(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ニップローラーの調整
(51)【国際特許分類】
B22F 3/18 20060101AFI20241114BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
B22F3/18
H01M50/403 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526543
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 US2022048943
(87)【国際公開番号】W WO2023081345
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524116298
【氏名又は名称】マシューズ インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ハックフォート
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド バルチュ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン ベルンハルド ウィルマー
【テーマコード(参考)】
4K018
5H021
【Fターム(参考)】
4K018CA36
4K018HA08
4K018KA38
5H021BB19
5H021HH00
5H021HH03
5H021HH04
(57)【要約】
フィルムの全幅にわたって均一な厚さを有するフィルムを形成するための装置及び方法が開示される。フィルムも開示されている。フィルムを形成するための装置は、第1のニップローラー及び第2のニップローラーであって、第1のニップローラー及び第2のニップローラーの各々は、第1のニップローラーと第2のニップローラーとの間を通過するとき粉末を圧縮してそれによりフィルムを形成するように構成されており、それにより第1のニップローラーと第2のニップローラーとの間の粉末の通過の圧力に対抗する力がない場合、第1のニップローラーは第2のニップローラーよりも大きくたわむ、第1のニップローラー及び第2のニップローラーを含む。さらに、第1のニップローラー及び第2のニップローラーはそれぞれ、回転して第1のニップローラー及び第2のニップローラーに力ベクトルを適用する1つ以上の偏心ベアリングに関連付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末から均一な厚さを有するフィルムを形成するための装置であって、
第1のニップローラー及び第2のニップローラーであって、前記第1のニップローラー及び前記第2のニップローラーの各々は、前記第1のニップローラーと前記第2のニップローラーとの間を通過するとき前記粉末を圧縮してそれにより前記フィルムを形成するように構成されており、それにより前記第1のニップローラーと前記第2のニップローラーとの間の前記粉末の前記通過の圧力に対抗する力がない場合、前記第1のニップローラーは前記第2のニップローラーよりも大きくたわむ、前記第1のニップローラー及び前記第2のニップローラーを含み、
前記第1のニップローラー及び前記第2のニップローラーはそれぞれ、回転して前記第1のニップローラー及び前記第2のニップローラーに力ベクトルを適用する1つ以上の偏心ベアリングに関連付けられている、前記装置。
【請求項2】
前記フィルムと前記第1のニップローラーとの間の第1の接触面積が、前記フィルムと前記第2のニップローラーとの間の第2の接触面積よりも小さくなるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記偏心ベアリングは、前記第1のニップローラーよりも、前記第2のニップローラーに、前記力ベクトルから得るより大きな大きさの力を加えるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記偏心ベアリングは、同じニップローラーの各側に異なる力ベクトルを適用するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記偏心ベアリングの少なくとも1つの位置を判定するように構成された位置センサーをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のニップローラー及び前記第2のニップローラーがそれぞれ独立して約1kN~約75kNの大きさの力を加えるように構成され、このような力は前記偏心ベアリングの作用のみに起因し得るものであり、かつ、前記装置の他の部分によって前記第1のニップローラー及び前記第2のニップローラーに加えられるいずれの追加の力とも別個である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記フィルムに均一な厚さを与えることができ、前記フィルムの幅全体にわたって厚さのばらつきが約10μm以下となるようにする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
粉末から均一な厚さを有するフィルムを形成する方法であって、
前記粉末を第1のニップローラーと第2のニップローラーの間で圧縮して通過させ、それによってフィルムを形成し、それによって、前記第1のニップローラーと前記第2の対抗力との間の前記粉末の前記通過の圧力に対抗する力がない場合、前記フィルムの通過によって前記第1のニップローラーが前記第2のニップローラーよりも大きくたわむこと、及び
前記第1のニップローラー及び前記第2のニップローラーに関連付けられた1つ以上の偏心ベアリングを回転させて、前記第1のニップローラー及び前記第2のニップローラーに力ベクトルを適用することにより、前記第1のニップローラー、前記第2のニップローラー、またはその両方の前記たわみを調整すること、を含む、前記方法。
【請求項9】
前記偏心ベアリングは、前記第1のニップローラーよりも、前記第2のニップローラーに、前記力ベクトルから得るより大きな大きさの力を加える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記偏心ベアリングは、同じニップローラーの各側に異なる力ベクトルを適用する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
位置センサーを用いて前記偏心ベアリングの少なくとも1つの位置を判定することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の偏心ベアリングを回転させることによって適用される前記力ベクトルの大きさが約1kN~約75kNである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルムは、その幅全体にわたって厚さのばらつきが約10μm以下である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
均一な厚さを有するフィルムであって、前記フィルムは、その幅全体にわたって約10μm以下の厚さのばらつきを有し、前記フィルムは、粉末を第1のニップローラーと第2のニップローラーとの間で圧縮して通過させることによって形成され、前記第1のニップローラーと前記第2のニップローラーは、前記第1のニップローラーと前記第2のニップローラーに関連付けられ、前記第1のニップローラーと前記第2のニップローラーに力ベクトルを適用する1つ以上の偏心ベアリングによって調整される、前記フィルム。
【請求項15】
前記フィルムは、アノードフィルム、カソードフィルム、セパレーターフィルム、集電体フィルム、中間層フィルム、接着フィルム、プライマーフィルム、または前記フィルムの1つ以上の積層体のうちの1つ以上である、請求項14に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年11月4日に出願された米国仮特許出願第63/275,857号の優先権の利益を主張するものであり、参照により、その内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一体型ローラー曲げデバイスに関する。より具体的には、本開示は、デバイスの中心軸に直交する任意の角度でのたわみを打ち消し、均一な厚さのフィルムの生成を確実に行うことができるデバイスに関する。
【0003】
当技術分野ではシート、ウェブ、または基板とも代わりに呼ばれるフィルムの正確な形成は、産業上の課題である。フィルム形成機器に利用できる物理的スペースが限られている場合、フィルム形成機器自体がフィルムを形成する構成材料の最初の取り込みを担っている場合、フィルム形成中に構成材料に高圧を加えなければならない場合、または上記の要件が複数存在する場合、フィルムの正確な形成は特に困難である。このような状況のそれぞれにおいて、当業者は一般に、直径が小さいニップローラーを選択する必要がある。したがって、これらの要件やその他の設計要件が存在する場合、1つまたは複数のニップローラーのたわみにより、結果として得られるフィルムのプロファイルが過度に凸状、過度に凹状、またはその他の望ましくないプロファイルになる。望ましい完全に平坦なフィルムプロファイルを維持するために、1つまたは複数のニップローラーのそれぞれのたわみは、ローラー装置全体の設計上の制約内で独立して制御されなければならない。
【0004】
フィルムプロファイルの正確な厚さも、特にリチウムイオン電池などの電気化学電池の製造分野において重要である。フィルムの厚さは全長にわたって均一でなければならない。これは、円筒形、角柱形、またはポーチ形電池などのリチウムイオン電池の製造中に、電極フィルムが製造され、セパレーターや集電体などの他の層に積層された後、エンドレス積層フィルム全体が所定の長さに切断されるためである。切断されたラミネートフィルムを巻き取ってリチウムイオン電池を形成する。フィルムの長さ全体にわたってフィルムの厚さにいずれかの偏差があると、上記のプロセスから生じるフィルムの巻き層のサイズが変わり、円筒形、角柱形、またはポーチ型電池の形成に使用できない不完全な巻回体になる可能性がある。上記の理由から、フィルムの厚さの正確さを確実にするための改良されたシステム、方法、及び装置が必要である。
【発明の概要】
【0005】
ニップローラーのたわみを打ち消すために互いに独立して回転することができる偏心ベアリングを使用することにより、ニップローラーの中心軸に直交する任意の角度でアライメントを維持する1つ以上のニップローラーを含むローラー装置が提供される。
【0006】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、粉末から均一な厚さを有するフィルムを形成するための装置に関するものであり、装置は、第1のニップローラー及び第2のニップローラーであって、第1のニップローラー及び第2のニップローラーの各々は、第1のニップローラーと第2のニップローラーとの間を通過するとき粉末を圧縮してそれによりフィルムを形成するように構成されており、それにより第1のニップローラーと第2のニップローラーとの間の粉末の通過の圧力に対抗する力がない場合、第1のニップローラーは第2のニップローラーよりも大きくたわむ、第1のニップローラー及び第2のニップローラーを含み、第1のニップローラー及び第2のニップローラーはそれぞれ、回転して第1のニップローラー及び第2のニップローラーに力ベクトルを適用する1つ以上の偏心ベアリングに関連付けられている。
【0007】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、フィルムと第1のニップローラーとの間の第1の接触面積が、フィルムと第2のニップローラーとの間の第2の接触面積よりも小さくなるように構成された装置に関する。
【0008】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、偏心ベアリングが、第1のニップローラーよりも、第2のニップローラーに、力ベクトルから得るより大きな大きさの力を加えるように構成されている装置に関する。
【0009】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、偏心ベアリングが、同じニップローラーの各側に異なる力ベクトルを適用するように構成された装置に関する。
【0010】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、偏心ベアリングの少なくとも1つの位置を決定するように構成された位置センサーをさらに含む装置に関する。
【0011】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、第1のニップローラー及び第2のニップローラーがそれぞれ独立して約1kN~約75kNの大きさの力を加えるように構成され、このような力は偏心ベアリングの作用のみに起因し得るものであり、かつ、装置の他の部分によって第1のニップローラー及び第2のニップローラーに加えられるいずれの追加の力とも別個のものである装置に関する。
【0012】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、フィルムに均一な厚さを与えることができ、フィルムの幅全体にわたって厚さのばらつきが約10μm以下となる装置に関する。
【0013】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、粉末から均一な厚さを有するフィルムを形成する方法に関するものであり、方法は、粉末を第1のニップローラーと第2のニップローラーの間で圧縮して通過させ、それによってフィルムを形成し、それによって、第1のニップローラーと第2の対抗力との間の粉末の通過の圧力に対抗する力がない場合、フィルムの通過によって第1のニップローラーが第2のニップローラーよりも大きくたわむこと、及び第1のニップローラー及び第2のニップローラーに関連付けられた1つ以上の偏心ベアリングを回転させて、第1のニップローラー及び第2のニップローラーに力ベクトルを適用することにより、第1のニップローラー、第2のニップローラー、またはその両方のたわみを調整すること、を含む。
【0014】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、偏心ベアリングが、第1のニップローラーよりも、第2のニップローラーに、力ベクトルから得るより大きな大きさの力を加える方法に関する。
【0015】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、偏心ベアリングが同じニップローラーの各側に異なる力ベクトルを適用する方法に関する。
【0016】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、位置センサーを使用して偏心ベアリングの少なくとも1つの位置を判定することをさらに含む方法に関する。
【0017】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、1つ以上の偏心ベアリングを回転させることによって適用される力ベクトルの大きさが約1kN~約75kNである方法に関する。
【0018】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、フィルムの幅全体にわたって厚さのばらつきが約10μm以下である方法に関する。
【0019】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、均一な厚さを有するフィルムであって、フィルムは、その幅全体にわたる約10μm以下の厚さのばらつきを有し、フィルムは、粉末を第1のニップローラーと第2のニップローラーとの間で圧縮して通過させることによって形成され、第1のニップローラーと第2のニップローラーは、第1のニップローラーと第2のニップローラーに関連付けられ、第1のニップローラーと第2のニップローラーに力ベクトルを適用する1つ以上の偏心ベアリングによって調整される、フィルムに関する。
【0020】
いくつかの態様において、本明細書に記載の技術は、フィルムであって、フィルムは、アノードフィルム、カソードフィルム、セパレーターフィルム、集電体フィルム、中間層フィルム、接着フィルム、プライマーフィルム、または先行するフィルムの1つ以上の積層体のうちの1つ以上である、フィルムに関する。
【0021】
本明細書に記載の実施形態の態様、特徴、利点及び優位性は、以下の説明、添付の請求項、及び添付の図面を参照すれば明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態による、ニップローラーの中心軸に直交する任意の角度でアライメントを維持するために使用される偏心ベアリングを示す。
【0023】
【
図2】一実施形態による、静止状態を基準として偏心ベアリングの回転によって生じる潜在的なたわみを示す。
【0024】
【
図3】一実施形態による、統合された圧延システムにおけるバックアップローラーを基準としたニップローラーの位置を示す図である。
【0025】
【
図4】一実施形態による、たわみのないニップローラーのニップのアライメントを示す。
【0026】
【
図5A】一実施形態による、内側への水平のたわみを引き起こす偏心ベアリングの相互作用を示す。
【0027】
【
図5B】一実施形態による、外側への水平のたわみを引き起こす偏心ベアリングの相互作用を示す。
【0028】
【
図5C】一実施形態による、垂直のたわみを引き起こす偏心ベアリングの相互作用を示す図である。
【0029】
【
図5D】一実施形態による、垂直のたわみを引き起こす偏心ベアリングの相互作用を示す。
【0030】
【
図6A】一実施形態による、ニップローラーがバックアップローラーと一列に並んでいる様子を示す図である。
【0031】
【
図6B】一実施形態による、粉末の供給によってフィルムが形成される、バックアップローラーと一列に並んだニップローラーを示す図である。
【0032】
【
図7A】一実施形態による、ニップローラーのたわみによって作成される不適切な厚さ公差を示す。
【0033】
【
図7B】一実施形態による、ニップローラーのたわみによって作成される不適切な厚さ公差を示す。
【0034】
【
図8A】一実施形態による、適切にアライメントされたニップローラーによって生成された適切な均一なフィルムの厚さを示す。
【0035】
【
図8B】一実施形態による、適切にアライメントされたニップローラーによって生成された適切な均一なフィルムの厚さを示す。
【0036】
【
図9A】一実施形態による、フィルムの形成を示す。
【0037】
【
図9B】一実施形態による、フィルムの形成の別の図を示す。
【0038】
【
図10】一実施形態による、偏心ベアリングを備えたニップローラーの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示は、記載された特定のシステム、デバイス、及び方法に限定されるものではなく、これらは多様であり得る。本明細書に使用される用語は、特定の変形例または実施形態を記述する目的のみのものであり、範囲を制限することを意図するものではない。
【0040】
文脈上明らかに異なる場合を除き、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数の指示対象を含む。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解している意味と同じ意味を有する。本開示のいかなる内容も、本開示で説明される実施形態が先行発明によってそのような開示に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。この文書で使用されている場合、「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」ことを意味する。
【0041】
本開示は、ニップローラーによって製造されるフィルムが均一な厚さを有することを確実にするために、一体型ニップローラーのアライメントを維持するための装置について記載する。ニップローラーに取り付けられた少なくとも2つの偏心ベアリングの独立した回転により、様々な圧力源によって引き起こされるローラーの中心軸に直交するあらゆる角度のいずれのたわみをも排除する対抗たわみを生じることができる。
【0042】
本明細書に記載されている場合、「バックアップローラー」または「カレンダーローラー」は、ニップローラーではなく、装置の他の部分に配置されるローラーを意味する。1つまたは複数のバックアップローラーには、様々な設計と機能上の目的がある場合がある。装置内を移動するフィルムの経路に応じて、バックアップローラーは、フィルムに熱、圧力、またはその他の物理的条件の1つ以上を適用するカレンダーローラーであってもよいことが理解される。あるいは、バックアップローラーは、フィルムの搬送や取り扱いを容易にする機能を果たすアイドラーローラーであってもよい。
【0043】
本明細書の目的で、「静止状態」という用語は、水平方向及び垂直方向の両方において正味のたわみがないローラーを指すために使用される。例えば、静止状態の一実施形態は、バックアップローラーと完全に垂直及び水平にアライメントされたニップローラーを含む。
【0044】
ローラー
図1は、一実施形態による、ニップローラーの中心軸に直交するいずれかの角度でのアライメントを維持するために使用される偏心ベアリング100を示す。ベアリングには、内側の中空円が部分全体に対して偏心している第1の外側ベアリング101を含む。ベアリングはさらに、ローラーにたわみがない場合に、内側の中空円が部分全体と同心である第2の内側ベアリング102を含む。外側ベアリングはさらに、ローラーにたわみを加え、外部圧力によって生じるたわみに対抗できるように回転し得るよう構成されている。内側ベアリングはまた、外部圧力によって生じるたわみに対抗可能なたわみをローラーに与えるために回転可能にさらに構成され、部分全体に対して偏心するように回転するようにさらに構成される。
【0045】
図2は、一実施形態による、ニップローラー202の静止状態を基準とした偏心ベアリング201の回転によって生じる潜在的なたわみを示す。これは、ローラー204が下方に偏向するに至るベアリング203の回転、ローラー206が負のx方向に偏向するに至るベアリング205の回転、ローラー208が上方に偏向するに至るベアリング207の回転、及びローラー210が正のx方向に偏向するに至るベアリング209の回転の図示を含む。
【0046】
図3は、一実施形態による、一体型圧延システムにおけるバックアップローラー302を基準とするニップローラー301の位置を示す図である。これは、少なくとも1つのバックアップローラー、2つのニップローラー、少なくとも2つのバックアップローラー、2つのニップローラー、及び少なくとも1つのバックアップローラーが水平に並んだシーケンスを含む。この図には、ローラーの列の中央に配置され、ニップローラーによって作成されたフィルムがセパレーター層の両側に接着されるようにするためのセパレーター層303がさらに含まれている。
【0047】
図4は、一実施形態による、たわみのないニップローラーのニップアライメントを示す。このアライメントは、1つのニップローラー401が第2のニップローラー402に隣接して配置され、ローラーの垂直中心がx軸の同じ平面上にある。
【0048】
図5A~
図5Dは、ニップアライメントにおけるニップローラーのベアリングの相互作用を示す。
図5Aは、1つのニップローラー501が第2のニップローラー502と一列に並んでいる状態を示しており、第1のニップローラーのベアリング503は正のx方向にたわみを生じるようにアライメントしており、第2のニップローラーのベアリング504は負のx方向にたわみを生じるようにアライメントしている。
図5Bは、1つのニップローラー511が第2のニップローラー512と一列に並んでいる状態を示しており、第1のニップローラーのベアリング513は負のx方向にたわみを生じるようにアライメントしており、第2のニップローラーのベアリング514は正のx方向にたわみを生じるようにアライメントしている。
図5Cは、1つのニップローラー521が第2のニップローラー522と一列に並んでいる状態を示しており、第1のニップローラーのベアリング523は下向きのたわみを生じるようにアライメントしており、第2のニップローラーのベアリング524は上向きのたわみを生じるようにアライメントしている。
図5Dは、1つのニップローラー531が第2のニップローラー532と一列に並んでいる状態を示しており、第1のニップローラーのベアリング533は下向きのたわみを生じるようにアライメントしており、第2のニップローラーのベアリング534は上向きのたわみを生じるようにアライメントしている。
【0049】
図6A~
図6Bは、ニップローラーとバックアップローラーのアライメントと、ローラーを使用してフィルムを作成する様子を示す。これは、バックアップローラー601、ニップローラー603、ニップローラー604、及びバックアップローラー602を含む、すべて一列に並んだ一連の隣接するローラーを含む。一実施形態では、すべてが一列に並んだバックアップローラー611、ニップローラー615、ニップローラー614、及びニップローラー612を含む一連の隣接するローラーが設けられ、乾燥粉末混合物が上からニップローラーの間に追加され、ローラーが回転して粉末からフィルム613を作成する。
【0050】
図7A~
図7Bは、一実施形態による、ニップローラーのたわみによって作成される不適切な厚さの公差を示す。これには、バックアップローラー701、ニップローラー703、ニップローラー704、及びニップローラー702を含む一連の隣接するローラーがすべて一列に並んでいるシステムが含まれ、この場合、乾燥粉末混合物が上からニップローラー間に追加され、2つのニップローラーが上向きにたわんで、不適切な厚さ公差のフィルム705の作成に至る。一実施形態では、バックアップローラー711、ニップローラー713、ニップローラー714、及びニップローラー712を含む一連の隣接するローラーがすべて一列に並んでいるシステムが設けられ、この場合、乾燥粉末混合物が上からニップローラー間に追加され、2つのニップローラーの1つが上向きにたわんで、不適切な厚さ公差のフィルム715の作成に至る。
【0051】
図8A~
図8Bは、一実施形態による、適切にアライメントされたニップローラーによって作成される適切な均一なフィルムの厚さを示す。これには、バックアップローラー801、ニップローラー803、ニップローラー804、及びニップローラー802を含む一連の隣接するローラーがすべて一列に並んでいるシステムが含まれ、この場合、乾燥粉末混合物が上からニップローラー間に追加され、2つのニップローラーが適切にアライメントして正味のたわみが発生しないため、適切な厚さの公差のフィルム805の作成に至る。一実施形態では、バックアップローラー811、ニップローラー813、ニップローラー814、及びニップローラー812を含む一連の隣接するローラーがすべて一列に並んでいるシステムが設けられ、この場合、乾燥粉末混合物が上からニップローラー間に追加され、2つのニップローラーが適切にアライメントしており、2つのニップローラーが正味のたわみを経験していないため、適切な厚さの公差のフィルム815が作成され、バックアップローラー811がフィルムの搬送を適切に制御できるようにする。
【0052】
動作中、ニップローラーは、乾燥粉末混合物がニップローラーを通過する際に形成されるフィルムを調整するためにたわむ。たわみの量は制限されないが、熟練者にとって明らかな様々な要因に応じて選択される。いくつかの実施形態では、たわみの量は、すべて直径が約200mmのローラーを基準として、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、約95μm、または約100μmである。あるいは、たわみの量は、ニップローラーの全体的な寸法に基づいて選択された比率として表すこともできる。一実施形態では、ローラーの変位量をローラーの直径で割った量に基づいて、たわみの比率は約2.5×10-5~約0.0005、約5×10-5~約0.0005、または約7.5×10-5~約0.0005である。上記の値は直径200mmのニップローラーを基準にして設けられているが、ローラーの直径はこれに限定されるわけではない。より大きなニップローラーでは、さらなるたわみを実現できる可能性があることが認識される。
【0053】
ニップローラーのたわみは任意の方向に連続的に調整可能である。
図2に示すように、偏心ベアリング201、203、205、207、及び209の1つ以上を回転させることにより、ニップローラー202は任意の方向にたわむ。曲げは参照文字204、206、208、及び210で示される。ここでも、偏心ベアリングの回転は制限されず、したがってローラーのたわみの量と方向も制限されないことが理解されるであろう。
【0054】
ローラーのたわみの量と方向に加えて、各個々のローラーに関連付けられた偏心ベアリングのみを回転させることによって、ニップローラーを各々個別に制御することができる。これにより、ユーザーはローラー間のスペースの量をさらに制御し、ローラー間を通過するフィルムの厚さを制御することができる。回転方向は制限されておらず、各偏心ベアリングは任意の量だけ個別に回転できる。さらに、特定のニップローラーに関連付けられた各個々の偏心ベアリングを調整できるため、各ローラーのたわみをさらに制御できる。
【0055】
いくつかの実施形態では、ニップローラーは、ローラーがフィルムに与える精度及び精密さをさらに高めるのに役立つクラウンを有する。クラウンは、ローラーがたわんだり、別の操作を受けたりしても、接触フットプリント、ひいてはフィルムのプロファイルとフィルムの厚さが平坦かつ正確なまま維持されるのを確実にする。クラウンの量は制限されず、特定のフィルムの要件と各ローラーについて選択されたたわみに基づいて選択される。いくつかの実施形態では、ニップローラーのクラウンは、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、または上記の値の任意の範囲、例えば約3μm~約10μm、約4μm~約9μm、または約4μm~約8μmのクラウンを有している。
【0056】
開示されたニップローラーによって形成されるフィルムは限定されず、金属、ポリマー、紙、セラミック、または上記の1つ以上の混合物または積層体であってもよい。特定の実施形態では、形成されるフィルムは、その後リチウムイオン電池の一部として形成される乾燥粉末から形成される。乾燥粉末からフィルムが形成される場合、それはリチウムイオン電池の製造のためのカソードまたはアノードに形成される。
【0057】
本開示のニップローラーは、形成されるフィルムに関して高いレベルの精度と精密度の両方を達成することができる。いくつかの実施形態では、クラウンは、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、約95μm、または約100μm、あるいは、前記の値の2つ以上を端点として形成される任意の範囲である。クラウンは約30μmから約50μmであってもよい。
【0058】
ニップローラー間の隙間を調整してフィルムの厚さを制御することに加えて、開示されたニップローラー及び偏心ベアリングは、フィルムに加えられる圧力の量を調整するためにも使用することができる。いずれの外部構造またはデバイスもなしで偏心ベアリングのみによる調整に起因する第1のニップローラーまたは第2のニップローラーによって適用される力の大きさは、最大約75kN、最大約50kN、最大約25kN、約1kNから約75kN、約1kNから約50kN、約10kNから約50kN、約10kNから約40kN、約10kNから約30kN、または前述の範囲の1つ以上の任意の組み合わせであってもよい。このようにして、第1のニップローラーと第2のニップローラーはそれぞれ独立して調整でき、粉末またはフィルムに大きな圧力を加えることができる。前述の圧力は偏心ベアリングによる調整によってのみ生じ、第1のニップと第2のニップはそれぞれ、装置の他の構造に基づいて追加の力を加えることができることが分かる。
【0059】
あるいは、偏心ベアリング及び関連するニップローラーの精度は、ニップローラーによって形成されるフィルムの均一性によって測定される。いくつかの実施形態では、本開示のニップローラーによって形成されるカソードまたはアノードフィルムは、測定された厚さが、約10μm以下、約8μm以下、約6μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約1~10μm、約1~8μm、約1~6μm、約1~4μm、約1~3μm、または約1~2μm変動する。上の値は、製造される電池のフォームファクタに必要なフィルムの幅にわたって測定される。
【0060】
ニップローラーのクラウン、ニップローラーに加えられる力の量、及びフィルムの均一性によって測定される偏心ベアリングと関連するニップローラーの精度について説明した前述の各段落について、これらは、装置によって製造されるリチウムイオン電池などの電池のフォームファクタに必要な幅に対して再び測定される。フォームファクタの例は限定されず、円筒形電池10440または1044(直径10mm×長さ44mm)、14500または1450(直径14mm×長さ50mm)、16340または1634またはCR123A(直径16mm×長さ34mm)、18650または1865(直径18mm×長さ65mm)、21700または2170(直径21mm×長さ70mm)、26650または2665(直径26mm×長さ65mm)、32650または3265(直径32mm×長さ65mm)、及び4680(直径46mm×長さ80mm)が含まれる。角柱型電池やポーチ型電池も企図されており、企図される寸法に制限はない。
【0061】
開示された装置は、偏心ベアリング、ニップローラー、またはその両方に関連付けられた1つ以上の位置センサーをさらに含む。位置センサーは、偏心ベアリングの回転量またはニップローラーの回転量を判定し、ニップローラーまたは偏心ベアリングの回転量に対応するデジタル信号またはアナログ信号を供給する。このような位置センサーは限定されず、電位差センサー、静電容量位置センサー、または光学位置センサーが含まれる。光学位置センサーは、紫外線(UV)、可視光、赤外線などの任意の光で測定することにより動作できる。特定の実施形態では、光学位置センサー用に選択される光は、前述の帯域幅の1つのレーザーである。
【0062】
さらに他の実施形態では、または設けられた位置センサーと組み合わせて、1つ以上のフィルム厚さセンサーを設けることもできる。フィルム厚さセンサーとしては、レーザーセンサーなどの光学センサーが挙げられるが、これに限定されるものではない。フィルム厚さセンサーは、フィルムの少なくとも1点のフィルムの厚さを測定することにより、ニップローラーによって形成されたフィルムの厚さを判定する。いくつかの実施形態では、フィルムの幅全体にわたる複数の点の厚さを測定するように構成された1つ以上のフィルム厚さセンサーが存在する。厚さセンサーはフィルムの厚さに対応するデジタル信号またはアナログ信号を供給する。
【0063】
用途
本開示のニップローラー及び関連するコンポーネントの用途は限定されないが、特定の用途が望ましい。いくつかの実施形態では、本開示のニップローラーと、当業者に知られている他の様々なコンポーネントを含む生産ラインが構築される。ニップローラーは、生産ライン全体で生産されるフィルムの厚さを正確に制御するために組み込まれる。本開示のニップローラー及び関連するコンポーネントに形成されるように構成された、またはそれらを使用するフィルムの例としては、アノードフィルム、カソードフィルム、セパレーターフィルム、集電体フィルム、中間層フィルム、接着フィルム、プライマーフィルム、または上記の2つ以上のフィルムを含むラミネートのうちの1つ以上が挙げられる。
【0064】
開示されたニップローラー及び関連するコンポーネントは、粉末からフィルムを形成するために有用であると開示されているが、他の用途もある。例えば、ニップローラー及び関連するコンポーネントが、液体、またはスラリーなどの非ニュートン流体からフィルムを形成できることが企図される。
【実施例】
【0065】
図9A及び
図9Bは、本開示の特に有利な実施形態の1つを示すものである。
図9A及び
図9Bによれば、装置900は、電極材料905を受け取るために粉末ミルホッパー904のすぐ近くに配置された第1のニップローラー901及び第2のニップローラー902を含む。さらに、第1のニップローラー901及び第2のニップローラー902の一方の側には、第1のカレンダーローラー906及び第2のカレンダーローラー907が配置されている。
【0066】
使用時には、典型的には乾燥電極用の粉末である電極材料905が、第1のニップローラー901及び第2のニップローラー902によって圧縮され、それにより乾燥電極フィルム908が形成される。乾燥電極フィルム908は、第1のニップローラー901及び第2のニップローラー902を通過して圧力を受けて成形された後、第1のカレンダーローラー906及び第2のカレンダーローラー907に巻き付けられる。乾燥電極フィルム908が移動すると、それは圧縮され、第1のニップローラー901と第2のニップローラー902に対して等しい反対方向の力が加わる。ただし、第1のニップローラー901と第2のニップローラー902は、異なる応答をするように構成されている。第1のニップローラー901は大きなたわみを経験するため、偏心ベアリング(図示せず)によって適宜調整されねばならない。しかしながら、第2のニップローラー902は乾燥電極908に囲まれているため、反対側に圧力が加わる。したがって、第2のニップローラー902は、第1のニップローラー901に必要なのと同じ程度の調整を必要としない。さらに、第2のニップローラー902は、第2のニップローラー902の直径よりも大きい直径を有するカレンダーローラー906及び907の近傍に配置され、したがって、ある程度、それらによって支持される。
【0067】
したがって、本明細書で説明し、
図9Bに示す例では、第1のニップローラー901及び第2のニップローラー902は、偏心ベアリングの1つまたは複数(図示せず)によって調整され、第1のニップローラー901の偏心ベアリングによって及ぼされる調整力の大きさは、第2のニップローラー902の偏心ベアリングによって及ぼされる調整力の大きさよりも大きくなる。したがって、乾燥電極フィルム908が通過する間、第1のニップローラー901と第2のニップローラー902との間での均一かつ正確に制御された隙間が確保される。
【0068】
第1のニップローラー901は支持ローラー909によって支持されているが、形成されたフィルム908はローラーに力を加え続け、その結果、第1のニップローラー901にはより大きな変位力が加わることに留意すべきである。これは、
図9Bの第1のニップローラー901の誇張された曲がりによって示されており、第1のニップローラー901の偏心ベアリングによって加えられる力によって修正されなければならない。
【0069】
図10は、ニップローラー1001、外側偏心ベアリング1002、及びニップローラー1001に取り付けられた内側偏心ベアリング1003の断面を示す。ニップローラー1001は、中空シャフト1005と、ニップローラー1001を収容する円筒形のブッシングとを含む機械フレーム1004に取り付けられている。内側偏心ベアリング1003と外側偏心ベアリング1002は、内側偏心ベアリング1003が外側偏心ベアリング1002の内側に配置され、部分的に重なるように配置される。外側偏心ベアリング1002は、第1ラジアルベアリング1006によって軸方向に回転可能になっている。内側偏心ベアリング1003は、第2ラジアルベアリング1007によって軸方向に回転可能となっている。ニップローラー1001は、第3のラジアルベアリング1008によって軸方向に移動可能である。
図10の図において、外側偏心ベアリング1002と内側偏心ベアリング1003は、ニップローラー1001が中央に位置し、たわみのない開始位置にある。外側偏心ベアリング1002と内側偏心ベアリング1003は、独立して調整可能である。
【0070】
上記の詳細な説明では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照している。図面では、文脈による別様の指示がない限り、類似の記号は通常、類似しているコンポーネントを特定する。詳細な説明、図面、及び請求項に記載されている例示的な実施形態は、限定することを意図したものではない。本明細書で提示された主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用したり、他の変更を加えたりすることができる。本明細書で一般的に説明され、図面に図示されている本開示の態様は、本明細書で明示的に企図されている多種多様な構成で配置、置換、組み合わせ、分離、及び設計できることは、容易に理解されるであろう。
【0071】
本開示は、本出願に記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、様々な態様の例示として意図されている。当業者に明らかであるとおり、その精神及び範囲から逸脱することなく、多くの修飾及び改変を行うことが可能である。本明細書において列挙されるものだけでなく、本開示の範囲内に含まれる、機能的に等価な方法及び装置が、上記の説明から当業者に明らかであるだろう。そのような修飾及び改変は、添付の特許請求の範囲内に含まれるものと意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲の用語、及びそのような特許請求の範囲に権利を有する均等物の全範囲によってのみ限定されるものである。当然のことながら、本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生体系に限定されず、これらは、当然、変更可能である。本明細書で使用される専門用語が特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されるべきである。
【0072】
本明細書における実質的に任意の複数形及び/または単数形の用語の使用に関しては、当業者は、文脈及び/または用途に応じて、複数形から単数形へ、及び/または単数形から複数形へ変換することができる。明確さのために、本明細書では様々な単数/複数の順列が明示的に示される場合がある。
【0073】
一般的に、本明細書、及び特に特許請求の範囲(例えば、特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して、「限定されない」用語(例えば、用語「含んでいる」は、「含んでいるがこれに限定されない」、用語「有する」は、「少なくとも有する」、用語「含む」は「含むがこれに限定されない」、等、として解釈されるべきである)として意図されることは当業者には理解されるであろう。様々なコンポーネント、方法、及びデバイスが、様々なコンポーネントまたはステップを「含む」(「含むが、これらに限定されない」という意味として解釈される)という観点から説明されている一方で、組成、方法、及びデバイスは、様々なコンポーネント及びステップ「を本質的に含む」または「からなる」場合もあり、そのような用語は、本質的に閉じた要素の集団を定義するものとして解釈されるべきである。導入される請求項の記述の特定の数が意図される場合、かかる意図は請求項に明示的に記述され、かかる記述の欠如が、かかる意図が提示されないことではないことは当業者にはさらに理解されるであろう。
【0074】
例えば、理解への補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記述を導入する、導入句である「少なくとも1つの」及び「1つまたは複数の」の使用を含む場合がある。しかしながら、かかる句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記述の導入が、その同じ請求項が導入句「1つ以上の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」のような不定冠詞を含むときであっても(例えば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)、かかる導入された請求項の記述を含む任意の特定の記述を1つのかかる記述のみを含む実施形態に限定することを暗示するように解釈されるべきではなく、請求項の記述を導入するために使用される定冠詞の使用に対しても同じことが当てはまる。
【0075】
加えて、導入される請求項の記述の特定の数が明示的に記述される場合、当業者は、かかる記述が少なくとも記述された数(例えば、他の修飾語句なしの「2つの記述」の最低限の記述が、少なくとも2つの記述、または2つ以上の記述を意味する)を意味すると解釈されるべきであることを理解するであろう。さらに、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した規則が使用されている場合、一般に、そのような解釈は、当業者がその規則を理解する意味で意図されている(たとえば、「A、B、Cのうちの少なくとも1つを含むシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBが一緒に、AとCが一緒に、BとCが一緒に、及び/またはA、B、及びCが一緒、などを有するシステムが含まれるが、これらに限定されない)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似した規則が使用されている事例の場合、一般に、そのような解釈は、当業者がその規則を理解する意味で意図されている(たとえば、「A、B、Cのうちの少なくとも1つを含むシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBが一緒に、AとCが一緒に、BとCが一緒に、及び/またはA、B、及びCが一緒、などを有するシステムが含まれるが、これらに限定されない)。さらに、当業者であれば、説明、請求項、図面のいずれにおいても、2つ以上の代替的な用語を提示する実質的に任意の分離語及び/または句は、用語の1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含める可能性を企図していると理解されるはずであることを理解するであろう。たとえば、「AまたはB」という語句は、「A」または「B」または「AかつB」の可能性を含むと理解される。
【0076】
また、本開示の特長または態様がマーカッシュ群で記載される場合、当業者は、本開示が、それにより、そのマーカッシュ群の任意の個別の構成要素または構成要素の下位群でも記載されているものと理解するだろう。
【0077】
当業者には当然のことながら、ありとあらゆる目的に関して、特に書面で説明を提供するという点で、本明細書に開示される全ての範囲は、その範囲のありとあらゆる可能な部分範囲及び部分範囲の組み合わせも包含する。挙げられている範囲はどれも、同じ範囲を少なくとも均等な半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割されることを十分に記載するものとして、またそれが可能であるものとして容易に認識できる。非限定的な例として、本明細書で説明する各範囲は、下側3分の1、中間の3分の1、上側3分の1などに簡単に分類できる。また、当業者であれば理解できるように、「最大」、「少なくとも」などのすべての言葉は、列挙された数字を含み、その後、上で説明したようにサブ範囲に細分化できる範囲を指すことができる。最後に、当業者には当然のことながら、範囲は、個々の要素のそれぞれを含む。したがって、たとえば、1~3個のコンポーネントを有する集団は、1個、2個、または3個のコンポーネントを有する集団を指す。同様に、1~5個の電池を有するグループは、1、2、3、4、または5個のコンポーネントを有する集団を指す。
【0078】
様々な上に開示された特徴及び機能、並びに他の特徴及び機能、またはそれらの代替物は、多くの他の異なるシステムまたはアプリケーションに組み込まれてもよい。開示されている実施形態によって包含されることになることも各々意図される、様々な現在は予見できないまたは予期しないその代替物、修正、変形、または改善は、その後、当業者によって行われ得る。
【国際調査報告】