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特表2024-543328リサイクル性を向上させた印刷包装材とその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】リサイクル性を向上させた印刷包装材とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20241114BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20241114BHJP
   B29B 13/10 20060101ALI20241114BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241114BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20241114BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B29B17/00
B29B9/06
B29B13/10
B32B27/00 Z
B32B27/32 E
B29B17/04 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525416
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022080665
(87)【国際公開番号】W WO2023078991
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】102021128655.7
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202021106227.4
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519005196
【氏名又は名称】コンスタンティア・ピルク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレフェンシュタイン、アヒム
(72)【発明者】
【氏名】デウォルド、インナ
(72)【発明者】
【氏名】ケスマルスキー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ビュットナー、シュテファン
【テーマコード(参考)】
4F100
4F201
4F401
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK05A
4F100AK05B
4F100AK06A
4F100AK06B
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK15A
4F100AK15B
4F100AK15D
4F100AK23A
4F100AK23B
4F100AK23D
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AK29A
4F100AK29B
4F100AK51D
4F100AK63A
4F100AK63B
4F100AK68A
4F100AK68B
4F100BA03
4F100BA04
4F100CB00C
4F100GB15
4F100GB23
4F100HB31D
4F100JJ03
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4F100JL11C
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4F100JL16A
4F100JL16B
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4F100YY00B
4F201AA04
4F201AA11
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4F201BL08
4F201BN29
4F201BP11
4F201BP16
4F401AA09
4F401AA10
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4F401CA02
4F401CA14
4F401CA78
4F401CB01
4F401CB18
4F401FA01Z
4F401FA07Z
4F401FA11X
(57)【要約】
本発明は、接着剤で積層された少なくとも2枚のプラスチックフィルムからなる担体材料であって、これらのフィルムが少なくとも70重量%の単一種類のモノマーおよび/またはポリマーを含む担体材料と、印刷インクによって形成された光学的に知覚可能な要素と、を含み、印刷インクおよび/または接着剤が熱的に安定であり、≧30℃および≦320℃の範囲の温度に曝されたときに20%未満の重量損失を有する、リサイクル可能なプラスチック含有包装材料に関する。さらに、本発明は、印刷インクおよび/または接着剤を含むプラスチック含有包装材料のリサイクル性を予測する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクル可能な、プラスチックを含む包装材料であって、
接着剤でラミネートされた少なくとも2枚のプラスチックフィルムからなる担体材料であって、これらのフィルムは、少なくとも70重量%の単一種類のモノマーおよび/またはポリマーを含む担体材料と、
印刷インクによって形成される光学的に知覚可能な要素と、を含み、
印刷インクおよび/または接着剤は、熱的に安定であり、≧30℃および≦320℃の範囲の温度にさらされたときに20%未満の重量損失を示す、包装材料。
【請求項2】
プラスチックフィルムのプラスチックは、プロピレンまたはエチレンまたはブタジエンまたはブタンまたはヘキサンまたはオクタンまたはエテニルベンゼンまたはプロパン酸エステルの重合生成物を少なくとも70重量%、好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上含む、請求項1に記載の包装材料(1)。
【請求項3】
温度に曝されたときに、≦15重量%、好ましくは≦10重量%、より好ましくは≦5重量%、特に好ましくは≦3重量%、最も好ましくはガス状分解生成物を形成しない、請求項1又は2に記載の包装材料(1)。
【請求項4】
ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、特にポリビニルブチラール、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む印刷インクを含有する、請求項1~3の何れか1項に記載の包装材料(1)。
【請求項5】
プラスチックが、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PE-HMW(高分子量ポリエチレン)、PE-UHMW(超高分子量HDPE)からなる群から選択される、エチレン系共重合体、好ましくは(それぞれ互いに独立して)エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、メタクリル酸エチルエステル(EMA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)およびエチレン-アクリル酸ブチル共重合体(EBA)、またはこれらの混合物、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)およびアタクチックポリプロピレン(aPP)、ポリプロピレンフォーム(EPP)、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、(一方向または双方向)延伸ポリプロピレンフィルム(OPPおよびBOPP)またはこれらの混合物、コモノマーとしてエチレンを有するポリプロピレンの組み合わせ、好ましくはポリプロピレンコポリマー、好ましくはコモノマーとしてエチレンを有するポリプロピレンランダムコポリマー、好ましくはポリプロピレン-エチレンブロックコポリマーである、請求項1~4の何れか1項に記載の包装材料(1)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の包装材料を、好ましくは≧25%、好ましくは≧70%、より好ましくは≧75%、特に好ましくは≧90%の重量割合で含むプラスチック再生品。
【請求項7】
粒状物であり、当該粒状物は、好ましくは≧0.5mm~≦25mm、好ましくは≧0.75mm~≦20mm、より好ましくは≧1mm~≦10mm、特に好ましくは≧0.3mm~≦6mmの範囲の平均粒径(d50ふるい分析)を有する、請求項6に記載のプラスチック再生品。
【請求項8】
請求項6または7に記載の再生プラスチックの製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする再生プラスチックの製造方法。
a)好ましくは≧25%以上、より好ましくは≧70%以上、さらに好ましくは≧75%以上、特に好ましくは90%以上の重量割合で、請求項1~5の何れか1項に記載の包装材料からなるプラスチック廃棄物を提供する工程;
b)プラスチック廃棄物を洗浄する工程;
c)必要であれば、プラスチック廃棄物を破砕および/または混合する工程;
d)プラスチック廃棄物を押出機に投入し、プラスチック廃棄物から押出成形品を製造する工程;
e)押出成形品を粉砕して粒状物にする工程
【請求項9】
工程b)は工程d)の前に実施され、好ましくは工程a)~e)は上記の順序で実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
印刷インクおよび/または接着剤を含むプラスチック含有包装材料のリサイクル可能性を予測する方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法。
・印刷インクおよび/または接着剤のサンプルを提供する工程;
・試料の熱重量分析を実施する工程であって、熱重量分析が、≧30℃~≦320℃の温度範囲における質量変化の少なくとも1つの測定を含む、工程;
・この温度範囲の臨界温度を指定する工程;
・臨界温度における試料の質量損失を求める工程;
・臨界温度における試料の質量損失に基づいて、インクおよび/または接着剤のリサイクル性を分類する工程。
【請求項11】
熱重量分析が実施される前に印刷インクが乾燥され、乾燥が好ましくは≧20℃および≦100℃、好ましくは≧30℃および≦50℃、特に好ましくは40℃±3℃の温度で実施され、および/または乾燥が≧2日および≦14日、好ましくは≧3日および≦10日、さらに好ましくは≧4日および≦7日、特に好ましくは5日±12時間の期間にわたって実施されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
熱重量分析が実施される前に接着剤が乾燥および/または硬化され、乾燥および/または硬化が好ましくは50℃~150℃、好ましくは80℃~120℃、より好ましくは90℃~110℃の温度で、および/または5日間±24時間の期間にわたって実施されることを特徴とし、
イソシアネートおよび/または溶剤含有量が、好ましくはこの期間の後に測定され、好ましくは≦5重量%に設定される規定限界値を超える場合、上記温度での乾燥および/または硬化期間は、好ましくは≧1日≦5日、好ましくは≧2日≦4日、より好ましくは3日±12時間である追加の乾燥および/または硬化期間だけ延長される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
熱重量分析は、≧10℃/分および≦100℃/分、好ましくは≧20℃/分および≦50℃/分、より好ましくは≧25℃/分および≦40℃/分、特に好ましくは30℃/分±3℃/分の温度上昇で実施される、請求項10~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
500mg未満の試料が熱重量分析に使用され、好ましくは試料量≦200mg、好ましくは≦100mg、より好ましくは≦50mg、さらに好ましくは≦20mg、特に好ましくは10mg、任意に±5mgであることを特徴とする、請求項10~13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
熱重量分析に続いて、形成された分解生成物の分析が行われ、分解生成物は好ましくはガスクロマトグラフィーによって分析され、ガスクロマトグラフィー分析は好ましくは、再造粒中のプラスチックの溶融温度に対応するトリガー温度で実施されることを特徴とする、請求項10~14の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷及び/又は粘着剤含有包装材料に関する。さらに、本発明は、このような包装材料からなる包装体、この包装材料のリサイクル工程から得られるリサイクル物、およびこのような包装材料の製造方法に関する。さらに、本発明は、このような包装材料のリサイクル性を予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装目的、例えば食品の包装のために、様々なプラスチック材料や複合材料が技術的に知られている。包装された商品の保護に関する要求を満たすために、これらのプラスチック包装はしばしばバリア層を含む。複数の物質または物質クラスに対するバリアを提供するために、異なる材料の複合体および/または積層体がしばしば使用される。包装は、包装された商品にラベルを付けるため、及び/又は特定の会社及び/又は製造業者に割り当てることができるように、しばしば印刷される。
【0003】
このような包装材は、複数の層から構成されることが多いが、そのすべてが必ずしもプラスチック製である必要はない。例えば、金属や紙の層を含む包装材が知られている。
【0004】
包装のリサイクル性は、近年非常に重要視されている。包装される商品に対して十分な安全性を提供し、かつ可能な限り完全にリサイクルできる包装に対する要求が高まっている。
【0005】
紙や金属から得られるセルロース繊維は、すでに高い割合でリサイクルされており、高品質の製品を製造するために使用することができるが、プラスチックのリサイクル可能性はまだ限られており、リサイクル時に得られる材料は、不純物のためにサーマルリサイクルしかできないか、使用される材料の純度要件が低い低価値の製品にさらに加工されることが多い。
【0006】
プラスチックのリサイクル性を高めるため、可能な限り1種類のプラスチックから包装材料を製造する試みが過去に行われてきた。しかし、機械的強度、バリア性、印刷性、加工性などの要求を満たすために、単一のモノマーとそれに関連するコモノマー(例えば、LLDPEを合成するためのα-オレフィン)の異なるポリマーを使用したラミネートを使用することが多い。例えば、唯一のモノマーとしてエチレンから出発して、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)、PE-HMW(高分子量ポリエチレン)、PE-UHMW(超高分子量HDPE)およびPE-X(後架橋PE)のグループに割り当てることができるポリマーを得ることができる。さらに、任意のタイプのポリエチレンがポリオレフィン材料として考えられ、いくつかの実施形態に好ましい。特に、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、メタクリル酸エチルエステル(EMA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)およびエチレン-アクリル酸ブチル共重合体(EBA)からなる群から選択されるエチレン共重合体が好ましい。好ましくは、これらのコポリマーは、重量および/または粒子含量≧70%のエチレンを有する。
【0007】
プロピレンから出発して、エチレンと比較してメチル基が追加されることにより、さらに多くのバリエーションが可能になる。例えば、ポリプロピレンの特性は、鎖内の付加基の配置によってアイソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、アタクチックポリプロピレン(aPP)に区別することができる。さらに、エチレンをコモノマーとするポリプロピレンの任意の組み合わせがポリオレフィン材料として考えられ、用途によっては好ましい。好ましくは、ポリプロピレンコポリマーは、エチレンをコモノマーとするポリプロピレンランダムコポリマーおよびポリプロピレン-エチレンブロックコポリマーからなる群から選択される。好ましくは、これらのコポリマーは、70重量%以上のプロピレン含量を有する。
【0008】
プロピレンを主成分とするフォーム(ポリプロピレンフォーム(EPP))も知られている。ポリプロピレン(フィルム)の機械的(後)処理は、ポリマー鎖の方向を有利にすることによって特性を変えることもできる。例えば、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)および未延伸ポリプロピレンフィルム(OPPおよびBOPP)が知られている。配向ポリプロピレンフィルムの場合も、一方向に配向したポリプロピレンフィルム(OPP)と二方向に配向したポリプロピレンフィルム(BOPP(二軸配向ポリプロピレン))に区別できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、単一種類のプラスチックを基材とする包装材料であっても、リサイクルされた場合、高品質のプラスチック製品を製造するための品質要件を満たす原料を提供できるのは、ごく一部に限られることが明らかになっている。そのため、顧客はプラスチック再生品に対して大きな懸念を抱いており、プラスチック再生品の潜在的な用途は依然として限られている。
【0010】
そのため、現在市場に出回っているプラスチック製品(特にプラスチック包装材)よりもリサイクルが容易で、不純物の含有量が少ないプラスチック製品(特にプラスチック包装材)が求められている。さらに、プラスチック製品にプラスチックの他に追加成分が含まれている場合、そのリサイクル可能性について予測できるようにする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題は、独立特許請求の範囲の目的によって解決される。上記の問題に対する1つの解決策は、接着剤でラミネートされた少なくとも2枚のプラスチックフィルムからなる担体材料からなるリサイクル可能なプラスチック含有包装材料にある。これらのフィルムは、少なくとも70重量%の単一種類のモノマーおよび/またはポリマーからなる。さらに、このような包装材料は、印刷インクによって形成された光学的に知覚可能な要素を含み、特に、印刷インクおよび/または接着剤が熱的に安定であり、≧30℃、好ましくは≧100℃、より好ましくは≧125℃、さらに好ましくは≧130℃、特に好ましくは≧140℃、最も好ましくは≧150℃、および≦320℃、好ましくは≦300℃の範囲の温度にさらされたときに20%未満の重量損失を有することによって特徴付けられる。この重量損失は、例えば、印刷インクまたは接着剤の分解によって引き起こされ得る。分解生成物-例えばHO、CO、CO、NOx-が気相に通過し、したがって試料の重量減少につながることが考えられる。好ましくは、接着剤はPU接着剤である。代替的または追加的に、EVA接着剤も使用可能であり、用途によっては好ましい。
【0012】
好ましい実施形態において、フィルムの少なくとも1つは、少なくとも1つの添加剤を含み、この添加剤は、好ましくは、触媒、可塑剤、染料、顔料、アンチブロッキング剤、殺菌剤、殺菌剤、光安定剤、特にUV吸収剤および/またはヒンダードアミン光安定剤(HALS)、脱型剤、滑剤、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、架橋添加剤からなる群から選択され、光安定剤、特にUV吸収剤および/またはヒンダードアミン光安定剤(HALS)、脱型剤、滑剤、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、架橋添加剤、乳化剤、充填剤および帯電防止剤、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
温度への暴露による重量損失について上に示した値は、好ましくは、それぞれの物質および/または混合物の乾燥または(部分的な)硬化したサンプルを指す。例えば、印刷インクを液状で基材に塗布することはよくある。この目的のために、着色剤は液体に溶解されるか、液体中の乳濁液または懸濁液として存在する。接着剤(略して粘着剤とも呼ばれる)もまた、しばしば凝固および/または硬化し、それによって粘着剤の粘度が変化し得る。この粘度の変化は、物質のガス放出および/または液体の蒸発に関連する可能性がある。類似の反応は、他の添加剤とも起こり得、好ましい実施形態では、上述したような包装材料に含まれ得る。
【0014】
好ましくは、プラスチックフィルムのプラスチックは、プロピレンまたはエチレンまたはブタジエンまたはエテニルベンゼンまたはプロペン酸エステルまたはブタンまたはヘキサンまたはオクタンの重合生成物を少なくとも70重量%、好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上含む。特に、各場合において、プラスチックを形成するための重合には上記のモノマーのうちの1種のみが使用され、したがってプラスチックは単一モノマーおよび/または単一タイプのポリマーの反応生成物であることが好ましい。しかし、モノマーはしばしば不純物を少量含むが、これは高品質のプラスチックを製造するのに適している。このような不純物も本発明の範囲内では許容される。上記の重量%は、好ましくは、選択された重合条件下で重合可能な物質の割合のみを指す。触媒、存在する溶媒、(ラジカル)開始剤、クエンチャーおよび重合に影響を及ぼす他の添加剤のような非重合性物質は、上記の重量パーセントを計算する際に考慮されない。
【0015】
印刷インクおよび/または接着剤および/または添加剤の分解により、大量のガス状分解生成物が発生すると、特に不利であることが判明している。これらは、リサイクルの際にプラスチックやリサイクル品に(ガス)泡を発生させる原因となる。これらはしばしば除去が困難であり、リサイクル品のさらなる処理中に有害となる可能性がある。したがって、印刷インクおよび/または接着剤および/または添加剤が、温度に曝されたときに、≦15重量%、好ましくは≦10重量%、より好ましくは≦5重量%、特に好ましくは≦3重量%、最も好ましくはガス状分解生成物を形成しない包装材料が好ましい。これらの数値は、特に断らない限り、本発明の範囲内の他のすべての百分率の数値と同様に、温度をかける前の印刷インキおよび/または接着剤および/または添加剤(またはそれらの混合物)のサンプルの総重量に基づく重量百分率を指す。
【0016】
好ましいのは、印刷インクおよび/または接着剤および/または添加剤が、≧30℃および≦320℃の範囲、好ましくは≧200℃および≦310℃の範囲、より好ましくは≧250℃および≦300℃の範囲、特に好ましくは≧150℃および≦320℃の範囲の温度にさらされたときに、上記のような重量損失を示す包装材料である。追加的または代替的に、印刷インクおよび/または接着剤および/または添加剤が、上述の範囲のうちの1つの温度(場合によっては、先に定義した下限温度のうちの1つも有する)に曝露されたときに、15%未満、好ましくは≦10%、より好ましくは≦5%、より好ましくは≦3%の重量損失を有する包装材料が好ましい。様々な印刷インクの、温度にさらされたときの例示的な重量損失の概要は、以下の表1に見出すことができる。
【0017】
【表1】
【0018】
表1に示す分解生成物の形成によるそれぞれの印刷インクの重量損失は、分析すべき印刷インクのそれぞれのサンプルの熱重量分析によって決定した。各測定は、少なくとも温度範囲≧30℃および≦320℃、好ましくは≧30℃および≦260℃を含む温度範囲にわたって実施した。表1に示す値は、30~900℃の温度範囲で実施した熱重量分析からの抜粋を示す。ただし、≧30℃および≦260℃の温度範囲で生じる印刷インクまたはラミネート接着剤の体積損失のみを示す。重量損失は、30℃と260℃における試料の質量差によって決定される。様々な印刷インクの熱重量分析中に決定された(温度に依存する重量損失)曲線の経過は、印刷インクの分解が特に強い重量損失につながる温度範囲に関する情報を提供することができる。本発明による包装材料に含まれる印刷インクおよび/または接着剤について、≧30℃および≦320℃の範囲の温度にさらされたときに≦20重量%の重量損失があるとしても、≧130~≦260℃の範囲は、それにもかかわらず、熱重量分析において大きな(負の)勾配が生じるこれらの印刷インクおよび/またはラミネート接着剤の多くの範囲を形成する。
特に、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、特にポリビニルブチラールまたはそれらの組み合わせをベースとする印刷インクがこの要件を満たすことが示されている。したがって、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、特にポリビニルブチラールからなる群から選択される成分を有する印刷インクを有する包装材料が好ましい。
【0019】
表1からもわかるように、すべての印刷インクが本発明の要件を満たすわけではない。例えば、硝酸セルロースをベースとする印刷インクや、硝酸セルロースを大量に含む印刷インクは、18%以上、場合によっては28%以上から30%近い分解生成物の量を示し、明らかに許容範囲外である。このような印刷インクは本発明の文脈では不適当であり、非耐熱性印刷インクと理解することができる。
【0020】
好ましくは、包装材料は包装フィルムおよび/または包装容器である。可撓性フィルムも所定形状の容器も、多種多様なデザインで包装目的に使用されている。フィルムと寸法的に安定した容器の組み合わせも知られており、例えば、同じプラスチックのフィルムで密封されたプラスチック製サラダカップの場合である。
【0021】
プラスチックは、包装用複合材、例えば紙とプラスチックの複合材の一部とすることができる。好ましくは、フィルム複合体である。個々の(材料)層は、好ましくは、それぞれの材料/層が、好ましくは種類別に、それぞれのリサイクル工程に供給され得るように、互いに(非破壊的に)分離され得る。
【0022】
好ましい実施形態では、印刷インクは色、特にインクである。印刷インクは、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、UVフレキソ印刷、オフセット印刷またはデジタル印刷によって包装材料に適用することができる。好ましくは、塗布された印刷は保護層で覆われる。
【0023】
好ましくは、プラスチックは、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)、PE-HMW(高分子量ポリエチレン)、PE-UHMW(超高分子量HDPE)、エチレン共重合体、好ましくは(それぞれ独立して)エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、メタクリル酸エチルエステル(EMA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-ブチルアクリレート共重合体(EBA)またはそれらの混合物、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)およびアタクチックポリプロピレン(aPP)、ポリプロピレンフォーム(EPP)、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、(一方向または二方向)延伸ポリプロピレンフィルム(OPPおよびBOPP)またはそれらの混合物、エチレンをコモノマーとするポリプロピレンの組み合わせ、好ましくはポリプロピレン共重合体、エチレンをコモノマーとするポリプロピレンランダム共重合体、好ましくはポリプロピレン-エチレンブロック共重合体からなる群から選択される。
【0024】
さらに、本発明は、上述のような包装材料を含むプラスチックリサイクル品を対象とする。このプラスチック再生品は、好ましくは、上述の包装材料を≧25%、好ましくは≧70%、より好ましくは≧75%、特に好ましくは≧90%の重量割合で含む。
【0025】
包装材料に関して上述したように、これは特にリサイクルが容易である。他のプラスチック材料(好ましくは、同じ種類のモノマーおよび/またはポリマーをベースとする)との混合物も、既知のリサイクル物と比較して、より高品質のリサイクル物であることが示されている。これは特に、(好ましくは分別された、特に好ましくは混合されていない)プラスチック廃棄物を熱処理してプラスチックまたはリサイクル粒状物を形成する際に、分解生成物がより少なく生成されるという事実によって説明することができる。分解生成物、特にガス状分解生成物の割合が低いということは、再生品中に形成される低分子不純物が少なく、特にペレット中に形成されるガス状封入物が少ないことを意味する。これらの不純物は、特にプラスチックの押出成形時に発生する高圧力や圧力差において、材料に高い機械的応力を与え、ポリマーの化学的特性や物理的特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0026】
特に、再生プラスチックが粒状物であることが好ましい。粒状物は、取り扱いが容易であり、特に押出成形が容易であるため、プラスチック加工産業において特に適していることが証明されている。
【0027】
好ましくは、粒状物は、≧0.5mm~≦25mm、好ましくは≧0.75mm~≦20mm、より好ましくは≧1mm~≦10mm、特に好ましくは≧0.3mm~≦6mmの範囲の平均粒径(d50ふるい分析)を有する。この平均粒径の粒状物は、特に取り扱いが容易であり、粉塵を形成する傾向がなく、なおかつ押出機で容易かつ均質に成形することができる。
【0028】
上記のようなプラスチック再生物は、特に有利には、以下の工程を含むプロセスによって得ることができる:
a)上記のような包装材料からなるプラスチック廃棄物を、好ましくは≧25重量%、より好ましくは≧70重量%、さらに好ましくは≧75重量%、特に好ましくは≧90重量%の割合で提供する工程;
b)プラスチック廃棄物を洗浄する工程;
c)必要に応じて、プラスチック廃棄物を選別および/または破砕および/または混合する工程:
d)プラスチック廃棄物を押出機に供給し、プラスチック廃棄物から押出物を製造する工程;および
e)押出成形物を細断して粒状物にする工程。
【0029】
このプロセスにより、上記のような包装材料のリサイクルが特に容易になる。得られる粒状物は高い純度を有し、その物理的および/または化学的性質は、一次原料から得られるプラスチックの性質にほぼ一致する。
【0030】
上述した包装材料は、比較的少量でもリサイクル品の特性に好影響を与えるのに十分であることが分かった。しかしながら、プラスチック混合物の熱処理中に生成される分解生成物の量を減少させることができるため、上述のような包装材料の割合が高いことが好ましい。特に、熱処理中に発生するガスの量を好ましく低減することができる。
【0031】
ガスの発生は、プラスチックを押出成形してプラスチックストランドにし、それをさらにペレットに加工する際に特に有害である。通常、破砕されたプラスチック廃棄物は押出機に投入され、温度と圧力が上昇した状態でダイに向かって搬送される。この温度と圧力でプラスチック粒子は軟化し、流動性を持つようになる。しかし、この工程で生じる分解生成物は、流動性に悪影響を及ぼすことがある。例えば、分解生成物はプラスチックとは異なる軟化点を持つため、溶融物中に固体として存在し、粘度に悪影響を及ぼすことがある。ガス状分解生成物には、その挙動が現行の圧力にも依存するという問題もある。プラスチックの押出成形中に圧力条件が何度も変化するため、溶融物中に気泡が形成される危険性がある。気泡は溶融物の粘度にも悪影響を及ぼす。さらに、これらの気泡に捕捉されたガスは、ダイを通して押出機から出た後に圧力条件が急激に変化すると、押出されたストランドから急激に抜け出し、その結果、押出物に亀裂が入るという欠点がある。そのため、均質な押出材の形成や、決められた粒径のペレットの形成は不可能である。
【0032】
上述の欠点につながる汚染を避けるため、工程b)ではプラスチック廃棄物の洗浄が行われる。この工程をいつ実施するかはプロセスに大きな影響を与えないため、工程の順序は基本的に自由に選択できる。例えば、現場の状況に合わせることもできる。ただし、押出機に投入する前に洗浄を行うことは不可欠である。
【0033】
工程c)は、一般的な条件に応じて実施することもできる。ただし、プラスチック廃棄物の選別、破砕、および/または混合などの工程は必要ない場合もある。例えば、プラスチック廃棄物の純粋な混合物が既に入手可能であれば、さらなる選別は省略できる。さらなる処理に使用できる包装廃棄物のサイズも、それぞれの条件に依存し得る。押出機が大型の包装廃棄物の処理に適している場合、さらなる破砕は必要ないかもしれない。異なるプラスチック廃棄物を混合することも、利用可能なプラスチック廃棄物および/または製造されるペレットの要件に応じて、有利になることもあれば、そうでないこともある。好ましくは、単一種類のモノマーおよび/またはポリマーから得られた包装廃棄物のみが混合され、これにより、上述したように、軽微な不純物は許容され得る。
【0034】
本発明はさらに、印刷インクおよび/または接着剤および/または添加剤を含むプラスチック材料のリサイクル可能性を予測する方法に向けられている。この方法は、以下の工程によって特徴付けられる:
・インクおよび/または接着剤および/または添加剤のサンプルを提供する工程;
・試料の熱重量分析を実施する工程であって、熱重量分析が、≧30℃~≦320℃の温度範囲における質量変化の少なくとも1つの測定を含む工程;
・この温度範囲における臨界温度値を決定する工程;
・臨界温度における試料の質量損失を決定する工程;
・臨界温度における試料の質量損失に基づいて、インクおよび/または接着剤および/または添加剤のリサイクル可能性を分類する工程。
【0035】
この方法は、熱重量分析に供される物質を備えたプラスチックのリサイクル性に関して良好な予測を行うために使用できることが示されている。
【0036】
好ましくは、リサイクル性は試料の重量損失に基づいて分類され、それにより、良好なリサイクル性については、20%未満、好ましくは≦15%、好ましくは≦10%、より好ましくは≦5%、特に好ましくは≦3%の重量損失の限界値が設定される。
【0037】
好ましくは、熱重量分析を実施する前に、印刷インクおよび/または接着剤および/または添加剤を乾燥および/または硬化させる。
【0038】
印刷インクの場合、乾燥は、≧20℃および≦100℃、好ましくは≧30℃および≦50℃、特に好ましくは40℃±3℃の温度で実施されることが特に好ましい。さらにまたは代替的に、乾燥は、≧2日および≦14日、好ましくは≧3日および≦10日、より好ましくは≧4日および≦7日、特に好ましくは5日±12時間の期間にわたって行われることが好ましい。
【0039】
接着剤の乾燥または硬化には、≧50℃および≦150℃、好ましくは80℃~120℃、特に好ましくは≧90℃~110℃の温度範囲が適していることが証明されている。追加的または代替的に、乾燥および/または硬化期間は、好ましくは約5日間(場合によっては±24時間)である。典型的には、この期間の後、イソシアネートおよび/または溶剤の含有量は≦5重量%である。しかしながら、好ましくは、これら2つの値の少なくとも一方がチェックされる。これらの値の一方または両方が、好ましくは≦5重量%に設定される所定の限界値を超える場合、上記温度での乾燥および/または硬化期間は、好ましくは延長される。追加の乾燥および/または硬化期間は、好ましくは≧1日および≦5日、好ましくは≧2日および≦4日、特に好ましくは3日±12時間である。溶媒含有量は、好ましくはヘッドスペースGCによって試験され、これとは別に、イソシアネート含有量は、好ましくはATR-FTIR分析によって試験される。
【0040】
乾燥および/または硬化は、好ましくは固体支持体上で行われる。特に、固体支持体が高い熱伝導性を有することが好ましい。特に、支持体が金属からなる、または金属製であることが好ましい。特に、アルミニウム製の支持体が有利であることが示されており、このような支持体は、様々な材料による腐食に対しても耐性があるからである。
【0041】
好ましくは、500mg未満の試料を熱重量分析に使用する。少量の試料は、温度変化に特に素早く反応し、適用温度を試料全体に素早く均一化できるため、有利であることが証明されている。好ましくは、≦200mg、好ましくは≦100mg、より好ましくは≦50mg、さらに好ましくは≦20mg、特に好ましくは10mg、場合によっては±5mgの試料量が熱重量分析に使用される。
【0042】
試料の乾燥および/または硬化により、印刷インクおよび/または接着剤および/または添加剤は、比較的短時間で、包装材料がリサイクルのために送られるときにも包装材料中に存在する形態で存在することになる。したがって、リサイクル性の予測は特に信頼できる。
【0043】
好ましい変形例では、本方法における熱重量分析が、≧10℃/分および≦100℃/分、好ましくは≧20℃/分および≦50℃/分、より好ましくは≧25℃/分および≦40℃/分、特に好ましくは30℃/分±3℃/分の温度上昇で実施されることが想定される。この温度上昇では、一般的に使用される物質の分解が管理可能な時間で行われ、試料がそれぞれの物質の分解温度に均質に到達するのに十分な時間があることが示されている。このようにして、結果の再現性を高めることができる。
【0044】
好ましい変形方法では、熱重量分析に続いて、得られた分解生成物の分析が行われる。特に、分解生成物をガスクロマトグラフィーで分析することが好ましい。好ましくは、ガスクロマトグラフィー分析は、260℃のトリガー温度で実施される。好ましくは、トリガー温度は、再造粒中のプラスチックの溶融温度(例えば、PEの溶融温度)に適合される。
【国際調査報告】