(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】単一の配置センサを使用して人の骨盤の向きを連続的に決定する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/107 20060101AFI20241114BHJP
A61F 5/01 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61B5/107 300
A61F5/01 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525600
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 AT2022060371
(87)【国際公開番号】W WO2023070141
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522149315
【氏名又は名称】サンラス ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼンズメイヤー、コーネリア
【テーマコード(参考)】
4C038
4C098
【Fターム(参考)】
4C038VA06
4C038VB24
4C038VC20
4C098AA02
4C098BB01
4C098BD02
4C098BD04
(57)【要約】
本発明は、単一の配置センサ(40)を使用して人の骨盤の向きを連続的に決定する方法に関し、方法は、
- 少なくとも1つの較正センサ及び配置センサ(40)を提供するステップと、
- 骨盤のエリア内の人の体に配置センサ(40)を適用するステップと、
- 少なくとも1つの較正センサの上に人を配置するステップと、
- コンピューティング・ユニット(30)において、較正センサ(40)の測定値を受け取り、較正センサ(40)から受け取られた測定値に基づいて骨盤の基準描写を決定するステップと、
コンピューティング・ユニット(30)において、配置センサ(40)の測定値を受け取り、配置センサ(40)から受け取られた測定値だけに基づいて骨盤の現在の向きを更新するステップと、
を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の配置センサ(40)を使用して人の骨盤の向きを連続的に決定する方法であって、
- 少なくとも1つの較正センサ及び前記配置センサ(40)を提供するステップと、
- 前記骨盤のエリア内、特に、恥骨、腸骨稜、腸骨棘、又は仙骨などの、前記骨盤の特徴的な点のエリア内の前記人の体に前記配置センサ(40)を適用するステップと、
- 前記少なくとも1つの較正センサの上に前記人を配置するか、前記少なくとも1つの較正センサを前記人に適用するステップと、
- コンピューティング・ユニット(30)において、前記較正センサ(40)の測定値を受け取り、前記較正センサ(40)から受け取られた前記測定値に基づいて前記骨盤の基準描写を決定するステップであって、前記骨盤の現在の向きが元の向きとして格納される、ステップと、
- 前記コンピューティング・ユニット(30)において、前記配置センサ(40)の測定値を受け取り、前記配置センサ(40)から受け取られた前記測定値だけに基づいて前記骨盤の前記現在の向きを更新するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記人の骨盤の場所を連続的に決定するためにさらに実施され、前記配置センサが、空間的位置の並進変化及び空間的位置の回転変化を決定するために設計され、前記較正センサ(40)から受け取られた前記測定値に基づいて前記骨盤の前記基準描写を決定した後、さらに、前記骨盤の前記現在の場所が前記元の場所として格納され、前記展開センサ(40)の測定値を受け取った後、さらに、前記骨盤の前記現在の場所の更新が、前記配置センサ(40)から受け取られた前記測定値だけに基づいて前記コンピューティング・ユニット(30)において実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
表面センサ(11)が、較正センサとして提供され、前記表面センサ(11)が、測定された圧力読取値から少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの特徴的な点の位置と、これから前記基準描写と、を決定し、前記表面センサ(11)が、好ましくは座席要素及び/又は背後要素の一部である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記較正センサ(50)が、前記骨盤の所定の特徴的な点に適用され、前記コンピューティング・ユニット(30)が、前記較正センサ(50)間の相互距離、及びこれから前記骨盤の前記基準描写を決定する、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記コンピューティング・ユニット(30)が、前記配置センサ(40)に対する前記較正センサ間の相互距離、及びこれにより前記骨盤の前記基準描写上の前記配置センサ(4)の前記向き及び任意選択として前記場所を決定する、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記配置センサ(40)が、前記骨盤の特徴的な点に取り付けられ、前記特徴的な点についての情報が、前記コンピューティング・ユニット(30)に格納され、前記コンピューティング・ユニットが、この情報に基づいて前記骨盤の前記基準描写上の前記配置センサ(40)の前記向き及び適用可能であれば前記場所を決定する、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記コンピューティング・ユニット(30)が、好ましくは前記骨盤の前記仙骨内に中心がある球体内の前記骨盤の前記基準描写を選択し、前記配置センサ(40)の前記空間的向きの前記回転変化が、前記球体の空間的向きの回転変化に変換され、任意選択として、前記配置センサ(40)の前記空間的位置の前記並進変化が、前記球体の空間的位置の並進変化に変換される、請求項1から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
- 前記骨盤の前記決定された現在の向きに基づいて、好ましくは座席内又はラウンジャー内に配列される姿勢矯正デバイスを作動させるステップを備える、請求項1から7までのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
- 脊椎のエリア内の前記人の体に少なくとも1つのさらなるセンサ(60)を適用するステップであって、前記配置センサ(40)及び前記少なくとも1つのさらなるセンサ(60)が、好ましくはストリップ(70)によって接続される、ステップと、
- 前記コンピューティング・ユニット(30)において、前記配置センサ(40)に対する前記さらなるセンサ(60)の相対位置、及び/又は、前記骨盤の前記現在の向き及び適用可能であれば前記現在の場所に対する相対位置を決定するステップと、
- 任意選択として、前記決定された相対位置に基づいて、好ましくは座席内若しくはラウンジャー内に配列される姿勢矯正デバイスを作動させる、及び/又はスクリーンに前記相対位置を表示するステップと、
を備える、請求項1から8までのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
単一の配置センサ(40)を使用して人の骨盤の向きを連続的に決定するためのシステム(200、300)であって、少なくとも1つの較正センサ及び前記配置センサ(40)を備え、前記配置センサ(40)が、前記骨盤のエリア内、特に、恥骨、腸骨稜、腸骨棘、又は仙骨などの、前記骨盤の特徴的な点のエリア内における前記人の体に適用可能であり、前記システム(200、300)が、前記較正センサ(40)の測定値を受け取って、前記較正センサから受け取られた前記測定値に基づいて前記骨盤の基準描写を決定し、元の向きである前記骨盤の現在の向き格納するために設計されたコンピューティング・ユニット(30)をさらに備え、前記コンピューティング・ユニット(30)が、前記配置センサ(40)の測定値を受け取り、前記配置センサ(40)から受け取られた前記測定値だけに基づいて前記骨盤の前記現在の向きを更新するためにさらに設計される、システム(200、300)。
【請求項11】
前記システム(200、300)が、前記人の骨盤の場所を連続的に決定するためにさらに設計され、前記配置センサ(40)が、空間的位置の並進変化及び空間的位置の回転変化を決定するために設計され、前記コンピューティング・ユニット(30)が、前記較正センサ(40)から受け取られた前記測定値に基づいて前記骨盤の前記基準描写を決定した後、前記元の場所として前記骨盤の現在の場所をさらに格納するため、及びさらに、前記配置センサ(40)の測定値を受け取った後、前記配置センサ(40)から受け取られた前記測定値だけに基づいて前記骨盤の前記現在の場所の更新を実施するために設計される、請求項10に記載のシステム(200、300)。
【請求項12】
前記配置センサ(40)が、実質的に点状のセンサ、好ましくは回転スピード・センサだけ又は回転スピード・センサの加速度センサとの組合せだけである、請求項10又は11に記載のシステム(200)。
【請求項13】
前記システム(200)が、前記配置センサ(40)及び少なくとも1つのさらなるセンサ(60)が取り付けられたストリップ(70)を備え、前記少なくとも1つのさらなるセンサ(60)が、好ましくは前記配置センサ(40)と構造的に同一であるように設計される、請求項10から12までのいずれかに記載のシステム(200)。
【請求項14】
前記較正センサが、表面センサ(11)であり、前記システム(200)が、好ましくは座席要素及び/又は背後要素を有する座席(10)を備え、前記表面センサ(11)が、座席要素及び/又は背後要素の一部である、請求項10から13までのいずれかに記載のシステム(200)。
【請求項15】
前記較正センサ(50)が、前記骨盤の所定の特徴的な点に適用されることが可能であり、前記コンピューティング・ユニット(30)が、前記較正センサ(50)間の相互距離、及び、これから前記骨盤の前記基準描写を決定するために設計される、請求項10から14までのいずれかに記載のシステム(300)。
【請求項16】
前記コンピューティング・ユニットが、前記骨盤の前記決定された現在の向きに基づいて姿勢矯正デバイスを作動させるために設計される、請求項10から15までのいずれかに記載のシステム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間的位置の並進変化及び空間的向きの回転変化を決定するために、単一の配置センサを使用して人の骨盤の向きを連続的に決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の骨盤は、機能的な脊椎及び下肢のニュートラルな向きの位置コントローラであるとみなされる。骨盤には、アスペクト及び角度比の点で年齢及び性別固有の差があるが、その向きに関係する負担の普遍的に確かで普遍的な説明、並びに、特に直立して立っている位置、直立して座っている位置、及び水平に横たわっている位置といった異なる姿勢状況における骨盤の向きの明らかに特徴付け可能な分類が、依然として提供されることが可能である。特に、最下腰椎領域における負担状況は、中でも、精密な骨盤静力学によって、明確に影響を及ぼされることがある。
【0003】
人々は、立っているとき、座っているとき、及び横たわっているときの自分の個々の姿勢を認識していないことが多く、片側の痛みを伴う筋拘縮症を引き起こすおそれがある体勢を取り、長期的には、脊椎及び骨盤構造に、特にその移行エリアにおいては、仙腸関節に、正しくない負荷がかかる場合、椎間板ヘルニアを含む、摩耗プロセスをもたらすおそれがある。特に、長期間座っていることは、しばしば間違った姿勢で及び十分な補償的動きがない状態で、筋肉からの絶え間のない静的作業を要求し、このことが、筋肉の不均衡を引き起こし、四肢においても広範囲の身体の不調を促進する。
【0004】
脊椎の正しくない姿勢を評価し、さらにその後、ターゲットの措置を通じて姿勢を矯正できるようにするために、基準系(例えば、立っている位置及び横たわっている位置に関する水平及び垂直平面、座っている姿勢に対して異なる座席の角度を有する座席系)に対して骨盤が現在どの位置又は向きにあるかが最初に決定されなければならない。この問題は、本質的に従来技術から知られており、例えば、骨盤及びその向きを測定するために骨盤の特徴的な点を観察することによって解決されることが可能である。この場合、それでも、特徴的な点は、骨盤の位置又は向きの何らかの変化を検出するために、連続的に監視及び追跡されなければならない。
【0005】
AT523112A1から、着座エリア又は背もたれに取り付けられた表面センサつまり圧力センサを、座席又はラウンジャーに提供することがさらに知られている。人がこの座席に座るかこのラウンジャーに横たわったとき、その相互の幾何学的相関関係における骨盤の特徴的な点に帰し得て、常に同様に人に帰し得る、ピーク圧力が決定されることが可能である。特に、人の座骨結節、尾骨仙骨関節、腸骨稜を伴う仙腸関節のエリアにおける仙骨、並びに恥骨及び腸骨棘の特徴的な位置が決定されることが可能である。この方法を使用して、骨盤の現在の場所及び向きは、人が座席に座っているかラウンジャーに横たわっている限り非常に精密に、表面センサによって決定されることが可能であり、使用の条件は、座席又はリクライニング・システムにおける表面センサの使用、又はその中へのセンサの統合を可能にする。センサの高い幾何学的解像度により、この方法は、3つの体のレベル全ての変化が確実に評価されることが可能なので、例えば較正用の外部システムとして、適切でもある。さらに、非常に限定的な測定範囲で骨盤の場所及び向きの最低限の変化を決定することが可能であり、したがって、精密な骨盤静力学を確実にする。
【0006】
それでも、骨盤の場所及び向きの決定は、人が主に受動的な姿勢状況にある場合だけ実施されることが可能であるか、又は、大規模表面センサ(例えば、褥瘡予防のための圧力監視)を使用することによって補助機能が満たされることが可能なので、AT523112A1の方法は非常に限定的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、従来技術のこのような限界を克服し、規定の基準系に対する骨盤の場所及び向きの動的決定を可能にすることであり、動的決定は、人が、俯せの位置、仰向けの位置、若しくは厳しい異常位置、又は動的な姿勢状況にあったとしても可能である。
【0009】
したがって、本発明による方法と共に、互いに比較されることが可能な、全ての姿勢状況を評価するための測定方法が、提供される。
【0010】
本目的は、単一の配置センサを使用して人の骨盤の向きを連続的に決定する方法であって、
- 少なくとも1つの較正センサ及び配置センサを提供するステップと、
- 骨盤のエリア内、特に、恥骨、腸骨稜、腸骨棘、又は仙骨などの、骨盤の特徴的な点のエリア内の人の体に配置センサを適用するステップと、
- 少なくとも1つの較正センサの上に人を配置するか、少なくとも1つの較正センサを人に適用するステップと、
- コンピューティング・ユニットにおいて、較正センサの測定値を受け取り、較正センサから受け取られた測定値に基づいて骨盤の基準描写を決定するステップであって、骨盤の現在の向きが元の向きとして格納される、ステップと、
- コンピューティング・ユニットにおいて、配置センサの測定値を受け取り、配置センサから受け取られた測定値だけに基づいて骨盤の現在の向きを更新するステップと、
を備える、方法によって達成される。
【0011】
本発明による方法には、いくつかの較正センサ又は1つ若しくはいくつかの平面較正センサを用いた基準描写の精密な決定が最初だけ行われなければならず、その時に、骨盤のさらなる動的追跡が単一のセンサを使用して実施されることが可能であるという利点がある。この方式では、較正センサが、ことによると除去されることが可能であるか、又は、人が表面センサを備えた座席から立ち上がることが可能であり、骨盤の向きの動的追跡が続けられることが可能である。人は骨盤の最初の分析の後には2つ以上のセンサを装着する必要がないので、より高い装着の快適さ及び著しく大きい動きの自由が、人に生じることになる。例えば、人は、数多くの又は複雑な較正センサで測定プロセスをもう一度実施する必要なく、俯せの位置から仰向けの位置に容易に切り替えることができる。
【0012】
この場合、本発明による配置センサは、例えば、回転スピード・センサ、及び必要であれば、さらに加速度センサを備える、単純な慣性測定ユニットとして設計されることが可能である。このようなセンサは、人の動きの自由が配置センサによって損なわれないように、例えばスマートフォン技術から知られているような、非常に小さいデザインを有することができ、骨盤の現在の向き、及び任意選択として、さらに骨盤の現在の場所の一定の追跡が、依然として続けられることが可能である。例えば、配置センサが、粘着性物質を提供されるか、石膏若しくは粘着性物質のストリップに組み込まれた場合、及び/又は、コンピューティング・ユニットとワイヤレスで通信する場合、配置センサは、ことによると衣類の下に装着されることが可能である。
【0013】
本発明の別の発見は、用途に応じて、骨盤の現在の場所ではなく、骨盤の現在の向きだけを追跡するのが十分であってもよいことに留意されたい。例えば、人は、較正センサの上に座り、基準描写を決定した後に立ち上がり、別の座席の上に座ることができる。本発明によれば、骨盤の向きを追跡することが、人の姿勢を決定するのに十分なので、例えば座っている高さが異なる場合でも、姿勢を決定するために骨盤の場所を追跡することが絶対に必要というわけではない。最も単純な場合、配置センサは、したがって、測定値を提供するためだけに設計され、測定値に基づいて、配置センサが配列された地点における回転変化が決定されることが可能である。最も単純な場合、配置センサは、したがって、例えば回転スピード・センサであることだけが可能であり、空間的場所の並進変化を決定することができない。非常に最も単純な場合、骨盤の前傾及び後傾を検出するために、配置センサを使用して単一の空間的方向に対する回転を決定することがさらに十分である場合もあり、骨盤の前傾及び後傾から、人の姿勢の変化がすぐに決定されることが可能である。このために、それでも、回転スピード・センサは、骨盤上に中心に配列されるべきである。これは、実際に実施するのが難しいので、3つ空間的方向全てに対する全ての回転を決定できる回転スピード・センサが通常使用される。
【0014】
好ましい実施の形態では、それでも、骨盤の向きだけでなく、場所も容易に追跡されることが可能である。したがって、本発明は、さらに、空間的場所の並進変化及び空間的向きの回転変化を決定するために、単一の配置センサを使用して人の骨盤の場所及び向きを連続的に決定する方法に関し、方法は、
- 少なくとも1つの較正センサ及び配置センサを提供するステップであって、配置センサが、特に、配置センサの空間的場所の並進変化及び空間的向きの回転変化を検出するために設計されることが可能である、ステップと、
- 骨盤のエリア内、特に、恥骨、腸骨稜、又は仙骨などの骨盤の特徴的な点のエリア内の人の体に配置センサを適用するステップと、
- 少なくとも1つの較正センサの上に人を配置するか、少なくとも1つの較正センサを人に適用するステップと、
- コンピューティング・ユニットにおいて、較正センサの測定値を受け取り、較正センサから受け取られた測定値に基づいて骨盤の基準描写を決定するステップであって、骨盤の現在の場所及び現在の向きが、元の場所及び元の向きとして格納される、ステップと、
- コンピューティング・ユニットにおいて、配置センサの測定値を受け取ることであって、任意選択として、測定値が、空間的場所の並進変化及び空間的向きの回転変化を直接的に含むことができるか、又は例えば空間的場所の並進変化の2つの測定値のセットにより、所定の距離におけるものであることが可能である、受け取ること、及び、配置センサから受け取られた測定値だけに基づいて骨盤の現在の場所及び現在の向きを更新するステップと、
を備える。
【0015】
本実施の形態では、センサは、したがって、測定値を提供するために設計され、測定値から、配置センサが配列された地点における回転変化及び並進変化が決定されることが可能である。このために、配置センサは、通常、回転スピード・センサと加速度センサとの組合せによって形成される。このようなセンサの組合せは、スマートフォンでも広く使用されているので、市場で安く購入されることが可能である。代替として、配置センサは、所定の距離にある2つの加速度センサによって、又は、所定の距離にある2つの回転スピード・センサによって形成されてもよく、これらは、組み合わせられたとき、空間的場所を並進させて変化させるための、又は空間的向きを回転させて変化させるための、配置センサを新たに形成する。
【0016】
全ての実施の形態では、それでも、配置センサは、さらに、実質的に点状のセンサであり、骨盤に取り付けられたとき0.5cm2~10cm2の面積を有することが好ましく、したがって、配置センサは、ユーザによって最低限にしか気づかれず、問題を引き起こさない。単一の点状の配置センサだけが、骨盤の向き(及び必要であれば場所)を追跡するために使用される必要があることがもう一度強調されるべきである。
【0017】
以下では、骨盤の場所及び向きの連続的決定の変形例が、1度に1つずつ扱われるが、上記で説明されたように、連続的な場所の決定は省略されることもある。
【0018】
基準描写又は元の場所及び元の向きを決定するための較正センサは、例えば従来技術に従って、選択されることが可能である。本発明による方法の第1の変形例では、例えば、表面センサが較正センサとして提供されることが可能であり、表面センサは、測定された圧力読取値から骨盤の少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの特徴的な点の位置、及びこれから基準描写を決定する。
【0019】
この場合、表面センサは、座席要素及び/又は背後要素の一部であることが可能であり、座席要素又は背後要素は、座席、カバー、又はラウンジャーの一部であることが可能である。座骨結節、腸骨稜、尾骨、又は恥骨の位置がいくつかのピーク圧力を検出することによって既知の様式で推察されることが可能なので、骨盤の場所又は向きを決定することは、特に十分に確立された方法である。これらの位置に基づいて、骨盤のサイズ、場所、及び向きは、AT523112A1で詳細に説明されているように、解剖学的検討のおかげで決定されることが可能である。特に、マンデルブロ集合によって可能にされた骨盤構成を限定することによって、これらのパラメータ及びしたがって基準描写は、特に素早く推定されることが可能である。この方法で配置センサが基準描写を決定するために追加として使用される場合、表面センサを使用してただ2つの圧力点を測定することさえ可能であり、これによって、配置センサの位置情報が、基準描写を明確に決定するための第3の情報として使用されることが可能である。
【0020】
本発明による方法の第2の変形例では、表面センサの代替又は追加として、較正センサが骨盤の所定の特徴的な点に適用されることが可能であり、コンピューティング・ユニットは、較正センサ間の相互距離、及びこれから、骨盤の基準描写を決定することができる。本発明による方法は、したがって、座席又は表面センサがない状態で実施されることも可能である。例えば、2つの較正センサが、例えば腸骨棘といった、骨盤の2つの特徴的な点に適用されることが可能であり、別の較正センサ又は配置センサが、仙骨などの別の特徴的な点に適用されることが可能である。較正センサ又は適用可能であれば配置センサの位置又は相対位置が決定された場合、基準描写及びしたがって元の場所及び元の向きは、そこから決定されることが可能である。表面センサに関して既に説明されたように、活用されるということは、骨盤のサイズ、場所、及び向きが、3つの特徴的な点を知っていることに基づいて、すぐに明確に決定されるということである。
【0021】
コンピューティング・ユニットは、較正センサ間及び配置センサ間の相互距離、並びにこれにより骨盤の基準描写上の配置センサの場所又は向きを決定するのが好ましい。その結果、基準描写内の配置センサの位置-及びその結果としての骨盤の場所又は向きの変化-は、特に正確に決定されることが可能であり、特に、骨盤の骨と配置センサとの間の組織層の厚さが考慮されることが可能である。配置センサの位置を決定することは、例えば、配置センサが電子機械トランシーバを有している場合にはフィールド強度測定を介して、又はことによると、配置センサが光学マーカとして設計されている場合にはカメラによって撮られた画像を評価することによって、既知の様式で行われてもよい。
【0022】
前述の実施の形態の代替又は追加として、配置センサは、骨盤の特徴的な点に取り付けられることも可能であり、この特徴的な点についての情報はコンピューティング・ユニットに格納され、コンピューティング・ユニットは、この情報に基づいて骨盤の基準描写上の配置センサの場所又は向きを決定する。例えば、配置センサは、特に薄い組織層だけが通常、これらの場所にあるので、仙骨又は腸骨棘の真上に取り付けられることが可能である。このような場合、方法は特に容易に実施されることが可能なので、基準描写内の配置センサの位置はすぐにわかる。
【0023】
(必要に応じて)配置センサによって決定された空間的位置の並進変化及び空間的向きの回転変化は、配置センサの位置が基準描写内で一定のままなので、簡単な数学的方法を使用して骨盤の動きに変換されることが可能である。例えば、骨盤の基準描写は、球体内で横たわっているとみなされることが可能であり、配置センサは、球体の中心にあることが好ましい。必要であれば測定された配置センサの並進は、球体の中心の及びしたがって骨盤の並進に対応し、配置センサの測定された回転は、中心の周りの球体の回転及びしたがって骨盤の回転に対応する。配置センサがこのような球体の中心にない場合、配置センサの動きから基準描写の動き又は骨盤の動きを推察するために、簡単な座標変換が実施されることが可能である。
【0024】
さらに、方法は、骨盤の決定された現在の向きに基づいて姿勢矯正デバイスを作動させることを行うステップを含むのが好ましく、姿勢矯正デバイスは、座席内又はラウンジャー内に配列されるのが好ましい。作動は、骨盤の所望の所定の向きが達成されるまで実施され、通常、コンピューティング・ユニットで行われ、コンピューティング・ユニットは、このためにさらなる外部サブコンピューティング・ユニットをさらに備えてもよい。作動は、フィードバック・ループとして設計されることが可能であり、つまり、初期作動後、骨盤の現在の向きが再び決定され、骨盤の所望の向きが達成されたかどうかがチェックされる。達成されていない場合、作動が続くか、異なって実施される。姿勢矯正デバイスは、本質的に従来技術から知られており、例えば、背もたれ内の1つ又はいくつかの水圧で作動可能な枕によって、形成されてもよい。
【0025】
さらに好ましい実施の形態では、方法は、
- 脊椎のエリア内の人の体に少なくとも1つのさらなるセンサを適用するステップであって、配置センサ及び少なくとも1つのさらなるセンサが、ストリップによって接続されるのが好ましい、ステップと、
- コンピューティング・ユニットにおいて、前記配置センサに対するさらなるセンサの相対位置、並びに/又は、骨盤の現在の向き及び任意選択として現在の場所に対する相対位置を決定するステップと、
- 任意選択として、決定された相対位置に基づいて座席内若しくはラウンジャー内の姿勢矯正デバイスを作動させること、及び/又はスクリーンに相対位置を表示するステップと、
を備える。
【0026】
本発明による方法は、したがって、脊椎の配置も測定されるように拡大されることが可能であり、これは、骨盤に対するさらなるセンサの相対位置の前述の決定によって達成される。これは、中でも、人の誤った姿勢を矯正するために完全に自動的に上述の姿勢矯正デバイスを作動させるために活用されることが可能である。上述の実施の形態とは対照的に、姿勢矯正は、したがって、骨盤の位置に基づいて決定されるだけでなく、むしろ骨盤の位置と背骨の位置との組合せから決定される。相対位置の決定は、フィールド強度測定又は光学的方法などを介して適切に行われることが可能である。追加のセンサは、骨盤の場所及び向きの決定に影響がなく、脊椎の配置の決定だけに影響があることに留意されたい。
【0027】
さらなる態様では、本発明は、上述の方法を実施するために設計されたシステム、つまり、少なくとも1つの較正センサ及び配置センサを含む、単一の配置センサを使用して人の骨盤の向きを連続的に決定するための(及び任意選択として場所を決定するための)システムに関し、配置センサは、特に、配置センサの空間的向きの回転変化及び適用可能であれば空間的場所の並進変化を検出するために、設計されることが可能であり、配置センサは、骨盤のエリア内、特に、恥骨、腸骨稜、又は仙骨などの骨盤の特徴的な点のエリア内の人の体に適用可能であり、システムは、較正センサの測定値を受け取って、較正センサから受け取られた測定値に基づいて骨盤の基準描写を決定し、元の向き又は元の場所である骨盤の現在の向き及び適用可能であれば現在の場所を格納するために設計されたコンピューティング・ユニットをさらに備え、コンピューティング・ユニットは、配置センサの空間的向きの回転変化及び適用可能であれば空間的場所の並進変化を表す配置センサの測定値を受け取り、配置センサから受け取られた測定値だけに基づいて骨盤の現在の向き及び適用可能であれば現在の場所を更新するためにさらに設計される。方法のために説明される全ての実施の形態及び利点は、システムにも適用可能である。
【0028】
さらに、システムが、配置センサ及び少なくとも1つのさらなるセンサが取り付けられるストリップを備え、少なくとも1つのさらなるセンサが、配置センサと構造的に同一であるように設計されるのが好ましいことが想像され得る。ストリップは、本質的に脊椎に沿って適用される、例えば貼り付けられることが可能であり、配置センサは、ストリップの低い方の端部に取り付けられる。これにより、骨盤及び脊椎の同時追跡が特に簡単になり、人にはほとんど気づかれない。
【0029】
本発明の有利且つ非限定的な実施の形態が、図面を参照しながら、下記でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来技術による、表面センサが統合された座席の概略斜視図である。
【
図2】本発明による配置センサが追加された
図1の座席の概略斜視図である。
【
図3】本発明によるさらなるシステムの概略斜視図である。
【
図4】本発明による方法のステップのブロック図である。
【
図5】本発明による配置センサが使用される測定ストリップの図である。
【
図6】配置センサの好ましい実施の形態の変形物の図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、座席10に座っている人の骨盤の場所及び向きを決定するためのデバイス100を示している。座席10は、代替として、人が横たわるカバー又はラウンジャー(図示せず)でもよい。デバイス100は、コンピューティング・ユニット20、及びコンピューティング・ユニット20に接続された表面センサ11を備える。表面センサ11は、座席要素12上に及び/又は座席10の背後要素13内に配列され、特にこれらに統合され、座席10の脚部要素14には、表面センサ11がない。図示されていないさらなる実施の形態では、座席要素12及び背後要素13の他に、脚部要素14にも表面センサ11があることが可能である。同様に図示されていないさらなる実施の形態では、座席要素12又は背後要素13だけに表面センサ11があることが可能である。前記実施の形態は組合せ可能であり、これは、例えば、脚部要素14及び座席要素12に表面センサ11があり、背後要素13に表面センサ11がないことを意味する。
図1に例示された表面センサ11には、大規模な個々のセンサ15があり、これにより、距離の決定が概略でのみ行われることが可能である。それでも、使用される表面センサには、
図1に示されたものより細かいグリッド又はアレイでさらに多くの個々のセンサがあることも可能である。
【0032】
個々のセンサ15の高感度を達成するために、表面センサ11は、人の骨盤に少なくとも部分的に適合するように形作られることが可能である。その結果、表面センサ11は、人の骨盤、尾骨、及び仙骨によって表面センサ11にかけられた座る圧力及び支える圧力を検出するために設計されており、座る圧力及び支える圧力を高レベルの精度で検出することができる。
図1でわかるように、表面センサ11は、機械、電気、空気圧、又は油圧センサから成るグループから選択されたセンサ15のアレイである。特に、表面センサは、座席10の座席要素12及び背後要素14を完全に占めるセンサ15の2次元アレイである。アレイに配列されたセンサ15の数は変動させることができ、特定の数に限定されない。例えば、5×5のセンサ15を備えたアレイが使用されてもよい。その結果、人の骨盤、尾骨、及び仙骨によってかけられた座る圧力及び支える圧力の位置、並びにしたがって人の骨盤の各位置が、十分な正確さで決定されることが可能である。表面センサ11のセンサ15は、例えば空気又は水といった流体が満たされた平らなチャンバとして設計されるのが好ましい。この場合、表面センサ11は、チャネル21を介してコンピューティング・ユニット20に接続される。電気又は機械センサも、座る圧力及び支える圧力を検出するために使用されることが可能であり、したがって、例として以前に言及されたセンサに限定されない。例えば、センサ15は、アレイに配列されることが可能な歪ゲージであることも可能である。この場合、コンピューティング・ユニット20は、表面センサ11に電気的に接続される。
【0033】
恥骨、尾骨及び仙骨、座骨結節、腸骨棘又は腸骨稜の位置などの、骨盤の特徴的な点は、決定された圧力点から推察されることが可能である。これらの特徴的な点は、骨盤の明確に規定された位置にあるので、骨盤の場所及び向きの決定は、例えば、従来技術から十分にわかるように、マンデルブロ集合から誘導された幾何学的関係を介して、すぐに実施されることが可能である。
【0034】
それでも、従来技術によるこのようなデバイス100には、骨盤の場所及び向きの決定が、人が座席10に正しく置かれた場合のみ実施されることが可能であり、特に硬さの程度及び軟組織に依存する圧力伝送機能が、圧力範囲の適切な検出を容易にするという短所が伴う。
【0035】
図2は、本発明によるシステム200を示しており、表面センサ11を備える上記で示された座席10(又は適切なカバー若しくはラウンジャーそれぞれ)が使用されることが可能であり、このセンサは、下記でさらに詳細に説明されるように、較正センサとしてしか使用されない。したがって、
図1と同じ参照番号が、座席10、表面要素11、及び他の構成要素のために、
図2の本発明によるシステム200でも使用され、
図1に対して説明された全ての実施の形態が、本発明によるシステムにおいても適用されることが可能である。それでも、
図3を参照しながら下記で示されるように、表面センサを備える座席10も、本発明によるシステムでは必須ではない。
【0036】
表面センサ11は、システム200では較正センサとして使用され、その目的は、「ゼロ時間」における人の骨盤の現在の場所及び現在の向きを決定することであり、つまり、骨盤のこのように決定された場所及びこのように決定された向きは、元の場所及び元の向きとして識別される。これは、例えば、表面要素11が圧力点を介して骨盤の特徴的な点を決定することによって、従来技術で知られているように行われることが可能であり、骨盤のサイズ、場所、及び向きについてのこの結論から、既知の様式で描かれることが可能である。これは、例えば、本明細書への導入で引用された従来技術などの、従来技術から十分にわかっているので、これは、これ以上扱われることはない。
【0037】
骨盤の元の場所及び元の向きを自動で決定するために、システムは、
図1に関して上記で説明されたように、ライン31を介して表面センサ11に接続されたコンピューティング・ユニット30を備える。コンピューティング・ユニット30は、較正センサの測定値を受け取り、較正センサから受け取られた測定値に基づいて骨盤の基準描写を決定する。基準描写は、例えば、スクリーンに出力された図解、又は、単にコンピューティング・ユニット30の揮発性若しくは不揮発性メモリに格納された骨盤の数値若しくはパラメータ化された描写でもよい。簡単なパラメータ化は、例えば、座骨結節/腸骨稜の位置、及び仙骨/恥骨の位置といった、例えば、3つの圧力点の位置を格納することによって、提供されることが可能である。当業者に一般に知られているように、これらの位置は、骨盤の場所及び向きを含む骨盤全体を既にパラメータ化している。それでも、さらなる計算を容易にするために、骨盤も、球体としてパラメータ化されてもよく、球体の中心は、例えば骨盤の仙骨内にあり、つまり、骨盤の基準描写は、この球体内で選ばれることが可能である。
【0038】
骨盤の元の場所及び元の向きが決定された後、人の骨盤のエリア内に取り付けられた配置センサ40によって本発明による骨盤のさらなる動的追跡が実施される。本明細書では、「骨盤のエリア内」は、それぞれのセンサが、例えば骨盤の骨の真上にある患者の皮膚に取り付けられるという意味で理解される。これは、センサが、例えば脂肪又は筋肉の層といった、より広い層の組織にわたる骨盤の骨の上に取り付けられることが可能であることも意味する。一般に、センサは、したがって、さらなる関節を介して骨盤に接続されていない人体の一部に取り付けられる。
【0039】
配置センサ40は、配置センサ40の空間的場所の並進変化及び空間的向きの回転変化を検出するために設計される。配置センサ40は、したがって、一般に、通常、加速度センサ及び回転スピード・センサを備える、いわゆる慣性測定ユニット(IMU)である。配置センサ40は、例えば、始点として人の視点での各ケースでは、前への、横への、若しくは上向きの並進、又は、人の前後軸、横軸、若しくは前軸の周りの回転を決定することができる。特に、配置センサ40は、組み合わされて、つまり、同時、並進、及び回転を決定することもできる。
【0040】
配置センサ40は、所定の相互距離における2つのポイントの並進又は回転が決定された結果として、地点の空間的場所の並進変化及び空間的向きの回転変化も決定することができる。例えば、配置センサ40は、したがって、所定の距離における2つの加速度センサ80(
図6参照)の組合せ、又は、所定の距離における2つの回転スピード・センサの組合せによって形成されてもよい。配置センサ40又はコンピューティング・ユニット30は、加速度センサ又は回転スピード・センサのうちの1つの並進運動又は回転運動をそれぞれ、それぞれの他の加速度センサ又は回転スピード・センサの回転運動又は並進運動に変換することができる。特に、第1の加速度センサは、第1の加速度センサの地点における並進運動を決定するために使用されることが可能であり、他の加速度センサの並進運動は、最初に言及された加速度センサの地点における回転運動を識別するために所定の距離と組み合わせて使用されることが可能である。同じ効果を生み出しながら、第1の回転スピード・センサは、第1の回転スピード・センサの地点における回転運動を決定するために使用されることが可能であり、他の回転スピード・センサの回転運動は、最初に言及された回転スピード・センサの地点における並進運動を識別するために所定の距離と組み合わせて使用されることが可能である。それでも、2つの加速度センサ又は2つの回転スピード・センサの組合せを用いたとしても、依然として、空間的位置の並進変化及び空間的向きの回転変化を検出するための単一の配置センサ40があることが言及されるべきである。
【0041】
コンピューティング・ユニット30は、配置センサ40の空間的場所の並進変化及び空間的向きの回転変化を決定するための測定データを配置センサ40から受け取る。既に説明されたように、測定データは、単に、並進及び回転又は2つの異なる並進若しくは回転であることが可能である。その後、コンピューティング・ユニット30は、任意選択として、配置センサ40が骨盤に置かれた場所に応じて座標変換を実施することができ、配置センサ40の並進及び回転を骨盤の並進及び回転に変換することができる。このために、較正センサによって決定された元の場所及び元の向きは最初に使用されることが可能であり、配置センサ40によって供給された測定データは、任意選択として座標変換を使用して、この元の場所及びこの元の向きに適用されることが可能であり、骨盤の現在の場所及び現在の向きは、連続的に更新されることが可能である。
【0042】
配置センサ40を通じた骨盤の現在の場所及び現在の向きの更新は、人が前記座席10から立ち上がった場合、又は下記で説明されるように、他の較正センサ50を除去した場合でも、単一のセンサ40だけを使用して、骨盤の場所及び向きが追跡されることを可能にするために使用されることが可能である。
【0043】
配置センサ40は、しかし、恥骨、腸骨稜、腸骨棘、又は仙骨などの骨盤の特徴的な点に適用されることが可能であるが、適用される必要はない。これは、特に、コンピューティング・ユニット30によって使用される基準描写上の配置センサ40の空間的配分を簡素化する。例えば、上記で説明されたように、コンピューティング・ユニット30は、座骨結節/腸骨稜及び仙骨/恥骨/腸骨棘などの骨盤の特徴的な点を決定する。骨盤のサイズ及び形状は、当業者に本質的に知られているように、解剖学的検討に基づいてこれからすぐに決定されることが可能である。配置センサ40が、現在、仙骨、恥骨、腸骨稜、又はことによると腸骨棘などの骨盤の特徴的な点に取り付けられている場合、コンピューティング・ユニット30は、配置センサ40が骨盤上又は基準描写内に置かれた場所がすぐにわかり、配置センサ40の並進又は回転は、骨盤の並進又は回転に変換されることが可能である。例えば仙骨のエリア内の骨盤に配置センサ40が置かれた場合、配置センサの回転は、仙骨内にある地点の周りの基準描写の回転に直接的に変換されることが可能である。骨盤の基準描写が、中心が仙骨内にある球体であるように選ばれた場合、配置センサの回転は、その中心の周りの球体の回転に対応する。それでも、配置センサ40が腸骨棘のエリア内の骨盤に取り付けられた場合、配置センサの回転だけが、仙骨内に中心がある球体の組み合わされた回転及び並進運動を生じることになる。このような幾何学的検討及び対応する座標変換は、当業者によって容易に実施されることが可能である。
【0044】
上述の実施の形態では、コンピューティング・ユニット30には、例えば、仙骨、右又は左の腸骨棘など、例えば、配置センサ40が適用された場所を入力するために使用されることが可能なインターフェースがある。それでも、コンピューティング・ユニット30での基準描写への配置センサ40の位置の幾何学的配分も、例えば、それぞれの較正センサに対する配置センサ40の相対位置が決定されたときに、自動化されてもよい。例えば、配置センサ40は、電子機械信号を出力すること又は受け取ることができ、配置センサ40の位置は、測定されたフィールド強度によって決定されてもよい。例えば、配置センサ40は、RFIDトランスミッタ及び/又はRFIDレシーバとして設計されてもよい。このようなセンサを使用した位置の決定は、当業者によく知られている。較正センサの位置も、基準描写に対する配置センサ40の正確な位置が、座標変換を容易にすることができるコンピューティング・ユニット30において知られていることが可能であるように、この方式で決定されてもよい。表面センサ11の場合、例えば、表面センサ11より上のどの高さに(及び/又はどの経度若しくは緯度に)配置センサ40があるかを決定することが可能なはずであり、このために、RFIDトランスミッタ及び/又はRFIDレシーバなどの適切な電子機械センサも、表面センサ11内に又はその上に設置されることが可能である。このような実施の形態では、したがって、配置センサ40が骨盤の特徴的な点に適用されることも不可欠ではなく、配置センサ40も、例えば骨盤の側面などの恣意的な場所に取り付けられてもよく、コンピューティング・ユニットは、例えば配置センサ40に対する仙骨の相対位置を、例えば自動で検出することができる。
【0045】
図3では、システム300の本発明による実施の形態が示されており、表面センサ11を備える座席10は使用されず、骨盤の元の場所及び元の向きは、異なる方式で決定される。そうすることで、点状のいくつかの較正センサ50が、例えば、骨盤の所定の特徴的な点に適用され、コンピューティング・ユニット30は、例えば、ライン51を介して受け取られた較正センサ50の測定値を使用して、較正センサ50の間の相互距離、及びこれから骨盤の基準描写を決定する。相互距離の決定は、配置センサ40に対して又は異なる方式で、上記のように行われることが可能である。これらの較正センサ50は、これ自体が慣性測定ユニットでもあることが可能であり、骨盤の幾何学的配置は、対応する測定値から決定されてもよい。較正センサ50は、また、単に光学マーカでもよく、骨盤の画像は、マーカの相互距離が画像から決定されることが可能なように、これらのマーカで撮られてもよい。コンピューティング・ユニットにおいて、センサの位置は、基準描写を生成するために使用される。基準描写又は元の場所及び元の向きを決定するためのこのような決定は、本質的に当業者に知られているか、又は少なくとも実施するのが容易である。これらの較正センサ50の目的も、基準描写の初期決定にすぎず、さらなる追跡が前記配置センサ40を用いて実施される。配置センサ40の測定データも、元の場所又は元の向きを決定するために使用されてもよいことが理解されよう。例えば、点状の較正センサ50のうちの2つだけが使用されてもよく、コンピューティング・ユニット30は、2つの較正センサ50及び配置センサ40の測定値から、元の場所及び元の向きを含む基準描写を決定し、骨盤のさらなる動的追跡が、配置センサ40の測定データだけに基づいて行われ、つまり、較正センサ50も除去されてもよい。
【0046】
それでも、人に適用されることになる
図3の較正センサ50は、点状であるように設計される必要はなく、また、ストリップ状の又は平らな設計を有してもよく、例えば骨盤のいくつかの特徴的な点を同様に含み得る骨盤のエリアに貼り付けられてもよい。さらに、人に適用されることになるこのような較正センサ50も、より精密な基準描写を取得するために、
図2に示されているように、表面センサ11と組み合わされてもよい。
【0047】
したがって、元の場所及び元の向きを含む初期の基準描写がどのような手段で決定されるかは本質的に無関係であることが、
図2及び
図3の大意から明らかである。較正センサを適用することは、例えば、また、初期の基準描写を生成するために、超音波センサを停止させることとして理解されてもよく、骨盤のさらなる追跡は、やはり、配置センサ40を用いて行われる。本明細書で説明されるようなセンサとコンピューティング・ユニットとの間の全ての接続が、線31、41、51を介した有線であること、又は例えばBluetooth若しくは別の通信規格を介したワイヤレスであることが可能である。
【0048】
本発明による方法が、ここから、
図4を参照しながら再び説明される。最初に、ステップS0において、1つ又はいくつかの較正センサが提供される。ステップS1において、骨盤のエリア内の人の体に配置センサ40が適用される。ステップS2において、例えば、較正センサが座席10、ラウンジャー、又はカバーの上の表面センサ11として設計された場合、少なくとも1つの較正センサの上に人が自分自身を配置する。代替又は追加として、ステップS2において、例えば
図3に示されたように、骨盤のエリア内の人の体に較正センサ50が適用される。
【0049】
ステップS3において、コンピューティング・ユニット30は、較正センサ11、50から受け取られた測定データに基づいて、及び任意選択として、配置センサ40から受け取られた測定データも考慮に入れて、骨盤の基準描写を決定する。さらに、コンピューティング・ユニット30は、基準描写による骨盤の現在の場所及び現在の向きを元のサイト及び元の位置として格納する。
【0050】
この時点で、ステップS1は、ステップS2の前、又はことによるとステップS2若しくはS3の後に、行われることが可能であることに留意されたい。それでも、元の場所及び元の位置が格納されたときに、コンピューティング・ユニットは、元の場所及び元の位置に対するゼロ信号を較正するために、配置センサ40の「ゼロ信号」も受け取れることが好ましい。したがって、少なくとも元の場所及び元の位置が格納されたときに、配置センサ40が人の体に取り付けられている場合が好ましい。
【0051】
任意選択として、ステップS4において、基準描写が生成され、元の場所及び元の位置が格納された後、これらの測定データはもはや必要ないので、較正センサ50が除去されることが可能であるか、又は、人が表面センサを備える座席10から立ち上がることが可能である。
【0052】
ステップS4と同時に、前に、又は後に行われるステップS5において、コンピューティング・ユニット30は、空間的場所の並進変化及び空間的向きの回転変化を含む配置センサ40の測定値を受け取り、任意選択として座標変換を使用して測定値を基準描写の空間的場所の並進変化及び空間的向きの回転変化に変換し、その結果、コンピューティング・ユニットは、配置センサから受け取られた測定値だけに基づいて骨盤の現在の場所及び現在の向きを更新することができる。
【0053】
この方法は、例えば理学療法中、例えば、(必要に応じて拡大されることが可能な脊椎の測定点で)骨盤の場所又は向きの動的変化の図解をスクリーンに表示するために使用されることが可能である。代替又は追加として、現在の場所又は現在の向きに応じて、人の位置又は姿勢を自動で矯正するために、人が置かれた座席、ラウンジャー、又はカバーの上の姿勢矯正デバイスなどの制御要素が自動で作動されることが可能であり、例えば、自動化された患者の位置付け管理が、単一のセンサを使用したこの方式で支持されてもよい。
【0054】
さらに、システム200、300、又は対応する方法は、骨盤の現在の場所及び現在の向きを、脊椎の測定された姿勢などの他の測定システムと組み合わせるために使用されることが可能であり、例えば、少なくとも1つのさらなるセンサ60が脊椎のエリア内の人の体に適用されることによって達成され、少なくとも1つのさらなるセンサ60は、例えば前述の配置センサ40のような慣性測定ユニットとして、設計されてもよい。さらなるセンサ60が
図3に概略的に示されているが、他の全ての実施の形態と組み合わされることも可能である。さらなるセンサ60は点状であることが可能であり、例えば肩甲骨の間に又は所定の脊椎骨のエリアに、取り付けられることが可能である。特に、さらなるセンサ60又はいくつかのさらなるセンサ60も、1つ又は複数の脊椎骨、特に3つの下部腰椎L3、L4及びL5の、棘突起のエリアに、その都度、配列されることが可能である。特に3つの下部腰椎の、棘突起の位置が、骨盤の残りの特徴に対する理想に基づくので、この情報も、正しい体の姿勢又は矯正される必要がある体の姿勢それぞれについてのフィードバックを提供するために使用されることが可能である。理想的な位置は、例えば、最初の反復、又は、表面センサ11によって決定されたマンデルブロ集合のその境界曲線から、決定されてもよい。さらに、測定ストリップがさらに使用されてもよく、脊椎の湾曲も正確に測定されることが可能であるように、脊椎に沿って適用され、いくつかの棘突起をカバーする。
【0055】
コンピューティング・ユニット30は、次いで、さらなるセンサ60と配置センサ40との間の相対位置、並びに/又はさらなるセンサ60と骨盤の現在の場所及び現在の向きとの間の相対位置(例えば、前述の球体の中心)を決定することができる。この相対位置を介して、例えば、人がまっすぐに座っているかどうかが決定されることが可能である。相対位置が例えば低すぎる場合、結論は、姿勢が丸まっているというものであることが可能である。
【0056】
相対位置は、例えば理学療法の過程で脊椎の姿勢をスクリーンに表示するために使用されることが可能であるか、又は、決定された相対位置に基づいて、コンピューティング・ユニット30は、人の姿勢を矯正するために、座席内又はラウンジャー内の姿勢矯正デバイスを直接的に作動させることができる。姿勢矯正デバイスは、例えば、座席の背もたれの膨張可能又は充填可能な枕であることが可能である。
【0057】
図5は、3つのさらなるセンサ60と組み合わされた配置センサ40の実用的実装形態を示しているが、より多くの又はより少ないさらなるセンサ60が使用されることも可能である。配置センサ40及びさらなるセンサ60は、ストリップ70の中又は上に取り付けられ、これにより、それぞれの相対位置、つまり、配置センサ40からさらなるセンサ60のうちの次の1つまで、又は、さらなるセンサ60のうちの1つからさらなるセンサ60のうちの次の1つまでの距離が予め規定される。これらの距離は、例えばコンピューティング・ユニット30に、格納されることが可能であるか、又は、これらの距離は、ストリップ70が適用され、距離が測定された後、コンピューティング・ユニット30に供給されることが可能である。
【0058】
ストリップ70を備えたこのシステムでは、配置センサ40は、やはり、骨盤の向きを追跡するために機能し、その一方で、さらなるセンサ60は、脊椎の向きを追跡するために機能する。この場合、さらなるセンサ60は、例えば特定の脊椎骨上の、脊椎の特徴的な点に適用されることが可能である。通常、配置センサ40は、これにより、配置センサ40が取り付けられた骨盤から脊椎全体にストリップ70が延びることができるように、ストリップ70の1つの端部に取り付けられる。
【0059】
図5の例示の実施の形態では、さらなるセンサ60は、配置センサ40と構造的に同一であるように設計されるが、それでもこれは必須ではない。ストリップ70は、通常、人の背中に取り付けられることになる粘着性物質ストリップを備える。ストリップは、簡単なキャリア材料として、又はことによると、センサ40、60を接続する線で、設計されてもよい。共通の線が、したがって、コンピューティング・ユニット又はトランシーバまでの経路を定めることができ、トランシーバは、コンピューティング・ユニット40と通信する。
【0060】
図6は、配置センサ40の実用的構造の特に好ましい例を示している。この配置センサ40は、例えば2cm、又はより一般には、例えば1cmから5cmまでなど、互いから所定の距離に2つの加速度センサ80が配列されるという点で設計される。上記で既に説明されたように、加速度センサ80は、その都度、ただ1つの並進運動を決定することができる。それでも、加速度センサ80の相互距離がわかっているので、加速度センサ80のうちの1つの並進運動は、骨盤の回転及び並進が追跡されることが可能であるように、回転運動に変換されることが可能である。示されている例では、加速度センサは、物理的なスペーサ90によって分離されるが、これは必須ではなく、距離は、配置センサ40の製造により恒久的に指定されることが可能である。
図5の実施の形態では、加速度センサ80の距離は、ストリップ70と平行に選ばれることが可能である。既に言及されたように、
図5のさらなるセンサ60は、この配置センサ40と同じ方式で設計されることが可能である。
【0061】
上述の実施の形態で常に扱われてきたものは、システム200、300が、骨盤の現在の場所及び現在の向きの両方を追跡することである。それでも、より簡単な実施の形態では、骨盤の現在の向きだけが追跡される、つまり、他の実施の形態では骨盤の現在の場所が追跡されないことも想像され得る。最も簡単なケースでは、配置センサ40は、したがって、回転スピード・センサだけであること、又は回転が決定される2つの加速度センサの組合せであることが可能である。したがって、較正センサも元の場所を決定する必要がなく、コンピューティング・ユニット30内の場所を決定することは、骨盤の向きだけが追跡される予定である場合、省略されることが可能である。
【国際調査報告】