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特表2024-543283高強度の自己潤滑性ポリウレタンピストンシール体、及びその作製方法
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  • 特表-高強度の自己潤滑性ポリウレタンピストンシール体、及びその作製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】高強度の自己潤滑性ポリウレタンピストンシール体、及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/04 20060101AFI20241114BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20241114BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20241114BHJP
   C08K 3/30 20060101ALI20241114BHJP
   C08L 27/18 20060101ALI20241114BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20241114BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20241114BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20241114BHJP
   F04B 15/02 20060101ALI20241114BHJP
   F04B 53/14 20060101ALI20241114BHJP
   F16J 15/3284 20160101ALN20241114BHJP
【FI】
C08L75/04
C08L23/00
C08K9/06
C08K3/30
C08L27/18
C08K5/13
C08G18/10
C08G18/48
F04B15/02 Z
F04B53/14 A
F16J15/3284
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557264
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 CN2021134344
(87)【国際公開番号】W WO2022227559
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521560414
【氏名又は名称】ジエンスー エックスシーエムジー コンストラクション マシーナリー リサーチ インスティチュート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ボー
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,ジーフォン
(72)【発明者】
【氏名】ユエン,ソン
【テーマコード(参考)】
3H071
3H075
3J043
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
3H071AA15
3H071BB01
3H071CC26
3H071DD51
3H071EE07
3H071EE15
3H075AA13
3H075BB03
3H075BB24
3H075CC18
3H075CC40
3H075DA04
3J043AA12
3J043CB13
3J043DA11
4J002BB032
4J002BD153
4J002CK021
4J002CK041
4J002DE147
4J002DG028
4J002EJ016
4J002FB083
4J002FB092
4J002FB097
4J002FD076
4J034CA04
4J034CA15
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC08
4J034CC12
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034CD13
4J034DF01
4J034DG00
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034QA01
4J034QA05
4J034QB13
4J034QD03
4J034RA19
(57)【要約】
本発明は、ポリマー材料の分野に関し、高強度の自己潤滑性ポリウレタンピストンシール体、及びその作製方法に関する。特に、本発明は、ピストンシール体を作製するために使用することができる組成物、組成物から作製されるピストンシール体、及びピストンシール体を調製するための方法に関する。本発明のピストンシール体は、コンクリートポンプ装置用のコンクリートピストンシール体として使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンシール体を作製するための組成物であって、以下の成分:100重量部のポリウレタンプレポリマー、10から20重量部の鎖延長剤、5から10重量部の表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、1から1.5重量部の酸化防止剤、1から2重量部の表面シリル化(silyated)アルミナ粉末、及び1から3重量部の二硫化モリブデン又はポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末を含む、組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタンプレポリマーは、ポリエーテルタイプであり、
好ましくは、前記ポリウレタンプレポリマーは、LF M2050モデル及びLF M2032モデルの一方又は両方から選択され、
好ましくは、前記ポリウレタンプレポリマーは、以下の特徴:
(1)遊離MDI含有量:0.1wt%未満;
(2)イソシアナート(-NCO)含有量:3.0%から5.0%;
(3)粘度:120から500cps
の1つ以上を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末は、
ステップ1:超高分子量ポリエチレン粉末を酸化処理するステップと、
ステップ2:前記酸化処理された超高分子量ポリエチレン粉末をシランカップリング剤と反応させるステップと
を含む方法により作製され、
好ましくは、ステップ1の前記酸化処理は、過マンガン酸カリウム及び硝酸を含む溶液中で行われ、
好ましくは、前記溶液は、飽和過マンガン酸カリウム水溶液及び硝酸水溶液(例えば、50%から60%硝酸水溶液)の混合溶液であり、
好ましくは、ステップ1は、前記超高分子量ポリエチレン粉末を、過マンガン酸カリウム及び硝酸を含む前記溶液に投入することと、加熱及び撹拌後、それをろ過して、粉末を得ることと、その後、前記粉末を脱イオン化水で繰り返し洗浄し、ろ過し、それをオーブン乾燥することと
を含み、
好ましくは、前記シランカップリング剤は、シランカップリング剤KH540、シランカップリング剤KH550、シランカップリング剤KH560、及びシランカップリング剤KH570の群から選択され、
好ましくは、前記シランカップリング剤の重量は、前記超高分子量ポリエチレン粉末の重量の0.1%から1%である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末は、ナフタレンナトリウムで処理されたポリテトラフルオロエチレン粉末であり、
好ましくは、前記ポリテトラフルオロエチレン粉末は、前記ポリテトラフルオロエチレン粉末を、それが完全に浸されるナフタレンナトリウム処理溶液に添加するステップと、10から15分間撹拌するステップと、ろ過するステップと、前記粉末を、前記ナフタレンナトリウム処理液のにおいがなくなるまでテトラヒドロフラン及び脱イオン化水で数回洗浄するステップによって処理され、
好ましくは、前記ナフタレンナトリウム処理は、前記ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末を乾燥のためにオーブンに入れた後、それを粉砕し、分散させることをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記表面シリル化アルミナ粉末は、撹拌及び加熱の前記条件下で、アルミナ粉末をシランカップリング剤と反応させるステップを含む方法により作製され、
好ましくは、前記シランカップリング剤は、シランカップリング剤KH540、シランカップリング剤KH550、シランカップリング剤KH560、及びシランカップリング剤KH570の群から選択され、
好ましくは、前記シランカップリング剤の重量は、前記アルミナ粉末の重量の1%から5%である、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
以下の特徴:
(1)前記鎖延長剤は、アルコール鎖延長剤又はアミン鎖延長剤、例えば、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン若しくは3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族アルコール鎖延長剤又はジアミン鎖延長剤である;
(2)前記超高分子量ポリエチレン粉末は、30から50μmの粒度を有する;
(3)前記超高分子量ポリエチレン粉末は、4,000,000から5,000,000の分子量を有する;
(4)前記アルミナ粉末は、3000から5000メッシュの粒度を有する;
(5)前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール酸化防止剤、例えば、酸化防止剤1010である;
(6)前記ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末は、3から20μmの粒度を有する
の1つ以上を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
ピストンシール体を作製するための請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、
好ましくは、前記ピストンシール体は、コンクリートピストンシール体である、使用。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の組成物を注入成形することによって作製されるピストンシール体であって、
好ましくは、前記ピストンシール体は、コンクリートピストンシール体であり、
好ましくは、前記ピストンシール体は、以下の特徴:
引張強度:≧60MPa;
破断伸び:≧550%;
引裂強度:≧115kN/m;
ショア硬度:96~98HA;
アクロン摩耗:≦0.025cm
耐用期間:550時間超
の1つ以上を有する、ピストンシール体。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物を注入成形することを含む、ピストンシール体を作製する方法であって、
好ましくは、前記方法は、
a)ポリウレタンプレポリマー、鎖延長剤、表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、二硫化モリブデン又はポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末、表面シリル化アルミナ粉末及び酸化防止剤をそれぞれ重量部で計量するステップと、
b)前記ポリウレタンプレポリマー、前記表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、前記二硫化モリブデン又は前記ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末、及び前記表面シリル化アルミナ粉末を注入成形機のタンクAに投入し、それを均一に混合し、それを、温度を80から100℃に制御することによって650rpmから950rpmの低速で撹拌するステップと、
c)前記鎖延長剤を前記注入成形機のタンクBに投入し、温度が110から120℃に制御され、前記鎖延長剤が完全に溶けたら、1500から2500rpmの高速で撹拌しながら前記酸化防止剤を添加するステップと、
d)型のくぼみをきれいにし、前記型に離型剤を噴霧し、それを110から130℃のオーブン中で予め加熱するステップと、
e)減圧しながら前記注入成形機によって制御された比率のタンクA及びタンクB中の前記液体を混合し、温度を100から120℃に維持しながら2000から3500rpmの高速で撹拌した後、前記液体を前記型に注入成形するステップと、
f)100から120℃で16から20時間加熱するためにオーブンに前記型を入れ、それが取り出された後、離型を行うステップと、
g)前記離型された未完成品を機械処理して、前記ピストンシール体を得るステップと
を含み、
好ましくは、前記表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、前記ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末、及び/又は前記表面シリル化アルミナ粉末は、請求項3、4、及び/又は5に記載の方法により作製される、方法。
【請求項10】
請求項8に記載のピストンシール体を備える、ピストンであって、
好ましくは、前記ピストンは、コンクリートピストンである、ピストン。
【請求項11】
請求項8に記載のピストンシール体又は請求項10に記載のピストンを備える、送達シリンダ。
【請求項12】
請求項8に記載のピストンシール体、請求項10に記載のピストン、又は請求項11に記載の送達シリンダを備える、コンクリートポンプ装置(例えば、ポンプ車、ドラッグポンプ、又はトラック搭載型ポンプ)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料の分野に関し、特に、ピストンシール体を作製するための組成物、組成物から作製されるピストンシール体、及びピストンシール体を作製する方法に関する。ピストンシール体は、コンクリートポンプ装置用のコンクリートピストンシール体として使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ピストンは、コンクリートポンプ装置(例えば、ポンプ車、ドラッグポンプ、及びトラック搭載型ポンプ)の重要なコア構成要素であり、これはコンクリート送達中に空隙をふさぎ、コンクリートを押し動かす効果を発揮する。送達されるコンクリートは、硬い媒体、複雑な成分、高ポンプ圧及びシール性能に対する高い要件を有するため、ピストンは、優れた機械的強度及び耐摩耗性を有する必要がある。現在のところ、ピストンは、耐用期間が短く、交換が頻繁で、運転コストが高い。
【0003】
既存のピストンシール体は、主にゴム材料又はポリウレタン材料の2つの材料を含む。ゴムピストンは、補強剤、老化防止剤、加硫剤などを添加し、それらを混合し、高温圧縮することによって、主要部分としてニトリルゴムで形成される。特許文献1は、コンクリートポンプ車用のピストンを作製するための主材料としてニトリルゴムを使用しており、ここでは、主原料は、ニトリルゴム、酢酸エチル、ポリイソシアナートなどを含み、作製プロセス中に繊維強化材が添加されるが、ポンプは、85Aの最大硬度及び36MPaの最大引張強度と依然として低強度で低硬度であるため、市場需要を満たすことができない。
【0004】
特許文献2は、構築材料又は水をポンプで注入するためのポータブルポンプ機構に関するものであり、特許文献3はコンクリートポンプ車の車両構造に関するものであり、いずれもピストン材料を作製する方法に関するものではない。特許文献4は、発泡ポリウレタン材料を作製する方法に関するが、約2MPaと引張強度が低いため、ピストンヘッドのポリウレタン材料の作製には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願第CN201310234970.3号
【特許文献2】米国特許第10,415,556号
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0264635号
【特許文献4】独国特許出願公開第102005008242号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的の1つは、強度が低く、摩耗性が高い既存のポリウレタンピストンの課題を解決する高強度の自己潤滑性ポリウレタンピストンを提供することである。特別に処理された充填剤を重合系に添加することによって、ピストンの強度及び耐摩耗性が改善され、それによって耐用期間が延長され、交換頻度が低下する。
【0007】
一態様において、本出願は、以下の成分:100重量部のポリウレタンプレポリマー、10から20重量部の鎖延長剤、5から10重量部の表面シリル化(silyated)超高分子量ポリエチレン粉末、1から1.5重量部の酸化防止剤、1から2重量部の表面シリル化(silyated)アルミナ粉末、及び1から3重量部の二硫化モリブデン又はポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末を含むピストンシール体を作製するための組成物を提供する。
【0008】
本発明において、「プレポリマー」とは、モノマーを一度にポリマーに完全に重合させるのが難しい場合、又はポリマーの処理及び成形において空隙及びひびが回避されるべき場合に使用可能なモノマーの予備重合によって形成される物質を指す。本発明は、ピストンシール体を作製するための主材料としてポリウレタンプレポリマーを使用する。
【0009】
「ポリウレタン」は、分子中に一定量のカルバマート基を含むポリマーに対する一般名である。ポリウレタンは、モノ又はポリ有機イソシアン酸(例えば、トルエンジイソシアナート(TDI:toluene diisocyanate)又はジフェニルメタンジイソシアナート(MDI:diphenylmethane diisocyanate))のポリオール化合物(例えば、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオール)との相互作用により調製することができ、形成されたポリマー主鎖は、複数の繰り返しのカルバマート基を含む。ポリウレタンプレポリマーは、制御された比率でポリ有機イソシアン酸とポリオールを反応させることによって得られる反応性の半完成生成物である。
【0010】
特定の実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、ポリエーテルタイプである。
【0011】
特定の実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、LF M2050モデル及びLF M2032モデルの一方又は両方から選択される。
【0012】
特定の実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、以下の特徴:
遊離MDI含有量:0.1wt%未満、例えば、0.01wt%から0.02wt%、0.02wt%から0.03wt%、0.03wt%から0.04wt%、0.04wt%から0.05wt%、0.05wt%から0.06wt%、0.06wt%から0.07wt%、0.07wt%から0.08wt%又は0.08wt%から0.09wt%;
イソシアナート(-NCO)含有量:3.0%から5.0%、例えば、3.0%から3.5%、3.5%から4.0%、4.0%から4.5%又は4.5%から5.0%;
粘度:120から500cps、例えば、120から150cps、150から200cps、200から300cps、300から400cps又は400から500cps
の1つ以上を有する。
【0013】
本発明において、「鎖延長剤」とは、線状ポリマー鎖上の官能基と反応して、分子鎖を伸長し、分子量を増加させることができる物質を指し、これは、ポリウレタン、ポリエステル製品などの機械的特性及び処理特性を改善するために一般的に使用される。特定の実施形態において、使用される鎖延長剤は、アルコール鎖延長剤、例えば、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(HQEE:1,4-bis(2-hydroxyethoxy)benzene)などの芳香族アルコール鎖延長剤である。特定の実施形態において、使用される鎖延長剤は、アミン鎖延長剤、例えば、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンなどのジアミン鎖延長剤である。
【0014】
本発明は、特別に修飾された超高分子量ポリエチレン粉末、及びアルミナ粉末などの充填剤をポリウレタン基材に添加して、ポリウレタンの機械的強度を高め、二硫化モリブデン又は特別に処理されたポリテトラフルオロエチレンを自己潤滑性粒子としてピストンの内側に添加して、摩擦係数を低下させる。
【0015】
特定の実施形態において、本発明において使用される超高分子量ポリエチレン粉末は、30~50μm、例えば、30~35μm、35~40μm、40~45μm又は45~50μmの粒子径を有する。
【0016】
特定の実施形態において、本発明において使用される超高分子量ポリエチレン粉末は、4,000,000から5,000,000、例えば、4,000,000から4,500,000又は4,500,000から5,000,000の分子量(例えば、粘度平均分子量)を有する。
【0017】
特定の実施形態において、本発明において使用されるアルミナ粉末は、3000から5000メッシュ、例えば、3000から4000メッシュ又は4000から5000メッシュの粒度を有する。
【0018】
特定の実施形態において、本発明において使用される酸化防止剤は、ヒンダードフェノール酸化防止剤、例えば、酸化防止剤1010である。
【0019】
特定の実施形態において、ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末は、ナフタレンナトリウムで処理されたポリテトラフルオロエチレン粉末である。
【0020】
いくつかの実施形態において、ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末は、3から20μm、例えば、3から5μm、5から10μm、10から15μm又は15から20μmの粒度を有する。
【0021】
特定の実施形態において、組成物は、10から11、11から12、12から13、13から14、14から15、15から16、16から17、17から18、18から19又は19から20重量部の鎖延長剤を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、組成物は、5から6、6から7、7から8、8から9又は9から10重量部の表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、組成物は、1から1.2、1.2から1.3、1.3から1.4又は1.4から1.5重量部の酸化防止剤を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、組成物は、1から1.2、1.2から1.5又は1.5から2重量部の表面シリル化アルミナ粉末を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、組成物は、1から2又は2から3重量部の二硫化モリブデン又はポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末を含む。
【0026】
本発明において使用される表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末は、
ステップ1:超高分子量ポリエチレン粉末を酸化処理するステップと、
ステップ2:酸化処理された超高分子量ポリエチレン粉末をシランカップリング剤と反応させるステップと
を含む方法により作製されてもよい。
【0027】
ステップ1の酸化処理は、過マンガン酸カリウム及び硝酸を含む溶液中で行われてもよい。特定の実施形態において、溶液は、飽和過マンガン酸カリウム水溶液及び硝酸水溶液(例えば、50%から60%硝酸水溶液)の混合溶液である。特定の実施形態において、酸化処理は、超高分子量ポリエチレン粉末を、過マンガン酸カリウム及び硝酸を含む溶液(例えば、飽和過マンガン酸カリウム水溶液及び50%硝酸水溶液の混合溶液)に投入するステップと、加熱(例えば、80から90℃に加熱)及び撹拌(例えば、30から40分間撹拌)後、それをろ過して、粉末を得るステップと、その後、粉末を脱イオン化水で繰り返し洗浄するステップと、ろ過し、それをオーブン乾燥するステップとを含む。
【0028】
ステップ2では、一般的なシランカップリング剤、例えば、シランカップリング剤KH540、シランカップリング剤KH550、シランカップリング剤KH560、及びシランカップリング剤KH570がシリル化反応に使用されてもよい。特定の実施形態において、使用されるシランカップリング剤は、シランカップリング剤KH550である。使用されるシランカップリング剤の重量は、超高分子量ポリエチレン粉末の重量の0.1%から1%(例えば、0.3%又は0.6%)であってもよい。
【0029】
シリル化反応は、撹拌(例えば、1500から2000rpmの速度)及び加熱(例えば、70から80℃)の条件下で行われてもよい。特定の実施形態において、シリル化処理は、高速ミキサーにおいて行われる。
【0030】
特定の実施形態において、シリル化反応は、酸化処理された超高分子量ポリエチレン粉末を1500rpmの速度及び70℃の温度に調節された高速ミキサーに投入するステップと、粉末の0.3%又は0.6重量%の量のシランカップリング剤KH550を滴加して、カップリング処理を行うステップとを含む。
【0031】
本発明によると、ナフタレンナトリウム処理は、ポリテトラフルオロエチレン粉末を、粉末が完全に浸されるナフタレンナトリウム処理溶液に添加するステップと、それを10から15分間撹拌するステップと、それをろ過するステップと、それを、ナフタレンナトリウム処理溶液のにおいがなくなるまでテトラヒドロフラン及び脱イオン化水で数回洗浄するステップとを含んでもよい。特定の実施形態において、ナフタレンナトリウム処理は、乾燥する(例えば、100~110℃で100~150時間乾燥する)ためにポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末をオーブンに入れ、それを粉砕し、分散させることをさらに含む。
【0032】
本発明において、ナフタレンナトリウム処理溶液は、等モル量のナトリウム及びナフタレンを活性エーテル、例えば、テトラヒドロフランに溶解させるか、又はそこで複合体化させることによって得られる溶液である。
【0033】
特定の実施形態において、ナフタレンナトリウム処理溶液は、以下の方法により作製される:窒素雰囲気の保護下において、ナフタレンが計量され、活性エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)に投入され、ナフタレンが完全に溶解したら、そこにナトリウムが添加され、混合物が十分に撹拌され、その結果、ナトリウムが溶解して、ナフタレンナトリウム処理溶液を生成する。特定の実施形態において、ナフタレンの重量は、120から150g(例えば、128g)である。特定の実施形態において、ナトリウムの重量は、20から25g(例えば、23g)である。特定の実施形態において、活性エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)の体積は、1Lである。
【0034】
本発明において使用される表面シリル化アルミナ粉末は、撹拌(例えば、2000から3000rpmの速度)及び加熱(例えば、70から80℃)の条件下において、アルミナ粉末をシランカップリング剤と反応させるステップを含む方法により作製されてもよい。特定の実施形態において、ステップは、高速ミキサーにおいて行われる。シリル化反応は、一般的なシランカップリング剤、例えば、シランカップリング剤KH540、シランカップリング剤KH550、シランカップリング剤KH560、及びシランカップリング剤KH570を使用してもよい。特定の実施形態において、使用されるシランカップリング剤は、シランカップリング剤KH550である。使用されるシランカップリング剤の重量は、アルミナ粉末の重量の1%から5%、例えば、2%であってもよい。
【0035】
特定の実施形態において、ステップは、アルミナ粉末を2000rpmの速度及び70℃の温度に調節された高速ミキサーに投入するステップと、粉末の2重量%の量のカップリング剤KH550を滴加して、カップリング処理を行うステップとを含む。
【0036】
一態様において、本出願は、ピストンシール体を作製するための上記のいずれかの組成物の使用を提供する。特定の実施形態において、ピストンシール体は、コンクリートピストンシール体である。
【0037】
一態様において、本出願は、上記のいずれかの組成物を注入成形することによって作製されるピストンシール体を提供する。特定の実施形態において、ピストンシール体は、コンクリートピストンシール体である。
【0038】
本出願は、上記のいずれかの組成物を注入成形することを含む、本発明のピストンシール体を作製する方法をさらに提供する。
【0039】
特定の実施形態において、方法は、
a)ポリウレタンプレポリマー、鎖延長剤、表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、二硫化モリブデン又はポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末、表面シリル化アルミナ粉末及び酸化防止剤をそれぞれ重量部で計量するステップと、
b)ポリウレタンプレポリマー、表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、二硫化モリブデン又はポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末、及び表面シリル化アルミナ粉末を注入成形機のタンクAに投入し、それを均一に混合し、それを、温度を80から100℃(例えば、90℃)に制御することによって650rpmから950rpm(例えば、700rpm)の低速で撹拌するステップと、
c)鎖延長剤を注入成形機のタンクBに投入し、温度を110から120℃(例えば、115℃)に制御することによって、鎖延長剤が完全に溶けたら、1500から2500rpm(例えば、1600rpm)の高速で撹拌しながら酸化防止剤を添加するステップと、
d)型のくぼみをきれいにし、型に離型剤を噴霧し、それを110から130℃(例えば、120℃)のオーブン中で予め加熱するステップと、
e)減圧しながら注入成形機によって制御された比率でタンクA及びタンクB中の液体を混合し、温度を100から120℃に維持することによって、2000から3500rpmの高速で撹拌した後、それを型に注入成形するステップと、
f)100から120℃で16から20時間加熱するためにオーブンに型を入れ、型が取り出された後、離型を行うステップと、
g)離型された未完成品を機械処理して、本発明のピストンシール体を得るステップと
を含む。
【0040】
特定の実施形態において、表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末、及び/又は表面シリル化アルミナ粉末は、上記の方法により作製される。
【0041】
本発明のピストンシール体は、優れた耐摩耗性及び小さな摩擦係数を有すると同時に、高い機械的強度を有する高強度の自己潤滑性ピストンシール体として使用することができ、ピストンの耐用期間を大幅に延長することができる。特定の実施形態において、ピストンシール体は、以下の特徴:
引張強度:≧60MPa;
破断伸び:≧550%;
引裂強度:≧115kN/m;
ショア硬度:96~98HA;
アクロン摩耗:≦0.025cm
耐用期間:550時間超(純粋なポリウレタンコンクリートピストンの耐用期間よりも50%超改善される)
の1つ以上を有する。
【0042】
ピストンシール体の性能を試験するために当該技術分野において一般的に使用される方法が使用される。典型的な試験基準を以下に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
さらに、本出願は、本発明のピストンシール体を備えるピストンも提供する。特定の実施形態において、ピストンは、コンクリートピストンである。
【0045】
さらに、本出願は、本発明のピストンシール体又はピストンを備える送達シリンダも提供する。
【0046】
さらに、本出願は、本発明のピストンシール体、ピストン、又は送達シリンダを備えるコンクリートポンプ装置(例えば、ポンプ車、ドラッグポンプ、トラック搭載型ポンプ)も提供する。
【0047】
図1及び図2は、本発明のコンクリートピストンシール体の構造を例示的に示す。図1は、断面図であり、図2は、図1の断面の部分概略図である。
【0048】
図面において、図中の番号は、以下を指す。
1-水平面に対するコンクリートピストンのリップ開口部の内側リングの角度、
2-水平面に対するコンクリートピストンのリップ開口部の角度、
3-垂直方向に対するコンクリートピストンのリップ開口部の外側の傾きの角度、
4-コンクリートピストンの側面摩擦面、
5-コンクリートピストンの潤滑油収容溝、
6-超高分子量ポリエチレン粉末の概略図、及び
7-アルミナ粉末の概略図。
【0049】
特定の実施形態において、本発明のコンクリートピストンシール体は、以下の主な寸法を有する:
水平面に対するリップ開口部の内側リングの角度:40~45°、
水平面に対するリップ開口部の角度:3~10°、
垂直方向に対するリップ開口部の外側の傾きの角度:15~25°、
側面摩擦面の幅:10~15mm、
潤滑油収容溝の深さ:3~5mm。
【0050】
上記ピストンシール体は、さらに優れた潤滑効果が得られる特殊な油収容溝を備える。
【発明の効果】
【0051】
本発明のピストンシール体は、以下の有利な効果:
1.本発明のピストンシール体に関して、低コストで、品質が安定した単純な生成プロセスが提供される;
2.本発明のピストンシール体に関して、特別な充填剤処理プロセスが採用され、その結果、超高分子量ポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末及びアルミナ粉末がポリウレタン基材に堅く結合し、均一に分散させられる;
3.本発明のピストンシール体の減摩を強化する粒子が均一に分散させられ、これにより、耐摩耗性を高めることができる;
4.本発明のピストンシール体は優れた機械的特性を有し、高圧下でのコンクリート押出しの操作条件を満たすことができる;
5.本発明のピストンシール体は、シールリップ開口部、シリンダとの接触面、及びコンクリートとの接触面などの部品で自己潤滑を実現して、摩擦係数及び摩耗損失を低下させることができる;
6.本発明のピストンシール体の内側にある自己潤滑性粒子は、均一に分散させられ、新規の摩擦面で自己潤滑効果を実現し続ける
の1つ以上を有する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明のピストンシール体の断面図である。図面の番号は、以下を指す:1-水平面に対するピストンのリップ開口部の内側リングの角度、2-水平面に対するピストンのリップ開口部の角度、3-垂直方向に対するピストンのリップ開口部の外側の傾きの角度、4-コンクリートピストンの側面摩擦面、5-ピストンの潤滑油収容溝。
図2図1の断面の部分概略図である。図面の番号は、以下を指す:6-超高分子量ポリエチレン粉末の概略図、7-ポリテトラフルオロエチレン粉末の概略図、8-アルミナ粉末の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の実施形態は、実施例を参照して以下に詳細に記載される。但し、以下の実施例が本発明の説明のためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを当業者は理解するであろう。詳細な条件が指定されていない実施例は、従来の条件又は製造業者が推奨する条件に従って実施される。製造業者とともに示されていない使用されるすべての試薬又は機器は、市販の従来の製品である。
【実施例
【0054】
実施例1
(1)2500gの超高分子量ポリエチレン粉末を飽和過マンガン酸カリウム溶液及び50%硝酸の混合溶液に投入し、80℃に加熱及び30分間の撹拌後、それをろ過して、粉末を得た後、粉末を脱イオン化水で繰り返し洗浄し、ろ過し、オーブン乾燥後、粉末を1500rpmの速度及び70℃の温度に調節した高速ミキサーに投入し、7.5gのカップリング剤KH550を滴加して、カップリング処理を行った;
(2)750gのポリテトラフルオロエチレン粉末を、完全に浸すためにナフタレンナトリウム溶液に入れた後、撹拌し、粉末をテトラヒドロフランで繰り返し洗浄し、ろ過し、150時間乾燥するためにオーブンに入れた後、それを粉砕し、分散させた;
(3)250gのアルミナ粉末を、2000rpmの速度、及び70℃の温度に調節した高速ミキサーに投入し、5gのカップリング剤KH550を滴加して、カップリング処理を行った;
(4)25000gのプレポリマーを注入成形機のタンクAに添加し、温度を90℃に制御し、上記表面処理超高分子量ポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末及びアルミナ粉末を均一に混合してプレポリマーにし、低速700rpmで撹拌した;
(5)3750gの鎖延長剤を注入成形機のタンクBに投入し、温度を115℃に制御し、鎖延長剤が完全に溶けたら、そこに250gの酸化防止剤を添加し、1600rpmの速度で撹拌した;
(6)型のくぼみをきれいにし、型に離型剤を噴霧し、型を120℃のオーブン中で予め加熱した;
(7)タンクA及びタンクB中の液体を混合し、減圧し、温度を120℃に制御し、2500rpmの高速で撹拌後、液体を型のくぼみに注入成形した;
(8)型を120℃のオーブンに16時間置き、取り出した後、それを離型した;
(9)離型した生成未完成品を機械処理して、高強度の自己潤滑性ポリウレタンピストンを生成した。
【0055】
実施例2
(1)1250gの超高分子量ポリエチレン粉末を飽和過マンガン酸カリウム溶液及び50%硝酸の混合溶液に投入し、80℃に加熱及び30分間の撹拌後、それをろ過して、粉末を得た後、粉末を脱イオン化水で繰り返し洗浄し、ろ過し、オーブン乾燥後、粉末を1500rpmの速度及び70℃の温度に調節した高速ミキサーに投入し、7.5gのカップリング剤KH550を滴加して、カップリング処理を行った;
(2)500gのポリテトラフルオロエチレン粉末を、完全に浸すためにナフタレンナトリウム溶液に入れた後、撹拌し、粉末をテトラヒドロフランで繰り返し洗浄し、ろ過し、150時間乾燥するためにオーブンに入れた後、それを粉砕し、分散させた;
(3)250gのアルミナ粉末を、2000rpmの速度、及び70℃の温度に調節した高速ミキサーに投入し、5gのカップリング剤KH550を滴加して、カップリング処理を行った;
(4)25000gのプレポリマーを注入成形機のタンクAに添加し、温度を90℃に制御し、上記表面処理超高分子量ポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末及びアルミナ粉末を均一に混合してプレポリマーにし、低速700rpmで撹拌した;
(5)3750gの鎖延長剤を注入成形機のタンクBに投入し、温度を115℃に制御し、鎖延長剤が完全に溶けたら、そこに250gの酸化防止剤を添加し、1600rpmの高速で撹拌した;
(6)型のくぼみをきれいにし、型に離型剤を噴霧し、型を120℃のオーブン中で予め加熱した;
(7)タンクA及びタンクB中の液体を混合し、減圧し、温度を120℃に制御し、2500rpmの高速で撹拌後、液体を型のくぼみに注入成形した;
(8)型を120℃のオーブンに16時間置き、取り出した後、それを離型した;
(9)離型した生成未完成品を機械処理して、高強度の自己潤滑性ポリウレタンピストンを生成した。
【0056】
比較実施例1
(1)25000gのプレポリマーを注入成形機のタンクAに添加し、低速700rpmで撹拌し、温度を90℃に制御した;
(2)3750gの鎖延長剤を注入成形機のタンクBに投入し、温度を115℃に制御し、鎖延長剤が完全に溶けたら、それを1600rpmの高速で撹拌した;
(3)型のくぼみをきれいにし、型に離型剤を均一に噴霧し、型を120℃のオーブン中で予め加熱した;
(4)タンクA及びタンクB中の液体を混合し、減圧し、温度を120℃に制御し、2500rpmの高速で撹拌後、液体を型のくぼみに注入成形した;
(5)型を120℃のオーブンに16時間置き、取り出した後、それを離型した;
(6)離型した未完成品を機械処理して、高強度の自己潤滑性ポリウレタンピストンを生成した。
【0057】
実施例1、実施例2及び比較実施例1で作製したコンクリートピストンシール体の機械的性能、耐摩耗性及び耐用時間を試験した。その結果を表1に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
本発明の特定の実施形態を詳細に記載してきたが、当業者は、開示されている教示全体に鑑み細部に行われる多くの改変及び変形が可能であり、そのような改変及び変形はそれぞれが本発明の保護範囲内にあることを理解するであろう。本発明の完全な範囲は、添付の特許請求の範囲及びその任意の等価物によって提供される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
図面において、図中の番号は、以下を指す。
1-水平面に対するコンクリートピストンのリップ開口部の内側リングの角度、
2-水平面に対するコンクリートピストンのリップ開口部の角度、
3-垂直方向に対するコンクリートピストンのリップ開口部の外側の傾きの角度、
4-コンクリートピストンの側面摩擦面、
5-コンクリートピストンの潤滑油収容溝、
6-超高分子量ポリエチレン粉末の概略図
7-ポリテトラフルオロエチレン粉末の概略図、及び
8-アルミナ粉末の概略図
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンシール体を作製するための組成物であって、以下の成分:100重量部のポリウレタンプレポリマー、10から20重量部の鎖延長剤、5から10重量部の表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、1から1.5重量部の酸化防止剤、1から2重量部の表面シリル化(silyated)アルミナ粉末、及び1から3重量部の二硫化モリブデン又はポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末を含む、組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタンプレポリマーは、ポリエーテルタイプであり、
好ましくは、前記ポリウレタンプレポリマーは、LF M2050モデル及びLF M2032モデルの一方又は両方から選択され、
好ましくは、前記ポリウレタンプレポリマーは、以下の特徴:
(1)遊離MDI含有量:0.1wt%未満;
(2)イソシアナート(-NCO)含有量:3.0%から5.0%;
(3)粘度:120から500cps
の1つ以上を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末は、
ステップ1:超高分子量ポリエチレン粉末を酸化処理するステップと、
ステップ2:前記酸化処理された超高分子量ポリエチレン粉末をシランカップリング剤と反応させるステップと
を含む方法により作製され、
好ましくは、ステップ1の前記酸化処理は、過マンガン酸カリウム及び硝酸を含む溶液中で行われ、
好ましくは、前記溶液は、飽和過マンガン酸カリウム水溶液及び硝酸水溶液(例えば、50%から60%硝酸水溶液)の混合溶液であり、
好ましくは、ステップ1は、前記超高分子量ポリエチレン粉末を、過マンガン酸カリウム及び硝酸を含む前記溶液に投入することと、加熱及び撹拌後、それをろ過して、粉末を得ることと、その後、前記粉末を脱イオン化水で繰り返し洗浄し、ろ過し、それをオーブン乾燥することと
を含み、
好ましくは、前記シランカップリング剤は、シランカップリング剤KH540、シランカップリング剤KH550、シランカップリング剤KH560、及びシランカップリング剤KH570の群から選択され、
好ましくは、前記シランカップリング剤の重量は、前記超高分子量ポリエチレン粉末の重量の0.1%から1%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末は、ナフタレンナトリウムで処理されたポリテトラフルオロエチレン粉末であり、
好ましくは、前記ポリテトラフルオロエチレン粉末は、前記ポリテトラフルオロエチレン粉末を、それが完全に浸されるナフタレンナトリウム処理溶液に添加するステップと、10から15分間撹拌するステップと、ろ過するステップと、前記粉末を、前記ナフタレンナトリウム処理液のにおいがなくなるまでテトラヒドロフラン及び脱イオン化水で数回洗浄するステップによって処理され、
好ましくは、前記ナフタレンナトリウム処理は、前記ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末を乾燥のためにオーブンに入れた後、それを粉砕し、分散させることをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記表面シリル化アルミナ粉末は、撹拌及び加熱の前記条件下で、アルミナ粉末をシランカップリング剤と反応させるステップを含む方法により作製され、
好ましくは、前記シランカップリング剤は、シランカップリング剤KH540、シランカップリング剤KH550、シランカップリング剤KH560、及びシランカップリング剤KH570の群から選択され、
好ましくは、前記シランカップリング剤の重量は、前記アルミナ粉末の重量の1%から5%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
以下の特徴:
(1)前記鎖延長剤は、アルコール鎖延長剤又はアミン鎖延長剤、例えば、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン若しくは3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族アルコール鎖延長剤又はジアミン鎖延長剤である;
(2)前記超高分子量ポリエチレン粉末は、30から50μmの粒度を有する;
(3)前記超高分子量ポリエチレン粉末は、4,000,000から5,000,000の分子量を有する;
(4)前記アルミナ粉末は、3000から5000メッシュの粒度を有する;
(5)前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール酸化防止剤、例えば、酸化防止剤1010である;
(6)前記ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末は、3から20μmの粒度を有する
の1つ以上を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ピストンシール体を作製するための請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、
好ましくは、前記ピストンシール体は、コンクリートピストンシール体である、使用。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の組成物を注入成形することによって作製されるピストンシール体であって、
好ましくは、前記ピストンシール体は、コンクリートピストンシール体であり、
好ましくは、前記ピストンシール体は、以下の特徴:
引張強度:≧60MPa;
破断伸び:≧550%;
引裂強度:≧115kN/m;
ショア硬度:96~98HA;
アクロン摩耗:≦0.025cm
耐用期間:550時間超
の1つ以上を有する、ピストンシール体。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物を注入成形することを含む、ピストンシール体を作製する方法であって、
好ましくは、前記方法は、
a)ポリウレタンプレポリマー、鎖延長剤、表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、二硫化モリブデン又はポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末、表面シリル化アルミナ粉末及び酸化防止剤をそれぞれ重量部で計量するステップと、
b)前記ポリウレタンプレポリマー、前記表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、前記二硫化モリブデン又は前記ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末、及び前記表面シリル化アルミナ粉末を注入成形機のタンクAに投入し、それを均一に混合し、それを、温度を80から100℃に制御することによって650rpmから950rpmの低速で撹拌するステップと、
c)前記鎖延長剤を前記注入成形機のタンクBに投入し、温度が110から120℃に制御され、前記鎖延長剤が完全に溶けたら、1500から2500rpmの高速で撹拌しながら前記酸化防止剤を添加するステップと、
d)型のくぼみをきれいにし、前記型に離型剤を噴霧し、それを110から130℃のオーブン中で予め加熱するステップと、
e)減圧しながら前記注入成形機によって制御された比率のタンクA及びタンクB中の前記液体を混合し、温度を100から120℃に維持しながら2000から3500rpmの高速で撹拌した後、前記液体を前記型に注入成形するステップと、
f)100から120℃で16から20時間加熱するためにオーブンに前記型を入れ、それが取り出された後、離型を行うステップと、
g)前記離型された未完成品を機械処理して、前記ピストンシール体を得るステップと
を含み、
好ましくは、前記表面シリル化超高分子量ポリエチレン粉末、前記ポリテトラフルオロエチレンナトリウム粉末、及び/又は前記表面シリル化アルミナ粉末は、請求項3、4、及び/又は5に記載の方法により作製される、方法。
【請求項10】
請求項8に記載のピストンシール体を備える、ピストンであって、
好ましくは、前記ピストンは、コンクリートピストンである、ピストン。
【請求項11】
請求項8に記載のピストンシール体又は請求項10に記載のピストンを備える、送達シリンダ。
【請求項12】
請求項8に記載のピストンシール体、請求項10に記載のピストン、又は請求項11に記載の送達シリンダを備える、コンクリートポンプ装置(例えば、ポンプ車、ドラッグポンプ、又はトラック搭載型ポンプ)。
【国際調査報告】