(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-20
(54)【発明の名称】吸着剤の選択方法、圧力スイング吸着方法、及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/047 20060101AFI20241113BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20241113BHJP
B01J 20/10 20060101ALI20241113BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20241113BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20241113BHJP
【FI】
B01D53/047
B01J20/34 E
B01J20/10 D
B01J20/20 A
B01J20/26 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531653
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 CN2022136912
(87)【国際公開番号】W WO2023124825
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111681815.7
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522173712
【氏名又は名称】中石化(大連)石油化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】張勝中
(72)【発明者】
【氏名】喬凱
(72)【発明者】
【氏名】張延鵬
(72)【発明者】
【氏名】范得権
(72)【発明者】
【氏名】楊陽
(72)【発明者】
【氏名】胡方舟
【テーマコード(参考)】
4D012
4G066
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA04
4D012CA03
4D012CA06
4D012CA07
4D012CA20
4D012CB13
4D012CB16
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4D012CE01
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4D012CF01
4D012CF03
4D012CF04
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4D012CF08
4D012CF10
4D012CG01
4D012CG02
4D012CG03
4D012CG04
4D012CG05
4D012CJ01
4D012CK10
4G066AA04B
4G066AA22B
4G066AB24B
4G066AC11B
4G066BA20
4G066BA22
4G066BA36
4G066BA42
4G066CA27
4G066CA51
4G066DA01
4G066DA02
4G066EA20
4G066GA14
(57)【要約】
吸着剤の選択方法、圧力スイング吸着方法、及びそのシステムを開示する。選択方法は、対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線の初期圧力における傾きを取得するステップであって、前記吸着等温線は、特定の温度で圧力に応じて吸着量が変化する曲線である、ステップと、前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得するステップと、前記各吸着剤の傾き及び吸着量に応じて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するステップと、を含む。圧力スイング吸着中に圧力スイング吸着周期を最適化させ、吸着剤の使用量を減らし、圧力スイング吸着の操作コスト及び生産コストを削減させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤の選択方法であって、
対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線の初期圧力における傾きを取得するステップであって、前記吸着等温線は、特定の温度で圧力に応じて吸着量が変化する曲線である、ステップと、
前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得するステップと、
前記各吸着剤の傾き及び吸着量に応じて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するステップと、を含む、ことを特徴とする吸着剤の選択方法。
【請求項2】
前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択する前記ステップは、
前記各吸着剤の傾きから、前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を決定するステップと、
決定した最短時間に基づいて、前記複数の吸着剤の中から対応する最短時間が予め設定された時間以下である特定吸着剤を選択するステップと、
前記特定吸着剤の傾きと吸着量との積を決定するステップと、
最大積に対応する吸着剤を前記対象吸着剤として選択するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の選択方法。
【請求項3】
前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を決定する前記ステップは、
吸着剤の傾きが第1傾きよりも大きく、かつ第2傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第1最短時間以上にし、
吸着剤の傾きが前記第2傾きよりも大きく、かつ第3傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第2最短時間以上にし、
吸着剤の傾きが前記第3傾きよりも大きく、かつ第4傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第3最短時間以上にし、又は
吸着剤の傾きが前記第4傾きよりも大きく、かつ第5傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第4最短時間以上にするステップを含み、
前記第1傾き、前記第2傾き、前記第3傾き、前記第4傾き及び前記第5傾きは徐々に増加し、前記第1最短時間、前記第2最短時間、前記第3最短時間及び前記第4最短時間は徐々に増加する、ことを特徴とする請求項2に記載の選択方法。
【請求項4】
前記第1傾きが1、前記第2傾きが10、前記第3傾きが20、前記第4傾きが30、前記第5傾きが50である場合、前記第1最短時間は0.05s、前記第2最短時間は3s、前記第3最短時間は9s、前記第4最短時間は24sである、ことを特徴とする請求項3に記載の選択方法。
【請求項5】
前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間tを決定する前記ステップは、
【数1】
を含み、
ここで、Tは、予め設定された最長ステップシーケンス時間であり、その単位がsであり、k
0は、前記各吸着剤の傾きである、ことを特徴とする請求項2に記載の選択方法。
【請求項6】
Tは、40以下である、ことを特徴とする請求項5に記載の選択方法。
【請求項7】
前記圧力スイング吸着方法は、
前記対象吸着剤に対応する最短時間を吸着時間として決定するステップと、
前記吸着時間内に吸着塔に導入される前記対象吸着質の量及び前記対象吸着剤の吸着量から、前記対象吸着剤の量を決定するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の選択方法。
【請求項8】
前記対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線の初期圧力における傾きを取得する前記ステップは、予め設定された前提条件を満たす場合に実行され、
前記予め設定された前提条件は、各圧力において、前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線と脱着等温線の吸着量の差の絶対値が吸着等温線の吸着量の予め設定された比以下であることを含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の選択方法。
【請求項9】
前記予め設定された前提条件は、
各圧力において、前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線の吸着量が脱着等温線の吸着量以下であることをさらに含み、
前記脱着等温線は、前記特定の温度で圧力に応じて脱着量が変化する曲線である、ことを特徴とする請求項8に記載の選択方法。
【請求項10】
前記特定温度は、10℃~40℃である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の選択方法。
【請求項11】
前記初期圧力は、10kPa以下である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の選択方法。
【請求項12】
前記吸着剤は、微多孔質分子篩、MOFs、炭素分子篩、及びシリカゲルから選択される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の選択方法。
【請求項13】
圧力スイング吸着方法であって、
請求項1~12のいずれか1項に記載の吸着剤の選択方法によって、1つ又は複数の対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するステップと、
前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行うステップと、を含む、ことを特徴とする圧力スイング吸着方法。
【請求項14】
前記対象吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きが第1予め設定された傾きよりも大きく、かつ第2予め設定された傾き以下である場合、統合ロータリーバルブによって圧力スイング吸着のプロセスシーケンスを制御するステップ、又は
前記対象吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きが前記第2予め設定された傾きよりも大きく、かつ第3予め設定された傾き以下である場合、シーケンシングバルブによって圧力スイング吸着のプロセスシーケンスを制御するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載の圧力スイング吸着方法。
【請求項15】
前記対象吸着剤が複数の対象吸着剤である場合、前記複数の対象吸着剤をグレーディングするステップをさらに含み、
前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行う前記ステップは、グレーディング後の前記複数の対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して前記特定温度での圧力スイング吸着を行うステップを含む、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の圧力スイング吸着方法。
【請求項16】
前記複数の対象吸着剤のうち吸着等温線の初期圧力における傾きが最大の吸着剤の傾きに基づいて、圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を設定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項15に記載の圧力スイング吸着方法。
【請求項17】
吸着剤選択システムであって、
対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線を記憶するためのメモリと、
前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線の初期圧力における傾きを取得する操作であって、前記吸着等温線は、特定の温度で圧力に応じて吸着量が変化する曲線である、操作と、
前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得する操作と、
前記各吸着剤の傾き及び吸着量に応じて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択する操作と、
を実行するように構成されたプロセッサと、を含む、ことを特徴とする吸着剤選択システム。
【請求項18】
圧力スイング吸着システムであって、
1つ又は複数の対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するための請求項17に記載の吸着剤選択システムと、
前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行うための吸着装置と、を含む、ことを特徴とする圧力スイング吸着システム。
【請求項19】
コンピュータプログラムが記憶されており、該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、上記の請求項1~12のいずれか1項に記載の吸着剤の選択方法及び/又は上記の請求項13~16のいずれか1項に記載の圧力スイング吸着方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2021年12月31日に提出された、中国特許出願202111681815.7の利点を主張しており、当該出願の内容は、引用により本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明の実施例は、吸着分離の技術分野に関し、特に、吸着剤の選択方法、圧力スイング吸着方法、及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
圧力スイング吸着技術は、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガスなどのガスの精製だけでなく、二酸化炭素の捕集や軽質炭化水素の回収などの工業プロセスにも使用できる。圧力スイング吸着は、使用シナリオによって異なり、選択された吸着剤は、除去する必要がある不純物、又は生成する必要がある生成物を吸着することができる。吸着剤によって吸着された不純物又は生成物は、いずれも吸着質と呼ばれる。吸着剤、制御プロセス、及び設備は、生産における圧力スイング吸着技術の適用の鍵となっている。
【0004】
さまざまな吸着質に応じて吸着剤を選択し、対応する制御プロセスを組み合わせ、さらに信頼性の高い設備を選択することは、圧力スイング吸着の最適化された生産計画を達成するための一般的なプロセスである。一般に、圧力スイング吸着では、各塔に同じ種類の同じ重量の吸着剤を充填し、2つ以上の塔を順次切り替えることで連続生産を実現する。吸着塔に一定量の吸着剤を充填すると、吸着周期を延長することにより、生成物の回収率を向上させることができる。吸着剤の充填量を減らすと、吸着周期を短縮させることにより、生成物の回収率を確保でき、装置の設置面積を削減できる。
【0005】
従来技術では、異なる吸着質に対して、対応する吸着剤は主に経験を通じて選択されている。そのため、十分な吸着を得るには、通常、吸着剤を過剰に充填し、吸着時間を長く設定する必要がある。
【0006】
持続可能な発展の観点からは、圧力スイング吸着装置の全体的な性能を確保しながら、吸着剤の使用量を減らすことで、吸着塔の体積を減少させることによって、装置の設置面積を減少させる手段がより好ましい。したがって、同一原料のガス圧力スイング吸着プロセスにおいては、圧力スイング吸着周期を最適化し、吸着剤の量を減らし、装置の設置面積と総重量をいかに削減するかが喫緊の課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、吸着等温線の初期圧力における傾き、並びに特定温度及び特定圧力における対象吸着質に対する吸着剤の吸着量に基づいて、対象吸着剤を選択することができ、それによって、圧力スイング吸着中に圧力スイング吸着周期を最適化させ、吸着剤の使用量を減らし、圧力スイング吸着の操作コスト及び生産コストを削減させることができる吸着剤の選択方法、圧力スイング吸着方法、及びそのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成させるために、本発明の第1態様は、対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線の初期圧力における傾きを取得するステップであって、前記吸着等温線は、特定の温度で圧力に応じて吸着量が変化する曲線である、ステップと、前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得するステップと、前記各吸着剤の傾き及び吸着量に応じて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するステップと、を含む、吸着剤の選択方法を提供する。
【0009】
好ましくは、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択する前記ステップは、前記各吸着剤の傾きから、前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を決定するステップと、決定した最短時間に基づいて、前記複数の吸着剤の中から対応する最短時間が予め設定された時間以下である特定吸着剤を選択するステップと、前記特定吸着剤の傾きと吸着量との積を決定するステップと、最大積に対応する吸着剤を前記対象吸着剤として選択するステップと、を含む。
【0010】
好ましくは、前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を決定する前記ステップは、吸着剤の傾きが第1傾きよりも大きく、かつ第2傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第1最短時間以上にし、吸着剤の傾きが前記第2傾きよりも大きく、かつ第3傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第2最短時間以上にし、吸着剤の傾きが前記第3傾きよりも大きく、かつ第4傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第3最短時間以上にし、又は吸着剤の傾きが前記第4傾きよりも大きく、かつ第5傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第4最短時間以上にするステップを含み、前記第1傾き、前記第2傾き、前記第3傾き、前記第4傾き及び前記第5傾きは徐々に増加し、及び前記第1最短時間、前記第2最短時間、前記第3最短時間及び前記第4最短時間は徐々に増加する。
【0011】
好ましくは、前記第1傾きが1、前記第2傾きが10、前記第3傾きが20、前記第4傾きが30、前記第5傾きが50である場合、前記第1最短時間は0.05s、前記第2最短時間は3s、前記第3最短時間は9s、前記第4最短時間は24sである。
【0012】
好ましくは、前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間tを決定する前記ステップは、
【数1】
を含み、ここで、Tは、予め設定された最長ステップシーケンス時間であり、単位がsであり、k
0は、前記各吸着剤の傾きである。
【0013】
好ましくは、Tは、40以下である。
【0014】
好ましくは、前記選択方法は、決定した最短時間を吸着時間として決定するステップと、前記吸着時間内に吸着塔に導入される前記対象吸着質の量及び前記対象吸着剤の吸着量から、前記対象吸着剤の量を決定するステップと、をさらに含む。
【0015】
好ましくは、対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線の初期圧力における傾きを取得する前記ステップは、予め設定された前提条件を満たす場合に実行され、前記予め設定された前提条件は、各圧力において、前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線と脱着等温線の吸着量の差の絶対値が吸着等温線の吸着量の予め設定された比以下であることを含み、前記脱着等温線は、前記特定の温度で圧力に応じて脱着量が変化する曲線である。
【0016】
好ましくは、前記予め設定された前提条件はさらに、各圧力において、前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線の吸着量が脱着等温線の吸着量以下であることを含む。
【0017】
好ましくは、前記特定温度は、10℃~40℃である。
【0018】
好ましくは、前記初期圧力は、10kPa以下である。
【0019】
好ましくは、前記吸着剤は、微多孔質分子篩、MOFs、炭素分子篩、又はシリカゲルから選択される。
【0020】
上記の技術案によれば、本発明は、対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着剤の吸着等温線の初期圧力における傾き、並びに前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量に基づいて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択することによって、圧力スイング吸着中に圧力スイング吸着周期を最適化させ、吸着剤の使用量を減らし、圧力スイング吸着の操作コスト及び生産コストを削減させることができる。
【0021】
本発明の第2態様は、前記吸着剤の選択方法によって、1つ又は複数の対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するステップと、前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して圧力スイング吸着を行うステップと、を含む、圧力スイング吸着方法を提供する。
【0022】
好ましくは、前記圧力スイング吸着方法は、前記対象吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きが第1予め設定された傾きよりも大きく、かつ第2予め設定された傾き以下である場合、統合ロータリーバルブによって圧力スイング吸着のプロセスシーケンスを制御するステップ、又は前記対象吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きが前記第2予め設定された傾きよりも大きく、かつ第3予め設定された傾き以下である場合、シーケンシングバルブによって圧力スイング吸着のプロセスシーケンスを制御するステップをさらに含む。
【0023】
好ましくは、前記対象吸着剤が複数の対象吸着剤である場合、前記圧力スイング吸着方法は、前記複数の対象吸着剤をグレーディングするステップをさらに含み、前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行う前記ステップは、グレーディング後の前記複数の対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して前記特定温度での圧力スイング吸着を行うステップを含む。
【0024】
好ましくは、前記圧力スイング吸着方法は、前記複数の対象吸着剤のうち吸着等温線の初期圧力における傾きが最大の吸着剤の傾きに基づいて、圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を設定するステップをさらに含む。
【0025】
上記の技術案によれば、前記吸着剤の選択方法は、1つ又は複数の対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択し、その後、前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行うものであり、吸着剤の使用量を減らし、圧力スイング吸着周期を最適化させることによって、圧力スイング吸着の操作コスト及び生産コストを削減させる。
【0026】
本発明の第3態様は、対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線を記憶するためのメモリと、
前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線の初期圧力における傾きを取得する操作であって、前記吸着等温線は、特定の温度で圧力に応じて吸着量が変化する曲線である、操作と、
前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得する操作と、前記各吸着剤の傾き及び吸着量に応じて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択する操作と、
を実行するように構成されたプロセッサと、を含む、吸着剤選択システムを提供する。
【0027】
本発明による吸着剤選択システムの詳細及び利点について、上記の吸着剤の選択方法に関する説明を参照することができるので、ここでは詳しく説明しない。
【0028】
本発明の第4態様は、1つ又は複数の対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するための前記吸着剤選択システムと、前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行うための吸着装置と、を含む、圧力スイング吸着システムを提供する。
【0029】
本発明による圧力スイング吸着システムの詳細及び利点について、上記の圧力スイング吸着方法に関する説明を参照することができるので、ここでは詳しく説明しない。
【0030】
本発明の第5態様は、コンピュータプログラムが記憶されており、該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、上記の吸着剤の選択方法及び/又は上記の圧力スイング吸着方法を実現する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0031】
本発明の他の特徴及び利点は、後の発明を実施するための形態の部分で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図面は、本発明の実施例の更なる理解を提供するためのものであり、明細書の一部を構成し、以下の発明を実施するための形態とともに本発明の実施例を説明するが、本発明の実施例を限定するものではない。
【
図1】本発明の一実施例による吸着剤の選択方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施例による前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するフローチャートである。
【
図3】ある吸着質に対する吸着剤の吸着等温線及び脱着等温線である。
【
図4】
図3における吸着等温線の傾き曲線及び脱着等温線の傾き曲線である。
【
図5】ある吸着質に対する吸着剤の吸着等温線及び脱着等温線である。
【
図6】
図5における吸着等温線の傾き曲線及び脱着等温線の傾き曲線である。
【
図7】ある吸着質に対する別の吸着剤の吸着等温線及び脱着等温線である。
【
図8】
図7における吸着等温線の傾き曲線及び脱着等温線の傾き曲線である。
【
図9】ある吸着質に対する別の吸着剤の吸着等温線及び脱着等温線である。
【
図10】
図9における吸着等温線の傾き曲線及び脱着等温線の傾き曲線である。
【
図11】ある吸着質に対する吸着剤の吸着等温線及び該吸着等温線の傾き曲線である。
【
図12】ある吸着質に対する吸着剤の吸着等温線及び該吸着等温線の傾き曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施形態は、本発明を説明、解釈するために過ぎず、本発明を限定するためのものではないことが理解されるべきである。
【0034】
図1は、本発明の一実施例による吸着剤の選択方法のフローチャートである。
図1に示すように、前記選択方法は、対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線の初期圧力における傾きを取得するステップであって、前記吸着等温線は、特定の温度で圧力に応じて吸着量が変化する曲線である、ステップS101と、前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得するステップS102と、前記各吸着剤の傾き及び吸着量に応じて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するステップS103と、を含んでもよい。
【0035】
本実施例では、対象吸着質に対する吸着剤のタイプを選択することにより、短周期圧力スイング吸着サイクルを達成することができ、圧力スイング吸着プロセスの工程を最適化し、吸着剤の使用量を減らし、同じ生産規模(不純物組成と含有量の同じの同量の原料ガス)の圧力スイング吸着装置の設置面積と重量を効果的に削減し、圧力スイング吸着の操作コスト及び生産コストを削減させる。
【0036】
ステップS101を実行する前に、対象吸着質に対する各吸着剤の吸着等温線と脱着等温線との重なりの度合を取得し、その後、前記重なりの度合について判断を行ってもよい。重なりの度合が良好である場合、吸着対象の吸着質が十分に脱着されており、脱着能力が高いことを示し、ステップS101を実行し、それ以外の場合、該吸着剤について対応する後続のステップを実行しない。
【0037】
ここで、吸着等温線と脱着等温線の重なりの度合とは、同一圧力下における2つの曲線の吸着量の重なりの度合いをいう。具体的には、吸着等温線は静的吸着等温線を指し、再現性が高く、取得が容易であり、ほぼすべての吸着剤の性能特性評価に適用できるという特徴がある。脱着等温線は、静的吸着等温線試験を完了した吸着剤について、同じ温度条件で減圧脱着を開始して得られる吸着量等温線をいう。吸着等温線の試験方法は次のとおりである。横軸は圧力、単位はbar、縦軸は吸着量、単位はml/gとし、得られた吸着等温線は、一定の吸着質圧力下での吸着剤の単位質量の平衡吸着量を表す。
【0038】
一実施例では、前記対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線の初期圧力における傾きを取得するステップ(即ち、ステップS101)は、予め設定された前提条件を満たす場合に実行される。
【0039】
前記予め設定された前提条件は、各圧力において、前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線と脱着等温線の吸着量の差の絶対値が吸着等温線の吸着量の予め設定された比(例えば、15%)以下であることを含んでもよい。
【0040】
前記脱着等温線は、前記特定の温度で圧力に応じて脱着量が変化する曲線である。前記特定温度は、常温(例えば、10℃~40℃)、好ましくは25℃である。
【0041】
好ましくは、前記予め設定された前提条件は、各圧力において、前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線の吸着量が脱着等温線の吸着量以下であることをさらに含んでもよい。それによって、吸着した吸着質を完全かつ迅速に脱着することができる。
【0042】
ステップS101では、対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線の初期圧力における傾きを取得する。
【0043】
ここで、前記吸着等温線は、特定の温度で圧力に応じて吸着量が変化する曲線である。前記特定温度は、常温(例えば、10℃~40℃)、好ましくは25℃である。本明細書では、特定温度値が指定されていない限り、デフォルト値は25℃である。
【0044】
前記初期圧力は、10kPa以下である。異なる吸着剤については、この圧力の値は、同一に設定してもよい。
【0045】
前記吸着剤は、微多孔質分子篩、MOFs、炭素分子篩、微多孔質分子篩、MOFs又は炭素分子篩に特定材料(例えば、Cu/Znなどの金属材料)を充填した専用の吸着剤、及びシリカゲルから選択される。
【0046】
例えば、成形された吸着剤の場合、粒子径の範囲は0.4mm~2.5mmの間である。成形された吸着剤は、球状、ストリップ状、柱状、又はコアシェルの形状をとることができる。構造化吸着剤の場合、吸着剤コーティングの厚さは50μm~400μmの範囲である。構造化吸着剤とは、一般に多孔質担体上に吸着剤粉末をコーティングしたものを指し、多孔質担体は、金属焼結多孔質材料、アルミナ焼結多孔質材料、有機ガラス繊維多孔質材料などであってもよい。
【0047】
具体的には、まず、特定温度での吸着剤の静的吸着等温線及び脱着等温線(例えば、
図3、
図5、
図7、
図9、
図11~12参照)を測定し、次に、吸着等温線及び脱着等温線のフィッティング曲線について微分値(接線の傾き)を求め、各点の接線傾きを取得し、等温線傾き曲線(
図4、
図6、
図8、
図10~12参照)を得ることによって、各吸着等温線の初期圧力における傾きを得る。もちろん、初期圧力における傾きだけを取得してもよい。
【0048】
ステップS102では、前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得する。
【0049】
対象吸着質に対する各吸着剤の吸着等温線から、前記特定温度及び特定圧力(例えば、1bar)における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得することができる。本明細書では、特定圧力の値が特に明記されていない場合、デフォルト値は1barであり得る。もちろん、前記特定圧力とは、吸着量を測定するために使用される合理的な圧力を指し、実際の状況に応じて合理的に設定することができ、1barに限定されない。
【0050】
ステップS103では、前記各吸着剤の傾き及び吸着量に応じて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択する。
【0051】
図2に示すように、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するステップS103は、以下のステップS201~S204を含んでもよい。
【0052】
ステップS201では、前記各吸着剤の傾きから、前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を決定する。
【0053】
決定した各分解ステップシーケンスの最短時間から、サイクル周期(吸着周期)全体を決定することができる。
【0054】
一実施例では、前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を決定する前記ステップS201は、吸着剤の傾きが第1傾きよりも大きく、かつ第2傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第1最短時間以上にし、吸着剤の傾きが前記第2傾きよりも大きく、かつ第3傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第2最短時間以上にし、吸着剤の傾きが前記第3傾きよりも大きく、かつ第4傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第3最短時間以上にし、又は吸着剤の傾きが前記第4傾きよりも大きく、かつ第5傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第4最短時間以上にするステップを含む。
【0055】
ここで、前記第1傾き、前記第2傾き、前記第3傾き、前記第4傾き及び前記第5傾きは徐々に増加し、及び前記第1最短時間、前記第2最短時間、前記第3最短時間及び前記第4最短時間は徐々に増加する。
【0056】
前記第1傾きが1、前記第2傾きが10、前記第3傾きが20、前記第4傾きが30、前記第5傾きが50である場合、前記第1最短時間は0.05s、前記第2最短時間は3s、前記第3最短時間は9s、前記第4最短時間は24sである。
【0057】
具体的には、対象吸着質に対する吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きが50よりも大きい場合、該吸着剤が常温の圧力スイング吸着による連続生産プロセスに適していないと判定する。対象吸着質に対する吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きが50以下である場合、該吸着剤は、常温圧力スイング吸着のプロセスに適しており、圧力スイング吸着の適切な周期内に吸着剤の周期的な吸着と再生のサイクル(即ち、減圧再生プロセス)を実現することができる。
【0058】
例えば、選択した吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾き1<k0≦10の場合、圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの時間は0.05s以上であり、選択した吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾き10<k0≦20の場合、圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの時間は3s以上であり、選択した吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾き20<k0≦30の場合、圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの時間は9s以上であり、選択した吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾き30<k0≦50の場合、圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの時間は24s以上である。
【0059】
測定した、ある吸着質に対する吸着剤の吸着等温線及び脱着等温線、並びに、対応する傾き曲線が
図1及び
図2に示される通りである場合、当該吸着剤は、短周期圧力スイング吸着に適用可能であり、サイクル周期における各分解ステップシーケンスの時間は0.05s以上であればよい。
【0060】
測定した、ある吸着質に対する吸着剤の吸着等温線及び脱着等温線、並びに、対応する傾き曲線が
図3及び
図4に示す通りである場合、当該吸着剤は、サイクル周期における各分解ステップシーケンスの時間が3s以上の短周期圧力スイング吸着に適用できる。
【0061】
測定した、ある吸着質に対する吸着剤の吸着等温線及び脱着等温線、並びに、対応する傾き曲線が
図5及び
図6に示される通りである場合、当該吸着剤は、サイクル周期における各分解ステップシーケンスの時間が9s以上の短周期圧力スイング吸着に適用できる。
【0062】
測定した、ある吸着質に対する吸着剤の吸着等温線及び脱着等温線、並びに、対応する傾き曲線が
図7及び
図8に示される通りである場合、当該該吸着剤は、サイクル周期における各分解ステップシーケンスの時間が24s以上の短周期圧力スイング吸着に適用できる。
【0063】
ガス源に複数種の吸着質成分が含まれている場合、上記の方法によって吸着剤を選択してグレーディングすることができ、複数種の吸着剤をグレーディングする複合床が適用するサイクル周期は、分解ステップシーケンスに必要な時間が最も長い吸着剤によって決定される。
【0064】
測定した、ある吸着質に対する吸着剤の吸着等温線及び吸着等温線接線傾き曲線が
図9又は
図10に示される場合、測定温度では当該該吸着剤の脱着ができないため、同温度の脱着等温線を得ることができない。また、該吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きは50よりも大きく、該吸着剤は、常温圧力スイング吸着のプロセスに適用できない。
【0065】
したがって、上記の実施例は、減圧再生プロセスに適用できる。他のプロセスでは、k0は、他の適切な範囲例えば、50<k0≦200としてもよく、また、様々なサブ範囲に対して、当該サブ範囲に対応する圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの時間を決定することができる。
【0066】
別の実施例では、前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間t(単位はs)を決定する前記ステップS201は、
【数2】
を含んでもよく、
ここで、Tは、予め設定された最長ステップシーケンス時間であり、単位がsであり、k
0は、前記各吸着剤の傾きである。
【0067】
本実施例が短周期圧力スイング吸着のプロセスに適用できるため、Tは、40以下である(本明細書では、特に断らない限り、デフォルトでT=40)。ステップS101によってk0を取得した場合、各吸着剤に対応する分解ステップシーケンスの最短時間tは、上記の式によって決定され得る。
【0068】
したがって、上記の実施例は、適用範囲が非常に広く、減圧再生プロセス(真空引きなし)に適用できるだけでなく、真空引き及びパージプロセスを使用する吸着剤の選択及びグレーディングにも適用でき、それに応じて決定される最短時間も非常に正確である。
【0069】
ステップS202では、決定した最短時間に基づいて、前記複数の吸着剤の中から特定吸着剤を選択する。
【0070】
ここで、前記特定吸着剤に対応する最短時間が予め設定された時間以下である。この予め設定された時間は、実際の状況に応じて合理的に設定することができ、例えば、予め設定された時間は15.10s(それに対応する傾きは24)に設定してもよい。
【0071】
【0072】
表1における最短時間は、tの計算式により求められる。表1では、3種類の吸着剤に対応する最短時間は、いずれも15.10s未満であり、それによって、3種類の吸着剤を選択することができる。本ステップによれば、圧力スイング吸着の周期を最適化させ、高速吸着を実現することができる。
【0073】
ステップS203では、前記特定吸着剤の傾きと吸着量との積を決定する。
【0074】
例えば、表2に示すように、下記の各吸着剤の傾き及び吸着量から、対応する積を決定する。
【0075】
【0076】
ステップS204では、最大積に対応する吸着剤を前記対象吸着剤として選択する。
【0077】
例えば、分子篩1の吸着等温線の初期圧力における傾きと吸着量(1bar/25℃)との積の値が最も大きいため、分子篩1は対象吸着剤として決定される。本ステップによって、少量の対象吸着剤を用いて対象吸着質を効果的に吸着し、吸着塔の体積を減少させることができる。
【0078】
したがって、上記の各実施例によって圧力スイング吸着周期を最適化させ、吸着剤の使用量を減らし、圧力スイング吸着の操作コスト及び生産コストを削減させ、それによって、圧力スイング吸着装置の生産率を確保しつつ、製品の回収率を確保することができる。
【0079】
一実施例では、前記選択方法は、前記対象吸着剤に対応する最短時間を吸着時間として決定するステップと、前記吸着時間内に吸着塔に導入される前記対象吸着質の量及び前記対象吸着剤の吸着量から、前記対象吸着剤の量を決定するステップと、をさらに含む。
【0080】
例えば、ステップS201によって決定される対象吸着剤に対応する最短時間は吸着時間として決定される。その後、前記吸着時間内に吸着塔に導入される対象吸着質の量を決定し、対象吸着剤の吸着量と組み合わせることによって、対象吸着質の量を決定することができる。
【0081】
上記の各実施例では、種々の対象吸着質に対して吸着剤のタイプを選択することができ、また、吸着剤候補は特に限定されず、したがって、適用範囲は広い。
【0082】
上記の通り、本発明は、革新点として、対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着剤の吸着等温線の初期圧力における傾き、並びに前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量に基づいて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するものであり、それによって、圧力スイング吸着中に圧力スイング吸着周期を最適化させ、吸着剤の使用量を減らし、圧力スイング吸着の操作コスト及び生産コストを削減させることができる。
【0083】
本発明の一実施例はまた、前記吸着剤の選択方法によって、1つ又は複数の対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するステップと、前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行うステップと、を含む、圧力スイング吸着方法を提供する。
【0084】
一実施例では、前記圧力スイング吸着方法は、前記対象吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きが第1予め設定された傾きよりも大きく、かつ第2予め設定された傾き以下である場合、統合ロータリーバルブによって圧力スイング吸着のプロセスシーケンスを制御するステップ、又は前記対象吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きが前記第2予め設定された傾きよりも大きく、かつ第3予め設定された傾き以下である場合、シーケンシングバルブによって圧力スイング吸着のプロセスシーケンスを制御するステップをさらに含む。
【0085】
例えば、選択した吸着剤の吸着等温線の初期圧力における傾きが1<k0≦20を満たす場合、統合ロータリーバルブによってプロセスシーケンスを実現することによって、非常に正確な制御が可能になり、選択した吸着剤の吸着等温線の初期圧力における傾きが20<k0≦50を満たす場合、シーケンシングバルブによってプロセスシーケンスを実現する。
【0086】
別の実施例では、前記対象吸着剤が複数の対象吸着剤である場合、前記圧力スイング吸着方法は、前記複数の対象吸着剤をグレーディングするステップをさらに含み、前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行う前記ステップは、グレーディング後の前記複数の対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して前記特定温度での圧力スイング吸着を行うステップを含む。
【0087】
前記圧力スイング吸着方法は、前記複数の対象吸着剤のうち吸着等温線の初期圧力における傾きが最大の吸着剤の傾きに基づいて、圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を設定するステップをさらに含む。
【0088】
具体的には、対象吸着質が複数存在する場合、例えば、原料ガスに複数の成分が含まれる場合、複数の対象吸着質のそれぞれについて吸着剤を選択し、選択した複数の吸着剤をグレーディングする。一実施例では、グレーディングとは、対象吸着質の分子量に応じて複数の対象吸着剤の床を設け、対応する対象吸着質の分子量に応じて降順に吸着することを指す。一般に、同じ吸着剤は分子量の大きな吸着質を吸着しやすいが、分子量の大きな不純物は脱着しにくいため、グレーディングした吸着剤は分子量に応じて吸着質を順番に吸着するのは、吸着剤の脱着に有利である。
【0089】
さらに、圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間は、グレーディングした対象吸着剤のうち吸着等温線の初期圧力における傾きが最も大きな対象吸着剤によって決定される。各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間と吸着等温線の初期圧力点における傾きとの関係は上記の技術案の記載を参照するので、ここでは詳しく説明しない。
【0090】
さらに、圧力スイング吸着のサイクル周期のプロセスシーケンスには、吸着、均圧減圧、脱着、及び均圧加圧の時間順のステップを含む。
【0091】
さらに、吸着塔の数と同時に吸着状態にある塔の数と均圧回数が10-3-4、12-3-6、4-1-2、6-1-2、8-2-3、8-2-2又は9-2-3のプロセスを使用する。
【0092】
本実施例はまた、吸着剤のグレーディング方式を提供し、これは、短周期圧力スイング吸着用の吸着剤をグレーディングするスキームを実現するための簡易な方法である。
【0093】
上記の各実施例の短周期圧力スイング吸着方法では、吸着剤の脱着性能を補償するための追加のプロセスシーケンスを必要とせず、吸着剤のタイプを選択することによってさまざまな時間の圧力スイング吸着のサイクル周期の要件を満たすことができる。吸着剤の床の生産性を向上させ、再生プロセスのエネルギー消費を削減し、たとえば、パージ再生ガスの使用量を減らし、真空引きの消費電力を減らし、さらには真空引きを省略することで、プロセス全体のエネルギー消費を削減し、全体の効率を効果的に向上させる。
【0094】
代表的な8-2-2(即ち、吸着塔は8つであり、2つの吸着塔は同時に吸着ステップシーケンスにあり、周期毎に均圧減圧と均圧加圧は2回行われる)プロセスを例にして、圧力スイング吸着周期は、吸着塔の1回の吸着の開始から最終充填の完了及び次の吸着の準備までの間の時間を指し、圧力スイング吸着周期毎の時間は、すべての分解ステップシーケンスの時間の和である。表3に示すように、各分解ステップシーケンスの時間が30sであれば、圧力スイング吸着周期全体は480s(8min)である。表3には、吸は吸着ステップシーケンス、充は最終充填ステップシーケンス、減1/加1は1回の均圧減圧/均圧加圧ステップシーケンス、減2/加2は2回の均圧減圧/均圧加圧ステップシーケンス、順は順流減圧ステップシーケンス、逆は逆流減圧ステップシーケンス、パージは順流減圧ガスを利用してパージするステップシーケンスを表す。
【0095】
【0096】
以下、具体的な実施例によって本発明の短周期圧力スイング吸着方法についてさらに説明するが実施例は例示的なものに過ぎず、本発明はこれらに限定されないことが理解すべきである。
【0097】
実施例1(特定温度は25℃)
吸着質N2の場合、表1に記載の3種類の吸着剤(分子篩1、分子篩2、活性炭1)に対応する最短時間は15.10s未満であり、このため、3種類の吸着剤のいずれも初期選択条件を満たす。次に、3種類の吸着剤の中から傾きと吸着量との積が最も大きな分子篩1(表2を参照)を選択して、対象吸着剤として決定する。
【0098】
実施例2(特定温度は20℃)
本実施例では、原料ガスは、組成(体積分率)が、窒素ガス1%、メタン8%、及び水素ガス91%であり、圧力が2MPaであり、温度が20℃であり、流量が1000Nm3/hである。圧力スイング吸着プロセスによってこの原料ガスから水素ガス製品(水素ガスの純度:99.999%)を精製して製造することが目的である。
【0099】
本実施例では、精製プロセスは、代表的な10-3-4プロセスとして決定され、すなわち、吸着塔は10個であり、3つの塔は同時に吸着を行い、4回の均圧工程は行われ、収率は85%に保持され、材料平衡は表4に示される。本発明の短周期圧力スイング吸着方法によって、2種類の吸着質(窒素ガスとメタン)に対する吸着剤の吸着等温線及び脱着等温線、及びそれに対応する傾き曲線を測定する。表5に示される3種類の吸着剤は、常温短周期圧力スイング吸着を可能にする。
【0100】
【0101】
【0102】
上記の吸着剤の測定結果から、1種の吸着剤を用いて上記の原料ガスを精製して水素ガスを製造することも、吸着剤をグレーディングする方法によって水素ガスを精製することもできる。窒素ガスの場合、3種類の吸着剤の吸着時間は、いずれも15.10s未満(又は、傾きはいずれも24未満)であり、このため、すべて初期選択条件を満たす。次に、傾きと吸着量が最も大きな分子篩2を選択して対象吸着剤とする。メタンの場合、分子篩1の吸着時間は15.10s未満(又は、傾きは24未満)であり、このため、分子篩1は対象吸着剤として決定される。さらに、分子篩2の傾きがより大きいので、それに対応する最短時間8sは、圧力スイング吸着の各分解ステップシーケンスの最短時間として決定され、このことから、吸着周期は約2.7minとして決定される。選択した各吸着剤、吸着周期、及び吸着塔の体積の間の関係を表6に示す。
【0103】
【0104】
吸着剤の充填スキーム1では、分子篩2と分子篩1からなるグレーディング床が使用され、メタンの分子量が窒素ガスの分子量よりも大きいので、吸着剤をグレーディングして充填する際には、原料ガスが先に分子篩1を通過し、メタンが吸着され、次に、原料ガスが分子篩2を通過し、窒素ガスが吸着されることが満たされた。吸着周期が吸着等温線の初期点における傾きが最も大きな吸着剤によって決定されるものの、活性炭床は、分子篩床に運ぶことなくメタンを完全に吸着することができ、それによって、これらの2種類の吸着剤のいずれの作用は最大化され、吸着周期は2.7minが好ましい。このようなグレーディングのスキームは、吸着周期、吸着質に対する吸着剤の吸着量を考慮しており、異なる吸着質に対してそれぞれの吸着剤の特性を最大限に活用し、最適なグレーディングプロセスと操作周期を実現することができ、また、吸着塔の体積の最小化を実現する。
【0105】
上記の通り、本発明は、革新点として、前記吸着剤の選択方法によって、1つ又は複数の対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択し、その後、前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行うものであり、それによって、吸着剤の使用量を減らし、圧力スイング吸着周期を最適化させることで、圧力スイング吸着の操作コスト及び生産コストを削減させることができる。
【0106】
本発明の一実施例はまた、対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線を記憶するためのメモリと、前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線の初期圧力における傾きを取得する操作であって、前記吸着等温線は、特定の温度で圧力に応じて吸着量が変化する曲線である、操作と、前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得する操作と、前記各吸着剤の傾き及び吸着量に応じて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択する操作と、を実行するように構成されたプロセッサと、を含む吸着剤選択システムを提供する。
【0107】
本発明による吸着剤選択システムの詳細及び利点について、上記の吸着剤の選択方法に関する説明を参照することができるので、ここでは詳しく説明しない。
【0108】
本発明の一実施例はまた、前記圧力スイング吸着システムは、1つ又は複数の対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するための前記吸着剤選択システムと、前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行うための吸着装置と、を含む、圧力スイング吸着システムを提供する。
【0109】
本発明による圧力スイング吸着システムの詳細及び利点について、上記の圧力スイング吸着方法に関する説明を参照することができるので、ここでは詳しく説明しない。
【0110】
本発明の一実施例はまた、コンピュータプログラムが記憶されており、該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、上記の吸着剤の選択方法及び/又は上記の圧力スイング吸着方法を実現する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0111】
以上、図面を参照して、本発明の実施例の任意の実施形態について詳細に説明したが、本発明の実施例は、上記の実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明の実施例の技術的発想の範囲内で、本発明の実施例の技術案に複数の単純な変形を行うことができ、これらの単純な変形はいずれも本発明の実施例の保護範囲に属する。
【0112】
なお、上記の発明を実施するための形態で説明した具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合、任意の適切な方法で組み合わせてもよい。不必要な反復を避けるために、本発明の実施例は、様々な可能性のある組み合わせ方法については特に説明しない。
【0113】
当業者であれば、上記の実施例の方法を実施するステップの全部又は一部は、プログラムが関連するハードウェアに命令することによって達成され得ることを理解する。このプログラムは、本願の様々な実施例に記載の方法のステップの全部又は一部を、シングルチップマイクロコンピュータ、チップ、又はプロセッサ(processor)に実行させるためのいくつかの命令を含む記憶媒体に記憶される。一方、前記記憶媒体には、USBメモリ、リムーバブルハードディスク、読出し専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスク、光ディスクなど、プログラムコードを記憶可能な各種の媒体が含まれる。
【0114】
さらに、本発明の実施例の様々な実施形態は、本発明の実施例の思想に反しない限り、任意に組み合わされてもよいが、本発明の実施例に開示されているものと同様にみなすべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤の選択方法であって、
対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線の初期圧力における傾きを取得するステップであって、前記吸着等温線は、特定の温度で圧力に応じて吸着量が変化する曲線である、ステップと、
前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得するステップと、
前記各吸着剤の傾き及び吸着量に応じて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するステップと、を含む、ことを特徴とする吸着剤の選択方法。
【請求項2】
前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択する前記ステップは、
前記各吸着剤の傾きから、前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を決定するステップと、
決定した最短時間に基づいて、前記複数の吸着剤の中から対応する最短時間が予め設定された時間以下である特定吸着剤を選択するステップと、
前記特定吸着剤の傾きと吸着量との積を決定するステップと、
最大積に対応する吸着剤を前記対象吸着剤として選択するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の選択方法。
【請求項3】
前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を決定する前記ステップは、
吸着剤の傾きが第1傾きよりも大きく、かつ第2傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第1最短時間以上にし、
吸着剤の傾きが前記第2傾きよりも大きく、かつ第3傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第2最短時間以上にし、
吸着剤の傾きが前記第3傾きよりも大きく、かつ第4傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第3最短時間以上にし、又は
吸着剤の傾きが前記第4傾きよりも大きく、かつ第5傾き以下である場合、該吸着剤に対応する最短時間を第4最短時間以上にするステップを含み、
前記第1傾き、前記第2傾き、前記第3傾き、前記第4傾き及び前記第5傾きは徐々に増加し、前記第1最短時間、前記第2最短時間、前記第3最短時間及び前記第4最短時間は徐々に増加する、ことを特徴とする請求項2に記載の選択方法。
【請求項4】
前記第1傾きが1、前記第2傾きが10、前記第3傾きが20、前記第4傾きが30、前記第5傾きが50である場合、前記第1最短時間は0.05s、前記第2最短時間は3s、前記第3最短時間は9s、前記第4最短時間は24sである、ことを特徴とする請求項3に記載の選択方法。
【請求項5】
前記各吸着剤の圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間tを決定する前記ステップは、
【数1】
を含み、
ここで、Tは、予め設定された最長ステップシーケンス時間であり、その単位がsであり、k
0は、前記各吸着剤の傾きである、ことを特徴とする請求項2に記載の選択方法。
【請求項6】
Tは、40以下である、ことを特徴とする請求項5に記載の選択方法。
【請求項7】
前記圧力スイング吸着方法は、
前記対象吸着剤に対応する最短時間を吸着時間として決定するステップと、
前記吸着時間内に吸着塔に導入される前記対象吸着質の量及び前記対象吸着剤の吸着量から、前記対象吸着剤の量を決定するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項
2に記載の選択方法。
【請求項8】
前記対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線の初期圧力における傾きを取得する前記ステップは、予め設定された前提条件を満たす場合に実行され、
前記予め設定された前提条件は、各圧力において、前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線と脱着等温線の吸着量の差の絶対値が吸着等温線の吸着量の予め設定された比以下であることを含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の選択方法。
【請求項9】
前記予め設定された前提条件は、
各圧力において、前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線の吸着量が脱着等温線の吸着量以下であることをさらに含み、
前記脱着等温線は、前記特定の温度で圧力に応じて脱着量が変化する曲線である、ことを特徴とする請求項8に記載の選択方法。
【請求項10】
前記特定温度は、10℃~40℃である、ことを特徴とする請求項
1に記載の選択方法。
【請求項11】
前記初期圧力は、10kPa以下である、ことを特徴とする請求項
1に記載の選択方法。
【請求項12】
前記吸着剤は、微多孔質分子篩、MOFs、炭素分子篩、及びシリカゲルから選択される、ことを特徴とする請求項
1に記載の選択方法。
【請求項13】
圧力スイング吸着方法であって、
請求項1~12のいずれか1項に記載の吸着剤の選択方法によって、1つ又は複数の対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するステップと、
前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行うステップと、を含む、ことを特徴とする圧力スイング吸着方法。
【請求項14】
前記対象吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きが第1予め設定された傾きよりも大きく、かつ第2予め設定された傾き以下である場合、統合ロータリーバルブによって圧力スイング吸着のプロセスシーケンスを制御するステップ、又は
前記対象吸着剤の吸着等温線の初期圧力点における傾きが前記第2予め設定された傾きよりも大きく、かつ第3予め設定された傾き以下である場合、シーケンシングバルブによって圧力スイング吸着のプロセスシーケンスを制御するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載の圧力スイング吸着方法。
【請求項15】
前記対象吸着剤が複数の対象吸着剤である場合、前記複数の対象吸着剤をグレーディングするステップをさらに含み、
前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行う前記ステップは、グレーディング後の前記複数の対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して前記特定温度での圧力スイング吸着を行うステップを含む、ことを特徴とする請求項
13に記載の圧力スイング吸着方法。
【請求項16】
前記複数の対象吸着剤のうち吸着等温線の初期圧力における傾きが最大の吸着剤の傾きに基づいて、圧力スイング吸着のサイクル周期における各分解ステップシーケンスの最短時間を設定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項15に記載の圧力スイング吸着方法。
【請求項17】
吸着剤選択システムであって、
対象吸着質に対する複数の吸着剤のうちのそれぞれの吸着等温線を記憶するためのメモリと、
前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着等温線の初期圧力における傾きを取得する操作であって、前記吸着等温線は、特定の温度で圧力に応じて吸着量が変化する曲線である、操作と、
前記特定温度及び特定圧力における前記対象吸着質に対する前記各吸着剤の吸着量を取得する操作と、
前記各吸着剤の傾き及び吸着量に応じて、前記複数の吸着剤の中から前記対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択する操作と、
を実行するように構成されたプロセッサと、を含む、ことを特徴とする吸着剤選択システム。
【請求項18】
圧力スイング吸着システムであって、
1つ又は複数の対象吸着質を吸着するための対象吸着剤を選択するための請求項17に記載の吸着剤選択システムと、
前記対象吸着剤を用いて前記1つ又は複数の対象吸着質に対して特定温度での圧力スイング吸着を行うための吸着装置と、を含む、ことを特徴とする圧力スイング吸着システム。
【請求項19】
コンピュータプログラムが記憶されており、該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、上記の請求項1~12のいずれか1項に記載の吸着剤の選択方
法を実現する、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項20】
コンピュータプログラムが記憶されており、該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、上記の請求項13に記載の圧力スイング吸着方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【国際調査報告】