(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】導管体を通って流れる流体の温度を特定する方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01K 1/143 20210101AFI20241114BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20241114BHJP
G01K 13/02 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
G01K1/143
G01K1/14 E
G01K13/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527350
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022073544
(87)【国際公開番号】W WO2023083512
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021129342.1
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523173209
【氏名又は名称】ジーカ・ドクトル・ジーベルト・ウント・キューン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フリードリヒス・レーネ
(72)【発明者】
【氏名】ツァンダー・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】アルバッハ・マリア
(72)【発明者】
【氏名】ブレトハウアー・アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056CA01
2F056CA14
2F056CA15
2F056CE01
2F056WF01
2F056WF05
2F056WF08
(57)【要約】
本発明の主題は、導管体(1)を通って流れる流体(F)の温度を特定する方法であり、少なくとも以下のステップを含む: - 導管体(1)の熱モデルであって、流体温度の既知の時間的な推移から、導管体(1)の外面の測定部位の表面温度の時間的な推移を計算するのに適している熱モデルを作成し、 - 次のステップを継続的に反復する: i. 流体温度の推定値に基づいて、熱モデルを用いて導管体(1)の外面の測定部位の表面温度を計算し、 ii. 導管体(1)の外面の測定部位の表面温度を測定し、 iii. 流体温度の推定値を修正し、上記の熱モデルにおいて、流体温度の修正された推定値に基づくと、測定された表面温度が最も尤もらいしいものであるようにし、 iv 流体温度の修正された推定値を出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管体(1)を通って流れる流体(F)の温度を特定する方法であって、
少なくとも以下の;
- 前記導管体(1)の熱モデル(1000)であって、流体温度の既知の時間的な推移から、前記導管体(1)の外面の測定部位の表面温度の時間的な推移を計算するのに適している熱モデル(1000)を作成するステップと、
- 以下の;
i. 流体温度の推定値に基づいて、前記熱モデル(1000)を用いて前記導管体(1)の外面の前記測定部位の表面温度を計算し、
ii. 前記導管体(1)の外面の前記測定部位の表面温度を測定し、
iii. 流体温度の前記推定値を修正し、前記熱モデル(1000)において、流体温度の修正された前記推定値に基づくと、測定された前記表面温度が最も尤もらしいものであるようにし、
iv 流体温度の修正された前記推定値を出力する、
ステップを継続的に反復するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記熱モデル(1000)を作成するために、有限要素法を用いて熱伝導方程式の数値解を特定し、導管体(1)の外面および内面における熱伝導方程式の境界条件を設定するために、対流熱伝達および/または熱放射を考慮に入れることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記熱モデル(1000)を作成するために、流体温度の時間的な推移と、前記導管体(1)の外面の前記測定部位の表面温度の時間的な推移とを同時に測定することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法において、
前記熱モデル(1000)を動的な伝達システムとして状態空間表現で定式化し、前記熱モデル(1000)の状態空間表現により、表面温度の継続的な計算を実行することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
状態空間表現で前記熱モデル(1000)を定式化するために、以下の;
- 前記流体(F)の様々な体積流量における流体温度の調和変動の様々な周波数に対する前記熱モデル(1000)の周波数応答を計算し、
- 曲線あてはめを実行することで、前記周波数応答を伝達関数によりモデル化し、
- 前記伝達関数を逆ラプラス変換することにより、対応する線形の微分方程式を決定し、
- 前記微分方程式を一次の連立微分方程式系に書き換えることにより状態空間表現を取得する
ステップを実行することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記伝達関数は、3乃至5個の極および/または零を有していることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の方法において、
流体温度の前記推定値を修正するために、カルマンフィルタを用いることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の方法において、
前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位の表面温度の継続的な測定を、前記測定部位に熱的に接触する温度センサ(21)を有する装置(2)を用いて実行し、前記導管体(1)の熱モデル(1000)を作成する際には、前記装置(2)を考慮に入れる
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の方法において、
前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位の表面温度の前記継続的な測定を、少なくとも2Hzのサンプリングレートで実行することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の方法において、
継続的な測定により前記導管体(1)を通る前記流体(F)の体積流量を決定し、測定された体積流量の推移を、表面温度の推移を計算する際に考慮に入れることを特徴とする方法。
【請求項11】
導管体(1)を通って流れる流体(F)の温度を特定するシステム(100)であって、請求項1から10のいずれかに記載の方法を実行するように形成され、少なくとも;
- 前記導管体(1)の前記外面の測定部位の表面温度を測定する装置(2)と、
- 表示装置(5)を備えた計算ユニット(3)であって、
i. 流体温度の推定値に基づいて、前記熱モデル(1000)を用いて前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位の表面温度を計算し、
ii. 流体温度の前記推定値を修正し、前記熱モデル(1000)において、流体温度の修正された前記推定値に基づくと、測定された表面温度が最も尤もらしいものであるようにし、
iii. 流体温度の修正された前記推定値を前記表示装置(5)に出力する
計算ユニットと、
を有するシステム(100)。
【請求項12】
請求項11に記載のシステム(100)において、
表面温度を測定する前記装置(2)は、温度センサ(21)、特に熱電対または白金測定抵抗体を備え、当該温度センサは、前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位に熱的に接触しているとともに、前記導管体(1)の周囲から断熱材(22)により断熱されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11または12に記載のシステム(100)において、
前記導管体(1)を通る前記流体(F)の体積流量を測定する装置(4)を備えていることを特徴とするシステム(100)。
【請求項14】
請求項13に記載のシステム(100)において、
前記流体(F)の体積流量を測定する前記装置(4)は、電磁流量計として形成されていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導管体を通って流れる流体の温度を特定する方法並びに本発明による方法を実行するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパイプなどの導管体の内側を流れる流体の温度を特定することは、数多くの工業プロセスの周辺でしばしば問題となる。この場合、非侵襲的で間接的な温度測定を実行すること、つまり、とりわけ流体内に突き出た温度センサを使わないようにすることが、有利或いは必要となる場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1および特許文献2は、中に流れのある管の外面に配置するように設けられた、流体の温度の尺度として管外面の温度を測定する接触型温度測定子を開示する。このように外側に配置することにより、有利にも、プロセスを中断することなく、温度測定子を交換することが可能になる。その上、このような非侵襲式の温度測定は、表面に堆積物が形成される可能性のある、しかも、管内壁の清掃(ピギング)の際に邪魔になる障害物が、流れている流体の中に突き出ないので、衛生的にも利点がある。加えて、管における密封箇所がなくなり、これが、高圧且つ高温のプロセスにとりわけ有利である。さらに、非侵襲式の温度測定により、流れている流体の中に望ましくない乱流や圧力損失を生じさせることがない。その一方で、管外側での温度測定の精度が、管内部の流体の真の温度に関して極めて低いのが欠点である。接触型温度測定子を用いることで決まる管の温度は、せいぜい、流体の温度、特に変動する温度の推移をおおまかに近似するものでしかない。このとき、その違いは、管の壁厚が厚くなればなるほど、管の熱伝導率が小さくなればなるほど、そして、流体のレイノルズ数が小さくなればなるほど、ますます大きくなる。
【0004】
また、特許文献3は、媒体の温度を特定するセンサであって、第一の熱応答特性を有する第一の温度センサと、第一の熱応答特性とは異なる第二の熱応答特性を有する少なくとも一つの第二の温度センサとを有し、これら両方の温度センサの間に一定の熱抵抗が存在し、これらの温度センサの信号差が媒体の温度を算出するための基礎として用いられるセンサを開示する。この場合の欠点は、少なくとも二つの温度センサを使用しなければならないことと、測定場所において実際に支配的な条件に、測定セットアップを十分に適合させられないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017116533号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10029186号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102017116505号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、非侵襲式の簡単な測定を前提としつつ、特に温度の動的な推移を特定するのに適した、導管体を通って流れる流体の温度を特定する代替的な方法およびそれに対応するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1および12に係る方法およびシステムに基づいて解決される。本発明の有利な発展態様は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明は、導管体を通って流れる流体の温度を特定する方法が、少なくとも以下のステップを含むという技術的な教示を含む:
- 導管体の熱モデルであって、流体温度の既知の時間的な推移から、導管体の外面の測定部位の表面温度の時間的な推移を計算するのに適している熱モデルを作成し、
- 以下のステップを継続的に反復する:
i. 流体温度の推定値に基づいて、熱モデルを用いて導管体の外面の測定部位の表面温度を計算し、
ii. 導管体の外面の測定部位の表面温度を測定し、
iii. 流体温度の推定値を修正し、上記の熱モデルにおいて、流体温度の修正された推定値に基づくと、測定された表面温度が最も尤もらしいものであるようにし、
iv 流体温度の修正された推定値を出力する。
【0009】
本発明の核心的な考え方は、導管体の外面で測定された温度の推移を、熱モデルを用いた計算から得られる対応する推定値と比較し、推定された温度の推移が、測定された温度の推移に収束するときに、計算の基礎とした流体温度の推移も、真の流体温度の推移に収束すると考える点にある。本発明による方法は、
図1に示すような制御ループとほぼ同じである。導管体1と、そこを通って流れる流体Fとからなる物理的な系は、熱モデル1000になぞらえられる。流体温度T
Fの時間的な推移を特定しなければならないところ、測定技術的には、管体1の外面上の表面温度T
Sの時間的な推移が検出される。流体Fの既知の体積流量νと、適宜選択された推定された流体温度T^
Fの初期値とに基づいて、熱モデル1000を用いて表面温度T^
Sの計算値が計算される。その後、時間ステップ毎に、測定された表面温度T
Sが、推定された表面温度T^
Sと比較され、その比較に基づいて、コントローラRによるフィードバックループが実行され、このコントローラRが、推定された流体温度T^
Fの修正値を作成してそれを熱モデル1000に引き渡す。推定値T^
Fを真の値(真値)T
Fに速く収束させることは、以下に詳細に説明するように、例えばカルマンフィルタの形態によるコントローラRを用いて実現することができる。推定された流体温度T^
Fの修正値は、その後、決定されなければならない真の流体温度T
Fの尺度として出力される。特に、本発明によれば、平均の流体温度が特定される、つまり、流れの断面内に場合によっては存在することもある温度勾配が均される。
【0010】
本発明による方法の有利な実施形態では、熱モデルを作成するとき、有限要素法を用いて熱伝導方程式の数値解を特定し、導管体の外面および内面における熱伝導方程式の境界条件を設定するために、対流熱伝達および/または熱放射を考慮に入れる。
熱伝導方程式は次のとおりである:
【数1】
ここで、温度T、密度ρ、比熱容量c、熱伝導率λおよび熱源密度fである。流体と導管体内面との間並びに周囲と導管体外面との間の伝熱については、熱伝導方程式を積分する際に、対流および/または放射から境界条件が定められる。対流に関しては、熱流速密度に対して次を手がかりにする:
【数2】
ここで、熱伝達係数αであり、この係数は、特に、導管体内面に向かう境界層内部の流体の流れの状態に依存する。熱伝達係数を定量化する出発点となるのがヌセルト数である:
【数3】
ここで、流体の熱伝導率λ
Fおよび代表長さLであり、この長さは、具体的な流れの状況と導管体の形状に応じて適宜選択される。特に、ヌセルト数は、強制対流が存在するときには、レイノルズ数とプラントル数の関数として、或いは、自然対流の場合には、グラースホフ数とプラントル数を用いて適宜与えられる。特に、専門文献において、多数の導管体形状について経験的に特定されたヌセルト数の表現が公知となっている。
【0011】
放射と吸収による導管体の表面での伝熱を考慮に入れるために、導管体は、例えば、灰色体として簡略化して記述することができる。
【0012】
導管体の外面の測定部位の表面温度を測定するために、導管体の外面に熱的に接触する温度センサを備えた装置を用いるのであれば、この装置も含めるように導管体の熱モデルを拡張することが好ましい。例えば、温度センサに流れる測定電流が抵抗損失を生じそうなら、熱伝導方程式を解く際には、相応の熱源密度を考慮に入れるようにする。
【0013】
熱モデルは、特に、中を流れる流体の体積流量の広い数値範囲に対して作成される。先に述べたことを背景にすれば、熱モデルの作成時に、あらゆる流体(液体、気体)並びにあらゆる異なる形状および材料若しくは材料の組み合わせの導管体を本発明により考慮できることが、当業者にとって当然であることに変わりはない。
【0014】
熱伝導方程式の数値解を用いて熱モデルを作成することに代えて或いは加えて、熱モデルを作成するために、流体温度の時間的な推移と、導管体の外面の測定部位の表面温度の時間的な推移とを同時に測定してもよい。この場合、流体温度の時間的な推移は、カバーする温度範囲および時間的な温度勾配に関して、具体的に存在する用途に適宜適うように予め設定することが好ましい。さらに、様々な流体体積流量若しくは体積流量の時間的な推移を予め設定してもよい。
【0015】
本発明による方法の有利な実施形態において、熱モデルを動的な伝達システムとして状態空間表現で定式化し、熱モデルの状態空間表現により、表面温度の継続的な計算を実行する。動的な伝達システムとはここで、入力信号を出力信号として伝送若しくは変換するプロセスの数学モデルを指し、この場合には、流体温度の時間的な推移を入力信号とみなし、導管体の外面の測定部位の表面温度の対応する推移を出力信号とみなす。伝達システムの状態空間表現は、時間領域におけるシステム解析に特に適し、制御工学的に取り扱う場合に特に効率的である。状態空間表現では、入力変数、出力変数および状態変数の全ての関係が、行列とベクトルの形で表現される。
【0016】
例えば、状態空間表現で熱モデルを定式化するために、以下のステップを実行する:
- 流体の様々な体積流量における流体温度の調和変動の様々な周波数に対する熱モデルの周波数応答を計算し、
- 曲線あてはめを実行することで、周波数応答を伝達関数によりモデル化し、
- 伝達関数を逆ラプラス変換することにより、対応する線形の微分方程式を決定し、
- 微分方程式を一次の連立微分方程式系に書き換えることにより状態空間表現を取得する。
【0017】
周波数応答を計算するために、特に、正弦波形の温度推移を入力信号として熱モデルに入力すると、定常出力信号は、導管体の外面における計算による表面温度の推移に対応する。入力信号の周波数はここで、例えば、10
-3Hzから10Hzの範囲で調和的に変動(調和変動)させる。さらに、周波数応答は、複数の異なる流体体積流量に対して計算することが好ましい。
図2は、計算による周波数応答(十字記号)の位相応答の例を、伝達関数(実線)を用いた曲線あてはめの結果としての対応するモデル化とともに示している。本発明による方法において継続して実行される計算ステップを熱モデルを用いて迅速に実行できるようにするために、モデル化に用いられる伝達関数は、3乃至5個の極および/または零を有していることが好ましい。
図2の例に示された伝達関数は、四つの対応する時定数θ,τ
1,τ
2およびτ
3を有し、次のとおりである:
【数4】
逆ラプラス変換により、次の微分方程式が得られる:
【数5】
ここで、u(t)=T
F(t)(流体温度)、q(t)=T
S(t)(表面温度)であり、
【数6】
である。置き換え:
【数7】
により、上記の微分方程式は、一次の連立微分方程式系に書き換えられ、その結果、本例の熱モデルの状態空間表現は;
【数8】
となる。ここで、行列MおよびGの成分は、微分方程式の数値的または解析的な積分により特定されて保存され、それにより、その成分は、本発明による方法を実行するとき、つまり、流体温度の推定される推移に基づいて、熱モデルを用いて例えばマイクロコントローラまたはその他のコンパクトな電子データ処理ユニット上で表面温度の推移を計算するときに、極めて速い計算を可能にするのに利用できるようになっている。特に、行列成分は、様々な流体体積流量νについて特定され、つまり、M(ν)およびG(ν)として保存される。
【0018】
適切な時間増分Δtによる複数の時刻t
n+1=t
n+Δtについて温度ダイナミクスを離散時間モデル化するために、熱モデルの状態空間表現を、線形差分方程式
【数9】
を用いて、状態
【数10】
について定式化する。
【0019】
流体温度の推定値を修正するには、カルマンフィルタを用いることが好ましい。カルマンフィルタは、誤差を含んだ観測に基づいてシステムの状態を記述するパラメータを反復的に推定する数学的方法であり、直接的に測定できないシステムの変数を推定するのに利用される一方、測定の誤差は最適に低減される(例えば、“Indirect Measurement of the temperature via Kalman filter”, XVIII IMEKO World Congress, Metrology for a Sustainable Development, 17th - 22nd Sept. 2006, Rio de Janeiro, Brazil参照)。動的な変数の場合、システム変数間の動的な関係を考慮に入れるために、数学モデル(ここでは導管体の熱モデル)を補助的な条件として付け加えることができる。カルマンフィルタは、本発明による方法の考え方では、導管体の外面の、誤差を含む表面温度の測定から、直接的に測定できない流体温度を最良に推定するために用いられ、すなわち、推定された流体温度の推移を修正し、上記の熱モデルにおいて、その修正された流体温度の推移に基づくと、測定された表面温度の推移が最も尤もらしいものであるようにするために用いられる。
【0020】
そのために先ず、拡張された状態ベクトル
【数11】
(本明細書中、y
→(t
n)とも表記する。)
の成分y
m(t
n)として、未知の流体温度T
F(t
n)を、y
→(t
n)の対応する誤差の共分散行列
【数12】
とともに考慮する。体積流量に依存する、予測ステップのためのカルマンフィルタの遷移行列は、状態y(t
n)を状態y(t
n+1)に遷移させる行列であり、然るべく
【数13】
となる。推定された表面温度のダイナミクスは、熱モデルでは完全に決定論的であるものの、現実の流体温度のダイナミクスは、決定論的ではないため、カルマンフィルタのプロセスノイズの行列
【数14】
の最後の成分q
m,mは、ゼロに等しくない値を有している。この厳密に正の値の大きさは、流体温度T
F(t
n)のプロセスノイズの分散に対応する。
【0021】
カルマンフィルタを使用する場合、表面温度の測定において得られる測定値z(t
n)は、分散Rのノイズにより乱されることを考慮に入れる必要がある。表面温度の測定のみが行われる場合、観測行列は、
【数15】
となり、その結果、
【数16】
となる。
【0022】
カルマンフィルタを使用して、時刻t
nにおける流体温度y
m(t
n)=T
F(t
n)を推定するときの手順は、好ましくは以下のステップを含む:
0. n=0とし、好ましくは、時刻t
0において決定された表面温度T
S(t
0)の測定値z(t
0)を用いて、例えば、測定ノイズの分散Rの値とプロセスノイズq
m,mの値とともに状態ベクトルy
→(t
0)および対応する共分散行列P(t
0)の初期化を行なう:
【数17】
1. 時刻t
n+1における(例えば測定による)流体体積流量νを設定し、対応する遷移行列A(ν)を特定する。遷移行列A(ν)の成分は、重要な体積流量について事前に特定されてメモリに格納されていることが好ましい。
2. カルマンフィルタの計算のルールに従って、新しい状態y
→-(t
n+1)および新しい共分散行列P
-(t
n+1)を予測する:
【数18】
(y
→-(t
n+1)とも表記する。)
および
【数19】
(P
-(t
n+1)とも表記する)
3. 時刻t
n+1における表面温度T
S(t
n+1)の測定値z(t
n+1)を決定する。
4. カルマンゲイン行列
【数20】
を用いて、
【数21】
および
【数22】
のルールに従って、予測された新しい状態と新しい共分散行列を修正する。
5. 現在の流体温度T
F(t
n+1)として状態ベクトルの成分y
m(t
n+1)を出力する。
6. n=n+1とし、ステップ1に戻る。
【0023】
カルマンフィルタを用いることで、特に、修正された予測状態が流体温度の推定値を含み、それに基づくと、上記の熱モデルでは、測定された表面温度が最も尤もらしくなる。
図3は、カルマンフィルタを用いた本発明による方法の奏し得る効果を示す。この図には例えば、導管体としての円筒パイプを通って流れる流体の温度推移が、従来技術において流体温度の尺度として用いられる管の外面の表面温度の測定値の対応する推移と、本発明による方法により特定された流体温度の推定値とともに一覧される形で示されている。
【0024】
本発明による方法を用いて監視される装置の動作中に変化する変数、例えば、流体体積流量は、別個のセンサにより測定および考慮に入れることができる。例えば、変化する動作条件に合わせて、流体温度の時間的な変動の確率分布を調整することができる。特に、流体の体積流量が変化した場合には、高い確率で流体温度の変化も現れる。これは、流体の体積流量の変化に伴う流体温度の変化の確率分布の想定される分散を大きくすることにより考慮に入れることができる。
【0025】
導管体の外面の測定部位の表面温度の継続的な測定は、少なくとも2Hzのサンプリングレートで行われることが好ましい。本発明による方法の奏し得る高い効果、すなわち、この方法により特定される流体温度の低いノイズと短い応答時間には、頻繁な測定値取得、若しくは、高いサンプリングレートと低いノイズの測定値取得が有利であることが示されている。従って、表面温度は、普通なら温度測定にはどちらかといえば異常に高いとも言える、少なくとも2Hz(Δt<0.5s)のサンプリングレートで測定されることが好ましい。表面温度測定のノイズも、好ましくは、0.1K(ケルビン)(測定ノイズの標準偏差)より小さいか若しくは0.01K2(測定ノイズの分散R)よりも小さい必要があろう。
【0026】
有利な実施形態では、継続的な測定により導管体を通る流体の体積流量を決定し、測定された体積流量の推移を、表面温度の推移を計算する際に考慮に入れる。
【0027】
本発明はさらに、導管体を通って流れる流体の温度を特定するシステムであって、上述の実施形態による方法を実行するように形成され、少なくとも;
- 導管体の外面の測定部位の表面温度を測定する装置と、
- 本発明による方法の然るべきステップにより流体温度の推定値を継続的に決定および出力する表示装置を備えた計算ユニットと、
を有するシステムに関する。特に、熱モデルは、計算ユニットのメモリに格納されている。
【0028】
表面温度を測定する装置は、温度センサ、特に熱電対または白金測定抵抗体を備え、この温度センサは、導管体の外面の測定部位に熱的に接触しているとともに、導管体の周囲から断熱材により断熱されていることが好ましい。しかしながら、原理的には、例えばパイロメータに基づく他の温度測定の方法も本発明による方法の範囲内で用いることができる。
【0029】
有利な実施形態では、システムは、導管体を通る流体の体積流量を測定する装置を備え、この体積流量を測定する装置は、特に電磁流量計として形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明による方法を制御ループになぞらえて示す図である。
【
図2】計算された周波数応答の位相応答の例を、伝達関数を用いた曲線あてはめの結果としての対応するモデル化とともに示す図である。
【
図3】カルマンフィルタを用いた本発明による方法の奏し得る効果を示す図である。
【
図4】導管体を通って流れる流体の温度を、本発明による方法を実行することによって特定する本発明によるシステムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明をさらに良くするさらなる構成について、
図4を参照しながら、本発明の好ましい実施例の説明とともに以下に詳細に示す。
【0032】
図4は、導管体1を通って流れる流体Fの温度を、本発明による方法を実行することによって特定する本発明によるシステム100の概略断面図を示す。導管体1は、円筒状のパイプとして形成されている。
【0033】
システム100は、導管体1の外面の測定部位の表面温度を測定する装置2を有し、装置2は、導管体1の外面に熱的に接触している温度センサ21を備え、導管体1の周囲から断熱材22により断熱されている。温度センサ21と導管体1の接触面が外面の測定部位を定める。断熱材22は、例えば熱伝導率の低いプラスチックから形成されている。装置2は、機械的に安定な筐体で囲われており、例えば、固定具(不図示)により導管体1に圧接されている。
【0034】
このシステムはさらに、表示装置5を備えた計算ユニット3を有し、この計算ユニットは、
- 流体温度の推定値に基づいて、熱モデル1000を用いて導管体1の外面の測定部位の表面温度を計算し、
- 流体温度の推定値を修正し、熱モデル1000において、流体温度の修正されたその推定値に基づくと、測定された表面温度が最も尤もらしいものであるようにし、
- 流体温度の修正されたその推定値を表示装置5に出力する
ように形成されている。
このとき、計算ユニット5はさらに、温度センサ21並びに測定電極43,44のセンサ信号を受信して評価するように形成されている。
【0035】
加えて、システムは、導管体1を通る流体Fの体積流量を測定する装置4を備え、この装置4が、電磁流量計として形成されている。フィールドコイル41,42を用いることで、導管体1を貫く磁場を生成することができ、磁場に交差するように配置された測定電極43,44は、流体内に誘導的に生成される測定電圧を検出する用に供される。
【0036】
流体温度および流体の体積流量を同時に特定する非侵襲式の二つの測定方法の組み合わせは、本発明によるシステム100の格別な長所であり、導管体1の内部の流体の流れを邪魔することなく正確且つ持続的なプロセスの監視を可能にする。
【0037】
本発明は、その実施態様が上記の好ましい実施例に限定されない。むしろ、基本的に別の類の実施態様であっても、提示の解決手段を利用する多くの変形例が考えられる。特許請求の範囲、明細書または図面から導かれるあらゆる構造上の詳細、空間的な配置または方法の工程を含む特徴および/または長所は、個別にも様々な組み合わせにおいても、本発明に本質的なものであり得る。
【符号の説明】
【0038】
100 システム
1 導管体
2 温度測定装置
21 温度センサ
22 断熱材
3 計算ユニット
4 体積流量測定装置
41,42 フィールドコイル
43,44 測定電極
5 表示装置
1000 熱モデル
F 流体
R コントローラ
【数23】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管体(1)を通って流れる流体(F)の温度を特定する方法であって、
少なくとも以下の;
- 前記導管体(1)の熱モデル(1000)であって、流体温度の既知の時間的な推移から、前記導管体(1)の外面の測定部位の表面温度の時間的な推移を計算するのに適している熱モデル(1000)を作成するステップと、
- 以下の;
i. 流体温度の推定値に基づいて、前記熱モデル(1000)を用いて前記導管体(1)の外面の前記測定部位の表面温度を計算し、
ii. 前記導管体(1)の外面の前記測定部位の表面温度を測定し、
iii. 流体温度の前記推定値を修正し、前記熱モデル(1000)において、流体温度の修正された前記推定値に基づくと、測定された前記表面温度が最も尤もらしいものであるようにし、
iv 流体温度の修正された前記推定値を出力する、
ステップを継続的に反復するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記熱モデル(1000)を作成するために、有限要素法を用いて熱伝導方程式の数値解を特定し、導管体(1)の外面および内面における熱伝導方程式の境界条件を設定するために、対流熱伝達および/または熱放射を考慮に入れることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項
1に記載の方法において、
前記熱モデル(1000)を作成するために、流体温度の時間的な推移と、前記導管体(1)の外面の前記測定部位の表面温度の時間的な推移とを同時に測定することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項
1に記載の方法において、
前記熱モデル(1000)を動的な伝達システムとして状態空間表現で定式化し、前記熱モデル(1000)の状態空間表現により、表面温度の継続的な計算を実行することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
状態空間表現で前記熱モデル(1000)を定式化するために、以下の;
- 前記流体(F)の様々な体積流量における流体温度の調和変動の様々な周波数に対する前記熱モデル(1000)の周波数応答を計算し、
- 曲線あてはめを実行することで、前記周波数応答を伝達関数によりモデル化し、
- 前記伝達関数を逆ラプラス変換することにより、対応する線形の微分方程式を決定し、
- 前記微分方程式を一次の連立微分方程式系に書き換えることにより状態空間表現を取得する
ステップを実行することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記伝達関数は、3乃至5個の極および/または零を有していることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項
4に記載の方法において、
流体温度の前記推定値を修正するために、カルマンフィルタを用いることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項
1に記載の方法において、
前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位の表面温度の継続的な測定を、前記測定部位に熱的に接触する温度センサ(21)を有する装置(2)を用いて実行し、前記導管体(1)の熱モデル(1000)を作成する際には、前記装置(2)を考慮に入れる
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項
1に記載の方法において、
前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位の表面温度の前記継続的な測定を、少なくとも2Hzのサンプリングレートで実行することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項
1に記載の方法において、
継続的な測定により前記導管体(1)を通る前記流体(F)の体積流量を決定し、測定された体積流量の推移を、表面温度の推移を計算する際に考慮に入れることを特徴とする方法。
【請求項11】
導管体(1)を通って流れる流体(F)の温度を特定するシステム(100)であって、請求項1から10のいずれかに記載の方法を実行するように形成され、少なくとも;
- 前記導管体(1)の前記外面の測定部位の表面温度を測定する装置(2)と、
- 表示装置(5)を備えた計算ユニット(3)であって、
i. 流体温度の推定値に基づいて、前記熱モデル(1000)を用いて前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位の表面温度を計算し、
ii. 流体温度の前記推定値を修正し、前記熱モデル(1000)において、流体温度の修正された前記推定値に基づくと、測定された表面温度が最も尤もらしいものであるようにし、
iii. 流体温度の修正された前記推定値を前記表示装置(5)に出力する
計算ユニットと、
を有するシステム(100)。
【請求項12】
請求項11に記載のシステム(100)において、
表面温度を測定する前記装置(2)は、温度センサ(21)、特に熱電対または白金測定抵抗体を備え、当該温度センサは、前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位に熱的に接触しているとともに、前記導管体(1)の周囲から断熱材(22)により断熱されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項
11に記載のシステム(100)において、
前記導管体(1)を通る前記流体(F)の体積流量を測定する装置(4)を備えていることを特徴とするシステム(100)。
【請求項14】
請求項13に記載のシステム(100)において、
前記流体(F)の体積流量を測定する前記装置(4)は、電磁流量計として形成されていることを特徴とするシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
本発明は、その実施態様が上記の好ましい実施例に限定されない。むしろ、基本的に別の類の実施態様であっても、提示の解決手段を利用する多くの変形例が考えられる。特許請求の範囲、明細書または図面から導かれるあらゆる構造上の詳細、空間的な配置または方法の工程を含む特徴および/または長所は、個別にも様々な組み合わせにおいても、本発明に本質的なものであり得る。
なお、本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
導管体(1)を通って流れる流体(F)の温度を特定する方法であって、
少なくとも以下の;
- 前記導管体(1)の熱モデル(1000)であって、流体温度の既知の時間的な推移から、前記導管体(1)の外面の測定部位の表面温度の時間的な推移を計算するのに適している熱モデル(1000)を作成するステップと、
- 以下の;
i. 流体温度の推定値に基づいて、前記熱モデル(1000)を用いて前記導管体(1)の外面の前記測定部位の表面温度を計算し、
ii. 前記導管体(1)の外面の前記測定部位の表面温度を測定し、
iii. 流体温度の前記推定値を修正し、前記熱モデル(1000)において、流体温度の修正された前記推定値に基づくと、測定された前記表面温度が最も尤もらしいものであるようにし、
iv 流体温度の修正された前記推定値を出力する、
ステップを継続的に反復するステップと、
を含む方法。
2.
上記1に記載の方法において、
前記熱モデル(1000)を作成するために、有限要素法を用いて熱伝導方程式の数値解を特定し、導管体(1)の外面および内面における熱伝導方程式の境界条件を設定するために、対流熱伝達および/または熱放射を考慮に入れることを特徴とする方法。
3.
上記1または2に記載の方法において、
前記熱モデル(1000)を作成するために、流体温度の時間的な推移と、前記導管体(1)の外面の前記測定部位の表面温度の時間的な推移とを同時に測定することを特徴とする方法。
4.
上記1から3のいずれかに記載の方法において、
前記熱モデル(1000)を動的な伝達システムとして状態空間表現で定式化し、前記熱モデル(1000)の状態空間表現により、表面温度の継続的な計算を実行することを特徴とする方法。
5.
上記4に記載の方法において、
状態空間表現で前記熱モデル(1000)を定式化するために、以下の;
- 前記流体(F)の様々な体積流量における流体温度の調和変動の様々な周波数に対する前記熱モデル(1000)の周波数応答を計算し、
- 曲線あてはめを実行することで、前記周波数応答を伝達関数によりモデル化し、
- 前記伝達関数を逆ラプラス変換することにより、対応する線形の微分方程式を決定し、
- 前記微分方程式を一次の連立微分方程式系に書き換えることにより状態空間表現を取得する
ステップを実行することを特徴とする方法。
6.
上記5に記載の方法において、
前記伝達関数は、3乃至5個の極および/または零を有していることを特徴とする方法。
7.
上記1から6のいずれかに記載の方法において、
流体温度の前記推定値を修正するために、カルマンフィルタを用いることを特徴とする方法。
8.
上記1から7のいずれかに記載の方法において、
前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位の表面温度の継続的な測定を、前記測定部位に熱的に接触する温度センサ(21)を有する装置(2)を用いて実行し、前記導管体(1)の熱モデル(1000)を作成する際には、前記装置(2)を考慮に入れる
ことを特徴とする方法。
9.
上記1から8のいずれかに記載の方法において、
前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位の表面温度の前記継続的な測定を、少なくとも2Hzのサンプリングレートで実行することを特徴とする方法。
10.
上記1から9のいずれかに記載の方法において、
継続的な測定により前記導管体(1)を通る前記流体(F)の体積流量を決定し、測定された体積流量の推移を、表面温度の推移を計算する際に考慮に入れることを特徴とする方法。
11.
導管体(1)を通って流れる流体(F)の温度を特定するシステム(100)であって、上記1から10のいずれかに記載の方法を実行するように形成され、少なくとも;
- 前記導管体(1)の前記外面の測定部位の表面温度を測定する装置(2)と、
- 表示装置(5)を備えた計算ユニット(3)であって、
i. 流体温度の推定値に基づいて、前記熱モデル(1000)を用いて前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位の表面温度を計算し、
ii. 流体温度の前記推定値を修正し、前記熱モデル(1000)において、流体温度の修正された前記推定値に基づくと、測定された表面温度が最も尤もらしいものであるようにし、
iii. 流体温度の修正された前記推定値を前記表示装置(5)に出力する
計算ユニットと、
を有するシステム(100)。
12.
上記11に記載のシステム(100)において、
表面温度を測定する前記装置(2)は、温度センサ(21)、特に熱電対または白金測定抵抗体を備え、当該温度センサは、前記導管体(1)の前記外面の前記測定部位に熱的に接触しているとともに、前記導管体(1)の周囲から断熱材(22)により断熱されていることを特徴とするシステム。
13.
上記11または12に記載のシステム(100)において、
前記導管体(1)を通る前記流体(F)の体積流量を測定する装置(4)を備えていることを特徴とするシステム(100)。
14.
上記13に記載のシステム(100)において、
前記流体(F)の体積流量を測定する前記装置(4)は、電磁流量計として形成されていることを特徴とするシステム。
【国際調査報告】