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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-20
(54)【発明の名称】噴射弁をテストする方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 65/00 20060101AFI20241113BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20241113BHJP
   F02M 61/04 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
F02M65/00 306A
F02M21/02 V
F02M21/02 S
F02M65/00 304
F02M61/04 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024529118
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2022081327
(87)【国際公開番号】W WO2023088755
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】PA202170565
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514098849
【氏名又は名称】イーオーピー マリーネ ア-・エス
【氏名又は名称原語表記】IOP MARINE A/S
【住所又は居所原語表記】Engager 7 DK-2605 Brondby Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ソウィンスキー グジェゴジュ
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AB04
3G066BA35
3G066CA09
3G066CC45
3G066CC63
3G066CC69
3G066CE12
(57)【要約】
内燃機関用の噴射弁(44)の逆止弁(77)のテスト方法。前記噴射弁は、圧縮室(74)を形成するプランジャーピストン(58)を有する密封室(136)、圧縮室へ燃料油を流す一方向弁(70)、逆止弁、ノズル弁(61a)を備える。圧縮室から逆止弁へ燃料油が供給される。ノズル弁は、その開口(61b)から突出する先端(61c)を有する遮断軸(62)を備える。前記方法は、遮断軸先端に圧力を印加し遮断軸をリフト位置に維持すること、圧縮室を閉じるべくテストプランジャー油油圧でプランジャー油を供給すること、前記一方向弁にテスト燃料油油圧で燃料油を供給することを含む。テスト燃料油油圧は逆止弁に要する油圧よりも低い。前記方法は更に、供給した燃料油がノズル弁開口部から漏れていないかを確認することを含む。ノズル弁に漏れがないかをテストする方法も提供される。
【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用の噴射弁をテストする方法であって、
前記噴射弁は、
プランジャー圧縮室を形成するためのプランジャーピストンを有するプランジャーピストン密封室であって、前記プランジャーピストンは、底部にプランジャーピストン燃料油開口部を有し、カバープランジャー油供給路を通じたプランジャー油の供給によって制御され、前記プランジャー油はプランジャー油油圧で供給される、プランジャーピストン密封室と;
吸引弁燃料入口を通じて燃料油を取り入れるための吸引一方向弁と、前記吸引一方向弁から前記プランジャー圧縮室又は前記プランジャーピストン燃料油開口部に燃料油を供給するためのプランジャー室供給路と;
逆止弁であって、前記プランジャー圧縮室又は前記プランジャーピストン燃料油開口部に、前記逆止弁に燃料油を供給するための逆止弁供給路を通じて流体連通している逆止弁と;
ノズル弁室、ノズル弁ピストン遮断軸、ノズル弁ばね、ノズル弁座及びノズル弁開口部を備えるノズル弁であって、前記ノズル弁ピストン遮断軸が、前記ノズル弁の前記開口部を貫通して突出するノズル弁ピストン遮断軸先端部を有する、ノズル弁と;
前記プランジャー圧縮室又は前記プランジャーピストン燃料油開口部から前記逆止弁を通じて前記ノズル弁室に燃料油を供給するために、前記逆止弁から前記ノズル弁室への流体接続を提供する複数のノズル弁室供給路と;
を備え、
(a)前記方法は、前記ノズル弁の前記開口部を貫通して突出する前記ノズル弁ピストン遮断軸先端部に所定のリフト圧を加えることを含み、前記リフト圧は、前記ノズル弁ばねが前記ノズル弁ピストン遮断軸に及ぼすばね力よりも高く、それにより、前記ノズル弁ピストン遮断軸を、ノズル弁座からリフトした位置であって前記ノズル弁が開く位置に維持し;
(b)前記方法は更に、前記カバープランジャー油供給路を通じて前記プランジャーピストンに第1のテストプランジャー油油圧でプランジャー油を供給することを含み、前記第1のテストプランジャー油油圧は、前記プランジャーピストンをプランジャーピストン密封室の底部に維持するために必要な所定のプランジャー油油圧と等しいか又はそれよりも大きく、前記プランジャーピストンがプランジャーピストン密封室の底部に前記維持された状態において、前記プランジャー圧縮室は閉鎖されるが、前記プランジャー室供給路から前記プランジャーピストン燃料油開口部を通じて前記逆止弁供給路への流体連通は維持され;
(c)前記方法は更に、第1の所定のテスト燃料油油圧で、燃料油を前記吸引弁燃料入口に供給し、また前記吸引一方向弁及び前記ピストン燃料油開口部を通じて前記逆止弁供給路に供給することを含み、前記第1の所定のテスト燃料油油圧は、前記逆止弁を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも低く;
(d)前記方法は更に、前記供給した燃料油が前記ノズル弁開口部から漏れていないかを確認することを含む;
方法。
【請求項2】
前記テスト中の前記噴射弁は、前記ノズル弁ピストン遮断軸に連結された油圧ピストンを保持する油圧ピストン室と、前記プランジャーピストンを密封するために前記プランジャーピストン密封室と流体連通すると共に、前記油圧ピストンを密封するために前記油圧ピストン室と流体連通する、シール油路とを有し、前記油圧ピストンは、前記ノズル弁を開閉するために、制御油供給路を通じた制御油の供給により制御され、前記制御油はある制御油圧で供給され;
前記方法は、前記(b)におけるプランジャー油の供給前に、前記シール油路を通じて前記プランジャーピストン密封室及び前記油圧ピストン室に第1のシール油油圧でシール油を供給することを含む密封ステップを含み、
ただし前記第1のシール油油圧は、前記プランジャーピストン密封室内で前記プランジャーピストンを密封するため、及び、前記油圧ピストン室内で前記油圧ピストンを密封するために必要な所定のシール油油圧以上の圧力である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定のシール油油圧は、60~100barの範囲、例えば70~90barの範囲、例えば80bar前後である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記テスト中の前記噴射弁は機能試験弁ホルダに配置され、
前記機能試験弁ホルダは、リフトピストン及びリフト油路を有するノズル弁ピストンリフトユニットを保持し、
前記ノズル弁ピストンリフトユニットは、前記リフトピストンが前記ノズル弁ピストン遮断軸先端部に係合するように配置され、
前記リフト油路を通じてリフトピストンに所定の圧力でリフト油が供給され、それによって、前記ノズル弁ピストン遮断軸を上昇位置に維持するための前記所定のリフト圧が供給され、
前記ノズル弁ピストンリフトユニットは、リフトユニット燃料油リーク経路及びリフトユニット燃料油出口をさらに有し、前記リフトユニット燃料油リーク経路及び前記リフトユニット燃料油出口は前記ノズル弁開口部と流体連通しており、それによって、前記ノズル弁開口部から漏れ出る燃料油は、前記リフトユニット燃料油出口から漏れ出る、
請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1のテストプランジャー油油圧は280~320barの範囲、例えば約300barである、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記(b)において前記プランジャーピストンにプランジャー油を供給するステップは、供給されたプランジャー油の油圧を第1の低い初期油圧までゆっくりと上昇させる第1のステップと、前記油圧を前記第1のテストプランジャー油油圧まで上昇させるステップとを含み、前記第1の低い初期油圧は10~50barの範囲である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記(c)の前記第1の所定のテスト燃料油油圧は約30barである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の方法であって、
(e)前記逆止弁が開くまで、前記吸引弁燃料入口への燃料油の供給圧力をゆっくりと上昇させることと;
(f)前記ノズル弁開口部から燃料油滴又は燃料油の流れが出たときに供給された燃料油の圧力を観察し、それによって前記逆止弁の開弁圧力を決定することと;
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
(g)燃料油の供給圧力を、前記逆止弁の前記決定された開弁圧力よりも十分に低い圧力まで解放することを含む。例えば、前記逆止弁の決定された前記開弁圧力よりも少なくとも10~20bar低い圧力又は少なくとも30bar低い圧力まで解放することと;
(h)前記吸引弁燃料入口への燃料油の供給圧力を、前記逆止弁の前記決定された開弁圧力より3~5bar低い圧力に達するまで上昇させることと;
(i)供給した燃料油が前記ノズル弁開口部から漏れていないか確認することと;
を含む、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の方法であって、
前記ノズル弁ピストン遮断軸先端部から前記所定のリフト圧を除去することにより、前記ノズル弁ばねのばね力により前記ノズル弁ピストン遮断軸を前記ノズル弁座に押し付けて前記ノズル弁を閉じることと;
前記逆止弁を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも高い第2の所定のテスト燃料油油圧で、燃料油を、前記吸引弁燃料入口に供給し、また前記吸引一方向弁及び前記ピストン燃料油開口部を通じて前記逆止弁供給路に供給することと;
前記供給した燃料油が前記ノズル弁開口部から漏れていないかを確認することと;
を含む、
方法。
【請求項11】
内燃機関用の噴射弁をテストする方法であって、
前記噴射弁は、
プランジャー圧縮室を形成するためのプランジャーピストンを有するプランジャーピストン密封室であって、前記プランジャーピストンは、底部にプランジャーピストン燃料油開口部を有し、カバープランジャー油供給路を通じたプランジャー油の供給によって制御され、前記プランジャー油はプランジャー油油圧で供給される、プランジャーピストン密封室と;
吸引弁燃料入口を通じて燃料油を取り入れるための吸引一方向弁と、前記吸引一方向弁から前記プランジャー圧縮室又は前記プランジャーピストン燃料油開口部に燃料油を供給するためのプランジャー室供給路と;
逆止弁であって、前記プランジャー圧縮室又は前記プランジャーピストン燃料油開口部に、前記逆止弁に燃料油を供給するための逆止弁供給路を通じて流体連通している逆止弁と;
ノズル弁室、ノズル弁ピストン遮断軸、ノズル弁ばね、ノズル弁座及びノズル弁開口部を備えるノズル弁であって、前記ノズル弁ピストン遮断軸が、前記ノズル弁の前記開口部を貫通して突出するノズル弁ピストン遮断軸先端部を有する、ノズル弁と;
前記プランジャー圧縮室又は前記プランジャーピストン燃料油開口部から前記逆止弁を通じて前記ノズル弁室に燃料油を供給するために、前記逆止弁から前記ノズル弁室への流体接続を提供する複数のノズル弁室供給路と;
を備え、
前記方法は、前記カバープランジャー油供給路を通じて前記プランジャーピストンにテストプランジャー油油圧でプランジャー油を供給することを含み、前記テストプランジャー油油圧は、前記プランジャーピストンをプランジャーピストン密封室の底部に維持するために必要なプランジャー油油圧と等しいか又はそれよりも大きく、前記プランジャーピストンがプランジャーピストン密封室の底部に前記維持された状態において、前記プランジャー圧縮室は閉鎖されるが、前記プランジャー室供給路から前記プランジャーピストン燃料油開口部を通じて前記逆止弁供給路への流体連通は維持され;
前記方法は更に、
前記逆止弁を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも高い第2の所定のテスト燃料油油圧で、燃料油を、前記吸引弁燃料入口に供給し、また前記吸引一方向弁及び前記ピストン燃料油開口部を通じて前記逆止弁供給路に供給することと;
前記供給した燃料油が前記ノズル弁開口部から漏れていないかを確認することと;
を含む、方法。
【請求項12】
前記第2の所定のテスト燃料油油圧は、前記逆止弁を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも約5bar高く、
前記テストプランジャー油の油圧は280~320barの範囲、例えば約300barである、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
内燃機関用の噴射弁をテストする方法であって、
前記噴射弁は、
プランジャー圧縮室を形成するためのプランジャーピストンを有するプランジャーピストン密封室であって、前記プランジャーピストンは、カバープランジャー油供給路を通じたプランジャー油の供給によって制御され、前記プランジャー油はプランジャー油油圧で供給され、前記プランジャーピストンは更に、その底部から上部側壁部分への流体連通を提供する第1のプランジャーリーク経路及び第2のプランジャーリーク経路を有する、プランジャーピストン密封室と;
吸引弁燃料入口を通じて燃料油を取り入れるための吸引一方向弁と、前記吸引一方向弁から前記プランジャー圧縮室に燃料油を供給するためのプランジャー室供給路と;
逆止弁供給路を通じて前記プランジャー圧縮室に流体連通している逆止弁であって、前記逆止弁供給路を通じて前記プランジャー圧縮室から前記逆止弁に燃料油が供給される、逆止弁と;
ノズル弁室、ノズル弁ピストン遮断軸、ノズル弁ばね、ノズル弁座及びノズル弁開口部を備えるノズル弁であって、前記ノズル弁ピストン遮断軸が、前記ノズル弁の前記開口部を貫通して突出するノズル弁ピストン遮断軸先端部を有する、ノズル弁と;
前記プランジャー圧縮室又はプランジャーピストン燃料油開口部から前記逆止弁を通じて前記ノズル弁室に燃料油を供給するために、前記逆止弁から前記ノズル弁室への流体接続を提供する複数のノズル弁室供給路と;
前記プランジャーピストン密封室から、前記弁の外面に配置された燃料油リーク口への流体接続を提供する第3のプランジャー圧縮リーク経路と;
を備え、前記第3のプランジャー圧縮リーク経路は、前記プランジャーピストンが前記プランジャーピストン密封室の最も上側の位置にあるときに、前記第2のプランジャーリーク経路の出口開口部によって面する位置において、前記プランジャーピストン密封室に面する入口開口部を有し、
前記方法は、
所定のリークテスト燃料油油圧で燃料油を前記吸引弁燃料入口に供給し、また前記吸引一方向弁及び前記ピストン燃料油開口部を通じて前記プランジャー圧縮室に供給することを含み、前記所定のリークテスト燃料油油圧は、前記逆止弁を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも低く、かつ前記プランジャーピストンにプランジャー油油圧が加えられていないときに前記プランジャーピストンを最も上方位置まで持ち上げるのに必要な燃料油油圧よりも高く;
前記方法は更に、前記供給した燃料油が前記燃料油リーク口から漏れていないか確認することを含む;
方法。
【請求項14】
前記所定のリークテスト燃料油油圧は、20~40barの範囲、例えば25~35barの範囲、例えば約30barであり、
前記プランジャーピストンには、前記プランジャー油油圧を有するプランジャー油が供給されない、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法であって、
前記テスト中の前記噴射弁は、前記ノズル弁ピストン遮断軸に連結された油圧ピストンを保持する油圧ピストン室を有し、前記油圧ピストンは、前記ノズル弁を開閉するために、制御油供給路を通じた制御油の供給により制御され、前記制御油はある制御油油圧で供給され;
前記テスト中の前記噴射弁は更にシール油路を有し、前記シール油路は、前記プランジャーピストンを密封するために前記プランジャーピストン密封室と流体連通すると共に、前記油圧ピストンを密封するために前記油圧ピストン室と流体連通し;
前記方法は、燃料油の供給前に、前記シール油路を通じて前記プランジャーピストン密封室及び前記油圧ピストン室に第1のシール油油圧でシール油を供給することを含む密封ステップを含み、
ここで前記第1のシール油油圧は、前記プランジャーピストン密封室内で前記プランジャーピストンを密封するために、及び、前記油圧ピストン室内で前記油圧ピストンを密封するために必要な、所定のシール油油圧以上の圧力である、
方法。
【請求項16】
内燃機関用の噴射弁をテストする方法であって、
前記噴射弁は、
プランジャー圧縮室を形成するためのプランジャーピストンを有するプランジャーピストン密封室を備え、前記プランジャーピストンは、カバープランジャー油供給路を通じたプランジャー油の供給によって制御され、前記プランジャー油はプランジャー油圧力で供給される、プランジャーピストン密封室と;
吸引弁燃料入口を通じて燃料油を取り入れるための吸引一方向弁と、前記吸引一方向弁から前記プランジャー圧縮室に燃料油を供給するためのプランジャー室供給路と;
逆止弁供給路を通じて前記プランジャー圧縮室に流体連通している逆止弁であって、前記逆止弁供給路を通じて前記プランジャー圧縮室から前記逆止弁に燃料油が供給される、逆止弁と;
ノズル弁室、ノズル弁ピストン遮断軸、ノズル弁ばね、ノズル弁座及びノズル弁開口部を備えるノズル弁であって、前記ノズル弁ピストン遮断軸が、前記ノズル弁の前記開口部を貫通して突出するノズル弁ピストン遮断軸先端部を有する、ノズル弁と;
前記プランジャー圧縮室又はプランジャーピストン燃料油開口部から前記逆止弁を通じて前記ノズル弁室に燃料油を供給するために、前記逆止弁から前記ノズル弁室への流体接続を提供する複数のノズル弁室供給路と;
を備え、前記方法は、
(aa)前記逆止弁を開くのに必要な燃料油油圧よりも低い、所定のノズル弁テスト燃料油油圧で、燃料油を前記吸引弁燃料入口に供給し、また前記吸引一方向弁を通じて前記プランジャー圧縮室に供給することと;
(bb)前記逆止弁を開くのに必要な逆止弁プランジャー油油圧以上であり、前記ノズル弁ばねの付勢力に打ち勝って前記ノズル弁を開くのに必要なノズル弁プランジャー油油圧以下である最初のノズル弁テストプランジャー油油圧で、プランジャー油を、前記カバープランジャー油供給路を通じて前記プランジャーピストンに供給することと;
(cc)供給した燃料油が前記ノズル弁開口部から漏れていないか確認することと;
を含む、方法。
【請求項17】
前記所定のノズル弁テスト燃料油油圧は、前記プランジャーピストンにプランジャー油油圧が加えられていないときにプランジャーピストンを最上位置までリフトさせるのに必要な所定の燃料油圧と等しいか、それよりも大きい、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記(aa)における前記所定のノズル弁テスト燃料油油圧は、20~40barの範囲、例えば25~35barの範囲、例えば約30barであり、前記最初のノズル弁テストプランジャー油油圧は140~160barの範囲、例えば約150barである、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記テスト中の前記噴射弁は、前記ノズル弁ピストン遮断軸に連結された油圧ピストンを保持する油圧ピストン室を有し、前記油圧ピストンは、前記ノズル弁を開閉するために、制御油供給路を通じた制御油の供給により制御され、前記制御油はある制御油圧で供給され、
前記テスト中の前記噴射弁は更にシール油路を有し、前記シール油路は、前記プランジャーピストンを密封するために前記プランジャーピストン密封室と流体連通すると共に、前記油圧ピストンを密封するために前記油圧ピストン室と流体連通し、
前記方法は、前記(bb)におけるプランジャー油の供給前、又は前記(aa)における燃料油の供給前に、前記シール油路を通じて前記プランジャーピストン密封室及び前記油圧ピストン室に第1のシール油油圧でシール油を供給することを含む密封ステップを含み、
ここで前記第1のシール油油圧は、前記プランジャーピストン密封室内で前記プランジャーピストンを密封するため、及び、前記油圧ピストン室内で前記油圧ピストンを密封するために必要な所定のシール油油圧以上の圧力である、
請求項16から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
(dd)前記プランジャーピストンへのプランジャー油の供給を、前記最初のノズル弁テストプランジャー油油圧から最終ノズル弁テストプランジャー油油圧まで段階的に増加させることであって、前記最終ノズル弁テストプランジャー油油圧は、前記ノズル弁ばねの付勢力に打ち勝って前記ノズル弁を開くのに必要なノズル弁プランジャー油油圧よりも大きい、前記増加させることと;
(ee)プランジャー油の供給量を増加させる各段階の後、前記供給した燃料油が前記ノズル弁開口部から出ているかどうかをチェックすることと;
を含む、請求項16から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記最終ノズル弁テストプランジャー油油圧は175~200barの範囲、例えば約185barであり、プランジャー油の供給を5bar刻みで増加させる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(ff)前記ノズル弁開口部から燃料油滴又は燃料油の流れが出たときに供給された燃料油の圧力を観察し、それによって前記ノズル弁(6a)の開弁圧力を決定することと;
(gg)前記プランジャーピストンへのプランジャー油の供給を、前記最終ノズル弁テストプランジャー油油圧から、前記決定された前記ノズル弁の開弁圧力より5~10barの範囲低い値を有する閉ノズル弁テストプランジャー油油圧に変更することと;
(hh)供給した燃料油が前記ノズル弁開口部から出ていないかをチェックすることと;
を含む、請求項20又は21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示される事項(以下、本開示という)は、液化石油ガス(LGP)などの液体ガス用の噴射弁をテストする方法に関する。
【背景】
【0002】
WO2016/155746は、メタノールなどの液体ガス用噴射弁の試験方法を開示している。この噴射弁は、2ストローク燃焼機関に使用されうる。噴射弁には、液体ガスの供給を制御するためのシール油と制御油が供給される。この文献に開示される噴射弁は、圧縮室を形成するためのプランジャーピストン室と、サクションピストンを有する吸込弁と、ノズルピストンを有するノズル弁と、1つ以上のノズル開口部と、制御油路とを有する。また、燃料流路が、プランジャーピストン室内の流体圧力によって供給されるサクションピストンの圧力によって吸込弁が開いているときと、制御油路を通じて供給される制御油の圧力によって供給されるノズルピストンの圧力によってノズル弁が開いているときに、プランジャーピストン室からノズル開口部への流体接続を提供する。WO2016/155746に開示された試験では、噴射弁はホルダに置かれる。またトップカバーは取り外され、コネクティングピースで置換される。制御油の圧力がノズル弁の開弁圧に達するまで昇圧され、噴射弁がノズル開口部からスプレー室に油を噴霧する。その結果、ノズル弁の開弁圧を検査することができる。しかし、吸込弁のリークテストについては何ら開示されていない。
【0003】
DK202070137A1及びWO2021/043380は、液化ガス用噴射弁の弁体をテストする方法、及び組み立てられた噴射弁をテストする方法を開示している。この噴射弁は、液化石油ガス(LPG)のための燃料昇圧噴射弁として使用されることができる。また、LPGを所望の噴射圧まで加圧することと、LPG噴射のタイミング及び期間が適切に行われるようにすることの、2つの機能を遂行するように設計されてもよい。
【0004】
通常運転中、噴射弁にはシール油、プランジャー油、制御油が供給され、また燃料として液体石油ガス(LPG)が供給される。シール油は、噴射弁の意図しない領域への液体ガスの内部リークを防止するためのものである。プランジャー油は燃料(LPG)を加圧するためのものである。制御油は、加圧された燃料ガスを燃焼室に送るために噴射弁を開くタイミングを制御する。噴射弁には常に液体燃料が供給されている。
【0005】
DK202070137A1及びWO2021/043380に開示される噴射弁の弁体は、圧縮室を形成するためのプランジャーピストン室と、サクションピストンを有する吸込弁と、1つ又は複数の燃料流路と、ノズルピストンを有するノズル弁と、1つ以上のノズル開口部と、制御油路とを有する。また、燃料流路が、プランジャーピストン室内の流体圧力によって供給されるサクションピストンの圧力によって吸込弁が開いているときと、制御油路を通じて供給される制御油の圧力によって供給されるノズルピストンの圧力によってノズル弁が開いているときに、プランジャーピストン室からノズル開口部への流体接続を提供する。弁体の試験には、吸引弁が気密であることを確認する試験と、ノズル弁が気密であることを試験する試験とが含まれる。
【0006】
MANエナジー・ソリューションズによって、2ストローク内燃機関用の新しいLPG用噴射弁が開発された。この噴射弁にも、シール油と、液体ガスの供給を制御するための制御油とが供給される。リーク(漏れ)が存在すれば、それは非常に危険である。
【0007】
従って、この新しい噴射弁のリークを検査するための改良された方法も必要であり、この噴射弁のための改良された作動試験も必要である。
【摘要】
【0008】
本開示の目的は、噴射弁の弁リークを検査するための改良された方法を提供することである。
【0009】
第1の捉え方に従うと、この目的は、内燃機関用の噴射弁(44)をテストする方法を提供することによって達成される。この噴射弁(44)は、
プランジャー圧縮室(74)を形成するためのプランジャーピストン(58)を有するプランジャーピストン密封室(136)であって、前記プランジャーピストン(58)は、底部にプランジャーピストン燃料油開口部(57b)を有し、カバープランジャー油供給路(63)を通じたプランジャー油の供給によって制御され、前記プランジャー油はプランジャー油油圧で供給される、プランジャーピストン密封室(136)と;
吸引弁燃料入口(72)を通じて燃料油を取り入れるための吸引一方向弁(70)と、前記吸引一方向弁(70)から前記プランジャー圧縮室(74)又は前記プランジャーピストン燃料油開口部(57b)に燃料油を供給するためのプランジャー室供給路(73)と;
逆止弁(77)であって、前記プランジャー圧縮室(74)又は前記プランジャーピストン燃料油開口部(57b)に、前記逆止弁(77)に燃料油を供給するための逆止弁供給路(75)を通じて流体連通している逆止弁(77)と;
ノズル弁室(81)、ノズル弁ピストン遮断軸(62)、ノズル弁ばね(96)、ノズル弁座(88)及びノズル弁開口部(61b)を備えるノズル弁(61a)であって、前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)が、前記ノズル弁(61a)の前記開口部(61b)を貫通して突出するノズル弁ピストン遮断軸先端部(61c)を有する、ノズル弁(61a)と;
前記プランジャー圧縮室(74)又は前記プランジャーピストン燃料油開口部(57b)から前記逆止弁(77)を通じて前記ノズル弁室(81)に燃料油を供給するために、前記逆止弁(77)から前記ノズル弁室(81)への流体接続を提供する複数のノズル弁室供給路(78a,78b,79a,79b,80a,80b)と;
を備え、前記方法は、
(a)前記ノズル弁(61a)の前記開口部(61b)を貫通して突出する前記ノズル弁ピストン遮断軸先端部(61c)に所定のリフト圧を加えることを含み、前記リフト圧は、前記ノズル弁ばね(96)が前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)に及ぼすばね力よりも高く、それにより、前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)を、ノズル弁座(88)からリフトした位置であって前記ノズル弁(61a)が開く位置に維持し;
(b)前記方法は更に、前記カバープランジャー油供給路(63)を通じて前記プランジャーピストン(58)に第1のテストプランジャー油油圧でプランジャー油を供給することを含み、前記第1のテストプランジャー油油圧は、前記プランジャーピストン(58)をプランジャーピストン密封室(136)の底部に維持するために必要な所定のプランジャー油油圧と等しいか又はそれよりも大きく、前記プランジャーピストン(58)がプランジャーピストン密封室(136)の底部に前記維持された状態において、前記プランジャー圧縮室(74)は閉鎖されるが、前記プランジャー室供給路(73)から前記プランジャーピストン燃料油開口部(57b)を通じて前記逆止弁供給路(75)への流体連通は維持され;
(c)前記方法は更に、第1の所定のテスト燃料油油圧で、燃料油を前記吸引弁燃料入口(72)に供給し、また前記吸引一方向弁(70)及び前記ピストン燃料油開口部(57b)を通じて前記逆止弁供給路(75)に供給することを含み、前記第1の所定のテスト燃料油油圧は、前記逆止弁(77)を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも低く;
(d)前記方法は更に、供給した燃料油が前記ノズル弁開口部(61b)から漏れていないかを確認することを含む。
【0010】
逆止弁77に漏れがなければ、ノズル弁開口部61bから燃料油が漏れ出ることが観察されることはないはずである。
【0011】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、テスト前の前記噴射弁(44)は組み立てられた状態にあり、前記組み立てられた状態において、前記噴射弁(44)の下部にはアトマイザ(43)が設けられ、前記ノズル弁開口部(61b)から前記アトマイザ(43)を通じて燃料を出力するために、前記ノズル弁ピストン遮断軸先端部(61c)が前記アトマイザ(43)内に突出する。前記噴射弁(44)のテスト時には前記アトマイザ(43)は取り外される。
【0012】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、テスト中の前記噴射弁(44)は、前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)に連結された油圧ピストン(64)を保持する油圧ピストン室(155)を有し、前記油圧ピストン(64)は、前記ノズル弁(61a)を開閉するために、制御油供給路(141、142)を通じた制御油の供給により制御される。前記制御油はある制御油圧で供給される。
【0013】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、テスト中の前記噴射弁(44)は、前記プランジャーピストン(58)を密封するために前記プランジャーピストン密封室(136)と流体連通すると共に、前記油圧ピストン(64)を密封するために前記油圧ピストン室(155)と流体連通する、シール油路(131、132、133、134)を有する。
そして前記方法は、ステップ(b)におけるプランジャー油の供給前に、前記シール油路(131、132、133、135)を通じて前記プランジャーピストン密封室(136)及び前記油圧ピストン室(155)に第1のシール油油圧でシール油を供給することを含む、密封ステップを含む。
ここで前記第1のシール油油圧は、前記プランジャーピストン密封室(23)内で前記プランジャーピストン(58)を密封するため、及び、前記油圧ピストン室(155)内で前記油圧ピストン(64)を密封するために必要な所定のシール油油圧以上の圧力である。
【0014】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、所定のシール油油圧は、60~100barの範囲、例えば70~90barの範囲、例えば80bar前後である。
【0015】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、テストされる前記燃料弁(44)は機能試験弁ホルダ(45)に配置され、
前記機能試験弁ホルダ(45)は、リフトピストン(67)及びリフト油路(66)を有するノズル弁ピストンリフトユニット(46b)を保持し、
前記ノズル弁ピストンリフトユニット(46b)は、前記リフトピストン(67)が前記ノズル弁ピストン遮断軸先端部(61b)に係合するように配置され、
前記リフト油路(68)を通じてリフトピストン(67)に所定の圧力でリフト油が供給され、それによって、前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)を上昇位置に維持するための前記所定のリフト圧が供給される。
【0016】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記ノズル弁ピストンリフトユニット(46b)は、リフトユニット燃料油リーク経路(83、84)及びリフトユニット燃料油出口(85)をさらに有し、前記リフトユニット燃料油リーク経路(83、84)及び前記リフトユニット燃料油出口(85)は前記ノズル弁開口部(61b)と流体連通しており、それによって、前記ノズル弁開口部(61b)から漏れ出る燃料油は、前記リフトユニット燃料油出口(85)から漏れ出る。
【0017】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記リフトユニット燃料油出口(85)は、該リフトユニット燃料油出口(85)から漏れ出る油を回収するための油噴射器室(59)に面している。
【0018】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記第1テストプランジャーの油圧は280~320barの範囲、例えば約300barである。
【0019】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、ステップ(b)において前記プランジャーピストン(58)にプランジャー油を供給するステップは、供給されたプランジャー油の油圧を第1の低い初期油圧までゆっくりと上昇させる第1のステップと、前記油圧を前記第1のテストプランジャー油油圧まで上昇させるステップとを含む。
【0020】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記第1の低い初期油圧は10~50barの範囲である。
【0021】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、ステップ(c)の前記第1の所定のテスト燃料油油圧は約30barである。
【0022】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記逆止弁(77)は、逆止弁ハウジング(87a)と、逆止弁スピンドル(86)と、逆止弁座(76)と、前記逆止弁スピンドル(86)を前記逆止弁座(76)に押し付けて前記逆止弁(77)を閉じるための逆止弁ばね(87b)とを備え、前記逆止弁(77)を開くのに必要な前記所定の燃料油油圧は、前記逆止弁ばね(87b)のばね力によって決定される。
【0023】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は、(e)前記逆止弁(77)が開くまで、前記吸引弁燃料入口(72)への燃料油の供給圧力をゆっくりと上昇させることを含む。
【0024】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記逆止弁(77)は、供給された燃料油の圧力が前記逆止弁ばね(87b)のばね力に打ち勝つと開く。
【0025】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は、(f)前記ノズル弁開口部(61b)から燃料油滴又は燃料油の流れが出たときに供給された燃料油の圧力を観察し、それによって前記逆止弁(77)の開弁圧力を決定する。
【0026】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は、(g)燃料油の供給圧力を、前記逆止弁(77)の前記決定された開弁圧力よりも十分に低い圧力まで解放することを含む。例えば、前記逆止弁(77)の決定された前記開弁圧力よりも少なくとも10~20bar低い圧力又は少なくとも30bar低い圧力まで解放することを含む。
【0027】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は、
(h)前記吸引弁燃料入口(72)への燃料油の供給圧力を、前記逆止弁(77)の前記決定された開弁圧力より3~5bar低い圧力に達するまで上昇させることと;
(i)供給した燃料油が前記ノズル弁開口部(61b)から漏れていないか確認することと;
を含む。
【0028】
逆止弁に漏れがなければ、ノズル弁開口部61bから燃料油が出ることはないはずである。
【0029】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、燃料油は、前記吸込弁燃料入口と流体連通している燃料油ポンプ(37)によって供給され、燃料油の油圧は燃料油油圧計(36)から読み取られる。
【0030】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は、
(j)前記燃料油ポンプ(37)を停止し、前記燃料油油圧計(36)が安定するまで約15秒間待ち、前記燃料油油圧計(36)の燃料油油圧を観察することと;
(k)約60秒待って、燃料油圧計(36)で燃料油圧を観察することと;
を含む。
【0031】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は、
前記ノズル弁ピストン遮断軸先端部(61c)から前記所定のリフト圧を除去することにより、前記ノズル弁ばね(96)のばね力により前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)を前記ノズル弁座(88)に押し付けて前記ノズル弁(61a)を閉じることと;
第2の所定のテスト燃料油油圧で、燃料油を前記吸引弁燃料入口(72)に供給し、また前記吸引一方向弁(70)及び前記ピストン燃料油開口部(57b)を通じて前記逆止弁供給路(75)に供給することと;
を含み、前記第2の所定のテスト燃料油油圧は、前記逆止弁(77)を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも高く、
前記方法は更に、供給した燃料油が前記ノズル弁開口部(61b)から漏れていないかを確認することを含む。
【0032】
ノズル弁61aに漏れがなければ、ノズル弁開口部61bから燃料油が出てくることはないはずである。
【0033】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記第2の所定のテスト燃料油油圧は、前記逆止弁(77)を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも約5bar高い。
【0034】
第2の捉え方によれば、内燃機関用の噴射弁(44)をテストする方法が提供される。この噴射弁(44)は、
プランジャー圧縮室(74)を形成するためのプランジャーピストン(58)を有するプランジャーピストン密封室(136)であって、前記プランジャーピストン(58)は、底部にプランジャーピストン燃料油開口部(57b)を有し、カバープランジャー油供給路(63)を通じたプランジャー油の供給によって制御され、前記プランジャー油はプランジャー油油圧で供給される、プランジャーピストン密封室(136)と;
吸引弁燃料入口(72)を通じて燃料油を取り入れるための吸引一方向弁(70)と、前記吸引一方向弁(70)から前記プランジャー圧縮室(74)又は前記プランジャーピストン燃料油開口部(57b)に燃料油を供給するためのプランジャー室供給路(73)と;
逆止弁(77)であって、前記プランジャー圧縮室(74)又は前記プランジャーピストン燃料油開口部(57b)に、前記逆止弁(77)に燃料油を供給するための逆止弁供給路(75)を通じて流体連通している逆止弁(77)と;
ノズル弁室(81)、ノズル弁ピストン遮断軸(62)、ノズル弁ばね(96)、ノズル弁座(88)及びノズル弁開口部(61b)を備えるノズル弁(61a)であって、前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)が、前記ノズル弁(61a)の前記開口部(61b)を貫通して突出するノズル弁ピストン遮断軸先端部(61c)を有する、ノズル弁(61a)と;
前記プランジャー圧縮室(74)又は前記プランジャーピストン燃料油開口部(57b)から前記逆止弁(77)を通じて前記ノズル弁室(81)に燃料油を供給するために、前記逆止弁(77)から前記ノズル弁室(81)への流体接続を提供する複数のノズル弁室供給路(78a,78b,79a,79b,80a,80b)と;
を備え、前記方法は、
前記カバープランジャー油供給路(63)を通じて前記プランジャーピストン(58)にテストプランジャー油油圧でプランジャー油を供給することを含み、前記テストプランジャー油油圧は、前記プランジャーピストン(58)をプランジャーピストン密封室(136)の底部に維持するために必要なプランジャー油油圧と等しいか又はそれよりも大きく、前記プランジャーピストン(58)がプランジャーピストン密封室(136)の底部に前記維持された状態において、前記プランジャー圧縮室(74)は閉鎖されるが、前記プランジャー室供給路(73)から前記プランジャーピストン燃料油開口部(57b)を通じて前記逆止弁供給路(75)への流体連通は維持され;
前記方法は更に、第2の所定のテスト燃料油油圧で、燃料油を前記吸引弁燃料入口(72)に供給し、また前記吸引一方向弁(70)及び前記ピストン燃料油開口部(57b)を通じて前記逆止弁供給路(75)に供給することを含み、前記第2の所定のテスト燃料油油圧は、前記逆止弁(77)を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも高く;
前記方法は更に、供給した燃料油が前記ノズル弁開口部(61b)から漏れていないかを確認することを含む。
【0035】
ノズル弁61aに漏れがなければ、ノズル弁開口部61bから燃料油が出てくることはないはずである。
【0036】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記第2の所定のテスト燃料油油圧は、前記逆止弁(77)を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも約5bar高い。
【0037】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記テストプランジャーの油圧は280~320barの範囲、例えば約300barである。
【0038】
第3の捉え方によれば、内燃機関用の噴射弁(44)をテストする方法が提供される。この噴射弁(44)は、
プランジャー圧縮室(74)を形成するためのプランジャーピストン(58)を有するプランジャーピストン密封室(136)であって、前記プランジャーピストン(58)は、カバープランジャー油供給路(63)を通じたプランジャー油の供給によって制御され、前記プランジャー油はプランジャー油油圧で供給され、前記プランジャーピストン(58)は更に、その底部から上部側壁部分への流体連通を提供する第1及び第2のプランジャーリーク経路(89,90)を有する、プランジャーピストン密封室(136)と;
吸引弁燃料入口(72)を通じて燃料油を取り入れるための吸引一方向弁(70)と、前記吸引一方向弁(70)から前記プランジャー圧縮室(74)に燃料油を供給するためのプランジャー室供給路(73)と;
逆止弁供給路(75)を通じて前記プランジャー圧縮室(74)に流体連通している逆止弁(77)であって、前記逆止弁供給路(75)を通じて前記プランジャー圧縮室(74)から前記逆止弁(77)に燃料油が供給される、逆止弁(77)と;
ノズル弁室(81)、ノズル弁ピストン遮断軸(62)、ノズル弁ばね(96)、ノズル弁座(88)及びノズル弁開口部(61b)を備えるノズル弁(61a)であって、前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)が、前記ノズル弁(61a)の前記開口部(61b)を貫通して突出するノズル弁ピストン遮断軸先端部(61c)を有する、ノズル弁(61a)と;
前記プランジャー圧縮室(74)又は前記プランジャーピストン燃料油開口部(57b)から前記逆止弁(77)を通じて前記ノズル弁室(81)に燃料油を供給するために、前記逆止弁(77)から前記ノズル弁室(81)への流体接続を提供する複数のノズル弁室供給路(78a,78b,79a,79b,80a,80b)と;
前記プランジャーピストン密封室(136)から、前記弁の外面に配置された燃料油リーク口(92)への流体接続を提供する第3のプランジャー圧縮リーク経路(91)と;
を備え、前記第3のプランジャー圧縮リーク経路(91)は、前記プランジャーピストン(58)が前記プランジャーピストン密封室(136)の最も上側の位置にあるときに、前記第2のプランジャー圧縮リーク経路(90)の出口開口部によって面する位置において、前記プランジャーピストン密封室(136)に面する入口開口部を有し、
前記方法は、
所定のリークテスト燃料油油圧で燃料油を前記吸引弁燃料入口(72)に供給し、また前記吸引一方向弁(70)及び前記ピストン燃料油開口部(57b)を通じて前記プランジャー圧縮室に供給することを含み、前記所定のリークテスト燃料油油圧は、前記逆止弁(77)を開くのに必要な所定の燃料油油圧よりも低く、かつ前記プランジャーピストン(58)にプランジャー油油圧が加えられていないときに前記プランジャーピストン(58)を最も上方位置まで持ち上げるのに必要な燃料油油圧よりも高く;
前記方法は更に、供給した燃料油が前記燃料油リーク口(92)から漏れていないか確認することを含む。
【0039】
燃料油リーク口92から燃料油が出ているのが確認できる。
【0040】
前記第3の捉え方の実装形態の一例において、前記所定のリークテスト燃料油油圧は、20~40barの範囲、例えば25~35barの範囲、例えば約30barである。
【0041】
前記第3の捉え方の実装形態の一例において、前記プランジャーピストン(58)には、プランジャー油油圧を有するプランジャー油が供給されない。
【0042】
前記第3の捉え方の実装形態の一例において、テスト中の前記噴射弁(44)は、前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)に連結された油圧ピストン(64)を保持する油圧ピストン室(155)を有し、前記油圧ピストン(64)は、前記ノズル弁(61a)を開閉するために、制御油供給路(141、142)を通じた制御油の供給により制御される。前記制御油はある制御油圧で供給される。
【0043】
前記第3の捉え方の実装形態の一例において、テスト中の前記噴射弁(44)は、前記プランジャーピストン(58)を密封するために前記プランジャーピストン密封室(136)と流体連通すると共に、前記油圧ピストン(64)を密封するために前記油圧ピストン室(155)と流体連通する、シール油路(131、132、133、134)を有する。
そして前記方法は、燃料油の供給前に、次の密封ステップを含む。すなわち、前記シール油路(131、132、133、135)を通じて前記プランジャーピストン密封室(136)及び前記油圧ピストン室(155)に第1のシール油油圧でシール油を供給することを含む。ここで前記第1のシール油油圧は、前記プランジャーピストン密封室(23)内で前記プランジャーピストン(58)を密封するため、及び、前記油圧ピストン室(155)内で前記油圧ピストン(64)を密封するために必要な所定のシール油油圧以上の圧力である。
【0044】
前記第3の捉え方の実装形態の一例において、所定のシール油圧は、60~100barの範囲、例えば70~90barの範囲、例えば80bar前後である。
【0045】
第4の捉え方によれば、内燃機関用の噴射弁(44)をテストする方法が提供される。この噴射弁(44)は、
プランジャー圧縮室(74)を形成するためのプランジャーピストン(58)を有するプランジャーピストン密封室(136)であって、前記プランジャーピストン(58)は、カバープランジャー油供給路(63)を通じたプランジャー油の供給によって制御され、前記プランジャー油はプランジャー油油圧で供給される、プランジャーピストン密封室(136)と;
吸引弁燃料入口(72)を通じて燃料油を取り入れるための吸引一方向弁(70)と、前記吸引一方向弁(70)から前記プランジャー圧縮室(74)に燃料油を供給するためのプランジャー室供給路(73)と;
逆止弁供給路(75)を通じて前記プランジャー圧縮室(74)に流体連通している逆止弁(77)であって、前記逆止弁供給路(75)を通じて前記プランジャー圧縮室(74)から前記逆止弁(77)に燃料油が供給される、逆止弁(77)と;
ノズル弁室(81)、ノズル弁ピストン遮断軸(62)、ノズル弁ばね(96)、ノズル弁座(88)及びノズル弁開口部(61b)を備えるノズル弁(61a)であって、前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)が、前記ノズル弁(61a)の前記開口部(61b)を貫通して突出するノズル弁ピストン遮断軸先端部(61c)を有する、ノズル弁(61a)と;
前記プランジャー圧縮室(74)又は前記プランジャーピストン燃料油開口部(57b)から前記逆止弁(77)を通じて前記ノズル弁室(81)に燃料油を供給するために、前記逆止弁(77)から前記ノズル弁室(81)への流体接続を提供する複数のノズル弁室供給路(78a,78b,79a,79b,80a,80b)と;
を備え、前記方法は、
(aa)前記逆止弁(77)を開くのに必要な燃料油油圧よりも低い、所定のノズル弁テスト燃料油油圧で、燃料油を前記吸引弁燃料入口(72)に供給し、また前記吸引一方向弁(70)を通じて前記プランジャー圧縮室(74)に供給することと;
(bb)前記逆止弁(77)を開くのに必要な逆止弁プランジャー油油圧以上であり、前記ノズル弁ばね(96)の付勢力に打ち勝って前記ノズル弁(61a)を開くのに必要なノズル弁プランジャー油油圧以下である最初のノズル弁テストプランジャー油油圧で、プランジャー油を、前記カバープランジャー油供給路(63)を通じて前記プランジャーピストン(58)に供給することと;
(cc)供給した燃料油が前記ノズル弁開口部(61b)から漏れていないか確認することと;
を含む。
【0046】
燃料油入口の吸引一方向弁70は、一方向弁であるので、圧力が印加された燃料油は、逆止弁77を通じてノズル弁室81にのみ逃げることができる。ノズル弁61aは開いてはならないので、ノズル弁開口部61bから燃料油が出ることはない。
【0047】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、前記所定のノズル弁テスト燃料油油圧は、前記プランジャーピストン(58)にプランジャー油油圧が加えられていないときにプランジャーピストン(58)を最上位置までリフトさせるのに必要な所定の燃料油圧と等しいか、それよりも大きい。
【0048】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、ステップ(aa)における前記所定のノズル弁テスト燃料油油圧は、20~40barの範囲、例えば25~35barの範囲、例えば約30barである。
【0049】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、前記最初のノズル弁テストプランジャー油油圧は140~160barの範囲、例えば約150barである。
【0050】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、テスト中の前記噴射弁(44)は、前記ノズル弁ピストン遮断軸(62)に連結された油圧ピストン(64)を保持する油圧ピストン室(155)を有し、前記油圧ピストン(64)は、前記ノズル弁(61a)を開閉するために、制御油供給路(141、142)を通じた制御油の供給により制御される。前記制御油はある制御油圧で供給される。
【0051】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、テスト中の前記噴射弁(44)は、前記プランジャーピストン(58)を密封するために前記プランジャーピストン密封室(136)と流体連通すると共に、前記油圧ピストン(64)を密封するために前記油圧ピストン室(155)と流体連通する、シール油路(131、132、133、134)を有する。
そして前記方法は、ステップ(bb)におけるプランジャー油の供給前、又はステップ(aa)における燃料油の供給前に、次の密封ステップを含む。すなわち、前記シール油路(131、132、133、135)を通じて前記プランジャーピストン密封室(136)及び前記油圧ピストン室(155)に第1のシール油油圧でシール油を供給することを含む。
ここで前記第1のシール油油圧は、前記プランジャーピストン密封室(23)内で前記プランジャーピストン(58)を密封するため、及び、前記油圧ピストン室(155)内で前記油圧ピストン(64)を密封するために必要な所定のシール油油圧以上の圧力である。
【0052】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、所定のシール油油圧は、60~100barの範囲、例えば70~90barの範囲、例えば80bar前後である。
【0053】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、逆止弁(77)は、逆止弁ハウジング(87a)と、逆止弁スピンドル(86)と、逆止弁座(76)と、逆止弁スピンドル(86)を逆止弁座(76)に対して付勢して逆止弁(77)を閉じるための逆止弁ばね(87b)とを備えており、逆止弁(77)を開くために必要な燃料油圧は、逆止弁ばね(87b)のばね力によって決定される。
【0054】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は、
(dd)前記プランジャーピストン(58)へのプランジャー油の供給を、前記最初のノズル弁テストプランジャー油油圧から最終のノズル弁テストプランジャー油油圧まで段階的に増加させることであって、前記最終のノズル弁テストプランジャー油油圧は、前記ノズル弁ばね(96)の付勢力に打ち勝って前記ノズル弁(61a)を開くのに必要なノズル弁プランジャー油油圧よりも大きい、前記増加させることと;
(ee)プランジャー油の供給量を増加させる各段階の後、供給した燃料油が前記ノズル弁開口部(61b)から出ているかどうかをチェックすることと;
を含む。
【0055】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、前記最終ノズル弁テストプランジャー油油圧は175~200barの範囲、例えば約185barである。
【0056】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、プランジャー油の供給を5bar刻みで増加させる。
【0057】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は、
(ff)前記ノズル弁開口部(61b)から燃料油滴又は燃料油の流れが出たときに供給された燃料油の圧力を観察し、それによって前記ノズル弁(6a)の開弁圧力を決定することを含む。
【0058】
前記第4の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は、
(gg)前記プランジャーピストン(58)へのプランジャー油の供給を、前記最終ノズル弁テストプランジャー油油圧から、前記決定された前記ノズル弁(61a)の開弁圧力より5~10barの範囲低い値を有する閉ノズル弁テストプランジャー油油圧に変更することと;
(hh)供給した燃料油が前記ノズル弁開口部(61b)から出ていないかをチェックすることと;
を含む。
【0059】
ノズル弁61aに漏れがなければ、燃料油は観察されないはずである。
【0060】
上述の課題やその他の課題が、独立請求項に記載の特徴により解決される。更なる実装形態は、従属請求項や発明の詳細な説明、図面から明らかになるだろう。本発明の上述の態様及び他の態様は、以下に説明される実施形態により更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
以下、図面に示される例示的な実施形態を参照しつつ、様々な側面や実施形態、実装例を詳細に説明する。
図1】例示的な実施形態による、機能試験弁ホルダに配置された噴射弁をテストするための、試験システムの図である。この試験システムは、制御油、シール油、コンスタントオイル、リフト油、燃料油、テストガス、それぞれの供給ラインを備える。
図2】例示的な実施形態による、組み立てられた噴射弁の全体図である。
図3】例示的な実施形態による、図2の組み立てられた噴射弁の縦断面図である。
図4】例示的な実施形態による、図3の組み立てられた噴射弁を第1の角度に回したときの縦断面図である。
図5】例示的な実施形態による、図3の組み立てられた噴射弁を第2の角度に回したときの縦断面図である。
図6】例示的な実施形態による、図2の組み立てられたトップカバーの拡大縦断面図である。
図7】例示的な実施形態による、図3の組み立てられた噴射弁を第3の角度に回転させたときの縦断面図である。
図8】例示的な実施形態による、図2の組み立てられた噴射弁のトップカバーの拡大図である。このトップカバーは入口ポートを備える。
図9図3の断面図の一部を拡大した縦断面図である。例示的な実施形態による、燃料吸入用の吸引一方向弁、燃料圧縮用のプランジャーピストン圧縮室、及び圧縮燃料の送出用の逆止弁の配置が示されている。
図10図9の拡大断面図の一部の拡大縦断面図であり、例示的な実施形態による、図9の逆止弁を第1の角度で示している。
図11図9の逆止弁を第2の角度で示す拡大縦断面図である。例示的な実施形態によるノズル弁に圧縮燃料を供給するための供給路の配置を説明するための図である。
図12】例示的な実施形態による、ノズル弁に圧縮燃料を供給するための更なる供給路の配置を示す拡大縦断面図である。
図13図5の断面図の一部を拡大した縦断面図である。例示的な実施形態による、油圧ピストンの作動のための制御油供給路及び制御油排出路の配置を示す。
図14図7の断面図の一部を拡大した縦断面図である。この断面図は、例示的な実施形態による、油圧ピストンからの油漏れを制御しシールするためのオイルリーク経路の配置を示す。
図15図2の組み立てられた噴射弁の一部の拡大縦断面図である。例示的な実施形態による、油圧ピストンからの燃料油漏れのためのオイルリーク経路の配置を示す。
図16図2の組み立てられた噴射弁の一部の拡大縦断面図である。例示的な実施形態による、中間弁部分及びアトマイザ部分からのオイル漏れを収集するためのオイルリーク経路の配置を示す。
図17図16の断面図の一部を拡大した縦断面図である。例示的な実施形態に従い、中間弁部の上面及び下面において漏れた油を集めるためのリーク油室の配置を示す。
図18図17の中間弁部の上面部分の断面図であり、例示的な実施形態に従う、オイルシールを有する様々な油路の配置を示す。
図19図17の中間弁部の下面に対向するスピンドルガイドハウジングの上面部分の断面図であり、例示的な実施形態に従う、オイルシールを有する様々な油路の配置を示す。
図20】例示的な実施形態による、アトマイザユニットのナットと対応するアトマイザが取り外された状態の、図2の噴射弁の全体図である。
図21】例示的な実施形態による、スプレー室とノズル弁ピストンリフトユニットを備えた機能試験弁ホルダに図20の噴射弁を配置した状態を示す。
図22図21の機能試験弁ホルダを別の角度から示す。例示的な実施形態による燃料油入口コネクティングピースとリフト油コネクティングピースの配置を示す。
図23】例示的な実施形態による機能試験弁ホルダのノズル弁ピストンリフトユニットに対する、図20の噴射弁の配置を示す拡大縦断面図である。
図24】例示的な実施形態による、図22の燃料油入口コネクティングピースに対する、図20の噴射弁の配置を示す拡大縦断面図である。
図25】例示的な実施形態による、図21の機能試験弁ホルダのテストスリーブに設けられた燃料油リーク口に対する、図20の噴射弁の配置を示す拡大縦断面図である。
図26】例示的な実施形態による、燃料油リーク口からスプレー室への燃料油排出用の燃料油排出スリーブを備えた図21の機能試験弁ホルダに対する、図20の噴射弁の配置を示す縦断面図である。
図27】例示的な実施形態による、検出試験弁ホルダに配置された、図2の組み立てられた噴射弁を示す。
図28図27の検出試験弁ホルダに対する、図2の噴射弁の配置を示す縦断面図である。例示的な実施形態に従って、この検出試験弁ホルダはテスト空気入口ポートと複数のテスト空気出口ポートとを有する。
図29】例示的な実施形態による、図28の検出試験弁ホルダと噴射弁を保持し、テスト空気出口ポートを検出試験液室に接続した試験構成を示す概略図である。
【詳細説明】
【0062】
好適な実施形態に従う噴射弁は、2ストローク内燃機関のために、MANエナジー・ソリューションズによって設計されている。この機関は、標準的な重油、又はプロパンとブタンの混合ガスなどの液化石油ガス(LGP)で動作可能な2元燃料機関である。
【0063】
この噴射弁は、液化石油ガス(LPG)のための燃料昇圧噴射弁として使用されることができる。また、LPGを所望の噴射圧まで加圧することと、LPG噴射のタイミング及び期間が適切に行われるようにすることの、2つの機能を遂行するように設計されてもよい。
【0064】
通常運転中、噴射弁にはシール油、プランジャー油、制御油、コンスタントオイルが供給され、また燃料として液化石油ガス(LPG)が供給される。シール油は、噴射弁の意図しない領域への液体ガスの内部リークを防止するためのものである。プランジャー油は燃料(LPG)を加圧するためのものである。制御油は、加圧された燃料ガスを燃焼室に送るために噴射弁を開くタイミングを制御する。噴射弁には常に液体燃料が供給されている。制御油が供給されている間は噴射弁は閉じている。制御油の供給が止まり、プランジャー油の圧力が弁の開弁圧力に打ち勝つと、噴射弁は開く。供給されるコンスタントオイルは、供給される制御油の方向と反対方向に流れる。制御油が供給されると弁に閉弁のための圧力がかかり、制御油の供給が停止すると供給されるコンスタントオイルに対抗する圧力がなくなり、弁が開く。
【0065】
完全に組み立てられた噴射弁44の実施形態を、図2図19を参照して以下に説明する。
【0066】
噴射弁は、トップカバー120と、バレルフランジ121を有するバレルボディ122と、スピンドルガイドハウジング124と、バレルボディ122とスピンドルガイドハウジング124との間の中間部品123と、バレルボディ122と中間部品123及びスピンドルガイドハウジング124とを連結するためのスピンドルガイド結合ナット127と、圧縮燃料ガスを放出するためのアトマイザ43を保持するアトマイザ結合ナット126とを備える。図2及び図3を参照されたい。
【0067】
トップカバー120は、プランジャー油入口ポート49b、制御油入口ポート130、シール油入口ポート128、コンスタントオイル入口ポート129、及びエア抜き出口55を有する。コンスタントオイル入口ポート129は、通常運転時には制御油排出ポートとして機能するが、試験時には一定圧力での油供給に使用できる。トップカバー120はさらに、プランジャー油入口ポート49bと直接流体連通するカバープランジャー油路63と、エア抜き出口55と流体連通するカバー流路56a、56b、56cとを有する。図3図4図5図6及び図8を参照されたい。
【0068】
バレルボディ122は、プランジャーピストン密封室136に挿入されたプランジャーピストン58(図3及び図4を参照)と、と、プランジャーピストンヘッド室156を有する。プランジャーピストン58は、プランジャーピストンヘッド室156内を動く上部ピストンヘッドを有する。プランジャーピストン58の底部はプランジャー圧縮室74に面している。プランジャーピストン58の底部には、プランジャーピストン燃料油開口部57bが設けられている。プランジャーピストンヘッド室156の長さは、プランジャーピストン58の最大移動量を決定し、それによって圧縮室74の最小サイズを決定する。圧縮室74内の燃料の圧力は、プランジャーピストン58の頂部に供給される圧力によって決定される。プランジャーピストン58の頭部には、プランジャーピストン58の頭部とプランジャーヘッド室156とが接する箇所を密閉するためのプランジャーヘッドシール187が設けられており、バレルボディ122には、プランジャーピストン58と圧縮室74とが接する箇所を密閉するためのピストン室シール188が設けられている。プランジャーピストン58の底部には、2つのプランジャー圧縮室リーク経路89、90が設けられている。これらは、共にバレルボディ122内に設けられる第3のプランジャー圧縮室リーク経路91及び燃料油リーク口92と流体連通することができる。プランジャーピストン58が上方位置にあるとき、リーク経路89及び90は、リーク経路91、ひいては燃料油リーク口92と流体連通している。プランジャー油入口ポート49bを通じてプランジャー油路63にプランジャー油が供給されると、プランジャーピストン58が下方に押圧され、プランジャーピストン58の頭部とトップカバー120の底部との間にプランジャー油室57aが形成される(図6参照)。
【0069】
バレルボディ122はまた、プランジャーピストンヘッド室156から漏れたプランジャー油を対応する油リーク口157、158に排出するためのプランジャーピストンヘッド室リーク経路148、149を有する(図7参照)。シール油入口ポート128は、バレルボディ122、中間部品123、スピンドルガイドハウジング124に設けられたシール油路131、132、133、134と流体連通している。シール油路は、プランジャーピストン密封室136にシール油を供給するためのプランジャーピストン密封孔135に流体連通している。
【0070】
図4及び図9を参照すると、吸引弁入口ポート72を有する吸引一方向弁70がバレルボディ122に設けられていることが示されている。吸引弁入口ポート72及び吸引一方向弁70は、プランジャー室供給路73を通じてプランジャー圧縮室74に燃料を供給する。加圧された燃料は、プランジャーピストン圧縮室74から逆止弁供給路75を通じて逆止弁77に導かれる。プランジャーピストン58がプランジャーピストン圧縮室74の底部にあるとき、燃料はプランジャーピストン燃料油開口部57bを通じてプランジャー室供給路73から逆止弁供給路75に供給される。
【0071】
図10及び図11を参照すると、逆止弁77は、逆止弁スピンドル86を保持する逆止弁ハウジング87aによって形成されており、逆止弁スピンドル86は、逆止弁ばね87bによって逆止弁座76の方に押圧されている。供給される燃料からの圧力がばね87bからの圧力よりも大きいと、逆止弁77が開き、燃料がバレルボディ122のノズル弁室供給路78a、78bから、中間部品123のノズル弁室供給路79a、79bを経て、スピンドルガイドハウジング124のノズル弁室供給路80a、80bを通って、スピンドルガイドハウジングに形成されたノズル弁室81に供給される。
【0072】
逆止弁ハウジング87aの上部の周囲には逆止弁上部室186が形成され、逆止弁ハウジング87aとバレルボディ122との間に漏れが発生しないように逆止弁シール185が設けられている。シール185を通って漏出する燃料を回収するために第1の逆止弁リーク室145が設けられており、この第1のリーク室145は、燃料油リーク口92に至る第1の逆止弁リーク経路144と流体連通している。逆止弁ハウジング87a内の第2の逆止弁リーク室147は、第2の逆止弁リーク経路を通じて、第1逆止弁リーク室145と流体連通している(図3及び図10参照)。
【0073】
スピンドルガイドハウジング124は、油圧ピストンブッシング125内に油圧ピストン64を保持している(図15参照)。油圧ピストン64はノズル弁ピストンガイド95に接続され、さらにノズル弁61aの一部を形成するノズル弁ピストン遮断軸62に接続されている。ノズル弁61aは、ノズル弁室81内にノズル弁ばね96を有する。ノズル弁ばね96は、ノズル弁ピストン遮断軸62をノズル弁座88に押し付ける。弁座88の上方にはノズル弁下室82が形成されている。ノズル弁ピストン遮断軸62は、ノズル弁ピストン遮断軸先端61cを有する。ノズル弁ピストン遮断軸先端61cは、ノズル弁開口部61bから突出する。油圧ピストン64に圧力が印加されておらず、流路80a、80bを通じて供給される燃料からの圧力がばね96からの圧力より大きいとき、ノズル弁61aが開き、燃料流がノズル弁開口61b及びアトマイザ43を通じて噴霧される。
【0074】
油圧ピストン64に印加される圧力は、供給される制御油の圧力によって決定される。制御油は、制御油入口ポート130から、バレルボディ内の第1の制御油供給路140及び中間部品123内の第2の制御油供給路141を通じて、油圧ピストン64の上部に形成された油圧ピストン作動室65に供給される。制御油の供給が停止されると、制御油は、ピストン作動室65から、中間部品123内の制御油排出制限部143b及び第1の制御油排出路143aを経て、さらにバレルボディ122内の第2の制御油排出路を経て、コンスタントオイル入口ポート129に排出される(図5及び図15参照)。
【0075】
ブッシング125内でピストン64をシールするために、シール油が、シール油入口ポート128からシール油路134を通じて油圧ピストンブッシング125に供給され、油圧ピストンシールボア137に入る。油圧ピストンシールボア137は、油圧ピストンシール路138と、油圧ピストン64に面した油圧ピストンシール室139とに流体連通している(図4及び図14参照)。油圧ピストン64の上部には、油圧ピストン室155内を動く油圧ピストンヘッドが設けられる。油圧ピストンヘッドは、油圧ピストン室155内で油圧ピストンヘッドをシールするための油圧ピストンシール189を有する。中間部品123の下面部は、油圧ピストン作動室65をシールするための油圧ピストン作動室シール184を有する(図14参照)。
【0076】
図14及び図15に図示されているように、油圧ピストンブッシング125に関連して多数のシール、シール室及びシール流路が設けられている。これらについては以下でも説明する。制御油は、油圧ピストンシール189から油圧ピストン室155に漏れることがあり、そこから油圧ピストンブッシングリーク経路154を通じて油圧ピストンブッシングリーク室153に流れることがある。リーク室153から漏出した制御油は、第1、第2及び第3の制御油及びシール油リーク経路152、151及び150を通じて油リーク口158に流れる可能性がある。油圧ピストンブッシング125は、作動室65からシール189を経由して油圧ピストンブッシングリーク室153に流入する可能性のある制御油をシールするために、第1の上部油圧ピストンブッシングシール190を有する。また、油圧ピストンブッシング125は、シールボア137からリーク室153に流入する可能性のあるシール油をシールするための第2の油圧ピストンブッシングシール191と、シールボア137からノズル弁ブッシングリーク室161に流入する可能性のあるシール油をシールするための第3の油圧ピストンブッシングシール192とを有する。ノズル弁ブッシングリーク室161は、スピンドルガイドハウジング124内の第1の燃料油リーク経路162、中間部品123内の第2の燃料油リーク経路163、及びバレルボディ122内の第3の燃料油リーク経路164に流体連通している。油圧ピストン64とノズル弁ピストンガイド95との接続部の周囲には、ノズル弁リーク室159が設けられている。ノズル弁リーク室159は、第4燃料油リーク経路160を通じてリーク室161に連通しており、これにより、ノズル弁室81からノズル弁ピストンガイド95に沿ってリークした供給燃料は、リーク室161から第1燃料油リーク経路164に流れることができる。
【0077】
図16及び図17は、リーク室及びリーク経路の更なる配置を示している。ノズル弁室81からノズル弁下部室88を経てノズル弁ピストン遮断軸62を通過して供給された燃料油は、アトマイザ43とアトマイザ結合ナット126との間のアトマイザ燃料油リーク室194に漏れることがある。リーク室194から漏出した燃料油は、アトマイザ燃料油リーク経路168及びスピンドルガイドハウジング124内のスピンドルガイド上部リーク油室171、中間部品123内の中間部上部リーク油室170及び中間部リーク油回収路169、バレルボディ122内の上部油リーク経路167を通り、上部油リーク経路167に流体連通する上部油リーク口165及び166を通じて流出する。中間部品123とスピンドルガイド結合ナット127との間には、中間部外側リーク室198が設けられ、中間部リーク経路197がリーク経路169とリーク室198とを連通している。
【0078】
中間部品123は、バレルボディ122とスピンドルガイドハウジング124との間を通る多数の供給路及びリーク経路を有する。また、これらの供給路及びリーク経路の数に対応する数のシールが必要となる。これは図18図19に示されており、図18は中間弁部品123の上面部分の断面図であり、図19は中間弁部品123の下面に面するスピンドルガイドハウジング124の上面部分の断面図である。
【0079】
図18において、第1の中間部上部シールリング172は第2の制御油供給路141をシールし、第2の中間部上部シールリング173は第1の制御油排出路143aをシールし、第3の中間部上部シールリング174はシール油路133をシールし、第4の中間部上部シールリング175は第2の制御・シール油リーク経路151をシールし、第5の中間部上部シールリング176は第2の燃料油リーク経路163をシールし、第6の中間部上部シールリング177はノズル弁供給路79aをシールし、第7の中間部上部シールリング178はノズル弁供給路79bをシールする。シールリング172、173、174、175、176、177、178の間には、リーク油を回収するための中間部上部リーク油室170が設けられる。リーク油室170は中間部リーク油回収路169に連通している。
【0080】
図19において、第1のスピンドルガイド上部シールリング179はノズル弁供給路79bをシールし、第2のスピンドルガイド上部シールリング180はノズル弁供給路79aをシールし、第3のスピンドルガイド上部シールリング181は第2の燃料油リーク経路163をシールし、第4のスピンドルガイド上部シールリング182は第2の制御・シール油リーク経路151をシールし、第5のスピンドルガイド上部シールリング183はシール油路133をシールする。シールリング179、180、181、182、183の間には、リーク油を回収するためのスピンドルガイド上部リーク油室171が設けられる。リーク油室171は中間部リーク油回収路168に連通している。スピンドルガイドハウジング124の上面には、油圧ピストン64を保持する油圧ピストンブッシング125に接続するための中央開口も設けられている。
【0081】
スピンドルガイド結合ナット127とスピンドルガイドハウジング124との間のシールとしてスピンドルガイド結合ナット内側シールリング199が設けられ、アトマイザ結合ナット126とスピンドルガイドハウジング124との間のシールとしてスピンドルガイドハウジングシール201が設けられている(図16参照)。さらに、スピンドルガイド結合ナット127の外側には、スピンドルガイド結合ナット外側シールリング200が設けられており、これも図16に図示されている。
【0082】
図2の噴射弁44の機能試験を行うために、図20に示すように噴射弁からアトマイザ結合ナット126とアトマイザ43を取り外す。これにより、スピンドルガイドハウジング124は覆われていない状態になり、ノズル弁ピストン遮断軸62の先端は、スピンドルガイドハウジング124の端部に突出する。スピンドルガイド結合ナット127は維持される。機能試験にはノズル弁77の試験が含まれる。この試験は、ノズル弁を開いた状態に保つために、ノズル弁ピストン遮断軸62をノズル弁座88からリフトする必要がある。
【0083】
機能試験を実施する場合、図20の噴射弁44は、図21から図26を参照した機能試験弁ホルダ45に取り付けられ、図1の試験システム1から供給される試験用のオイル(油)とガスが供給される。
【0084】
機能試験弁ホルダ45は、機能試験トッププレート46a、ノズル弁ピストンリフトユニット46b、機能試験トッププレート46aとリフトユニット46bとを連結するための弁ホルダナット46c、機能試験スリーブ46e、及びリフトユニット46bの下方の油噴射室59を備える。ドレンホース孔60はリフトユニット46bを貫通してドレンホース室59に通じている。機能試験弁接続ナット46dは、機能試験中、図20の噴射弁44を所定の位置に保持する。機能試験スリーブ46eは、噴射弁44のバレルボディ122が適切に嵌まるような寸法を有し、バレルボディ122の吸引弁入口ポート72に対向する燃料流入路71を有する。燃料油流入路71には、燃料油を流入させるための燃料油コネクティングピース47が接続される。機能試験スリーブ46eには機能試験スリーブ燃料油リーク口93が設けられる。機能試験スリーブ燃料油リーク口93は、バレルボディ122の燃料油リーク口92に面する。燃料油リーク口93には燃料油ドレンスリーブ94が接続される。燃料油ドレンスリーブ94はドレンホース孔60を通ってドレンホース室59内に達することができる。
【0085】
図1の試験装置1の供給ラインに接続するため、プランジャー油入口ポート49bにはプランジャー油コネクティングピース49aが接続され、制御油入口ポート130には制御油コネクティングピース50が接続され、シール油入口ポート128にはシール油コネクティングピース51が接続され、コンスタントオイル入口ポート129にはコンスタントオイルコネクティングピース52が接続されている。エア抜き口55には、エア抜きストップ弁53が設けられる。エア抜きストップ弁53は、エア抜きドレンホース54に接続される。予備脱気工程では、エア抜きストップ弁53は開かれており、エア抜きドレンホース54はドレンホース孔60を通って油噴射器室59に導かれる。
【0086】
ノズル弁ピストンリフトユニット46bは、試験システム1からリフト油の供給を受けるためのリフト油路66を有する。リフト油路66は、リフト油コネクティングピース48に接続される。リフトユニット46bの中央部は、機能試験弁ホルダ45に挿入されたときにノズル弁ピストン遮断軸62の突出先端部に密着する寸法に形成されており、リフト油路66にリフト油が供給されたときにノズル弁ピストン遮断軸62を持ち上げるためのリフトピストン67がリフトユニット46bに配置されている。ここで、ノズル弁ピストン遮断軸62のリフト長が、ピストン押し上げ距離68として図示されている。リフトされたノズル弁ピストン遮断軸62に沿って、燃料油が、リフトユニット燃料油リーク経路83、84にリークする可能性がある。リークした燃料油は、リフトユニット燃料油出口85を通じて油噴射室59へと排出される。
【0087】
図2の完全に組み立てられた噴射弁44は、リーク(漏れ)検出試験に曝される。リーク検出試験を行う際に、噴射弁44は検出弁ホルダ97aに設置され、あらゆる漏れを検出するために7barの空気が供給される。リーク検出試験中に弁44の様々な外側部分を流体的に分離するために、図28に示されるように、第1、第2、第3、第4及び第5のバレルボディ外側シールリング205、206、207、208及び209がバレルボディ122の外側部分に設けられる。
【0088】
図27図28及び図29を参照すると、検出弁ホルダ97aは、検出試験スリーブ97b、検出試験トッププレート97c、及び検出試験ボトムプレート97dを有する。検出試験ボトムプレート97dは、組み立てられた噴射弁44のアトマイザ43に適合する寸法の中央開口を有し、それによりアトマイザは、ボトムプレート97dから底部空気出口チャンバ204内へと突出する。底部空気出口チャンバ204は、検出試験スリーブ(DetectionTestSleeve,DTS)、底部空気出口ポート114、及び検出試験液排出弁108を有する。
【0089】
完全に組み立てられた噴射弁44が検出弁ホルダ97aに配置されるとき、噴射弁44は、プランジャー油コネクティングピース49a、制御油コネクティングピース50、シール油コネクティングピース51及びコンスタントオイルコネクティングピース52を保持している。エア抜き口55には、エア抜きストップ弁53が設けられている。このエア抜きストップ弁53は、リーク検出試験時には閉じられている。プランジャー油コネクティングピース49aには、プランジャー油栓115が挿入されている。
【0090】
検出試験スリーブ97bは、バレルボディ外側シールリング205、206、207、208、209に適合するようにサイズが決められている。それによって複数の空気入口チャンバ及び出口チャンバを形成する。検出試験スリーブ97bはさらに、図28に示されるように、次に説明する多くの空気入口ポート及び出口ポートを保持する。検出試験スリーブDTS空気入口ポート107と、検出試験スリーブDTS空気流入路195とは、検出試験スリーブDTS空気入口チャンバ196につながっており、シールリング200と209によってシールされている。検出試験スリーブDTS下部空気出口ポート110は、検出試験スリーブDTS下部空気出口チャンバ203に面し、シールリング200によって密閉されている。検出試験スリーブDTSバレルボディ空気出口ポートI(111)は、検出試験スリーブDTSバレルボディ出口チャンバI(210)に面し、シールリング209と208によってシールされている。検出試験スリーブDTSバレルボディ空気出口ポートII(113)は、検出試験スリーブDTSバレルボディ出口チャンバII(211)に対向し、シールリング206と205によってシールされている。検出試験スリーブDTSバレルボディ空気出口ポートIII(112)は、バレルボディ122の燃料油リーク口92に対向し、シールリング208と207によってシールされている。検出試験スリーブDTSバレルボディ空気出口ポートIII(112)は、シールリング207と206によってシールされている。
【0091】
液体を保持する検出試験液室106が設けられる。また、それぞれ空気出口ポート及びコネクティングピースに接続された複数の検出試験ホースが液室106内で終端し、液室106内の気泡により空気漏れを検出できるようにされておいる。検出試験ホース98は制御油コネクティングピース50に接続され、検出試験ホース99はシール油コネクティングピース51に、検出試験ホース100はコンスタントオイルコネクティングピース52に、検出試験ホース101はDTSバレルボディ空気出口ポートII(113)に、検出試験ホース102はDTSバレルボディ空気出口ポートIII(112)に、検出試験ホース103はDTSバレルボディ空気出口ポートI(111)に、検出試験ホース104はDTS下部空気出口ポート110に、検出試験ホース105はDTS下部空気出口ポート114に、それぞれ接続されている。各検出試験ホースは逆止弁109を有する。
【0092】
図1は、図20の噴射弁44の機能試験を実施するために使用される試験システム1を示す図である。
【0093】
試験システム1は、ガス入口1a、空気入口1b、ガス出口1c、制御油出口1d、シール油出口1e、燃料油出口1f、プランジャー油出口1g、リフト油出口1h、コンスタントオイル出口1iを備える。空気は、空気入口1bから7~10barの範囲の圧力で供給される。この加圧空気は、油圧制御弁(プランジャー油油圧制御弁12、リフト油油圧制御弁28、制御油/シール油油圧制御弁8、燃料油油圧制御弁33)への入力として使用される。ガス入口1aは、80~300barの範囲の圧力で、窒素の形態の試験ガスを注入するために設けられている。加圧された窒素は、窒素入口逆止弁22を通じて窒素ブースター20に供給され、続いて窒素ブースター20からガスストップ弁24に供給される。ガスストップ弁24からガス出口1cに出力されるガスの圧力を制御するために、窒素ガス圧力制御弁23が設けられている。
【0094】
作動油の形の試験液を供給するために、作動油を保持するためのオイルタンク16が設けられる。作動油は、粘度が10センチストークス(cSt)の鉱物作動油であってもよい。オイルタンク16には、オイルタンクフィラーキャップ17、オイルタンクストップ弁18、オイルフィルタ19が設けられている。オイルタンク16の出口は、ストップ弁18とオイルフィルタ19を通じて4つのエア駆動ポンプに接続されている。プランジャー油エア駆動ポンプ15はプランジャー油油圧制御弁12によって制御され、制御油/シール油エア駆動ポンプ7は制御油/シール油油圧制御弁8と制御油/シール油エアポンプ安全弁9によって制御される、リフト油エア駆動ポンプ31は、リフト油油圧制御弁28とリフト油エアポンプ安全弁29によって制御され、燃料油エア駆動ポンプ37は、燃料油油圧制御弁33と燃料油エアポンプ安全弁34によって制御される。プランジャー油エア駆動ポンプ15からの油圧はプランジャー油油圧計13から読み取ることができ、制御油/シール油エア駆動ポンプ7からの油圧は制御油/シール油油圧計6から読み取ることができ、燃料油エア駆動ポンプ37からの油圧は燃料油油圧計36から読み取ることができる。
【0095】
油圧アキュムレータ5も設けられている。アキュムレータ5は、250barの圧力までの燃料油でチャージすることができるものであってもよい。しかし、本試験システム1では、燃料油の最大圧力は50barである。油圧アキュムレータ5はメンブレンタイプのアキュムレータである。ゴム膜で仕切られたチャンバを有する。膜の片側には20~25barの窒素があり、膜の反対側には燃料油エア駆動ポンプ37から供給される作動油がある。作動油の圧力が0barである間,アキュムレータの全容積は窒素で満たされる。作動油の圧力が2~25barを超えると、作動油がアキュムレータの容積を満たし始めるため、窒素は圧縮され始める。試験システム1におけるアキュムレータ5の目的は,20~25barの圧力で作動油を内部に蓄積し、燃料油エア駆動ポンプ37から来る油圧変動を低減することである。
【0096】
プランジャー油方向制御弁10は、プランジャー油エア駆動ポンプ15又は窒素ブースター20からプランジャー油出口1gに供給されうるプランジャー油の供給を開閉するために設けられている。プランジャー油エア駆動ポンプ15からの油圧は、プランジャー油油圧計13から読み取ることができる。プランジャー油エア駆動ポンプ15からの油圧は、プランジャー油油圧解放弁11によって解放することができ、その場合、解放された作動油はオイルタンク16に逆流する。プランジャー油油圧安全弁14が設けられている。プランジャー油油圧安全弁14は、プランジャー油油圧エア駆動ポンプ15の出力側で320barの最大使用圧力に調整されている。プランジャー油の油圧が320barを超えると、プランジャー油油圧安全弁14が開き、作動油がオイルタンク16に逆流する。
【0097】
プランジャー油方向制御弁10は、ブースター油油圧逃がし弁21を通じて窒素ブースター20にも接続されている。窒素ブースター20は、窒素が入った入口チャンバと作動油が入った出口チャンバとを有し、入口チャンバの窒素の圧力を高めることによって作動油を昇圧することができる。プランジャー油油圧逃がし弁11とプランジャー油方向制御弁10の両方が閉じているとき、窒素ブースター20の出口チャンバの油圧は、供給される窒素の圧力とプランジャー油エア駆動ポンプ15から発生する油圧によって決定することができる。プランジャー油方向制御弁10を開くと、油圧がプランジャー油出口1gに供給される。
【0098】
燃料油エア駆動ポンプ37から燃料油出口1fに燃料油が供給される。燃料油エア駆動ポンプ37からの油圧は、燃料油油圧計36から読み取ることができる。燃料油エア駆動ポンプ37からの油圧は、燃料油油圧逃がし弁32によって解放することができ、その場合、解放された作動油は、オイルタンク16に逆流する。燃料油油圧計36を保護するために、燃料油油圧安全弁35が設けられている。燃料油油圧安全弁35は、燃料油エア駆動ポンプ37の出力側で最大作動圧力60barに調整されている。燃料油の圧力が60barを超えると、燃料油安全弁35が開き、作動油がオイルタンク16に逆流する。
【0099】
制御油/シール油エア駆動ポンプ7から、シール油出口1e又は制御油方向制御弁3への油供給の開閉のために、制御油/シール油方向制御弁2が設けられる。制御油方向制御弁3は、制御油出口1dへの油供給の開閉を制御する。制御油/シール油エア駆動ポンプ7からの油圧は、制御油/シール油油圧計6から読み取ることができる。制御油/シール油エア駆動ポンプ7からの油圧は、制御油油圧逃し弁4によって逃がすことができ、その場合、逃がされた作動油はオイルタンク16に逆流する。
【0100】
リフト油エア駆動ポンプ31からリフト油出口1hにはリフト油が供給される。リフト油エア駆動ポンプ31からの油圧は、リフト油油圧計30から読み取ることができる。リフト油エア駆動ポンプ31からの油圧は、リフト油油圧逃がし弁27によって解放することができ、その場合、解放された作動油は、オイルタンク16に逆流する。
【0101】
コンスタントオイル出口1iへの給油を開閉するためのコンスタントオイル弁26が設けられる。コンスタントオイル弁26には、オイルタンクストップ弁18及びオイルフィルタ19を通じて、オイルタンク16から直接オイルが供給される。オイルタンク16とコンスタントオイル出口1iの間のオイル供給ラインには、油圧を発生させるためのエア駆動ポンプは設けられていない。

〔噴射弁の機能試験〕
【0102】
機能試験には、逆止弁77の試験が含まれる。この試験では、ノズル弁を開いた状態に保つために、ノズル弁ピストン遮断軸62がノズル弁座88からリフトした位置に常に保持されることを必要とする。逆止弁77の試験に続いていくつかのテストが行われる。このときノズル弁ピストン遮断軸62は、通常の作動モードにある。これらの試験には、ノズル弁座88に対するノズル弁ピストン遮断軸62の気密性の試験、燃料噴射シーケンスの試験、及び吸引一方向弁70の間接的な試験が含まれる。
【0103】
図2の噴射弁44の機能試験を行うために、図20に示すように噴射弁からアトマイザ結合ナット126とアトマイザ43を取り外す。これにより、スピンドルガイドハウジング124は覆われていない状態になり、ノズル弁ピストン遮断軸62の先端は、スピンドルガイドハウジング124の端部に突出する。スピンドルガイド結合ナット127は維持される。機能試験を行う際は、図20の噴射弁44を機能試験弁ホルダ45に取り付ける(図21参照)。
【0104】
プランジャー油コネクティングピース49aはプランジャー油入口ポート49bに接続され、制御油コネクティングピース50は制御油入口ポート130に接続され、シール油コネクティングピース51はシール油入口ポート128に接続され、コンスタントオイルコネクティングピース52はコンスタントオイル入口ポート129に接続され、エア抜きストップ弁53はエア抜き出口55に接続されている。弁44のトップカバー120は、2つの機能試験弁接続ナット46dによって機能試験弁ホルダ45に固定されている。
【0105】
試験手続を開始する前に、試験システム1を以下のように初期設定する必要がある。
【0106】
空気入口1bを、最低7bar、最大10barの圧縮空気の外部供給源に接続し、ガス入口1aを、最低80barの窒素の外部供給源に接続する。
【0107】
油圧アキュムレータ5を、20~25barまでの窒素で充填する。
【0108】
燃料油油圧安全弁35を圧力60barに調整する。(安全弁35の目的は、動作範囲0-60barの燃料油油圧計36を保護することである。)安全弁14を320barに調整する。すべての圧力逃がし弁4、11、27、32を開に設定する。
【0109】
圧力制御弁33、8、28、12を閉位置に設定し、弁の出口圧力が0barになるようにする。
【0110】
各エアポンプの安全弁を最大圧力に調整する。
・ 燃料油エア駆動ポンプ37が最大50barの油圧を供給できるように、燃料油空気ポンプ安全弁34の圧力を調整する。
・ 制御油/シール油エア駆動ポンプ7が最大300barの油圧を供給できるように、制御油/シール油空気ポンプ安全弁9の圧力を調整する。
・ リフト油エア駆動ポンプ31が最大300barの油圧を供給できるように、リフト油空気ポンプ安全弁29の圧力を調整する。
【0111】
オイルタンクストップ弁18は開に設定する。
【0112】
ガスストップ弁24は閉に設定する。
【0113】
オイルタンク16には、粘度7~10cStの清浄な作動油を充填する。
【0114】
各フレキシブルホースを油出口1f,1d,1e,1i,1h,1gにそれぞれ接続する。これらのフレキシブルホースの他端には、通常は閉じているクイックカップリングを装備する。噴射弁とテスト弁ホルダの対応する接続部にクイックカップリングを接続すると、クイックカップリングが開く。ガス排出ポート1cには、通常は閉じているクイックカップリングを装備する。
【0115】
制御油出口1dを制御油コネクティングピース50に接続し、シール油出口1eをシール油コネクティングピース51に接続し、プランジャー油出口1gをプランジャー油コネクティングピース49aに接続し、コンスタントオイル出口1iをコンスタントオイルコネクティングピース52に接続する。燃料油出口1fを、機能試験スリーブ46eに接続された燃料油入口コネクティングピース47に接続し、リフト油出口1hを、ノズル弁ピストンリフトユニット48aに接続されたリフト油コネクティングピース48bに接続する。

〔脱気(Deaeration)〕
【0116】
逆止弁77をテストする前に、弁44の脱気を行う。
1.エア抜きドレンホース54をエア抜きストップ弁53に接続し、ドレンホース孔60を通してエア抜きドレンホース54を油噴射室59に繋ぐ。
2.試験装置1の制御油/シール油弁2をシール位置に設定する。
3.制御油油圧逃がし弁4を閉じる。
4.プランジャーピストン58と油圧ピストン64を潤滑又はシールするために、制御油/シール油油圧制御弁8と制御油/シール油油圧計6を使用して、シール油の油圧を80barまで上げる。
5.エア抜きストップ弁53を開く。
6.ブースター油油圧逃がし弁21を閉じる。
7.プランジャー油油圧逃がし弁11を閉じる。
8.プランジャー油方向制御弁10を開位置に設定する。
9.プランジャー油油圧制御弁12とプランジャー油油圧ゲージ13を使用して、プランジャー油の油圧を10~50barまで上昇させる。
これらによって、プランジャー油は、プランジャー油コネクティングピース49aを通り、カバープランジャー油路63を通って、プランジャー油室57aから全ての空気が抜けるまで、プランジャー油室57aに流れる。プランジャー油室57aから抜けた空気は、カバー流路56c、56b、56a、エア抜きストップ弁53、エア抜きドレンホース54を通って、噴射室59内へと流れる。
10.エア抜きドレンホース54から噴射室59へと気泡が入っていないか確認する。
11.エア抜きドレンホース54を通じて噴射室59に気泡が入らなくなったら、エア抜きストップ弁53を閉じる。
12.試験装置1の制御油/シール油弁2を制御位置に設定する。
13.制御油方向制御弁3を開位置に設定する。
14.コンスタントオイル弁26を開く。
15.制御油油圧逃がし弁4.を閉じる。
16.制御油/シール油油圧制御弁8と制御油/シール油油圧計6を使用して、制御油の油圧を10~50barまで上昇させる。
17.制御油コネクティングピース50に制御油を20秒間適用する。
制御油を10~50barの範囲の圧力で20秒間適用することにより、空気は、油圧ピストン64の上方に形成された油圧ピストン作動室65から、制御油ドレン制限部143b及びドレン流路143a,142を通って、コンスタントオイルポート129及びコンスタントオイルコネクティングピースを通り、コンスタントオイル弁26を通ってオイルタンク16に排出される。

〔逆止弁77のテスト〕
【0117】
このテストのためには、ノズル弁ピストン遮断軸62をノズル弁座88からリフトした位置に保持し、ノズル弁を開いた状態に保たなければならない。
【0118】
1.リフト油油圧制御弁28とリフト油圧ゲージ30を使用して、リフト油の油圧を300barまで上昇させる。リフト油油圧逃がし弁27は閉じていなければならない。
2.リフト油コネクティングピース48bに300barの圧力でリフト油を供給する。
これらにより、リフト油はリフト油路66を通ってリフトピストン67に流れる。するとリフトピストン67はリフトし、ノズル弁ピストン遮断軸62を約2mmの距離68だけ押し上げて、ノズル弁ピストン遮断軸62を開位置に維持する。ノズル弁ピストン遮断軸62は油圧ピストン64につながっており、この油圧ピストン64も同じ距離だけ押し上げられる。
【0119】
3.試験装置1の制御油/シール油弁2をシール位置に設定する。
4.制御油油圧逃がし弁4を閉じる。
5.プランジャーピストン58と油圧ピストン64を潤滑又はシールするために、制御油/シール油油圧制御弁8と制御油/シール油油圧計6を使用して、シール油の油圧を80barまで上昇させる。
6.ブースター油油圧逃がし弁21を閉じる。
7.プランジャー油油圧逃がし弁11を閉じる。
8.プランジャー油方向制御弁10を開位置に設定する。
【0120】
9.プランジャー油油圧制御弁12とプランジャー油油圧ゲージ13を使用して、プランジャー油の油圧を10~50barまでゆっくりと上昇させ、その後300barまで上昇させる。
これにより、プランジャーピストン58はプランジャー圧縮室74の底に到達するまでゆっくりと下方に移動する。
10.燃料油油圧逃がし弁32を閉じる。
11.燃料油油圧制御弁33と燃料油圧ゲージ36を使用して、燃料油の油圧を30barまで上昇させ、油圧アキュムレータ5を充填する。
12.油圧30barで燃料油を燃料油入口コネクティングピース47に供給する。
すると燃料油は、燃料入口流路71を通って、吸引弁入口ポート72から吸引一方向弁70に流入し、吸引一方向弁70からプランジャー室供給路73を通り、プランジャーピストン燃料油開口部57b、逆止弁供給路75と通って、逆止弁77に流入する。
ノズル弁77がきちんと閉じていないと、ノズル弁座76で漏れが生じ、燃料油はノズル弁室供給路78a、78b、79a、79b、80a、80bを通ってノズル弁室81に流れる。燃料油はノズル弁室81からノズル弁下室82に流れ、リフトしたノズル弁ピストン遮断軸62を通過し、リフトユニット燃料油リーク経路83、84に入り、リフトユニット燃料油出口85を通じて油噴射室59に出る。
【0121】
13.リフトユニット燃料油出口85から噴射室59に油が滴下又は流入していないかを確認する。
14.燃料油油圧制御弁33と燃料油油圧計36を使用して、逆止弁77が開くまで、リフトユニット燃料油出口85から油噴射室59への油滴又は油の流れを観察しながら、燃料油油圧を30bar以上にゆっくりと上昇させる。
逆止弁77は、逆止弁ばね87bによって逆止弁座76に対して押圧されている逆止弁スピンドル86を有し、逆止弁スピンドル86に作用する燃料油の圧力がばね87bの圧力よりも大きい場合に逆止弁77が開く。
15.観測された逆止弁77の開弁圧を書き留める。
16.燃料油油圧逃がし弁32と燃料油油圧制御弁33を開いて燃料油の油圧を解放する。
これは、逆止弁スピンドル86が逆止弁座76を適切に閉じ、弁スピンドル86と弁座76とが密着することを可能とする。
【0122】
17.燃料油油圧制御弁33と燃料油油圧計36を使用して燃料油油圧をゆっくりと上昇させ、観察された逆止弁開弁圧力から3~5barを差し引いた圧力に等しくする。
18.燃料油エア駆動ポンプにより油圧アキュムレータ5を充填する。
19.リフトユニット燃料油出口85から噴射室59に燃料油が滴下又は流入していないかを確認する。
燃料油が少しでも出てきたら、逆止弁に漏れがあるということである。ただし、少しの油滴であれば、まだ排出されていない燃料油である可能性があるため、許容される。
20.燃料油油圧制御弁33を使用して燃料油空圧ポンプ37をオフにする。
21.燃料油油圧計36が安定するまで15秒間待ち、圧力を記録する。
22.ストップウォッチを使って60秒間待ち、圧力がどれだけ下がったかを観察する。
【0123】
圧力が2bar以上低下していなければ、逆止弁77はテストに合格である。

〔ノズル弁座88に対するノズル弁ピストン遮断軸62の密着度のテスト〕
【0124】
この試験において、ノズル弁ピストン遮断軸62は、ノズル弁座88からリフトした位置に常時保持されておらず、通常の動作モードにある。
【0125】
1.リフト油油圧逃がし弁27とリフト油油圧制御弁28を開き、リフト油の油圧を解放する。
リフト油の油圧を解放することにより、ノズル弁ピストン遮断軸62は解放され、ノズル弁座88に係合して堅固な密着を保持する。
2.観測された逆止弁77の開弁圧より5bar高い圧力で燃料油を注入する。
逆止弁77は開いているので、燃料油はノズル弁室81を満たす。
3.リフトユニット燃料油出口85から噴射室59に燃料油が滴下又は流入していないかを確認する。
ノズル弁ピストン遮断軸82とノズル弁座88との間の密着が堅固であれば、リフトユニット燃料油出口85から油が出てくることは観察されないはずである。
4.燃料油油圧逃がし弁32と燃料油油圧制御弁33を開いて燃料油の油圧を解放する。
5.制御油油圧逃がし弁4と制御油/シール油油圧制御弁8を開き、シール油の油圧を解放する。
6.コンスタントオイル弁26を閉じる。
7.プランジャー油油圧逃がし弁11とプランジャー油油圧制御弁12を開き、プランジャー油の油圧を解放する。
8.ブースター油油圧逃がし弁21を開く。
9.窒素ブースター21にガス導入ポート1aから80~100barの窒素を供給する。
10.プランジャー油方向制御弁10及びプランジャー油油圧開放弁11を閉じる。
11.プランジャー油油圧制御弁12とプランジャー油油圧ゲージ13を使用して、窒素ブースター21内の圧力を150barまで上昇させる。
12.プランジャーピストン58と油圧ピストン64を潤滑又はシールするために、制御油/シール油油圧制御弁8と制御油/シール油油圧計6を使用して、シール油の油圧を80barまで上げる。
【0126】
13.燃料油油圧制御弁33と燃料油圧ゲージ36を使用して、燃料油の油圧を30barまで上昇させる。燃料油の油圧を上昇させる場合、燃料油油圧逃がし弁32は閉じていなければならない。
プランジャーピストン58の上部には圧力がないため、吸入一方向弁70から流入する燃料油の圧力によってプランジャー58がリフトする。プランジャーピストン58が上部までリフトすると、プランジャー圧縮室リーク経路90がプランジャー圧縮室リーク経路91に合流し、燃料油がプランジャー圧縮室74からプランジャー圧縮室リーク経路89、90、91を通って燃料油リーク室92に漏れ始める。燃料油は、燃料油リーク室92から機能試験スリーブ燃料油リーク口93に流れ、燃料油排出スリーブ94を通って油噴射室59へ達する。
ノズル弁ピストン遮断軸62の圧力は、ノズル弁座88とノズル弁ピストンガイド95の直径との間の領域に働く圧力によって決定される。ノズル弁ピストン遮断軸62の開弁圧力は、ノズル弁ばね96の力に打ち勝つのに必要な圧力であり、388~447barの範囲であるべきである。ピストンプランジャー58の油圧ギアは2.47である。従って、プランジャーピストン58の上部のプランジャー油室57aに供給される圧力からノズル弁ピストン遮断軸62を開くのに対応する圧力は、157~181barである。
【0127】
14.窒素ブースター20に蓄積されたプランジャー油油圧をプランジャーピストン58の頂部に加えるため、プランジャー油方向制御弁10を開位置に設定する。
15.リフトユニット燃料油出口85を経由して油噴射室59に油が滴下又は流入していないか確認する。
リフトユニットポート85からオイル噴射室59には油が噴射されていないはずである。プランジャー圧縮室74を保持するプランジャーピストン58とポンプバレルボディ122の間のオイル漏れは、プランジャー圧縮室リーク経路91、燃料油リーク室92、機能試験スリーブ燃料油リーク口93、燃料油ドレンスリーブ94を通って、油噴射室59に漏れることで、観測することができる。
16.プランジャー油方向制御弁10を閉じる。
17.プランジャー油油圧制御弁12とプランジャー油油圧ゲージ13を使用して、窒素ブースター21内の圧力を155barまで上昇させる。
18.窒素ブースター20に蓄積されたプランジャー油油圧をプランジャーピストン58の頂部に加えるため、プランジャー油方向制御弁10を開位置に設定する。
19.リフトユニット燃料油出口85を経由して油噴射室59に燃料油が滴下又は流入していないか確認する。
【0128】
20.プランジャー油方向制御弁10を閉じる。
プランジャー油の油圧を、160bar、165bar、170bar、175bar、180bar、185barと、5barずつ上げながら、テストステップ17~20を繰り返す。どのプランジャー油油圧でノズル弁ピストン遮断軸62がリフトし、燃料油がノズル弁座88を通ってリフトユニット燃料油リーク経路83と84に流れ、リフトユニット燃料油出口85から出てくるかを観察する。
ノズル弁遮断軸62が弁座88から浮き上がり、燃料油出口85から燃料油が流れ出たときのプランジャー油油圧を書き留め、そのプランジャー油油圧にギア比2.47を掛けてノズル弁室81内の圧力に換算する。この圧力を書き留める。
プランジャーピストン58の頂部に、開弁圧から5~10barを減じたプランジャー油油圧を供給しながら、ステップ17~20を繰り返すことにより、弁座88と遮断軸62との間の密着具合を再確認する。リフトユニット燃料油出口85から燃料油が流れないことを観察する。
【0129】
この試験の合格基準は、開弁圧が155~185barの範囲にあることである。

〔燃料噴射シーケンステスト〕
【0130】
1.燃料油油圧逃がし弁32と燃料油油圧制御弁33を開いて燃料油の油圧を解放する。
2.制御油油圧逃がし弁4と制御油/シール油油圧制御弁8を開き、シール油の油圧を解放する。
3.プランジャー油方向制御弁10を閉じる。
4.コンスタントオイル弁26を閉じる。
5.制御油/シール油弁2を制御位置に設定し、制御油方向制御弁3を開位置に設定する。
6.制御油油圧逃がし弁4を閉じ、制御油/シール油油圧制御弁8と制御油/シール油油圧計6を使用して、制御油の油圧を300barまで上昇させる。
油圧ピストン64の上に300barの制御油油圧を供給することにより、ノズル弁ピストン遮断軸62が開かないようにする。
7.プランジャー油油圧逃がし弁11を閉じる。プランジャー油油圧制御弁12とプランジャー油油圧ゲージ13を使用して、窒素ブースター21内の圧力を300barまで上昇させる。
8.燃料油油圧逃がし弁32を閉じ、燃料油油圧制御弁33と燃料油圧ゲージ36を使用して、燃料油の油圧を30barまで上昇させる。
プランジャーピストン58の上部には圧力がないため、吸引一方向弁70を通じてプランジャー圧縮室74に流入する燃料油が、プランジャーピストン58をリフトする。
【0131】
9.プランジャー油方向制御弁10を開き、昇圧されたプランジャー油油圧をプランジャーピストン58の頂部に印加する。
10.リフトユニット燃料油出口85を経由して油噴射室59に燃料油が滴下又は流入していないか確認する。
制御油が油圧ピストン64を押し下げ、遮断軸62も押し下げるため、燃料油出口85から燃料油が噴射されることはないはずである。
11.プランジャー油方向制御弁10を閉じる。
12.プランジャー油油圧制御弁12とプランジャー油油圧ゲージ13を使用して、窒素ブースター21内の圧力を300barまで上昇させる。
13.制御油/シール油弁2が制御位置に設定され、制御油方向制御弁3が開位置に設定されていることを確認する。
14.制御油の油圧が300barまで上がっていることを確認する。
15.プランジャー油方向制御弁10を開き、昇圧されたプランジャー油油圧をプランジャーピストン58の頂部に印加する。
16.1~2秒待つ。
【0132】
17.制御油方向制御弁3を閉じる。
制御油方向制御弁3は、2つの位置を持つ3方弁である。閉位置にあるとき、制御油/シール油弁2から制御油出口1dへは流体が流れることはできないが、制御油出口1dからオイルタンク16へは流体が流れることができる。そのため、弁3が閉じているときは、ポート1dの制御油の圧力は解放され、弁2が開位置にあるときは、油は弁2を経由して弁3を通って流れ、制御油出口1dには制御油の油圧がかかる。
ノズル弁室81内の燃料油の圧力は、ノズル弁ピストン遮断軸62をリフトすることができる。
【0133】
18.リフトユニット燃料油出口85を経由して油噴射室59に燃料油が滴下又は流入していないか確認する。
油噴射室59への燃料の噴射が生じたはずである。
【0134】
19.制御油方向制御弁3を開く。
20.制御油/シール油油圧制御弁8と制御油/シール油油圧計6を使用して、制御油の油圧を300barまで上昇させる。
21.リフトユニット燃料油出口85を経由して油噴射室59に燃料油が滴下又は流入していないか確認する。
制御油が油圧ピストン64を押し下げ、遮断軸62も押し下げるため、燃料油出口85から燃料油が噴射されることはないはずである。
【0135】
ステップ1から21を数回繰り返す。

〔吸引一方向弁のテスト70〕
【0136】
吸引一方向弁70は間接的にテストされる。
【0137】
1.リフト油油圧逃がし弁27を閉じた状態で、リフト油油圧制御弁28とリフト油油圧計30を使用してリフト油油圧を300barまで上昇させ、リフト油コネクティングピース48bに300barの圧力でリフト油を供給する。
これらにより、リフト油はリフト油路66を通ってリフトピストン67に流れる。するとリフトピストン67はリフトし、ノズル弁ピストン遮断軸62を約2mmの距離68だけ押し上げて、ノズル弁ピストン遮断軸62を開位置に維持する。ノズル弁ピストン遮断軸62は油圧ピストン64につながっており、この油圧ピストン64も同じ距離だけ押し上げられる。
【0138】
2.プランジャー油油圧逃がし弁11とブースター油逃がし弁21を閉じ、プランジャー油方向制御弁10を開いた状態で、プランジャー油油圧制御弁12とプランジャー油油圧計13を使用して、プランジャー油油圧を10~50barまでゆっくりと上昇させ、さらに300barまで上昇させる。プランジャー油油圧を上昇させるときは、プランジャー油油圧逃がし弁11を閉じる。
これにより、プランジャーピストン58はプランジャー圧縮室74の底に到達するまでゆっくりと下方に移動する。
【0139】
3.燃料油油圧逃がし弁32を閉じた状態で、燃料油油圧制御弁33と燃料油油圧計36を使用して、観察された逆止弁77開弁圧力よりも燃料油油圧をゆっくりと上昇させる。
4.リフトユニット燃料油出口85を経由して油噴射室59に燃料油が滴下又は流入していないか確認する。
逆止弁77が開かない場合は、燃料油出口85から燃料油が出ていないことになり、逆止弁スピンドル86か吸引一方向弁70のスピンドルのいずれかが動かなくなっていることを示す。
【0140】
ノズル弁座88に対するノズル弁ピストン遮断軸62の密着性試験中、又は燃料噴射シーケンス試験中に、燃料油油圧計36の針が60barまで上昇した場合、それは吸引DTS空気弁70の弁座からリークが発生している兆候である。

〔リーク検出テスト〕
【0141】
図2の完全に組み立てられた噴射弁44は、リーク検出テストを受ける。リーク検出テストを行う際に、完全に組み立てられた噴射弁44は検出弁ホルダ97aに置かれ、あらゆるリークを検出するために7barの空気が供給される。
【0142】
1.噴射弁44を機能試験弁ホルダ45から取り外し、アトマイザ結合ナット126とアトマイザ43を取り付け、図2の完全に組み立てられた噴射弁44を得る。アトマイザ結合ナット126を推奨トルクで締め付ける。
試験対象の弁44は、制御油コネクティングピース50、シール油コネクティングピース51、プランジャー油コネクティングピース49a、コンスタントオイルコネクティングピース52、及びエア抜きストップ弁53も保持している。
2.組み立てられた噴射弁44を検出試験弁ホルダ97aに挿入し、接続ナット46dを締めて弁44を固定する(図27参照)。
【0143】
3.検出試験ホース98、99、100、101、102、103、104、105と逆止弁109a~109hを以下のように接続する(Fig.29参照)。
・ ホース98を弁109aに接続し、弁109aを制御油コネクティングピース50に接続する。
・ ホース99を弁109bに接続し、弁109bをシール油コネクティングピース51に接続する。
・ ホース100を弁109cに接続し、弁109cをコンスタントオイルコネクティングピース52に接続する。
・ ホース101を弁109dと接続し、弁109dをDTS空気出口ポートII(113)に接続する。
・ ホース102を弁109eと接続し、弁109eをDTS空気出口ポートIII(112)に接続する。
・ ホース103と弁109fを接続し、弁109fをDTS空気出口ポートI(111))に接続する。
・ ホース104を弁109gと接続し、弁109gをDTS下側空気出口ポート110に接続する。
・ ホース105を弁109hと接続し、弁109hをDTS底部空気出口ポート114に接続する。
【0144】
4.プランジャー油コネクティングピース49bの孔をプランジャー油栓115で塞ぎ、エア抜きストップ弁53を閉じる。
5.すべてのフレキシブルホース98、99、100、101、102、103、104、105を、液体を保持する検出試験室106に挿入する。
弁108は検出試験液排出弁であり(図28及び図29を参照)、必要に応じて検出試験弁ホルダ97aの底部から液を排出する。
【0145】
7.DTS空気入口ポート107に7barの空気を供給し、検出スリーブ97aに供給する。
圧縮空気は、空気吸入ポート107から空気流入路195を通って空気入口チャンバ196に流れる(図28参照)。
【0146】
圧縮空気は、空気入口チャンバ196から上部リーク油出口166に流れ、上部リーク油路167、中間部リーク油回収路169、中間部リーク油出口197を通って中間部外側リーク油室198に流れることができる。シールリング199(図16参照)から空気が漏れると、空気はDTS下部空気排出室203からDTS下部空気出口ポート110へ流れ、弁109、ホース104を通って試験液室106へ流入する。シールリング199を通した空気の漏れは、液室106内の気泡として観察することができる。
【0147】
アトマイザ結合ナット126とアトマイザ43との間に漏れがあれば、空気は、空気入口チャンバ196から中間部リーク油出口チャネル197、アトマイザ燃料油リーク経路168を通ってアトマイザ燃料油リーク室194に流れ、底部空気出口チャンバ204に至る(図16及び図28を参照)。空気は、底部空気出口チャンバ204から底部空気出口ポート114、弁109h、ホース105を通って試験液室106に入る。結合ナット126とアトマイザ43との間の漏れは、液室106内の気泡として観察することができる。
【0148】
バレルボディ外側シールリング209から漏れがあれば、空気は空気入口チャンバ196からバレルボディ空気出口チャンバI(210)に流れ、バレルボディ空気出口ポートI(111)に至り、ポート111から弁109gとホース104を通って試験液室106に入る。液漏れは、液室106内の気泡として観察される。
【0149】
空気は、空気入口チャンバ196から上部オイルリーク口166に流れ、上部オイルリーク経路167を通って中間部上部リーク油室170に入る。図16図17を参照されたい。第4中間部上部シールリング175(図18参照)を通して漏れがあれば、空気は、中間部上部リーク油室170から第2制御油/シール油リーク経路151に流れ、第1制御油/シール油リーク経路150を通って油リーク口158(図7参照)に至り、出口158からバレルボディ出口チャンバII(211)を通って図28参照のバレルボディ空気出口ポートII(113)に至る。ポート113からは、弁109dとホース10を通って試験液室106に入る。シールリング175を通した漏れは、液室106内で気泡として観察される。
【0150】
圧縮空気は、空気入口チャンバ196から上部油リーク口166に流れ、上部オイルリーク経路167を通って上部油リーク口165に入り、バレルボディ空気出口チャンバIII(212)に流入する(図16及び図28参照)。第2バレルボディ外側シールリング206から漏れがあれば、空気は、バレルボディ空気出口チャンバIII(212)からバレルボディ出口チャンバII(211)に流れ、空気出口ポートII(113)に流入する。ポート113からは、弁109dとホース10を通って試験液室106に入る。シールリング206を通した漏れは、液室106内で気泡として観察される。
【0151】
空気は、空気入口チャンバ196から上部オイルリーク口166に流れ、上部オイルリーク経路167を通って中間部上部リーク油室(112)に入る。図16図17を参照されたい。第5中間部上部シールリング176(図18参照)を通してリークがあれば、空気は、中間部上部リーク油室170から第2燃料油リーク経路163へ流れ、第3燃料油リーク経路164を通って燃料リーク口92(図15及び図28参照)へと流れる。そして空気は、リーク口92からバレルボディ出口ポートIII(112)に流れ、弁109e及びホース102を通って試験液室106に入ることができる。第5の中間部上部シールリング176を通る漏れは、液室106内の気泡として観察される。
【0152】
圧縮空気は、空気入口チャンバ196から上部油リーク口166に流れ、上部オイルリーク経路167を通って上部油リーク口165に入り、バレルボディ空気出口チャンバIII(212)に流入する(図16及び図28参照)。第3バレルボディ外側シールリング207から漏れがあれば、空気は、バレルボディ空気出口チャンバIII(212)から燃料リーク口92に流れる。そして空気は、リーク口92からバレルボディ出口ポートIII(112)に流れ、弁109e及びホース102を通って試験液室106に入ることができる。第3バレルボディ外側シールリング207を通る漏れは、液体室106内の気泡として観察される。
【0153】
空気は、空気入口チャンバ196から上部オイルリーク口166に流れ、上部オイルリーク経路167を通って中間部上部リーク油室170に入る。図16図17を参照されたい。第3の中間部上部シールリング174(図18参照)から漏れがあれば、空気は、中間部上部リーク油室170からシール油路133へ流れ、シール油路133からシール油路132、131を通ってシール油入口ポート128とシール油コネクティングピース51へ流れる。そして、コネクティングピース51から弁109bとホース99を通って試験液室106に入る。第3の中間部上部シールリング174からの漏れは、液室106内の気泡として観察される。
【0154】
空気は、空気入口チャンバ196から上部オイルリーク口166に流れ、上部オイルリーク経路167を通って中間部上部リーク油室170に入る。図16図17を参照されたい。第2中間部上部シールリング173(図18参照)から漏れがあれば、空気は、中間部上部リーク油室170から制御油排出路142へ流れ、コンスタントオイル入口ポート129とコンスタントオイルコネクティングピース52へと流れる。そして、コネクティングピース52から弁109c、ホース100を通って試験液室106に流入する。第2中間部上部シールリング173を通じた漏れは、液室106内の気泡として観察される。
【0155】
空気は、空気入口チャンバ196から上部オイルリーク口166に流れ、上部オイルリーク経路167を通って中間部上部リーク油室170に入る。図16図17を参照されたい。もし第1中間部上部シールリング172(図18参照)から漏れがあれば、空気は、中間部上部リーク油室170から制御油供給路140へ流れ、制御油入口ポート130と制御油コネクティングピース50へと流れる。そして、コネクティングピース50から弁109a、ホース98を通って試験液室106に流入する。第1中間部上部シールリング172からの漏れは、液室106内の気泡として観察される。
【0156】
8.試験液室106を2分間観察する。検出試験ホース98-105のいずれかから泡が出たら、噴射弁44の内部に漏れがある証拠である。
この試験は、ホース98~105のそれぞれから60秒間に2個以上の気泡が観察されなければ合格となる。
【0157】
様々な実施例を用いて、本発明を説明してきた。しかし、本願の明細書や図面、特許請求の範囲を検討すれば、当業者は、特許請求の範囲に記載される発明を実施するにおいて、説明された実施形態に加えて多くのバリエーションが存在することを理解し、また具現化することができるであろう。特許請求の範囲に記載される「備える」「有する」「含む」との語句は、記載されていない要素やステップが存在することを排除しない。特許請求の範囲において記載される要素の数が複数であると明示されていなくとも、当該要素が複数存在することを除外しない。
【符号の説明】
【0158】
1・・・試験システム
1a・・・ガス入口
1b・・・空気入口
1c・・・ガス出口
1d・・・制御油出口
1e・・・シール油出口
1f・・・燃料油出口
1g・・・プランジャー油出口
1h・・・リフト油出口
1i・・・コンスタントオイル出口
2・・・制御油/シール油弁
3・・・制御油方向制御弁
4・・・制御油油圧逃がし弁
5・・・油圧アキュムレータ
6・・・制御油/シール油油圧計
7・・・制御油/シール油エア駆動ポンプ
8・・・制御油/シール油油圧制御弁
9・・・制御油/シール油エアポンプ安全弁
10・・・プランジャー油方向制御弁
11・・・プランジャー油油圧逃がし弁
12・・・プランジャー油油圧制御弁
13・・・プランジャー油油圧計
14・・・プランジャー油油圧安全弁
15・・・プランジャー油エア駆動ポンプ
16・・・オイルタンク
17・・・オイルタンクフィラーキャップ
18・・・オイルタンクストップ弁
19・・・オイルフィルタ
20・・・窒素ブースター
21・・・ブースター油油圧逃がし弁
22・・・窒素入口逆止弁
23・・・窒素ガス圧力制御弁
24・・・ガスストップ弁
25・・・窒素ガス圧力計
26・・・コンスタントオイル弁
27・・・リフト油油圧逃がし弁
28・・・リフト油油圧制御弁
29・・・リフト油エアポンプ安全弁
30・・・リフト油油圧計
31・・・リフト油エア駆動ポンプ
32・・・燃料油油圧逃がし弁
33・・・燃料油油圧制御弁
34・・・燃料油エアポンプ安全弁
35・・・燃料油油圧安全弁
36・・・燃料油油圧計
37・・・燃料油エア駆動ポンプ
44・・・燃料ブースター噴射弁(FBIV)
43・・・アトマイザ
120・・・トップカバー
49b・・・プランジャー油入口ポート
130・・・制御油入口ポート
128・・・シール油入口ポート
129・・・コンスタントオイル入口ポート
121・・・バレルフランジ
122・・・バレルボディ
123・・・中間部
124・・・スピンドルガイドハウジング
125・・・油圧ピストンブッシング
127・・・スピンドルガイド結合ナット
126・・・アトマイザ結合ナット
201・・・スピンドルガイドハウジングシール
63・・・カバープランジャー油流路
56a,56b,56c・・・カバー流路
55・・・エア抜き口
57a・・・プランジャー油室
58・・・プランジャーピストン
57b・・・プランジャーピストン燃料油開口部
156・・・プランジャーピストンヘッド室
74・・・プランジャー圧縮室
187・・・プランジャーピストンヘッドシール
188・・・プランジャーピストン室シール
148,149・・・プランジャーピストンヘッド室リーク経路
157,158・・・油リーク口
89,90,91・・・プランジャー圧縮室リーク経路
92・・・燃料油リーク口
135・・・プランジャーピストン密封孔
136・・・プランジャーピストン密封室
131,132,133,134・・・シール油路
70・・・吸引一方向弁
72・・・吸引弁燃料入口
73・・・プランジャー室供給路
77・・・逆止弁
75・・・逆止弁供給路
76・・・逆止弁座
86・・・逆止弁スピンドル
87a・・・逆止弁ハウジング
87b・・・逆止弁ばね
186・・・逆止弁上部室
185・・・逆止弁シール
144,146・・・逆止弁リーク経路
145,147・・・逆止弁リーク室
78a,78b,79a,79b,80a,80b・・・ノズル弁室供給路
140,141・・・制御油供給路
142,143a・・・制御油排出路
(排出路142と143aは常時オイルポート129に接続する)
143b・・・制御油排出制限部
64・・・油圧ピストン
189・・・油圧ピストンシール
65・・・油圧ピストン作動室
184・・・油圧ピストン作動室シール
155・・・油圧ピストン室
190,191,192,193・・・油圧ピストンブッシングシール
137・・・油圧ピストン密封孔
138・・・油圧ピストン密封路
139・・・油圧ピストン密封室
154・・・油圧ピストンブッシングリーク経路
153・・・油圧ピストンブッシングリーク室
150,151,152・・・制御油及びシール油のリーク経路
61a・・・ノズル弁
61b・・・ノズル弁開口部
62・・・ノズル弁ピストン遮断軸
61c・・・ノズル弁ピストン遮断軸先端
95・・・ノズル弁ピストンガイド
88・・・ノズル弁座
81・・・ノズル弁室
96・・・ノズル弁ばね
82・・・ノズル弁下室
159・・・ノズル弁ピストンリーク室
161・・・ノズル弁ブッシングリーク室
160,162,163,164・・・燃料油リーク経路
194・・・アトマイザ燃料油リーク室
168・・・アトマイザ燃料油リーク経路
169・・・中間部リーク油回収チャネル
197・・・中間部リーク油排出路
198・・・中間部外側リーク油室
167・・・上部オイルリーク経路
165,166・・・上部オイルリーク口
170・・・中間部上部リーク油室
171・・・スピンドルガイド上部リーク油室
172,173,174,175,176,177,178・・・中間部上部シールリング
179,180,181,182,183・・・スピンドルガイド上部シールリング
199・・・スピンドルガイド結合ナット・インナーシールリング
200・・・スピンドルガイド結合ナット・アウターシールリング
205,206,207,208,209・・・バレルボディ外側シールリング
49a・・・プランジャー油コネクティングピース
50・・・制御油コネクティングピース
51・・・シール油コネクティングピース
52・・・コンスタントオイルコネクティングピース
53・・・エア抜きストップ弁
54・・・エア抜きドレンホース
45・・・機能試験弁ホルダ
46a・・・機能試験用トッププレート
46b・・・ノズル弁ピストンリフトユニット
46c・・・弁ホルダナット
46d・・・機能試験弁接続ナット
46e・・・機能試験スリーブ
59・・・油噴射室
60・・・ドレンホース孔
47・・・燃料油入口コネクティングピース
48b・・・リフト油コネクティングピース
66・・・リフト油流路
67・・・リフトピストン
68・・・ピストン押し上げ距離
83,84・・・リフトユニット燃料油リーク経路
85・・・リフトユニット燃料油出口
71・・・燃料流入路
93・・・機能試験スリーブ燃料油リーク口
94・・・燃料油排出スリーブ
97a・・・検出試験弁ホルダ
97b・・・検出試験用スリーブ
97c・・・検出試験用トッププレート
97d・・・検出試験用ボトムプレート
115・・・プランジャー油プラグ
107・・・DTS空気入口ポート
195・・・DTS空気流入路
196・・・DTS空気入口チャンバ
203・・・DTS下部空気出口チャンバ
110・・・DTS下部空気出口ポート
204・・・DTS底部空気排出室
114・・・DTS底部空気出口ポート
210・・・DTSバレルボディ空気排出室I
111・・・DTSバレルボディ空気出口ポートI
211・・・DTSバレルボディ空気排出室II
113・・・DTSバレルボディの空気出口ポートII
212・・・DTSバレルボディ空気排出室III
112・・・DTSバレルボディの空気出口ポートIII
108・・・検出試験液排出弁
98,99,100,101,102,103,104,105・・・検出試験ホース
109a,109b,109c,109d,109e,109f,109g,109h・・・逆止弁
106・・・検出試験液室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【国際調査報告】