(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】アントラサイクリン誘導体リンカー試薬、抗体-薬物コンジュゲート及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5383 20060101AFI20241114BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20241114BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241114BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20241114BHJP
C07D 498/14 20060101ALI20241114BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61K31/5383
A61K47/65
A61K39/395 C
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 Y
A61K39/395 L
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K31/551
C07D498/14 CSP
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527365
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2022080834
(87)【国際公開番号】W WO2023083716
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】307012403
【氏名又は名称】ネルビアーノ・メデイカル・サイエンシーズ・エツセ・エルレ・エルレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サルサ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ガスパリ,ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】オルシーニ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】バルサシーナ,バルバラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB15
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C076FF68
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE05
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA10
4C086NA13
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、治療用抗体-薬物コンジュゲート(ADC)化合物の調製のためのアントラサイクリン-リンカー試薬を提供する。
本発明はまた、がん細胞に対する生物学的活性を有する、アントラサイクリン薬物部分を含む治療用抗体-薬物コンジュゲート(ADC)化合物を提供する。この化合物は、哺乳動物における腫瘍増殖を阻害することができ、ヒトがん患者の治療に有用であり得る。
本発明の態様は、アントラサイクリン-リンカー試薬及び抗体-薬物コンジュゲート化合物の作製方法、調製方法、合成方法、コンジュゲーション方法、及び精製方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬:
【化1】
[式中、
Antは、式(II)のアントラサイクリン薬物部分であり、
【化2】
式中、
Xは、O又はNHであり、
Aは、(IIIa)~(IIIe)からなる群から選択される複素環(Het)又は炭素環(Cb)であり、
【化3】
式中、
Rは、独立して、水素、又は直鎖若しくは分枝(C
1~C
6)アルキルであり、
nは、0~6の整数であり、
Lは、式(VI)のリンカーであり、
【化4】
式中、
Wは、独立して、不存在であるか、又は(Va)~(Vc)からなる群から選択される自壊性系であり、
【化5】
式中、
R1及びR2は、各々独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル又は直鎖若しくは分枝C
1~C
4ヒドロキシアルキルであり、
PEは、独立して、不存在又は天然L-アミノ酸及び非天然D-アミノ酸の任意の組み合わせからなるジペプチド若しくはトリペプチド部分であり、
RMは、(VIa)~(VIc)からなる群から選択される反応性部分であり、
【化6】
式中、
R3及びR4は、各々独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖若しくは分枝C
1~C
4ヒドロキシアルキル、直鎖若しくは分枝C
1~C
4ハロアルキルであるか、又はR3及びR4は一緒になって3員~6員の炭素環を形成し、
R5は、水素、C
1~C
3アルキル又はNO
2基若しくはCN基を含む電子求引性基であり、
rは、0~7の整数である]又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
Aが、任意選択で、以下からなる群から選択される複素環式基又は炭素環式基であり、
【化7】
式中、
Rが、直鎖又は分枝(C
1~C
6)アルキルであり、
Lが、式(VI)のリンカーであり、式中、Wは基(Va’)又は(Vb’)であり、
【化8】
PEが、以下のアミノ酸、すなわち、グリジン、アラニン、ロイシン、バリン、シトルリン、フェニルアラニンの任意の組み合わせからなるジペプチド又はトリペプチド部分であり、C末端アミノ酸残基はWに連結しており、N末端アミノ酸残基はRMに連結しており、
RMが、(VIa)~(VIc)から選択される基であり、
【化9】
式中、
R3、R4及びR5が、水素であり、
rが、好ましくは3~5の整数である、
請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Aが、(IIIa’)、(IIIa”)、(IIIb’)及び(IIIc’)からなる群から選択される複素環基であり、
Wが、基(Va’)又は(Vb’)であり、
PEが、バリン-アラニン及びバリン-シトルリンから選択されるジペプチド又はトリペプチドフェニルアラニン-ロイシン-グリジンであり、
ここで、C末端アミノ酸残基はWに連結され、N末端アミノ酸残基はRMに連結され、
RMが、群(VIa)~(VIc)から選択される反応性部分である、
請求項2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Aが、(IIIa’)、(IIIa”)、(IIIb’)及び(IIIc’)からなる群から選択される複素環基であり、
Lが、(IVa)~(IVc)からなる群から選択されるリンカーである
【化10】
[式中、rは3~5の整数である]、
請求項3に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
以下からなる群から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物:
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物1)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート化合物2)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物3)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物4)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物5)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物6)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物7)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物8)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物9)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物10)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物11)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物12)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物13)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物14)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物15)、及び
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物16)。
【請求項6】
式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC):
【化11】
[式中、
Abは、所与の標的細胞集団に関連する受容体、抗原若しくは他の受容性部分に結合するか、それと反応的に会合するか、又はそれと複合体を形成する、任意の単位、タイプ又はクラスの抗体を含み、
m(薬物ローディング)は、1~8の整数であり、
Ant-Lは、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬である]又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
Ant-Lが、請求項5に記載の化合物である、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項8】
Abが、1つ以上の腫瘍関連ErbB2抗原又は細胞表面ErbB2受容体に結合する抗体である、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項9】
化合物(Ia
I)~(Ia
XVI)からなる群から選択される、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC):
【化12】
[式中、mは2~6の整数であり、TRZはトラスツズマブである]。
【請求項10】
薬物ローディング請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物又は薬学的に許容されるその塩の混合物を含む医薬組成物であって、抗体-薬物コンジュゲート化合物の混合物中の抗体当たりの平均薬物ローディングが、約2~約4である、医薬組成物。
【請求項11】
1つ以上の化学療法剤をさらに含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
医薬として使用するための、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
がんを処置するための医薬の製造のための、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項14】
前記がんが、がん腫、リンパ系の造血器腫瘍、骨髄系の造血器腫瘍、線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉起源の腫瘍、中枢及び末梢神経系の腫瘍、並びに黒色腫、精上皮腫、奇形がん、骨肉腫、色素性乾皮症、ケラトキサントーマ、甲状腺濾胞がん、カポジ肉腫及び中皮腫を含む他の腫瘍から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
がんを処置するための方法における使用のための、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
前記がんが、がん腫、リンパ系の造血器腫瘍、骨髄系の造血器腫瘍、線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉起源の腫瘍、中枢及び末梢神経系の腫瘍、並びに黒色腫、精上皮腫、奇形がん、骨肉腫、色素性乾皮症、ケラトキサントーマ、甲状腺濾胞がん、カポジ肉腫及び中皮腫を含む他の腫瘍から選択される、請求項15に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物。
【請求項17】
有効量の請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート又は薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、がんを治療する方法。
【請求項18】
前記がんが、がん腫、リンパ系の造血器腫瘍、骨髄系の造血器腫瘍、線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉起源の腫瘍、中枢及び末梢神経系の腫瘍、並びに黒色腫、精上皮腫、奇形がん、骨肉腫、色素性乾皮症、ケラトキサントーマ、甲状腺濾胞がん、カポジ肉腫及び中皮腫を含む他の腫瘍から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
がんを治療するための、請求項6に記載の式(Ia)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物。
【請求項20】
前記がんが、がん腫、リンパ系の造血器腫瘍、骨髄系の造血器腫瘍、線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉起源の腫瘍、中枢及び末梢神経系の腫瘍、並びに黒色腫、精上皮腫、奇形がん、骨肉腫、色素性乾皮症、ケラトキサントーマ、甲状腺濾胞がん、カポジ肉腫及び中皮腫を含む他の腫瘍から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物の調製のための中間体として使用される、請求項1に記載の式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬化合物。
【請求項22】
以下から選択される、式(II)のアントラサイクリン誘導体:
【化13】
又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項23】
式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬化合物の調製のための合成中間体として使用される、請求項22に記載のアントラサイクリン誘導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用抗体-薬物コンジュゲート(ADC)化合物の調製のためのアントラサイクリン-リンカー試薬を提供する。
【0002】
本発明はまた、がん細胞に対する生物学的活性を有する、アントラサイクリン薬物部分を含む治療用抗体-薬物コンジュゲート(ADC)化合物を提供する。この化合物は、哺乳動物における腫瘍の増殖を阻害することができ、ヒトがん患者の治療に有用であり得る。
【0003】
本発明の態様は、薬物-リンカー試薬及び抗体-薬物コンジュゲート化合物の作製方法、調製方法、合成方法、コンジュゲーション方法、及び精製方法を含む。
【背景技術】
【0004】
アントラサイクリンは、細胞傷害活性を示す抗生物質化合物である。いくつかの研究は、アントラサイクリンが、以下、すなわち、1)細胞のDNAとのインターカレーションによってDNA依存性核酸合成が阻害され、2)次いで細胞高分子と反応して細胞に損傷を引き起こすフリーラジカルを生成し、又は3)細胞膜との相互作用(例えば、C.Petersonら、「Transport and storage of Anthracycline in experimental systems and human leukemia」in Anthracycline Antibiotics in Cancer Therapy(1982)、pp.132-146及びN.R.Bachur、「Free Radical Damage」 id. pp.97-102を参照されたい)を含むいくつかの異なる機構によって細胞を死滅させるように作用し得ることを示した。その細胞傷害活性のために、アントラサイクリンは、白血病、乳がん、肺がん、卵巣がん及び肉腫などの多数のがんの治療に使用されてきた(例えば、P.H-Wiernik in Anthracycline: Current Status And New Developments(1980)、p.11を参照されたい)。通常使用されるアントラサイクリンには、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びダウノマイシンが含まれる。
【0005】
グリコシドアミノ基上での環化によって形成されるドキソルビシン及びダウノルビシンのモルホリノ類似体は、より高い効能を有する(Actonら(1984) J.Med.Chem.638~645、WO9802446号、US4464529号、US4672057号、US5304687号)。
【0006】
これらの化合物は、選択された細胞集団が除去されようとする新生物及び他の疾患状態の治療において有用であり得るが、それらの治療効果は、しばしば、それらの投与に関連する用量依存性毒性によって制限される。
【0007】
臨床におけるアントラサイクリン誘導体の使用における制限としては、腫瘍における不適切な蓄積、心臓毒性、注入時間の延長、膜トランスポーターを過剰発現するがん細胞の抵抗性、並びに下痢及び骨髄抑制などの用量制限副作用が挙げられる(Int.J.Nanomedicine、2007、2(4)、567-83、Med.Sci.Monit.2000、6(2)、Adriamycin Review、pp123-131、Mediokon、Belgium、European Press、1975、Ann Intern Med.1982、96(2):133-139)。
【0008】
細胞傷害性薬物の、薬物をビヒクル化することができる分子への薬物コンジュゲーション、したがって、腫瘍標的化を改善するか、又はその薬物動態特性を改変することができる分子への薬物コンジュゲーションは、上記の問題を解決するために行われてきた戦略の1つである(Xieら(2006) Expert、Opin.Biol.Ther.6(3):281-291、Kovtunら(2006) Cancer Res. 66(6):3214-3121)。
【0009】
より良好な標的送達を可能にし、溶解度を改善し、場合によっては、薬物の半減期又は局所濃度を増加させ、薬物性能を改善するなどの他の薬物動態特性を改善するタンパク質、ペプチド、アプタマー、ポリマー又はナノ粒子との細胞障害性薬物(ペイロード)のコンジュゲーションの異なる例が報告されている。事実上、得られるコンジュゲートは、溶解度、細胞への透過性、インビボ治療ウィンドウ、制御放出、細胞障害剤とコンジュゲートした特異的分子の性質による標的に到達する能力などに関して改善された特性を有する。
【0010】
この予測において、抗体の細胞傷害剤へのコンジュゲーション、したがって抗体薬物コンジュゲート(ADC)の生成は、新規薬物の発見のための新生のアプローチの1つである。
【0011】
このアプローチは、化学的にコンジュゲートされた高度に細胞傷害性の薬剤の抗体特異性及び細胞殺傷活性を組み込む。ADC構造中の抗体は、標的化剤及びナノスケール担体として作用して、治療用量の細胞傷害性カーゴを所望の腫瘍細胞に送達する。
【0012】
抗体へのアントラサイクリン誘導体コンジュゲートは、例えば、国際特許出願第2009/099741号及び同第2010/009124号に開示されている。ダウノルビシン及びドキソルビシンのイムノコンジュゲート及びプロドラッグが、調製及び研究されている(Kratzら(2006) Current Med.Chem.13:477-523、Jeffreyら(2006) Bioorganic & Med.Chem.Letters 16:358-362)。抗体-薬物コンジュゲートBR96-ドキソルビシンは、腫瘍関連抗原Lewis-Yと特異的に反応し、第I相及びII相研究において評価された(Salehら(2000) J.Clin.Oncology 18:2282-2292、Ajaniら(2000) Cancer Jour. 6:78-81、Tolcherら(1999) J.Clin.Oncology 17:478-484)。
【0013】
しかし、潜在的な標的化送達系としてのADCは、血液循環、抗原結合、内在化、ペイロード放出、及び最終的なペイロード作用を含む全ての障害を通過しなければならない。細胞傷害性ペイロードのオフターゲット放出は、そのような薬物の毒性の増加の原因となり、したがってそれらの臨床開発を妨げる問題の1つとして認識されている(Avicenna J Med Biotechnol.2019 Jan-Mar、11(1):3-23. and K.R.Kozak(2020))。
【0014】
この理由から、効果と毒性との間の良好なバランスを示す異なるタイプの分子とコンジュゲートされるのに適した官能化細胞障害性剤の開発に対する需要が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第98/02446号
【特許文献2】米国特許第4464529号明細書
【特許文献3】米国特許第4672057号明細書
【特許文献4】米国特許第5304687号明細書
【特許文献5】国際公開第2009/099741号
【特許文献6】国際公開第2010/009124号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】C.Petersonら、「Transport and storage of Anthracycline in experimental systems and human leukemia」in Anthracycline Antibiotics in Cancer Therapy(1982)、pp.132-146
【非特許文献2】N.R.Bachur、「Free Radical Damage」 id. pp.97-102
【非特許文献3】P.H-Wiernik in Anthracycline: Current Status And New Developments(1980)、p.11
【非特許文献4】Actonら(1984) J.Med.Chem.638~645
【非特許文献5】Int.J.Nanomedicine,2007;2(4):567-83
【非特許文献6】Med.Sci.Monit.2000;6(2)
【非特許文献7】Adriamycin Review、pp123-131、Mediokon、Belgium、European Press、1975
【非特許文献8】Ann Intern Med.1982、96(2):133-139
【非特許文献9】Xieら(2006) Expert、Opin.Biol.Ther.6(3):281-291
【非特許文献10】Kovtunら(2006) Cancer Res. 66(6):3214-3121
【非特許文献11】Kratzら(2006) Current Med.Chem.13:477-523
【非特許文献12】Jeffreyら(2006) Bioorganic & Med.Chem.Letters 16:358-362
【非特許文献13】Salehら(2000) J.Clin.Oncology 18:2282-2292
【非特許文献14】Ajaniら(2000) Cancer Jour.6:78-81
【非特許文献15】Tolcherら(1999) J.Clin.Oncology 17:478-484
【非特許文献16】Avicenna J Med Biotechnol.2019 Jan-Mar、11(1):3-23. and K.R.Kozak(2020)
【発明の概要】
【0017】
本発明者らはここで、生物学的アッセイにおいてそれ自体で試験した場合に中程度の細胞傷害活性を示す官能化アントラサイクリン誘導体が、抗体とコンジュゲートした場合に、したがって対応するADCを形成する場合に、予想外に非常に良好な細胞傷害活性及び非常に良好な安全性プロファイルを示すことを見出した。したがって、新規ADCは、がん及び他の病態を治療するのに有用であり得る。
【0018】
<定義>
「アントラサイクリン薬物」又は「アントラサイクリン誘導体薬物」は、細胞傷害活性を有する式(II)の化合物である。
【0019】
「アントラサイクリン-リンカー試薬」(Ant-L)は、反応性官能基を含むリンカー部分に共有結合したアントラサイクリン薬物又はアントラサイクリン誘導体薬物を含む化合物である。アントラサイクリン-リンカー試薬は、担体部分との反応によってアントラサイクリン-薬物コンジュゲートを調製するために好都合に使用することができる。
【0020】
「アントラサイクリン誘導体コンジュゲート」又は「アントラサイクリン-薬物コンジュゲート」は、抗体、タンパク質又はペプチドを含む担体部分にリンカーを介して共有結合したアントラサイクリン誘導体薬物から構成される化合物である。アントラサイクリン誘導体コンジュゲート化合物は、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)化合物を含む。
【0021】
「リンカー」又は「リンク」は、「アントラサイクリン薬物」又は「アントラサイクリン-薬物誘導体」(Ant)に対する共有結合又は共有結合した原子鎖を含む化学部分であり、アントラサイクリン-リンカー試薬(Ant-L)を形成する。
【0022】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ダイマー、マルチマー、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を、それらが所望の生物学的活性(Millerら(2003) Jour. of Immunology 170:4854-4861)を示す限り、具体的に包含する。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラ、又は他の種に由来し得る。抗体は、特異的抗原を認識し、それに結合することができる、免疫系によって生成されるタンパク質である(Janeway,C.、Travers,P.、Walport,M.、Shlomchik(2001) Immuno Biology、第5版、Garland Publishing、New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体上のCDRによって認識される、エピトープとも呼ばれる多数の結合部位を有する。異なるエピトープに特異的に結合する各抗体は、異なる構造を有する。したがって、1つの抗原は、複数の対応する抗体を有し得る。抗体は、全長免疫グロブリン分子又は全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、目的の標的又はその部分の抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を含み、そのような標的としては、がん細胞又は自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスであり得る。免疫グロブリンは、ヒト、マウス、又はウサギ起源を含む任意の種に由来し得る。
【0023】
「ErbB受容体」は、細胞増殖、分化及び生存の重要なメディエーターであるErbB受容体ファミリーに属する受容体タンパク質チロシンキナーゼである。ErbB受容体ファミリーは、上皮成長因子受容体(EGFR、ErbB1、HER1)、HER2(ErbB2又はp185neu)、HER3(ErbB3)及びHER4(ErbB4又はtyro2)を含む4つの異なるメンバーを含む。ErbB受容体は、一般に、ErbBリガンドに結合し得る細胞外ドメイン、親油性膜貫通ドメイン、保存された細胞内チロシンキナーゼドメイン、及びリン酸化され得るいくつかのチロシン残基を有するカルボキシル末端シグナル伝達ドメインを含む。ErbB受容体は、「天然配列」ErbB受容体又はその「アミノ酸配列変異体」であり得る。ErbB受容体は、天然配列ヒトErbB受容体であり得る。したがって、「ErbB受容体ファミリーのメンバー」は、EGFR(ErbB1)、ErbB2、ErbB3、ErbB4、又は現在知られているか若しくは将来同定される任意の他のErbB受容体である。配列同一性スクリーニングは、2つの他のErbB受容体ファミリーメンバー、すなわち、ErbB3(US5183884号、US5480968号、Krausら(1989) PNAS(USA) 86:9193-9197)及びErbB4(EP599274号、Plowmanら(1993) Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:1746-1750、Plowmanら(1993) Nature 366:473-475)の同定をもたらした。これらの受容体の両方とも、少なくともいくつかの乳がん細胞株において発現の増加を示す。抗ErbB2抗体は特徴付けられた(US5677171号、US5821337号、US6054297号、US6165464号、US6407213号、US6719971号、US6800738号)。
【0024】
「担体部分」は、天然又は合成起源のポリクローナル及びモノクローナル抗体、タンパク質又はペプチドに由来する。担体部分は、式(I)のアントラサイクリン-薬物試薬とのコンジュゲーションに適している。担体部分は、腫瘍関連抗原に対して産生されたポリクローナル抗体又は腫瘍細胞集団上で優先的若しくは選択的に発現される抗原に結合するモノクローナル抗体に由来し得る、又は天然若しくは組換えのペプチド若しくはタンパク質又は腫瘍細胞に優先的若しくは選択的に結合する増殖因子又は天然若しくは合成のポリマー担体、例えばポリリジン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸並びにそれらの類似体及び誘導体、又は例えばデキストラン若しくは他のポリマー炭水化物類似体及びそれらの誘導体、又はN-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)に由来するものなどの合成コポリマー(J. Kopecek、Macromolecules.H.Benoit & P.Rempp編:505-520(1982) Pergamon Press.Oxford, Englandを参照)又は肺組織Rのための標的指向性薬物-担体(Duncanら、Journal of Bioactive and Compatible Polymers、4巻、1989年7月)として有用な、ポリ(GluNa、Ala、Tyr)などのポリ(アミノ酸)コポリマーに由来する。
【0025】
ペイロードという用語は、本明細書で使用する場合、細胞傷害活性を有するアントラサイクリン残基を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)の化学的又は生化学的分解に由来する任意の化学構造を指す。特に好ましいのは、式(II)のペイロードである。
【0026】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能性のある天然に存在する突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して向けられる。さらに、異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に向けられている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体によって汚染されずに合成され得るという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体の特性を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975) Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は組換えDNA法によって作製され得る(US4816567号を参照のこと)。モノクローナル抗体はまた、Clacksonら(1991) Nature、352:624-628、Marksら(1991)J.Mol.Biol.、222:581-597に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0027】
本明細書におけるモノクローナル抗体は、具体的には、「キメラ」抗体を含み、それらが所望の生物学的活性を示す限りそのような抗体の断片と同様に、重鎖及び/又は軽鎖の一部は、特定の種に由来するか又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同であり、鎖の残りは、別の種に由来するか又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である(US4816567号及びMorrisonら(1984) Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851-6855)。キメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル又はApe)に由来する可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体が含まれる。
【0028】
「抗体断片」は、全長抗体の一部、一般にその抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab‘、F(ab’)2、及びFv断片、ダイアボディ、線状抗体、Fab発現ライブラリーによって産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及びがん細胞抗原、ウイルス抗原又は微生物抗原、単鎖抗体分子に免疫特異的に結合する、上記のいずれかのエピトープ結合断片、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0029】
「アミノ酸側鎖」という用語は、以下で見出される基、すなわち、(i)天然に存在するアミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリジン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリン、(ii)微量アミノ酸、例えばオルニチン及びシトルリン、(iii)非天然D-アミノ酸、β-アミノ酸、天然に存在するアミノ酸の合成類似体及び誘導体、(iv)全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、異性体濃縮、同位体標識、保護形態、及びそれらのラセミ混合物を含む。
【0030】
「直鎖又は分枝C1~C6アルキル」という用語は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどの基のいずれかを意図する。
【0031】
「直鎖又は分枝C1~C4ヒドロキシアルキル」という用語は、例えば、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、3-ヒドロキシブチル、2-ヒドロキシブチルなどの基のいずれかを意図する。
【0032】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意図する。
【0033】
「直鎖又は分枝C1~C4ハロアルキル」という用語は、1個以上のハロゲン原子によって置換されている上で定義したC1~C4アルキル基(例えば、トリフルオロメチル及びトリフルオロエチルなど)のいずれかを意図する。
【0034】
本明細書で使用される用語「複素環」は、飽和又は不飽和の非芳香族5~7員炭素環を指し、1~3個の炭素原子は、窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子によって置き換えられ、前記ヘテロ原子は互いに直接結合してもよく、窒素及び硫黄は任意選択で酸化されてもよく、窒素は任意選択で四級化されてもよく、又は置換基をもたらしてもよい。複素環基の非限定的な例は、例えば、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、4-メチルピペラジニル、4-エチルピペラジニル、ジアゼピニルなどである。
【0035】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、単結合によって互いに縮合又は連結された1~2個の環部分を有する炭素環式炭化水素を指し、環の少なくとも1つは芳香族である。本発明によるアリール基の例は、例えば、フェニル、ビフェニル、α-若しくはβ-ナフチル、ジヒドロナフチルなどである。
【0036】
「炭素環」という用語は、3員~7員の全炭素単環式環を指し、これは、1つ以上の二重結合を含有し得るが、完全に共役したπ電子系を有さない。
【0037】
炭素環の例は、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキサニル、シクロヘキセニル及びシクロヘキサジエニルである。
【0038】
「脱離基」という用語は、置換反応において別の基によって置換され得る基を指す。このような脱離基は当技術分野において周知であり、例としては、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物)、アジド、スルホネート(例えば、置換されてもよいC1~C6アルカンスルホネート、例えばメタンスルホネート及びトリフルオロメタンスルホネート、又は置換されてもよいC7~C12アルキルベンゼンスルホネート、例えばp-トルエンスルホネート)、スクシンイミド-N-オキシド、p-ニトロフェノキシド、ペンタフルオロフェノキシド、テトラフルオロフェノキシド、カルボキシレート、アミノカルボキシレート(カルバメート)及びアルコキシカルボキシレート(カーボネート)が挙げられるが、これらに限定されない。飽和炭素での置換については、ハロゲン化物及びスルホネートが好ましい脱離基である。カルボニル炭素での置換については、ハロゲン化物、スクシンイミド-N-オキシド、p-ニトロフェノキシド、ペンタフルオロフェノキシド、テトラフルオロフェノキシド、カルボキシレート、又はアルコキシカルボキシレート(カーボネート)を、例えば脱離基として使用することができる。「脱離基」という用語はまた、脱離反応、例えば、電子カスケード反応又はスピロ環化反応の結果として脱離される基を指す。この場合、ハロゲン化物、スルホネート、アジド、アミノカルボキシレート(カルバメート)又はアルコキシカルボキシレート(カーボネート)を脱離基として用いることができる。
【0039】
化学官能基の別のものへの変換は、望ましくない副反応を回避するために、そのような官能基を含有する化合物中の1つ以上の反応中心が保護されなければならないことを必要とし得ることが当業者に知られている。このような反応中心の保護、及び合成変換の終わりにおけるその後の脱保護は、文献に記載されている標準的な手順に従って達成することができる(例えば、Green、Theodora W.及びWuts,Peter G.M.-Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons Inc.、New York(NY)、1999を参照されたい)。
【0040】
したがって、「保護基」という用語は、化学合成においてこのような反応中心を保護するために使用される基、例えば、ヒドロキシル基(-OH)、アミノ基(-NH)、チオール基(-SH)、カルボニル基(-C=O)、カルボキシル基(-COOH)を指す。保護基の例は、文献に報告されているものである(例えば、ibidemを参照されたい)。
【0041】
「窒素保護基」という用語は、窒素原子と共にカルバメート、アミド、環状イミド、N-アルキル及びN-アリールアミンを形成する基を指す。このような保護基は、当技術分野において周知である(例えば、ibidemを参照されたい)。カルバメート保護基の非限定的な例は、例えば、メチル及びエチルカルバメート、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(Troc)、t-ブチルカルバメート(Boc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、ベンジルカルバメート(Cbz)、p-ニトロベンジルなどである。アミドの非限定的な例は、例えば、N-トリクロロアセトアミド、N-トリフルオロアセトアミド(TFA)などである。環状イミド保護基の非限定的な例は、例えば、N-フタルイミド、N-ジチアスクシノイルイミド(Dts)などである。N-アルキル及びN-アリール保護基の非限定的な例は、例えば、N-アリルアミン、N-ベンジルアミンなどである。
【0042】
「ヒドロキシル保護基」という用語は、酸素原子と共にエーテル、エステル、環状アセタール又はケタールを形成する基を指す。このような保護基は、当技術分野において周知である(例えば、ibidemを参照されたい)。エーテル保護基の非限定的な例は、例えば、アルキルエーテル及びベンジルエーテル、例えば、メトキシメチルエーテル(MOM-OR)、テトラヒドロピラニルエーテル(THP-OR)、アリルエーテル(アリル-OR)、ベンジルエーテル(Bn-OR)、トリフェニルメチルエーテル(Tr-OR)など、又はシリルエーテル、例えば、トリメチルシリルエーテル(TMS-OR)、t-ブチルジメチルシリルエーテル(TBS-OR又はTBDMS-OR)、t-ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS-OR)、ジフェニルメチルシリルエーテル(DPMS-OR)などである。エステル保護基の非限定的な例は、例えば、トリフルオロアセテート、ベンゾエート(Bz-OR)及びカーボネート、例えばエチルカーボネートなどである。環状アセタール又はケタール保護基の非限定的な例は、例えば、メチレンアセタール、エチリデンアセタール、メトキシメチレンアセタールなどである。
【0043】
「活性エステル」という用語は、エステル部分のアルコキシ基が良好な脱離基である官能基を指す。このようなアルコキシ基の例としては、スクシンイミド-N-オキシド(NHSエステル)、p-ニトロフェノキシド、ペンタフルオロフェノキシド、テトラフルオロフェノキシド、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール及び1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、及び同等の脱離能力を有する基が挙げられるが、これらに限定されない。メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ及びt-ブトキシなどの非置換アルキル系アルコキシ基は、良好な脱離基とはみなされず、メチル、エチル、イソプロピル、及びt-ブチルエステルは活性エステルとはみなされない。
【0044】
「電子求引基」という用語は、通常、共鳴又は誘導効果によって、隣接する原子からそれ自体に向かって電子密度を引き出す原子基を指す。非限定的な例は、ハロゲン、トリフルオロメチル基、ニトロ(NO2)基及びニトリル(CN)である。
【0045】
「求核剤」という用語は、求核基を有する分子を指す。「求核基」という用語は、電子対を求電子基に供与して化学反応において化学結合を形成する種を指す。このような求核基の例としては、ハロゲン、アミン、亜硝酸塩、アジド、ヒドロキシル、アルコキシドアニオン、カルボキシレートアニオン、チオール、チオレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「求電子基」という用語は、求核基から電子対を受け取り、化学反応において化学結合を形成する種を指す。このような求電子基の例としては、エステル、アルデヒド、アミド、ケトンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
用語「非天然D-アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸のD-立体異性体(L-立体異性体)を指す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明のADC化合物(Ia
iv)のHCC1954異種移植片モデルに対するインビボ活性データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の第1の目的は、
リンカー(L)に共有結合したアントラサイクリン薬物(Ant)又は薬学的に許容されるその塩を含む、式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬であって、
【0050】
【化1】
式中、
Antは、式(II)のアントラサイクリン薬物部分であり、
【0051】
【化2】
式中、
Xは、O又はNHであり、
Aは、(IIIa)~(IIIe)からなる群から選択される複素環(Het)又は炭素環(Cb)であり、
【0052】
【化3】
[式中、
Rは、独立して、水素、又は直鎖若しくは分枝(C
1~C
6)アルキルであり、
nは、0~6の整数であり、
Lは、式(VI)のリンカーであり、
【0053】
【化4】
式中、
Wは、独立して、不存在であるか、又は(Va)~(Vc)からなる群から選択される自壊性系(immolative system)であり、
【0054】
【化5】
式中、
R1及びR2は、各々独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル又は直鎖若しくは分枝C
1~C
4ヒドロキシアルキルであり、
PEは、独立して、不存在又は天然L-アミノ酸及び非天然D-アミノ酸の任意の組み合わせからなるジペプチド若しくはトリペプチド部分であり、
RMは、(VIa)~(VIc)からなる群から選択される反応性部分であり、
【0055】
【化6】
式中、
R3及びR4は、各々独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖若しくは分枝C
1~C
4ヒドロキシアルキル、直鎖若しくは分枝C
1~C
4ハロアルキルであるか、又はR3及びR4は一緒になって3員~6員の炭素環を形成し、
R5は、水素、C
1~C
3アルキル又はNO
2基若しくはCN基を含む電子求引性基であり、
rは、0~7の整数である]。
【0056】
式(I)の化合物において、自壊性系Wは、安定な方法で、式(II)のアントラサイクリン誘導体薬物の部分AをPE-RM残基に、又はPEが不存在である場合はRM部分に拘束する。
【0057】
RMと基PEの連結原子との間の結合、又はPEが不存在である場合W、又はW及びPEが両方とも不存在である場合Aは、アミド、エステル又はチオエステル基を形成し得る。
【0058】
式(I)の好ましいアントラサイクリン-リンカー試薬は、以下の化合物である:
式中、Aは、以下からなる群から選択される複素環式基又は炭素環式基であり、
【0059】
【化7】
式中、
Rが、直鎖又は分枝(C
1~C
6)アルキルであり、
Lが、式(VI)のリンカーであり、式中、Wは基(Va’)又は(Vb’)であり、
【0060】
【0061】
PEが、以下のアミノ酸、すなわち、グリジン、アラニン、ロイシン、バリン、シトルリン、フェニルアラニンの任意の組み合わせからなるジペプチド又はトリペプチド部分であり、C末端アミノ酸残基はWに連結しており、N末端アミノ酸残基はRMに連結しており、
RMが、(VIa)~(VIc)から選択される基であり、
【0062】
【化9】
式中、
R3、R4及びR5が、水素であり、
rが、好ましくは3~5の整数である。
【0063】
式(I)のより好ましいアントラサイクリン-リンカー試薬は、以下の化合物である:
式中、Aが、(IIIa’)、(IIIa”)、(IIIb’)及び(IIIc’)からなる群から選択される複素環基であり、
式中、
Rは、直鎖(C1~C6)アルキルであり、
Wは、基(Va’)又は(Vb’)であり、
PEは、バリン-アラニン及びバリン-シトルリンから選択されるジペプチド又はトリペプチドフェニルアラニン-ロイシン-グリジンであり、
式中、
C末端アミノ酸残基はWに連結され、N末端アミノ酸残基はRMに連結され、
RMは、基(VIa)~(VIc)から選択される反応性部分であり、
式中、
R3、R4及びR5が、水素であり、
rが、3~5の整数である。
【0064】
式(I)の他のより好ましいアントラサイクリン-リンカー試薬は、以下の化合物である:
式中、Aは、(IIIa’)、(IIIa”)、(IIIb’)及び(IIIc’)からなる群から選択される複素環基であり、
式中、
Rが、直鎖(C1~C6)アルキルであり、
Lが、(IVa)~(IVc)からなる群から選択されるリンカーであり、
【0065】
【0066】
式(I)の好ましい特定のアントラサイクリン-リンカー試薬化合物又は薬学的に許容されるその塩は、以下に列挙される化合物である:
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物1)、
【0067】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物2)、
【0068】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物3)、
【0069】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物4)、
【0070】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物5)、
【0071】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物6)、
【0072】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物7)、
【0073】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物8)、
【0074】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物9)、
【0075】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物10)、
【0076】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物11)、
【0077】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバマート(化合物12)、
【0078】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物13)、
【0079】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物14)、
【0080】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化15)及び
【0081】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物 16)。
【0082】
式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬において、AntとリンカーLとの間の結合、又はリンカー自体のWとPE若しくはPEとRMとの間の共有結合の1つ以上は、細胞の外側、すなわち細胞外で安定であり得るか、又は酵素活性、加水分解若しくは他の代謝条件によって切断可能であり得、そのため細胞傷害活性を示す化合物であるアントラサイクリンペイロードが放出される。
【0083】
当業者には、結合が切断されると、関与する原子の価数は、切断型反応に応じて水素原子又はOH基で回復することが明らかである。したがって、本発明の範囲を限定することなく、式(I)の化合物においてAnt-L結合が切断されると、放出されたアントラサイクリンペイロードは、式(II)の化合物であり、式中、
Aは、以下からなる群から選択される複素環式基又は炭素環式基であり、
【0084】
【化11】
式中、
Het、Cb、R及びnは上で定義した通りである。
【0085】
式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬は、担体部分と反応してアントラサイクリン薬物コンジュゲートを形成することができる反応性官能基(RM部分)を含む化合物である。担体部分が抗体(Ab)である場合、コンジュゲートは抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。
【0086】
本発明の第2の目的は、式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を提供することである:
【0087】
【化12】
式中、
Abは、所与の標的細胞集団に関連する受容体、抗原若しくは他の受容部分と結合するか、それと反応的に会合するか、又はそれと複合体を形成する、任意の単位、タイプ又はクラスの抗体を含み、
m(薬物ローディング)は、1~8の整数であり、
Ant-Lは、式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬であり、リンカーLのRM部分は、抗体(Ab)のシステインチオール、又はアミン、例えば、N末端若しくはアミノ酸側鎖、例えば、リジンと反応し、したがって、式(Ia)の抗体薬物コンジュゲートを形成する。明確にするために、RMと抗体Abとの間の連結、したがって式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲートを形成する連結を以下に報告する:
【0088】
【化13】
式中、
破線は、RM残基のPEに対する、又はPEが不存在である場合Wに対する、又はW及びPEの両方が不存在である場合、式(II)のアントラサイクリン薬物のAに対する結合点を表し、
R3及びR4は、上で定義された通りであり、
rは、0~7の整数であり、
mは、上で定義した通りである。
【0089】
アントラサイクリン薬物と抗体との比、又は薬物ローディングは、式(Ia)の化合物のmによって表される。薬物ローディング値mは、1~8である。式(Ia)の化合物は、1、2、3、4、5、6、7又は8の薬物部分が抗体に共有結合している、様々な負荷及び結合抗体-薬物コンジュゲートの全ての混合物を含み、好ましくは、mは、1、2、3又は4である。
【0090】
式(Ia)の好ましいADCは、以下の化合物である:
式中、Ant-Lは、化合物1~16から選択されるアントラサイクリン-リンカー試薬であり、
m及びAbは上で定義した通りである。
【0091】
式(Ia)のより好ましいADCは、以下の化合物である:
式中、Abは、1つ以上の腫瘍関連ErbB2抗原又は細胞表面ErbB2受容体に結合する抗体であり、
Ant-L及びmは、上で定義した通りである。
【0092】
式(Ia)の別のより好ましいADCは、以下の化合物である:
式中、Abは、トラスツズマブ(TRZ)である化合物である。
【0093】
最も好ましい式(Ia)のADCは、化合物(IaI)~(IaXVI)からなる群から選択される化合物である:
【0094】
【化14】
式中、mは1~8の整数である。好ましくは、mは2~6の整数である。
【0095】
Ant-L結合及び/又はL-Ab結合及び/又はリンカー(L)の部分W、PE及びRMを接続する共有結合は、細胞の外、すなわち細胞外で安定であり得るか、又は酵素活性、加水分解又は他の代謝条件によって切断可能であり得る。
【0096】
結合は、好ましくは細胞外で安定である。細胞への輸送又は送達の前に、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は好ましくは安定であり、無傷のままであり、すなわち抗体は薬物部分に結合したままである。リンカーは、標的細胞の外側で安定であり、細胞の内側でいくらか有効な速度で切断され得る。有効なリンカーは、(i)抗体の特異的結合特性を維持する、(ii)コンジュゲート又はアントラサイクリンペイロードの細胞内送達を可能にする、(iii)コンジュゲートがその標的部位に送達又は輸送されるまで安定かつ無傷のままである、すなわち切断されない、(iv)アントラサイクリンペイロードの細胞障害性、細胞死滅効果又は細胞増殖抑制効果を維持する。ADCの安定性は、質量分析、HPLC、及び分離/分析技術LC/MSなどの標準的な分析技術によって測定することができる。
【0097】
本発明のADC並びに式(I)のアントラサイクリン-薬物は、それらが、他のパラメーターの中でも、分子の極性及び溶解度、したがってそれらの薬物動態学的特性に大きく影響を及ぼす2つの第2級又は第3級アミン官能基を封入する部分(A)を含むことを特徴とする新規化合物である。ADCからのペイロードの非特異的放出が起こる場合、本発明の化合物におけるように、ペイロード構造上のプロトン化可能部分の存在は、放出された細胞障害性ペイロードの細胞への受動的拡散を防止し、したがって、非特異的毒性を低減し、ADCの安全性プロファイルを改善することができると推測することができる。
【0098】
ADCの構造における新規な(A)部分の特異性は、本発明の構造を、化学構造の観点からも化学的物理的特性の観点からも、先行技術の構造と大きく区別する。
【0099】
<薬物ローディング>
薬物ローディングは、式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート分子におけるmによって表される。薬物ローディングは、抗体(Ab)当たり1~8個のアントラサイクリン薬物(Ant)の範囲であり得、すなわち、1、2、3、4、5、6、7又は8個のアントラサイクリン薬物部分がリンカー(L)を介して抗体に共有結合し、好ましくは、mは2~6の範囲であり得る。コンジュゲーション反応からのADCの調製物中の抗体当たりのアントラサイクリン薬物の平均数は、質量分析、ELISAアッセイ、電気泳動、及びHPLCなどの従来の手段によって特徴付けることができる。mに関するADCの定量的分布も決定することができる。ELISAによって、ADCの特定の調製物におけるmの平均値を決定することができる(Hamblettら(2004) Clin.Cancer Res.10:7063-7070、Sandersonら(2005) Clin.Cancer Res.11:843-852)。しかし、m(アントラサイクリン薬物)値の分布は、ELISAの抗体-抗原結合及び検出限界によって識別可能ではない。また、抗体-薬物コンジュゲートの検出のためのELISAアッセイは、抗体のどこにアントラサイクリン薬物部分が結合しているか、例えば重鎖若しくは軽鎖断片、又は特定のアミノ酸残基を決定しない。場合によっては、mが特定の値である均質ADCの、他の薬物ローディングを有するADCからの分離、精製、及び特徴付けは、逆相HPLC又は電気泳動などの手段によって達成され得る。
【0100】
いくつかの抗体-薬物コンジュゲートについて、mは、抗体上の結合部位の数によって制限され得る。例えば、抗体は、1つのみ又はいくつかのシステインチオール基のみを有し得るか、又は1つのみ又はいくつかの充分に反応性のチオール基のみを有し得、それを介してリンカーが結合され得る。より高い薬物ローディング、例えば、m>6は、特定の抗体-薬物コンジュゲートの凝集、不溶性、毒性、又は細胞透過性の喪失を引き起こし得る。
【0101】
典型的には、理論的最大値未満の薬物部分が、コンジュゲーション反応中に抗体にコンジュゲートされる。抗体は、例えば、アントラサイクリン-リンカー試薬(Ant-L)と反応しない多くのリジン残基を含有し得る。最も反応性のリジン基のみがアミン反応性リンカー試薬と反応し得る。また、最も反応性のシステインチオール基のみが、チオール反応性リンカー試薬と反応し得る。一般に、抗体は、薬物部分に連結され得る多くの遊離及び反応性システインチオール基(存在する場合)を含有しない。化合物の抗体中のほとんどのシステインチオール残基はジスルフィド架橋として存在し、部分的又は完全な還元条件下でジチオスレイトール(DTT)又はTCEPなどの還元剤で還元されなければならない。さらに、抗体を変性条件に供して、リジン又はシステインなどの反応性求核基を露出しなければならない。ADCの負荷(薬物/抗体比)は、以下を含むいくつかの異なる様式、すなわち、(i)アントラサイクリン-リンカー試薬(Ant-L)のモル過剰を制限すること、(ii)コンジュゲーション反応時間又は温度を制限すること、及び(iii)システインチオール修飾のための部分的又は制限的還元条件で制御することができる。
【0102】
システインアミノ酸は、抗体中の反応部位で操作され得、鎖内又は分子間ジスルフィド結合を形成しない(US7521541号)。操作されたシステインチオールは、式(VIa)又は(VIb)の化合物などのチオール反応性求電子基を有する本発明のアントラサイクリン-リンカー試薬(Ant-L)と反応して、システイン操作された抗体及びアントラサイクリン誘導体薬物部分を有するADCを形成することができる。したがって、薬物部分の位置を設計し、制御し、知ることができる。操作されたシステインチオール基は、典型的には、高収率でアントラサイクリン-リンカー試薬と反応するので、薬物ローディングを制御することができる。重鎖又は軽鎖上の単一部位での置換によってシステインアミノ酸を導入するようにIgG抗体を操作することにより、対称抗体上に2つの新しいシステインが得られる。2に近い薬物ローディング及びコンジュゲーション産物ADCのほぼ均質性を達成することができる。
【0103】
抗体の複数の求核基又は求電子基がアントラサイクリン-リンカー試薬(Ant-L)と反応する場合、得られる生成物は、抗体に結合したアントラサイクリン薬物部分の分布、例えば1、2、3などを有するADC化合物の混合物である。ポリマー逆相(PLRP)及び疎水性相互作用(HIC)などの液体クロマトグラフィー法は、薬物ローディング値によって混合物中の化合物を分離し得る。単一の薬物ローディング値mを有するADCの調製物は単離され得るが、これらの単一の負荷値ADCは、薬物部分がリンカーを介して抗体上の異なる部位に結合され得るため、依然として不均質な混合物であり得る。
【0104】
したがって、本発明のADC組成物は、抗体が1つ以上のアントラサイクリン誘導体薬物部分を有し、アントラサイクリン薬物部分が様々なアミノ酸残基で抗体に結合し得るADC化合物の混合物を含む。
【0105】
本発明の式(Ia)のコンジュゲートは、加水分解又は「インビボ」酵素切断時にアントラサイクリンペイロードを放出する切断可能な結合を含有するため、有用な治療剤である。
【0106】
悪性腫瘍では、正常組織と比較して解糖速度が高いことは周知である。これは、乳酸塩の生成の増加を引き起こし、したがって、腫瘍におけるpHの低下を引き起こす(H.M.Rauenら、Z.Naturforsch,Teil B、23(1968)1461を参照されたい)。本発明は、化合物の2レベルの作用特異性をもたらし、第1のものは、抗原認識による腫瘍組織におけるコンジュゲートの優先的な局在化をもたらし、第2のものは、優先的な酸性切断による腫瘍組織におけるその活性形態の薬物の優先的な放出をもたらす。本発明の組成物又は方法の範囲又は有用性を限定するものではないが、本明細書に記載されるリンカーは、局所的又は全身性の酸性条件下でインビボで切断され得、したがって、標的化抗体をアントラサイクリンペイロードから分離する。
【0107】
本発明はまた、標準的な合成変換からなるプロセスによって調製された式(Ia)のアントラサイクリンコンジュゲート及びアントラサイクリン薬物試薬(I)、並びにそれらの異性体、互変異性体、水和物、溶媒和物、錯体、代謝産物及びN-オキシドを合成する方法を提供する。
【0108】
本発明はまた、式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物の調製のための合成中間体としての式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬化合物の使用を提供する。
【0109】
本発明はまた、式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬化合物の調製のための合成中間体としての式(II)のアントラサイクリン誘導体の使用を提供する。
【0110】
また、本発明は、治療有効量の上記定義の式(Ia)の誘導体又は薬学的に許容されるその塩及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0111】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、通常、従来の方法に従って調製され、適切な医薬形態で投与される。例えば、固体経口形態は、活性化合物と共に、希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプン、滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウム、及び/又はポリエチレングリコール、結合剤、例えばデンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドン、崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩又はグリコール酸デンプンナトリウム、発泡混合物、染料、甘味料、湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェート、また一般に医薬製剤に使用される非毒性で薬理学的に不活性な物質を含有し得る。これらの薬学的調製物は、既知の様式で、例えば、混合、造粒、錠剤化、糖衣、又はフィルムコーティングプロセスによって製造され得る。
【0112】
経口投与用の液体分散体は、例えば、シロップ剤、エマルジョン及び懸濁液であり得る。例として、シロップは、担体としてサッカロース、又はグリセリン及び/又はマンニトール及びソルビトールを含むサッカロースを含有してもよい。
【0113】
懸濁液及びエマルジョンは、担体の例として、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコールを含有し得る。筋肉内注射用の懸濁液又は溶液は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコール、及び所望により好適な量のリドカイン塩酸塩を含有し得る。静脈内注射又は注入のための溶液は、担体として滅菌水を含有してもよく、又は好ましくは、それらは、滅菌、水性、等張性、生理食塩水の形態であってもよく、又はそれらは、担体としてプロピレングリコールを含有してもよい。坐剤は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤又はレシチンを含有し得る。
【0114】
本発明はさらに、治療有効量の式(Ia)の誘導体及び1つ以上の化学療法剤を含む医薬組成物を提供する。
【0115】
本発明はまた、治療有効量の式(Ia)の誘導体を、既知の抗がん治療(例えば、放射線療法又は化学療法レジメン)と組み合わせて、細胞増殖抑制剤又は細胞障害性剤、抗生物質型薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、COX-2阻害剤)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗成長因子受容体剤、抗HER2剤、抗EGFR剤、抗血管新生剤(例えば、血管新生阻害剤)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ras-rafシグナル伝達経路阻害剤、細胞周期阻害剤、他のcdks阻害剤、チューブリン結合剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤などと組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0116】
加えて、本発明は、上で定義した式(Ia)の誘導体又は薬学的に許容されるその塩、及び1つ以上の化学療法剤を含む生成物を、抗がん療法における同時、別々又は連続使用のための組み合わせ調製物として提供する。
【0117】
固定用量として製剤化される場合、このような組み合わせ製品は、以下に記載される投与量範囲内の本発明の化合物及び承認された投与量範囲内の他の薬学的に活性な薬剤を使用する。
【0118】
式(Ia)の化合物は、組み合わせ製剤が不適切である場合、既知の抗がん剤と連続して使用され得る。
【0119】
哺乳動物、例えばヒトへの投与に適した本発明の式(Ia)の化合物は、通常の経路で投与することができ、投与量レベルは、年齢、体重、患者の状態及び投与経路に依存する。
【0120】
例えば、式(Ia)の化合物の静脈内投与に採用される適切な投与量は、毎日の用量当たり約0.1~約10mg/kgの範囲であり得る。本発明の化合物は、様々な剤形で、例えば、経口的に、錠剤、カプセル剤、糖衣錠又はフィルムコーティング錠、液体溶液又は懸濁液の形態で、坐剤の形態で直腸に、非経口的に、例えば、皮下に、筋肉内に、又は静脈内及び/若しくは髄腔内及び/若しくは脊髄内注射若しくは注入によって投与することができる。
【0121】
さらに別の態様において、本発明は、医薬として使用するために、上で定義した式(Ia)の誘導体又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0122】
本発明はまた、がん、細胞増殖障害及びウイルス感染症を治療する方法において使用するために、上記で定義される式(Ia)の誘導体を提供する。
【0123】
好ましくは、上で定義した式(Ia)の誘導体は、限定されないが、小細胞肺がん、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、子宮頸部、甲状腺、前立腺を含む膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺を含むがん腫、及び扁平上皮がんを含む皮膚がん、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫及びバーキットリンパ腫を含むリンパ系の造血器腫瘍、急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び前骨髄球性白血病を含む骨髄系の造血器腫瘍、線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉起源の腫瘍、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫及び神経鞘腫を含む中枢及び末梢神経系の腫瘍、並びに黒色腫、精上皮腫、奇形がん、骨肉腫、色素性乾皮症、ケラトキサントーマ(keratoxanthoma)、甲状腺濾胞がん、カポジ肉腫及び中皮腫を含む他の腫瘍などの特定のタイプのがんを治療する方法において使用するためのものである。
【0124】
さらに、上記で定義される式(Ia)の誘導体は、特定の細胞増殖障害、例えば、前立腺肥大症、家族性大腸腺腫症(FAP)、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化症に関連する血管平滑細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎並びに術後狭窄及び再狭窄を治療する方法において使用するためのものである。
【0125】
さらに、上で定義した式(Ia)の誘導体は、腫瘍血管新生及び転移を阻害する方法において、並びに臓器移植拒絶及び宿主対移植片疾患を治療する方法において使用するためのものである。
【0126】
本発明はまた、がんを治療するための方法であって、それを必要とする哺乳動物に、有効量の上で定義した式(Ia)の誘導体を投与することを含む方法を提供する。それを必要とする哺乳動物は、例えばヒトであり得る。
【0127】
さらに、本発明は、がん、細胞増殖障害及びウイルス感染症を治療するための医薬の製造における、上で定義した式(Ia)の誘導体又は薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0128】
最後に、本発明は、コンジュゲートの調製における、上で定義したアントラサイクリン薬物試薬(I)の使用を提供する。
【0129】
上で定義した式(I)のアントラサイクリン薬物試薬は、スキームAにおいて以下に記載される一般的な合成プロセスに従って調製することができる:
【0130】
【0131】
したがって、本プロセスは、以下のステップを予測する。
【0132】
ステップ1)式(VII)の化合物:
【0133】
【化16】
[式中、XはO又はNHである)
と、メシレート、トシレート及びハロゲンから選択される脱離基Mを導入するのに好適な試薬とを反応させ、式(VIII)の化合物を得、
【0134】
ステップ2)このようにして得られた式(VIII)の化合物:
【0135】
【化17】
(式中、X及びMは、ステップ1において上で定義した通りである)
と、式(IX)の適切な複素環式又は炭素環式中間体とを反応させ、
【0136】
【化18】
[式中、Aは、(IIIa)~(IIIe)からなる群から選択される複素環又は炭素環であって、Rは独立して水素、置換直鎖又は分枝の(C
1~C
6)アルキルであり、nは0~6の整数である)
【0137】
ステップ3)適切な酸との反応によって得られた式(X)の化合物:
【0138】
【化19】
[式中、X及びAは、ステップ1及びステップ2において上で定義した通りである]
を脱保護して、式(II)の化合物を得、
【0139】
ステップ4)得られた化合物(II):
【0140】
【化20】
[式中、X及びAは、ステップ1及びステップ2において上で定義した通りである]
を、式(XI)の好適な活性化化合物:
【0141】
【化21】
[式中、Wは、独立して、不存在であるか、又は式(Va)~(Vc)から選択される基であり、PEは、不存在又は上で定義したジペプチド若しくはトリペプチド部分であり、RMは、式(VIa)~(VIc)から選択される任意選択で反応性部分である]
と反応させて、化合物(I)を得る。
【0142】
ステップ1)によれば、脱離基を導入するための式(VII)の化合物の反応は、当該技術分野において広く知られている様々な方法及び実験条件で行うことができる。特に、この反応は、メタンスルホン酸無水物を用いて、有機溶媒、好ましくはDCM中、室温以下で、好適な塩基、好ましくはDMAP、コリジン又はピリジンの存在下で、約30分~約24時間の範囲の時間で実施することができる。
【0143】
ステップ2)によれば、式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物との反応は、様々な方法で達成することができる。この反応は、好適な有機溶媒、好ましくはDCM、アセトン又はTHF中で、室温~40℃の範囲の温度で、約30分~約24時間の範囲の時間で実施することができる。
【0144】
ステップ3)によれば、式(X)の化合物上のカルバメート保護基の除去は、当技術分野で広く知られている様々な方法及び実験条件(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis、Theodora W.Greeen、Peter G.M.Wuts第4版を参照されたい)で達成することができる。以下の酸条件、すなわち、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンなどの溶媒中の塩化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸又はジクロロ酢酸を室温以下で用いてもよい。
【0145】
ステップ4)によれば、式(II)の化合物と式(XI)の化合物との反応は、カルバメートの調製について当該技術分野において広く知られている様々な方法及び実験条件で達成することができる。この反応は、好適な有機溶媒、好ましくはDMF中、好適な塩基、好ましくはTEA又はDIPEAの存在下、室温~100℃の範囲の温度で、約1時間~約24時間の範囲の時間で実施することができる。
【0146】
XがO原子である一般式(VII)の化合物は、市販されているか、又は既知の方法で調製することができる。
【0147】
XがNHである一般式(VII)の化合物は、文献(D.Holteら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 30(2020)、127640)に記載されているように調製することができる。
【0148】
Aが、(IIIa)~(IIIe)からなる群から選択される複素環又は炭素環である一般式(IX)化合物は、下記の実験部に記載されているように、又は当技術分野で広く知られている手順及び実験条件によって市販の中間体から出発して調製することができる。
【0149】
式(XI)の化合物は、市販されているか、又は既知の方法で調製することができる。
【0150】
上記の全てから、当技術分野で周知の方法に従って作業することによって、別の官能基にさらに誘導体化することができ、したがって式(I)の他の化合物をもたらすことができる官能基を有する式(I)の任意の化合物が、本発明の範囲内に含まれることが意図されていることは当業者には明らかである。
【0151】
本プロセスの上記の変形のいずれかに従って一般式(I)の化合物を調製する場合、望ましくない副反応を生じる可能性がある、出発物質、試薬又はその中間体内の任意の官能基は、従来の技術に従って適切に保護する必要がある(例えば、Green、Theodora W.及びWuts、Peter G.M.- Protective Groups in Organic Synthesis、第3版,John Wiley & Sons Inc.,New York(NY),1999を参照されたい)。同様に、これら後者の遊離脱保護化合物への変換は、既知の手順に従って行うことができる。
【0152】
あらゆる一般式の化合物は、実験の項で報告されるように、文献で周知の方法に従って、同じ一般式の他の化合物にさらに変換することができる。
【0153】
一般式(I)の化合物の製造プロセスの任意の変形例によれば、出発物質及び任意の他の反応物は知られているか、又は既知の方法に従って容易に調製される。
【0154】
最終化合物は、従来の手順、例えば、クロマトグラフィー及び/又は結晶化及び塩形成を使用して単離及び精製され得る。
【0155】
式(Ia)のADCは、当業者に既知の有機化学反応、条件、及び試薬を用いて、いくつかの経路によって調製することができ、この経路は、(1)抗体の求核基又は求電子基と二価リンカー試薬とを反応させて、共有結合を介して抗体-リンカー中間体Ab-Lを形成し、続いて活性化薬物部分試薬と反応させる、(2)薬物部分試薬の求核基又は求電子基とリンカー試薬とを反応させて、共有結合を介して薬物-リンカー試薬Ant-Lを形成し、続いて抗体の求核基又は求電子基と反応させることを含む。コンジュゲーション方法(1)及び(2)は、式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲートを調製するために、様々な抗体、薬物部分、及びリンカーとともに使用され得る。
【0156】
抗体上の求核基としては、(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、例えばリジン、(iii)側鎖チオール基、例えばシステイン、及び(iv)抗体がグリコシル化される糖ヒドロキシル又はアミノ基が挙げられるが、これらに限定されない。アミン、チオール、及びヒドロキシル基は求核性であり、(i)活性エステル、例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート及び酸ハロゲン化物、(ii)ハロゲン化アルキル及びハロゲン化ベンジル、例えばハロアセトアミド、(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル及びマレイミド基を含む、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成することができる。特定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、DTT(Cleland試薬、ジチオスレイトール)又はTCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、Getzら(1999) Anal. Biochem. Vol 273:73-80、Soltec Ventures、Beverly、MA)などの還元剤で処理することによって、リンカー試薬とのコンジュゲーションに対して反応性にすることができる。したがって、各システインジスルフィド架橋は、理論的には、2つの反応性チオール求核試薬を形成する。さらなる求核基は、リジンと2-イミノチオラン(Traut試薬)との反応によって抗体に導入することができ、アミンのチオールへの変換をもたらす。
【0157】
抗体-薬物コンジュゲートはまた、リンカー試薬又は薬物上の求核性置換基と反応し得る求電子性部分を導入するための抗体の修飾によっても生成され得る。グリコシル化抗体の糖は、例えば過ヨウ素酸酸化試薬を用いて酸化されて、リンカー試薬又は薬物部分のアミン基と反応し得るホルムアルデヒド又はケトン基を形成することができる。得られたイミンシッフ塩基基は、安定な結合を形成し得るか、又は例えば、安定なアミン結合を形成するための水素化ホウ素試薬によって還元され得る。一実施形態では、グリコシル化抗体の炭水化物部分といずれかのガラクトースオキシダーゼ又はナトリウムメタ過ヨウ素酸塩との反応は、薬物上の適切な基と反応することができるタンパク質中のカルボニル(アルデヒド及びケトン)基を生じ得る(Hermanson、G.(1996) Bioconjugate Techniques、Academic Press、New York、p234-242)。別の実施形態において、N末端セリン又はスレオニン残基を含有するタンパク質は、メタ過ヨウ素酸ナトリウムと反応して、第1のアミノ酸の代わりにアルデヒドの産生をもたらすことができる(Geoghegan & Stroh、(1992) Bioconjugate Chem.3:138-146、US5362852号)。このようなアルデヒドは、薬物部分又はリンカー求核試薬と反応させることができる。
【0158】
同様に、薬物部分上の求核基としては、(i)活性エステル、例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロホルメート及び酸ハロゲン化物、(ii)ハロゲン化アルキル及びハロゲン化ベンジル、例えばハロアセトアミド、(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル及びマレイミド基を含む、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成することができるアミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、及びアリールヒドラジド基が挙げられるが、これらに限定されない。反応性求核基は、標準的な官能基相互変換によってアントラサイクリン誘導体化合物に導入することができる。例えば、ヒドロキシル基は、光延型反応によってチオール基に変換されて、チオール修飾薬物化合物を形成し得る。
【0159】
上で定義したような式(Ia)の抗体薬物コンジュゲートは、実験の部において後で記載される一般的な合成プロセスに従って調製することができる。
【0160】
上で定義した一般式(Ia)の化合物は、薬学的に許容される塩に変換することができる。式(Ia)の化合物の薬学的に許容される塩はまた、無機又は有機塩基、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属、特にナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム又はマグネシウム水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩、非環式又は環式アミンとの塩を含む。
【0161】
式(Ia)の化合物の薬学的に許容される塩としては、無機又は有機酸、例えば、硝酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、フマル酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、イソチオン酸及びサリチル酸との塩が挙げられる。
【0162】
上で定義した式(Ia)の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、その後、薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に製剤化して、医薬組成物を提供することができる。
【0163】
上記の合成プロセスによる一般式(I)の化合物の合成は、段階的に行うことができ、各中間体を単離し、必要に応じて、例えばカラムクロマトグラフィーなどの標準的な精製技術によって精製した後、その後の反応を行う。あるいは、合成順序の2つ以上のステップは、当技術分野で知られているように、いわゆる「ワンポット」手順で実施することができ、それにより、2つ以上のステップから得られた化合物のみが単離及び精製される。
【0164】
立体中心又は異性体中心の別の形態が本発明の化合物に存在する場合、鏡像異性体及びジアステレオマーを含むそのような異性体又は複数の異性体の全ての形態が本明細書に包含されることが意図される。立体中心を含有する化合物は、ラセミ混合物、鏡像異性体的に濃縮された混合物として使用されてもよく、又はラセミ混合物は、周知の技術を使用して分離されてもよく、個々の鏡像異性体は単独で使用されてもよい。このような分離手順は、キラル固定相を使用するクロマトグラフィーを含む標準的なクロマトグラフィー技術、又は結晶化を含む。1つ以上の不斉中心を含有する化合物の分離のための一般的な方法は、例えば、Jacques、Jean、Collet、Andre、Wilen、Samuel H.、Enantiomers,Racemates,and Resolutions、John Wiley & Sons Inc.、New York(NY)、1981に報告されている。
【0165】
化合物が不飽和炭素-炭素二重結合を有する場合、シス(Z)異性体及びトランス(E)異性体の両方が本発明の範囲内である。
【0166】
化合物が互変異性形態で存在し得る場合、各形態は、平衡状態で存在するか、又は主に1つの形態で存在するかにかかわらず、本発明内に含まれることが企図される。
【実施例】
【0167】
<実験の部>
本明細書で使用される短い形態及び略語は、以下の意味を有する。
g(グラム) mg(ミリグラム)
mL(ミリリットル) μL(マイクロリットル)
mM(ミリモル) mmol(ミリモル)
μM(マイクロモル) MHz(メガヘルツ)
h 時間 Hz(ヘルツ)
mm(ミリメートル) ppm(百万分の一)
cm(センチメートル) min(分)
μm(ミクロン) M(モル)
nM(ナノモル) TRZ(トラスツズマブ)
FBS(ウシ胎児血清) HRMS(高分解能質量スペクトル)
BSA(ウシ血清アルブミン) DTT(ジチオスレイトール)
NADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸) Rt(保持時間)
2-HG(2-ヒドロキシグルタル酸) KOtBu(カリウムtert-ブトキシド)
rt(室温) TEA(トリエチルアミン)
DMAP(4-ジメチルアミノピリジン) DCA(2,2-ジクロロ酢酸)
TFA(トリフルオロ酢酸) Na2SO4(硫酸ナトリウム)
Et2O(ジエチルエーテル) NaHCO3(重炭酸ナトリウム)
AcOH(酢酸) ESI(エレクトロスプレーイオン化)
Na2CO3(炭酸ナトリウム) K2CO3(炭酸カリウム)
Cs2CO3(炭酸セシウム) K3PO4(リン酸カリウム)
LiOH(水酸化リチウム) NaOH(水酸化ナトリウム)
KOH(水酸化カリウム) p-TsOH(p-トルエンスルホン酸)
EtOAc(酢酸エチル) LiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド)
NMP(N-メチル-2-ピロリドン) NaH(水素化ナトリウム)
DMA(N,N-ジメチルアセトアミド) KH(水素化カリウム)
DMF(N,N-ジメチルホルムアミド) DCM(ジクロロメタン)
DIPEA(N,N-ジイソプロピル-N-エチルアミン) hex(ヘキサン)
THF(テトラヒドロフラン) DMSO(ジメチルスルホキシド)
MeOH(メタノール) ACN(アセトニトリル)
EtOH(エタノール) Bn(ベンジル)
OMs(メシレート) -OTs(トシレート)
HOBT(N-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール) DCC(1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド)
NMR(核磁気共鳴) MS(質量分析)
m/z(質量対電荷比) LC(液体クロマトグラフィー)
MgCl2(塩化マグネシウム) TLC(薄層クロマトグラフィー)
ADC(抗体薬物コンジュゲート) TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)
DAR(薬物対抗体比) PBS(リン酸緩衝生理食塩水)
SDS-PAGE(ナトリウムドデシルサルフェート-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)
PLRP LC/MS(ポリマー逆相液体クロマトグラフィー/質量分析)
HPLC-MS(高速液体クロマトグラフィー-質量分析)
EDCI(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)
TBTU(N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウム-テトラフルオロボレート)
RP-HPLC(逆相高速液体クロマトグラフィー)
【0168】
<薬理学>
式(Ia)のADCの調製及び細胞障害性の評価は、下記のように評価される。
【0169】
<ADC調製(一般的手順)>
ADCの調製は、抗体トラスツズマブTRZを式(I)の化合物と、鎖間ジスルフィド架橋の部分的還元及びその後の遊離システイン残基の誘導体化を介してコンジュゲートさせることによって行った。
【0170】
特に、TRZを、1.9~2.3モル当量の還元剤トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の範囲を用いて、0~20℃の範囲の温度で、2~20時間、極性有機溶媒、好ましくはDMA、CH3CN及び/又はDMSO中で処理した
【0171】
過剰の化合物(I)を最終システイン1mMでクエンチし、得られたコンジュゲート(Ia)を脱塩カラムを用いて精製した。
【0172】
式(Ia)の全てのADCは、還元条件下及び非還元条件下でのSDS-PAGE分析、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、PLRP LC/MS及び疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって特徴付けられた。
【0173】
平均DARは、PLRP LC分析によって得られた異なる波長でのUV吸光度によって計算した。
【0174】
<増殖アッセイ>
細胞を、適切な培地+10%FBS中で2000~4000細胞/ウェルの最終密度で96ウェルプレートに播種した。24~48時間後、細胞を連続化合物(Ia)希釈で2連で処理した。144時間後にCell Titer Gloアッセイ(Promega)を用いて細胞生存率を測定した。IC50は、シグモイダルフィッティングソフトウェア(Assay Explorer MDL)を用いて計算した。実験を少なくとも2回繰り返した(n≧2)。
【0175】
特に、以下に示すADCの細胞障害性を評価した(表1)。
【0176】
<インビボ有効性実験>
ADC化合物の治療効果を、ヒト移植腫瘍の動物モデルにおいて評価した。
【0177】
無胸腺CD-1nu/nu雌マウス(5又は7週齢)をCharles River Laboratories(イタリア カルコ)から購入し、必要に応じて病原体制限条件下で22~24℃で維持した。ケージ、寝具、及び食料を、使用前にオートクレーブ処理した。マウスに標準食及び水を自由に与え、実験開始前に2週間順化させた。マウスに関する収容及び全ての手順は、イタリア保健省の動物実験委員会によって承認されたプロトコル(認可番号292/2017-PR)に従って行った。
【0178】
200μlのPBS中の106個のHCC1954 HER2+ ヒト乳がん細胞(ATCC)のマウスの右脇腹への皮下注射によって、異種移植片を作製した。異種移植片が触知可能になったとき(約150mm3)、動物を群(8匹のマウス/群)に分割して、各群について同様の範囲の腫瘍サイズを提供した。細胞接種後8日目に、処置群は、PBS中のトラスツズマブ又はADCの静脈内注射を示された用量で受け(単回投与)、対照群(ビヒクル)はPBSのみを受けた。腫瘍体積をノギスによって毎週モニタリングし、以下の式、すなわち、腫瘍体積(mm3)=(長さ×幅2)/2を使用して計算した。マウスは、腫瘍がもはや触知できなくなったとき無腫瘍とみなした。観察期間中に動物の体重を測定し、体重減少に基づいて毒性を評価した。
【0179】
以下の表1は、HCC1954及びNCI-N87細胞株における式(Ia)のADC化合物の細胞傷害活性(IC50 nM)を示すが、
図1及び表2は、本発明のADC化合物(Ia
iv)のHCC1954異種移植片モデルに対するインビボ活性データを示す。
【0180】
【0181】
【0182】
ADC(IaIV)を、無胸腺ヌードマウスに皮下接種したHCC1954(ヒト乳がん細胞株、ErbB2+)の異種移植片モデルにおいて試験した。両方のADCを、腫瘍注射及び無作為化の8日後に静脈内投与した(単回処置)(8匹/群、平均腫瘍体積:0.18cm3)。ADC(IaIV)を1mg/Kg、5mg/Kg又は10mg/Kgで投与し、いずれの用量でも明らかな毒性効果なしに用量依存性腫瘍増殖阻害を示した。実験の終了時(113日)に、0/8匹の動物が1mg/Kgで無腫瘍であったのに対し、5/8及び8/8匹のマウスは、それぞれ5mg/Kg及び10mg/Kgで無腫瘍であることがわかった。
【0183】
これらのデータは、ADC(IaIV)が顕著な治療指数を有し、8匹中8匹の動物における腫瘍根絶及び10mg/kgでの良好な耐容性を示し、したがって、本発明のADCががんの治療において使用するのに適していることを示す。
【0184】
<式(I)の化合物の調製>
任意選択で薬学的に許容される塩の形態の、本発明の式(I)の任意の特定の化合物への言及については、実験の部及び特許請求の範囲を参照されたい。以下の実施例を参照すると、本発明の化合物を、本明細書に記載の方法、又は当技術分野で周知の他の方法を使用して合成した。本発明をより良く説明する目的で、本発明を何ら限定することなく、以下の実施例を与える。本明細書で使用される場合、プロセス、スキーム及び実施例で使用される記号及び慣例は、現代の科学文献で使用されるもの、例えば、the Journal of the American Chemical Society又はthe Journal of Biological Chemistryと一致する。
【0185】
化合物名は、Biovia Draw 2020(Dassault Systems社製)を用いて作成したIUPAC名である。
【0186】
特に断りのない限り、DMF、THF、DCMなどの無水溶媒を含む全ての材料は、最良グレードで商業的供給業者から入手し、さらに精製することなく使用した。空気又は水分感受性化合物を含む全ての反応は、窒素又はアルゴン雰囲気下で行った。
【0187】
<一般的な精製及び分析方法>
フラッシュクロマトグラフィーをシリカゲル(Merckグレード9395、60A)上で行った。
【0188】
<HPLC LCQ方法>
HPLC-MS/UV分析は、エレクトロスプレー(ESI)イオン源を備えたLCQ DecaXP(Thermo、米国サンノゼ)イオントラップ装置で行った。質量分析計を、UVフォトダイオードアレイ検出器(UV検出215~400nm)を備えたSurveyor HPLCシステム(Thermo、米国サンノゼ)に接続する。Waters XSelect CSH C18カラム50×4.6mm、粒径3.5μmを使用した。移動相Aは酢酸アンモニウム5mM緩衝液(酢酸を含むpH4.5):アセトニトリル 95:5であり、移動相Bは酢酸アンモニウム5mM緩衝液(酢を含むpH4.5):アセトニトリル 5:95であった。7分で0から100%Bの勾配、100%Bを2分保持する。流速1mL/分。注入体積10μL。保持時間(HPLC r.t.)を分で示す。フルスキャン、質量範囲は50~1200amuである。加熱キャピラリー温度は200℃であり、スプレー電圧値は4kVに設定した。質量はm/z比として示す。
【0189】
機器制御、データ取得及び処理は、Xcalibur 1.4 SR1ソフトウェア(Thermo)を用いて行った。
【0190】
<HPLC LCT方法>
HPLC-MS/UV分析及び高分解能質量スペクトル(HRMS)を、Waters PDA UV検出器2996及びWaters Reagent Manager液体ポンプによって支持されるTOF Waters LCT Premier XE質量検出器(ESIインターフェース)を備えたA Waters Alliance LC 2795で行った。このアッセイは、同一性-純度アッセイを、同じ実行における化合物の予想される正確な質量の決定及び確認で補完することを可能にする汎用勾配逆相クロマトグラフィーに基づく。化合物の同定を、オンライン連続ESI(+)フルスキャンMS検出によって達成し、試料純度を、216~400nmでの積分LC/UVトレースの相対「面積パーセント」として得る。液体クロマトグラフは、50℃で温度を自動調節されたWaters XBridge CSH C18カラム(3.0×30mm、3.5μm粒径)を備える。あるいは、SupelcoカラムAscentis Express C18(2.7×30mm×3um)を使用した。
【0191】
移動相Aは、高度に精製された水中の0.05%w/vのギ酸であり、移動相Bは、0.035%w/vのギ酸を含有するMeOH/iPrOH/H2Oの70/25/5(v/v/v)混合物であった。17.5分で0から100%Bの勾配、100%Bを5分保持する。流速0.8mL/分、注入体積4μL。ESI源は、100℃、2.5kVキャピラリー電圧、60Vコーン、350℃の600L/時間の窒素脱溶媒流及び10L/時間の窒素コーン流で操作した。「通常」Zfocusを140に設定する。分析器を通常、7200Vの飛行管で最適化する。
【0192】
高分解能質量スペクトルを得るために、HPLCカラムからの溶離液を分割し、25μL/分を、MS源に入る前にWaters Reagent Managerポンプから来た0.01%w/vのギ酸及び80nMトリメトプリムを含有するMeOH/iPrOH/H2Oの30/10/60(v/v/v)混合物の100μL/分流と混合した。トリメトプリムを、リアルタイムシングルポイント質量補正のための安定で可溶性かつ適切な参照化合物として選択した。ES(+)フルスキャン80~1200amu重心データ取得を、「W」モードで2Hzサンプリング速度で行った。LCT埋め込みPCは、トリメトプリムに基づくリアルタイムデータ重心化及びリアルタイム質量補正の両方を提供した。291.1452DaのH+基準質量。適切な強度のMSスペクトル(40~2000検体カウント)を平均して最終結果を得た。
【0193】
分取HPLC装置は、SCL-8A Systemコントローラー、2つのLC-8Aポンプ、SPD-6A UV分光光度検出器及び手動Rheodyne注入システムを備えた島津HPLCシステムからなった。データ取得(アナログ信号)及びデータ処理を、Empower 2ソフトウェアによって提供した。Waters X-Terra MS RP18(150×30mm、10μm)カラムを用いて、25℃で15mL/分の流速で精製を行った。移動相Aは、水/アセトニトリル(95:5)中の0.1%TFAであり、あるいは、移動相Aは、水/アセトニトリル(95:5)中の0.05%NH3であり、移動相Bは、H2O/アセトニトリル(5:95)であった。勾配は、15分で10から90%Bであり、次いで0.1分で100%Bに傾斜した。注入体積最大500μL。
【0194】
1H-NMRスペクトルを、400.5MHzで動作し、5mmの1H{15N-31P}z軸PFG間接検出プローブを備えたVarian INOVA 400分光計、及び499.7MHzで動作し、5mmの1H{13C-15N}三重共鳴間接検出プローブを備えたVarian INOVA 500分光計で28℃の一定温度で記録した。化学シフトは、重水素化されていない残留溶媒シグナル(DMSO-d5、1Hに対して2.50ppm)で参照した。データを以下のように報告する:化学シフト(δ)、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、qt=クインテット、br.s=ブロードシングレット、dd=ダブレットのダブレット、ddd=ダブレットのダブレットのダブレット、m=マルチプレット)、結合定数(J、Hz)及びプロトンの数。
【0195】
本発明の式(I)のいくつかの化合物の合成調製を以下の実施例に記載する。
【0196】
以下の実施例に従って調製した本発明の化合物を、1H NMR及び/又はHPLC/MS分析データによっても特徴付けた。HPLC/MSデータは、LCQ又はLCTのいずれかの方法に従って収集した。
【0197】
[実施例A]
<中間体IX>
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート
【0198】
【0199】
ピペラジン(0.517g、6mmol、3当量)のDMF(2.5mL)溶液に、メチル4-[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エトキシ]カルボニルオキシベンゾエート(0.781g、2mmol、1当量)を加えた。反応物を室温で終夜撹拌した。HPLC-MS分析は、表題化合物の存在を示した。EtOAcを混合物に加え、有機層を水で3回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残留物をクロマトグラフィーカラムDCM/MeOH(100/5~100/9)により精製して、標題化合物を固体として得た(0.600g、1.85mmol、収率92%)。
【0200】
1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δppm 1.72(s、6H)2.57~2.75(m、5H)3.17(d、J=5.34Hz、2H)3.37-3.51(m、2H)7.34-7.37(m、1H)7.40(d、J=8.39Hz、2H)7.46(t、J=7.70Hz、2H)7.60-7.68(m、4H)
【0201】
C20H24N2O2[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値347.1730、実測値347.1735
【0202】
類似の方法で操作するが、適切な置換出発物質を使用して、以下の化合物を得た。
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]4-(メチルアミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【0203】
【0204】
1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δppm 0.99-1.27(m、2H)1.72(s、6H)1.75-1.90(m、2H)2.24(br.s.、1H)2.29(s、3H)2.69-3.09(m、2H)3.10-3.50(m、1H)3.75(br.s.、1H)3.98(br.s.、1H)7.30-7.38(m、1H)7.40(d、J=8.54Hz、2H)7.46(t、J=7.70Hz、2H)7.62(d、J=8.54Hz、2H)7.64-7.68(m、2H)
【0205】
C22H28N2O2[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値353.2224、実測値353.2219
【0206】
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]N-メチル-N-(4-ピペリジル)カルバメート
【0207】
【0208】
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δppm 1.34-1.65(m、4H)1.73(s、6H)2.41(m、1H)2.59-3.09(m、6H)3.72-3.96(m、2H)7.33-7.37(m、1H)7.38-7.42(m、2H)7.43-7.48(m、2H)7.61(d、J=8.36Hz、2H)7.65(dd、J=8.27、1.00Hz、2H)
【0209】
C22H28N2O2[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値353.2224、実測値353.2227
【0210】
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート
【0211】
【0212】
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δppm 1.58(t、J=5.63Hz、1H)1.73(s、6H)1.74-1.79(m、1H)2.65-2.71(m、2H)2.75(t、J=5.81Hz、1H)2.81-2.87(m、1H)3.20-3.25(m、1H)3.29-3.40(m、2H)3.44-3.48(m、1H)3.52(t、J=6.09Hz、1H)7.32-7.38(m、1H)7.39-7.44(m、2H)7.44-7.48(m、2H)7.61(d、J=7.99Hz、2H)7.63-8.51(m、2H)
【0213】
C21H26N2O2[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値339.2067、実測値339.2071
【0214】
<ステップ1>
[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]メタンスルホネート(VIII)
【0215】
【0216】
乾燥DCM(5mL)中の(8S,10S)-6,8,11-トリヒドロキシ-8-(2-ヒドロキシアセチル)-12-イミノ-1-メトキシ-10-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-9,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5-オン(0.025g、0.039mmol、1当量)、2,4,6-コリジン(0.019g、0.156mmol、4当量)及び4-(ジメチルアミノ)ピリジン(0.005g、0.039mmol、1当量)の溶液に、メタンスルホン酸無水物(0.027g、0.156mmol、4当量)を添加した。反応物を室温で5時間撹拌した。HPLC-MS分析は、表題化合物の存在を示した。水及びDCMを混合物に加え、有機層を水で3回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。粗製物をEt2Oで摩砕し、3回濾過して、表題化合物を青色固体として得た(0.028g、0.039mmol、収率100%)。
【0217】
C33H38N2O14S[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値719.2117、実測値719.2122
【0218】
類似の方法で操作するが、適切な置換出発物質を使用して、以下の化合物を得た。
【0219】
[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]メタンスルホネート(VIII)
【0220】
【0221】
赤色固体(0.0035g、0.0049mmol、収率74%)。
【0222】
1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δppm 1.24(d、J=6.10Hz、3H)1.64-1.72(m、2H)2.13-2.19(m、1H)2.27(d、J=15.50Hz、1H)2.60-2.73(m、2H)2.90-3.11(m、2H)3.26(s、3H)3.31(s、3H)3.35-3.41(m、1H)3.47-3.53(m、1H)3.62-3.71(m、1H)3.94(d、J=6.35Hz、1H)4.00(s、3H)4.12-4.20(m、1H)4.21-4.25(m、1H)4.59(s、1H)5.02(br.s.、1H)5.24(t、J=4.27Hz、1H)5.37-5.50(m、2H)5.58(s、1H)7.59-7.72(m、1H)7.93(d、J=4.27Hz、2H)13.28(br.s.、1H)14.07(br.s.、1H)
【0223】
C33H37NO15S[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値720.1957、実測値720.1969
【0224】
<ステップ2>
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(X)(X=NH、A=(IIIb’)(式中、Rはメチル基である))
【0225】
【0226】
[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]メタンスルホネート(0.028g、0.039mmol、1当量)及び[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]4-(メチルアミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート(0.083g、0.234mmol、6当量)を乾燥DCM(10mL)に溶解した。溶媒を減圧下で除去し(ロータリーエバポレーター)、乾燥DCM(3mL)に再溶解した。溶媒を減圧下で除去し(ロータリーエバポレーター)、出発物質([2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]メタンスルホネート)がHPLC-MS及び/又はTLCによってもはや検出できなくなるまで、可溶化及び蒸発の順序を繰り返した。粗製物をクロマトグラフィーカラムDCM/アセトン(8/2~7/3)により精製して、表題化合物を青色固体として得た(0.015g、0.0154mmol、収率39%)。
【0227】
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δppm 1.19-1.27(m、5H)1.60-1.64(m、2H)1.72(m、8H)2.05-2.11(m、1H)2.12-2.17(m、1H)2.23(s、3H)2.56-2.60(m、1H)2.63-2.68(m、2H)2.56-2.98(br.s、2H)2.83-2.88(m、1H)2.93-2.98(m、1H)3.29(s、3H)3.34(m、1H)3.45-3.51(m、1H)3.60-3.94(br.S.、2H)3.62-3.68(m、1H)3.73-3.83(m、2H)3.91-3.93(m、1H)4.12(s、3H)4.16(m、J=6.63Hz、1H)4.23(d、J=2.00Hz、1H)4.58(d、J=1.91Hz、1H)5.03(t、J=4.29Hz、1H)5.37(s、1H)5.40(t、J=4.59Hz、1H)7.31-7.36(m、1H)7.38-7.42(m、2H)7.44(t、J=7.74Hz、2H)7.62(d、J=8.49Hz、2H)7.63-7.67(m、3H)7.87(t、J=8.08Hz、1H)8.08(dd、J=7.83,0.98Hz、1H)9.67(d、J=4.68Hz、1H)13.60(d、J=5.04Hz、1H)15.89(br.s.、1H)
【0228】
C54H62N4O13[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値975.4386、実測値975.4381
【0229】
類似の方法で操作するが、好適な置換出発物質(中間体VIII及びIX)を使用して、以下の化合物を得た。
【0230】
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(X)(X=NH、A=(IIIa’))
【0231】
【0232】
青色固体(0.016g、0.017mmol、収率60%)。
【0233】
1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δppm 1.21-1.28(m、3H)1.59-1.66(m、2H)1.72(s、6H)2.05-2.18(m、2H)2.36-2.49(m、4H)2.58-2.71(m、2H)2.82-2.97(m、2H)3.18-3.38(m、5H)3.31(s、3H)3.47-3.55(m、2H)3.62-3.75(m、3H)3.94(d、J=7.52Hz、1H)4.12(s、3H)4.14-4.18(m、1H)4.24(d、J=1.82Hz、1H)4.60(d、J=1.69Hz、1H)5.01-5.09(m、1H)5.38(s、1H)5.41(t、J=4.41Hz、1H)7.33-7.38(m、1H)7.40(d、J=8.43Hz、2H)7.47(t、J=7.65Hz、2H)7.62(d、J=8.30Hz、2H)7.66(d、J=7.65Hz、2H)7.86(t、J=7.65Hz、1H)8.09(d、J=7.78Hz、1H)9.67(br.s.、1H)13.59(br.s.、1H)15.90(br.s.、1H)
【0234】
C52H58N4O13[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値947.4073、実測値947.4069
【0235】
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]N-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(X)(X=NH、A=(IIIc’)(式中、Rはメチル基である))
【0236】
【0237】
青色固体(0.008g、0.0082mmol、収率49%)。
【0238】
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δppm 1.15-1.42(m、7H)1.62-(m、2H)1.72(s、6H)1.95-2.19(m、4H)2.52-3.00(m、9H)3.30(s、3H)3.34-3.39(m、1H)3.37(m、1H)3.47-3.75(m、4H)3.66(t、J=9.20Hz、1H)3.91-3.95(m、1H)4.07-4.18(m、4H)4.23(d、J=1.54Hz、1H)4.59(d、J=1.91Hz、1H)5.05(br.s.、1H)5.40(br.s.、2H)7.31-7.43(m、3H)7.46(t、J=7.74Hz、2H)7.54-7.68(m、5H)7.87(t、J=8.08Hz、1H)8.04-8.11(m、1H)9.65(d、J=4.59Hz、1H)13.56(d、J=4.54Hz、1H)15.91(br.s.、1H)
【0239】
C54H62N4O13[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値975.4386、実測値975.4390
【0240】
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(X)(X=O、A=(IIIb’)(式中、Rはメチル基である))
【0241】
【0242】
赤色固体(0.0065g、0.0067mmol、収率51%)
【0243】
C54H61N3O14[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値976.4226、実測値976.4229
【0244】
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(X)(X=O、A=(IIIa’))
【0245】
【0246】
赤色固体(0.052g、0.054mmol、収率70%)。
【0247】
C52H57N3O14[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値948.3914、実測値948.3904
【0248】
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]N-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(X)(X=O、A=(IIIc’)(式中、Rはメチル基である))
【0249】
【0250】
赤色固体(0.0033g、0.0034mmol、収率61%)
【0251】
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δppm 1.25(m、3H)1.71-1.76(m、6H)1.37-1.69(m、6H)1.96-2.23(m、4H)2.62-3.10(m、8H)3.30(br.s、3H)3.35-3.40(m、1H)3.47-3.53(m、1H)3.47-3.74(m、4H)3.66(m、1H)3.93(d、J=5.45Hz、1H)3.99(s、3H)4.17(d、J=7.13Hz、1H)4.23(d、J=1.77Hz、1H)4.59(d、J=1.95Hz、1H)5.00(br.s.、1H)5.23(br.s.、1H)5.47(br.s.、1H)7.31-7.38(m、1H)7.39(d、J=8.36Hz、2H)7.46(t、J=7.74Hz、2H)7.61(d、J=8.36Hz、2H)7.63-7.73(m、3H)7.88-7.96(m、2H)13.28(br.s.、1H)14.06(br.s.、1H)
【0252】
C54H61N3O14[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値976.4226、実測値976.4221
【0253】
[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(X)(X=O、A=(IIIa”))
【0254】
【0255】
赤色固体(0.0045g、0.0047mmol、収率64%)
【0256】
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)λppm 1.19-1.28(m、3H)1.66(m、3H)1.69-1.75(m、6H)1.81(m、1H)2.04-2.26(m、2H)2.57-2.70(m、5H)2.79(t、J=5.00Hz、1H)2.90-3.09(m、2H)3.30(s、3H)3.26-3.34(m、2H)3.36(m、1H)3.44-3.56(m、3H)3.66(m、1H)3.84-3.94(m、3H)3.99(s、3H)4.18(m、1H)4.23(d、J=1.82Hz、1H)4.58(d、J=2.00Hz、1H)4.93-5.06(m、1H)5.23(m、1H)5.35-5.51(m、1H)7.29-7.37(m、1H)7.38-7.49(m、4H)7.54-7.71(m、5H)7.89-7.95(m、2H)13.27(br.s.、1H)14.03(s、1H)
【0257】
C53H59N3O14[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値962.4070、実測値962.4073
【0258】
<ステップ3>
(8S,10S)-6,8,11-トリヒドロキシ-12-イミノ-1-メトキシ-10-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-8-[2-[メチル(4-ピペリジル)アミノ]アセチル]-9,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5-オン(II)(化合物17、X=NH、A=(IIIb’)(式中、Rはメチル基である))
【0259】
【0260】
乾燥DCM(4mL)中の[1-メチル-1-(4-フェニルフェニル)エチル]4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(0.0145g、0.0149mmol、1当量)の溶液に、T=0℃で、2,2-ジクロロ酢酸(2.0mL、0.297mmol、20当量)を添加した。反応物をT=0℃で15分間保持し、次いで室温で4時間撹拌した。TLC分析は、出発物質の表題生成物への完全な変換を示した。反応混合物をNaHCO3の飽和水溶液と共に分液漏斗に注いだ。水層をDCMで3回洗浄し、合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。粗製物をクロマトグラフィーカラムDCM/MeOH(95/5~9/1)により精製して、表題化合物を青色固体として得た(0.008g、0.01mmol、収率68%)。
【0261】
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δppm 1.23(m、3H)1.45-1.65(m、4H)1.80-1.86(m、2H)1.92-2.0(m、2H)2.86(m、1H)2.07(dd、J=14.76、6.13、1H)2.14(dd、J=14.76、3.22、1H)2.22(s、3H)2.59-2.69(m、2H)2.73(m、1)2.82(m、2H)2.92-2.98(m、1H)3.23-3.33(m、2H)3.30(s、3H)3.37(m、1H)3.49(m、1H)3.66(m、1H)3.79(s、2H)3.93(dd、J=6.34、1.70Hz、1H)4.10-4.17(m、4H)4.24(d、J=2.00Hz、1H)4.59(d、J=1.95Hz、1H)5.01-5.05(m、1H)5.36(m、1H)5.40(t、J=4.61Hz、1H)7.65(d、J=8.45Hz、1H)7.88(t、J=8.08Hz、1H)8.07-8.11(m、1H)9.68(d、J=5.00Hz、1H)13.61(d、J=5.00Hz、1H)15.88(br.s.、1H)
【0262】
C38H48N4O11[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値737.3392、実測値737.3389
【0263】
類似の方法で操作するが、好適な置換出発物質(中間体X)を使用して、以下の化合物を得た。
【0264】
(8S,10S)-6,8,11-トリヒドロキシ-12-イミノ-1-メトキシ-10-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-8-(2-ピペラジン-1-イルアセチル)-9,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5-オン(II)(化合物18、X=NH、A=(IIIa’))
【0265】
【0266】
青色固体(0.007g、0.0099mmol、収率72%)。
【0267】
1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δppm 1.24(d、J=6.59Hz、3H)1.57-1.67(m、2H)2.02-2.09(m、1H)2.10-2.16(m、1H)2.29-2.37(m、4H)2.57-2.64(m、1H)2.65-2.72(m、5H)2.80-2.97(m、2H)3.31(s、3H)3.34(m、1H)3.47-3.53(m、1H)3.57(d、J=1.10Hz、2H)3.63-3.70(m、1H)3.93(d、J=7.87Hz、1H)4.12(s、3H)4.14-4.19(m、1H)4.24(d、J=1.83Hz、1H)4.60(d、J=1.65Hz、1H)5.03(t、J=4.21Hz、1H)5.37(s、1H)5.40(t、J=4.49Hz、1H)7.64(d、J=8.06Hz、1H)7.87(t、J=8.15Hz、1H)8.08(d、J=7.87Hz、1H)9.66(d、J=4.76Hz、1H)13.58(d、J=4.76Hz、1H)15.65(br.s、1H)
【0268】
C36H44N4O11[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値709.3080、実測値709.3066
【0269】
(8S,10S)-6,8,11-トリヒドロキシ-12-イミノ-1-メトキシ-10-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-8-[2-[4-(メチルアミノ)-1-ピペリジル]アセチル]-9,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5-オン(II)(化合物19、X=NH、A=(IIIc’)(式中、Rはメチル基である))
【0270】
【0271】
青色固体(0.001g、0.0014mmol、収率19%)
【0272】
C38H48N4O11[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値737.3392、実測値737.3399
【0273】
(7S,9S)-6,9,11-トリヒドロキシ-4-メトキシ-7-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-9-[2-[メチル(4-ピペリジル)アミノ]アセチル]-8,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5,12-ジオン(II)(化合物20、X=O、A=(IIIb’)(式中、Rはメチル基である))
【0274】
【0275】
赤色固体(0.0031g、0.0042mmol、収率38%)
【0276】
C38H47N3O12[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値738.3233、実測値738.3238
【0277】
(7S,9S)-6,9,11-トリヒドロキシ-4-メトキシ-7-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-9-(2-ピペラジン-1-イルアセチル)-8,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5,12-ジオン(II)(化合物21、X=O、A=(IIIa’))
【0278】
【0279】
赤色固体(0.011g、0.016mmol、収率86%)
【0280】
1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δppm 1.24(d、J=6.59Hz、3H)1.63-1.72(m、2H)2.08-2.16(m、1H)2.17-2.23(m、1H)2.27-2.39(m、4H)2.58-2.73(m、6H)2.87-3.04(m、2H)3.30(s、3H)3.38(m、1H)3.46-3.54(m、3H)3.58(s、2H)3.64-3.70(m、1H)3.93(d、J=7.08Hz、1H)3.99(s、3H)4.15-4.21(m、1H)4.23(d、J=1.59Hz、1H)4.59(d、J=1.46Hz、1H)4.99(t、J=4.33Hz、1H)5.23(t、J=4.33Hz、1H)5.47(s、1H)7.64-7.71(m、1H)7.89-7.95(m、2H)
【0281】
C36H43N3O12[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値710.2920、実測値710.2923
【0282】
(7S,9S)-6,9,11-トリヒドロキシ-4-メトキシ-7-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-9-[2-[4-(メチルアミノ)-1-ピペリジル]アセチル]-8,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5,12-ジオン(II)(化合物22、X=O、A=(IIIc’)(式中、Rはメチル基である))
【0283】
【0284】
赤色固体(0.007g、0.0095mmol、収率93%)
【0285】
C38H47N3O12[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値738.3233、実測値738.3229
【0286】
(7S,9S)-9-[2-(1,4-ジアゼパン-1-イル)アセチル]-6,9,11-トリヒドロキシ-4-メトキシ-7-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-8,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5,12-ジオン(II)(化合物23、X=O、A=(IIIa”))
【0287】
【0288】
赤色固体(0.015g、0.02mmol、収率81%)
【0289】
C37H45N3O12[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値724.3076、実測値724.3073
【0290】
<ステップ4>
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート-化合物1(式(I))、X=NH、A=(IIIb’)(式中、Rはメチル基である)、L=(IVa)(式中、rは5である))
【0291】
【0292】
(8S,10S)-6,8,11-トリヒドロキシ-12-イミノ-1-メトキシ-10-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-8-[2-[メチル(4-ピペリジル)アミノ]アセチル]-9,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5-オン(0.0038g、0.0051mmol、1当量)のDMF(1mL)溶液に、[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル(4-ニトロフェニル)カーボネート(0.0038g、0.0051mmol、1当量)及びTEA(0.0026g、0.0256mmol、0.0036mL、5当量)を添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を、高真空ポンプを使用するロータリーエバポレーターによって蒸発乾固させた。粗製物をクロマトグラフィーカラムDCM/MeOH(98/2~9/1)により精製して、表題化合物を青色固体として得た(0.0065g、0.0067mmol、収率38%)。
【0293】
C67H86N10O19[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1335.6144、実測値1335.6139
【0294】
類似の方法で操作するが、好適な置換出発物質(中間体XI及びXII)を使用して、以下の化合物を得た。
【0295】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート-化合物2(式(I))、X=NH、A=(IIIb’)(式中、Rはメチル基である)、L=(IVb)(式中、rは5である))
【0296】
【0297】
青色固体(0.002g、0.0016mmol、収率34%)。
【0298】
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δppm 0.80-0.83(m、3H)0.83-0.90(m、3H)1.14-1.39(m、6H)1.30(d、J=7.04Hz、3H)1.44-1.72(m、7H)1.95(dd、J=13.35、6.58Hz、1H)2.06-2.20(m、4H)2.57-2.69(m、2H)2.84(d、J=18.0Hz、1H)2.94(d、J=18.0Hz、1H)3.29-3.38(m、8H)3.30(s、3H)3.34-3.39(m、5H)3.50(m、1H)3.63-3.69(m、1H)3.75(m、2H)3.87-4.03(m、2H)3.93(dd、J=6.49、1.62Hz、1H)4.15(m、2H)4.12(m、3H)4.24(m、1H)4.34-4.43(m、1H)4.57-4.63(m、1H)4.91-5.05(m、3H)5.33(s、1H)5.37-5.43(m、1H)6.94-7.03(m、2H)7.25-7.32(m、2H)7.58(d、J=8.45Hz、2H)7.64(d、J=8.40Hz、1H)7.80(d、J=8.67Hz、1H)7.82-7.91(m、1H)8.08(d、J=7.58Hz、1H)8.15(d、J=6.95Hz、1H)9.52-9.72(m、1H)9.94(s、1H)13.59(br.s.、1H)15.62-16.06(m、1H)
【0299】
C64H80N8O18[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1249.5663、実測値1249.5658
【0300】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート-化合物3(式(I))、X=NH、A=(IIIa’)、L=(IVa)(式中、rは5である))
【0301】
【0302】
青色固体(0.0037g、0.0028mmol、収率40%)。
【0303】
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)δppm 0.82(d、J=6.82Hz、3H)0.85(d、J=6.82Hz、3H)1.12-1.20(m、2H)1.23(d、=6.38Hz、3H)1.30-1.53(m、6H)1.54-1.65(m、3H)1.65-1.74(m、1H)1.96(m、1H)2.03-2.22(m、4H)2.40(br.s.、4H)2.62(m、1H)2.67(m、1H)2.85(d、J=18.00、1H)2.90(d、J=18.00、1H)2.91-2.97(m、1H)3.03(m、1H)3.30(s、3H)3.33-3.42(m、7H)3.50(m、1H)3.61-3.72(m、3H)3.93(m、1H)4.12(s、3H)4.14(m、1H)4.19(dd、J=8.58、7.26、1H)4.23(d、J=1.98Hz、1H)4.38(m、1H)4.60(d、J=1.76Hz、1H)4.99(s、2H)5.05(t、J=3.52Hz、1H)5.34(s、1H)5.40(s、3H)5.96(t、J=5.72Hz、1H)7.00(s、2H)7.28(d、J=8.58Hz、2H)7.59(d、J=8.58Hz、2H)7.64(d、J=8.36Hz、1H)7.80(d、J=8.80Hz、1H)7.87(t、J=7.92Hz、1H)8.08(m、2H)9.66(d、J=5.00Hz、1H)9.99(s、1H)13.59(d、J=5.00Hz、1H)15.88(s、1H)
【0304】
C65H82N10O19[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1307.5831、実測値1307.5836
【0305】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート-化合物4(式(I))、X=NH、A=(IIIa’)、L=(IVb)(式中、rは5である))
【0306】
【0307】
青色固体(0.0075g、0.0061mmol、収率73%)。
【0308】
1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δppm 0.82(d、J=6.70、3H)0.86(d、J=6.70、3H)1.12-1.26(m、5H)1.30(d、J=7.13Hz、3H)1.39-1.52(m、4H)1.55-1.68(m、2H)1.90-2.22(m、5H)2.40(br.s.、3H)2.57-2.72(m、3H)2.81-2.95(m、2H)3.30(s、4H)3.33-3.40(m、7H)3.45-3.55(m、1H)3.63-3.75(m、3H)3.93(d、J=7.26Hz、1H)4.12(s、3H)4.14-4.20(m、1H)4.23(d、J=1.56Hz、1H)4.33-4.42(m、1H)4.59(s、1H)4.99(s、2H)5.02-5.07(m、1H)5.35(br.s.、1H)5.40(t、J=4.48Hz、1H)7.00(s、2H)7.29(d、J=8.43Hz、2H)7.58(d、J=8.43Hz、2H)7.64(d、J=6.36Hz、1H)7.82(d、J=8.56Hz、1H)7.86(m、1H)8.08(d、J=7.91Hz、1H)8.18(d、J=6.88Hz、1H)9.67(br.s.、1H)9.96(s、1H)13.59(br.s.、1H)15.88(br.s.、1H)
【0309】
C62H76N8O18[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1221.5351、実測値1221.5363
【0310】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート-化合物5(式(I))、X=NH、A=(IIIc’)(式中、Rはメチル基である)、L=(IVa)(式中、rは5である))
【0311】
【0312】
青色固体(0.0065g、0.0049mmol、収率41%)。
【0313】
C67H86N10O19[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1335.6144、実測値1335.6151
【0314】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート-化合物6(式(I))、X=NH、A=(IIIc’)(式中、Rはメチル基である)、L=(IVb)(式中、rは5である))
【0315】
【0316】
青色固体(0.012g、0.0096mmol、収率28%)。
【0317】
C64H80N8O18[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1249.5663、実測値1249.5670
【0318】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート-化合物7(式(I))、X=O、A=(IIIb’)(式中、Rはメチル基である)、L=(IVa)(式中、rは5である))
【0319】
【0320】
赤色固体(0.0027g、0.002mmol、収率43%)。
【0321】
C67H85N9O20[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1336.5984、実測値1336.5991
【0322】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート-化合物8(式(I))、X=O、A=(IIIb’)(式中、Rはメチル基である)、L=(IVb)(式中、rは5である))
【0323】
【0324】
赤色固体(0.0048g、0.0038mmol、収率46%)。
【0325】
C64H79N7O19[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1250.5504、実測値1250.5510
【0326】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート-化合物9(式(I))、X=O、A=(IIIa’)、L=(IVa)(式中、rは5である))
【0327】
【0328】
赤色固体(0.0044g、0.0034mmol、収率64%)。
【0329】
C65H81N9O20[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1308.5671、実測値1308.5679
【0330】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート-化合物10(式(I))、X=O、A=(IIIa’)、L=(IVb)(式中、rは5である))
【0331】
【0332】
赤色固体(0.0085g、0.007mmol、収率62%)。
【0333】
1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δppm 0.78-0.88(m、6H)1.13-1.20(m、2H)1.23(m、3H)1.30(d、J=7.08Hz、3H)1.41-1.53(m、4H)1.66(br.s.、2H)1.91-2.03(m、1H)2.07-2.23(m、4H)2.39(br.s.、4H)2.57-2.72(m、2H)2.95(q、J=17.90Hz、2H)3.30(s、3H)3.31-3.40(m、7H)3.46-3.54(m、1H)3.60-3.73(m、3H)3.93(d、J=7.45Hz、1H)3.99(s、3H)4.14-4.20(m、2H)4.23(d、J=1.83Hz、1H)4.38(t、J=7.08Hz、1H)4.59(d、J=1.71Hz、1H)4.99(s、3H)5.22(t、J=4.21Hz、1H)5.45(s、1H)7.00(s、2H)7.29(d、J=8.55Hz、2H)7.58(d、J=8.42Hz、2H)7.66(d、J=6.23Hz、1H)7.81(d、J=8.67Hz、1H)7.89-7.96(m、2H)8.17(d、J=6.84Hz、1H)9.95(s、1H)13.13-13.42(m、1H)13.89-14.18(m、1H)
【0334】
C62H75N7O19[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1222.5191、実測値1222.5194
【0335】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート-化合物11(式(I))、X=O、A=(IIIc’)(式中、Rはメチル基である)、L=(IVa)(式中、rは5である))
【0336】
【0337】
赤色固体(0.0075g、0.0056mmol、収率44%)。
【0338】
C67H85N9O20[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1336.5984、実測値1336.5979
【0339】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート-化合物12(式(I))、X=O、A=(IIIc’)(式中、Rはメチル基である)、L=(IVb)(式中、rは5である))
【0340】
【0341】
赤色固体(0.0043g、0.0034mmol、収率28%)。
【0342】
1H NMR(600MHz、DMSO-d6)λppm 0.77-0.91(m、6H)0.80(m、2H)1.23(d、J=6.54、3H)1.30(d、J=7.27Hz、3H)1.40-1.52(m、6H)1.64-1.69(m、4H)1.95(m、1H)2.02-2.24(m、6H)2.69-2.68(m、2H)2.70(s、3H)2.83(m、2H)2.90(d、J=17.98Hz、1H)3.02(d、J=17.98Hz、1H)3.30(s、3H)3.34-3.39(m、3H)3.50(m、1H)3.55-3.64(m、2H)3.66(m、1H)3.93(m、1H)3.99(s、3H)4.16(dd、J=8.63、6.99Hz、2H)4.23(d、J=2.00Hz、1H)4.38(m、2H)4.59(d、J=2.00Hz、1H)4.90-5.04(m、3H)5.23(t、J=4.54Hz、1H)5.47(s、1H)6.99(s、2H)7.22-7.34(m、2H)7.54-7.61(m、2H)7.67(m、1H)7.80(d、J=8.72Hz、1H)7.87.95(m、2H)8.15(d、J=7.08Hz、1H)9.93(s、1H)13.28(br.s.、1H)14.05(br.s.、1H)
【0343】
C64H79N7O19[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1250.5504、実測値1250.5507
【0344】
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート-化合物16(式(I))、X=O、A=(IIIa”)、L=(IVb)(式中、rは5である))
【0345】
【0346】
赤色固体(0.0081g、0.0065mmol、収率61%)。
【0347】
C63H77N7O19[M+H]+に対するHRMS(ESI)計算値1236.5347、実測値1236.5351
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬:
【化1】
[式中、
Antは、式(II)のアントラサイクリン薬物部分であり、
【化2】
式中、
Xは、O又はNHであり、
Aは、(IIIa)~(IIIe)からなる群から選択される複素環(Het)又は炭素環(Cb)であり、
【化3】
式中、
Rは、独立して、水素、又は直鎖若しくは分枝(C
1~C
6)アルキルであり、
nは、0~6の整数であり、
Lは、式(VI)のリンカーであり、
【化4】
式中、
Wは、独立して、不存在であるか、又は(Va)~(Vc)からなる群から選択される自壊性系であり、
【化5】
式中、
R1及びR2は、各々独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル又は直鎖若しくは分枝C
1~C
4ヒドロキシアルキルであり、
PEは、独立して、不存在又は天然L-アミノ酸及び非天然D-アミノ酸の任意の組み合わせからなるジペプチド若しくはトリペプチド部分であり、
RMは、(VIa)~(VIc)からなる群から選択される反応性部分であり、
【化6】
式中、
R3及びR4は、各々独立して、水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖若しくは分枝C
1~C
4ヒドロキシアルキル、直鎖若しくは分枝C
1~C
4ハロアルキルであるか、又はR3及びR4は一緒になって3員~6員の炭素環を形成し、
R5は、水素、C
1~C
3アルキル又はNO
2基若しくはCN基を含む電子求引性基であり、
rは、0~7の整数である]又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
Aが
、以下からなる群から選択される複素環式基又は炭素環式基であり、
【化7】
式中、
Rが、直鎖又は分枝(C
1~C
6)アルキルであり、
Lが、式(VI)のリンカーであり、式中、Wは基(Va’)又は(Vb’)であり、
【化8】
PEが、以下のアミノ酸、すなわち、グリジン、アラニン、ロイシン、バリン、シトルリン、フェニルアラニンの任意の組み合わせからなるジペプチド又はトリペプチド部分であり、C末端アミノ酸残基はWに連結しており、N末端アミノ酸残基はRMに連結しており、
RMが、(VIa)~(VIc)から選択される基であり、
【化9】
式中、
R3、R4及びR5が、水素であり、
rが、好ましくは3~5の整数である、
請求項1に記載の式(I)の化合物
又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
Aが、(IIIa’)、(IIIa”)、(IIIb’)及び(IIIc’)からなる群から選択される複素環基であり、
Wが、基(Va’)又は(Vb’)であり、
PEが、バリン-アラニン及びバリン-シトルリンから選択されるジペプチド又はトリペプチドフェニルアラニン-ロイシン-グリジンであり、
ここで、C末端アミノ酸残基はWに連結され、N末端アミノ酸残基はRMに連結され、
RMが、群(VIa)~(VIc)から選択される反応性部分である、
請求項2に記載の式(I)の化合物
又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
Aが、(IIIa’)、(IIIa”)、(IIIb’)及び(IIIc’)からなる群から選択される複素環基であり、
Lが、(IVa)~(IVc)からなる群から選択されるリンカーである
【化10】
[式中、rは3~5の整数である]、
請求項3に記載の式(I)の化合物
又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
以下からなる群から選択され
る請求項1に記載の式(I)の化合物
又は薬学的に許容されるその塩:
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物1)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物2)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物3)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物4)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物5)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物6)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物7)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[メチル-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]アミノ]ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物8)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物9)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物10)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物11)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチルN-メチル-N-[1-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-4-ピペリジル]カルバメート(化合物12)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物13)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-6-イミノ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-11-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物14)、
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物15)、及び
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]フェニル]メチル4-[2-オキソ-2-[(2S,4S)-2,5,12-トリヒドロキシ-7-メトキシ-4-[[(2S,4R,6S,7S,9R,10S)-10-メトキシ-6-メチル-5,8,11-トリオキサ-1-アザトリシクロ[7.4.0.02,7]トリデカン-4-イル]オキシ]-6,11-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-2-イル]エチル]-1,4-ジアゼパン-1-カルボキシレート(化合物16)。
【請求項6】
式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC):
【化11】
[式中、
Abは、所与の標的細胞集団に関連する受容体、抗原若しくは他の受容性部分に結合するか、それと反応的に会合するか、又はそれと複合体を形成する、任意の単位、タイプ又はクラスの抗体を含み、
m(薬物ローディング)は、1~8の整数であり、
Ant-Lは、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬である]又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
Ant-Lが、請求項5に記載の化合物である、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項8】
Abが、1つ以上の腫瘍関連ErbB2抗原又は細胞表面ErbB2受容体に結合する抗体である、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)。
【請求項9】
化合物(Ia
I)~(Ia
XVI)からなる群から選択される、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC):
【化12】
[式中、mは2~6の整数であり、TRZはトラスツズマブである]。
【請求項10】
請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物又は薬学的に許容されるその塩の混合物を含む医薬組成物であって、抗体-薬物コンジュゲート化合物の混合物中の抗体当たりの平均薬物ローディングが、約2~約4である、医薬組成物。
【請求項11】
薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤をさらに含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
1つ以上の化学療法剤をさらに含む、請求項10
又は11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬として使用するための、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
がんを処置するための医薬の製造
における、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項15】
がんを処置するため
の、請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物又は薬学的に許容されるその塩
を含む医薬組成物。
【請求項16】
前記がんが、がん腫、リンパ系の造血器腫瘍、骨髄系の造血器腫瘍、線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉起源の腫瘍、中枢及び末梢神経系の腫瘍、並びに黒色腫、精上皮腫、奇形がん、骨肉腫、色素性乾皮症、ケラトキサントーマ、甲状腺濾胞がん、カポジ肉腫及び中皮腫を含む他の腫瘍から選択される、請求項15に記載の
医薬組成物。
【請求項17】
請求項6に記載の式(Ia)の抗体-薬物コンジュゲート化合物の調製のための中間体として使用される、請求項1に記載の式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬化合物。
【請求項18】
以下から選択される、式(II)のアントラサイクリン誘導体:
【化13】
又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
式(I)のアントラサイクリン-リンカー試薬化合物の調製のための合成中間体として使用される、請求項
18に記載のアントラサイクリン誘導体。
【国際調査報告】