(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】混合プラスチック流から燃料および石油化学原料を製造するためのプロセスおよびシステム
(51)【国際特許分類】
C10G 1/10 20060101AFI20241114BHJP
C10G 11/18 20060101ALI20241114BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C10G1/10
C10G11/18
C08J11/12 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519031
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 US2022049245
(87)【国際公開番号】W WO2023146614
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】コセオグル,オマール レファ
【テーマコード(参考)】
4F401
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401BA02
4F401CA70
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4H129AA03
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4H129KC17X
4H129NA20
4H129NA22
4H129NA23
(57)【要約】
混合プラスチック流から熱分解生成物を製造するための方法およびシステムがここに記載されている。この方法は、プラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の流れを生成する工程;プラスチック熱分解油を含む接触分解供給流および触媒再生器からの触媒を流動床反応器に供給する工程;流動床反応器内で接触分解供給流を分解して、生成物流および使用済み触媒を生成する工程;および使用済み触媒を触媒再生器に移送し、触媒再生器内で触媒を再生する工程を含むことがある。生成物流は、C2~C4の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合プラスチック流から熱分解生成物を製造する方法において、
(a)プラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の流れを生成する工程、
(b)前記プラスチック熱分解油を含む接触分解供給流および触媒再生器からの触媒を流動床反応器に供給する工程、
(c)前記流動床反応器内で前記接触分解供給流を分解して、生成物流および使用済み触媒を生成する工程、および
(d)前記使用済み触媒を前記触媒再生器に移送し、該触媒再生器内で前記触媒を再生する工程、
を含み、
前記生成物流は、C
2~C
4の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料を含み、
前記プラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記プラスチック熱分解油を脱金属化工程に供給して、該プラスチック熱分解油から金属成分を除去し、脱金属化プラスチック熱分解油の流れを生成する工程をさらに含み、
前記接触分解供給流が、前記プラスチック熱分解油の代わりに、前記脱金属化プラスチック熱分解油を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記接触分解供給流が、従来の流動接触分解原料流をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記流動床反応器が、450から700℃の反応温度で作動され、該流動床反応器が、1から3バール(0.1から0.3MPa)の反応圧力で作動され、前記接触分解供給流が、該流動床反応器内で0.1から30秒の滞留時間を有する、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記流動床反応器に入る前記接触分解供給流の流量で除算された前記触媒再生器から該流動床反応器に入る前記触媒の流量が、触媒対供給物比を定義し、該触媒対供給物比が3:1から60:1の範囲にある、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が、流動クラッキング塩基触媒および触媒添加剤を含む、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記流動クラッキング塩基触媒がUSYゼオライトを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記触媒添加剤が形状選択性ゼオライトを含む、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
混合プラスチックをプラスチック熱分解生成物に処理するためのシステムにおいて、
混合プラスチックを含む入口流、
前記入口流と流体連通し、プラスチック熱分解油出口で該入口流からプラスチック熱分解油の流れを生成するように機能するプラスチック熱分解ユニット、
触媒入口および接触分解供給流入口を含む流動床反応器、
前記流動床反応器の前記触媒入口と流体連通した触媒再生器、
前記触媒再生器から前記流動床反応器に循環し、該触媒再生器に戻る触媒、および
前記触媒と反応する、前記流動床反応器内に配置された接触分解供給流、
を含み、
前記接触分解供給流入口は、前記触媒と反応して生成物流を生成する接触分解供給流が、前記流動床反応器内に配置されるように前記プラスチック熱分解油出口と流体連通しており、
前記接触分解供給流は、前記プラスチック熱分解油を含み、
前記プラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む、システム。
【請求項10】
前記流動床反応器がライザーである、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記流動床反応器がダウナーである、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
前記システムが、前記プラスチック熱分解油から金属成分を除去し、脱金属化プラスチック熱分解油の流れを生成するように作られた脱金属化ユニットを流体連通してさらに含み、前記接触分解供給流が、前記プラスチック熱分解油の代わりに、該脱金属化プラスチック熱分解油を含む、請求項9から11いずれか1項記載のシステム。
【請求項13】
前記触媒が、流動クラッキング塩基触媒および触媒添加剤を含む、請求項9から12いずれか1項記載のシステム。
【請求項14】
前記流動クラッキング塩基触媒がUSYゼオライトを含む、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記触媒添加剤が形状選択性ゼオライトを含む、請求項13または14記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その全開示がここに引用される、2022年1月31日に出願された米国特許出願第17/588476号の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、混合プラスチック流から生成された熱分解生成物を化学分解するためのプロセスおよびシステムに関し、より詳しくは、プラスチック熱分解油の流動接触分解により留出燃料および軽質オレフィンとしてプラスチック熱分解の生成物を調製するためのプロセスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックは、主に炭素と水素からなる合成または半合成有機高分子である。さらに、プラスチックは、分解速度が遅く、耐久性である傾向にあり、したがって、それらは、長期間に亘り環境中に留まり、廃棄の際に急速分解しにくい。純粋なプラスチックは、一般に、水に不溶性であり、非毒性である。しかしながら、プラスチックの調製に使用される添加剤は、毒性があり、環境に浸出することがある。毒性添加剤の例に、フタル酸エステルがある。他の種類の添加剤としては、組成と性質を変えるために調製中に使用される充填剤、着色剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外(UV)線吸収剤、帯電防止剤、発泡剤、滑剤が挙げられる。
【0004】
プラスチックは高温で熱分解し、高分子は、気体または液体として元の単量体またはより小さい高分子に戻るように転化することができ、回収することができる。しかしながら、生産中にプラスチックに添加される添加剤は、熱分解から回収された生成物を効果的に利用する上で難題を突きつける。熱分解の際に、添加剤は、熱分解生成物となり、それゆえ、有用な生成物を生成するために、さらなる処理が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、プラスチックの熱分解により生成される熱分解生成物を利用するための解決策を提供する必要性が、明らかに長年に亘ってある。そのような熱分解生成物を利用するためには、熱分解生成物中の添加剤から残される残留物を除去しなければならないか、または熱分解生成物は、残留物が有害ではないようなやり方で利用されなければならない。本開示は、生成されたプラスチック熱分解油を流動接触分解(FCC)のための原料として利用することによって、プラスチックの熱分解により生成された熱分解生成物の利用およびプラスチックの廃棄のためにそのような長年に亘る必要性に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
原油は、伝統的に、輸送燃料および石油化学原料を製造するために精製されるが、本開示により実証されるように、プラスチック熱分解油は、その代わりに、そのような輸送燃料および石油化学原料を生成するための原料として利用されることがある。輸送用の燃料は、典型的に、特定の最終用途の仕様を満たすために、原油からの蒸留留分の処理とブレンドにより生成される。留分は、最初の常圧および/または真空蒸留後、様々な触媒および非触媒プロセスによって、生成物に転化される。そのようなプロセスの1つに、流動接触分解(FCC)プロセスがある。FCCプロセスでは、供給物は、流動触媒床上で接触分解される。そのようなプロセスからの主生成物は、従来、ガソリンであるが、液化石油ガスや分解軽油などの他の生成物も、FCCプロセスで少量生成され、しかし、石油化学原料として有用な軽質オレフィンが、本開示の方法にしたがってさらに生成される。触媒上に堆積したコークスは、反応区域に戻される前に、再生区域内で空気が存在する場合、比較的高温で焼き払われる。
【0007】
本開示の1つの実施の形態によれば、プラスチック原料は、プラスチック熱分解および流動接触分解により、輸送燃料および石油化学原料に転化されることがある。混合プラスチック流から熱分解生成物を製造する方法は、(a)プラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の流れを生成する工程;(b)プラスチック熱分解油を含む接触分解供給流および触媒再生器からの触媒を流動床反応器に供給する工程;(c)流動床反応器内で接触分解供給流を分解して、生成物流および使用済み触媒を生成する工程;および(d)使用済み触媒を触媒再生器に移送し、触媒再生器内で触媒を再生する工程を含む。生成物流は、C2~C4の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料を含む。さらに、プラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む。
【0008】
本開示の別の実施の形態によれば、混合プラスチックを輸送燃料および石油化学原料を含むプラスチック熱分解生成物に処理するためのシステムは、混合プラスチックを含む入口流;入口流と流体連通し、プラスチック熱分解油出口で入口流からプラスチック熱分解油の流れを生成するように機能するプラスチック熱分解ユニット;触媒入口および接触分解供給流入口を含む流動床反応器;流動床反応器の触媒入口と流体連通した触媒再生器;触媒再生器から流動床反応器に循環し、触媒再生器に戻る触媒;および触媒と反応する、流動床反応器内に配置された接触分解供給流を含むことがある。接触分解供給流入口は、触媒と反応して生成物流を生成する接触分解供給流が、流動床反応器内に配置されるようにプラスチック熱分解油出口と流体連通している。さらに、接触分解供給流はプラスチック熱分解油を含み、そのプラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む。
【0009】
ここに開示された技術の追加の特徴と利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された技術を実施することによって、認識されるであろう。
【0010】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、前記技術の実施の形態を提示しており、請求項に記載されたその技術の性質と特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることが理解されよう。添付図面は、本技術のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、様々な実施の形態を示しており、説明と共に、この技術の原理と作動を説明する働きをする。それに加え、図面と説明は、単に実例となることを目的としており、特許請求の範囲をどのような方法でも限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の特定の実施の形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている、以下の図面と共に読んだときに、もっともよく理解することができる。
【
図1】プラスチック原料が熱分解されてプラスチック熱分解油を生成し、これがその後、流動接触分解によりC
2~C
4の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料に転化される、本開示の1つ以上の実施の形態の概略図
【
図2】流動接触分解前に、プラスチック熱分解油が二次炭化水素流と混ぜ合わされた、
図1による概略図
【
図3】流動接触分解前に、プラスチック熱分解油が脱金属化工程を経る、
図1による概略図
【
図4】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、ダウナーFCC反応装置の一般化図
【
図5】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、ライザーFCC反応装置の一般化図 この単純化された概略図と説明の目的のために、通例用いられ、特定の精製作業の技術分野の当業者に公知の多くの弁、温度センサ、電子制御装置などは含まれていない。さらに、例えば、空気の供給、触媒ホッパー、煙道ガスの取扱いなどのFCCプロセスを含む従来の精製作業に伴う構成要素は、必ずしも示されていない。
【0012】
さらに、図面における矢印は、1つ以上のシステム装置を1つ以上の他のシステム装置に流体連通で接続する、パイプ、導管、通路、または他の物理的移送ラインを指すことに留意すべきである。それに加え、システム装置に繋がる矢印は、各所定のシステム装置における入口と出口を規定する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、そのいくつかの実施の形態が添付図面に示されている、様々な実施の形態を詳しく参照する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部分を称するために、図面に亘り、同じ参照番号が使用される。一般に、統合FCCユニットにおけるプラスチック原料の熱分解によるプラスチック熱分解油の生成およびプラスチック熱分解油の分解で、混合プラスチック流から熱分解生成物を製造するためのシステムおよび方法の様々な実施の形態がここに開示されている。一般に、FCCユニットは、流動床反応器を含む。触媒およびプラスチック熱分解油が流動床反応器に供給され、このプラスチック熱分解油は分解されて、所望の生成物を形成する。使用済み触媒は、生成物から分離され、再生され、追加のプラスチック熱分解油と共に、流動床反応器に再び供給される。
【0014】
ここに用いられているように、「燃料」は、石炭、石炭液化油、タール、油頁岩、油砂、タールサンド、バイオマス、ワックス、コークスなどの固体炭素質組成物;ガソリン、油、石油、ディーゼル、ジェット燃料、エタノールなどの液体炭素質組成物;および合成ガス、一酸化炭素、水素、メタン、気体状炭化水素ガス(C1~C4)、炭化水素蒸気などの気体組成物を含むことがある。
【0015】
ここに用いられているように、「ダウナー(downer)」という用語は、反応体が、例えば、反応器の頂部から入り底部から出るなど、概して下向き方向に流れる、流動床反応器などの反応器を称する。ダウナーは、ここに記載された下降流式FCC反応装置の実施の形態に利用されることがある。同様に、「ライザー(riser)」という用語は、反応体が、例えば、反応器の底部から入り頂部から出るなど、概して上向き方向に流れる、流動床反応器などの反応器を称する。ライザーは、ここに記載された上向流式FCC反応装置に利用されることがある。
【0016】
ここに用いられているように、「使用済み触媒」は、燃料との反応を経験し、少なくとも部分的にコークス化されている触媒を称する。また、ここに用いられているように、「再生触媒」は、触媒再生器から出て、コークスを少なくとも部分的にまたは実質的に含まない触媒を称し、「フレッシュ触媒」は、系に新たに入り、コークスを少なくとも部分的にまたは実質的に含まない触媒を称する。
【0017】
混合プラスチック流から熱分解生成物を製造する方法は、プラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の流れを生成する工程;プラスチック熱分解油を含む接触分解供給流および触媒再生器からの触媒を流動床反応器に供給する工程;流動床反応器内でプラスチック熱分解油を分解して、生成物流および使用済み触媒を生成する工程;および使用済み触媒を触媒再生器に移送し、触媒再生器内で触媒を再生する工程を含む。流動床反応器内で生成された生成物流は、C2~C4の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料を含む。さらに、プラスチック原料の熱分解により生成されたプラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む。
【0018】
混合プラスチックをプラスチック熱分解生成物に処理するための関連システムは、混合プラスチックを含む入口流、プラスチック熱分解ユニット、流動床反応器、触媒再生器、接触分解供給流、および触媒を含む。プラスチック熱分解ユニットは、入口流と流体連通するように設けられ、接触分解供給流の少なくとも一部を形成するプラスチック熱分解油の流れを生成するように作動する。流動床反応器は、触媒入口および接触分解供給流入口を含む。接触分解供給流入口は、接触分解供給流が、生成物流を生成するための触媒との反応のために流動床反応器内に配置されるようにプラスチック熱分解油出口と流体連通している。さらに、触媒再生器は、触媒が触媒再生器から流動床反応器に循環し、触媒再生器に戻るように流動床反応器と流体連通するように設けられている。
【0019】
統合FCCユニットにおけるプラスチック熱分解油の生成およびそのプラスチック熱分解油の分解により混合プラスチック流から熱分解生成物を製造するためのシステムおよび方法の様々な実施の形態を広く記載してきたが、その実施の形態が、様々な図面を参照して、より詳しく説明される。
【0020】
図1を参照すると、本開示の1つ以上の一般化された実施の形態の概略図が示されている。混合プラスチックを含む入口流101がプラスチック熱分解ユニット50に供給される。プラスチック熱分解ユニット50は、入口流101と流体連通しており、プラスチック熱分解油出口52で入口流101からプラスチック熱分解油102の流れを生成するように機能する。FCCユニット130が、プラスチック熱分解ユニット50のプラスチック熱分解油出口52と流体連通しており、プラスチック熱分解油102を含む接触分解供給流103を生成物流110に分解するように機能する。プラスチック熱分解油102の流れが、さらにどのような処理も行わずにFCCユニット130に供給される実施の形態において、接触分解供給流103は、プラスチック熱分解油102の流れと同義であることに留意のこと。生成物流110は、一般に、C
2~C
4の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料を含む。
【0021】
プラスチック原料
1つ以上の実施の形態において、入口流101は、組成が異なる混合プラスチックを含むプラスチック原料を含む。プラスチック熱分解ユニット50に供給されるプラスチック原料は、様々な高分子類からのプラスチックの混合物であることがある。様々な実施の形態において、プラスチック原料は、表1に開示された高分子類の1つ以上を表すプラスチックを含むことがある。具体的に、プラスチック原料は、オレフィン、炭酸エステル、芳香族高分子、スルホン、フッ素化炭化水素高分子、塩素化炭化水素高分子、およびアクリロニトリルの1つ以上を表すプラスチックを含むことがある。さらに、プラスチック熱分解ユニット50に供給されるプラスチック原料は、高密度ポリエチレン(HDPE、例えば、立方センチメートル当たり約0.93から0.97グラム(g/cm3)の密度)、低密度ポリエチレン(LDPE、例えば、約0.910g/cm3から0.940g/cm3)、ポリプロピレン(PP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)の混合物であることがある。混合プラスチック原料を利用することにより、プラスチックを細分類する必要なく、プラスチックの再生利用を可能にできることが認識されよう。
【0022】
【0023】
入口流101のプラスチックは、様々な異なる形態で提供されることがある。プラスチックは、より小規模の操作では粉末の形態にあることがある。プラスチックは、より大規模の操作では、1から5ミリメートル(mm)の粒径を持つペレットなどのペレットの形態にあることがある。さらなる実施の形態において、プラスチックは、細断された、または挽いた生成物として提供されることがある。さらに、入口流101のプラスチックは、天然、合成または半合成高分子であることがある。様々な実施の形態において、入口流101のプラスチックは、廃棄プラスチック、製造規格外生成物、新たなプラスチック生成物、未使用のプラスチック生成物、並びにそれの組合せを含むことがある。
【0024】
プラスチック熱分解
プラスチック熱分解ユニット50は、プラスチックの入口流101を気体生成物、液体生成物、および固体生成物に転化する。液体生成物は、プラスチック熱分解油102の流れとしてプラスチック熱分解油出口52を介してプラスチック熱分解ユニット50から流出物として提供される。気体生成物の流れは、排ガス流106として様々な図面に広く示されている。排ガス流106中の気体生成物は、水素と炭化水素ガス(C1~C4)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、および他の酸性ガスなどの様々な種を含むことがある。生成された固体材料は、固体流108として様々な図面に広く示されている。
【0025】
プラスチック熱分解ユニット50として使用される特定の反応器は、異なるタイプのものであり得、本開示の目的のために限定されない。当業者には、プラスチック熱分解ユニット50の機能を果たすために使用できる典型的な反応器のタイプに、タンク型反応器、回転窯、充填床、バブリングおよび循環流動床などがあることが認識されよう。1つ以上の実施の形態において、入口流101中のプラスチック原料の熱分解は、300から1000℃の温度で、熱分解触媒の存在下または不在下で行われる。様々なさらなる実施の形態において、プラスチック熱分解ユニット50は、450℃以下の温度で低シビアリティーで、450℃より高い温度で高シビアリティーで、300から450℃の温度で、450から1000℃の温度で、450から750℃の温度で、600から1000℃の温度で、または750から1000℃の温度で、作動することがある。様々な実施の形態において、プラスチック熱分解ユニット50は、1から100バール(0.1から10MPa)、1から50バール(0.1から5MPa)、1から25バール(0.1から2.5MPa)、または1から10バール(0.1から1MPa)の範囲の圧力で作動することがある。さらに、様々な実施の形態において、プラスチック熱分解ユニット50中のプラスチック原料の滞留時間は、1から3600秒、60から1800秒、または60から900秒であることがある。
【0026】
接触分解供給流
1つ以上の実施の形態において、プラスチック熱分解ユニット50から出たプラスチック熱分解油102の流れは、精製留分と混合されることがある。
図2を参照すると、FCCユニット130に導入される前に、二次炭化水素流104がプラスチック熱分解油102と混ぜ合わされる、本開示の1つ以上の一般化された実施の形態の概略図が提示されている。具体的に、FCCユニット130に供給される接触分解供給流103の流れの中のプラスチック熱分解油の組成は、0.1質量パーセント(質量%)から100質量%まで変動することがあり、残りは二次炭化水素流104を含む。様々な実施の形態において、FCCユニット130に供給される接触分解供給流103の流れの中のプラスチック熱分解油の組成は、0.lから100質量%のプラスチック熱分解油、20から100質量%のプラスチック熱分解油、40から100質量%のプラスチック熱分解油、60から100質量%のプラスチック熱分解油、80から100質量%のプラスチック熱分解油、または実質的に100質量%のプラスチック熱分解油を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、二次炭化水素流104は、水素添加分解装置ボトム、バージンまたは水素化処理真空軽油、脱歴油(DAO)、コーカー軽油、循環油、ビスブレーキング油、常圧残油などの従来のFCC原料流であることがある。
【0027】
図3を参照すると、1つ以上の実施の形態において、プラスチック熱分解油102が脱金属化操作60に供給されて、プラスチック熱分解油102から金属成分を除去し、脱金属化プラスチック熱分解油105の流れを生成することがある。それゆえ、接触分解供給流103は、プラスチック熱分解油102の代わりに、脱金属化プラスチック熱分解油105を含むであろう。1つ以上の実施の形態において、脱金属化操作60は、プラスチック熱分解油102と二次炭化水素流104の両方の成分が、FCCユニット130に導入される前に、脱金属化を経るように、プラスチック熱分解油102と二次炭化水素流104の合流点の後に配置されてもよいことがさらに認識されるであろう。
【0028】
1つ以上の実施の形態において、脱金属化操作60は、接触水素化脱金属化であることがある。引用される米国特許第8491779号明細書には、接触水素化脱金属化(HDM)の精製プロセスへの統合が教示されている。HDM工程は、触媒と水素の存在下で行われる。さらに、1つ以上の実施の形態において、使用される水素は、下流工程に由来し得る。HDMは、一般に、370から450℃、および30から200バール(3から20MPa)の圧力で行われる。また、HDMを教示した、ここに引用される米国特許第5417846号、並びに全てがここに引用される、米国特許第4976848号、同第4657664号、同第4166026号、および同第3891541号の各明細書を参照のこと。
【0029】
1つ以上の実施の形態において、脱金属化操作60は、溶剤脱歴であることがある。溶剤脱歴のプロセスにより、処理された流れの金属含有炭化水素は溶剤脱歴ユニットのアスファルテン流になる。ここに引用される米国特許第7566394号明細書には、溶剤脱歴プロセスの詳細が教示されている。
【0030】
流動床反応器
ここで、FCCユニット130およびFCCユニット130を組み込んだプロセスと方法の実施の形態を記載する。例示の実施の形態において、FCCユニット130は、
図4を参照して下記に記載されるダウナーFCCユニット130a、または
図5を参照して下記に記載されるライザーFCCユニット130bであることがある。ダウナーFCCユニット130aおよびライザーFCCユニット130bの両方とも、接触分解供給流103が少なくとも部分的に分解されて、生成物流110を生成するように流動床反応器113を備える。
【0031】
図4の工程系統図を参照すると、ダウナーFCCユニット130aが、ここに記載されたプロセスに使用されることがある。ダウナーFCCユニット130aは、流動床反応器113および分離区域115を含む反応器分離器ユニット111を備える。ダウナーFCCユニット130aは、使用済み触媒を再生するための触媒再生器117も備える。触媒は、一般に、触媒再生器117を通り、流動床反応器113に循環し、触媒再生器117に戻るであろう。
【0032】
ダウナーFCCユニット130aの稼働中、接触分解供給流103が移送ライン119を通じて供給物として流動床反応器113に導入される。いくつかの実施の形態において、接触分解供給流103は、供給物を噴霧化するために蒸気または他の適切な気体と共に、流動床反応器113に導入されることがある。触媒再生器117からのある量の加熱された新たなまたは高温再生固体クラッキング触媒粒子も、流動床反応器113の頂部で引き込みウェル(withdrawal well)またはホッパー(図示せず)に移送されることがある。新たな触媒は、エネルギー源により、または再生触媒粒子との接触により、加熱されることがある。再生触媒は、コークス除去中の酸化反応から生じる熱によって、加熱されることがある。触媒の量は、接触分解供給流103を所望の生成物プロファイルまで分解するのに十分であることがある。触媒粒子は、例えば、一般に移送ラインまたはスタンドパイプと呼ばれる、導管またはパイプなどの下向きの移送ライン121を通じて、流動床反応器113の触媒入口に移送されることがある。高温の触媒流は安定して、高温触媒を流動床反応器113の混合区域または供給物噴射部分に均一に向けることを確実にするであろう。いくつかの実施の形態において、移送ライン121、移送ライン119、またはその両方は、流動床反応器113に対して方向付けられて、それぞれ、触媒および接触分解供給流103を流動床反応器113の上部または頂部に導入する。
【0033】
接触分解供給流103は、流動床反応器113の混合区域に噴射されることがある。例えば、接触分解供給流103は、供給物噴射ノズルを通じて流動床反応器113に入ることがある。いくつかの実施の形態において、供給物噴射ノズルは、再生触媒粒子が流動床反応器113に導入される場所に近接して位置付けられることがある。いくつかの実施の形態において、例えば、多数の噴射ノズルを使用して、接触分解供給流103と触媒の完全かつ均一な混合を支援することがある。接触分解供給流103が流動床反応器113内で高温触媒と接触するときに、分解反応が起こり始める。炭化水素分解生成物の反応蒸気、未反応供給物、および触媒混合物が、流動床反応器113の残りを通り、反応器分離器ユニット111の底部分で迅速分離区域115中に急速に流れる。生成物流110の分解および未分解炭化水素は、導管またはパイプ123を通じて当該技術分野で公知の従来の生成物回収セクションに向けられることがある。
【0034】
温度制御が必要であれば、分離区域115の直前の、流動床反応器113の底部近くに、急冷噴射が設けられることがある。この急冷噴射は、分解反応を急速に減少させるか、または停止させ、例えば、プロセスの融通性を増すために、分解シビアリティーを制御するのに使用することができる。
【0035】
流動床反応器113の出口温度である、流動床反応器113内の反応温度は、触媒再生器117から流動床反応器113の頂部への再生触媒の流れを制御する触媒滑り弁(図示せず)の開閉により制御されることがある。吸熱分解反応に必要な熱の少なくとも一部は、触媒再生器117内の再生プロセスで獲得した熱を有する再生触媒により供給されることがある。高温の再生触媒の流量を変えることにより、例えば、軽質オレフィン炭化水素およびガソリンなどの燃料生成物を所望の収率で製造するために、流動床反応器113内の作動シビアリティーまたは分解条件を制御することができる。
【0036】
例えば、反応器分離器ユニット111におけるダウナーFCCユニット130aは、使用済み触媒から燃料を分離するためのストリッパー131を備えることがある。使用済み触媒は、ストリッパー131を通過した後、触媒再生器117に移送されることがある。分離区域115からの触媒は、触媒除去セクションを含むストリッパー131の下部セクションに流れ、触媒除去セクションには、蒸気などの適切なストリッピングガスが移送ライン133を通じて導入される。ストリッパー131は、いくつかのバッフルまたは構造化パッキン(図示せず)を備えることがあり、そこを下向きに流れる使用済み触媒が、流れるストリッピングガスと対向流で通過する。典型的に蒸気である、上向きに流れるストリッピングガスは、触媒の細孔中または触媒粒子間に残る任意の追加の炭化水素を「ストリッピングする(strip)」または除去するために使用される。
【0037】
ダウナーFCCユニット130aにおいて、ストリッピングされたまたは使用済み触媒は、例えば、移送ライン127を通じて、触媒再生器117の底部に供給される燃焼用空気からの揚力によって、移送ライン125を通じて移送されることがある。追加の燃焼用空気と接触させることもできる、この使用済み触媒は、制御された燃焼を経験し、これにより、使用済み触媒上に蓄積した任意のコークスが焼き払われる。煙道ガスは、導管129を通じて触媒再生器117から除去される。触媒再生器117において、副生成物のコークスの燃焼により生じた熱は、移送ライン121および移送ライン122内の触媒を通じて流動床反応器113に移送されることがある。それによって、流動床反応器113内の吸熱分解反応に必要な熱エネルギーの少なくとも一部が、触媒再生器117内の触媒再生中に生じた熱から提供されることがある。
【0038】
ダウナー反応器(ダウナー)は、一般に、反応器の頂部で供給物が導入され、下向流式であり、上向流式反応器(ライザー)と比べて滞留時間が短い。
【0039】
一般に、適切なダウナーFCCユニット130aの流動床反応器113の作動条件としては、約450℃から約700℃、特定の実施の形態において、約500℃から約675℃、さらなる実施の形態において、約550℃から約650℃の反応温度;約1kg/cm2から約20kg/cm2(約98kPaから約1.96MPa)、特定の実施の形態において、約1kg/cm2から約10kg/cm2(約98kPaから約980kPa)、さらなる実施の形態において、約1kg/cm2から約3kg/cm2(約98kPaから約294kPa)の反応圧力;約0.1秒から約30秒、特定の実施の形態において、約0.l秒から約20秒、さらなる実施の形態において、約0.1秒から約10秒の接触時間(反応器内の);および約3:1から約60:1、特定の実施の形態において、約4:1から約50:1、さらなる実施の形態において、約6:1から約40:1の質量基準の触媒対供給物比が挙げられる。流動床反応器113に入る接触分解供給流103の流量で除算された触媒再生器117から流動床反応器113に入る触媒の流量は、ダウナーFCCユニット130aの触媒対供給物比を定義することに留意されたい。
【0040】
図5の一般化された工程系統図を参照すると、本開示によるシステムおよびプロセスに、ライザーFCCユニット130bが使用されることがある。ライザーFCCユニット130bは、流動床反応器区域213および分離区域215を有する反応器分離器211を備える。流動床反応器区域213は、ライザー反応器313および固体分離区域314を備える。分離区域215は、固体をさらに分離し、生成物流110中に固体が残る可能性を低下させることが認識されるであろう。固体分離区域314はサイクロンを含むことがある。ライザーFCCユニット130bは、使用済み触媒を再生するための触媒再生器217も備える。
【0041】
接触分解供給流103は、供給物として移送ライン219を通じて流動床反応器区域213に搬送されることがある。いくつかの実施の形態において、接触分解供給流103は、供給物を噴霧化するために蒸気または他の適切な気体によって移送ライン219内で同伴されることがある。供給物を噴霧化することにより、流動床ライザー反応器313における接触分解供給流103の所望の分解に十分な量の加熱された新たなまたは再生された固体クラッキング触媒粒子との混合と密接な接触が促進されるであろう。触媒粒子は、触媒再生器217から移送ライン221を通じて流動床反応器区域213に搬送されることがある。接触分解供給流103およびクラッキング触媒は、流動床反応器312に導入される懸濁液を形成する条件下で接触させられる。
【0042】
ライザーFCCユニット130bを使用する連続プロセスにおいて、クラッキング触媒と接触分解供給流103の混合物は、流動床ライザー反応器313を上方に進む。流動床ライザー反応器313において、高温のクラッキング触媒粒子は、炭素・炭素結合の開裂により炭化水素分子を接触分解する。炭化水素分解生成物の反応蒸気、未反応供給物、および触媒混合物が、流動床反応器区域213の残りを急速に流れる。反応が進むにつれて、反応成分はライザーを通って上方に移動する。
【0043】
流動床反応器区域213、より詳しくはライザー反応器313内の反応中に、FCC工程で通常のように、クラッキング触媒は、コークス化されることがある。コークス化された触媒では、活性触媒部位へのアクセスは、制限されるか、または存在しない。ライザーFCCユニット130bからの反応生成物は、一般に、ライザーFCCユニット130b内の分離区域215と称される、FCCユニットにおいて公知のどの適切な構成を使用して、コークス化された触媒から分離されてもよい。分離区域215は、固体分離区域314の上の反応器分離器211の頂部に配置されることがある。分離区域215は、例えば、サイクロンなど、当業者に公知の任意の適切な装置を含み得る。反応生成物は、生成物流110として移送ライン123を通じて引き出されることがある。
【0044】
炭化水素原料の流動分解からのコークス堆積物を含有する触媒粒子は、固体分離区域314、分離区域215、またはその両方から、移送ライン225を通じて、触媒再生器217に通過する。触媒再生器217において、コークス化した触媒は、移送ライン227を通じて触媒再生器217に入る、純酸素または空気などの酸素含有ガスの流れと接触する。触媒再生器217は、典型的なFCC工程で公知の条件下で、公知の構成で稼働されることがある。例えば、触媒再生器217は、移送ライン229を通じて排出される燃焼生成物を含む再生排ガスを生成する流動床の機能を果たすことができる。高温の再生触媒は、触媒再生器217から移送ライン221を通じて、上述したように接触分解供給流103と混合するために、ライザー反応器313で流動床反応器区域213の底部に移送されることがある。
【0045】
一般に、適切なライザーFCCユニット130bの流動床ライザー反応器313の作動条件としては、約450℃から約700℃、特定の実施の形態において、約500℃から約675℃、さらなる実施の形態において、約550℃から約650℃の反応温度;約1kg/cm2から約20kg/cm2(約98kPaから約1.96MPa)、特定の実施の形態において、約1kg/cm2から約10kg/cm2(約98kPaから約980kPa)、さらなる実施の形態において、約1kg/cm2から約3kg/cm2(約98kPaから約294kPa)の反応圧力;約0.1秒から約30秒、特定の実施の形態において、約2秒から約20秒、さらなる実施の形態において、約5秒から約10秒の接触時間(反応器内の);および約3:1から約20:1、特定の実施の形態において、約4:1から約10:1、さらなる実施の形態において、約6:1から約8:1の触媒対供給物比が挙げられる。流動床反応器区域213に入る接触分解供給流103の流量で除算された触媒再生器217から流動床反応器区域213に入る触媒の流量は、ライザーFCCユニット130bの触媒対供給物比を定義することに留意されたい。
【0046】
特定の分量および所望の生成物に適した触媒が、流動接触分解反応器に搬送されることがある。特定の実施の形態において、水素転移反応など、オレフィンの形成を促進し、オレフィン消費反応を最小にするために、FCC塩基クラッキング触媒(流動クラッキング塩基触媒)およびFCC触媒添加剤(触媒添加剤)を含むFCC触媒混合物が、FCCユニットに使用される。
【0047】
具体的には、FCC塩基クラッキング触媒の基質としては、1種類以上のY型ゼオライト、カオリンなどの粘土、モンモリロナイト、ハロイサイトおよびベントナイト、および/またはアルミナ、シリカ、ボリア、クロミア、マグネシア、ジルコニア、チタニアおよびシリカ・アルミナなどの1種類以上の無機多孔質酸化物を含む、天然または合成ゼオライトが挙げられる。1つ以上の実施の形態において、FCC塩基クラッキング触媒は、超安定Y型(USY)ゼオライトを含む。適切なFCC塩基クラッキング触媒は、0.5g/mLから1.0g/mLの嵩密度、50μmから90μmの平均粒径、50m2/gから350m2/gの表面積、および0.05mL/gから0.5mL/gの細孔体積を有することがある。
【0048】
適切なFCC触媒混合物は、FCC塩基クラッキング触媒に加え、形状選択性ゼオライトを含有するFCC触媒添加剤を含有することがある。ここに称される形状選択性ゼオライトは、Y型ゼオライトの細孔径より小さい細孔径を有するゼオライトを意味し、よって、形状が制限された炭化水素のみがゼオライトにその細孔を通じて入ることができる。適切な形状選択性ゼオライト成分の例としては、ZSM-5ゼオライト、ベータゼオライト、ゼオライトオメガ、SAPO-5ゼオライト、SAPO-11ゼオライト、SAPO34ゼオライト、およびペンタシル型アルミノケイ酸塩が挙げられる。ゼオライトは、1つ以上の原子を骨格に、またはゼオライトの空洞に組み込むことによって、後改質されることがある。その1種類以上の組み込まれる原子は、チタン、ジルコニウム、ガリウム、ハフニウム、ホウ素、またはその組合せであり得る。詳述された形状選択性ゼオライトの1つ以上の組合せも使用してよい。FCC触媒添加剤中の形状選択性ゼオライトの含有量は、一般に、約20質量%から70質量%、特定の実施の形態において、約30質量%から60質量%の範囲にある。
【0049】
適切なFCC触媒添加剤は、0.5g/mLから1.0g/mLの嵩密度、50μmから90μmの平均粒径、10m2/gから200m2/gの表面積、および0.01mL/gから0.3mL/gの細孔体積を有することがある。
【0050】
いくつかの実施の形態において、FCC触媒混合物は、FCC触媒混合物の総質量に基づいて、60質量%から95質量%のFCC塩基クラッキング触媒を含有することがある。FCC触媒混合物は、FCC触媒混合物の総質量に基づいて、5質量%から40質量%のFCC触媒添加剤を含有することがある。FCC触媒混合物中のFCC塩基クラッキング触媒の質量分率が60質量%より低い場合、またはFCC触媒混合物中のFCC触媒添加剤の質量分率が40質量%より高い場合、接触分解供給流103の転化率が低くなるために、C2~C4の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料の収率が最適ではなくなるであろう。FCC触媒混合物中のFCC塩基クラッキング触媒の質量分率が95質量%より高い場合、またはFCC触媒混合物中のFCC触媒添加剤の質量分率が5質量%より低い場合、接触分解供給流103の転化率が高いにもかからわず、C2~C4の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料の収率が最適ではなくなることがある。
【実施例】
【0051】
プラスチック熱分解油の流動接触分解により、留出燃料および軽質オレフィンとしてプラスチック熱分解の生成物を調製するための方法およびシステムの様々な実施の形態が、以下の実施例によりさらに明白になるであろう。実施例は、事実上、説明に役立つものであり、本開示の主題を限定すると理解されるべきではない。
【0052】
実施例1
HDPE、LDPE、PP、LLDPE、PS、およびPETの混合物を含むプラスチック供給物101をプラスチック熱分解ユニット50に供給し、処理して、気体留分、液体留分、および固体留分を生成した。気体留分は、C1~C4炭化水素ガス、並びに他の汚染ガスを含んでいた。例えば、硫黄含有高分子は硫化水素を放出することがあり、窒素含有高分子はアンモニアや窒素を放出することがあり、酸素含有高分子は水や酸素を放出することがある。固体留分は、製造プロセス中にプラスチックに添加された添加剤から生成され、一般に、10億分率の金属成分として生成される。プラスチック熱分解ユニット50からの液体留分は、プラスチック熱分解油102の流れとして提供される。プラスチック熱分解油中の金属成分の濃度が、表2に与えられており、ここで、明確にするために、「<」は「未満」を意味することに留意されたい。プラスチック熱分解油102のさらなる性質と組成が、表3Aおよび3Bに示されている。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
実施例2
表3Aおよび3Bにその性質が与えられているプラスチック熱分解油は、ACEユニット内で接触分解された流体であった。このプラスチック熱分解油は、30秒の滞留時間および6の公称触媒対油比で、繰り返しの試行において520℃、600℃、および650℃で分解された。使用した触媒は、CAN-FCC3(TiおよびZrで後改質されたUSYゼオライト、アルミナ結合剤、粘土およびカオリン)およびZSM-5ゼオライト添加剤であった。触媒対添加剤比は、質量%:質量%基準で9:1であった。作動条件と生成物の収量が、表4に纏められている。触媒と添加剤は、試験前に、分離ユニットにおいて6時間に亘る810℃での蒸気処理によって失活させたことに留意されたい。
【0057】
【0058】
表4から分かるように、分解温度が上昇するにつれて、熱分解油は、生成物流中で、エチレン、プロピレン、およびブチレンなどの軽質オレフィンが増加し、ガソリンが減少した。詳しくは、ガソリン留分は、分解温度を520℃から650℃まで上昇させると、57.71質量%から33.50質量%に減少した。同様に、全軽質オレフィン(エチレン、プロピレン、およびブチレンの合計で測定して)は、分解温度を520℃から650℃まで上昇させると、25.41質量%から47.51質量%に増加した。このように、プラスチック熱分解油から生成された生成物は、少なくとも一部には、接触分解温度を調節することによって、所望の生成物を得るように調整できることが実証された。
【0059】
実施例3
実施例1で得られたプラスチック熱分解油を、従来のFCC原料である水素添加分解装置ボトム流とブレンドした。水素添加分解装置ボトム流およびプラスチック熱分解油の組成と性質が、表5に与えられている。5質量%と20質量%のプラスチック熱分解油で、2つのブレンドを調製した。これらのブレンドは、ACEユニット内で接触分解された流体であった。30秒の滞留時間および5.6~6.1の範囲(公称6)の触媒対油比で、試験を520℃で行った。使用した触媒は、CAN-FCC3およびZSM-5触媒添加剤であった。触媒対添加剤比は、質量%:質量%基準で9:1であった。作動条件と生成物収量が、表6に纏められている。触媒と添加剤は、試験前に、分離ユニット内で6時間に亘る810℃での蒸気処理で不活性化したことに留意されたい。比較のために、純粋な水素添加分解装置ボトム流について、同じ作動条件での追加の試行を完了した。
【0060】
【0061】
【0062】
表6から分かるように、熱分解油は、エチレン、プロピレンおよびブチレン並びにガソリンの生成に寄与する。生じた生成物の質量%としてのエチレン、プロピレン、およびブチレンの生成はかなり安定しているが、ガソリンの生成は、プラスチック熱分解油を利用すると、著しく増加する。具体的に、ガソリン留分は、供給流を純粋な水素添加分解装置ボトムから純粋なプラスチック熱分解油に変更すると、37.4質量%から57.7質量%に増加した。
【0063】
前述したことに基づいて、今では、混合プラスチック流から燃料および石油化学原料を製造するための方法およびシステムの様々な態様がここに開示されていることを理解すべきである。
【0064】
本開示の第1の態様によれば、混合プラスチック流から熱分解生成物を製造する方法は、(a)プラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の流れを生成する工程;(b)プラスチック熱分解油を含む接触分解供給流および触媒再生器からの触媒を流動床反応器に供給する工程;(c)流動床反応器内で接触分解供給流を分解して、生成物流および使用済み触媒を生成する工程;および(d)使用済み触媒を触媒再生器に移送し、触媒再生器内で触媒を再生する工程を含み、生成物流は、C2~C4の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料を含み、プラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む。
【0065】
第2の態様は、プラスチック熱分解油が、酸素、硫黄、窒素、および塩素含有化合物を含む、第1の態様による方法を含む。
【0066】
第3の態様は、方法が、プラスチック熱分解油を脱金属化工程に供給して、プラスチック熱分解油から金属成分を除去し、脱金属化プラスチック熱分解油の流れを生成する工程をさらに含み、接触分解供給流が、プラスチック熱分解油の代わりに、脱金属化プラスチック熱分解油を含む、第1または第2の態様の方法を含む。
【0067】
第4の態様は、接触分解供給流が、従来のFCC原料流をさらに含む、第1から第3の態様のいずれかの方法を含む。
【0068】
第5の態様は、留出燃料がガソリンを含む、第1から第4の態様のいずれかの方法を含む。
【0069】
第6の態様は、方法が、接触分解供給流を流動床反応器に供給する前に、接触分解供給流を噴霧化する工程をさらに含む、第1から第5の態様のいずれかの方法を含む。
【0070】
第7の態様は、使用済み触媒が、分離区域内で生成物流から分離される、第1から第6の態様のいずれかの方法を含む。
【0071】
第8の態様は、使用済み触媒がコークス堆積物を含む、第1から第7の態様のいずれかの方法を含む。
【0072】
第9の態様は、流動床反応器が、450から700℃の反応温度で作動される、第1から第8の態様のいずれかの方法を含む。
【0073】
第10の態様は、流動床反応器が、1から3バール(0.1から0.3MPa)の反応圧力で作動される、第1から第9の態様のいずれかの方法を含む。
【0074】
第11の態様は、接触分解供給流が、流動床反応器内で0.1から30秒の滞留時間を有する、第1から第10の態様のいずれかの方法を含む。
【0075】
第12の態様は、流動床反応器に入る接触分解供給流の流量で除算された触媒再生器から流動床反応器に入る触媒の流量が、触媒対供給物比を定義し、触媒対供給物比が3:1から60:1の範囲にある、第1から第11の態様のいずれかの方法を含む。
【0076】
第13の態様は、触媒が、流動クラッキング塩基触媒および触媒添加剤を含む、第1から第12の態様のいずれかの方法を含む。
【0077】
第14の態様は、流動クラッキング塩基触媒がUSYゼオライトを含む、第13の態様の方法を含む。
【0078】
第15の態様は、流動クラッキング塩基触媒が、0.5g/mlから1.0g/mlの嵩密度、50マイクロメートルから90マイクロメートルの平均粒径、50m2/gから350m2/gの表面積、および0.05ml/gから0.5ml/gの細孔体積を有する、第13または第14の態様の方法を含む。
【0079】
第16の態様は、触媒添加剤が形状選択性ゼオライトを含む、第13から第15の態様のいずれかの方法を含む。
【0080】
第17の態様は、形状選択性ゼオライトが、Y型ゼオライトの平均細孔径より小さい平均細孔径を有する、第16の態様の方法を含む。
【0081】
第18の態様は、形状選択性ゼオライトが、ZSM-5ゼオライト、ゼオライトオメガ、SAPO-5ゼオライト、SAPO-11ゼオライト、SAPO34ゼオライト、ペンタシル型アルミノケイ酸塩、およびその組合せからなる群より選択される、第16または第17の態様の方法を含む。
【0082】
第19の態様は、形状選択性ゼオライトが、0.5g/mlから1.0g/mlの嵩密度、50マイクロメートルから90マイクロメートルの平均粒径、10m2/gから200m2/gの表面積、および0.01ml/gから0.3ml/gの細孔体積を有する、第16から第18の態様のいずれかの方法を含む。
【0083】
第20の態様は、触媒が、5質量%から40質量%の触媒添加剤を含む、第13から第19の態様のいずれかの方法を含む。
【0084】
第21の態様は、触媒添加剤が、約20質量%から約70質量%の形状選択性ゼオライトを含む、第20の態様の方法を含む。
【0085】
第22の態様は、流動床反応器がダウナーである、第1から第21の態様のいずれかの方法を含む。
【0086】
第23の態様は、流動床反応器がライザーである、第1から第21の態様のいずれかの方法を含む。
【0087】
第24の態様は、プラスチック原料が、異なる組成の混合プラスチックを含む、第1から第23の態様のいずれかの方法を含む。
【0088】
第25の態様は、プラスチック原料の熱分解が、300℃から1000℃の温度で触媒の存在下で行われる、第1から第24の態様のいずれかの方法を含む。
【0089】
第26の態様によれば、混合プラスチックをプラスチック熱分解生成物に処理するためのシステムは、混合プラスチックを含む入口流;入口流と流体連通し、プラスチック熱分解油出口で入口流からプラスチック熱分解油の流れを生成するように機能するプラスチック熱分解ユニット;触媒入口および接触分解供給流入口を含む流動床反応器;流動床反応器の触媒入口と流体連通した触媒再生器;触媒再生器から流動床反応器に循環し、触媒再生器に戻る触媒;および触媒と反応する、流動床反応器内に配置された接触分解供給流を含み、接触分解供給流入口は、触媒と反応して生成物流を生成する接触分解供給流が、流動床反応器内に配置されるようにプラスチック熱分解油出口と流体連通しており、接触分解供給流はプラスチック熱分解油を含み、そのプラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む。
【0090】
第27の態様は、流動床反応器がライザーである、第26の態様のシステムを含む。
【0091】
第28の態様は、流動床反応器がダウナーである、第26の態様のシステムを含む。
【0092】
第29の態様は、システムが、プラスチック熱分解油から金属成分を除去し、脱金属化プラスチック熱分解油の流れを生成するように作られた脱金属化ユニットを流体連通してさらに含み、接触分解供給流が、プラスチック熱分解油の代わりに、脱金属化プラスチック熱分解油を含む、第26から第28の態様のいずれかのシステムを含む。
【0093】
第30の態様は、接触分解供給流入口が、従来のFCC原料流およびプラスチック熱分解油の流れが、流動床反応器に入る前に混合されるように、従来のFCC原料流とさらに流体連通している、第26から第29の態様のいずれかのシステムを含む。
【0094】
第31の態様は、使用済み触媒が、分離区域内で生成物流から分離される、第26から第30の態様のいずれかのシステムを含む。
【0095】
第32の態様は、流動床反応器が、450から700℃の反応温度で作動される、第26から第31の態様のいずれかのシステムを含む。
【0096】
第33の態様は、流動床反応器が、1から3バール(0.1から0.3MPa)の反応圧力で作動される、第26から第32の態様のいずれかのシステムを含む。
【0097】
第34の態様は、接触分解供給流が、流動床反応器内で0.1から30秒の滞留時間を有する、第26から第33の態様のいずれかのシステムを含む。
【0098】
第35の態様は、触媒が、流動クラッキング塩基触媒および触媒添加剤を含む、第26から第34の態様のいずれかのシステムを含む。
【0099】
第36の態様は、流動クラッキング塩基触媒がUSYゼオライトを含む、第35の態様のシステムを含む。
【0100】
第37の態様は、流動クラッキング塩基触媒が、0.5g/mlから1.0g/mlの嵩密度、50マイクロメートルから90マイクロメートルの平均粒径、50m2/gから350m2/gの表面積、および0.05ml/gから0.5ml/gの細孔体積を有する、第35または第36の態様のシステムを含む。
【0101】
第38の態様は、触媒添加剤が形状選択性ゼオライトを含む、第35から第37の態様のいずれかのシステムを含む。
【0102】
第39の態様は、形状選択性ゼオライトが、Y型ゼオライトの平均細孔径より小さい平均細孔径を有する、第38の態様のシステムを含む。
【0103】
第40の態様は、形状選択性ゼオライトが、ZSM-5ゼオライト、ゼオライトオメガ、SAPO-5ゼオライト、SAPO-11ゼオライト、SAPO34ゼオライト、ペンタシル型アルミノケイ酸塩、およびその組合せからなる群より選択される、第38または第39の態様のシステムを含む。
【0104】
第41の態様は、形状選択性ゼオライトが、0.5g/mlから1.0g/mlの嵩密度、50マイクロメートルから90マイクロメートルの平均粒径、10m2/gから200m2/gの表面積、および0.01ml/gから0.3ml/gの細孔体積を有する、第38から第40の態様のいずれかのシステムを含む。
【0105】
第42の態様は、触媒が、5質量%から40質量%の触媒添加剤を含む、第35から第41の態様のいずれかのシステムを含む。
【0106】
第43の態様は、触媒添加剤が、約20質量%から約70質量%の形状選択性ゼオライトを含む、第42の態様のいずれかのシステムを含む。
【0107】
請求項の主題の精神および範囲から逸脱せずに、記載された実施の形態に様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であるはずである。それゆえ、本明細書は、様々な記載された実施の形態の改変および変更を、そのような改変および変更が、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に入るという前提で、包含することが意図されている。
【0108】
名詞は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数の対象を含む。
【0109】
本開示に亘り、範囲が与えられている。その範囲により包含される各離散値も含まれると考えられる。それに加え、明白に開示された範囲により包含される各離散値により形成されるであろう範囲も、同じように考えられる。短く表現するために、開示された各範囲の後に同じものは明示的に示されず、現在の一般的な表示が与えられる。
【0110】
本開示および付随の特許請求の範囲で使用されるように、「含む(comprise)」、「有する(has)」、および「含む(include)」という単語、並びにその全ての文法的変形は、各々が、追加の要素またはステップを排除しない、開放された非限定的な意味を有することが意図される。
【符号の説明】
【0111】
50 プラスチック熱分解ユニット
52 プラスチック熱分解油出口
60 脱金属化工程
101 入口流
102 プラスチック熱分解油
103 接触分解供給流
104 二次炭化水素流
105 脱金属化プラスチック熱分解油
106 排ガス流
108 固体流
110 生成物流
111 反応器分離器ユニット
113 流動床反応器
115、215 分離区域
117、217 触媒再生器
119、121、122、125、127、133、219、221、225 移送ライン
123 導管、パイプ
130 FCCユニット
130a ダウナーFCCユニット
130b ライザーFCCユニット
131 ストリッパー
213 流動床反応器区域
313 流動床ライザー反応器
314 固体分離区域
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
本開示および付随の特許請求の範囲で使用されるように、「含む(comprise)」、「有する(has)」、および「含む(include)」という単語、並びにその全ての文法的変形は、各々が、追加の要素またはステップを排除しない、開放された非限定的な意味を有することが意図される。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
混合プラスチック流から熱分解生成物を製造する方法において、
(a)プラスチック原料の熱分解を行って、プラスチック熱分解油の流れを生成する工程、
(b)前記プラスチック熱分解油を含む接触分解供給流および触媒再生器からの触媒を流動床反応器に供給する工程、
(c)前記流動床反応器内で前記接触分解供給流を分解して、生成物流および使用済み触媒を生成する工程、および
(d)前記使用済み触媒を前記触媒再生器に移送し、該触媒再生器内で前記触媒を再生する工程、
を含み、
前記生成物流は、C
2
~C
4
の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料を含み、
前記プラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む、方法。
実施形態2
前記方法が、前記プラスチック熱分解油を脱金属化工程に供給して、該プラスチック熱分解油から金属成分を除去し、脱金属化プラスチック熱分解油の流れを生成する工程をさらに含み、
前記接触分解供給流が、前記プラスチック熱分解油の代わりに、前記脱金属化プラスチック熱分解油を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
前記接触分解供給流が、従来の流動接触分解原料流をさらに含む、実施形態1または2に記載の方法。
実施形態4
前記流動床反応器が、450から700℃の反応温度で作動され、該流動床反応器が、1から3バール(0.1から0.3MPa)の反応圧力で作動され、前記接触分解供給流が、該流動床反応器内で0.1から30秒の滞留時間を有する、実施形態1から3いずれか1つに記載の方法。
実施形態5
前記流動床反応器に入る前記接触分解供給流の流量で除算された前記触媒再生器から該流動床反応器に入る前記触媒の流量が、触媒対供給物比を定義し、該触媒対供給物比が3:1から60:1の範囲にある、実施形態1から4いずれか1つに記載の方法。
実施形態6
前記触媒が、流動クラッキング塩基触媒および触媒添加剤を含む、実施形態1から3いずれか1つに記載の方法。
実施形態7
前記流動クラッキング塩基触媒がUSYゼオライトを含む、実施形態6に記載の方法。
実施形態8
前記触媒添加剤が形状選択性ゼオライトを含む、実施形態6または7に記載の方法。
実施形態9
混合プラスチックをプラスチック熱分解生成物に処理するためのシステムにおいて、
混合プラスチックを含む入口流、
前記入口流と流体連通し、プラスチック熱分解油出口で該入口流からプラスチック熱分解油の流れを生成するように機能するプラスチック熱分解ユニット、
触媒入口および接触分解供給流入口を含む流動床反応器、
前記流動床反応器の前記触媒入口と流体連通した触媒再生器、
前記触媒再生器から前記流動床反応器に循環し、該触媒再生器に戻る触媒、および
前記触媒と反応する、前記流動床反応器内に配置された接触分解供給流、
を含み、
前記接触分解供給流入口は、前記触媒と反応して生成物流を生成する接触分解供給流が、前記流動床反応器内に配置されるように前記プラスチック熱分解油出口と流体連通しており、
前記接触分解供給流は、前記プラスチック熱分解油を含み、
前記プラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む、システム。
実施形態10
前記流動床反応器がライザーである、実施形態9に記載のシステム。
実施形態11
前記流動床反応器がダウナーである、実施形態9に記載のシステム。
実施形態12
前記システムが、前記プラスチック熱分解油から金属成分を除去し、脱金属化プラスチック熱分解油の流れを生成するように作られた脱金属化ユニットを流体連通してさらに含み、前記接触分解供給流が、前記プラスチック熱分解油の代わりに、該脱金属化プラスチック熱分解油を含む、実施形態9から11いずれか1つに記載のシステム。
実施形態13
前記触媒が、流動クラッキング塩基触媒および触媒添加剤を含む、実施形態9から12いずれか1つに記載のシステム。
実施形態14
前記流動クラッキング塩基触媒がUSYゼオライトを含む、実施形態13に記載のシステム。
実施形態15
前記触媒添加剤が形状選択性ゼオライトを含む、実施形態13または14に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合プラスチック流から熱分解生成物を製造する方法において、
(a)プラスチック原料の熱分解を行って、
少なくとも1種類の金属成分を含むプラスチック熱分解油の流れを生成する工程、
(b
)接触分解供給流および触媒再生器からの触媒を流動床反応器に供給する工程
であって、該接触分解供給流が、前記プラスチック熱分解油から前記少なくとも1種類の金属成分を除去せずに、プラスチック熱分解ユニットから直接供給される該プラスチック熱分解油を含む、工程、
(c)前記流動床反応器内で前記接触分解供給流を分解して、生成物流および使用済み触媒を生成する工程、および
(d)前記使用済み触媒を前記触媒再生器に移送し、該触媒再生器内で前記触媒を再生する工程、
を含み、
前記生成物流は、C
2~C
4の炭素数を有するオレフィンおよび留出燃料を含み、
前記プラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む、方法。
【請求項2】
前記プラスチック熱分解油が、酸素、硫黄、窒素、および塩素含有化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記接触分解供給流が、従来の流動接触分解原料流をさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記流動床反応器が、450から700℃の反応温度で作動され、該流動床反応器が、1から3バール(0.1から0.3MPa)の反応圧力で作動され、前記接触分解供給流が、該流動床反応器内で0.1から30秒の滞留時間を有する、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記流動床反応器に入る前記接触分解供給流の流量で除算された前記触媒再生器から該流動床反応器に入る前記触媒の流量が、触媒対供給物比を定義し、該触媒対供給物比が3:1から60:1の範囲にある、
請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が、流動クラッキング塩基触媒および触媒添加剤を含む、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記流動クラッキング塩基触媒がUSYゼオライトを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記触媒添加剤が
、ZSM-5ゼオライト、ベータゼオライト、ゼオライトオメガ、SAPO-5ゼオライト、SAPO-11ゼオライト、SAPO34ゼオライト、ペンタシル型アルミノケイ酸塩、およびその組合せからなる群より選択される形状選択性ゼオライトを含む、
請求項6記載の方法。
【請求項9】
混合プラスチックをプラスチック熱分解生成物に処理するためのシステムにおいて、
混合プラスチックを含む入口流、
前記入口流と流体連通し、プラスチック熱分解油出口で該入口流から
、少なくとも1種類の金属成分を含むプラスチック熱分解油の流れを生成するように機能するプラスチック熱分解ユニット、
触媒入口および接触分解供給流入口を含む流動床反応器、
前記流動床反応器の前記触媒入口と流体連通した触媒再生器、
前記触媒再生器から前記流動床反応器に循環し、該触媒再生器に戻る触媒、および
前記触媒と反応する、前記流動床反応器内に配置された接触分解供給流、
を含み、
前記接触分解供給流入口は、前記触媒と反応して生成物流を生成する接触分解供給流が、前記流動床反応器内に配置されるように前記プラスチック熱分解油出口と流体連通しており、
前記接触分解供給流は、
前記プラスチック熱分解油から前記少なくとも1種類の金属成分を除去せずに、前記プラスチック熱分解ユニットから直接供給される該プラスチック熱分解油を含み、
前記プラスチック熱分解油は、36から180℃の沸点を有する炭化水素を表すナフサ留分、180から370℃の沸点を有する炭化水素を表すディーゼル留分、および370℃より高い沸点を有する炭化水素を表す真空軽油留分を含む、システム。
【請求項10】
前記流動床反応器がライザーである、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記流動床反応器がダウナーである、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
前記触媒が、流動クラッキング塩基触媒および触媒添加剤を含む、
請求項9から11いずれか1項記載のシステム。
【請求項13】
前記流動クラッキング塩基触媒がUSYゼオライトを含む、
請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記触媒添加剤が
、ZSM-5ゼオライト、ベータゼオライト、ゼオライトオメガ、SAPO-5ゼオライト、SAPO-11ゼオライト、SAPO34ゼオライト、ペンタシル型アルミノケイ酸塩、およびその組合せからなる群より選択される形状選択性ゼオライトを含む、
請求項12記載のシステム。
【請求項15】
前記形状選択性ゼオライトが、0.5g/mlから1.0g/mlの嵩密度、50マイクロメートルから90マイクロメートルの平均粒径、10m
2
/gから200m
2
/gの表面積、および0.01ml/gから0.3ml/gの細孔体積を有する、請求項14記載のシステム。
【国際調査報告】