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特表2024-543356モデル予測制御基盤水素充填システム、方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】モデル予測制御基盤水素充填システム、方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20241114BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20241114BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20241114BHJP
   H01M 8/04992 20160101ALI20241114BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241114BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20241114BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20241114BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20241114BHJP
   G05B 13/02 20060101ALI20241114BHJP
   G05B 13/04 20060101ALI20241114BHJP
   B60L 50/70 20190101ALN20241114BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
F17C13/02 301Z
H01M8/00 Z
H01M8/04992
H01M8/04 Z
H01M8/04 J
H01M8/0432
H01M8/0438
H01M8/04746
G05B13/02 A
G05B13/04
B60L50/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527121
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 KR2022017176
(87)【国際公開番号】W WO2023080689
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0149960
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0149975
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512297583
【氏名又は名称】ヒョンダイ モーター カンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】512297594
【氏名又は名称】キア コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】524169869
【氏名又は名称】インダストリアル アカデミック コーペレーション ファウンデーション オブ ホソ ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョル ウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヨン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ホン チャン
【テーマコード(参考)】
3E172
5H004
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AB01
3E172BA01
3E172BD03
3E172EA22
3E172EB02
5H004GA02
5H004GB12
5H004HA01
5H004HA03
5H004HB01
5H004HB03
5H004KC24
5H004KD31
5H125AA01
5H125AC07
5H125BD12
5H125EE32
5H125FF08
5H127AB04
5H127AC02
5H127BA02
5H127BA22
5H127DB82
5H127DC82
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、安全に水素燃料を充填/供給しながらも水素充填/供給過程の効率を向上させ、水素充填/供給過程の速度及びリアルタイム性を改善することである。
【解決手段】本発明の水素燃料モビリティのための水素充填(hydrogen fueling)方法は、モデル予測制御基盤の水素充填方法であって、現在状態の測定値を獲得する段階、現在状態の測定値に基づいたモデル予測制御技法を利用して次の状態値を予測したり獲得したりする段階、及び現在状態の測定値及び次の状態値間の比較結果に基づいて水素充填のための制御命令を生成する段階を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素燃料モビリティのための水素充填(hydrogen fueling)方法であって、
現在状態の測定値を獲得する段階、
前記現在状態の測定値に基づいたモデル予測制御技法を利用して次の状態値を予測したり獲得したりする段階、及び
前記現在状態の測定値及び前記次の状態値間の比較結果に基づいて水素充填のための制御命令を生成する段階、を含むことを特徴とするモデル予測制御基盤水素充填方法。
【請求項2】
前記現在状態の測定値及び前記次の状態値が制約条件を充足するかを評価する段階、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のモデル予測制御基盤水素充填方法。
【請求項3】
前記制約条件は、水素燃料モビリティの圧縮水素貯蔵システム(CHSS)の温度及び圧力それぞれが限界温度及び限界圧力を超過しないことを特徴とする請求項2に記載のモデル予測制御基盤水素充填方法。
【請求項4】
前記制御命令を生成する段階は、
前記水素充填のための圧力増加率(PRR、Pressure ramp rate)に対する制御命令を生成する段階、を含むことを特徴とする請求項1に記載のモデル予測制御基盤水素充填方法。
【請求項5】
前記次の状態値を予測したり獲得したりする段階は、
モデルによってプレディクションホライズンを形成する複数個の前記次の状態値を予測する段階、を含むことを特徴とする請求項1に記載のモデル予測制御基盤水素充填方法。
【請求項6】
前記制御命令を生成する段階は、
前記複数個の前記次の状態値と設定点(Set Point)間の比較結果に基づいて未来応答が前記設定点に到達する過程が最適化されるように前記プレディクションホライズンに対応するコントロールホライズンを形成する複数個の前記制御命令を生成する段階、を含むことを特徴とする請求項5に記載のモデル予測制御基盤水素充填方法。
【請求項7】
前記次の状態値を予測したり獲得したりする段階及び前記制御命令を生成する段階で、
モデル予測制御技法によって未来応答が設定点(Set Point)に到達する過程が最適化されるように前記複数個の前記次の状態値を含む前記プレディクションホライズンに対応するコントロールホライズンを形成する複数個の前記制御命令が獲得されることを特徴とする請求項5に記載のモデル予測制御基盤水素充填方法。
【請求項8】
水素燃料モビリティのための水素充填(hydrogen fueling)方法であって、
現在状態の測定値を獲得する段階、
前記現在状態の測定値を入力とする人工ニューラルネットワークの出力に基づいて水素充填のための充填制御命令を生成する段階、
前記充填制御命令に基づいて次の状態値を獲得する段階、及び
前記充填制御命令の実行による応答が制約条件を充足するかを評価する段階、を含むことを特徴とする人工ニューラルネットワーク基盤水素充填方法。
【請求項9】
前記制約条件は、水素燃料モビリティの圧縮水素貯蔵システム(CHSS)の温度及び圧力それぞれが限界温度及び限界圧力を超過しないことであることを特徴とする請求項8に記載の人工ニューラルネットワーク基盤水素充填方法。
【請求項10】
前記充填制御命令を生成する段階は、
前記水素充填のための圧力増加率(PRR、Pressure ramp rate)に対する制御命令を生成する段階、を含むことを特徴とする請求項8に記載の人工ニューラルネットワーク基盤水素充填方法。
【請求項11】
前記充填制御命令を生成する段階では、
前記現在状態の測定値以後の未来応答それぞれがいずれも前記制約条件を充足しつつ、設定点(Set Point)に到達するための前記充填制御命令を生成する機能を学習した前記人工ニューラルネットワークの出力に基づいて前記充填制御命令が生成されることを特徴とする請求項8に記載の人工ニューラルネットワーク基盤水素充填方法。
【請求項12】
前記充填制御命令を生成する段階では、
充填状態に対する費用関数を最小化する複数個の前記次の状態値を予測する機能を学習した前記人工ニューラルネットワークの出力に基づいて前記複数個の前記次の状態値に対応する複数個の前記制御命令が生成されることを特徴とする請求項8に記載の人工ニューラルネットワーク基盤水素充填方法。
【請求項13】
水素燃料モビリティのための水素充填(hydrogen fueling)制御装置であって、
プロセッサ(processor)、及び
少なくとも一つ以上の命令を保存するメモリ(memory)、を含み、
前記プロセッサは前記少なくとも一つ以上の命令を実行することによって:
現在状態の測定値を獲得し、
前記現在状態の測定値に基づいたモデル予測制御技法及び前記現在状態の測定値を入力とする人工ニューラルネットワークの出力のうち少なくとも一つ以上に基づいて水素充填のための充填制御命令及び前記充填制御命令に対応する次の状態値を獲得することを特徴とする水素充填制御装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記充填制御命令の実行による応答それぞれが制約条件を充足するかを評価することを特徴とする請求項13に記載の水素充填制御装置。
【請求項15】
前記制約条件は、水素燃料モビリティの圧縮水素貯蔵システム(CHSS)の温度及び圧力それぞれが限界温度及び限界圧力を超過しないことを特徴とする請求項14に記載の水素充填制御装置。
【請求項16】
前記制御命令は、
前記水素充填のための圧力増加率(PRR、Pressure ramp rate)に対する制御命令を含むことを特徴とする請求項13に記載の水素充填制御装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、
モデル予測制御技法によってプレディクションホライズンを形成する複数個の前記次の状態値を予測することを特徴とする請求項13に記載の水素充填制御装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、
前記複数個の前記次の状態値と設定点(Set Point)間の比較結果に基づいて未来応答が前記設定点に到達する過程が最適化されるように前記プレディクションホライズンに対応するコントロールホライズンを形成する複数個の前記制御命令を生成することを特徴とする請求項17に記載の水素充填制御装置。
【請求項19】
前記プロセッサは、
前記複数個の前記次の状態値それぞれが制約条件を充足するかを評価することを特徴とする請求項17に記載の水素充填制御装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、
モデル予測制御技法によって未来応答が設定点(Set Point)に到達する過程が最適化されるように前記複数個の前記次の状態値を含む前記プレディクションホライズンに対応するコントロールホライズンを形成する複数個の前記制御命令を獲得することを特徴とする請求項17に記載の水素充填制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素燃料モビリティ(hydrogen fueled mobility)の水素充填(Fueling)/供給のための制御技術に係り、さらに詳細には、水素充填/供給の効率を高め充填/供給の速度及びリアルタイム性を高める水素充填プロセス、そのプロセスのための制御技法、及びその制御技法のためのプロトコルに関する。
【背景技術】
【0002】
水素自動車、水素電気自動車又は燃料電池自動車(FCEV、Fuel Cell Electric Vehicle)は、車両に貯蔵された高圧水素と大気中の空気が会って生成された電気エネルギーで動く無公害自動車を意味する。
水素電気自動車は、水素をエネルギー源として活用して、燃料電池システムを利用して電気を生産して動く。周知の通り、水素電気自動車では、電気を作る過程で純粋な水(HO)のみ排出するだけでなく、運行中に大気にある超微細粉塵を除去する機能があるため未来の親環境なモビリティとして注目されている。燃料である水素が地球上に無限であるという点とエネルギーを生産する過程が環境に優しいという点で産業全般に活用できる潜在力を備えた技術として脚光を浴びている。
【0003】
水素燃料モビリティ(hydrogen fueled mobility)は、水素をエネルギー源とするか、又は水素を燃料として電気エネルギーを生成し、これを利用して電動機を駆動する方式のモビリティを意味する。
水素燃料モビリティには前述した水素電気自動車の他に、Aerial Mobilityはもちろん、産業用トラック、列車、船舶、航空機も水素を燃料として電気エネルギーを生成し、これを利用して駆動する装置が含まれ得る。
より包括的には、水素をエネルギー源とする建築物又は施設物も本発明の技術的思想が適用され得る応用分野に含まれ得るであろう。
水素電気自動車は、水素燃料貯蔵タンクに安全に保管された高圧水素と空気供給システムを通じて流入した酸素を燃料電池スタックに伝達し、水素と酸素間に電気化学反応を起こして電気エネルギーを生産する。生産された電気エネルギーは駆動モータを通じて、運動エネルギーに転換されて水素電気自動車を動かし、走行中の水素電気自動車は排気口を通じて純粋な水のみを排出する長所を有する。
【0004】
燃料電池システムは、内燃機関自動車のエンジンに代わって水素電気自動車の動力を付与する役割を遂行する。燃料電池は、駆動に必要な電気エネルギーを作り出す装置であって、「3次電池」とも呼ばれる。燃料電池は、酸素と水素の電気化学反応を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに変換させる。この時、発生した電気エネルギーは、純粋な化学反応の結果物であって、化石燃料とは異なって二酸化炭素のような排出ガスを発生させない。燃料電池システムは、燃料や材質によりPEMFC、SOFC、MCFCなどの多様な種類が存在し、水素電気自動車で燃料電池を利用して動力を生産する構成は、燃料電池スタック、水素供給システム、空気供給システムそして熱管理システムを含む。
燃料電池スタックの効率的な電気エネルギー生成のためには、運転装置の助けが必要である。このうち水素供給システムは、水素燃料貯蔵タンクに安全に保管された水素を高圧状態から低圧状態に変えて燃料電池スタックに移動させる役割を遂行し、また、再循環ラインを通じて水素供給効率性を高めることができる。
熱管理システムは、燃料電池スタックが電気化学反応を起こす時に発生する熱を外部に放出させ、冷却水を循環させて燃料電池スタックの温度を一定に維持する装置を意味する。熱管理システムは、燃料電池スタックの出力と寿命に影響を与え得る。
水素電気自動車ではない水素燃料自動車(Hydrogen Fueled Car)の概念も水素を燃料として使う車両であるが、水素燃料自動車は、水素をエンジンで直接燃焼して発生する熱で電動機を駆動する方式である。水素燃料自動車のために水素を充填/供給する方式は、水素電気自動車のための水素充填/供給方式とさほど変わらない。
【0005】
水素を燃料として活用する車両に水素を充填/供給するための制御技法では、最終的に燃料電池側の圧縮水素貯蔵システム(CHSS、Compressed Hydrogen Storage System)の温度(T)と圧力(P)を、安全のための限界温度/圧力条件下で動作するように制御することを目標とする。
従来の水素電気自動車の水素充填/供給プロセス、制御技法、及びこのためのプロトコルは、過去の有線/無線通信技術や制御のためのコンピューティング技法が成熟していない時に規定されたものであるため、最近到達した情報通信技術(ICT)の成果を最大限に反映できずにいる。
したがって、従来の水素電気自動車の水素充填/供給技術は非効率的で遅く、大容量の水素充填に適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような問題点を解決するための本発明の目的は、安全に水素燃料を充填/供給しながらも水素充填/供給過程の効率を向上させ、水素充填/供給過程の速度及びリアルタイム性を改善することである。
【0007】
本発明の目的は、モデル予測制御基盤のリアルタイム性が確保された水素充填制御技法を提案することである。
【0008】
本発明の目的は、人工ニューラルネットワークモデル基盤の水素充填結果予測正確度が向上した制御技法を提案することである。
【0009】
本発明の目的は、知能型メタシステム(IMS)を利用して実際に測定されるデータとモデルから予測される状態情報を統合管理することによって水素充填制御の効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の水素燃料モビリティ(Hydrogen fuelded mobility)のための水素充填(hydrogen fueling)方法は、モデル予測制御基盤の水素充填方法であって、現在状態の測定値を獲得する段階、現在状態の測定値に基づいたモデル予測制御技法を利用して次の状態値を予測したり獲得したりする段階、及び現在状態の測定値及び次の状態値間の比較結果に基づいて水素充填のための制御命令を生成する段階を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の水素充填方法は、現在状態の測定値及び次の状態値が制約条件を充足するかを評価する段階をさらに含む。
【0012】
制約条件は、水素燃料モビリティの圧縮水素貯蔵システム(CHSS)の温度及び圧力それぞれが限界温度及び限界圧力を超過しないことである。
【0013】
制御命令を生成する段階は、水素充填のための圧力増加率(PRR、Pressure ramp rate)に対する制御命令を生成する段階を含む。
【0014】
次の状態値を予測したり獲得したりする段階は、モデルによってプレディクションホライズンを形成する複数個の次の状態値を予測する段階を含む。
【0015】
制御命令を生成する段階は、複数個の次の状態値と設定点(Set Point)間の比較結果に基づいて未来応答が設定点に到達する過程が最適化されるようにプレディクションホライズンに対応するコントロールホライズンを形成する複数個の制御命令を生成する。
【0016】
次の状態値を予測したり獲得したりする段階及び制御命令を生成する段階で、モデル予測制御技法によって未来応答が設定点(Set Point)に到達する過程が最適化されるように複数個の次の状態値を含むプレディクションホライズンに対応するコントロールホライズンを形成する複数個の制御命令が獲得される。
【0017】
本発明の水素燃料モビリティのための水素充填(hydrogen fueling)方法は、人工ニューラルネットワーク基盤水素充填方法であって、現在状態の測定値を獲得する段階、現在状態の測定値を入力とする人工ニューラルネットワークの出力に基づいて水素充填のための充填制御命令を生成する段階、充填制御命令に基づいて次の状態値を獲得する段階、及び充填制御命令の実行による応答が制約条件を充足するかを評価する段階を含むことを特徴とする。
【0018】
充填制御命令を生成する段階では、現在状態の測定値以後の未来応答それぞれがいずれも制約条件を充足しつつ設定点(Set Point)に到達するための充填制御命令を生成する機能を学習した人工ニューラルネットワークの出力に基づいて充填制御命令が生成さる。
【0019】
充填制御命令を生成する段階では、充填状態に対する費用関数を最小化する複数個の次の状態値を予測する機能を学習した人工ニューラルネットワークの出力に基づいて複数個の次の状態値に対応する複数個の制御命令が生成される。
【0020】
本発明の水素燃料モビリティのための水素充填(hydrogen fueling)制御装置は、プロセッサ(processor)、及び少なくとも一つ以上の命令を保存するメモリ(memory)を含む。プロセッサは、少なくとも一つ以上の命令を実行することによって現在状態の測定値を獲得し、現在状態の測定値に基づいたモデル予測制御技法及び現在状態の測定値を入力とする人工ニューラルネットワークの出力のうち少なくとも一つ以上に基づいて水素充填のための充填制御命令及び充填制御命令に対応する次の状態値を獲得することを特徴とする。
【0021】
プロセッサは、充填制御命令の実行による応答それぞれが制約条件を充足するかを評価する。
【0022】
制御命令は、水素充填のための圧力増加率(PRR、Pressure ramp rate)に対する制御命令を含む。
【0023】
プロセッサは、モデル予測制御技法によってプレディクションホライズンを形成する複数個の次の状態値を予測する。
【0024】
プロセッサは、複数個の次の状態値と設定点(Set Point)間の比較結果に基づいて未来応答が設定点に到達する過程が最適化されるようにプレディクションホライズンに対応するコントロールホライズンを形成する複数個の制御命令を生成する。
【0025】
プロセッサは、複数個の次の状態値それぞれが制約条件を充足するかを評価する。
【0026】
プロセッサは、モデル予測制御技法によって未来応答が設定点(Set Point)に到達する過程が最適化されるように複数個の次の状態値が含まれるプレディクションホライズンに対応するコントロールホライズンを形成する複数個の制御命令を獲得する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、安全に水素燃料を充填/供給しながらも水素充填/供給過程の効率を向上させることができ、水素充填/供給過程の速度及びリアルタイム性を改善することができる。
【0028】
本発明によると、モデル予測制御基盤のリアルタイム性が確保された水素充填制御技法を提供することができる。
【0029】
本発明によると、人工ニューラルネットワークモデル基盤の水素充填結果予測正確度が向上した制御技法を提供することができる。理論的シミュレーション結果とともに実際の充填データを活用した人工ニューラルネットワークモデルにリアルタイム測定値が反映されることによって予測結果の正確度が向上し得る。
【0030】
本発明によると、知能型メタシステム(IMS)を利用して実際に測定されるデータとモデルから予測される状態情報を統合管理することによって水素充填制御の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の水素電気自動車(FCEV)のための水素充填過程の一例を図示する概念図である。
図2】本発明の水素電気自動車(FCEV)のための水素充填のための論理的プロセスの一例を図示する概念図である。
図3】本発明の水素電気自動車(FCEV)のための水素充填過程で現れる状態変化の一例を図示する概念図である。
図4】本発明の水素電気自動車(FCEV)のための水素充填制御のためのモデル予測制御の概念を図示する概念図である。
図5】本発明のモデル予測制御基盤水素充填制御方法を図示する動作フローチャートである。
図6】本発明の水素電気自動車(FCEV)のための水素充填制御のための人工ニューラルネットワークの概念を図示する概念図である。
図7】本発明の人工ニューラルネットワークと知能型メタシステム(IMS、Integrated Meta System)を利用する水素電気自動車(FCEV)のための水素充填制御過程を図示する概念図である。
図8】本発明の人工ニューラルネットワーク基盤水素充填制御方法を図示する動作フローチャートである。
図9】本発明の人工ニューラルネットワーク-モデル予測制御基盤水素充填制御のための人工ニューラルネットワークの訓練過程を図示する動作フローチャートである。
図10図9の過程の一部を詳細に図示する概念図である。
図11図9の過程の一部を詳細に図示する概念図である。
図12】本発明の人工ニューラルネットワーク-モデル予測制御基盤水素充填制御過程を図示する概念図である。
図13】本発明の水素充填過程を制御するための人工ニューラルネットワーク基盤統合制御モデルを図示する概念図である。
図14図13の統合制御モデルのためのイベント基盤制御過程を図示する図面である。
図15】本発明の水素充填のための統合制御方法を図示する動作フローチャートである。
図16図1図15の過程の少なくとも一部を遂行できる一般化された水素充填制御装置、水素充填制御システム又はコンピューティングシステムの例示を図示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は多様な変更を加えることができ、種々の実施例を有することができるところ、特定実施例を図面に例示して詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。各図面の説明において、類似する参照符号を類似する構成要素に対して使った。
第1、第2、A、Bなどの用語は多様な構成要素を説明するのに使われ得るが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。「及び/又は」という用語は複数の関連した記載された項目の組み合わせ又は複数の関連した記載されたいずれかの項目を含む。
本出願の実施例で、「A及びBのうち少なくとも一つ」は「Aは又はBのうち少なくとも一つ」又は「A及びBのうち一つ以上の組み合わせのうち少なくとも一つ」を意味し得る。また、本出願の実施例で、「A及びBのうち一つ以上」は「A又はBのうち一つ以上」又は「A及びBのうち一つ以上の組み合わせのうち一つ以上」を意味し得る。
或る構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたり又は接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、或る構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。
本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
特に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含んでここで使われるすべての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0033】
本明細書に使われる一部の用語を定義すると次のとおりである。
【0034】
水素自動車(Hydrogen Vehicle)、水素電気自動車又は燃料電池自動車(FCEV、Fuel Cell Electric Vehicle)は、車両に貯蔵された高圧水素と大気中の空気が会って生成された電気エネルギーで動く無公害自動車を意味する。
【0035】
圧縮水素貯蔵システム(CHSS、Compressed Hydrogen Storage System)は、車両側の燃料電池の一部であって水素を圧縮して貯蔵する装置を意味する。
【0036】
圧力排出装置(PRD、Pressure Relief Device)は、CHSSに配置され、貯蔵された水素を残りの燃料システム及び環境から孤立させる(isolate)ことができ、反対に水素を外部に排出させることができる装置を意味する。
【0037】
水素充填(Fueling)過程は、水素充填所(Station)から高圧水素を伝達して燃料電池に蓄積する過程を意味する。
【0038】
圧力増加率(PRR、Pressure Ramp Rate)は、MPa/minで表され、CHSSの圧力の増加率を意味する。
【0039】
平均圧力増加率(APRR、Average Pressure Ramp Rate)は、水素充填(fueling)の開始から最後まで圧力増加率の平均値を意味する。
【0040】
予冷(pre-cooling)は、水素充填所の水素を充填前に予め冷却させる過程を意味する。
【0041】
ディスペンサ(dispenser)は、予冷された水素をCHSSに伝達するコンポーネントである。
【0042】
ノズル(nozzle)は、水素充填所の水素dispensingシステムに連結され、水素電気自動車のレセプタクル(receptacle)に結合し水素燃料の伝達を許容する装置を意味する。
【0043】
一方、本出願日前に公知の技術であるとしても必要に応じて本出願発明の構成の一部として含まれ得、これについては本発明の趣旨を曖昧にさせない範囲内で本明細書で説明する。ただし、本出願発明の構成を説明するにおいて、本出願日前に公知の技術であって当業者が自明に理解できる事項に対する詳しい説明は、本発明の趣旨を曖昧にさせ得る恐れがあるので、公知技術に対する過度に詳しい事項の説明は省略する。例えば、水素充填制御のために熱力学的モデル(thermodynamic model)を利用する技術、一般化された動力学的制御のためのモデル予測制御技法を適用する技術、人工ニューラルネットワークの訓練及び推論のために人工ニューラルネットワークを構成し制御する技術などは本発明の出願前の公知技術を利用することができ、これら公知技術のうち少なくとも一部は本発明を実施するのに必要な要素技術として適用され得る。
しかし、本発明の趣旨はこれら公知技術に対する権利を主張しようとするものではなく、公知技術の内容は本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で本発明の一部として含まれ得る。
【0044】
以下、本発明に係る好ましい実施例を添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0045】
図1は、本発明の一実施例が適用される水素電気自動車(FCEV)のための水素充填過程の一例を図示する概念図である。
図1に示すとおり、水素充填所(Station、200)から予冷された水素ガスがディスペンサ100を経て水素電気自動車(FCEV、300)に供給される。この時、水素充填過程は、圧力増加率(PRR)及び/又は平均圧力増加率(APRR)を含むパラメータによって記述され得る。
【0046】
図1には水素電気自動車(FCEV)に関連した実施例が図示されるが、本発明の思想が、多様な種類の水素燃料モビリティ(hydrogen fueled mobility)に適用され得ることは当業者に自明である。
【0047】
水素燃料モビリティは、水素をエネルギー源とするか水素を燃料として電気エネルギーを生成し、これを利用して電動機を駆動する方式のモビリティを意味する。
【0048】
水素燃料モビリティには水素電気自動車の他にAerial Mobilityはもちろん、産業用トラック、列車、船舶、航空機も水素を燃料として電気エネルギーを生成し、これを利用して駆動する装置が含まれ得る。
【0049】
本発明の水素充填プロセスは、水素燃料モビリティだけでなく水素をエネルギー源とする建築物、又は施設物にも適用され得るであろう。
【0050】
また、図1の実施例では、水素ガスが関連された実施例が図示されるが、本発明の思想は、液化水素に対しても適用され得るであろう。
【0051】
以下では、説明の便宜上水素電気自動車(FCEV)及び水素ガスを主な実施例として本発明の内容を説明するがこのような実施例によって本出願の権利範囲が制限的に解釈されてはならない。
【0052】
一般的に車両に付着された水素貯蔵システムは、大きく高圧水素貯蔵タンク、圧力制御器具高圧配管及び外部フレームに区分され得る。高圧水素貯蔵タンクの場合、数十数百リットルの容量で開発されて商用化されており、車両用の場合、高容量のためには小型及び軽量貯蔵タンクを並列で連結して活用している。
【0053】
高圧水素貯蔵タンクは、圧縮水素貯蔵システム(CHSS)310として広く知られており、本明細書では説明の便宜上「貯蔵タンク」という表現はCHSS310を意味する。
典型的な水素貯蔵システムでは、貯蔵タンク310に水素ガスが出入りできるボス部(boss unit)を活用して水素の貯蔵を制御しており、水素の注入と利用が同時に進行され得ない特性上、1ヶ所のボス部にバルブ及び減圧機構及び各種測定のためのセンサを付着して水素の貯蔵を制御している。
【0054】
水素充填所200と車両300のインターフェースは、ディスペンサ100で担当し、ここで車両300の貯蔵タンク310の情報と充填所200の燃料供給情報を総合してターゲット圧力と注入速度などを制御することになり、現在使用される制御ロジックは、SAE J2601(2020-05)標準に従っている。
【0055】
従来技術で車両300からディスペンサ100に情報を伝達する方式は、Communication方式と非通信方式であるNon-communication方式がある。通信を利用する場合にも、従来技術では車両300の貯蔵タンク310の温度及び圧力値が単純に単方向にディスペンサ100に伝達されるだけであり、ディスペンサ100でも該当情報を積極的に活用せず、単に限界温度圧力での非常停止のような安全基準として活用している。
【0056】
安全で迅速な充填のための充填ロジックは、すべてディスペンサ100で管理されており、貯蔵タンク310は、能動的な安全管理方式なしに、圧力排出装置(PRD)320を通じて過熱などの条件で自動で水素を放出する最小限の安全管理装置のみを有している。
【0057】
図3で後述される水素充填が進行される間水素ガスの温度が上昇する現象に対応するために、充填所200は、高圧水素貯蔵部220及びプレクーラー210を含む。プレクーラー210は、予冷(pre-cooling)を通じて水素ガスの温度を低くした状態でディスペンサ100を経由して水素電気自動車300に水素ガスを供給する。
【0058】
本発明の一実施例では従来技術と類似する基本構成を利用するが、ディスペンサ100内部の充填制御ロジック110が能動的に車両300及び充填所200から受信される温度、圧力などの状態情報、CHSS310の充填率(SOC、State of Charge)等の充填状態情報を活用して水素充填(hydrogen fueling)過程を制御する。
【0059】
本発明の一実施例によると、貯蔵タンク310のリアルタイム温度データを活用してリアルタイムで充填速度を制御する方式で、安全限界以下の条件を満足する最高の充填速度で運営されるように設計されており、使用可能範囲内で充填時間を減縮することができる。
【0060】
従来技術の充填プロトコルは、安全のための境界条件が過度に設定されているため、充填完了時点で大部分の貯蔵タンク310の温度が40~50℃前後で測定されるなど、過度に予冷して供給する問題点がある。
【0061】
本発明の一実施例によると、予冷必要量と提供量を能動的に調節して充填所200の冷却負荷を最適化して水素充填所200の運営効率性を増大させることができる。
【0062】
軽量水素電気自動車中心に設定された従来技術のプロトコルは、新規モビリティの充填時にはすべての変数を再設定して標準に反映しなければならない問題点を有している。
【0063】
本発明の一実施例によると、人工ニューラルネットワーク基盤の学習可能な充填ロジックで新規の機器に適用時、一定の学習及び訓練過程を経てロジック自体をアップデートする方式の制御技法で多様なモビリティ領域に幅広く拡大適用することができる。
【0064】
従来技術の水素電気自動車300の貯蔵タンク310過熱防止対策は、一定温度以上に過熱時にPRD320を通じてのガス放出が唯一である。
【0065】
本発明の一実施例によると、貯蔵タンク310自体に冷却システムを設置して充填速度を増大させると同時に、貯蔵タンク310の過熱に能動的に対処できるため水素電気自動車300の安全性を向上させることができる。
【0066】
本発明の一実施例によると、安全に水素燃料を充填/供給しながらも水素充填/供給過程の効率を向上させることができ、水素充填/供給過程の速度及びリアルタイム性を改善することができる。
【0067】
本発明の一実施例によると、モデル予測制御基盤のリアルタイム性が確保された水素充填制御技法を提供することができる。
【0068】
本発明の一実施例によると、人工ニューラルネットワークモデル基盤の水素充填結果予測正確度が向上した制御技法を提供することができる。理論的シミュレーション結果とともに実際の充填データを活用した人工ニューラルネットワークモデルにリアルタイム測定値が反映されることによって予測結果の正確度が向上し得る。
【0069】
本発明の一実施例によると、知能型メタシステム(IMS)を利用して実際に測定されるデータとモデルから予測される状態情報を統合管理することによって水素充填制御の効率を向上させることができる。
【0070】
図2は、本発明の一実施例が適用される水素電気自動車(FCEV)のための水素充填のための論理的プロセスの一例を図示する概念図である。
【0071】
前述した通り、従来技術の水素充填プロセスは、車両300と水素充填所200間の制御をディスペンサ100が担当しており、ディスペンサ100には定められた規約にしたがって水素を車両300に注入する方法であるプロトコルが搭載されて制御を総括している。
【0072】
ディスペンサ100に搭載されるプロトコルは、国際標準であるSAE-J2601(2020-05)を基盤としており、これは本発明の目的に符合する範囲内で本発明の実施例にも同一に適用される。
【0073】
安全のための最小要求事項/要件(requirements)について、多様な状況に対して熱力学的なモデリングを通じてのシミュレーションを進行し、これを通じて導き出した媒介変数などを活用してTable-based単一注入方式(single method)、及びMC-formula基盤部分的なリアルタイム補正方式(Partial Real-Time Correction)が利用される。
安全のための最小要求事項/要件は、CHSS310の温度及び圧力条件の上限線と、充填率(SOC)に対するガイドラインを含む。
【0074】
シミュレーションは、Best~Worst Caseを含む境界条件(boundary condition)を利用した熱力学的なモデリングを通じて遂行され得る。
【0075】
このような構成は、本発明の目的に符合する範囲内で本発明の実施例の構成にも適用され得る。
【0076】
図1図2の構成に従うとしても、ディスペンサ100で状態値を能動的に制御しない従来技術では次の問題点が発見される。下記の問題点は、単純な熱力学的モデルを利用したシミュレーションに依存する従来技術でも同様に現れている。
【0077】
予想される最悪の境界条件(過度な境界条件)を仮定して注入速度が予め決定されているので、不要な予冷がなされ全体の充填速度が低下する問題がある。この時、従来技術で注入速度は、平均圧力増加率/平均圧力増加速度(APRR、Average Pressure Ramp Rate)によって単純に決定され、これは状況による能動的な対応を阻害する要因となり得る。不必要な予冷は、過度なエネルギー費用、及び運営費用を招く要因となり得る。
【0078】
シミュレーション基盤結果に依存するので適用可能な貯蔵タンク310の容量や形態に制限があり、新規システムの場合、新規開発及び適用に別途のリソースを必要とするなど、適用対象が制限される問題がある。
【0079】
熱力学モデルは、数学式の計算結果の導出に多くの時間が必要とされて、モデルを通じて導き出された変数などを間接的に活用する方式で予め計算された変数がない場合には適用が制限され、方式自体の細部調節などの柔軟性が不足する問題がある。
【0080】
従来技術のTable-based方式は、充填所200で提供される予冷水素の温度や、車両300で測定される貯蔵タンク310の温度などが活用されないため効率性が非常に低く、周辺状況の変化に柔軟に対処し難い問題がある。
従来技術のMC-Formula基盤方式は、予冷温度をリアルタイムで補正するが計算及び適用方式が複雑で適用対象に限界があるため拡張が難しい問題がある。
プロトコルが安全な充填完了を主要目標として開発されて過度な予冷や貯蔵タンク310の過熱など突発的状況に対して積極的に制御できる代案がなく、このため過冷却による運営費用の上昇、過熱による充填遅延などの問題が発生している。
【0081】
本発明の特徴は、従来技術の問題点を解決するために導き出されたもので、シミュレーションに対する依存度を低くしリアルタイム測定データを反映して能動的に状態変数の制御を試みる点で特徴がある。
【0082】
図3は、本発明の一実施例が適用される水素電気自動車(FCEV)のための水素充填過程で現れる状態変化の一例を図示する概念図である。
図3に示すとおり、貯蔵タンク310に水素が注入される場合、圧縮熱によって内部温度が上昇し、これによって貯蔵タンク310内部の水素ガスの温度が上昇する。
【0083】
水素充填過程の温度制御は、予冷水素ガスが供給されて最終充填完了時点で、貯蔵タンク310の内部温度が85℃以下となるように制御されることによってなされる。
貯蔵タンク310は、走行中には外部の大気と内部に貯蔵された水素ガス間の熱交換を遮断するために、貯蔵タンク310のドームとボディを囲む炭素繊維の熱伝達効率が低いように構成されている。
充填過程で貯蔵タンク310内部の水素ガスの温度が上昇する時には、このような貯蔵タンク310の低い熱伝達特性によって充填が完了する時点まで内部の温度上昇に比べて貯蔵タンク310表面に現れる温度上昇は微弱である。
【0084】
このような特性は、充填時に発生する貯蔵タンク310内部の急速な温度上昇を緩和させることができる外気との熱交換がほとんど進行されないように遮断するので、別途の温度管理対策が必要である。
しかし、従来技術は、充填所200から予め冷却させた(予冷、pre-cooled)水素ガスを供給されることの他には別途の冷却手段を含んでいない。
【0085】
水素完全充填時間は、貯蔵タンクの温度管理上限線である85℃以下の管理のために水素充填所200で予冷及び水素注入速度を制御することによって管理しているが、車両300の貯蔵タンク310に対する温度管理対策は、別途に存在しない状況である。
このため、特に外気温度が高い夏の場合、充填所200で貯蔵タンク310の温度制御が難しいため充填遅延のような問題点が発生している。
【0086】
本発明の実施例では、図3の特性曲線を基本モデルとして搭載するものの、従来技術とは異なって周辺の実際の環境で現れる変数(外気温度、気圧、気象条件など)によるリアルタイムデータを考慮してPhase I.予冷段階の充填所200の動作負荷及びPhase II~Phase IVの充填過程で発生する充填速度(圧力増加率、PRR)制御を最適化し、実際の環境に適合した最適な制御条件を導き出すことができる。
【0087】
図4は、本発明の一実施例に係る水素電気自動車(FCEV)のための水素充填制御のためのモデル予測制御の概念を図示する概念図である。
【0088】
本発明の実施例では、水素充填モデルの正確度が相当な水準で確保された状態で水素充填モデルと現在測定値から未来の充填結果を予測し、予測値と充填値に基づいてCHSS310の水素ガスの温度Tgas又は水素ガスの圧力Pgasのような特定変数が制約条件(constraints)を違反することなく最適な充填目標に到達するように圧力増加速度/増加率(PRR)をリアルタイムで制御することができる。
【0089】
本発明の実施例でモデル予測制御を利用して現在測定値とモデルの予測値に基づいて未来の出力値を計算して、予測された未来応答が最適な方式で設定点(setpoint又はtarget)に移動するように操作変数(operation parameter/variable)を調節することができる。
【0090】
図4に示すとおり、現在時間iでn個のモデル予測を導き出すことができる。このようなn個のモデル基盤予測値は、プレディクションホライズンを形成する。
【0091】
それぞれのモデル基盤予測値、すなわち、プレディクションホライズンは、コントロールホライズンと対応する。すなわち、n個のモデル予測がなされるために必要なn個の制御指令/制御アクションがコントロールホライズンを形成することができる。
【0092】
実際には現在時間iで導き出されたn個のモデル予測及び制御アクションのうち最初であるi+1制御アクションがシステムに伝達され得る。時間が経過して現在時間i+1では再び新しいn個のモデル予測及び制御アクションが導き出され、これはそれぞれ新しいプレディクションホライズンとコントロールホライズンを形成する。
【0093】
このようにホライズンを拡張/移動しながらシステムを制御する技法をモデル予測制御といい、本発明の実施例では、CHSS310の水素ガスの温度、及び圧力を含む状態情報(状態値)に対する測定値と予測値を利用してモデル予測制御基盤制御が実行され得る。
【0094】
図5は、本発明の一実施例に係るモデル予測制御基盤水素充填制御方法を図示する動作フローチャートである。
【0095】
本発明の一実施例に係る水素電気自動車(FCEV)のための水素充填(hydrogen fueling)方法は、モデル予測制御基盤の水素充填方法であって、現在状態の測定値を獲得する段階(S510)、現在状態の測定値に基づいた人工ニューラルネットワークモデル(人工ニューラルネットワーク-モデル予測制御技法)を利用して次の状態値を予測したり獲得したりする段階(S530)、及び現在状態の測定値及び次の状態値間の比較結果に基づいて水素充填のための制御命令を生成する段階(S520)を含む。
【0096】
現在状態の測定値は、CHSS310内部の水素ガスの温度、及び圧力の測定値を含むことができる。
【0097】
本発明の一実施例に係る水素充填方法は、現在状態の測定値及び次の状態値が制約条件(constraints)を充足するかを評価する段階(S540)をさらに含むことができる。
【0098】
制約条件は、水素電気自動車(FCEV)の圧縮水素貯蔵システム(CHSS)の温度及び圧力それぞれが限界温度及び限界圧力を超過しないことであり得る。
【0099】
制御命令を生成する段階(S520)は、水素充填のための圧力増加率(PRR、Pressure ramp rate)に対する制御命令を生成する段階を含むことができる。
【0100】
次の状態値を予測したり獲得したりする段階(S530)は、モデルによってプレディクションホライズンを形成する複数個の次の状態値を予測する段階を含むことができる。
【0101】
制御命令を生成する段階(S520)は、複数個の次の状態値と設定点(Set Point)間の比較結果に基づいて未来応答が設定点に到達する過程が最適化されるようにプレディクションホライズンに対応するコントロールホライズンを形成する複数個の制御命令を生成することができる。
【0102】
次の状態値を予測したり獲得したりする段階(S530)及び制御命令を生成する段階(S520)で、モデル予測制御技法によって人工ニューラルネットワークモデルが予測した未来応答が設定点(Set Point)に到達する過程が最適化されるように複数個の次の状態を含むプレディクションホライズンに対応するコントロールホライズンを形成する複数個の制御命令が獲得され得る。
【0103】
現在状態及び次の状態値に基づいて費用関数(cost function)及び充填制御のための変数/パラメータをアップデートする段階(S550)がさらに含まれ得る。
【0104】
図6は、本発明の一実施例に係る水素電気自動車(FCEV)のための水素充填制御のための人工ニューラルネットワークの概念を図示する概念図である。
図6に示すとおり、入力レイヤには現在状態の測定値が入力される。
【0105】
この時、外気温度Tamb(ambient temperature)、予冷温度Tpre(pre-cooled gas temperature)、予冷圧力Tpre(pre-cooled gas pressure)は、ディスペンサ100又は充填所200のノズル(nozzle)で測定され得る。
【0106】
水素ガス温度Tgas、水素ガス圧力Pgasは、水素電気自動車300のCHSS310側で測定される値であり、実際の測定値は入力レイヤに入力され得る。
【0107】
人工ニューラルネットワークの訓練過程では実際に測定された現在測定値が入力レイヤに、次の測定値が出力レイヤに伝達されて人工ニューラルネットワークの学習過程に活用され得る。この時、人工ニューラルネットワークの学習過程は、入力された測定値の組み合わせに基づいて出力レイヤの次の測定値を予測できる機能(function)を学習する過程であり得る。入力レイヤに入力されるデータと出力レイヤに与えられるデータ間のcorrelationが学習され、これを通じて理論的結果とともに実際の動的充填過程のデータ(Real Dynamic Fueling Data)を利用した予測が可能である。
【0108】
人工ニューラルネットワークを利用した推論又は出力過程では実際に測定された現場(on-site)測定値が入力レイヤに伝達され、人工ニューラルネットワークの動作による出力で次の測定値に対する予測値が得られ得る。
【0109】
本発明の実施例で利用される人工ニューラルネットワークの学習過程は、shallow learning及びdeep learningのうちいずれであってもよく、人工ニューラルネットワークは、公知のニューラルネットワークの中から本発明の目的に符合する種類のニューラルネットワークが採択され得る。
【0110】
入力レイヤを通じて入力された値は、隠れレイヤの加重値基盤演算を経ながら出力レイヤに伝達される。
出力レイヤによって出力された状態値(次の状態に対する予測値)は、熱力学的モデルの少なくとも一部を利用して充填状態変数、例えば充填率(SOC)を算出するのに利用され得る。
【0111】
本発明の実施例では理論的シミュレーションモデルと人工ニューラルネットワークが結合されたハイブリッド制御も可能であるので、少ないデータを利用した学習を通じても所定の成果を達成することができ、軽量化された人工ニューラルネットワークを通じても本発明の目的に符合する性能を導き出すことができる。
【0112】
フィードバック制御過程で導き出されるリアルタイム圧力増加率(PRR)又は圧縮水素の質量流量(mass flow rate of compressed hydrogen、kg/s)mは人工ニューラルネットワークの隠れレイヤの加重値又はパラメータに影響を及ぼし得る。
【0113】
本発明の人工ニューラルネットワーク基盤水素充填技法は、モデルを通じての充填結果予測の正確度を向上させることができる。理論的シミュレーション結果とともに実際の充填データを活用できてリアルタイム測定値が反映され、予測結果の正確度をさらに向上させることができる。
【0114】
従来技術の制御プロトコルが個別の状況に合うシミュレーションを通じて結果を計算して予測する反面、本発明の実施例では多様な状況に対する訓練の反復を通じて正確度を向上させる過程を利用する差がある。
このような差によって本発明の実施例では多様な理論値及び実証結果が追加されるほどアップデートを通じて正確度が次第に向上し、新しい貯蔵タンク310の構成や流量の変化などが使われる新規充填プロセスが導入されても実際のデータを追加して訓練することによってその機能をモデルにアップデートできるため、多様なモビリティ分野に幅広く適用することができる
【0115】
図7は、本発明の一実施例に係る人工ニューラルネットワークと知能型メタシステム(IMS、Integrated Meta System)を利用する水素電気自動車(FCEV)のための水素充填制御過程を図示する概念図である。
図7に示すとおり、知能型メタシステム(Intelligent Meta System、IMS)400を通じて人工ニューラルネットワークとモデル予測制御のそれぞれの必要情報(CHSS310で測定されるかモデルから予測されるガス温度と圧力など)の相互提供、リアルタイム環境の変化による予冷温度の調整など分散された役割を統合管理することによって効率的な充填速度制御を具現することができる。
【0116】
充填所200は、予冷ガスの測定値(条件)をIMS400に伝達することができる。
【0117】
水素電気自動車300はCHSS310の測定値(条件)をIMS400に伝達することができる。
【0118】
本発明の実施例によってはIMS400は、ディスペンサ100側に配置されてもよく、独立的な制御装置として具現され得る。IMS400は、充填所200及び水素電気自動車300側に充填制御のための制御命令を伝達してもよいが、このような構成は、図13図16の実施例を通じて後述されるであろう。
【0119】
IMS400は、人工ニューラルネットワーク120と通信して必要に応じて人工ニューラルネットワーク120を制御して最適な充填結果を導き出すように制御変数を設定することができる。
人工ニューラルネットワーク120から予測されたSOCで次の目標圧力Ptargetが導き出され、このための制御パラメータ(PRR又はm)が設定され得る。
【0120】
この時、費用関数(cost function)を利用してすべての状況で状態値が制約条件(constraints)を充足するように制御パラメータが調節され得る。
【0121】
目標圧力Ptargetは、例えば15℃、NWP(Normal Working Pressure)条件でSOCが95%である場合を基準として次の制御目標を達成するために導き出され得る。
【0122】
費用関数で扱われる制約条件は、例えば、Tgas<85℃、Pgas<87.5MPa、SOC<100%である条件を含むことができる。
【0123】
知能型メタシステム400は、ディスペンサ100側に従属してもよく、ディスペンサ100と独立的に配置されてもよい。
【0124】
知能型メタシステム400は、一つの装置に集中されてもよく、ディスペンサ100、及び/又は充填所200を含む複数個のハードウェアに分散配置され得る。
知能型メタシステム400は、クラウドサーバーの形態で具現され得る。
【0125】
人工ニューラルネットワーク120は、ディスペンサ100側に従属する実施例が図示されたが、本発明の他の実施例によっては、ディスペンサ100と独立的な位置に配置されて具現され得る。例えばクラウドシステムに人工ニューラルネットワーク120が配置されて訓練され、有線/無線通信を通じてディスペンサ100を経由した水素充填制御に活用され得る。
【0126】
又はクラウドシステムに別途の人工ニューラルネットワークが配置されて訓練され、学習された人工ニューラルネットワークの全部又は一部のパラメータがディスペンサ100に配置されたローカル人工ニューラルネットワーク120に転移されて水素充填制御に活用され得る。この時、クラウドで学習された人工ニューラルネットワークとローカル人工ニューラルネットワーク120の間では、転移学習(transfer learning)又は連合学習(federated learning)が利用されてパラメータが共有され得る。
【0127】
図8は、本発明の一実施例に係る人工ニューラルネットワーク基盤水素充填制御方法を図示する動作フローチャートである。
【0128】
本発明の一実施例に係る水素電気自動車(FCEV)のための水素充填(hydrogen fueling)方法は、人工ニューラルネットワーク基盤水素充填方法であって、現在状態の測定値を獲得する段階(S610)、現在状態の測定値を入力とする人工ニューラルネットワークの出力に基づいて水素充填のための充填制御命令を生成する段階(S620)、充填制御命令に基づいて次の状態値を獲得する段階(S630)、及び充填制御命令の実行による応答が制約条件を充足するかを評価する段階(S650)を含む。
【0129】
充填制御命令を生成する段階(S620)では、現在状態の測定値以後の未来応答それぞれがいずれも制約条件を充足しつつ設定点(Set Point)に到達するための充填制御命令を生成する機能を学習した人工ニューラルネットワークの出力に基づいて充填制御命令が生成され得る。
【0130】
充填制御命令を生成する段階(S620)では、充填状態に対する費用関数を最小化する複数個の次の状態値を予測する機能を学習した人工ニューラルネットワークの出力に基づいて複数個の次の状態値に対応する複数個の制御命令が生成され得る。
【0131】
図9は、本発明の一実施例に係る人工ニューラルネットワーク-モデル予測制御基盤水素充填制御のための人工ニューラルネットワークの訓練過程を図示する動作フローチャートである。
【0132】
図9では、人工ニューラルネットワーク-モデル予測制御基盤プレディクションホライズン、及びコントロールホライズンを獲得する機能を学習した人工ニューラルネットワーク、特にモデル予測制御によって未来応答が設定点(Set Point)に到達する過程が最適化されるように人工ニューラルネットワークモデル120から獲得したn個の未来予測とそれに対応する制御命令を仮定する。
【0133】
本発明の実施例では、人工ニューラルネットワークモデル120を基盤として制御システムを構成することができ、該当人工ニューラルネットワークモデル120の正確度を担保してモデル予測制御基盤のリアルタイム制御システムを構成することができる。
【0134】
リアルタイム制御システムは、未来の充填結果を予測して実際の測定値と比較することによって充填速度/圧力増加率/圧力増加速度を制御する方式で、システムロジック内に制限事項や制御時間の間隔、敏感度などを別途に設定して最適値以内で制御することができる。
【0135】
1次的には、充填所200と車両300のリアルタイムデータに基づいて最適制御を進行するが、該当システムの運営で特定イベント状況が発生する場合、プレクーラー210の予冷温度と車両300の冷却システムを直接制御できる機能を付与し、水素充填プロセスの全体的な効率性を増加させることができる
【0136】
図9に示すとおり、顧客から特定されたSOCspの入力を受けて制御過程を開始する(t=0、S710)。例えば現在SOCが50%でSOCspは、85%であり得る。
【0137】
顧客が特定のSOCspを設定しないと、SOCspが予め設定されたデフォルト値に設定され得る。例えばデフォルト値は、100%であり得る。
【0138】
SOC(t)は、Tgas(t)、及びPgas(t)の関数で与えられるが、この過程は、一般的な動力学的モデルに基づいて遂行され得る。
【0139】
万一、現在SOC(t)がSOCsp以上であれば(S720)、顧客が特定の充填条件がみたされたので充填が完了したものと仮定して水素充填を中止することができる。現在SOC(t)がSOCspより小さいと(S720)、i=tに設定し、人工ニューラルネットワークを伴ったムービング(Moving)ホライズンプレディクションを遂行する(S730)。
【0140】
段階S730は、人工ニューラルネットワーク120等を利用して図4で図示されたモデル予測制御に基づいた予測を生成することによって遂行され得る。段階S740では得られたn個の予測が最適化された、意図的目的に符合する予測/制御命令であるかを判定することができる。
【0141】
得られたn個の予測が最適化された予測であれば、n個の予測及び制御命令に基づいて制御指令PRR(t)が得られ、PRR(t)がディスペンサ100-貯蔵タンク310に適用され得る(S750)。
【0142】
以後時間tを増加させて新しい測定値Tgas(t)、及びPgas(t)を得て段階S720の入力に伝達する。
【0143】
段階S730で得られたn個の予測が最適化された予測でなければ段階S730を再び遂行して新しいn個の予測及び制御命令を獲得することができる。
【0144】
図10は、図9の過程の一部を詳細に図示する概念図である。
図10に示すとおり、図9の段階S730では、すべての任意のi、kに対して温度制限、圧力制限を充足する状態予測値(T、P)が生成され得る。この時、iは、現在時間を表すインデックスであり、kは、ムービングホライズンを形成する各予測/制御指令に対応するインデックスである。
【0145】
現在時間i(=t)を基準としてn個の状態予測値と、それに従う制御指令が導き出され得る。
【0146】
図11は、図9の過程の一部を詳細に図示する概念図である。
図11に示すとおり、図9の段階S740は、最終制御目標であるSOCspに到達したのかと制御敏感度Θを表す費用関数を最小化するn個の予測の集合を探索する過程と理解され得る。制御敏感度Θは、PRR又はmの変化率などを含むことができる。
【0147】
図12は、本発明の一実施例に係る人工ニューラルネットワーク-モデル予測制御基盤水素充填制御過程を図示する概念図である。
図12に示すとおり、ディスペンサ100には水素充填制御(fueling control)ロジック110と人工ニューラルネットワークモデル120が含まれ得る。
【0148】
水素電気自動車300の出力でCHSS310の温度、圧力を含む状態測定値が人工ニューラルネットワークモデル120にフィードバック入力として与えられ得る。
【0149】
水素充填所200の出力で予冷水素ガスの温度、圧力を含む状態測定値が人工ニューラルネットワークモデル120にフィードバック入力として与えられ得る。
【0150】
図9図11の過程を図12とともに参照すると、人工ニューラルネットワークモデル120は、予測された出力(predicted output)を水素充填制御ロジック110に伝達し、水素充填制御ロジック110は、未来入力を人工ニューラルネットワークモデル120に入力することができる。
【0151】
人工ニューラルネットワーク-モデル予測制御基盤制御過程は、シミュレーションと実際の測定データを共に活用する制御技法であり、人工ニューラルネットワークモデル120を利用して少なくとも部分的にシミュレーションを遂行してその予測結果を制御過程に利用する制御技法である。
【0152】
図13は、本発明の一実施例に係る水素充填過程を制御するための人工ニューラルネットワーク基盤統合制御モデルを図示する概念図である。
【0153】
本発明の実施例は、リアルタイムデータ基盤の水素充填統合制御プロトコル構成を目標とし、該当システムは、多様な要素技術が活用されて具現される。
【0154】
ディスペンサ100に搭載されるプロトコルは、充填所200から提供される予冷水素ガスのデータと車両300から提供される貯蔵タンク310のデータをリアルタイム入力値として活用して、搭載されたモデルによって充填速度/圧力増加率/圧力増加速度(PRR又はm)をアウトプットで制御することができる。
【0155】
外部環境の変化などのイベント状況が発生する場合、充填所200の予冷温度と車両300の冷却システムを直接制御して充填速度/圧力増加率/圧力増加速度(PRR又はm)と工程効率性などを全般的に制御することができる。
【0156】
制御プロトコルを補完するために、水素充填所200の予冷システム/プレクーラー210には自体冷却安定化システムが独立的に設置され得る。
温度安定化の側面でプレクーラー210の冷却安定化システムは、独自に制御され得、制御の目標値は、ディスペンサ100のプロトコルで統合的に変更され得る。
【0157】
充填所200の経済性の向上及び統合制御プロトコルの機能を補完するためにプレクーラー210に温度安定化に関連した追加的な機能が付与され得る。
プレクーラー210に供給される水素ガスの初期温度と流量により予冷温度が偏差を見せることになり、これを補完するために温度を安定化するための新規プレクーラー構造が本発明の一実施例として提案される。
【0158】
本発明の一実施例に係るプレクーラー210は、自主的な温度制御とプロトコルとの連係のための制御ロジックを含むことができる。
【0159】
車両300の貯蔵タンク310には強制冷却システムが設置され得、水素充填時に発生する圧縮熱を一部冷却して充填速度を向上させることができ、貯蔵タンク310の強制冷却システムの稼動/制御もプロトコルで関与することができる。
【0160】
本発明の一実施例では、水素充填速度の向上及び統合制御プロトコルの機能を補完するために車両300の貯蔵タンク310に温度管理機能が付与され得る。
【0161】
本発明の一実施例では、貯蔵タンク310は、全体の充填速度の増大と車両300の安全性向上のために自体冷却のためのシステムを構成し、該当システムの自体駆動及びプロトコルとの連係のための制御ロジックを含むことができる。
【0162】
本発明の一実施例では、このような統合制御を通じて現在の充填効率を向上させることができるだけでなく、次の充填のための準備を円滑に支援することができる。
【0163】
図14は、図13の統合制御モデルのためのイベント基盤制御過程を図示する図面である。
図14に示すとおり、通常の運転でも水素充填が管理基準以内で円滑に進行される場合には、ディスペンサ100基盤の制御だけでも目標を達成することができる。
【0164】
プレクーラー210の予冷温度が-40℃に設定されるT40の場合に、予冷温度は、目標値を達成したものの外気温度が設定値以上に高く貯蔵タンク310側の温度上昇が予想より大きい場合に、車両300/貯蔵タンク310側に制御信号又は現在状態の情報を伝送して貯蔵タンク310の自体冷却システムが駆動されるようにすることができる。
その反対に、プレクーラー210の予冷温度が-40℃に設定されたが、外部環境と実際のデータを考慮する時に過度な冷却と判定される場合、予冷温度の目標値を調節することができる(例えば、-35℃)。
【0165】
予冷目標温度及び貯蔵タンク310側の温度制御が追加で必要な場合には、ディスペンサ100から車両300と充填所200の両方に制御情報又は制御命令が伝達され得る。
【0166】
本発明の実施例によると、車両300と充填所200の自体冷却システムは、独立的に制御されてもよく、ディスペンサ100で信号を伝送して制御してもよい。
【0167】
図15は、本発明の一実施例に係る水素充填のための統合制御方法を図示する動作フローチャートである。
【0168】
本発明の一実施例に係る水素電気自動車(FCEV)のための水素充填(hydrogen fueling)制御方法は、水素充填のための統合制御方法であって、現在状態の測定値を獲得する段階(S810)、現在状態の測定値に基づいて、ディスペンサ側で実行される第1制御命令の他に水素充填所及び水素電気自動車のうち少なくとも一つ以上のための第2制御命令が必要であるかどうかを判定する段階(S830)、及び判定結果により水素充填所及び水素電気自動車のうち少なくとも一つ以上のための第2制御命令を生成する段階(S840)を含む。
【0169】
水素充填所のための第2制御命令は、水素充填所の予冷温度の目標値を調整する命令を含むことができる。
【0170】
水素電気自動車のための第2制御命令は、水素電気自動車側の圧縮水素貯蔵システム(CHSS)の冷却命令を含むことができる。
【0171】
本発明の一実施例に係る水素充填のための統合制御方法は、現在状態の測定値が制約条件を充足するかを評価する段階をさらに含むことができる。
【0172】
制約条件は、水素電気自動車側の圧縮水素貯蔵システム(CHSS)310の温度及び圧力それぞれが限界温度及び限界圧力を超過しないことであり得る。
【0173】
本発明の一実施例に係る水素充填のための統合制御方法は、現在状態の測定値に基づいて、ディスペンサ側で実行される第1制御命令を生成する段階(S850)をさらに含むことができる。
【0174】
段階S830は現在CHSS310状態の測定値と予測値の間の差を計算する段階(S820)の遂行結果に基づいて遂行され得る。
【0175】
図16は、図1図15の過程の少なくとも一部を遂行できる一般化された水素充填制御装置、水素充填制御システム、又はコンピューティングシステムの例示を図示する概念図である。
【0176】
水素充填制御装置は、ディスペンサ100側に配置され得る。水素充填制御システムはディスペンサ100、水素充填所200、及び水素電気自動車300に分散配置されたり少なくとも一部に配置されて、ディスペンサ100、水素充填所200、及び水素電気自動車300のうち少なくとも一部の動作を制御することができる。
【0177】
水素充填制御装置及び/又は水素充填制御システムは、メモリ1200と電子的に連結されるプロセッサ1100を含む、コンピューティングシステムの形態で具現され得る。
【0178】
本発明の一実施例に係るモデル予測制御基盤水素充填制御方法、人工ニューラルネットワーク基盤水素充填制御方法、及び水素充填のための統合制御方法の少なくとも一部の過程は、図16のコンピューティングシステム1000によって実行され得る。
【0179】
図16に示すとおり、本発明の一実施例に係るコンピューティングシステム1000は、プロセッサ1100、メモリ1200、通信インターフェース1300、保存装置1400、入力インターフェース1500、出力インターフェース1600及びバス(bus)1700を含んで構成され得る。
【0180】
本発明の一実施例に係るコンピューティングシステム1000は、少なくとも一つのプロセッサ(processor)1100及び少なくとも一つのプロセッサ1100が少なくとも一つの段階を遂行するように指示する命令語(instructions)を保存するメモリ(memory)1200を含むことができる。本発明の一実施例に係る方法の少なくとも一部の段階は、少なくとも一つのプロセッサ1100がメモリ1200から命令語をロードして実行することによって遂行され得る。
【0181】
プロセッサ1100は、中央処理装置(central processing unit、CPU)、グラフィック処理装置(graphics processing unit、GPU)、又は本発明の実施例に係る方法が遂行される専用のプロセッサを意味し得る。
【0182】
メモリ1200及び保存装置1400それぞれは、揮発性保存媒体及び不揮発性保存媒体のうち少なくとも一つで構成され得る。例えば、メモリ1200は、読み取り専用メモリ(read only memory、ROM)及びランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)のうち少なくとも一つで構成され得る。
【0183】
また、コンピューティングシステム1000は、無線ネットワークを通じて通信を遂行する通信インターフェース1300を含むことができる。
また、コンピューティングシステム1000は、保存装置1400、入力インターフェース1500、出力インターフェース1600等をさらに含むことができる。
また、コンピューティングシステム1000に含まれたそれぞれの構成要素は、バス(bus)1700により連結されて通信を遂行できる。
【0184】
本発明のコンピューティングシステム1000の例えば、通信可能なデスクトップコンピュータ(desktop computer)、ラップトップコンピュータ(laptop computer)、ノートパソコン(notebook)、スマートフォン(smart phone)、タブレットPC(tablet PC)、モバイルフォン(mobile phone)、スマートウォッチ(smart watch)、スマートグラス(smart glass)、e-bookリーダー、PMP(portable multimedia player)、携帯用ゲーム機、ナビゲーション(navigation)装置、デジタルカメラ(digital camera)、DMB(digital multimedia broadcasting)再生機、デジタル音声録音機(digital audio recorder)、デジタル音声再生機(digital audio player)、デジタル動画録画機(digital video recorder)、デジタル動画再生機(digital video player)、PDA(Personal Digital Assistant)等であり得る。
【0185】
本発明の実施例に係る方法の動作は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータが読み取り可能なプログラム又はコードで具現することが可能である。コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取り可能な情報が保存されるすべての種類の記録装置を含む。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、ネットワークに連結されたコンピュータシステムに分散されて分散方式でコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードが保存されて実行され得る。
【0186】
また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、ロム(rom)、ラム(ram)、フラッシュメモリ(flash memory)等のようにプログラム命令を保存し遂行するように特別に構成されたハードウェア装置を含むことができる。プログラム命令は、コンパイラ(compiler)により作られるような機械語コードだけでなくインタープリタ(interpreter)等を使ってコンピュータによって実行され得る高級言語コードを含むことができる。
【0187】
本発明の一部の側面は、装置の文脈で説明されたが、それは相応する方法による説明も表すことができ、ここでブロック又は装置は、方法段階又は方法段階の特徴に相応する。同様に、方法の文脈で説明された側面も相応するブロック又はアイテム又は相応する装置の特徴で表すことができる。方法段階のいくつか又は全部は、例えば、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ又は電子回路のようなハードウェア装置によって(又は利用して)遂行され得る。いくつかの実施例で、最も重要な方法段階の少なくとも一つ以上は、このような装置によって遂行され得る。
【0188】
実施例で、プログラム可能なロジック装置(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)がここで説明された方法の機能の一部又は全部を遂行するために使われ得る。実施例で、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array)は、ここで説明された方法のうちの一つを遂行するためのマイクロプロセッサ(microprocessor)とともに作動することができる。一般的に、方法は、何らかのハードウェア装置によって遂行されることが好ましい。
【0189】
以上本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0190】
100 ディスペンサ
110 水素充填制御
120 人工ニューラルネットワーク
200 水素充填所、充填所
210 プレクーラー
220 高圧水素
300 水素燃料モビリティ、モビリティ、水素電気自動車、車両
310 圧縮水素貯蔵システム(CHSS)、貯蔵タンク
320 圧力排出装置(PRD)
400 知能型メタシステム
1000 コンピューティングシステム
1100 プロセッサ
1200 メモリ
1300 通信インターフェース
1400 ストレージ
1500 入力使用者インターフェース
1600 出力使用者インターフェース
1700 バス(bus)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】