(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-20
(54)【発明の名称】トランスジェニック哺乳動物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A01K 67/0276 20240101AFI20241113BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241113BHJP
C12N 5/0781 20100101ALI20241113BHJP
C12N 5/12 20060101ALI20241113BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20241113BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20241113BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20241113BHJP
C07K 1/14 20060101ALI20241113BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20241113BHJP
【FI】
A01K67/0276 ZNA
C12N5/10
C12N5/0781
C12N5/12
C07K16/18
C12N5/0735
C12P21/08
C07K1/14
C12N15/63 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527321
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 US2022079533
(87)【国際公開番号】W WO2023086815
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518278007
【氏名又は名称】トリアニ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Trianni, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】バロウズ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァプル,マティアス
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE00
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA00
(57)【要約】
本開示は、ネコ可変ドメインを有する免疫グロブリンを発現するトランスジェニック哺乳動物を記載し、治療用のネコ抗体の開発のためのネコ可変ドメインを有する免疫グロブリンを発現するトランスジェニックげっ歯類を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内在性げっ歯類免疫グロブリン可変遺伝子座が欠失し、かつネコ免疫グロブリン可変遺伝子コード配列を含む部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座および内在性げっ歯類免疫グロブリン可変遺伝子座に基づく非コード調節配列と置換されたゲノムを有するトランスジェニックげっ歯類であって、
トランスジェニックげっ歯類の部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座が機能的であり、かつネコ可変ドメイン領域およびげっ歯類定常ドメインを含む免疫グロブリン鎖を発現する、トランスジェニックげっ歯類。
【請求項2】
部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座が、ネコV
H、D
H、およびJ
Hコード配列を含む、請求項1に記載のトランスジェニックげっ歯類。
【請求項3】
部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座が、ネコカッパV
LおよびJ
Lコード配列、ネコラムダV
LおよびJ
Lコード配列、またはその組み合わせを含む、請求項1に記載のトランスジェニックげっ歯類。
【請求項4】
部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座が、ネコV
H、D
H、およびJ
H、ネコカッパV
LおよびJ
Lコード配列、ネコラムダV
LおよびJ
Lコード配列、またはその組み合わせを含む、請求項1に記載のトランスジェニックげっ歯類。
【請求項5】
げっ歯類がマウスである、請求項1から4のいずれかに記載のトランスジェニックげっ歯類。
【請求項6】
非コード調節配列が、各V遺伝子セグメントに先行するプロモーター、スプライス部位、およびV(D)J遺伝子再構成のための組換えシグナル配列を含む、請求項1から5のいずれかに記載のトランスジェニックげっ歯類。
【請求項7】
部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座が、ADAM6遺伝子をさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載のトランスジェニックげっ歯類。
【請求項8】
部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座が、Pax-5活性化遺伝子間反復(PAIR)エレメントをさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載のトランスジェニックげっ歯類。
【請求項9】
部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座が、重鎖遺伝子間制御領域1由来のCTCF結合部位をさらに含む、請求項1から8のいずれかに記載のトランスジェニックげっ歯類。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のトランスジェニックげっ歯類由来のBリンパ球系譜細胞。
【請求項11】
請求項10に記載のBリンパ球系譜細胞に由来するハイブリドーマ細胞。
【請求項12】
請求項10に記載のBリンパ球系譜細胞に由来する不死化細胞。
【請求項13】
請求項10に記載のBリンパ球系譜細胞、請求項11に記載のハイブリドーマ、または請求項12に記載の不死化細胞由来のネコ可変ドメインおよびげっ歯類定常ドメインを含む免疫グロブリン分子の一部または全部。
【請求項14】
請求項1に記載のトランスジェニックげっ歯類を生成するための方法であって、
a)げっ歯類細胞のゲノムにおいて、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座の上流に部位特異的リコンビナーゼの少なくとも1つの標的部位を、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座の下流に部位特異的リコンビナーゼの少なくとも1つの標的部位を組み込むこと、ここで、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座は、(i)V
H、D
H、およびJ
H遺伝子セグメント、(ii)VκおよびJκ遺伝子セグメント、(iii)VλおよびJλ遺伝子セグメント、または(iv)VλおよびJλ遺伝子セグメントおよびCλ遺伝子を含む、
b)部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントを含む部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含むベクターを供給すること、ここで、部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々はネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子コード配列およびげっ歯類の非コード調節配列を含み、部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子座は部位特異的リコンビナーゼの標的部位に挟まれており、標的部位はステップa)でげっ歯類細胞に導入された標的部位と組換え可能である、
c)ステップb)のベクターおよび標的部位を認識できる部位特異的リコンビナーゼを前記細胞に導入すること、
d)前記細胞のゲノムと部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座との間で組換えイベントが起こるようにし、その結果、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座が部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座と置換されること、
e)ステップd)で生成された部分的ネコ免疫グロブリン可変遺伝子座を含む細胞を選択すること、および、
f)前記細胞を用いて、部分的ネコ免疫グロブリン可変遺伝子座を含むトランスジェニックげっ歯類を創出すること、
を含む方法。
【請求項15】
細胞がげっ歯類胚性幹(ES)細胞である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
細胞がマウス胚性幹(ES)細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
導入ステップの後、供給ステップの前に、標的部位の第1セットを認識するリコンビナーゼの導入によって内在性免疫グロブリン可変遺伝子座を欠失させるステップをさらに含み、ここで、欠失させるステップは、げっ歯類細胞のゲノムにおいて互いに組換えできない少なくとも2つの標的部位を所定の位置に残す、請求項14から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
ベクターがネコV
H、D
H、およびJ
Hコード配列を含む、請求項14から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
ベクターがκまたはλのいずれかのV
LおよびJ
Lコード配列を含む、請求項14から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
ベクターが、内在性の宿主起源のV遺伝子プロモーター、スプライス部位および組換えシグナル配列をさらに含む、請求項14から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
ベクターがADAM6遺伝子をさらに含む、請求項14から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
ベクターがPax-5活性化遺伝子間反復エレメントをさらに含む、請求項14から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
ベクターが重鎖遺伝子間制御領域1由来のCTCF結合部位をさらに含む、請求項14からから22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
治療的または診断的使用のための抗体を生産する方法であって、
(i)内在性げっ歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるキメラV
H、D、およびJ
H免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つ、および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるキメラV
LおよびJ
L可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つを含む免疫グロブリン遺伝子座可変領域と置換されたゲノムを有するトランスジェニックげっ歯類の抗体産生細胞からクローニングされたネコ可変ドメインを有する抗体を発現させること、ここで各キメラ遺伝子セグメントは、ネコV、D、またはJ免疫グロブリン可変領域コード配列およびげっ歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列を含む;および、
(ii)治療的または診断的使用にとって適しているネコ可変ドメインを有する抗体を単離すること、
を含む方法。
【請求項25】
抗体がトランスジェニックげっ歯類のB細胞からクローニングされる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項24または25に記載の方法によって生産された治療用または診断用抗体。
【請求項27】
ネコ可変ドメインを有する治療用または診断用抗体を生産する方法であって、
(i)内在性げっ歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるキメラV
H、D
H、およびJ
H免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つ、および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるキメラV
LおよびJ
L可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つを含む免疫グロブリン遺伝子座可変領域と置換されたゲノムを有するトランスジェニックげっ歯類由来の抗体産生細胞によって発現される抗体のネコ可変ドメインをクローニングすること、ここで各キメラ遺伝子セグメントは、ネコV、D、またはJ免疫グロブリン可変領域コード配列およびげっ歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列を含む;および
(ii)トランスジェニックげっ歯類によって発現された抗体のネコ可変ドメインを含む治療用または診断用抗体を生産すること、
を含む方法。
【請求項28】
ネコ可変ドメインが、トランスジェニックげっ歯類由来のB細胞によって発現される抗体からクローニングされる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項27または28に記載の方法によって生産された治療用または診断用抗体。
【請求項30】
ネコ可変ドメインを含むモノクローナル抗体を生産する方法であって、
(i)内在性げっ歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるキメラV
H、D
H、およびJ
H免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つ、および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるキメラV
LおよびJ
L可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つを含む免疫グロブリン遺伝子座可変領域と置換されたゲノムを有するトランスジェニックげっ歯類由来のB細胞を供給すること、ここで各キメラ遺伝子セグメントは、げっ歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列に埋め込まれたネコV、D、またはJ免疫グロブリン可変領域コード配列を含む;
(ii)B細胞を不死化すること;および
(iii)不死化B細胞によって発現されるネコ可変ドメインを含むモノクローナル抗体またはその抗体をコードする遺伝子を単離すること、
を含む方法。
【請求項31】
(iv)B細胞によって発現されるネコ可変ドメインをクローニングすること;および
(v)トランスジェニックげっ歯類のB細胞からクローニングされたネコ可変ドメインを含む治療用または診断用抗体を生産すること、
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ネコ可変ドメインを含む抗体を生産する方法であって、内在性げっ歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるキメラV
H、D
H、およびJ
H免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つ、および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるキメラV
LおよびJ
L可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つを含む免疫グロブリン遺伝子座可変領域と置換されたゲノムを有するトランスジェニックげっ歯類を供給することを含み、ここで各キメラ遺伝子セグメントは、げっ歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列に埋め込まれたネコV、D、またはJ免疫グロブリン可変領域コード配列を含み、トランスジェニックげっ歯類の免疫グロブリン遺伝子座は、ネコ可変ドメインを含む抗体を発現する、方法。
【請求項33】
トランスジェニックげっ歯類によって発現されるネコ可変領域を含む抗体またはその抗体をコードする遺伝子を単離することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
(i)標的抗原に対して特異的である抗体を発現するトランスジェニックげっ歯類からB細胞を取得すること;
(ii)B細胞を不死化すること;および
(iii)不死化B細胞から標的抗原に対して特異的である抗体を単離すること、
をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
特定の抗原に対して特異的であるB細胞からネコ可変領域をクローニングすることをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記B細胞からクローニングされたネコ可変領域を用いて治療用または診断用抗体を生産することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項32から36のいずれかに記載の方法によって生産された治療用または診断用抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫グロブリン分子の生産に関し、ネコモノクローナル抗体の生成のための抗原特異的抗体分泌細胞を産生可能なトランスジェニック哺乳動物を生成するための方法を含む。
【背景技術】
【0002】
以下の説明では、背景と導入の目的で、ある特定の論文および方法について記載する。ここに含まれるいかなる内容も、先行技術を「認める」として解釈されるものではない。出願人は、適切な場合には、本明細書で言及された論文および方法が、適用される法令規定の下で先行技術に該当しないことを証明する権利を明示的に留保する。
【0003】
抗体は、(i)多様な分子形態の抗原を標的とできる精巧な結合特性を示すこと、(ii)処置されたヒトや動物において忍容性が高く、望ましい薬物動態を示す生理的分子であること、(iii)感染媒介物を自然に排除する強力な免疫学的特性を有することから、重要な生物学的医薬品として登場した。さらに、実験動物から抗体を迅速に単離する確立した技術も存在し、体内には本来存在しない実質的にあらゆる外来物質に対して、特異的な抗体反応を容易に起こすことができる。
【0004】
その最も基本的な形では、抗体は2本の同一の重鎖(H)を含み、それぞれ同一の軽鎖(L)と対になっている。H鎖およびL鎖のN末端の両方に、可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)があり、対のH-L鎖にユニークな抗原結合特異性をもたらしている。
【0005】
抗体のVH領域とVL領域をコードするエキソンは生殖系列のDNAには存在しない。代わりに、各VHエキソンは、免疫グロブリンH鎖遺伝子座に存在するランダムに選択されたVH、DH、およびJH遺伝子セグメントの遺伝子再構成によって生成される。同様に、各VLエキソンは、軽鎖遺伝子座に存在するランダムに選択されたVLとJL遺伝子セグメントの染色体再構成によって生成される。
【0006】
哺乳動物では通常、H鎖を発現する2つの対立遺伝子、カッパ(κ)L鎖を発現する2つの対立遺伝子、ラムダ(λ)L鎖を発現する2つの対立遺伝子(それぞれの親から1つずつの対立遺伝子)がゲノムに含まれる。免疫グロブリンH鎖遺伝子座には複数のVH、DH、およびJH遺伝子セグメントがあり、免疫グロブリンκ(IGK)および免疫グロブリンλ(IGL)L鎖遺伝子座にも複数のVLおよびJL遺伝子セグメントがある(Collins and Watson (2018) Immunoglobulin Light Chain Gene Rearrangements, Receptor Editing and the Development of a Self-Tolerant Antibody Repertoire. Front. Immunol. 9:2249. (doi: 10.3389/fimmu.2018.02249))。
【0007】
重鎖遺伝子座には、異なる抗体クラス(アイソタイプ)を発現するためのエキソンも存在する。例えばネコ動物では、コードされるアイソタイプはIgM、IgD、IgG1a、IgG2、IgE、およびIgA2である。
【0008】
B細胞の発生中、まずH鎖可変遺伝子セグメントを含む2本の相同染色体のうちの1本で遺伝子再配列が起こる。プレB細胞では、得られたVHエキソンは続いて、IgM H鎖(μH鎖)発現のために、RNAレベルでCμエキソンにスプライシングされる。プレB細胞によって合成されたμH鎖の大部分は小胞体(ER)に保持され、μH鎖の部分的にフォールディングされていないCH1領域と小胞体常在シャペロンBiPとの非共有結合的相互作用によって最終的に分解される(Haas and Wabl, Nature, 306:387-9, 1983; Bole et al., J Cell Biol. 102:1558, 1986)。しかし、ごく一部のμH鎖は、不変のλ5タンパク質とVpreBタンパク質を含む代替軽鎖複合体と会合する。この会合がBiPを置換し、μH鎖/λ5/VpreB複合体がIgα/βシグナル分子ヘテロ二量体とともにプレB細胞受容体(preBCR)としてERを出て、分泌経路を介して細胞膜まで輸送されることを可能にする。
【0009】
その後、機能的なL鎖が産生されるまで、VL-JLの再構成がL鎖対立遺伝子に一度に起こり、その後、L鎖ポリペプチドはIgM H鎖ホモダイマーと会合して、完全に機能的な抗原特異的B細胞受容体(BCR)を形成し、未熟B細胞の表面に発現する。
【0010】
未熟B細胞は二次リンパ臓器に移動し、そこで同族抗原に反応できる成熟B細胞に分化し、抗体分泌形質細胞やメモリーB細胞に分化する。T細胞の助けを借りて、B細胞は抗体のアイソタイプをIgMからIgG、IgA、またはIgEに変化させるアイソタイプスイッチングや、VH領域およびVL領域のアミノ酸配列を変化させる体細胞超変異を起こすことができる。これらの変異はVHおよびVLエキソンにランダムに導入されるが、免疫抗原に対して高い親和性を有するB細胞は、免疫抗原に対する親和性が低いか全くないB細胞に比べて、抗原をより多く取り込み、抗原を処理し、およびT濾胞ヘルパー細胞に抗原を提示できるため、優先的に活性化される。その結果、体細胞超変異は相補性決定領域(CDR)1、2、および3に濃縮されるようになるが、それはこれらが抗原と相互作用するVH領域およびVL領域の領域だからである。
【0011】
様々なマウス免疫グロブリンをコードする遺伝子は、広範囲にわたって特徴付けられてきた。例えば、BlankensteinとKrawinkelはマウスの可変重鎖領域についてEur.J. Immunol., 17:1351-1357(1987)に記載している。ネコ免疫グロブリン重鎖遺伝子座に関する情報は少ないが、リンパ系の悪性腫瘍やウイルスに対する反応の研究では、VH領域配列がいくつか含まれている[例えば、Routら、Vet. Clin. Pat. 45:48 Suppl. 1 (2019) および Luら、 Scientific Reports 7:12713 (2017)]。Luらはまた、ネコIgG1a、IgG2、およびIgAの配列も特徴付けた。ネコカッパLC遺伝子座とラムダLC遺伝子座は広範に特徴づけられ、IMGT(International ImMunoGeneTics)情報システムで完全にアノテーションされている。
【0012】
変化した免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスなどのトランスジェニック動物の生成は、このようなトランスジェニック動物を様々な研究開発用途、例えば創薬および様々な生物学的システムの基礎研究への利用を可能にした。例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスの生成は、国際出願番号WO 90/10077およびWO 90/04036に記載されている。WO 90/04036には、ヒト免疫グロブリン「ミニ」遺伝子座を組み込んだトランスジェニックマウスが記載されている。WO 90/10077には、トランスジェニック動物の生成に使用する免疫グロブリン支配的制御領域(immunoglobulin dominant control region)を含むベクターが記載されている。
【0013】
マウスの内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座を、例えばヒト免疫グロブリン配列で改変し、創薬目的の部分的または完全なヒト抗体を創出する方法が数多く開発されてきた。このようなマウスの例としては、例えば、米国特許第7,145,056;7,064,244;7,041,871;6,673,986;6,596,541;6,570,061;6,162,963;6,130,364;6,091,001;6,023,010;5,593,598;5,877,397;5,874,299;5,814,318;5,789,650;5,661,016;5,612,205;および5,591,669に記載されているものを含む。
【0014】
薬として機能する抗体の使用は、ヒトの疾患の予防または治療に限定されない。ネコなどの家畜は、例えば癌、アトピー性皮膚炎、および慢性疼痛など、ヒトの疾患に似た疾患を患う。神経成長因子を標的とするモノクローナル抗体(bedinvetmab)は、すでにネコの変形性関節症の処置のために獣医学的使用がされているが、癌またはアトピー性皮膚炎の処置に対してはまだ認可されていない。しかし、臨床使用の前に、マウスで作られたモノクローナル抗体をネコ化する必要があった。すなわち、レシピエントであるネコの有害な免疫反応を防ぐために、アミノ酸配列をマウスからネコへと変更する必要があった。
【発明の概要】
【0015】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに記載する概念の抜粋を簡略化して紹介するために提供される。本概要は、特許請求される保護対象の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される保護対象の範囲を限定するために使用することを意図したものでもない。特許請求される保護対象の他の特徴、詳細、有用性、および利点は、添付の図面に図示され、添付の特許請求の範囲に定義される態様を含む以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
本明細書は、ネコ免疫グロブリン可変領域を有するマウス抗体を生産するための方法を記載する。一態様において、トランスジェニック哺乳動物またはインビトロ細胞培養で生産できるネコ可変領域を有する抗体が提供される。
【0017】
一態様において、非ネコ哺乳動物細胞または非ネコ哺乳動物が提供され、そのゲノムは異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座(heterologous partly feline immunoglobulin locus)を含む。一態様において、異種遺伝子座はネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子のコード配列および非ネコ哺乳動物宿主の内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座に基づく非コード配列を含む。一態様において、非ネコ哺乳動物細胞または哺乳動物は、ネコ重鎖(H)および軽鎖(L)可変領域ならびに非ネコ哺乳動物宿主細胞または哺乳動物に内在する定常領域を含む、キメラB細胞受容体(BCR)または抗体を発現できる。一態様において、トランスジェニック哺乳動物宿主細胞または哺乳動物は、内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座の一部または全部が除去されたゲノムを有する。
【0018】
非ネコ哺乳動物宿主でキメラネコモノクローナル抗体を生産するためには、宿主ゲノムはキメラネコ免疫グロブリンH鎖またはL鎖を発現する遺伝子座を少なくとも1つ有する必要がある。一態様において、宿主ゲノムは、キメラネコ免疫グロブリンH鎖およびL鎖をそれぞれ発現する1つの重鎖遺伝子座および2つの軽鎖遺伝子座を含む。
【0019】
いくつかの態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコVHコード配列および非ネコ哺乳動物宿主の内在性VH遺伝子座に存在する非コード配列を含む。いくつかの態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコVHコード配列、および非ネコ哺乳動物宿主の内在性VH遺伝子座に存在する非コード調節配列またはスキャフォールド配列を含む。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコDHおよびJH遺伝子セグメントコード配列、ならびに非ネコ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内在性DHおよびJH遺伝子セグメント中に存在する非コード配列を含む。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコDHおよびJH遺伝子セグメントコード配列、ならびに非ネコ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内在性DHおよびJH遺伝子セグメントに存在する非コード調節配列またはスキャフォールド配列を含む。
【0020】
他の態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコVLコード配列および非ネコ哺乳動物宿主の内在性VL遺伝子座に存在する非コード配列を含む。他の態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコVLコード配列および非ネコ哺乳動物宿主の内在性VL遺伝子座に存在する非コード調節配列またはスキャフォールド配列を含む。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコVLコード配列およびネコJL遺伝子セグメントコード配列、ならびに非ネコ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内在性JL遺伝子セグメントに存在するおよび非コード配列を含む。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコVLコード配列およびネコJL遺伝子セグメントコード配列、ならびに非ネコ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内在性JL遺伝子セグメントに存在する非コード調節配列またはスキャフォールド配列を含む。
【0021】
一態様において、非ネコ哺乳動物はげっ歯類、例えばマウスまたはラットである。
【0022】
一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含む非ネコ哺乳動物細胞を生成する方法が提供される。一態様において、本方法は以下を含む:a)非ネコ哺乳動物宿主細胞のゲノムに2つ以上のリコンビナーゼ標的部位を導入し、内在性免疫グロブリンVH遺伝子、DH遺伝子、およびJH遺伝子、または内在性VL遺伝子およびJL遺伝子を含むゲノム領域の上流に少なくとも1つの部位、下流に少なくとも1つの部位を組み込むこと、b)非ネコ哺乳動物宿主細胞に、リコンビナーゼ仲介カセット交換(RMCE)を介して、ネコVH、DH、およびJH遺伝子、またはネコVLおよびJL遺伝子のコード配列、および非ネコ哺乳動物宿主の内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座に存在する非コード配列に基づく非コード配列を含む、異種部分的ネコ免疫グロブリン可変遺伝子座を導入すること。
【0023】
別の態様において、この方法は、RMCEを介して非ネコ哺乳動物宿主細胞に異種部分的ネコ免疫グロブリン可変遺伝子座を導入する前に、2つの異種リコンビナーゼ標的部位に挟まれる宿主動物のゲノム中の内在性免疫グロブリン可変領域を欠失させることを含む。
【0024】
一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコV
H遺伝子セグメントコード配列、ネコD
HおよびJ
H遺伝子セグメントコード配列、ならびに非ネコ哺乳動物宿主のゲノムにおける内在性D
H遺伝子セグメントの上流に存在する配列に基づくネコD
H遺伝子セグメントの上流の非コード調節配列またはスキャフォールド配列(Pre-D配列、
図1)を含む。一態様において、上流のスキャフォールド配列は、雄の生殖能力に関係するAdam6a(
図1)などの非免疫グロブリン遺伝子を含む[Nishimuraら、Developmental Biol. 233(1): 204-213 (2011)]。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、同じ染色体上の内在性免疫グロブリンV
H遺伝子座の上流および内在性J
H遺伝子座の下流にあらかじめ導入されたリコンビナーゼ標的部位を用いて宿主細胞に導入される。
【0025】
一態様において、スキャフォールド配列は他の生物種由来の天然に存在する核酸配列を含む。一態様において、スキャフォールド配列は、他の生物種由来の天然に存在する核酸配列に基づいて設計でき、例えば、スキャフォールド配列は、例えば、1つ以上の核酸置換、挿入、欠失、または他の修飾によって修飾された他の生物種由来の天然に存在する核酸配列を含むことができる。一態様において、スキャフォールド配列は人工配列を含むことができる。一態様において、スキャフォールド配列は、ネコゲノムの免疫グロブリン遺伝子座に存在する配列と他の配列、例えば他の種のスキャフォールド配列とを組み合わせたものを含む。
【0026】
別の態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコ免疫グロブリンVL遺伝子セグメントコード配列、ネコJL遺伝子セグメントコード配列、および非ネコ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内在性L鎖遺伝子座に存在する非コード配列に基づく非コード配列を含む。一態様において、非コード配列には調節配列またはスキャフォールド配列が含まれる。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、同じ染色体上の内在性免疫グロブリンVL遺伝子座の上流および内在性JL遺伝子座の下流にあらかじめ導入されたリコンビナーゼ標的部位を用いて宿主細胞に導入される。
【0027】
一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は単一核酸として合成され、単一核酸領域として非ネコ哺乳動物宿主細胞に導入される。異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、2つ以上の連続したセグメントで合成され、哺乳動物宿主細胞に別々のセグメントとして導入されることもある。異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、非ネコ哺乳動物宿主細胞に導入する前に、組換え法を用いて生産し、単離することもできる。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座は、以下のようにインシリコで作製できる。マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子座のゲノム配列を、ネコVH、DH、およびJHコード配列と同様に、例えばNational Center fwor Biotechnology InformationまたはThe International ImMunoGeneTics (IMGT)information systemから取得する。マウスのVH、DH、およびJHコード配列は、例えば市販のソフトウェアを用いて、ネコVH、DH、およびJHコード配列とインシリコ置換される。有利には、VH、D、およびJHコード配列は、介在するマウスの非コード配列をそのまま残して置換することができる。同様に、部分的ネコ免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座は、以下のようにインシリコで作製できる:マウス軽鎖免疫グロブリン遺伝子座のゲノム配列、ならびにネコVLおよびJLコード配列を、例えばNational Center fwor Biotechnology InformationまたはThe International ImMunoGeneTics (IMGT)information systemから取得する。マウスのVLおよびJLコード配列は、例えば市販のソフトウェアを用いて、ネコVLおよびJLコード配列とインシリコ置換される。ここでも、VLとJLのコード配列は、間にあるマウスの非コード配列をそのまま残して置き換えることができる。インシリコ配列に基づいて、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含むDNA配列を合成する方法が知られている。
【0028】
別の態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含む非ネコ哺乳動物細胞を生成する方法が提供される。一態様において、本方法は以下を含む:a)非ネコ哺乳動物宿主細胞のゲノムに、互いに組換え不可能な2つ以上の配列特異的組換え部位を導入することであって、少なくとも1つの組換え部位が内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座の上流に導入され、少なくとも1つの組換え部位が同じ内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座の下流に導入されること;b)i)ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子コード配列、およびii)宿主細胞ゲノムの内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座に基づく非コード調節配列またはスキャフォールド配列を有する、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含むベクターを供給すること、ここで、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、宿主細胞の内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座を挟んでいるものと同じ2つの配列特異的組換え部位によって挟まれている;c)ステップb)のベクターおよび2つの組換え部位を認識できる部位特異的リコンビナーゼを宿主細胞に導入すること;d)細胞のゲノムと異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座との間で組換えイベントが起こるようにし、その結果、内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が異種部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子座と置換されるようにすること。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコVH免疫グロブリン遺伝子セグメントコード配列、ならびにi)ネコDHおよびJH遺伝子セグメントコード配列、ii)非ネコ哺乳動物宿主のゲノム中に内在的に存在する各VH、DH、およびJH遺伝子セグメントを挟んでいる非コード調節配列またはスキャフォールド配列、およびiii)非ネコ哺乳動物宿主細胞の内在性ゲノムに基づくプレD配列を含む。一態様において、リコンビナーゼ標的部位は、内在性免疫グロブリンVH遺伝子座の上流および内在性JH遺伝子座の下流に導入される。
【0029】
一態様において、げっ歯類の内在性免疫グロブリン可変遺伝子座が欠失し、げっ歯類の内在性免疫グロブリン可変遺伝子座に基づくネコ免疫グロブリン可変遺伝子コード配列および非コード調節配列またはスキャフォールド配列を含む異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座と置換されたゲノムを有するトランスジェニックげっ歯類が提供される。一態様において、トランスジェニックげっ歯類の異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は機能的であり、ネコ可変ドメイン領域とげっ歯類定常ドメインを含む免疫グロブリン鎖を発現する。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコVH、DH、およびJHコード配列を含む。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコVLおよびJLコード配列を含む。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコカッパ(κ)VLおよびJLコード配列を含む。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコラムダ(λ)VLおよびJLコード配列を含む。一態様において、トランスジェニックげっ歯類由来のBリンパ球系譜細胞が提供される。一態様において、Bリンパ球系譜細胞から得られたネコ可変ドメインおよびげっ歯類定常ドメイン配列を含む免疫グロブリン分子の一部または全体が提供される。一態様において、Bリンパ球系譜細胞に由来するハイブリドーマ細胞が提供される。一態様において、ハイブリドーマ細胞由来のネコ可変ドメインとげっ歯類定常ドメインを含む免疫グロブリン分子の一部または全体が提供される。一態様において、Bリンパ球系譜細胞に由来する不死化細胞が提供される。一態様において、不死化細胞由来のネコ可変ドメインとげっ歯類定常ドメインを含む免疫グロブリン分子の一部または全体が提供される。一態様において、トランスジェニックげっ歯類が提供され、ここで、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコVLおよびJLコード配列を含む。一態様において、トランスジェニックげっ歯類が提供され、この場合、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座はネコVH、DH、およびJHコード配列を含む。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコカッパ(κ)VLおよびJLコード配列を含む。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコラムダ(λ)VLおよびJLコード配列を含む。一態様において、げっ歯類はマウスである。一態様において、非コード調節配列は、内在性の宿主の以下の配列の1つ以上を含む:各V遺伝子セグメントに先行するプロモーター、スプライス部位、およびV(D)J遺伝子再構成のための組換えシグナル配列。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、内在性の宿主の以下の配列の1つ以上をさらに含む:ADAM6遺伝子、Pax-5-活性化遺伝子間反復(PAIR)エレメント、および重鎖遺伝子間制御領域1(IGCR1)からのCTCF結合部位。
【0030】
一態様において、非ネコ細胞は哺乳動物細胞である。一態様において、非ネコ哺乳動物細胞は哺乳動物胚性幹(ES)細胞である。
【0031】
一態様において、内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が、異種部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子座で置換された非ネコ哺乳動物細胞が選択され、単離される。一態様において、細胞は非ネコ哺乳動物ES細胞、例えばげっ歯類ES細胞である。一態様において、少なくとも1つの単離された非ネコ哺乳動物細胞を用いて、異種部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子座を発現するトランスジェニック非ネコ哺乳動物を創出する。一態様において、少なくとも1つの単離された非ネコ哺乳動物ES細胞を用いて、異種部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子座を発現するトランスジェニック非ネコ哺乳動物を創出する。
【0032】
一態様では、トランスジェニックげっ歯類を生成する方法が提供される。一態様において、この方法は以下を含む:a)げっ歯類細胞のゲノムの内在性免疫グロブリン可変遺伝子座の上流に部位特異的リコンビナーゼの少なくとも1つの標的部位を、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座の下流に部位特異的リコンビナーゼの少なくとも1つの標的部位を組み込むこと。一態様において、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座はVH、DH、およびJH遺伝子セグメントを含む。一態様において、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座は、VκおよびJκ遺伝子セグメントを含む。一態様において、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座は、VλおよびJλ遺伝子セグメントを含む。一態様において、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座はVλ、Jλ遺伝子セグメントおよびCλ遺伝子を含む。一態様において、この方法は以下を含む:b)異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含むベクターを供給すること。一態様において、前記異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、キメラネコ免疫グロブリン遺伝子セグメントを含む。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子セグメントの各々は、ネコ免疫グロブリン可変遺伝子コード配列およびげっ歯類の非コード調節配列またはスキャフォールド配列を含む。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン可変遺伝子座は、部位特異的リコンビナーゼの標的部位に挟まれている。一態様において、標的部位はげっ歯類細胞に導入された標的部位と組換え可能である。一態様において、この方法は以下を含む:c)ベクターと標的部位を認識できる部位特異的リコンビナーゼをげっ歯類細胞に導入すること。一態様において、この方法は以下を含む:d)細胞のゲノムと異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座との間で組換えイベントが起こるようにすることであって、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座が異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座と置換されるようにすること。一態様において、この方法は以下を含む:e)ステップd)で生成された異種部分的ネコ免疫グロブリン可変遺伝子座を含む細胞を選択すること;およびその細胞を用いて、異種部分的ネコ免疫グロブリン可変遺伝子座を含むトランスジェニックげっ歯類を創出すること。一態様において、細胞はげっ歯類胚性幹細胞(ES細胞)である。一態様において、細胞はマウス胚性幹(ES)細胞である。
【0033】
一態様において、この方法は、ステップa)の後、ステップb)の前に、標的部位の第1セットを認識するリコンビナーゼを導入することにより、内在性免疫グロブリン可変遺伝子座を欠失させるステップをさらに含み、ここで、欠失させるステップは、げっ歯類細胞のゲノムにおいて互いに組換えできない標的部位の少なくとも1つのセットを所定の位置に残す。一態様において、ベクターはネコVH、DH、およびJHのコード配列を含む。一態様において、ベクターはネコVLおよびJLコード配列を含む。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ネコカッパ(κ)VLおよびJLコード配列を含む。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、ラムダ(λ)VLおよびJLコード配列を含む。一態様において、ベクターはさらに、プロモーター、スプライス部位、および組換えシグナル配列のうちの1つ以上を含む。
【0034】
一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子座を含むトランスジェニック非ネコ哺乳動物を生成する方法が提供される。一態様において、この方法は、a)非ネコ哺乳動物宿主細胞のゲノムに、内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座を挟み、互いに組換え不可能な1つ以上の配列特異的組換え部位を導入すること、を含む。一態様において、この方法は、b)i)ネコ可変領域遺伝子コード配列、およびii)内在性宿主免疫グロブリン可変領域遺伝子座に基づく非コード調節配列またはスキャフォールド配列を有する、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含むベクターを供給すること、を含む。一態様において、コード配列および非コード調節配列またはスキャフォールド配列は、a)の宿主細胞のゲノムに導入されたものと同じ配列特異的組換え部位によって挟まれている。一態様において、この方法は、c)ステップb)のベクターと、1組のリコンビナーゼ部位を認識できる部位特異的リコンビナーゼを細胞に導入すること、を含む。一態様において、この方法は、d)a)の細胞のゲノムと異種部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子座との間で組換えイベントが起こるようにすること、を含む。一態様において、内在性免疫グロブリン可変領域遺伝子座は、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座と置換される。一態様において、この方法は、e)部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含む細胞を選択すること;およびf)その細胞を用いて、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニック哺乳動物を創出すること、を含む。
【0035】
一態様において、トランスジェニック非ネコ哺乳動物はげっ歯類、例えばマウスやラットである。
【0036】
一態様において、少なくとも103の多様なライブラリーメンバーを含む免疫グロブリンライブラリー(レパートリーとも呼ばれる)が提供される。
【0037】
一態様において、本明細書に記載される部分的ネコ抗体を含む抗体のレパートリーが提供される。一態様において、レパートリーには、それぞれが同じ標的抗原を特異的に認識する多様な抗体が含まれる。このようなレパートリーは、同じ抗体タイプまたは構造の抗体ライブラリーと呼ぶことができ、抗体は抗原結合部位が異なり、例えば、同じエピトープを認識する親抗体の抗体バリアントを生成する。一態様において、抗体ライブラリーは、親和性成熟した、または他の方法で最適化された抗体バリアントを含む。一態様において、抗体ライブラリーは、標的抗原を特異的に認識するが、かかる抗原の異なるエピトープを特異的に認識する抗体を含む。
【0038】
一態様において、抗体レパートリーがスクリーニングされ、各ライブラリーメンバーが、例えば抗体産物を生産するために、所望の構造的または機能的特性に従って選択される。
【0039】
一態様において、本明細書に記載した部分的ネコ抗体を含む抗体のレパートリーが提供される。一態様において、レパートリーには、異なる標的抗原を認識する多様な抗体が含まれる。一態様において、レパートリーは、非ネコ哺乳動物を多成分抗原で免疫することによって得られ、多成分抗原は、ウイルスや細菌を含むが、これらに限定されるものではなく、多くの異なる標的抗原を有することができ、それぞれの抗原が複数のエピトープを含むことができる。
【0040】
一態様において、レパートリーは抗体のナイーブライブラリーであり、これは「プレ免疫レパートリー」とも呼ばれる。一態様において、プレ免疫レパートリーは、骨髄から最近出てきた成熟しているが抗原未経験のB細胞によって発現される。
【0041】
一態様において、抗体のレパートリーは、各々異なる抗原結合部位によって特徴付けられる、少なくとも約103抗体、例えば少なくとも約104、約105、約106
、または約107を包含する多様性によって特徴付けられることができる。
【0042】
一態様において、ネコ可変領域遺伝子コード配列および宿主ゲノムの内在性非ネコ免疫グロブリン遺伝子座に基づく非コード調節配列またはスキャフォールド配列を有する異種免疫グロブリン可変領域遺伝子座を発現する非ネコ哺乳動物細胞が提供される。一態様において、非ネコ哺乳動物細胞は、非ネコ哺乳動物細胞または哺乳動物に内因性のそれぞれの定常領域と結合した完全ネコH鎖またはL鎖可変ドメインを含むキメラ抗体を発現する。
【0043】
一態様において、ネコ可変領域遺伝子コード配列および宿主ゲノムの内在性非ネコ免疫グロブリン遺伝子座に基づく非コード調節配列またはスキャフォールド配列を有する異種免疫グロブリン可変領域遺伝子座を発現する非ネコトランスジェニック哺乳動物が提供される。一態様において、非ネコトランスジェニック哺乳動物は、非ネコ哺乳動物細胞または哺乳動物に内在性のそれぞれの定常領域と結合した完全ネコ型H鎖またはL鎖可変ドメインを含むキメラ抗体を発現する。
【0044】
一態様において、完全ネコ可変配列を有する部分的ネコ抗体を発現可能なトランスジェニック非ネコ哺乳動物由来のB細胞が提供される。一態様において、特定の抗原に特異的なモノクローナル抗体の供給源として不死化B細胞が提供される。
【0045】
一態様において、診断、予防、および治療用の抗体の生産または最適化に使用するための、B細胞からクローニングされたネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子配列が提供される。
【0046】
一態様において、完全ネコ免疫グロブリン可変領域配列を有する部分的ネコモノクローナル抗体を産生可能な非ネコハイブリドーマ細胞が提供される。
【0047】
一態様において、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマからH鎖およびL鎖免疫グロブリン可変ドメインをコードするVHおよびVLエキソンを除去し、VHおよびVLエキソンをネコ定常領域を含むように改変し、それにより、ネコに注射しても免疫原性を示さない完全ネコ抗体を生成する方法が提供される。
【0048】
一態様において、治療用または診断用のネコ抗体を生産する方法が提供される。
一態様において、この方法は以下を含む:
(i)内在性げっ歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるキメラVH、DH、およびJH免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つ、および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるキメラVLおよびJL可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つを含む異種免疫グロブリン遺伝子座可変領域と置換されたゲノムを有するトランスジェニックげっ歯類の抗体産生細胞からクローニングされたネコ可変ドメインを有する抗体を発現させること、ここで各キメラ遺伝子セグメントは、ネコV、D、またはJ免疫グロブリン可変領域コード配列およびげっ歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列を含む;および、
(ii)治療的または診断的使用にとって適しているネコ可変ドメインを有する抗体を単離すること。
【0049】
一態様において、抗体はトランスジェニックげっ歯類のB細胞からクローニングされる。一態様において、げっ歯類はマウスである。一態様において、本明細書に記載の方法によって生産される治療用または診断用抗体が提供される。
【0050】
一態様において、ネコ可変ドメインを有する治療または診断用抗体を生産する方法が提供される。一態様において、この方法は以下を含む:
(i)内在性げっ歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるキメラVH、DH、およびJH免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つ、および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるキメラVLおよびJL可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つを含む異種免疫グロブリン遺伝子座可変領域と置換されたゲノムを有するトランスジェニックげっ歯類由来の抗体産生細胞によって発現される抗体のネコ可変ドメインをクローニングすること、ここで各キメラ遺伝子セグメントは、ネコV、D、またはJ免疫グロブリン可変領域コード配列およびげっ歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列を含む;および
(ii)トランスジェニックげっ歯類によって発現された抗体のネコ可変ドメインを含む治療用抗体または診断用抗体を生産すること。
【0051】
一態様において、ネコ可変ドメインは、トランスジェニックげっ歯類のB細胞によって発現された抗体からクローニングされる。一態様において、げっ歯類はマウスである。一態様において、本明細書に記載の方法によって生産される治療用抗体または診断用抗体が提供される。
【0052】
一態様において、ネコ可変ドメインを含むモノクローナル抗体を生産する方法が提供される。一態様において、この方法は以下を含む:
(i)内在性げっ歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるキメラVH、DH、およびJH免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つ、および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるキメラVLおよびJL可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つを含む異種免疫グロブリン遺伝子座可変領域と置換されたゲノムを有するトランスジェニックげっ歯類由来のB細胞を供給すること、ここで各キメラ遺伝子セグメントは、げっ歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列に埋め込まれたネコV、D、またはJ免疫グロブリン可変領域コード配列を含む;
(ii)B細胞を不死化すること;および
(iii)不死化B細胞によって発現されるネコ可変ドメインを含むモノクローナル抗体またはその抗体をコードする遺伝子を単離すること。
【0053】
一態様において、この方法は以下のステップを含む:
(iv)B細胞によって発現されるネコ可変ドメインをクローニングすること;および
(v)トランスジェニックげっ歯類のB細胞からクローニングされたネコ可変ドメインを含む治療用または診断用抗体を生産すること。
【0054】
一態様において、ネコ可変ドメインを含む抗体を生産する方法が提供される。一態様において、本方法は、内在性げっ歯類免疫グロブリン遺伝子座可変領域が欠失され、免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるキメラVH、DH、およびJH免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つ、および/または免疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるキメラVLおよびJL可変遺伝子セグメントの各々の少なくとも1つを含む異種免疫グロブリン遺伝子座可変領域と置換されたゲノムを有するトランスジェニックげっ歯類を供給することを含み、ここで各キメラ遺伝子セグメントは、げっ歯類免疫グロブリン可変領域非コード遺伝子セグメント配列に埋め込まれたネコV、D、またはJ免疫グロブリン可変領域コード配列を含み、トランスジェニックげっ歯類の異種免疫グロブリン遺伝子座は、ネコ可変ドメインを含む抗体を発現する。
【0055】
一態様において、この方法は、トランスジェニックげっ歯類によって発現されたネコ可変領域を有する抗体またはその抗体をコードする遺伝子を単離することを含む。一態様において、本方法は以下を含む:(i)標的抗原に特異的な抗体を発現するトランスジェニックげっ歯類からB細胞を得ること;(ii)B細胞を不死化すること;および(iii)不死化B細胞から標的抗原に特異的な抗体を単離すること。
【0056】
一態様において、この方法は、特定の抗原に特異的なB細胞からネコ可変領域をクローニングすることを含む。一態様において、げっ歯類はマウスである。一態様において、この方法は、B細胞からクローニングされたネコ可変領域を用いて治療用または診断用抗体を生産することを含む。一態様において、本明細書に記載の方法により生産される治療用または診断用抗体が提供される。
【0057】
これらおよびその他の態様については、以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】12番染色体のテロメア末端に位置するマウスIgh遺伝子座(上部)(V(IghV)、D(IghD)、J(IghJ)、およびC(IghC)遺伝子セグメントを含む)、6番染色体上に位置するIgκ遺伝子座(中部)(V(IgkV)、J(IgkJ)、およびC(IgkC)遺伝子セグメントを含む)、および16番染色体上に位置するIgλ遺伝子座(下部)((Igl(V)、IglJ(J)、およびIglC(C)遺伝子セグメントを含む)を記載する。またIgh遺伝子座には、1)PAIRエレメント、これはVDJ再構成において遠位VH遺伝子セグメントを確実に利用するためのIghループ形成に重要なシス制御配列である、2)Adam6a雄性受胎可能化遺伝子、3)遺伝子間制御領域1(IGCR1)、これはIgh遺伝子座の秩序だった系譜特異的な再構成を制御する部位を含む、4)重鎖イントロンエンハンサーであるEμ、5)スイッチ領域であるSμ、6)アイソタイプスイッチングを制御するシス作用エレメントである3’制御領域(3’RR)が示される。また、Igκ遺伝子座には5’(E5’)エンハンサーおよび3’(E3’)エンハンサー、ならびにIgλ遺伝子座には3つのエンハンサーのEλ 2-4、Eλ、およびEλ 3-1が示される。
【0059】
【
図2】非ネコ哺乳動物宿主細胞のゲノムにおけるH鎖可変領域遺伝子座の上流領域への、配列特異的組換え部位の第1セットを導入するための相同組換えによるターゲティング戦略を示す概略図である。
【0060】
【
図3】相同性ターゲティングベクターを介した、非ネコ哺乳動物細胞のゲノムにおけるH鎖可変領域遺伝子座の下流領への、配列特異的組換え部位の第2セットの導入を示す概略図である。この図はまた、非ネコ哺乳動物宿主細胞のゲノムからの選択マーカーならびに内在性免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子座の欠失も示している。
【0061】
【
図4】内在性免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子座を欠失させるためにあらかじめ改変された非ネコ哺乳動物宿主細胞ゲノムに、異種部分的ネコ免疫グロブリンH鎖遺伝子座を導入するRMCE戦略を示す概略図である。
【0062】
【
図5】マウスゲノムの内在性免疫グロブリンκL鎖遺伝子座への、異種部分的ネコ免疫グロブリンκL鎖可変領域遺伝子座の導入を示す概略図である。
【0063】
【
図6】マウスゲノムの内在性免疫グロブリンλL鎖遺伝子座への、異種部分的ネコ免疫グロブリンλL鎖可変領域遺伝子座の導入を示す模式図である。
【0064】
定義
本明細書で使用される用語は、当業者によって理解されるような平易かつ通常の意味を有することが意図されている。以下の定義は、閲覧者が本発明を理解するのを助けることを意図したものであるが、特に指示しない限り、かかる用語の意味を変化させたり、その他の方法で限定したりすることを意図したものではない。
【0065】
本明細書で使用する「遺伝子座(locus)」なる用語は、それぞれゲノムに内在的に存在するか、ゲノムに導入される(または導入されようとしている)染色体セグメントまたは核酸配列を意味する。例えば、免疫グロブリン遺伝子座は、免疫グロブリンHまたはL鎖ポリペプチドの発現を指示する、その遺伝子の一部または全部(すなわち、VH、DH、およびJH遺伝子セグメント、またはVLおよびJL遺伝子セグメント、ならびに定常領域遺伝子である)および介在する非コード配列(すなわち、イントロン、エンハンサーなどである)を含み得る。「遺伝子座」(例えば、免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子座)なる用語は、より大きな遺伝子座(例えば、VH、DH、およびJH遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンH鎖遺伝子座の部分)の特定の部分を意味しうる。同様に、免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座は、より大きな遺伝子座の特定の部分(例えば、VLおよびJL遺伝子セグメントを含む免疫グロブリンL鎖遺伝子座の部分)を意味しうる。
【0066】
本明細書で使用する「免疫グロブリン可変領域遺伝子」なる用語は、可変(V)、多様(D)、結合(J)遺伝子セグメントを意味し、免疫グロブリンH鎖またはL鎖可変ドメインの一部をそれぞれコードする、免疫グロブリン重鎖可変領域のVH、DH、またはJH遺伝子セグメント、あるいは免疫グロブリン軽鎖可変領域のVLまたはJL遺伝子セグメントを含む。本明細書で使用する「免疫グロブリン可変領域遺伝子座」なる用語は、VH、DH、またはJH遺伝子セグメント、またはVL、またはJL遺伝子セグメントと、例えば非コード調節配列またはスキャフォールド配列を含む介在する非コード配列を含む、染色体セグメントまたは核酸鎖の一部または全体を意味する。
【0067】
本明細書で使用する「遺伝子セグメント」なる用語は、免疫グロブリン分子の重鎖または軽鎖可変ドメインの一部をコードする核酸配列を意味する。遺伝子セグメントは、コード配列と非コード配列を含み得る。遺伝子セグメントのコード配列は、リーダーペプチドや重鎖または軽鎖可変ドメインのN末端部分などのポリペプチドに翻訳可能な核酸配列である。遺伝子セグメントの非コード配列とは、コード配列を挟む配列であり、プロモーター、5’非翻訳配列、リーダーペプチドのコード配列を挟むイントロン、組換えシグナル配列(RSS)、およびスプライス部位を含み得る。免疫グロブリン重鎖(IGH)遺伝子座の遺伝子セグメントには、VH、DH、およびJH遺伝子セグメント(それぞれIGHV、IGHD、およびIGHJとも呼ばれる)が含まれる。免疫グロブリンκおよびλ軽遺伝子座の軽鎖可変領域遺伝子セグメントは、VLおよびJL遺伝子セグメントと呼ばれうる。κ軽鎖では、VLおよびJL遺伝子セグメントは、VκおよびJκ遺伝子セグメント、またはIGKVおよびIGKJと呼ぶことができる。同様に、λ軽鎖では、VLおよびJL遺伝子セグメントは、VλおよびJλ遺伝子セグメント、またはIGLVおよびIGLJと呼ぶことができる。
【0068】
重鎖定常領域はCHまたはIGHCと呼ばれうる。IgM、IgD、IgG1a、IgG2、IgE、またはIgAをコードするネコのCH領域エキソンは、それぞれ、Cμ、Cδ、Cγ1a、Cγ2、Cε、またはCαと呼ばれうる。同様に、免疫グロブリンκまたはλ定常領域は、それぞれCκまたはCλ、IGKCまたはIGLCと呼ばれうる。
【0069】
本明細書で使用する「部分的ネコ(Partly feline)」とは、ネコおよび非ネコ哺乳動物宿主の両方の所定の遺伝子座に見られる配列に対応する配列を含む核酸、またはその発現タンパク質およびRNA産物を意味する。本明細書で使用する「部分的ネコ」とは、ネコおよび非ネコ哺乳動物由来の両方に由来する核酸配列を含む免疫グロブリン遺伝子座も意味する。一態様において、「部分的ネコ」は、例えば、げっ歯類、例えばマウス由来の核酸配列を含む免疫グロブリン遺伝子座を意味する。一態様において、部分的ネコ核酸は、ネコ免疫グロブリンH鎖またはL鎖可変領域遺伝子セグメントのコード配列、および非ネコ哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座の非コード調節配列またはスキャフォールド配列に基づく配列を有する。
【0070】
非ネコ哺乳動物宿主細胞ゲノムの内在性非コード調節配列またはスキャフォールド配列に関連して使用される場合、「に基づく(based on)」なる用語は、哺乳動物宿主細胞ゲノムの対応する内在性遺伝子座に存在する非コード調節配列またはスキャフォールド配列を意味する。一態様において、「に基づく」なる用語は、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座に存在する非コード調節配列またはスキャフォールド配列が、宿主哺乳動物の内在性遺伝子座の非コード調節配列またはスキャフォールド配列と比較的高い程度の相同性を共有することを意味する。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座の非コード配列は、宿主哺乳動物の内在性遺伝子座に見出される対応する非コード配列と、少なくとも約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%の相同性を共有する。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座の非コード配列は、宿主哺乳動物の内在性遺伝子座に見られる対応する非コード配列と同じである。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座の非コード配列は、宿主哺乳動物の免疫グロブリン遺伝子座から保持されている。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座の非コード配列は、宿主哺乳動物の内在性遺伝子座に存在する対応する非コード配列と同じである。一態様において、ネココード配列は宿主哺乳動物の免疫グロブリン遺伝子座の非調節配列またはスキャフォールド配列に埋め込まれている。一態様において、非ネコ宿主動物はラットまたはマウスなどのげっ歯類である。
【0071】
「キメラ」とは、2種以上の動物由来のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列、または2種以上の動物由来のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド、例えば抗体を意味する。「キメラ」免疫グロブリン遺伝子座とは、2種以上の動物由来の核酸配列を含む免疫グロブリン遺伝子座を意味する。一態様において、キメラ免疫グロブリン遺伝子座はネコ核酸配列およびマウス核酸配列を含む。一態様において、キメラ免疫グロブリンは2種以上の動物由来のタンパク質配列を含む。一態様において、キメラ免疫グロブリンはネコの配列とマウスの配列を含む。一態様において、キメラ免疫グロブリンはネコ可変ドメインとマウス定常ドメインを含む。一態様において、キメラ免疫グロブリン可変領域遺伝子座は、ネコVH、DH、およびJHコード配列、またはネコVLおよびJLコード配列ならびに非ネコ非コード配列を含む。一態様において、キメラ免疫グロブリン可変領域遺伝子座は、ネコVH、DH、およびJHコード配列、またはネコVLおよびJLコード配列、ならびにマウス非コード配列を含む。
【0072】
本明細書で使用する「挟む(flanking)」とは、例えば参照配列の上流または下流にあるヌクレオチド配列などの配列を意味する。一態様において、挟む(flanking)配列は参照配列に隣接(adjacent)している。一態様において、一対の配列が参照配列を挟み、第1の配列が参照配列の上流にあり、第2の配列が参照配列の下流にある。
【0073】
「内在性(endogenous)」とは、生物または細胞内に天然に存在する核酸配列またはポリペプチドを意味する。
【0074】
「異種(heterologous)」とは、生物または細胞内に天然には存在しない核酸配列またはポリペプチドを意味する。
【0075】
「非コード調節配列(Non-coding regulatory sequences)」とは、(i)V(D)J遺伝子再構成、(ii)アイソタイプスイッチング、(iii)V(D)J遺伝子再構成後の全長免疫グロブリンH鎖またはL鎖の適切な発現、または(iv)例えば免疫グロブリンH鎖の膜型および分泌型を生成するための交互スプライシング、に対して必須であることが知られている配列を意味する。「非コード調節配列」は、さらに以下の配列を含み得る:CTCFおよびPAIR配列などのエンハンサーおよび遺伝子座制御エレメント(Proudhonら,Adv. Immunol.128:123-182(2015));各内在性V遺伝子セグメントに先行するプロモーター;スプライス部位;イントロン;または各V、D、J遺伝子セグメントを挟む組換えシグナル配列。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座の「非コード調節配列」は、非ネコ哺乳動物宿主細胞の内在性免疫グロブリン遺伝子座に見出される対応する非コード配列と、少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、最大約100%の相同性を共有する。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座の「非コード調節配列」は、非ネコ哺乳動物宿主細胞の内在性免疫グロブリン遺伝子座に見られる対応する非コード配列と同じ配列を有する。
【0076】
「スキャフォールド配列」とは、宿主細胞ゲノムの内在性免疫グロブリン遺伝子座に存在する遺伝子セグメントに介在する配列を意味する。ある態様において、スキャフォールド配列は、機能的な非免疫グロブリン遺伝子、例えばADAM6AまたはADAM6Bの発現に必須な配列によって挟まれている。一態様において、スキャフォールド配列は、他の種由来の天然に存在する核酸配列を含み得る。一態様において、スキャフォールド配列は、他の種由来の天然に存在する核酸配列に基づく異種配列でありうる。一態様において、スキャフォールド配列は人工配列を含み得る。一態様において、スキャフォールド配列は、ネコゲノムの免疫グロブリン遺伝子座に存在する配列と他の配列、例えば他の種のスキャフォールド配列とを組み合わせたものを含む。「非コード調節配列またはスキャフォールド配列」という語句は包括的な意味を持ち、免疫グロブリン遺伝子座における非コード調節配列とスキャフォールド配列の両方を意味しうる。
【0077】
「特異的に結合する」とは、抗体または免疫グロブリンが、他の抗原に結合するよりもはるかに高い親和性で特定の抗原のエピトープまたは抗原決定基に結合する能力を意味する。
【0078】
「相同性ターゲティングベクター」なる用語は、相同組換えによって哺乳動物宿主細胞の内在性ゲノムを改変するために使用される核酸配列を意味する。相同性ターゲティングベクターは、例えば、非ネコ哺乳動物宿主のゲノムに存在する、改変されるべき遺伝子座を挟む対応する内在性配列と相同性を有するターゲティング配列を含みうる。一態様において、相同性ターゲティングベクターは少なくとも1つの配列特異的組換え部位を含む。一態様において、相同性ターゲティングベクターは非コード調節配列またはスキャフォールド配列を含む。一態様において、相同性ターゲティングベクターは1つ以上の選択マーカー遺伝子を含む。一態様において、相同性ターゲティングベクターは、宿主細胞ゲノムの特定の領域に配列特異的組換え部位を導入するために使用しうる。
【0079】
「部位特異的組換え」または「配列特異的組換え」とは、2つの適合する組換え配列(「配列特異的組換え部位」または「部位特異的組換え配列」とも呼ばれる)間でDNAが再構成するプロセスを意味する。部位特異的組換えは、以下の3つのイベントのいずれかを含み得る:a)組換え部位に挟まれるあらかじめ選択された核酸の欠失、b)組換え部位に挟まれるあらかじめ選択された核酸のヌクレオチド配列の逆位、およびc)異なる核酸鎖上に位置する組換え部位に近接した核酸配列の相互交換。この核酸セグメントの相互交換は、異種核酸配列を宿主細胞のゲノムに導入するターゲティング戦略として利用できることが理解される。
【0080】
「ターゲティング配列」なる用語は、細胞のゲノム中のDNA配列と相同性のある配列を意味し、改変される免疫グロブリン遺伝子座の領域を挟んでいるか、その領域に隣接している。挟む配列または隣接する配列は、遺伝子座自体、あるいは宿主細胞のゲノム中のコード配列の上流または下流に存在する。ターゲティング配列は、宿主細胞、例えばES細胞へのトランスフェクションに使用できる組換えDNAベクターに挿入され、組換え部位の配列などの宿主細胞ゲノムに挿入されるべき配列が、ベクターのターゲティング配列によって挟まれるようにする。
【0081】
本明細書で使用する「部位特異的ターゲティングベクター」なる用語は、配列特異的組換え部位をコードする核酸、異種部分的ネコ遺伝子座、および場合により選択マーカー遺伝子を含むベクターを意味する。一態様において、「部位特異的ターゲティングベクター」は、リコンビナーゼを介した部位特異的組換えを用いて宿主の内在性免疫グロブリン遺伝子座を改変するために用いられる。ターゲティングベクターの組換え部位は、改変されるべき免疫グロブリン遺伝子座に隣接して、宿主細胞のゲノム配列に(例えば、相同性ターゲティングベクターを介して)挿入された別の対応する組換え部位との部位特異的組換えに適している。免疫グロブリン遺伝子座の組換え部位に異種部分的ネコ配列を組み込むと、内在性遺伝子座が異種部分的ネコ領域で置換される。
【0082】
本明細書で使用する「導入遺伝子」なる用語は、細胞、特に哺乳動物宿主動物の細胞のゲノムに人為的に挿入された、または挿入されようとしている遺伝物質を表すために使用される。本明細書で使用する「導入遺伝子」なる用語は、部分的ネコ核酸、例えば異種発現コンストラクトまたはターゲティングベクターの形態の部分的ネコ核酸を意味する。
【0083】
「トランスジェニック動物」とは、染色体外エレメントとしてその細胞の一部に存在する異種核酸配列、またはその生殖細胞系列のDNAに(すなわち、その細胞のほとんどまたはすべてのゲノム配列中に)安定的に組み込まれた異種核酸配列を有する、非ネコ動物、通常は哺乳動物を意味する。本発明では、例えば宿主動物の胚や胚性幹細胞を当該技術分野で周知の方法に従って遺伝子操作することにより、このようなトランスジェニック動物の生殖細胞系列に部分的ネコ核酸を導入する。
【0084】
「ベクター」には、プラスミドおよびウイルス、ならびに自己複製するか否かを問わず、細胞の形質転換やトランスフェクションに使用できるDNAおよびRNA分子が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本明細書に記載される技術の実施は、特に断らない限り、有機化学、ポリマー技術、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、生化学、および配列決定技術に関する従来の技術および記載を用いることができ、これらは当業者の技術範囲内である。このような従来の技術には、ポリマーアレイ合成、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよびライゲーション、および標識を用いたハイブリダイゼーションの検出が含まれる。適した技術の具体例は、本明細書の実施例を参照することにより知ることができる。しかし、もちろん、他の同等の従来手順も使用できる。このような従来の技術や記載は、Greenら、Eds. (1999), Genome Analysis: A Laboratory Manual Series (Vols. I-IV); Weiner, Gabriel, Stephens, Eds. (2007), Genetic Variation: A Laboratory Manual; DieffenbachとVeksler, Eds. (2007), PCR Primer: A Laboratory Manual; BowtellとSambrook (2003), DNA Microarrays: A Molecular Cloning Manual; Mount (2004), Bioinformatics: Sequence and Genome Analysis; Sambrook and Russell (2006), Condensed Protocols from Molecular Cloning: A Laboratory Manual;およびGreenとSambrook (2012), Molecular Cloning: A Laboratory Manual (すべてCold Spring Harbor Laboratory Press); Stryer, L. (1995) Biochemistry (4th Ed.) W.H. Freeman, New York N.Y.; Gait, "Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach" 1984, IRL Press, London; Nelson and Cox (2021), Lehninger, Principles of Biochemistry 8e, W. H. Freeman Pub., New York, N.Y.;およびBergら (2019) Biochemistry, 93, Macmillan Pub., New York, N.Yに見出すことができ、これらのすべては、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0086】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、「the」は、文脈上そうでないことが明らかな場合を除き、複数形を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「遺伝子座」への言及は、1つまたは複数の遺伝子座を指し、「方法」への言及は、当業者に既知の同等のステップおよび方法への言及などを含む。
【0087】
本明細書で使用される場合、「または(or)」なる用語は、代替案のみを指すことが明示的に示されていない限り、または代替案が相互に排他的でない限り、「および/または(and/or)」を意味し得る。「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」なる用語は限定的なものではない。
【0088】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたすべての刊行物は、現在記載されている本発明に関連して使用され得る装置、製剤、および方法論を記載および開示する目的で、参照により援用される。
【0089】
値の範囲が規定されている場合、その範囲の上限と下限の間の各介在値、およびその範囲内の他の規定値または介在値は、本発明に包含されると理解される。これらの小さい範囲の上限と下限は、独立に小さい範囲に含まれることがあり、また、記載された範囲内で特に除外された制限を条件として、本発明に包含される。記載された範囲に限界値の一方または両方が含まれる場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除いた範囲も本発明に含まれる。
【0090】
以下の記述では、本発明のより深い理解を提供するために、数多くの具体的な詳細を述べる。しかし、当業者には、本発明はこれらの具体的な詳細の1つまたは複数がなくても実施できることが明らかであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、当業者に周知の特徴や当業者に周知の手順は記載していない。
【0091】
液性免疫系では、V(D)J遺伝子再構成と呼ばれるプロセスによって、IGH鎖遺伝子座およびIGL鎖遺伝子座の組み合わせ多様性と結合多様性によって、多様な抗体レパートリーが産生される。発生中のB細胞では、最初に起こる遺伝子再構成現象は重鎖遺伝子座の1つのD遺伝子と1つのJ遺伝子の間で起こり、これらの2つの遺伝子セグメント間のDNAが欠失する。このD-J遺伝子再構成に続いて、新たに形成されたDJ複合体の上流領域から1つのV遺伝子セグメントが結合し、再構成されたVDJエキソンが形成される。新しく生成されたVDJエキソンの組換えV遺伝子セグメントとD遺伝子セグメントの間にある他のすべての配列は、各B細胞のゲノムから欠失される。この再構成されたエキソンは最終的にH鎖ポリペプチドの可変領域としてB細胞表面に発現し、L鎖ポリペプチドと結合してB細胞受容体(BCR)を形成する。マウスとネコIg遺伝子座は、それらが含む特徴の数と、V(D)J再構成によってコード領域がどのように多様化するかにおいて非常に複雑であるが、この複雑さは各可変領域遺伝子セグメントの構造の基本的な詳細には適用されない。V、D、およびJ遺伝子セグメントは、その組成と機構において一様である。例えば、V遺伝子は以下の免疫グロブリン遺伝子座の本質的に不変の順序で配置される特徴を有する:短い転写プロモーター領域(長さ600bp以下);抗体鎖のシグナルペプチドの大部分をコードするエキソン;イントロン;抗体鎖のシグナルペプチドの一部と抗体可変ドメインの大部分をコードするエキソン、およびV(D)J再構成に必要な3’組換えシグナル配列。同様に、D遺伝子セグメントは以下の特徴を有する:5’組換えシグナル配列、コード領域、および3’組換えシグナル配列。J遺伝子セグメントは以下の特徴を有する:5’組換えシグナル配列、コード領域、および3’スプライス供与体配列。
【0092】
一態様において、ネコ可変領域コード配列および哺乳動物宿主ゲノムの免疫グロブリン遺伝子座に存在する非コード調節配列またはスキャフォールド配列、例えば宿主哺乳動物がマウスの場合にはマウスゲノム非コード配列、を含む異種部分的ネコ核酸配列を含む非ネコ哺乳動物細胞が提供される。
【0093】
ネコゲノムのVH領域は、約24個のVH遺伝子セグメントと5個のJH遺伝子セグメントを含む。DH遺伝子セグメントの数はまだ正確に定義されていないが、すべての遺伝子セグメントがアビシニアンネコ種のネコ染色体B3にマップされている。カッパ(κ)コード領域はネコA3染色体にマップされ、約200kbに及び、約12個の機能的Vκ、5個のJκ、および1個のCκ遺伝子を含む。ラムダ(λ)コード領域はネコD3染色体にマップされ、約1000kbに及び、約32の機能的Vλ、10個の機能的Jλ、および12個のCλ遺伝子を含むが、そのうち機能的なのは5つだけである。ネコIGL遺伝子座には、明らかに非機能的なVλ遺伝子セグメントが高頻度(約62/94)に含まれる。一態様において、部分的ネコH鎖およびκおよびλのL鎖遺伝子座において、すべてのVH、DH、およびJHセグメント、ならびにすべてのVLおよびJLセグメントは、B細胞分化中の再構成およびトランスジェニックマウスの部分的ネコ抗体レパートリーへの寄与を促進するために、マウスRSSによって挟まれている。
【0094】
ヒトやマウスと同様に、ネコは2種類のIg軽鎖(κおよびλ)を発現する。しかし、κ/λ比はこれらの動物で大きく異なる。マウスでは血清抗体中の軽鎖の約96%がκ型であるが、ヒトではκ型はIgL鎖全体の66%を占めるのみである。一方、ネコにおけるL鎖レパートリーはλが支配的である(95%)。
【0095】
Igh、IgκまたはIgλ遺伝子座に組み入れられた部分的ネコ核酸配列は、トランスジェニック動物がネコκまたはλ可変領域と対になったネコ重鎖可変領域を含む抗体を産生することを可能にする。部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子座には、宿主ゲノム(例えばげっ歯類)の介在配列内に、宿主における効率的な抗体産生と抗原認識を促進するのに役立つ調節配列およびその他のエレメントが保持されている。
【0096】
一態様において、ネココード配列および免疫グロブリンVH、Vλ、またはVκ遺伝子座からの非ネコ非コード調節配列またはスキャフォールド配列を含む、合成された、または組換え的に生産された、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座が提供される。
【0097】
一態様において、合成H鎖DNAセグメントは、以下のエレメントの1つ以上を含む:雄の生殖能に必要なADAM6遺伝子、Igh遺伝子座の収縮(contraction)に関与するPax-5-活性化遺伝子間反復(Pax-5-Activated Intergenic Repeats)(PAIR)エレメント、正常なVDJ再構成の制御に関与する重鎖遺伝子間制御領域1からのCTCF結合部位[(Proudhonら Adv. Immunol., 128:123-182 (2015)]、またはそれらの組み合わせ。マウスのIgh遺伝子座におけるこれらの内在性非コード調節配列とスキャフォールド配列の位置を
図1に示し、左から右に以下を説明する:約100の機能的重鎖可変領域遺伝子セグメント;PAIR、VDJ遺伝子再構成のためのIgh遺伝子座の収縮に関与するPax-5-活性化遺伝子間反復;Adam6a、雄の生殖機能に必要なディスインテグリンおよびメタロペプチダーゼドメイン6A遺伝子;プレD領域、最遠位のD
H遺伝子セグメントであるIghd-5の上流にある21609bpの断片;V
H遺伝子セグメントの使用を制御するCTCFインシュレーター部位を含む遺伝子間制御領域1(IGCR1);D
H、多様性遺伝子セグメント(マウス系統により10-15);4つの結合J
H遺伝子セグメント;Eμ、VDJ遺伝子再構成に関与するイントロンエンハンサー;Sμ、アイソタイプスイッチングのためのμスイッチ領域;8つの重鎖定常領域遺伝子:Cμ、Cδ、Cγ3、Cγ1、Cγ2b、C2γa/c、Cε、およびCα;アイソタイプスイッチングと体細胞超変異を制御する3’制御領域(3’RR)。
図1は、ProudhonらAdv. Immunol., 128:123-182 (2015)から引用した図を改変した。
【0098】
一態様において、哺乳動物宿主細胞に組み込まれる異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、既知のネコVH遺伝子セグメントのすべてまたは相当数を含む。しかし、場合によっては、そのようなVH遺伝子セグメントのサブセットを使用することが望ましいこともある。一態様において、ネコVHコード配列が1つだけ、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座に含まれることがある。
【0099】
一態様において、非ネコ哺乳動物または哺乳動物細胞は、ネコVH、DH、およびJH遺伝子コード配列を含む、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含む。一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、非ネコ哺乳動物宿主の内在性Igh遺伝子座に基づく非コード調節配列およびスキャフォールド配列、例えばプレD配列を含む。一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座は、完全に組換えられたV(D)Jエキソンを含む。
【0100】
一態様において、トランスジェニック非ネコ哺乳動物はげっ歯類、例えばマウスであり、ネコVH、DH、およびJH遺伝子、ならびにげっ歯類の介在(非コード調節またはスキャフォールド)配列に基づく、例えばプレD領域を含む介在配列を含む異種の部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含む。一態様において、トランスジェニックげっ歯類は、それぞれ、ネコVκまたはVλコード配列、およびネコJκまたはJλコード配列、ならびにげっ歯類のIgl遺伝子座に存在する非コード調節配列またはスキャフォールド配列などの介在配列を含む、部分的ネコIGL遺伝子座をさらに含む。
【0101】
一態様において、マウスゲノムの内在性VH免疫グロブリン遺伝子座全体が欠失し、24個の機能的ネコVH遺伝子セグメントおよびマウスゲノムのJ558VH遺伝子座の非コード配列と置換される。一態様において、異種免疫グロブリン遺伝子座はネコDHおよび5JH遺伝子セグメントを含む。一態様において、異種免疫グロブリン遺伝子座はマウスプレD領域を含む。一態様において、ネコVH、DH、およびJHコード配列はげっ歯類の非コード配列に埋め込まれている。
【0102】
一態様において、相同組換えと部位特異的組換えを組み合わせて、トランスジェニック細胞や動物を生成する。一態様において、相同性ターゲティングベクターを用いて、哺乳動物宿主細胞ゲノムに、内在性免疫グロブリン遺伝子座の所望の位置で配列特異的組換え部位を導入する。一態様において、配列特異的組換え部位は相同組換えによって哺乳動物宿主細胞のゲノムに挿入され、哺乳動物宿主細胞内の他の遺伝子の発現またはコード配列には影響を与えない。一態様において、免疫グロブリン遺伝子が転写および翻訳されて抗体を産生する能力は、組換え部位および場合により選択マーカー遺伝子などの付加的配列が挿入された後も維持される。しかし、いくつかの場合では、他の異種配列を免疫グロブリン遺伝子座配列に挿入することが可能であり、その結果得られる抗体分子のアミノ酸配列は挿入によって変化するが、抗体は所望の目的に十分な機能性を保持する。一態様において、1つ以上の多型(polymorphism)が定常領域エキソン内の内在性遺伝子座に導入され、それにより異なるIg対立遺伝子を区別できるように同型マーカーが提供される。
【0103】
一態様において、相同性ターゲティングベクターは、宿主細胞ゲノムに配列特異的組換え部位および1つ以上の選択マーカー遺伝子を挿入するだけでなく、内在性免疫グロブリン遺伝子座内の配列を置換するために使用される。本明細書で使用されるような選択マーカー遺伝子は、相同組換えを起こしていない細胞、またはターゲティングベクターのランダムな組み込みを保有する細胞を同定し、排除するために利用できることが当業者には理解される。
【0104】
米国特許第6,689,610号;第6,204,061号;第5,631,153号;第5,627,059号;第5,487,992号;および第5,464,764号に記載されている方法が知られており、これらの各々は参照によりその全体が援用される。
【0105】
部位/配列特異的組換え
部位/配列特異的組換えは、リコンビナーゼによる認識に必要な短い特異的DNA配列が組換えが起こる唯一の部位である点で、相同組換えとは異なる。特定のDNA鎖または染色体上のこれらの部位の方向に依存して、これらの特定の配列を認識する特殊なリコンビナーゼは、i)DNAの切除、またはii)DNAの逆位または回転を触媒できる。部位特異的組換えは、これらの部位が同じ染色体上に存在しない場合、2本のDNA鎖の間でも起こりうる。バクテリオファージや酵母由来の多くの部位特異的組換えシステムは、それぞれリコンビナーゼとその認識部位を含み、真核細胞で機能することが示されており、これらには、バクテリオファージP1 Cre/loxシステム、酵母FLP-FRTシステム、および部位特異的リコンビナーゼのチロシンファミリーのDreシステムが含まれるが、これらに限定されない。例えば、米国特許第7,422,889号;第7,112,715号;第6,956,146号;第6,774,279号;第5,677,177号;第5,885,836号;第5,654,182号;および第4,959,317号に記載されており、これらの各々は参照により本明細書に援用される。
【0106】
部位特異的リコンビナーゼのチロシンファミリーの他の系も使用でき、これには、バクテリオファージλインテグラーゼ、HK2022インテグラーゼ、およびリコンビナーゼのセリンファミリーに属するシステム、例えば、バクテリオファージΦC31、R4Tp901インテグラーゼが含まれるが、これらに限定されない。
【0107】
部位特異的組換えは2つの異なるDNA鎖間で起こりうるので、部位特異的組換えを利用して、リコンビナーゼ仲介カセット交換(RMCE)と呼ばれるプロセスにより、異種免疫グロブリン遺伝子座を宿主細胞ゲノムに導入できる。RMCEプロセスは、リコンビナーゼタンパク質の野生型および変異型配列特異的組換え部位を用いて利用できる。例えば、標的とする染色体部位は、一端が野生型LoxP部位で、他端が変異型LoxP部位で挟まれていてもよい。同様に、ベクターは、一端で野生型LoxP部位により、他端で変異型LoxP部位により挟まれた、宿主細胞ゲノムに挿入される異種配列を含むことができる。ベクターがCreリコンビナーゼの存在下で宿主細胞にトランスフェクトされると、各DNA鎖上の野生型LoxP部位と変異型LoxP部位は互いに組換え不適合であるため、Creリコンビナーゼは同じDNA鎖上で切除反応を触媒するのではなく、内在性DNA鎖とベクターのDNAとの間でRMCEを触媒する。このように、一方のDNA鎖上のLoxP部位は、他方のDNA鎖上のLoxP部位としか組換えせず、同様に、一方のDNA鎖上の変異LoxP部位は、他方のDNA鎖上の変異LoxP部位としか組換えしない。
【0108】
一態様において、RMCEのために同じリコンビナーゼによって認識される配列特異的組換え部位の変異体が使用される。このような配列特異的組換え部位の変異体の例としては、逆反復配列の組合せを含むものや、変異スペーサー配列を有する組換え部位を含むものがある。例えば、安定したCre-loxP組込み組換え(integrative recombination)を行うために、2種類の変異型リコンビナーゼ部位が利用できる。どちらも、8bpのスペーサー領域または13bpの逆方向反復内の、Cre認識配列の配列変異を利用している。lox511[HoessらNucleic Acids Res, 14:2287-2300 (1986)]、lox5171、およびlox2272[LeeとSaito, Gene, 216:55-65 (1998)]、m2、m3、m7、およびm11[Langerら Nucleic Acids Res, 30:3067-3077 (2002)]などのスペーサー変異体は、それ自身とは容易に組換えるが、野生型部位との組換え率は著しく低下する。このクラスの変異体は、非相互作用Cre-Lox組換え部位および非相互作用FLP組換え部位を用いたRMCEによるDNA挿入に利用されてきた[BaerとBode, Curr Opin Biotechnol, 12:473ー480 (2001); Albertら Plant J, 7:649-659 (1995); SeiblerとBode, Biochemistry, 36:1740-1747 (1997); SchlakeとBode, Biochemistry, 33:12746-12751 (1994)]。
【0109】
逆方向反復変異体は、変異型リコンビナーゼ部位の別の一種である。例えば、LoxP部位は、変化した塩基を左逆方向反復(LE変異体)または右逆方向反復(RE変異体)中に含むことができる。LE変異体であるlox71は、左逆方向反復の5’末端の5bpが野生型配列からTACCGに変化している[Arakiら Nucleic Acids Res, 25:868-872 (1997)]。同様に、RE変異体であるlox66は、3’末端の5塩基がCGGTAに変化している。逆方向反復変異体は、プラスミド挿入物を染色体DNAに組み込むために使用され、LE変異体は、「ドナー」RE変異体が組み換わる「標的」染色体loxP部位として指定される。組換え後、loxP部位は挿入セグメントを挟んでシスに位置する。組換えのメカニズムは、組換え後、一方のloxP部位が二重変異体(LEとREの両方の逆反復変異を含む)となり、もう一方が野生型となるようなものである[LeとSadowski, Prog Nucleic Acid Res Mol Biol, 80:1-42 (2005); LeeとSadowski, J Mol Biol, 326:397-412 (2003)]。二重変異体は野生型部位と十分に異なっているため、Creリコンビナーゼに認識されず、挿入されたセグメントは切除されない。
【0110】
一態様において、配列特異的組換え部位は、抗体発現に使用される調節配列またはコード配列の破壊を避けるために、コード配列または調節配列ではなく、イントロンに導入される。
【0111】
配列特異的組換え部位の導入は、従来の相同組換え技術によって達成できる。このような技術は、例えばGreenとSambrook (2012) (Molecular cloning: a laboratory manual 4th ed.(Cold Spring Harbor, N.Y.: Cold Spring Harbor Laboratory Press) およびNagy, A. (2003).(Manipulating the mouse embryo: a laboratory manual, 3rd ed. (Cold Spring Harbor, N.Y.: Cold Spring Harbor Laboratory Press)などの文献に記載されている。
【0112】
ゲノムへの特異的組換えは、当該技術分野で知られているように、ポジティブまたはネガティブ選択用に設計されたベクターを用いて容易に行うことができる。置換反応を受けた細胞の同定を容易にするために、適切な遺伝子マーカー系を採用し、例えば選択組織培養培地を用いて細胞を選択できる。一態様において、異種配列の2つの端点にある、または隣接する核酸配列、例えばマーカー系や遺伝子は、異種核酸を含む細胞の選択後に除去できる。
【0113】
一態様において、内在性免疫グロブリン遺伝子座が欠失した細胞は、マーカー遺伝子を用いてポジティブ選択でき、このマーカー遺伝子は、組換えイベントの後または結果として、場合によって細胞から除去できる。使用しうるポジティブ選択系は、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)などのマーカー遺伝子の2つの非機能性部分が組換えイベントを介して一緒になることの利用に基づく。一態様において、内在性免疫グロブリン遺伝子座と異種免疫グロブリン遺伝子座との置換が成功すると、2つの非機能性部分が機能的に結合する。一態様において、機能的に再構成されたマーカー遺伝子の両側には、さらなる配列特異的組換え部位(置換反応に用いた配列特異的組換え部位とは異なる)があり、適切な部位特異的リコンビナーゼを用いて、マーカー遺伝子をゲノムから切除できる。別の態様において、細胞は毒物または薬物に暴露されるとネガティブに選択される。例えば、ターゲティングコンストラクトが相同組換えによって組み込まれず、ゲノムにランダムに組み込まれた細胞は、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)遺伝子が相同領域の外側に位置する場合、HSV-TKの発現を保持する。このような細胞は、ガンシクロビルなどのヌクレオシド類似体を用いて選択できる。
【0114】
一態様において、リコンビナーゼは精製タンパク質として提供される。一態様において、リコンビナーゼは、宿主細胞に一過性にトランスフェクトされたベクターコンストラクトから発現されたタンパク質として、あるいは宿主細胞ゲノムに安定的に組み込まれたタンパク質として提供される。あるいは、異種免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニック動物を、リコンビナーゼを発現する動物と交配することもできる。
【0115】
一態様において、2セット以上の配列特異的組換え部位が操作されたゲノム内に含まれ、RMCEを複数回繰り返して非ネコ哺乳動物宿主細胞ゲノムに部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子座を挿入できる。
【0116】
一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座はCRISPR技術を用いて導入される。例えば、CRISPR/Cas9ゲノム編集システムを標的組換えに用いることができる[Heら Nuc. Acids Res., 44:e85, (2016)]。
【0117】
トランスジェニック動物の生成
一態様において、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニック動物、例えばげっ歯類、例えばマウスを生成するための方法が提供される。
【0118】
一態様において、トランスジェニック動物のB細胞が細胞当たり2つ以上の機能的VH領域を発現できるように、トランスジェニック動物のゲノムが改変される、すなわち、2016年8月24日に出願された、「Enhanced Production of Immunoglobulins」、WO20170/35252に記載されているように、細胞は二重特異性抗体を産生し、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0119】
一態様において、トランスジェニック動物のB細胞が重鎖を含み軽鎖を含まない抗体を発現できるように、すなわち重鎖のみの抗体を産生するようにトランスジェニック動物のゲノムを改変する。
【0120】
一態様において、宿主細胞は胚性幹(ES)細胞細胞であり、これを用いてトランスジェニック哺乳動物を創出できる。一態様において、この方法は、異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含む胚性幹細胞を単離すること、およびES細胞を用いて異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニック動物を生成することを含む。
【実施例】
【0121】
以下の実施例は、本発明の製造方法および使用方法に関する完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されたものであり、本発明者らが本発明とみなす範囲を限定することを意図したものではなく、また以下の実験が実施された実験の全てまたは唯一の実験であることを表明または暗示することを意図したものでもない。当業者であれば、本明細書に記載された本発明の精神または範囲から逸脱することなく、多数の変形または修正がなされ得ることが理解されよう。したがって、これらの例は例示であり、限定的なものではない。
【0122】
使用されている用語や数値(例えば、ベクトル、量、温度など)に関する正確性を確保できるよう努めたが、いくらかの実験誤差や偏差は考慮されるべきである。特に断りのない限り、部は重量部、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏、圧力は大気圧または大気圧に近い状態である。
【0123】
実施例は、組換え部位を挟む5’ベクターおよび3’ベクターの両方によるターゲティングと、RMCEを介した合成DNAの導入を例示している。本明細書を読めば、当業者には、5’ベクターのターゲティングが最初に行われ、その後に3’ベクターが続くか、あるいは3’ベクターのターゲティングが最初に行われ、その後に5’ベクターが続くことが明らかであろう。いくつかの場合においては、二重の検出メカニズムで同時にターゲティングを行うこともできる。各実施例では、5’または3’ベクターを適切に組み込んだ細胞を選択するために、いくつかの異なる戦略を用いているが、Igh、Igκ、またはIgλ遺伝子座を標的とする場合、若干の修正を加えれば、このような戦略は互換性があることも明らかであろう。
【0124】
実施例1:非ネコ哺乳動物宿主細胞ゲノムの免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子座への異種部分的ネコ免疫グロブリン可変領域遺伝子座の導入
非哺乳動物ES細胞のゲノム遺伝子座に異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を導入する例示的方法を
図2から4に示す。
図2は、内在性V
H遺伝子セグメントの上流(5’)に部位特異的組換え配列を導入する方法を示している。ピューロマイシンホスホトランスフェラーゼ-チミジンキナーゼ融合タンパク質(puro-TK)(203)を含む5’相同性ターゲティングベクター(201)が提供され、このベクターは、2つの異なる組換え酵素認識部位(例えば、FlpおよびCreそれぞれに対するFRT(207)およびloxP(205))、およびそれぞれの野生型対応部位/部位(すなわち野生型FRT(207)および野生型loxP(205))と組換える能力を欠く2つの異なる変異部位(例えば、改変変異体FRT(209)および変異体loxP(211))で挟まれている。ターゲティングベクターは、細胞のネガティブセレクションに用いるジフテリア毒素受容体(DTR)cDNA(217)を含む。ターゲティングベクターは、場合により緑色蛍光タンパク質(GFP)などの視覚的マーカーも含む(図示せず)。領域213および215は、内在性非ネコ遺伝子座における、内在性非ネコV
H遺伝子セグメント(219)を含むゲノム領域の5’である連続領域(229)のそれぞれ5’および3’部分と相同である。相同性ターゲティングベクター(201)は、内在性のV
H遺伝子セグメント(219)、プレD領域(221)、D
H遺伝子セグメント(223)、J
H遺伝子セグメント(225)、および免疫グロブリン定常遺伝子領域遺伝子(227)を含む免疫グロブリン遺伝子座(231)を有するES細胞に導入される(202)。相同性ターゲティングベクター(201)からの部位特異的組換え配列およびDTR cDNAは、内在性マウスV
H遺伝子座の5’の部位で非ネコゲノムに組み込まれ(204)、233に示されるゲノム構造を生じる。
【0125】
マウス胚性幹(ES)細胞(C57B1/6NTacマウス由来)を、既知の手順に従って、5’ベクター(201)を用いてエレクトロポレーションによりトランスフェクトする。エレクトロポレーションの前に、ベクターDNAは原核生物のプラスミド配列またはそれに付随するポリリンカーのみを切断するレアカット制限酵素で直鎖化される。トランスフェクトされた細胞はプレーティングされ、約24時間後に5’ベクターをDNAに組み込んだ細胞を選択する。ゲノムに5’ベクター(201)が組み込まれていないES細胞は、培養液にピューロマイシンを含ませることで選択(死滅)させることができる;ゲノムに5’ベクター(201)が安定に組み込まれ、ピューロTK遺伝子を恒常的に発現しているES細胞のみが、ピューロマイシンに耐性を示す。
【0126】
薬剤耐性ES細胞のコロニーは、約1週間後に肉眼で見えるようになった後、プレートから物理的に取り出される。採取したコロニーをバラバラにし、マイクロウェルプレートに再プレーティングし、数日間培養する。その後、各クローン細胞は、一部の細胞はアーカイブとして凍結保存され、残りは分析目的のDNA単離に使用されるように分けられる。5’ベクター導入の一次スクリーニングは、サザンブロット法、またはサザンブロット法などの二次スクリーニングによる確認を伴うPCR法で行うことができる。
【0127】
ES細胞クローンのDNAは、広く行われている遺伝子ターゲティングアッセイデザインを用いてPCRでスクリーニングされる。このアッセイでは、PCRオリゴヌクレオチドプライマー配列の一方は、5’ベクター(201)とゲノムDNAの間で共有される同一性領域の外側にマップし、他方は5’ベクター内、例えばPuro-TK遺伝子(203)内にマップする。標準的なデザインによれば、これらのアッセイは、5’ターゲティングベクターと内在性マウスIgh遺伝子座との間で相同組換えを起こしたES細胞のクローンにのみ存在するDNAを検出する。
【0128】
サザンブロットアッセイは、プローブと処理物の組み合わせによって、クローン中の標的遺伝子座の構造が相同組換えによって適切に改変されていることを同定できるように選択された3つのプローブと複数の制限酵素で処理したゲノムDNAを用いて、広く用いられている手順に従って行われる。プローブの1つは、5’ターゲティングベクターとゲノムDNAの間で共有される同一性領域の5’側を挟むDNA配列にマップし、2つ目のプローブは同一性領域の外側だが3’側にマップし、3つ目のプローブはベクター内のゲノム同一性の2つのアームの間の新規DNA内、例えばPuro-TK遺伝子内にマップする(203)。サザンブロットでは、修飾された配列、すなわち、5’ターゲティングベクターとの相同組換えによって修飾されたIgh遺伝子座の一部に対応する、予想される制限酵素生成DNA断片の存在が、外部プローブ(external probe)の1つとPuro-TKプローブによって検出され、同定される。外部プローブは、変異型断片を検出し、相同染色体上の免疫グロブリンIgh遺伝子座の非変異型コピーからの野生型断片も検出する。
【0129】
ES細胞のPCRおよびサザンブロットポジティブクローンの核型を、マウスES細胞で生じる最も一般的な染色体異常を区別するためにデザインされたインサイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を用いて分析する。このような異常のあるクローンは、以降の使用から除外される。サザンブロットのデータから予想されるゲノム構造を有し、核型分析から染色体異常が検出されないES細胞クローンは、さらなる使用のために選択される。
【0130】
図3に示されるように、3’相同性ターゲティングベクター(301)が提供され、このベクターは、HPRT欠損ES細胞におけるポジティブセレクションに使用できる任意のヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子(335);ネオマイシン耐性遺伝子(337);FlpおよびCreそれぞれのためのリコンビナーゼ認識部位FRT(307)およびloxP(305)を含む。領域329および339は、内在性J
H遺伝子セグメント(325)の下流および定常領域遺伝子(327)の上流にある内在性マウス遺伝子座の連続領域(341)のそれぞれ5’および3’部分と相同である。相同性ターゲティングベクターは、内在性V
H遺伝子セグメント(319)、プレD領域(321)、D
H遺伝子セグメント(323)、J
H遺伝子セグメント(325)、および定常領域遺伝子(327)を含む改変マウス免疫グロブリン遺伝子座(331)に導入される(302)。相同性ターゲティングベクターの部位特異的組換え配列(307、305)である、HPRT遺伝子(335)およびネオマイシン耐性遺伝子(337)は、内在性マウス定常領域遺伝子(327)の上流でマウスゲノムに組み込まれ(304)、333で示されるゲノム構造が得られる。
【0131】
3’ベクター(301)で改変された許容可能なクローンは、選択のためにピューロマイシンの代わりにネオマイシンまたはHPRT選択が使用される以外は、5’ベクター(201)で使用されるものと本質的に同一の設計の手順およびスクリーニングアッセイを用いて同定される。PCRアッセイ、プローブ、および処理物も、3’ベクターによって改変されたゲノム領域に合わせて調整される。ES細胞のPCRおよびサザンブロットポジティブクローンの核型を、マウスES細胞で生じる最も一般的な染色体異常を区別するためにデザインされたインサイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を用いて分析する。このような異常のあるクローンは、以降の使用から除外される。
【0132】
3’ベクターと5’ベクターの両方によって変異させられたES細胞のクローン、すなわち、両方の操作された変異を有する二重標的細胞(doubly targeted cells)は、ベクターターゲティングと解析の後に単離される。クローンは、相同染色体とは対照的に、同じ染色体上で遺伝子ターゲティングを受けたものでなければならない(すなわち、ターゲティングベクターによって創出された人工変異は、別々の相同DNA鎖上のトランスではなく、同じDNA鎖上のシスでなければならない)。シス配置のクローンとトランス配置のクローンは、2つの遺伝子ターゲティングベクター(303および337)のゲノム同一性アームの間に存在する新規DNAにハイブリダイズするプローブを用いたメタフェーズスプレッドの蛍光インサイチュハイブリダイゼーションなどの分析的手順によって区別される。この2つのタイプのクローンは、ターゲティングベクターがシスに組み込まれた場合、HPRT(335)およびネオマイシン耐性(337)遺伝子を欠失させるCreリコンビナーゼを発現するベクターでトランスフェクトし、各クローンからの細胞の一部をG418/ネオマイシン耐性について試験する「兄弟選択(sibling selection)」スクリーニング手順によってクローンの薬剤耐性表現型を分析することによっても、互いに区別できる。得られたシス由来クローンの大部分は、G418/ネオマイシンにも感受性であり、対照的にトランス由来クローンは薬剤に対する耐性を保持しているはずである。重鎖遺伝子座にシス配置の操作をされた変異を有する細胞の二重標的クローンが、さらなる使用のために選択される。
【0133】
2つの組換え部位が哺乳動物宿主細胞ゲノムに組み込まれると、次に内在性免疫グロブリン遺伝子座は、ゲノムに組み込まれた配列特異的組換え部位に対応するリコンビナーゼ、例えばFlpまたはCreのいずれかを導入することによって組換えを受ける。FlpまたはCre(306)の存在下で、DTR遺伝子(317)、内在性Igh可変領域遺伝子座(319、323、325)、プレD領域(321)、HPRT(335)およびネオマイシン耐性(337)遺伝子を含む野生型FRTまたは野生型LoxP部位の間のすべての介在配列が欠失され、339で示されるゲノム構造が生じる。この手順は、第2のターゲティングが、そのホモログ上ではなく、同じ染色体上(すなわち、トランスではなくシス)で起こったことに依る。もしターゲティングが意図したようにシスで起こるなら、ジフテリア毒素に対する感受性を引き起こすDTR遺伝子(317)は宿主細胞ゲノムから欠失(削除)しているはずなので、細胞は培地中に導入されたジフテリア毒素によるネガティブ選択には感受性がない。同様に、第1または第2のターゲティングベクターのランダムインテグレーションを保有するES細胞は、欠失されていないDTR遺伝子の存在によってジフテリア毒素に感受性を示す。
【0134】
免疫グロブリン重鎖遺伝子座の2つの相同コピーの一方に配列欠失を有するES細胞クローンに、Creリコンビナーゼ発現ベクターおよび、ネコV
H、D
H、およびJ
H遺伝子セグメントコード配列をマウスの非コード配列に埋め込んだ部分的ネコ免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含むベクターを再導入する。
図4は、内在性V
H遺伝子座とJ
H遺伝子座の間の介在配列を含む、重鎖可変領域領域をコードする内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の一部が欠失したマウスゲノムへの、異種部分的ネコ免疫グロブリン重鎖遺伝子座の導入を示している。非ネコ宿主ゲノムに挿入されるべき部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座を含む部位特異的ターゲティングベクター(441)が、RMCEにより宿主細胞(439)の改変ゲノムに導入される(402)。部分的ネコV
H遺伝子座(419)、マウスプレD領域(421)、部分的ネコD
H遺伝子座(423)、部分的ネコJ
H遺伝子座(425)、ならびに隣接変異型FRT(franking mutant FRT)(409)、変異型LoxP(lox5171;411)、野生型FRT(407)、および野生型LoxP(405)部位を含む部位特異的ターゲティングベクター(441)を、RMCEにより宿主細胞に導入する(402)。具体的には、部分的ネコV
H遺伝子座(419)は、24の機能的ネコV
H遺伝子セグメントコード配列および内在性非ネコゲノム中に存在する3’非ネコRSSおよび介在配列を含む;プレD領域(421)は、内在性非ネコゲノム中に上流に存在する21.6kbの非ネコゲノムの配列を含む;D
H領域(423)は、非ネコRSSによって挟まれ、内在性非ネコD
H領域に存在する介在配列に埋め込まれたネコD
H遺伝子セグメントのコドンを含む;およびJ
H遺伝子座(425)は、5’非ネコRSSを有する5つのネコJ
H遺伝子セグメントのコドンを含み、内在性非ネコゲノムに存在する介在配列に埋め込まれる。一態様において、宿主細胞ゲノムのIgh遺伝子座を改変して、
図3に関連して述べたように、介在配列を含む内在性のV
H、D
H、およびJ
H遺伝子セグメントをすべて削除する。この改変の結果、内在性の非ネコIgh遺伝子座(439)は、上流に変異型FRT部位(409)と変異型LoxP部位(lox5171;411)、下流に野生型FRT(407)と野生型LoxP(405)で挟まれたpuro-TK融合遺伝子(403)と共に残る。適切なリコンビナーゼ(404)を導入すると、部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座がlox5171(411)部位と野生型loxP(405)部位間で内在性マウス定常領域遺伝子(427)の上流のゲノムに組み込まれ、443で示されるDNA領域が創出される。
【0135】
RMCEを受けず、部分的ネコIgh遺伝子座を組み込まなかったES細胞は、puro-TK融合遺伝子を保持しており(403)、組織培養培地にガンシクロビルを含めることで排除される。
【0136】
現在アノテートされている機能的ネコVH、DH、およびJH遺伝子セグメントの配列を配列番号1~13に示す。ネコIGH遺伝子座は完全にはアノテートされていないので、本明細書に記載の動物、細胞、および方法に使用できる遺伝子セグメントがさらに存在する。
【0137】
異種部分的ネコ免疫グロブリン領域のインテグレーションは、サザンブロット法、またはサザンブロット法などの二次スクリーニングによる確認を伴うPCR法によって検出できる。スクリーニング方法は、挿入されたVH、DH、またはJH遺伝子座の存在、ならびに介在配列を検出するように設計されている。ES細胞のPCRおよびサザンブロットポジティブクローンの核型を、マウスES細胞で生じる最も一般的な染色体異常を区別するためにデザインされたインサイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を用いて分析する。このような異常のあるクローンは、以降の使用から除外される。
【0138】
マウス重鎖遺伝子座に部分的ネコ免疫グロブリン重鎖可変領域(443)を保有するES細胞クローンを、標準的な手順に従ってDBA/2系統のマウス胚盤胞にマイクロインジェクションし、ES細胞由来のキメラマウスを創出する。ES細胞由来の被毛への寄与が最も高いオスのキメラマウスが、メスマウスとの交配に選ばれる。これらの交配から得られた子孫は、部分的ネコ免疫グロブリン重鎖遺伝子座の存在について分析される。部分的ネコ免疫グロブリン重鎖遺伝子座を保有するマウスを用い、マウスのコロニーを作る。
【0139】
実施例2:マウスゲノムの免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座への異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座の導入
マウスのIgκ遺伝子座の一部を部分的ネコIgκ遺伝子座と置換する方法を
図5に示す。この方法は、第1の部位特異的リコンビナーゼ認識配列をマウスゲノムに導入することを含み、この部位特異的リコンビナーゼ認識配列は、マウスゲノムの内在性V
K(515)およびJ
K(519)領域遺伝子セグメントのクラスターの5’または3’のいずれかに導入できる。次いで、第2の部位特異的リコンビナーゼ認識配列をマウスゲノムに導入し、この第2の部位特異的リコンビナーゼ認識配列は、第1の配列特異的組換え部位と組み合わせて、定常領域遺伝子(521)の上流のV
KおよびJ
K遺伝子セグメントのクラスターを含む遺伝子座全体を挟む。関連する部位特異的リコンビナーゼを用いて、隣接領域(flanked region)を欠失させ、部分的ネコ免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座と置換する。
【0140】
VK(515)およびJK(519)遺伝子セグメントの両側に部位特異的組換え配列を導入するために用いられたターゲティングベクターは、リコンビナーゼによって依然として効率的に認識されるが、未改変部位とは組換えしないように改変された付加的な部位特異的組換え配列も含む。この部位は、VKおよびJK遺伝子セグメントクラスターの欠失後、RMCEを介して異種免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座を改変VK遺伝子座に挿入する第2の部位特異的組換えイベントに使用できるように、ターゲティングベクターに配置される。この実施例では、異種免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子座は、ネコVKおよびJK遺伝子セグメント、およびマウスIgκ可変領域非コード配列を含む合成核酸である。
【0141】
上記に説明したプロセスを達成するために、2つの遺伝子ターゲティングベクターが構築される。一方のベクター(503)は、遺伝子座の5’末端、すなわち最遠位VK遺伝子セグメント(515)の上流から取得したマウスゲノムDNA(525および541)を含む。もう一方のベクター(505)は、JK遺伝子セグメント(519)の下流(3’)かつ定常領域遺伝子(521)の上流の遺伝子座内から取得したマウスゲノムDNA(543および549)を含む。
【0142】
5’ベクター(503)の主な特徴は以下の通りである:ポリオーマウイルスからの2つの変異転写エンハンサーと結合した単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ遺伝子プロモーターによる転写制御下にある、ジフテリア毒素Aサブユニット(DTA)をコードする遺伝子(523);κ鎖遺伝子座の最遠位可変領域遺伝子の上流にマッピングされた6KbのマウスゲノムDNA(525);FlpリコンビナーゼのFRT認識配列(527);マウスPolr2a遺伝子プロモーターを含むゲノムDNAの一部(529);翻訳開始配列(535、「Kozak」コンセンサス配列に埋め込まれたメチオニンコドン);Creリコンビナーゼの変異loxP認識配列(lox5171)(531);転写終結/ポリアデニル化配列(533);CreリコンビナーゼのloxP認識配列(537);マウスホスホグリセレートキナーゼ1遺伝子由来プロモーターの転写制御下で、切断型チミジンキナーゼ(pu-TK)に融合したピューロマイシン耐性を付与するタンパク質を含む融合タンパク質をコードする遺伝子(539);ベクター中の5’末端の6Kb配列の近くにマッピングされ、ネイティブな相対配向で配置される2.5KbのマウスゲノムDNA(541)。
【0143】
3’ベクター(505)の主な特徴は以下の通りである:Jκ遺伝子座(519)とCκ遺伝子座(521)の間のイントロン内にマッピングされた6KbのマウスゲノムDNA(543);マウスPolr2a遺伝子プロモーターの転写制御下にある、ヒトヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)をコードする遺伝子(545);マウスホスホグリセレートキナーゼ1遺伝子プロモーターの制御下にある、ネオマイシン耐性遺伝子(547);CreリコンビナーゼのloxP認識配列(537);ゲノム中でベクターの5’末端に含まれる6KbのDNA断片のすぐ下流にマップされる3.6KbのマウスゲノムDNA(549)、これらの2つの断片はマウスゲノム内と相対的に同じ向きである;ポリオーマウイルスからの2つの変異転写エンハンサーと結合した単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ遺伝子プロモーターによる転写制御下にある、ジフテリア毒素Aサブユニット(DTA)をコードする遺伝子(523)。
【0144】
C57B1/6NTacマウス由来のマウス胚性幹細胞(ES細胞)に、既知の手順に従ってエレクトロポレーションにより3’ベクター(505)をトランスフェクトする。エレクトロポレーションに先立ち、ベクターDNAは原核生物のプラスミド配列またはそれに付随するポリリンカーのみを切断するレアカット制限酵素で直鎖化される。トランスフェクトされた細胞はプレーティングされ、約24時間後、ネオマイシン類似薬G418を用いて、3’ベクターをDNAに組み込んだ細胞をポジティブ選択下に置く。相同組換えによってではなく、ベクターをDNAに組み込んだ細胞にはネガティブ選択もある。非相同組換えではDTA遺伝子が保持されることになり、この遺伝子が発現すると細胞が死滅する。一方、DTA遺伝子はマウスIgκ遺伝子座とのベクター相同性領域の外側にあるため、相同組換えによって欠失される。薬剤耐性ES細胞のコロニーは、約1週間後に肉眼で見えるようになった後、プレートから物理的に取り出される。ピックしたコロニーをバラバラにし、マイクロウェルプレートに再プレートし、数日間培養する。その後、各クローン細胞は、一部の細胞はアーカイブとして凍結保存され、残りは分析目的のDNA単離に使用されるように分割される。
【0145】
ES細胞クローンのDNAは、遺伝子ターゲティングアッセイを用いてPCRでスクリーニングされる。このアッセイでは、PCRオリゴヌクレオチドプライマー配列の一方は、3’ベクター(505)とゲノムDNA(501)の間で共有される同一性の領域の外側にマップし、他方はベクター内のゲノム同一性の2つのアームの間の新規DNA内、例えばHPRT(545)またはネオマイシン耐性(547)遺伝子内にマップする。これらのアッセイは、3’ベクター(505)と内在性マウスIgκ遺伝子座との間で相同組換えを起こしたトランスフェクト細胞由来のES細胞のクローンにのみ存在するDNA断片を検出する。PCRポジティブのクローンは増殖のために選択され、その後サザンブロットアッセイを用いてさらに解析される。
【0146】
サザンブロットアッセイは、既知の手順に従って行われる;3種類のプローブおよび複数の制限酵素で処理したゲノムDNAを用いる。それらは、プローブと処理物の組み合わせによって、クローン中の標的遺伝子座の構造や、相同組換えによって適切に改変されているかどうかについての結論を導き出せるように選択される。プローブの1つは、3’カッパターゲティングベクター(505)とゲノムDNAの間で共有される同一性領域の5’側に隣接するDNA配列にマップする;第2のプローブも同一性領域の外側にマップするが、3’側にマップする;第3のプローブは、ベクター内のゲノム同一性の2つのアームの間の新規DNA内、例えばHPRT(545)またはネオマイシン耐性(547)遺伝子内にマップする。サザンブロットでは、正しく変異した、すなわち、3’カッパターゲティングベクター(505)との相同組換えにより変異したカッパ遺伝子座の一部に対応する、予想される制限酵素生成DNA断片の存在が、外部プローブの1つとネオマイシン耐性またはHPRT遺伝子プローブによって検出され、同定される。外部プローブは、変異型断片を検出し、相同染色体上の免疫グロブリンκ遺伝子座の非変異型コピーからの野生型断片も検出する。
【0147】
ES細胞のPCRおよびサザンブロットポジティブクローンの核型を、マウスES細胞で生じる最も一般的な染色体異常を区別するためにデザインされたインサイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を用いて分析する。このような異常のあるクローンは、以降の使用から除外される。サザンブロットのデータに基づいて、予想される正しいゲノム構造を有すると判断された核型的に正常なクローンは、さらなる使用のために選択される。
【0148】
3’ベクター(505)で使用したものと本質的に同じデザインの手順とスクリーニングアッセイを用いて、受容可能なクローンを5’ベクター(503)で改変する。ただし、G418/ネオマイシン選択法の代わりにピューロマイシン選択法を使用し、5’ベクター(503)によって改変されたゲノム領域に適合するようにプロトコルを調整する。5’ベクター(503)のトランスフェクション実験の目的は、3’ベクター(505)と5’ベクター(503)の両方によって予想される形で変異した、すなわち両方の操作された変異を有する二重標的細胞ES細胞のクローンを単離することである。これらのクローンでは、Creリコンビナーゼによって、2つのベクターによってκ遺伝子座に導入されたloxP部位の間で組換え(502)が起こり、507に示したゲノムDNAの配置が生じる。
【0149】
さらに、クローンは、相同染色体ではなく、同じ染色体上で遺伝子ターゲティングを受けたものでなければならない;すなわち、ターゲティングベクターによって創出された操作された変異は、別々の相同DNA鎖上のトランスではなく、同じDNA鎖上のシスでなければならない。シス配置のクローンとトランス配置のクローンは、2つの遺伝子ターゲティングベクター(503および505)のゲノム同一性アームの間に存在する新規DNAにハイブリダイズするプローブを用いたメタフェーズスプレッドの蛍光インサイチュハイブリダイゼーションなどの分析的手順によって区別される。この2つのタイプのクローンは、ターゲティングベクターがシスに組み込まれるとpu-Tk(539)、HPRT(545)、およびネオマイシン耐性(547)遺伝子を欠失させるCreリコンビナーゼを発現するベクターでトランスフェクトし、5’ベクターによって導入されたチミジンキナーゼ遺伝子(503)に対するガンシクロビル選択に耐えるコロニーの数を比較し、クローンからの細胞の一部がピューロマイシンまたはG418/ネオマイシンに対する耐性を試験される「兄弟選択」スクリーニング手順によって、生き残ったクローンの薬剤耐性表現型を分析することによっても区別できる。変異がシス配置の細胞は、トランス配置の細胞よりも約103多くのガンシクロビル耐性クローンを産生すると予想される。得られたシス由来のガンシクロビル耐性クローンの大部分は、ピューロマイシンとG418/ネオマイシンの両方にも感受性であるはずで、対照的にトランス由来のガンシクロビル耐性クローンは両方の薬剤に耐性を保持しているはずである。κ鎖遺伝子座にシス配置の操作された変異を保有する細胞のクローンは、さらなる使用のために選択される。
【0150】
二重標的クローン細胞は、Creリコンビナーゼ(502)を発現するベクターで一過性にトランスフェクトされ、トランスフェクトされた細胞はその後、上に要約した分析実験と同様にガンシクロビル選択下に置かれる。細胞のガンシクロビル耐性クローンを単離し、5’ベクター(503)と3’ベクター(505)により創出された2つの人工変異の間に予想される欠失(507)が存在するかどうかをPCRとサザンブロットで分析する。これらのクローンでは、Creリコンビナーゼによって、2つのベクターによってκ鎖遺伝子座に導入されたloxP部位(537)の間で組換えが起こる。loxP部位は2つのベクターで同じ相対的な向きに配置されているため、組換えでは2つのloxP部位の間のゲノム間隔全体を含むDNA環が切除される。この環は複製起点を持たないため、有糸分裂の際に複製されず、そのためクローン細胞がクローン拡大をする際にクローン細胞から失われる。得られたクローンは、もともと2つのloxP部位の間にあったDNAが欠失したものである。ES細胞のPCRおよびサザンブロットポジティブクローンの核型を、マウスES細胞で生じる最も一般的な染色体異常を区別するためにデザインされた蛍光インサイチュハイブリダイゼーション法を用いて分析する。このような異常のあるクローンは、以降の使用から除外される。サザンブロットのデータに基づいて、予想される正しいゲノム構造を有すると判断された核型的に正常なクローンは、さらなる使用のために選択される。
【0151】
免疫グロブリンカッパ鎖遺伝子座の2つの相同コピーのうちの1つに配列の欠失を有するES細胞クローンを、Creリコンビナーゼ発現ベクターと、Vκ(551)およびJκ(555)遺伝子セグメントを含む部分的ネコ免疫グロブリンκ鎖遺伝子座を含むベクター(509)とで再トランスフェクトする(504)。このベクターの主な特徴は以下の通りである:lox5171部位(531);ネオマイシン耐性遺伝子のオープンリーディングフレーム(547)、これは、開始メチオニンコドンを欠くが、メチオニン開始コドン(535)の下流のlox5171部位(531)の中断されないオープンリーディングフレームとインフレームで連続している;FRT部位(527);12個のネコVκ遺伝子セグメントのアレイ(551)であって、各々が、3’側でマウスRSSによって挟まれ、かつマウス非コード配列に埋め込まれたネココード配列を含むアレイ;場合により、マウスκ鎖遺伝子座のJκ領域遺伝子セグメントのクラスターのすぐ上流からの13.5KbのゲノムDNA断片(図示せず);5’側でマウスRSSによって挟まれ、マウス非コードDNAに埋め込まれた、5つのネコJκ領域遺伝子セグメントを含むDNA(555);lox5171部位(531)とは相対的な向きが反対のloxP部位(537)。
【0152】
機能的ネコVκおよびJκ遺伝子コード領域の配列を配列番号14~30に示す。
【0153】
トランスフェクトされたESクローンはG418選択下に置かれ、RMCEを経た細胞のクローンが濃縮される。RMCEでは、5’ベクター(503)と3’ベクター(505)によってそれぞれそこに置かれたlox5171部位(531)とloxP部位(537)の間の欠失した内在性免疫グロブリンκ鎖遺伝子座に、部分的ネコ免疫グロブリンκ鎖遺伝子座を含むドナーDNA(509)の全体が組み込まれる。RMCEを適切に経た細胞だけが、ネオマイシン耐性遺伝子(547)を発現する能力を持つが、それはその発現に必要なプロモーター(529)および開始メチオニンコドン(535)はベクター(509)には存在せず、改変宿主細胞のIgκ遺伝子座(507)にすでに存在しているからである。509の配列を使って創出されたDNA領域を511に示す。FRT部位(527)の間に位置する5’ベクター(503)からの残りのエレメントは、以下に記載するように、Flp媒介組換え(506)を介してインビトロまたはインビボで除去され、その結果、513に示すように、部分的ネコ免疫グロブリン軽鎖遺伝子座が生じる。
【0154】
G418耐性ES細胞クローンは、PCRとサザンブロッティングによって解析され、不要な再構成または欠失がなく、期待されるRMCEプロセスを経たかどうかが判定される。ES細胞のPCRおよびサザンブロットポジティブクローンの核型を、マウスES細胞で生じる最も一般的な染色体異常を区別するためにデザインされたインサイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を用いて分析する。このような異常のあるクローンは、以降の使用から除外される。サザンブロットのデータに基づいて、予想される正しいゲノム構造を有すると判断された核型的に正常なクローンは、さらに使用するために選択される。
【0155】
内在性マウス免疫グロブリンκ鎖遺伝子座(513)に部分的ネコ免疫グロブリンκ鎖遺伝子座を有するES細胞クローンを、標準的な手順に従ってDBA/2系統のマウス胚盤胞にマイクロインジェクションし、部分的ES細胞由来のキメラマウスを創出する。ES細胞由来の被毛への寄与が最も高いオスのキメラマウスが、メスマウスとの交配に選ばれる。交配に使用する雌マウスはC57B1/6NTac系統で、生殖細胞系列で発現するFlpリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を持ち、5’ベクターからFRT隣接ネオマイシン耐性遺伝子(520)および他のエレメントを欠失させる。これらの交配から得られた子孫は、部分的ネコ免疫グロブリンκ鎖遺伝子座の存在とネオマイシン耐性遺伝子の欠損について分析される。部分的ネコ免疫グロブリンκ鎖遺伝子座を保有するマウスを使い、マウスのコロニーを作る。
【0156】
実施例1に記載したようにして生成した部分的ネコ免疫グロブリン重鎖遺伝子座を有するマウスを、部分的ネコ免疫グロブリンκ鎖遺伝子座を有するマウスと交配させることができる。その子孫を交配させ、最終的に部分的ネコIghおよび部分的ネコIgκの両方をホモ接合体で有するマウスを生成する。このようなマウスは、ネコ可変ドメインおよびマウス定常ドメインを含む部分的ネコ重鎖を産生する。また、ネコカッパ可変ドメインおよびマウスカッパ定常ドメインを含む部分的ネコカッパタンパク質も産生する。これらのマウスから回収されたモノクローナル抗体には、ネコカッパ可変ドメインと対になったネコ重鎖可変ドメインが含まれる。
【0157】
一態様において、部分的ネコIghおよび部分的ネコIgκの両方についてホモ接合体であるマウスを、実施例3で生成した部分的ネコラムダ遺伝子座についてホモ接合体であるマウスと交配し、3つの遺伝子座すべてについてホモ接合体であるマウスを創出する。
【0158】
当業者であれば、Igκ遺伝子座を標的とするためにここで用いた5’ベクター(503)およびその後の戦略を、Igh遺伝子座を標的とする代替戦略として、
図2の5’ベクター(201)の代わりに用いることもできることを認識するであろう。この場合、5’ベクター(503)は、Igκ遺伝子座に相同なゲノムDNA領域(525および541)を、Igh遺伝子座に相同なゲノムDNA領域(
図2の213および215)と置換するように改変される。
【0159】
実施例3:マウスゲノムの免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座への異種部分的ネコ免疫グロブリン遺伝子座の導入
マウスIgλ遺伝子座の一部を部分的ネコIgλ遺伝子座と置き換える方法を
図6に示す。この方法は、内在性マウス免疫グロブリンλ遺伝子座のVλ2/Vλ3遺伝子セグメント(613)の上流およびCλ1遺伝子セグメント(617の右端のボックス)の下流、ならびにEλエンハンサー(623)の上流または下流と同一性を共有するターゲティングベクター(603)を含む相同組換えプロセスによって、野生型マウス免疫グロブリンラムダ遺伝子座(601および
図1、下)から、Vλ2/Vλ3遺伝子セグメント(613)、Jλ2/Cλ2遺伝子クラスター(615)、およびVλ1-Jλ3/Cλ3-Jλ1/Cλ1遺伝子クラスター(617)を含む約200KbのDNAを欠失させることを含む。このベクターは、約200Kbの内在性マウスゲノムDNAを、異種免疫グロブリンラムダ遺伝子座がRMCEを介して改変Vλ遺伝子座を置換する後続の部位特異的組換えを可能にするように設計されたエレメントで置換する(604)。この実施例では、異種免疫グロブリンラムダ遺伝子座は、ネコIgλコード配列とマウスIgλ非コード配列を含む合成核酸である。
【0160】
約200Kbの欠失を達成し、部位特異的組換え部位を挿入するための遺伝子ターゲティングベクター(603)の主な特徴は以下の通りである:ジフテリア毒素のAサブユニット(DTA、659)をコードする遺伝子または単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子(図示せず)などのネガティブ選択遺伝子;免疫グロブリンラムダ遺伝子座におけるマウスVλ2/Vλ3可変領域遺伝子セグメントの5’から4KbのゲノムDNA(625);FRT部位(627);マウスPolr2a遺伝子プロモーターを含むゲノムDNA(629);翻訳開始配列(「コザック」コンセンサス配列に埋め込まれたメチオニンコドン)(635);Creリコンビナーゼの変異loxP認識配列(lox5171)(631);転写終結/ポリアデニル化配列(633);ピューロマイシンに対する耐性を付与するタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(637)、ただし、このオープンリーディングフレームは、Polr2aプロモーターおよびその隣の翻訳開始配列に対してアンチセンス鎖上にあり、そしてそれ自身の転写終結/ポリアデニル化配列(633)が続く;CreリコンビナーゼのloxP認識配列(639);ピューロマイシン耐性遺伝子のオープンリーディングフレームと同じ、アンチセンス鎖上の翻訳開始配列(「Kozak」コンセンサス配列に埋め込まれたメチオニンコドン)(635);ピューロマイシン耐性オープンリーディングフレームの転写を指示するように配向されたニワトリベータアクチンプロモーターおよびサイトメガロウイルス初期エンハンサーエレメント(641)、ここで、翻訳はloxP部位(635)の下流の開始コドンで開始し、loxP部位を経て、ピューロマイシン耐性オープンリーディングフレームへと後ろ向きに続き、これらはすべてPolr2aプロモーターおよびその隣の翻訳開始配列に対してアンチセンス鎖上にある;Flpリコンビナーゼのための変異した認識部位(643);Eλエンハンサーエレメント(623)を含むゲノムDNA(645)。
【0161】
C57B1/6NTacマウス由来のマウス胚性幹(ES)細胞を、既知の手順に従って、ターゲティングベクター(603)を用いてエレクトロポレーションによりトランスフェクト(602)する。相同組換えは、内在性のマウス免疫グロブリンラムダ遺伝子座を、約200Kbの領域においてターゲティングベクター(603)由来の部位特異的組換え部位と置換し、605に描かれているゲノムDNA配置をもたらす。
【0162】
エレクトロポレーションに先立ち、ベクターDNAは原核生物のプラスミド配列またはそれに付随するポリリンカーのみを切断するレアカット制限酵素で直鎖化される。トランスフェクトされた細胞はプレーティングされ、約24時間後、ピューロマイシンを用いたポジティブ薬物選択下に置く。相同組換えによってではなく、ベクターをDNAに組み込んだ細胞にはネガティブ選択もある。非相同組換えではDTA遺伝子(659)が保持されることになり、この遺伝子が発現すると細胞が死滅する。一方、DTA遺伝子はマウスIgλ遺伝子座とのベクター相同性領域の外側にあるため、相同組換えによって欠失される。薬剤耐性ES細胞のコロニーは、1週間以上経って肉眼で見えるようになった後、プレートから物理的に取り出される。これらのコロニーをバラバラにし、マイクロウェルプレートに限界希釈で再プレーティングし、数日間培養する。その後、各クローン細胞は分割され、一部はアーカイブとして凍結保存され、残りは分析目的のDNA単離に使用される。
【0163】
ES細胞クローンのDNAは、既知の遺伝子ターゲティングアッセイを用いてPCRでスクリーニングされる。これらのアッセイでは、PCRオリゴヌクレオチドプライマー配列の一方はターゲティングベクターとゲノムDNAの間で共有される同一性の領域の外側にマップし、他方はベクター内のゲノム同一性の2つのアームの間の新規DNA内、例えばpuro遺伝子(637)内にマップする。これらのアッセイは、ターゲティングベクター(603)と内在性DNA(601)との間で相同組換えを起こしたトランスフェクト細胞由来のクローンにのみ存在するDNA断片を検出する。
【0164】
トランスフェクションで得られたPCRポジティブのクローンを選択し、サザンブロットアッセイを用いてさらに解析する。サザンブロットには、3種類のプローブおよび複数の制限酵素で処理されたクローン由来のゲノムDNAが含まれ、プローブと処理物の組み合わせによって、ES細胞DNAが相同組換えによって適切に改変されたかどうかを同定できるように選択されている。
【0165】
ES細胞のPCRおよびサザンブロットポジティブクローンの核型を、マウスES細胞で生じる最も一般的な染色体異常を区別するためにデザインされたインサイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を用いて分析する。異常の証拠を示すクローンは、以降の使用から除外される。サザンブロットのデータに基づいて、予想される正しいゲノム構造を有すると判断された核型的に正常なクローンは、さらなる使用のために選択される。
【0166】
免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座の2つの相同コピーの1つに配列の欠失を有するES細胞クローンを、ネコVλおよびJλ領域遺伝子セグメントコード配列を含む部分的ネコ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座を含むベクター(607)とともにCreリコンビナーゼ発現ベクターで再トランスフェクトする(604)。このベクター(607)の主な特徴は以下の通りである:lox5171部位(631);ネオマイシン耐性遺伝子のオープンリーディングフレーム(647)、これは、開始メチオニンコドンを欠くが、lox5171部位(ダイアグラム605内の631)の中断されないオープンリーディングフレームとインフレームで連続している;FRT部位(627);32個の機能的ネコλ可変領域遺伝子セグメントのアレイであって、各遺伝子セグメントは、3’側でマウスRSSによって挟まれ、かつマウスラムダ非コード配列に埋め込まれたネコラムダコード配列を含むアレイ(651);J-Cユニットのアレイであって、各ユニットは、ネコJλ遺伝子セグメントおよびマウスラムダ遺伝子座からの非コード配列に埋め込まれたマウスラムダ定常ドメイン遺伝子セグメントを含むアレイ(655)であり、Eλ2-4エンハンサーエレメントを含む(
図1)。ネコJλ遺伝子セグメントは、Jλ1、Jλ2、およびJλ4-11をコードするものである。他のJλ遺伝子セグメント、Jλ3およびJλ12は非機能性ORF(オープンリーディングフレーム)であり、一方、マウスラムダ定常ドメイン遺伝子セグメントはCλ1、Cλ2、またはCλ3、またはそれらの組み合わせである;Flpリコンビナーゼの変異した認識部位(643);ハイグロマイシン耐性を付与するオープンリーディングフレーム(657)であって、コンストラクト中の免疫グロブリン遺伝子セグメントをコードする情報に対してアンチセンス鎖上に位置するオープンリーディングフレーム;lox5171部位に対して相対的な向きが反対であるloxP部位(639)。
【0167】
RCMEは、RCMEベクター(607)由来の部分的ネコ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座を、改変された内在性マウスIgλ遺伝子座に挿入し、その結果、609に描かれているゲノムDNA構成が得られる。
【0168】
機能的ネコVλおよびJλ遺伝子コード領域の配列を配列番号31-73に示す。
【0169】
トランスフェクトされたクローンはG418またはハイグロマイシン選択下に置かれ、RMCE過程を経た細胞のクローンが濃縮される。RMCE過程では、遺伝子ターゲティングベクターによってそこに置かれたlox5171部位とloxP部位の間の欠失した内在性マウス免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座に、部分的ネコ免疫グロブリンラムダ鎖可変体が組み込まれる。ターゲティングベクター(603)からの残りのエレメントは、FLP媒介組換え(606)を介してインビトロまたはインビボで除去され(下記参照)、その結果、611で示されるように、最終的に部分的ネコ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座が生じる。
【0170】
611の部分的ネコ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座の1つの配置のより詳細な図を613に示すが、これは例として提供されているに過ぎない。ネコVλおよびJλ遺伝子セグメントおよびマウスのCλ遺伝子セグメントの他の配置と数、ならびにエンハンサーエレメントの他の位置と数も可能である。
【0171】
G418/ハイグロマイシン耐性ES細胞クローンは、PCRとサザンブロッティングによって分析され、不要な再構成や欠失を伴わずに、期待されるリコンビナーゼ仲介カセット交換過程を経たかどうかが判定される。ES細胞のPCRおよびサザンブロットポジティブクローンの核型を、マウスES細胞で生じる最も一般的な染色体異常を区別するためにデザインされたインサイチュ蛍光ハイブリダイゼーション法を用いて分析する。異常の証拠を示すクローンは、以降の使用から除外される。サザンブロットのデータに基づいて、予想される正しいゲノム構造を有すると判断された核型的に正常なクローンは、さらなる使用のために選択される。
【0172】
マウス免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座に部分的ネコ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座(611)を有するES細胞クローンを、既知の手順に従ってDBA/2系統のマウス胚盤胞にマイクロインジェクションし、部分的ES細胞由来キメラマウスを創出する。ES細胞由来の被毛への寄与が最も高いオスのキメラマウスが、メスマウスとの交配に選ばれる。ここで選択した雌マウスはC57B1/6NTac系統で、生殖細胞系列に発現するFlpリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を持ち、FRT隣接選択マーカーを欠失させる。これらの交配から得られた子孫は、部分的ネコ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座の存在、およびRMCEステップで創出されたFRT隣接ネオマイシン耐性遺伝子とmFRT隣接ハイグロマイシン耐性遺伝子の欠損について分析される。部分的ネコ免疫グロブリンラムダ鎖遺伝子座を有するマウスを用い、マウスのコロニーを作る。
【0173】
一態様において、部分的ネコ免疫グロブリン重鎖遺伝子座および部分的ネコ免疫グロブリンカッパ軽鎖遺伝子座(実施例1および2に記載)に対してホモ接合体であるマウスを、部分的ネコ免疫グロブリンラムダ軽鎖遺伝子座を有するマウスと交配する。このタイプの交配から生まれたマウスは、部分的ネコIgh遺伝子座をホモ接合体、部分的ネコIgκ遺伝子座とIgλ遺伝子座をホモ接合体としている。これらのマウスから回収されたモノクローナル抗体には、ある場合ではネコカッパ可変ドメインと、他の場合ではネコラムダ可変ドメインと対になったネコ重鎖可変ドメインが含まれる。
【0174】
配列情報
IGHV
配列番号1: > LOC101082137
Atggagtttgtgctgggctgggttctcctggttgctcttttaaaaggtgtccagtgtgacgtgcagctggtggagtctgggggagacctggtgaagcctggggggtccctgagactcacctgtgtagcctctggattcaccttcagtagttccagcatgaactgggtccgccaggctccagggaaggggctgcagtgggtcgcatatatttatgatgatggaagtagcacatactacgcagactccgtgaagggccgattcaccatctccagagacaacgccaagaacacgctgtatctgcagatgaacaacctgaagaccgaggacacggccacatattactgtgcaagagacacggtgaggggacctcactgggagcccagacacaaacctccctgcaggaggggatcagcaccaccagggggcgcacactatgcacaactctggtttgtgttcccaggagcaggtgcagatggaggttacaggcaggtttcctgtcagggtctggggcttcctctccacacagcagtttccccagggagcctctctggacacaggattctgtactttcctgttcattccttgactta
【0175】
配列番号2: > LOC101093781
Atggagtttgtgctgggctgggttttcctggttgctcttttaaaaggtgtccagtgtgacgtgcagctggtggagtctgggggagacctggtgaagcctggggggtccctgagactcacctgtgtggcctctggattcaccttcagtagctatggaatgagctgggtccgccaggctccagggaaggggctgcagtgggtcgcatatattagatatgatggaagtagcacatactacgcagactccgtgaagggccgattcaccatctccagagacaacgccaagaacacgctgtatctgcagatgaacagcctgaagaccgaggacacggccacatattactgtgcaagagacacgctgaggggacctcactgggagcccacacacaaacctccctgcaggaggggatcagcaccaccagggggcgcacactatgcacaattctggtttgtgttcccaggagcaggtgcagatggaggttacaggcaggtttcctgtcagggtctggggcttcctctccacacagcagtttctccagggagcctctctggtcacaggattctgtgtttatctattaactctctgaattag
【0176】
配列番号3: > LOC111559009
atggagtttgtgctgggctgggttttcctggttgctcttttaaaaggtgtccagtgtgacgtgcagctggtggagtctgggggagacctggtgaagcctggggggtccctgagactcacctgtgtggcctctggattcaccttcagtagctactacatgaactgggtccgccaggctccagggaaggggctgcagtgggtctcatggattaatactgatggaagtagcacaagctacgcagactccgtgaagggccgattcaccatctccagagacaacgccaagaacacgctgtatctgcagatgaacagcctcaagaccgaggacacggccacatattactgtgcgagagacacagtgaggggacctcactgggagcccagacacaaacctccctgcaggaggggatcagcaccaccagggggcgcacactatgcacaattctcctttgtgttcccaggcgcaggtgcagatggaggttacaggcaggtttcctgtcagggtctggggcttcctctccacacagcagtttccccagggagcctccctggttatatgattctgtgtttacctattaactctctgaattag
【0177】
配列番号4: > LOC111560938
atgcagatgctgtggtccctcctctgcctgctggcagctcccctgggtgtcctatctcaacttacacttcgggagtccggcccaggactggtgaagccttcacaatccctctctctcacctgcgttgtctccggaggctctgttaccagcagttactactggaactggatccgccagcgccctgggagagggttggagtggctggggtactggtcaggtagcaccagctacaacccggctttccagggccgcatctccatcactgctgacacagcccagaaccagttctccctgcagctgagctccatgaccaccgaggacacggccgtgtattactgtgcaagaagcacagtgagggaaagtcagtgtgagctcagtcacaaaccttggtgcagggacctggaggggctgggctgcaggggcgctcaggatccacaagagggcacacaggacctaccaggggaactagggcatcagggggtgcttagggccccttaccacagggaccagcccagaaacaggggcagagcaggagtgaggtccccactgtcagtatctggagctttctcttcctggcactctgatcctatggggacctccctttctttcttgcttgcgttcccttttgtttcagtcccagtgtg
【0178】
IGHD
配列番号5: >DH206
GCATAGCGGAAGCTGGTCC
【0179】
配列番号6: >DH447
GGTAGTAGCGGGTGGGCT
【0180】
配列番号7: >DH1151
TTACTACGATAGCGACTATGCC
【0181】
配列番号8: >DH2663
TCTATAACTACGGGTGGTAC
【0182】
IGHJ
配列番号9: JH1
Cctatgattacttccagttttggggccagggcaccctggtcaccgtctcctcag
【0183】
配列番号10: JH2
caatacttttggtatctggggccaaggtacccaggtcaccgtctcccaag
【0184】
配列番号11: JH3
actactttgactactggggccaaggagccctggtgacggtgtcctcag
【0185】
配列番号12: JH4
Actactttgactactggggccaaggagccctggtgacggtgtcctcag
【0186】
配列番号13: JH5
attactacggtatcgatctctggggccatggaaccatagtcacagtgtcctcag
【0187】
IGKV
配列番号14: >IMGT000050|IGKV1-10*01
atgaaggcccccgctcagctcctgggcctcctgctgctctggctcccaggagccagctgc
gaaatccagatgacccagtctccatcctcgctgtctgcatctccaggagacagagtcacc
atcacctgccgggcgagtcagaacgttaacacgtggttagcctggtatcagcagaaaccg
gggaaagttcctaagcttctgatctatcgtgcatccacgttgcaaactggggtcccctcg
cggttcagcggcagtgggtctgggacagatttcaccctcaccatcagcagcctggagcct
gaagacgctgccacttactactgtcagcagcataacagcggcatc
【0188】
配列番号15: >IMGT000050|IGKV1-17*01
atgaaggcccccgctcagctcctgggcctcctgctgctctggctcccaggagccagctgt
gaaatccagatgacccagtctccatcctcgctgtctgcatctccaggagacagagtcacc
atcacctgccgggcgagtcagaatgttaacacgtggttagcctggtatcagcagaaaccg
gggaaagttcctaagcttctgatctatcgtgcatccacgttgcaaactggggtcccctcg
cggttcagcggcagtgggtctgggacagatttcaccctcaccatcagcagcctggagcct
gaagacgctgccacttactactgccagcaaagtagcaatctccctcc
【0189】
配列番号16: >IMGT000050|IGKV2-4*01
atgaggttccctgctcagctgctggggctgctgatgctctggatcccaggatccagtggg
gatgtcgtgatgacgcagacccctctgtccctgcccgtcacccctggagagccggcctca
atctcctgcagggccagtcagagcctcctgcacagtaatggaaatacttatctgaattgg
tacctgcagaagccaggccagtctccacggcgactgatctataaggtttccaaccgggac
tctggggtcccagacaggttcagtggcagcgggtcagggacagatttcaccctgagaatc
agcagggtggaggctgacgacgtcggagtttattactgccagcaaggtacacatgctcct
cg
【0190】
配列番号17: >IMGT000050|IGKV2-5*01
atgaggttccctgctcagctgctggggctgctgatgctctggatcccaggatccagtggg
gatgtcgtgatgacgcagacccctctgtccctgcccgtcacccctggagagccggcctca
atctcctgcagggccagtcagagcctcctgcacagtaatggaaatacttatctgaattgg
tacctgcagaagccaggccagtctccacggcgactgatctataaggtttccaaccgggac
tctggggtcccagacaggttcagtggcagcgggtcagggacagatttcaccctgagaatc
agcagggtggaggctgacgacgtcggagtttattactgccagcaaggtacacatgctcct
cg
【0191】
配列番号18: >IMGT000050|IGKV2-9*01
atgaggttccctgctcagctgctggggctgctgatgctctggatcccaggatccagtggg
gatgtcgtgatgacgcagacccctctgtccctgcccgtcacccctggagagccggcctca
atctcctgcagggccagtcagagcctcctgcacagtaatggaaacacctatttacattgg
tacctgcagaagccaggccagtctccacggcgactgatctatagggtttccaaccgggac
tctggggtcccagacaggttcagtggcagcgggtcagggacagatttcaccctgagaatc
agcagggtggaggctgacgacgtcggagtttattactgcctgcaaggtacacacagacct
cc
【0192】
配列番号19: >IMGT000050|IGKV2-12*01
atgaggttccctgctcagctcctgggactcatcatgctctggatcccaggatccagtggg
gatattgtgatgacgcagacccctctgtccctgtccgtcacccctggagagccagcctca
atctcctgcagggccagtcagagcctcctgcacagtgatggaaatacttatctgaattgg
tacctgcagaagccaggccagtctccacggcgcttgatctatcttgtttccaaccgggac
tctggggtcccagacaggttcagtggcagcgggtcagggacagatttcaccctgagaatc
agcagggtggaggctgacgacgtcggtgtttattactgcggtcaagctttacagtatcct
cc
【0193】
配列番号20: >IMGT000050|IGKV2-13*01
atgaggttccctgctcagctcctggggctgctagtgctttggttccctggatccggtgcg
gatgtcgtgatgacacagacccctctgtccctgcctgtcacccctggagagccggcctca
atctcctgcagggccagtcagagcctcctgcacagtgatggaaatacttatctgaattgg
tacctgcagaagccaggccagtctccacggcgactgatctataaggtttccaaccgggac
tctggggtcccagacaggttcagtggcagcgggtcagggacagatttcaccctgagaatc
agcagggtagaggctgacgacgtcggagtttattactgcctgcaaggtacaaagtatcct
ac
【0194】
配列番号21: >IMGT000050|IGKV2-14*01
atgaggttccctgctcagctcctggggctgctagtgctttggttccctggatccagtggg
gatgtcatgatgacccagacccttctgtccctgcccgtcgcccctggacagccgggctca
atctcctgcagggccagtcagagcctcctgcccagcaatggatactcctatttaagttgg
tacctgcagaagacaggccagtctccacagcgcccgatctatcaggtttccaaccgggcc
tctggggtcccagacaggttcagtggcagcgggtcagggacagatttcacactcaaaatc
aacagagtggaggctgaggatgtgggagtttattgctgcttgcaagatatacaacttcct
ct
【0195】
配列番号22: >IMGT000050|IGKV4-1*01
atggtgacccagaggcaggtcctcctatccttgttgctgtgggtctcaggtgcctgtggg
gcgatcacgatgacgcagtctccaggctccctggctgggtctccaggtcagcaggtcacc
atgaactgcagggccagtcagagtgttagcagctacttagcctggtaccagcagaaacca
gggcagcatcctaagctgctcatctactcagcttccacccgggcatctggagtccccgac
cgattcagtggcagtgggtccgggacggatttcaccctcaccatcagcaacctccaggct
gaagacgtggcgagttactactgtcagcagtattacagctctcctcc
【0196】
配列番号23: >IMGT000050|IGKV6-6*01
atggtgtctccatcacagcttcttgggcttctgctcctctgggttccagcctccagtggt
gaggttgtgctgacccagtcctcagccttcctgtccaggactctaaaagaaaaagccacc
atcacctgccgagccaatcagggcatcagcaccatcttgcactggtatcagcagaaacca
aatcaggctccgaagctccttgtgaagtatgcttcccagtccgtctcgggagcgccgtcg
cggttcagcggcagtgggtctgggacagatttcaccctcaccatcagcagcccggagcct
gaagacgctgccacttactactgccagcaaagtaacaatctccctcg
【0197】
配列番号24: >IMGT000050|IGKV8-3*01
atgggggtcctgacccagctcctctgccttctgctggcctgcctcccagctgccggcggg
accactgagttgacccagtctcccacccatctctctgtgtccctgacagacagcgtgtcc
gtcatctgcagggccagtgagagcattagtgatcacttaagctggtatcagcagaaacca
ggccagcctcccaagcttatcatctatgatgccgataacctagagtctggcgtctcagac
cgcttctctgggattcagtctggcacagaattcatcctcaaaatcagcacagtcgaggct
gatgacgccgccgcttattactgccagcagggttatgcgcttcctcc
【0198】
配列番号25: >IMGT000050|IGKV8-16*01
atgggggtcctgacccagctcctctgccttctgctggcctgcctcccagctgccagcggg
accgctgagttgacccagtctcccacccatctctctgtgtccctgacagacagcgtgtcc
ctcatctgcagggccaatgagagcgttagtgattacttaagctggtatcagcagaaacca
ggccagcctcccaagcttatcatctatgatgccgataatctagagtctggcgtctcagac
cgcttctctgggattcagtctgacacagaattcatcctcaaaatcagcacagtcgaggct
gatgacgccgccatttattactgccagcaggattatgcgcttcctcc
【0199】
IGKJ
配列番号26: >IMGT000050|IGKJ1*01
gtggacgtttggccaaggaaccaagctggaagtcaaac
【0200】
配列番号27: >IMGT000050|IGKJ2*01
tgtacaatttcggccaggggacgaagctggagataaaac
【0201】
配列番号28: >IMGT000050|IGKJ3*01
gttcactttcggccaggggaccaaactggagatgaaac
【0202】
配列番号29: >IMGT000050|IGKJ4*01
gctcactttcggcccaggtaccaagctggagatcaaac
【0203】
配列番号30: >IMGT000050|IGKJ5*01
gaccacctttggccaagggacacatctggagattaaac
【0204】
IGLV
配列番号31: >IMGT000038|IGLV1-32*01
atggcttggtctccggtccttctcaccctcctcgctcactgcacagggtcctgggcccagtctgtactggctcagccatcctcggtgtcaggctccttgggccagagggtcaccatctcctgctctggaagcagttccaacatcggtagcaattatgtgagctggtaccaacaactcccaggcacaacccccaaaaccataatctattgggataatagcagaccctcgggggtctctgaacgattctctggctccaagtctggcagcacaggcaccctgaccatcactgggctccaggctgaggacgaggctgattattactgctcagcatgggatggtagtctgagagctca
【0205】
配列番号32: >IMGT000038|IGLV1-36*01
atggcctggtctcctctcctcctcatcctcctcgctcactgcacagtgtcctgggcccag
tctaggctgactcagccgccctcagtgtctggttctctgggccagagggtcaccatctcc
tgcgctggaagcagctctaatattggtggttatggtgtgaactggcaccaacaattccca
ggaatggcccccaaaaccatcatctatggtaatagcaatcgaccctctggggtcccagat
cgattctccggctccaagtctggcaacacaggcaccctgaccatcactgggctccaggct
gaggacgaggctgattattactgctcatcgtgggacagcagtagcagtgctcg
【0206】
配列番号33: >IMGT000038|IGLV1-36*01
atggcctggtctcctctcctcctcatcctcctcgctcactgcacagtgtcctgggcccag
tctaggctgactcagccgccctcagtgtctggttctctgggccagagggtcaccatctcc
tgcgctggaagcagctctaatattggtggttatggtgtgaactggcaccaacaattccca
ggaatggcccccaaaaccatcatctatggtaatagcaatcgaccctctggggtcccagat
cgattctccggctccaagtctggcaacacaggcaccctgaccatcactgggctccaggct
gaggacgaggctgattattactgctcatcgtgggacagcagtagcagtgctcg
【0207】
配列番号34: >IMGT000038|IGLV1-37*01
atggcctggtcccctctcctcctcaccctcctcattcactgcacagggtcctgggcccag
tctgtgttgagtcagccaccctcagtgtctggggccctgggccagacggtcaccatcccc
tgcgctggaggtgccaacaacatcggtattgctggtgggaactggtaccaacagcttcca
ggaaaggcccctaaactcctcatctatgatagtagcgatcgaccctcaggggtccctgaa
cgattctctggctccaagtctggcaacacaggctccttgaccatcactgggctccaggct
gaggacgaggctgattattactgccagtctcttgactttactcaaggtgctga
【0208】
配列番号35: >IMGT000038|IGLV1-40*01
atggcctggacccctcttctcctcaccctacttgctcactgtacagggtcctgggcccag
tctgtgctgactcagccaccatcagtgtctgggaccctaggccagaggatcaccatctcc
tgcaccggaagcagctccaacatcgggggtggtaatgctgtgagctggtaccaacaagtc
ccaggaatgggccccaaaaccgtcatctattggaataacagcaaaccctcgggggtccca
gatagattctccggctcaaagtctggcagttcaggcaccctgaccatcactgggctgcag
gctgaggacgaggctgattattactgctcagcgtgggatgatagtctcagtgctca
【0209】
配列番号36: >IMGT000038|IGLV1-42*01
atggcctggtctcctttccttctcactctcctcgctcactgcacagggtcctgggcccag
tctgtgctgactcagccgccctcagtgtcggggtccctgggccagagggtcaccatctcc
tgcactggaagcagctccaacatcgggggtggtaattatgtgagctggtaccaacaagtc
ccaggaacggcccccaggctcctgatttatgagaataacaaacgaccctccggggtcccc
gatcgattctctggctccaagtctggcagctcaggctccctgaccatcactgggctgcag
gctgacgacgaggctgattattattgtgcatcatgggacaatagtctcagtgctca
【0210】
配列番号37: >IMGT000038|IGLV1-51*01
atggcctggttccctcttctcctgacccttctcatccactgcacagggtcctgggcccag
tctgtgctgactcagccgccctcagtgtctggggccctggggcagacggtcaccatctcc
tgcgctggaagtaggagcaacatcggtattgctggtgtgaactggtaccaacagcttcca
ggaaaggcccctaaactcctctctatgctaatagacagaaacaaccctcatgggttccct
gaacgaatccgcgaatctcctggctccaagtctggcaacacaggctccttgaccatcact
gggctccaggctgaggacgaggctgattattactgctcagcatgggatgctattctgaaa
gctca
【0211】
配列番号38: >IMGT000038|IGLV1-56*01
atggcctggtcctttctcctcctcaccctcctcgctcactgcacagggtcctgggctcag
tctgtgctgactcagccgccctcagtgtctggggccctgggccagagggtcaccatctcc
tgcactggaagcagctccaacatcgggcgtggtaattatgtgagctggtaccaacaactc
tcaggaacagctcccaaactcctcatctatggtaatagcaatcgaccctcgggggtccca
gatcgattttctggctccaagtctggcagcacaggctccttgaccatcactgggctgcag
gctgaggacgaggctgattattactgtgcagcgtgggacagcagtctcaatgctca
【0212】
配列番号39: >IMGT000038|IGLV1-61*01
atgtcctggtctcctgtccttctcgccctcttcactcactgcacagggtcctgggcccag
tctgtactgactcagccaccctcggtgtcaggctccttgggccagagggtcaccatctcc
tgcactggaagcagctcccacatcagtaacaattttgtgaactggtaccaacaactccca
ggcacaacccccaaaaccataatcctttgggatgatagcagaccctcgggggtctctgaa
cgattctctggctccaagtctggcagcacaggcaccctgaccatcactgggctccaggct
gaggacgaggctgattattactgctcagcatgggatgatagtctgagagctca
【0213】
配列番号40: >IMGT000038|IGLV1-63*01
atggcctggttccctcttctcctcaccctcctcatctactgcacagggtcctgggcccag
tctgagctgactcagccgccctcagtgtctgggggcctgggccagacggtcaccatctcc
tgcgctggaagtaggagcaacattggtattgctggtgtgaactggtaccaacagcatcca
ggaaaggcccctaaactcctcatctatggtagtagcaatcgaccctcaggggtccctgac
agattttctggctccaagtctggcaacacaggctccttgaccatcactgggctccaggcc
gaggacgaggctgattattattgcctgtctgttgacgttacgcgaggtgctga
【0214】
配列番号41: >IMGT000038|IGLV1-70*01
atggcctggttccctcttctcctcaccctcctcatctactgcacaggttcctgggcccag
tctgagctgactcaaccgccctcagtgtctgggggcctgggccagacggtcaccatctcc
tgcgctggaagtgccaacaacatcggtagaattggtgtgaactggtaccaacagtttcca
ggaaaagcccctaaactcctcatctccgcttatagcaatcaaccctcacgggtttctggt
cgattttctggctccacgtctggcaacacaggctccttgaccatcactgggctccaggcc
gaggacgaggctgattattactgcacgtctgctgaccctattcaaagtgctca
【0215】
配列番号42: >IMGT000038|IGLV2-24*01
atggcctgggctctggtcctcctcagtctcctcactcaggacacagggtcctgggcccag
tctgccctgaatcagcctccctcactgtccggggatctgggacgcacagtcaccatctcc
tgtgctggcagcagcaatgacattgggagatatagtgacgtctcctggtaccaacagctc
gaaggcacatcccccaaactcctgattcataatgtaaattcccggccttcagggatccct
gatcgcttctctggctccaagtctggcaacacggcctccttgaccatctctgggctccag
gctgaagatgaggctgattattactgttgctcatatgctagtagtaatactctc
【0216】
配列番号43: >IMGT000038|IGLV3-2*01
atggcctggacccctcttctcctcagtatcctggctcactgcacaggttccatggcctcc
tacgtgctgacccagcccccgtcggtgtcagtgaacctgggacagacagccagaatcacc
tgtgggggaaacaacattggaagtaaacatgcttactggtaccagcagaagccaggccag
gcccccatgctggtcatttactatagcagcaaccggccctcagggatccctgaccgattc
tctggcaccaactcggggaacacggccaccctgaccatcagcggggcccaggctgaggac
gaggctgactattactgtcaggtgtgggataacagtggtaatgct
【0217】
配列番号44: >IMGT000038|IGLV3-5*01
atggcctggacccctctcctcctcagtgtcctggcatactacacaggctccgtgacctca
aacagggtgactcagcccccttccatttcagtggccctgggagagatggcaaggatcacc
tgtgagggaaacaacatcggaaatacatatgtttcctggtaccagcagaagccgaaccag
gtgcccctgatgattatttatcaggatagcaaccggccttcagggatccctgaccgattc
tctggctctaactctgggaacacggccaccctgactgtcagcggggcccgggctgaggat
gaggctgactattactgtctgtctgctcacagcagtagtaacgtt
【0218】
配列番号45: >IMGT000038|IGLV3-6*01
atggcctggacccctctcctcctcggcctcctcgctcactgcacaggttctgtggcttcc
tatgagctgactcagcccccatcagtgtcagtgaacctgggacagacggccaggatcaca
tgtggaggaaacaacattggaaataaagatgcttactggtaccagcagaagtcaggccag
gcccccatgctgattatctatgaggacagcaaacggccctcagggatccctgaccgattc
tctggcaccaactcagggaacatggccaccttgaccatcagcggggcccgggccgaagat
gaggctgactattactgccaggtgtgggacagcagtagtgatgct
【0219】
配列番号46: >IMGT000038|IGLV3-7*01
atggcctggacccctctcatcctcagcctcctcacttactgcacaggttccatagcctcc
tatgtgctgactcagcccccctcagtgtcggtgagcctgggacagacggccaggaccacc
tgtggaggaaacaacattgaaagcaaaagtgttcactggtaccagcagaagtcaggccaa
acccctgtgctgattatctatagtgatagcaaccggccctcaggaatccccgaccgattc
tcaggcaccaactcggggaacacggccaccctgaccatcagcggggcccgggccgaggac
gaggctgactattactgtcaggtgtgggacagtagtagtgatgct
【0220】
配列番号47: >IMGT000038|IGLV3-11*01
atggcctggacccctctcctgctccccctccttactctttgcacaggattcgtggcctcc
agtgaggtgactcagccgccctcagtgtcagtggccctgggacagacggctagaatcacc
tgctctggagatatgatggagaaaaaatataccaattggcaccagcagaagccaggtcaa
gcccccatacagatcatttataaggatagtgagcggccctcagggatccctgaccgattc
tctagctccagttcagggaaaacagtcaccctgaccatcagcggggcccgggccgaagac
gaggctgactactactgtcagtcttatgacatcagtagtaatgct
【0221】
配列番号48: >IMGT000038|IGLV3-13*01
atggcctggacccctctcctcctcggcctcctcgctcactgcacaggctccgtggcctcc
tatgtgctgactcagcccccatcagtggcagtgaacctgggacagacggccaggatcaca
tgtggaggaaacaacattggaagtagttatgcttactggtaccagcagaagtcaggccag
gcccctgtgctgattatctataaggatagcaaccggccctcagggatccctgaccgattc
tcaggcaccaactcggggaacacggccaccctgaccatcagcggggcccgggccgaggac
gaggctgactattactgtcagtcatatgacagcaactatgatcct
【0222】
配列番号49: >IMGT000038|IGLV3-17*01
atggcctggactcctctcctgctccccctccttattctctgcacaggttctgtgacagct
tctgaactgactcagccacctgcggtgtctgtggccttgggacagacggccacgattaca
tgcgagggagacagcttcgaaagcagtatgattaactggtatcagcagaaatcaggccaa
gcccccgtgctggtcatttatgaggatagtgagcagcccacagggattcctgacagattc
tctggctccaactcgggggatgcagccactctgaccatcaccggggcccaggctgaggac
gaggctgactattactgtcagtcctatgataacagtggtgatgct
【0223】
配列番号50: >IMGT000038|IGLV3-20*01
atggcctggacccctctcctccttggcctcctcgctcactgcacaggctccgtggcctcc
tatgtgctgactcagcccccatcagtggcagtgaacctgggacagacagccaggatcaca
tgtggaggaaacaacattggaagtagttatgcttactggtaccagcagaagtcaggccag
gcccctgtgctgattatctatgaggacagcaaacggccctcagggatccctgaccgattc
tcaggcaccaactcggggaacacggccaccctgaccatcagcggggcccgggccgaggac
gaggctgactattactgtcaggtgtgggataacagtggtaatgct
【0224】
配列番号51: >IMGT000038|IGLV3-23*01
atggcctggacccctctcctcctcggcctcctcgcttactgcacaggctccatggcctcc
tacgtgctgactcagcccccgtcagtgtcaatgaacctgggaaagacggccaggatcacg
tgtggaggaaacaacattggaagtaaatatgcttactggtaccagcagaagccaggccgg
gccccgatgatgattatctatgatgatagcaaaaggtcctcaaggacccctgaccgattc
tcaggcaccaactcggggaacacggccaccctgaccatcagcggggcccaggccgaggac
gaggccaactattactgtcaggtgtggggtggcaatagtgatcct
【0225】
配列番号52: >IMGT000038|IGLV4-15*01
atggactgggctcccttctacctcctgcccttcattttctctacaggtttctgtgctctg
cctgtgctgacccaggctccatctgcatctgcctcacttggagcctcagtcaagctcacc
tgcaccctgagcagtgaacacagcaattactttgtttggtggtatcaacagagaccagag
aaggcccctcggtatttgatgaaggttaacagtgatggaagccacatcaaaggagacgga
atccccagtcgcttctcaggctcaagctctggggctgatcgctacttaaccatctccaac
atccagcctgaggatgaggctgactattactgtggtgagaagcatacaattgatggtcaa
accggttaagc
【0226】
配列番号53: >IMGT000038|IGLV5-30*01
atggcctggattcctcccctcctagtgctcctctgtcactgcacatgttccatctcccaa
tttgtggtgacccagccaccttccctctctgcatctctgggaacaacagccagactcacc
tgcaccctcaacagtgaaaggactgatatttaccccatattctggtaccagcaaaagcca
gggagccttcctcgttacctccttacctatgtaacagactcaaataagcatcaaggctct
ggggtccccagccgcttctctggatccaaagatacctctgccaatgcagggattttgctc
atttccgggattcaatcagaggatgaggcagactattactgtcagtcatttgatgttggt
gacgga
【0227】
配列番号54: >IMGT000038|IGLV5-34*01
atggcctggatccccatcctcctcgtgttcctctgtcactgcacaggttccctgtcccag
cctgtcgtgactcagccagcctccctctctgcatctctgggagccacagccagactcacc
tgcaccctgagcagggacatcaatgctggaggctactacatatactggtaccaacagaag
ccagggagccctccccggtatctcctgtactactactcagattcaaataagcaccagggc
cccggggtccccagccgcttctccgggtccaaagatgcctcggccaatgcagggcttctg
ctcatctctgggctgcagcctgaggacgaggctgactattactgtgcaacttggcacagt
agtgctggt
【0228】
配列番号55: >IMGT000038|IGLV5-46*01
atggcctggacccatgctctcctcgtgctcttctgccactgcacaggttccctgtcccag
cctgtcgtgactcagccaccctccctctctgcatctctgggagcaacagccagactcacc
tgcaccctcagcagggaagtgagcgttggtagtaaaagcatatactggtaccaacagaag
ccagggagccctcctcggtatttcctgtactactactcagactccagcaatgagctggga
cccggggtccccagtcgagtgtctgggtccaaagatgcctcggccaatgcagggcttctg
ctcatctctgggctgcagcctgaggacgaggctgactattactgtgctatagcacatggc
agtggaagcagctttggttact
【0229】
配列番号56: >IMGT000038|IGLV5-48*01
atggcttggactcttctagtcctcatgcttgtgtctcaatggacaggttccctgtcccag
cctgtgctgacccagccgtcctccctgtctgcatctcctggaacaacagccagactcacc
tgcaccctgagcagcgggttcagtgttggaggctactacataaattggttccagcagaag
ccagggagccctccccggtatctcctgtactactactcagattcaaataagcaccagggc
cctggggtccccagccgcttctccgggtccaaagatgcctcggccaatgcagggcttctg
ctcatctctgggccgcagcctgaggacgaggctgactattactgtgctatagcacatggc
agtggaagcagctaccgttact
【0230】
配列番号57: >IMGT000038|IGLV5-49*01
atggcctggatccccgtcctcctcgtgctcctctgtcactgcgcaggttccctgtcccag
cctgtcgtgactcagccaccctccctctctgcatctctgggagcaacagccagactcacc
tgcaccctcagcagggaagtgagcgttggtagtaaaagcatatactggtaccaacagaag
ccagggagccctcctcggtatttcctgtactactactcagactccagcaatgagctggga
cccggggtccccagtcgagtgtctgggtccaaagatgcctcggccaatgcagggcttctg
ctcatctctgggctgcagcctgaggacgaggctgactattactgtgctatagcacatggc
agtggaagcagctaccgttact
【0231】
配列番号58: >IMGT000038|IGLV5-55*01
atggcctggactcctgtcctcctcatgctcctctcccattgtgcaggttccctgtcccag
cctgtgctgacccagccgtcctccctgtctgcatctccgggaacaacagccagactcacc
tgcaccctgagcagcggcttcaatgttggaggctactacataagttggttccagcagaag
ccagggagccctccccggtatctcctgtactactactcagactcagataagcaccagggc
cccggggtccccagccgcttctccgggtccaaagatgcctcggccaatgcagggcttctg
ctcatctctgggccgcagcctgaggacgaggctgactattactgtgctacagatcatggc
agtggttact
【0232】
配列番号59: >IMGT000038|IGLV5-66*01
atggcttggcctcttctcgtcctcatactcctgtctcactgcacaggttccctgtcccag
cctgtgctgacccagccgccctccctgtctgcatctccgggaacaacagccagactcacc
tgcaccctgagcagcggcttcaatgttggaggctactacataagttggttccagcagaag
ccagggagccctccccggtatctcctgtactactactcagactcagataagcaccagggc
cccggggtccccagccgcttctccgggtccaaagatgcctcggccaatgcagggcttctg
ctcatctctgggccgcagcctgaggacgaggctgactattactgtgctacaggttatggc
agtgggagcagctaccgttact
【0233】
配列番号60: >IMGT000038|IGLV5-68*01
atggcctggatctccgtcctcctcgtgctcctctgtcactgcgcaggttccctgtctcag
cctgtcgtgactcagccagcctccctctctgcatctctgggagcaacagccagactcacc
tgcacgctgagcagggacatcaatgttggaggctactacatatactggtaccaacagaat
ccagggagccctccccggtatctcctgtactactactcagactccagtacacagttggga
cctggggtccccagccgcttctccggatccaaagatgcctcggccaatgcagggcttctg
ctcatctctgggctgcagcctgaggacgaggctgactattactgtgcaatcgggcacagt
agtgctggt
【0234】
配列番号61: >IMGT000038|IGLV5-71*01
atggcctggatccccatcctcctcgtgctcctctgtcactgcacaggttccctgtcccag
cctgtcttgactcagccagcctccctctctgcatctctgggagcaacagccagactcacc
tgcaccctgagcagggacatcaacgttggaagctataacatatactggtaccaacagaag
ccagggagccctccccggtatctcctgtactactactcagactcagataagcaccagggc
cctggcgtccccagccgcttctctgggtccaaagatgcctcggccaatgcagggcttctg
ctcatctctgggctgcagcctgaggacgaggctgactattactgtgcaatctggcacagt
agtgctggt
【0235】
配列番号62: >IMGT000038|IGLV5-79*01
atggcttggaccccttttttccttgtgttcctggctcactgcacaggttccctgtctcag
ccggtgctgacccagccaccctccctctctgcatctctgggaacttctgtgagacttacc
tgtaccctgagcagtggcttcagagttggtgatttctggataaactggtaccagcagaat
ccagggaaccctccccggtatctcctgtactaccactcagactcagataaacaccagggc
tccggggtccccagccgcttctctggatccagtgatgcctcggccaatgcagggcttctg
ctcatctctgggctgcagcctgaggatgaggctgactattactgtagcacatggcatggc
aactctaagtctta
【0236】
配列番号63: >IMGT000038|IGLV12-26*01
atggcctgggctcttctcctgttcacacttctgtctcactgcacaggggccacttcccag
gaagtagtgactcaggaaacttcactctcaacaactcctggaggaacagtcacactcacc
tgtggctccagtactggggctgtcaccaccagtaattatgccagctgggtccaacagaag
ccctaccagagattccagggtctgataggtgggaccagctaccggaacccaggggtccct
gcccgattctctggctccctggttggacagaaggccgtcctcaccatcacgggggcgcag
tcagaggatgaagctgagtattactgtgttctgtggttcagcaaccattac
【0237】
IGLJ
配列番号64: >IMGT000038|IGLJ1*01
ttgggtgttcggcggaggtacccatctgagcgtcctag
【0238】
配列番号65: >IMGT000038|IGLJ2*01
tcatattttcggtggagggacccatctgactgtcctcg
【0239】
配列番号66: >IMGT000038|IGLJ4*01
ttatgttttcggcggagggaccaaggtgaccgtcctcg
【0240】
配列番号67: >IMGT000038|IGLJ5*01
tcctattttcggcggagggacccgtctgaccgtcctcg
【0241】
配列番号68: >IMGT000038|IGLJ6*01
ttttgtttttggcagagggacctggctgacggtcctag
【0242】
配列番号69: >IMGT000038|IGLJ7*01
tgctttgttcggcggagggacccatctgaccgtcctcg
【0243】
配列番号70: >IMGT000038|IGLJ8*01
ttgggtgtttggcgatggaacccagctgactgtattag
【0244】
配列番号71: >IMGT000038|IGLJ9*01
tattgtgttcggcggagggacccatctgaccgtcctcg
【0245】
配列番号72: >IMGT000038|IGLJ10*01
ttgggtgtttggcgatggaacccagctgactgtattag
【0246】
配列番号73: >IMGT000038|IGLJ11*01
tattgtgttcggcggagggacccatctgaccgtcctcg
【0247】
プレD
これはIghd-5DH遺伝子の上流にある21609bpの断片である。プレD配列はマウス系統C57BL/6Jの12番染色体に見られ、アセンブリ:GRCm38.p4、アノテーションリリース106、配列ID:NC_000078.6
全配列は以下に示す2つの100bp配列の間にある:
NC_000078.6の113526905-113527004位に相当するIghd-5DH遺伝子セグメントの上流:
配列番号74:
ATTTCTGTACCTGATCTATGTCAATATCTGTACCATGGCTCTAGCAGAGATGAAATATGAGACAGTCTGATGTCATGTGGCCATGCCTGGTCCAGACTTG
【0248】
NC_000078.6の113526905-113527004位に相当するAdam6a遺伝子の上流2kb:
配列番号75: GTCAATCAGCAGAAATCCATCATACATGAGACAAAGTTATAATCAAGAAATGTTGCCCATAGGAAACAGAGGATATCTCTAGCACTCAGAGACTGAGCAC
【0249】
Adam6a
Adam6a(a disintegrin and metallopeptidase domain 6A)は雄の生殖機能に関与する遺伝子である。Adam6aの配列は、マウス系統C57BL/6Jの12番染色体に見られ、アセンブリ:GRCm38.p4、アノテーションリリース106、配列ID: NC_000078.6の113543908-113546414位。
Adam6a配列ID:OTTMUSG00000051592 (VEGA)
【配列表】
【国際調査報告】