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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ニラパリブ粒子およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20241114BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241114BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61K31/454
A61K9/10
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/32
A61K9/12
A61K9/14
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524405
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 US2022079440
(87)【国際公開番号】W WO2023086779
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/277,780
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519401413
【氏名又は名称】クリチテック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シッテナウアー,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】アバルカ,アランザ,バレーダ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,シェルビー
(72)【発明者】
【氏名】ファージング,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ディゼレガ,ギア,エス
(72)【発明者】
【氏名】バルテザー,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA29
4C076BB11
4C076BB27
4C076CC27
4C076FF16
4C076FF43
4C076FF68
4C076GG02
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA13
4C084MA23
4C084MA43
4C084MA56
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC37
4C086GA07
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA23
4C086MA43
4C086MA56
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA11
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
少なくとも95重量%のニラパリブを有し、比表面積(SSA)が少なくとも5m2/gの粒子の組成物、それらの使用のための方法、およびそれらの生成のための方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも95重量%のニラパリブ、またはその薬学的に許容される塩を含む粒子を含む組成物であって、前記粒子が、少なくとも5m/g、6m/g、7m/g、8m/g、9m/g、10m/g、11m/g、12m/g、13m/g、14m/g、15m/g、16m/g、17m/g、18m/g、19m/g、20m/g、21m/g、22m/g、23m/g、または24m/gの比表面積(SSA)を有する、組成物。
【請求項2】
前記粒子が、少なくとも10m/gのSSAを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粒子が、少なくとも15m/gのSSAを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記粒子が、5m/g~約50m/g、約6m/g~約50m/g、約7m/g~約50m/g、約8m/g~約50m/g、約9m/g~約50m/g、約10m/g~約50m/g、約11m/g~約50m/g、約12m/g~約50m/g、約13m/g~約50m/g、約14m/g~約50m/g、約15m/g~約50m/g、約16m/g~約50m/g、約17m/g~約50m/g、約18m/g~約50m/g、約19m/g~約50m/g、約20m/g~約50m/g、約21m/g~約50m/g、約22m/g~約50m/g、約23m/g~約50m/g、約24m/g~約50m/g、5m/g~約45m/g、約6m/g~約45m/g、約7m/g~約45m/g、約8m/g~約45m/g、約9m/g~約45m/g、約10m/g~約45m/g、約11m/g~約45m/g、約12m/g~約45m/g、約13m/g~約45m/g、約14m/g~約45m/g、約15m/g~約45m/g、約16m/g~約45m/g、約17m/g~約45m/g、約18m/g~約45m/g、約19m/g~約45m/g、約20m/g~約45m/g、約21m/g~約45m/g、約22m/g~約45m/g、約23m/g~約45m/g、約24m/g~約45m/g、5m/g~約40m/g、約6m/g~約40m/g、約7m/g~約40m/g、約8m/g~約40m/g、約9m/g~約40m/g、約10m/g~約40m/g、約11m/g~約40m/g、約12m/g~約40m/g、約13m/g~約40m/g、約14m/g~約40m/g、約15m/g~約40m/g、約16m/g~約40m/g、約17m/g~約40m/g、約18m/g~約40m/g、約19m/g~約40m/g、約20m/g~約40m/g、約21m/g~約40m/g、約22m/g~約40m/g、約23m/g~約40m/g、約24m/g~約40m/g、5m/g~約35m/g、約6m/g~約35m/g、約7m/g~約35m/g、約8m/g~約35m/g、約9m/g~約35m/g、約10m/g~約35m/g、約11m/g~約35m/g、約12m/g~約35m/g、約13m/g~約35m/g、約14m/g~約35m/g、約15m/g~約35m/g、約16m/g~約35m/g、約17m/g~約35m/g、約18m/g~約35m/g、約19m/g~約35m/g、約20m/g~約35m/g、約21m/g~約35m/g、約22m/g~約35m/g、約23m/g~約35m/g、約24m/g~約35m/g、5m/g~約30m/g、約6m/g~約30m/g、約7m/g~約30m/g、約8m/g~約30m/g、約9m/g~約30m/g、約10m/g~約30m/g、約11m/g~約30m/g、約12m/g~約30m/g、約13m/g~約30m/g、約14m/g~約30m/g、約15m/g~約30m/g、約16m/g~約30m/g、約17m/g~約30m/g、約18m/g~約30m/g、約19m/g~約30m/g、約20m/g~約30m/g、約21m/g~約30m/g、約22m/g~約30m/g、約23m/g~約30m/g、または約24m/g~約30m/gのSSAを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記粒子が、直径で約1.0ミクロン~約10.0ミクロン、または直径で約1ミクロン~約6ミクロン、または直径で約2ミクロン~約6ミクロンの体積分布(Dv50)による平均粒度を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記粒子が、約0.020g/cm~約0.500g/cmの平均かさ密度(タップ密度ではない)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記粒子が、約0.020g/cm~約0.475g/cm、約0.020g/cm~約0.450g/cm、約0.020g/cm~約0.425g/cm、約0.020g/cm~約0.400g/cm、約0.020g/cm~約0.375g/cm、約0.020g/cm~約0.350g/cm、約0.020g/cm~約0.325g/cm、約0.020g/cm~約0.300g/cm、約0.020g/cm~約0.275g/cm、約0.020g/cm~約0.250g/cm、約0.020g/cm~約0.225g/cm、約0.020g/cm~約0.200g/cm、約0.020g/cm~約0.175g/cm、約0.020g/cm~約0.150g/cm、約0.020g/cm~約0.125g/cm、約0.020g/cm~約0.100g/cm、約0.040g/cm~約0.475g/cm、約0.040g/cm~約0.450g/cm、約0.040g/cm~約0.425g/cm、約0.040g/cm~約0.400g/cm、約0.040g/cm~約0.375g/cm、約0.040g/cm~約0.350g/cm、約0.040g/cm~約0.325g/cm、約0.040g/cm~約0.300g/cm、約0.040g/cm~約0.275g/cm、約0.040g/cm~約0.250g/cm、約0.040g/cm~約0.225g/cm、約0.040g/cm~約0.200g/cm、約0.040g/cm~約0.175g/cm、約0.040g/cm~約0.150g/cm、約0.040g/cm~約0.125g/cm、約0.040g/cm~約0.100g/cm、約0.060g/cm~約0.475g/cm、約0.060g/cm~約0.450g/cm、約0.060g/cm~約0.425g/cm、約0.060g/cm~約0.400g/cm、約0.060g/cm~約0.375g/cm、約0.060g/cm~約0.350g/cm、約0.060g/cm~約0.325g/cm、約0.060g/cm~約0.300g/cm、約0.060g/cm~約0.275g/cm、約0.060g/cm~約0.250g/cm、約0.060g/cm~約0.225g/cm、約0.060g/cm~約0.200g/cm、約0.060g/cm~約0.175g/cm、約0.060g/cm~約0.150g/cm、約0.060g/cm~約0.125g/cm、または約0.060g/cm~約0.100g/cmの平均かさ密度(タップ密度ではない)を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記粒子が、約0.050g/cm~約0.600g/cmの平均タップ密度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記粒子が、約0.050g/cm~約0.575g/cm、約0.050g/cm~約0.550g/cm、約0.050g/cm~約0.525g/cm、約0.050g/cm~約0.500g/cm、約0.050g/cm~約0.475g/cm、約0.050g/cm~約0.450g/cm、約0.050g/cm~約0.425g/cm、約0.050g/cm~約0.400g/cm、約0.050g/cm~約0.375g/cm、約0.050g/cm~約0.350g/cm、約0.050g/cm~約0.325g/cm、約0.050g/cm~約0.300g/cm、約0.050g/cm~約0.275g/cm、約0.050g/cm~約0.250g/cm、約0.050g/cm~約0.225g/cm、約0.050g/cm~約0.200g/cm、約0.050g/cm~約0.175g/cm、約0.050g/cm~約0.150g/cm、約0.050g/cm~約0.125g/cm、約0.075g/cm~約0.575g/cm、約0.075g/cm~約0.550g/cm、約0.075g/cm~約0.525g/cm、約0.075g/cm~約0.500g/cm、約0.075g/cm~約0.475g/cm、約0.075g/cm~約0.450g/cm、約0.075g/cm~約0.425g/cm、約0.075g/cm~約0.400g/cm、約0.075g/cm~約0.375g/cm、約0.075g/cm~約0.350g/cm、約0.075g/cm~約0.325g/cm、約0.075g/cm~約0.300g/cm、約0.075g/cm~約0.275g/cm、約0.075g/cm~約0.250g/cm、約0.075g/cm~約0.225g/cm、約0.075g/cm~約0.200g/cm、約0.075g/cm~約0.175g/cm、約0.075g/cm~約0.150g/cm、約0.075g/cm~約0.125g/cm、約0.100g/cm~約0.575g/cm、約0.100g/cm~約0.550g/cm、約0.100g/cm~約0.525g/cm、約0.100g/cm~約0.500g/cm、約0.100g/cm~約0.475g/cm、約0.100g/cm~約0.450g/cm、約0.100g/cm~約0.425g/cm、約0.100g/cm~約0.400g/cm、約0.100g/cm~約0.375g/cm、約0.100g/cm~約0.350g/cm、約0.100g/cmおよび約0.325g/cm、約0.100g/cm~約0.300g/cm、約0.100g/cm~約0.275g/cm、約0.100g/cm~約0.250g/cm、約0.100g/cm~約0.225g/cm、約0.100g/cm~約0.200g/cm、約0.100g/cm~約0.175g/cm、約0.100g/cm~約0.150g/cm、または約0.100g/cm~約0.125g/cmの平均タップ密度を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記粒子が、少なくとも96%、97%、98%、99%、または100%のニラパリブ、またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記粒子が、コーティングされておらず、ポリマーと、タンパク質と、ポリエトキシル化ひまし油と、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドならびにポリエチレングリコールのモノエステルおよびジエステルで構成されるポリエチレングリコールグリセリド類とを含まない、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、薬学的に許容される液体担体をさらに含む懸濁液を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ポリソルベート、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マンニトール、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される1つまたは複数の成分をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記懸濁液が、エアロゾル化され、前記懸濁液のエアロゾル液滴の空気動力学的中央粒子径(MMAD)が、直径約0.5μm~約6μmなどの使用のための任意の適切な直径であり得る、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
(a)前記組成物が、乾燥粉末組成物であり、前記乾燥粉末組成物が、担体もしくは任意の賦形剤を含まず、前記乾燥粉末組成物が、エアロゾル化され、前記エアロゾル化乾燥粉末組成物の前記MMADが、直径で約0.5μm~約6μmなどの使用のための任意の適切な直径であり得る、または
(b)前記組成物が、乾燥粉末組成物であり、前記乾燥粉末組成物が、1つまたは複数の乾燥粉末賦形剤を含む薬学的に許容される乾燥粉末担体を含み、前記乾燥粉末組成物が、エアロゾル化され、前記エアロゾル化乾燥粉末組成物の前記MMADが、直径で約0.5μm~約6μmなどの使用のための任意の適切な直径であり得る、
請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ニラパリブの前記薬学的に許容される塩が、トシル酸ニラパリブ一水和物を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
腫瘍を処置するための方法であって、腫瘍を有する対象に、前記腫瘍を処置するのに有効量の請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項18】
前記腫瘍が、癌腫、乳房の腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、卵管腫瘍、腹膜腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、消化管腫瘍、精巣腫瘍、子宮頸部腫瘍、頭頸部腫瘍、食道腫瘍、中皮腫、脳腫瘍、神経芽腫、もしくは腎細胞腫瘍を含む;場合によっては、前記対象が、(i)初回のプラチナを用いた化学療法に対して完全奏功または部分奏功にある進行性の上皮性卵巣癌、卵管癌、もしくは原発性の腹膜癌、(ii)プラチナを用いた化学療法に対して完全奏功または部分奏功にある再発性の上皮性卵巣癌、卵管癌、もしくは原発性の腹膜癌、または(iii)3回もしくはそれ以上の以前の化学療法レジメンで処置されており、その癌が:
・有害もしくは有害性が疑われるBRCA突然変異、または
・ゲノム不安定性
のいずれかにより定義されている相同組換え修復欠損(HRD)陽性状態と関連し、最後のプラチナを用いた化学療法に対する応答後、6ヶ月以上経過している進行性の卵巣癌、卵管癌、もしくは原発性の腹膜癌を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象への、アントラサイクリン、代謝拮抗剤、アルキル化剤(シスプラチンを含むがこれに限定されない)、アルカロイド、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない)、および/またはトポイソメラーゼ阻害剤を含むがこれらに限定されない追加の治療をさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、ヒト対象である、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、腫瘍内注入、腫瘍周囲注入、腹腔内注入、肺投与により投与されるか、乳腺脂肪体に投与される、請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ニラパリブ粒子を製造するための方法であって:
(a)(i)エタノール、メタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、もしくはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない少なくとも1つの溶媒、およびニラパリブまたはその薬学的に許容される塩を含む少なくとも1つの溶質を含む溶液をノズル入口に導入するステップ、ならびに(ii)圧縮流体を、加圧可能なチャンバを定義する容器の入口に導入するステップ;
(b)前記溶液をノズルオリフィスから前記加圧可能なチャンバに通過させて、微粒化液滴の排出流を生成するステップであって、前記ノズルオリフィスが、前記排出流内に位置する音波エネルギー源から2mm~20mmに位置し、前記音波エネルギー源が、前記通過の間に10%~100%の振幅を有する音波エネルギーを生成し、前記ノズルオリフィスが、20μm~125μmの直径を有する、ステップ;
(c)前記微粒化液滴を前記圧縮流体と接触させて、前記微粒化液滴からの前記溶媒の除去を引き起こして、少なくとも95%のニラパリブもしくはその薬学的に許容される塩を含むニラパリブ粒子を生成するステップであって、前記ニラパリブ粒子が、少なくとも5m/gの比表面積(SSA)を有する、場合によっては直径で約1.0ミクロン~約10.0ミクロンの体積分布(Dv50)による平均粒度を有する、ステップを含み、
ステップ(a)、(b)、および(c)が、前記圧縮流体の超臨界の温度および圧力の下で実行される、方法。
【請求項23】
(d)ステップ(c)で生成された前記化合物粒子を逆溶媒と接触させて、前記化合物粒子からの前記溶媒のさらなる除去を引き起こすステップをさらに含み、ステップ(d)が、前記逆溶媒の超臨界の温度および圧力の下で実行される、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ノズルを通る前記溶液の流量が、約0.5mL/分~約30mL/分の範囲である、請求項22から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記音波エネルギー源が、ソニックホーン、ソニックプローブ、またはソニックプレートの1つを含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記音波エネルギー源が、約18kHz~約22kHz、または約20kHzの周波数を有する、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
(e)前記加圧可能なチャンバの前記出口を通る前記複数の粒子を受け取るステップ;ならびに
(f)前記複数の粒子を収集装置に回収するステップ
をさらに含む、請求項22から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記圧縮流体が、超臨界二酸化炭素である、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記逆溶媒が、超臨界二酸化炭素である、請求項22から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
31.1℃~約60℃、および約1071psi~約1800psiで実行される、請求項22から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記粒子が、少なくとも10m/gのSSAを有する、請求項22から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
請求項22から31のいずれか一項に記載の方法により調製される、ニラパリブ粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年11月10日に出願された米国仮特許出願第63/277,780号に基づき優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
溶出速度は、薬物吸収の速度および程度ならびに生物学的利用能の決定における主要パラメータである。難水溶性およびインビボ難溶出性は、多くの薬物のインビボ生物学的利用能にとって制限因子である。したがって、インビトロ溶出速度は、薬物開発において重要な要素として認識され、難溶性薬物の溶出速度を高めるための方法および組成物が必要である。
【発明の概要】
【0003】
一態様において、本開示は、少なくとも95重量%のニラパリブ、またはその薬学的に許容される塩を含む粒子を含む組成物であって、粒子が、少なくとも5m/gの比表面積(SSA)を有する、組成物を提供する。別の実施形態において、粒子は、5m/g~約50m/gのSSAを有する。さらなる実施形態において、粒子は、直径で約1.0ミクロン~約10.0ミクロンの体積分布(Dv50)による平均粒度を有する。一実施形態において、粒子は、約0.020g/cm~約0.500g/cmの平均かさ密度(タップ密度ではない)を有する。別の実施形態において、粒子は、約0.050g/cm~約0.600g/cmの平均タップ密度を有する。
【0004】
一実施形態において、粒子はコーティングされておらず、ポリマーと、タンパク質と、ポリエトキシル化ひまし油と、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドならびにポリエチレングリコールのモノエステルおよびジエステルで構成されるポリエチレングリコールグリセリド類とを含まない。別の実施形態において、組成物は、薬学的に許容される液体担体をさらに含む懸濁液を含む。一実施形態において、懸濁液はエアロゾル化され、懸濁液のエアロゾル液滴の空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、直径約0.5μm~約6μmなどの使用のための任意の適切な直径であり得る。別の実施形態において、組成物は乾燥粉末組成物であり、乾燥粉末組成物はエアロゾル化され、エアロゾル化乾燥粉末組成物のMMADは、直径で約0.5μm~約6μmなどの使用のための任意の適切な直径であり得る。一実施形態において、ニラパリブの薬学的に許容される塩は、トシル酸ニラパリブ一水和物を含む。
【0005】
別の態様において、本開示は、腫瘍を処置するための方法であって、腫瘍を有する対象に、腫瘍を処置するのに有効な量の本開示の任意の実施形態または実施形態の組み合わせの組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。別の態様において、本開示は、ニラパリブ粒子を製造するための方法であって:
(a)(i)エタノール、メタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、もしくはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない少なくとも1つの溶媒、およびニラパリブまたはその薬学的に許容される塩を含む少なくとも1つの溶質を含む溶液をノズル入口に導入するステップ、ならびに(ii)圧縮流体を、加圧可能なチャンバを定義する容器の入口に導入するステップ;
(b)溶液をノズルオリフィスから加圧可能なチャンバに通過させて、微粒化液滴の排出流を生成するステップであって、ノズルオリフィスが、排出流内に位置する音波エネルギー源から2mm~20mmに位置し、音波エネルギー源が、通過の間に10%~100%の振幅を有する音波エネルギーを生成し、ノズルオリフィスが、20μm~125μmの直径を有する、ステップ;
(c)微粒化液滴を圧縮流体と接触させて、微粒化液滴からの溶媒の除去を引き起こして、少なくとも95%のニラパリブもしくはその薬学的に許容される塩を含むニラパリブ粒子を生成するステップであって、ニラパリブ粒子が、少なくとも5m/gの比表面積(SSA)を有する、場合によっては直径で約1.0ミクロン~約10.0ミクロンの体積分布(Dv50)による平均粒度を有する、ステップを含み、
ステップ(a)、(b)、および(c)が、圧縮流体の超臨界の温度および圧力の下で実行される、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】(A)未加工品ニラパリブ500倍、(B)未加工品ニラパリブ2000倍の走査型電子顕微鏡検査の顕微鏡写真。
図2】(A)ニラパリブSC1 1000倍、(B)ニラパリブSC1 5000倍の走査型電子顕微鏡検査の顕微鏡写真。
図3】(A)ニラパリブSC2 1000倍、(B)ニラパリブSC2 5000倍の走査型電子顕微鏡検査の顕微鏡写真。
図4】(A)ニラパリブSC3 1000倍、(B)ニラパリブSC3 5000倍の走査型電子顕微鏡検査の顕微鏡写真。
図5】(A)ニラパリブSC4 1000倍、(B)ニラパリブSC4 5000倍の走査型電子顕微鏡検査の顕微鏡写真。
図6】ニラパリブ未加工品と比較したニラパリブ実験SC1~SC4についての粉末X線回折パターン
図7】10%MeOH-水900mL中、50rpmでの、未処理ニラパリブ(未加工)または処理済みニラパリブ粒子の溶出を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0007】
引用されたすべての参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上特に明確に指示されていない限り、複数の参照を含む。本開示の任意の態様のすべての実施形態は、文脈上特に明確に指示されていない限り、組み合わせて使用することができる。
【0008】
本明細書で使用されるように、「約」は、明示された数値の+/-5%を意味する。
【0009】
一態様において、本開示は、少なくとも95重量%のニラパリブ、またはその薬学的に許容される塩を含む粒子を含む組成物であって、粒子が、少なくとも5m/gの比表面積(SSA)を有する、組成物を提供する。そのような粒子は、本明細書では、「ニラパリブ粒子」と呼ばれる。
【0010】
本明細書で使用されるように、「ニラパリブ」は、塩基、酸、および中性の状態を含むニラパリブの任意のイオン化状態を含む。
【0011】
【化1】

ニラパリブの化学名:(S)-2-(4-(ピペリジン-3-イル)フェニル)-2H-インダゾール-7-カルボキサミド
【0012】
「ニラパリブ粒子」は、ニラパリブ、またはその薬学的に許容される塩の粒子を指し、さらなる賦形剤を含まない。ニラパリブ粒子は、ニラパリブと少なくとも1つのさらなる賦形剤とを含む粒子である「ニラパリブを含有する粒子」とは異なる。本開示のニラパリブ粒子は、ポリマー、ワックスまたはタンパク質の賦形剤を含まず、固形賦形剤に埋め込まれていない、包含されていない、封入されていない、またはカプセル化されていない。しかし、本開示のニラパリブ粒子は、通常ニラパリブの調製中に認められる不純物および副産物を含む場合がある。それでも、ニラパリブ粒子は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のニラパリブ、またはその薬学的に許容される塩を含み、そのニラパリブ粒子が、実質的に純粋なニラパリブまたはニラパリブの薬学的に許容される塩からなるか、本質的にそれらからなることを意味する。
【0013】
本明細書で使用されるように、「比表面積」は、ブルナウアー-エメット-テラー(「BET」)等温線(すなわち:BET SSA)により測定されたニラパリブ質量単位あたりのニラパリブ粒子の全表面積である。当業者によって理解されるように、SSAは、グラムあたりの基準で決定され、組成物中の凝集および非凝集のニラパリブ粒子の両方を考慮している。BET比表面積試験手順は、米国薬局方およびヨーロッパ薬局方の両方に含まれる公定法である。ニラパリブ粒子は、少なくとも5m/gの比表面積(SSA)を有する。種々のさらなる実施形態において、ニラパリブ粒子は、少なくとも6m/g、7m/g、8m/g、9m/g、10m/g、11m/g、12m/g、13m/g、14m/g、15m/g、16m/g、17m/g、18m/g、19m/g、20m/g、21m/g、22m/g、23m/g、または24m/gのSSAを有する。
【0014】
さらなる実施形態において、ニラパリブ粒子は、5m/g~約50m/g、約6m/g~約50m/g、約7m/g~約50m/g、約8m/g~約50m/g、約9m/g~約50m/g、約10m/g~約50m/g、約11m/g~約50m/g、約12m/g~約50m/g、約13m/g~約50m/g、約14m/g~約50m/g、約15m/g~約50m/g、約16m/g~約50m/g、約17m/g~約50m/g、約18m/g~約50m/g、約19m/g~約50m/g、約20m/g~約50m/g、約21m/g~約50m/g、約22m/g~約50m/g、約23m/g~約50m/g、約24m/g~約50m/g、5m/g~約45m/g、約6m/g~約45m/g、約7m/g~約45m/g、約8m/g~約45m/g、約9m/g~約45m/g、約10m/g~約45m/g、約11m/g~約45m/g、約12m/g~約45m/g、約13m/g~約45m/g、約14m/g~約45m/g、約15m/g~約45m/g、約16m/g~約45m/g、約17m/g~約45m/g、約18m/g~約45m/g、約19m/g~約45m/g、約20m/g~約45m/g、約21m/g~約45m/g、約22m/g~約45m/g、約23m/g~約45m/g、約24m/g~約45m/g、5m/g~約40m/g、約6m/g~約40m/g、約7m/g~約40m/g、約8m/g~約40m/g、約9m/g~約40m/g、約10m/g~約40m/g、約11m/g~約40m/g、約12m/g~約40m/g、約13m/g~約40m/g、約14m/g~約40m/g、約15m/g~約40m/g、約16m/g~約40m/g、約17m/g~約40m/g、約18m/g~約40m/g、約19m/g~約40m/g、約20m/g~約40m/g、約21m/g~約40m/g、約22m/g~約40m/g、約23m/g~約40m/g、約24m/g~約40m/g、5m/g~約35m/g、約6m/g~約35m/g、約7m/g~約35m/g、約8m/g~約35m/g、約9m/g~約35m/g、約10m/g~約35m/g、約11m/g~約35m/g、約12m/g~約35m/g、約13m/g~約35m/g、約14m/g~約35m/g、約15m/g~約35m/g、約16m/g~約35m/g、約17m/g~約35m/g、約18m/g~約35m/g、約19m/g~約35m/g、約20m/g~約35m/g、約21m/g~約35m/g、約22m/g~約35m/g、約23m/g~約35m/g、約24m/g~約35m/g、5m/g~約30m/g、約6m/g~約30m/g、約7m/g~約30m/g、約8m/g~約30m/g、約9m/g~約30m/g、約10m/g~約30m/g、約11m/g~約30m/g、約12m/g~約30m/g、約13m/g~約30m/g、約14m/g~約30m/g、約15m/g~約30m/g、約16m/g~約30m/g、約17m/g~約30m/g、約18m/g~約30m/g、約19m/g~約30m/g、約20m/g~約30m/g、約21m/g~約30m/g、約22m/g~約30m/g、約23m/g~約30m/g、または約24m/g~約30m/gのSSAを有する。
【0015】
一実施形態において、ニラパリブ粒子は、直径で約1.0ミクロン~約10.0ミクロンの体積分布(Dv50)による平均粒度を有する。いくらかの実施形態において、ニラパリブ粒子は、直径で約1ミクロン~約6ミクロン、または直径で約2ミクロン~約6ミクロンの体積分布による平均粒度を有する。ニラパリブ粒子は、全身循環により腫瘍から運び出される可能性が低い粒度範囲内にあり、さらに、高い比表面積の恩恵を受けて、薬物の可溶化および放出を促進する。
【0016】
一実施形態において、ニラパリブ粒子は、約0.020g/cm~約0.500g/cmの平均かさ密度(タップ密度ではない)を有する。種々のさらなる実施形態において、ニラパリブ粒子は、約0.020g/cm~約0.475g/cm、約0.020g/cm~約0.450g/cm、約0.020g/cm~約0.425g/cm、約0.020g/cm~約0.400g/cm、約0.020g/cm~約0.375g/cm、約0.020g/cm~約0.350g/cm、約0.020g/cm~約0.325g/cm、約0.020g/cm~約0.300g/cm、約0.020g/cm~約0.275g/cm、約0.020g/cm~約0.250g/cm、約0.020g/cm~約0.225g/cm、約0.020g/cm~約0.200g/cm、約0.020g/cm~約0.175g/cm、約0.020g/cm~約0.150g/cm、約0.020g/cm~約0.125g/cm、約0.020g/cm~約0.100g/cm、約0.040g/cm~約0.475g/cm、約0.040g/cm~約0.450g/cm、約0.040g/cm~約0.425g/cm、約0.040g/cm~約0.400g/cm、約0.040g/cm~約0.375g/cm、約0.040g/cm~約0.350g/cm、約0.040g/cm~約0.325g/cm、約0.040g/cm~約0.300g/cm、約0.040g/cm~約0.275g/cm、約0.040g/cm~約0.250g/cm、約0.040g/cm~約0.225g/cm、約0.040g/cm~約0.200g/cm、約0.040g/cm~約0.175g/cm、約0.040g/cm~約0.150g/cm、約0.040g/cm~約0.125g/cm、約0.040g/cm~約0.100g/cm、約0.060g/cm~約0.475g/cm、約0.060g/cm~約0.450g/cm、約0.060g/cm~約0.425g/cm、約0.060g/cm~約0.400g/cm、約0.060g/cm~約0.375g/cm、約0.060g/cm~約0.350g/cm、約0.060g/cm~約0.325g/cm、約0.060g/cm~約0.300g/cm、約0.060g/cm~約0.275g/cm、約0.060g/cm~約0.250g/cm、約0.060g/cm~約0.225g/cm、約0.060g/cm~約0.200g/cm、約0.060g/cm~約0.175g/cm、約0.060g/cm~約0.150g/cm、約0.060g/cm~約0.125g/cm、または約0.060g/cm~約0.100g/cmの平均かさ密度(タップ密度ではない)を有する。
【0017】
別の実施形態において、ニラパリブ粒子は、約0.050g/cm~約0.600g/cmの平均タップ密度を有する。種々のさらなる実施形態において、ニラパリブ粒子は、約0.050g/cm~約0.575g/cm、約0.050g/cm~約0.550g/cm、約0.050g/cm~約0.525g/cm、約0.050g/cm~約0.500g/cm、約0.050g/cm~約0.475g/cm、約0.050g/cm~約0.450g/cm、約0.050g/cm~約0.425g/cm、約0.050g/cm~約0.400g/cm、約0.050g/cm~約0.375g/cm、約0.050g/cm~約0.350g/cm、約0.050g/cm~約0.325g/cm、約0.050g/cm~約0.300g/cm、約0.050g/cm~約0.275g/cm、約0.050g/cm~約0.250g/cm、約0.050g/cm~約0.225g/cm、約0.050g/cm~約0.200g/cm、約0.050g/cm~約0.175g/cm、約0.050g/cm~約0.150g/cm、約0.050g/cm~約0.125g/cm、約0.075g/cm~約0.575g/cm、約0.075g/cm~約0.550g/cm、約0.075g/cm~約0.525g/cm、約0.075g/cm~約0.500g/cm、約0.075g/cm~約0.475g/cm、約0.075g/cm~約0.450g/cm、約0.075g/cm~約0.425g/cm、約0.075g/cm~約0.400g/cm、約0.075g/cm~約0.375g/cm、約0.075g/cm~約0.350g/cm、約0.075g/cm~約0.325g/cm、約0.075g/cm~約0.300g/cm、約0.075g/cm~約0.275g/cm、約0.075g/cm~約0.250g/cm、約0.075g/cm~約0.225g/cm、約0.075g/cm~約0.200g/cm、約0.075g/cm~約0.175g/cm、約0.075g/cm~約0.150g/cm、約0.075g/cm~約0.125g/cm、約0.100g/cm~約0.575g/cm、約0.100g/cm~約0.550g/cm、約0.100g/cm~約0.525g/cm、約0.100g/cm~約0.500g/cm、約0.100g/cm~約0.475g/cm、約0.100g/cm~約0.450g/cm、約0.100g/cm~約0.425g/cm、約0.100g/cm~約0.400g/cm、約0.100g/cm~約0.375g/cm、約0.100g/cm~約0.350g/cm、約0.100g/cm~約0.325g/cm、約0.100g/cm~約0.300g/cm、約0.100g/cm~約0.275g/cm、約0.100g/cm~約0.250g/cm、約0.100g/cm~約0.225g/cm、約0.100g/cm~約0.200g/cm、約0.100g/cm~約0.175g/cm、約0.100g/cm~約0.150g/cm、または約0.100g/cm~約0.125g/cmの平均タップ密度を有する。
【0018】
本明細書で使用されるように、粒子のかさ密度(タップ密度ではない)は、タップしていない粉末試料の質量対体積の比(粒子間排除体積を含む)である。
【0019】
本明細書で使用されるように、粒子のタップ密度は、試料を含有するメスシリンダーを、さらなる体積の変化がほとんど観察されなくなるまで機械的にタップすることにより得られる。
【0020】
ニラパリブ粒子の比表面積が大きくなり、かさ密度が低下すると、結果的に、例えば、未加工または粉砕されたニラパリブ製品と比較して溶出速度の有意な上昇につながる。溶出は、固/液境界面でのみ生じる。そのため、比表面積が大きいと、溶出溶媒と接触している粒子の表面上の多数の分子のために溶出速度が上昇する。かさ密度は、粉末のマクロ構造および粒子間空間を考慮する。かさ密度に寄与するパラメータには、粒度分布、粒子形状、および粒子同士の親和性(すなわち、凝集)が含まれる。粉末のかさ密度が低いほど、溶出速度が速くなる。これは、隙間または粒子間空間により容易に浸透し、粒子の表面とより大きく接触する溶出溶媒の能力によるものである。これにより、例えば、腫瘍の処置において、本明細書で開示されるニラパリブ粒子の使用にとって、有意な改善が与えられる。
【0021】
これらの種々の実施形態のいずれかにおいて、ニラパリブ粒子は、例えば、ニラパリブ粒子1つあたり少なくとも5×10-15グラムのニラパリブもしくはその薬学的に許容される塩、またはニラパリブ粒子1つあたり約1×10-8~約5×10-15グラムのニラパリブ、もしくはその薬学的に許容される塩を含む場合がある。
【0022】
一実施形態において、粒子はコーティングされておらず、ポリマーと、タンパク質と、ポリエトキシル化ひまし油と、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドならびにポリエチレングリコールのモノエステルおよびジエステルで構成されるポリエチレングリコールグリセリド類とを含まない。
【0023】
さらなる実施形態において、組成物は、薬学的に許容される液体担体をさらに含む液体懸濁液を含む。本開示の懸濁液は、ニラパリブ粒子および液体担体を含む。液体担体は、水性であってもよく、非水性であってもよい。たとえ、ニラパリブ粒子が、さらなる賦形剤を含まなくても、懸濁液の液体担体は、水または非水性液体と、場合によっては緩衝液、等張化剤、防腐剤、粘滑薬、粘度調整剤、浸透剤、界面活性剤、抗酸化剤、アルカリ化剤(alkalinizing agent)、酸性化剤、消泡剤、および着色剤からなる群より選択される1つまたは複数の賦形剤とを含むことができる。例えば、懸濁液は、ニラパリブ粒子、水、緩衝液および塩を含むことができる。場合によっては、それはさらに、界面活性剤を含む。いくらかの実施形態において、懸濁液は、水、水に懸濁されたニラパリブ粒子および緩衝液から本質的になるか、それらからなる。懸濁液はさらに、浸透塩を含むことができる。別の例において、懸濁液は、ニラパリブ粒子および液化ガスプロペラントなどの非水性液体を含むことができる。液化ガスプロペラントの例には、ハイドロフルオロアルカン類(HFA)が含まれるがこれらに限定されない。他の非水性液体の例には、鉱物油、植物油、グリセリン、ポリエチレングリコール、室温で液体であるポロキサマー(例えば、ポロキサマー124)、および室温で液体であるポリエチレングリコール(例えば、PEG400およびPEG600)が含まれるがこれらに限定されない。
【0024】
一実施形態において、懸濁液はさらに、ポリソルベート、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マンニトール、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される1つまたは複数の成分を含む。
【0025】
懸濁液は、1つまたは複数の界面活性剤を含むことができる。適切な界面活性剤には、例として、また限定されないが、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩、アセチル化モノグリセリド、ジアセチル化モノグリセリド、およびポロキサマーが含まれる。
【0026】
懸濁液は、1つまたは複数の等張化剤を含むことができる。適切な等張化剤には、例として、また限定されないが、1つまたは複数の無機塩、電解質、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ナトリウム、カリウムの硫酸塩、ナトリウムおよびカリウムの重炭酸塩ならびにアルカリ土類金属の無機塩、例えば、カルシウム塩、およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、マンニトール、デキストロース、グリセリン、プロピレングリコール、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0027】
特に腹腔内(IP)投与に適した一実施形態において、懸濁液は、IP腔の流体に対して高浸透圧(高張性)、低浸透圧(低張性)または等浸透圧(等張性)になるように配合される場合がある。いくらかの実施形態において、懸濁液は、IP腔内の流体に対して等張性である場合がある。そのような実施形態において、懸濁液の重量モル浸透圧濃度は、約200~約380、約240~約340、約280~約300または約290mOsm/kgで変動することができる。
【0028】
懸濁液は、1つまたは複数の緩衝剤を含むことができる。適切な緩衝剤には、例として、また限定されないが、二塩基性のリン酸ナトリウム、一塩基性のリン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩酸、水酸化ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス-(ヒドロキシメチル)メタン、および炭酸水素ナトリウムならびに当業者に既知の他のものが含まれる。緩衝液は、一般的に、pHを腹腔内での使用に望ましい範囲に調節するために使用される。通常、約5~9、5~8、6~7.4、6.5~7.5、または6.9~7.4のpHが望ましい。
【0029】
懸濁液は、1つまたは複数の粘滑薬を含むことができる。粘滑薬は、そこで腹膜および臓器を覆う膜などの粘膜の上に緩和フィルムを形成する薬剤である。粘滑薬は、軽い疼痛および炎症を緩和することが可能であり、粘膜保護剤と呼ばれることもある。適切な粘滑薬は、本明細書に記載の別のポリマー性粘滑薬と使用される場合、約0.2~約2.5%の範囲のセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルセルロース;約0.01%のゼラチン;約0.05~約1%も含む約0.05~約1%のポリオール、例えばグリセリン、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリソルベート80、およびプロピレングリコール;約0.1~約4%のポリビニルアルコール;約0.1~約2%のポビドン;ならびに約0.1%からのデキストラン70を含む。
【0030】
懸濁液は、pHを調節するために1つまたは複数のアルカリ化剤(alkalinizing agent)を含むことができる。本明細書で使用されるように、用語「アルカリ化剤(alkalizing agent)」は、アルカリ媒体を提供するために使用される化合物を意味することが意図される。そのような化合物には、例として、また限定されないが、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムならびに当業者に既知の他のものが含まれる。
【0031】
懸濁液は、pHを調節するために1つまたは複数の酸性化剤を含むことができる。本明細書で使用されるように、用語「酸性化剤」は、酸性媒体を提供するために使用される化合物を意味することが意図される。そのような化合物には、例として、また限定されないが、酢酸、アミノ酸、クエン酸、硝酸、フマル酸および他のアルファヒドロキシ酸、塩酸、アスコルビン酸、および硝酸ならびに当業者に既知の他のものが含まれる。
【0032】
懸濁液は、1つまたは複数の消泡剤を含むことができる。本明細書で使用されるように、用語「消泡剤」は、充填組成物の表面上で形成する泡を防止するかその量を低減する1つの化合物または複数の化合物を意味することが意図される。適切な消泡剤には、例として、また限定されないが、ジメチコン、シメチコン(登録商標)、オクトキシノールおよび当業者に既知の他のものが含まれる。
【0033】
懸濁液は、懸濁液の粘度を上昇または低下させる1つまたは複数の粘度調整剤を含むことができる。適切な粘度調整剤には、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(methycellulose)、マンニトールおよびポリビニルピロリドンが含まれる。
【0034】
懸濁液は、腹膜透析に使用されるものなど、1つまたは複数の浸透剤を含むことができる。適切な浸透剤には、イコデキストリン(グルコースポリマー)、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および緩衝剤としても使用される塩が含まれる。
【0035】
一実施形態において、ニラパリブ粒子の液体懸濁液は、吸入による肺投与のためにエアロゾル化される場合があり、液体懸濁液のエアロゾル液滴の空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、使用に適した任意の直径であり得る。一実施形態において、エアロゾル液滴は、直径約0.5μm~約6μmのMMADを有する。種々のさらなる実施形態において、エアロゾル液滴は、直径約0.5μm~約5.5μm、直径約0.5μm~約5μm、直径約0.5μm~約4.5μm、直径約0.5μm~約4μm、直径約0.5μm~約3.5μm、直径約0.5μm~約3μm、直径約0.5μm~約2.5μm、直径約0.5μm~約2μm、直径約1μm~約5.5μm、直径約1μm~約5μm、直径約1μm~約4.5μm、直径約1μm~約4μm、直径約1μm~約3.5μm、直径約1μm~約3μm、直径約1μm~約2.5μm、直径約1μm~約2μm、直径約1.5μm~約5.5μm、直径約1.5μm~約5μm、直径約1.5μm~約4.5μm、直径約1.5μm~約4μm、直径約1.5μm~約3.5μm、直径約1.5μm~約3μm、直径約1.5μm~約2.5μm、直径約1.5μm~約2μm、直径約2μm~約5.5μm、直径約2μm~約5μm、直径約2μm~約4.5μm、直径約2μm~約4μm、直径約2μm~約3.5μm、直径約2μm~約3μm、および直径約2μm~約2.5μmのMMADを有する。エアロゾル液滴の空気動力学的中央粒子径(MMAD)および幾何標準偏差(GSD)を測定するための適切な機器は、マーサースタイルのカスケードインパクターなどの7段階エアロゾルサンプラーであsにより送達されるニラパリブ粒子の液体懸濁液は、重力沈降、慣性衝突、および/または拡散により気道内に沈着する場合がある。定量噴霧式吸入器(MDI)、加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)、ネブライザー、およびソフトミスト吸入器を含むがこれらに限定されないエアロゾルを生成するのに適した任意のデバイスが、使用される場合がある。
【0036】
一実施形態において、ニラパリブ粒子の乾燥粉末組成物は、吸入による肺投与のためにエアロゾル化される場合があり、エアロゾル化乾燥粉末組成物の空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、使用に適した任意の直径であり得る。乾燥粉末組成物は、乾燥粉末として配合される。乾燥粉末組成物は、担体なしでニラパリブ粒子を単独で含むことができるか、ニラパリブ粒子と1つまたは複数の乾燥粉末賦形剤を含む薬学的に許容される乾燥粉末担体とを含むことができる。一実施形態において、エアロゾル化乾燥粉末組成物は、直径約0.5μm~約6μmのMMADを有する。種々のさらなる実施形態において、エアロゾル化乾燥粉末組成物は、直径約0.5μm~約5.5μm、直径約0.5μm~約5μm、直径約0.5μm~約4.5μm、直径約0.5μm~約4μm、直径約0.5μm~約3.5μm、直径約0.5μm~約3μm、直径約0.5μm~約2.5μm、直径約0.5μm~約2μm、直径約1μm~約5.5μm、直径約1μm~約5μm、直径約1μm~約4.5μm、直径約1μm~約4μm、直径約1μm~約3.5μm、直径約1μm~約3μm、直径約1μm~約2.5μm、直径約1μm~約2μm、直径約1.5μm~約5.5μm、直径約1.5μm~約5μm、直径約1.5μm~約4.5μm、直径約1.5μm~約4μm、直径約1.5μm~約3.5μm、直径約1.5μm~約3μm、直径約1.5μm~約2.5μm、直径約1.5μm~約2μm、直径約2μm~約5.5μm、直径約2μm~約5μm、直径約2μm~約4.5μm、直径約2μm~約4μm、直径約2μm~約3.5μm、直径約2μm~約3μm、および直径約2μm~約2.5μmのMMADを有する。乾燥粉末組成物の空気動力学的中央粒子径(MMAD)および幾何標準偏差(GSD)を測定するのに適した機器は、マーサースタイルのカスケードインパクターなどの7段階エアロゾルサンプラーまたはTSIインコーポレイテッドから入手可能なAPS(商標)モデル3321分光分析装置などの空気力学的パーティクルサイザー分光分析装置である。エアロゾルにより送達される乾燥粉末組成物は、重力沈降、慣性衝突、および/または拡散により気道内に沈着する場合がある。乾燥粉末吸入器(DPI)を含むがこれに限定されない乾燥粉末組成物のエアロゾルを生成するのに適した任意のデバイスが、使用される場合がある。乾燥粉末吸入可能組成物に適した賦形剤の例には、吸入に適した等級のラクトースが含まれるがこれに限定されない。一実施形態において、組成物は、エアロゾル化を介した吸入による肺送達に適した乾燥粉末組成物である。
【0037】
本明細書で使用されるように、ニラパリブの「薬学的に許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、患者の組織と接触して使用するのに適しており、合理的なベネフィット/リスク比に相応し、それらの意図する使用に有効であり、可能であれば、ニラパリブの双性イオンの形態も同様である。用語「塩」は、比較的無毒な、ニラパリブの無機酸および有機酸の付加塩を指す。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチリック酸塩(naphthylate)、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などが含まれる。これらは、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属に基づくカチオン、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが含まれるがこれらに限定されない無毒なアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンを含む場合がある。(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Berge S.M.et al.,「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.,1977;66:1-19を参照されたい。)一実施形態において、ニラパリブの薬学的に許容される塩は、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール7-カルボキサミド4-メチルベンゼンスルホン酸エステル水和物(1:1:1)である、トシル酸ニラパリブ一水和物を含む。
【0038】
一実施形態において、組成物は、懸濁液中に(すなわち:薬学的に許容される担体および任意の他の成分とともに)、意図する使用のために担当医師によって適切とみなされる投与量でニラパリブの剤形を含む。任意の適切な剤形が使用される場合があり、種々の非限定実施形態において、剤形は、1日あたり約0.01mg/kg~約50mg/kg体重を与えるのに十分である。種々のさらなる実施形態において、剤形は、1日あたり約0.01mg/kg~約45mg/kg、約0.01mg/kg~約40mg/kg、約0.01mg/kg~約35mg/kg、約0.01mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約25mg/kg、約0.01mg/kg~約20mg/kg、約0.01mg/kg~約15mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約5mg/kg、または約0.01mg/kg~約1mg/kg体重を与えるのに十分である。懸濁液は、投与の前に、希釈剤、例えば場合によっては緩衝剤および1つまたは複数の他の賦形剤を含む注射用の生理食塩水として投与され得るか、それで希釈され得る。例えば、懸濁液の希釈剤に対する容積比は、1:1~1:100(v/v)の範囲内または他の適切な比率であり得る。
【0039】
別の態様において、本開示は、腫瘍を処置するための方法であって、腫瘍を有する対象に、腫瘍を処置するのに有効量の、本開示の任意の実施形態または実施形態の組み合わせの組成物または懸濁液を投与するステップを含む方法を提供する。本開示のニラパリブ粒子の比表面積が大きくなると、結果として、現在入手可能なニラパリブと比較して粒子の溶出速度の有意な上昇となる。これは、例えば、腫瘍の処置において、本開示の粒子の使用にとって有意な改善を提供する。さらに、いくらかの実施形態において、本開示の方法は、ニラパリブの投薬頻度および副作用を低減することができる。非限定例として、全身濃度が大きく低下するので、腫瘍への直接注射により投与されるニラパリブ用量は、実質的に少なくなり、投薬頻度は、経口の投薬と比較して少なくなり、副作用もより少なくなると予想される。
【0040】
本明細書で使用されるように、「腫瘍」は、良性腫瘍、前癌性腫瘍、転移していない悪性腫瘍、および転移している悪性腫瘍を含む。本開示の方法は、癌腫、乳房の腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、卵管腫瘍、腹膜腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、消化管腫瘍、精巣腫瘍、子宮頸部腫瘍、頭頸部腫瘍、食道腫瘍、中皮腫、脳腫瘍、神経芽腫、または腎細胞腫瘍を含むがこれらに限定されない、ニラパリブ処置に影響を受けやすい腫瘍を処置するために使用することができる。特定の実施形態において、腫瘍は、卵管腫瘍、腹膜腫瘍、または卵巣腫瘍である;他の実施形態において、腫瘍は、進行性の上皮性卵巣癌、卵管癌、または原発性の腹膜腫瘍である。
【0041】
別の実施形態において、方法はさらに、対象に、アントラサイクリン、代謝拮抗剤、アルキル化剤(シスプラチンを含むがこれに限定されない)、アルカロイド、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない)、および/またはトポイソメラーゼ阻害剤を含むがこれらに限定されない追加の治療剤を投与するステップを含む。
【0042】
対象は、ヒト、霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシなどを含むがこれらに限定されない、腫瘍を有する任意の適切な対象であり得る。一実施形態において、対象は、ヒト対象である。いくらかの実施形態において、ヒト対象などの対象は、(i)初回のプラチナを用いた化学療法に対して完全奏功または部分奏功にある進行性の上皮性卵巣癌、卵管癌、もしくは原発性の腹膜癌、(ii)プラチナを用いた化学療法に対して完全奏功または部分奏功にある再発性の上皮性卵巣癌、卵管癌、もしくは原発性の腹膜癌、または(iii)3回もしくはそれ以上の以前の化学療法レジメンで処置されており、その癌が:
・有害もしくは有害性が疑われるBRCA突然変異、または
・ゲノム不安定性
のいずれかにより定義されている相同組換え修復欠損(HRD)陽性状態と関連し、最後のプラチナを用いた化学療法に対する応答後、6ヶ月以上経過している進行性の卵巣癌、卵管癌、もしくは原発性の腹膜癌を有する。
【0043】
本明細書で使用されるように、「処置する」または「処置している」は、以下:(a)障害の重症度を低減すること;(b)処置されている障害の特徴的な症状の発症を制限または防止すること;(c)処置されている障害の特徴的な症状を阻害し、悪化させること;(d)以前より障害を有している患者におけるその障害の再発を制限または防止すること;ならびに(e)以前より障害の症状が出ていた患者における症状の再発を制限または防止することの1つまたは複数を達成することを意味する。
【0044】
これらの使用に有効な量は、ニラパリブの性質(比活性など)、投与経路、障害のステージおよび重症度、対象の体重および一般的な健康状態、ならびに処方医の判断を含むがこれらに限定されない要因に応じて決定される。実際に投与された本開示の懸濁液の組成物の量が、上記の関連する状況に照らして医師によって決定されることが理解されるであろう。1つの非限定実施形態において、有効量は、1日あたり0.01mg/kg~約50mg/kg体重を与える量である。
【0045】
さらなる実施形態において、組成物は、薬学的に許容される液体担体をさらに含む液体懸濁液を含む。本開示の懸濁液は、ニラパリブ粒子および液体担体を含む。本明細書で開示される懸濁液および液体担体のすべての実施形態は、本開示の治療法において使用され得る。
【0046】
一実施形態において、治療的使用のためのニラパリブ粒子の液体懸濁液は、吸入による肺投与のためにエアロゾル化される場合があり、液体懸濁液のエアロゾル液滴の空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、任意の使用に適した直径であり得、本明細書で開示されるすべての実施形態は、本開示の治療法において使用され得る。エアロゾルにより送達されるニラパリブ粒子の液体懸濁液は、重力沈降、慣性衝突、および/または拡散により気道内に沈着する場合がある。定量噴霧式吸入器(MDI)、加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)、ネブライザー、およびソフトミスト吸入器を含むがこれらに限定されないエアロゾルを生成するのに適した任意のデバイスが、使用される場合がある。
【0047】
一実施形態において、治療的使用のためのニラパリブ粒子の乾燥粉末組成物は、吸入による肺投与のためにエアロゾル化される場合があり、エアロゾル化乾燥粉末組成物の空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、任意の使用に適した直径であり得、本明細書で開示されるすべての実施形態は、本開示の治療法において使用され得る。エアロゾルにより送達される乾燥粉末組成物は、重力沈降、慣性衝突、および/または拡散により気道内に沈着する場合がある。乾燥粉末吸入器(DPI)を含むがこれに限定されない、乾燥粉末組成物のエアロゾルを生成するのに適した任意のデバイスは、本開示の治療法において使用される場合がある。乾燥粉末吸入可能組成物に適した賦形剤の例には、吸入に適した等級のラクトースが含まれるがこれに限定されない。一実施形態において、組成物は、エアロゾル化を介した吸入により投与される乾燥粉末組成物である。
【0048】
一実施形態において、組成物は、懸濁液中に(すなわち:薬学的に許容される担体および任意の他の成分とともに)、意図する使用のために担当医師によって適切とみなされる投与量でニラパリブの剤形を含む。任意の適切な剤形が使用される場合があり、種々の非限定実施形態において、剤形は、1日あたり約0.01mg/kg~約50mg/kg体重を与えるのに十分である。種々のさらなる実施形態において、剤形は、1日あたり約0.01mg/kg~約45mg/kg、約0.01mg/kg~約40mg/kg、約0.01mg/kg~約35mg/kg、約0.01mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約25mg/kg、約0.01mg/kg~約20mg/kg、約0.01mg/kg~約15mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約5mg/kg、または約0.01mg/kg~約1mg/kg体重を与えるのに十分である。希釈剤で希釈されるか、希釈され得る懸濁液が投与され得る。
【0049】
組成物は、特定の対象に関するすべての要因に照らして受け持ちの医療従事者によって最も適しているとみなされる、経口、肺、腹腔内、腫瘍内、腫瘍周囲、皮下注射、筋肉内注射、乳腺脂肪体への投与、または注射の任意の他の形態を含むがこれらに限定されない任意の適切な経路を介して投与される場合がある。
【0050】
一実施形態において、肺投与は、経鼻吸入、経口吸入、またはその両方によるなど、ニラパリブ粒子の1回量の吸入を含む。ニラパリブ粒子は、2回またはそれ以上の個別投与(用量)で投与され得る。この実施形態において、粒子は、エアロゾル(すなわち:気体媒体中の粒子の安定な分散体または懸濁液の液体の液滴)として配合され得る。エアロゾルにより送達されるニラパリブ粒子は、重力沈降、慣性衝突、および/または拡散により気道内に沈着する場合がある。定量噴霧式吸入器(MDI)、加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)、ネブライザー、およびソフトミスト吸入器を含むがこれらに限定されないエアロゾルを生成するのに適した任意のデバイスが、使用される場合がある。
【0051】
特定の一実施形態において、方法は、噴霧化を介してエアロゾル化されたニラパリブ粒子の吸入を含む。ネブライザーは、一般的に圧縮空気または超音波出力を使用して、粒子またはその懸濁液の吸入可能なエアロゾル液滴を生成する。この実施形態において、噴霧化により、対象へのニラパリブ粒子またはその懸濁液のエアロゾル液滴の肺送達がもたらされる。
【0052】
別の実施形態において、方法は、pMDIを介してエアロゾル化されたニラパリブ粒子の吸入を含み、その粒子またはその懸濁液は、絞り弁で密封された加圧容器内で適切な推進剤系(ハイドロフルオロアルカン(HFA)を含むがこれに限定されない)を含有する少なくとも1つの液化ガスに懸濁される。バルブの作動により、ニラパリブ粒子またはその懸濁液のエアゾールスプレーの計量された投与量の送達がもたらされる。
【0053】
別の実施形態において、方法は、DPIを介するニラパリブの乾燥粉末組成物の吸入を含み、乾燥粉末組成物は、担体なしでニラパリブ粒子を単独で含む。さらに別の実施形態において、方法は、DPIを介するニラパリブの乾燥粉末組成物の吸入を含み、乾燥粉末組成物は、ニラパリブ粒子を含み、1つまたは複数の乾燥粉末賦形剤を含む薬学的に許容される乾燥粉末担体を含む場合がある。乾燥粉末吸入可能組成物に適した乾燥粉末賦形剤の例には、吸入に適した等級のラクトースが含まれるがこれに限定されない。
【0054】
投薬期間とは、組成物または懸濁液内のニラパリブ粒子の投与量が投与される期間である。投薬期間は、全用量が投与される間の単一の期間であり得るか、用量の一部が投与されるそれぞれの間の2つまたはそれ以上の期間に分割され得る。
【0055】
投薬後期間とは、前の投薬期間の完了の後に始まり、後に続く投薬期間を開始した後に終了する期間である。投薬後期間の持続期間は、対象のニラパリブに対する臨床反応に応じて変更することができる。懸濁液は、投薬後期間中に投与されない。投薬後期間は、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、少なくとも35日間、少なくとも60日間もしくは少なくとも90日間またはそれ以上継続することができる。投薬後期間を、対象に対して一定に維持することができるか、2つまたはそれ以上の異なる投薬後期間を、対象に対して使用することができる。
【0056】
投薬サイクルは、投薬期間および投薬後期間を含む。したがって、投薬サイクルの持続期間は、投薬期間および投薬後期間の合計である。投薬サイクルを、対象に対して一定に維持することができるか、2つまたはそれ以上の異なる投薬サイクルを、対象に対して使用することができる。
【0057】
一実施形態において、投与は、1回よりも多く実行され、各投与は、少なくとも21日間隔てられる。
【0058】
別の態様において、本開示は、ニラパリブ粒子を製造するための方法であって:
(a)(i)エタノール、メタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、もしくはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない少なくとも1つの溶媒、およびニラパリブまたはその薬学的に許容される塩を含む少なくとも1つの溶質を含む溶液をノズル入口に導入するステップ、ならびに(ii)圧縮流体を、加圧可能なチャンバを定義する容器の入口に導入するステップ;
(b)溶液をノズルオリフィスから加圧可能なチャンバに通過させて、微粒化液滴の排出流を生成するステップであって、ノズルオリフィスが、排出流内に位置する音波エネルギー源から2mm~20mmに位置し、音波エネルギー源が、通過の間に10%~100%の振幅を有する音波エネルギーを生成し、ノズルオリフィスが、20μm~125μmの直径を有する、ステップ;
(c)微粒化液滴を圧縮流体と接触させて、微粒化液滴からの溶媒の除去を引き起こして、少なくとも95%のニラパリブもしくはその薬学的に許容される塩を含むニラパリブ粒子を生成するステップであって、ニラパリブ粒子が、少なくとも2.5m/gの比表面積(SSA)を有する、場合によっては直径で約1.0ミクロン~約10.0ミクロンの体積分布(Dv50)による平均粒度を有する、ステップを含み、
ステップ(a)、(b)、および(c)が、圧縮流体の超臨界の温度および圧力の下で実行される、方法を提供する。
【0059】
方法は、溶媒に溶解された溶質の排出流に直接位置する音波エネルギー源を利用する。ソニックホーン、ソニックプローブ、またはソニックプレートを含むがこれらに限定されない、本開示の方法に適合する任意の適切な音波エネルギーの源が、使用され得る。種々の実施形態において、ノズルオリフィスは、音波エネルギー源から約2mm~約20mm、約2mm~約18mm、約2mm~約16mm、約2mm~約14mm、約2mm~約12mm、約2mm~約10mm、約2mm~約8mm、約2mm~約6mm、約2mm~約4mm、約4mm~約20mm、約4mm~約18mm、約4mm~約16mm、約4mm~約14mm、約4mm~約12mm、約4mm~約10mm、約4mm~約8mm、約4mm~約6mm、約6mm~約20mm、約6mm~約18mm、約6mm~約16mm、約6mm~約14mm、約6mm~約12mm、約6mm~約10mm、約6mm~約8mm、約8mm~約20mm、約8mm~約18mm、約8mm~約16mm、約8mm~約14mm、約8mm~約12mm、約8mm~約10mm、約10mm~約20mm、約10mm~約18mm、約10mm~約16mm、約10mm~約14mm、約10mm~約12mm、約12mm~約20mm、約12mm~約18mm、約12mm~約16mm、約12mm~約14mm、約14mm~約20mm、約14mm~約18mm、約14mm~約16mm、約16mm~約20mm、約16mm~約18mm、および約18mm~約20mmに位置する。さらなる実施形態において、国際公開第2016/197091号の任意の実施形態のノズルアセンブリを使用する場合がある。
【0060】
ソニックホーン、ソニックプローブ、またはソニックプレートを含むがこれらに限定されない、本開示の方法に適合する任意の適切な音波エネルギーの源が、使用され得る。種々のさらなる実施形態において、音波エネルギー源は、音波エネルギー源を使用して生成され得る全パワーの約10%~約100%の振幅を有する音波エネルギーを生じる。本明細書の教示に照らして、当業者は、使用される特定の総出力を有する適切な音波エネルギー源を決定することができる。一実施形態において、音波エネルギー源は、約500~約900ワット;種々のさらなる実施形態においては、約600~約800ワット、約650~750ワット、または約700ワットの総出力を有する。
【0061】
種々のさらなる実施形態において、音波エネルギー源は、音波エネルギー源を使用して生成され得る全パワーの約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約90%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約80%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約70%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、約50%~約70%、約60%~約70%、約10%~約60%、約20%~約60%、約30%~約60%、約40%~約60%、約50%~約60%、約10%~約50%、約20%~約50%、約30%~約50%、約40%~約50%、約10%~約40%、約20%~約40%、約30%~約40%、約10%~約30%、約20%~約30%、約10%~約20%、または約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは約100%の出力を有する音波エネルギーを生じる。本明細書の教示に照らして、当業者は、音波エネルギー源で利用される適切な周波数を決定することができる。一実施形態において、音波エネルギー源で約18~約22kHzの周波数が利用される。種々の他の実施形態において、音波エネルギー源で約19~約21kHz、約19.5~約20.5の周波数、または約20kHzの周波数が利用される。
【0062】
種々のさらなる実施形態において、ノズルオリフィスは、約20μm~約125μm、約20μm~約115μm、約20μm~約100μm、約20μm~約90μm、約20μm~約80μm、約20μm~約70μm、約20μm~約60μm、約20μm~約50μm、約20μm~約40μm、約20μm~約30μm、約30μm~約125μm、約30μm~約115μm、約30μm~約100μm、約30μm~約90μm、約30μm~約80μm、約30μm~約70μm、約30μm~約60μm、約30μm~約50μm、約30μm~約40μm、約40μm~約125μm、約40μm~約115μm、約40μm~約100μm、約40μm~約90μm、約40μm~約80μm、約40μm~約70μm、約40μm~約60μm、約40μm~約50μm、約50μm~約125μm、約50μm~約115μm、約50μm~約100μm、約50μm~約90μm、約50μm~約80μm、約50μm~約70μm、約50μm~約60μm、約60μm~約125μm、約60μm~約115μm、約60μm~約100μm、約60μm~約90μm、約60μm~約80μm、約60μm~約70μm、約70μm~約125μm、約70μm~約115μm、約70μm~約100μm、約70μm~約90μm、約70μm~約80μm、約80μm~約125μm、約80μm~約115μm、約80μm~約100μm、約80μm~約90μm、約90μm~約125μm、約90μm~約115μm、約90μm~約100μm、約100μm~約125μm、約100μm~約115μm、約115μm~約125μm、約20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、115μm、または約120μmの直径を有する。ノズルは、この方法で使用される溶媒および圧縮流体の両方に対して不活性である。
【0063】
溶媒は、エタノール、メタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、またはそれらの組み合わせを含む。溶媒は、溶液全体の少なくとも約80重量%、85重量%、または90重量%を含むはずである。
【0064】
圧縮流体は、使用される条件下で超臨界流体を形成することができ、粒子を形成する溶質は、圧縮流体中で難溶性または不溶性である。当業者に既知であるように、超臨界流体は、その臨界点を超える温度および圧力にある任意の物質であり、明確な液相および気相が存在しない。本開示の方法のステップ(a)、(b)、および(c)は、圧縮流体が、これらの処理ステップ中に超臨界流体として存在するように、圧縮流体の超臨界の温度および圧力下で実行される。
【0065】
圧縮流体は、溶媒として機能することができ、粒子内の不要な成分を除去するために使用することができる。任意の適切な圧縮流体は、本開示の方法で使用される場合がある;そのような代表的な圧縮流体は、米国特許第5833891号明細書および第5874029号明細書で開示されている。1つの非限定実施形態において、適切な超臨界流体形成圧縮流体および/または逆溶媒は、二酸化炭素、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、亜酸化窒素、キセノン、六フッ化硫黄およびトリフルオロメタンを含むことができる。さらなる溶媒除去を引き起こすためにステップ(d)で列挙された逆溶媒は、上で定義した圧縮流体であり、ステップ(a~c)で使用されるものと同じ圧縮流体であってもよく、異なっていてもよい。一実施形態において、ステップ(d)で使用される逆溶媒は、ステップ(a~c)で使用されるものと同じ圧縮流体である。好ましい実施形態において、圧縮流体および逆溶媒は両方とも超臨界二酸化炭素である。
【0066】
すべての場合において、圧縮流体および逆溶媒は、実質的に溶媒と混和性であるはずであるが、ニラパリブは、圧縮流体に実質的に不溶性であるはずである、すなわち、ニラパリブは、選択された溶媒/圧縮流体が接触している条件で、圧縮流体または逆溶媒に約5重量%以下で可溶性であるはずであり、好ましくは、本質的に完全に不溶性である。
【0067】
本開示の方法で使用される超臨界状態は、典型的には超臨界流体の臨界温度の1倍~約1.4倍、または1倍~約1.2倍の範囲内であり、圧縮流体の超臨界圧力の1倍~約7倍、または1倍~約2倍の範囲内である。
【0068】
規定の圧縮流体または逆溶媒にとっての臨界温度および圧力を決定することは、十分に当業者のレベル内である。一実施形態において、圧縮流体および逆溶媒は両方とも超臨界二酸化炭素であり、臨界温度は、少なくとも31.1℃で、約60℃以下であり、臨界圧力は、少なくとも1071psiで、約1800psi以下である。別の実施形態において、圧縮流体および逆溶媒は両方とも超臨界二酸化炭素であり、臨界温度は、少なくとも35℃で、約55℃以下であり、臨界圧力は、少なくとも1070psiで、約1500psi以下である。特定の臨界温度および圧力が、処理中の様々なステップで異なっている場合があることは、当業者によって理解されるであろう。
【0069】
国際公開第2016/197091号または米国特許第5,833,891号明細書および第5,874,029号明細書で開示されているものを含むがこれらに限定されない、任意の適切な加圧可能なチャンバが使用され得る。同様に、液滴からの溶媒の除去を引き起こすために微粒化液滴を圧縮流体と接触させるステップ;および液滴からの溶媒のさらなる除去を引き起こして、化合物の粒子を生成するために液滴を逆溶媒と接触させるステップは、米国特許第5,833,891号明細書および第5,874,029号明細書に開示されているものを含むがこれらに限定されない、任意の適切な条件下で実行することができる。
【0070】
流量は、出力を最適化するために可能な限り高く調節され得るが、ノズルオリフィスを含む装置の圧力限界を下回る。一実施形態において、ノズルを通る溶液の流量は、約0.5mL/分~約30mL/分の範囲である。種々のさらなる実施形態において、流量は、約0.5mL/分~約25mL/分、0.5mL/分~約20mL/分、0.5mL/分~約15mL/分、0.5mL/分~約10mL/分、0.5mL/分~約4mL/分、約1mL/分~約30mL/分、約1mL/分~約25mL/分、約1mL/分~約20mL/分、1mL/分~約15mL/分、約1mL/分~約10mL/分、約2mL/分~約30mL/分、約2mL/分~約25mL/分、約2mL/分~約20mL/分、約2mL/分~約15mL/分、または約2mL/分~約10mL/分である。流量の影響を受ける薬物の溶液は、約1mg/ml~約80mg/mlなどの任意の適切な濃度であり得る。
【0071】
一実施形態において、方法はさらに、加圧可能なチャンバの出口を通って複数の粒子を受け取るステップ;および国際公開第2016/197091号で開示されているような収集装置に複数の粒子を回収するステップを含む。
【0072】
別の態様において、本開示は、本開示の任意の実施形態または実施形態の組み合わせの方法により調製されるニラパリブ粒子を提供する。
【0073】
実施例
【0074】
【表1】
【0075】
材料試験
レーザー回折による粒度分布(PSD)
走査型電子顕微鏡(SEM)によるイメージング
BET収量測定による比表面積(SSA)測定
粉末X線回折(PXRD)による結晶質相/非晶質相の測定
改変USP<616>粉末のかさ密度の方法Iによるかさ密度分析
USP装置2を使用する溶出
【0076】
研究
1.種々の溶媒におけるニラパリブの溶媒溶解性試験。
2.3つの溶媒系からニラパリブを沈殿させ、その後、PSD、SEM、PXRD、SSA、かさ密度および溶出について/により対応する材料を分析することの実証。
【0077】
以下の溶媒混合物において、ニラパリブの溶解性をテストした:
エタノールのみ、
メタノールのみ、および
HFIPのみ。
【0078】
RC612B沈殿ユニット上でニラパリブを用いて、4つの小規模沈殿実験を実行した。PSDを決定するためにレーザー回折で、PSDデータを支持し、形状/性質を決定するためにSEMで、SSAを決定するためにBET収量測定で、材料の結晶質相/非晶質相を決定するためにPXRDで、沈殿物の追加の物理的特徴を同定するためにかさ密度分析で、実験からの沈殿物を分析した。沈殿したニラパリブの溶出速度を未処理の薬物物質と比較する溶出試験を実行した。
【0079】
実験手順
材料の受領
BOCサイエンスからニラパリブを取得し、温度・湿度監視キャビネット内で保管した。
【0080】
溶媒選択
有機溶媒における溶解性が室温で約8mg/mLを超えると、さらなる研究に十分であるとみなされ、それより高い溶媒溶解性では、生成時間の短縮となった。溶解性は、目視観察により決定され、標準操作手順にしたがってテストされた。
【0081】
沈殿
標準操作手順にしたがって、ニラパリブの4つの小規模の沈殿物が、RC612B SCPユニット上で生成された。
【0082】
1つの特定の代表的な方法において、20mg/mLのニラパリブの溶液をエタノール中で調製した。ノズルおよびソニックプローブを、加圧可能なチャンバ内におよそ9mm離して配置した。およそ20nmの公称定格を有するステンレス鋼製メンブレンフィルターを、加圧可能なチャンバに取り付けて、沈殿したニラパリブ粒子を回収した。超臨界二酸化炭素を製造設備の加圧可能なチャンバ内に置き、約37.8℃、4~12kg/時の流量でおよそ1200psiにした。ソニックプローブを20kHzの周波数で最大出力の60%の振幅に調節した。ニラパリブを含有するエタノール溶液を、2mL/分の流量でおよそ12.5分間、ノズルから汲み出した。その後、混合物をステンレス鋼製メッシュフィルターに通して汲み出しながら、沈殿したニラパリブ粒子を超臨界二酸化炭素から回収した。ニラパリブの粒子を含有するフィルターを開き、得られる生成物をフィルターから回収した。
【0083】
1つの特定の代表的な方法において、67mg/mLのニラパリブの溶液を、メタノール中で調製した。ノズルおよびソニックプローブを、加圧可能なチャンバ内におよそ9mm離して配置した。およそ20nmの公称定格を有するステンレス鋼製メンブレンフィルターを、加圧可能なチャンバに取り付けて、沈殿したニラパリブ粒子を回収した。超臨界二酸化炭素を製造設備の加圧可能なチャンバ内に置き、約37.5℃、4~12kg/時の流量でおよそ1200psiにした。ソニックプローブを20kHzの周波数で最大出力の60%の振幅に調節した。ニラパリブを含有するメタノール溶液を、2mL/分の流量でおよそ4分間、ノズルから汲み出した。その後、混合物をステンレス鋼製メッシュフィルターに通して汲み出しながら、沈殿したニラパリブ粒子を超臨界二酸化炭素から回収した。ニラパリブの粒子を含有するフィルターを開き、得られる生成物をフィルターから回収した。
【0084】
1つの特定の代表的な方法において、100mg/mLのニラパリブの溶液を、HFIP中で調製した。ノズルおよびソニックプローブを、加圧可能なチャンバ内におよそ9mm離して配置した。およそ20nmの公称定格を有するステンレス鋼製メンブレンフィルターを、加圧可能なチャンバに取り付けて、沈殿したニラパリブ粒子を回収した。超臨界二酸化炭素を製造設備の加圧可能なチャンバ内に置き、約37.5℃、4~12kg/時の流量でおよそ1200psiにした。ソニックプローブを20kHzの周波数で最大出力の60%の振幅に調節した。ニラパリブを含有するHFIP溶液を、2mL/分の流量でおよそ2.5分間、ノズルから汲み出した。その後、混合物をステンレス鋼製メッシュフィルターに通して汲み出しながら、沈殿したニラパリブ粒子を超臨界二酸化炭素から回収した。ニラパリブの粒子を含有するフィルターを開き、得られる生成物をフィルターから回収した。
【0085】
1つの特定の代表的な方法において、50mg/mLのニラパリブの溶液を、メタノール中で調製した。ノズルおよびソニックプローブを、加圧可能なチャンバ内におよそ9mm離して配置した。およそ20nmの公称定格を有するステンレス鋼製メンブレンフィルターを、加圧可能なチャンバに取り付けて、沈殿したニラパリブ粒子を回収した。超臨界二酸化炭素を製造設備の加圧可能なチャンバ内に置き、約38.0℃、4~12kg/時の流量でおよそ1200psiにした。ソニックプローブを20kHzの周波数で最大出力の60%の振幅に調節した。ニラパリブを含有するメタノール溶液を、2mL/分の流量でおよそ100分間、ノズルから汲み出した。その後、混合物をステンレス鋼製メッシュフィルターに通して汲み出しながら、沈殿したニラパリブ粒子を超臨界二酸化炭素から回収した。ニラパリブの粒子を含有するフィルターを開き、得られる生成物をフィルターから回収した。
【0086】
分析テスト
ニラパリブの沈殿実験に続いて、該当する場合、PSD、SEM、PXRD、SSA、かさ密度および溶出について/により材料を分析した。
【0087】
結果と考察
溶媒選択
すべての結果を表1に示す。
【0088】
沈殿
エタノール用いて初回の沈殿実験(SC1)を、メタノールを用いて2回目(SC2)をそれぞれ実行した。3回目の実験(SC3)は、HFIPを用いた。沈殿実験グリッドを表1に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
粒度分布
Hydro MV(商標)分散ユニットを使用するマルバーンマスターサイザー(商標)3000で、粒度分析を実行した。未検証の一般的なPSD法/分散剤法を使用して、ニラパリブ試料を分析した。実行された試料調製手順は、以下の通りであった:30mL容バイアルにニラパリブ10~20mgを計り入れ、酢酸エチル20mLを添加する。懸濁液を超音波浴で1分間ボルテックスしてから超音波処理することにより試料を分散させる。その後、試料懸濁液をマルバーンHydro MV(商標)分散ユニットに移して、5~15%の減衰率を得る。
【0091】
0.601μのDv10から12.9μのDv90のPSD結果を得た。4回の実験についてのDv50結果は2.32μ~5.74μの範囲であり、未加工品で確認されるよりも有意に小さかった。粒度分布は、表1に見ることができる。
【0092】
走査型電子顕微鏡検査
走査型電子顕微鏡検査をJoel NeoScope(商標)SEMで実行した。全体では、イメージングは、変化する分布、および様々な粒子の形状/性質を有する粒度分布結果を支持する。代表的なSEM顕微鏡写真を、図1図5に表す。
【0093】
粉末X線回折
粉末X線回折分析を、シーメンスD5000 X線回折装置で実行した。PXRDは、0.02 2θ度/秒の速度および1ステップあたり1秒で、5~35 2θ度でスキャンされた。回折パターンのオーバーレイは、図6に確認することができる。
【0094】
比表面積
表面積分析を、Quantachrome NOVAtouch(商標)LX2 BETソープトメーターで実行した。表面積の結果は、表1に認めることができる。
【0095】
溶解度試験
振とうフラスコ法を使用することにより、溶解度を測定した。薬物を、調製された各溶液に二連で過剰添加した。バイアルを機械式シェーカー上に20~25℃で24時間載せた。振とう後、溶液を除去し、0.45μmのPTFEシリンジフィルターに通して濾過し、UV/可視分光測光法により分析した。結果を表2に示し、これは、ニラパリブが、濃度依存的溶解度を示したことを示唆する。
【0096】
【表3】
【0097】
溶出試験
溶出試験用に選択された媒体は、10%メタノール-水900mLであり、パドル速度50rpmであった。シンク条件を満たすため、薬物20mgを直接容器に添加した。2つの容器は、11.96m/gの比表面積測定値を有する処理済みSC4材料を含有しており、2つの容器は、0.70m/gの比表面積測定値を有する未処理の材料を含有していた。時点は、5分、10分、15分、および30分で取られた。各時点で、5mLのアリコートを取り出し、すぐに0.45μmのPTFEシリンジフィルターで濾過して、濾液の最初の1mLを廃棄した。その後、UV/可視分光測光法により、240nmの波長で溶液を分析した。溶出プロファイルを図7に表し、様々な比表面積を有する試料間の良好な差別化を示す。
【0098】
結論
ニラパリブは、テストされたすべての溶媒系から沈殿することに成功し、エタノールおよびメタノールで最も有望な結果を示した。得られるニラパリブ粒子は、有意に増加した比表面積と、有意に改善した溶出特性とを示した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】