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特表2024-543266アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法、並びにシステム
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  • 特表-アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法、並びにシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-20
(54)【発明の名称】アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法、並びにシステム
(51)【国際特許分類】
   C07D 279/20 20060101AFI20241113BHJP
   C07C 211/55 20060101ALI20241113BHJP
   C07C 209/00 20060101ALI20241113BHJP
   B01D 3/14 20060101ALI20241113BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241113BHJP
【FI】
C07D279/20
C07C211/55
C07C209/00
B01D3/14 A
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531651
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 CN2022135596
(87)【国際公開番号】W WO2023124728
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202210000026.0
(32)【優先日】2022-01-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522173712
【氏名又は名称】中石化(大連)石油化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】祁文博
(72)【発明者】
【氏名】王振宇
(72)【発明者】
【氏名】李瀾鵬
(72)【発明者】
【氏名】趙響宇
(72)【発明者】
【氏名】王麗博
(72)【発明者】
【氏名】李浩萌
(72)【発明者】
【氏名】艾撫賓
【テーマコード(参考)】
4D076
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4D076AA16
4D076AA23
4D076AA24
4D076BB03
4D076BB23
4D076CD21
4D076CD25
4D076FA02
4D076FA04
4D076FA12
4D076FA15
4D076FA34
4D076HA20
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB84
4H006AC52
4H006AD11
4H006BA09
4H006BA30
4H006BA71
4H006BC10
4H006BC11
4H006BD33
4H006BD52
4H006BD70
4H039CA71
4H039CL25
(57)【要約】
本発明は、有機合成の技術分野に関し、アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法、並びにシステムを開示する。該方法は、アニリン原料を反応させるステップと、得られたジフェニルアミンを含有する反応混合物を気液分離して、第1液体生成物及び第1ガス生成物を得るステップと、前記第1液体生成物を分離処理して、アニリン回収材料及びジフェニルアミン製品を得るステップと、得られた前記ジフェニルアミン製品の一部を反応させるステップと、得られたフェノチアジンを含有する反応混合物を気液分離して、第2液体生成物及び第2ガス生成物を得、前記第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離するステップと、を含む。本発明では、ジフェニルアミン合成プロセスとフェノチアジン合成プロセスを組み合わせることによって、2つのプロセスの熱結合を達成することができ、結合プロセスのエネルギー消費量を大幅に削減し、市場の状況に応じて2つの製品の収量を合理的に制御し、ジフェニルアミン製品の純度を柔軟に調整することで、製品の構成を最適化させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法であって、
アニリン原料を反応させて、ジフェニルアミンを含有する反応混合物を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた反応混合物を気液分離して、第1液体生成物及び第1ガス生成物を得るステップ(2)と、
前記第1液体生成物を分離処理して、アニリン回収材料及びジフェニルアミン製品を得るステップ(3)と、
ステップ(3)で得られた前記ジフェニルアミン製品の一部を反応させて、フェノチアジンを含有する反応混合物を得るステップ(4)と、
ステップ(4)で得られた反応混合物を気液分離して、第2液体生成物及び第2ガス生成物を得、前記第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離するステップ(5)と、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(1)の前記反応において、使用される触媒は、β分子篩触媒、Y分子篩触媒、X分子篩触媒、モルデナイト、及びZSM-5のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(1)の前記反応において、使用される触媒は、β分子篩触媒であり、
好ましくは、前記β分子篩触媒の全重量を基準にして、前記β分子篩触媒は、β分子篩50~95wt%とγ-Al5~50wt%を含有し、β分子篩のSiO/Alモル比は、20~100、好ましくは28~68である、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(1)の前記反応は、連続操作又は間式操作、好ましくは連続操作である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(1)において、連続操作の反応条件は、反応圧力1~8MPa、好ましくは2~6MPa、反応温度250~380℃、好ましくは280~360℃、液空間速度0.05~1h-1、好ましくは0.1~0.5h-1を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(1)の前記反応は、保護ガスの存在下で行われ、前記保護ガスは、好ましくは、窒素ガス及び/又は水素ガスであり、
好ましくは、保護ガスとアニリン原料との体積比は、10~1000:1、好ましくは50~500:1である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(3)において、前記分離処理は多段精留であり、
好ましくは、前記多段精留は、
前記第1液体生成物を軽質画分除去塔に輸送して精留し、塔頂から軽質画分を排出する軽質画分除去と、
前記軽質画分除去塔の塔底生成物をアニリン回収塔に輸送して精留し、塔頂からアニリン回収材料を収集し、塔底でジフェニルアミン含有流れを得るアニリン回収と、
前記ジフェニルアミン含有流れを中間画分塔に輸送して精留し、塔頂から中間画分を排出し、塔底でジフェニルアミンリッチ流れを得る中間画分除去と、
前記ジフェニルアミンリッチ流れをジフェニルアミン製品塔に輸送して精留し、塔頂及びサイドラインから純度の異なるジフェニルアミン製品をそれぞれ得て、重質画分を塔底から排出するジフェニルアミン製品精留と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ジフェニルアミン製品塔の塔頂からジフェニルアミン適格品を取得し、前記ジフェニルアミン製品塔のサイドラインからジフェニルアミン高級品を取得し、前記ジフェニルアミン適格品の純度は98wt%以上であり、前記ジフェニルアミン高級品の純度は99.6wt%以上であり、
好ましくは、前記ジフェニルアミン適格品をステップ(4)の反応原料とする、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(3)で得られた前記アニリン回収材料は前記アニリン原料として再利用される、ことを特徴とする請求項1、7又は8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(4)において、前記反応は、硫黄含有物質の存在下で行われ、前記硫黄含有物質は、硫黄、硫化ナトリウム、二硫化炭素、及び二酸化硫黄から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(4)の前記反応において、使用される触媒は、ヨウ素錠、無水三塩化アルミニウム、及び固体酸触媒から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1又は10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(4)において、連続操作の反応条件は、反応圧力5~101kPa、好ましくは50~101kPa、反応温度130~250℃、好ましくは160~220℃、液空間速度0.1~2h-1、好ましくは0.1~0.5h-1を含む、ことを特徴とする請求項1又は10に記載の方法
【請求項13】
ステップ(4)において、間欠操作の反応条件は、反応圧力5~101kPa、好ましくは50~101kPa、反応温度130~250℃、好ましくは160~220℃、反応時間2~10h、好ましくは4~8hを含む、ことを特徴とする請求項1又は10に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(4)の前記反応は、保護ガスの存在下で行われ、前記保護ガスは、好ましくは、窒素ガス及び/又は水素ガスであり、
好ましくは、保護ガスとジフェニルアミン原料との体積比は、5~500:1、好ましくは10~100:1である、ことを特徴とする請求項1、10、11、12又は13に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(5)において、前記第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離する過程は、前記第2液体生成物に対して吸着脱不純物及び減圧蒸留を順次行うことを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記減圧蒸留過程で得られたジフェニルアミンリッチ軽質画分を前記中間画分塔に輸送して精留する、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(2)で得られた前記第1ガス生成物とステップ(5)で得られた前記第2ガス生成物とを混合して浄化する、ことを特徴とする請求項1、2、3、7、8、9、10、15又は16に記載の方法。
【請求項18】
アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造するシステムであって、
アニリン原料が反応を行う第1反応器(100)と、
前記第1反応器(100)で得られた反応混合物を気液分離して、第1液体生成物及び第1ガス生成物を取得するための第1気液分離装置(200)と、
前記第1気液分離装置(200)で分離された第1液体生成物を分離処理して、アニリン回収材料及びジフェニルアミン製品を取得するための第1製品分離装置(300)と、
前記第1製品分離装置(300)からの前記ジフェニルアミン製品の一部を第2反応器(400)において反応させる第2反応器(400)と、
前記第2反応器(400)で得られた反応混合物を気液分離して、第2液体生成物及び第2ガス生成物を取得するための第2気液分離装置(500)と、
前記第2気液分離装置(500)で分離された第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離するための第2製品分離装置(600)と、を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項19】
前記第1製品分離装置(300)は多段精留装置であり、
好ましくは、前記多段精留装置は、
前記第1気液分離装置(200)で分離された前記第1液体生成物を精留し、塔頂から軽質画分を排出するための軽質画分除去塔(310)と、
前記軽質画分除去塔(310)の塔底からの生成物を精留し、塔頂からアニリン回収材料を収集し、塔底でジフェニルアミン含有流れを得るためのアニリン回収塔(320)と、
前記アニリン回収塔(320)からのジフェニルアミン含有流れを精留し、塔頂から中間画分を排出し、塔底でジフェニルアミンリッチ流れを得るための中間画分塔(330)と、
前記中間画分塔(330)からのジフェニルアミンリッチ流れを精留し、塔頂及びサイドラインから純度の異なるジフェニルアミン製品をそれぞれ得て、重質画分を塔底から排出するためのジフェニルアミン製品塔(340)と、を含む、ことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ジフェニルアミン製品塔(340)において、塔頂にはジフェニルアミン適格品を送り出すためのジフェニルアミン適格品輸送パイプライン(341)が設けられ、塔の側部にはジフェニルアミン高級品を収集するためのジフェニルアミン高級品輸送パイプライン(342)が設けられ、前記ジフェニルアミン適格品輸送パイプライン(341)は前記第2反応器(400)のジフェニルアミン原料供給口に連通する、ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2製品分離装置(600)は、
前記第2気液分離装置(500)で分離された第2液体生成物に対して吸着脱不純物を行うための吸着脱不純物装置(610)と、
前記吸着脱不純物装置(610)で処理された液体生成物を減圧蒸留し、ジフェニルアミンリッチ軽質画分及びフェノチアジン製品を取得するための減圧蒸留装置(620)と、を含む、ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記減圧蒸留装置(620)の頂部には、ジフェニルアミンリッチ軽質画分を送り出すためのジフェニルアミンリッチ材料輸送パイプライン(621)が設けられ、前記ジフェニルアミンリッチ材料輸送パイプライン(621)は前記中間画分塔(330)のジフェニルアミン含有流れ供給口に連通する、ことを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
排気浄化装置(800)をさらに含み、前記第1気液分離装置(200)の頂部に設けられた第1ガス生成物輸送パイプライン(201)及び前記第2気液分離装置(500)の頂部に設けられた第2ガス生成物輸送パイプライン(501)は、前記排気浄化装置(800)に連通する、ことを特徴とする請求項18~22のいずれか1項に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2022年01月01日に提出された中国特許出願202210000026.0の利益を主張しており、当該出願の内容は、引用により本明細書に組み込まれている。
[技術分野]
【0002】
本発明は、有機合成の技術分野に関し、具体的には、アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法、並びにシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ジフェニルアミンは、幅広い用途を持つ重要な有機化学原料である。工業的には、主に合成ゴムの老化防止剤、爆発薬の安定化剤、燃料や医薬品中間体、アゾ系染料、果物保存剤などとして使用されるが、また、DNA同定や、硝酸塩、亜硝酸塩、塩素酸塩、マグネシウムの比色測定用の分析試薬や酸化還元指示薬としても使用できる。
【0004】
チオジフェニルアミンとしても知られるフェノチアジンは、優れた重合禁止剤であり、医薬品や染料などのファインケミカルの合成中間体でもあり、それ自体は、合成材料用助剤(ビニロン製造用の重合禁止剤)、果樹用殺虫剤及び獣医用駆虫薬である。
【0005】
中国出願CN105272860Aは、アニリンからジフェニルアミンを連続的に生産する方法を開示しており、アニリンを原料とし、固定床触媒反応器を反応容器として用い、触媒の作用によりジフェニルアミンを合成し、反応は200~380℃の温度、2.5~4.0MPaの圧力で行われる。
【0006】
中国出願CN105524016Aは、フェノチアジン及び/又はその誘導体の合成方法を開示しており、ジフェニルアミン及び/又はジフェニルアミン誘導体、硫黄及び固体酸触媒を混合し、保護雰囲気下に置いて十分に反応させた後、後処理を行ってフェノチアジン及び/又はフェノチアジン誘導体を得るステップを含むことを特徴とする。
【0007】
しかし、現在、ジフェニルアミンの生産とフェノチアジンの生産は2つの別個の産業用装置で行われる。ジフェニルアミンの用途は多岐にわたり、下流製品に応じて、要求される製品仕様やジフェニルアミンの純度も異なるが、現在のジフェニルアミンの業界標準は、純度99.6%以上のものだけである。ただし、重合禁止剤であるフェノチアジンの生産に必要なジフェニルアミンの純度は99.6%以上である必要はない。フェノチアジンを合成するために純度99.6%以上のジフェニルアミンを長期購入すると、フェノチアジン生産装置の原料コストが高くなるだけでなく、ジフェニルアミン生産装置についても、そのすべての製品が99.6%以上の基準を満たさなければならない。したがって、製品精製のエネルギー消費量と固形廃棄物の量が多く、不必要なエネルギーと材料の損失が発生しており、これは、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルに関する国の戦略計画と矛盾している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法、並びにシステムを提供する。本発明では、ジフェニルアミン合成プロセスとフェノチアジン合成プロセスを組み合わせることによって、ジフェニルアミンの純度を柔軟に調整し、ジフェニルアミン精製のエネルギー消費量を削減し、固形廃棄物の発生を削減できるだけでなく、フェノチアジン製造時の減圧蒸留後の未反応ジフェニルアミンを不純物除去処理のためにジフェニルアミン製造時の中間画分塔に送ることができ、フェノチアジン製造における分離ステップを省略し、エネルギー消費量を削減することができる。より低い純度(98.0%以上)のジフェニルアミンはフェノチアジンの生産に使用できるため、ジフェニルアミン製品とフェノチアジン製品の価格とニーズに応じて、2つの製品の収量を合理的に制御することができ、ジフェニルアミン製品の純度を柔軟に調整することで、製品の構成を最適化させ、化学会社が製品価格の変動に耐える能力を大幅に向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
アニリン原料を反応させて、ジフェニルアミンを含有する反応混合物を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた反応混合物を気液分離して、第1液体生成物及び第1ガス生成物を得るステップ(2)と、
前記第1液体生成物を分離処理して、アニリン回収材料及びジフェニルアミン製品を得るステップ(3)と、
ステップ(3)で得られた前記ジフェニルアミン製品の一部を反応させて、フェノチアジンを含有する反応混合物を得るステップ(4)と、
ステップ(4)で得られた反応混合物を気液分離して、第2液体生成物及び第2ガス生成物を得、前記第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離するステップ(5)と、を含む、アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法を提供する。
【0010】
好ましくは、ステップ(3)において、前記分離処理は多段精留であり、さらに好ましくは、前記多段精留は、
前記第1液体生成物を軽質画分除去塔に輸送して精留し、塔頂から軽質画分を排出する軽質画分除去と、
前記軽質画分除去塔の塔底生成物をアニリン回収塔に輸送して精留し、塔頂からアニリン回収材料を収集し、塔底でジフェニルアミン含有流れを得るアニリン回収と、
前記ジフェニルアミン含有流れを中間画分塔に輸送して精留し、塔頂から中間画分を排出し、塔底でジフェニルアミンリッチ流れを得る中間画分除去と、
前記ジフェニルアミンリッチ流れをジフェニルアミン製品塔に輸送して精留し、塔頂及びサイドラインから純度の異なるジフェニルアミン製品をそれぞれ得て、重質画分を塔底から排出するジフェニルアミン製品精留と、を含む。
【0011】
好ましくは、前記ジフェニルアミン製品塔の塔頂からジフェニルアミン適格品を取得し、前記ジフェニルアミン製品塔のサイドラインからジフェニルアミン高級品を取得し、前記ジフェニルアミン適格品の純度は98wt%以上であり、前記ジフェニルアミン高級品の純度は99.6wt%以上であり、さらに好ましくは、前記ジフェニルアミン適格品をステップ(4)の反応原料とする。
【0012】
好ましくは、ステップ(3)で得られた前記アニリン回収材料は前記アニリン原料として再利用される。
【0013】
好ましくは、ステップ(5)において、前記第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離する過程は、前記第2液体生成物に対して吸着脱不純物及び減圧蒸留を順次行うことを含む。
【0014】
さらに好ましくは、前記減圧蒸留過程で得られたジフェニルアミンリッチ軽質画分を前記中間画分塔に輸送して精留する。
【0015】
好ましくは、ステップ(2)で得られた前記第1ガス生成物とステップ(5)で得られた前記第2ガス生成物とを混合して浄化する。
【0016】
本発明はまた、
アニリン原料が反応を行う第1反応器と、
前記第1反応器で得られた反応混合物を気液分離して、第1液体生成物及び第1ガス生成物を取得するための第1気液分離装置と、
前記第1気液分離装置で分離された第1液体生成物を分離処理して、アニリン回収材料及びジフェニルアミン製品を取得するための第1製品分離装置と、
前記第1製品分離装置からの前記ジフェニルアミン製品の一部を第2反応器において反応させる第2反応器と、
前記第2反応器で得られた反応混合物を気液分離して、第2液体生成物及び第2ガス生成物を取得するための第2気液分離装置と、
前記第2気液分離装置で分離された第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離するための第2製品分離装置と、を含む、アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造するシステムを提供する。
【0017】
好ましくは、前記第1製品分離装置は多段精留装置である。さらに好ましくは、前記多段精留装置は、
前記第1気液分離装置で分離された前記第1液体生成物を精留し、塔頂から軽質画分を排出するための軽質画分除去塔と、
前記軽質画分除去塔の塔底からの生成物を精留し、塔頂からアニリン回収材料を収集し、塔底でジフェニルアミン含有流れを得るためのアニリン回収塔と、
前記アニリン回収塔からのジフェニルアミン含有流れを精留し、塔頂から中間画分を排出し、塔底でジフェニルアミンリッチ流れを得るための中間画分塔と、
前記中間画分塔からのジフェニルアミンリッチ流れを精留し、塔頂及びサイドラインから純度の異なるジフェニルアミン製品をそれぞれ得て、重質画分を塔底から排出するためのジフェニルアミン製品塔と、を含む。
【発明の効果】
【0018】
従来技術と比較して、本発明の前記アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法、並びにシステムは、以下の利点を有する。
【0019】
1.既存のフェノチアジン生産装置は、いずれもケトル式の間欠操作を採用しており、以下の2つの理由により連続生産装置は存在しない。(1)市場の需要が安定しており、間欠操作で市場の要件を満たすことができる。(2)連続操作を行うと転化率が低下することは避けられず、ジフェニルアミンを回収するための精留塔等の関連設備を追加する必要があり、経済的ではない。本発明では、フェノチアジンの製造工程をジフェニルアミンの合成プロセスに組み込むことにより、フェノチアジンの大規模連続生産を実現し、フェノチアジンの生産ルートを最適化することができる一方、ジフェニルアミン合成プロセスにおける製品の分留精度を適宜緩和することができる。ジフェニルアミン高級品(純度99.6wt%以上)は、製品として外部に送られ、ジフェニルアミン適格品(純度98wt%以上)はさらなる反応のためにフェノチアジン製造に直接輸送することができる。これによって、ジフェニルアミン製品の精留塔のエネルギー消費量を削減し、フェノチアジン製造プロセスにおけるジフェニルアミンの原料の要件も満たす。また、ジフェニルアミン製品によって運ばれる熱は、ジフェニルアミンからフェノチアジンを製造する反応のための熱源も提供し、それにより、フェノチアジン製造プロセスのエネルギー消費量を削減する。したがって、本発明の組み合わせプロセスは、2つのプロセスの熱結合を実現することができ、組み合わせプロセスのエネルギー消費量を大幅に削減することができる。
【0020】
2.ジフェニルアミン合成プロセスでは、反応初期の転化率や選択性が高いため、中間画分の生成が少なく、反応の終了時には、変換率や選択性が大幅に低下し、中間画分の含有量が大幅に増加する。反応中期以降の製品の分離効果を考慮すると、アニリン塔の塔底材料の中間画分塔への供給位置はあまり高くすることができない。このため、反応初期には、中間画分塔への供給の変動が大きく、操作が困難となる。また、フェノチアジンの製造プロセスでは通常固体酸触媒が使用されるため、連続生産の初期では、高い触媒活性と高い転化率により、選択性が最適ではなく、より多くの中間画分が生成される。反応中期以降は触媒活性が安定し、選択性が徐々に高くなり、中間画分の含有量が減少する傾向にある。反応初期における製品の分離効果を考慮すると、中間画分塔へのアニリン塔の塔底材料の供給位置は低くなりすぎてはいけない。このため、反応中期以降では、中間画分塔の操作が困難となる。フェノチアジン製造プロセスをジフェニルアミン合成プロセスに組み込むと、アニリン塔の塔底材料が中間画分塔の材料に混入されて、フェノチアジンの製造中に減圧蒸留塔の塔頂から送られるジフェニルアミンリッチ材料と混合される。それにより、中間画分塔に入る材料が全運転サイクルを通じて比較的安定した組成(つまり、ジフェニルアミンの含有量が比較的安定)となるため、中間画分塔は、操作の変動が少なくなり、安定的に運転することができ、操作が便利になる。
【0021】
3.本発明のプロセスは、ジフェニルアミン製品及びフェノチアジン製品の市場価格及び市場需要に応じて、この2つの製品の収量を合理的に制御し、ジフェニルアミン製品の純度を柔軟に調整することで、組み合わせプロセスの製品の構成を最適化することができ、化学会社が製品価格の変動に耐える能力が大幅に向上する。
【0022】
4.ジフェニルアミンの製造中に発生するアンモニアガスはアルカリ性のガスであり、フェノチアジンの製造中に発生する硫化水素は酸性のガスであるため、これら2つの排気を同時に水洗すると互いに中和することができる。酸吸収やアルカリ吸収のために購入する酸やアルカリの購入量を削減し、また、排水の排出量も削減する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明によるアニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造するプロセスの流れの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施形態は、本発明を説明、解釈するために過ぎず、本発明を限定するためのものではないことが理解されるべきである。
【0025】
本発明の前記アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法は、
アニリン原料を反応させて、ジフェニルアミンを含有する反応混合物を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた反応混合物を気液分離して、第1液体生成物及び第1ガス生成物を得るステップ(2)と、
前記第1液体生成物を分離処理して、アニリン回収材料及びジフェニルアミン製品を得るステップ(3)と、
ステップ(3)で得られた前記ジフェニルアミン製品の一部を反応させて、フェノチアジンを含有する反応混合物を得るステップ(4)と、
ステップ(4)で得られた反応混合物を気液分離して、第2液体生成物及び第2ガス生成物を得、前記第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離するステップ(5)と、を含む。
【0026】
ステップ(1)において、前記反応は、アニリンをジフェニルアミンに合成するものであり、具体的な反応式は式(1)に示され、主生成物はジフェニルアミンであり、副生成物は、主に、アンモニアガス、2-メチルピリジン、2-エチルアニリン、キノリン、インドール、アクリジンなどである。
【0027】
【化1】
【0028】
アニリンからジフェニルアミンを製造する反応の条件は、反応温度250~380℃、圧力1~8MPa、液空間速度0.05~1h-1を含んでもよい。本明細書において、圧力は絶対圧力を指す。
【0029】
アニリンからジフェニルアミンを製造するアニリン原料のパラメータ指標は表1に示され、リサイクル可能なアニリン原料のパラメータ指標は表2に示されるようにしてもよい。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
ステップ(1)の前記反応において、使用される触媒は、β分子篩触媒、Y分子篩触媒、X分子篩触媒、モルデナイト、及びZSM-5のうちの少なくとも1種であってもよい。好ましくは、使用される触媒は、β分子篩触媒である。前記β分子篩触媒は、当該分野によく使用されるものであってもよい。好ましい実施形態では、前記β分子篩触媒の全重量を基準にして、前記β分子篩触媒は、β分子篩50~95wt%とγ-Al5~50wt%を含有する。より好ましくは、前記β分子篩触媒は、β分子篩60~90wt%とγ-Al10~40wt%を含有する。前記β分子篩触媒において、β分子篩のSiO/Alモル比は、20~100、好ましくは28~68であってもよい。
【0033】
本発明の前記方法では、ステップ(1)の前記反応は、連続操作又は間式操作であってもよいが、好ましくは連続操作である。
【0034】
前記アニリンからジフェニルアミンを製造する反応が連続操作である場合、連続操作の反応条件は、反応圧力1~8MPa、好ましくは2~6MPa、反応温度250~380℃、好ましくは280~360℃、液空間速度0.05~1h-1、好ましくは0.1~0.5h-1を含んでもよい。
【0035】
本発明の前記方法では、ステップ(1)の前記反応は、好ましくは、保護ガスの存在下で行われる。前記保護ガスは、好ましくは、窒素ガス及び/又は水素ガスである。
【0036】
ステップ(1)の前記反応中に保護ガスが導入される場合、保護ガスとアニリン原料との体積比は、10~1000:1であってもよいが、好ましくは50~500:1である。
【0037】
ステップ(1)の前記反応中に保護ガスが導入される場合、本発明の前記方法は、ステップ(2)で気液分離して得られた前記第1ガス生成物を浄化処理(例えば、酸洗)し、その後、得られた浄化処理後のガスを保護ガス源として再利用するステップをさらに含んでもよい。
【0038】
本発明の前記方法では、ステップ(2)の前記気液分離は、当該分野の一般的な気液分離装置(例えば、気液分離塔)中で実施されてもよく、塔底から前記第1液体生成物、塔頂から前記第1ガス生成物が抜き出される。前記第1液体生成物には、未反応アニリン、ジフェニルアミン、及び他の副生成物が含まれている。前記第1ガス生成物は、主にアンモニアガス及び保護ガスを含む。
【0039】
本発明の前記方法では、好ましくは、ステップ(3)において、前記分離処理は多段精留である。さらに好ましくは、前記多段精留は、
前記第1液体生成物を軽質画分除去塔に輸送して精留し、塔頂から軽質画分を排出する軽質画分除去と、
前記軽質画分除去塔の塔底生成物をアニリン回収塔に輸送して精留し、塔頂からアニリン回収材料を収集し、塔底でジフェニルアミン含有流れを得るアニリン回収と、
前記ジフェニルアミン含有流れを中間画分塔に輸送して精留し、塔頂から中間画分を排出し、塔底でジフェニルアミンリッチ流れを得る中間画分除去と、
前記ジフェニルアミンリッチ流れをジフェニルアミン製品塔に輸送して精留し、塔頂及びサイドラインから純度の異なるジフェニルアミン製品をそれぞれ得て、重質画分を塔底から排出するジフェニルアミン製品精留と、を含む。
【0040】
前記ジフェニルアミン製品の精留において、前記ジフェニルアミン製品塔の塔頂からジフェニルアミン適格品を取得し、前記ジフェニルアミン製品塔のサイドラインからジフェニルアミン高級品を取得し、前記ジフェニルアミン適格品の純度は98wt%以上であり、前記ジフェニルアミン高級品の純度は99.6wt%以上である。
【0041】
具体的な実施形態において、前記ジフェニルアミン適格品をステップ(4)の反応原料とする。必要な場合、前記ジフェニルアミン高級品をステップ(4)の少なくとも一部の反応原料としてもよい。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、前記方法は、ステップ(3)で得られた前記アニリン回収材料を前記アニリン原料として再利用するステップをさらに含んでもよい。具体的な操作は、以下の通りである。前記アニリン回収塔の塔頂で収集されたアニリン回収材料を、アニリン原料を供給するためのアニリン原料タンクに輸送し、新たなアニリン原料とともにステップ(1)の前記反応の反応原料とする。
【0043】
ステップ(4)において、前記反応は、ジフェニルアミンをフェノチアジンに合成するものであり、該反応は、硫黄含有物質の存在下で行われ、前記硫黄含有物質は、硫黄、硫化ナトリウム、二硫化炭素、及び二酸化硫黄から選択される少なくとも1種であってもよい。好ましくは、前記硫黄含有物質は硫黄である。
【0044】
ステップ(4)の前記反応に使用される硫黄含有物質が硫黄である場合、具体的な反応式は式(2)に示され、主生成物はフェノチアジンであり、副生成物は、置換基がジフェニルアミン又はフェノチアジンである大分子量のチオールやチオエーテルなどである。
【0045】
【化2】
【0046】
ジフェニルアミンからフェノチアジンを製造する反応条件は、触媒(例えば、ヨウ素錠)の存在下、反応温度130~250℃、圧力5~101kPaを含んでもよい。
【0047】
ジフェニルアミンからフェノチアジンを製造するジフェニルアミン原料のパラメータ指標は、表3に示されるようにしてもよい。
【0048】
【表3】
【0049】
ステップ(4)の前記反応において、使用される触媒は、当該分野でよく使用されている、ジフェニルアミンからフェノチアジンを合成する触媒である。好ましい実施形態では、前記触媒は、ヨウ素錠、無水三塩化アルミニウム、及び固体酸触媒から選択される少なくとも1種であり、より好ましくは固体酸触媒である。
【0050】
本発明の前記方法では、ステップ(4)の前記反応は、連続操作又は間式操作であってもよい。連続操作の反応条件は、反応圧力5~101kPa、好ましくは50~101kPa、反応温度130~250℃、好ましくは160~220℃、液空間速度0.1~2h-1、好ましくは0.1~0.5h-1を含んでもよい。間欠操作の反応条件は、反応圧力5~101kPa、好ましくは50~101kPa、反応温度130~250℃、好ましくは160~220℃、反応時間2~10h、好ましくは4~8hを含んでもよい。
【0051】
本発明の前記方法では、ステップ(4)の前記反応は、好ましくは保護ガスの存在下で行われる。前記保護ガスは、好ましくは、窒素ガス及び/又は水素ガスである。
【0052】
ステップ(4)の前記反応中に保護ガスが導入される場合、保護ガスとジフェニルアミン原料との体積比は、5~500:1であってもよいが、好ましくは10~100:1である。
【0053】
ステップ(4)の前記反応中に保護ガスが導入される場合、本発明の前記方法は、ステップ(5)で気液分離して得られた前記第2ガス生成物を浄化処理(例えば、アルカリ洗浄)し、その後、得られた浄化処理後のガスを保護ガス源として再利用するステップをさらに含んでもよい。
【0054】
本発明の前記方法では、ジフェニルアミンの製造中に発生するアンモニアガスはアルカリ性のガスであり、フェノチアジンの製造中に発生する硫化水素は酸性のガスであるため、これら2つの排気を同時に水洗すると互いに中和することができる。酸吸収やアルカリ吸収のために購入する酸やアルカリの購入量を削減し、また、排水の排出量も削減する。したがって、好ましい実施形態では、ステップ(2)で得られた前記第1ガス生成物とステップ(5)で得られた前記第2ガス生成物とを混合して浄化する(例えば、水洗)。
【0055】
ステップ(1)及び/又はステップ(4)の前記反応系に保護ガスが導入された場合、さらに好ましくは、ステップ(2)で得られた前記第1ガス生成物とステップ(5)で得られた前記第2ガス生成物とを混合して浄化し、その後、得られた浄化処理後のガスを保護ガス源として再利用し、必要に応じて、前記浄化処理後のガスをガスコンプレッサで適切な圧力まで増圧して、再利用する。
【0056】
本発明の前記方法では、ステップ(5)の前記気液分離は、当該分野でよく使用されている、気液分離装置(例えば、気液分離塔)中で実施することができ、塔底から前記第2液体生成物、塔頂から前記第2ガス生成物が抜き出される。前記第2液体生成物には、未反応ジフェニルアミン、フェノチアジン及び他の副生成物が含まれている。前記第2ガス生成物は、主に、硫化水素及び保護ガスを含む。
【0057】
本発明の前記方法では、好ましくは、ステップ(5)において、前記第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離する過程は、前記第2液体生成物に対して吸着脱不純物及び減圧蒸留を順次行うことを含む。さらに好ましくは、本発明のアニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する前記方法は、前記減圧蒸留過程で得られたジフェニルアミンリッチ軽質画分を前記中間画分塔に輸送して精留するステップを含んでもよい。それにより、未反応ジフェニルアミンの回収及び再利用を実現する。
【0058】
本発明では、前記吸着脱不純物の目的は、気液分離過程で得られた前記第2液体生成物に対して吸着脱不純物処理、特に吸着脱色を行うことである。吸着脱不純物装置に充填された吸着剤は、当該分野の通常の吸着剤又は吸着フィラー、好ましくは活性炭である。間欠操作では、吸着脱不純物装置は吸着釜であり、連続操作では、吸着脱不純物装置は、吸着脱不純物タンク又は吸着脱不純物塔を含んでもよい。吸着脱不純物装置は、通常、A/B罐又はA/B塔を切り替えて操作する、つまり、塔の一方で不純物を除去するとともに、他方の塔で吸着剤を再生するのが一般的である。
【0059】
本発明では、前記減圧蒸留は、当該分野の通常の方法に従って実施することができる。具体的な実施形態において、前記減圧蒸留は、蒸留釜中で実施することができる。
【0060】
図1に示すように、本発明の前記アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造するシステムは、
アニリン原料がアニリンからジフェニルアミンを製造する反応を行う第1反応器100と、
前記第1反応器100で得られた反応混合物を気液分離して、第1液体生成物及び第1ガス生成物を取得するための第1気液分離装置200と、
前記第1気液分離装置200で分離された第1液体生成物を分離処理して、アニリン回収材料及びジフェニルアミン製品を取得するための第1製品分離装置300と、
前記第1製品分離装置300の前記ジフェニルアミン製品の一部と硫黄を、第2反応器400において、ジフェニルアミンからフェノチアジンを製造する反応を行う第2反応器400と、
前記第2反応器400で得られた反応混合物を気液分離して、第2液体生成物及び第2ガス生成物を取得するための第2気液分離装置500と、
前記第2気液分離装置500で分離された第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離するための第2製品分離装置600と、を含む。
【0061】
本発明の前記システムでは、前記第1製品分離装置300は、好ましくは多段精留装置である。好ましい実施形態では、前記多段精留装置は、
前記第1気液分離装置200で分離された前記第1液体生成物を精留し、塔頂から軽質画分を排出するための軽質画分除去塔310と、
前記軽質画分除去塔310の塔底からの生成物を精留し、塔頂からアニリン回収材料を収集し、塔底でジフェニルアミン含有流れを得るためのアニリン回収塔320と、
前記アニリン回収塔320からのジフェニルアミン含有流れを精留し、塔頂から中間画分を排出し、塔底でジフェニルアミンリッチ流れを得るための中間画分塔330と、
前記中間画分塔330からのジフェニルアミンリッチ流れを精留し、塔頂及びサイドラインから純度の異なるジフェニルアミン製品をそれぞれ得て、重質画分を塔底から排出するためのジフェニルアミン製品塔340と、を含む。
【0062】
さらに好ましくは、前記ジフェニルアミン製品塔340において、塔頂にはジフェニルアミン適格品を送り出すためのジフェニルアミン適格品輸送パイプライン341が設けられ、塔の側部にはジフェニルアミン高級品を収集するためのジフェニルアミン高級品輸送パイプライン342が設けられ、前記ジフェニルアミン適格品輸送パイプライン341は前記第2反応器400のジフェニルアミン原料供給口に連通する。
【0063】
さらに好ましくは、前記第2製品分離装置600は、
前記第2気液分離装置500で分離された第2液体生成物に対して吸着脱不純物を行うための吸着脱不純物装置610と、
前記吸着脱不純物装置610で処理された液体生成物を減圧蒸留し、ジフェニルアミンリッチ軽質画分及びフェノチアジン製品を取得するための減圧蒸留装置620と、を含む。
【0064】
さらに好ましくは、前記減圧蒸留装置620の頂部には、ジフェニルアミンリッチ軽質画分を送り出すためのジフェニルアミンリッチ材料輸送パイプライン621が設けられ、前記ジフェニルアミンリッチ材料輸送パイプライン621は前記中間画分塔330のジフェニルアミン含有流れ供給口に連通する。
【0065】
さらに好ましくは、前記システムは、排気浄化装置800をさらに含み、前記第1気液分離装置200の頂部に設けられた第1ガス生成物輸送パイプライン201及び前記第2気液分離装置500の頂部に設けられた第2ガス生成物輸送パイプライン501は、前記排気浄化装置800に連通する。
【0066】
よりさらに好ましくは、前記排気浄化装置800のガス送り出し端に浄化ガス送り出しパイプライン801が設けられ、前記浄化ガス送り出しパイプライン801は、前記第2反応器400のガス入口に連通し、浄化処理後のガス(主に、保護ガス、例えば、窒素ガス及び/又は水素ガス)を保護ガス源として前記第2反応器400内に輸送し、又は、前記浄化ガス送り出しパイプライン801は、ガスコンプレッサ700の圧縮対象ガス投入パイプライン701に連通してもよく、浄化処理後のガスは反応圧力まで増圧され、圧縮ガス輸送パイプライン702を介して前記第1反応器100内に輸送される。
【0067】
よりさらに好ましくは、前記アニリン回収塔320の頂部にアニリン回収材料輸送パイプライン321が設けられ、前記アニリン回収材料輸送パイプライン321は、アニリン原料タンク900に連通し、前記アニリン回収塔320で収集されたアニリン回収材料をアニリン原料タンク900に輸送して再利用する。前記アニリン原料タンク900には、前記アニリン原料タンク900に新たなアニリン原料を供給するための新たなアニリンパイプライン901がさらに設けられる。前記アニリン原料タンク900の原料送り出しパイプライン902は、前記第1反応器100の供給パイプライン101に連通する。
【0068】
具体的な実施形態において、図1に示すように、前記アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造するシステムは、第1反応器100、第1気液分離装置200、多段精留装置、第2反応器400、第2気液分離装置500、吸着脱不純物装置610、及び減圧蒸留装置620を含み、ここで、前記多段精留装置は、軽質画分除去塔310、アニリン回収塔320、中間画分塔330、及びジフェニルアミン製品塔340を含む。アニリン原料は、第1供給パイプライン101を介して第1反応器100に投入され、反応混合物は、第1送り出しパイプライン102を介して第1気液分離装置200に輸送され、気液分離され、気液分離により得られた第1ガス生成物は、第1ガス生成物輸送パイプライン201を介して排気浄化装置800に輸送され浄化され、得られた第1液体生成物は、第1液体生成物輸送パイプライン202を介して軽質画分除去塔310に輸送され精留され、得られた軽質画分は、塔頂の軽質画分輸送パイプライン311を介して排出され、塔底生成物は、塔底生成物輸送パイプライン312を介してアニリン回収塔320に輸送され精留され、塔頂で収集されたアニリン回収材料は、アニリン回収材料輸送パイプライン321を介してアニリン原料タンク900に輸送される。塔底のジフェニルアミン含有流れは、ジフェニルアミン含有流れ輸送パイプライン322を介して中間画分塔330に輸送され精留され、得られた中間画分は、塔頂の中間画分輸送パイプライン331を介して排出され、塔底のジフェニルアミンリッチ流れは、ジフェニルアミンリッチ流れ輸送パイプライン332を介してジフェニルアミン製品塔340に輸送され精留され、塔底の重質画分は、第1重質画分送り出しパイプライン343を介して排出される。サイドラインを介して収集されたジフェニルアミン高級品は、ジフェニルアミン高級品収集パイプライン342を介して輸送され、塔頂のジフェニルアミン適格品は、ジフェニルアミン適格品輸送パイプライン341を介して第2反応器400の第2供給パイプライン401に輸送され、かつ第2反応器400に入り、また、反応物の硫黄は、硫黄供給パイプライン403を介して第2反応器400に輸送され、反応させ、得られた反応混合物は、第2送り出しパイプライン402を介して第2気液分離装置500に輸送され、気液分離され、気液分離により得られた第2ガス生成物は、第2ガス生成物輸送パイプライン501を介して排気浄化装置800に輸送され浄化され、得られた第2液体生成物は、第2液体生成物輸送パイプライン502を介して吸着脱不純物装置610に輸送され、吸着により不純物を除去され、吸着により不純物を除去された材料は、第3送り出しパイプライン611を介して減圧蒸留装置620に輸送されて減圧蒸留される。塔頂で収集されたジフェニルアミンリッチ軽質画分は、ジフェニルアミンリッチ材料輸送パイプライン621を介して中間画分塔330に輸送されて再利用され、サイドラインを介して収集されたフェノチアジン製品は、フェノチアジン製品収集パイプライン622を介して送り出され、塔底の重質画分は、第2重質画分送り出しパイプライン623を介して排出される。
【0069】
本発明の前記システムでは、好ましくは、各个パイプラインには、背圧弁、遮断弁又は一方向弁などの弁が必要に応じて設けられてもよい。背圧弁、遮断弁、及び一方向弁の配置は当業者に公知であるので、ここでは詳しく説明しない。
【0070】
以下、実施例によって本発明の前記アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法、並びにシステムについてさらに説明する。実施例は、本発明の技術案を前提として実施され、詳細な実施形態と具体的な操作手順を示しているが、本発明の保護範囲は以下の実施例に限定されない。
【0071】
以下の実施例における実験方法は、特段の説明がない限り、いずれも当該分野の通常の方法である。下記の実施例に用いる実験材料は、特段の説明がない限り、すべて生化学試薬店で購入できる。
【0072】
以下の実施例と比較例に使用されるアニリン原料の仕様は表1に示され、GB/T 2961-2014規格に準拠している。
【0073】
使用される窒素ガスの純度は99.9v%を超える。
【0074】
アニリンからジフェニルアミンを連続的に合成するために使用されるβ分子篩触媒は、グレードがDA-30であり、β分子篩の含有量が73.3wt%(シリカ/アルミナ比は30)、γ-Alの含有量が26.7wt%である。その物理的特性を表4に示す。
【0075】
【表4】
【0076】
ジフェニルアミンからフェノチアジンを合成するために使用される触媒は、通常の固体リン酸触媒である。
【0077】
ジフェニルアミンからフェノチアジンを合成するために使用される硫黄は、工業用の一級品である。
比較例1
【0078】
比較例1では、アニリンからジフェニルアミンを生産する装置、及びジフェニルアミンからフェノチアジンを生産する装置は、組み合わせられていない2つの個別の装置である。
【0079】
アニリンからジフェニルアミンを生産する場合、アニリンと窒素ガスが反応器の底部から反応器に入り、固定床反応器を通過する。反応器内にβ分子篩触媒が充填されている。プロセス条件及び反応の結果を表5に示す。
【0080】
ジフェニルアミンからフェノチアジンを生産する場合、ジフェニルアミンと窒素ガスが固定床反応器に入って、固体酸触媒と接触して反応させる。プロセス条件及び反応の結果を表5に示す
【0081】
【表5】

実施例1~4
【0082】
実施例の操作過程は以下の通りである。
【0083】
(1)アニリンからのジフェニルアミンの連続生産
図1に示すように、β分子篩触媒が存在する条件下で、窒素ガスを窒素ガスコンプレッサに通して、反応原料のアニリンとともにそれぞれのパイプラインを介して第1反応器100に入れ、反応させた後、第1反応器100から取り出し、冷却した後、第1気液分離器に入れて、気液分離を行う。分離したアンモニアを含有する窒素ガスを浄化して、窒素ガスコンプレッサに戻し、分離した液体生成物を軽質画分除去塔310に入れて、2-メチルピリジンなどの軽質画分を塔頂から蒸発させ、釜液をアニリン回収塔320に送る。アニリン回収塔320において、過剰なアニリンを塔頂から蒸発させ、反応システムまでサイクルし、釜液を中間画分塔330に入れる。中間画分塔330において、エチルアニリンなどの中間画分を塔頂から蒸発させ、釜液をジフェニルアミン製品塔340に入れ、ジフェニルアミン適格品(純度98wt%以上)を塔頂から抜き出し、ジフェニルアミン高級品(純度99.6wt%以上)をサイドラインから抜き出し、重質画分を釜液中に保持する。
【0084】
(2)ジフェニルアミンからのフェノチアジンの生産
図1に示すように、固体リン酸触媒の存在下、ジフェニルアミン適格品及び窒素ガスを、それぞれのパイプラインを介して、第2反応器400(固定床反応器)に入れて反応させ、反応後の反応混合物を取り出して冷却した後、第2気液分離器に入れて気液分離を行った。分離した硫化水素を含有する窒素ガスについて排気を浄化して再利用し、分離した液体生成物を吸着脱不純物塔に送る。吸着脱不純物塔において、脱色処理を行い、その後、減圧蒸留塔に入れる。減圧蒸留塔において、未反応ジフェニルアミン及び生成された中間画分を塔頂から蒸発させ、製品のフェノチアジンをサイドラインから抜き出し、重質画分を釜液中に保持する。
【0085】
ここで、実施例1では、ジフェニルアミンからフェノチアジンを生産する過程において減圧蒸留塔から蒸発させた未反応ジフェニルアミンを処理してから、第2反応器400に戻す。プロセス条件及び反応の結果を表6に示す。
【0086】
実施例2では、ジフェニルアミンからフェノチアジンを生産する過程において減圧蒸留塔から蒸発させた未反応ジフェニルアミンを、アニリンからジフェニルアミンを合成するプロセスにおける中間画分塔330に送り、ジフェニルアミンの精製及び回収を行う。プロセス条件及び反応の結果を表6に示す。
【0087】
実施例3及び4では、ジフェニルアミンからフェノチアジンを生産する過程において減圧蒸留塔から蒸発させた未反応ジフェニルアミンを、アニリンからジフェニルアミンを合成するプロセスにおける中間画分塔330に送り、ジフェニルアミンの精製及び回収を行う。プロセス条件及び反応の結果を表7に示す。
【0088】
【表6】
【0089】
【表7】
【0090】
実施例1~4の結果データから、ジフェニルアミンの合成中に生成されたジフェニルアミン適格品(純度98.0重量%以上)が、フェノチアジンの製造中にジフェニルアミン原料として使用される場合、反応には影響を及ぼさないことが分かった。さらに、フェノチアジンの製造中における未反応ジフェニルアミンを、ジフェニルアミンの製造における中間画分塔に輸送して、ジフェニルアミンを回収することにより、連続生産が達成され、操作が簡素化され、反応効率が大幅に向上する。また、中間画分塔中のジフェニルアミンの全量のデータから、実施例1の中間画分塔で処理されたジフェニルアミンの全量の割合は、30日間運転では95.58wt%、80日間運転では95.30wt%、120日間運転では95.05wt%である。実施例2の中間画分塔で処理されたジフェニルアミンの全量の割合は、30日間運転では95.74wt%、80日間運転では95.69wt%、120日間運転では95.53wt%である。小数点以下一桁の変化が小さくなるだけであるが、産業用装置の場合、処理量が巨大であるため、小数点以下一桁の変化でも材料の絶対量が大きく変化する。これは、フェノチアジンの製造における未反応ジフェニルアミンがジフェニルアミンの製造における中間画分塔に輸送され、ジフェニルアミンの製造中の中間画分塔が周期全体にわたって安定的に運転されることを示している。さらに、フェノチアジンの製造中に使用されるジフェニルアミン原料の純度が緩和されたため、ジフェニルアミン合成における製品塔も比較的安定しており、所定時間の運転後、ジフェニルアミン製品が不適格で外部へ排出されなければならないことはない。それによって、装置のエネルギー消費量が削減され、装置の経済性が向上する。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の技術構想の範囲内では、各技術的特徴を他の適切な方法で組み合わせることも含め、本発明の技術案に対して様々な単純な変形を行うことができ、これらの単純な変形及び組合せは、同様に本発明に開示された内容とみなすべきであり、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0092】
100 第1反応器
101 第1供給パイプライン
102 第1送り出しパイプライン
200 第1気液分離装置
201 第1ガス生成物輸送パイプライン
202 第1液体生成物輸送パイプライン
300 第1製品分離装置
310 軽質画分除去塔
311 軽質画分輸送パイプライン
312 塔底生成物輸送パイプライン
320 アニリン回収塔
321 アニリン回収材料輸送パイプライン
322 ジフェニルアミン含有流れ輸送パイプライン
330 中間画分塔
331 中間画分輸送パイプライン
332 ジフェニルアミンリッチ流れ輸送パイプライン
340 ジフェニルアミン製品塔
341 ジフェニルアミン適格品輸送パイプライン
342 ジフェニルアミン高級品収集パイプライン
343 第1重質画分送り出しパイプライン
400 第2反応器
401 第2供給パイプライン
402 第2送り出しパイプライン
403 硫黄供給パイプライン
500 第2気液分離装置
501 第2ガス生成物輸送パイプライン
502 第2液体生成物輸送パイプライン
600 第2製品分離装置
610 吸着脱不純物装置
611 第3送り出しパイプライン
620 減圧蒸留装置
621 ジフェニルアミンリッチ材料輸送パイプライン
622 フェノチアジン製品収集パイプライン
623 第2重質画分送り出しパイプライン
700 ガスコンプレッサ
701 圧縮対象ガス投入パイプライン
702 圧縮ガス輸送パイプライン
800 排気浄化装置
801 浄化ガス送り出しパイプライン
900 アニリン原料タンク
901 新たなアニリンパイプライン
902 原料送り出しパイプライン

図1
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造する方法であって、
アニリン原料を反応させて、ジフェニルアミンを含有する反応混合物を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた反応混合物を気液分離して、第1液体生成物及び第1ガス生成物を得るステップ(2)と、
前記第1液体生成物を分離処理して、アニリン回収材料及びジフェニルアミン製品を得るステップ(3)と、
ステップ(3)で得られた前記ジフェニルアミン製品の一部を反応させて、フェノチアジンを含有する反応混合物を得るステップ(4)と、
ステップ(4)で得られた反応混合物を気液分離して、第2液体生成物及び第2ガス生成物を得、前記第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離するステップ(5)と、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(1)の前記反応において、使用される触媒は、β分子篩触媒、Y分子篩触媒、X分子篩触媒、モルデナイト、及びZSM-5のうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(1)の前記反応において、使用される触媒は、β分子篩触媒であり、
好ましくは、前記β分子篩触媒の全重量を基準にして、前記β分子篩触媒は、β分子篩50~95wt%とγ-Al5~50wt%を含有し、β分子篩のSiO/Alモル比は、20~100、好ましくは28~68である、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(1)の前記反応は、連続操作又は間式操作、好ましくは連続操作である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(1)において、連続操作の反応条件は、反応圧力1~8MPa、好ましくは2~6MPa、反応温度250~380℃、好ましくは280~360℃、液空間速度0.05~1h-1、好ましくは0.1~0.5h-1を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(1)の前記反応は、保護ガスの存在下で行われ、前記保護ガスは、好ましくは、窒素ガス及び/又は水素ガスであり、
好ましくは、保護ガスとアニリン原料との体積比は、10~1000:1、好ましくは50~500:1である、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(3)において、前記分離処理は多段精留であり、
好ましくは、前記多段精留は、
前記第1液体生成物を軽質画分除去塔に輸送して精留し、塔頂から軽質画分を排出する軽質画分除去と、
前記軽質画分除去塔の塔底生成物をアニリン回収塔に輸送して精留し、塔頂からアニリン回収材料を収集し、塔底でジフェニルアミン含有流れを得るアニリン回収と、
前記ジフェニルアミン含有流れを中間画分塔に輸送して精留し、塔頂から中間画分を排出し、塔底でジフェニルアミンリッチ流れを得る中間画分除去と、
前記ジフェニルアミンリッチ流れをジフェニルアミン製品塔に輸送して精留し、塔頂及びサイドラインから純度の異なるジフェニルアミン製品をそれぞれ得て、重質画分を塔底から排出するジフェニルアミン製品精留と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ジフェニルアミン製品塔の塔頂からジフェニルアミン適格品を取得し、前記ジフェニルアミン製品塔のサイドラインからジフェニルアミン高級品を取得し、前記ジフェニルアミン適格品の純度は98wt%以上であり、前記ジフェニルアミン高級品の純度は99.6wt%以上であり、
好ましくは、前記ジフェニルアミン適格品をステップ(4)の反応原料とする、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(3)で得られた前記アニリン回収材料は前記アニリン原料として再利用される、ことを特徴とする請求項1、7又は8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(4)において、前記反応は、硫黄含有物質の存在下で行われ、前記硫黄含有物質は、硫黄、硫化ナトリウム、二硫化炭素、及び二酸化硫黄から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(4)の前記反応において、使用される触媒は、ヨウ素錠、無水三塩化アルミニウム、及び固体酸触媒から選択される少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1又は10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(4)において、連続操作の反応条件は、反応圧力5~101kPa、好ましくは50~101kPa、反応温度130~250℃、好ましくは160~220℃、液空間速度0.1~2h-1、好ましくは0.1~0.5h-1を含む、ことを特徴とする請求項1又は10に記載の方法
【請求項13】
ステップ(4)において、間欠操作の反応条件は、反応圧力5~101kPa、好ましくは50~101kPa、反応温度130~250℃、好ましくは160~220℃、反応時間2~10h、好ましくは4~8hを含む、ことを特徴とする請求項1又は10に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(4)の前記反応は、保護ガスの存在下で行われ、前記保護ガスは、好ましくは、窒素ガス及び/又は水素ガスであり、
好ましくは、保護ガスとジフェニルアミン原料との体積比は、5~500:1、好ましくは10~100:1である、ことを特徴とする請求項1又は10に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(5)において、前記第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離する過程は、前記第2液体生成物に対して吸着脱不純物及び減圧蒸留を順次行うことを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記減圧蒸留過程で得られたジフェニルアミンリッチ軽質画分を前記中間画分塔に輸送して精留する、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(2)で得られた前記第1ガス生成物とステップ(5)で得られた前記第2ガス生成物とを混合して浄化する、ことを特徴とする請求項1、2、3、7、8、10、15又は16に記載の方法。
【請求項18】
アニリンからジフェニルアミン及びフェノチアジンを製造するシステムであって、
アニリン原料が反応を行う第1反応器(100)と、
前記第1反応器(100)で得られた反応混合物を気液分離して、第1液体生成物及び第1ガス生成物を取得するための第1気液分離装置(200)と、
前記第1気液分離装置(200)で分離された第1液体生成物を分離処理して、アニリン回収材料及びジフェニルアミン製品を取得するための第1製品分離装置(300)と、
前記第1製品分離装置(300)からの前記ジフェニルアミン製品の一部を第2反応器(400)において反応させる第2反応器(400)と、
前記第2反応器(400)で得られた反応混合物を気液分離して、第2液体生成物及び第2ガス生成物を取得するための第2気液分離装置(500)と、
前記第2気液分離装置(500)で分離された第2液体生成物からフェノチアジン製品を分離するための第2製品分離装置(600)と、を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項19】
前記第1製品分離装置(300)は多段精留装置であり、
好ましくは、前記多段精留装置は、
前記第1気液分離装置(200)で分離された前記第1液体生成物を精留し、塔頂から軽質画分を排出するための軽質画分除去塔(310)と、
前記軽質画分除去塔(310)の塔底からの生成物を精留し、塔頂からアニリン回収材料を収集し、塔底でジフェニルアミン含有流れを得るためのアニリン回収塔(320)と、
前記アニリン回収塔(320)からのジフェニルアミン含有流れを精留し、塔頂から中間画分を排出し、塔底でジフェニルアミンリッチ流れを得るための中間画分塔(330)と、
前記中間画分塔(330)からのジフェニルアミンリッチ流れを精留し、塔頂及びサイドラインから純度の異なるジフェニルアミン製品をそれぞれ得て、重質画分を塔底から排出するためのジフェニルアミン製品塔(340)と、を含む、ことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ジフェニルアミン製品塔(340)において、塔頂にはジフェニルアミン適格品を送り出すためのジフェニルアミン適格品輸送パイプライン(341)が設けられ、塔の側部にはジフェニルアミン高級品を収集するためのジフェニルアミン高級品輸送パイプライン(342)が設けられ、前記ジフェニルアミン適格品輸送パイプライン(341)は前記第2反応器(400)のジフェニルアミン原料供給口に連通する、ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2製品分離装置(600)は、
前記第2気液分離装置(500)で分離された第2液体生成物に対して吸着脱不純物を行うための吸着脱不純物装置(610)と、
前記吸着脱不純物装置(610)で処理された液体生成物を減圧蒸留し、ジフェニルアミンリッチ軽質画分及びフェノチアジン製品を取得するための減圧蒸留装置(620)と、を含む、ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記減圧蒸留装置(620)の頂部には、ジフェニルアミンリッチ軽質画分を送り出すためのジフェニルアミンリッチ材料輸送パイプライン(621)が設けられ、前記ジフェニルアミンリッチ材料輸送パイプライン(621)は前記中間画分塔(330)のジフェニルアミン含有流れ供給口に連通する、ことを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
排気浄化装置(800)をさらに含み、前記第1気液分離装置(200)の頂部に設けられた第1ガス生成物輸送パイプライン(201)及び前記第2気液分離装置(500)の頂部に設けられた第2ガス生成物輸送パイプライン(501)は、前記排気浄化装置(800)に連通する、ことを特徴とする請求項18~22のいずれか1項に記載のシステム。
【国際調査報告】