(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁
(51)【国際特許分類】
F16K 17/30 20060101AFI20241114BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F16K17/30 A
F16K27/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527275
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 CN2023071680
(87)【国際公開番号】W WO2023179186
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210301502.2
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517312490
【氏名又は名称】ヂェァジァン ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.866,Yuhangtang Road,Xihu District,Hangzhou, Zhejiang China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】錢 錦遠
(72)【発明者】
【氏名】於 龍傑
(72)【発明者】
【氏名】盛 侃
(72)【発明者】
【氏名】徐 毅翔
【テーマコード(参考)】
3H051
3H060
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB10
3H051CC11
3H051FF01
3H060AA02
3H060BB03
3H060CC40
3H060DA02
3H060DA04
3H060DB12
3H060DC05
3H060DD02
3H060DE01
3H060EE06
3H060HH07
3H060HH19
(57)【要約】
本発明は、流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁を提供し、弁の分野に属する。該水素供給組合せ弁は、一段減圧弁、二段減圧流量調整弁及び二段減圧調整弁を含む。一段減圧弁は主な絞り減圧作用を実現し、高圧水素ガスに対して一段目の減圧を行う。二段減圧流量調整弁はさらに一段目減圧された水素に対して二段目の減圧を行うことができ、且つ流量調整を実現することができる。二段減圧調整弁はさらに一段目減圧された水素ガスに対して二段目の減圧を行うことができ、且つ安定した流量及び圧力の水素ガスを出力し続けることにより、二段減圧流量調整弁の流量調整過程における最終出口の水素ガス圧力に対する外乱を緩衝し、流量調整を実現すると同時に出口圧力の安定を保証する。本発明は二段の減圧安定化と水素組合せ弁の集積化を実現する前提で、水素供給組合せ弁の出力流量を調整することができ、車載水素供給の電力変化を実現することに用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁であって、
組合せ弁本体と、一段減圧弁(I)、二段減圧流量調整弁(II)、及び二段減圧調整弁(III)を備え、一段減圧弁(I)、二段減圧流量調整弁(II)、及び二段減圧調整弁(III)は、それぞれ第一弁座(9)、第二弁座(10)、第三弁座(11)を介して組合せ弁の本体内に配置されており、前記組合せ弁の本体内には、一段出口流路(1)と、接続流路(2)と、二段出口流路(6)と、調圧水素貯蔵流路(7)とを備えており、前記一段出口流路(1)は接続流路(2)と連通し、前記二段出口流路(6)は水素供給用組合せ弁の最終出力流路とし、
前記一段減圧弁(I)は、外部水素源を接続し、入力された水素ガスを一段目減圧し、一段出口流路(1)に入力するために使用され、
前記二段減圧流量調整弁(II)は、第二シールピストン(22)と、第二アクチュエータ(23)と、第三スプリング(25)と、第二絞りベース(26)と、第四スプリング(27)とを含んでおり、前記第二弁座(10)は前記組合せ弁の本体を貫通せず、前記第二シールピストン(22)は第二弁座(10)の開口端に密封固定されて取り付けられ、前記第二アクチュエータ(23)と前記第二絞りベース(26)とが第二弁座(10)内に取り付けられ、第二アクチュエータ(23)は第二絞りベース(26)と第二シールピストン(22)との間に位置し、前記第二シールピストン(22)の第二のアクチュエータ(23)に向かう側には、突出するストッパリングが設けられており、前記第二弁座(10)の内キャビティは、第二シールピストン(22)、第二アクチュエータ(23)及び第二絞りベース(26)によって区画され、開口端から内底面に向かって独立した第一キャビティ、第二キャビティ及び第三キャビティを順次形成し、前記第二アクチュエータ(23)と第二絞りベース(26)との間に圧縮状態の第三スプリング(25)を設け、前記第二絞りベース(26)と第二弁座(10)内底面との間に圧縮状態の第四スプリング(27)を設けており、前記第二絞りベース(26)の中央には、第二キャビティと第三キャビティとを連通する二段出口流路が設けられ、前記第二アクチュエータ(23)の一端は第二テーパ構造であり、前記第二テーパ構造は、二段出口流路の入口位置で第二絞りベース(26)と協働して第二絞り区間を構成し、
前記二段減圧調整弁(III)は、第三シールピストン(28)と、第五スプリング(29)と、第三絞りベース(30)と、第六スプリング(31)とを備えており、前記第三弁座(11)は前記組合せ弁の本体を貫通せず、前記第三シールピストン(28)は第三弁座(11)の開口端に密封固定されて取り付けられ、前記第三絞りベース(30)は第三弁座(11)内に取り付けられ、第三弁座(11)の内キャビティは、第三シールピストン(28)と第三絞りベース(30)によって区画され、開口端から内底面に向かって独立した第四キャビティと第五キャビティを順次形成しており、前記第三シールピストン(28)と第三絞りベース(30)との間には圧縮状態の第五スプリング(29)が設けられ、前記第三絞りベース(30)と第三弁座(11)内底面との間には圧縮状態の第六スプリング(31)が設けられており、前記第三絞りベース(30)の中央には、第四キャビティと第五キャビティとを連通する三段出口流路が設けられ、前記第三シールピストン(28)の端部は第三テーパ構造であり、前記第三テーパ構造は、三段出口流路の入口位置で第三絞りベース(30)と協働して第三絞り区間を構成し、
前記第二キャビティと前記第四キャビティは、それぞれ第一通路(3)と第二通路(4)とを介して前記接続流路(2)を連通しており、前記第三キャビティと前記第五キャビティは、それぞれ二段出口流路(6)を連通しており、前記第一キャビティ及び前記二段出口流路(6)は、それぞれ第三通路(5)及び第四通路(8)を介して前記調圧水素貯蔵流路(7)を連通し、そして、第三通路(5)に対する前記調圧水素貯蔵流路(7)の第一接続口と、第四通路(8)に対する前記調圧水素貯蔵流路(7)の第二接続口とは間隔をおいて配置され、第一接続口と第二接続口との間の調圧水素貯蔵流路(7)が圧力調整部となり、前記調圧水素貯蔵流路(7)内には、流路内壁とピストン対を構成する制御可能な摺動ピストン(32)が設けられ、前記圧力調整部は、調圧水素貯蔵流路(7)内での制御可能な摺動ピストン(32)の摺動ストロークによって覆われ、前記制御可能な摺動ピストン(32)は、前記圧力調整部内を摺動する間に前記第一キャビティ内の圧力を変化させることにより、前記第二絞り区間の開度を制御し、それにより、前記二段出口流路(6)から出力される水素ガス流量を変化させる、ことを特徴とする流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁。
【請求項2】
前記一段減圧弁(I)は、入口流路(13)と、第一絞りベース(14)と、第一アクチュエータ(15)と、アクチュエータ内流路(16)と、第一シールピストン(18)と、第一スプリング(20)と、第二スプリング(21)とを含んでおり、前記第一弁座(9)は組合せ弁の本体全体を貫通し、前記第一絞りベース(14)と第一シールピストン(18)は貫通した入口流路(13)が設けられた第一弁座(9)の両端開口にそれぞれ密封固定されて取り付けられており、前記第一アクチュエータ(15)は、前記第一弁座(9)に取り付けられ、且つ第一絞りベース(14)と第一シールピストン(18)との間に位置し、第一アクチュエータ(15)の一端は第一テーパ構造であり、且つ前記第一テーパ構造は、入口流路(13)の出口端で第一絞りベース(14)と協働して第一絞り区間を構成しており、前記第一アクチュエータ(15)と前記第一シールピストン(18)との間には圧縮状態の第一スプリング(20)が一つ設けられ、前記第一アクチュエータ(15)と前記第一絞りベース(14)との間には圧縮状態の第二スプリング(21)が一つ設けられ、前記第一スプリング(20)及び前記第二スプリング(21)はそれぞれ第一アクチュエータ(15)に2つの相反する圧力を加え、前記第一アクチュエータ(15)には、第一アクチュエータ(15)の上面に連通するアクチュエータ内流路(16)が開設され、前記入口流路(13)の入口端は、外部水素源を接続するために使用され、入力された水素ガスは、前記入口流路(13)、前記第一絞り区間、前記アクチュエータ内流路(16)の順に通過した後、前記一段出口流路(1)に入る、ことを特徴とする請求項1に記載の流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁。
【請求項3】
前記第一絞りベース(14)と前記第一シールピストン(18)の両方がいずれも、第一スプリング(20)を取り付ける位置に同軸のスプリング取付孔を設け、且つ第一絞りベース(14)のスプリング取付孔の底部に、アクチュエータ内の流路(16)を連通する孔付き円盤(19)を配置し、第一スプリング(20)の一端を孔付き円盤(19)に、他端を第一シールピストン(18)のスプリング取付孔にそれぞれ支持する、ことを特徴とする請求項2に記載の流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁。
【請求項4】
前記第一シールピストン(18)と第一弁座(9)内壁との間、第一絞りベース(14)と第一弁座(9)内壁との間、第一絞りベース(14)と第一アクチュエータ(15)との間は、いずれも第一シールガスケット(17)によってシール接続を構成する、ことを特徴とする請求項2に記載の流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁。
【請求項5】
前記一段出口流路(1)及び接続流路(2)は、いずれも前記組合せ弁の本体表面から内側に穿孔加工されており、且つこれらの前記組合せ弁の本体表面に位置する開口端は、円筒シール(12)により閉塞されている、ことを特徴とする請求項1に記載の流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁。
【請求項6】
前記制御可能な摺動ピストン(32)は、制御ロッドを備えており、制御ロッドは、組合せ弁の本体から突出し、組合せ弁の本体との接触位置で動的シールを保持している、ことを特徴とする請求項1に記載の流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁。
【請求項7】
前記第三通路(5)と前記第一キャビティ側壁との接続口位置は、前記ストッパリングの高さ範囲内にある、ことを特徴とする請求項1に記載の流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁。
【請求項8】
前記第二アクチュエータ(23)は、円形プレートの下方に第二テーパ構造が接続されて構成されており、前記第二弁座(10)側壁は一つの段差面を有し、前記段差面には第二シールガスケット(24)が載置され、前記円形プレートは、第二絞りベース(26)方向に移動すると、第二シールガスケット(24)に圧着され、第一キャビティと第二キャビティとの間の密閉・非連通性を確保することができる、ことを特徴とする請求項1に記載の流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁。
【請求項9】
前記制御可能な摺動ピストン(32)は、前記圧力調整部内で摺動する間、前記第二絞り区間を完全に閉鎖することができる、ことを特徴とする請求項1に記載の流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁。
【請求項10】
前記外部水素源の水素ガス圧力が10~70MPaの範囲であり、水素ガスが一段減圧弁(I)を通過した後に水素ガスの圧力が2~3MPaに減圧され、二段減圧流量調整弁(II)を通過した後の水素ガスの圧力が車載水素燃料電池の作動圧力に減圧され、二段減圧調整弁(III)を通過した後の水素ガスの圧力が車載水素燃料電池の作動圧力に減圧される、ことを特徴とする請求項1に記載の流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁の分野であり、特に、流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧水素ボンベは臨界温度以上の高圧水素ガスを貯蔵するために使用される。理想的な水素供給用組合せ弁は次の二つの機能を実現する必要がある。第一は、水素ガスの圧力を定格範囲内に下げることである。第二は、水素ガス流量を精密に制御することで、安定した降圧を実現し、必要に応じて流量の大きさを制御することである。現在、燃料電池に入る水素ガスの圧力を正常範囲内に確保し、水素添加中の過圧を防ぐために、二重減圧弁を用いて減圧し、出力圧力を比較的安定させることができるが、圧力を一定に維持したまま流量を調整することが難題となっている。弁間の接続が多ければ多いほど、管路が複雑になればなるほど、より多くの安全リスクが存在するため、水素供給の組合せ弁の統合式組合せ研究は重要な意義がある。水素供給組合せ弁は通常減圧弁、電磁弁、温度と圧力センサーから構成される。減圧弁は流量と圧力の安定を実現し、電磁弁は通常減圧弁の後に取り付けて、水素供給回路全体の開閉を実現する。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、従来の減圧弁では、出力圧力の安定化と水素ガス流量の調整という二つの技術的要求を同時に満たすことができないという課題を解決し、流量調整と圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁を提供することを目的とする。
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明が採用する技術的解決手段は以下の通りである。
流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁は、組合せ弁本体と、一段減圧弁、二段減圧流量調整弁、及び二段減圧調整弁を備えている。一段減圧弁、二段減圧流量調整弁、及び二段減圧調整弁は、それぞれ第一弁座、第二弁座、第三弁座を介して組合せ弁の本体内に配置されている。上記組合せ弁本体内には、一段出口流路と、接続流路と、二段出口流路と、調圧水素貯蔵流路とを備えている。上記一段出口流路は接続流路と連通し、上記二段出口流路は水素供給組合せ弁の最終出力流路とする。
【0005】
上記一段減圧弁は、外部水素源を接続し、入力された水素ガスを第一段減圧し、一段出口流路に入力するために使用される。
【0006】
上記二段減圧流量調整弁は、第二シールピストンと、第二アクチュエータと、第三スプリングと、第二絞りベースと、第四スプリングとを含む。上記第二弁座は上記組合せ弁本体を貫通せず、上記第二シールピストンは第二弁座の開口端に密封固定されて取り付けられ、上記第二アクチュエータと上記第二絞りベースとが第二弁座内に取り付けられ、第二アクチュエータは第二絞りベースと第二シールピストンとの間に位置し、上記第二シールピストンの第二のアクチュエータに向かう側には、突出するストッパリングが設けられている。上記第二弁座の内キャビティは、第二シールピストン、第二アクチュエータ及び第二絞りベースによって区画され、開口端から内底面に向かって独立した第一キャビティ、第二キャビティ及び第三キャビティを順次形成する。上記第二アクチュエータと上記第二絞りベースとの間に圧縮状態の第三スプリングを設け、上記第二絞りベースと上記第二弁座内底面との間に圧縮状態の第四スプリングを設ける。上記第二絞りベースの中央には、第二キャビティと第三キャビティとを連通する二段出口流路が設けられ、上記第二アクチュエータの一端は第二テーパ構造であり、上記第二テーパ構造は、二段出口流路の入口位置で第二絞りベースと協働して第二絞り区間を構成する。
【0007】
上記二段減圧調整弁は、第三シールピストンと、第五スプリングと、第三絞りベースと、第六スプリングとを備える。上記第三弁座は上記組合せ弁本体を貫通せず、上記第三シールピストンは第三弁座の開口端に密封固定されて取り付けられ、上記第三絞りベースは第三弁座内に取り付けられ、第三シールピストンと第三絞りベースとで仕切られた第三弁座の内キャビティは開口端から内底面に向かって独立した第四キャビティと第五キャビティを順次形成する。上記第三シールピストンと上記第三絞りベースとの間には圧縮状態の第五スプリングが設けられ、上記第三絞りベースと上記第三弁座内底面との間には圧縮状態の第六スプリングが設けられている。上記第三絞りベースの中央には、第四キャビティと第五キャビティとを連通する三段出口流路が設けられ、上記第三シールピストンの端部は第三テーパ構造であり、上記第三テーパ構造は、三段出口流路の入口位置で第三絞りベースと協働して第三絞り区間を構成する。
【0008】
上記第二キャビティと上記第四キャビティは、それぞれ第一通路と第二通路とを介して上記接続流路を連通する。上記第三キャビティと上記第五キャビティは、それぞれ二段出口流路を連通する。上記第一キャビティ及び上記二段出口流路は、それぞれ第三通路及び第四通路を介して上記調圧水素貯蔵流路を連通する。そして、第三流路に対する調圧水素貯蔵流路の第一接続口と、第四通路に対する調圧水素貯蔵流路の第二接続口とは間隔をおいて配置され、第一接続口と第二接続口との間の調圧水素貯蔵流路が圧力調整部となる。上記調圧水素貯蔵流路内には、流路内壁とピストン対を構成する制御可能な摺動ピストンが設けられ、上記圧力調整部は、調圧水素貯蔵流路内での制御可能な摺動ピストンの摺動ストロークによって覆われる。上記制御可能な摺動ピストンは、上記圧力調整部内を摺動する間に上記第一キャビティ内の圧力を変化させることにより、第二絞り区間の開度を制御し、それにより、上記二段出口流路から出力される水素ガス流量を変化させる。
【0009】
好ましくは、上記一段減圧弁は、入口流路と、第一絞りベースと、第一アクチュエータと、アクチュエータ内流路と、第一シールピストンと、第一スプリングと、及び第二スプリングとを含む。上記第一弁座は組合せ弁本体全体を貫通し、上記第一絞りベースと第一シールピストンは貫通した入口流路が設けられた第一弁座の両端開口にそれぞれ密封固定されて取り付けられている。上記第一アクチュエータは、上記第一弁座に取り付けられ、且つ第一絞りベースと第一シールピストンとの間に位置し、第一アクチュエータの一端は第一テーパ構造であり、且つ上記第一テーパ構造は、入口流路の出口端で第一絞りベースと協働して第一絞り区間を構成する。上記第一アクチュエータと上記第一シールピストンとの間には圧縮状態の第一スプリングが一つ設けられ、上記第一アクチュエータと上記第一絞りベースとの間には圧縮状態の第二スプリングが一つ設けられ、上記第一スプリング及び上記第二スプリングはそれぞれ第一アクチュエータに2つの反対方向の圧力を加える。上記第一アクチュエータには、第一アクチュエータの上面に連通するアクチュエータ内流路が開設され、上記入口流路の入口端は、外部水素源を接続するために使用され、入力された水素ガスは、上記入口流路、上記第一絞り区間、上記アクチュエータ内流路の順に通過した後、上記一段出口流路に入る。
【0010】
好ましくは、上記第一絞りベースと上記第一シールピストンの両方がいずれも、第一スプリングを取り付ける位置に同軸のスプリング取付孔を設け、且つ第一絞りベースのスプリング取付孔の底部に、アクチュエータ内の流路を連通する孔付き円盤を配置し、第一スプリングの一端を孔付き円盤に、他端を第一シールピストンのスプリング取付孔にそれぞれ支持する。
【0011】
好ましくは、前記第一シールピストンと第一弁座内壁との間、第一絞りベースと第一弁座内壁との間、第一絞りベースと第一アクチュエータとの間は、いずれも第一シールガスケットによってシール接続を構成する。
【0012】
好ましくは、上記一段出口流路及び接続流路は、いずれも上記組合せ弁の弁体表面から内側に穿孔加工されており、且つ上記組合せ弁の弁体表面に位置する開口端は、円筒シールにより閉塞されている。
【0013】
好ましくは、上記制御可能な摺動ピストンは、制御ロッドを備えており、制御ロッドは、組合せ弁本体から突出し、組合せ弁本体との接触位置で動的シールを維持している。
【0014】
好ましくは、上記第三通路と上記第一キャビティ側壁との接続口位置は、ストッパリングの高さ範囲内にある。
【0015】
好ましくは、上記第二アクチュエータは、円形プレートの下に第二テーパ構造が接続されて構成されている。上記第二弁座側壁は、段差面を有する。上記段差面には第二シールガスケットが載置されている。上記円形プレートは、第二絞りベース方向に移動すると、第二シールガスケットに圧着され、第一キャビティと第二キャビティとの間の密閉・非連通性を確保することができる。
【0016】
好ましくは、上記制御可能な摺動ピストンは、上記圧力調整部内で摺動する間、上記第二絞り区間を完全に閉鎖することができる。
【0017】
好ましくは、上記外部水素源の水素ガス圧力が10~70MPaの範囲であり、水素ガスが一段減圧弁を通過した後の水素ガスの圧力が2~3MPaに減圧され、二段減圧流量調整弁を通過した後の水素ガスの圧力が車載水素燃料電池の作動圧力に減圧され、二段減圧調整弁を通過した後の水素ガスの圧力が車載水素燃料電池の作動圧力に減圧される。
【0018】
先行技術と比較して、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)本発明は、二段の減圧工程を設け、二段目の減圧に二段減圧流量調整弁と二段減圧調整弁を並列に設けることにより、出口圧力を可及的に安定させつつ、水素供給用組合せ弁の出口流量調整を実現する。出口水素流量は二段減圧流量調整弁によって調整するだけで、二段減圧調整弁は持続的に安定した流量出力を保持して二段減圧流量調整弁の流量調整による圧力変動を緩衝して、これによって流量調整過程中の全弁の最終出口圧力の変動を大幅に減少し、水素圧力を定格範囲に下げることを実現し、同時に精密に水素流量を制御することができる。
(2)本発明は、車載用水素供給などの分野に応用可能であり、二段降圧安定化と水素組合せ弁の集積化を前提に、水素組合せ弁の出力流量を調整することができ、車載用水素供給の電力変化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】流量調整と圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁の概略図である。
【
図2】組合せ弁の本体内部の流路と弁座の概略図である。
【
図6】調圧水素貯蔵流路内の制御可能な摺動ピストンの3つの重要な制御部位の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の上述した目的、特徴、及び利点をより明確にわかりやすくするために、本発明の具体的な実施形態について、以下に添付の図面と関連して詳細に説明する。本発明の完全な理解を容易にするために、以下の説明において多くの具体的な詳細が説明される。しかし、本発明は、本明細書に記載されたものとは異なる多くの他の方法で実施することができ、当業者は、本発明の内容に反することなく同様の改良を行うことができ、したがって、本発明は、以下に開示される特定の実施例に限定されない。本発明の各実施例における技術的特徴は、相互に衝突しないことを前提として、いずれも対応して組み合わせることができる。
【0021】
本発明の説明において、ある要素が別の要素に「接続」されていると考えられる場合、別の要素に直接接続されているか、間接的に接続されているか、すなわち中間要素が存在することを理解されたい。逆に、要素が「直接」と呼ばれて別の要素に接続されている場合、中間要素は存在しない。
【0022】
本発明の説明において、「第一」及び「第二」という用語は、説明の目的を区別するためにのみ使用されるものであり、相対的重要性を示し若しくは暗示するもの、又は示された技術的特徴の数を暗示するものとは理解されないことを理解する必要がある。このように、「第一」、「第二」に限定される特徴は、明示的に又は暗黙的に、少なくとも1つの当該特徴を含むことができる。
【0023】
図1に示すように、本発明のより良い実施例では、流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁を提供し、組合せ弁本体と、一段減圧弁I、二段減圧流量調整弁II、及び二段減圧調整弁IIIを備えている。ここで、一段減圧弁Iは入力された高圧水素ガスを一段目減圧し、二段減圧流量調整弁II及び二段減圧調整弁IIIはいずれも一段目減圧後の水素ガスを二段目減圧するが、二段減圧調整弁IIIは減圧のみを行う必要があり、二段減圧流量調整弁IIは減圧に加えて通過する水素ガスの流量を調整する必要がある。本発明は、二段目の減圧に二段減圧流量調整弁IIと二段減圧調整弁IIIとを並列に配置することにより、水素供給組合せ弁の出口流量を調節すると同時に、出口圧力を可能な限り安定させることを目的とする。二段減圧流量調整弁IIのみで出口水素ガスの流量を調整し、二段減圧調整弁IIIは常に安定した流量出力を維持することにより、流量調整過程の出口圧力の変動を大幅に低減する。以下に、組合せ弁の本体、一段減圧弁I、二段減圧流量調整弁II、及び二段減圧調整弁IIIの具体的な構造について詳しく説明する。
【0024】
図2に示すように、組合せ弁の本体には一連の流路と弁座を開設して3つの調整弁を連結し、弁全体の機能を実現している。具体的には、組合せ弁の本体に、一段出口流路1と、接続流路2と、第一通路3と、第二通路4と、第三通路5と、二段出口流路6と、調圧水素貯蔵流路7と、第四通路8と、第一弁座9と、第二弁座10と、第三弁座11と、円筒シール12とを設ける。説明の便宜上、以下では、
図1に示す水平方向を組合せ弁本体の長手方向、
図1に示す垂直方向を組合せ弁本体の高さ方向、
図1に垂直な紙面方向を組合せ弁本体の幅方向と呼ぶ。これにより、第一弁座9は貫通した階段孔を採用して設計され、一段出口流路1は、第一弁座9の中上部を貫通し、組合せ弁本体の長手方向に沿って設けられ、接続流路2と直交して連通する。接続流路2は、組合せ弁本体の高さ方向に沿って設けられ、傾斜方向の第一通路3及び第二通路4に連通する。第一通路3及び第二通路4は、それぞれ第二弁座10及び第三弁座11の上部に連通する。第二弁座10と第三弁座11とを組合せ弁本体の高さ方向に対称に配置し、第二弁座10と第三弁座11とを一段の階段孔とし、二段出口流路6をT字型とし、二段出口流路6を第二弁座10と第三弁座11とを同時に連通させる。二段出口流路6の幅方向の一方側には、調圧水素貯蔵流路7が設けられている。調圧水素貯蔵流路7は、第三通路5、第四通路8を介して第二弁座10上部及び二段出口流路6にそれぞれ接続されている。一段出口流路1及び接続流路2は、いずれも組合せ弁の本体表面から内側に向けて穿孔加工されているため、残りの組立体を装着した後、組合せ弁の本体表面に位置する開口端を円筒シール12で閉鎖する必要がある。
【0025】
組合せ弁本体では、第一弁座9、第二弁座10、及び第三弁座11をそれぞれ介して、一段減圧弁I、二段減圧流量調整弁II、及び二段減圧調整弁IIIが組合せ弁の本体内に取り付けられている。一方、組合せ弁の本体内には、一段出口流路1と、接続流路2と、二段出口流路6と、調圧水素貯蔵流路7とを備えている。一段出口流路1は接続流路2に連通し、二段出口流路6は水素供給用組合せ弁の最終出力流路とする。
【0026】
本発明の上記水素供給組合せ弁は、流路及び弁座を以下のように加工することができる。先ず、第一弁座9、接続流路2、一段出口流路1、調圧水素貯蔵流路7を加工し、接続流路2と一段出口流路1とを上下に貫通して連通させる。次に、第二弁座10と第三弁座11とを加工し、両者の加工は同一軸心配置を採用する。そしてT型の二段出口流路6を加工し、二段出口流路6の両端部で第二弁座10と第三弁座11を貫通接続する。最後に第一通路3を加工して接続流路2と第二弁座10を貫通接続させ、第二通路4を加工して接続流路2と第三弁座11を貫通接続させ、第三通路5を加工して第二弁座10と調圧水素貯蔵流路7を接続させ、第四通路8を加工して二段出口流路6と調圧水素貯蔵流路7を接続させる。もちろん、上述した加工フローは1つの実現方式にすぎず、他の加工方式を用いて実現してもよい。
【0027】
該水素供給用組合せ弁において、一段減圧弁Iは外部水素源に接続され且つ入力された水素ガスを一段目減圧し、且つ一段出口流路1に入力する。その具体的な構造は従来技術における任意の減圧弁構造を用いて実現することができ、外部の水素源から入力される高圧水素への減圧機能さえ実現できればよい。
【0028】
本発明の一実施例では、
図3に示すように、一段減圧弁Iを構成する組立体は、主に、入口流路13、第一絞りベース14、第一アクチュエータ15、アクチュエータ内流路16、第一シールガスケット17、第一シールピストン18、孔付き円盤19、第一スプリング20、及び第二スプリング21から構成される。ここで、第一弁座9は組合せ弁の本体全体を貫通し、且つ組合せ弁の本体に貫通する階段孔形式である。第一絞りベース14と第一シールピストン18はそれぞれ第一弁座9の両端開口部に密封的に固着され、両者と第一弁座9の内壁はいずれもシール対を構成し、内部ガスのオーバーフローを防止する。第一絞りベース14及び第一シールピストン18は、第一弁座9に対して相対的に固定されている。第一弁座9の中心位置に貫通する入口流路13が設けられ、入口流路13の入口端は組合せ弁の本体の外壁から突出し、外部水素源に接続することができ、入口流路13の出口端は組合せ弁の本体の内部に向かう。第一アクチュエータ15は第一弁座9に取り付けられ且つ第一絞りベース14と第一シールピストン18との間に位置する。第一アクチュエータ15と第一シールピストン18との間の空間は、一段出口流路1に連通している。第一アクチュエータ15の一端は第一テーパ構造であり、他端は第一テーパ構造に接続された円柱セグメントであり、第一アクチュエータ15の円柱セグメントは一段出口流路1の下方の第一弁座9に取り付けられ、且つ第一弁座9の軸方向に沿って上下に移動することができる。第一アクチュエータ15及び第一絞りベース14は主な絞り素子であり、第一アクチュエータ15の第一テーパ構造は入口流路13の出口端において第一絞りベース14と協働して第一絞り区間を構成する。第一アクチュエータ15と第一シールピストン18との間に圧縮状態の第一スプリング20が一つ設けられ、第一アクチュエータ15と第一絞りベース14との間に圧縮状態の第二スプリング21が一つ設けられ、第一スプリング20及び第二スプリング21はそれぞれ第一アクチュエータ15に2つの相反する圧力を印加する。当然のことながら、動作中に、第一アクチュエータ15は2つのスプリング力を受ける以外に、第一アクチュエータ15は高圧入口圧力及び低圧出口圧力の影響を受け、高圧入口圧力の作用面積が小さく、低圧出口圧力の作用面積が大きい。したがって、第一の絞り区間全体として4つの力により安定した減圧効果が得られる。これにより第一アクチュエータ15は第一スプリング20及び第二スプリング21から印加された2つの相反する圧力で、相対的に平衡する位置に維持することができ、且つ外力の作用で移動した後にリセットすることができ、それにより第一絞り区間が目標開度要求を満たすことを保証する。第一絞り区間の開度は第一テーパ構造と第一絞りベース14との間の間隔に応じて変化し、間隔が小さいほど対応する過流面積も小さくなり、さらに開度も小さくなり、逆に間隔が大きいほど対応する過流面積も大きくなり、さらに開度も大きくなる。本発明において第一スプリング20及び第二スプリング21の型式を選択することにより、両者が印加するスプリング力を制御することにより第一絞り区間の開度を調整し、さらに外部高圧水素ガスが第一絞り区間を通過した後の圧力の大きさを調整する。第一アクチュエータ15の中に第一アクチュエータ15の頂面に連通するアクチュエータ内流路16が開設され、第一テーパ構造の底部外側壁と第一弁座9の側壁との間に隙間空間が存在し、それにより入口流路13はアクチュエータ内流路16に連通することができる。入口流路13の入口端は外部水素源に接続するために用いられ、入力された水素は順に入口流路13、第一絞り区間、アクチュエータ内流路16を通過した後に一段出口流路1に入り、一段目減圧を完了する。
【0029】
また、一段減圧弁Iのシール性能を保証するために、三つの異なる位置にいずれも第一シールガスケット17が設けられる。具体的には、第一シールピストン18と第一弁座9の内壁、第一絞りベース14と第一弁座9の内壁、第一絞りベース14と第一アクチュエータ15との間はいずれも第一シールガスケット17を介してシール接続を構成する。当然のことながら、第一シールガスケット17の具体的な設置位置は実際に合わせて調整することができ、他のシール方式によって確実なシールを実現することができれば、第一シールガスケット17を設置しなくてもよい。
【0030】
また、確実な取り付けを容易に実現するために、上記第一絞りベース14及び第一シールピストン18はいずれも第一スプリング20を取り付ける位置に同軸のスプリング取付孔が開設され、且つ第一絞りベース14のスプリング取付孔の底部にアクチュエータ内流路16に連通する一つの孔付き円盤19が配置され、第一スプリング20の一端は孔付き円盤19に支持され、他端は第一シールピストン18のスプリング取付孔に支持される。これにより、孔付き円盤19を設けることにより、アクチュエータ内流路16がスムーズに排気できることを保証する場合に、第一スプリング20に確実な取付点を提供することができる。
【0031】
本発明において、二段減圧流量調整弁II及び二段減圧調整弁IIIは、並列形態で一段減圧弁Iの後に接続され、出口水素ガスの圧力及び流量制御を実現するために用いられる。
【0032】
図4に示すように、本発明の一実施例において、二段減圧流量調整弁IIは第二シールピストン22、第二アクチュエータ23、第三スプリング25、第二絞りベース26及び第四スプリング27を含む。第二弁座10は一つの段差孔であり、組合せ弁の本体を貫通せず、第二弁座10の組合せ弁の本体の外壁に向かう一端は開口端とし、第二シールピストン22は第二弁座10の開口端に密封式固定的に取り付けられ、第二アクチュエータ23及び第二絞りベース26は第二弁座10内に取り付けられ、且つ第二アクチュエータ23は第二絞りベース26と第二シールピストン22との間に位置する。第二シールピストン22の第二アクチュエータ23に向かう側に突出するストッパリングが設けられ、第二アクチュエータ23が第二シールピストン22の内底面に完全に重ね合わせることを防止する。本実施例において、第二アクチュエータ23は円形プレートの下方に接続された第二テーパ構造で構成され、第二弁座10の側壁に一つの段差面を有し、段差面に第二ガスケット24が配置され、円形プレートが第二絞りベース26方向に移動する時に第二ガスケット24に圧着することができ、第一キャビティと第二キャビティとの間の密閉・非連通を保証する。第二弁座10の内キャビティは、第二シールピストン22、第二アクチュエータ23及び第二絞りベース26によって区画され、開口端から内底面に向かって順に独立した第一キャビティ、第二キャビティ及び第三キャビティを形成する。第一キャビティと第二キャビティとの間は非連通状態を保持し、第二キャビティと第三キャビティとの間は直接連通せず、第二絞り区間を介して連通する必要がある。第二アクチュエータ23と第二絞りベース26との間に圧縮状態にある第三スプリング25が設けられ、第二絞りベース26と第二弁座10の内底面との間に圧縮状態にある第四スプリング27が設けられる。第二絞りベース26の中心に第二キャビティと第三キャビティを連通するための二段出口流路が開設され、第二アクチュエータ23の一端は第二テーパ構造であり、且つ第二テーパ構造は二段出口流路の入口位置において第二絞りベース26と合わせて第二絞り区間を構成する。同様に、第一絞り区間と同様に、第二絞り区間の開度は第二テーパ構造と第二絞りベース26との間の間隔に応じて変化し、間隔が小さいほど対応する過流面積も小さくなり、さらに開度も小さくなり、逆に間隔が大きいほど対応する過流面積も大きくなり、さらに開度も大きくなる。本発明では第三スプリング25及び第四スプリング27の型式を選択することにより、両者が印加するスプリング力を制御することにより第二絞り区間の開度を調整し、さらに一段目減圧を経た水素ガスが第二絞り区間を経た後の圧力の大きさを調整する。
【0033】
図5に示すように、二段減圧調整弁IIIは、第三シールピストン28と、第五スプリング29と、第三絞りベース30と、第六スプリング31とを備えている。ここで、第三弁座11は一つの段差孔であり、組合せ弁の本体を貫通しない。第三シールピストン28は第三弁座11の開口端に密封式固定的に取り付けられ、第三絞りベース30は第三弁座11内に取り付けられ、且つ第三弁座11の内キャビティは第三シールピストン28と第三絞りベース30によって区画され、開口端から内底面に向かって順に独立した第四キャビティと第五キャビティを形成する。第四キャビティと第五キャビティとの間は直接連通せず、第三絞り区間を介して連通する必要がある。第三シールピストン28と第三絞りベース30との間に圧縮状態にある第五スプリング29が設けられ、第三絞りベース30と第三弁座11の内底面との間に圧縮状態にある第六スプリング31が設けられる。第三絞りベース30の中心に第四キャビティと第五キャビティを連通するための三段出口流路が開設される。第三シールピストン28の端部は第三テーパ構造であり、且つ第三テーパ構造は三段出口流路の入口位置において第三絞りベース30と合わせて第三絞り区間を構成する。同様に、第二絞り区間と同様に、第三絞り区間の開度は第三テーパ構造と第三絞りベース30との間の間隔に応じて変化し、間隔が小さいほど対応する過流面積も小さくなり、さらに開度も小さくなり、逆に間隔が大きいほど対応する過流面積も大きくなり、さらに開度も大きくなる。本発明では第五スプリング29及び第六スプリング31の型式を選択することにより、両者が印加するスプリング力を制御することにより第三絞り区間の開度を調整し、さらに一段目減圧を経た水素ガスが第三絞り区間を経た後の圧力の大きさを調整する。
【0034】
本発明において、三つの減圧弁の機能設計に応じて、二段減圧調整弁IIIは減圧を行うだけでよく、二段減圧流量調整弁IIは減圧作用以外に通過する水素ガス流量を調整する必要がある。したがって、二段減圧流量調整弁IIにおいて二段減圧調整弁IIIに対して追加的に増加する水素ガス流量調整機能は調圧水素貯蔵流路7と合わせることによって実現される。具体的には、第二キャビティ及び第四キャビティはそれぞれ第一通路3及び第二通路4を介して接続流路2に連通し、接続流路2は一段出口流路1の後ろに接続され、一段目減圧後の水素ガスを貯蔵することができる。接続流路2に貯蔵された水素ガスはそれぞれ第一通路3及び第二通路4を介して第二キャビティ及び第四キャビティに入り、第二絞り区間及び第三絞り区間を介してそれぞれ目標出口圧力まで続けて二段目減圧する。第三キャビティと第五キャビティはそれぞれ二段出口流路6に連通し、二段目減圧を経た後の水素ガスは最終的に二段出口流路6を介して外部に出力する。特に注意すべきものとして、第一キャビティと二段出口流路6はそれぞれ第三通路5と第四通路8を介して調圧水素貯蔵流路7に連通し、したがって調圧水素貯蔵流路7における水素ガスは第三通路5を介して二級減圧流量調整弁IIの第一キャビティに圧入することができる。第一キャビティ内の圧力が増大すると、第一キャビティは密閉されているため、第二アクチュエータ23を押して下へ移動させ、第二絞り区間の開度を減少させ、それにより二段減圧流量調整弁IIを介して出力された水素ガス流量を減少させる。該流量調整過程において最終的な二段出口流路6の出口圧力の変動を引き起こすが、二段減圧調整弁III自体は安定した水素ガス流量及び圧力を出力し続けるため、二段減圧流量調整弁IIによる圧力変動に対して緩衝作用を果たし、二段出口流路6の出口圧力の安定を可能な限り保持する。
【0035】
したがって、本発明における水素ガスの出力流量は、主に、調圧水素貯蔵流路7が第一キャビティに加える圧力に依存して調整される。調整効果を保証するために、調圧水素貯蔵流路7と第三通路5の第一接続口、及び調圧水素貯蔵流路7と第四通路8の第二接続口は間隔を保持し、それにより第一接続口と第二接続口との間の調圧水素貯蔵流路7は圧力調整部とすることができる。調圧水素貯蔵流路7には流路内壁とピストン対を構成する制御可能な摺動ピストン32が設けられ、上記制御可能な摺動ピストン32とは調圧水素貯蔵流路7内で制御可能に摺動できるピストンを指す。本実施例において、制御可能な摺動ピストン32に制御ロッドを付けることができ、制御ロッドは組合せ弁の本体から突出し且つ組合せ弁の本体と接触する位置に動的シールを保持し、それにより制御ロッドによって制御可能な摺動ピストン32の摺動を駆動することができる。制御可能な摺動ピストン32が調圧水素貯蔵流路7内における摺動ストロークは前述した圧力調整部を覆う必要があり、それにより制御可能な摺動ピストン32が圧力調整部内で摺動する過程において第一キャビティ内の圧力を変更することにより第二絞り区間の開度を制御し、それにより二段出口流路6から出力された水素ガス流量を変更する。
図6に示すように、実際に応用する時、制御可能な摺動ピストン32の全ストロークにおいて三つの重要な位置を有し、A位置は調圧水素貯蔵流路7の底部に位置する初期位置であり、B位置は制御可能な摺動ピストン32が第二接続口を塞ぐ直前の位置であり、C位置は制御可能な摺動ピストン32が第一接続口を塞ぐ直前の位置である。通常状態で制御可能な摺動ピストン32はA位置にあることができ、この時弁全体は最大流量に応じて外部に安定圧力の水素ガスを出力する。弁の出口水素ガス流量を調整する必要がある場合、制御可能な摺動ピストン32を駆動して上向きに移動させることができる。制御可能な摺動ピストン32がA位置からB位置まで摺動する間、第四通路8の存在により調圧水素貯蔵流路7内の圧力は変化しないが、制御可能な摺動ピストン32がB位置からC位置まで摺動する間、調圧水素貯蔵流路7内の圧力はそれに伴って上昇し、さらに同期に第一キャビティ内の圧力の上昇を促し、第二アクチュエータ23を押して下向きに移動させ、第二絞り区間の開度を減少させ、それにより二段減圧流量調整弁IIを経て出力された水素ガス流量を減少させる。制御可能な摺動ピストン32がC位置にある場合、二段減圧流量調整弁IIから出力された水素ガス流量が最小である。したがって、好ましい形態として、二段減圧流量調整弁IIを完全に閉鎖する必要がある場合、二段減圧流量調整弁IIを介して出力された水素ガス流量を0にすると、制御可能な摺動ピストン32が圧力調整部内で摺動する過程で、第二絞り区間を完全に閉鎖するべきである。これは、前述した圧力調整部の容積を調整することで実現できる。
【0036】
二段階減圧流量調整弁IIの流量調整過程において、調圧水素貯蔵流路7内のガスを上記第一キャビティ内に圧入することにより第二アクチュエータ23に対する駆動を実現する必要があるため、第三通路5と第一キャビティ側壁との接続口位置は、上記第二シールピストン22上のストッパリングの高さ範囲内に設置されることが好ましく、それにより第三通路5と第一キャビティ側壁との接続口が第二アクチュエータ23に覆われないことを保証する。
【0037】
また、説明すべきものとして、本発明の上記流量調整及び圧力安定化機能を備えた水素供給用組合せ弁は、二段減圧を実現することができ、安定した出力圧力を有し且つ出力流量が調整可能な組合せ弁を提供するだけであるが、その具体的な減圧範囲及び流量調整は実際のニーズに応じて調整することができる。異なる減圧範囲及び流量調整などの出力パラメータについて、第一絞り区間、第二絞り区間及び第三絞り区間の構造パラメータを最適化することにより対応する出力パラメータの制御を実現することができる。
【0038】
本発明の水素供給用組合せ弁の応用シーンは車載水素燃料電池に水素を供給することである。車載水素燃料電池の作動圧力は一般的に0.16MPaであり、したがって車載水素燃料電池の組合せ式水素ガス瓶口弁に対して水素ガスの70MPaから0.16MPaまでの安定した大きな圧力降下を実現する必要がある。この応用シーンでは、第一絞り区間、第二絞り区間及び第三絞り区間の構造パラメータを最適化することにより、外部水素源の水素圧力範囲を10~70MPaとし、一段減圧弁Iを経て水素ガスの圧力を2~3MPaに減圧し、二段減圧流量調整弁IIを経て水素ガスの圧力を車載水素燃料電池の作動圧力に減圧し、二段減圧調整弁IIIを経て水素ガスの圧力を車載水素燃料電池の作動圧力の0.16MPaに減圧することができる。具体的なワークフローは以下のとおりである。
S1、入力される高圧水素ガスの圧力範囲を10~70MPaとし、一段減圧弁Iを二段減圧流量調整弁II及び二段減圧調整弁IIIよりも開度を小さくして流動抵抗係数を大きくするように制御することにより、水素ガスが一段減圧弁を通過した後に水素ガスの圧力を2~3MPaに減圧する。
S2、二段減圧調整弁IIIは絞り領域が比較的大きいため、2~3MPaから0.16MPaまで減圧することができ、且つ二段減圧調整弁IIIの流量を一定に保つことができる。
S3、二段減圧流量調整弁IIは絞り領域が比較的大きく、同様に2~3MPaから0.16MPaまでの減圧が可能であり、且つ調圧水素貯蔵流路7の圧力を調整することにより二段減圧流量調整弁IIの開度を調整でき、この弁を通過する流量の大きさを調整することが可能であり、ピストン調整により二段減圧流量調整弁IIを全閉して水素輸送の最小流量を達成することが可能である。
当然のことながら、上記パラメータ範囲は実際の動作状況に応じて調整することができ、ここでは好適な実現形態のみである。
【0039】
説明された実施例は、本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことが明確である。本発明の実施例に基づいて、当業者が創作的な労働を行わないことを前提として取得した他のすべての実施例は、本発明の保護の範囲に属する。
【符号の説明】
【0040】
1 一段出口流路
2 接続流路
3 第一通路
4 第二通路
5 第三通路
6 二段出口流路
7 調圧水素貯蔵流路
8 第四通路
9 第一弁座
10 第二弁座
11 第三弁座
12 円筒シール
13 入口流路
14 第一絞りベース
15 第一アクチュエータ
16 アクチュエータ内流路
17 第一シールガスケット
18 第一シールピストン
19 孔付き円盤
20 第一スプリング
21 第二スプリング
22 第二シールピストン
23 第二アクチュエータ
24 第二シールガスケット
25 第三スプリング
26 第二絞りベース
27 第四スプリング
28 第三シールピストン
29 第五スプリング
30 第三絞りベース
31 第六スプリング
32 制御摺動ピストン
【国際調査報告】