(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】車体構造及びそれを備えた車両
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
B62D25/20 D
B62D25/20 G
B62D25/20 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515565
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2022142835
(87)【国際公開番号】W WO2023125665
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111675535.5
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲騰▼涌
(72)【発明者】
【氏名】衣本▲鋼▼
(72)【発明者】
【氏名】▲閻▼▲軍▼▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】全毅
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼日▲龍▼
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BA13
3D203BB06
3D203BB08
3D203BB12
3D203BB16
3D203BB17
3D203BB18
3D203BB22
3D203BB54
3D203CA23
3D203CA53
3D203CA57
3D203CB03
3D203DB05
(57)【要約】
車体構造及び車両を提供する。車体構造(100)は、フロントクロスメンバ上板(17)と、ダッシュパネルと、フロントクロスメンバ下板(13)と、を含み、ダッシュパネルの少なくとも一部は、フロントクロスメンバ上板の後側に設けられ、フロントクロスメンバ下板の少なくとも一部は、フロントクロスメンバ上板及び前記ダッシュパネルの下方に設けられ、フロントクロスメンバ下板と、フロントクロスメンバ上板と、ダッシュパネルとは、係合されて第1キャビティ(B)を画定し、フロントクロスメンバ下板、フロントクロスメンバ上板及びダッシュパネルの、第1キャビティを構成する部分は、係合されてフロントクロスメンバを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントクロスメンバ上板と、ダッシュパネルと、フロントクロスメンバ下板と、を含み、
前記ダッシュパネルの少なくとも一部は、前記フロントクロスメンバ上板の後側に設けられ、
前記フロントクロスメンバ下板の少なくとも一部は、前記フロントクロスメンバ上板及び前記ダッシュパネルの下方に設けられ、
前記フロントクロスメンバ下板と、前記フロントクロスメンバ上板と、前記ダッシュパネルとは、係合されて第1キャビティを画定し、前記フロントクロスメンバ下板、前記フロントクロスメンバ上板及び前記ダッシュパネルの、前記第1キャビティを構成する部分は、係合されてフロントクロスメンバを形成する、車体構造。
【請求項2】
車体の前後方向に沿って延在するセンタートンネルをさらに有し、前記センタートンネルは、前記ダッシュパネルに接続され、前記センタートンネルと前記ダッシュパネルとの接続位置は、前記第1キャビティに対向して設けられる、請求項1に記載の車体構造。
【請求項3】
前記センタートンネルと前記ダッシュパネルとの接続位置は、前記第1キャビティの車体の上下方向における中間位置に対応する、請求項1又は2に記載の車体構造。
【請求項4】
フロントサイドメンバをさらに含み、
前記フロントサイドメンバは、車体の左右方向に沿って間隔を隔てて設けられた左フロントサイドメンバと右フロントサイドメンバを含み、前記第1キャビティの、前記左フロントサイドメンバに近接する位置と前記右フロントサイドメンバに近接する位置は、それぞれ前記左フロントサイドメンバと前記右フロントサイドメンバに接続される端部を有し、2つの前記端部の前後方向における位置は、前記第1キャビティの中央部の前方にあり、前記第1キャビティの中央部は、前記第1キャビティの車体の左右方向における中央部である、請求項1~3のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項5】
前記端部は、車体の左右方向に沿って間隔を隔てて設けられた左端部と右端部を含み、前記左端部は、前記左フロントサイドメンバに接続され、前記右端部は、前記右フロントサイドメンバに接続される、請求項1~4のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項6】
2つの前記端部は、対向して設けられ、2つの前記端部と前記第1キャビティの中央部とは、V字状構造を形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項7】
前記第1キャビティは、中央部の断面積が前記端部の断面積より小さく、前記断面積は、前記第1キャビティの車体の上下方向に沿った断面積である、請求項1~6のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項8】
前記第1キャビティの中央部の断面積は、前記端部の断面積の0.5~0.8倍である、請求項1~7のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項9】
前記第1キャビティの中央部から2つの前記端部に向かう方向に沿って、前記第1キャビティの断面積は、徐々に大きくなる、請求項1~8のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項10】
支持板をさらに含み、
前記支持板は、前記第1キャビティの中央部に設けられて前記フロントクロスメンバの構造を補強する、請求項1~9のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項11】
前記フロントクロスメンバ下板と前記ダッシュパネルとは、係合されて第2キャビティを画定する、請求項1~10のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項12】
前記フロントクロスメンバ下板の少なくとも一部の下側面は、車体の底面に平行である、請求項1~11のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項13】
取付部をさらに含み、
前記取付部は、前記フロントクロスメンバ下板の下側に設けられると共に、前記左フロントサイドメンバと前記右フロントサイドメンバとの間に位置し、フロントサブフレームを取り付ける、請求項1~12のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項14】
左補強板と右補強板をさらに含み、前記左補強板と右補強板は、それぞれ前記フロントクロスメンバ下板の前記左フロントサイドメンバと前記右フロントサイドメンバに対応する位置にあり、前記左補強板と前記右補強板は、それぞれ前記フロントクロスメンバ下板と係合されて第3キャビティを形成する、請求項1~13のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項15】
前記フロントサイドメンバは、前記フロントサイドメンバ後段を含み、前記フロントサイドメンバ後段は、サイドシルメンバに接続され、前記フロントサイドメンバ後段は、サイドメンバ接続板とサイドメンバシールプレート接続板を含み、前記サイドメンバ接続板と前記サイドメンバシールプレート接続板とは、係合されて第4キャビティ及び第5キャビティを形成し、前記第4キャビティは、前記フロントサイドメンバからサイドシルの前端位置に向かって延在し、前記第5キャビティは、前記フロントサイドメンバから車体のAピラーの上下方向における中央部位置に向かって延在する、請求項1~14のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項16】
前記フロントサイドメンバ後段は、左フロントサイドメンバ後段及び右フロントサイドメンバ後段を含み、前記左フロントサイドメンバ後段は、前記左端部に接続され、前記右フロントサイドメンバ後段は、前記右端部に接続される、請求項1~15のいずれか一項に記載の車体構造。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の車体構造を含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年12月31日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202111675535.5で、出願名称が「車体構造及びそれを備えた車両」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、車体構造及びそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー自動車の発展過程において、自動車衝突時の安全は、特に重要になる。正面衝突は、自動車のフロントコンパートメント構造の合理性を評価する重要な基準の1つである。前部衝突時に乗員室のメンバーの安全を保護するために、正面衝突のエネルギーがダッシュパネルの前端に到達する過程において前部構造の変形により吸収され、残りのエネルギーが依然として大きすぎてダッシュパネルに直接伝達されて、ダッシュパネルが変形して乗員室に入り込んで乗員の安全を脅かすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、背景技術における少なくとも1つの技術的課題を解決できる、車体構造の新しい技術手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る車両の新しい技術手段は、上記車体構造を含む。
【0006】
本開示に係る車体構造は、フロントクロスメンバ上板と、ダッシュパネルと、フロントクロスメンバ下板と、を含み、前記ダッシュパネルの少なくとも一部は、前記フロントクロスメンバ上板の後側に設けられ、前記フロントクロスメンバ下板の少なくとも一部は、前記フロントクロスメンバ上板及び前記ダッシュパネルの下方に設けられ、前記フロントクロスメンバ下板と、前記フロントクロスメンバ上板と、前記ダッシュパネルとは、係合されて第1キャビティを画定し、前記フロントクロスメンバ下板、前記フロントクロスメンバ上板及び前記ダッシュパネルの、前記第1キャビティを構成する部分は、係合されてフロントクロスメンバを形成する。
【0007】
好ましくは、前記車体構造は、車体の前後方向に沿って延在するセンタートンネルをさらに有し、前記センタートンネルは、前記ダッシュパネルに接続され、前記センタートンネルと前記ダッシュパネルとの接続位置は、前記第1キャビティに対向して設けられる。
【0008】
好ましくは、前記センタートンネルと前記ダッシュパネルとの接続位置は、前記第1キャビティの車体の上下方向における中間位置に対応する。
【0009】
好ましくは、前記車体構造は、フロントサイドメンバをさらに含み、前記フロントサイドメンバは、車体の左右方向に沿って間隔を隔てて設けられた左フロントサイドメンバと右フロントサイドメンバを含み、前記第1キャビティの、前記左フロントサイドメンバに近接する位置と前記右フロントサイドメンバに近接する位置は、それぞれ前記左フロントサイドメンバと前記右フロントサイドメンバに接続される端部を有し、2つの前記端部の前後方向における位置は、前記第1キャビティの中央部の前方にあり、前記第1キャビティの中央部は、前記第1キャビティの車体の左右方向における中央部である。
【0010】
好ましくは、前記端部は、車体の左右方向に沿って間隔を隔てて設けられた左端部と右端部を含み、前記左端部は、前記左フロントサイドメンバに接続され、前記右端部は、前記右フロントサイドメンバに接続される。
【0011】
好ましくは、2つの前記端部は、対向して設けられ、2つの前記端部と前記第1キャビティの中央部とは、V字状構造を形成する。
【0012】
好ましくは、前記第1キャビティは、中央部の断面積が前記端部の断面積より小さく、前記断面積は、前記第1キャビティの車体の上下方向に沿った断面積である。
【0013】
好ましくは、前記第1キャビティの中央部の断面積は、前記端部の断面積の0.5~0.8倍である。
【0014】
好ましくは、前記第1キャビティの中央部から2つの前記端部に向かう方向に沿って、前記第1キャビティの断面積は、徐々に大きくなる。
【0015】
好ましくは、前記車体構造は、支持板をさらに含み、前記支持板は、前記第1キャビティの中央部に設けられて前記フロントクロスメンバの構造を補強する。
【0016】
好ましくは、前記フロントクロスメンバ下板と前記ダッシュパネルとは、係合されて第2キャビティを画定する。
【0017】
好ましくは、前記フロントクロスメンバ下板の少なくとも一部の下側面は、車体の底面に平行である。
【0018】
好ましくは、前記車体構造は、取付部をさらに含み、前記取付部は、前記フロントクロスメンバ下板の下側に設けられると共に、前記左フロントサイドメンバと前記右フロントサイドメンバとの間に位置し、フロントサブフレームを取り付ける。
【0019】
好ましくは、前記車体構造は、左補強板と右補強板をさらに含み、前記左補強板と右補強板は、それぞれ前記フロントクロスメンバ下板の前記左フロントサイドメンバと前記右フロントサイドメンバに対応する位置にあり、前記左補強板と前記右補強板は、それぞれ前記フロントクロスメンバ下板と係合されて第3キャビティを形成する。
【0020】
好ましくは、前記フロントサイドメンバは、前記フロントサイドメンバ後段を含み、前記フロントサイドメンバ後段は、サイドシルメンバに接続され、前記フロントサイドメンバ後段は、サイドメンバ接続板とサイドメンバシールプレート接続板を含み、前記サイドメンバ接続板と前記サイドメンバシールプレート接続板とは、係合されて第4キャビティ及び第5キャビティを形成し、前記第4キャビティは、前記フロントサイドメンバからサイドシルの前端位置に向かって延在し、前記第5キャビティは、前記フロントサイドメンバから車体のAピラーの上下方向における中央部位置に向かって延在する。
【0021】
好ましくは、前記フロントサイドメンバ後段は、左フロントサイドメンバ後段及び右フロントサイドメンバ後段を含み、前記左フロントサイドメンバ後段は、前記左端部に接続され、前記右フロントサイドメンバ後段は、前記右端部に接続される。
【0022】
本開示に係る車両は、上記いずれかの実施例に記載の車体構造を含む。
【0023】
本開示の一実施例では、フロントクロスメンバ下板と、フロントクロスメンバ上板と、ダッシュパネルとを係合することにより、第1キャビティが形成され、第1キャビティは、力伝達機能を有する。車体前側が衝突力を受けた場合、第1キャビティを介する前側衝突力の後方構造への伝達を実現し、過剰なエネルギーがダッシュパネルに直接伝達されてダッシュパネルが変形して乗員室内に入り込んで乗員の安全を脅かすことを回避することができる。
【0024】
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な実施例を詳細に説明することにより、本開示の他の特徴及びその利点は明らかになる。
【0025】
明細書に組み込まれ、明細書の一部となる図面は、本開示の実施例を示し、その説明と共に本開示の原理を解釈する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の一実施例に係る車体構造の底面図である。
【
図3】E-E方向に沿った断面図のダッシュパネルに近接する位置での部分拡大図である。
【
図4】本開示の一実施例に係る車体構造の底面斜視図である。
【
図6】本開示の一実施例に係る車体構造の部分構造の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本開示の様々な例示的な実施例を詳細に説明する。なお、特に断らない限り、これらの実施例において記載された部材及びステップの相対的配置、数字表現式及び数値は、本開示の範囲を限定するものではない。
【0028】
以下、少なくとも1つの例示的な実施例についての説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、本開示及びその適用又は使用を限定することは決して意図されていない。
【0029】
当業者が知っている技術、方法及び装置について詳細に検討していないが、適切な場合には、上記技術、方法及び装置は、明細書の一部と見なされるべきである。
【0030】
ここで示され検討された全ての例では、いかなる具体的な値は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと解釈されるべきである。したがって、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有してもよい。
【0031】
なお、類似した符号及びアルファベットが以下の図面において類似したものを表すため、あるものが1つの図面において定義されれば、後の図面においてさらに検討する必要がない。
【0032】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例に係る車体構造100を詳細に説明する。
【0033】
図1~
図7に示すように、本開示の実施例に係る車体構造100は、フロントクロスメンバ上板17と、ダッシュパネルと、フロントクロスメンバ下板13とを含む。
【0034】
具体的には、ダッシュパネルの少なくとも一部は、フロントクロスメンバ上板17の後側に設けられ、フロントクロスメンバ下板13の少なくとも一部は、フロントクロスメンバ上板17及びダッシュパネルの下方に設けられる。
【0035】
フロントクロスメンバ下板13と、フロントクロスメンバ上板17と、ダッシュパネルとは、係合されて第1キャビティBを画定し、フロントクロスメンバ下板13、フロントクロスメンバ上板17及びダッシュパネルの、第1キャビティBを構成する部分は、係合されてフロントクロスメンバを形成する。
【0036】
換言すれば、本開示の実施例に係る車体構造100は、フロントクロスメンバ上板17と、ダッシュパネルと、フロントクロスメンバ下板13とを含み、車体の前後方向を基準方向とし、車の先頭を前方とし、車のテールを後方とすると、ダッシュパネルの少なくとも一部は、フロントクロスメンバ上板17の後側に位置してもよい。車体の上下方向を基準方向とし、ルーフを上方とし、車両の底部を下方とすると、フロントクロスメンバ下板13の少なくとも一部は、フロントクロスメンバ上板17及びダッシュパネルの下方に位置してもよい。説明の便宜上、以下、車体の左右方向をY軸方向と定義し、上下方向をZ軸方向と定義し、前後方向をX軸方向と定義する。即ち、ダッシュパネルの少なくとも一部は、フロントクロスメンバ上板17のX軸方向における後側に位置してもよい。フロントクロスメンバ下板13の少なくとも一部は、同時にフロントクロスメンバ上板17のZ軸方向における下方及びダッシュパネルのZ軸方向における下方に位置してもよい。
【0037】
フロントクロスメンバ下板13、フロントクロスメンバ上板17及びダッシュパネルは、係合されて第1キャビティBを画定し、第1キャビティBは、仮想ダッシュパネルのフロントクロスメンバ6とすることができる。なお、第1キャビティBは、車体の前方が受けた衝突力を略X方向に沿って車体の後側に伝達し、例えば、衝突力を後側のセンタートンネル16及び後方の構造に伝達することができ、即ち、第1キャビティBは、力伝達構造として、衝突力を伝達する作用を果たすことができる。
【0038】
本実施例では、フロントクロスメンバ下板13と、フロントクロスメンバ上板17と、ダッシュパネルとを係合することにより、第1キャビティBが形成され、第1キャビティBは、力伝達機能を有する。車体前側が衝突力を受けた場合、第1キャビティBを介する前側衝突力の後方構造への伝達を実現し、過剰なエネルギーがダッシュパネルに直接伝達されてダッシュパネルが変形して乗員室内に入り込んで乗員の安全を脅かすことを回避することができる。
【0039】
本開示の一実施例では、
図1及び
図3に示すように、車体構造100は、車体の前後方向に沿って延在するセンタートンネル16をさらに有し、センタートンネル16は、ダッシュパネルに接続され、センタートンネル16とダッシュパネルとの接続位置は、第1キャビティBに対向して設けられる。例えば、センタートンネル16は、センタートンネル上立面16bを介してダッシュパネルに接続される。具体的には、フロアパネルの中央部は、上方に突起して、前後方向に延在するセンタートンネル16を形成することができる。フロアパネルには、センタートンネル16に対応するセンタートンネル上立面16bを有し、センタートンネル上立面16bは、ダッシュパネルに接続されてもよく、センタートンネル上立面16bとダッシュパネルとの接続位置は、第1キャビティBに対向して設けられてもよい。例えば、ダッシュパネルがダッシュパネル上段とダッシュパネル下段14を含む場合、センタートンネル上立面16bは、ダッシュパネル下段14に重ね接続される。本実施例では、センタートンネル上立面16bとダッシュパネルとの重ね接続位置が第1キャビティBに近接するため、第1キャビティBを介して衝突力を後方へセンタートンネル16及び後方の構造に伝達するのにより有利である。
【0040】
本開示のいくつかの具体的な実施形態では、センタートンネル上立面16bとダッシュパネルとの接続位置は、第1キャビティBの車体の上下方向における中間位置に対応する。即ち、接続位置は、第1キャビティBのZ軸方向における中間位置に近接し、例えば、センタートンネル上立面16bは、ダッシュパネル下段14に重ね接続され、重ね接続辺は、第1キャビティBのZ軸方向における中間位置に設けられる。
【0041】
本実施例では、センタートンネル上立面16bとダッシュパネルとの接続位置を第1キャビティBの上下方向における中間位置付近に限定することにより、第1キャビティBを介して衝突力をセンタートンネル16及び後方の構造に伝達することができるだけでなく、衝突力を後方へ伝達する時の不均衡を回避することができる。
【0042】
本開示の一実施例では、
図4に示すように、車体構造100は、車体の左右方向に沿って間隔を隔てて設けられた左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’をさらに含み、第1キャビティBの、左フロントサイドメンバ1に近接する位置と右フロントサイドメンバ1’に近接する位置は、それぞれ左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’に接続される端部を有し、2つの端部の前後方向における位置は、第1キャビティBの中央部の前方にあり、第1キャビティBの中央部は、第1キャビティBの車体の左右方向における中央部である。
【0043】
即ち、本実施例の車体構造100は、フロントサイドメンバをさらに含んでもよく、フロントサイドメンバは、フロントクロスメンバ下板13に接続されてもよく、例えば、フロントサイドメンバは、フロントクロスメンバ下板13の前方に位置し、フロントサイドメンバ後段は、フロントクロスメンバ下板13に重ね接続される。左右方向に沿って、フロントサイドメンバを左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’に分けてもよい。左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’は、左右方向に沿って間隔を隔てて分布してもよい。フロントクロスメンバ下板13は、左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’との間に位置してもよく、左フロントサイドメンバ1の後段は、左フロントサイドメンバ1とダッシュパネルとの接続位置にあり、右フロントサイドメンバ1’の後段は、右フロントサイドメンバ1’とダッシュパネルとの接続位置にある。フロントクロスメンバ下板13とフロントサイドメンバとを係合することにより、接続された構造の安定性を実現し、フロントサイドメンバが受けた衝突力を第1キャビティBに伝達することを容易にすることができる。
【0044】
第1キャビティBは、左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’との間に設けられてもよく、左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’が後方へ衝突力を伝達する場合、第1キャビティBを介して衝突力をセンタートンネル16及び後方の構造に伝達することができる。
【0045】
本開示の一実施例では、端部は、車体の左右方向に沿って間隔を隔てて設けられた左端部と右端部を含み、左端部は、左フロントサイドメンバ1に接続され、右端部は、右フロントサイドメンバ1’に接続される。即ち、第1キャビティBは、左右方向に沿って、左端部、中央部、右端部を順に有し、左端部は、左フロントサイドメンバ1に近接し、右端部は、右フロントサイドメンバ1’に近接する。ここでの中央部とは、車両の左右方向に沿う中央部、即ち、車両のY軸方向に沿う中央部の位置を指してもよい。説明の便宜上、Y軸方向に沿って第1キャビティBを順に左端部キャビティ6a、中央部キャビティ6b及び右端部キャビティに分けてもよく、左端部キャビティ6aは、中央部キャビティ6bの左側に位置してもよく、右端部キャビティは、中央部キャビティ6bの右側に位置してもよく、中央部キャビティ6bは、左端部キャビティ6aと右端部キャビティにそれぞれ連通してもよい。
【0046】
本開示のいくつかの具体的な実施形態では、
図4に示すように、2つの端部は、対向して設けられ、2つの端部と第1キャビティBの中央部とは、V字状構造を形成する。即ち、フロントクロスメンバ上板17とフロントサイドメンバとの接続位置から左右方向における中央部の位置に向かう方向に沿って、フロントクロスメンバが両側から中間に向かって徐々に傾斜してV字状構造を形成し、より優れた力伝達効果を実現することができる。第1キャビティBの中央部の位置が前後方向にセンタートンネル16の位置に対応する場合、第1キャビティBを介してフロントサイドメンバが受けた衝突力の少なくとも一部をセンタートンネル16に伝達することができる。
【0047】
本開示のいくつかの具体的な実施形態では、第1キャビティBは、中央部の断面積が端部の断面積より小さく、断面積は、第1キャビティBの車体の上下方向に沿った断面積である。即ち、第1キャビティBのフロントサイドメンバにより近接する部分の断面積が大きく、第1キャビティBの左右方向における中央部位置により近接する部分の断面積が小さい。即ち、中央部キャビティ6bが小さく、左端部キャビティ6aと右端部キャビティが大きい。
【0048】
左フロントサイドメンバ1が前方からの衝突力を伝達する場合、左フロントサイドメンバ1の後段とダッシュパネルとの接続位置又は根元部は、作用力を左端部キャビティ6aに伝達し、左端部キャビティ6aから中央部キャビティ6bに伝達し、衝突力に対してガイド作用を果たすことができる。同様に、右フロントサイドメンバ1’も右端部キャビティを介して中央部キャビティ6bに作用力を伝達することができ、衝突力に対してガイド作用を果たすこともでき、ここでは説明を省略する。
【0049】
本実施例では、第1キャビティBの中央部の断面積を端部の断面積より小さく限定することにより、断面積の変化を実現することができ、さらに、正面衝突により伝達された衝突力を円滑にガイドし、フロントサイドメンバの後段に突然変化点が生じることを回避することができる。
【0050】
本開示の一実施例では、第1キャビティBの中央部の断面積は、端部の断面積の0.5~0.8倍であり、端点値を含んでもよく、例えば、中央部の断面積は、端部の断面積の0.50倍、0.55倍、0.56倍、0.6倍、0.7倍、0.8倍などである。中央部の断面積が端部の断面積の0.5倍より小さい場合、衝突力がセンタートンネル16又は後方の構造に伝達されにくくなり、さらに、該箇所が構造の弱点となる。第1キャビティBの中央部の断面積が端部の断面積の0.8倍より大きい場合、中央部の断面積と端部の断面積との差が小さくなり、フロントサイドメンバの後段に突然変化点が生じやすくなる。
【0051】
本開示のいくつかの具体的な実施形態では、第1キャビティBの中央部から2つの端部に向かう方向に沿って、第1キャビティBの断面積は、徐々に大きくなる。即ち、中央部から端部に向かう方向に沿って、第1キャビティBの断面積は、徐々に大きくなり、第1キャビティBの車体のY軸方向における中央部のキャビティが小さく、第1キャビティBがY軸方向における中央部位置からY軸方向における両側の左フロントサイドメンバ1及び右フロントサイドメンバ1’の位置に向かって徐々に大きくなり、衝突力をガイドする時の円滑性をさらに向上させることができる。
【0052】
本開示の一実施例では、車体構造100は、支持板をさらに含み、支持板は、第1キャビティBの中央部に設けられてフロントクロスメンバの構造を補強する。即ち、第1キャビティB内に支持板が設けられ、支持板が支持作用を果たすことができ、第1キャビティBの構造完全性を保証することに有利である。支持板が第1キャビティBの中央部に位置する場合、中央部支持板22として定義することができ、即ち、第1キャビティBの中央部の断面積が小さい場合、支持板を設けることにより、該箇所の第1キャビティBの剛性を保証することができる。
【0053】
本開示の一実施例では、フロントクロスメンバ下板13は、フロントクロスメンバ上板17とダッシュパネルにそれぞれ溶接接続され、即ち、第1キャビティBは、フロントクロスメンバ下板13、フロントクロスメンバ上板17及びダッシュパネルを溶接して形成されてもよい。
【0054】
本開示の一実施例では、フロントクロスメンバ上板17の形状は、略L字状であってもよく、フロントクロスメンバ上板17の一側は、フロントクロスメンバ下板13と接合されてもよく、フロントクロスメンバ上板17の他側は、ダッシュパネルと接合されてもよい。フロントクロスメンバ下板13の形状は、略L字状であってもよく、フロントクロスメンバ上板17とフロントクロスメンバ下板13とは、左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’のZ軸方向に沿う中央部位置で接合されてもよい。
【0055】
好ましくは、前後方向に沿って、フロントクロスメンバ下板13は、互いに接続されたフロントクロスメンバ下板上立面13bとフロントクロスメンバ下板中央面13cを有する。フロントクロスメンバ上板17は、フロントクロスメンバ上板下立面17a及びフロントクロスメンバ上板上立面17bを有し、ダッシュパネルは、ダッシュパネル下段14及びダッシュパネル上段18を有し、ダッシュパネル下段14は、ダッシュパネル下段上立面14b及びダッシュパネル下段中央面14cを有する。第1キャビティBは、フロントクロスメンバ下板13、フロントクロスメンバ上板17及びダッシュパネル下段14を溶接して形成されてもよい。本実施例では、重ね接続方式を用いることにより、取付工程を簡略化できる。
【0056】
フロントクロスメンバ下板上立面13bがフロントクロスメンバ下板中央面13cの前方に位置し、ダッシュパネル下段上立面14bがダッシュパネル下段中央面14cの前方に位置し、フロントクロスメンバ上板下立面17aがダッシュパネル下段14の上側切りこみに重ね接続されてもよく、フロントクロスメンバ上板上立面17bがフロントクロスメンバ下板上立面13bに重ね接続されてもよく、フロントクロスメンバ下板中央面13cがダッシュパネル下段中央面14cに重ね接続されてもよく、それにより第1キャビティBが形成される。
【0057】
本開示の一実施例では、
図3に示すように、フロントクロスメンバ下板13とダッシュパネルとは、係合されて第2キャビティAを画定する。第2キャビティAは、ダッシュパネルの上方及びフロアの前方に位置してもよく、具体的には、フロントクロスメンバ下板13は、車体の後部に向かってフロントフロアの前部まで延在してもよく、フロントフロアの前部位置でダッシュパネルの下段とともに第2キャビティA構造を形成してもよい。該第2キャビティA構造は、車体のフロアの下の電池パックの前側に位置し、電池パックに前部取付点を提供することができ、第2キャビティAは、従来の自動車の電池パックの取付用フロントクロスメンバに相当してもよい。
【0058】
フロントクロスメンバ下板13は、後方の密封板アセンブリ15の位置に向かって延在してもよく、本開示の密封板アセンブリ15は、電池パック密封板を含んでもよく、電池パック密封板は、従来の自動車のフロントフロアの位置に設けられてもよい。フロントクロスメンバ下板13は、フロントクロスメンバ下板下底面13aをさらに有し、フロントクロスメンバ下板下底面13aは、フロントクロスメンバ下板中央面13cの後方に位置し、ダッシュパネルは、ダッシュパネル下底面14aをさらに有し、ダッシュパネル下底面14aは、フロントクロスメンバ下板下底面13aに重ね接続され、フロントクロスメンバ下板中央面13cは、ダッシュパネル下段中央面14cに重ね接続され、さらに、ダッシュパネルの下方(フロアの前方)に第2キャビティAが形成され、該第2キャビティAは、従来の自動車の電池パックの取付用フロントクロスメンバに相当してもよい。第2キャビティAの車両の幅方向に沿った断面は、略三角形であってもよい。
【0059】
なお、第2キャビティAは、車両のフロアの下の電池パックの前側に位置し、電池パックに前部取付点を提供することができ、即ち、第2キャビティAは、電池パックの取付用フロントクロスメンバの機能を有する。
【0060】
本開示の一実施例では、フロントクロスメンバ下板13の少なくとも一部の下側面が車体の底面に平行であるため、前側の衝突力を後側の構造、例えばセンタートンネル16に伝達するのに有利である。
【0061】
本開示のいくつかの具体的な実施形態では、車体構造100は、取付部をさらに含み、取付部は、フロントクロスメンバ下板13の下側に設けられると共に、左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’との間に位置し、フロントサブフレームを取り付ける。即ち、フロントクロスメンバ上板17の下方に、左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’との間には、取付部が設けられ、フロントサブフレームの取付を実現することができる。
【0062】
本開示の一実施例では、
図4に示すように、取付部は、左フロントサブフレーム取付点19及び右フロントサブフレーム取付点19’を含み、例えば、フロントクロスメンバ下板13の下方に、左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’との間には、統合式左フロントサブフレーム取付点19及び右フロントサブフレーム取付点19’が設計される。
【0063】
本開示のいくつかの具体的な実施形態では、支持板の数は、複数であってもよく、第1キャビティBの内部に複数の支持板構造が設けられることにより、第1キャビティBの構造完全性を保証することができる。左フロントサブフレーム取付点19は、内側の対応する位置に左内側支持板21が設けられ、外側位置に左外側支持板20が設けられ、対応する右フロントサブフレーム取付点19’は、対応する位置に右内側支持板21’及び右外側支持板20’の2つの支持板が設けられる。フロントサブフレームが車両の正面又は側面などの衝突荷重を受けた場合、取付点の下方の支持板によって衝突力を分解して伝達することができる。
【0064】
本開示の一実施例では、車体構造100は、左補強板と右補強板をさらに含み、左補強板と右補強板は、それぞれフロントクロスメンバ下板13の左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’に対応する位置にあり、左補強板と右補強板は、それぞれフロントクロスメンバ下板13と係合されて第3キャビティCを形成する。
【0065】
言い換えれば、車体構造100は、左補強板と右補強板をさらに含み、左補強板と右補強板は、それぞれ第1キャビティBの端部に位置してもよく、左右方向に沿って間隔を隔てて分布し、
図4に示すように、左補強板は、ダッシュパネル下段の左補強板23として定義され、左フロントサイドメンバ1に近接し、右補強板は、ダッシュパネル下段の右補強板23’として定義され、右フロントサイドメンバ1’に近接し、左補強板と右補強板は、それぞれフロントクロスメンバ上板17と係合されて第3キャビティCを形成する。即ち、左補強板とフロントクロスメンバ上板17とは、係合されて第3キャビティCを形成し、右補強板とフロントクロスメンバ上板17とも、係合されて第3キャビティCを形成する。
【0066】
即ち、左フロントサイドメンバ1の後方に設けられたフロントクロスメンバ下板13は、従来の自動車のサイドメンバ後段の外側接続板に相当してもよく、該位置のフロントクロスメンバ下板13、フロントクロスメンバ上板17及びダッシュパネル下段14は、第1キャビティBの力伝達構造を形成してもよい。また、第1キャビティBの内部には、ダッシュパネル下段の左補強板23及びダッシュパネル下段の右補強板23’がさらに設けられ、左補強板と、右補強板と、フロントクロスメンバ下板13とは、係合されて第3キャビティCを形成してもよい。
【0067】
本実施例では、フロントクロスメンバ下板13は、従来の自動車のフロントサイドメンバ後段に相当してもよい。本開示は、元のフロントサイドメンバ後段の位置に左補強板及び右補強板を設けることにより、第1キャビティBの力伝達作用を強化し、即ち、本実施例におけるフロントクロスメンバ下板13は、第1キャビティBを介して車両の正面の衝突力をフロントサイドメンバからサイドシル方向へ伝達することを完了することができる。
【0068】
本開示の一実施例では、フロントサイドメンバは、フロントサイドメンバ後段を含み、フロントサイドメンバ後段は、サイドシルメンバに接続され、フロントサイドメンバ後段は、サイドメンバ接続板とサイドメンバシールプレート接続板を含み、サイドメンバ接続板とサイドメンバシールプレート接続板とは、係合されて第4キャビティD及び第5キャビティEを形成し、第4キャビティDは、フロントサイドメンバからサイドシルの前端位置に向かって延在し、第5キャビティEは、フロントサイドメンバから車体のAピラーの車体の上下方向における中央部位置に向かって延在する。
【0069】
サイドメンバシールプレートは、左右方向に沿って間隔を隔てて分布している左フロントサイドメンバシールプレート2と右フロントサイドメンバシールプレート2’を含んでもよく、左フロントサイドメンバシールプレート2は、左フロントサイドメンバ1の左サイドシル9に近接する側に設けられ、右フロントサイドメンバシールプレート2’は、右フロントサイドメンバ1’の右サイドシル9’に近接する側に設けられる。サイドメンバ接続板は、左フロントサイドメンバ接続板12と右フロントサイドメンバ接続板12’に分けられてもよい。左フロントサイドメンバ接続板12は、左フロントサイドメンバシールプレート2の後方に位置してもよく、右フロントサイドメンバ接続板12’は、右フロントサイドメンバシールプレート2’の後方に位置してもよい。サイドメンバシールプレート接続板は、左フロントサイドメンバシールプレート接続板11と右フロントサイドメンバシールプレート接続板11’に分けられてもよい。
【0070】
即ち、左フロントサイドメンバシールプレート2及び右フロントサイドメンバシールプレート2’の後方には、車体のAピラーに向かって接続されたシールプレート後段が設けられ、該シールプレート後段は、上下の2つのキャビティ構造となってもよい。これに応じて、左フロントサイドメンバ1と右フロントサイドメンバ1’の後方には、同様にAピラーに向かって接続されたサイドメンバ接続板が設けられ、該サイドメンバ接続板は、同様に上下の2つのキャビティの構造として設けられる。上記2つのキャビティは、1対1に対応し、係合されて上下に分布している第4キャビティDと第5キャビティEを形成し、第4キャビティDは、サイドシル9の前端位置に接続されてもよく、第5キャビティEは、AピラーのZ軸方向に沿う中央部まで延在してもよく、第4キャビティD及び第5キャビティEを用いることにより、左フロントサイドメンバと右フロントサイドメンバが受けた衝突荷重をAピラー及びサイドシルに伝達し、さらに乗員室の乗客の安全を保証することができる。
【0071】
本実施例では、第4キャビティD及び第5キャビティEの具体的な延在方向を限定することにより、衝突力をガイドすることに有利であり、衝突荷重をサイドシル及びAピラーに伝達する効率を向上させ、安全性能をさらに向上させることができる。
【0072】
好ましくは、
図5に示すように、サイドメンバ接続板とシールプレート接続板は、それぞれ略「M」字状の構造として形成されてもよく、組み立て時に、接続板とシールプレート接続板を対向して設けることができ、第4キャビティDと第5キャビティEを迅速に形成することに有利である。
【0073】
本開示の一実施例では、フロントサイドメンバ後段は、左フロントサイドメンバ後段1a及び右フロントサイドメンバ後段を含み、左フロントサイドメンバ後段1aは、左端部に接続され、右フロントサイドメンバ後段は、右端部に接続される。フロントサイドメンバ後段は、フロントクロス板下板13に重ね接続されてもよく、左フロントサイドメンバ後段1aは、左フロントサイドメンバとダッシュパネルとの接続位置に近接してもよい。フロントサイドメンバと端部を接続することにより、フロントサイドメンバの後段とダッシュパネルとの接続位置又は根元部が作用力を第1キャビティBに伝達することに有利である。
【0074】
要するに、本開示の実施例に係る車体構造100は、フロントクロスメンバ上板17が周囲の構造と係合されることにより、ダッシュパネルのフロントクロスメンバ6及び電池パックの取付用フロントクロスメンバなどの機能を有することができる。
【0075】
また、本開示の実施例に係る車両は、上記いずれかの実施例に記載の車体構造100を含む。本開示の実施例に係る車体構造100が安全性能を向上させるため、本開示の実施例に係る車両も上記利点を有し、ここでは説明を省略する。
【0076】
例を挙げて本開示のいくつかの特定の実施例を詳細に説明したが、当業者であれば、以上の例が説明するためのものに過ぎず、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。当業者であれば、本開示の範囲及び趣旨から逸脱しない場合に、以上の実施例を修正できることを理解されたい。本開示の範囲は、添付した特許請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0077】
100 車体構造
1 左フロントサイドメンバ
1a 左フロントサイドメンバ後段
1’ 右フロントサイドメンバ
2 左フロントサイドメンバシールプレート
2’ 右フロントサイドメンバシールプレート
6 ダッシュパネルのフロントクロスメンバ
6a 左端部キャビティ
6b 中央部キャビティ
9 左サイドシル
9’ 右サイドシル
11 左フロントサイドメンバシールプレート下板
11’ 右フロントサイドメンバシールプレート下板
12 左フロントサイドメンバ接続板下板
12’ 右フロントサイドメンバ接続板下板
13 フロントクロスメンバ下板
13a フロントクロスメンバ下板下底面
13b フロントクロスメンバ下板上立面
13c フロントクロスメンバ下板中央面
14 ダッシュパネル下段
14a ダッシュパネル下底面
14b ダッシュパネル下段上立面
14c ダッシュパネル下段中央面
15 密封板アセンブリ
16 センタートンネル
16b センタートンネル上立面
17 フロントクロスメンバ上板
17a フロントクロスメンバ上板下立面
17b フロントクロスメンバ上板上立面
18 ダッシュパネル上段
19 左フロントサブフレーム取付点
19’ 右フロントサブフレーム取付点
20 左外側支持板
21 左内側支持板
20’ 右外側支持板
21’ 右内側支持板
22 中央部支持板
23 ダッシュパネル下段の左補強板
23’ ダッシュパネル下段の右補強板
A 第2キャビティ
B 第1キャビティ
C 第3キャビティ
D 第4キャビティ
E 第5キャビティ
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントクロスメンバ上板と、ダッシュパネルと、フロントクロスメンバ下板と、を含み、
前記ダッシュパネルの少なくとも一部は、前記フロントクロスメンバ上板の後側に設けられ、
前記フロントクロスメンバ下板の少なくとも一部は、前記フロントクロスメンバ上板及び前記ダッシュパネルの下方に設けられ、
前記フロントクロスメンバ下板と、前記フロントクロスメンバ上板と、前記ダッシュパネルとは、係合されて第1キャビティを画定し、前記フロントクロスメンバ下板、前記フロントクロスメンバ上板及び前記ダッシュパネルの、前記第1キャビティを構成する部分は、係合されてフロントクロスメンバを形成する、車体構造。
【請求項2】
車体の前後方向に沿って延在するセンタートンネルをさらに有し、前記センタートンネルは、前記ダッシュパネルに接続され、前記センタートンネルと前記ダッシュパネルとの接続位置は、前記第1キャビティに対向して設けられる、請求項1に記載の車体構造。
【請求項3】
前記センタートンネルと前記ダッシュパネルとの接続位置は、前記第1キャビティの車体の上下方向における中間位置に対応する、請求項
2に記載の車体構造。
【請求項4】
フロントサイドメンバをさらに含み、
前記フロントサイドメンバは、車体の左右方向に沿って間隔を隔てて設けられた左フロントサイドメンバと右フロントサイドメンバを含み、前記第1キャビティの、前記左フロントサイドメンバに近接する位置と前記右フロントサイドメンバに近接する位置は、それぞれ前記左フロントサイドメンバと前記右フロントサイドメンバに接続される端部を有し、2つの前記端部の前後方向における位置は、前記第1キャビティの中央部の前方にあり、前記第1キャビティの中央部は、前記第1キャビティの車体の左右方向における中央部である、請求項
1に記載の車体構造。
【請求項5】
前記端部は、車体の左右方向に沿って間隔を隔てて設けられた左端部と右端部を含み、前記左端部は、前記左フロントサイドメンバに接続され、前記右端部は、前記右フロントサイドメンバに接続される、請求項
4に記載の車体構造。
【請求項6】
2つの前記端部は、対向して設けられ、2つの前記端部と前記第1キャビティの中央部とは、V字状構造を形成する、請求項
4に記載の車体構造。
【請求項7】
前記第1キャビティは、中央部の断面積が前記端部の断面積より小さく、前記断面積は、前記第1キャビティの車体の上下方向に沿った断面積である、請求項
4に記載の車体構造。
【請求項8】
前記第1キャビティの中央部の断面積は、前記端部の断面積の0.5~0.8倍である、請求項
4に記載の車体構造。
【請求項9】
前記第1キャビティの中央部から2つの前記端部に向かう方向に沿って、前記第1キャビティの断面積は、徐々に大きくなる、請求項
4に記載の車体構造。
【請求項10】
支持板をさらに含み、
前記支持板は、前記第1キャビティの中央部に設けられて前記フロントクロスメンバの構造を補強する、請求項
1に記載の車体構造。
【請求項11】
前記フロントクロスメンバ下板と前記ダッシュパネルとは、係合されて第2キャビティを画定する、請求項
1に記載の車体構造。
【請求項12】
前記フロントクロスメンバ下板の少なくとも一部の下側面は、車体の底面に平行である、請求項
1に記載の車体構造。
【請求項13】
取付部をさらに含み、
前記取付部は、前記フロントクロスメンバ下板の下側に設けられると共に、前記左フロントサイドメンバと前記右フロントサイドメンバとの間に位置し、フロントサブフレームを取り付ける、請求項
4に記載の車体構造。
【請求項14】
左補強板と右補強板をさらに含み、前記左補強板と右補強板は、それぞれ前記フロントクロスメンバ下板の前記左フロントサイドメンバと前記右フロントサイドメンバに対応する位置にあり、前記左補強板と前記右補強板は、それぞれ前記フロントクロスメンバ下板と係合されて第3キャビティを形成する、請求項
4に記載の車体構造。
【請求項15】
前記フロントサイドメンバは
、フロントサイドメンバ後段を含み、前記フロントサイドメンバ後段は、サイドシルメンバに接続され、前記フロントサイドメンバ後段は、サイドメンバ接続板とサイドメンバシールプレート接続板を含み、前記サイドメンバ接続板と前記サイドメンバシールプレート接続板とは、係合されて第4キャビティ及び第5キャビティを形成し、前記第4キャビティは、前記フロントサイドメンバからサイドシルの前端位置に向かって延在し、前記第5キャビティは、前記フロントサイドメンバから車体のAピラーの上下方向における中央部位置に向かって延在する、請求項
5に記載の車体構造。
【請求項16】
前記フロントサイドメンバ後段は、左フロントサイドメンバ後段及び右フロントサイドメンバ後段を含み、前記左フロントサイドメンバ後段は、前記左端部に接続され、前記右フロントサイドメンバ後段は、前記右端部に接続される、請求項
15に記載の車体構造。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の車体構造を含む、車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
好ましくは、前記フロントサイドメンバは、フロントサイドメンバ後段を含み、前記フロントサイドメンバ後段は、サイドシルメンバに接続され、前記フロントサイドメンバ後段は、サイドメンバ接続板とサイドメンバシールプレート接続板を含み、前記サイドメンバ接続板と前記サイドメンバシールプレート接続板とは、係合されて第4キャビティ及び第5キャビティを形成し、前記第4キャビティは、前記フロントサイドメンバからサイドシルの前端位置に向かって延在し、前記第5キャビティは、前記フロントサイドメンバから車体のAピラーの上下方向における中央部位置に向かって延在する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
本開示の一実施例では、フロントサイドメンバ後段は、左フロントサイドメンバ後段1a及び右フロントサイドメンバ後段を含み、左フロントサイドメンバ後段1aは、左端部に接続され、右フロントサイドメンバ後段は、右端部に接続される。フロントサイドメンバ後段は、フロントクロスメンバ下板13に重ね接続されてもよく、左フロントサイドメンバ後段1aは、左フロントサイドメンバとダッシュパネルとの接続位置に近接してもよい。フロントサイドメンバと端部を接続することにより、フロントサイドメンバの後段とダッシュパネルとの接続位置又は根元部が作用力を第1キャビティBに伝達することに有利である。
【国際調査報告】