(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-20
(54)【発明の名称】電子部品を冷却するための冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20241113BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531271
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2022081886
(87)【国際公開番号】W WO2023094207
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021213357.6
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ヤチェク,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ベック,マックス・フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】マウラー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】キーンレ,ボルフラム
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA10
5E322AA11
5E322DA00
5F136BA07
5F136BA31
5F136CB07
5F136FA02
(57)【要約】
本発明は、電子部品(2)を冷却するための冷却装置(1)であって、ベースプレート(3)と、凹部(40)を有する深絞り部品であるカバープレート(4)であり、ベースプレート(3)とカバープレート(4)とが、凹部(40)によってベースプレート(3)とカバープレート(4)との間に冷却チャネル(5)が形成されているように配置されており、冷却チャネル(5)が、長手方向(11)に沿って入口開口部(51)から出口開口部(52)まで延び、冷却流体の冷却流体ストリームが、長手方向(10)に沿って冷却チャネル(5)を通って流れることができる、カバープレート(4)と、冷却チャネル(5)のタービュレータセクション(56)内に配置されている少なくとも1つのタービュレータ(6)と、遮断要素(20)が、冷却チャネル(5)の長手方向(11)に関して、タービュレータ(6)の横で、タービュレータ(6)、カバープレート(4)、およびベースプレート(3)の間の冷却チャネル(5)のバイパス領域(55)内に配置されており、タービュレータ(6)の横のバイパス流(15)を少なくとも部分的に遮断する、少なくとも1つの遮断要素(20)とを備える、冷却装置(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品(2)を冷却するための冷却装置であって、
- ベースプレート(3)と、
- 凹部(40)を有する深絞り部品であるカバープレート(4)であり、
- ベースプレート(3)とカバープレート(4)とが、前記凹部(40)によってベースプレート(3)とカバープレート(4)との間に冷却チャネル(5)が形成されているように配置されており、
- 前記冷却チャネル(5)が、長手方向(11)に沿って入口開口部(51)から出口開口部(52)まで延び、
- 冷却流体の冷却流体ストリームが、長手方向(10)に沿って前記冷却チャネル(5)を通って流れることができる、カバープレート(4)と、
- 前記冷却チャネル(5)のタービュレータセクション(56)内に配置されている少なくとも1つのタービュレータ(6)と、
- 前記冷却チャネル(5)の前記長手方向(11)に関して、前記タービュレータ(6)の横で、前記タービュレータ(6)、前記カバープレート(4)、および前記ベースプレート(3)の間の前記冷却チャネル(5)のバイパス領域(55)内に配置されており、前記タービュレータ(6)の横のバイパス流(15)を少なくとも部分的に遮断する、少なくとも1つの遮断要素(20)と、
を備える、冷却装置。
【請求項2】
前記遮断要素(20)が、前記カバープレート(4)の離型形状に適合された断面形状を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記遮断要素(20)が直方体に構成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記遮断要素(20)が、前記ベースプレート(3)とカバープレート(4)とのろう付け接続のろう付けメニスカス(20’)によって少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記遮断要素(20)が、とりわけレーザ加工された、タービュレータ(6)の面取りされた部分領域(20’’)によって少なくとも部分的に形成されている、請求項1または4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記遮断要素(20)が、少なくとも1つのアンダーカット領域(21)を有し、前記アンダーカット領域(21)が、前記タービュレータ(6)から離れるように延び、前記長手方向(11)に関して前記カバープレート(4)と部分的にアンダーカットする、請求項1~5のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却チャネル(5)内で流れ方向(10)において前後に配置されている複数のタービュレータ(6)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項8】
タービュレータ(6)ごとに複数の遮断要素(20)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項9】
各遮断要素(20)が、流れ方向(10)において複数のタービュレータ(6)にわたって延びる、請求項7に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記タービュレータ(6)が、流れ方向(10)において増加する乱流係数を有する、請求項7~9のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記タービュレータセクション(56)の上流および/または下流に、前記冷却チャネル(5)の流れ断面の少なくとも1つのテーパ部分(7)が構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項12】
前記テーパ部分(7)が、前記テーパ部分(7)での前記流れ断面の最小幅(70)が前記タービュレータ(6)の幅(60)よりも小さくなるように構成されている、請求項11に記載の冷却装置。
【請求項13】
- 請求項1~12のいずれか一項に記載の冷却装置(1)と、
- 冷却すべき少なくとも1つの電子部品(2)と、
を備える電子装置。
【請求項14】
冷却すべき前記電子部品(2)が、熱伝導可能に前記冷却装置(1)の前記ベースプレート(3)と接続されている、請求項13に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を冷却するための冷却装置、および電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばインバータのパワーモジュールなどの電子部品を冷却するための冷却装置が知られている。例えば、そのような冷却装置は、液体媒体が流れることができる冷却チャネルを有する。ここで、放熱を改良するために冷却チャネル内にタービュレータが配置されることも知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
そこで、請求項1の特徴を備える本発明による冷却装置は、冷却すべき電子部品の冷却に関する特に高い効率によって特徴付けられる。これは、本発明によれば、ベースプレート、カバープレート、および少なくとも1つのタービュレータを備える、電子部品を冷却するための冷却装置によって達成される。カバープレートは、凹部を有する深絞り部品として構成されている。とりわけ、カバープレートはカップ状に構成されている。ベースプレートとカバープレートとは、凹部によってベースプレートとカバープレートとの間に冷却チャネルが形成されているように相並んで配置されている。ここで、冷却チャネルは、長手方向に沿って入口開口部から出口開口部まで延びる。好適には、冷却チャネルは、ベースプレートのプレート平面で見て、とりわけ直線によって定義される長手方向に沿って延びる、とりわけ長方形状を有する細長い領域を有する。ここで、入口開口部および/または出口開口部は、凹部の開いた側によって、および/またはベースプレートおよび/またはカバープレートの開口部によって形成することができる。ここで、冷却流体の冷却流体ストリームが、長手方向に沿って入口開口部から出口開口部まで冷却チャネルを通って流れることができる。少なくとも1つのタービュレータが、冷却チャネルのタービュレータセクション内に配置されている。とりわけ、タービュレータは、カバープレートとベースプレートとの間に配置されている。加えて、冷却装置は、冷却チャネルの長手方向に関してタービュレータの横に配置されている少なくとも1つの遮断要素を備える。ここで、少なくとも1つの遮断要素は、タービュレータ、カバープレート、およびベースプレートの間にある冷却チャネルのバイパス領域内に配置されている。遮断要素は、タービュレータの横、すなわちとりわけ冷却チャネルの縁部でバイパス流の少なくとも部分的な遮断をもたらす。
【0004】
好ましくは、タービュレータは、ベースプレートと、ベースプレートに平行なカバープレートの凹部の領域との間で、冷却チャネルを完全に通って延び、とりわけ、タービュレータが、ベースプレートと、それに平行なカバープレートの凹部の領域とに当接する。
【0005】
ベースプレートとカバープレートとは、例えば、一区域で相並んで当接することができる。代替として、ベースプレートとカバープレートとの間に中間層を配置することもできる。
【0006】
とりわけ、ベースプレートとカバープレートとは、ろう付け接続を使用して互いに接続される。
言い換えると、遮断要素は、バイパス領域内でタービュレータの横にあり、とりわけ固体として構成されており、バイパス領域の少なくとも一部を占める。これにより、流れが通過することができるバイパス領域の断面が大幅に減少されるか、または完全に埋められる。これにより、タービュレータの横のバイパス領域、すなわち冷却チャネルの縁部でのバイパス流を大幅に減少させることができる。例えば、このバイパス領域には、カバープレートの製造関連の離型形状があり、この形状はアールおよび/または面取りを有する。これにより、例えば、タービュレータは、冷却チャネルの流れ断面全体を埋めることができず、それにより、冷却流体ストリームの部分領域、すなわちバイパス流がタービュレータを迂回して流れる可能性がある。少なくとも1つの遮断要素によって、このバイパス流は減少されるか、または完全に遮断され、それにより、タービュレータを迂回して流れることができる冷却流体ストリームの体積流量が大幅に減少するか、または全くなくなる。ここで、少なくとも1つの遮断要素は、バイパス流を減少させるための特に簡単であり、安価に製造可能な手段を提供する。したがって、必然的に、冷却流体ストリームのより大きい部分がタービュレータを通って流れることになるので、冷却流体ストリームの乱流の増大を提供することができ、冷却装置の特に効率的な冷却作用がもたらされる。
【0007】
従属請求項は、本発明の好ましい発展形態を含む。
好ましくは、遮断要素は、カバープレートの離型形状に適合されている断面形状を有する。深絞り部品としてのカバープレートの製造関連の形状が、離型形状とみなされる。つまり、とりわけ、離型形状は、凹部でのカバープレートの離型面取りおよび/またはアールによって特徴付けられ、これらは、とりわけカバープレートの深絞りのために必要である。遮断要素の断面形状は、とりわけ直角三角形に似た形状を有するように構成されており、とりわけ、直角三角形の「底辺」は直線ではなく、凹部の縁部の領域でのカバープレートの形状に適合されている。これにより、バイパス領域の特に大きな部分を遮断要素によって遮断することができ、それによりバイパス流を特に効果的に低減することができる。
【0008】
好ましくは、遮断要素は直方体に構成されている。これにより、遮断要素は、特に簡単にかつ安価に製造することができる。ここでは好適には、カバープレートは、遮断要素を挿入することができるポケットを有し、ポケットは、凹部の局所的な広がりを形成する。
【0009】
好ましくは、遮断要素は、ベースプレートとカバープレートとのろう付け接続のろう付けメニスカスによって、少なくとも部分的に、特に好ましくは完全に形成されている。とりわけ、ろう付け接続は、とりわけ凹部の縁部で、ベースプレートとカバープレートとを液密にかつ機械的に接続するように設計されている。冷却チャネルに面し、とりわけ冷却チャネル内に突出するろう付け接続の部分領域が、ろう付けメニスカスとみなされる。とりわけ、ろう付けメニスカスは、はんだ材料から形成されている。例えば、ろう付けメニスカスは、凹形断面を有し、カバープレートまたはベースプレートに接線方向でつながる。ここでとりわけ、遮断要素がろう付けメニスカスによって形成されるとき、バイパス領域のとりわけできるだけ大きい部分をろう付けメニスカスが埋めるように、ろう付け接続が構成される。これにより、特に簡単に、追加の構成部品なしで、バイパス流の低減を達成することができる。
【0010】
好ましくは、遮断要素は、タービュレータの面取りされた部分領域によって少なくとも部分的に形成されている。とりわけ、面取りされた部分領域は、レーザ加工された部分領域である。言い換えると、凹部の最小幅よりも大きい幅を有するタービュレータが提供される。ここで、タービュレータは、とりわけレーザ加工によってその縁部で面取りされる。すなわち、組み立てられた冷却装置において、タービュレータの面取りされた部分領域がバイパス領域内に突出するように一部が除去される。これによっても、簡単に追加の構成部品なしでバイパス流の低減を達成することができる。
【0011】
好適には、遮断要素は、少なくとも1つのアンダーカット領域を有し、アンダーカット領域は、タービュレータから離れるように延び、長手方向に関してカバープレートと部分的にアンダーカットする。とりわけ、アンダーカット領域は、冷却チャネルの縁部に対して側方に突き出ている、遮断要素の突出ノーズとみなすことができる。とりわけ、アンダーカット領域は、カバープレートのポケット内に突出し、ポケットは、とりわけ冷却チャネルの拡張部分を形成し、したがって長手方向に関してアンダーカットを形成する。アンダーカット領域は、冷却流体ストリームの縁部付近の部分領域の追加の偏向をもたらす。これにより、バイパス流をさらに減速および減少させることができる。
【0012】
好適には、冷却装置は、冷却チャネル内で長手方向に沿って相前後して配置された複数のタービュレータを備える。例えば、タービュレータは同一に構成することができるか、または代替として、互いに異なるように構成することもできる。
【0013】
さらに好ましくは、冷却装置は、タービュレータごとに複数の遮断要素を備える。これにより、特に効果的にバイパス流を減少させることができるように、バイパス流に対する複数の障害を提供することができる。
【0014】
特に好ましくは、タービュレータの両側に、とりわけ長手方向に関して対称的に、それぞれ少なくとも1つの遮断要素が配置されている。
好ましくは、各遮断要素は、流れ方向において複数のタービュレータにわたって延びる。これにより、少数の構成部品を備える特に簡単な構造を提供することができる。
【0015】
好ましくは、複数のタービュレータは、長手方向に沿って増加する乱流係数を有する。とりわけ、タービュレータによって引き起こされる冷却流体ストリームの乱流の程度が、乱流係数とみなされる。例えば、タービュレータは多数の乱流プレートを有することができ、乱流プレートはそれぞれ、流れ方向に対して所定の乱流角で傾けて配置されている。例えば、流れ方向での第1のタービュレータの第1の乱流角は10°にすることができ、とりわけ、第2のタービュレータの第2の乱流角は15°にすることができ、例えば第3のタービュレータの第3の乱流角は20°にすることができる。これにより、冷却装置の特に高い冷却作用を達成することができる。
【0016】
さらに好ましくは、とりわけ冷却チャネル内の冷却流体ストリームの壁付近の部分領域を偏向するために、タービュレータセクションの上流および/または下流に、冷却チャネルの流れ断面の少なくとも1つのテーパ部分が構成されている。言い換えると、冷却チャネルは、タービュレータセクションの上流および/または下流でテーパ部分によってとりわけ局所的に狭くなり、その結果、冷却チャネルの縁部での冷却流体ストリームの流線は、このテーパ部分によって偏向され、非直線状にさらに冷却チャネルを通って進むことができる。この偏向により、テーパ部分は、縁部付近の冷却流体ストリームの減速をもたらす。これにより、とりわけ冷却流体ストリームの縁部付近の部分領域で圧力損失が生成される。これにより、タービュレータの横、すなわち冷却チャネルの縁部でのバイパス流を減少させることができる。好適には、テーパ部分はカバープレートのビードによって形成され、ビードは、とりわけ長手方向に本質的に直交するように構成され、冷却チャネルの縁部から冷却チャネル内に突出する。例えば、ビードは、カバープレートの深絞りプロセスによって既に製造することができる。
【0017】
好ましくは、テーパ部分は、テーパ部分での流れ断面の最小幅がタービュレータの幅よりも小さくなるように構成されている。ここではとりわけ、それぞれ、流れ方向または長手方向に垂直な方向およびベースプレートのプレート平面に平行な方向での寸法が、幅とみなされる。とりわけ、テーパ部分での流れ断面の最小幅は、タービュレータの最大幅の最大で90%、好適には最大で80%である。したがって、バイパス流の特に効果的な減少を達成するために、冷却流体ストリームの縁部付近の部分領域の大幅な偏向が確実に保証される。
【0018】
さらに、本発明は、上述した冷却装置と、冷却すべき少なくとも1つの電子部品とを備える電子装置に関する。冷却すべき電子部品は、好ましくは、パワーエレクトロニクスのパワーモジュールである。とりわけ、電子装置は、例えばインバータなどのパワーエレクトロニクス部品である。また、高効率の冷却装置により、電子部品の特に高い効率および長寿命を可能にすることができる。
【0019】
好ましくは、冷却すべき電子部品は、熱伝導可能に、例えば銅層によって冷却装置のベースプレートと接続されている。とりわけ、電子部品は、タービュレータの領域内でベースプレートに配置され、すなわちタービュレータとは反対側でベースプレートに配置されている。好ましくは、タービュレータごとに、冷却すべき複数の電子部品をベースプレートに配置することができる。
【0020】
以下、図面と併せて例示的実施形態に基づいて本発明を述べる。図中、機能的に同一の構成部品にはそれぞれ同一の参照番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の例示的実施形態による冷却装置の図である。
【
図2】
図1の冷却装置を備える電子装置の断面図である。
【
図3】本発明の第2の例示的実施形態による冷却装置の図である。
【
図4】本発明の第4の例示的実施形態による冷却装置の図である。
【
図6】本発明の第5の例示的実施形態による冷却装置の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の第1の例示的実施形態による冷却装置1を示す。
図2には、切断線A-Aに沿った、
図1の冷却装置1を備える電子装置50の断面図が示されている。
冷却装置1は、ベースプレート3およびカバープレート4を備える。
図1では、より分かりやすくするために、冷却装置1がベースプレート3なしで示されている。
【0023】
ベースプレート3およびカバープレート4は、それぞれ金属、好適にはアルミニウムから形成されている。
ベースプレート3は、真直な平坦プレートとして構成されている。
【0024】
カバープレート4は、凹部40を有する深絞り部品として構成されている。とりわけ、凹部40は、カバーシート4の平坦なプレートセクション41、42の上側が互いに平行にかつ互いに定義済みの距離45で配置されていることによって形成されている(
図2を参照)。
【0025】
ベースプレート3とカバープレート4とは、凹部40によってベースプレート3とカバープレート4との間に冷却チャネル5が形成されているように相並んで配置されている。ここではとりわけ、ベースプレート3とカバープレート4の第1のプレートセクション41とは、ろう付け接続によって互いに接続されている。
【0026】
ベースプレート3とカバープレート4との間には、
図2に示されるように中間プレート8を配置することができる。例えば、中間プレート8によって、カバープレート4の上側に追加の距離を提供して、冷却チャネル5の高さを調整することができる。代替として、ベースプレート3とカバープレート4の第1のプレートセクション41とが直接相並んで当接することもできる。
【0027】
凹部40、したがって冷却チャネル5は、カバープレート4の平面Eに関して細長く、とりわけ少なくとも一区域で長方形状を有するように構成することができる(
図1を参照)。
【0028】
冷却チャネル5は、とりわけ直線として構成されている長手方向11に沿って、少なくとも一区域でとりわけ対称的に延びる。
また、冷却チャネル5は、少なくとも入口開口部51から出口開口部52まで延び、冷却チャネル5を通って、冷却流体の冷却流体ストリームが、長手方向10に沿って入口開口部51から出口開口部52まで流れることができる。
【0029】
長方形領域の始点および終点における、平面Eに垂直な断面での冷却チャネル5の断面が、それぞれ入口開口部51および出口開口部52として定義される。
とりわけ、冷却チャネル5は、入口開口部51につながる入口領域51aと、出口開口部52に連通する出口領域52aとを有することができる。出口領域52aには、カバープレート4を貫通する出口開口部53が設けられており、出口開口部53を通って冷却流体ストリームが冷却装置1から出ることができる。
【0030】
入口領域51aは、
図1に示されるように、冷却チャネル5の長方形領域に対して角度を付けて配置することができる。例えば、冷却流体ストリームの方向を入口開口部51に向けて偏向するために、入口領域51aに偏向要素51bを設けることができる。
【0031】
加えて、冷却装置1は、冷却チャネル5内に配置されている合計3つのタービュレータ6を備える。ここで、各タービュレータ6は、長手方向11に沿って延びるタービュレータセクション56内に配置されている。
【0032】
各タービュレータ6は、
図1におけるように平面図で例えば長方形の断面を有することができ、例えば、流れ方向10を横切るタービュレータ6の幅60は、流れ方向10に沿ったその長さよりも大きい。
【0033】
冷却装置1は、例えばインバータなどのパワーエレクトロニクス機器用の電子部品2を冷却するためのものである。
図2に、冷却装置1および複数の電子部品2を備える、対応する電子装置50が示されている。
【0034】
電子部品2は、熱伝導可能にベースプレート3と接続されている。熱伝導を改良するために、例えば、ベースプレート3と電子部品2との間に銅コーティング9を設けることができる。
【0035】
電子部品2は、カバープレート4の平面Eで見たとき(
図1参照)、タービュレータセクション56内またはその領域内に配置されている。
各タービュレータ6は、冷却チャネル5を通って流れる冷却流体を乱流旋回させるために、長手方向11に対して角度を付けて配置されている多数の乱流プレートを備える。これにより、冷却流体によって電子部品2から特に効果的に熱を放散することができる。
【0036】
好適には、各タービュレータ6は、長手方向11に対して所定の角度で配置されている多数の乱流プレートをそれぞれ有する。特に好ましくは、タービュレータ6は、流れ方向10に沿って互いに順次に、長手方向11に対してより大きな角度を有する乱流プレートをそれぞれ有する。つまり、タービュレータ6はそれぞれ、流れ方向10においてより高い乱流係数を有する。これにより、さらに下流に位置するタービュレータ6(そこでは、電子部品2からの熱伝達により、さらに上流に位置するタービュレータ6よりも高い冷却流体温度である)においても、依然として冷却流体によって電子部品2からできるだけ良好な放熱が可能にされ得る。
【0037】
高い冷却効率を達成するために、冷却チャネル5の流れ断面のできるだけ大きい部分がタービュレータ6によって覆われる。カバープレート4は深絞り部品であるので、深絞り時の離型プロセスに関して、凹部40の縁部の離型面取りおよびアールが必要である。タービュレータ6は長方形断面を有するので、流れチャネルの縁部において、側方でタービュレータ6の横に、タービュレータ6、カバープレート4、およびベースプレート3の間にバイパス領域55が存在し、バイパス領域55内では、冷却流体ストリームの乱流旋回は生じない(
図2を参照)。
【0038】
バイパス領域55を通るバイパス流15をできるだけ少なく保ち、それによって冷却装置1のできるだけ高い冷却作用を提供できるようにするために、冷却装置1は、少なくとも1つの遮断要素20をさらに備える。遮断要素20は、バイパス領域55内でタービュレータ6の横に配置されている。
【0039】
ここで、遮断要素20は、冷却装置1の組立て時にバイパス領域55に挿入することができる追加の構成部品として提供される。
遮断要素20は、深絞りカバープレート4の離型形状に適合されている定義済みの断面形状を有する。これは、とりわけ
図2で見ることができる。さらに、
図5は、
図1および
図2の遮断要素20の拡大断面図を示す。
図5で見ることができるように、遮断要素20は、直角三角形に似た断面形状を有し、互いに直角に配置された2つの直線の辺21と、「底辺」22とを有する。ここで、底辺22は、遮断要素20がバイパス領域55のできるだけ大きい部分を埋めることができるように、カバープレート4の離型形状に適合された形状を有する。
【0040】
ここで、遮断要素20は、長手方向11に関してタービュレータ6全体にわたって延びる。
遮断要素20によって、とりわけ
図2で見ることができるように、バイパス領域55は本質的に完全に遮断される。これにより、冷却流体ストリームは、必然的に、冷却チャネル5を通って流れるときに本質的に完全にタービュレータ6を通過することになる。したがって、電子部品2を最適に冷却し得るために、冷却流体ストリームの冷却能力を特に効果的に利用することが可能にされ得る。
【0041】
さらに、遮断要素20は、
図1に示されるように、タービュレータ6から離れるように外に延びる2つのアンダーカット領域21を有する。ここで、アンダーカット領域21は、カバープレート4の対応するポケット内に突き出ている。アンダーカット領域21は、長手方向11に平行に見て、カバープレート4を部分的にアンダーカットする。これにより、冷却流体ストリームの縁部付近の部分領域の追加の偏向が強制され、それによりバイパス流15がさらに減少される。
【0042】
図1には、単一の遮断要素20のみが示されている。好ましくは、バイパス流15を特に効率的に減少させるために、タービュレータ6の両側にそれぞれ1つの遮断要素20が設けられている。
【0043】
図3は、本発明の第2の例示的実施形態による冷却装置1の図を示す。第2の例示的実施形態は、
図1の第1の例示的実施形態に本質的に対応し、相違点は、遮断要素20の一代替形態である。加えて、第2の例示的実施形態の冷却装置1は、複数のタービュレータ6の代わりに、本質的に冷却チャネル5全体にわたって延びる単一のタービュレータ6のみを備える。とりわけ、単一のタービュレータ6は、
図1の第1の例示的実施形態における複数のタービュレータ6と同じ効果を達成するために、例えば乱流プレートの異なる迎角によって、流れ方向10に沿って異なる乱流係数を有することができる。
【0044】
図3の第2の例示的実施形態では、遮断要素20は、それぞれ直方体としてとりわけアルミニウムから構成されている。ここで、遮断要素20は、長手方向11を横切る方向でタービュレータ6に直接隣接して配置されている。加えて、各遮断要素20はカバープレート4のポケット49内に配置され、ポケット49はとりわけ凹部40の一部である。
【0045】
第3の例示的実施形態では、タービュレータ6の各側に合計3つの遮断要素20が配置され、それぞれ長手方向11に関して対向する2つの遮断要素20が同じ高さに配置されている。
【0046】
ここで、遮断要素20は、第2の例示的実施形態の冷却装置1ではバイパス領域55の局所的な遮断を形成し、それによりバイパス流15を同様に効果的に減少させることができる。
【0047】
図4は、本発明の第3の例示的実施形態による冷却装置1の図を示す。第3の例示的実施形態は、
図1の第1の例示的実施形態に本質的に対応し、相違点は、タービュレータ6ごとにそれぞれ個別に2つの遮断要素20が設けられていることである。さらに、第3の例示的実施形態の冷却装置1は、タービュレータセクション56間にそれぞれ、冷却チャネル5の流れ断面のテーパ部分7を追加的に備える。テーパ部分7は、
図4に矢印Bで示唆されるように、冷却流体ストリームの縁部付近の部分領域の偏向を引き起こす。これらの偏向は、冷却流体ストリームの縁部付近の部分領域の減速、したがって圧力損失をもたらし、それにより、バイパス領域55を通って流れる体積流も同様に減少される。
【0048】
テーパ部分7は、カバープレート4のビードの形態で構成され、凹部40の縁部に配置されている。言い換えると、テーパ部分7は、側方で冷却チャネル5内に突出する突起の形態で構成され、これらはとりわけ、平面Eに垂直な方向で冷却チャネル5の高さ全体にわたって延びる。
【0049】
テーパ部分7での流れ断面の最小幅70は、タービュレータ6の幅60よりも小さく、好ましくは10%小さい。これにより、流れ方向10に沿って見たときにタービュレータ6とテーパ部分7とがアンダーカットされ、それにより冷却チャネル5の縁部でのストリームの偏向が特に確実に強制される。
【0050】
テーパ部分7は、
図1で見ることができるように、長手方向11に関して対称的に構成されている。すなわち、冷却チャネル5の縁部にそれぞれ2つのテーパ部分7が対向して構成されている。
【0051】
2つのそれぞれ対向するテーパ部分7により、冷却チャネル5の流れ断面は、この領域で、タービュレータセクション56のうちの1つのセクション56内での冷却チャネル56の流れ断面全体よりも少なくとも5%小さくなるように狭くされる。ここで、カバープレート4とベースプレート3との間の断面全体が、流れ断面全体とみなされる。
【0052】
図6は、本発明の第5の例示的実施形態による冷却装置1の詳細断面図を示す。第5の例示的実施形態は、
図1の第1の例示的実施形態に本質的に対応し、相違点は、遮断要素20として別個の構成部品が設けられていないことである。その代わり、バイパス流15の少なくとも部分的な遮断をもたらす遮断要素20は、ベースプレート3とカバープレート4とのろう付け接続のろう付けメニスカス20’によって形成される。ここで、ろう付けメニスカス20’は、カバープレート4とベースプレート3との間で冷却チャネル5に面する側で、ベースプレート3とカバープレート4とが接触する領域に位置するはんだ材料である。対応して拡大されたろう付けメニスカス20’によって、バイパス領域55を容易に縮小して、より低いバイパス流15を達成することができる。
【0053】
追加的に、
図6に示される第5の例示的実施形態では、遮断要素20は、タービュレータ6の面取りされた部分領域20’’によって部分的に形成される。この面取りされた部分領域20’’は、レーザ加工によって製造することができる。これにより、タービュレータ6が、冷却チャネル7の縁部のより近くに配置されるように、カバープレート4の離型形状に適合した対応する形状を有することを達成することができる。これにより、同様にバイパス領域5を縮小することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品(2)を冷却するための冷却装置であって、
- ベースプレート(3)と、
- 凹部(40)を有する深絞り部品であるカバープレート(4)であり、
- ベースプレート(3)とカバープレート(4)とが、前記凹部(40)によってベースプレート(3)とカバープレート(4)との間に冷却チャネル(5)が形成されているように配置されており、
- 前記冷却チャネル(5)が、長手方向(11)に沿って入口開口部(51)から出口開口部(52)まで延び、
- 冷却流体の冷却流体ストリームが、長手方向(10)に沿って前記冷却チャネル(5)を通って流れることができる、カバープレート(4)と、
- 前記冷却チャネル(5)のタービュレータセクション(56)内に配置されている少なくとも1つのタービュレータ(6)と、
- 前記冷却チャネル(5)の前記長手方向(11)に関して、前記タービュレータ(6)の横で、前記タービュレータ(6)、前記カバープレート(4)、および前記ベースプレート(3)の間の前記冷却チャネル(5)のバイパス領域(55)内に配置されており、前記タービュレータ(6)の横のバイパス流(15)を少なくとも部分的に遮断する、少なくとも1つの遮断要素(20)と、
を備える、冷却装置。
【請求項2】
前記遮断要素(20)が、前記カバープレート(4)の離型形状に適合された断面形状を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記遮断要素(20)が直方体に構成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記遮断要素(20)が、前記ベースプレート(3)とカバープレート(4)とのろう付け接続のろう付けメニスカス(20’)によって少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記遮断要素(20)が、とりわけレーザ加工された、タービュレータ(6)の面取りされた部分領域(20’’)によって少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記遮断要素(20)が、少なくとも1つのアンダーカット領域(21)を有し、前記アンダーカット領域(21)が、前記タービュレータ(6)から離れるように延び、前記長手方向(11)に関して前記カバープレート(4)と部分的にアンダーカットする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却チャネル(5)内で流れ方向(10)において前後に配置されている複数のタービュレータ(6)を備える、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項8】
タービュレータ(6)ごとに複数の遮断要素(20)を備える、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項9】
各遮断要素(20)が、流れ方向(10)において複数のタービュレータ(6)にわたって延びる、請求項7に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記タービュレータ(6)が、流れ方向(10)において増加する乱流係数を有する、請求項7に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記タービュレータセクション(56)の上流および/または下流に、前記冷却チャネル(5)の流れ断面の少なくとも1つのテーパ部分(7)が構成されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項12】
前記テーパ部分(7)が、前記テーパ部分(7)での前記流れ断面の最小幅(70)が前記タービュレータ(6)の幅(60)よりも小さくなるように構成されている、請求項11に記載の冷却装置。
【請求項13】
- 請求項1に記載の冷却装置(1)と、
- 冷却すべき少なくとも1つの電子部品(2)と、
を備える電子装置。
【請求項14】
冷却すべき前記電子部品(2)が、熱伝導可能に前記冷却装置(1)の前記ベースプレート(3)と接続されている、請求項13に記載の電子装置。
【国際調査報告】