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特表2024-543256高電子移動度トランジスタ、無線周波数トランジスタ、電力増幅器および高電子移動度トランジスタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-20
(54)【発明の名称】高電子移動度トランジスタ、無線周波数トランジスタ、電力増幅器および高電子移動度トランジスタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20241113BHJP
【FI】
H01L29/80 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531257
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2021133250
(87)【国際公開番号】W WO2023092407
(87)【国際公開日】2023-06-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,ミン
(72)【発明者】
【氏名】ドワン,ホワンタオ
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GK04
5F102GK05
5F102GK08
5F102GL04
5F102GM04
5F102GM06
5F102GM08
5F102GQ01
5F102GQ02
5F102GR01
5F102GR04
5F102HC01
(57)【要約】
本願では、高電子移動度トランジスタ、無線周波数トランジスタ、電力増幅器、および高電子移動度トランジスタの調製方法が提供され、マイクロエレクトロニクス技術の分野に関し、窒素表面を有する高電子移動度トランジスタの特性が低いという技術的問題が解決される。本願において提供される高電子移動度トランジスタは、順次配置されたチャネル層、バリア層、および基板層を有する。チャネル層のバリア層と接触する表面は、2次元電子ガス層を有する。高電子移動度トランジスタは、さらに、ソースおよびドレインを有する。ソースおよびドレインは、チャネル層上に配置され、ソースおよびドレインは、チャネル層とオーミックコンタクトされる。本願の実施形態において提供される高電子移動度トランジスタは、低いオーミックコンタクト抵抗を実現することができ、高周波数および高電力のシナリオにおいてより良好に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電子移動度トランジスタであって、
順に配置されたチャネル層、バリア層、および基板層を少なくとも有し、
前記チャネル層には、前記バリア層と接触する2次元電子ガス層が形成され、
当該高電子移動度トランジスタは、さらに、ソースおよびドレインを有し、
前記ソースおよび前記ドレインは、前記チャネル層上に配置され、前記ソースおよび前記ドレインは、前記チャネル層とオーミックコンタクトされる、高電子移動度トランジスタ。
【請求項2】
前記2次元電子ガス層は、前記チャネル層と前記バリア層のヘテロ接合界面での分極効果により生じる2次元電子ガスの仮想層である、請求項1に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項3】
前記チャネル層の材料は、窒化ガリウムを含み、前記バリア層の材料は、窒化アルミニウムガリウムを含む、請求項1または2に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項4】
前記チャネル層の前記バリア層から遠い側の表面は、窒素表面である、請求項3に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項5】
前記基板層の材料は、ダイヤモンドを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項6】
さらに、ゲートを有し、
前記ゲートは、前記チャネル層上に配置され、前記ゲートは、前記チャネル層とショットキー接触される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項7】
さらに、核形成層およびゲートを有し、
前記核形成層は、前記チャネル層の前記バリア層から遠い側に配置され、
前記ゲートは、前記核形成層上に配置され、前記ゲートは、前記核形成層とショットキー接触される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項8】
前記核形成層の材料は、窒化アルミニウムを含む、請求項7に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項9】
前記バリア層は、前記チャネル層から遠ざかる方向に順次配置された、シリコンドープ窒化アルミニウムガリウム層と、アルミニウム成分が20%よりも多い窒化アルミニウムガリウム層と、を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項10】
さらに、高抵抗層を有し、
前記高抵抗層は、前記バリア層と前記基板層との間に配置される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項11】
前記高抵抗層の材料は、鉄ドープまたは炭素ドープされた窒化ガリウムを含む、請求項10に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項12】
前記チャネル層の前記バリア層から遠い側の材料は、ホール(hole)-ドープ化窒化ガリウムを含み、
当該高電子移動度トランジスタは、さらに、ゲートを有し、該ゲートは、前記ホール-ドープ化窒化ガリウムとショットキー接触される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタを備える、無線周波数トランジスタ。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタを備える、電力増幅器。
【請求項15】
高電子移動度トランジスタの調製方法であって、
基材上に、少なくともチャネル層、バリア層、および基板層を、特定の方向に順次成長させるステップと、
前記基材を除去するステップと、
前記チャネル層上にソースおよびドレインを調製するステップであって、前記ソースおよび前記ドレインは、前記チャネル層とオーミックコンタクトされる、ステップと、
を有する、調製方法。
【請求項16】
当該方法は、前記基材上にチャネル層を成長させるステップの前に、さらに、前記特定の方向において前記基材上に核形成層を成長させるステップを有し、
前記チャネル層は、前記核形成層上に配置される、請求項15に記載の調製方法。
【請求項17】
さらに、ゲートを調製するステップを有し、
前記ゲートは、前記核形成層上に配置され、前記ゲートは、前記核形成層とショットキー接触される、請求項16に記載の調製方法。
【請求項18】
当該方法は、前記基材を除去するステップの後に、さらに、前記核形成層を除去するステップを有する、請求項16に記載の調製方法。
【請求項19】
当該調製方法は、前記特定の方向において、前記基材上に核形成層を成長させる前記ステップの後に、さらに、
前記特定の方向において、前記核形成層上にバッファ層を成長させるステップ
を有する、請求項16に記載の調製方法。
【請求項20】
当該調製方法は、前記基材を除去するステップの後に、さらに、
前記核形成層および前記バッファ層を除去するステップ
を有する、請求項19に記載の調製方法。
【請求項21】
さらに、ゲートを調製するステップを有し、
前記ゲートは、前記チャネル層上に配置され、前記チャネル層とショットキー接触される、請求項15、18、または20に記載の調製方法。
【請求項22】
前記バリア層を成長させるステップは、前記特定の方向において、シリコンドープ窒化アルミニウムガリウム層と、アルミニウム成分が20%よりも高い窒化アルミニウムガリウム層と、を順次成長させるステップを有する、請求項15乃至21のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項23】
当該方法は、前記基板層を成長させるステップの前に、さらに、
前記特定の方向において、前記バリア層の表面に高抵抗層を成長させるステップ
を有する、請求項15乃至22のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項24】
当該調製方法は、前記基材を除去するステップの後に、さらに、
前記チャネル層の前記特定の方向から遠い側の表面に、ホール-ドープ化窒化ガリウムを調製するステップと、
前記ホール-ドープ化窒化ガリウム上にゲートを調製するステップであって、前記ゲートは、前記ホール-ドープ化窒化ガリウムとショットキー接触される、ステップと、
を有する、請求項15に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、マイクロエレクトロニクス技術の分野に関し、特に、高電子移動度トランジスタ、無線周波数トランジスタ、電力増幅器、および高電子移動度トランジスタの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイドバンドギャップ半導体窒化ガリウム(GaN)材料は、大きなバンドギャップ、高い破壊電界強度、高い分極係数、高い電子移動度、および高い電子飽和ドリフト速度という利点を有し、パワーエレクトロニクスおよび無線周波数の分野で徐々に使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在の窒化ガリウムに基づく高電子移動度トランジスタの構造は、欠陥を有し、改善される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願では、低いオーミックコンタクト抵抗を有する高電子移動度トランジスタ、無線周波数トランジスタ、電力増幅器、および高電子移動度トランジスタの製造方法が提供される。
【0005】
一態様では、本願により、順に配置された、チャネル層、バリア層、および基板層を少なくとも有する高電子移動度トランジスタが提供され、前記チャネル層には2次元電子ガス層が形成され、該2次元電子ガス層は、バリア層と接触される。当該高電子移動度トランジスタは、さらに、ソースおよびドレインを有し、該ソースおよびドレインは、チャネル層上に配置され、前記ソースおよび前記ドレインは、前記チャネル層とオーミックコンタクトされる。前記2次元電子ガス層は、前記チャネル層と前記バリア層の接合界面での分極効果により生じる。前記2次元電子ガス層は、前記チャネル層に配置され、前記2次元電子ガス層は、前記バリア層と接触する。従って、前記チャネル層の前記バリア層から遠い側の表面に、より低いオーミックコンタクト抵抗が得られ、または前記ソースと前記チャネル層の間および前記ドレインと前記チャネル層の間に、より低いオーミックコンタクト抵抗が存在することが理解され、その結果、高電子移動度トランジスタは、高周波数および高電力のシナリオにおいてより良好に使用され得ることが理解される。
【0006】
前記2次元電子ガス層は、前記チャネル層と前記バリア層のヘテロ接合界面での分極効果により生じる2次元電子ガスの仮想層である。前記2次元電子ガス層は、前記チャネル層に配置され、前記2次元電子ガス層は、前記バリア層と接触する。
【0007】
一実施形態では、前記チャネル層の材料は、窒化ガリウム(GaN)であり、前記バリア層の材料は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)であってもよい。高電子移動度トランジスタは、窒化アルミニウムガリウムと窒化ガリウムのヘテロ接合界面での分極効果により生成される2次元電子ガスを用いることにより、高い電子移動度を実現することができる。
【0008】
また、本願において提供される本実施形態では、前記チャネル層の前記バリア層から遠い側の表面は、窒素(N)表面である。あるいは、高電子移動度トランジスタの表面(すなわち、基板層か遠い側の表面)は、窒素表面であることが理解され得る。前記チャンネル層、前記バリア層、および前記基板層は、順に成長され、形成されてもよい。従って、本願のこの実施形態において提供される高電子移動度トランジスタの調製中、窒素表面を有する高電子移動度トランジスタは、より容易に得ることができ、窒素表面の結晶品質を効果的に確保することができる。また、窒素表面を有する高電子移動度トランジスタは、ガリウム(Ga)表面を有する高電子移動度トランジスタに比べて、より低いオーミックコンタクト抵抗を実現することができる。従って、窒素表面を有する高電子移動度トランジスタは、高周波数および高電力のシナリオにおいてより良好に使用することができる。
【0009】
特定の実施形態では、基板層の材料は、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンドなどであってもよい。本願において提供される一実施態様では、基板層は、ダイヤモンド材料で構成されてもよい。ダイヤモンド材料は、高い熱伝導率を有するため、部材の放熱特性を効果的に改善することができる。また、本願において提供される実施形態では、チャネル層、バリア層、および基板層は、順次成長され形成される。従って、ダイヤモンド基板層は、例えばマイクロ波プラズマ化学気相成膜法(Microwave Plasma Chemical Vapor Deposition、MPCVD)のようなプロセスを用いて、バリア層上に直接成長されてもよく、その結果、基板層の調製効率および品質が効果的に改善できる。
【0010】
ゲートに関し、一実施形態では、ゲートは、チャネル層上に配置され、チャネル層とショットキー接触してもよい。
【0011】
また、高電子移動度トランジスタの異なる構造に応じて、ゲートは、代替的に、別の構造上に配置されてもよい。
【0012】
例えば、本願において提供される一実施態様では、高電子移動度トランジスタは、さらに、核形成層を有してもよい。核形成層は、チャネル層のバリア層から遠い側に配置される。ゲートは、核形成層上に配置され、ゲートは、核形成層とショットキー接触される。核形成層の材料は、窒化アルミニウム(AlN)であってもよく、またはチャネル層の形成を容易にする別の材料であってもよい。これは、本願において限定されない。
【0013】
一実施形態では、バリア層は、窒化ガリウムアルミニウムを含んでもよい。あるいは、バリア層は、チャネル層から遠ざかる方向に順次配置された、シリコンドープ窒化アルミニウムガリウム層と、アルミニウム成分が20%よりも多い窒化アルミニウムガリウム層と、を有してもよい。シリコンドープ窒化アルミニウムガリウム層は、エネルギーバンドを調整することができ、ホールが拘束されることが防止される。アルミニウム成分が多い窒化アルミニウムガリウム層は、電子ガス濃度を効果的に向上させることができる。まとめると、高電子移動度トランジスタの特性は、シリコンドープ窒化アルミニウムガリウム層と、アルミニウム成分が20%よりも高い窒化アルミニウムガリウム層とを用いることにより、効果的に向上させることができる。
【0014】
前記高電子移動度トランジスタは、さらに、高抵抗層を有してもよい。特に、高抵抗層は、バリア層と基板層の間に配置される。核形成層、チャネル層、バリア層、高抵抗層、および基板層は、順に配置されてもよい。高抵抗層の材料は、鉄(Fe)ドープまたは炭素(C)ドープされた窒化ガリウムであってもよい。高抵抗層の主な機能は、高電子移動度トランジスタの抵抗値を上昇させることであり、その結果、高電子移動度トランジスタは、高い抵抗値が要求される適用シナリオにおいて使用できる。
【0015】
また、一実施形態では、高電子移動度トランジスタは、P型(またはノーマリークローズ)トランジスタであってもよい。例えば、前記高電子移動度トランジスタは、順次に配置されたチャネル層、バリア層および基板層を有する。また、チャネル層のバリア層から遠い側には、P型ドープ(またはホールドープ)窒化ガリウム層がある。また、ゲートは、P型ドープ窒化ガリウム層とショットキー接触される。ソースおよびドレインは、チャネル層とオーミックコンタクトされる。最終的な部材構造には、上記実施形態で説明した高抵抗層および核形成層等が存在していてもよい。本明細書では、詳細は、再度説明されない。
【0016】
別の態様では、本願により、さらに、前述の高電子移動度トランジスタのいずれか1つを含む、無線周波数トランジスタおよび電力増幅器が提供される。あるいは、本願において提供される高電子移動度トランジスタは、基地局、レーダー、携帯電話、およびノートブックコンピュータのような装置において、広く使用され得ることが理解され得る。高電子移動度トランジスタの特定の適用シナリオは、本願において限定されない。
【0017】
別の態様では、本願により、さらに、高電子移動度トランジスタの調製方法が提供される。当該方法は、基材上に、少なくともチャネル層、バリア層、および基板層を、特定の方向に順次成長させるステップと、前記基材を除去するステップと、前記チャネル層上にソースおよびドレインを調製するステップであって、前記ソースおよび前記ドレインは、前記チャネル層とオーミックコンタクトされる、ステップと、を有してもよい。基材は、シリコン(Si)または炭化ケイ素(SiC)のような材料であってもよい。本願のこの実施形態では、基材の主な機能は、基板として使用され、チャネル層およびバリア層のようなエピタキシャル構造を成長させるために使用され、エピタキシャル構造が調製されることであることが理解され得る。チャネル層の材料は、窒化ガリウムであってもよく、バリア層の材料は、窒化アルミニウムガリウムであってもよい。また、本願において提供されるこの実施形態では、チャネル層、バリア層、および基板層は、順次成長され形成される。従って、本願のこの実施形態において提供される調製方法における高電子移動度トランジスタの調製中、窒素表面を有する高電子移動度トランジスタをより容易に得ることができ、窒素表面の結晶品質を効果的に確保することができる。
【0018】
一実施態様では、当該調製方法は、さらに、ゲートを調製するステップを有してもよい。ゲートは、チャネル層上に配置されてもよく、ゲートは、チャネル層とショットキー接触してもよい。
【0019】
あるいは、いくつかの調製方法では、当該方法は、前記基材上にチャネル層を成長させるステップの前に、さらに、前記特定方向において前記基材上に核形成層を成長させるステップを有し、前記チャネル層は、前記核形成層上に配置されてもよい。
【0020】
さらに、ゲートの調製の間、ゲートは、核形成層上に配置され、核形成層とショットキー接触してもよい。
【0021】
あるいは、いくつかの調製方法では、核形成層は、基材が除去された後に除去されてもよい。
【0022】
あるいは、いくつかの調製方法では、前記特定の方向において、前記基材上に核形成層を成長させるステップの後に、当該方法は、さらに、前記特定の方向において、前記核形成層上にバッファ層を成長させるステップを有してもよい。
【0023】
基材が除去された後、核形成層およびバッファ層が除去されてもよい。バッファ層は、核形成層およびバッファ層自体の効果的な除去を容易にするために配置され、チャネル層の品質は、影響を受けない。
【0024】
いくつかの調製方法では、前記バリア層を成長させるステップは、特に、前記特定の方向において、シリコンドープ窒化アルミニウムガリウム層と、アルミニウム成分が20%よりも高い窒化アルミニウムガリウム層と、を順次成長させるステップを有してもよい。
【0025】
あるいは、いくつかの実施態様では、基板層を成長させるステップの前に、当該方法は、さらに、特定の方向において、バリア層の表面上に高抵抗層を成長させるステップを有してもよい。高抵抗層の主な機能は、高電子移動度トランジスタの抵抗値を上昇させることであり、その結果、高電子移動度トランジスタは、高い抵抗値が要求とされる適用シナリオにおいて使用できる。
【0026】
また本願において提供される調製方法に基づいて、さらに、P型(またはノーマルクローズ)高電子移動度トランジスタが調製されてもよい。例えば、P型高電子移動度トランジスタが調製される際、チャネル層にP型ドープ(またはホールドープ)窒化ガリウム層が追加されてもよく、ゲートは、P型ドープ窒化ガリウム層とショットキー接触する。
【0027】
特定の用途において、異なるプロセスの順序は、本願の調製方法における実際の要求に基づいて、適応的に調整されてもよいことが理解され得る。これは、本願において限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本願の実施形態による現在の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図2】本願の実施形態による高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図3】本願の実施形態による別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図4】本願の実施形態による製造プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図5】本願の実施形態による別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図6】本願の実施形態による調製プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図7】本願の実施形態による調製プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図8】本願の実施形態による調製プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図9】本願の実施形態による製調製プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図10】本願の実施形態による別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図11】本願の実施形態による別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図12】本願の実施形態による高電子移動度トランジスタの調製方法のフローチャートである。
図13】本願の実施形態による調製プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図14】本願の実施形態による調製プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図15】本願の実施形態による調製プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図16】本発明の実施例による調製プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図17】本願の実施形態による調製プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図18】本発明の実施例による調製プロセスにおける別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
図19】本願の実施形態による別の高電子移動度トランジスタの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするため、添付図面を参照して本願についてさらに詳細に説明する。
【0030】
以下、まず最初に、本願の実施形態において提供される高電子移動度トランジスタの理解を容易にするため、高電子移動度トランジスタの動作原理について説明する。
【0031】
高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)/窒化ガリウム(GaN)のヘテロ接合界面での分極効果により生じる2次元電子ガス(2DEG)を利用して、高い電子移動度を実現する。2次元電子ガスとは、接合界面に垂直な方向の電子の動きがポテンシャル井戸により拘束されることを意味し、従って、電子が量子化される一方、接合界面に平行な方向の電子の運動は、依然自由なままである。そのような電子薄層は、2次元電子ガスと呼ばれる。
【0032】
高電子移動度トランジスタは、マイクロ波無線周波数またはパワーエレクトロニクスのような、マイクロエレクトロニクスにおいて使用され得る。例えば、マイクロ波無線周波数の分野では、高電子移動度トランジスタが電力増幅器として使用されてもよく、高電子移動度トランジスタの主な機能は、アクティブアンテナユニット(AAU)内で無線周波数信号を増幅し、その後、アンテナを介して電磁波の形態で無線周波数信号を送信することである。パワーエレクトロニクスの分野では、高電子移動度トランジスタは、パワースイッチおよびドライブとして使用することができる。例えば、携帯電話、ノートブックコンピュータ、またはタブレットコンピュータのような端末装置において、高電子移動度トランジスタは、充電回路におけるスイッチとして使用されてもよい。ライダーのような装置において、高電子移動度トランジスタは、ドライブの主要構成部材として使用され得る。
【0033】
図1に示すように、一部の高電子移動度トランジスタでは、通常、基板として、シリコン(Si)または炭化ケイ素(SiC)が使用され、その後、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、および窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)のような材料が基板上で順次成長され調製される。次に、AlGaN層の上面に、ソース02、ドレイン03、およびゲート04が形成される。GaN層には、2次元電子ガス層01が形成され、2次元電子ガス層01は、AlGaN層と接触する。AlGaNを調製する場合、まず、化合物内に窒素(N)原子が形成され、その後、特定の方向に、N原子のベース上にアルミニウム(Al)原子とガリウム(Ga)原子が形成される。あるいは、微視的には、AlGaN層にN原子、Al原子、およびGa原子が順次配置され、その結果、現在の高電子移動度トランジスタの表面(例えば、図中の上部表面)は、Ga表面であることが理解され得る。しかしながら、Ga面を有する高電子移動度トランジスタと比較して、N表面を有する高電子移動度トランジスタでは、より低いオーミックコンタクト抵抗を実現することができる。従って、N表面を有する高電子移動度トランジスタは、高周波数および高電力のシナリオにおいてより良好に使用することができる。
【0034】
従って、本発明の目的は、より低いオーミックコンタクト抵抗を実現することができる高電子移動度トランジスタを提供することである。
【0035】
以下、本願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするため、以下では、添付図面および特定の実施形態を参照して、本願についてさらに詳細に説明する。
【0036】
以下の実施形態において使用される用語は、単に特定の実施形態を説明することを意図するものであり、本願を限定することを意図するものではない。また、本明細書および本願の添付の特許請求の範囲において使用される単数形の「1つの(one)」、「1つの(a)」、および「この(this)」という用語は、文脈において明確に別段の指定がない限り、「1つまたは複数の(one or more)」のような形態を含むことが意図される。さらに本願の以下の実施形態において、「少なくとも1つ」は、1つ、2つ、またはそれ以上を意味することが理解され得る。
【0037】
本明細書に記載された「実施形態」のような言及は、本願の1つまたは複数の実施形態が、実施形態と組み合わせて記載された特定の特徴、構造、または特性を含むことを意味する。従って、本明細書において、異なる場所に現れる「一実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、および「別の実施形態において」のような記述は、必ずしも同じ実施形態を表すことを意味するものではなく、代わりに、他の方法で特に強調されない限り、記載が「実施形態の全てではなく1つ以上」を表すことを意味する。「含む」、「有する」という用語、および該用語の変化形は全て、他の方法で特に強調されない限り、「これに限られるものではないが、含む」ことを意味する。
【0038】
図2に示すように、本願の実施形態では、高電子移動度トランジスタが提供される。高電子移動度トランジスタは、チャネル層30、バリア層20、および基板層10を有する。チャネル層30、バリア層20、および基板層10は、特定の方向に順次配置される。チャネル層30には、2次元電子ガス層01(図中、破線で表されている)が形成され、2次元電子ガス層01は、バリア層20と接している。チャネル層30上には、ソース02、ゲート04、およびドレイン03が配置され、ソース02およびドレイン03は、チャネル層30とオーミックコンタクトし、ゲート04は、チャネル層30とショットキー接触する。
【0039】
本願において提供される高電子移動度トランジスタにおいて、2次元電子ガス層は、チャネル層内に配置され、バリア層と接触している。従って、チャネル層のバリア層から遠い側の表面は、より低いオーミックコンタクト抵抗を実現することができ、その結果、高電子移動度トランジスタは、高周波数および高電力のシナリオにおいてより良好に使用され得る。
【0040】
2次元電子ガス層01は、チャネル層30とバリア層20のヘテロ接合界面において分極効果により生じた2次元電子ガスの仮想的な層である。2次元電子ガス層01は、チャネル層30内に配置され、バリア層20と接している。
【0041】
オーミックコンタクトとは、半導体が金属と接触する際に、通常、バリアが形成されることを意味する。しかし、半導体のドーピング濃度が高い場合、電子は、トンネル効果によって障壁を通過し、低抵抗のオーミックコンタクトを形成することができる。良好なオーミックコンタクトは、電流の入力および出力を容易にする。ショットキー接触とは、ゲート04(例えば、金属材料)とチャネル層30(例えば、半導体材料)とが接触した際に、半導体のエネルギーバンドが境界面で曲げられ、ショットキー障壁が形成されることを意味する。
【0042】
特定の実施形態では、チャネル層30の材料は、GaNであってもよい。バリア層20の材料は、AlGaNであってもよい。高電子移動度トランジスタは、AlGaNとGaNのヘテロ接合界面での分極効果により生じる2次元電子ガスを用いることにより、高い電子移動度が実現され得る。
【0043】
本願において提供されるこの実施形態では、高電子移動度トランジスタの表面(すなわち、基板層10から遠い側の表面)は、窒素(N)表面である。従って、高電子移動度トランジスタは、より低いオーミックコンタクト抵抗を実現することができ、または、ソース02とチャネル層30の間およびドレイン03とチャネル層30の間に、より低いオーミックコンタクト抵抗が存在することが理解され得る。その結果、高電子移動度トランジスタは、高周波数および高電力のシナリオにおいてより良好に使用され得る。また、本願において提供される実施形態では、チャネル層30、バリア層20および基板層10は、順に成長され形成される。従って、本願のこの実施形態において提供される高電子移動度トランジスタの調製中、N表面を有する高電子移動度トランジスタをより容易に得ることができ、N表面の結晶品質を効果的に高めることができる。また、N表面を有する高電子移動度トランジスタは、ガリウム(Ga)表面を有する高電子移動度トランジスタに比べて、低いオーミックコンタクト抵抗を実現することができる。従って、N表面を有する高電子移動度トランジスタは、高周波数および高電力のシナリオにおいてより良好に使用することができる。
【0044】
チャネル層30の厚さは、50nmから500nmの間の任意の値であってもよく、バリア層20の厚さは、10nmから100nmの間の任意の値であってもよい。特定の用途では、チャネル層30およびバリア層20の厚さは、実際の要求に基づいて好適に設定されてもよい。これは、本願において特に限定されない。また、別の実施形態では、チャネル層30の材料は、代わりにガリウムヒ素(GaAs)等であってもよく、バリア層20の材料は、ガリウムヒ素(AlGaAs)等であってもよい。特定の実施形態では、チャネル層30およびバリア層20の材料は、実際の要求に基づいて好適に選択され調整されてもよい。これは、本願において特に限定されない。
【0045】
特定の実施形態では、基板層10の材料は、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、またはダイヤモンドなどであってもよい。
【0046】
室温(例えば25℃)では、Siの熱伝導率は、約150W/mKであり、SiCの熱伝導率は、約370W/mKであり、ダイヤモンドの熱伝導率は、通常1000W/mKよりも大きい。
【0047】
SiまたはSiCの熱伝導率は、比較的低く、大きな熱抵抗が形成され、熱伝導率が温度上昇とともに低下するため、ある高電力用途のシナリオでは、不十分な放熱能力の問題が生じる。その結果、高電子移動度トランジスタは、トランジスタの長期信頼性を確保するため、低い電力密度でしか動作することができなくなる。例えば、GaN HMET部材の理論出力電力密度は、40W/mm 2よりも大きい。しかしながら、基板材料がSiまたはSiCである場合、高電子移動度トランジスタの長期信頼性を確保するため、高電子移動度トランジスタは、低電力密度(例えば、10W/mm未満)で動作させる必要がある。これでは、高電子移動度トランジスタの動作特性にはつながらない。
【0048】
従って、ダイヤモンド基板を有する高電子移動度トランジスタは、より良好な放熱を実現することができる。また、これにより、高電子移動度トランジスタの電力密度をさらに向上させることができる。
【0049】
基板がダイヤモンド材料で構成される場合、通常、調製プロセスにおいて、GaN層がダイヤモンド基板に接合される。しかしながら、接合プロセスは複雑でコストがかかり、大規模生産には不向きである。接合プロセスでは、処理を通してダイヤモンド表面を極めて平坦にする(例えば、表面粗さが1nm未満である)ことが必要となる。しかしながら、ダイヤモンドは硬度が高く、表面を極めて平坦に処理することは非常に大変である。また、接合プロセスはモノリシックプロセスであり、個片処理生産では生産効率が低いという問題が生じ得る。また、接合の間、GaN層とダイヤモンド基板の間に、接合層材料、例えば窒化ケイ素(SiN)を添加する必要がある。接合層材料は、高い熱抵抗を有するため、部材の放熱特性が低下する。
【0050】
また、ダイヤモンド材料は、良好な熱伝導性を有するため、部材の放熱特性を大幅に向上できる。
【0051】
本願において提供されるこの実施形態では、ダイヤモンド材料が基板層10として使用され、構成部材の放熱特性が改善されてもよい。
【0052】
また、本願において提供される実施形態では、チャネル層30、バリア層20および基板層10は、順に成長され形成される。従って、ダイヤモンド基板層10は、例えばマイクロ波プラズマ化学基層成膜法(MPCVD)のようなプロセスを使用することにより、バリア層20上に直接成長されてもよく、これにより基板層10の調製効率および品質を効果的に改善することができる。
【0053】
あるいは、本願において提供される高電子移動度トランジスタにおいて、基板層10が準備される際、接合プロセスを使用することにより、基板層10とバリア層20の間の接合を回避することができ、これにより、製造の困難性および製造コストが低減されることが理解され得る。また、接合プロセスが回避されるため、基板層10とバリア層20の間に、熱抵抗の大きい接合材料(例えばSiN)を追加することが回避される。従って、部材の放熱性を確保することができる。
【0054】
特定の実施形態では、HMET部材は、各種構造を有してもよい。
【0055】
例えば、図3に示すように、本願において提供される別の実施形態では、高電子移動度トランジスタは、さらに、核形成層40を有し、該核形成層40は、チャネル層30のバリア層20から遠い側に配置される。核形成層40の材料は、AlNであってもよい。また、核形成層40の厚さは、10nmから50nmの間の任意の値であってもよい。特定の実施形態では、核形成層40の厚さは、実際の要求に基づいて好適に設定されてもよい。これは、本願において特に限定されない。
【0056】
特に、準備の間、チャネル層30の成長を容易にするため、核形成層40が最初に成長されてもよく、その後、チャネル層30が核形成層40に基づいて成長される。
【0057】
図4に示すように、高電子移動度トランジスタの調製中に、通常基材100が提供され、これを用いて、チャネル層30または核形成層40が成長されることが理解され得る。基材100は、通常、SiまたはSiC材料で構成される。
【0058】
現在の調製プロセスでは、基材100上にチャネル層30を直接成長させることは難しい。従って、まず、基材100上に核形成層40が成長され、核形成層40上にチャネル層30が成長されてもよい。
【0059】
あるいは、GaNチャネル層30およびSiまたはSiC基材100は異なる材料で構成されるため、チャネル層30および基材100は通常、異なる格子定数および異なる熱膨張係数を有することが理解され得る。SiまたはSiC基材100にGaNチャネル層30を直接成長させると、格子不整合および熱適合のような問題により、チャネル層30と基材100の間に多くの六方晶欠陥が生じ得る。そのような欠陥は、マクロ欠陥であり、結晶表面が大きく揺らぐため、結晶膜の連続性が失われる結果、部材の調製が極めて難しくなり、品質が低下する。また、SiまたはSiCの基材100上にGaNのチャネル層30を直接成長させると、酸素不純物のイオン化により、チャネル層30のバックグラウンドキャリア濃度が高くなる。従って、電子の移動度が大きく低下し、部材の作動性能が影響を受ける。
【0060】
従って、N表面を有する高品質のチャネル層30を成長させるため、核形成層40が最初に基材100上に成長され、次に、チャネル層30が核形成層40上に成長されてもよい。
【0061】
図3に示すように、本願で提供されるこの実施形態では、調製プロセス手順に起因して生じた核形成層40は、除去されず、調製コストが低減され、調製プロセスが簡略化されてもよい。従って、高電子移動度トランジスタの最終製品構造は、核形成層40を有してもよい。
【0062】
また、電極の調製の間、ソース02およびドレイン03は、核形成層40を貫通してチャネル層30とオーミックコンタクトしてもよく、ゲート04は、核形成層40上に配置され、核形成層40とショットキー接触されてもよい。
【0063】
別の実施形態では、ゲート04は、核形成層40を貫通し、チャネル層30とショットキー接触してもよいことが理解される。これは、本願において限定されない。
【0064】
特定の実施形態では、バリア層20は、AlGaN材料であってもよく、またはドープされたAlGaN材料であってもよい。
【0065】
例えば、本願において提供される一実施形態では、バリア層20は、SiドープAlGaN層と、Al成分が20%よりも大きいAlGaN層と、を有してもよく、これらは、チャネル層30から離れる方向に順次配置される。SiドープAlGaN層は、エネルギーバンドを調整して、ホールが拘束されることを防ぐことができる。Al成分の高いAlGaN層は、電子ガス濃度を効果的に向上させることができる。まとめると、高電子移動度トランジスタの特性は、SiドープAlGaN層と、Al成分が20%よりも高いいAlGaN層とを用いることにより、効果的に向上できる。
【0066】
特定の用途では、バリア層20の全体の厚さは、10nmから100nmの間であってもよいことが理解され得る。SiドープAlGaN層の厚さは、10nmから50nmの間であってもよい。Al成分が20%よりも高いAlGaN層の厚さは、1nmから20nmの間であってもよい。また、Al組成が20%よりも高いAlGaN層において、Al成分は、21%、22%、30%等であってもよい。Al成分の特定の割合は、本願において限定されない。また、バリア層20の全体の厚さ、SiドープAlGaN層の厚さ、およびAl成分が20%よりも高いAlGaN層の厚さは、実際の状況に基づいて適応的に調整されてもよい。これは、本願において限定されない。
【0067】
また、図5に示すように、別の実施形態では、高電子移動度トランジスタは、さらに高抵抗層50を有してもよい。
【0068】
特に、高抵抗層50は、バリア層20と基板層10の間に配置される。核形成層40、チャネル層30、バリア層20、高抵抗層50、および基板層10は、特定の方向に順に成長することにより、形成されてもよい。
【0069】
高抵抗層50は、鉄(Fe)ドープまたは炭素(C)ドープのGaNであってもよい。高抵抗層50の主な機能は、高電子移動度トランジスタの抵抗値を上昇させることであり、その結果、高電子移動度トランジスタは、高い抵抗値が必要とされる用途シナリオにおいて使用され得る。
【0070】
特定の用途では、高抵抗層50の厚さは、10nmから500nmの間の任意の値であってもよい。また、高抵抗層50において、ドープされるFeやCの具体的な濃度は、実際の要求に応じて適宜設定されてもよい。これは、本願において限定されない。
【0071】
以下、本願の技術的解決策を明確に理解することを容易にするため、高電子移動度トランジスタの形成プロセスについて詳細に説明する。
【0072】
図6に示すように、基材100上に、核形成層40、チャネル層30、バリア層20、および高抵抗層50が順次、特定の方向に成長される。
【0073】
図7に示すように、高抵抗層50上に基板層10が成長される。
【0074】
図8に示すように、部材が反転される。
【0075】
図9に示すように、基材100が除去される。
【0076】
図10に示すように、核形成層40の表面に、ゲート04、ドレイン03、およびソース02が調製される。ゲート04は、核形成層40とショットキー接触し、ソース02およびドレイン03は、チャネル層30とオーミックコンタクトされる。
【0077】
高電子移動度トランジスタは、主に2つの種類、すなわち、N型(またはノーマリーオープン)トランジスタおよびP型(またはノーマリークローズ)トランジスタに分類されることが理解され得る。N型高電子移動度トランジスタは、マイクロ波無線周波数の分野で広く使用できる。例えば、N型高電子移動度トランジスタは、基地局またはレーダーのような装置に使用されてもよく、無線周波数信号を増幅するような機能を実施するように構成される。P型高電子移動度トランジスタは、パワーエレクトロニクスの分野で広く使用され得る。例えば、携帯電話またはノートパソコンのような端末装置において、P型高電子移動度トランジスタは、ドライブまたはスイッチなどとして使用されてもよい。
【0078】
前述の実施形態では、特定の記載の一例として、N型(またはノーマリーオープン)高電子移動度トランジスタが使用される。
【0079】
もちろん、別の実装形態では、P型(またはノーマリークローズ)高電子移動度トランジスタが、前述の構造に基づいて適応的に設計される。あるいは、P型高電子移動度トランジスタにおいて、前述の実施形態のいずれか1つにおけるHMET部材に基づいて、P型ドープ(またはホールドープ)GaN層が追加されてもよいことが理解され得る。
【0080】
例えば、図11に示すように、本願において提供される実施形態において、高電子移動度トランジスタは、チャネル層30、バリア層20、および基板層10を有し、これらは、特定の方向に順に成長させることによって形成される。また、チャネル層30の特定の方向とは反対の側には、P型ドープGaN層60がある。また、ゲート04は、P型ドープGaN層60とショットキー接触される。ソース02およびドレイン03は、チャネル層30とオーミックコンタクトされる。
【0081】
最終部材構造において、前述の実施形態で言及された、高抵抗層50、核形成層40などが代替的に存在してもよいことが理解され得る。本明細書では詳細は、再び説明されない。
【0082】
図12を参照する。本案眼の実施形態では、さらに、高電子移動度トランジスタの調製方法が提供され、当該方法は、以下のステップを含む。
【0083】
S100:基材上に、少なくともチャネル層、バリア層、および基板層を特定の方向に順次成長させる。
【0084】
S200:基材を除去する。
【0085】
S300:チャネル層上にソースおよびドレインを調製する。ソースおよびドレインは、チャネル層とオーミックコンタクトされる。
【0086】
特定の調製では、特定の方向とは、空間における任意の方向を表す。例えば、従来の調製方法では、良好な製造品質を得ることを容易にするため、材料の層は、通常、底部から上部へ順次成長させることにより形成される。従って、特定の方向は、底部から上部への方向であってもよい。別の実施態様では、特定の方向は、上部から底部への方向であってもよく、または左から右への方向であってもよいことが理解され得る。これは、本願において特に限定されない。
【0087】
図6を参照する。特定の実施形態では、基材100は、シリコン(Si)または炭化ケイ素(SiC)のような材料であってもよい。本願のこの実施形態では、基材100の主な機能は、チャネル層30およびバリア層20のようなエピタキシャル構造を成長させ、エピタキシャル構造を準調製するために使用される基板として、使用されることであることが理解され得る。
【0088】
実際の適用では、チャネル層30の材料は、GaNであってもよく、バリア層20の材料は、AlGaNであってもよい。また、本願において提供される実施形態において、チャネル層30、バリア層20および基板層10は、順次に成長され形成される。従って、本願のこの実施形態において提供される調製方法における高電子移動度トランジスタの調製中、N表面を有する高電子移動度トランジスタをより容易に得ることができ、N表面の結晶品質を効果的に高めることができる。
【0089】
チャネル層30およびバリア層20を成長させる際、チャネル層30およびバリア層20は、例えば、金属-有機化学気相成膜法(MOCVD)のようなプロセスを用いて調製されてもよい。当然ながら、チャネル層30およびバリア層20の調製プロセスは、本願において限定されない。
【0090】
基板層10は、Si、SiC、またはダイヤモンドのような材料を用いて調製されてもよい。例えば、基板層10にダイヤモンド材料を用いる場合、例えばマイクロ波プラズマ化学気相成膜(MPCVD)のようなプロセスを用いることにより、ダイヤモンド材料がバリア層20上に直接成長され、基板層10が調製されてもよい。
【0091】
あるいは、図1に示すように、従来の調製方法では、通常、SiまたはSiC材料の基板層10上に、AlN材料、AlGaN材料、およびGaN材料が順次成長されることが理解され得る。最後に、GaNの表面(すなわち、基板層10から遠ざかる側の表面)に、ソース02、ドレイン03、およびゲート04が調製される。
【0092】
図2を参照する。本願において提供される調製方法では、SiまたはSiC材料の基材(図示せず)が使用されてもよく、
その後、チャネル層30(例えば、GaN)、バリア層20(例えば、AlGaN)、および基板層10(例えば、Si、SiC、またはダイヤモンド)が基材上に成長される。その後、基材が除去され、チャネル層30上にソース02、ドレイン03、およびゲート04が調製される。
【0093】
本願のこの実施形態において提供される調製方法では、N表面を有する高品質の高電子移動度トランジスタを得ることができる。また、基板層10の調製を容易にするため、ダイヤモンドが直接成長され形成されてもよい。
【0094】
図8および図9を併せて参照する。基材100が除去される際には、エッチング処理、機械的研削処理、またはこれらの組み合わせが使用されてもよい。
【0095】
例えば、まず、機械的研削プロセスを用いて基材100に対して薄肉化処理が実施され、その後エッチングプロセスを用いて残留する基材100が除去されてもよい。これにより、基材100の除去効率および品質を向上させることができる。
【0096】
特定の実施形態では、基材100を除去するプロセスは、本願において限定されないことが理解され得る。
【0097】
また、特定の調製の間、チャネル層30の形成品質を確保するため、基材100上にチャネル層30を調製する前に、当該方法は、さらに、基材100上に特定の方向に核形成層40を成長させるステップと、その後、核形成層40上にチャネル層30を成長させるステップと、を有してもよい。核形成層40の材料は、AlN、またはCドープもしくはFeドープされたAlNであってもよい。核形成層40の具体的な材料組成は、本願において限定されない。
【0098】
現在の調製プロセスでは、基材100上にチャネル層30を直接成長させることは難しい。従って、まず、基材100上に核形成層40が成長され、核形成層40上にチャネル層30が成長されてもよい。
【0099】
あるいは、GaNチャネル層30とSiまたはSiCの基材100とは異なる材料で構成されるため、チャネル層30および基材100は通常、異なる格子定数および異なる熱膨張係数を有することが理解され得る。SiまたはSiC基材100上にGaNチャネル層30が直接成長される場合、格子不整合および熱適合のような問題により、チャネル層30と基材100の間に多くの六方晶欠陥が生じ得る。そのような欠陥はマクロ欠陥であり、結晶表面が大きく揺らぐため、結晶膜の連続性が失われ、部材の調製が極めて難しくなり、品質が低下する。また、SiまたはSiCの基材100上にGaNのチャネル層30が直接成長される場合、酸素不純物のイオン化により、チャネル層30のバックグラウンドキャリア濃度が高くなる。従って、電子の移動度が大きく低下し、部材の動作特性が影響を受ける。
【0100】
従って、N表面を有する高品質のチャネル層30を成長させるため、最初に核形成層40が基材100上に成長され、その後、核形成層40上にチャネル層30が成長されてもよい。
【0101】
特定の実施形態の間、基材100が除去された後、核形成層40は除去されなくてもよく、その結果、調製プロセス手順が簡略化でき、調製が改善できる。
【0102】
また、図10が参照される。電極の調製中、ソース02およびドレイン03は、チャネル層30とオーミックコンタクトを維持する必要がある。従って、ソース02およびドレイン03が調製される前に、さらに、機械的な穿孔またはエッチング方法において、チャネル層30の表面まで貫通するビアが核形成層40上に調製されてもよい。最後に、異なるビア内にソース02およびドレイン03が調製され、ソース02およびドレイン03がチャネル層30とオーミックコンタクトを維持してもよい。
【0103】
ゲート04は、核形成層40の表面に直接調製されてもよく、核形成層40とショットキー接触される。あるいは、核形成層40上に、チャネル層30の表面まで貫通するビアが調製されてもよく、ゲート04は、チャネル層30に対してショットキー接触を維持する。
【0104】
また、基材100を除去された後、さらに、核形成層40が除去されてもよい。例えば、エッチングプロセスを利用して、核形成層40が除去されてもよい。実際、核形成層40が除去される際、機械的研削のような別のプロセスが代替的に使用されてもよい。これは、本願において限定されない。
【0105】
現在の除去プロセスに基づいて、核形成層40が別個に除去される際、チャネル層30の表面の品質が影響を受ける可能性がある。
【0106】
従って、図13に示すように、特定の調製中に、当該方法は、さらに、核形成層40が成長された後、核形成層40の表面に特定の方向にバッファ層70を成長させるステップ、およびその後、バッファ層70の表面にチャネル層30を成長させるステップを有してもよい。バッファ層70の材料は、AlGaNであってもよく、金属-有機化学気相成膜プロセスのようなプロセスを用いて調製されてもよい。
【0107】
バッファ層70および核形成層40が除去される際、熱酸化と湿式エッチングを組み合わせたプロセスが使用されてもよい。熱酸化プロセスに必要な温度は、通常、550℃と650℃の間であり、時間は、約30から60分である。湿式エッチングプロセスにおける主な溶液は、水酸化カリウム(KOH)である。熱酸化プロセスでは、まず、AlNおよびAlGaNを完全に酸化するのに十分な酸素が注入される。AlN、AlGaN、および酸素が反応して、三酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ガリウム(Ga2O3)、および窒素(N2)が生成される。酸化物Al2O3およびGa2O3は、70℃のKOH溶液によってエッチング除去されてもよく、この方法は、GaNチャネル層30にほとんど影響を及ぼさない。あるいは、高温の酸化温度条件では、AlGaNの方がGaNよりも酸化されやすいことが理解され得る。AlGaNがGaNよりも酸化されやすい主な理由は、反応により得られるAl2O3のギブス自由エネルギーが、反応により得られるGa2O3のギブス自由エネルギーよりも大きいためである。これにより、GaNチャネル層30に対する影響を極力低減することができる。
【0108】
また、バリア層20を調製する間、金属-有機気成膜法を用いることにより、チャネル層30の表面にAlGaNが直接成長されてもよい。
【0109】
あるいは、チャネル層30の表面に、特定の方向にSiドープAlGaN層と、Al成分が20%よりも高いAlGaN層とが、順次成長されてもよい。SiドープAlGaN層は、エネルギーバンドを調整して、ホールの拘束を防ぐことができる。Al成分が高いAlGaN層は、電子ガス濃度を効果的に向上させることができる。まとめると、SiドープAlGaN層と、Al成分が20%よりも高いAlGaN層とを用いることにより、高電子移動度トランジスタの性特性を効果的に向上させることができる。
【0110】
また、いくつかの調製方法では、当該方法は、基板層10を成長させる前に、さらに、バリア層20の表面に特定方向に高抵抗層50を成長させるステップを有してもよい。高抵抗層50は、鉄(Fe)ドープまたは炭素(C)ドープのGaNであってもよい。高抵抗層50は、例えば、金属-有機気相成膜法を用いて調製できる。高抵抗層50の主な機能は、高電子移動度トランジスタの抵抗値を高めることであり、その結果、高電子移動度トランジスタは、高い抵抗値が要求される適用シナリオにおいて使用され得る。
【0111】
確かに、特定の実施形態では、高抵抗層50を調製する特定の方法は、本願に限定されない。
【0112】
以下、本願の技術的解決策を明確に理解することを容易にするため、高電子移動度トランジスタの別の形成プロセスについて詳細に説明する。
【0113】
図14に示すように、基材100上に、核形成層40、バッファ層70、チャネル層30、バリア層20、および高抵抗層50が順次、特定の方向に成長され得る。
【0114】
図15に示すように、高抵抗層50上に基板層10が成長される。
【0115】
図16に示すように、部材が反転される。
【0116】
図17に示すように、基材100が除去される。
【0117】
図18に示すように、核形成層40およびバッファ層70が除去される。
【0118】
図19に示すように、チャネル層30の表面に、ゲート04、ドレイン03、およびソース02が形成される。ゲート04は、チャネル層30にショットキー接触し、ソース02およびドレイン03は、チャネル層30にオーミックコンタクトされる。
【0119】
高電子移動度トランジスタは、主に2つの種類、すなわち、N型(またはノーマリーオープン)トランジスタおよびP型(またはノーマリークローズ)トランジスタに分類されることが理解され得る。N型高電子移動度トランジスタは、マイクロ波無線周波数の分野で広く使用することができる。例えば、N型高電子移動度トランジスタは、基地局またはレーダーのような装置に使用されてもよく、無線周波数信号を増幅するような機能を実施するように構成される。P型高電子移動度トランジスタは、パワーエレクトロニクスの分野で広く使用され得る。例えば、携帯電話またはノートパソコンのような端末装置において、P型高電子移動度トランジスタは、ドライブまたはスイッチなどとして使用されてもよい。
【0120】
前述の調製方法では、N型(またはノーマリーオープン)高電子移動度トランジスタの調製方法は、特定の説明の一例として使用される。
【0121】
もちろん、別の実施形態では、前述の調製方法は、代替的にP型(またはノーマリークローズ)高電子移動度トランジスタの調製に適用されてもよい。
【0122】
例えば、図11に示すように、P型高電子移動度トランジスタが調製される際、チャネル層30上にP型ドープGaN層60が追加されてもよく、ゲート04は、P型ドープGaN層60とショットキー接触する。
【0123】
前述の記載は、単なる本願の特定の実施形態に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願において開示される技術的範囲内において、当業者により容易に想定される任意の変形または置換は、本願の保護範囲内に属することに留意する必要がある。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従う必要がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電子移動度トランジスタであって、
順に配置されたチャネル層、バリア層、および基板層を少なくとも有し、
前記チャネル層には、前記バリア層と接触する2次元電子ガス層が形成され、
当該高電子移動度トランジスタは、さらに、ソースおよびドレインを有し、
前記ソースおよび前記ドレインは、前記チャネル層上に配置され、前記ソースおよび前記ドレインは、前記チャネル層とオーミックコンタクトされる、高電子移動度トランジスタ。
【請求項2】
前記2次元電子ガス層は、前記チャネル層と前記バリア層のヘテロ接合界面での分極効果により生じる2次元電子ガスの仮想層である、請求項1に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項3】
前記チャネル層の材料は、窒化ガリウムを含み、前記バリア層の材料は、窒化アルミニウムガリウムを含む、請求項1または2に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項4】
前記チャネル層の前記バリア層から遠い側の表面は、窒素表面である、請求項3に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項5】
前記基板層の材料は、ダイヤモンドを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項6】
さらに、ゲートを有し、
前記ゲートは、前記チャネル層上に配置され、前記ゲートは、前記チャネル層とショットキー接触される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項7】
さらに、核形成層およびゲートを有し、
前記核形成層は、前記チャネル層の前記バリア層から遠い側に配置され、
前記ゲートは、前記核形成層上に配置され、前記ゲートは、前記核形成層とショットキー接触される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項8】
前記核形成層の材料は、窒化アルミニウムを含む、請求項7に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項9】
前記バリア層は、前記チャネル層から遠ざかる方向に順次配置された、シリコンドープ窒化アルミニウムガリウム層と、アルミニウム成分が20%よりも多い窒化アルミニウムガリウム層と、を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項10】
さらに、高抵抗層を有し、
前記高抵抗層は、前記バリア層と前記基板層との間に配置される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項11】
前記高抵抗層の材料は、鉄ドープまたは炭素ドープされた窒化ガリウムを含む、請求項10に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項12】
前記チャネル層の前記バリア層から遠い側の材料は、ホール(hole)-ドープ化窒化ガリウムを含み、
当該高電子移動度トランジスタは、さらに、ゲートを有し、該ゲートは、前記ホール-ドープ化窒化ガリウムとショットキー接触される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタを備える、無線周波数トランジスタ。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の高電子移動度トランジスタを備える、電力増幅器。
【請求項15】
高電子移動度トランジスタの調製方法であって、
基材上に、少なくともチャネル層、バリア層、および基板層を、特定の方向に順次成長させるステップと、
前記基材を除去するステップと、
前記チャネル層上にソースおよびドレインを調製するステップであって、前記ソースおよび前記ドレインは、前記チャネル層とオーミックコンタクトされる、ステップと、
を有する、調製方法。
【請求項16】
当該調製方法は、前記基材上にチャネル層を成長させるステップの前に、さらに、前記特定の方向において前記基材上に核形成層を成長させるステップを有し、
前記チャネル層は、前記核形成層上に配置される、請求項15に記載の調製方法。
【請求項17】
さらに、ゲートを調製するステップを有し、
前記ゲートは、前記核形成層上に配置され、前記ゲートは、前記核形成層とショットキー接触される、請求項16に記載の調製方法。
【請求項18】
当該調製方法は、前記基材を除去するステップの後に、さらに、前記核形成層を除去するステップを有する、請求項16に記載の調製方法。
【請求項19】
当該調製方法は、前記特定の方向において、前記基材上に核形成層を成長させる前記ステップの後に、さらに、
前記特定の方向において、前記核形成層上にバッファ層を成長させるステップ
を有する、請求項16に記載の調製方法。
【請求項20】
当該調製方法は、前記基材を除去するステップの後に、さらに、
前記核形成層および前記バッファ層を除去するステップ
を有する、請求項19に記載の調製方法。
【請求項21】
さらに、ゲートを調製するステップを有し、
前記ゲートは、前記チャネル層上に配置され、前記チャネル層とショットキー接触される、請求項15、18、または20に記載の調製方法。
【請求項22】
前記バリア層を成長させるステップは、前記特定の方向において、シリコンドープ窒化アルミニウムガリウム層と、アルミニウム成分が20%よりも高い窒化アルミニウムガリウム層と、を順次成長させるステップを有する、請求項15乃至21のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項23】
当該調製方法は、前記基板層を成長させるステップの前に、さらに、
前記特定の方向において、前記バリア層の表面に高抵抗層を成長させるステップ
を有する、請求項15乃至22のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項24】
当該調製方法は、前記基材を除去するステップの後に、さらに、
前記チャネル層の前記特定の方向から遠い側の表面に、ホール-ドープ化窒化ガリウムを調製するステップと、
前記ホール-ドープ化窒化ガリウム上にゲートを調製するステップであって、前記ゲートは、前記ホール-ドープ化窒化ガリウムとショットキー接触される、ステップと、
を有する、請求項15に記載の調製方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
あるいは、いくつかの調製方法では、当該調製方法は、前記基材上にチャネル層を成長させるステップの前に、さらに、前記特定方向において前記基材上に核形成層を成長させるステップを有し、前記チャネル層は、前記核形成層上に配置されてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
あるいは、いくつかの調製方法では、前記特定の方向において、前記基材上に核形成層を成長させるステップの後に、当該調製方法は、さらに、前記特定の方向において、前記核形成層上にバッファ層を成長させるステップを有してもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
あるいは、いくつかの実施態様では、基板層を成長させるステップの前に、当該調製方法は、さらに、特定の方向において、バリア層の表面上に高抵抗層を成長させるステップを有してもよい。高抵抗層の主な機能は、高電子移動度トランジスタの抵抗値を上昇させることであり、その結果、高電子移動度トランジスタは、高い抵抗値が要求とされる適用シナリオにおいて使用できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
チャネル層30の厚さは、50nmから500nmの間の任意の値であってもよく、バリア層20の厚さは、10nmから100nmの間の任意の値であってもよい。特定の用途では、チャネル層30およびバリア層20の厚さは、実際の要求に基づいて好適に設定されてもよい。これは、本願において特に限定されない。また、別の実施形態では、チャネル層30の材料は、代わりにガリウムヒ素(GaAs)等であってもよく、バリア層20の材料は、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)等であってもよい。特定の実施形態では、チャネル層30およびバリア層20の材料は、実際の要求に基づいて好適に選択され調整されてもよい。これは、本願において特に限定されない。
【国際調査報告】