(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-20
(54)【発明の名称】多曲面光学デバイス及びそれを作成するための方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20241113BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20241113BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241113BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20241113BHJP
G02F 1/137 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
G02F1/1333
C03C27/12 N
G02F1/13 505
G02F1/1339
G02F1/137 500
G02F1/1333 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521021
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022045961
(87)【国際公開番号】W WO2023059839
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509070614
【氏名又は名称】アルファマイクロン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ポール・リュシェット
(72)【発明者】
【氏名】ロイ・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ・ソト
(72)【発明者】
【氏名】ルドミラ・スーホムリノヴァ
(72)【発明者】
【氏名】バーマン・タヘリ
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H190
4G061
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088EA35
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA07
2H088JA06
2H088JA10
2H189AA78
2H189CA13
2H189DA03
2H189DA04
2H189DA15
2H189DA43
2H189FA81
2H189JA06
2H189LA18
2H189LA19
2H190JA01
2H190JB01
2H190JB02
2H190JB03
2H190JB11
2H190JD01
2H190KA06
2H190LA01
2H190LA02
2H190LA12
4G061AA26
4G061AA33
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB16
4G061CD03
4G061CD18
(57)【要約】
光学デバイスは、多曲面を有する低可撓性キャリア、多曲面の上にコンフォーマル式に提供された可撓性液晶フィルム構造、及び多曲面と液晶フィルム構造との間に介在する接着剤を含む。可撓性液晶フィルム構造は、多曲面の形状に積層形成される。キャリアは、窓、フロントガラス、コックピット、ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、サンルーフ、ミラー、拡張現実若しくは仮想現実用ヘッドセット、ゴーグル、バイザ、レンズ、眼鏡、又はサングラスであり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスであって、
多曲面を有する低可撓性キャリアと、
前記多曲面の上にコンフォーマル式に提供された可撓性液晶フィルム構造と、
前記多曲面と前記液晶フィルム構造との間に介在する接着剤と、を備え、前記可撓性液晶フィルム構造が、前記多曲面の形状に積層形成される、光学デバイス。
【請求項2】
前記接着剤が、圧力活性化接着剤を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記接着剤が、硬化性接着剤を含む、請求項1又は2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記液晶フィルム構造が、前記接着剤と接触する第1の可撓性基板と、ギャップを形成するために前記第1の可撓性から離隔された第2の可撓性基板と、前記ギャップ内に提供されており、境界シールによって囲まれた電気光学材料と、を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記電気光学材料が、ゲストホスト二色性染料液晶混合物を含む、請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記電気光学材料が、10重量%未満の高分子材料を含有する、請求項4又は5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記液晶フィルム構造が、前記第1の可撓性基板と前記第2の可撓性基板との間に提供されたパターン化されていないスペーサを更に備える、請求項4~6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記液晶フィルム構造の活性エリアにわたる前記ギャップが、前記活性エリアにわたって測定された平均ギャップの20%以内に維持される、請求項4~7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記液晶フィルム構造エリアの少なくとも95%を超えて、前記ギャップが、前記液晶フィルム構造エリア全体にわたって測定された平均ギャップの20%以内に維持される、請求項4~8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記平均ギャップが、5μm~10μmの範囲にある、請求項4~9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記第1の基板、前記第2の基板、又はその両方が、可撓性高分子材料を含む、請求項4~10のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの基板が、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、又は環状オレフィンポリマーを含む、請求項4~11のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記第1の基板が、化学組成又は厚さに関して前記第2の基板とは異なる、請求項4~12のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項14】
少なくとも前記第1の基板が、75μm~300μmの範囲の平均厚さを有する、請求項4~13のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記液晶フィルム構造が、150μm~750μmの範囲の平均厚さを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記接着剤が、粘弾性ポリマー及び粘着付与剤を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記接着剤が、25μm~100μmの範囲の平均厚さを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記接着剤の前記平均厚さに対する前記液晶フィルム構造の前記平均厚さの比が、10未満である、請求項1~17のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記多曲面が、
i)第1の方向に沿って測定された第1の高さH1と第1の長さL1とを有する第1の曲率であって、第1の曲率比C1=H1/L1である、第1の曲率と、
ii)前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って測定された第2の高さH2と第2の長さL2とを有する第2の曲率であって、第2の曲率比C2=H2/L2である、第2の曲率と、によって特徴付けられ、
C1及びC2の両方が、ゼロよりも大きく、C1及びC2のうちの少なくとも一方が、0.5未満である、請求項1~18のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項20】
多曲面が、
i)0ジオプタよりも大きい第1の値に湾曲した第1の曲率と、
ii)前記第1の曲率に直交し、0ジオプタよりも大きい第2の値に湾曲した第2の曲率と、によって特徴付けられ、
前記第1の値及び前記第2の値のうちの少なくとも一方が、8ジオプタ未満である、請求項1~19のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項21】
前記第1の値及び前記第2の値のうちの少なくとも一方が、4未満である、請求項20に記載の光学デバイス。
【請求項22】
前記多曲面のエリアが、平面上への前記多曲面の投影によって画定される仮想エリアよりも0~15%大きい、請求項1~21のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項23】
前記接着剤及び前記液晶フィルム構造が、合わせて、可視光の少なくとも40%を透過させる、請求項1~22のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項24】
前記接着剤及び前記液晶フィルム構造が、合わせて、オフ状態で10%未満のヘイズ値を提供する、請求項1~23のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項25】
前記キャリアが、窓、フロントガラス、コックピット、ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、サンルーフ、ミラー、拡張現実若しくは仮想現実用ヘッドセット、ゴーグル、バイザ、レンズ、眼鏡、又はサングラスを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項26】
前記接着剤と前記液晶フィルム構造とを合わせた厚さが、上に前記液晶フィルム構造が提供される前記キャリアの最大長さの1%未満である、請求項1~25のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項27】
前記液晶フィルム構造の活性部分が、前記キャリアの一部のみを覆う、請求項1~26のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項28】
光学デバイスを作成する方法であって、
多曲面を有する低可撓性キャリアを提供することと、
可撓性液晶フィルム構造であって、
第1の可撓性基板と、
電気光学材料を包含するように設計されたギャップを形成するために、前記第1の可撓性基板から離隔された第2の可撓性基板と、を備え、
前記第1の可撓性基板の外面が、前記可撓性液晶フィルム構造の第1の表面に対応し、前記第2の可撓性基板の外面が、前記可撓性液晶フィルム構造の第2の表面に対応する、可撓性液晶フィルム構造を提供することと、
i)前記多曲面、ii)前記可撓性液晶フィルム構造の前記第1の表面、又はiii)(i)及び(ii)の両方に接着剤を適用することと、
前記キャリアを前記可撓性液晶フィルム構造に整列させることと、
前記キャリアの前記多曲面に従って前記可撓性液晶フィルム構造を成形するように、前記多曲面と前記可撓性液晶フィルム構造の前記第1の表面との間に圧力を印加することと、
積層形成された液晶フィルム構造を創出するように、成形された前記可撓性液晶フィルム構造を前記多曲面にコンフォーマル式に接着することと、を含む、方法。
【請求項29】
前記接着剤が、圧力活性化接着剤を含み、圧力を印加することで前記接着を引き起こす、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記接着剤が、硬化性接着剤を含み、前記接着が、硬化ステップを含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記硬化ステップが、UV照射への曝露を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記硬化性接着剤が、流体又はゲルの形態である、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
圧力を印加する前記ステップ及びコンフォーマル式に接着する前記ステップが、60℃以下の温度で実行される、請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
圧力を印加することが、前記キャリア、前記可撓性液晶フィルム構造の前記第2の表面、又はその両方を、1つ以上のローラと接触させることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つのローラが、変形可能なローラである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1つのローラが、前記多曲面の凸状部分に圧力を印加する凹状横方向形状を有する、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1つのローラが、前記多曲面の凹状部分に圧力を印加する凸状横方向形状を有する、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つのローラが、前記第1の基板又は前記第2の基板のいずれかのTgよりも少なくとも30℃及び少なくとも10℃低い温度に加熱される、請求項34~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ以上のローラにわたって印加される前記圧力が、印加される平均圧力の50%以内である、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
圧力を印加することが、前記可撓性液晶フィルム構造の前記第2の表面を、金型面を有する金型に接触させることを含み、前記金型面が、前記多曲面の前記形状に対応する形状を有する、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記金型が、前記可撓性液晶フィルム構造よりも可撓性が低く、前記キャリアよりも可撓性が高い、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記金型が、前記第1の基板又は前記第2の基板のいずれかのTgよりも少なくとも30℃及び少なくとも10℃低い温度に加熱される、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記可撓性液晶フィルム構造エリアの外側エリアに、中心エリアよりも多くの圧力が印加される、請求項28~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記電気光学材料が、前記多曲面と前記可撓性液晶フィルム構造の前記第1の表面との間に圧力を印加する前に、前記ギャップ内に提供され、境界シールによって囲まれる、請求項28~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記電気光学材料が、前記多曲面と前記可撓性液晶フィルム構造の前記第1の表面との間に圧力を印加した後で、前記ギャップ内に提供され、境界シールによって囲まれる、請求項28~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記多曲面と前記可撓性液晶フィルム構造の前記第1の表面との間に圧力を印加することが、100Torr未満のガス圧力を有する環境で実施される、請求項28~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記キャリアを前記可撓性液晶フィルム構造に整列させることが、前記キャリアの一端において前記接着剤、前記多曲面、及び前記可撓性液晶フィルム構造の前記第1の表面を接触させることを更に含む、請求項28~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記キャリアを前記可撓性液晶フィルム構造に整列させることが、前記キャリアの中央領域において前記接着剤、前記多曲面、及び前記可撓性液晶フィルム構造の前記第1の表面を接触させることを更に含む、請求項28~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記キャリアが、窓、フロントガラス、コックピット、ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、サンルーフ、ミラー、拡張現実若しくは仮想現実用ヘッドセット、ゴーグル、バイザ、レンズ、眼鏡、又はサングラスを含む、請求項28~48のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月8日に出願された、MULTICURVED OPTICAL DEVICES,AND METHODS FOR MAKING SAMEと題された米国仮特許出願第63/262,277号の優先権及び任意の他の利益を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本開示は、光学デバイス、特に、多曲面液晶フィルム構造を含む光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
液晶(「LC」)デバイスは、アクティブな光管理に低コスト、低消費電力のアプローチを提供する。従来、それらは、ガラス基板を使用するディスプレイ用途に採用されてきた。最近では、曲面ディスプレイが市場に参入している。コンフォーマルデバイスの必要性は高まっているが、これまでの製品は(一次元に湾曲している)円筒形状に限定されている。しかしながら、2つ以上の次元で曲率を有する光学デバイスのための大きな市場が存在する。残念ながら、他にも理由があるが、地形条件を満たすために面積を変更する必要があるため、平らなデバイスを多局面構成に適合させるのは困難である。
【0004】
この問題に対しては、いくつかの解決策が提案されている。1つの解決策は、湾曲したLCデバイスを創出することである。これは、多曲面基板から始めることで可能になる。これらの基板は、予め所望の曲率に熱成形し、次いで、従来のLCデバイス製造方法で組み立てる(すなわち、LC混合物を充填する)ことができる。しかしながら、このアプローチには2つの根本的な困難があり、それが成長を妨げている。第1に、LC基板間のギャップを一定に保つために、2つの基板の曲率をLCデバイス構成の公差内に維持しなければならない。この公差はわずか数ミクロンであるため、これらの基板の製作は非常に困難であり、コストもかかる。更に、この公差は、サイズに関係なく同じでなければならない。これは、基板の曲率が、いくつかの用途のために、例えば、1メートルにわたって一致する必要があることを意味する。1メートルにわたって数ミクロンの公差を保持することは、非常に困難であり、費用がかかる。第2に、2つの多曲面基板の取り扱いに関連する困難が、大規模な生産を著しく妨げている。現在の生産システムは、大面積の板ガラスを扱うように設計されている。
【0005】
別のアプローチは、特許US7,811,482、US7,705,959、及びUS7,102,602に記載されているように、平坦なLCデバイス(すなわち、LC混合物の有無にかかわらず、所望のギャップを維持するように既に組み立てられた2つの基板を有するデバイス)を製作し、次いでデバイスを最終的な湾曲構成に熱成形することである。熱成形方法により、限られた用途においていくらかの成功が提供されたが、LCデバイスの温度は、基板のガラス転移温度を上回る必要があり、これにより、そのような加熱中にLCデバイスの構造的完全性を維持することに関連する新たな一連の課題が創出される。この新たな問題に対する解決策は、概して、デバイス自体の重要な特徴を変更すること、例えば、懸濁粒子デバイス(SPD)で使用されるようなゲルタイプの材料を使用すること、又はポリマー分散液晶(PDLC)デバイスなどのギャップ変化を回避するためにポリマーを添加することを必要とするが、そのようなデバイスアーキテクチャの変更は、重要な性能属性を犠牲にし得る。更に、多くのプラスチック基板のガラス転移温度は、液晶のネマチック転移温度から等方性転移温度よりも高いことに留意すべきである。したがって、液晶が異なる(例えば、等方性)相にある間に熱成形が行われる。これは、等方相での液晶の物理的性質の変化に起因して、最終デバイスが動作温度に戻った後、最終デバイスの不均一性を引き起こす可能性がある。
【0006】
熱成形されたLCデバイスに関連する欠点を有しない多曲面小面積及び大面積のLCデバイスが必要である。この目的のために、このため、高い光学的透明度/低いヘイズと低い駆動電圧を有する多曲面デバイスを実現するための新しいアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態によれば、光学デバイスは、多曲面を有する低可撓性キャリア、多曲面の上にコンフォーマル式に提供された可撓性液晶フィルム構造、及び多曲面と液晶フィルム構造との間に介在する接着剤を含む。可撓性液晶フィルム構造は、多曲面の形状に積層形成される。キャリアは、窓、フロントガラス、コックピット、ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、サンルーフ、ミラー、拡張現実若しくは仮想現実用ヘッドセット、ゴーグル、バイザ、レンズ、眼鏡、又はサングラスであり得る。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態によれば、光学デバイスを作成する方法であって、この方法は、多曲面を有する低屈曲性キャリアを提供することと、可撓性液晶フィルム構造を提供することと、を含む。可撓性液晶フィルム構造は、電気光学材料を包含するように設計されたギャップを形成するために、第1の可撓性基板及び第1の可撓性基板から離隔された第2の可撓性基板を含み得、第1の可撓性基板の外面は、可撓性液晶フィルム構造の第1の表面に対応し、第2の可撓性基板の外面は、可撓性液晶フィルム構造の第2の表面に対応する。方法は、i)多曲面、ii)可撓性液晶フィルム構造の第1の表面、又はiii)(i)と(ii)の両方に接着剤を適用することを更に含む。キャリアは、可撓性液晶フィルム構造に整列し、圧力は、キャリアの多曲面に従って可撓性液晶フィルム構造を成形するように、多曲面と可撓性液晶フィルム構造の第1の表面との間に印加される。方法は、成形された可撓性液晶フィルム構造を多曲面にコンフォーマル式に接着することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの斜視概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、可撓性液晶フィルム構造を例解する断面図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、多曲面の斜視概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、多曲面及び投影された仮想エリアの斜視概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの断面図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの断面図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスを作成するためのステップを例解するブロック図である。
【
図8A】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図8B】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図8C】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図8D】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図8E】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図8F】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図8G】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図9A】本開示のいくつかの実施形態による、ローラの断面図である。
【
図9B】本開示のいくつかの実施形態による、ローラの断面図である。
【
図10A】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図10B】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図10C】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図10D】本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの構成を示す一連の断面図である。
【
図11】いくつかの実施形態による、光学デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、多曲面光学デバイスに関する様々な技術及びそれらを作成するための方法を、図面を参照して説明する。図面は、本開示の概念を例解するためのものであり、縮尺通りでない場合があることを理解されたい。
【0011】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、光学デバイスの斜視概略図である。光学デバイス80は、第1の軸に沿った少なくとも第1の曲率62-1及び第2の軸に沿った第2の曲率62-2を含む多曲面62を有するキャリア60を含む。光学デバイス80は、多曲面62の上にコンフォーマル式に提供された可撓性液晶フィルム構造10を更に含む。介在する接着剤40は、可撓性液晶フィルム構造10を多曲面62に接着する。可撓性液晶フィルム構造は、多曲面の形状に積層形成される。これらの要素の各々についての追加の詳細を、以下に提供する。
【0012】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、可撓性液晶フィルム構造10を例解する断面図である。いくつかの実施形態では、可撓性液晶フィルム構造は、本明細書の他の場所で説明されるように、窓、バイザ、AR/VRゴーグル、眼鏡、又は同様のものを暗くするために使用され得る可変透過デバイスであり得る。可撓性液晶フィルム構造10は、第1の基板12及び第2の基板14を含む。第1の基板12の外面は、可撓性液晶フィルム構造10の第1の表面13に対応する。第2の基板14の外面は、可撓性液晶フィルム構造10の第2の表面15に対応する。適用に応じて、基板は、任意選択で、導電層16でコーティングされ得る。光学的に透明な導電層には、インジウムスズ酸化物(ITO)、導電性ポリマー、導電性ナノワイヤ、及び同様のものが含まれる。あるいは、又は加えて、基板はまた、ポリイミド又は同様のものなどの整列層18でコーティングされ得る。
【0013】
基板12及び14は、「セル」と称されることもある、可撓性液晶フィルム構造ユニットを構築するのに好適な透明なプラスチック又は可撓性ガラスなどの透明な可撓性材料で作成される。基板12は、化学組成、厚さ、光学的透明度又は他の特徴に関して、基板14と同じであるか、又はそれとは異なっている場合がある。適切なプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート及びコポリマーブレンド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリアミド、p-ニトロフェニルブチレート(PNB)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンアフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリビニルアセテート、環状オレフィンポリマー(COP)又は当該技術分野で既知の他の同様のプラスチックが挙げられる。可撓性ガラスとしては、Corning(登録商標)Willow(登録商標)Glass及び同様のものなどの材料が挙げられる。可撓性液晶フィルム構造が、多曲面に積層形成されているとき、プラスチック基板が本明細書で概ね好ましい。これらの基板の多くは、例えば、三菱プラスチック又は帝人デュポンフィルムから市販されており、ハードコートなどの様々な任意選択のコーティングとともに標準装備され得る。本明細書で使用される場合、「透明」とは、450nm~700nmの波長を有する可視放射に対して45%を超える透過率を有する材料を意味する。いくつかの実施例では、透明基板は、50%、60%、70%、又は80%の透過率を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、基板14は、基板12に対してより高い光透過率又はより低いヘイズを有し得る。いくつかの実施形態では、一方又は両方の基板は、300MPa未満、あるいは200MPa未満、又は100MPaの極限引張強度を有する可撓性高分子材料を含む。いくつかの実施形態では、一方又は両方の基板は、20~50MPa、50~100MPa、100~150MPa、150~200MPa、200~300MPa、300~500MPa、又はそれらの範囲の任意の組み合わせの範囲の極限引張強度を有する可塑性高分子材料を含む。いくつかの実施形態では、一方又は両方の基板は、10GPa未満、あるいは5GPa未満のヤング率を有する可撓性高分子材料を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、基板12又は14の厚さは、10~20μm、20~30μm、30~40μm、40~50μm、50~75μm、75~100μm、100~150μm、150~200μm、200~250μm、250~300μm、300~350μm、350~400μm、400~450μm、450~500μm、500~600μm、600~800μm、800~1000μm、又はそれらの隣接範囲の任意の組み合わせの範囲であり得る。
【0015】
基板12、14は、概して、制御されたギャップ25又は距離によって分離され、これは、いくつかの実施形態では、スペーサ24によって維持され得る。基板間の体積は、電気光学材料(「EOM」)26によって充填される。
【0016】
スペーサ24は、基板間の制御された距離又はギャップを維持するために使用され得る。いくつかの実施形態において、制御ギャップ25は、3~4μm、あるいは4~5μm、5~6μm、6~7μm、7~8μm、8~9μm、9~10μm、10~12μm、12~14μm、14~16μm、16~18μm、18~20μm、20~25μm、25~30μm、30~40μm、40~50μm、50~60μm、60~80μm、80~100μm、又はこれらの隣接範囲の任意の組み合わせの範囲内にある。「制御された」ギャップ又は距離は、基板間の距離の変動がスペーサ直径の平均30%未満(制御されたギャップを判定する)に留まるべきであることを意味する。いくつかの実施形態では、変形は、スペーサ直径の25%、20%、15%、10%又は5%未満である。いくつかの実施形態では、液晶フィルム構造の活性エリアにわたるギャップは、活性エリアにわたって測定された平均ギャップの30%で維持される。
【0017】
概して、本開示の様々な実施形態に従って、2種類のスペーサを使用して、基板間の制御された距離を維持し得る。1つのカテゴリは、所定のパターンを形成するために基板上に意図的に置かれるか、又は創出されるスペーサであるか、又はそれらがフォトリソグラフィ又は当該技術分野で既知の同様の方法を使用して創出され、所望のパターンを生成するスペーサである「パターン化されたスペーサ」を含む。例としては、ポリマー壁が挙げられる。場合によっては、パターン化されたスペーサは、可撓性液晶フィルム構造ギャップよりも大きい長さ及び幅を有し得、すなわち、それらは、デバイス内で可視パターンを生成することができるパターンにおいて>20である可撓性液晶フィルム構造ギャップに対する長辺のアスペクト比を有し、これは望ましくない場合がある。
【0018】
別のカテゴリには、本明細書では、回折パターン又は同様のものなどの光学的収差を生成しないように、ランダムに(例えば、スプレーされて)置かれるか、又は印刷されるスペーサとして定義される「パターン化されていないスペーサ」が含まれる。本開示のパターン化されていないスペーサは、球形であり得、又はそれらは、30/1、20/1、10/1、5/1、4/1、又は3/1未満のアスペクト比(長さ/幅)を有する長方形である可能性がある。スペーサは、基板間の距離を3~100μm、好ましくは4~20μm、又は5~10μmに維持するために使用される。
【0019】
本明細書で使用する「回折パターン」は、周期的な構造の間隔が入射光の波長の100倍未満である周期的な構造を光が伝搬することによって生じる周期的な光パターン、すなわち繰り返しパターン(例えばスペーサ又はAGC)の周期性が光の波長の100倍未満であるときに生じる。
【0020】
いくつかの実施形態では、長いパターン化されたスペーサを選択された場所に置いたときよりも、基板がより大きな密度のより小さいスペーサで覆われているときのほうが、デバイスの性能が優れている。いくつかの実施形態では、スペーサカウントは、平方mm(mm2)当たり少なくとも80である。
【0021】
いくつかの実施形態では、スペーサ24は、基板に予め適用され得(例えば、シートは、スペーサで予めコーティングされている)、又はEOM充填プロセスの間、例えば、ロール充填プロセスの間に基板に適用され得る。例えば、スペーサ24は、スペーサがランダムに配置されているか、又は回折生成パターンで配置されている層に噴霧されるか、又は塗布され得る。それらは、当技術分野で知られているように、湿式又は乾式の方法を使用して分散され得る。スペーサは、整列層(
図2の18)の上部に置かれるか、又は噴霧される場合があり、若しくは整列層内に置かれる場合がある。いくつかの実施形態では、スペーサは、接着要素を包含し得、例えば、それらは、接着層(図示せず)でコーティングすることができる。
【0022】
球状スペーサは、FERGASON、「Encapsulated Liquid Crystal and Method」と題された、PCT/US1982/001240(WO/1983/001016)の特許出願に記載されているような球状カプセル化液晶とは異なり、それは、EOMのいかなる体積もカプセル化しないからである。
【0023】
ある特定の実施形態では、スペーサ24は、整列層18の内部又はその一部として堆積することができ、その結果、整列層が一方又は両方の基板に適用されるときにそれらが適用される。他の実施形態では、球状スペーサ24は、基板上に堆積される電気光学材料内に組み込むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、可撓性液晶フィルム構造10は、境界シール(エッジシール)27/28を更に含み、これは、可撓性液晶フィルム構造内にEOM26を包含し、外部環境とEOMとの間にバリアを形成し、EOM26が可撓性液晶フィルム構造から流出することを防止し、環境要因(空気、水分、破片)が可撓性液晶フィルム構造内に入ることを防止する。いくつかの実施例では、境界シール27/28は、境界シーラントを基板12、14のうちの一方又は両方に適用することによって形成され、これは、一緒になって硬化すると、可撓性液晶フィルム構造内に包含されるEOMの周りに境界シールを形成する。いくつかの実施形態では、可撓性液晶フィルム構造の活性エリア又は部分は、EOMが境界シールによって制限されるエリアに対応する。
【0025】
可撓性液晶フィルム構造10内にEOMを含むための方法は、当技術分野で周知である。例えば、いくつかの実施形態では、EOM26は、真空充填プロセス又は1滴充填プロセスを使用して、可撓性液晶フィルム構造10のギャップ内に注入され得る。真空充填プロセスの場合、可撓性液晶フィルム構造10の周りのエッジシールは、まだ連続しておらず、「充填穴」と称される開口部を有する。次いで、可撓性液晶フィルム構造10を真空チャンバ内に置いて、可撓性液晶フィルム構造10内の空気を抜く。このステップの後、依然として真空下にある間、EOM26を充填穴に導入する。次いで、EOMは、毛管力に起因して、可撓性液晶フィルム構造10内のギャップを充填する。これは、EOMが充填穴に導入された後に、可撓性液晶フィルム構造10を大気圧にすることによって加速され得る。EOMが可撓性液晶フィルム構造のギャップを埋めると、プロセスは完了する。いくつかの場合では、将来の問題(例えば、収縮、気泡の形成など)を回避するために、可撓性液晶フィルム構造10内のEOMの量は、予想される体積よりも大きい場合がある。そのような場合、次いで、「コールドプレス」と称されるプロセスによって、可撓性液晶フィルム構造10をプレスして、過剰なEOMを除去する。次いで、例えば、空気が可撓性液晶フィルム構造に入らないように、エポキシを使用することによって、充填穴を密封する。
【0026】
1滴充填又はODFと称されるEOM充填プロセスは、当該技術分野で周知であり、可撓性液晶フィルム構造を充填するために使用することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、EOM26は、例えば、その内容全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第11,435,610号(Millerら)に開示されるようなロール充填法を使用して導入され得る。
【0028】
図2は、境界シールが適用されたときの基板12、14上の様々なコーティングに応じた境界シール27/28の変動を示す。
図2では、一方の側で、境界シール27は、可撓性基板12、14を一緒に密封する。あるいは、境界シール構成は、可撓性液晶フィルム構造10の他方の側面に描かれているようにすることができ、境界シール28は、整列18及び/又は導電層16の間のギャップを密封する。特定の配置は、境界シールの適用及びEOM26の充填のタイミングと方法とに依存する。
【0029】
境界シール27/28は、ブラシ、ローラ、フィルム又はペレット、スプレーガン、アプリケータガン、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、平面コーティング、ローラ押圧、又は熱押圧、又はそれらの任意の組み合わせを使用することを含むが、これらに限定されない当該技術分野で既知の任意の技法を使用して適用することができる。これらの全てを手動で行うことができ、又は機械内に自動化することができ、又はそれらの組み合わせを行うことができる。境界シールは、好適な接着剤(UV、熱、化学、圧力、多成分エポキシ、及び/又は放射線硬化)、ポリイソブチレン又はアクリレートベースのシーラントなど、若しくは感圧接着剤、2成分接着剤、湿気硬化接着剤などである可能性がある。他のタイプの境界(エッジ)シールは、可撓性液晶フィルム構造のエッジに接着された金属化箔又は他のバリア箔で構成することができる。ハイブリッド放射線及び熱硬化シーラント(すなわち、熱ポストベークで硬化可能なUV)は、ある特定の利点を提供し得ることが見出された。いくつかの実施形態では、(オハイオ州シンシナティのThreebond Corporationの)Threebond30Y-491材料は、その好ましい水蒸気バリア性質、エッジシール材料の容易な堆積のための高温での低粘度、良好な湿潤特性、及び管理可能な硬化特性のために、特に有用であり得る。当業者であり、高度なシーラントに精通している者は、同等の性能を提供する他のシーラントを識別することができるであろう。
【0030】
可撓性液晶フィルム構造10は、電気光学材料(EOM)26で充填されている。電気光学材料は、デバイスに意図された所望の動作特性を有するように、可撓性液晶フィルム構造にわたって印加された電界に応答する任意の材料であり得、電流又は電圧の印加によって変更することができる任意の材料を含む。例えば、EOMは、液晶材料、エレクトロクロミック材料、懸濁粒子デバイス(SPD)、染料(二色性染料、多色性染料など)などの他の添加剤などのうちの1つ又は組み合わせであり得、電気光学材料は、電流又は電圧の印加によって変更することができる。好ましい実施形態では、EOMは、ゲストホスト液晶二色性染料混合物である。
【0031】
いくつかの実施形態では、電気光学材料は全体として重合性ではなく、非カプセル化であり、非個別的である。したがって、これらの実施形態では、EOMは、PDLC、PELC、PSCT、PNLC、NCAP、又は同様のものなどの高分子又はカプセル化された液晶組成物を除外する。
【0032】
本明細書で使用するように、「重合不可能」とは、材料の相を固体、半固体、又はゲルなどに変更することによって、EOM層を寸法的に安定化するのに必要な量の化学成分(例えば、ポリマー前駆体)を含まないEOM組成物を意味する。非重合性EOMは、10%未満の重合性材料を含有する。
【0033】
「非個別」とは、カプセル化、ポリマー壁、ポリマーネットワーク、パターン化されたスペーサ、又は同様のものなどによって個別の別個の区画に分割されないEOMを意味する。
【0034】
「非カプセル化」とは、カプセルの内部又は内部容積に包含されていないEOMを意味する。カプセルとは、「カプセル化されたEOM」が、カプセル化媒体、例えば、ポリマーカプセルに封じ込められている、又は包含されるEOMの量であるように、液晶などのある量のEOMを閉じ込める封じ込めデバイス又は媒体を指す。カプセルは、球形を有し得るか、又は任意の他の好適な形状を有し得る。カプセル化されたEOM(例えば、カプセル化された液晶)は、それらが流れるのを防ぐように作成される。カプセル化されたEOMのいくつかの非限定的な実施例には、ポリマーネットワーク内の液晶の液滴からなるポリマー分散液晶(PDLC)が含まれる。
【0035】
例えば、マイクロカプセル化の方法は、FERGASONによって、「Encapsulated liquid crystal and method」(1984)と題される、特許第4,435,047号、及び「Encapsulated Liquid Crystal and Method」と題される、特許出願PCT/US1982/001240(WO/1983/001016)に記載されている。この方法では、樹脂材料を使用して液晶(LC)材料をカプセル化し、別個の量のLC材料を包含する湾曲した球状のカプセルを形成する。これらは、LC材料と、LC材料が溶解しないカプセル化媒体(例えば、樹脂)とを一緒に混合し、LC材料を包含する個別のカプセルの形成を可能にすることによって作成される。マイクロカプセル化では、液晶を水に溶解したポリマーと混合する。水が蒸発すると、液晶はポリマーに包まれる。多くの小さな「カプセル」が生成され、バルクポリマーを通して分散される。カプセル化によって製造された材料は、NCAP又はネマチック曲線整列相と称される。
【0036】
代替的な実施形態では、EOMは、PNLC又はPSCT及び同様のものに見られるようなメソゲン重合性成分を含み得る。
【0037】
更に他の実施形態では、EOMは、PIPS(重合誘導相分離)、SIPS(溶媒誘導相分離)、TIPS(温度誘導相分離)、又は同様のものなどの一般的に既知のプロセスを使用して創出された、PDLC又はNCAPに見られるようなポリマー材料を含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、例えば、可撓性液晶フィルム構造サイズが大きい場合、パターン化されていないスペーサに加えて、可撓性液晶フィルム構造は、1つ以上の接着剤ギャップ制御要素又はAGCを包含し得る。AGCは、ランダムに又は非回折パターンで置かれた接着要素であり、2つの可撓性液晶フィルム構造基板12、14の接着を支援する。いくつかの実施形態では、AGC要素は、可撓性液晶フィルム構造ユニット内にマトリックスを形成するが、その電気的接続性の点で可撓性液晶フィルム構造を分割しない壁であり、すなわち、可撓性液晶フィルム構造及びそのEOMは、単一の電気的接続によって活性化され、可撓性液晶フィルム構造又はデバイス全体が画素化又はセグメント化されない。
【0039】
他の実施形態では、導電層16(例えばITO)がセグメント化された領域を包含する場合、AGCを使用してセグメントを分割する場合がある(すなわち、AGCはセグメントの境界と一致する)。更に他の実施形態では、導電層がセグメント化された領域を包含する場合、AGCは、ITOセグメント境界と一致しない場合がある。
【0040】
いくつかの実施形態では、EOMは、「ゲストホスト」液晶染料混合物を含み、混合物は、液晶「ホスト」溶液内で混合された1つ以上のある量の二色性染料「ゲスト」を含む。液晶「ホスト」分子は、基板にわたって印加される電圧の調整によって変更可能な配向軸を有する。「ゲスト」染料混合物には、液晶ホスト内に溶解し、液晶分子の配向と整列し、偏光の吸収が染料分子の吸収双極子に対する偏光方向に強く依存する1つ以上の二色性染料が含まれる。印加電圧は、ゲストホスト配向が、本明細書では「クリア状態」と称される最大の光透過率を許容にする第1の状態と、ゲストホスト配向が、本明細書では「暗状態」と称される最小の光透過率を許容する第2の状態と、完全にクリア状態と完全に暗状態との間の中間状態の組み合わせとの間の切り替えをもたらす。ゲストホスト混合物の組成に応じて、クリア状態はゼロ電圧(オフ状態)で発生する可能性がある。あるいは、混合物は、ゼロ電圧(オフ状態)が暗(最小透過率)状態に対応するように配合され得る。いくつかの実施形態では、EOMは、任意選択で、日光などのUV光に曝露することによってその光吸光度が活性化され得るフォトクロミック(PC)染料又はフォトクロミックダイクロイック(PCDC)染料を更に含み得る。いくつかの実施形態では、EOMは、例えば、デバイスにクリア状態で所望の全体的な色相を提供するために、少量の従来の吸収染料を更に含み得る。
【0041】
ゲストホスト液晶染料混合物を包含する可撓性液晶フィルム構造体は、可撓性液晶フィルム構造ギャップ内の変動に対する公差が大きいため、本明細書に記載の方法に従って製造するのに特に適しており、すなわち、可撓性液晶フィルム構造は、可撓性液晶フィルム構造ギャップの公差又は変動が1%未満に維持されなければならない、偏光子ベースのLCデバイスのような位相遅延に依存する可撓性液晶フィルム構造と比較して、可撓性液晶フィルム構造ギャップが(スペーサ直径の±5%、10%、15%、20%、25%、又は更には30%などの許容範囲内で)わずかな変動を有していても、より寛容であり、良好に機能することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、上記のゲストホスト液晶染料混合物は、光学デバイス内の光を減衰させるために使用される(例えば、キャリアが一対のガラス、AR又はVRゴーグル、バイザ、窓、フロントガラス、コックピット、又は同様のものである)。
【0043】
動作中、例えば、ゲストホスト液晶染料混合物がホメオトロピック整列(すなわち、基板に垂直)を有する、ゼロ電圧(オフ状態)においてクリア状態(最大透過率)を有する可撓性液晶フィルム構造を達成することができる。電圧が印加されない場合、液晶ホストは、負の誘電異方性を有し、二色性染料は、正の二色性を有し、すなわち、偏光が染料分子の長い分子軸に平行であるときに最大の吸収を有し、偏光が長い軸に垂直であるときに最小の吸収を有する。そのようなデバイスでは、電圧を印加すると(ON状態)、ゲストホスト混合物は平面的又は均質な整列、すなわち、基板に平行な配置をとり、光を最大に吸収する(暗い)状態になる。そのような配置は、例えば、ゴーグル、眼鏡類、バイザなどで使用することができ、明るい光があるときに、印加される電圧に応答してデバイスを「暗くする」ことが望ましい場合がある。他の用途は、窓(車両、建物、航空機など)、太陽/月の屋根、ディスプレイデバイス及び同様のものを含む。
【0044】
他の実施例では、逆整列は、ゲストホスト液晶染料混合物が、印加電圧がオフのときに暗状態での平面整列(均質)、及び電圧が印加されたときにクリア状態でのホメオトロピック整列を有することができるように実装することが可能である。これは、正の二色性を有する染料及び正の誘電異方性を有する液晶材料と併せて、整列層の平面的な表面処理を使用することによって達成することができる。そのような配置は、例えば、デバイスが通常「暗」状態にあるが、電圧の印加によってクリア状態に切り替えることができることが望ましい、窓又はサンルーフに使用される場合がある。
【0045】
再び
図2を参照すると、可撓性液晶フィルム構造10は、可撓性液晶フィルム構造にわたって電界又は電圧を印加するための制御回路30に接続され得る。電圧源は、AC又はDCのいずれかであり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、可撓性液晶フィルム構造10は、100~150μm、150~200μm、200~250μm、250~300μm、300~350μm、350~400μm、400~450μm、450~500μm、500~600μm、600~700μm、700~800μm、800~900μm、900~1000μm、又はそれらの隣接範囲の任意の組み合わせの範囲の厚さ29を有する。
【0047】
接着剤
圧力活性化接着剤
場合によっては、接着剤は、圧力を印加したときにその粘着性又は接着性を増加させる材料である圧力活性化接着剤(「PAA」)であり得る。いくつかの実施形態では、PAAは、粘弾性ポリマー及び任意選択で粘着付与剤を含む。PAAは、アクリレートポリマー、シリコーンポリマー、天然ゴム、又は熱可塑性エラストマーを含み得る。PAAは更に、樹脂(例えば、ロジン及びそれらの誘導体、テルペン及び変性テルペン、脂肪族、脂環式及び芳香族樹脂(C5脂肪族樹脂、C9芳香族樹脂、及びC5/C9脂肪族/芳香族樹脂)、水素化炭化水素樹脂、及びそれらの混合物、テルペンフェノール樹脂(TPR、エチレン酢酸ビニル接着剤で頻繁に使用される))、又はNovolacsを含み得る。PAAは、耐湿性であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、PAAは、ロールとして供給され、バッキングと剥離層との間に提供され、これらの両方は、後述するように使用されるときに除去される。PAAを使用するとき、熱又はUV照射の適用は、概ね必要ではない。しかしながら、いくつかの実施形態では、熱又はUV又はいくつかの他の処理プロセスを積層後ステップで使用して、システムを更に安定させる場合がある。
【0049】
硬化性接着剤
いくつかの実施形態では、接着剤は、硬化ステップ中に接着剤に変化を引き起こす化学反応性官能基又は成分を含有する硬化性材料又は前駆体から形成され得る。硬化ステップは、熱処理、UV照射、成分混合、空気への曝露、又は何らかの他の硬化プロセスを含み得る。熱処理による硬化は、可撓性液晶構造と適合する温度で行われるべきである。場合によっては、硬化は、液晶フィルム構造をキャリアに結合することができる接着剤を形成する重合又は他の反応を引き起こす。例えば、硬化性材料には、エポキシ、シアノアクリレート、アクリルエステル、アルキレンビニルアセテート、又は他の硬化性反応性材料が含まれ得る。硬化性材料自体は、液体、ゲル、又は予め形成されたフィルムの形態であり得る。いくつかの実施形態では、硬化性接着剤は、PAAと併せて使用する場合がある。
【0050】
ホットメルト接着剤
いくつかの実施形態では、接着剤は、硬化を必要としないホットメルト接着剤であり得るが、軟化及び/又は溶融を引き起こすために高温への曝露によって活性化される。ホットメルト材料のいくつかの非限定的な実施例には、ポリオレフィン及び熱可塑性ポリウレタンが含まれる。例えば、ホットメルトフィルムは、液晶フィルム構造とキャリアとの間に提供され得る。熱及び圧力の印加時に、ホットメルトフィルムは軟化して、接着フィルム(接着剤)を形成する。いくつかの典型的な加熱温度は、50℃、60℃、80℃、又は更に100℃以上である。概して、加熱温度又は時間は、有効であり、EOM及び可撓性液晶フィルム構造と互換性があるように選択される。例えば、液晶EOM及び/又は基板は、そのような高温に対応するように選択され得る。しかしながら、そのような選択は、可撓性液晶フィルム構造を作成するための設計自由度を制限し得るため、場合によっては、ホットメルト接着剤があまり好ましくない場合がある。ホットメルト接着剤は、PAAと組み合わせて使用する場合がある。
【0051】
接着剤は、10~15μm、15~20μm、20~25μm、25~30μm、30~40μm、40~50μm、50~60μm、60~70μm、70~80μm、80~90μm、90~100μm、100~125μm、125~150μm、150~175μm、175~200μm、200~250μm、250~500μm、又はそれらの隣接範囲の任意の組み合わせの厚さを有し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、接着剤材料の単一の層を使用するのではなく、接着剤の複数のサブ層を積み重ねて接着剤40を形成し得る。そのようなサブ層は、同じ又は異なる化学組成又は厚さを有し得る。例えば、第1のPAAは、可撓性液晶フィルム構造によりよく接着し得、第2のPAAは、キャリアによりよく接着し得、第1及び第2のPAAサブ層は、互いによく接着する。
【0053】
場合によっては、接着剤は、可撓性液晶フィルム構造10の多曲面62と第1の表面13との間に比較的均一なフィルムを形成することができるはずである。いくつかの実施形態では、「比較的均一な」とは、平均厚さの30%以内、あるいは20%、15%、又は10%以内の変動を有する厚さを有することを意味する。いくつかの実施形態では、PAAは、光学的に透明である。
【0054】
いくつかの実施形態では、接着剤及び液晶フィルム構造は、合わせて、450nm~700nmの波長範囲で可視光の少なくとも40%を透過させるか、あるいは少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、又は90%を透過させる。いくつかの実施形態では、接着剤及び液晶フィルム構造が、合わせて、オフ状態又は最大透過状態で15%、10%、7%、5%、3%、2%又は1%未満のヘイズ値を提供する。いくつかの実施形態では、接着剤の平均厚さに対する液晶フィルム構造の平均厚さの比は、10、8、又は5未満である。
【0055】
多曲面及びキャリア
述べたように、キャリアは、多曲面を含む。
図1の多曲面は、多くの可能な実施例のうちの1つに過ぎない。本明細書で使用する「多曲面」とは、複合曲線を有する非平面形状を意味し、非展開形状とも称され、球面、非球面、トロイダル面など、直交する2軸(水平軸と垂直軸)の曲率が異なるものを含むが、これらに限定されない、例えば、トロイダル形状、長円球状、長楕円球状、長楕円球状、又は2つの直交する平面に沿った表面の原理的な曲率が反対である、例えば、ウマ又はサルの鞍のような鞍の形状又は表面である。多曲面の他の実施例としては、楕円双曲面、双曲放物面、球状円筒面が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、多曲面は一定又は変化する曲率半径を有し得る。多曲面はまた、そのような表面のセグメント又は部分を含み得るか、又はそのような曲線及び表面の組み合わせから構成され得る。いくつかの実施形態では、多曲面は、2つの直交軸に沿った曲率半径を有し得る。様々な実施形態では、多曲面は、非対称であり得る。
【0056】
図3を参照すると、多曲面62は、場合によっては、第1の方向に沿って測定された第1の高さH1と第1の長さL1とを有する第1の曲率62-1を有するように特徴付けられ得、第1の曲率比C1=H1/L1である。多曲面は、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って測定された第2の高さH2と第2の長さL2とを有する第2の曲率62-2を有するように更に特徴付けられ得、第2の曲率比C2=H2/L2である。いくつかの実施形態では、第2の方向は、第1の方向に直交し得る。曲率高さがL1及びL2によって形成される仮想平面より上で測定される正の値として示されているが、いくつかの実施形態では、C1及びC2の一方又は両方は、高さが平面より下の距離である場合、負であり得る。
図3に示されるようないくつかの実施形態では、L1及びL2は、可撓性液晶フィルム構造との積層を意図した部分に対応するポイントツーポイントの長さ全体に対応し得る。いくつかの実施形態では、L1及びL2は、代わりに、曲線内の変曲点間の長さを画定する多曲面の部分に対応し得る。いくつかの実施形態では、C1及びC2の両方はゼロではなく、C1及びC2の少なくとも一方又は任意選択で両方の絶対値は、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4.0.3、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01、0.005、0.002、又は0.001未満である。あるいは、任意の点における曲率は、D=0.5/Rとして定義される局所的な「ジオプタ」の観点から記述することができ、ここで、Rは、メートルで測定される点における任意の一方向の曲率半径である。場合によっては、任意の一方向のDは、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、又は0.2未満であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、多曲面62は、0ジオプタより大きい第1の値に湾曲した第1の曲率62-1と、第1の曲率とは異なる軸に沿い、0ジオプタより大きい第2の値に湾曲した第2の曲率62-2とによって特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、第2の曲率は、第1の曲率に直交し得る。第1の値及び第2の値の一方又は両方は、10、8、6、5、4、3、2、又は1未満である。
【0058】
図4を参照すると、多曲面62の表面エリア62Aは、多曲面の平坦な表面への投影によって画定される仮想エリア62Vよりも大きい。仮想エリア62Vに対して、表面エリア62Aは、0.1~0.2%、0.2~0.3%、0.3~0.4%、0.4~0.5%、0.5~0.6%、0.6~0.7%、0.7~0.8%、0.8~1.0%、1.0~1.2%、1.2~1.4%、1.4~1.6%、1.6~1.8%、1.8~2.0%、2.0~2.5%、2.5~3.0%、3.0~3.5%、3.5~4.0%、4.0~4.5%、4.5~5%、5~6%、6~7%、7~8%、8~9%、9~10%、10~11%、11~12%、12~13%、13~14%、14~15%、15~20%、又はそれらの隣接範囲の任意の組み合わせの範囲で大きくなり得る。
【0059】
可撓性液晶フィルム構造は、以下に記載される積層形成プロセスによって多曲面の形状に積層形成される。積層形成に供された可撓性液晶フィルム構造は、本明細書中で積層形成液晶フィルム構造と称され得る。積層形成液晶フィルム構造は、元の可撓性液晶フィルム構造に対して変化した表面エリアを有し得る。場合によっては、積層形成液晶フィルム構造の活性部分が、キャリア全体を覆い得る。いくつかの実施形態では、積層形成液晶フィルム構造の活性部分は、キャリアの一部分のみを覆い得る。
【0060】
いくつかの非限定的な実施例では、キャリアは、窓、フロントガラス、コックピット、ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、サンルーフ、ミラー、ヘッドセット(例えば、拡張現実若しくは仮想現実ヘッドセット)、ゴーグル、バイザ、レンズ、眼鏡(例えば、サングラス又はAR/CR眼鏡を含む)、又はいくつかの他の眼鏡類として機能し得る。キャリアに特に制限はないが、ほとんどの実施形態では、キャリアは、450nm~700nmの波長範囲の可視光の少なくとも10%を透過(又はミラーであれば反射)する。いくつかの実施形態では、キャリアは、450nm 700nmの波長範囲で、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の可視光を透過する。いくつかの実施形態では、キャリアは、光を透過し得、又は低光散乱を有する光を反射し得る。場合によっては、キャリアは、例えば、プライバシーウィンドウと同様に、意図的に曇った外観又は散乱光を有し得る。場合によっては、キャリアは、透明又は無色に見え得るが、いくつかの実施形態では、キャリアは、色相又は色を有し得る。概して、液晶フィルム構造が取り付けられているキャリアの少なくとも一部分は、液晶フィルム構造よりも低い可撓性、すなわち「低可撓性キャリア」を有する。低可撓性キャリアは、少なくとも10GPa、又はあるいは少なくとも20GPa、30GPa、40GPa、50GPa、60GPa、70Gpa、80GPa、又は90Gpaのヤング率を有するキャリア材料(例えば、ガラス、金属、特定のプラスチック、又は複合材料)を含み得る。いくつかの実施形態では、低可撓性キャリアは、少なくとも10GPa、又はあるいは少なくとも20GPaの剪断弾性率を有するように特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、接着剤と液晶フィルム構造体とを合わせた厚さは、上に液晶フィルム構造が提供される任意の寸法におけるキャリアの最大長さの2%、1%、0.5%、又は0.2%未満である。
【0061】
いくつかの実施形態では、光学デバイスは、2つ以上の液晶フィルム構造を含み得る。例えば、
図5は、多曲面162を有するキャリア160、多曲面162の上の接着剤層140、及び接着剤の上に提供された第1の表面113を有する第1の可撓性液晶フィルム構造110-1を有する
図1に示されるものと同様の光学デバイス180の断面図である。この断面は、第1の曲率162-1のみを示す。第1の可撓性液晶フィルム構造110-1は、第1及び第2の基板、EOM、スペーサ、整列層、導電層、及び他の特徴を含む上記のようなものであり得るが、これらは明瞭化のために省略される。
図5において、光学デバイスは、第1の可撓性液晶フィルム構造110-1の多曲面である第2の表面115の上に接着剤層145を更に含む。接着剤層145は、接着剤層140と同じであるか、又は異なり得る。第2の可撓性液晶フィルム構造110-2は、接着剤層145の上に提供され得る。第2の可撓性液晶フィルム構造は、材料、物理的性質及び/又は機能に関して、第1の可撓性液晶フィルム構造と同じであるか、又は異なり得る。第2の可撓性液晶フィルム構造は、第1の可撓性液晶フィルム構造の多曲面表面である第2の表面115の形状に積層形成され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、光学デバイスは、キャリアの反対側に可撓性液晶フィルム構造を有し得る。例えば、
図6は、多曲面262を有するキャリア260、多曲面262の上の接着剤層240、及び接着剤の上に提供された第1の表面213を有する第1の可撓性液晶フィルム構造210-1を有する
図1に示されるものと同様の光学デバイス280の断面図である。この断面は、第1の曲率162-1のみを示す。第1の可撓性液晶フィルム構造は、第1及び第2の基板、EOM、スペーサ、整列層、導電層、及び他の特徴を含む上記のようなものであり得るが、これらは明瞭化のために省略される。
図6では、光学デバイスは、キャリアの反対側の表面264と接触する接着剤層245を更に含む。反対側の表面264は、平坦、曲面、又は多曲面であり得る。接着剤層245は、接着剤層240と同じであるか、又は異なり得る。第2の可撓性液晶フィルム構造210-2は、接着剤層245と接触して提供され得る。第2の可撓性液晶フィルム構造は、材料、物理的性質又は機能に関して、第1の可撓性液晶フィルム構造と同じであるか、又は異なり得る。
【0063】
積層形成
様々なステップは、積層形成液晶フィルム構造をもたらし、本明細書では集合的に積層形成と称され得る。本明細書に記載されるように、積層形成は、概して、接着剤の使用及び可撓性液晶フィルム構造の形状を変更するための圧力の印加を伴うが、基板ガラス転移温度又はTg又はEOMネマチック等方転移温度(TNI)又はその両方などの可撓性液晶フィルム構造の転移温度に近づく温度は含まない。いくつかの実施形態では、可撓性液晶フィルム構造を伴う積層形成に使用されるステップは、基板Tg又はEOM(TNI)よりも少なくとも10℃低い温度において実施され得る。場合によっては、可撓性液晶フィルム構造を伴う積層形成に使用されるステップは、70℃未満、あるいは60℃、50℃、40℃、30℃、又は20℃未満の温度において実施され得る。そのようなステップは、任意選択で、室温(例えば、15~25℃の範囲内)において実施され得る。これらの温度範囲は、可撓性液晶フィルム構造自体において測定された温度に対応し得る。場合によっては、積層構成要素又はツールは、上記に列挙されたよりも高い温度を有し得るが、可撓性液晶構造の温度は、例えば、加熱された積層構成要素又はツールに曝される時間を制限することによって、前述の範囲内に留まり得る。積層形成は、場合によっては、可撓性液晶フィルム構造の一方又は両方の基板のある程度の延伸又は圧縮を引き起こし得る。
【0064】
いくつかの好ましい実施形態では、「積層形成」という用語は、電気光学的性質を依然として維持しながら、積層形成可撓性液晶構造の曲率が恒久的な変化(すなわち、その積層前状態からの曲率の少なくともいくらかの変化)を受けたという事実を指す。例えば、積層形成された可撓性液晶構造が、そのキャリアから剥離される場合、積層形成前とは異なる曲率を有するであろう。
【0065】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、積層形成によって光学デバイスを作成するためのステップを例解するブロック図である。ステップ301では、多曲面を有するキャリアが、第1の表面及び第2の表面を有する可撓性液晶フィルム構造とともに提供される。キャリア及び可撓性液晶フィルム構造は、上記で説明されている。
【0066】
ステップ303では、接着剤は、キャリアの多曲面、又は可撓性液晶フィルム構造の第1の表面に適用される。あるいは、接着剤材料は、キャリアの多曲面及び可撓性液晶フィルム構造の第1の表面の両方に適用され得る。
図8A~
図8Gは、本開示のいくつかの実施形態による、PAAを使用する光学デバイスの構成を例解する一連の断面図である。
図8Aの断面図に記載及び示されるように、PAA440は、いくつかの実施形態では、バッキング層441と剥離ライナ442(集合的には、PAA前駆体シート444)との間に提供され得る。いくつかの実施形態では、
図8Bに示されるように、PAA前駆体シートは、所望のサイズに事前に切断され得、バッキング層441は除去され得、露出したPAA表面は、標的表面、例えば、キャリア460の多曲面462及び/又は可撓性液晶フィルム構造の第1の表面に適用され得る。標的表面へのPAAの適用は、均一な適用を確実にするために1つ以上のローラ又は金型の使用を含み得る。いくつかの実施形態では、
図8Cに示されるように、剥離層442の一部分は、PAA440の露出部分446を形成するために除去され得る。PAA440は、前述の材料又は性質のいずれかを含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、液体グルー(例解せず)も、PAAと併せて使用され得る。そのような液体グルーは、PAAに、又はPAAを受けて接着することを意図した表面に適用され得る。場合によっては、液体グルーは、構造を一緒にして積層する際に、気泡を排除するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、グルー以外の液体をPAAに、又はPAAを受けて接着することを意図した表面、例えば、閉じ込められた空気を排除するための湿式積層に適用し得る。液体は、溶媒系材料であり得る。
【0068】
ステップ305では、キャリアは、可撓性液晶フィルム構造に整列する。これは、ジグ、金型、又は何らかの他の工具を使用して行われる場合がある。
図8Dに示されるようないくつかの実施形態では、整列の一部は、可撓性液晶フィルム構造410の1つの縁部をPAA、例えば、PAAの露出部分446を液晶フィルム構造の第1の表面413と接触させることを含み得る。接触は、整列調整を行うように、最初は柔らかいものであり得る。整列が達成されると、構造をキャリアに固定するためにより硬い接触が行われ得る。可撓性液晶フィルム構造410は、第1及び第2の基板、EOM、スペーサ、整列層、導電層、及び他の特徴を含む上記のようなものであり得るが、これらは明瞭化のために省略される。
【0069】
ステップ307では、可撓性液晶フィルム構造を多曲面にコンフォーマル式に接着するように、多曲面と可撓性液晶フィルム構造の第1の表面との間に圧力を印加する。いくつかの実施形態では、
図8Eに示されるように、
図8Dからの整列した構造は、少なくとも上部ローラ471と、任意選択で、多曲面と可撓性液晶フィルム構造の第1の表面との間に圧力473を提供するように設計された底部ローラ472とを含むローラアセンブリ内に提供される。ローラは、任意選択で、ローラが周りを回転する内部心棒474及び475を含み得る。剥離層442の残りの部分は、除去される。
図8Fでは、ローラアセンブリは、圧力を印加し、キャリア及び可撓性液晶フィルム構造にわたって移動し、キャリア及び可撓性液晶フィルム構造を一緒に積層し、それによって
図8Gに示される光学デバイス480を形成する。ローラアセンブリ自体は、移動し得るか、又はあるいは、キャリア及び可撓性液晶フィルム構造は、ローラアセンブリを通って移動し得るか、又はその両方である。図示されていないが、いくつかの実施形態では、硬化可能な液体又はゲル接着剤材料が、剥離層442が除去された後にPAAに適用され(
図8E)、その後、例えばUV照射によって、最先端がローラから出るときに硬化され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、可撓性液晶構造の多曲面と第1の表面との間の少なくとも上部のローラの長さに沿って印加される圧力473は、印加される平均圧力の50%以内、あるいは40%、30%、20%、又は10%以内である。
【0071】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのローラ471、472は、積層プロセスが進むにつれて多曲面462に実質的に適合することができる変形可能なローラである。変形可能なローラは、圧縮可能な材料を含み得る。場合によっては、変形可能なローラは、90、80、70、又は60未満の範囲のデュロメータを有し得る。変形可能なローラは、各セグメントにおいて印加した力を独立して調整して、ローラに沿った印加圧力の全体的な均一性を改善するために、その長さに沿った複数のセグメント、例えば、内部ホイールを含み得る。他の実施形態では、変形可能なローラは、可撓性ローラを含み得、ローラの内部心棒474は、多曲面に印加される圧力に応答して屈曲する。
【0072】
凸状の多曲面に圧力を印加する場合、ローラ471は、ローラの長さの中央部におけるローラ半径がローラの端部における半径よりも小さい凹状の横方向形状を有し得る。これは、内部心棒574を含むローラ571の長さに沿った
図9Aの断面に示されている。形状に加えて、ローラ571は、更に、変形可能なローラであり得る。凹状の多曲面に圧力を印加するとき、ローラは、長さの中央部におけるローラ半径がローラの端部における半径よりも大きい凸状の横方向の形状を有し得る。これは、内部心棒674を含むローラ671の長さに沿った
図9Bの断面に示されている。形状に加えて、ローラ671は、更に、変形可能なローラであり得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、ローラは、接着を改善するために加熱され得るが、そのような加熱は、可撓性液晶フィルム構造の第1又は第2の基板のTg未満に維持されるべきである。例えば、ローラは、いずれかの基板のTgよりも少なくとも30℃、少なくとも10℃低い温度に加熱され得る。いくつかの実施形態では、ローラ表面は、可撓性液晶フィルム構造の第2の表面とローラとの間の望ましくない接着を抑制するコーティング又は処理を有し得る。例えば、そのようなコーティング又は処理は、フッ素化ポリマー又は表面基の適用を含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、ローリングではなく、上記の「ローラ」として説明された要素は、要素と液晶フィルム構造との間の摩擦が低い限り、単に表面を摺動し得る。あるいは、他の形状の要素を使用して、均一な圧力を印加し得る。
【0075】
ローラを使用して圧力を印加するのではなく、多曲面に対応する形状(「金型面」)を有する金型を使用し得る。金型面は、多曲面形状と同一である必要はないが、いくつかの実施形態では、金型面は、多曲面に十分に類似しているため、多曲面にわたって印加される圧力は、平均圧力の50%以内、あるいは40%、30%、20%、又は10%以内である。
【0076】
図10A~
図10Dは、ステップ307のように、モールドを使用して圧力を印加する非限定的な実施形態を例解する一連の断面図である。
図10Aでは、接着剤740を備えたキャリア760は、第1の表面713を有する可撓性液晶フィルム構造710に整列する。可撓性液晶フィルム構造710は、第1及び第2の基板、EOM、スペーサ、整列層、導電層、及び他の特徴を含む上記のようなものであり得るが、これらは明瞭化のために省略される。可撓性液晶フィルム構造710は、多曲面762と同様の形状の金型面776を有する金型775内に位置決めされる。可撓性液晶フィルム構造710は、この図では概して平坦であるが、代替的に部分的に湾曲し得る。
図10Bでは、キャリア、接着剤、及び可撓性フィルム構造が一緒に移動されて、初期接触を行う。そのような接触(ここに示されるように)は、多曲面の中心又はその近傍であり得るが、必ずしもそうである必要はない。
図10Cでは、可撓性液晶フィルム構造をコンフォーマル式に接着させ、光学デバイス780(
図10D)を作成するように、力773が、金型とキャリアの反対側の表面764(多曲面762の反対側)との間に印加される。いくつかの実施形態では、キャリアの反対側の表面に印加される力は、反対側の表面の形状と同様の第2の面を有する第2の金型の使用を含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、金型(複数可)は、接着を改善するために加熱され得るが、そのような加熱は、可撓性液晶フィルム構造の第1又は第2の基板のTg未満に維持されるべきである。例えば、金型(複数可)は、いずれかの基板のTgよりも少なくとも30℃、少なくとも10℃低い温度に加熱され得る。接着剤がPAAでない場合、
図10Cのように部品が所定の位置にある間、硬化ステップが含まれ得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、金型は、特に金型面が多曲面と同一でないときに、改善された接触及び均一な圧力の印加を許容するために、ある程度の柔軟性を有し得る。場合によっては、金型はキャリアよりも可撓性が高いが、可撓性液晶フィルム構造よりも可撓性が低い場合がある。いくつかの実施形態では、金型面は、可撓性液晶フィルム構造の第2の表面と金型面との間の望ましくない接着を抑制するコーティング又は処理を有し得る。例えば、そのようなコーティング又は処理は、フッ素化ポリマー又は表面基の適用を含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、中央エリアよりも可撓性液晶フィルム構造の外側エリアにより多くの圧力が印加され得る。いくつかの実施形態では、ステップ307のように圧力を印加することは、可撓性液晶フィルム構造、接着剤、及びキャリアが全て減圧下、すなわち大気圧よりも低い圧力下にある環境又はチャンバ内で実施され得る。例えば、圧力を印加することは、100、50、10、5、又は1Torr未満のガス圧力を有する環境で実施され得る。ガスは、窒素、アルゴン、又は空気などの混合物である可能性がある。減圧下での積層は、気泡を引き起こし得る閉じ込められた空気の発生を低減し得る。いくつかの実施形態では、オートクレーブを通した後処理はまた、閉じ込められた空気を低減又は排除し得る。いくつかの実施形態では、積層は、真空バッグプロセスを使用して実行され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、光学デバイスは、2つのキャリアを含み得る。
図11は、いくつかの実施形態による、光学デバイスの断面図である。光学デバイス880は、多曲面862-aを有する第1のキャリア860-aを含む。光学デバイス880は、第1のキャリア860-aの多曲面862-aの上にコンフォーマル式に提供される可撓性液晶フィルム構造810を更に含む。介在する第1の接着剤840-aは、可撓性液晶フィルム構造810を多曲面862-aに接着する。多曲面862-bを有する第2のキャリア860-bは、可撓性液晶フィルム構造810の上に提供され得る。介在する第2の接着剤840-bは、多曲面862-bを可撓性液晶フィルム構造810に接着する。可撓性液晶フィルム構造810は、第1及び第2の基板、EOM、スペーサ、整列層、導電層、及び他の特徴を含む上記のようなものであり得るが、これらは明瞭化のために省略される。同様に、第1及び第2の接着剤、第1及び第2のキャリア、及びある特定の積層方法は、上記のいずれかを含み得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、2ステップの積層プロセスを使用して、光学デバイス880を作成する場合がある。例えば、第1のステップとして、可撓性液晶構造810は、第1のキャリアの多曲面862-aに積層形成され得る。第2のステップとして、第2のキャリアは、積層形成された液晶構造の上面に積層されるか、又は別様に接合され得る。場合によっては、第2のステップは、可撓性液晶構造が既にその所望の形状を有し得るため、積層形成を伴わない。あるいは、第1のステップとして、可撓性液晶構造810は、第2のキャリアの多曲面862-bに積層形成され得、第2のステップにおいて、第1のキャリアは、積層形成された液晶構造の下面に積層されるか、又は別様に接合され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、光学デバイスは、単一のキャリア及び1つ以上の積層形成液晶フィルム構造のみを有し得る。そのような構造は、場合によっては、製造がより単純になり得る。例えば、キャリアとしての拡張現実ヘッドセットは、1つ以上の積層形成された液晶フィルム構造を含み得るが、ガラスプレート又は同様のものなどの重ね合わされる第2のキャリアを含み得ない。
【0083】
先の図及び説明では、可撓性液晶フィルム構造は、概して、積層形成前の平坦なものとして説明されてきた。しかしながら、いくつかの実施形態では、可撓性液晶フィルム構造は、積層形成前にある程度の部分的な曲率を有し得る。すなわち、積層形成を受けるための可撓性液晶フィルム構造は、非平坦であり得るが、まだキャリアの多曲面の完全な曲率を有していない場合がある。
【0084】
いくつかの実施形態では、可撓性液晶フィルム構造は、積層時のEOM、すなわち、圧力を印加することを含む。ギャップをEOMで満たすことは、可撓性液晶フィルム構造の2つの基板の間で圧力を分散させるのに役立ち得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、EOMは、上で考察された充填方法(例えば、真空充填)を使用して圧力を印加した後に追加され得る。場合によっては、EOMは、PAAとの結合中に使用され得る圧力又は任意選択の加熱、若しくは追加の硬化ステップに敏感であり得るため、後で追加することが好ましい場合がある。あるいは、圧力を印加している間、基板間の圧力分散を助ける材料、例えば無害な低蒸気圧溶媒で一時的に隙間を充填し、次いで、圧力を印加するステップの後に除去して、所望のEOMで再充填し得る。かかる低蒸気圧溶媒の非限定的な実施例には、ある特定のハイドロフルオロエーテルが含まれ得る。
【0085】
本開示の方法及び材料は、前述の熱成形LCデバイスに関連付けられた欠点を有しない光学デバイスの製造を可能にする。そのような光学デバイスは、高収率で作成することができ、驚くことに、熱成形をせずに多曲面の上に積層されたときに予想される、可撓性液晶フィルム構造のしわなどの欠陥もない。本開示の光学デバイスは、高い光学的透明度/低いヘイズ及び低い駆動電圧を有し得る。
【0086】
追加の層又は材料を任意選択で適用して、光学デバイスの表面又は縁を、傷、UV照射、湿気、又は同様のものからの損傷から保護し得る。そのような追加的な層又は材料はまた、若しくはその代わりに、反射防止、偏光、色合い、又は同様のものなど、何らかの性能特徴を強化し得る。
【0087】
特定の実施形態の具体的な詳細は、本発明の実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく、任意の好適な方法で組み合わせ得る。しかしながら、本発明の他の実施形態は、各個々の態様に関連するある特定の実施形態、又はこれらの個々の態様の特定の組み合わせを対象とし得る。
【0088】
本発明の例示的な実施形態の上記の説明は、例解及び説明の目的のために提示されている。網羅的であるか、又は記載された正確な形態に限定する意図はなく、上記の教示に照らして多くの修正及び変更が可能である。
【0089】
前述の説明では、説明の目的で、本技術の様々な実施形態の理解を提供するために、多数の詳細が記述されている。しかしながら、ある特定の実施形態は、これらの詳細のいくつかがなくても、若しくは追加の詳細があっても実施できることは、当業者には明らかであろう。
【0090】
いくつかの実施形態を説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な改良、代替の構造、及び均等物を使用し得ることが当業者によって認識されるであろう。追加的に、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、いくつかの周知のプロセス及び要素は記載されていない。追加的に、任意の特定の実施形態の詳細は、その実施形態の変形例に常に存在するとは限らないか、又は他の実施形態に追加され得る。
【0091】
値の範囲が提供される場合、文脈上別段の指示のない限り、その範囲の上限と下限との間の各介在値も、下限のユニットの10分の1まで具体的に開示されていることを理解されたい。記載された範囲内の任意の記載された値又は介在する値と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在する値との間の各小範囲が包含される。これらの小さい範囲の上限及び下限は、独立して範囲に含まれていても、除外されていてもよく、いずれか、どちらでもない、又は両方の限定が小さい範囲に含まれている各範囲も、記載されている範囲の中で任意の具体的に除外されている限定に従うことを条件として、本発明に包含される。記載される範囲が限界値の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界値のいずれか又は両方を除外する範囲もまた含まれる。
【0092】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別様を指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「方法」への参照は、複数のそのような方法を含み、「層」への参照は、当業者に既知の1つ以上の層及びその等価物などを含む。ここで、本発明は、明瞭さ及び理解の目的のために詳細に説明されている。しかしながら、ある特定の変更及び修正が、添付の特許請求の範囲内で実施され得ることが理解されるであろう。
【0093】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全ての目的に関して、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【符号の説明】
【0094】
10 可撓性液晶フィルム構造
12 第1の基板
13 第1の表面
14 第2の基板
15 第2の表面
16 導電層
18 整列層
24 スペーサ
25 ギャップ
26 電気光学材料(EOM)
27 境界シール(エッジシール)
28 境界シール(エッジシール)
29 厚さ
30 制御回路
40 接着剤
60 キャリア
62 多曲面
62A 表面エリア
62V 仮想エリア
62-1 第1の曲率
62-2 第2の曲率
80、180、280 光学デバイス
【国際調査報告】