(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】二次電池及び電気使用装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20241114BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20241114BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20241114BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20241114BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20241114BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241114BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/133
H01M4/587
H01M10/0568
H01M10/0566
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523255
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 CN2022141190
(87)【国際公開番号】W WO2024066088
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】202211175100.9
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520434178
【氏名又は名称】欣旺達動力科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sunwoda Mobility Energy Technology Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】リー マン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ペン
(72)【発明者】
【氏名】チュー チュンボー
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AJ05
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AM02
5H029AM07
5H029HJ01
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5H029HJ05
5H029HJ17
5H029HJ19
5H050AA02
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050DA03
5H050FA04
5H050FA17
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA17
5H050HA19
(57)【要約】
本願は、二次電池及び電気使用装置を開示し、二次電池は、正極シートと、セパレータと、電解液と、負極シートとを含み、負極シートは、負極集電体と、負極集電体に配置された負極活物質層とを含み、ここで、負極シートの非ファラデー電荷量はQCであり、0.05≦Q≦2.5を満たし、Q=Cdl×ΔUとし、Cdl nFは負極シートの非ファラデー容量であり、ΔUVは、負極活物質層の電位範囲である。本願の負極シートは、高エネルギー密度の二次電池製品に用いられ、高い倍率及び充放電特性をよりよくバランスさせることができ、電解液の浸潤不良によるリチウム析出等の界面劣化現象を低減し、シートの分極現象を効果的に低減し、電池の一致性を向上させ、サイクル寿命が長くなり、倍率性能及び動力学性能に優れた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極シートと、セパレータと、電解液と、負極シートとを含み、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体に配置された負極活物質層とを含み、
ここで、前記負極シートの非ファラデー電荷量はQCであり、0.05≦Q≦2.5を満たし、Q=Cdl×ΔUとし、
Cdl nFは前記負極シートの非ファラデー容量であり、
ΔUVは、前記負極活物質層の電位範囲である、
二次電池。
【請求項2】
前記Cdlは0.5≦Cdl≦5を満たし、前記ΔUは0.1≦ΔU≦0.5を満たす、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記負極活物質層は、人造黒鉛、天然黒鉛、軟質炭、硬質炭素、アモルファスカーボン、炭素繊維カーボンナノチューブ、又はメソカーボンマイクロスフェアのうち1つ以上を含む、
請求項1~2のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項4】
電解液の表面に対する前記負極活物質層の接触角はθであり、前記θは、10°≦θ≦40°を満たす、
請求項1~3のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記負極活物質層の抵抗はRmΩであり、5≦R≦20を満たす、
請求項1~4のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記負極活物質層のOI値の大きさは2~15である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質の細粉の数量含有率は0~80%であり、前記負極活物質の粗粉の数量含有率は0~60%であり、
前記細粉とは、粒径が2.2μm以下の負極活物質粒子を指し、前記粗粉とは、粒径が35μm以上の負極活物質粒子を指す、
請求項1~6のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記負極活物質の細粉の数量含有率は0~40%であり、
前記負極活物質の粗粉の数量含有率は0~30%である、
請求項7に記載の二次電池。
【請求項9】
前記電解質はリチウム塩添加剤を含み、前記リチウム塩添加剤は、テトラフルオロホウ酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボラート、ジフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、及びリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドのうち1つ以上を含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記電解液においてリチウム塩添加剤の含有量はXであり、0.1%≦X≦2%を満たす、
請求項9に記載の二次電池。
【請求項11】
前記負極活物質層には保護膜層を含み、前記保護膜層の厚さはHnmであり、
0.4≦10X・H+Q≦36を満たす、
請求項1~10のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項12】
前記保護膜層の厚さHnmは、5≦H≦180を満たす、
請求項11に記載の二次電池。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の二次電池を含む、
電気化学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年09月26日に中国専利局に出願された出願番号202211175100.9、発明の名称が「二次電池及び電気化学装置」である中国特許出願の優先権を主張し、当該出願のすべての内容は引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、電池技術分野に関し、具体的には二次電池及び電気化学装置に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー産業の急速な発展に伴い、より大容量で耐久性に優れ、より強い航続性能を有する二次電池に対する需要が切迫している。負極材料は二次電池の重要な一部であり、負極材料の高容量を確保しつつ、そのサイクル寿命を向上させることも上記の課題を解決する有効な手段の一つである。従って、二次電池のサイクル性能、サイクル寿命をいかに向上させるかという課題は、解決すべき課題になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、二次電池及び電気化学装置を提供し、電池のサイクル性能及びサイクル寿命を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の方面では、本願は二次電池を提供し、前記二次電池は、正極シートと、セパレータと、電解液と、負極シートとを含み、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体に配置された負極活物質層とを含み、
ここで、前記負極シートの非ファラデー電荷量はQCであり、0.05≦Q≦2.5を満たし、Q=Cdl×ΔUとし、
Cdl nFは前記負極シートの非ファラデー容量であり、
ΔUVは、前記負極活物質層の電位範囲である。
【0006】
一部の実施例では、前記Cdlは0.5≦Cdl≦5を満たし、前記ΔUは0.1≦ΔU≦0.5を満たす。
【0007】
一部の実施例では、前記負極活物質層は、人造黒鉛、天然黒鉛、軟質炭、硬質炭素、アモルファスカーボン、炭素繊維カーボンナノチューブ、又はメソカーボンマイクロスフェアのうち1つ以上を含む。
【0008】
一部の実施例では、電解液の表面に対する前記負極活物質層の接触角はθであり、前記θは、10°≦θ≦40°を満たす。
【0009】
一部の実施例では、前記負極活物質層の抵抗はR mΩであり、5≦R≦20を満たす。
【0010】
一部の実施例では、前記負極活物質層のOI値の大きさは2~15である。
【0011】
一部の実施例では、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質の細粉の数量含有率は0~80%であり、前記負極活物質の粗粉の数量含有率は0~60%である。
【0012】
前記細粉とは、粒径が2.2μm以下の負極活物質粒子を指し、前記粗粉とは、粒径が35μm以上の負極活物質粒子を指す。
【0013】
一部の実施例では、前記負極活物質の細粉の数量含有率は0~40%である。
【0014】
前記負極活物質の粗粉の数量含有率は0~30%である。
【0015】
一部の実施例では、前記電解質はリチウム塩添加剤を含み、前記リチウム塩添加剤は、テトラフルオロホウ酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボラート、ジフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、及びリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドのうち1つ以上を含む。
【0016】
一部の実施例では、前記電解液においてリチウム塩添加剤の含有量はXであり、0.1%≦X≦2%を満たす。
【0017】
一部の実施例では、前記負極活物質層には保護膜層を含み、前記保護膜層の厚さはHnmであり、0.4≦10X・H+Q≦36を満たす。
【0018】
一部の実施例では、前記保護膜層の厚さHは、5≦H≦180を満たす。
【0019】
第2の方面では、本願に係る電気化学装置は、上記の二次電池を含む。
【発明の効果】
【0020】
従来技術と比較して、本願の二次電池は、負極シートの非ファラデー電荷量を限定して、0.05C~2.5Cの範囲内に制御するとともに、負極シートの非ファラデー電荷量を限定して、Q=Cdl×ΔUを満たすことによって、高エネルギー密度の電池製品において、負極シートが高い倍率及び充放電特性をよりよくバランスさせることができ、電解液の浸潤不良によるリチウム析出等の界面劣化現象を回避し、シートの分極現象を効果的に低減し、製造された二次電池の一致性がよりよくなり、サイクル寿命が長くなり、倍率性能及び動力学性能に優れた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施例1において作製された負極シートの走査速度-電流散布図を示すフィッティング曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願は二次電池及び電気化学装置を提供し、本願の目的、技術案及び効果をより明瞭且つ明確にするために、以下、図面を参照しながら実施例を挙げて本願をさらに詳細に説明する。なお、本明細書に記載された具体的な実施例は、単に本願を説明するためのものであり、本願を限定することを意図するものではないことを理解されるべきである。
【0023】
新エネルギー産業の発展に伴い、二次電池に対する需要が高まっている。二次電池、例えばリチウムイオン電池は、リチウムイオン電池を電気自動車に応用される時、できるだけその一回の航続距離と使用寿命を延長する必要があり、電気自動車が使用する二次電池は充放電の過程において放熱を伴うため、その内部の化学体系の老化を加速することを招き、従って、二次電池は長期のサイクルと貯蔵過程において、電池性能の減衰が引き起こされ、主に二次電池の容量の減衰、内部抵抗の増加と電力性能の低下などで表されている。
【0024】
上記の課題を改善するために、本願は特定の非ファラデー電荷量を有する負極シートを提供し、それにより、負極シートは高エネルギー密度の電池製品において、高い倍率と充放電特性とをよりよくバランスさせることができ、電解液の浸潤不良によるリチウム析出等の界面劣化現象の発生を減少し、シートの分極現象を効果的に低減し、製造された二次電池の一致性がよりよくなり、サイクル寿命が長くなり、倍率性能及び動力学性能に優れた。
【0025】
本願の実施例では、本願は二次電池を提供し、この二次電池は下記の正極シートと、セパレータと、電解液と負極シートとを含む。
【0026】
I、負極シート
【0027】
負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体に配置された負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は、負極活物質を含む。
【0028】
1、非ファラデー電荷量
【0029】
本願における二次電池の特徴の一つは、前記負極シートの非ファラデー電荷量がQCであり、0.05≦Q≦2.5を満たし、ここで、Q=Cdl×ΔUとする。Cdl nFは負極シートの非ファラデー容量である。ΔUVは負極活物質層の電位範囲である。
【0030】
ここで、前記負極シートの非ファラデー電荷量はQCであり、0.05≦Q≦2.5を満たす。例えば、負極シートの非ファラデー電荷量QCを、0.05C、0.07C、0.09C、0.15C、0.25C、0.53C、0.78C、0.85C、0.97C、1.2C、1.5C、1.8C、2.0C、2.2C、2.5Cのいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。なお、該非ファラデー電荷量Qの具体的な数値は単なる例示であり、0.05C~2.5Cの範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。
【0031】
理解できるように、二次電池の電気化学反応は主に電極表面で発生する表面反応であり、該反応は以下の通りである。(1)物質移動反応、イオンが電極表面に伝送する。(2)非ファラデー反応、電極界面を通過する電荷移動が発生せず、イオンが活性物質表面で物理的に吸着、脱離して電荷を貯蔵し、放出する。(3)ファラデー反応、活物質の酸化状態が変化し、電荷が活物質内部に移動する。非ファラデー容量値(Cdl)は、負極シートにおける負極活物質の活性点の数量を表すことができ、異なる走査速度での線形走査ボルタモグラム法(LSV)が非ファラデー反応範囲内にある曲線、即ち電流密度が走査速度の変化に従って変化することによって、その非ファラデー容量値を評価することができる。具体的には、非ファラデー容量値(Cdl)は電気化学活性点の数量に影響し、材料と電解液との接触に影響し、イオン-電子の伝導速度に影響し、電荷転送抵抗が低くなり、ひいては倍率性能に影響を与えることができる。
【0032】
本願は負極シートの非ファラデー電荷量を上記の範囲内に制限しつつ、負極シートの非ファラデー電荷量を限定して、Q=Cdl×ΔUを満たすことによって、負極シートが高エネルギー密度の二次電池製品において、高い倍率及び充放電特性をよりよくバランスさせることができ、電解液の浸潤不良によるリチウム析出等の界面劣化現象を低減し、シートの分極現象を効果的に低減し、製造された二次電池の一致性を向上させ、サイクル寿命が長くなり、倍率性能及び動力学性能に優れた。負極の非ファラデー電荷量は負極活物質の形態、負極シートの圧縮密度、負極シートのOI値、負極の構成、負極のスラリー工程等の方式によって調整されることができる。負極の非ファラデー電荷量の制御は、上記の方法に限らず、負極シートを上記の範囲に制御できればよい。
【0033】
本願の実施例では、前記負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは、0.5≦Cdl≦5を満たす。例えば、負極シートの非ファラデー容量(Cdl nF)を、0.5nF、1nF、1.5nF、2nF、2.5nF、3nF、3.5nF、4nF、4.5nF、5nFのいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。なお、該非ファラデー容量Cdl nFの具体的な数値は単なる例示であり、0.5nF~5nFの範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。本願は、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFを0.5nF~5nFの範囲内に制御することによって、材料と電解液との接触に有利であり、イオン-電子の伝導速度を加速し、電荷転送抵抗が低くなり、有効的に倍率性能を向上させることができた。
【0034】
本願の実施例では、前記負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは、1.3≦Cdl≦4.7を満たす。
【0035】
本願の実施例では、前記負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは、1.4≦Cdl≦4.3を満たす。負極シートの非ファラデー容量が上記の範囲にあると、負極シートにおける負極活物質の活性点の数がより適切な範囲にあり、二次電池により優れた総合性能を持たせる。
【0036】
本願の実施例では、前記負極活物質層の電位範囲ΔUVは、0.1≦ΔU≦0.5を満たす。例えば、負極活物質層の電位範囲ΔUVを、0.1V、0.15V、0.2V、0.25V、0.3V、0.35V、0.4V、0.45V、0.5Vのいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。なお、該電位間隔ΔUVの具体的な数値は単なる例示であり、0.1V~0.5Vの範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。本願は、負極活物質層の電位範囲ΔUVを0.1V~0.5Vの範囲に制御することにより、材料と電解液との接触に有利であり、イオン-電子の伝導速度を加速し、電荷転送抵抗が低くなり、効率性能を効果的に向上させることができた。
【0037】
2、負極活物質層
【0038】
負極活物質層は、単層又は多層であってもよく、多層の負極活物質層のそれぞれは、同一又は異なる負極活物質を含んでもよい。本願の実施例では、充電中に負極シートにリチウム金属が析出することを防止するために、負極活物質の充電可能容量は正極活物質の放電容量よりも大きい。
【0039】
本願の実施例では、前記負極活物質層は、人造黒鉛、天然黒鉛、軟炭、硬質炭素、アモルファスカーボン、炭素繊維カーボンナノチューブ、及びメソカーボンマイクロスフェアを含むが、これらに限らない。前記負極活物質は単独で用いられてもよく、任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0040】
本願の実施例では、前記負極活物質層は、微結晶構造が比較的小さく、ダマシン構造が比較的多く、流線型構造が比較的少ない石油コークス及び針状コークスを含むが、これらに限らない。前記負極活物質は単独で用いられてもよく、任意の組み合わせで用いられてもよい。前記負極活物質層は前記構造特徴の材料を採用することによって、負極シートに優れた等方性、よい倍率性能を持たせ、サイクル過程における比較的低い抵抗と材料安定性を確保した。
【0041】
前記負極活物質の微結晶構造、ダマシン構造及び流線型構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)を利用して観察するとわかる。
【0042】
本願の実施例では、前記負極活物質の表面には被覆層を有してもよく、被覆層は単層又は二層であってもよい。例えば、負極活物質の表面に対し軟炭素で被覆し、軟炭素での被覆は電子伝導を加速することができるため、材料の導電性を高めつつ、黒鉛自体を保護する。負極活物質の表面に対し無機物で被覆することによって、薄くて緻密な固体電解質界面(SEI)膜層の形成を促進し、安定した化学と電気化学反応界面を提供し、材料の長いサイクル性能を向上させることができる。
【0043】
理解できるように、本願は二層被覆を採用することによって、黒鉛の完全性を保持しつつ、二次電池における副反応を有効に抑制することができ、内外層の被覆剤及び被覆工程を調節することによって、材料の電子導電及びイオン導電を効果的に制御することができ、それにより電極の非ファラデー過程の速度を効果的に制御し、ひいては電池の性能を制御した。
【0044】
前記負極活物質層の被覆層は、透過型電子顕微鏡(TEM)を利用して観察するとわかる。
【0045】
本願の実施例では、電解液の表面に対する前記負極活物質層の接触角をθとし、前記θは、10°≦θ≦40°を満たす。例えば、電解液の表面に対する前記負極活物質層の接触角θを、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。
【0046】
電解液の表面に対する負極活物質層の接触角は、負極活物質層の表面性質を反映することができ、負極シートと電解液との濡れ接触角が小さい場合、電解液が負極シートに滴下した後すぐに吸着され、これは負極シートと電解液との相容性がよりよいことを表し、従って、電解液は負極シートの表面活性点と密接に接触するようになり、且つ電解液においてリチウムイオンが黒鉛表面への拡散伝送効率を改善し、これは優れた動力学性能の利点である。
【0047】
本願は、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角を上記の範囲内に制御する。電解液の表面に対する負極活物質層の接触角を上記の範囲にあると、負極シートが有するピンホールやピットの欠陥は少なくなり、電解液が負極シートに展開する傾向が大きいほど、濡れ性が大きくなり、電解液に対する相容性がよくなるため、リチウムイオンは負極シートにおいてより転送し易くなり、電池の内部抵抗を低減することに有利であり、浸潤不良によるリチウム析出、副産物の増加、動力学性能が悪い等の欠陥を減少し、倍率性能及びサイクル寿命を向上させた。一方、二次電池の注液後の静置時間を短縮し、電解液の負極シートに対する浸潤速度を改善し、生産効率及び良品率を向上させ、製造された電池のシート界面の状態がより均一になり、充放電過程における界面の電流密度がより均一になり、電池の動力学性能及びサイクル寿命を改善することができた。
【0048】
本願の実施例では、電解液の表面に対する前記負極活物質層の接触角はθであり、前記θは、12°≦θ≦35°を満たす。電解液の表面に対する前記負極活物質層の接触角が上記の範囲にあると、負極シートの表面の欠陥がさらに少なくなり、電池はより高い生産効率と良品率を有し、電池の全体性能をさらに向上させる。
【0049】
本願の実施例では、電解液の表面に対する前記負極活物質層の接触角θに対し、GB/T 30447-2013ナノ薄膜接触角測定法によって、光学接触角計を用いて測定することができる。
【0050】
ここで、電解液はリチウム塩である六フッ化リン酸リチウムと、有機溶剤である環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルと、電解液添加剤とを含む。
【0051】
本願の実施例では、前記負極活物質層の抵抗は、R mΩであり、5≦R≦20を満たす。例えば、負極活物質層の抵抗R mΩを、5mΩ、7.5mΩ、10mΩ、12.5mΩ、15mΩ、17.5mΩ、20mΩのいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。
【0052】
理解できるように、二次電池の負極シートの抵抗に影響する要因は、集電体と活物質層との界面状態、導電剤の分布状態及び粒子間の接触状態などを含み、負極シートの活物質層の抵抗は負極シートにおける材料の状態及び性能を反映することができる。比較的低い活物質層の抵抗は、負極集電体と負極活物質層との界面状況、導電剤の分布状態及び粒子間の接触状態等のパラメータを調整することによって得られる。抵抗値が上記の範囲にある負極シートは、比較的高い電子転送効率を有し、比較的低い集電体と電極活物質層との間の抵抗は、電池の直流内部抵抗を効果的に低減し、電池の電力性能を向上させることができ、電池が長期のサイクル過程において大きな分極及びリチウム析出等の現象を発生しにくくし、電池のサイクル性能を効果的に改善した。一方、負極活物質層の抵抗が小さくなり、リチウムイオン転送経路を短縮した。
【0053】
本願の実施例では、前記負極活物質層の抵抗は、R mΩであり、5≦R≦18を満たす。R mΩが上記の範囲にあると、電池は、より優れた電力性能及びサイクル性能を有する。
【0054】
本願の実施例では、前記負極活物質層の抵抗は、R mΩであり、5≦R≦12を満たす。R mΩが上記の範囲にあると、負極集電体と負極活物質層との界面状況、導電剤の分布状態及び粒子間の接触状態はより優れ、電池はより優れた総合性能を有する。
【0055】
本願の実施例では、前記負極活物質層の抵抗R mΩの試験方法は、以下の通りである。
【0056】
両面に負極活物質層が配置されている負極シートを、面積が1540.25mm2である円シートに切断し、切断された負極シートをシート抵抗測定器のプローブの中央に置く、その後、シート抵抗測定器を用いて負極シートに対し試験を行い、測定された負極シートの負極活物質層の抵抗を得る。選択された10つの負極シートのサンプルを、それぞれシート抵抗測定器で測定した後、得られた10つの測定された負極シートの、負極活物質層の抵抗の平均値を計算して負極活物質層の抵抗を得る。
【0057】
本願実施例では、前記負極活物質層のOI値の大きさは、2~15である。例えば、負極活物質層のOI値を、2、4、6、8、10、12、15のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。なお、該OI値の具体的な数値は単なる例示であり、2~15の範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。
【0058】
ここで、前記負極活物質層のOI値とは、004結晶面と110結晶面における負極活物質層のX線回折ピークの強度の比の値を指す。
【0059】
理解できるように、負極シートのOI値(C004/C110)はリチウムイオンの転送経路に影響することができ、リチウム吸蔵過程において、リチウムイオンは負極材料である黒鉛の端面から層間に入り、層間で固相拡散を行い、リチウム吸蔵過程を完了し、等方性の微結晶構造の比較的小さい黒鉛端面がシート表面に露出される。
【0060】
従って、負極シートの圧縮密度とコーティング面密度とが一致する場合、負極シートのOI値が上記の範囲内にあれば、リチウムイオンの遷移経路、リチウムイオンの遷移速度、電気化学反応動力学に影響することができ、ひいてはチウムイオンの高い倍率放電性能をさらに実現し、サイクル過程における比較的低いインピーダンスを確保する。また、負極シートのOI値が上記の範囲内にある場合、黒鉛層間の膨張を抑制し、サイクル過程における材料構造の比較的高い安定性を確保し、サイクル性能を向上させることができ、ひいては倍率充電能力を向上させ、サイクルを最適化する目的を達成する。
【0061】
本願の実施例では、負極活物質材料のOI値の調整により、シートOI値に対する制御にさらに有利であり、負極活物質材料のOI値は、負極活物質材料の粒子粒径、粉体の抵抗等の物理化学特性を調整することによって変更することができ、負極シートのOI値は、導電剤の割合、撹拌工程、圧延工程等の要素を調整することによって変更することができる。
【0062】
本願では、負極活物質層のOI値を上記の範囲内に制御することによって、リチウムイオンの遷移経路を短縮し、リチウムイオンの高速遷移を実現し、電気化学反応動力学を加速し、ひいてはリチウムイオンの高い倍率放電性能をさらに実現し、サイクル過程における低いインピーダンスを確保した。一方、黒鉛層間の膨張を抑制し、サイクル過程における材料構造の比較的高い安定性を確保し、サイクル性能を向上させ、ひいては倍率充電能力を向上させ、サイクルを最適化する目的を達成した。
【0063】
本願の実施例では、前記負極活物質層のOI値の大きさは、2~10である。負極活物質層のOI値が上記の範囲内にあると、電池はよりよい総合性能を有する。
【0064】
本願の実施例では、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、軟質炭素、アモルファスカーボン、炭素繊維カーボンナノチューブ、及びメソカーボンマイクロスフェアを含むが、これらに限らない。前記負極活物質は単独で用いられてもよく、任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0065】
本願の実施例では、前記負極活物質層は、微結晶構造が比較的小さく、ダマシン構造が比較的多く、流線型構造が比較的少ない石油コークス及び針状コークスを含むが、これらに限らない。前記負極活物質は単独で用いられてもよく、任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0066】
前記負極活物質の細粉の数量含有率は0~80%である。例えば、負極活物質の細粉の数量含有率を、0、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。なお、該細粉の数量含有率の具体的な数値は単なる例示であり、0~80%の範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。
【0067】
前記負極活物質の粗粉の数量含有率は0~80%である。例えば、負極活物質の粗粉の数量含有率を、0、10%、20%、30%、40%、50%、60%のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。なお、該粗粉の数量含有率の具体的な数値は単なる例示であり、0~60%の範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。
【0068】
ここで、前記細粉とは、粒径が2.2μm以下の負極活物質粒子を指し、前記粗粉とは、粒径が35μm以上の負極活物質粒子を指す。
【0069】
本願の実施例では、前記負極活物質の細粉の数量含有率は0~40%であり、例えば、負極活物質の細粉の数量含有率を、0、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。
【0070】
前記負極活物質の粗粉の数量含有率は0~30%である。例えば、負極活物質の粗粉の数量含有率を、0、10%、15%、20%、25%、30%のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。
【0071】
理解できるように、前記負極活物質の細粉の数量含有率が小さいと、負極活物質において粒径が2.2μm以下の負極活物質粒子が少なく、前記負極活物質の粗粉の数量含有率が小さいと、負極活物質において粒径が35μm以上の負極活物質粒子が少なく、両者を併せて限定することにより、過多な大きな負極活物質粒子による空隙が過多な小さな負極活物質粒子で埋められることを防止し、それにより負極活物質粒子同士の間の隙間を広げ、電池におけるファラデー反応の行いに有利であり、負極シートの非ファラデー容量Cdlが増加するようになり、電気化学活性点の数が多くなり、材料と電解液との接触に有利であり、イオン-電子の伝導速度を加速し、電荷の転送抵抗が低くなり、二次電池の倍率性能を効果的に向上させることができる。
【0072】
理解できるように、本願では、負極活物質の細粉の数量含有率を0~40%の範囲に制御するとともに、負極活物質の粗粉の数量含有率を0~30%の範囲に制御し、両者を併せて限定することにより、負極活物質の粒径分布の幅さを有効的に制限することができ、負極活物質の粒径分布がより集中するようになり、形態がより規則的になり、負極活物質の優れた等方性を確保し、負極活物質の電子導電及びイオン転送を改善し、ひいてはシートの非ファラデー過程の速度を有効的に調節して制御することができる。
【0073】
本願の実施例では、前記負極活物質の細粉の数量含有率及び負極活物質の粗粉の数量含有率に対し、レーザー粒度計を用いて負極活物質の粒度分布試験を行うことができ、細粉及び粗粉に対応するピーク面積を算出することにより、負極活物質の細粉の数量含有率及び負極活物質の粗粉の数量含有率の具体的な数値を得ることができる。
【0074】
本願の実施例では、前記負極活物質層120には保護膜層130を含み、前記保護膜層130の厚さはHnmであり、5≦H≦180を満たす。例えば、保護膜層130の厚さHnmを、5nm、30nm、60nm、90nm、120nm、150nm、160nmのいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。なお、該厚さHnmの具体的な数値は単なる例示であり、5nm~180nmの範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。保護膜層の厚みがこの範囲にあると、負極活物質をより良好に保護しつつ、保護膜層に起因する例えば内部抵抗の増大等の影響を低減することができる。
【0075】
保護膜層の厚さを、TEM試験を採用して取得することができる。
【0076】
3、負極集電体
【0077】
本願の実施例では、前記負極集電体は、金属箔、金属円筒、金属テープロール、金属板、金属フィルム、金属板メッシュ、スタンピング金属、発泡金属等を含むが、これらに限らない。一部の実施例では、負極集電体は金属箔である。一部の実施例では、負極集電体は、銅箔である。本明細書で使用するように、用語「銅箔」は、銅合金箔を含む。
【0078】
4、負極シートの非ファラデー電荷量の試験及び計算
【0079】
本願の実施例では、本願は、上記のいずれかの負極シートの非ファラデー電荷量に対し試験及び計算を行うための、負極シートの非ファラデー電荷量の試験及び計算方法をさらに提供し、具体的には以下のステップを含む。
【0080】
S1、負極シートをボタン電池に組み立て、ボタン電池に対しサイクリックボルタモ法(CV)試験を行い、ボタン電池の電位範囲UVを取得する。
【0081】
S2、ステップS1におけるボタン電池の電位範囲Uを選択し、ボタン電池に対し線形走査ボルタモグラム法(LSV)試験を行い、走査速度-電圧グラフ及び電圧-電流グラフを検出し、電圧-電流グラフに基づいて負極活物質層の電位範囲ΔUVを取得し、ここで、走査方向は低電位から高電位までである。
【0082】
S3、ステップS2に基づいて、走査速度-電流散布図を検出し、走査速度-電流散布図に基づいて、負極シートの非ファラデー容量値Cdlを取得する。
【0083】
S4、ステップS2とステップS3で得られた電位範囲ΔUと非フラデー容量値Cdlに基づいて、式Q=Cdl×ΔUにより、非フラデー電荷量Qを算出する。
【0084】
本願の実施例では、ステップS1における負極シートをボタン電池に組み立てるステップは、具体的には、二次電池をグローブボックス内又は乾燥室で分解して負極突出(overhang)領域シートを得、ジメチルカーボネート(DMC)溶液で浸漬し、切断した後、金属リチウムシートとボタン電池を組み立てることを含む。電池を組み立てられていない負極シートを用いてもよい。
【0085】
ここで、overhang領域とは、負極シートの長さ及び幅方向が正極シートからはみ出している部分を指す。
【0086】
ステップS1における前記ボタン電池は、正極ハウジングと、負極シートと、セパレータと、電解液と、リチウムシートと、発泡ニッケルと、ガスケットと、負極ハウジングとを含む。
【0087】
本願の実施例では、ステップS1における前記ボタン電池の電位範囲UVは、2.5≦U≦3を満たす。例えば、ボタン電池の電位範囲UVを、2.5V、2.6V、2.7V、2.8V、2.9V、3Vのいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。なお、電位範囲UVの具体的な数値は単なる例示であり、2.5V~3Vの範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。
【0088】
本願の実施例では、ステップS1においてサイクリックボルタモ法における走査速度はV1であり、0.1mV/s≦V1≦1mV/sを満たす。例えば、走査速度V1を、0.1mV/s、0.2mV/s、0.3mV/s、0.4mV/s、0.5mV/s、0.6mV/s、0.7mV/s、0.8mV/s、0.9mV/s、1mV/sのいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。走査速度V1の具体的な数値は単なる例示であり、0.1mV/s~1mV/sの範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。
【0089】
理解できるように、本願が提供する負極シートの非ファラデー電荷量の試験及び計算方法におけるサイクリックボルタモ法(CV)は、製造が簡単であり、操作方法が簡便であり、試験データが正確且つ安定であり、安全且つ環境にやさしい等の利点を有し、実際の応用価値を有する。
【0090】
本願の実施例では、ステップS2における前記負極活物質層の電位範囲ΔUVは、0.1≦ΔU≦0.5を満たす。例えば、負極活物質層の電位範囲ΔUVを、0.1V、0.15V、0.2V、0.25V、0.3V、0.35V、0.4V、0.45V、0.5Vのいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。なお、この電位間隔ΔUVの具体的な数値は単なる例示であり、0.1V~0.5Vの範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。
【0091】
本願の実施例では、ステップS2において線形走査ボルタモグラム法における走査速度V2は、0.05mV/s≦V2≦5mV/sを満たす。例えば、走査速度V2を、0.05mV/s、0.5mV/s、1mV/s、1.5mV/s、2mV/s、2.5mV/s、3mV/s、3.5mV/s、4mV/s、4.5mV/s、5mV/sのいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。該走査速度V2の具体的な数値は単なる例示であり、0.05mV/s~5mV/sの範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。
【0092】
本願の実施例では、ステップS3においてステップS2に基づいて、走査速度-電流散布図を検出し、走査速度-電流散布図に基づいて、負極シートの非ファラデー容量値Cdlを取得するステップは以下を含む。
【0093】
ボタン電池に対し線形走査ボルタモグラム法試験を行う時、複数の走査速度を選択し、ステップS2で検出された走査速度-電圧グラフに基づいて複数の電圧中央値を取得し、ここで、各走査速度は対応する電圧中央値に対応する。
【0094】
取得された複数の電圧中央値及び電圧-電流グラフに基づいて複数の電流値を取得し、ここで、各電流値は対応する電圧中央値に対応する。
【0095】
各走査速度と対応する電圧の中央値との対応関係、及び各電流値と対応する電圧の中央値との対応関係により、走査速度と電流値とのマッピング関係を確立し、それにより走査速度-電流散布図を検出した。
【0096】
走査速度-電流散布図に基づいて、フィッティングして線形関数を取得する。ここで、該線形関数の勾配は、負極シートの非ファラデー容量値Cdlである。
【0097】
5、負極シートの製造
【0098】
本願の二次電池における負極シートは、任意の公知の方法を用いて製造されることができる。例えば、負極活物質に導電剤、結着剤、添加剤及び溶剤等を添加し、スラリーを作製し、該スラリーを負極集電体にコーティングし、乾燥した後、圧延により電極を形成する。
【0099】
II、電解液
【0100】
本願の二次電池に用いられる電解液は、電解質と、電解質を溶解する溶剤とを含む。
【0101】
1、添加剤
【0102】
本願の実施例では、前記電解質はリチウム塩添加剤を含むが、これに限らず、前記リチウム塩添加剤はテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4と略称する)、リチウムビス(オキサラト)ボラート(LiBOBと略称する)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2と略称する)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(LiTFSIと略称する)、及びリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSIと略称する)を含むが、これらに限らない。上記のリチウム塩添加剤は単独で用いられてもよく、任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0103】
本願の実施例では、前記電解液の質量を基準として、前記電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量はXであり、0.1%≦X≦2%を満たす。例えば、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量Xを、0.1%、0.4%、0.7%、1%、1.3%、1.6%、2%のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。なお、該含有量Xの具体的な数値は単なる例示であり、0.1%~2%の範囲内の任意の値が本願の保護範囲内にある。
【0104】
本願の実施例では、前記電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、前記保護膜層の厚さH、及び前記負極シートの非ファラデー電荷量Qは、0.4≦10X・H+Q≦36を満たす。上記の範囲を満たすと、電池はより優れた総合性能を有する。
【0105】
2、電解質
【0106】
本願では、電解質は、本願の効果を損なわない限り、電解質として使える任意の公知の物質を用いられ、特に制限されない。二次電池の場合、通常にリチウム塩を用いる。本願の実施例では、前記電解質はLiPF6を含むが、これに限らない。
【0107】
一方、本願では、電解質の含有量は、本願の効果を損なわない限り、特に制限されない。例えば、電解質の含有量を、0.8mol/L~2.2mol/Lとしてもよい。
【0108】
3、溶剤
【0109】
本願では、溶剤は、本願の効果を損なわない限り、溶剤として使える任意の公知の物質を用いられ、特に制限されない。
【0110】
本願の実施例では、前記溶剤は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ブチレンカーボネート(BC)、及びメチルビニルカーボネート(MEC)を含むが、これらに限らない。上記の溶剤は単独で用いられてもよく、任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0111】
III、正極シート
【0112】
正極シートは、正極集電体と、前記正極集電体に配置された正極活物質層とを含む。
【0113】
1.正極活物質層
【0114】
前記正極活物質層は、単層又は多層であってもよく、多層の負極活物質層のそれぞれは、同一又は異なる正極活物質を含んでもよい。正極活物質は、リチウムイオン等の金属イオンを可逆的に吸蔵及び放出することが可能な任意の物質である。
【0115】
正極活物質
【0116】
前記正極活物質層は、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム(LFP)、及び三元物質を含む正極活物質を含むが、これらに限らない。
【0117】
本願の実施例では、前記三元材料は、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミン酸リチウムを含むが、これらに限らない。
【0118】
本願の実施例では、前記正極活物質はニッケルコバルトマンガン酸リチウムを含み、前記ニッケルコバルトマンガン酸リチウムにおいて、ニッケル元素とコバルト元素とマンガン元素とのモルを1とすれば、ニッケル元素の含有量は0.5以上である。
【0119】
本願の実施例では、前記正極活物質はニッケルコバルトマンガン酸リチウムを含み、前記ニッケルコバルトマンガン酸リチウムにおいて、ニッケル元素とコバルト元素とマンガン元素とのモル比を1とすれば、ニッケル元素の含有量は0.85以下である。
【0120】
本願の実施例では、前記正極活物質は、NCM523、NCM622又はNCM811のうち少なくとも一方を含む。
【0121】
本願の実施例では、前記正極活物質はドーピング元素をさらに含み、前記ドーピング元素は、正極活物質の構造をより安定させることができれば、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム等の元素を含んでもよい。
【0122】
本願の実施例では、前記正極活物質は、正極活物質の構造をより安定させることができれば、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム等の元素を含むことができる被覆元素をさらに含んでもよい。
【0123】
正極導電剤
【0124】
本願では、正極導電剤の種類は、本願の効果を損なわない限り、導電材料として使える任意の公知の物質を用いられ、特に制限されない。
【0125】
本願の実施例では、正極導電剤は、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、アセチレンブラック等のカーボンブラック、針状コークス等のアモルファスカーボンの炭素材料、カーボンナノチューブ、グラフェン等を含むが、これらに限らない。上記の正極導電剤は単独で用いられてもよく、任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0126】
正極結着剤
【0127】
正極結着剤の種類は、本願の効果を損なわない限り、特に制限されない。具体的には、コーティング法の場合、電極の製造時に用いられる液体媒体に溶解又は分散可能な材料であればよい。
【0128】
本願の実施例では、前記正極結着剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の正極導電材を単独又は組み合わせて用いることができる。
【0129】
2、正極集電体
【0130】
本願では、正極集電体の種類は、本願の効果を損なわない限り、正極集電体として使える任意の公知の物質を用いられ、特に制限されない。
【0131】
本願の実施例では、前記正極集電体は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料、炭素布、炭素紙等の炭素材料を含むが、これらに限らない。一実施例では、正極集電体は金属材料である。一実施例では、正極集電体はアルミニウム箔である。
【0132】
3、正極シートの製造
【0133】
本願の二次電池における正極シートは、任意の公知の方法を用いて製造されることができる。例えば、正極活物質に導電剤、結着剤及び溶剤等を添加し、スラリーを作製し、該スラリーを正極集電体にコーティングし、乾燥後、圧延することにより電極を形成する。負極活物質に対し圧延成形によってシート状の電極を形成してもよく、又は圧縮成形によって粒子電極を形成してもよい。
【0134】
IV、セパレータ
【0135】
短絡を防止するために、正極と負極との間には、通常、セパレータが配置されている。この場合、本願の電解液は、通常、該セパレータに浸透して用いられる。
【0136】
本願では、セパレータの材料、形状、厚さ、孔隙率及び平均孔径は、本願の効果を損なわない限り、特に制限されない。
【0137】
本願は電気化学装置をさらに提供し、この電気化学装置は上記の二次電池を含む。
【0138】
前記電気化学装置は、バッテリーパック又はバッテリーモジュールであってもよい。
【0139】
本願は電気使用装置をさらに提供し、この電気使用装置は電気自動車、蓄電池等を含む。
【0140】
以下、リチウムイオン電池の製造を、リチウムイオン電池を例に挙げて、具体的な実施例と併せて説明するが、当業者は、本明細書に記載された製造方法が単なる実施例に過ぎず、他の適切な製造方法が本願の範囲内にあることを理解すべきである。
【0141】
以下、本願のリチウムイオン電池の実施例及び比較例による性能評価について説明する。
【0142】
実施例1
【0143】
一、リチウムイオン電池の製造
【0144】
1、正極シートの製造
【0145】
正極活物質と正極導電剤と正極結着剤との質量比を96:2:2で混合し、その後、溶剤を添加して正極スラリーを製造し、製造された正極スラリーを正極集電体のアルミ箔の両側に均一にコーティングし、次に、120℃で乾燥し、圧延及び切断を行い、正極シートを得る。
【0146】
ここで、正極活物質はNCM622であり、正極導電剤はカーボンブラックであり、正極結着剤はポリフッ化ビニリデン(PVDF)であり、溶剤はN-メチルピロリドン(NMP)である。
【0147】
2、負極シートの製造
【0148】
揮発分は15%であり、灰分は0.3%である石油コークスの生コークスに対しロールミルで粉砕及び予め混合を行い、ここで、粉砕された後の石油コークスの生コークスの粒径は10μmである。
【0149】
粉砕された後の生成物に対し保護性雰囲気で高温黒鉛化処理を行い、ここで、温度は2800~3200℃であり、最高温度の保温時間は36hであり、保護性雰囲気はアルゴンガスである。
【0150】
連続型整形システムにおいて、生成物を8hをかけて研磨し整形し、材料の表面を滑らかで平らにする。
【0151】
黒鉛、第1被覆材料である軟炭素、及び溶剤を250℃の温度で混合し、混合液を真空引きして溶剤を除去し、その後、水平釜で650℃の温度で12時間の熱処理を行い、第1混合物を得る。
【0152】
第1混合物を特定の濃度の塩化アルミニウム溶液に添加し、且つアンモニア水を添加して溶液pHの安定性を保持し、8hで水解した後、溶液を濾過し、脱イオン水とアルコールで繰り返し洗浄し、乾燥した後水平釜において600℃で5hで熱処理して、三酸化アルミニウムで被覆された複合黒鉛被覆品を取得し、最後に、複合黒鉛被覆品に対し磁気除去スクリーニングを行い、最終の黒鉛完成品を得る。
【0153】
上記の人工黒鉛完成品、カーボンブラック、カルボキシメチルセルロースナトリウム、スチレンブタジエンゴム、及び溶剤を特定の比率で真空撹拌機を用いて撹拌し負極スラリーを取得し、製造された負極スラリーを負極集電体の銅箔の両側に均一にコーティングし、焼付け乾燥後に圧延及び切断を行い、負極シートを得、焼付け温度は90~110℃である。
【0154】
ここで、前記負極スラリーの乾燥粉において、質量百分率で計算すると、人造黒鉛、カーボンブラック、カルボキシメチルセルロースナトリウム、スチレンブタジエンゴムの質量比は96.5:1.5:1.5:0.5である。
【0155】
ここで、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは21°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは9mΩであり、負極活物質層のOI値は4.4であり、負極活物質の細粉の数量含有率は20%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は0である。
【0156】
3、電解液の製造
【0157】
エチレンカーボネート(EC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1:1で混合し、次に1mol/LのLiPF6を添加し均一に混合して電解液を製造する。
【0158】
4、セパレータの製造
【0159】
PPフィルムをセパレータとして用いる。
【0160】
5、リチウムイオン電池の製造
【0161】
上記のステップを用いて製造された負極シート、正極シートは乾燥した後、セパレータと一緒に巻き電気コアを製造し、正極アルミニウムシートと負極銅ニッケルメッキシートを電気コアに溶接し、且つ溶接済みの電気コアを穴開け済みのアルミニウムプラスチックフィルムに入れてパッケージングをし、電解液の注入、化成定容を経て二次電池が製造される。
【0162】
二、試験方法
【0163】
1、非ファラデー電荷量の試験及び計算方法
【0164】
S1、負極シートをボタン電池に組み立て、ボタン電池に対しサイクリックボルタモ法の試験を行い、ボタン電池の電位範囲UVを取得する。
【0165】
S2、ステップS1におけるボタン電池の電位範囲UVを選び、ボタン電池に対し線形走査ボルタモ法の試験を行い、走査速度-電圧グラフ及び電圧-電流グラフを検出し、電圧-電流グラフに基づいて負極活物質層の電位範囲ΔUVを取得し、ここで、走査方向は低電位から高電位までである。
【0166】
S3、
図1と合わせて、ステップS2に基づいて、走査速度-電流散布図を検出し、走査速度-電流散布図に基づいて負極シートの非ファラデー容量Cdl nFを取得する。
【0167】
S4、ステップS2とステップS3から得られた電位範囲ΔUVと非フラデー容量Cdl nFに基づいて、式Q=Cdl×ΔUにより、非フラデー電荷量Qを算出する。
【0168】
ここで、負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.28Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは1.4nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.2Vである。
【0169】
2、リチウムイオン電池のサイクル性能の試験方法
【0170】
リチウムイオン電池を25℃で30minで静置し、次に定電流1Cの倍率で放電し、10min静置した後、定電流定電圧1Cの倍率で充電し、10min静置した後、満充電-満放電サイクル試験を行い、リチウムイオン電池の容量が初期容量の80%を超えるまで繰り返し行い、サイクル数を記録する。
【0171】
3、リチウムイオン電池の高温循環性能の試験方法
【0172】
リチウムイオン電池を25℃で30minで静置し、次に定電流1Cの倍率で放電し、10minで静置した後、定電流定電圧1Cの倍率で充電し、10minで静置した後、満充電-満放電サイクル試験を行い、初期充放電容量と2000サイクルを循環した後の放電容量をそれぞれ記録し、容量保持率=2000サイクルの放電容量/初期放電容量×100%と計算する。
【0173】
実施例2
【0174】
実施例2は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0175】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.07Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは0.7nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.1Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは35°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは18mΩであり、負極活物質層のOI値は5であり、負極活物質の細粉の数量含有率は60%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は50%である。
【0176】
実施例3
【0177】
実施例3は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0178】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは2Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは4.0nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.5Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは22°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは8mΩであり、負極活物質層のOI値は2.5であり、負極活物質の細粉の数量含有率は35%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は30%である。
【0179】
実施例4
【0180】
実施例4は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0181】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.26Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは1.3nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.2Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは20°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは10mΩであり、負極活物質層のOI値は4.4であり、負極活物質の細粉の数量含有率は0%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は20%である。
【0182】
同時に、実施例4の電解液にリチウム塩添加剤を添加せず、保護膜層の厚さHnmは60nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量はXであり、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=0.26を満たす。
【0183】
実施例5
【0184】
実施例5は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0185】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは2.5Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは5.0nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.5Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは10°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは5mΩであり、負極活物質層のOI値は2.1であり、負極活物質の細粉の数量含有率は10%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は10%である。
【0186】
実施例6
【0187】
実施例6は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0188】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.54Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは2.7nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.2Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは25°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは10mΩであり、負極活物質層のOI値は4であり、負極活物質の細粉の数量含有率は0%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は30%である。
【0189】
実施例7
【0190】
実施例7は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0191】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.78Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは3.9nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.2Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは23°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは8mΩであり、負極活物質層のOI値は2.5であり、負極活物質の細粉の数量含有率は35%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は30%である。
【0192】
実施例8
【0193】
実施例8は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0194】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.96Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは4.8nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.2Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは12°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは5mΩであり、負極活物質層のOI値は2.2であり、負極活物質の細粉の数量含有率は15%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は20%である。
【0195】
実施例9
【0196】
実施例9は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0197】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは1.11Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは3.7nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.3Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは22°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは8mΩであり、負極活物質層のOI値は2.4であり、負極活物質の細粉の数量含有率は35%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は30%である。
【0198】
実施例10
【0199】
実施例10は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0200】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは1.41Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは4.7nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.3Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは12°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは5mΩであり、負極活物質層のOI値は2.2であり、負極活物質の細粉の数量含有率は0%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は20%である。
【0201】
実施例11
【0202】
実施例11は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0203】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは1.72Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは4.3nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.4Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは20°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは6mΩであり、負極活物質層のOI値は2.2であり、負極活物質の細粉の数量含有率は35%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は25%である。
【0204】
実施例12
【0205】
実施例12は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0206】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.12Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは0.4nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.3Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは37°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは15mΩであり、負極活物質層のOI値は5.5であり、負極活物質の細粉の数量含有率は25%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は25%である。
【0207】
実施例13
【0208】
実施例13は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0209】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.225Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは2.5nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.09Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは20°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは8mΩであり、負極活物質層のOI値は6.5であり、負極活物質の細粉の数量含有率は10%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は15%である。
【0210】
実施例14
【0211】
実施例14は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0212】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.45Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは1.5nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.3Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは25°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは10mΩであり、負極活物質層のOI値は7であり、負極活物質の細粉の数量含有率は25%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は0%である。
【0213】
実施例15
【0214】
実施例15は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0215】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.12Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは1.2nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.1Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは22°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは8mΩであり、負極活物質層のOI値は9であり、負極活物質の細粉の数量含有率は0%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は22%である。
【0216】
実施例16
【0217】
実施例16は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0218】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiFSIであり、電解液においてリチウム塩添加剤の含有量Xは1%であり、保護膜層の厚さHnmは120nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=12.26を満たす。
【0219】
実施例17
【0220】
実施例17は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0221】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiFSIであり、電解液においてリチウム塩添加剤の含有量Xは0.5%であり、保護膜層の厚さHnmは100nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=5.26を満たす。
【0222】
実施例18
【0223】
実施例18は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0224】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiFSIであり、電解液においてリチウム塩添加剤の含有量Xは1.5%であり、保護膜層の厚さHnmは150nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=22.76を満たす。
【0225】
実施例19
【0226】
実施例19は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0227】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiFSIであり、電解液においてリチウム塩添加剤の含有量Xは2%であり、保護膜層の厚さHnmは180nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=36.26を満たす。
【0228】
実施例20
【0229】
実施例20は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0230】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiFSIであり、電解液においてリチウム塩添加剤の含有量Xは2.5%であり、保護膜層の厚さHnmは200nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=50.26を満たす。
【0231】
実施例21
【0232】
実施例21は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0233】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiPO2F2であり、電解液においてリチウム塩添加剤の含有量Xは1%であり、保護膜層の厚さHnmは110nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=11.26を満たす。
【0234】
実施例22
【0235】
実施例22は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0236】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiPO2F2であり、電解液においてリチウム塩添加剤の含有量Xは0.8%であり、保護膜層の厚さHnmは120nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=5.26を満たす。
【0237】
実施例23
【0238】
実施例23は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0239】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiBF4であり、電解液においてリチウム塩添加剤の含有量Xは0.5%であり、保護膜層の厚さHnmは120nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=5.26を満たす。
【0240】
実施例24
【0241】
実施例24は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0242】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiFSI+LiPO2F2であり、電解液においてLiFSIの含有量は0.5%であり、電解液においてLiPO2F2の含有量は0.3%であり、保護膜層の厚さHnmは120nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=9.86を満たす。
【0243】
実施例25
【0244】
実施例25は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0245】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiFSI+LiPO2F2であり、電解液においてLiFSIの含有量は0.5%であり、電解液においてLiPO2F2の含有量は0.5%であり、保護膜層の厚さHnmは150nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=15.26を満たす。
【0246】
実施例26
【0247】
実施例26は、実施例4の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例4の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例4と同じである。
【0248】
電解液においてリチウム塩添加剤の種類はLiFSI+LiBF4であり、電解液においてLiFSIの含有量は0.3%であり、電解液においてLiBF4の含有量は0.2%であり、保護膜層の厚さHnmは130nmであり、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH及び負極シートの非ファラデー電荷量Qは、10X・H+Q=6.75を満たす。
【0249】
比較例1
【0250】
比較例1は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0251】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは3Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは6.0nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.5Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは45°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは5mΩであり、負極活物質層のOI値は10であり、負極活物質の細粉の数量含有率は0%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は65%である。
【0252】
比較例2
【0253】
比較例2は、実施例1の方法によってリチウムイオン電池を製造しつつ、実施例1の試験方法によってリチウムイオン電池に対し試験を行うが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0254】
負極シートの非ファラデー電荷量QCは0.02Cであり、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFは0.2nFであり、負極活物質層の電位範囲ΔUVは0.1Vであり、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θは10°であり、負極活物質層の抵抗R mΩは25mΩであり、負極活物質層のOI値は8であり、負極活物質の細粉の数量含有率は85%であり、負極活物質の粗粉の数量含有率は65%である。
【0255】
三、試験結果
【0256】
表1では、負極シートの非ファラデー電荷量QC、負極シートの非ファラデー容量Cdl nF、負極活物質層の電位範囲ΔUV、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θ、負極活物質層の抵抗R mΩ、負極活物質層のOI値、負極活物質の細粉の数量含有率及び負極活物質の粗粉の数量含有率が、リチウムイオン電池の常温サイクル性能及び高温サイクル性能に与える影響を示す。
【0257】
【0258】
その結果、負極シートの非ファラデー電荷量QCを0.05C~2.5Cの範囲内に制御し、負極シートの非ファラデー容量Cdl nFを0.5nF~5nFの範囲内に制御し、負極活物質層の電位範囲ΔUVを0.1V~0.5Vの範囲内に制御し、負極活物質層の電解液に対する表面接触角θを10~40°の範囲内に制御し、負極活物質層の抵抗R mΩを5mΩ~20mΩの範囲内に制御し、負極活物質層のOI値を2~15の範囲内に制御し、負極活物質の細粉の数量含有率を0~80%の範囲内に制御し、負極活物質の粗粉の数量含有率を0~60%の範囲内に制御すると、リチウムイオン電池のサイクル寿命を大幅に向上させることができる。
【0259】
その上で、負極シートのファラデー容量Cdl nFを1.4nF~4.3nFの範囲内に制御し、電解液の表面に対する負極活物質層の接触角θを12~35°の範囲内に制御し、負極活物質層の抵抗R mΩを5mΩ~12mΩの範囲内に制御し、負極活物質層のOI値を2~10の範囲内に制御し、負極活物質の細粉の数量含有率を0~40%の範囲内に制御し、負極活物質の粗粉の数量含有率を0~30%の範囲内に制御すると、リチウムイオン電池のサイクル寿命をさらに向上させることができる。
【0260】
表2では、電解液におけるリチウム塩添加剤の種類、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さHnm、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚さH、及び負極シートの非ファラデー電荷量Qの関係は10X・H+Qを満たす場合、リチウムイオン電池の常温サイクル性能及び高温サイクル性能に及ぼす影響を示す。
【0261】
【0262】
その結果、電解液におけるリチウム塩添加剤の種類を、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4と略称する)、リチウムビス(オキサラト)ボラート(LiBOBと略称する)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2と略称する)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(LiTFSIと略称する)、及びリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSIと略称する)のうち1つ以上に制御し、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量Xを0.1%~2%の範囲内に制御し、保護膜層の厚みHnmを5nm~180nmの範囲内に制御し、電解液におけるリチウム塩添加剤の含有量X、保護膜層の厚みHと負極シートの非フラデー量Qとの関係10X・H+Qを0.4~36の範囲内に制御すると、リチウムイオン電池のサイクル寿命を大幅に向上させることができる。
【0263】
上記のステップで提供された説明は、本願の方法、構造及び核心思想の理解を助けるためのものに過ぎない。当業者にとって、本願の原理から逸脱することなく、本願に多くの改良および変形を加えることができ、これらもまた本願の特許請求の範囲の保護範囲に属することを理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極シートと、セパレータと、電解液と、負極シートとを含み、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体に配置された負極活物質層とを含み、
ここで、前記負極シートの非ファラデー電荷量はQCであり、0.05≦Q≦2.5を満たし、Q=Cdl×ΔUとし、
Cdl nFは前記負極シートの非ファラデー容量であり、
ΔUVは、前記負極活物質層の電位範囲である、
二次電池。
【請求項2】
前記Cdlは0.5≦Cdl≦5を満たし、前記ΔUは0.1≦ΔU≦0.5を満たす、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記負極活物質層は、人造黒鉛、天然黒鉛、軟質炭、硬質炭素、アモルファスカーボン、炭素繊維カーボンナノチューブ、又はメソカーボンマイクロスフェアのうち1つ以上を含む、
請求項1
又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
電解液の表面に対する前記負極活物質層の接触角はθであり、前記θは、10°≦θ≦40°を満たす、
請求項1
又は2に記載の二次電池。
【請求項5】
前記負極活物質層の抵抗はRmΩであり、5≦R≦20を満たす、
請求項1
又は2に記載の二次電池。
【請求項6】
前記負極活物質層のOI値の大きさは2~15である、
請求項1
又は2に記載の二次電池。
【請求項7】
前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質の細粉の数量含有率は0~80%であり、前記負極活物質の粗粉の数量含有率は0~60%であり、
前記細粉とは、粒径が2.2μm以下の負極活物質粒子を指し、前記粗粉とは、粒径が35μm以上の負極活物質粒子を指す、
請求項1
又は2に記載の二次電池。
【請求項8】
前記負極活物質の細粉の数量含有率は0~40%であり、
前記負極活物質の粗粉の数量含有率は0~30%である、
請求項7に記載の二次電池。
【請求項9】
前記電解
液はリチウム塩添加剤を含み、前記リチウム塩添加剤は、テトラフルオロホウ酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボラート、ジフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、及びリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドのうち1つ以上を含む、
請求項1
又は2に記載の二次電池。
【請求項10】
前記電解液においてリチウム塩添加剤の含有量はXであり、0.1%≦X≦2%を満たす、
請求項9に記載の二次電池。
【請求項11】
前記負極活物質層には保護膜層を含み、前記保護膜層の厚さはHnmであり、
0.4≦10X・H+Q≦36を満たす、
請求項1
又は2に記載の二次電池。
【請求項12】
前記保護膜層の厚さHnmは、5≦H≦180を満たす、
請求項11に記載の二次電池。
【請求項13】
請求項1
又は2に記載の二次電池を含む、
電気化学装置。
【国際調査報告】