示す)を介して、前記流体ポケット136に導入されてもよい。いくつかの態様において、前記流体ポケットポート140は前記下部膜128上に配置されてもよい。他の態様では、前記流体ポケットポート140は前記成長膜132上に配置されてもよい。ある態様では、前記流体ポケットポート140は、前記下部膜128と前記成長膜132との間に配置されてもよい。前記流体が前記流体ポケット136に導入されるほど、前記流体ポケット136内の容積は大きくなる。前記システム10の作動中、前記流体は前記流体ポケット136に選択的に追加される、または前記流体ポケット136から除去されてもよい。
【0034】
前記成長チャンバー120は、少なくとも第1の容積と、前記第1の容積とは異なる第2の容積とを有するように構成される。前記成長チャンバー120は、任意の複数の異なる容積を有するように調整されるように構成されてもよく、第1の容積または第2の容積への言及は、前記成長チャンバー120の2つの容積の説明的比較として意味されることが理解されよう。
図11を参照すると、第1の容積を有する前記成長チャンバー120の例示的な構成が描かれている。前記第1の容積は、前記下部膜128と前記上部膜124124との間に画定される。前記下部膜128は、上述の前記流体を介して前記成長膜132から間隔を置かれる。前記第1の容積は、第1のサイズを有する胎児1を収容するように構成される。
図12を参照すると、前記第1の容積よりも大きい第2の容積を有する前記成長チャンバー120の例示的な構成が描かれている。前記第2の容積は、前記第1のサイズよりも大きい第2のサイズを有する前記胎児1を収容するように構成される。
図12に示すように、前記下部膜128は前記成長膜132から間隔を空けなくてもよい。これは前記流体ポケット136に流体がないことを意味する。このように、
図12は、
図11および
図12に描かれた前記成長チャンバー120の実施形態について可能な最大の容積を描いている。
【0035】
前記成長チャンバー120の比容積は、前記流体ポケット136の容積に反比例することがある。すなわち、より多くの流体が前記流体ポケット136に導入され、前記流体ポケット136の前記容積が増加すると、その中に胎児を受け入れるように構成された前記成長チャンバー120の容積は減少する。逆に、流体が前記流体ポケット136から除去され、前記流体ポケット136の前記容積が減少すると、前記成長チャンバー120の前記容積は増加する。前記成長チャンバー120の前記容積は、前記上部膜124と前記下部膜128との間に画定することができる。前記成長チャンバー120は、垂直方向zに沿って、横方向xに沿って、縦方向yに沿って、またはいくつかの方向もしくはすべての方向の組み合わせに沿って、前記容積が変化するように構成されてもよい。いくつかの態様では、前記成長チャンバー120内の前記容積は、前記成長チャンバー容積が増加すると、前記成長チャンバー120が垂直方向z、横方向x、および縦方向yに沿ってサイズが増加し、前記成長チャンバー容積が減少すると、前記成長チャンバー120が垂直方向z、横方向x、および縦方向yに沿ってサイズが減少するように、三次元的に変化させることができる。
【0036】
前記胎児1は、前記下部膜128上、具体的には、前記上部膜124に面し、前記成長チャンバー120の容積を画定する前記下部膜128の側に配置されてもよい。前記下部膜128の反対側は、部分的に前記流体ポケット136を画定しており、前記流体ポケット136内の流体と接触する可能性がある。前記流体ポケット136内の流体は前記下部膜128を支持する。
図7~12に描かれた態様では、前記流体ポケット136は垂直方向zに沿って前記下部膜128の下方に配置されている。本開示の目的のために、垂直方向zは、重力に平行な非ゼロベクトル成分を有してよい。いくつかの態様では、垂直方向zは重力に完全に平行である。そのため、垂直方向上方に配置され、前記流体ポケット136内の流体によって支持される前記下部膜128は、垂直方向zに沿って重力によって作用され、前記流体ポケット136内の流体は、前記下部膜128の重量に見合った反作用法線力を前記下部膜128に及ぼす。前記胎児1、ならびに前記下部膜128上に配置されるPSSなどの前記システム10の他の構成要素も同様に、前記流体ポケット136内の流体に対して垂直方向zに沿って重力が作用する。前記流体ポケット136内の前記流体の量が減少すると、前記流体ポケット136内の前記流体による前記下部膜128の支持レベルも同様に減少する。このように、重力により、前記下部膜128は、横方向xおよび/または縦方向yに沿って、伸張、変形、および/または展開し、垂直方向zに沿って、前記流体ポケット136に向かって、より下方に垂れ下がる。前記下部膜128が前記上部膜124から離れて垂直方向zに沿って下方に移動するにつれて、前記成長チャンバー120内の容積が増加する。逆に、前記流体ポケット136内の前記流体の量が増加すると、前記下部膜128の前記支持レベルも同様に増加し、前記下部膜は垂直方向zに沿って前記上部膜124に向かって上方に突出し、その結果、前記上部および前記下部膜124、128の間に画定される前記成長チャンバー120の前記容積が減少する。したがって、一実施形態では、前記下部部および成長膜128、132は可変容量ブラダー機構として機能する。
【0037】
操作において、前記胎児1が前記成長チャンバー120に導入されるとき、前記胎児1は第1のサイズを有し、前記成長チャンバー120は第1の容積を有する。前記胎児1は、前記PSSおよび前記システム10の他の構成要素とともに前記下部膜128上に導入されてもよい。前記流体ポケット136は、重力に対抗し、前記胎児1、前記下部部膜128、前記PSS、および前記成長チャンバー120内の前記下部膜128に接触する他の構成要素の重量に見合った支持を前記下部部膜128に提供するように構成される第1の量の流体をその中に含むことができる。前記胎児1が第2の大きさに成長するにつれて、前記胎児1の成長に対して対応する量だけ前記成長チャンバー120の前記容積を増加させることが望ましい場合がある。これを行うために、前記流体ポケット136が前記第1の量より少ない第2の量の流体をその中に含むように、前記流体ポケットポート140を介して前記流体ポケット136から流体を除去することができる。流体の減少および流体によって提供される物理的支持によって、前記下部膜128が1若しくはそれ以上の横方向x、縦方向y、および垂直方向zに膨張し、したがって、前記成長チャンバー120の容積が第2の容積まで増加する。
【0038】
前記成長チャンバー120内の容積を調節する工程は、手動であっても自動であってもよい。いくつかの態様では、前記成長チャンバー120内の容積を変化させるために、ユーザー(例えば、医師または看護師)が前記流体ポケット136に選択的に流体を導入または除去することができる。いくつかの態様では、制御装置とプロセッサーは、前記流体ポケット136にまたは前記流体ポケット136から流体を自動的に追加または除去するために、前記システム10と通信するように構成されてもよい。容積調整工程は、前記胎児1の体重、位置、年齢、健康状態、または別のパラメータに基づいて行われてもよい。いくつかの態様において、前記容積調節は、例えば、毎日、隔日、毎週、隔週、毎月などの特定のタイムラインに基づいて行われてもよい。いくつかの態様において、前記胎児1の体重は、前記成長チャンバー120内の前記胎児1の超音波測定に関連する導出された公式を用いて推定されてもよい
【0039】
前記上部、下部、および成長膜124、128、132は、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、または他のプラスチック、またはプラスチックの積層組み合わせを含んでもよい。いくつかの態様において、前記上部膜124、前記下部膜128、前記成長膜132、上記のうちの2つ、または上記のすべては、熱可塑性ウレタンを含んでもよい。いくつかの態様において、前記上部、下部、および成長膜124、128、132はすべて同じ材料を含んでもよいか、あるいは、代替的に、それらは異なる材料で構成されてもよい。いくつかの態様において、上記各膜の厚さは同じであってもよく、あるいは、厚さは上記膜の少なくとも2つの間で変化してもよい。いくつかの具体的な実施形態において、前記成長膜132は、前記上部膜124、前記下部膜128、またはその両方よりも厚くてもよい。いくつかの実施形態では、前記成長膜132は、前記上部膜124および/または前記下部膜128、の約2倍の厚さであってもよい。いくつかの態様において、前記上部、下部、および/または成長膜124、128、132は、約50と約100の間、約60と約90の間、約70と約80の間、または上記の範囲の1若しくはそれ以上と重なる範囲の硬度計を有することができる。いくつかの態様において、前記膜124、128および/または132は、特定の形状を有するように形成され得る(例えば、
図8~10を参照)。いくつかの態様において、前記上部膜124、前記下部膜128および/または前記成長膜132が透明であることが有利であり得る。いくつかの態様では、前記上部膜124、前記下部膜128および/または前記成長膜132が、超音波が不要な干渉またはエコーなしにそこを通過することを許容されてもよいように、音波透過性であることが有利であり得る。
【0040】
互いに対向し、前記成長チャンバー120を画定し、前記胎児1に接触するように構成された前記上部膜124および前記下部膜128の少なくとも表面は、前記胎児1および前記成長チャンバー内の前記システム10の構成要素(例えば前記PSS)に曝露され続けるのに適した生体適合性材料で構成されていることが理解されよう。いくつかの態様では、少なくとも前記上部および前記下部膜124、128(具体的には、少なくとも、前記成長チャンバー120の内部に配置されたそれぞれの表面)が実質的に平滑であり、その上に細菌の増殖を促進し得る質感または粗さがないことを保証することが有利であり得る。
【0041】
前記成長チャンバー120の特定のサイズ、形状、および寸法は、使用目的、胎児のサイズ、および製造上の制約に依存する。いくつかの例示的な実施形態では、前記成長チャンバー120は、約3インチと約20インチの間、約7インチと約16インチの間、約10インチと約12インチの間、または別の適切な範囲の、縦方向yに沿って測定された第1の寸法を有することができる。前記成長チャンバー120は、約3インチと約14インチの間、約5インチと約12インチの間、約7インチと約10インチの間、または別の適切な範囲の、横方向xに沿って測定された第2の寸法を有することができる。前記成長チャンバー120は、縦方向yに沿って測定した第3の寸法が約2インチと約12インチの間、約4インチと約8インチの間、または別の適切な範囲にある場合がある。
【0042】
胎児チャンバーアセンブリを通る流路
操作において、胎児チャンバーアセンブリ10は、前記成長チャンバー120および前記カニュレーションチャンバー150を通って流れるように、そこに適切な液体を受け入れるように構成される。前記液体は、前記カニュレーションチャンバー150内および前記成長チャンバー120内で、前記成長チャンバー120内の胎児および前記胎児の臍帯に接触する可能性がある。
【0043】
前記PSSはPSS源から前記胎児チャンバーアセンブリ10に導入される。いくつかの態様では、前記PSSが前記胎児チャンバーアセンブリ10内に停滞状態で留まることはなく、代わりに有利な流量で移動されることが好ましい場合がある。液体の停滞を避けることは、前記胎児チャンバーアセンブリ10内部での細菌増殖を防止するのに役立つ可能性がある。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記胎児チャンバーアセンブリ10内の閉ループ内で同じPSSを連続的に循環させるのではなく、新しい、すなわち新鮮なPSSが前記胎児チャンバーアセンブリ10に入り、そこを移動し、その後前記胎児チャンバーアセンブリ10から出るように、前記PSSをそこを通過させるように構成されてもよい。前記同じPSSを循環させる代わりに新しいPSSを導入することは、細菌の増殖および蓄積を防止し、前記胎児チャンバーアセンブリ10から汚染物質を除去するのに役立ち、胎児の発育のためにより良いガスおよび栄養交換を提供することができる。
【0044】
図13を参照すると、前記胎児チャンバーアセンブリ10の前記基部100内に例示的なPSS流路が描かれている。他の適切な流路を使用してもよく、図に示すような流路の正確な配置は限定を意図するものではないことが理解されよう。前記PSSは、PSS供給源から前記胎児チャンバーアセンブリ10に導入され、2つの別個の流入口、第1の流入口194および第2の流入口198に分割される。上記で簡単に説明したように、前記第1の流入口194は、前記第1の流入口194からの前記PSSが前記成長チャンバー120内に移動されるように、前記成長チャンバー120内に画定され、前記第2の流入口198は、前記第2の流入口198からの前記PSSが前記カニューレチャンバー150内に移動されるように、前記カニューレチャンバー10の前記カニューレ流入口162に画定される。前記PSSは、概ね長手方向yに沿って前記排出口202に向かって移動するように構成されている。前記排出口202は、長手方向yに沿って、前記第1および第2流入口194、198から間隔をあけて配置される。いくつかの態様において、前記排出口202は、前記胎児が前記第1の流入口194と前記排出口202との間に配置され得るように、前記第1の流入口194とは反対側の前記成長チャンバー120内に配置される。前記第1の流入口194は、前記成長チャンバー120内で、前記胎児の足よりも前記胎児の頭に近い位置に配置されてもよく、一方、前記排出口202は、前記胎児の頭よりも前記胎児の足に近い位置にあるように配置されてもよい。これにより、前記第1の流入口194から前記排出口202に向かって流れる前記PSSは、一般的に、胎児の頭から胎児の足へ向かう方向に流れる。後に詳述するように、前記胎児チャンバーアセンブリ10を異なる軸に沿って回転させてもよいが、前記PSSが重力により、前記排出口202に向かって下方に流れるように、前記排出口202が(重力に対して)前記成長チャンバー120の最も低い位置に配置されるように、前記胎児チャンバーアセンブリ10の向きを維持することが好ましい場合がある。このような流路は、汚染物質(例えば、胎便)を胎児の頭部に向かって移動させたり、前記胎児の頭部に隣接させたりするのではなく、あらゆる汚染物質を足部に向かって移動させたり、前記排出口202に向かって移動させたりすることができるPSSの連続的な流れを有することによって、汚染物質(例えば、胎便)を胎児の頭部から遠ざけるのに有利であり得る。汚染物質(胎便など)の吸引は、呼吸器系の合併症を引き起こしたり、胎児の発育を妨げたりする可能性があるため、汚染物質や異物を胎児の頭部から遠ざけるようなPSSの流れを維持することが好ましい場合がある。
【0045】
排出口チャネル206は、前記排出口202から延び、前記PSSが前記胎児チャンバーアセンブリ10を通って移動した後に前記PSSを受け入れるように構成された廃棄物受容器に通じている。前記排出口チャネル206は、少なくとも部分的に、前記筐体108内に配置されてもよい。前記排出口チャネル206は、そこを流れる前記PSSが、前記胎児チャンバーアセンブリ10の1若しくはそれ以上の構成要素に接触し、隣接して流れ、またはそれを通って流れることができるように構成されてもよい。
図13を参照すると、例えば、胎便センサーアセンブリ292が、前記排出口チャネル206上に、または前記排出口チャネル206に隣接して配置されてよく、前記排出口チャネル206を通って流れる前記PSS液体が、以下で詳細に説明されるように、前記胎便センサーアセンブリ292による感知を受けるようになっている。
【0046】
いくつかの態様において、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、複数の排出口202を含んでもよい。各排出口202は、同じ排出口チャネル206と流体連通するように構成されてもよく、あるいは、別個の排出口チャネル206と流体連通するように構成されてもよい。
【0047】
作動中、前記PSSは、前記第1および第2の流入口194、198から前記胎児チャンバーアセンブリ10に入り、前記排出口202に向かって流れる。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記成長チャンバー120と前記カニューレチャンバー150とを分離する仕切り壁158を有するように描かれているが、前記仕切り壁158は、異なる実施形態において異なる寸法を有してもよく、前記PSS液体の流れは、前記仕切り壁158の特定の配置によって影響され得ることが理解されるべきである。例えば、
図2~4に見られるように、前記仕切り壁158は、垂直方向zに沿って前記筐体108から上方に(前記胎児チャンバーアセンブリ10が閉じられたときに前記蓋部112に向かって)延びている。いくつかの好ましい態様において、前記仕切り壁158は、前記仕切り壁158の上面が、前記仕切り壁158が延びる前記筐体108と、前記シール296の上面が配置される横方向xおよび縦方向yによって画定される平面との間にあるように、垂直方向zに延びるように構成されてもよい。簡単に言えば、前記仕切り壁158の高さ(前記筐体108から垂直方向zで測定)は、前記シール296の高さよりも小さい。このような実施形態では、前記胎児チャンバーアセンブリ10が閉じられ、前記蓋部112が前記基部100と密封固定されるとき、前記PSS液体は、前記仕切り壁158と前記蓋部112との間に画定される空間において、前記仕切り壁158の上を通過できる。このような実施形態は、前記胎児チャンバーアセンブリ10内の滞留液体の領域を減少させ、ひいては細菌増殖の有病率を減少させるために好ましい場合がある。さらに、そのような実施形態は、単一のシール296のみが使用されてもよいので、前記胎児チャンバーアセンブリ10を閉じることをより単純できる。いくつかの代替的な態様において、前記仕切り壁158は、前記仕切り壁158の上部が前記シール296の高さと一致するような高さを有するように構成されてもよく、これにより、前記胎児チャンバーアセンブリ10が閉じられるとき、前記仕切り壁158と前記蓋部112との間に空間が画定されず、前記PSSが前記仕切り壁158の上を通過することが許容されない。
【0048】
前記PSSは、単一の供給源から、単一のポンプを用いて、前記胎児チャンバーアセンブリ10に導入されてもよい。前記胎児チャンバーアセンブリ10において、前記PSSは、上記のように2つ(若しくはそれ以上)の流入口に分割されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、各流入口は、前記PSSを他の流入口から独立してそこに移動させるための別個のポンプまたは同様の機構を有さない。このように、個々の流入口ポート間のPSSの量の分配は、能動的に制御される必要はない。さらに
図13を参照すると、前記第1および第2の流入口194、198の各々は、前記胎児チャンバーアセンブリ10のパラメータに応じて、同量のPSSまたは異なる量のPSSのいずれかを受容するように構成されてもよい。同様に、前記第1および第2の流入口194、198の各々を通って導入される前記PSSは、実質的に同じ圧力を有するか、または異なる圧力を有することができる。
【0049】
いくつかの態様において、前記第1および第2の流入口194、198の各々に導入される前記PSSの量は、前記胎児チャンバーアセンブリ10の位置、より具体的には前記第1および第2の流入口194、198の互いに対する位置に依存する。異なる流入口間のPSSの分配は、各流入口に向けられる前記PSSの圧力差に依存する。各流入口の相対位置は、前記胎児チャンバーアセンブリ10がどのように配置されるかに基づいて変化してもよく、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、1、2、または3方向に並進してもよく、複数の軸に沿って回転してもよい。この議論の目的のために、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、横方向xに沿って、縦方向yに沿って、および/または垂直方向zに沿って並進されてもよい。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、横方向xに平行なピッチ軸に沿って、縦方向yに平行なロール軸に沿って、および/または垂直方向zに平行なヨー軸に沿って回転されてもよい。前記胎児チャンバーアセンブリ10に対する前記ピッチ軸、ロール軸、およびヨー軸の各々の具体的な位置は、様々な実施形態間で異なってもよく、別段の指示がない限り、以下の説明を限定することを意図するものではない。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、同様に他の軸の周りを回転するように構成されてもよく、本開示における実施形態は、上述の前記ピッチ軸、ロール軸、およびヨー軸に限定されない。
【0050】
例えば、
図13(
図3にも見られる)に示される前記第1および第2の流入口194、198の例示的な配置を参照すると、前記第1および第2の流入口194、198は、横方向xおよび縦方向yによって定義される同一平面内にあるように示されている。このような配置では、2つの流入口に導入される前記PSSは、同じ圧力を有することができる。このように、前記PSSの流量は、前記第1および第2の流入口194、198とで等しくてもよい。前記胎児チャンバーアセンブリ10が前記ロール軸を中心に第1の方向に回転される場合、前記第1および第2の流入口194、198の一方は、前記第1および第2の流入口194、198の他方よりも(垂直方向zに沿って、地面に対して)高く配置される。前記胎児チャンバーアセンブリ10は前記第1および第2の流入口194、198の相対的配置が逆になるように、前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記ロール軸を中心に回転させることができる。高い方の前記流入口は、低い方の前記流入口よりも前記PSSの圧力が低くなる。前記胎児チャンバーアセンブリ10が前記ロール軸に沿って回転するほど、前記第1および第2の流入口194、198間の相対距離は大きくなり、前記圧力差は大きくなる。前記第1および第2の流入口194、198のうち相対的に低い方が、他方の流入口と比較して、そこに前記PSS液体を比例して多く受けることになる。一実施形態による例示的で非限定的なピッチ軸とロール軸が
図43に描かれている。
【0051】
この分布は、前記PSSを前記胎児チャンバーアセンブリ10に導入するように構成された機構(例えばポンプ)に起因する可能性がある。前記ポンプは、前記PSSを前記胎児チャンバーアセンブリ10に移動させるが、流れを特定の流入口に積極的に誘導しないように構成されてもよい。すなわち、前記ポンプは、前記PSS液体を前記胎児チャンバーアセンブリ10に移動させるように構成されるが、前記液体は、抵抗が最も小さい方向に流れる。前記第1および第2の流入口194、198が、横方向xおよび縦方向yによって定義される同じ水平面内にあるとき、前記流れは、両方の入口が同じ抵抗位を有するので、両方の流入口に均等に移動することができる。前記胎児チャンバーアセンブリ100が前記ロール軸に沿って前記第1の方向に回転されるとき、(地面に対して)垂直方向zに沿って高い位置にある流入口は、相対的に低い位置にある流入口よりも流れに対する抵抗が大きい。
【0052】
いくつかの態様において、前記液体を移動させるための第2の機構(例えば、第2のポンプ)は、前記排出口チャネル206と流体連通して配置されてもよく、前記排出口チャネル206内の前記PSSの前記胎児チャンバーアセンブリ10外への移動を促進するように構成されてもよい。
【0053】
胎便感知
妊娠中、胎児は時に、その身近な環境に胎便を放出することがある。胎便自体は一般的に無菌であるが、前記胎児チャンバーアセンブリ10内に存在すると、細菌増殖の危険性が増大する可能性がある。胎便は、前記胎児チャンバーアセンブリ10内の構成要素を詰まらせたり損傷させたりする可能性があり、胎児の発育を妨げる可能性がある。場合によっては、胎児が胎便を吸引し、感染などの胎児の健康上の問題を引き起こす可能性がある。そのため、前記胎児チャンバーアセンブリ10の作動中に、胎便の存在を監視することが望ましい。胎便が検出された場合、以下で詳細に説明するように、前記胎児チャンバーアセンブリ10から除去することができる。
【0054】
図2~5に示すように、胎便センサーアセンブリ292は、前記基部100の基部筐体108上に配置されてもよい。前記胎便センサーアセンブリ292は、前記胎児チャンバーアセンブリ10を通って流れる前記液体(例えばPSS)内の胎便の存在を検出するように構成される。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、例えば、前記カニューレチャンバー150内、前記成長チャンバー120内、または前記胎児チャンバーアセンブリ10の別の部分に、戦略的に配置された複数の胎便センサーアセンブリ292を含んでもよいことが理解されよう。
【0055】
いくつかの好ましい実施形態では、例えば、
図13、
図14A、および
図14B1に示すように、前記胎便センサーアセンブリ292は、前記排出口チャネル206内に配置されてもよいし、前記排出口チャネル206に隣接して配置されてもよい。前記胎便センサーアセンブリ292は、前記排出口チャネル206とインラインであってもよい。
図15は、前記排出口チャネル206に隣接して配置された前記胎便センサーアセンブリ292の配置例の例示的な非限定的な概略図を示す。この概略図は縮尺通りに示されておらず、他の配置が利用され得ることが理解されよう。前記胎便センサーアセンブリ292は、胎便センサーアセンブリ筐体313およびセンサー310を含む。前記排出口チャネル206内の前記液体は、前記センサーアセンブリ筐体313に入ることができる。前記センサー310は、前記センサーアセンブリー筐体313内の前記液体内の胎便の存在を検出するように構成されている。胎便の特定の閾値量が、前記胎児チャンバーアセンブリ10の操作のために予め決定されてもよいことが理解されよう。前記液体が前記排出口202で前記排出口チャネル206に入ると、前記液体は前記排出口チャネル206に沿って移動し、前記胎児チャンバーアセンブリ10から出る。前記液体が前記排出口チャネル206に移動した後、前記液体は、前記胎便センサーアセンブリ292を通過するか、または前記胎便センサーアセンブリ292に隣接してもよい。
【0056】
前記センサ310が所定の閾値を超える前記液体中の胎便の存在を検出した場合、前記胎便センサーアセンブリ292は、検出された胎便に応答して、前記胎児チャンバーアセンブリ10に、ユーザに通知させるか、アラームをトリガさせるか、またはその動作を変更させることができる。前記排出口206内に前記胎便センサーアセンブリ292を配置することは、前記胎児チャンバーアセンブリ10を通る液体の流れによる胎便の正確な検出に有利である。上記で説明したように、前記液体の流れは、概して、前記第1および第2の流入口194、198から前記排出口202に向かう方向に移動し、そのようなものとして、概して、胎児の頭部から胎児の足に向かう方向に移動する。胎児が排泄する胎便は、前記液体の流れによって前記排出口202に向かって運ばれ、前記排出口チャネル206に入る可能性がある。上記で説明したように、前記流入口194、198および前記流出口202の相対的配置、ならびに前記チャンバーアセンブリ120および前記カニューレチャンバー150の一般的形状は、前記成長チャンバー120または前記カニューレチャンバー150内の滞留液および細菌が増殖し得る領域を減少させるのに役立つ。このように、構成部品の有利な設計および配置は、排泄された胎便の大部分または全部を前記排出口202に導くのにも役立ち、これにより、前記胎便センサーアセンブリ292によって検出される胎便の量は、胎児によって排泄される胎便のより正確な量を表す
【0057】
上記で簡単に述べたように、前記胎便センサーアセンブリ292は、前記センサーアセンブリ筐体313と前記センサー310とを含む。前記センサー310は、反射体表面312に向けられるように構成されたカメラ311を含むスペクトルセンサーであってもよい。前記反射体表面312は、ランバート反射体であってもよい。前記反射体表面312は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含んでもよい。いくつかの態様において、前記反射体表面312は単一色を含むことができる。いくつかの態様において、前記反射体表面312は白色であってもよい。光源315は、前記反射鏡表面312から所定の距離で、カメラ311上またはそれに隣接して配置することができる。前記光源315は、光の少なくとも一部が前記反射鏡表面312から前記カメラ311に向かって反射するように、前記反射鏡表面312に光を向けることができる。前記カメラ311は、その中を流れる前記液体を含む前記センサーアセンブリ筐体313が前記カメラ311と前記反射鏡表面312との間に配置されるように、前記反射鏡表面312に対向して配置される。いくつかの態様では、前記排出口チャネル206は、前記センサー筐体213を通って延びるか、または前記センサー筐体213と一直線上にある。
【0058】
前記排出口チャネル206を通って移動する前記液体は、前記センサー310に隣接する前記センサーアセンブリー筐体313に移動することができる。前記センサーアセンブリ筐体313内にあるとき、前記液体はしたがって、前記カメラ311と前記反射体表面312との間を通過することができる。前記カメラ311は、前記カメラ311と前記反射体表面312との間の前記液体の光学的変化(所定値に対する)を検出するように構成された単一画素カメラであってもよい。例えば、いくつかの態様において、前記カメラ311は、2若しくはそれ以上の波長の相対強度を検出するように構成されてもよい。前記カメラ311は前記反射体表面312を見ることができなければならない。そのため、前記カメラ311と前記反射体表面312の間の材料は、前記カメラが前記反射体表面312を見て色を検出できるように、少なくとも半透明でなければならない。この配置は、前記排出口チャネル206を通過する液体内に存在する可能性のあるあらゆる物質からの光の反射を可能にするとともに、スペクトル到達範囲を測定するための一定の背景として機能する前記反射体表面312からの光の反射を可能にする。いくつかの実施形態では、前記センサーアセンブリ筐体313は、前記カメラ311と前記反射体表面312との間の前記センサーアセンブリ筐体313上に配置された第1の透明または半透明の窓314を含むことができる。第2の透明または半透明の窓316は、前記第1の窓314の反対側で、前記カメラ311と前記反射体表面312との間にも前記センサーアセンブリ筐体313上に配置される場合がある。前記カメラ311は、前記第1の窓314を通して、前記センサーアセンブリ筐体313およびその中の前記液体を通して、前記第2の窓316を通して、前記反射体表面312を見るように構成されてもよい。いくつかの態様では、前記センサー310、前記センサーアセンブリ筐体313、または前記胎児チャンバーアセンブリ筐体108の他の場所に追加の窓を配置してもよいことが理解されよう。
【0059】
前記センサー310は、前記カメラ311を使用して前記反射体表面312とは異なる色の変化を検出するように構成されたプロセッサーを有する制御装置318を含むことができる。前記プロセッサーは、関心のある好ましい色スペクトル範囲を定義するプログラムを含むことができる。前記カメラ311と反前記反射体表面312との間に配置される異なる材料または構成要素は、異なる色を有する可能性がある。好ましい実施形態では、前記プロセッサーは、胎便の色と一致する色範囲を識別するように構成されてもよい。いくつかの態様において、色範囲は、赤色、黄色、茶色、上記の組み合わせ、または関連する色を含んでもよい。前記プログラムされた範囲内の色が検出された場合、それは特定の物質の存在を示す可能性がある。好ましい態様では、例えば、前記カメラ311が赤色、黄色、茶色、または類似の色を検出した場合、これは胎便の存在を示す可能性がある。
【0060】
いくつかの態様では、前記センサー310は、可視または近赤外スペクトル内の6つの異なる波長を検出するように構成される場合がある。可視スペクトルは、個々のスペクトル読み取り値をRGBまたはHSV値に変換する能力を有する。いくつかの態様では、HSVは、測定された色相、彩度、および値に基づく3D極空間へのカラーマッピングを使用することにより、色を解釈する直感的な方法を有するというRGBを超える利点を有する可能性がある。そのような例示的な態様では、色相の測定は、360度空間における検出された色を定量化するために使用されることがあり、彩度の測定は、パーセントとして色の量を定量化するために使用されることがあり、値の測定は、パーセントとして明るさを定量化するために使用されることがある。前記360度空間内の領域は、特定の物質(例えば、胎便や血液)に関連付けることができる。このような測定により、対象物質の正確な検出と量が可能になる。前記HSV空間内の関連領域に焦点を当てるようにプロセッサーを構成することにより、前記HSV空間の他の領域に関連する可能性のある関心対象でない物質の存在を無視する一方で、関心対象の特定の物質を監視することができる。
【0061】
いくつかの態様において、血液センサーは、血液成分による特定のスペクトル線の吸収および特定の波長の相対強度によって血液の存在を検出する光学センサーであってもよい。前記センサーは、異なる波長を交互に放射し、透過または反射強度を検出することができる。前記センサーは複数の波長を同時に放射し、フィルタリングされた検出器が特定の波長の強度を測定することもできる。
【0062】
前記カメラ311が前記プログラムされた色範囲内の色の存在を検出した場合、前記制御装置318は、ユーザーに通知するか、アラームをトリガするか、または前記胎児チャンバーアセンブリ10の動作を変更するように構成される。前記排出口チャネル206を通って流れる前記液体は様々な色を含む可能性があるため、監視される物質(例えば、胎便または血液)に関連する色のみに焦点を合わせるように前記センサーを構成することは、偽陽性を防止するのに役立つことが理解されるであろう。
【0063】
胎便除去
胎児によって前記成長チャンバー120内に排泄された胎便は、感染、細菌増殖、またはアセンブリ構成要素の損傷のリスクを低減するために、前記胎児チャンバーアセンブリ10から除去されてもよい。前記胎児チャンバーアセンブリ10内の胎便の量は、上述のように、前記胎便センサーアセンブリ292によって推定することができる。胎便は、前記成長チャンバー120および/または前記カニューレチャンバー150内で可視であってもよい。いくつかの態様において、前記胎便センサーアセンブリ292内の前記センサー310によって検出された胎便の量が所定の閾値を超えた場合、胎便を除去することが有利である。
【0064】
前記胎児チャンバーシステム10を開いて(例えば、前記基部100から前記蓋部112の連結を解除して)、その中の前記液体(例えば、PSS)内から胎便を除去することは可能であるが、前記胎児チャンバーシステム10のロックを解除して開くことなく胎便を除去することが好ましい場合がある。これは、前記胎児を妨害することなく、前記胎児または前記胎児チャンバーアセンブリ10の内部を外部の汚染物質にさらすことなく、または前記胎児チャンバーアセンブリ10の動作を一時停止することなく(例えば、前記アセンブリを通る前記液体の連続的な流れを一時停止することなく)、前記胎児のための制御された環境を維持するのに役立つ。このように、いくつかの態様では、ユーザーが前記成長チャンバー120または前記カニューレチャンバー150にツールを挿入し、前記液体中に存在する胎便を吸引、すくい上げ、または他の方法で除去することができる専用の除去ポートを介して胎便を除去することが好ましい場合がある。
図2~5に示すように、前記胎便除去アセンブリ214を前記基部100上に配置してもよい。
【0065】
上記の説明は、前記成長チャンバー120から特に胎便を除去する例を提供するが、前記カニューレチャンバー150のような前記胎児チャンバーアセンブリ10の他の部分に胎便が存在してもよく、それらの領域からも開示された前記胎便除去アセンブリ214を介して除去されてもよいことが理解されるであろう。いくつかの態様において、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、胎便が存在し得る領域へのアクセスを可能にするために、前記胎児チャンバーアセンブリ10上に有利に配置された追加の前記胎便除去アセンブリ214を含んでもよい。
【0066】
前記胎便センサーアセンブリ292は、上述のように、胎便の存在を示す色の変化を検出するように構成される。いくつかの態様において、前記胎便センサーアセンブリ292は、さらに、前記排出口チャネル206を通過する前記液体中の血液の存在に対応する色の変化を検出するように構成されてもよい。前記成長チャンバー120を出る前記液体中の血液の存在は、胎児の出血を示すことがある。前記成長チャンバー120または前記カニューレチャンバー150内の血液は、臍帯内の1若しくはそれ以上のカニューレ接続された血管とそれに接続されたそれぞれのカニューレとの間の漏れを示す場合がある。前記胎児チャンバーアセンブリ10に血液が存在することを監視し、前記胎児が損傷を受ける前にそのような問題に対処することが好ましい。
【0067】
温度感知
血液および胎便に加えて、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、そこを流れる前記液体(例えばPSS)の様々な他のパラメータを監視するように構成されてもよい。いくつかの態様では、1若しくはそれ以上の温度センサーが、前記液体、前記胎児チャンバーアセンブリ10の構成要素、または前記胎児自体の温度を測定するために、前記胎児チャンバーアセンブリ10全体に配置されてもよい。いくつかの態様において、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、温度の正確な測定を提供するために、前記胎児チャンバーアセンブリ10全体に戦略的に配置された複数の温度センサーを含んでよい。
図3および
図4に示すように、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、その中の前記液体を測定するために成長チャンバー120内に配置された温度センサー280を含んでもよい。前記複数の温度センサーの一部または全てからの温度測定値は、前記胎児チャンバーアセンブリ10内の平均温度を計算するため、前記胎児チャンバーアセンブリ10の様々な領域における温度差を決定するため、温度センサーの機能を確認するため、および/または特定の領域を個別に監視するために分析されてもよい。
【0068】
図42を参照すると、3つの温度センサー280の例示的なレイアウトが描かれている。
図42は、3つの温度センサー280を示しているが、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、異なる数の温度センサーで設計されてもよいことが理解されるべきである。例えば、1、2、、、、10、または別の適切な数の温度センサー280が想定されてもよい。さらに、「二次的」温度センサー280は、1若しくはそれ以上の「一次」温度センサー280が動作不能または欠陥になった場合の冗長性として配置されてもよい。一次温度センサーと二次的温度センサーは実質的に同じであってもよく、その違いは使用目的の違いである。
【0069】
前記温度センサー280は、前記成長チャンバー120、前記カニューレチャンバー150、および/または前記筐体108内の流体流路の一部または全部に配置されてもよい。具体的な配置は、特定の前記温度センサー280がどの部位をモニターすることを意図しているかに依存する。
図42に示すように、いくつかの実施形態では、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記成長チャンバー120の様々な領域に配置された3つの温度センサー280を含んでもよい。本開示の目的のために、
図42の前記3つの温前記温度センサー280は、第1の温度センサー280a、第2の温度センサー280b、および第3の温度センサー280cとして個々にラベル付けされる。前記第1、第2、および第3の温度センサ280a~cは、機能的および構造的に同じであってもよいことが理解されよう。前記第1の温度センサー280は、前記第1の排出口194に隣接して配置されてもよい。胎児が前記成長チャンバー120に配置されるとき、前記第1の温度センサー280は、前記胎児の頭部に、描かれた3つの温度センサーの中で最も近くなる。前記胎児の頭部の領域における液体の温度の正確な測定値を有することは有利であり得る。さらに、前記第1の注入口194に隣接する前記第1の温度センサー280の配置は、前記液体が最初に前記成長チャンバー120に入るときに前記液体の温度を正確に感知することを可能にすることができる。
【0070】
前記第2の温度センサー280bは、前記カニューレチャンバ150と前記成長チャンバー120との間の前記開口部166に隣接して配置されてもよい。前記第2の温度センサー280bは、前記胎便除去ポート218に隣接していてもよい。前記第2の温度センサー280bは、前記開口部166と前記胎便除去ポート218との間の前記成長チャンバー120内に少なくとも部分的に配置されてもよい。このような配置は、前記カニューレチャンバー150からの前記液体が前記成長チャンバー120に入り、前記成長チャンバー120内の前記液体と混合する場所のすぐ下流で正確な温度監視を可能にするので有利な場合がある。この領域の温度を監視することにより、前記第2の注入口198から前記カニューレチャンバーに入る液体が十分な温度であることを確認することができる。いくつかの態様では、前記胎便除去ポート218に隣接する温度を監視することが有利な場合がある。操作中に、上記で詳述したように、前記胎便除去ポート218を介して胎便が除去される場合、前記胎便除去ポート218のすぐ近傍の前記液体を監視して、前記ポートの開口による温度変化を検出することが有利な場合がある。
【0071】
前記第3の温度センサー280cは、前記排出口202に隣接して配置されてもよい。前記第3の温度センサー280cは、前記第1の温度センサー280aに対向して配置されてもよく、長手方向yに沿って前記第1の温度センサー280aから離間してもよい。前記第3の温度センサー280cは、前記第2の温度センサー280bが前記第1および第3の温度センサー280a、280cの間に配置されるように配置されてもよい。胎児が前記成長チャンバー120に配置されているとき、前記第3の温度センサー280cは、前記3つの温度センサーのうち前記胎児の足に最も近いものであってもよい。前記胎児の足の領域の温度を測定し、その測定値を前記第1の温度センサー280aによって測定された前記胎児の頭部の温度と比較することが有利である場合がある。これは、前記胎児の頭から前記胎児の足へ向かう方向に流れる前記液体の温度がどのように変化するかを示す可能性がある。前記第3の温度センサー280cを前記排出口202に隣接して配置することは、前記成長チャンバー120から出るときの前記液体の温度を測定し、その測定値を、前記第1の注入口194および/または前記開口部166で前記成長チャンバーに入るときの前記液体の温度と比較するのに有利である場合がある。前記3つの温度センサー280a~cの特定の例示的な配置は、限定することを意図しておらず、前記温度センサー280の他の配置、およびより多いまたはより少ない量が想定されることが理解されるであろう。いくつかの態様において、前記温度センサー280は、例えば前記第2の注入口198に隣接して、前記カニューレチャンバー150内に配置されてもよい。
【0072】
操作においては、前記胎児チャンバーアセンブリ10内の前記液体の前記温度を好ましい温度範囲内に維持することが好ましい。胎児環境の温度が胎児の成長および発達に影響を及ぼし得ること、および好ましい範囲外の温度が前記胎児に損傷を引き起こし得ることが理解されよう。そのため、いくつかの実施形態では、前記成長チャンバー120および前記カニューレチャンバー150内の前記液体の前記温度を摂氏約37.5度に維持することが好ましい。温度の変動は許容されてもよく、正確な好ましい温度は、胎児に関連する医学的要件に応じて変動してもよい。
【0073】
前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記1若しくはそれ以上の温度センサー280からの温度測定値に基づいて、注入される液体を所望の温度に加熱または冷却させるように構成されてもよい。例えば、温度の個々の測定値または平均測定値が所定の閾値よりも低い場合、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記液体の温度を所望の温度まで上昇させるように前記液体を十分に加熱させるように構成されてもよく、逆に、温度の個々の測定値または平均測定値が所定の閾値よりも高い場合、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記液体の温度を所望の温度まで低下させるように前記液体を十分に冷却させる(または、代わりに、加熱させない)ように構成されてもよい。
【0074】
いくつかの態様では、前記胎児チャンバーアセンブリ10に移動する前記液体の温度を測定するために、前記胎児チャンバーアセンブリ10の外側に追加の温度センサー(前記胎児チャンバーアセンブリ10には図示せず)を配置してもよい。これらの追加の温度センサーは、前記液体が前記胎児チャンバーアセンブリ10に導入される前に、前記液体が所望の温度に加熱または冷却されていることを確認するために、前記液体の温度をモニターするために使用することができる。
【0075】
前記胎児チャンバーアセンブリ10は、その中の圧力を監視するように構成されてもよい。1若しくはそれ以上の圧力センサーが、前記成長チャンバー120、前記カニューレチャンバー150、関第1の注入口194、前記第2の注入口198、前記排出口202、前記排出口チャネル206、または前記胎児チャンバーアセンブリ10の別の領域における前記液体の圧力を測定するために、前記胎児チャンバーアセンブリ10全体に配置されてもよい。いくつかの態様において、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、圧力の正確な測定を提供するために、前記胎児チャンバーアセンブリ10全体に戦略的に配置された複数の圧力センサーを含むことができる。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、平均圧力計算を決定するために複数の圧力センサーの各々からの測定値を利用するように構成されてもよい。
図13に示すように、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、その中に配置された圧力センサー284を含むことができる。
【0076】
図19を参照すると、2つの圧力センサー284の例示的なレイアウトが描かれている。
図19は、2つの圧力センサー284を示しているが、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、異なる数の圧力センサー(例えば、284a、284bなど)を用いて設計されてもよいことが理解されるべきである。例えば、1、2、、、、10、または別の適切な数の圧力センサー284が想定され得る。さらに、「二次的」圧力センサー284は、1若しくはそれ以上の「一次」圧力センサー284が動作不能または欠陥になった場合の冗長として配置されてもよい。一次圧力センサーと二次的圧力センサーは実質的に同じであってもよく、違いは使用目的である。
【0077】
図13を参照すると、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、各圧力センサ284からの測定値を受信し、各個別の測定値に基づいて計算を行うように構成されてもよい。前記個別の測定値は、前記胎児チャンバーアセンブリ10の構成要素内の平均圧力または前記センサーに対する特定の位置での圧力を計算するために使用されてもよい。いくつかの態様において、各圧力センサー284における前記値は、前記成長チャンバー120の幾何学的中点または前記成長チャンバー120内の別の好ましい領域における前記圧力を計算するために使用されてもよい。いくつかのシナリオでは、特に胎児がその中に配置されているときに、前記成長チャンバー120内の平均圧力を連続的に監視することが好ましい。
図13に示すように、いくつかの実施形態では、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、好ましい配置に従って前記成長チャンバー120の周囲に配置された2つの圧力センサー284を含むことができる。本開示の目的のために、
図13に示される前記2つの圧力センサー284は、第1の圧力センサー284aおよび第2の圧力センサー284bとして個々にラベル付けされる。前記第1および第2の圧力センサー284a、284bは、機能的および構造的に同じであってもよいことが理解されよう。複数の圧力センサー284の使用は、有利には、前記成長チャンバー120内の特定の領域またはゾーンの圧力測定値を提供することができ、監視される特定の領域は、前記別々の圧力センサー284に対する前記成長チャンバー120内の胎児の位置に依存することができる。前記胎児チャンバーアセンブリ10内の圧力は、前記複数の圧力センサー284のうちの1若しくはそれ以上における個別の圧力測定値に基づいて、および/または1若しくはそれ以上の個別の圧力センサー284からの前記圧力測定値に基づいて計算される計算圧力値に基づいて、監視された圧力に応答して調節されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、前記第1および第2の圧力センサー284a、284bは、それぞれが前記成長チャンバー120の物理的重心から実質的に等距離にあるように配置されてもよい。いくつかの実施形態では、前記第1および第2の圧力センサー284a、284bは、それぞれが前記ピッチ軸Aから実質的に等距離にあるように配置されてもよい。具体的には、前記第1の圧力センサー284aは、胎児の頭部を受容する前記成長チャンバー120の部分に隣接して配置されてもよく、前記第2の圧力センサー284bは、前記胎児の足を受容する前記成長チャンバー120の部分に隣接して配置されてもよい。すなわち、前記第1の圧力センサー284aは、前記胎児の足よりも前記胎児の頭部に近接していてもよい。前記第2の圧力センサー284bは、前記胎児の頭部よりも前記胎児の足に近い位置にあってもよい。
【0079】
前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記測定された圧力が所定の範囲外である場合、ユーザーに通知し、アラームを作動させ、および/またはその位置もしくは動作を修正するように構成されてもよい。いくつかの態様では、前記成長チャンバー120内の圧力(前記成長チャンバーの重心で計算される)を約4mmHgら約6mmHgの間に維持することが好ましい場合がある。他の適切な圧力範囲が利用されてもよく、前記胎児チャンバーアセンブリ10および胎児のパラメータに依存することが理解されよう。
【0080】
圧力除去装置
いくつかの態様において、気体は、胎児の装填中、前記カニュレーション工程中、胎便の除去中、または前記胎児チャンバーアセンブリ10の移動中に、前記胎児チャンバーアセンブリ10内に閉じ込められる可能性がある。前記ガスは空気を含んでよく、大気ガスの一般的な混合物を含んでよい。いくつかの態様において、空気は、本出願全体を通して記載されるポートのうちの1若しくはそれ以上において、前記胎児チャンバーアセンブリ10の内部に染み込むことがある。さらに、前記胎児チャンバーアセンブリ10に移動され、前記胎児チャンバーアセンブリ10を通って移動される前記液体中の溶解ガスは、液体から分離する可能性がある。前記胎児チャンバーアセンブリ10の動作中、気体は、通常の妊娠プロセス中に胎児から抜け出し、胎児にすぐ隣接する環境(すなわち、前記成長チャンバー120内の前記胎児を取り囲む前記液体)に入ることがある。前記空気(または他の気体)は、前記基部100と前記蓋部112との間に気体状で配置されることがある。いくつかの態様では、空気のポケットが、前記成長チャンバー120内および/または前記カニューレチャンバー150内に形成されることがある。
【0081】
前記成長チャンバー120および/または前記カニューレチャンバー150内に存在する空気は、胎児に有害である可能性がある。いくつかの態様において、空気の存在は、妊娠中の胎児の所望の撮像を妨害する可能性がある。例えば、空気は、前記成長チャンバー120内の胎児の超音波撮像を妨げる可能性がある。いくつかの態様において、空気の存在は、アセンブリ構成要素、チューブ、カニューレなどの乾燥につながる可能性がある。これにより構成部品に物理的な亀裂や破損が生じ、前記胎児チャンバーアセンブリ10内に漏れが生じる可能性がある。妊娠期間中、胎児およびその臍帯を液体内に浸漬しておくことが好ましい。胎児や臍帯の一部が気体に触れると、前記胎児や前記臍帯が乾燥するなどの損傷を受けるおそれがある。さらに、前記胎児チャンバーアセンブリ10内に閉じ込められた気体は、非滅菌である可能性があり、前記胎児チャンバーアセンブリ10内に望ましくない汚染物質、ウイルス、細菌、または他の不純物を含む可能性がある。
【0082】
前記胎児チャンバーアセンブリ10内に閉じ込められた前記空気の少なくとも一部を除去することが好ましい場合がある。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記成長チャンバー120内の圧力を下げるように構成された圧力除去構成要素を含むことができる。
図16を参照すると、前記空気は、前記胎児チャンバーアセンブリ10上に配置された1若しくはそれ以上の空気除去ポート260を通して、前記成長チャンバー120および/または前記カニューレチャンバー150から移動させることができる(概して、
図2および
図16を参照)。
図2を参照すると、前記空気除去ポート260は、前記基部100上または前記蓋部112上に配置されてもよい。前記空気除去ポート260は、圧力除去構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、前記空気除去ポート260は、(
図2に示すように)カニューレチャンバ膜308上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、前記空気除去ポート260は、前記成長チャンバー120の前記上部膜124上に配置されてもよい。いくつかのさらなる実施形態では、前記空気除去ポート260は、前記基部100の前記筐体108上に配置されてもよい(
図2も参照)。いくつかの態様では、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記胎児チャンバーアセンブリ10全体に配置された複数の前記空気除去ポート260を含んでよい。特定の実施形態において、前記空気除去ポート260は、流体(例えば、PSSのような気体または液体)を除去するために使用されてもよい。
【0083】
各空気ポート260は、前記胎児チャンバーアセンブリ10の前記内部空間104(すなわち、前記基部100と前記蓋部112との間の空間)または前記成長チャンバーと、前記胎児チャンバーアセンブリ10の外部の環境との間を流体連通する、そこを貫通して延びる通路を画定する。前記胎児チャンバーアセンブリ10を通って流される前記液体は空気よりも重く密であるため、液体(例えばPSS)は自然に(重力によって)下方に落下し、空気が前記液体の相対的に上方に位置するように空気を置換する(「上方」とは、重力に逆らう方向に前記液体から測定される)。前記胎児チャンバーアセンブリ10の構成要素の形状により、形成された気泡は、前記空気除去ポート260を含まない前記胎児チャンバーアセンブリ10の領域に捕捉されることがある。そのため、捕捉された気泡が1つ以上の前記空気除去ポート260に向かうように、前記胎児チャンバーアセンブリ10を移動させることが好ましい場合がある。先に説明したように、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記ピッチ軸、ロール軸、およびヨー軸に沿って回転させることができる。操作において、ユーザーは、捕捉された気泡を所望の前記空気除去ポート260に向けるために、前記ピッチ軸、ロール軸、およびヨー軸のうちの1つ、2つ、または3つ全てに沿って、前記胎児チャンバーアセンブリ10を回転させることができる。いくつかの例示的な実施形態では、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記基部100と前記蓋部112との間に閉じ込められた空気が前記カニューレチャンバー膜308上に配置された前記空気除去ポート260に向かって移動されるように、前記ロール軸に沿って最大約45度(先に定義した横-縦平面から測定)まで回転させることができる。前記空気が前記空気除去ポート260に隣接して移動されるにつれて、前記空気除去ポート260を通って前記胎児チャンバーアセンブリ10の外へ流れることができる。
【0084】
いくつかの態様において、ユーザーは、前記空気を前記空気除去ポート260に向かって所望の方向に向けるために、前記上部膜124または前記カニューレチャンバー膜308を変形させ、押し、または触診することができる。いくつかの態様において、前記空気除去ポート260は前記筐体108上に配置されてもよい。例えば、前記空気除去ポート260は、前記胎便除去ポート218に隣接して配置されてもよい。
図18を参照すると、前記胎児チャンバーアセンブリ10の例示的な配置が描かれている。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、前記ロール軸に沿って所望の角度まで回転された状態で示されている。前記気泡380が前記空気除去ポート260に隣接して配置されているのが見える。液体382が前記気泡380の下に示されている(「下に」とは、重力方向の垂直方向に対して相対的である)。ユーザー384が前記上部膜124に力を加える様子が示されている。この力と前記胎児チャンバーアセンブリ10の相対的位置により、前記気泡380が前記空気除去ポート260に向かって移動し、そこで前記空気が前記胎児チャンバーアセンブリ10から排出されてもよい。
【0085】
前記空気除去ポート260は、その中に空気除去アセンブリ264を受容するように構成されてもよい。前記空気除去アセンブリ264は、空気がそれぞれ通過するかまたは通過が妨げられてもよいように、前記空気除去ポート260を選択的に開閉することを可能にする。
図16~17を参照すると、例示的な空気除去アセンブリ264が、例示的な空気除去ポート260と係合して描かれている。他の同様の装置が利用されてもよいことが理解されよう。前記空気除去ポート260は、前記内部表面104および前記胎児チャンバーアセンブリ10の外部の環境の両方と流体連通する、そこを貫通して延びる通路262を含む。前記空気除去ポート260は、前記空気除去アセンブリ264を前記通路262に受け入れるように構成されている。前記空気除去アセンブリ264は、その中を延びる通路266を画定している。前記通路266は前記通路262と流体連通するように構成されている。前記空気除去アセンブリ264が前記空気除去ポート260に係合されると、前記通路266は、前記内部空間104および前記胎児チャンバーアセンブリ10の前記外部の環境と流体連通する。前記空気除去アセンブリ264は、前記通路266を選択的に遮断または遮断解除するように構成されたクランプ268を含むことができる。前記空気除去アセンブリ264の材料は、前記クランプ268によって圧縮されてもよいように十分に変形可能であり、前記クランプ268が開かれたときに非圧縮位置に戻るように十分に弾力的であるべきであることが理解されよう。前記空気除去アセンブリ264は、プラスチックまたはシリコーンチューブで構成されてもよい。前記空気除去アセンブリ264は、空気または液体が一方向(例えば、前記胎児チャンバーアセンブリ10から出る方向)にそこを通過するのを許容する一方、反対方向(例えば、前記胎児チャンバーアセンブリ10内)への物質の通過を阻止するように構成された逆止弁270をさらに含むことができる。通気キャップ272は、前記通路266への外部汚染物質または破片の進入を防止しながら、前記通路266を通して前記空気除去アセンブリ264から空気を逃がすことができるように、前記空気除去アセンブリ264に配置することができる。蓋272を前記空気除去アセンブリ264に取り外し可能に連結して、前記蓋272を使用者が選択的に開閉して空気を除去できるようにすることもできる。いくつかの態様では、前記蓋272は、前記空気除去アセンブリ264にねじ込み可能に接続されてもよい。いくつかの態様では、前記蓋272は、気体は通過させるが液体は通過させない疎水性フィルターを含むことができる。
【0086】
開示されたシステムおよび装置は、正期産胎児および早産胎児を含む胎児に使用するように構成され得る。早産胎児は、早産胎児(例えば、推定妊娠週数37週未満、特に推定妊娠週数28週~32週)、極早産胎児(推定妊娠週数24週~28週)、または前駆胎児(推定妊娠週数20週~24週)であってもよい。妊娠期間はヒトを対象としているが、他の動物の早産胎児を用いてもよい。いくつかの態様において、早産胎児は、基礎的な先天性疾患を有していない場合がある。他の態様では、胎児は、例えば、肺低形成または先天性横隔膜ヘルニアなどの肺の発達に影響を及ぼす先天異常のために、肺ガス交換の能力が制限されている可能性がある。開示されたシステムは、胎児がシステムなしで生活できるようになるまで、必要な限り(例えば、数日間、数週間または数ヶ月間)胎児がシステム内に維持されるように構成されてもよい。開示された前記胎児チャンバーアセンブリ10の特定のサイズ、形状、および寸法は、意図される使用、胎児のサイズ、および製造上の制約に依存する。いくつかの例示的な実施形態では、前記胎児チャンバーアセンブリ10は、約10インチと約24インチとの間約、14インチと約220インチとの間、または別の適切な範囲の、長手方向yに沿って測定された第1の寸法を有することができる。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、約8インチと約22インチとの間、約12インチと約18インチとの間、または別の適切な範囲の、横方向xに沿って測定された第2の寸法を有することができる。前記胎児チャンバーアセンブリ10は、約2インチと約12インチとの間、約4インチと約10インチとの間、または別の適切な範囲の、縦方向yに沿って測定された第3の寸法を有することができる。
【0087】
PSS回路
図19を参照すると、前記PSSはPSS回路500を通って流れることができる。前記PSS回路500は、前記PSSを成長チャンバー120に導入するように構成され得る。前記PSS回路500は、前記PSS回路500の要素を互いに流体的に接続する導管を含んでもよい。前記PSS回路500は、容器502を含むことができる。いくつかの例では、前記容器502は前記PSSを含む。他のいくつかの例では、前記容器502は物質を含み、水性溶媒が、先に説明したように前記PSSを生成するために容器に通される。前記前記容器502はバルブ504に流体連通させることができる。いくつかの例では、前記バルブ504は手動で操作可能である。他の例では、前記バルブ504は制御装置に結合されている。前記制御装置は、前記バルブを開閉する信号を前記バルブに送るように構成されてもよい。前記バルブ504は、前記バルブ504が開いているとき、前記PSSが前記バルブ504を通って流れることを可能にするように構成されてもよい。前記バルブ504は、前記バルブ504が閉じているときに前記PSSの流れを阻止することができる。前記バルブ504は、ポンプ506に流体的に結合され得る。前記ポンプ506は供給ポンプとすることができる。前記供給ポンプ506は、前記PSSを前記容器502から前記成長チャンバー120に移動させるように構成されてもよい。前記供給ポンプ506は、前記成長チャンバー120内への前記PSSの流れを調節するように構成されてもよい。前記PSS回路500は、前記容器502内の前記PSSの温度を調節するように構成された統合熱交換器を含んでもよい。前記熱交換器は、前記容器502内の前記PSSを加熱するように構成されてもよい。
【0088】
前記容器502は第1の容器とすることができる。前記PSS回路500は、第2の容器508を含んでもよい。前記PSS回路500は、前記容器502、508を前記成長チャンバー120に流体的に結合する導管を含んでもよい。いくつかの例では、前記第2の容器508は前記PSSを含む。他の例では、前記第2の容器508は物質を含み、水性溶媒を容器に通して、先に説明したように前記PSSを生成する。第2の容器508は第2のバルブ510に流体連通させることができる。いくつかの例では、前記第2のバルブ510は手動で操作可能である。他の例では、前記第2のバルブ510は前記制御装置に結合されている。前記第2のバルブ510は、前記第2のバルブ510が開いているとき、前記PSSが前記第2のバルブ510を通って流れることを可能にするように構成されてもよい。前記第2のバルブ510は、前記第2のバルブ510が閉じているときに前記PSSの流れを防止することができる。前記第2のバルブ510は、前記ポンプ506に流体的に結合できる。前記第1および第2のバルブ504、510は、前記PSS回路500の動作を中断することなく前記第1および第2容器502、508の一方を交換できるように、独立して動作可能であってもよい。いくつかの例では、前記第1および第2の容器502、508は同じ材料(例えば前記PSS)を含む。他の例では、前記第1および第2容器502、508は、前記PSS回路500によって組み合わされる異なる材料を含む。前記PSS回路500は、前記容器508内の前記PSSの温度を調節するように構成された統合熱交換器を含むことができる。前記熱交換器は、前記容器508内の前記PSSを加熱するように構成されてもよい。
【0089】
前記PSS回路500は、前記第1および第2の容器502、508内の材料の体積を検出するように構成できる。前記PSS回路500は、前記第1および第2の容器502、508内の前記材料の体積を感知するように構成されたセンサー(例えば、重量センサー、光学センサー)を含むことができる。前記PSS回路500は、選択された閾値に達するまで、前記第1および第2の容器502、508の一方から引き抜くように構成できる。前記閾値は、最小重量または最小容積とすることができる。前記PSS回路500は、前記第1および第2の容器502、508内の前記材料の体積が前記選択された閾値以下である場合に、第1および第2のバルブ504、510の一方を閉じ、前記第1および第2のバルブ504、510の他方を開くように構成できる。いくつかの例では、前記制御装置は、前記第1および第2のバルブ504、510を開閉するための第1および第2の信号を送信する。他の例では、前記PSS回路500は、前記第1および第2の容器502、508の一方が前記選択された閾値にあるかまたはそれ以下であることをユーザーまたは医療専門家に通知するために、観測可能な信号(例えば、音または光)を生成する。
【0090】
前記ポンプ506は、センサー512に結合することができる。1つの特定の実施形態において、前記ポンプ506は、蠕動ポンプである。前記センサー512は、圧力センサーである。前記センサー512は、前記PSS回路500内の圧力を検出するように構成できる。前記センサー512は、圧力レベルを示すセンサー信号を前記制御装置に送信するように構成できる。前記制御装置は、前記センサー信号を閾値レベルと比較するように構成できる。前記制御装置は、前記圧力レベルが前記閾値レベルを超える場合、前記ポンプ506を停止させるように構成できる。
【0091】
前記PSS回路500は、前記PSSが前記成長チャンバー120に向かって流れる際に前記PSSを消毒するように構成された消毒器514を含むことができる。いくつかの例では、前記消毒器514は、前記PSSを消毒するように構成された紫外線(UV)光源を含む。導管は、前記導管の中心軸に沿って細長くてもよい。前記消毒器514は、光が前記導管を通って前記成長チャンバー120に移動するのを防ぐように、前記導管の中心軸に対して斜めに配置できる。前記消毒器514は、前記導管中心軸に対して約60度~約120度、約70度~約11度、約80度~約100度、または約90度の角度で光を放出することができる。光源は発光ダイオード(LED)であってもよい。前記消毒器514は、複数のUV LEDを含んでもよい。前消毒器514は、約260~約280ナノメートルの波長を有する光を放出するように構成できる。いくつかの例では、前記消毒器514は、前記PSSを消毒するように構成された高周波エミッタを含む。前記消毒器514は、前記PSSを加熱するように高周波を放出し、それによって前記PSSを消毒することができる。前記消毒器514は、前記PSSに接触することなく前記PSSを消毒するように構成できる。
【0092】
前記PSSは前記フィルター516を通って流れることができる。前記フィルター516は、前記PSSから粒子を除去するように構成できる。前記フィルター516は、閾値サイズを超える粒子を除去するように構成できる。前記フィルター516は、前記PSS回路に着脱可能に結合できる。前記フィルター516は、前記フィルター516を交換するために取り外し可能であってもよい。前記センサー512は、前記フィルター516の上流に設けることができる。前記センサー512は、前記フィルター516上に微粒子が蓄積したことを示す圧力上昇を検出することができる。1つの実施形態において、本明細書に記載される前記PSSシステムは、システム内の他のフィルターを妨げることなく任意の1若しくはそれ以上のフィルターの交換を可能にするために、複数のフィルターを採用する。
【0093】
前記センサー512は第1のセンサーであってもよい。前記PSS回路500は、第2のセンサー518を含むことができる。前記第2のセンサー518は、圧力センサであってもよい。前記第1のセンサ512は、前記フィルター516から上流にあってもよい。前記第2のセンサー518は、前記フィルター516から下流にあってもよい。前記第2のセンサー518は、前記PSS回路500内の圧力を検出するように構成できる。前記第2のセンサー518は、前記圧力レベルを示すセンサー信号を前記制御装置に送信するように構成できる。前記制御装置は、前記第1のセンサー512からの前記信号と前記第2のセンサー518からの前記信号とを比較するように構成できる。前記制御装置は、前記第1および第2のセンサー512、518からの前記信号を比較することによって、前記フィルター516が詰まっているかどうかを判定することができる。前記制御装置は、前記第2のセンサー518からの前記センサー信号を前記閾値と比較するように構成できる。前記制御装置は、前記圧力レベルが前記閾値レベルを超える場合、前記ポンプ506を停止させるように構成できる。
【0094】
前記PSS回路500は、第3のセンサー520を含むことができる。前記第3のセンサー520は、流量センサーであってもよい。前記第3のセンサー520は、前記ポンプ506からのPSS流量の増減を引き起こす信号を送信するように構成できる。前記第3のセンサー520は、前記ポンプ506に直接信号を送るように構成できる。他の例では、前記第3のセンサー520は、前記第3のセンサー520からの前記信号の受信に応答して前記ポンプ506に信号を送信する前記制御装置に信号を送信するように構成される。
【0095】
前記PSS回路500は、熱交換器522を含んでもよい。前記熱交換器522は、前記PSS回路500内を流れる前記PSSを加熱するように構成され得る。あるいは、前記熱交換器522は、前記PSS回路500内を流れる前記PSSを冷却するように構成できる。前記熱交換器522は、必要に応じて前記PSSの温度を調節するために、1若しくはそれ以上の温度センサー280から信号を受信するように構成できる。前記1若しくはそれ以上の温度センサー280は、信号を前記制御装置に送信するように構成できる。前記制御装置は、前記1若しくはそれ以上の温度センサー280からの前記信号の受信に応答して、前記熱交換器522に信号を送信するように構成できる。前記熱交換器522は、前記1若しくはそれ以上の温度センサー280によって感知された温度に応答して作動できる。前記熱交換器522は、加熱された液体の塊を含むことができ、前記PSSは、前記PSSを加熱するように、加熱された液体の塊を通って導管内を流れる。
【0096】
前記PSS回路500は第3のバルブ524を含むことができる。前記第3のバルブ524は、分流弁とすることができる。前記第3のバルブ524は、前記PSSの流れを第1の経路から第2の経路に迂回させることができる。前記第1の経路は、前記PSSが前記熱交換器522から第4のセンサー526に流れることを可能にし得る。第2の経路は、前記PSSが前記熱交換器522から前記第2のフィルター528を通って廃棄物または大気へ流れ、システム内の圧力を緩和することを可能にすることができる。いくつかの例では、前記PSSは、前記PSS回路500の通常動作中に、前記第1のフィルター5166および前記第2のフィルター528のそれぞれを通って流れる。他の例では、前記PSSは、前記PSS回路500の通常動作中、前記第1および第2のフィルター516、528の一方のみを流れる。1つのフィルターを有するシステムは、前記第1および第2のフィルター516、528の一方が洗浄または交換のために取り外されるときでさえ、前記PSSが常に濾過されることを保証することができる。
【0097】
前記第4のセンサー526は、圧力センサーとすることができる。前記第2のセンサー518は、前記第2のフィルター528から上流にあることができる。前記第4のセンサー526は、前記第2のフィルター528から下流にあることができる。前記第4のセンサー526は、前記PSS回路500内の圧力を検出するように構成できる。前記第4のセンサー526は、前記圧力レベルを示すセンサ信号を前記制御装置に送信するように構成できる。前記制御装置は、前記センサー信号を閾値レベルと比較するように構成できる。前記制御装置は、前記圧力レベルが前記閾値レベルを超える場合、前記ポンプ506からの前記PSS流量を非活性化または他の方法で調整するように構成できる。前記第4のセンサー526は、前記第4のセンサー526における前記圧力レベルを示す信号を前記制御装置に送信するように構成できる。前記制御装置は、第2のセンサー518からの前記信号を、前記第4のセンサー526からの前記信号と比較するように構成できる。前記制御装置は、前記第2および第4のセンサー518、526からの前記信号を比較することによって、前記第2のフィルター528が詰まっているかどうかを判定することができる。
【0098】
前記PSS回路500は、第3のフィルター530を含むことができる。1つの特定の実施形態では、第3のフィルター530は気泡フィルターである。第3のフィルター530は、前記第1および第2のフィルター512、528の各々から下流にあることができる。1つの特定の実施形態では、前記第1および第2のフィルター512、528の少なくとも1つは媒体フィルターであってよく、前記第3のフィルター530は気泡フィルターであってよい。
【0099】
図19の前記PSSシステムは、複数の消毒器を含む。前記システムの特定の実施形態において、前記消毒器のうちのいずれか1若しくはそれ以上は、UV光、UV発光ダイオード(「LED」)、または高周波消毒器で構成される。前記消毒器514は、第1の消毒器であってよい。前記PSS回路500は、第2の消毒器532を含んでもよい。第2の消毒器532は、第3のフィルター530に流体的に結合されてもよい。第2の消毒器532は、前記PSSが前記成長チャンバー120に向かって流れる際に前記PSSを消毒するように構成できる。いくつかの実施例では、前記第2の消毒器532は、前記PSSを消毒するように構成されたUV光源を含む。前記光源はLEDであってよい。前記第2の消毒器532は、複数のUV LEDを含んでもよい。前記第2の消毒器532は、約260~約280ナノメートルの波長を有する光を放出するように構成できる。前記第2の消毒器532は、光が前記導管を通って前記成長チャンバー120に移動するのを防止するように、前記導管の中心軸に対して斜めの角度で配置されてもよい。前記第2の消毒器532は、前記導管中心軸に対して約60度~約120度、約70度~約110度、約80度~約100度、または約90度の角度で光を放出することができる。いくつかの実施例では、前記第2の消毒器532は、前記PSSを消毒するように構成された高周波エミッタを含む。前記第2の消毒器532は、前記PSSを加熱するように高周波を放射することができ、それによって前記PSSを消毒する。前記第2の消毒器532は、前記PSSに接触することなく前記PSSを消毒するように構成できる。1つの実施形態において、本明細書に記載される前記PSSシステムは、前記システム内の他の消毒器を妨げることなく任意の1若しくはそれ以上の消毒器の交換を可能にするために、複数の消毒器を採用する。
【0100】
前記PSS回路500は、第5のセンサー534を含むことができる。前記第5のセンサー534は、温度センサーであってよい。前記第5のセンサー534は、前記消毒器532に流体的に結合できる。前記第5のセンサー534は、前記PSS回路に沿って温度を測定する複数のセンサーであってよい。前記第5のセンサー534は、前記PSSが前記成長チャンバー120に入るときの温度を測定することができる。1つの実施形態では、前記成長チャンバー120内の前記PSSの温度は、摂氏約37~約38度の範囲である。
【0101】
前記PSSは、前記第5のセンサー534から前記成長チャンバー120に流れることができる。前記PSSは、前記成長チャンバー120から前記第3の消毒器536に流れることができる。前記第3の消毒器536は、前記成長チャンバー120に流体的に結合されてよい。前記第3の消毒器536は、前記PSSが前記成長チャンバー120から流れる際に前記PSSを消毒するように構成できる。前記PSSが前記成長チャンバー120を出た後に前記PSSを消毒することにより、前記PSSを排水管に廃棄することができる。前記排水管は自治体の下水設備であってよい。いくつかの実施例では、前記第3の消毒器536は、前記PSSを消毒するように構成されたUV光源を含む。前記光源はLEDであってよい。前記第3の消毒器536は、複数のUV LEDを含んでよい。前記第3の消毒器536は、約260~約280ナノメートルの波長を有する光を放出するように構成できる。前記第3の消毒器536は、光が前記導管を通って前記成長チャンバー120に移動するのを防止するように、前記導管の中心軸に対して斜めの角度で配置されてよい。前記第3の消毒器536は、前記導管中心軸に対して約60度~約120度、約70度~約110度、約80度~約100度、または約90度の角度で光を放出することができる。いくつかの実施例では、前記第3の消毒器536は、前記PSSを消毒するように構成された高周波エミッタを含む。前記第3の消毒器536は、前記PSSを加熱するように高周波を放射することができ、それによって前記PSSを消毒する。前記第3の消毒器536は、前記PSSに接触することなく前記PSSを消毒するように構成できる。前記第3の消毒器536は、前記PSSが再び前記PSS回路500を通して循環できるように、前記PSSが前記成長チャンバー120を出た後に前記PSSを消毒することができる。前記第3の消毒器536は、前記PSSが、追加のPSSを加えるかまたは加えることなく、再び前記PSS回路500を通して循環されてもよいように、前記PSSが前記成長チャンバー120を出た後に前記PSSを消毒することができる。
【0102】
前記PSS回路500は、第2のポンプ538を含んでよい。前記第2のポンプ538は、前記第3の消毒器536に流体的に結合されてよい。前記第2のポンプ538は、前記PSSを廃棄物容器または排水管にくみ上げる廃棄物ポンプであってよい。前記第2のポンプ538は、前記PSSを前記成長チャンバー120からくみ出すように構成できる。前記胎児チャンバーアセンブリ19の前記圧力センサー284a、284bは、前記第2のポンプ538を制御する信号を送るように構成され得る。いくつかの例では、前記圧力センサー284a、284bは、前記第2のポンプ538に直接信号を送る。他の実施例では、前記圧力センサー284a、284bは、前記圧力センサー284a、284bからの信号の受信に応答して前記第2のポンプ538に前記信号を送る前記制御装置に信号を送る。前記第2のポンプ538は、前記成長チャンバー120から出る前記PSSの前記流れを調節または停止することによって、前記成長チャンバー120内の圧力を少なくとも部分的に調節することができる。ある特定の実施形態では、前記圧力センサー284a、284bは、前記成長チャンバー120内の圧力を約4~約6mmHgの範囲に維持する。前記第2のポンプ538は、前記成長チャンバー120内の圧力を下げるように構成された第1の圧力開放器とすることができる。後述する圧力開放要素は、前記成長チャンバー120内の圧力を低減するように構成された第2の圧力開放器とすることができる。前記第1の圧力開放器は、前記第2の圧力開放器とは独立して作動可能であってよい。前記成長チャンバー120の前記PSS排出口の高さは、前記成長チャンバー120内の圧力を少なくとも部分的に制御するように選択することができる。
【0103】
特定の実施形態において、前記成長チャンバー120を出る前記PSSの少なくとも一部は、限定されないが、細菌などの汚染物質について分析される。前記PSSの分析により汚染物質が検出された場合、前記成長チャンバー120を通る前記PSSの流量は、前記システムを通して前記汚染物質の存在を安全なレベルまで除去または実質的に低減するために増加される。
【0104】
前記PSS回路500は第3の容器540を含むことができる。前記第3の容器540は廃棄物容器であり得る。前記第3の容器540は、前記PSSを受け入れるように構成できる。前記第3の容器540は、前記PSSが前記成長チャンバー120を出た後に前記PSSを受け取るように構成できる。前記第3の容器540は、前記第2のポンプ538に流体的に結合されてよい。第4のバルブ544は、前記第2のポンプ538から前記第3の容器540への前記PSSの流れを防止または許容することができる。いくつかの実施例では、前記第4のバルブ544は手動で操作可能である。他の実施例では、前記第4のバルブ544は前記制御装置に結合されている。前記制御装置は、前記第4のバルブ544を開閉する信号を前記バルブに送るように構成できる。前記第4のバルブ544は、前記第4のバルブ544が開いているとき、前記PSSが前記第4のバルブ544を通って流れることを可能にするように構成できる。前記第4のバルブ544は、前記第4のバルブ544が閉じているときに前記流れを阻止することができる。
【0105】
前記PSS回路500は第4の容器542を含むことができる。前記第4の容器542は廃棄物容器であり得る。他の例では、前記PSSは前記第4の容器542に受容され得、前記第4の容器は、前記PSSが前記PSS回路500を通してリサイクルされ得るように、取り外され、前記第1のバルブ504に結合されてよい。他の実施例では、前記第4の容器542は排水管である。前記排水管は下水道システムに結合することができる。前記第4の容器542は、前記PSSを受け入れるように構成できる。前記第4の容器542は、前記第2のポンプ538に流体的に結合されてよい。第5のバルブ546は、前記第2のポンプ538から前記第4の容器542への前記PSSの前記流れを防止または許容することができる。いくつかの実施例では、前記第5のバルブ546は手動で操作可能である。他の実施例では、前記第5のバルブ546は前記制御装置に連結される。前記制御装置は、前記第5のバルブ546を開閉する信号を前記バルブに送るように構成できる。前記第5のバルブ546は、前記第5のバルブ546が開いているとき、前記PSSが前記第5のバルブ556を通って流れることを可能にするように構成できる。前記第5のバルブ546は、前記第5のバルブ546が閉じているときに前記流れを阻止することができる。
【0106】
図20を参照すると、前記第1、第2、第3、および第4の容器502、508、540、および542のうちの少なくとも1つは、容器600とすることができる。前記容器600は、内部空洞を規定する外壁602を含むことができる。前記容器600は袋とすることができる。前記PSSは、内部空洞内に貯蔵されてよい。前記容器6000は嵌合要素604を含むことができる。前記嵌合要素604は、前記容器600が前記胎児チャンバー10に結合するように、前記胎児チャンバー10上の対応する前記嵌合要素と嵌合するように構成できる。前記嵌合要素604は、突起部を受容する開口部とすることができる。他の実施例では、前記嵌合要素604は、フック、突起部、または接着剤とすることができる。
【0107】
前記容器600は注入口606を含むことができる。前記PSSは、前記注入口606を通って前記内部空洞に導入されてよい。前記注入口606は、前記PSSが前記導管608を通って前記内部空洞に流れることができるように前記本体602に結合された前記導管608を含むことができる。前記注入口606は、前記導管608を通る前記PSSの流れを防止するように構成されたストッパー610を含むことができる。前記ストッパ610はクランプであってよい。前記注入口606は蓋612を含むことができる。前記蓋612は、前記導管608に取り外し可能に結合さてよい。前記蓋612は、前記蓋612が前記導管608に結合されているとき、前記導管608を通る前記PSSの流れを防止することができる。前記導管608は、前記PSSを前記内部空洞に導入するためにPSS供給源に着脱可能に結合されるように構成できる。いくつかの実施例では、前記導管608は、前記PSS回路500の前記第4および第5のバルブ544、546の一方に流体的に結合される。
【0108】
前記容器600は前記排出口614を含むことができる。前記PSSは、前記排出口614を通って内部空洞から出ることができる。前記排出口614は、排出口導管616を含むことができる。前記排出口導管616は、前記PSSが前記内部空洞から前記排出口導管616を通って流れることができるように、前記本体602に結合されてよい。前記排出口導管616は、前記PSS回路500の前記第1および第2のバルブ504、510のうちの1つに結合するように構成できる。前記排出口導管616は、前記PSS回路500に着脱可能に結合するように構成できる。いくつかの実施例では、前記PSSを希釈することなく、前記PSSを前記容器600から前記成長チャンバー120に移動させることができる。前記排出口614は前記蓋618を含むことができる。前記蓋618は、前記排出口導管616に取り外し可能に結合されてよい。前記蓋618は、前記蓋618が前記排出口導管616に結合されているとき、前記排出口導管616を通る前記PSSの流れを防止することができる。前記排出口614は、前記排出口導管616と前記PSS回路500との間に流体密シールを形成するためのシール620を含むことができる。前記シール620はOリングであってよい。前記排出口614は、前記排出口ストッパー622を含んでよい。前記排出口ストッパー622は、クランプとすることができる。前記排出口ストッパー622は、前記排出口導管616に取り外し可能に結合されてよい。前記蓋618および前記排出口ストッパー622の各々は、前記排出口導管616を通る前記PSSの前記流れを防止することができる。
【国際調査報告】