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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】発光素子の予知保全
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/20 20200101AFI20241114BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20241114BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20241114BHJP
【FI】
H05B47/20
H05B47/105
H05B47/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527356
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2022081134
(87)【国際公開番号】W WO2023083811
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】21207183.1
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ケステル,ダフィト
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,フェリクス ベルノ
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA03
3K273AA08
3K273BA33
3K273BA36
3K273CA02
3K273CA04
3K273CA05
3K273DA08
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA08
3K273EA25
3K273EA35
3K273EA40
3K273FA06
3K273FA07
3K273FA08
3K273FA14
3K273GA05
3K273GA14
3K273GA18
(57)【要約】
少なくとも1つの発光素子(112)を含む少なくとも1つの発光システム(110)の動作を制御する方法が開示されている。この方法は、以下の工程:
a)発光素子(112)の少なくとも1つの電気的パラメータを少なくとも一時的に監視する工程;
b)電気的パラメータを評価し、電気的パラメータが少なくとも1つの予め設定された基準を満たすかどうかを検証する工程、及び
c)工程b)の結果に依存して、少なくとも1つの保護措置を講じる工程、
を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発光素子(112)を含む少なくとも1つの発光システム(110)の動作を制御する方法であって、該方法は、以下の工程:
a)発光素子(112)の少なくとも1つの電気的パラメータを少なくとも一時的に監視する工程;
b)電気的パラメータを評価し、電気的パラメータが少なくとも1つの予め設定された基準を満たすかどうかを検証する工程、及び
c)工程b)の結果に依存して、少なくとも1つの保護措置を講じる工程であって、該保護措置は、発光素子(112)に供給される電力を一定に維持すること、及び発光素子(112)に供給される電力を低減すること、の少なくとも一方を含む工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記保護措置が、発光素子(112)の少なくとも1つの電気的駆動パラメータを修正すること、少なくとも1つの警告情報の事項を提供すること、発光素子(112)の交換の必要性に関する情報の少なくとも1つの情報の事項を提供すること、発光素子(112)に印加される電力を修正すること、発光素子(112)のオン時間シーケンスを低減すること、発光素子(112)内の電力分布を修正すること、のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気的パラメータが、発光素子(112)の少なくとも1つの導電素子の抵抗、電圧、電流、電力のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)が、前記電気的パラメータの時間導関数を形成することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
工程b)が、少なくとも1つのフィルタを用いて前記電気的パラメータの時間的発展をフィルタリングすることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
工程b)が、発光素子(112)の残りの寿命を予測することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
工程b)が、前記電気的パラメータの時間的発展、及び前記電気的パラメータの1次又は高次導関数の少なくとも1つに学習済みモデルを適用することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
工程c)における予め設定された基準が、閾値基準、前記電気的パラメータの進行の変化、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
工程b)が抵抗を監視することを含み、工程c)における前記保護措置が、発光素子(112)に供給される電力を低減するために電圧及び電流の少なくとも一方を変更することの少なくとも一方を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
発光システム(110)が、少なくとも1つの電気的ドライバ回路(118)を更に備え、電気的ドライバ回路(118)が、発光素子(112)に少なくとも1つの電気的駆動パラメータを適用するように構成された少なくとも1つのドライバ(124)を備え、ドライバ(124)が、少なくとも1つの電源(126)と少なくとも1つの電圧制御(128)とを備え、工程c)が、電気的ドライバ回路(118)を用いて電圧を変更することを含み、電気的ドライバ回路(118)が、前記電気的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのシャント(130)を含み、シャント(130)が、少なくとも1つのシャント抵抗器(132)を含み、工程b)における電気的パラメータの監視が、シャント抵抗器(132)を用いて電流を測定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記電気的ドライバ回路(118)が、少なくとも1つのフィードバック経路(122)を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フィードバック経路(122)が、データ監視及びデータ解析の少なくとも一方のために構成された少なくとも1つの処理ユニット(136)を備え、工程b)における電気的パラメータの評価が、フィードバック経路(122)を使用することによる電気的パラメータの監視及び解析の少なくとも一方によって少なくとも1つの情報の項目を生成することを含み、工程c)における前記保護措置が情報の項目に依存する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの発光素子(112)を含む発光システム(110)であって、該発光システム(110)は、請求項1又は2に記載の方法を実行するように構成されている、発光システム(110)。
【請求項14】
発光システム(110)が、発光素子(112)を駆動するように構成された少なくとも1つの電気的ドライバ回路(118)を更に備え、電気的ドライバ回路(118)が、少なくとも1つのシャント(130)を備え、シャントが、少なくとも1つのシャント抵抗器(132)を備え、電気的ドライバ回路(118)が、少なくとも1つのフィードバック経路(122)を備え、フィードバック経路が、少なくとも1つの処理ユニット(136)を備える、請求項13に記載の発光システム(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの発光素子を含む少なくとも1つの発光システムの動作を制御する方法及び少なくとも1つの発光素子を含む発光システムに関する。一般に、このような方法及びシステムは、様々な用途に採用することができる。特に、このような方法及びシステムは、例えば分光学の分野で採用することができる。これには、具体的には、可視光スペクトル又は赤外スペクトル、より特定的には近赤外スペクトル又は中赤外スペクトルで動作する分光計が含まれる。これは更に、フーリエ変換赤外(FTIR)装置又はガス分光法を含んでも良い。更に、本発明の方法及びシステムは、白色光干渉法等の干渉法の用途にも採用されて良い。従って、このような方法及びシステムは、特に研究室での測定に使用されて良い。とはいえ、アットライン測定やインライン測定を含む産業環境でも使用されて良い。また、これらは消費者環境、例えば空気品質測定にさえ使用されても良い。更に、自動車分野や家庭用電化製品などの照明用途や、信号伝達用にも使用されて良い。典型的には、このような用途は、例えば安全問題や健康問題に関連することが多い。しかし、さらなる種類の適用も可能である。
【背景技術】
【0002】
発光素子は劣化しやすいため、寿命が限られている。特定的には、機械的負荷や熱負荷による経年劣化が、発光素子の材料構造に影響を及ぼし得る。その結果、発光素子は予告なしに故障又は破損し得る。発光素子用、例えば白熱ランプ用の標準的なドライバでは、直流電源が発光素子に一定の直流電圧(DC)を供給する。その結果、出力電力は単に発光素子の抵抗値、及び従ってその温度に依存する。
【0003】
特許文献1(JP3300173B2)には、直流回路を介した過電流の検出により、入力電源電圧の変動をキャンセルして過電流を検出することができる過負荷検出装置及び白熱灯制御装置が開示されている。商用電源電圧の瞬時値を瞬時値検出回路で検出し、負荷電流を変流器で電圧に変換して過電流検出器に導く。過電流検出器は、瞬時値が予め設定された電圧に達したとき、変流器の出力電圧がしきい値以上であるか否かに依存して過電流を検出し、及びその結果を位相制御回路に出力する。位相制御回路では、過電流検出時に白熱灯が半波長点灯するようにトライアックにゲート制御信号を出力する。
【0004】
特許文献2(US 2012/105228 A1)は、照明ユニット用に所望の警告信号を提供する方法及び装置を記載している。検出モジュールと信号生成モジュールを採用したコード化警告システムが提供され、検出モジュールは、照明ユニットの1つ又は複数の動作パラメータの検出に関する情報を取得するように構成され、信号生成モジュールは、動作パラメータの1つ又は複数が異常動作パラメータであると判定された場合に、複数の警告信号から選択された所望の警告信号を生成する。複数の警告信号の各警告信号は、特定の異常動作パラメータ又は特定の異常動作パラメータの既知の組み合わせを示している。
【0005】
特許文献3(EP 2 051 567 A1) は、複数の照明素子と、照明素子の少なくとも一部の明るさを調整するための出力を備えた調光可能な電源装置とを含む照明ユニットの動作を制御するための方法を記載している。この方法は、少なくとも1つの調光設定について、照明素子の吸収の関数として、少なくとも1つの実際的な電気的パラメータが測定され、測定された電気的パラメータが、少なくとも1つの以前に記憶された理論値と比較されることを提供する。
【0006】
特許文献4(US 2021/173014 A1)には、制御装置を用いて、電気変換回路の自己テストを実施する方法が記載されており、これは予め設定された電気動作変数が予め設定されたの開始値を有する既知の動作点から進行し、変換回路が動作することによって測定サイクルが開始されるものである。追加的にここでは、測定サイクルの開始からの時間が検出され、及び電気動作変数と時間が自己テストの2つの監視変数を構成する。測定サイクルは、2つの監視変数のうちの1つが終了基準を満たした場合に終了する。次に、測定サイクルの終了時に、2つの監視変数のうちのもう一方の測定値からテスト値が形成され、及びテスト値が予め設定された基準区間外にあるか否かを確定するためにチェックがなされます。その場合には、エラー信号が生成される。
【0007】
特許文献5(US 6 320 331 B1)には、電荷結合素子(CCD)イメージセンサとモニタを有するビデオ内視鏡システムに使用される光源装置が記載されている。光源装置は、CCDイメージセンサによって撮像され、モニタに表示されるシーンに照明を提供する。光源装置は、光源として機能する放電ランプを含む。ランプは使用中に徐々に劣化し、与えられた入力電流レベルが達成可能な出力光強度は、ランプの寿命を通じて徐々に低下する。ランプに供給される電流は、ランプの出力光強度を実質的に固定された所望の光強度レベルに維持するように、フィードバック制御技術を用いて制御される。
【0008】
特許文献6(US 2017/347413 A1)には、照明器具のサージから保護するための装置及び方法が記載されている。例えば、照明器具と共に使用するためのコントローラが提供される。コントローラは、電圧又は電流のサージを感知するように構成された第1の回路を含むことができる。コントローラは、電圧又は電流のサージを感知した第1の回路に応答してリレーを切り替えるように構成された第2の回路を更に含むことができる。
【0009】
特許文献7(US 2011/187271 A1) は、照明器具の故障を検知し、複数の照明器具のエネルギー効率を高めるシステムと方法を説明している。システムは、複数の照明制御モジュールとゲートウェイを含む。照明制御モジュールは、照明器具の消費電力に基づいて、電球又は安定器の故障をゲートウェイに警告する。光制御モジュールは、突然の故障、遅い故障、剥離故障、スタックしたリレー故障、及び起動失敗を示すことができる。照明制御モジュールは、1つ以上の照明器具の近傍の明るさと占有率をそれぞれ測定するためのフォトセンサーと占有センサーを含むことができる。ゲートウェイは、周囲温度の変化に基づいて、及び近傍の照明器具の消費電力に基づいて、照明制御モジュールに動作指示を配信することができる。
【0010】
特許文献8(WO 2018/062989 A2)には、少なくとも1つのLED負荷及びドライバを含む複数のランプユニットと、ランプユニットの少なくとも1つの動作パラメータを遠隔監視し、監視されたパラメータが所定の範囲外であることを検出したときにサービス要員のための警告信号を生成するように適合された中央監視装置と、中央監視装置に情報を通信するための通信手段とを備える温室用の照明システムが記載されている。ランプ・ユニットのグループが共通の主電源供給ラインによって供給される場合、システムは、共通供給ラインに流れる実際の電流を示す電流センス信号を中央監視装置に通信するために、共通供給ライン内又は共通供給ラインに配置された電流センサーを含むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】JP3300173B2
【特許文献2】US 2012/105228 A1
【特許文献3】EP 2 051 567 A1
【特許文献4】US 2021/173014 A1
【特許文献5】US 6 320 331 B1
【特許文献6】US 2017/347413 A1
【特許文献7】US 2011/187271 A1
【特許文献8】WO 2018/062989 A2 公知の発光素子によって達成された利点にもかかわらず、様々な技術的課題が依然として残っている。特定的には、発光素子の故障を確実に予見することができず、その結果、予防措置を講じることができない。その結果、発光素子のメンテナンスが困難になり、発光素子の寿命が短くなる可能性がある。具体的には、発光素子が予告なく破損する可能性がある。そのため、発光素子の動作や使用に悪影響を及ぼしたり、意図せずに発光素子の動作や使用が中断されたりする可能性がある。特に、安全や健康への応用に関しては、深刻な悪影響を伴う可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決すべき問題
従って、少なくとも1つの発光システムの動作を制御する方法、及び同様の種類の既知の方法及びシステムの上述の欠点を克服する対応する発光システムを提供することが望ましい。具体的には、その方法及びシステムは、発光素子の信頼性の高い動作及び長寿命を確保するのに適したものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
概要
この問題は、独立請求項の特徴を有する、少なくとも1つの発光素子を含む少なくとも1つの発光システムの動作を制御する方法及び少なくとも1つの発光素子を含む発光システムによって対処される。独立した態様で、又は任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項及び明細書全体に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つの発光素子を含む少なくとも1つの発光システムの動作を制御する方法が開示される。
【0015】
本明細書で使用される「制御する(controlling)」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つの実体を監視、調節、調整、適合、修正、及び操作することの少なくとも1つの動作を表して良い。具体的には、発光システムの動作は、恒久的に又は少なくとも一時的に監視され、必要に応じて又は所望に応じて適合されても良い。従って一例として、少なくとも1つの予め設定された値を安定又は一定に保つために、動作を調節することができる。加えて、又は代替的に、一例として、少なくとも一つの新しい予め設定された値を設定するために、動作を変更されても良い。一例として、発光システムの発光素子に印加される電力、より具体的には電圧及び/又は電流を、必要又は所望に応じて監視し、適合させても良い。
【0016】
本明細書で使用される「光」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、具体的には、限定されないが、通常、「光学スペクトル範囲」と呼ばれ、可視スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲及び赤外スペクトル範囲のうちの1つ又は複数を含む電磁放射線の区分を表しても良い。ここで、「紫外線スペクトル範囲」という用語は一般に、1nm~380nm、好ましくは100nm~380nmの波長を有する電磁放射線を表す。更に、本書の日付時点で有効なバージョンの規格ISO-21348の一部に従って、「可視スペクトル範囲」という用語は、一般に、380 nmから760 nmのスペクトル範囲を指す。「赤外スペクトル範囲」(IR)という用語は、一般に760nmから1000μmの電磁放射を指し、760nmから1.5μmの範囲は通常「近赤外スペクトル範囲」(NIR)と表記され、1.5μmから15μmの範囲は「中赤外スペクトル範囲」「MidIR」と表記され、15μmから1000μmの範囲は「遠赤外スペクトル範囲」(FIR)と表記される。好ましくは、本発明の典型的な目的に使用される光は、赤外(IR)スペクトル範囲の光であり、より好ましくは、近赤外(NIR)及び中赤外スペクトル範囲(MidIR)の光であり、特に1μm~5μm、好ましくは1μm~3μmの波長を有する光である。
【0017】
本明細書で使用される「システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特に限定されないが、全体を形成する相互作用又は相互依存する構成要素又は部品の任意の集合を指す場合がある。具体的には、構成要素は、少なくとも1つの共通機能を果たすために互いに相互作用しても良い。少なくとも2つの構成要素は、独立して取り扱われても良いし、結合又は接続可能であっても良い。
【0018】
ここで使用される「発光システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は限定するものではないが具体的には、例えば所定のスペクトル及び/又は所定の強度を放出することによって、制御された態様で、具体的には光を放出するように構成された、少なくとも、しかし必ずしも排他的に構成されたものではないシステムを、表すことができる。一例として、発光システムは、例えば発光に関連するデータを測定し、任意選択でデータを外部装置及びユーザの少なくとも一方に提供するように更に構成することが可能である。一例として、発光システムは、例えば少なくとも1つのインターフェースを用いて、外部装置及びユーザの少なくとも一方から、例えば発光に関連する指示を受信するように更に構成されても良い。前述のように、発光システムは、少なくとも1つの発光素子を備える。従って発光システムは、発光素子を用いて発光するように具体的に構成しても良い。
【0019】
本明細書で使用する「発光素子」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は特定的には、特に赤外スペクトル範囲、すなわち赤外光を放出するように構成されたデバイスを限定することなく示しても良い。一例として、発光素子は、熱加熱により発光するように構成されても良く、及び/又は少なくとも1つの熱放射体であってもよく、又は少なくとも1つの熱放射体を含んでいても良い。このような熱加熱は、特定的には、例えば抵抗器を加熱するために、発光素子に電力を印加することによって誘導されてもよい。従って発光素子は、少なくとも1つの電気接続部及び/又は少なくとも1つのフィラメントを含んでいても良い。追加的に、又はその代わりに、発光素子は、発光ダイオード及びレーザーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいても良い。更なる種類の発光素子も適していて良い。
【0020】
この方法は、以下の方法工程を含む:
a)発光素子の少なくとも1つの電気的パラメータを少なくとも一時的に監視する工程;
b)電気的パラメータを評価し、及び電気的パラメータが少なくとも1つの予め設定された基準を満たすかどうかを検証する工程、及び
c)工程b)の結果に依存して、少なくとも1つの保護措置を講じる工程。
【0021】
工程a)~c)は、与えられた順序で行うことができる。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。更に、1つ以上の方法工程(ステップ)を1回又は繰り返し行っても良い。更に、2つ以上の方法工程を同時に又は適時に重複する態様で行っても良い。本方法は、列挙されていない更なる方法工程を含んでいても良い。
【0022】
ここで使用される「一時的」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特定的には、1回、繰り返し、又は少なくとも1回の限定された期間にわたって等、限定された時間だけ行われる工程の期間を表しても良い。この用語は特定的には、限定されるものではないが、少なくとも1つの個々の時点において、少なくとも1つの個々の時間間隔にわたって、の内の少なくとも1つで行われる工程を表しても良い。従って一例として、電気的パラメータは、予め設定された(所定の)期間が経過した後に繰り返し測定されても良い。従って「少なくとも一時的に」という用語は、一時的又は恒久的に行われる工程を表しても良い。その結果、電気的パラメータは、一時的に監視されても良いし、恒久的に監視されても良い。
【0023】
ここで使用される「電気的パラメータ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が付与されるものであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特に限定されないが、電気装置、特定的には発光素子の性能指標を表しても良い。換言すれば、電気的パラメータは、特定的には、発光素子の性能のために特徴的であっても良い。性能指標は、特定的には、少なくとも1つの測定可能な電気変数又は測定値であっても良く、又はこれらを含んでいても良い。更なる詳細及び例が以下に示される。
【0024】
ここで使される「基準(criterion)」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特定的には、少なくとも1つの決定を行うために関連する予め設定された条件及び/又は特徴を表しても良いが、限定されるものではない。基準は、現在の特徴が予め設定された特徴と等しいか等価である場合、及び/又は現在の特徴が少なくとも1つの予め設定された条件を満たすか又は満たさない場合に、満たされても良い。基準が満たされた場合にのみ、対応する決定が行われても良く、例えば対応するアクションが行われても良い。以下に、更なる詳細と例を示す。
【0025】
本明細書で使用される「保護措置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特定的には、限定するものではないが、少なくとも1つの実体、特定的には発光素子の保護に役立つ措置(作用)を表しても良い。従って保護措置(セーフガード動作)を行うことにより、発光素子の失敗(故障)に特定的に対抗することができる。従って、保護措置をとることにより、発光素子の寿命が延長され、及び/又は発光素子の信頼性が向上し、及び/又は発光システムの保守が容易になる可能性がある。以下に、更なる詳細及び実施例を示す。
【0026】
保護措置は、特定的には、発光素子の少なくとも1つの電気的駆動パラメータを修正すること、少なくとも1つの警告情報の項目、特定的には、発光素子の残りの寿命を示す少なくとも1つの警告情報の項目を提供すること、発光素子の交換の必要性に関する少なくとも1つの情報の項目を提供すること、発光素子に印加される電力を修正すること、発光素子のオン時間シーケンスを低減すること、発光素子内の電力分布を修正すること、(これらは例えば、分圧器、ポテンショメータ、調整可能なスイッチング電源及び調整可能なリニアレギュレータの少なくとも1つを使用することによる)のうちの少なくとも1つを含んで良い。発光素子のオン時間シーケンスの低減は、発光素子を使用して行われる測定の数、測定の時間率、及び測定の時間長のうちの少なくとも1つを含んでも良い。一例として、発光素子は例えば、1日に5回使用される代わりに、1日に1回のみ使用されても良い。本明細書で使用される「電気的駆動パラメータ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、少なくとも1つの実体(エンティティ)、特定的には発光素子を駆動又は供給するために指定された電気的パラメータを表しても良い。従って、電気的駆動パラメータは、特定的には、発光素子に適用される電力、電圧及び電流のうちの少なくとも1つをしても良い。
【0027】
電気的パラメータは、特定的には、以下のうちの少なくとも1つを含むことができる:発光素子の少なくとも1つの導電性要素、特定的には発光素子のフィラメントの抵抗;電気電圧、特定的には発光素子の少なくとも1つの導電性要素、特定的には発光素子のフィラメントの電圧降下;電流、特定的には、発光素子の少なくとも1つの導電素子を流れる電流、又は発光素子のドライバを流れる電流、具体的には、発光素子のフィラメントを流れる電流;電力、特定的には、発光素子の少なくとも1つの部分、特定的には、発光素子のフィラメントに印加される電力。
【0028】
工程b)は、電気的パラメータの時間導関数を形成することを含んでも良い。従って工程b)は、電気的パラメータの時間導関数(微分)を評価することを含んでも良い。言い換えれば、工程b)は、電気的パラメータの時間的変化を評価することを含んでいても良い。更に、工程b)は、電気的パラメータの時間導関数が少なくとも1つの予め設定された基準を満たすかどうかを検証することを含んでも良い。言い換えれば、工程b)は、電気的パラメータの時間的変化が少なくとも1つの予め設定された基準を満たすかどうかを検証することを含んでも良い。一例として、工程b)は、電気的パラメータ、例えば発光素子のフィラメントの抵抗の時間的変化が予め設定された閾値よりも速いかどうかを検証することを含んでも良い。
【0029】
工程b)は、少なくとも1つのフィルタを用いて電気的パラメータの時間的発展をフィルタリングすることを含んでも良い。ここで使用されるその文法的変形を含む「フィルタ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。特定的には、この用語は特に限定されないが、信号又は信号の少なくとも一部を、特定的には信号の周波数、信号の振幅、及び信号の位相のうちの少なくとも1つに依存して変更又は操作するように構成されたエンティティ(存在物)を表しても良い。より特定的(具体的)には、フィルタは、信号又は信号の一部、特定的にはノイズ又は信号の他の望まれない部分を抑制又は少なくとも弱めるように構成されても良い。フィルタはアナログであっても良い。フィルタは、バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタのうちの少なくとも1つを含んでも良い。フィルタはデジタルであっても良い。フィルタは、特定的には、少なくとも1つのサヴィツキー-ゴレイフィルタ(Savitzky-Golay filter)を含んでも良い。フィルタは、信号又は信号の一部を平滑化するように構成されても良い。フィルタは、信号又は信号の一部から異常値を除去するように構成されても良い。
【0030】
工程b)は、例えば、発光素子のフィラメントの抵抗値の増加の特徴的なタイムスケールから、発光素子の残りの寿命を予測することを含んでも良い。一般に、抵抗値は、発光素子の寿命にわたって連続的に増加して良く、これは特に測定された実験データに関して更に詳細に後述されるように、一定の電力で調整される白熱ランプの場合についてである。典型的には、抵抗値は、最初は直線的に増加し、発光素子の寿命の終わりが近づくにつれて指数関数的に増加し得る。寿命の終わりには、抵抗値は典型的には急激に減少し得る。この時点で、発光素子に印加される電力は、通常、規制されていなければ急激に増加し、発光素子に印加される電力が大きすぎるために発光素子が焼損してしまう。従って当業者は、一例として、監視された抵抗の時間的増加から発光素子の残りの寿命を予測することができる。
【0031】
工程b)は、電気的パラメータの時間発展、及び電気的パラメータの一次導関数又は高次導関数のうちの少なくとも1つに、訓練されたモデルを適用することを含んでも良い。本明細書で使用される「訓練されたモデル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特定的には、限定されないが、データ解釈のための数学的モデルを表してもよく、ここで訓練されたモデルは、過去の実験データ及び/又はシミュレーションデータ等の少なくとも1つの訓練データセットで訓練されている。訓練前は、1つ又は複数のパラメータはまだ可変であって良く、及びパラメータの設定は訓練プロセス次第であって良い。訓練されたモデルでは、1つ又は複数の刺激(stimulus)に対するモデルの適切な反応を反映するために、モデルのパラメータが設定されて良く、ここでパラメータの設定及び/又はパラメータの設定値は、訓練プロセスの結果であっても良い。訓練されたモデルは、環境のモデルを提供して良く、及びモデルは、環境からの刺激に対して適切な態様で反応するように、及びその後の実行において、モデルが刺激に対してより適切な態様で反応するように、観察された逸脱に従ってモデルを調整するように適合されても良い。学習済みモデルは、一例として、少なくとも1つの入力変数が刺激を形成し、及び目標変数が学習済みモデルの応答を形成するように、少なくとも1つの入力変数に対して少なくとも1つの目標変数を予測するように構成されても良い。特定的には、学習済みモデルは、電気的パラメータの評価を少なくとも補助し、及び工程b)において電気的パラメータが少なくとも1つの予め設定された基準を満たすかどうかを検証するように構成されても良い。
【0032】
様々な学習済みモデルが公知であり、及びこれらは本ケースにも適用されても良い。学習済みモデルは、特定的には、回帰モデル、より特定的には、部分最小二乗回帰モデルを含んでも良い。回帰モデルは、少なくとも1つのフィッティング関数を含んでも良い。フィッティング関数は、線形フィッティング関数、指数フィッティング関数のうちの少なくとも1つを含んでも良い。特定的には、フィッティング関数は、線形フィッティング関数と指数フィッティング関数の組み合わせを含んでも良い。
【0033】
一例として、電気的パラメータは発光素子のフィラメントの抵抗値であって良く、及びフィッティング関数は以下の通りであって良い:
【0034】
【数1】
【0035】
ここでR(t)は、時間tにおける抵抗値Rの経時的変化を表し、Rは初期抵抗値を表し、sは線形フィッティング関数の傾きであり、Aは指数フィッティング関数の振幅であり、そしてtは指数フィッティング関数の時定数である。
【0036】
学習可能なモデルのトレーニングは一例として、抵抗値Rの、類似する又は等しい複数の発光素子用の時間にわたる時間的変化を、トレーニングデータとして測定することを含んでも良く及びフィッティングパラメータR、s及びtを、これらの経時的変化から、例えばトレーニングデータを重み付け、平均化等することにより、決定することを含んでも良い。フィッティングは一例として、最小二乗回帰によって行われても良い。その他のトレーニングのオプションも実施可能である。
【0037】
工程c)における保護措置(safeguard action)は、発光素子に供給される電力を一定に維持することと、発光素子に供給される電力を低下させることとの少なくとも一方を含んでも良い。特定的には、工程c)における保護措置は、発光素子の寿命が尽きる直前の抵抗値の急激な低下時に、発光素子に供給される電力を一定に維持することを含んでも良い。従って大き過ぎる印加電力による発光素子の焼損が防止されて良い。更に、工程c)における保護措置は、例えば、抵抗値の指数関数的な増加時に、予防措置として発光素子に供給される電力を低減することを含んでも良い。これらの措置は、特定的には、発光素子の寿命を延ばし、及び/又は発光素子の信頼性の高い動作を容易化しても良い。
【0038】
発光素子は、少なくとも1つの白熱ランプ、例えばハロゲン白熱ランプを含んでも良い。ここで使用される「白熱ランプ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特定的には、限定されるものではないが、光、特定的には赤外光を放出し得るような温度に加熱され得る加熱可能な要素、特定的にはフィラメントを有する電気光源を表しても良い。従って、白熱ランプは、赤外スペクトル範囲内の熱放射体として考えることができるため、白熱ランプの発光パワーは、波長が長くなるにつれて減少する。白熱ランプは、内部にフィラメントが配置された少なくとも1つの電球を含んでも良い。フィラメントは、少なくとも1本の電線(wire)、特定的にはコイル状の電線を含んでも良い。フィラメントは、例えばタングステンを含んでも良い。電球(bulb)は例えば、不活性ガスで満たされたガラス電球であっても良い。不活性ガスは、例えば、アルゴン及び窒素の少なくとも一種を含んで良い。一般に、発光素子に電力を供給すると、フィラメントに電流が流れ、フィラメントの温度が上昇し、フィラメントが熱放射、特に赤外光を放射する。更に、白熱ランプは、少なくとも1つのマイクロメカニカルシステム(MEMS)エミッター、特定的にはMEMS赤外線エミッターを含んでいても良い。更なる種類の白熱ランプも実現可能である。
【0039】
工程c)における予め設定された基準は、閾値基準、特定的には、電気的パラメータ、電気的パラメータから導出される少なくとも1つの情報項目、及び発光素子の予測寿命のうちの少なくとも1つに対する閾値基準、電気的パラメータの進行の変化、特定的には、第1のフィッティング関数から第2のフィッティング関数への変化、のうちの少なくとも1つを含むことが可能である。第1のフィッティング関数から第2のフィッティング関数への変更は、第2のフィッティング関数が第1のフィッティング関数よりも電気的パラメータの進行により良く適合することを表して良い。換言すれば、第2のフィッティング関数は、第1のフィッティング関数よりも電気的パラメータの進行からの乖離(逸脱)が小さいものであって良い。特定的には、工程c)における予め設定された基準は、電気的パラメータの直線的な進行から指数関数的な進行への変化を含んでも良い。このように工程c)における予め設定された基準は、特定的には、指数関数フィッティング関数が線形フィッティング関数よりも電気的パラメータの進行に対してより良好な適合を与えるという意味で、線形フィッティング関数から指数関数フィッティング関数への変更を含んでも良い。
【0040】
示したように、工程b)は、抵抗を監視することを含んでも良い。工程c)における保護措置は、発光素子に供給される電力を低減するために電圧及び電流の少なくとも一方を変更すること、の少なくとも一方を含むことができる。保護措置は、抵抗値が閾値を超えると実行されても良い。一例として、抵抗値が閾値R+ΔR(ここで、例えばΔR=R/20)を超えると、保護措置が実行される。追加的又は代替的に、抵抗の進行が直線的な進行から指数関数的な進行に変化した時点で、保護措置が取られても良い。追加的又は代替的に、抵抗値の時間的勾配が、例えば2オーム/日などの閾値を超えた時点で、保護措置が実行されても良い。言い換えれば、抵抗値の時間的変化が閾値、例えば2オーム/日よりも速くなると、保護措置が取られても良い。
【0041】
発光システムは、少なくとも1つの電気的ドライバ回路、特定的には、少なくとも1つのドライバ経路を含む少なくとも1つの電気的ドライバ回路を更に含んで良い。ここで使用される「電気的ドライバ回路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、少なくとも1つの実体(entity)、特定的には発光素子を駆動するように構成された電気回路を表しても良い。従って、電気的ドライバ回路は、発光素子に電力を供給するように構成されても良い。特定的には、電気的ドライバ回路は、発光素子に電圧を印加するように構成されても良い。電気的ドライバ回路は、電力及び/又は電圧及び/又は電流等の少なくとも1つの電気的駆動パラメータを発光素子に印加するように構成された少なくとも1つのドライバを含んでいても良い。任意選択で、ドライバは、電気的駆動パラメータを変更するように更に構成されても良い。ドライバは、少なくとも1つの電源と少なくとも1つの電圧制御とを含んでも良い。従って電気的ドライバ回路は特に、少なくとも発光素子に印加される電圧を変更するように構成されても良い。工程c)は、電気的ドライバ回路を使用して電圧を修正すること、特定的には、発光素子に印加される電圧を修正することを含んでいても良い。
【0042】
電気的ドライバ回路は、電気的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのシャント(shunt)を含んでいても良い。ここで使用される「シャント」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されない。この用語は、特定的には、限定されないが、電流に対して低抵抗バイパスを提供するように構成された電気回路又は電気回路の一部を表しても良い。特定的には、シャントは、電流検知及び電圧検知の少なくとも一方のために構成されても良い。シャントは、少なくとも1つのシャント抵抗器を含んでいても良い。工程b)における電気的パラメータの監視は、シャント抵抗を用いて、例えばシャント電圧計及び/又はシャント電流計を更に用いて電流を測定することを含んでも良い。追加的又は代替的に、工程b)における電気的パラメータの監視は、少なくとも1つの磁気電流センサーを使用して電流を測定することを含んでも良い。いずれにせよ、測定された電流から、当業者であれば理解できるように、更なる電気的パラメータ、特定的には発光素子の更なる電気的パラメータを導出されても良い。特定的には、発光素子に印加される電圧は、例えば電気的ドライバ回路の電圧制御を使用することによって設定され得るので、発光素子の抵抗は、測定された電流及びオームの法則を使用することによって導出されても良い。
【0043】
電気的ドライバ回路は、少なくとも1つのフィードバック経路を含んでいても良い。ここで使用される「フィードバック経路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。限定するものではないが、この用語は特定的には、信号、特定的には電気的パラメータ又は信号から導出される量を、信号の起点、特定的にはドライバに戻すように結合するように構成された電気回路又は電気回路の一部を表しても良い。例えば、記載したように、電気的ドライバ回路のシャントを使用して電流を測定しても良い。測定された電流から、発光素子のフィラメントの抵抗が導出されても良い。抵抗は、特に、少なくとも1つの予め設定された基準に関して評価されても良く、及び評価の結果は、電気的ドライバ回路のドライバに送信されても良い。その結果に応じて、ドライバは例えば、発光素子に印加される電圧を修正しても良い。
【0044】
フィードバック経路は、データ監視及びデータ解析の少なくとも一方のために構成された少なくとも1つの処理ユニットを含んでいても良い。データ解析は、例えば上述したように、データフィルタリング及びデータフィッティングのうちの少なくとも1つを含んで良い。工程b)における電気的パラメータの評価は、フィードバック経路を使用することによる電気的パラメータの監視及び解析の少なくとも一方によって、少なくとも1つの情報項目を生成することを含んでも良い。工程c)における保護措置は、情報の項目に依存しても良い。特定的には、情報の項目は、電気的パラメータが予め設定された基準を満たすか否かを少なくとも含んで良い。ここで使用される「処理ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。限定されるものではないが、この用語は特定的には、好ましくは少なくとも1つのデータ処理デバイスを使用することによって、より好ましくは、少なくとも1つのプロセッサ及び/又は少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することによって、命名された動作を実行するように適合された任意のデバイスを表しても良い。一例として、処理装置は、多数のコンピュータコマンドを含むソフトウェアコードをその上に格納された状態で有する、少なくとも1つのデータ処理装置を含んでも良い。処理ユニットは、命名された操作のうちの1つ以上を実行するための1つ以上のハードウェア要素を備えてもよく、及び/又は、命名された操作のうちの1つ以上を実行するための、その上で実行されるソフトウェアを有する1つ以上のプロセッサを備えても良い。一例として、処理ユニットは、1つ又は複数のコンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ又は複数のプログラマブルデバイスを含んでも良い。しかし、追加的に又は代替的に、処理ユニットは、完全に又は部分的にハードウェアによって具現化されても良い。処理ユニットは、特に、少なくとも1つの測定サイクルを実行するように構成されても良い。処理ユニットによって決定された情報は、特定的には、電子的、視覚的、音響的、又は触覚的な態様の少なくとも1つの態様で、更なる装置及び/又はユーザの少なくとも1つに提供されても良い。処理ユニットによって決定されるような情報は、メモリ記憶装置に、及び/又は、別個の記憶装置に記憶されても良く、及び/又は無線インターフェース及び/又は有線インターフェース等の少なくとも1つのインターフェースを介して伝えられても良い。処理ユニットは更に、発光システムの少なくとも一部、特定的には電気的ドライバ回路の少なくとも一部を制御するように構成されていても良い。
【0045】
本方法は、少なくとも部分的にコンピュータで実施可能であって良い。特定的には、少なくともデータ分析は、少なくとも部分的にコンピュータで実施されて良い。本発明のコンピュータ実装の態様に関し、ここに開示された実施形態の1つ又は複数による方法の方法工程の1つ又は複数、あるいは方法工程の全てであっても、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用して行われて良い。従って一般に、データの提供及び/又は操作を含む方法工程のいずれもが、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用して実行されて良い。一般に、これらの方法工程は、典型的には、サンプルの提供及び/又は実際の測定の実行の特定の態様のような手作業を必要とする方法工程を除く、方法工程のいずれかを含んで良い。
【0046】
本発明の更なる態様では、少なくとも1つの発光素子を含む発光システムが開示される。発光システムは、上記又は以下に詳細に開示される実施形態のいずれか1つによる方法を特定的には自動的に行うように構成される。ここで使用されるその任意の文法的変形を含む「自動」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるものではない。特定的には、この用語は、限定されるものではないが、少なくとも部分的に機械によって行われる等、少なくとも部分的に人間の相互作用を必要とせずに行われるプロセス(処理)を表しても良い。特定的には、プロセスは、コントローラ、コンピュータ、コンピュータネットワーク及び機械のうちの少なくとも1つによって、特に手動による動作及び/又はユーザとの相互作用なしに、少なくとも部分的に行われて良い。
【0047】
発光は、特定的には、少なくとも1つの白熱ランプを含んでも良い。発光システムは、発光素子を駆動するように構成された少なくとも1つの電気的ドライバ回路を更に含んでも良い。電気的ドライバ回路は、少なくとも1つのドライバを含んでも良い。ドライバは、少なくとも1つの電源と、少なくとも1つの電圧制御とを含んでいても良い。電気的ドライバ回路は、少なくとも1つのシャントを含んでも良い。シャントは、少なくとも1つのシャント抵抗器を含んでも良い。電気的ドライバ回路は、少なくとも1つのフィードバック経路を含んでいても良い。フィードバック経路は、少なくとも1つの処理ユニットを含んでいても良い。発光システムに関する可能な定義及び選択肢については、上記で更に詳細に説明した、少なくとも1つの発光素子を含む少なくとも1つの発光システムの動作を制御する方法の実施形態を参照しても良い。
【0048】
本発明による方法及び装置は、公知の方法及び装置と比較して多くの利点を提供し得る。特に、発光素子に印加される電力を適合させることによって、白熱ランプのような発光素子の寿命を延ばしても良い。従って、これらは発光素子の長寿命化と信頼性の高い動作を促進して良いものである。特定的には、これらは予告なしに発光素子が壊れるのを防止しても良いものである。また、これらが発光素子の残りの寿命を予測し、及びこの残りの寿命についてユーザに通知し、これにより発光素子が壊れる前に交換されても良い。このようにこれらは、発光素子のメンテナンスを特に容易にして良いものである。結局のところ、本発明による方法及び装置の助けを借りて、発光素子の動作及び使用が、発光素子の予期せぬ破損によって悪影響を受けたり、意図せずに中断されたりすることは無い。
【0049】
ここで使用される場合、用語「有する(have)」、「備える(comprise)」又は「含む(include)」、又はそれらの任意の文法的変形は、非排他的な意味で使用される。従って、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴以外に、この文脈で説明される実体において更なる特徴が存在しない状況と、1つ以上の更なる特徴が存在する状況の両を表して良い。一例として、「AがBを有する(A has B)」、{AがBを含む(A comprises B )}及び{AがBを含有する(A includes B)}という表現は、Bの他にA中に他の要素が存在しない状況(すなわち、AがBのみから構成される状況)と、Bの他に、要素C、要素C及びD、又は更に他の要素等、1つ又は複数の更なる要素が実体A中に存在する状況の両方を表して良い。
【0050】
更に、用語「少なくとも1つ」、「1つ以上」、又は特徴もしくは要素が1回又は複数回存在する可能性があることを示す同様の表現は、通常、それぞれの特徴又は要素を紹介する際に1回のみ使用されることに留意されたい。大抵の場合、それぞれの特徴又は要素に言及する際、それぞれの特徴又は要素が1回又は複数回存在する可能性があるという事実にかかわらず、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」という表現は繰り返されない。
更に、ここで使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「特定的(具体的)に」、「より特定的に」又は同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と組み合わせて使用される。従って、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を何ら制限することを意図するものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替的な特徴を用いて実施されても良い。同様に、「本発明の実施形態において」又は類似の表現によって導入される特徴は、本発明の代替的な実施形態に関するいかなる制限もなく、本発明の範囲に関するいかなる制限もなく、そのように導入される特徴を本発明の他の任意又は非任意の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなく、任意の特徴であることが意図される。
要約すると、更なる可能な実施形態を排除することなく、以下の実施形態が想定される:
【0051】
実施形態1:
少なくとも1つの発光素子を含む少なくとも1つの発光システムの動作を制御する方法であって、該方法は、以下の工程:
a)発光素子の少なくとも1つの電気的パラメータを少なくとも一時的に監視する工程;
b)電気的パラメータを評価し、電気的パラメータが少なくとも1つの予め設定された基準を満たすかどうかを検証する工程、及び
c)工程b)の結果に依存して、少なくとも1つの保護措置を講じる工程、
を含む方法。
【0052】
実施形態2:
上記保護措置が、発光素子の少なくとも1つの電気的駆動パラメータを修正すること、少なくとも1つの警告情報を提供すること、特定的には、発光素子の残りの寿命を示す警告情報の少なくとも1つの事項の提供すること、発光素子の交換の必要性に関する情報の少なくとも1つの事項を提供すること、発光素子に印加される電力を修正すること、発光素子のオン時間シーケンスを低減すること、発光素子内の電力分布を修正すること、のうちの少なくとも1つを備える、実施形態1に記載の方法。
【0053】
実施形態3:
実施形態1又は2のいずれかに記載の方法であって、電気的パラメータが、以下のうちの少なくとも1つを備える方法:発光素子の少なくとも1つの導電性要素、特定的には発光素子のフィラメントの抵抗;電気電圧、特定的には発光素子の少なくとも1つの導電性要素、特定的には発光素子のフィラメントの電圧降下;電流、特定的には、発光素子の少なくとも1つの導電素子を流れる電流、又は発光素子のドライバを流れる電流、特定的には、発光素子のフィラメントを流れる電流;電力、特定的には、発光素子の少なくとも1つの部分、特定的には、発光素子のフィラメントに印加される電力。
【0054】
実施形態4:
工程b)が、電気的パラメータの時間導関数(微分係数)を形成することを含む、実施形態1~3の何れか1つに記載の方法。
【0055】
実施形態5:
工程b)が、少なくとも1つのフィルタを用いて電気的パラメータの時間的発展をフィルタリングすることを含む、実施形態1~4の何れか1つに記載の方法。
【0056】
実施形態6:
工程b)が、発光素子の残りの寿命を予測することを含む、実施形態1~5の何れか1つに記載の方法。
【0057】
実施形態7:
工程b)が、電気的パラメータの時間発展、及び電気的パラメータの1次又は高次導関数のうちの少なくとも1つに学習済みモデルを適用することを含む、実施形態1~6の何れか1つに記載の方法。
【0058】
実施形態8:
学習済みモデルが回帰モデルを含む、実施形態7に記載の方法。
【0059】
実施形態9:
回帰モデルが少なくとも1つのフィッティング関数を含む、実施形態8に記載の方法。
【0060】
実施形態10:
フィッティング関数が、線形フィッティング関数、指数フィッティング関数のうちの少なくとも1つを含む、、実施形態9に記載の方法。
【0061】
実施形態11:
工程c)における保護措置動作が、発光素子に供給される電力を一定に維持することと、発光素子に供給される電力を低減することとの少なくとも一方を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施形態12:
発光素子が少なくとも1つの白熱ランプを備える、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施形態13:
工程c)における予め設定された基準が、閾値基準、特定的には、電気的パラメータ、電気的パラメータから導出される少なくとも1」つの情報項目、及び発光素子の予測寿命のうちの少なくとも1つに対する閾値基準、電気的パラメータの進行の変化、具体的には、第1のフィッティング関数から第2のフィッティング関数への変化、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態14:
工程b)が抵抗を監視することを含み、工程c)における保護措置が、発光素子に供給される電力を低減するために電圧及び電流の少なくとも一方を変更することの少なくとも一方を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態15:
上記抵抗が閾値を超えたら、及び/又は、上記抵抗の進行が直線的進行から指数関数的進行に変わったら、及び/又は、上記抵抗の時間的勾配が閾値を超えたら、上記保護措置が取られる、実施形態14に記載の方法。
【0066】
実施形態16:
発光システムが、少なくとも1つの電気的ドライバ回路を更に備え、特定的には、少なくとも1つの電気的ドライバ回路が、少なくとも1つのドライバ経路を備える、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態17:
電気的ドライバ回路が、発光素子に少なくとも1つの電気的駆動パラメータを印加するように構成された少なくとも1つのドライバを備え、及び任意選択で、電気的駆動パラメータを変更するように更に構成されている、実施形態16に記載の方法。
【0068】
実施形態18:
ドライバが、少なくとも1つの電源と少なくとも1つの電圧制御とを備え、工程c)が、電気的ドライバ回路を使用して電圧を変更することを含む実施形態17に記載の方法。
【0069】
実施形態19:
上記電気的ドライバ回路が、上記電気的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのシャントを備える、実施形態16~18のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
実施形態20:
シャントが少なくとも1つのシャント抵抗を含み、工程b)における電気的パラメータの監視が、シャント抵抗を用いて電流を測定することを含む、実施形態19に記載の方法。
【0071】
実施形態21:
電気的ドライバ回路が少なくとも1つのフィードバック経路を備える、実施形態16~20のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施形態22:
上記フィードバック経路が、データ監視及びデータ解析の少なくとも一方のために構成された少なくとも1つの処理ユニットを備え、及び工程b)における電気的パラメータの評価が、フィードバック経路を使用することによる電気的パラメータの監視及び解析の少なくとも一方によって少なくとも1つの情報の項目を生成することを備える、実施形態21に記載の方法。
【0073】
実施形態23:
工程c)における保護措置は、情報の項目に依存する、実施形態22に記載の方法。
【0074】
実施形態24:
上記方法が少なくとも部分的にコンピュータ実施される、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態25:
少なくとも1つの発光素子を含む発光システムであって、該発光システムは、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法を、特に自動的に実行するように構成されている、発光システム。
【0076】
実施形態26:
上記発光素子は、少なくとも1つの白熱ランプを含む、実施形態25に記載の発光システム。
【0077】
実施形態27:
発光システムは、発光素子を駆動するように構成された少なくとも1つの電気的ドライバ回路を更に備える、発光システムを参照する上記実施形態のいずれか1つに記載の発光システム。
【0078】
実施形態28:
上記電気的ドライバ回路は、少なくとも1つのドライバを備え、該ドライバは、少なくとも1つの電源と少なくとも1つの電圧制御とを備えることを特徴とする実施形態27に記載の発光システム。
【0079】
実施形態29:
上記電気的ドライバ回路が少なくとも1つのシャントを備え、該シャントが少なくとも1つのシャント抵抗を備える、上記実施形態27又は28に記載の発光システム。
【0080】
実施形態30:
上記電気的ドライバ回路は、少なくとも1つのフィードバック経路を備え、上記フィードバック経路は、少なくとも1つの処理ユニットを備える、上記3つの請求項のいずれか1項に記載の発光システム。
【図面の簡単な説明】
【0081】
更なる任意の特徴及び実施形態は、後続の実施形態の説明において、好ましくは従属請求項と併せて、より詳細に開示される。その開示箇所では、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、任意の実現可能な組み合わせだけでなく、孤立した態様で実現されても良い。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に描かれている。そこでは、これらの図中の同一の参照番号は、同一又は機能的に同等の要素を表す。
【0082】
図中:
図1図1は、少なくとも1つの発光素子を含む発光システムの概略回路図の例示的な実施形態を示す;
図2図2は、少なくとも1つの発光素子を含む少なくとも1つの発光システムの動作を制御する方法の例示的な実施形態のフローチャートを示す;
図3図3A~3Bは、少なくとも1つの発光素子を含む発光システムの例示的な実施形態に関する測定結果を示す実験結果である。
図4図4A~4Bは、少なくとも1つの発光素子を含む発光システムの例示的な実施形態に関する測定結果を示す実験結果である。
図5図5A~5Bは、少なくとも1つの発光素子を含む発光システムの例示的な実施形態に関する測定結果を示す実験結果である。
【0083】
実施形態の詳細な説明
図1は、少なくとも1つの発光素子112を含む発光システム110の概略回路図の例示的な実施形態を示す。発光システム110は、少なくとも1つの発光素子112を含む少なくとも1つの発光システム110の動作を制御する方法を更に詳細に参照して、上記又は以下に開示される実施形態のいずれか1つによる方法を、特定的には自動的に行うように構成される。発光素子112は、特定的には接地されていてもよく、すなわちアース114に接続されていても良い。発光素子112は、特定的には、少なくとも1つの白熱ランプ116を含んでいても良い。
【0084】
図1に示すように、発光システム110は、発光素子112を駆動するように構成された少なくとも1つの電気的ドライバ回路118を更に備えて良い。電気的ドライバ回路118は、少なくとも1つのドライバ経路120と、少なくとも1つのフィードバック経路122とを含んで良い。従って電気的ドライバ回路118、特定的にはドライバ経路120は、少なくとも1つのドライバ124を含んでも良い。ドライバ124は、電力、電流及び電圧のうちの少なくとも1つ等の少なくとも1つの電気的駆動パラメータを発光素子112に印加するように構成されても良い。ドライバ124は、更に任意に、電気的駆動パラメータを変更するように構成されても良い。ドライバ124は、少なくとも1つの電源126と、少なくとも1つの電圧制御128とを含んでも良い。電圧制御128は、特定的には、少なくとも1つの電圧を変更するように構成されても良い。電気的ドライバ回路118、特定的にはドライバ経路120は、少なくとも1つのシャント130を更に含んでいても良い。シャント130は、少なくとも1つの電気的パラメータ、例えば電圧及び/又は電流を測定するように構成されて良い。従って、シャント130は、少なくとも1つのシャント抵抗器132と、シャント抵抗器132に並列に配置された少なくとも1つのシャント電圧計134とを含んでも良い。更に、電気的ドライバ回路118、特定的にはフィードバック経路122は、少なくとも1つの処理ユニット136を含んでも良い。処理ユニット136は、データ監視及びデータ分析の少なくとも一方のために構成されても良い。更に、発光システム110は、発光システム110に含まれる上述の素子及びデバイスを少なくとも部分的に相互接続するためのワイヤ138及び/又はトレース140を含んでも良い。
【0085】
図1に示すように、電源126は、少なくとも発光素子112及び任意に発光システム110に含まれる更なる素子及びデバイスに供給するための電力を生成しても良い。次に、電圧制御128は、発光素子112に印加される予め設定された電圧を設定しても良い。その結果、発光素子112の抵抗値に依存する電流が発生されても良い。ドライバ経路120に続いて、生成された電流は、発光素子112に到達する前に、シャント130を通過しても良い。シャント130において、電流は、発光素子112に到達する前に、主に低抵抗のシャント抵抗132を通過しても良い。既知の抵抗を有するシャント抵抗132における電圧降下は、シャント電圧計134を用いて測定されても良い。電圧降下から、発光素子112に到達する電流は、オームの法則とシャント抵抗器132の既知の抵抗を用いて決定されても良い。このように、決定された電流と設定電圧とを乗算することにより、発光素子112に到達する電力が、特定的には処理ユニット136を使用して決定されて良い。従って、フィードバック経路122に続いて、シャント130によって、特定的にはシャント電圧計134によって生成された少なくとも1つの信号が、処理ユニット136に送信されても良い。処理ユニット136では、以下で更に詳細に説明されるように、信号が更に評価されても良い。フィードバック経路122に更に続いて、処理ユニット136は、特定的には設定電圧を変更するための少なくとも1つの更なる信号をドライバ124、特定的には電圧制御126に送信しても良い。このようにして、発光素子112に印加される電力を監視し、必要な場合又は所望の場合に適合させても良い。しかしながら、さらなる選択肢も実現可能であって良い。
【0086】
図2は、発光素子112を含む発光システム110の動作を制御する方法の例示的な実施形態のフローチャートを示す。この方法は、以下の工程を含む:
a)(参照番号142で示される)は、発光素子112の少なくとも1つの電気的パラメータを少なくとも一時的に監視する工程;
b)(参照番号144で示される)電気的パラメータを評価し、電気的パラメータが少なくとも1つの所定の基準を満たすかどうかを検証する工程;及び
c)(参照番号146で示される)工程b)の結果に応じて,少なくとも1つの保護措置を講じる工程。
【0087】
工程a)~c)は、与えられた順序で行われても良い。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。更に、1つ以上の方法工程を1回又は繰り返し行っても良い。更に、2つ以上の方法工程を同時に又は適時に重複して実施しても良い。本方法は、列挙されていないさら更なる方法工程を含んでいても良い。
【0088】
保護措置動作は、発光素子112の少なくとも1つの電気的駆動パラメータを修正すること、少なくとも1つの警告情報の項目、特定的には、発光素子112の残りの寿命を示す少なくとも1つの警告情報の項目を提供すること、発光素子112の交換の必要性に関する少なくとも1つの情報の項目を提供すること、発光素子112に印加される電力を修正すること、発光素子112のオン時間シーケンスを低減すること、発光素子112内の電力分布を修正すること、のうちの少なくとも1つを含んでも良い。
【0089】
電気的パラメータは、以下のうちの少なくとも1つを含んでも良い:発光素子112の少なくとも1つの導電要素、特定的には発光素子112のフィラメントの抵抗、電気電圧、特定的には発光素子112の少なくとも1つの導電要素、特定的には発光素子112のフィラメントの電圧降下;電流、特定的には、発光素子112の少なくとも1つの導電素子を通る電流、又は発光素子112のドライバを通る電流、特定的には、発光素子112のフィラメントを通る電流、電力、特定的には、発光素子112の少なくとも1つの部分、特定的には、発光素子112のフィラメントに印加される電力。
【0090】
工程b)は、電気的パラメータの時間導関数(時間微分)を形成することを含んでいても良い。工程b)は、少なくとも1つのフィルタを用いて電気的パラメータの時間発展をフィルタリングすることを含んでいても良い。工程b)は、発光素子112の残りの寿命を予測することを含んでいても良い。工程b)は、電気的パラメータの時間的発展、及び電気的パラメータの一次導関数又は高次導関数のうちの少なくとも1つに、訓練されたモデルを適用することを含んでいても良い。訓練されたモデルは、回帰モデルを含んでいても良い。回帰モデルは、少なくとも1つのフィッティング関数を含んでも良い。フィッティング関数は、線形フィッティング関数、指数フィッティング関数のうちの少なくとも1つを含んでいても良い。
【0091】
工程c)における保護措置は、発光素子112に供給される電力を一定に維持することと、発光素子112に供給される電力を低減することとの少なくとも一方を含んで良い。工程c)における予め設定された基準(所定の規準)は、閾値基準、特定的には、電気的パラメータ、電気的パラメータから導出される少なくとも1つの情報項目、及び発光素子112の予測寿命のうちの少なくとも1つに対する閾値基準、電気的パラメータの進行の変化、特定的には、第1のフィッティング関数から第2のフィッティング関数への変化、のうちの少なくとも1つを含んで良い。工程b)は、抵抗値を監視することを含んでいても良く、工程c)における保護措置は、発光素子112に供給される電力を低減するために電圧及び電流の少なくとも一方を変更することの少なくとも一方を含んでいても良い。保護措置は、抵抗値が閾値を超えると、及び/又は、抵抗値の進行が直線的な進行から指数関数的な進行に変化すると、及び/又は、抵抗値の時間的勾配が閾値を超えると、実行されても良い。
【0092】
工程c)は、電気的ドライバ回路118、特に電圧制御128を用いて電圧を変更することを更に含んで良い。工程b)における電気的パラメータの監視は、シャント抵抗器132を用いて電流を測定することを含んで良い。工程b)は、フィードバック経路122、特定的には処理ユニット136を用いて電気的パラメータを監視及び解析することの少なくとも一方により、少なくとも1つの情報項目を生成することを含んでも良い。工程c)における保護措置は、情報の項目に依存しても良い。本方法は、少なくとも部分的にコンピュータ実装されても良い。本発明のコンピュータ実装された態様を参照すると、ここに開示された1つ又は複数の実施形態による方法の方法工程の1つ又は複数、あるいは方法ス工程の全てさえも、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用して実行されて良い。従って、一般に、データの提供及び/又は操作を含む方法工程のいずれも、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用して実行されて良い。一般に、これらの方法工程は、典型的には、サンプルの提供及び/又は実際の測定の実行の特定の態様のような手作業を必要とする方法工程を除く、方法工程のいずれかを含んで良い。
【0093】
図3A~5Bは、発光素子112を含む発光システム110の例示的な実施形態、特定的には白熱ランプ116に関する測定結果を示す実験結果である。測定において、白熱ランプ116の劣化プロセスが最大約20日間にわたって分析された。白熱ランプ116に印加される電力は、定格電力10Wを超える12Wに設定された。このようにして、白熱ランプ116の抵抗値の経時変化をモニターしながら、白熱ランプ116の増加するエイジングを積極的に誘導した。上述したように、白熱ランプ116の抵抗値は、例えばシャント130を用いて決定することができる。測定では、抵抗は1分間に1回測定された。
【0094】
図3A及び図3Bにおいて、測定された抵抗値の生データは参照番号148で示されている。更に、測定された抵抗のローパスフィルターされたデータが参照番号150で示されている。ローパスフィルタ処理されたデータ150は、最適化されたデータ解析のために窓長161、多項式次数7のサヴィツキー・ゴレイ・フィルタでローパスされた生データ148に基づいている。更に、測定された抵抗の外れ値フィルタリングされたデータを参照番号152で示す。外れ値フィルタ処理データ152は、ローパスフィルタ処理データ150からの生データ148の偏差に基づいている。図3A及び図3Bが示すように、白熱ランプ116の始動及び停止処理に起因する異常値は、異常値フィルタ処理データ152において効果的にフィルタ処理される。図3Aは、白熱ランプ116が焼損する前に、抵抗値が当初約15Ωから最終的に約16.5Ωまで連続的に増加していることを示している。生データ148における工程は、白熱ランプ116の停止と再起動の工程を示す。図3Bは、白熱ランプ116の停止・再始動過程における測定開始から約10日目で、図3Aを拡大したものを示している。
【0095】
図4A及び図4Bは、白熱ランプ116の劣化に関する例示的なモデルを示している。まず、比較のために、外れ値フィルタリングされたデータ152が再び示されている。図4Aでは、外れ値フィルタリングされたデータ152に適合された、次の式で与えられる指数関数モデルを参照番号154で示す;
【0096】
【数2】
【0097】
R(t)は、時間tにわたる白熱ランプ116の抵抗値の経時変化を表し、Rは、初期抵抗値を表し、Aは、振幅を表し、及びtは、指数モデル154の時定数を表す。指数関数モデル154は、外れ値フィルタリングされたデータ152から、従って白熱ランプ116の抵抗の測定された時間的変化から、強い偏差を示す。
更に、次のような拡張モデルもある;
【0098】
【数3】
【0099】
これは、異常値(外れ値)フィルタリングされたデータ152にフィッティングされたもので、参照番号156で示されている。図4Aに描かれた拡張モデル156は、線形-指数モデルとも称され、線形フィッティング関数と指数フィッティング関数の重ね合わせを含む。導入されたパラメータsは、拡張モデル156の線形部分の傾きを表す。拡張モデル156の指数部分は、上記の指数モデル154に対応する。外れ値フィルタリングされたデータ152に最小二乗フィットを行うと、
【数4】
日と
【数5】
が、拡張モデル156のために得られる。一般に、時定数は、白熱ランプ116の特定の種類及び印加電力に応じて変化し得る。図4Aが示すように、拡張モデル156は、指数モデル154と比較して、外れ値フィルター・データ152からの、従って白熱ランプ116の抵抗の測定された時間的発展からの偏差(deviation)がより少ないことを示している。言い換えれば、拡張モデル156は、指数関数モデル154と比較して、外れ値フィルタリングされたデータ152、ひいては白熱ランプ116の抵抗の測定された時間的変化に対して、より良好な適合性を与える。
【0100】
図4Bでは、拡張モデル156の線形部分と指数部分の寄与が比較されている。線形の寄与は参照番号158で示されている。指数関数的な寄与は参照番号160で示されている。上記に示したように、測定では、白熱ランプ116の劣化は、傾きsによって与えられた白熱ランプ116の抵抗値の増加によって示される。従って図4に従い、白熱ランプ116は、最初は直線的に劣化し、そして寿命の終わりに向かって指数関数的に劣化すると述べることができる。換言すれば、測定では、白熱ランプ116の近々の焼損は、白熱ランプ116の線形劣化から指数関数的劣化への変化によって予告される。
図5A及び図5Bでは、白熱ランプ116の測定抵抗値の時間導関数
【数6】
を参照番号162で示す。時間導関数162は、白熱ランプ116の抵抗測定値の外れ値フィルタ処理データ152と、以下の式とを用いて決定された:
【0101】
【数7】
【0102】
ここでtとti+1は、測定中のそれぞれの連続した時点を示す。更に、白熱ランプ116の測定された抵抗のローパスフィルタ処理された時間導関数を参照番号164で示す。ローパスフィルタ処理された時間微分値164は、時間導関数162と、窓長201及び多項式次数1のサヴィツキー・ゴレイ・フィルタとを用いて決定された。図5A図5Bは、それぞれ時間導関数162とローパスフィルターされた時間導関数164を線形と対数スケールで示したものである。時間微分162、特にローパスフィルタ処理された時間導関数164は、最初は非常に一定であることがわかる。更に、抵抗値が指数関数的に増加すると、時間導関数162とローパスフィルタ処理された時間導関数164も指数関数的に増加することがわかる。従って、白熱ランプ116の焼損は、時間導関数162及び/又はローパスフィルターされた時間微分値164の指数関数的な増加によっても予告され得る。
【0103】
参照番号一覧
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】