(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】MDS関連貧血及び他の状態を処置するための化合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5025 20060101AFI20241114BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20241114BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241114BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61K31/5025
A61P7/06
A61K9/20
A61K9/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526836
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022049969
(87)【国際公開番号】W WO2023091414
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511223394
【氏名又は名称】アジオス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベイノン, ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】パティア, スマン ジョイ
(72)【発明者】
【氏名】ダン, レニー
(72)【発明者】
【氏名】ディバッコ, メリッサ エル.
(72)【発明者】
【氏名】アイエル, ヴァーシャ ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】クン, チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】リンチ, メーガン
(72)【発明者】
【氏名】イン, オフィーリア チピン
(72)【発明者】
【氏名】アーブストナイティス, ロランダス
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, ジェン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC14
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB26
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA55
4C086ZC19
(57)【要約】
本明細書では、MDS関連貧血及び他の状態を処置するためのある特定のピルビン酸キナーゼ活性化剤又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物の使用が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象におけるMDSに関連する貧血を処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の、構造式:
【化15】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項2】
骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象におけるMDSに関連する溶血性貧血を処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の、構造式:
【化16】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項3】
骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象におけるヘモグロビンレベルを増加させる方法であって、前記対象に、治療有効量の、構造式:
【化17】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項4】
骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象における後天性PK欠損症(PKD)を処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の、構造式:
【化18】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項5】
骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象における後天性PK欠損症(PKD)に関連する貧血を処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の、構造式:
【化19】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項6】
骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象における血球減少症を処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の、構造式:
【化20】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項7】
前記対象の前記ヘモグロビンレベルが、処置中に少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、少なくとも14週間、少なくとも16週間、少なくとも18週間、又は少なくとも20週間の期間にわたって改善する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象の前記ヘモグロビンレベルが、処置中に1週から20週まで、1週から18週まで、1週から16週まで、4週から20週まで、4週から18週まで、4週から16週まで、6週から20週まで、6週から18週まで、6週から16週まで、8週から20週まで、8週から18週まで、8週から16週まで、10週から20週まで、10週から18週まで、又は10週から16週までベースラインから増加する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象の前記ヘモグロビンレベルが、処置中に8週から16週までベースラインから増加する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象の前記ヘモグロビンレベルが、処置中に1週から20週まで、1週から18週まで、1週から16週まで、4週から20週まで、4週から18週まで、4週から16週まで、6週から20週まで、6週から18週まで、6週から16週まで、8週から20週まで、8週から18週まで、8週から16週まで、10週から20週まで、10週から18週まで、又は10週から16週までの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、又は6つ以上の連続する時点でベースラインから増加する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記対象の前記ヘモグロビンレベルが、処置中に8週から16週まで、2つ以上の連続する時点でベースラインから増加する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象の前記ヘモグロビンレベルが、処置中にベースラインから1.0g/dL以上増加する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象の前記ヘモグロビンレベルが、処置中にベースラインから1.5g/dL以上増加する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象の前記ヘモグロビンレベルが、処置中にベースラインから2.0g/dL以上増加する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、処置中に輸血非依存になる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、処置前に、低い輸血負荷を有するものとして分類される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、処置中に1週間以上連続して、2週間以上連続して、3週間以上連続して、4週間以上連続して、5週間以上連続して、6週間以上連続して、7週間以上連続して、8週間以上連続して、9週間以上連続して、又は10週間以上連続して輸血非依存になる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、処置中に8週間以上連続して輸血非依存になる、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象の総輸血赤血球(RBC)単位が、処置中にベースラインから10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上減少する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象の前記総輸血赤血球(RBC)単位が、処置中にベースラインから50%以上減少する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象の前記総輸血赤血球(RBC)単位が、処置中に1週間以上連続した、2週間以上連続した、3週間以上連続した、4週間以上連続した、5週間以上連続した、6週間以上連続した、7週間以上連続した、8週間以上連続した、9週間以上連続した、又は10週間以上連続した期間にわたって、ベースラインから50%以上減少する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象の総輸血赤血球(RBC)単位が、処置中に8週間以上連続した期間にわたって、ベースラインから50%以上減少する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記MDSが、低リスクMDSである(MDSのための改訂国際予後スコアリングシステム(Revised International Prognostic Scoring System)(IPSS-R)によって特徴付けられる場合)、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記MDSが、非常に低リスクのMDSである(MDSのための改訂国際予後スコアリングシステム(IPSS-R)によって特徴付けられる場合)、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記MDSが、中等度リスクMDSである(MDSのための改訂国際予後スコアリングシステム(IPSS-R)によって特徴付けられる場合)、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、男性である、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象が、女性である、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象に投与された前記化合物の前記治療有効量が、1日当たり2mg、1日当たり3mg、又は1日当たり5mgである、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記対象に投与された前記化合物の前記治療有効量が、2mg QD、3mg QD、又は5mg QDである、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物又は薬学的に許容される塩が、経口で投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記化合物又は薬学的に許容される塩が、錠剤又は1つ以上の顆粒の形態にある、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物又は薬学的に許容される塩が、1つ以上の顆粒の形態にある、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
MDSに罹患している対象における低リスク骨髄異形成症候群(MDS)に関連する貧血を処置する方法であって、前記対象に、1日当たり2mg、1日当たり3mg、又は1日当たり5mgの構造式:
【化21】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩を、前記化合物の1日当たり2mg、1日当たり3mg、又は1日当たり5mgに相当する量において、経口投与することを含み、前記対象が、投与前に、非輸血、低輸血負荷、又は高輸血負荷であるとして分類される、方法。
【請求項34】
前記対象が、処置前に、低輸血負荷を有するものとして分類される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物又は薬学的に許容される塩が、前記対象に16週間の期間、投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、16週間の投与期間中に、8週間以上連続して輸血非依存になる、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記対象の前記ヘモグロビンレベルが、前記16週間の投与期間の8週から16週まで、ベースラインから1.0g/dL以上、1.5g/dL以上、又は2.0g/dL以上増加する、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記化合物又は薬学的に許容される塩が、前記対象に24週間の期間、投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記対象が、24週間の投与期間中に、8週間以上連続して輸血非依存になる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が、処置前に非輸血であるとして分類される、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記化合物又は薬学的に許容される塩が、前記対象に24週間の期間、投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対象のヘモグロビンレベルが、24週間の投与期間中に、8週間以上連続して、ベースラインから1.0g/dL以上、1.5g/dL以上、又は2.0g/dL以上増加する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が、処置前に、高輸血負荷を有するものとして分類される、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物又は薬学的に許容される塩が、前記対象に24週間の期間、投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記対象の総輸血赤血球(RBC)単位が、24週間の投与期間中に8週間以上連続した期間にわたって、ベースラインから50%以上減少する、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
ミトコンドリア機能障害に関連する疾患又は障害の処置を必要とする対象におけるミトコンドリア機能障害に関連する疾患又は障害を処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の構造式
【化22】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項47】
無効な赤血球生成(ineffective erythropoiesis)に関連する疾患又は障害の処置を必要とする対象における無効な赤血球生成に関連する疾患又は障害を処置する方法であって、前記対象に、治療有効量の構造式
【化23】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項48】
前記対象に投与された前記化合物の前記治療有効量が、1日当たり0.25mg~15mgの範囲にある、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象に投与された前記化合物の前記治療有効量が、0.25mg~2mgのQD若しくはBID、又は1.5mg~5.5mgのQD若しくはBID、又は4mg~6mgのQD若しくはBIDの範囲にある、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
後天性PK欠損症(PKD)に関連する前記貧血が、溶血性貧血である、請求項5及び7~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
後天性PK欠損症(PKD)に関連する前記貧血が、溶血性貧血である、請求項33~45のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年11月16日に出願された米国仮出願第63/280,069号及び2022年6月30日に出願された米国仮出願第63/357,240号の優先権を主張し、これらの各々は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
骨髄異形成症候群(MDS)は、機能障害の造血、進行性血球減少症、及び急性骨髄性白血病(AML)への進行のリスクの増加によって特徴付けられる、まれな血液悪性腫瘍の不均一な群である。MDSは、骨髄中の血液形成細胞が異常(異形成)になり、新しい血液細胞を作ることに問題があるときに発生する。骨髄細胞によって形成された血液細胞の多くは、しばしば死ぬか、又は身体によって破壊され、したがって、個体に十分な正常な血液細胞が残されない。異なる細胞型がこの現象の影響を受けるが、MDSにおける最も一般的な所見は、赤血球の不足(貧血)である。しかしながら、溶血性貧血は、まれではあるが、MDSに罹患している患者にも発生することが見出されている。例えば、Leukemia Research Reports,Vol.5,2016,pp23-26を参照されたい。
【0003】
診断時の平均齢が71歳であるMDS患者は、慢性的に低レベルのヘモグロビンによって深刻な影響を受ける可能性がある。これは、疲労、心肺機能の悪化、転倒の増加、及び著しい認知低下を引き起こす可能性がある。このように、貧血の処置は、全体的な健康及び生活の質にとって不可欠である。現在、濃厚赤血球(PRBC)の輸血は、MDS関連貧血の標準治療である。しかしながら、輸血依存性MDS関連貧血患者の問題は、これらの患者が、鉄過剰及び輸血反応のリスクが高く、生活の質の低下を報告することである。
したがって、MDS関連貧血を処置するための代替アプローチが必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Leukemia Research Reports,Vol.5,2016,pp23-26
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
現在、ピルビン酸キナーゼのある特定の活性化剤はまた、MDS関連貧血、特に非常に低リスク、低リスク及び中程度のリスクのMDSに関連する貧血の処置に有効であり得ることが見出されている。これらの活性化剤には、以下の構造式:
【化1】
を有するもの、並びにその薬学的に許容される塩が含まれる。一態様では、本開示のピルビン酸キナーゼ活性化剤は、MDSの動物モデルにおいて、ヘモグロビンレベルを増加させ、網状赤血球数を減少させ、かつ/又は赤血球(RBC)機能を改善することが見出されている。例えば、
図1及び2を参照されたい。
【0006】
したがって、本明細書で提供されるのは、対象におけるMDS関連貧血及び他の状態を処置する方法であって、対象に、開示されるピルビン酸キナーゼ活性化剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上を投与することを含む、方法である。
【0007】
同様に提供されるのは、MDSに罹患している対象におけるヘモグロビンレベルを増加させるための方法であって、対象に、開示されるピルビン酸キナーゼ活性化剤、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上を投与することを含む、方法である。
【0008】
同様に提供されるのは、MDSに罹患している対象における後天性PK欠損症(PKD)を処置する方法であって、対象に、開示されたピルビン酸キナーゼ活性化剤、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上を投与することを含む、方法である。
【0009】
同様に提供されるのは、MDSに罹患している対象における後天性PKDに関連する貧血を処置する方法であって、対象に、開示されるピルビン酸キナーゼ活性化剤、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上を投与することを含む、方法である。
【0010】
同様に提供されるのは、MDSに罹患している対象における血球減少症を処置する方法であって、対象に、開示されるピルビン酸キナーゼ活性化剤、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上を投与することを含む、方法である。
【0011】
更に提供されるのは、MDSに罹患している対象における溶血性貧血を処置する方法であって、対象に、開示されているピルビン酸キナーゼ活性化剤、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上を投与することを含む、方法である。
【0012】
更に提供されるのは、MDSに罹患している対象における無効な赤血球生成(ineffective erythropoiesis)を処置する方法であって、対象に、開示されているピルビン酸キナーゼ活性化剤、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上を投与することを含む、方法である。
【0013】
更に提供されるのは、MDSに罹患している対象における疾患進行を低減する方法である。いくつかの態様では、開示されたピルビン酸キナーゼ活性化剤、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上を対象に投与することは、対象の骨髄内の炎症を軽減し、それによって対象の疾患の進行を軽減する。
【0014】
なお更に提供されるのは、それを必要とする対象におけるミトコンドリア機能障害に関連する疾患を処置する方法であって、対象に、開示されるピルビン酸キナーゼ活性化剤、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上を投与することを含む、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A-B】6週間(
図1A)、8週間(
図1B)、12週間(
図1C)、及び18週間(
図1D)にわたって固形飼料中のミタピバットを投与した後の、MDS関連貧血マウスモデルにおけるヘモグロビンレベルの効果を示す。
【
図2A-B】ミタピバットの投与後のMDS関連貧血マウスモデルからの赤血球数(RBC)(
図2A)、網状赤血球割合(
図2B)、網状赤血球濃度(
図2C)、及びヘマトクリット割合(
図2D)の血液学的パラメータ結果を示す。
【
図3】MDS関連貧血の処置のための多相臨床試験設計を示す。
【
図4】低リスク骨髄異形成症候群(LR-MDS)に起因する貧血を有する対象における化合物1を用いた第2a相研究設計の概要を示す。
【
図5】低リスク骨髄異形成症候群(LR-MDS)に起因する貧血を有する対象における化合物1を用いた第2b相研究設計の概要を示す。
【
図6A-B】化合物1での処置後のPolg
D257Aマウスからの骨髄穿刺液のフローサイトメトリーデータを示す。
【
図7A-B】ミタピバット又は化合物1での処置後のNHD13マウスからの骨髄穿刺液のフローサイトメトリーデータを示す。
【
図8】ミタピバット又は化合物1による処置後の、NHD13マウス由来のヘモグロビン(
図8A)、RBC(
図8B)、及び網状赤血球濃度(
図8C)の血液学的パラメータ結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の実施形態では、本明細書で提供されるのは、骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象における骨髄異形成症候群(MDS)に関連する貧血を処置するための方法であって、対象に、治療有効量の、
【化2】
から選択される構造式を有する化合物、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0017】
第2の実施形態では、本明細書で提供されるのは、骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象におけるMDSに関連する溶血性貧血を処置するための方法であって、対象に、治療有効量の、
【化3】
から選択される構造式を有する化合物、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0018】
第3の実施形態では、本明細書で提供されるのは、骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象におけるヘモグロビンレベルを上昇させる方法であって、対象に、治療有効量の、
【化4】
から選択される構造式を有する化合物、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0019】
第4の実施形態では、本明細書で提供されるのは、骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象における後天性PK欠損症(PKD)を処置する方法であって、対象に、治療有効量の、
【化5】
から選択される構造式を有する化合物、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0020】
第5の実施形態では、本明細書で提供されるのは、骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象における後天性PK欠損症(PKD)に関連する貧血を処置する方法であって、対象に、治療有効量の、
【化6】
から選択される構造式を有する化合物、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0021】
第6の実施形態では、本明細書で提供されるのは、骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している対象における血球減少症を処置する方法であって、対象に、治療有効量の、
【化7】
から選択される構造式を有する化合物、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0022】
第7の実施形態では、本明細書で提供されるのは、ミトコンドリア機能障害に関連する疾患を処置することを、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、治療有効量の、
【化8】
から選択される構造式を有する化合物、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0023】
第8の実施形態では、本明細書で提供されるのは、無効な赤血球生成を処置することを、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、治療有効量の、
【化9】
から選択される構造式を有する化合物、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法である。
【0024】
本明細書で使用する場合、「溶血性貧血」という用語は、対象の低い赤血球数が、赤血球の生成不足ではなく、むしろ破壊によって引き起こされる貧血のサブタイプを指す。別段の記載がない限り、本明細書で使用される場合、「貧血」という用語は、無効な赤血球生成を含む、赤血球の生成不足によって引き起こされる低い赤血球数を指す。
【0025】
「MDS関連貧血」、「MDSに関連する貧血」、及び「MDSに起因する貧血」という用語は、同義語であり、MDSを有するか、又はMDSに罹患した結果として対象において発症したか、又は後天性貧血を指す。
【0026】
「後天性PK欠損症(PKD)に関連する貧血」及び「PKD関連貧血」は、同義語であり、MDSを有するか、又はMDSに罹患することから生じる後天性PKDの結果として対象において発症した貧血を指す。いくつかの実施形態では、MDSに罹患している対象における後天性PK欠損症に関連する貧血は、溶血性貧血である。
【0027】
「対象」及び「患者」という用語は、同義語であり、処置を必要とする哺乳動物、例えば、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギなど)及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)を意味する。反対が述べられない限り、対象は、処置を必要とするヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば、18歳以上)である。他の実施形態では、対象は、ヒトの子供(例えば、18歳未満)である。更に他の実施形態では、対象は、ヒト女性(成人又は子供)である。更に他の実施形態では、対象は、ヒト男性(成人又は子供)である。
【0028】
「投与する」、「投与すること」、又は「投与」という用語は、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物を、対象に、又は対象の中に、又は対象の上に、提供すること、移植すること、吸収させること、摂取させること、注射すること、吸入させること、又はその他の方法で導入することを指す。
【0029】
「処置」、「処置する」、及び「処置すること」という用語は、本明細書に記載されている1つ以上の疾患を逆転、緩和、発症の遅延、又は進行の阻害を指す。いくつかの実施形態では、処置は、1つ以上の疾患の徴候又は症状が発生した後に行われてもよい(すなわち、治療的処置)。他の実施形態では、処置は、疾患の徴候又は症状が存在しない状態で行われてもよい。例えば、処置は、症状が発現する前に(例えば、症状の病歴及び/又は病原体への曝露に照らして)、感受性のある対象に行うことができる(すなわち、予防的処置)。症状が解消した後、例えば、その再発を遅らせるか又は防止するために、処置を継続することもできる。ある特定の実施形態では、処置は、障害の少なくとも1つの症状の発症を一定期間遅らせることを含む。
【0030】
本明細書に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の「有効量」又は「治療有効量」という用語は、本明細書に記載の状態の処置において治療的利益を提供するのに十分な量の化合物又はその薬学的に許容される塩を指す。一態様では、有効量は、約0.01~約100mg/kg体重/日の提供される化合物又は薬学的に許容される塩であり、例えば、約0.1~約100mg/kg体重/日である。別の態様では、有効量は、約0.01~約2000mgの提供される化合物又はその薬学的に許容される塩であり、これは1日当たり1回又は2回投与され得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、値の範囲の列挙は、範囲に含まれる各別個の値、並びに範囲を定義する最高値及び最低値を個別に参照する簡略方法として機能することが意図され、反対の明示的な記載がない限り、各値は本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。例えば、XからYまでの値の範囲は、X及びYの両方、及びXとYとの間の全ての値を含む。
【0032】
本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な用語(例えば、「~など」)の使用は、本開示をよりよく示すことを意図しており、別段の主張がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書中の文言は、本開示の実施に不可欠な、任意の請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0033】
「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒト及び下等動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比に見合った塩を指す。薬学的に許容される塩は周知であり、例えば、Bergeらは、薬学的に許容される塩を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において詳細に記載している。本明細書に開示される化合物の薬学的に許容される塩としては、好適な無機及び有機酸に由来するものが挙げられる。薬学的に許容される酸付加塩の例は、アミノ基の塩であり、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸と形成されるか、又は有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、若しくはマロン酸と形成されるか、又はイオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成される。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ゲンチシン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルピオロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩 p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0034】
一態様では、第9の実施形態の一部として、対象に投与された化合物(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)は、構造式:
【化10】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩である。この化合物はまた、本明細書では、化学名2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン、又は単に化合物1としても呼ばれる。
【0035】
一態様では、第10の実施形態の一部として、対象に投与された化合物(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)は、構造式:
【化11】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩である。この化合物はまた、本明細書では、その化学名2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-4-メチル-6-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン、又は単に化合物2としても呼ばれる。
【0036】
一態様では、第11の実施形態の一部として、対象に投与された化合物(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)は、構造式:
【化12】
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩である。この化合物は、「ミタピバット」、「AG-348」、又はその化学名「N-(4-(4-(シクロプロピルメチル)ピペラジン-1-カルボニル)フェニル)キノリン-8-スルホンアミド」としても知られている。代替として、第11の実施形態の一部として、ミタピバット又はその薬学的に許容される塩を、結晶形態で(例えば、第1から第8の実施形態のいずれか1つにあるように)対象に投与する。別の代替案では、第11の実施形態の一部として、ミタピバット又はその薬学的に許容される塩を、非晶質形態として(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)対象に投与する。更なる代替の実施形態では、第11の実施形態の一部として、ミタピバット又はその薬学的に許容される塩を、固体形態の混合物(例えば、1つ以上の結晶形態の混合物又は1つ以上の結晶形態と非晶質形態との混合物)として(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)対象に投与する。
【0037】
一態様では、第12の実施形態の一部として、(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)対象に投与された化合物は、ミタピバットの薬学的に許容される塩である。代替として、第12の実施形態の一部として、(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)対象に投与された化合物は、ミタピバットの硫酸塩である。別の代替案では、第12の実施形態の一部として、(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)対象に投与された化合物は、ミタピバットのヘミ硫酸塩である。別の代替案では、第12の実施形態の一部として、(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)対象に投与された化合物は、ミタピバットの水和ヘミ硫酸塩である。別の代替案では、第12の実施形態の一部として、(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)対象に投与された化合物は、ミタピバット硫酸塩又は式Aを有する1-(シクロプロピルメチル)-4-(4-(キノリン-8-スルホンアミド)ベンゾイル)ピペラジン-1-イウムヘミスルフェートセスキ水和物としても知られる、ミタピバットのヘミ硫酸セスキ水和物塩である:
【化13】
式A。別の代替案では、第12の実施形態の一部として、(例えば、第1の実施形態~第8の実施形態のうちのいずれか1つにあるように)対象に投与された化合物は、ミタピバット三水和物又は1-(シクロプロピルメチル)-4-(4-(キノリン-8-スルホンアミド)ベンゾイル)ピペラジン-1-イウム硫酸塩三水和物とも呼ばれる(及びこれらに相当する)硫酸塩三水和物塩である:
【化14】
![](/Kouhou/img?c=P_P1&n=2024543345&FileName=2024543345000014.jpg&ImageFormatCategory=jpg)
式B。ミタピバットのヘミ硫酸セスキ水和物塩(すなわち、ミタピバット硫酸塩)は、結晶性、例えば、米国公開第2020/0277279号に開示されている形態Aであり得る。形態Aは、Cu Kα放射を使用する、2θ角度(±0.2°)での以下のX線粉末回折パターンのうちの1つ以上を特徴とする:9.9°、15.8°、及び22.6°;15.0°、17.1°、21.3°、及び21.9°;9.9°、15.0°、15.8°、17.1°、21.3°、21.9°、及び22.6°;9.9°、11.4°、15.0°、15.3°、15.8°、17.1°、17.7°、21.3°、21.9°、22.6°、及び23.5°;又は4.9°、9.9°、11.0°、11.4°、11.7°、12.3°、12.8°、13.6°、13.9°、14.2°、15.0°、15.3°、15.8°、17.1°、17.4°、17.7°、18.8°、19.1°、19.8°、21.3°、21.9°、22.6°、23.0°、23.2°、23.5°、23.8°、24.1°、24.5°、25.3°、25.6°、26.1°、27.1°、28.1°、及び29.8°。いくつかの実施形態では、形態Aは、2θ角度(±0.2°)9.9°、15.8°、及び22.6°でのX線粉末回折ピークを特徴とする。ある特定の実施形態では、形態Aは、2θ角度(±0.2°)9.9°、15.8°、及び22.6°でのX線粉末回折ピーク、並びに15.0°、17.1°、21.3°、及び21.9°から選択される2θ角度(±0.2°)での少なくとも1つの追加のX線粉末回折ピークを特徴とする。ある特定の実施形態では、形態Aは、2θ角度(±0.2°)9.9°、15.8°、及び22.6°でのX線粉末回折ピーク、並びに15.0°、17.1°、21.3°、及び21.9°から選択される2θ角度(±0.2°)での少なくとも2つの追加のX線粉末回折ピークを特徴とする。更に別の代替案では、形態Aは、2θ角度(±0.2°)9.9°、15.8°、及び22.6°でのX線粉末回折ピーク、並びに15.0°、17.1°、21.3°、及び21.9°から選択される2θ角度(±0.2°)での少なくとも3つの追加のX線粉末回折ピークを特徴とする。ある特定の実施形態では、形態Aは、2θ角度(±0.2°)9.9°、15.0°、15.8°、17.1°、21.3°、21.9°、及び22.6°でのX線粉末回折ピークを特徴とする。ある特定の実施形態では、形態Aは、2θ角度(±0.2°)9.9°、11.4°、15.0°、15.3°、15.8°、17.1°、17.7°、21.3°、21.9°、22.6°、及び23.5°でのX線粉末回折ピークを特徴とする。ある特定の実施形態では、形態Aは、2θ角度(±0.2°)4.9°、9.9°、11.0°、11.4°、11.7°、12.3°、12.8°、13.6°、13.9°、14.2°、15.0°、15.3°、15.8°、17.1°、17.4°、17.7°、18.8°、19.1°、19.8°、21.3°、21.9°、22.6°、23.0°、23.2°、23.5°、23.8°、24.1°、24.5°、25.3°、25.6°、26.1°、27.1°、28.1°、及び29.8°でのX線粉末回折ピークを特徴とする。更に別の代替案では、形態Aは、約159℃±5℃及び199℃±5℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフを特徴とする。更に別の代替案では、結晶形態Aは、約4.5±0.5%、最大180℃±2℃の重量損失を含む熱重量分析(TGA)サーモグラムを特徴とする。いくつかの実施形態では、ミタピバットのヘミ硫酸セスキ水和物塩は、1-(シクロプロピルメチル)-4-(4-(キノリン-8-スルホンアミド)ベンゾイル)ピペラジン-1-イウムヘミ硫酸セスキ水和物形態Aである。
【0038】
「非晶質」という用語は、非結晶状態又は形態で存在する固体を意味する。非晶質固体は、分子の無秩序な配置であり、したがって、区別可能な結晶格子又は単位細胞を有さず、したがって、定義可能な長距離秩序を有しない。固体の固体状態秩序は、当該技術分野で既知の標準的な技術によって、例えば、X線粉末回折(XRPD)又は示差走査熱量測定(DSC)によって決定され得る。非晶質固体も、例えば、偏光顕微鏡を使用した複屈折によって、結晶性固体から区別され得る。
【0039】
本明細書に記載される結晶形態についてのX線粉末回折パターンの2-シータ値は、機器ごとにわずかに変動する場合があり、また、温度変動、試料変位、及び内部標準の有無などの要因による試料調製の変動及びバッチ間変動に依存し得る。したがって、別途定義されない限り、本明細書に列挙されるXRPDパターン/割り当ては、絶対的なものとして解釈されるべきではなく、±0.2度変動することがある。この変動は、結晶形態の明確な識別を妨げることなく、上記の要因を説明することは当業者によく知られている。特に明記しない限り、本明細書で提供する2シータ値は、Cu Kα1放射線を使用して得られた。
【0040】
本明細書に記載の化合物又は薬学的に許容される塩、例えば、第1の実施形態~第12の実施形態のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩は、医薬組成物として製剤化され、投与されてもよい。医薬組成物は、薬理学の分野で知られている方法によって調製され得る。一態様では、医薬組成物は、顆粒又はミニ錠剤、カプセル剤、錠剤、エマルション、並びに水性懸濁液、分散液、及び溶液を含むが、これらに限定されない経口的に許容される剤形で経口投与される。
【0041】
一態様では、第13の実施形態の一部として、開示される化合物、薬学的に許容される塩、又は組成物(第1、第2、及び第4から第12の実施形態のうちのいずれか1つに記載される対象及び化合物を含む)によって処置される対象は、ヘモグロビン応答を経験する。
【0042】
本明細書で使用される場合、「ヘモグロビン応答」は、対象のベースラインHbレベル(すなわち、Hb濃度)からの増加を指し、対象のヘモグロビン応答は、本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物での処置中に又は本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物の投与後の期間にわたって、測定される。反対と明記されない限り、「処置中」又は「投与後」という用語は、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物と関連して使用される場合、進行中の処置又は投与を指す(すなわち、対象は、開示された化合物、薬学的に許容される塩、又はそれらの組成物で処置又は投与され続ける)。ヘモグロビン(Hb)レベル及びヘモグロビン濃度という用語は、本明細書で同義的に使用される。本明細書で使用される場合、「ベースライン」という用語は、処置前、又は本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、測定又は確立されるレベル又は濃度を指す。例えば、本明細書で使用されるとき、「ベースラインヘモグロビンレベル」という用語は、処置前、又は本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、測定又は確立される対象のヘモグロビン(Hb)レベルを指す。一態様では、「ヘモグロビン応答」は、対象のベースラインHbレベル(すなわち、Hb濃度)からの増加を指し、対象のヘモグロビン応答は、処置中の一定期間にわたって測定される。別の態様では、「ヘモグロビン応答」は、対象のベースラインHbレベル(すなわち、Hb濃度)からの増加を指し、対象のヘモグロビン応答は、投与後、例えば、1週間の処置、2週間の処置、3週間の処置、4週間の処置、3ヶ月の処置、6ヶ月の処置、又は1年以上の処置の期間にわたって測定される。
【0043】
一態様では、第14の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、少なくとも14週間、少なくとも16週間、少なくとも18週間、少なくとも20週間、少なくとも30週間、少なくとも40週間、又は少なくとも50週間の期間にわたって、ベースラインから増加する。一態様では、第14の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、少なくとも14週間、少なくとも16週間、少なくとも18週間、少なくとも20週間、少なくとも30週間、少なくとも40週間、又は少なくとも50週間の期間にわたって、ベースラインから増加する。代替として、第14の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、少なくとも14週間、少なくとも16週間、少なくとも18週間、又は少なくとも20週間の期間にわたって、ベースラインから増加する。別の代替案では、第14の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、1週から20週まで、1週から18週まで、1週から16週まで、4週から20週まで、4週から18週まで、4週から16週まで、6週から20週まで、6週から18週まで、6週から16週まで、8週から20週まで、8週から18週まで、8週から16週まで、10週から20週まで、10週から18週まで、又は10週から16週まで、ベースラインから増加する。別の代替案では、第14の実施形態の一部として、開示される化合物、又は薬学的に許容される塩若しくはその組成物による処置中に、(第1の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、8週から16週までベースラインから増加する。別の代替案では、第14の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、1週から20週まで、1週から18週まで、1週から16週まで、4週から20週まで、4週から18週まで、4週から16週まで、6週から20週まで、6週から18週まで、6週から16週まで、8週から20週まで、8週から18週まで、8週から16週まで、10週から20週まで、10週から18週まで、又は10週から16週までの2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、又は6つ以上の連続する時点でベースラインから増加する。別の代替案では、第14の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、8週から16週までの2つ以上の連続する時点でベースラインから増加する。別の代替案では、第14の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、ベースラインから1週間以上連続して、2週間以上連続して、3週間以上連続して、4週間以上連続して、5週間以上連続して、6週間以上連続して、7週間以上連続して、8週間以上連続して、9週間以上連続して、又は10週間以上連続して増加する。別の代替案では、第14の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、8週間以上連続してベースラインから増加する。
【0044】
一態様では、第15の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第14の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、少なくとも1.0g/dL改善される(例えば、ベースラインから1.0g/dL以上増加する)。代替として、第15の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第14の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、少なくとも1.5g/dL改善される(例えば、ベースラインから1.5g/dL以上増加する)。別の代替案では、第15の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第14の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、少なくとも2.0g/dL改善される(例えば、ベースラインから2.0g/dL以上増加する)。別の代替案では、第15の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置中に、(第1の実施形態~第14の実施形態のうちのいずれか1つを含む)処置される対象のヘモグロビンレベルは、2.0g/dLを超えて改善する(例えば、ベースラインから2.0g/dLを超えて増加する)。
【0045】
一態様では、第16の実施形態の一部として、開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置前に非輸血依存性(NTD)である対象として分類される。
【0046】
本明細書で使用される場合、非輸血依存性(NTD)及び「非輸血」という用語は、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物による処置前に定期的な輸血を必要としない対象を指す。一態様では、NTDは、第1の用量の開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物の投与前の16週間の間に3個未満の赤血球(RBC)単位を有し、開示される化合物の第1の用量、又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物の投与前の8週間の間に輸血がない対象を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、輸血依存性(TD)という用語は、定期的な輸血を必要とする対象を指す。
【0048】
一態様では、第17の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に輸血非依存になる。いくつかの態様では、第17の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中の一定期間、輸血非依存になる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「輸血非依存」又は「輸血非依存性」という用語は、本明細書で互換可能に使用され、一定期間の間、赤血球輸血を受けていない(すなわち、有していない)対象を指す(本明細書では「輸血フリー」とも呼ばれる)。いくつかの態様では、「輸血非依存」又は「輸血非依存性」という用語は、16週間連続した期間にわたって赤血球輸血を受けていない対象を指す。いくつかの態様では、16週間連続した期間にわたって赤血球輸血を受けていない対象は、輸血フリーと呼ばれる。他の態様では、「輸血非依存」又は「輸血非依存性」という用語は、8週間以上連続した期間にわたって赤血球輸血を受けていない対象を指す。いくつかの態様では、8週間以上連続した期間にわたって赤血球輸血を受けていない対象は、輸血フリーと呼ばれる。
【0050】
一態様では、第18の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態又は第17の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、高輸血負荷(HTB)を有するものとして分類される。代替として、第18の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態又は第17の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置前に高輸血負荷(HTB)を有するものとして分類される。別の代替案では、第18の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態又は第17の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、16週間にわたって少なくとも8個の赤血球(RBC)単位を受け、8週間の経過にわたって4回以上の輸血エピソードを有することを特徴とする、高輸血負荷(HTB)を有するものとして分類される。別の代替案では、第18の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態又は第17の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、対象が16週間にわたって少なくとも8個のRBC単位を受け、処置前の8週間の経過にわたって4回以上の輸血エピソードを有することを特徴とする、高輸血負荷(HTB)を有するものとして分類される。別の代替案では、第18の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態又は第17の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、対象が16週間の経過にわたって少なくとも8個のRBC単位を受け、処置前16週間の経過中8週間の期間にわたって少なくとも4個のRBC単位を受けることを特徴とする、高輸血負荷(HTB)を有するものとして分類される。
【0051】
一態様では、第19の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態又は第17の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、低輸血負荷(LTB)を有するものとして分類される。代替として、第19の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態又は第17の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置前に低輸血負荷(LTB)を有するものとして分類される。別の代替案では、第19の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態又は第17の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、対象が、処置前の8週間の経過にわたって最大3回の輸血エピソードを伴う、少なくとも2回の輸血エピソードにおいて、16週間にわたって3~7個のRBC単位を受けることを特徴とする、低輸血負荷(LTB)を有するものとして分類される。別の代替案では、第19の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第15の実施形態又は第17の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、対象が、処置中のある時点で、8週間の経過にわたって最大3回の輸血エピソードを伴う、少なくとも2回の輸血エピソードにおいて16週間にわたって3~7回のRBC単位を受けることを特徴とする、低輸血負荷(LTB)を有するものとして分類される。
【0052】
一態様では、第20の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第21の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に1週間以上連続して、2週間以上連続して、3週間以上連続して、4週間以上連続して、5週間以上連続して、6週間以上連続して、7週間以上連続して、8週間以上連続して、9週間以上連続して、又は10週間以上連続して、輸血非依存になる。代替として、第20の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第21の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に8週間以上連続して、輸血非依存になる。別の代替案では、第20の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第21の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に8週間以上連続して輸血非依存になり、対象は、処置前に低輸血負荷(LTB)を有するものとして分類される。
【0053】
一態様では、第21の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第20の実施形態までのうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に総輸血赤血球(RBC)単位のベースラインからの変化を経験する。一態様では、第21の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第20の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に、対象のベースラインの総輸血赤血球(RBC)単位と比較して、総輸血赤血球(RBC)単位の減少を経験する。
【0054】
一態様では、第22の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第21の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中の総輸血赤血球(RBC)単位の10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上の減少を特徴とする、総輸血赤血球(RBC)単位のベースラインからの変化を経験する。代替として、第22の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第21の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に、1週間以上連続した、2週間以上連続した、3週間以上連続した、4週間以上連続した、5週間以上連続した、6週間以上連続した、7週間以上連続した、8週間以上連続した、9週間以上連続した、又は10週間以上連続した期間にわたって、総輸血赤血球(RBC)単位の10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、又は80%以上の減少を特徴とする総輸血赤血球(RBC)単位のベースラインからの変化を経験する。別の代替案では、第22の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第21の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中の総輸血赤血球(RBC)単位の50%以上の減少を特徴とする、総輸血赤血球(RBC)単位のベースラインからの変化を経験する。別の代替案では、第22の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第21の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に、1週間以上連続した、2週間以上連続した、3週間以上連続した、4週間以上連続した、5週間以上連続した、6週間以上連続した、7週間以上連続した、8週間以上連続した、9週間以上連続した、又は10週間以上連続した期間にわたって、RBC単位の50%以上の減少を特徴とする、総輸血赤血球(RBC)単位におけるベースラインからの変化を経験する。別の代替案では、第22の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第21の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中の8週間以上連続した期間にわたって総輸血赤血球(RBC)単位の50%以上の減少を特徴とする、総輸血赤血球(RBC)単位のベースラインからの変化を経験する。別の代替案では、第22の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第21の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中の8週間以上連続した期間にわたって総輸血赤血球(RBC)単位の50%以上の減少を特徴とする、総輸血赤血球(RBC)単位のベースラインからの変化を経験し、対象は、処置前に高輸血負荷(HTB)を有するとして分類される。
【0055】
一態様では、第23の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第22の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に、対象のベースラインの2,3-DPG濃度と比較して、2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3-DPG)濃度の低下を経験する。
【0056】
一態様では、第24の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第23の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に(対象のベースラインATP濃度と比較して)アデノシン三リン酸(ATP)濃度の増加を経験する。代替として、第24の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第23の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に(対象のベースラインATP濃度と比較して)50%を超える、55%を超える、60%を超える、65%を超える、70%を超える、及び75%を超えるアデノシン三リン酸(ATP)濃度の増加を経験する。別の代替案では、第24の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第23の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、処置中に(対象のベースラインATP濃度と比較して)アデノシン三リン酸(ATP)濃度が68%、71%、又は74%増加する。別の代替案では、第24の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第23の実施形態のうちのいずれか1つを含む)によって処置される対象は、1日当たりの投与の10日後、20日後、30日後、40日後、50日後、60日後、又は65日後に、(対象のベースラインATP濃度と比較して)50%を超える、55%を超える、60%を超える、65%を超える、70%を超える、及び75%を超えるアデノシン三リン酸(ATP)濃度の増加を経験する。別の代替案では、第24の実施形態の一部として、開示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物(第1の実施形態~第23の実施形態のいずれかを含む)によって処置される対象は、(対象のベースラインATP濃度と比較して)1日当たりの投与の56日後に68%、1日当たりの投与の56日後に71%、又は1日の投与の56日後に74%のアデノシン三リン酸(ATP)濃度の増加を経験する。
【0057】
一態様では、第25の実施形態の一部として、本明細書に記載のMDS(第1の~第6の実施形態及び第10の~第24の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、MDSのための改訂国際予後スコアリングシステム(Revised International Prognostic Scoring System)(IPSS-R)によって特徴付けられる場合の低リスクMDSである。例えば、Greenberg PL,Tuechler H,Schanz J,et al.Revised International Prognostic Scoring System for myelodysplastic syndromes.Blood.2012;120:2454-2465を参照されたい。低リスクMDSは、例えば、1.5~3を超えるIPSS-Rスコアを含む。代替として、第25の実施形態の一部として、本明細書に記載のMDS(第1の~第6の実施形態及び第10の~第24の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、MDSのための改訂国際予後スコアリングシステム(IPSS-R)によって特徴付けられる場合の低リスクMDSである。非常に低リスクMDSは、例えば、1.5以下のIPSS-Rスコアを含む。別の代替案では、第25の実施形態の一部として、本明細書に記載のMDS(第1の~第6の実施形態及び第10の~第24の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、MDSのための改訂国際予後スコアリングシステム(IPSS-R)によって特徴付けられる場合の中等度リスクMDSである。中等度リスクMDSは、例えば、3~4.5を超えるIPSS-Rスコアを含む。別の代替案では、第25の実施形態の一部として、本明細書に記載されるMDS(第1の実施形態~第6の実施形態まで及び第10の実施形態~第24の実施形態までのうちのいずれか1つを含む)、用語「低リスクMDS」は、上述されるように、非常に低リスクMDS及び低リスクMDSを包含する。
【0058】
一態様では、第26の実施形態の一部として、本明細書に記載の対象(第1の実施形態~第25の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、男性である。代替として、第26の実施形態の一部として、本明細書に記載される対象(第1の実施形態~第25の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、女性である。代替として、第26の実施形態の一部として、本明細書に記載される対象(第1の実施形態~第25の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、成人男性である。代替として、第26の実施形態の一部として、本明細書に記載される対象(第1の実施形態~第25の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、成人女性である。別の代替案では、第26の実施形態の一部として、本明細書に記載される対象(第1の実施形態~第25の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、男児又は女児である。代替として、第26の実施形態の一部として、本明細書に記載される対象(第1の実施形態~第25の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、成人(すなわち、18歳以上)である。更に別の代替案では、第26の実施形態の一部として、本明細書に記載の対象(第1の実施形態~第25の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、子供(すなわち、18歳未満)である。
【0059】
一態様では、第27の実施形態の一部として、本明細書に記載の対象(第1の実施形態~第26の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、治療有効量の2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン、又はその薬学的に許容される塩を投与される。代替として、第27の実施形態の一部として、本明細書に記載の対象(第1の実施形態~第26の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、治療有効量の2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む組成物を投与される。
【0060】
一態様では、第28の実施形態の一部として、本明細書に開示される2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン(第1の実施形態~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)の治療有効量は、1日当たり2mg、1日当たり3mg、又は1日当たり5mgである。代替として、第28の実施形態の一部として、本明細書に開示される2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン(第1の実施形態~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)の治療有効量は、1日当たり1回(QD)投与される2mg、QD投与される3mg、又はQD投与される5mgである。別の代替案では、第28の実施形態の一部として、本明細書に開示される2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン)(第1の実施形態~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)の薬学的に許容される塩の治療有効量は、遊離塩基としての2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンの1日当たり2mg、1日当たり3mg、又は1日当たり5mgに相当する量である。別の代替案では、第28の実施形態の一部として、本明細書に開示される2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン(第1~27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)の薬学的に許容される塩の治療有効量は、遊離塩基としての2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンの1日当たり1回(QD)投与される2mg、QD投与される3mg、又はQD投与される5mgに相当する量である。別の代替案では、第28の実施形態の一部として、本明細書に開示される2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンの治療有効量(第1~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、0.5mg~10mg QDの範囲である。別の代替案では、第28の実施形態の一部として、本明細書に開示される2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン(第1の実施形態~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)の薬学的に許容される塩の治療有効量は、遊離塩基としての2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンの0.5mg~10mg QDの範囲の量に相当する量である。別の代替案では、第28の実施形態の一部として、本明細書に開示される2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン(第1の実施形態~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)の治療有効量は、0.5mg~10mgの1日当たり2回(BID)の範囲である。別の代替案では、第28の実施形態の一部として、本明細書に開示される2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン(第1の実施形態~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)の薬学的に許容される塩の治療有効量は、遊離塩基としての2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンのBIDの0.5mg~10mgの範囲に相当する量である。別の代替案では、第28の実施形態の一部として、本明細書に開示される化合物1の治療有効量(第1の実施形態~第27の実施形態までのうちのいずれか1つを含む)は、1日当たり0.25mg~15mgの範囲である。第28の実施形態の一部としての別の代替案では、本明細書に開示される化合物1の薬学的に許容される塩の治療有効量(第1の実施形態~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、遊離塩基として1日当たり0.25mg~15mgの範囲に相当する量である。別の代替案では、28番目の実施形態の一部として、治療有効量の、本明細書に開示される化合物1(第1の実施形態~27番目の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、0.25mg~2mgのQD若しくはBID、又は1.5mg~5.5mgのQD若しくはBID、又は4mg~6mgのQD若しくはBIDの範囲である。第28の実施形態の一部としての別の代替案では、本明細書に開示される化合物1の薬学的に許容される塩の治療有効量(第1の実施形態~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、遊離塩基としての0.25mg~2mgのQD若しくはBID又は1.5mg~5.5mgのQD若しくはBID又は4mg~6mgのQD若しくはBIDの範囲に相当する量である。別の代替案では、第28の実施形態の一部として、本明細書に開示される化合物1の治療有効量(第1の実施形態~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、1mg又は5mgのQD又はBIDである。第28の実施形態の一部としての別の代替案では、治療有効量の本明細書に開示される化合物1の薬学的に許容される塩(第1の実施形態~第27の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、遊離塩基としての1mg若しくは5mgのQD又はBIDに相当する量である。
【0061】
一態様では、第29の実施形態の一部として、本明細書に記載の対象(第1の実施形態~第28の実施形態のうちのいずれか1つを含む)は、少なくとも12週間、少なくとも14週間、少なくとも16週間、少なくとも24週間、少なくとも30週間、又は少なくとも6週間の期間、処置される(すなわち、本明細書に記載の化合物、薬学的に許容される塩、又は組成物を投与される)。代替として、第29の実施形態の一部として、本明細書に記載の対象(第1の実施形態~第28の実施形態のうちのいずれか1つを含む)を、最大12週間、最大14週間、最大16週間、最大24週間、最大30週間、最大36週間、最大50週間、最大100週間、又は最大160週間の期間、処置する(すなわち、本明細書に記載の化合物、薬学的に許容される塩、又は組成物を投与する)。別の代替案では、第29の実施形態の一部として、本明細書に記載の対象(第1の実施形態~第28の実施形態のうちのいずれか1つを含む)を16週間、24週間、又は156週間の期間、処置する(すなわち、本明細書に記載の化合物、薬学的に許容される塩、又は組成物を投与する)。別の代替案では、第29の実施形態の一部として、本明細書に記載の対象(第1の実施形態~第28の実施形態のうちのいずれか1つを含む)を無期限又は対象の生涯にわたって処置する(すなわち、本明細書に記載の化合物、薬学的に許容される塩、又は組成物を投与する)。
【0062】
一態様では、開示される状態を処置するための薬剤の製造のための(例えば、上記開示される実施形態のうちのいずれか1つにあるように)、開示されるピルビン酸キナーゼ活性化剤又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上の使用が提供される。別の態様では、開示される状態を処置するための(例えば、上記開示される実施形態のうちのいずれか1つにあるように)、開示されるピルビン酸キナーゼ活性化剤又はその薬学的に許容される塩若しくは組成物のうちの1つ以上の使用も提供される。
【0063】
更なる詳細は、以下の例示のセクションに記載され、本発明の一部として含まれる。
【実施例】
【0064】
化合物の調製
実施例1:2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンの調製(化合物1)。
2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンは、米国特許第11,040,036号の実施例8Aの化合物E8-4のための手順概要に従って調製することができ、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第11,040,036号の開示を考慮して、2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンの薬学的に許容される塩も調製することができる。
【0065】
2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-4-メチル-6-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンは、米国特許第11,040,036号の化合物E8-41の手順概要に従って調製することができ、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第11,040,036号の開示を考慮して、2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-4-メチル-6-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンの薬学的に許容される塩も調製することができる。
【0066】
ミタピバットは、WO2011/002817の化合物VIII-8について概説される手順に従って調製することができ、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。追加の方法、塩、及び結晶形態はまた、WO2016/201227に見出すことができ、塩及び結晶形態は、WO2019/104134及びWO2020/237047に見出すことができ、それらの各々は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
MDS関連貧血マウスモデル
MDS患者に匹敵する無効な赤血球生成の条件下での赤芽球集団の成熟に対するミタピバット及び化合物1の影響を決定するために、インビボマウス研究を行った。これを達成するために、無効な赤血球生成を有することが実証された2つの確立されたマウスモデルを使用した。これらの条件下でのミタピバット及び化合物1の影響を決定するために、病気のマウスから骨髄穿刺液を収集し、フローサイトメトリーを使用して、成熟の様々な段階で赤芽球の集団を評価した。ヘモグロビン(Hb)、赤血球(RBC)数、及び網状赤血球画分もまた、4週間ごとに、Sysmex XN-1000(商標)血液分析器上で全血中でモニタリングして、疾患負荷及び赤芽球成熟への影響が末梢で検出され得るかどうかを決定した。薬力学及び薬物動態分析もまた、化合物の適切な曝露及び標的関与を確認するために行った(データは図示しない)。
【0068】
実施例2:PolgD257Aマウスモデルにおけるミタピバットの研究
ミトコンドリア破壊は、MDS患者における貧血の発症に関連している(例えば、Chen et al.Blood.2009;114(19):4045-53を参照されたい)。ミトコンドリアは、アポトーシスの調節において重要な役割を果たしており、これは、MDSの不活性な造血において強調されているメカニズムである(Green et al.,Science 1998;281(5381):1309-1312、Kerbauy et al.,Exp Hematol.2007;35(11):1739-1746、Ahlqvist et al.Nature Communications.2015;6:6494)。B6.129S7(Cg)-Polgtm1Prol/J、又はPolgD257Aは、ミトコンドリアにおけるプルーフリーディング活性の障害をもたらし、mtDNA変異誘発の増加をもたらすDNAポリメラーゼγ遺伝子のN末端に変異を有するマウスモデルである(Jackson Laboratory #017341)。Chen et al.Blood.2009;114(19):4045-53及びAhlqvist et al.Nature Communications.2015;6:6494を参照されたい。これらの変異の蓄積は、MDS患者に見られる疾患のメカニズムに匹敵する、脱制御された造血及び上昇したアポトーシスをもたらす(Chen et al.Blood.2009;114(19):4045-53)。更に、エビデンスの数行は、MDSにおける後天性ピルビン酸欠損症を示し、PKRがこの適応症における潜在的な治療標的であり得ることを示唆している(Bovin P et al.British Journal of hematology.1975;18(3):175-87、Valentine WN et al.Blood.1973;41(6):857-75、Arnold H et al.Clinica Chimica Acta.1974;57:187-9、Lin G et al.Chin J Hematol.1997;18(7):350-3)。ここでは、PolgD257Aマウスモデルを使用して、貧血のこのメカニズムにおけるPK活性化剤であるミタピバットの治療上の利益を評価した。
【0069】
貧血表現型が血液学分析によって確立されると、雄及び雌のPolgD257Aマウスに、固形飼料中の200mg/kg/日のミタピバットを、7.5ヶ月齢から始まって18週間、適宜投与した。全血を尾静脈を介してEDTAチューブに採取し、製造業者のプロトコルに従ってSysmex XN-2000(商標)血液学システムを使用して分析した。ヘモグロビン、赤血球(RBC)、及び網状赤血球を、疾患の進行及び重症度を追跡するために、2~4週間ごとにモニタリングした。18週間のミタピバット処置後、未処置の変異体と比較して、RBC数が45%上昇し、ヘモグロビンレベルが2.4g/dL増加した。これに伴い、網状赤血球の頻度は、処置されたマウスで30%減少し、未処置のマウスよりも改善された赤血球生成を示唆した。
【0070】
図1A~D及び
図2A~Dを参照されたい(C57BL/6Jマウスを対照として使用した)。興味深いことに、雄の突然変異体は、ヘモグロビンの1~2g/dLの増加を伴う処置後6週間に始まる治療上の利益の兆候を示したが、雌の突然変異体は18週間後に応答した。ヘモグロビンの増加に見合ったのは、網状赤血球数の顕著な減少(約30%)であった。
図2Cを参照されたい。
【0071】
実施例3:Polg
D257Aマウスモデルにおけるミタピバット及び化合物1の研究
実施例2からのPolg
D257Aモデル(RRID:IMSR_JAX:017341)を使用して、第2の実験を行った。この実験において、20匹のマウス(1群当たり10匹の雄及び10匹の雌)に、実施例2に記載されるように、固形飼料中のミタピバット又は化合物1のいずれかを投与した。ミタピバット群では、化合物を200mg/kg/日で投与し、化合物1群では、化合物1を10mg/kg/日で投与した。処置は、マウスが4ヶ月齢であったときに開始され、8ヶ月間継続された(ローリング登録)。8ヶ月の処置後(12ヶ月齢で)、骨髄穿刺液の評価は、Suragani et al.,Nat Med 2014 Apr;20(4):408-14に概説された修正手順に従って、確立された赤血球生成マーカーを使用してフローサイトメトリーにより骨髄吸引物の評価が行われた。骨髄穿刺液をACK溶解緩衝液で3分間処理して、試料から赤血球を除去した。残りの細胞を洗浄し、手順の残りの部分を通してPBS+5% FBS中で維持した。フローサイトメトリーパネルには、生/死(Indo1)、B220(BV421)、CD5(BV421)、CD71(AF700)、及びTer119(PE)抗体が含まれた。分析に使用されたゲーティング戦略は以下のとおりであった:生/B220-CD5-/Ter119+。次に、Ter119+細胞を、文献(Suragani et al.,Nat Med 2014 Apr;20(4):408-14;
図6E)に概説されているように、CD71及びFSCを使用して細胞を集団にゲート開閉した。
図6A~Dに示される骨髄フローサイトメトリーデータに示されるように、化合物1による処置は、好塩基球性赤芽球(EryA)の減少と、後期好塩基球性及び多染性赤芽球(EryB)、並びに正染性及び網状赤血球(EryC)の増加とを相まってもたらし、化合物1による処置が、Polg
D257Aマウスの骨髄における赤芽球成熟を改善したことを示唆する。このエビデンスは、Polg
D257Aモデルにおける化合物1処置による赤血球生成の改善を示唆する。Polg
D257AマウスにおけるProE(原赤血球)集団の増加も観察されたが、(ビヒクル対照のPolg
D257Aマウスと比較して)化合物1処置を行ったProE集団には追加の影響はなかった。
図6D。ミタピバット処置アームがまだ完了していないため、ミタピバット処置Polg
D257Aマウスのフローサイトメトリーデータは利用できない。
【0072】
全血中のHb、RBC、及び網状赤血球の分析は、野生型対照マウスにおける13.9g/dLと比較して、ビヒクル対照PolgD257Aマウスが7.9g/dLの平均Hb濃度を有し、このモデルにおいて有意な疾患負荷が確立されたことを実証した。データは図示しない。処置の24週間(これまでの6ヶ月)後、ミタピバットは、PolgD257Aマウスにおいて、網状赤血球の変化なしに、Hb及びRBC数を7%増加させた。データは図示しない。化合物1による32週間の処置後、Hb、RBC数、又は網状赤血球画分の変化は観察されなかった。データは図示しない。
【0073】
PolgD257Aモデルはまた、ミトコンドリア機能障害に関連する疾患又は障害の処置における、開示されたPK活性化剤の使用を支持する。赤血球はミトコンドリアを欠くが、造血の過程で後期に保持される。したがって、赤血球生成及びヘモグロビン産生の増加に対するPK活性化剤の効果は、血液細胞前駆幹細胞におけるPK活性化の結果である。PolgD257Aモデルは、プルーフリーディング欠損ミトコンドリアDNAポリメラーゼを有し、造血幹細胞(HSC)分化に拡張効果を有する(Cell Stem Cell Volume 8,Issue 5,6 May 2011,Pages 499-510を参照されたい)。急速に蓄積するミトコンドリアDNA変異の結果は、前駆幹細胞分化及び下流前駆細胞の喪失を引き起こす。これらの欠損は、機能障害のミトコンドリアからのATP生成の減少に起因する可能性が高い。HSCは、分化中にPKR及びPKM2の両方を発現し、開示されたPK活性化剤は、両方のアイソザイムの機能を増強するため、糖分解経路からのATP生成の増加は、ミトコンドリア機能障害を有する細胞におけるATP生成の損失を補償する。PK活性化剤によって示されたHSC多系列幹細胞分化の改善は、PK活性化剤が、ミトコンドリア機能が損なわれる可能性のある患者における体細胞幹細胞分化をサポートする潜在的な機会を指摘する。
【0074】
実施例4:NHD13マウスモデル
NUP98-HOXD13(NHD13)トランスジェニックMDS関連マウスモデルも、開示された化合物の治療上の利益を評価するために使用される。例えば、Lin et al.,Blood 2005 Jul 1;106(1):287-95及びSuragani et al.,Nat Med 2014 Apr;20(4):408-14を参照されたい。4又は10ヶ月齢の雄及び雌のNHD13マウスに、固形飼料中の開示されている化合物を、適宜(例えば、ミタピバット又は化合物1)で毎日投与する。全血パネル及び赤血球前駆体解析は、2ヶ月の処置後に実施し、結果を解析する。
【0075】
開示されたPKR活性化剤が、MDS(例えば、非常に低リスク、低リスク及び中等度リスクMDS)に翻訳すると予想され得る無効な赤血球生成に対する効果に関するエビデンスは、無効な赤血球生成の特徴がサラセミアとMDSとの間で類似していること、PKR活性化剤は骨髄中の赤血球系細胞の生存及び分化を改善することができること、並びにPKR活性化剤は、糖解を活性化することを介してエネルギーATP、ヌクレオチド生合成、及び抗酸化ストレス応答を増加させることを介してRBC機能を改善することを含む。提案されたヒト臨床研究を
図3に示す。
【0076】
実施例5:NHD13マウスモデル(4ヶ月齢)におけるミタピバット又は化合物1の研究
実施例4を使用して、4ヶ月齢の20匹のNHD13マウス(1群当たり10匹の雄及び10匹の雌;RRID:IMSR_JAX:010505)を、ヘモグロビンレベルの一致した分布を使用して処置群に無作為化した。マウスに、ミタピバット又は化合物1のいずれかを、実施例3と同様の方法(固形飼料、適宜)で20週間投与した。ミタピバット又は化合物1のいずれかによる20週間の処置の後、NHD13マウスの骨髄穿刺液を上記のように収集し、フローサイトメトリーによって分析した。骨髄中の赤芽球集団の評価からの結果は、野生型からの赤芽球集団とNHD13ビヒクル対照マウスとの間にほとんど差を示さなかった。加えて、以前に報告されたような、ビヒクル対照NHD13マウスの生存における有意な低下は観察されなかった(Lin et al.,Neoplasia 2005 July;106(1))。総合すると、このデータは、NHD13モデルが、文献に記載されているよりも軽度の形態の疾患を生じさせ、処置効果の評価を複雑にしたことを示唆している。その結果、フローサイトメトリーデータ(
図7A~D)において、ミタピバット又は化合物1のいずれかの投与からの治療上の利益を検出することは困難であった。この軽度の疾患状態は、全血分析においても支持された。9ヶ月齢で、標準固形飼料(ビヒクル対照)上のNHD13マウスは、野生型対照よりも4g/dLのみ低い10.4g/dLの平均ヘモグロビンレベルを有した。NHD13マウスにおける処置の効果を評価したところ、ミタピバット及び化合物1の両方が、網状赤血球画分の有意な減少(20%)を示した。(
図8C)ミタピバット又は化合物1による処置も、網状赤血球数の有意な減少を示した(ミタピバットが15%、化合物1が25%)。データは図示しない。これらのデータは、処置によるNHD13マウスの赤血球生成の改善を示すが、しかしながら、ビヒクル対照による進行性貧血と比較して、Hb又はRBCカウントにおける最小応答が観察された(
図8A~B)。
【0077】
実施例6:NHD13マウスモデル(10ヶ月齢)におけるミタピバット又は化合物1の研究
10ヶ月齢のNHD13マウスでの第2の実験は、実施例5に記載されるように、疾患負荷がより進行し、骨髄においてフローサイトメトリーによって検出可能であることを期待して実施することもできる。この研究のために、NHD13マウスは、10ヶ月齢でのヘモグロビンレベルの一致した分布を使用して、処置群当たり20匹のマウス(10匹の雄及び10匹の雌)に無作為化することができる。実施例5に記載されるように、ミタピバット及び/又は化合物1のいずれかを、適宜与えられた固形飼料にて8週間投与することができる。ヘモグロビン、赤血球数、及び網状赤血球画分を、4週間ごとにモニタリングすることができる。骨髄フローサイトメトリー分析を含む末端収集は、12ヶ月齢で生じることができる。
【0078】
第2a/2b相、低リスク骨髄異形成症候群による貧血を有する対象における2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンの研究
低リスク骨髄異形成症候群(LR-MDS)に起因する貧血を有する対象における、2-((1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((6-アミノピリジン-2-イル)メチル)-4-メチル-4H-チアゾロ[5’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オン(本明細書では、化合物1と称される)の有効性及び安全性を評価する第2a/2b相多施設研究を実施する。
【0079】
研究設計
研究の第2a相部分は、LR-MDSにおける化合物1の概念実証を確立するために、化合物1の1用量レベル(5mgを1日当たり1回[QD])の単一アーム評価である。適格な対象は、16週間のコア期間の経口投与のために化合物1を受け入れる。16週間のコア期間を完了した対象は、延長期間中に最大156週間、同じ用量の化合物1を継続して受け入れる資格がある。第2a相研究設計の概要を
図4に示す。
【0080】
研究の第2b相部分は、プラセボと比較した化合物1(2mg QD、3mg QD、及び5mg QD)の有効性及び安全性の二重盲検無作為化プラセボ対照評価である。研究の第2b相部分の開始は、事前に指定されたGO/NO-GO基準に基づいて行われる。適格な対象は、2mg QDの化合物1(用量レベル1)、3mgの化合物1(用量レベル2)、5mg QDの化合物1(用量レベル3)、又はQD経口投与のためのマッチドプラセボを受けるために、1:1:1:1の比で無作為化される。24週間の二重盲検期間を完了した対象は、延長期間中最大156週間、化合物1を受け入れる資格がある。無作為化は、ベースライン輸血負荷(低輸血負荷[NTDである対象及びLTBを有する対象]、高輸血負荷(HTB))によって階層化される。第2b相研究設計の概要を
図5に示す。
【0081】
第2b相の延長期間中、全ての対象は化合物1を受け入れる。二重盲検期間中にプラセボを受け入れた対象は、2mg QDの化合物1(用量レベル1)、3mg QDの化合物1(用量レベル2)、又は5mg QDの化合物1(用量レベル3)を投与され、これらの複数用量の化合物1の長期的な安全性及び有効性の評価を可能にするために、1:1:1に無作為化される。二重盲検期間中に化合物1を受け入れた対象は、同じ用量の化合物1を継続して受け入れる資格がある。
【0082】
組み入れ基準
以下の全ての基準が適用される場合、対象は、研究の第2a相部分に含まれる資格がある。
1.インフォームドコンセントを提供した時点で少なくとも18歳。
2.スクリーニング期間中の参加者の骨髄生検/吸引物によって決定される、低リスク疾患(リスクスコア:3.5以下)及び5%未満の芽球のIPSS-R分類を満たす、世界保健機関(WHO)分類によるMDSの文書化された診断。
3.改訂されたIWG2018基準に従って、参加者の医療記録にある輸血履歴に基づいて、非輸血又はLTB:a.NTD:研究薬の第1の用量の投与前の16週間における3個未満のRBC単位、及び研究薬の第1の用量の投与前の8週間において輸血なし、又はb.LTB:研究薬の第1の用量の投与前の16週間の期間における3~7個のRBC単位、及び研究薬の第1の用量の投与前の8週間の期間において4個未満のRBC単位。
4.4週間のスクリーニング期間中、Hb濃度<11.0g/dL。
5.0、1、又は2のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータススコア。
6.鉄キレート療法を受ける場合、鉄キレート療法の用量は安定しており、研究薬の最初の用量の投与の56日以上前に開始されていなければならない。
7.妊娠可能性のある女性(WOCBP)及びWOCBPであるパートナーを持つ男性は、通常のライフスタイルの一部として妊娠につながる可能性のある性行為を控えるか、2種類の避妊方法を使用することに同意しなければならず、そのうちの1つは、インフォームドコンセントを提供した時点から、研究を通して、女性の研究薬の最後の投与後28日間、及び男性の研究薬の最後の投与後90日間、非常に有効であるとみなされなければならない。第2の形態の避妊は、許容されるバリア法であり得る。
8.研究関連の手順が実施される前に、参加者からの書面によるインフォームドコンセントが行われ、研究期間中、全ての研究手順を順守する意思がある。
【0083】
以下の全ての基準が適用される場合、対象は、研究の第2b相部分に含まれる資格がある。
1.インフォームドコンセントを提供した時点で少なくとも18歳。
2.スクリーニング期間中の参加者の骨髄生検/吸引物によって決定される、低リスク疾患(リスクスコア:3.5以下)及び5%未満の芽球のIPSS-R分類を満たす、WHO分類によるMDSの文書化された診断。
3.改訂されたIWG2018基準に従って、参加者の医療記録にある輸血履歴に基づいて、非輸血、LTBを有するか、HTBを有する:a.NTD:無作為化前の16週間における3個未満のRBC単位、及び無作為化前の8週間において輸血なし、又はb.LTB:無作為化前の16週間における3~7個のRBC単位、及び無作為化前の8週間における4個未満のRBC単位、又はc.HTB:無作為化前の16週間における8個以上のRBC単位、及び無作為化前の8週間における4個以上のRBC単位。
4.4週間のスクリーニング期間中のHb濃度<11.0g/dL。
5.赤血球生成刺激剤(ESA)(例えば、エリスロポエチン[EPO]、EPO+顆粒球コロニー刺激因子[G-CSF])及び/又はルスパテルセプト(luspatercept)を含む、最大2つの以前の治療。
6.ECOGパフォーマンスステータススコアは、0、1、又は2である。
7.鉄キレート療法を受ける場合、鉄キレート療法の用量は安定しており、無作為化の56日以上前に開始されていなければならない。
8.WOCBP及びWOCBPであるパートナーを持つ男性は、通常のライフスタイルの一部として妊娠につながる可能性のある性行為を控えるか、2種類の避妊方法を使用することに同意しなければならず、そのうちの1つは、インフォームドコンセントを提供した時点から、研究を通して、女性の研究薬の最後の投与後28日間、及び男性の研究薬の最後の投与後90日間、非常に有効であるとみなされなければならない。第2の形態の避妊は、許容されるバリア法であり得る。
9.研究関連の手順が実施される前に、参加者からの書面によるインフォームドコンセントが行われ、研究期間中、全ての研究手順を順守する意思がある
【0084】
除外基準
以下の基準のうちのいずれかが当てはまる場合、対象は研究の第2a相部分から除外される。
1.急性骨髄性白血病(AML)の既知の病歴。
2.化学傷害又は化学療法による処置及び/又は他の疾患のための放射線療法の結果として生じたことが知られているMDSとして定義される、二次性MDS。
3.ピルビン酸キナーゼ活性化剤への事前曝露、高リスクMDS(低メチル化剤[HMA]、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ[IDH]阻害剤、又は同種若しくは自己幹細胞移植)、及び/又は疾患修飾剤(例えば、レナリドマイドなどの免疫調節薬)のために投与される処置。参加者が、研究薬の第1の用量の投与の8週間以上前に疾患修飾剤による1週間以下の処置を受けた場合、治験責任医師の裁量により、それらを除外しないことがある。
4.現在、ルスパテルセプト、EPO、又はG-CSFによる処置を受けている。EPO又はG-CSFによる処置は、研究薬の初回投与前に28日以上中止していなければならず、ルスパテルセプトによる処置は、研究薬の初回投与前に65日以上中止していなければならない。
5.以下を含むが、これらに限定されない、インフォームドコンセントを提供する前の6ヶ月以内の活動性及び/又は制御されていない心臓又は肺疾患の病歴:
a.ニューヨーク心臓協会クラスIII又はIV心不全、又は臨床的に有意な不整脈
b.心筋梗塞、不安定狭心症、又は不安定高血圧、高リスク血栓症、出血性、塞栓性、又は血栓性脳卒中、深部静脈血栓症、又は肺又は動脈塞栓症
c.右又は左バンドル分岐ブロックを除いて、女性対象では470ミリ秒以上、男性対象では450ミリ秒以上のFridericiaの方法を使用する心拍数補正QT間隔
d.重度の低酸素症、右側心不全の証拠、及び50%を超える放射線肺線維症で定義される重度の肺線維症
e.低酸素症、右側の心不全、及び酸素に関連する重篤な症状によって定義される重度の肺高血圧
6.以下によって定義される肝胆道障害の病歴:
a.血清AST>2.5×正常上限(ULN)(溶血及び/又は肝臓の鉄沈着による場合を除く)及びALT>2.5×ULN(肝臓の鉄沈着による場合を除く)
b.上昇が、臨床的に症状のある胆管結石症、胆嚢炎、胆道閉塞、又は肝細胞疾患に関連している場合に、血清ビリルビン>ULN
7.45mL/分未満の推定糸球体濾過速度(eGFR)によって定義されるような、腎機能障害。
8.インフォームドコンセントの提供時に全身抗菌療法を必要とする活動性感染症。スクリーニング期間中に抗菌療法が必要な場合、抗菌療法の投与中はスクリーニング手順を実行すべきではなく、最終用量の抗菌療法は、研究薬の最初の用量の投与の7日以上前に投与する必要がある。
9.研究薬の第1の用量の投与前の12週間以内の大手術。対象は、研究薬の第1の用量の投与前に、いずれの以前の手術からも完全に回復していなければならない。
10.インサイツの上皮内非黒色腫性皮膚がん、インサイツの上皮内子宮頸がん、又はインサイツの上皮内乳がんを除く、任意の悪性腫瘍の病歴。対象は、インフォームドコンセントを提供する前に、活動性疾患を有していないか、又は5年以下の抗がん処置を受けていなければならない。
11.活性HCV感染のエビデンスを有するC型肝炎ウイルス(HCV)抗体(Ab)の陽性試験、又はB型肝炎表面抗原(HBsAg)の陽性試験。
12.HIV-1 Ab又はHIV-2 Abの陽性試験。
13.絶対好中球数(ANC)<500/μL(0.5×109/L)。
14.スクリーニング前の28日以内に血小板輸血なしで評価された血小板数≦75,000/μL(75×109/L)。
15.非空腹時トリグリセリド濃度>500mg/dL。
16.研究薬の第1の用量の投与前に、5日以上、又は5個の半減期(いずれか長いほう)に相当する時間枠で中止していないP-糖タンパク質(P-gp)の阻害剤を受け入れること。
17.治験の処置又はデバイスを含む任意の他の臨床研究における、現在の登録又は過去の参加(研究薬の第1の用量の投与前の治験研究薬の4週間以内又は5つの半減期に相当する時間枠内、又はいずれか長いほう)。
18.化合物1又はその賦形剤(ケイ化微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びOpadry(登録商標)IIブルーフィルムコート[ポリビニルアルコール、二酸化チタン、マクロゴール/ポリエチレングリコール、タルク、FD&Cブルー#2/インディゴカルミンアルミニウムレーキ/E132])に対する既知のアレルギー。
19.妊娠中又は授乳中。
20.治験責任医師の見解において、臨床研究への参加に許容できないリスクを与える可能性がある、及び/又は臨床研究データの解釈を混乱させる可能性のある、医学的、血液学的、心理学的、若しくは行動的状態、又は以前若しくは現在の治療。
【0085】
以下の基準のうちのいずれかが当てはまる場合、対象は研究の第2b相部分から除外される。
1.AMLの既知の病歴。
2.化学傷害又は化学療法による処置及び/又は他の疾患のための放射線療法の結果として生じたことが知られているMDSとして定義される、二次性MDS。
3.本研究の第2a相部分における化合物1への曝露、高リスクMDS(HMA、IDH阻害剤、又は同種若しくは自己幹細胞移植)のために投与される処置、及び/又は疾患修飾剤(例えば、レナリドマイドなどの免疫調節薬)を含む、ピルビン酸キナーゼ活性化剤への事前曝露。参加者が無作為化の8週間以上前に疾患修飾剤による1週間以下の処置を受けた場合、治験責任医師の裁量により、それらを除外しないことがある。
4.現在、ルスパテルセプト、EPO、又はG-CSFによる処置を受けている。EPO又はG-CSFによる処置は、研究薬の初回投与前に28日以上中止されていなければならず、ルスパテルセプトによる処置は、無作為化前に65日以上中止されていなければならない。
5.以下を含むが、これらに限定されない、インフォームドコンセントを提供する前の6ヶ月以内の活動性及び/又は制御されていない心臓又は肺疾患の病歴:
a.ニューヨーク心臓協会クラスIII又はIV心不全、又は臨床的に有意な不整脈
b.心筋梗塞、不安定狭心症、又は不安定高血圧、高リスク血栓症、出血性、塞栓性、又は血栓性脳卒中、深部静脈血栓症、又は肺又は動脈塞栓症
c.右又は左バンドル分岐ブロックを除いて、女性対象では470ミリ秒以上、男性対象では450ミリ秒以上のFridericiaの方法を使用する心拍数補正QT間隔
d.重度の低酸素症、右側心不全の証拠、及び50%を超える放射線肺線維症で定義される重度の肺線維症
e.低酸素症、右側の心不全、及び酸素に関連する重篤な症状によって定義される重度の肺高血圧
6.以下によって定義される肝胆道障害の病歴:
a.血清AST>2.5×ULN(溶血及び/又は肝臓の鉄沈着による場合を除く)及びALT>2.5×ULN(肝臓の鉄沈着による場合を除く)
b.上昇が、臨床的に症状のある胆管結石症、胆嚢炎、胆道閉塞、又は肝細胞疾患に関連している場合に、血清ビリルビン>ULN
7.45mL/分未満のeGFRによって定義されるような、腎機能障害
8.インフォームドコンセントの提供時に全身抗菌療法を必要とする活動性感染症。スクリーニング期間中に抗菌療法が必要な場合、抗菌療法の投与中はスクリーニング手順を実行すべきではなく、最終用量の抗菌療法は、無作為化の7日以上前に投与する必要がある。
9.無作為化前12週間以内の大手術。対象は、無作為化の前に、以前の手術から完全に回復していなければならない。
10.インサイツの上皮内非黒色腫性皮膚がん、インサイツの上皮内子宮頸がん、又はインサイツの上皮内乳がんを除く、任意の悪性腫瘍の病歴。対象は、インフォームドコンセントを提供する前に、活動性疾患を有していないか、又は5年以下の抗がん処置を受けていなければならない。
11.活性HCV感染のエビデンスを有するHCV Abの陽性試験、又はHBsAgの陽性試験。
12.HIV-1 Ab又はHIV-2 Abの陽性試験。
13.ANC<500/μL(0.5×109/L)。
14.スクリーニング前の28日以内に血小板輸血なしで評価された血小板数<50,000/μL(50×109/L)。
15.非空腹時トリグリセリド濃度>500mg/dL。
16.無作為化前に5日以上又は5つの半減期(いずれか長いほう)に相当する時間枠で中止していないP-gpの阻害剤を受け入れること。
17.治験の処置又はデバイスを含む任意の他の臨床研究における、現在の登録又は過去の参加(無作為化前の研究薬の4週間以内又は5つの半減期に相当する時間枠内、又はいずれか長いほう)。
18.プラセボ(ケイ化微結晶セルロース、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、マンニトール、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及びOpadry(登録商標)IIブルーフィルムコート[ポリビニルアルコール、ヒプロメロース、二酸化チタン、ラクトース一水和物、マクロゴール/ポリエチレングリコール、トリアセチン、タルク、FD&Cブルー#2/インディゴカルミンアルミニウムレーキ/E132])を含む、化合物1又はその賦形剤に対する既知のアレルギー。
19.妊娠中又は授乳中。
20.治験責任医師の見解において、臨床研究への参加に許容できないリスクを与える可能性がある、及び/又は臨床研究データの解釈を混乱させる可能性のある、医学的、血液学的、心理学的、若しくは行動的状態、又は以前若しくは現在の治療。
【0086】
主要評価項目第2a相
ヘモグロビン応答
ヘモグロビン応答は、8週から16週までの平均Hb濃度のベースラインからの1.5-g/dL以上の増加として定義される。Hb応答(Hb応答率)を達成した対象の割合を要約し、Clopper-Pearson法を用いた両側95%の正確CIを計算する。RBC輸血後14日以内に評価されたヘモグロビン濃度は、主要評価項目の分析から除外される。この除外が適用されると、8週から16週までのいかなるHb濃度評価も有しない対象は、非応答者とみなされる。
【0087】
輸血非依存性
輸血非依存性は、コア期間中に8週間以上連続して無輸血であると定義される(LTBを有する対象のみ)。TI(TI率)を達成した対象の割合を要約し、Clopper-Pearson法を用いた両側95%正確CIを計算する。
【0088】
副次的評価項目第2a相
第2a相のための副次的評価項目としては、以下が含まれる。
●コア期間中のAE、SAE、AEによる中止、及び検査室異常。
●8週から16週までの平均Hb濃度のベースラインからの1.0g/dL以上の増加として定義される、Hb1.0+応答。
●コア期間中のHb濃度のベースラインからの変化。
●8週から16週までの2つ以上の連続する時点でのHb濃度のベースラインからの1.5-g/dL以上の増加。
●コア期間中の総輸血赤血球(RBC)単位のベースラインからの変化。
●コア期間中のベースラインと比較して8週間以上連続する間、総輸血RBC単位の50%以上の低下。
●コア期間中の化合物1の血漿濃度及び薬物動態パラメータ。
●コア期間中の2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3-DPG)及びアデノシン三リン酸(ATP)を含む薬力学パラメータの全血濃度。
【0089】
探索的評価項目第2a相
第2a相のための探索的評価項目としては、以下を含む。
●コア期間中のヘプシジン、エリスロフェロン、可溶性トランスフェリン受容体、及び成長分化因子11(GDF11)を含む探索的バイオマーカーのベースラインからの変化。
●コア期間中の鉄、血清フェリチン、総鉄結合能、及びトランスフェリン飽和度のベースラインからの変化。
●コア期間中の絶対及びパーセント網状赤血球、並びにエリスロポエチンを含む、赤血球生成のマーカーのベースラインからの変化。
●コア期間中の赤血球前駆体を含む骨髄由来バイオマーカーのベースラインからの変化。
●コア期間中の間接ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ、及びハプトグロビンを含む溶血のマーカーのベースラインからの変化。
●コア期間中のPKR活性のベースラインからの変化。
●以下における延長期間中のベースラインからの変化:
-総輸血RBC単位(LTBを有する対象のみ)
-Hb濃度
-鉄代謝のマーカー
-赤血球生成及び溶血のマーカー
-赤血球前駆体を含む骨髄由来バイオマーカー
-探索的バイオマーカー
●延長期間中のAE、SAE、AEによる中止、及び検査室異常。
【0090】
主要評価項目第2b相
第2b相のための主要評価項目は、mHI-E応答であり、以下のように定義される:1)二重盲検期間中に8週間以上連続してHb濃度がベースラインから1.5-g/dL以上増加する(NTDである対象)、2)二重盲検期間中に8週間以上連続して無輸血と定義される輸血非依存性(LTBのみを有する対象)、及び3)二重盲検期間中に8週間以上連続して総輸血RBC単位がベースラインと比較して50%以上減少する(HTBのみを有する対象)。RBC輸血後14日以内に評価されたヘモグロビン濃度は、主要評価項目の分析から除外される。この除外が適用されると、NTDである対象及びLTBを有する対象は、対象が、第24週までに8週間以上間隔を置いて少なくとも2回のHb濃度評価を有しない場合、非応答者とみなされる。
【0091】
副次的評価項目第2b相
第2b相のための副次的評価項目としては、以下が含まれる。
●二重盲検期間中のAE、SAE、AEによる中止、及び検査室異常。
●二重盲検期間中のHb濃度のベースラインからの変化。
●8週から24週までの総輸血RBC単位のベースラインからの変化。
●二重盲検期間中に8週間以上連続して無輸血と定義される、輸血非依存性。
●二重盲検期間中の最初のmHI-E応答までの時間。
●二重盲検期間中のmHI-E応答を達成した対象のmHI-E応答の最大持続時間。
●二重盲検期間中の化合物1の血漿濃度及び薬物動態パラメータ。
●二重盲検期間中の2,3-DPG及びATPを含む薬力学パラメータの全血濃度。
●二重盲検期間中の臨床活性及び安全性の指標である関連する薬力学パラメータと評価項目との間の曝露反応(又は薬物動態/薬力学)関係。
【0092】
探索的評価項目第2b相
第2b相のための探索的評価項目としては、以下が含まれる。
●二重盲検期間中のRBC輸血の頻度のベースラインからの変化(LTB及びHTBを有する対象のみ)
●二重盲検期間中の最初の輸血までの時間(NTDのみの対象)
●二重盲検期間中のヘプシジン、エリスロフェロン、可溶性トランスフェリン受容体、及びGDF11を含む探索的バイオマーカーのベースラインからの変化
●二重盲検期間中の鉄、血清フェリチン、総鉄結合能、及びトランスフェリン飽和度のベースラインからの変化
●二重盲検期間中の絶対及びパーセント網状赤血球、並びにエリスロポエチンを含む、赤血球生成のマーカーのベースラインからの変化
●二重盲検期間中の赤血球前駆体を含む骨髄由来バイオマーカーのベースラインからの変化
●二重盲検期間中の間接ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ、及びハプトグロビンを含む溶血のマーカーのベースラインからの変化
●二重盲検期間中のがん治療機能評価質問票(FACT-An)の貧血サブスケールにおけるベースラインからの二重盲検期間中のPKR活性のベースラインからの変化
●二重盲検期間中の骨髄異形成スケールにおける生活の質(QUALMS)及びQUALMS身体的負担(QUALMS-P)サブスケールにおけるベースラインからの変化
●重症度の患者の全体的な印象(PGIS)-二重盲検期間中のベースラインと比較して、少なくとも1つのカテゴリーによる貧血の症状、又はベースライン時に貧血の症状がないか軽度の場合は「変化なし」
●変化の患者全体の印象(PGIC)-二重盲検期間中の貧血の症状の改善、又はPGISベースラインスコアに基づいてベースラインで貧血の症状がないか軽度の場合は「変化なし」
●二重盲検期間中の患者報告転帰測定情報システム(PROMIS)身体機能4aアンケートのベースラインからの変化
●以下における延長期間中のベースラインからの変化:
-総輸血RBC単位(LTB及びHTBを有する対象のみ)
-RBC輸血の頻度(LTB及びHTBを有する対象のみ)
-Hb濃度
-鉄代謝のマーカー
-赤血球生成及び溶血のマーカー
-赤血球前駆体を含む骨髄由来バイオマーカー
-探索的バイオマーカー
●延長期間中のAE、SAE、AEによる中止、及び検査室異常
【0093】
用量の変更
過剰Hb応答は、RBC輸血なしで、ULN(性別による)超であるHb濃度の増加として定義される。過剰なHb応答の場合、4週間以上のRBC輸血なしで、研究薬を中止しなければならない。
【0094】
血小板数の急激な減少(例えば、ベースラインから50%以上の減少)が観察された場合、治験責任医師は血小板数を毎週モニタリングし、臨床的に適応がある場合は最大28日間研究薬を中断する必要がある。2回目の発生の場合、又はグレード4の血小板数が減少した場合は、研究薬を中止する。
【0095】
いくつかの実施形態が記載されたが、本開示の範囲は、例によって表された特定の実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきである。本願全体にわたって引用される、全ての参考文献(文献の参照、発行された特許、公開特許出願、及び同時係属特許出願を含む)は、参照によりそれらの全ての内容が明示的に本明細書に組み込まれる。別途定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、当業者に一般的に知られる意味と一致する。
【国際調査報告】