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特表2024-543383回転軸を有する振り子ロッカーダンパー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】回転軸を有する振り子ロッカーダンパー
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/134 20060101AFI20241114BHJP
   F16D 7/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F16F15/134 Z
F16F15/134 A
F16D7/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527374
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 DE2022100819
(87)【国際公開番号】W WO2023104231
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021132417.3
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ エレ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ルーベル
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック シュトループ
(72)【発明者】
【氏名】リュドヴィク フォールスプールス
(57)【要約】
本発明は、自動車のドライブトレイン用の、回転軸(D)を有し、トルクを調節するためのロッカーユニット(4)を有する、振り子ロッカーダンパー(1)に関する。振り子ロッカーダンパー(1)は、トルクが伝達するように第1の外部接続部(7)に接続され得る一次フランジ(5)と、エネルギー貯蔵要素(10)によって予荷重が加えられる少なくとも1つのロッカー要素(9)と、少なくとも1つの第1のローラーおよび少なくとも1つの第2のローラー(11、12)と、トルクが伝達するように第2の外部接続部(8)に接続され得る二次フランジ(6)と、を備える。第1のローラー(11)は、第1のロッカー側ローラートラック(13)と、第1のロッカー側ローラートラック(13)に相補的な一次フランジ側ローラートラック(15)上で転動可能に取り付けられており、第2のローラー(12)は、第2のロッカー側ローラートラック(14)と、第2のロッカー側ローラートラック(14)に相補的な二次フランジ側ローラートラック(16)上で転動可能に取り付けられており、摩擦デバイス(3)が、一次フランジ(5)と二次フランジ(6)との間に配置されており、摩擦デバイス(3)の第1の構成要素(17)が、一次フランジ(5)と共に回転するように構成され、摩擦デバイス(3)の第2の構成要素(18)が、二次フランジ(6)と共に回転するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドライブトレイン用の、回転軸(D)を有し、トルクを調節するためのロッカーユニット(4)を有する、振り子ロッカーダンパー(1)であって、
トルクが伝達するように第1の外部接続部(7)に接続され得る一次フランジ(5)と、
エネルギー貯蔵要素(10)によって予荷重が加えられる少なくとも1つのロッカー要素(9)と、
少なくとも1つの第1のローラーおよび少なくとも1つの第2のローラー(11、12)と、
トルクが伝達するように第2の外部接続部(8)に接続され得る二次フランジ(6)と、を備え、
前記第1のローラー(11)は、第1のロッカー側ローラートラック(13)と、前記第1のロッカー側ローラートラック(13)に相補的な一次フランジ側ローラートラック(15)上で転動可能に取り付けられており、
前記第2のローラー(12)は、第2のロッカー側ローラートラック(14)と、前記第2のロッカー側ローラートラック(14)に相補的な二次フランジ側ローラートラック(16)上で転動可能に取り付けられており、
摩擦デバイス(3)が、前記一次フランジ(5)と前記二次フランジ(6)との間に配置されており、前記摩擦デバイス(3)の第1の構成要素(17)が、前記一次フランジ(5)に対して回転不能に構成され、前記摩擦デバイス(3)の第2の構成要素(18)が、前記二次フランジ(6)に対して回転不能に構成されている、振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項2】
前記第1の構成要素(17)は、前記一次フランジ(5)と一体に形成され、かつ/または前記第2の構成要素(18)は、前記二次フランジ(6)と一体に形成されている、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項3】
前記第1の構成要素(17)は、前記一次フランジ(5)に、前記振り子ロッカーダンパー(1)の径方向(R)において内側に突出している部分(19)として形成されているか、または前記一次フランジ(5)に接続されている、請求項1または2に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項4】
前記第2の構成要素(18)は、前記二次フランジ(6)に、前記振り子ロッカーダンパー(1)の径方向(R)において外側に突出している部分(20)として形成されているか、または前記二次フランジ(6)に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項5】
前記一次フランジ(5)と前記二次フランジ(6)とは、前記振り子ロッカーダンパー(1)の軸方向(A)において重なり合い、好ましくは同じ軸平面内に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項6】
前記第1の構成要素(17)は、前記二次フランジ(6)に対して前記振り子ロッカーダンパー(1)の前記軸方向(A)に予荷重を加えたばねデバイス(21)として構成され、かつ/または前記第2の構成要素(18)は、前記一次フランジ(5)に対して前記振り子ロッカーダンパー(1)の前記軸方向(A)に予荷重を加えたばねデバイス(21)として構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項7】
前記ばねデバイス(21)は、前記二次フランジ(6)に固定されている2つのばね板(22)を有し、前記ばね板(22)の一方は、前記二次フランジ(6)の一方の側に配置され、前記ばね板(22)の他方は、前記軸方向(A)において前記二次フランジ(6)の他方の側に配置されており、前記両ばね板(22)は、前記両ばね板(22)間の前記一次フランジ(5)を、摩擦ロックするようにクランプする、請求項6に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項8】
前記ばね板(22)は、前記二次フランジ(6)の前記径方向(R)に外側に突出している前記部分(20)に固定され、前記一次フランジ(5)の円弧部分(25)と摩擦ロックにより接触しており、前記円弧部分(25)は、前記径方向(R)において内側に突出している2つの停止部(24)によって前記振り子ロッカーダンパー(1)の円周方向(U)に制限され、二次フランジ側の前記部分(20)は、前記振り子ロッカーダンパー(1)の回転を制限するように、各場合において前記停止部(24)のうちの1つと接触し得る、請求項7に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項9】
前記ばねデバイス(21)は、前記一次フランジ(5)に固定されている2つのばね板(23)を有し、前記ばね板(23)の一方は、前記一次フランジ(5)の一方の側に配置され、前記ばね板(23)の他方は、前記軸方向(A)において前記一次フランジ(5)の他方の側に配置されており、前記両ばね板(23)は、前記両ばね板(23)間の前記二次フランジ(6)を、摩擦ロックするようにクランプする、請求項6に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項10】
前記ばね板(23)は、円弧セグメントの形態に構成され、前記二次フランジ(6)の外側に突出している前記部分(20)と摩擦ロックにより接触しており、前記一次フランジ(5)は、前記径方向(R)において内側に突出し、かつ前記振り子ロッカーダンパー(1)の円周方向(U)において互いから離間した2つの停止部(24)を有し、二次フランジ側の前記部分(20)は、前記振り子ロッカーダンパー(1)の回転を制限するように、各場合において前記停止部(24)のうちの1つと接触し得る、請求項9に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブトレイン用の、回転軸を有し、トルクを調節する(modulate)ためのロッカーユニットを有する、振り子ロッカーダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる、振り子ロッカーダンパーは、従来技術から既に知られている。例えば、ドライブトレインにおける回転シャフトまたは回転シャフトシステムの剛性を調節するための振り子ロッカーダンパーは、特許文献1および特許文献2から知られている。これらの振り子ロッカーダンパーは、一次フランジと二次フランジとを含み、これらのフランジは、トルクが伝達するように互いに(両方向において)接続されている。複数のロッカー要素(ロッカーとも称される)および複数のばね要素が介在される。ロッカー要素は、一次フランジおよび/または二次フランジの少なくとも1つの転動要素によって、互いに対して変位可能に支持されている。転動要素は、それぞれの伝達トラックと、相補的なカウンタトラックとの間で転動可能に、ばね要素によってクランプされている。この振り子ロッカーダンパーは、一次フランジと二次フランジとの間の相対的な回転角度をばね要素のばね撓みに変換する。
【0003】
ランプギアを形成する伝達トラックおよび相補的なカウンタトラックによって、伝達比を調整することができ、これにより、振り子ロッカーダンパーの剛性を調整することができる。ここで、伝達比が一定である必要はないが、一次フランジから二次フランジへの回転角度を介してランプギアの勾配が可変的に調整可能であることも有利である。
【0004】
既知の振り子ロッカーダンパーは、大量の取り付け空間を必要とし、回転シャフトの剛性を低減するように構成されている。いわゆる過大トルクが動作中に発生した場合、すなわち、ばね要素のうちの1つの動作限界を超えるトルクが発生した場合、このようなピーク荷重に対する振り子ロッカーダンパーの保護手段のみが従来技術から知られており、大きな設置スペースを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019121204号
【特許文献2】独国特許出願公開第102019121205号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術から知られている欠点を少なくとも部分的に克服すること、特に、設置スペースにできるだけ影響を与えずに摩擦デバイスを振り子ロッカーダンパーに収容するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によれば、自動車のドライブトレイン用の、回転軸を有し、トルクを調節するためのロッカーユニットを有する、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパーによって達成され、振り子ロッカーダンパーは、
トルクが伝達するように第1の外部接続部に接続され得る一次フランジと、
エネルギー貯蔵要素によって予荷重が加えられる少なくとも1つのロッカー要素と、
少なくとも1つの第1のローラーおよび少なくとも1つの第2のローラーと、
トルクが伝達するように第2の外部接続部に接続され得る二次フランジと、を備え、
第1のローラーは、第1のロッカー側ローラートラックと、第1のロッカー側ローラートラックに相補的な一次フランジ側ローラートラック上で転動可能に取り付けられており、
第2のローラーは、第2のロッカー側ローラートラックと、第2のロッカー側ローラートラックに相補的な二次フランジ側ローラートラック上で転動可能に取り付けられており、
摩擦デバイスが、一次フランジと二次フランジとの間に配置されている。
【0008】
摩擦デバイスの第1の構成要素が、一次フランジに対して回転不能に構成され、摩擦デバイスの第2の構成要素が、二次フランジに対して回転不能に構成されているため、摩擦デバイスは、設置スペースにできるだけ影響を与えずに振り子ロッカーダンパーに収容され得る。摩擦デバイスまたは摩擦デバイスの2つの構成要素は、入力トルクを打ち消す摩擦トルクを生成し、したがって、ダンパーとして作用する。したがって、一次フランジに対する二次フランジの相対回転に必要なエネルギーは、摩擦デバイス内で熱エネルギーの形態である程度散逸し、回転角度に依存したヒステリシスが生じる。特に、本明細書で提案された振り子ロッカーダンパーは、小さな設置スペースでトルクを調節すると同時に、過大トルクに対する保護を提供するために使用され得る。
【0009】
好ましい例示的な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0010】
特に明記しない限り、「中心」、「軸方向」、「径方向」、または「回転方向」という用語、並びに対応する用語が以下で使用されるとき、記載された回転軸が参照される。特に明記されていない限り、前および後の説明で使用される序数は、明確に区別する目的でのみ使用され、指定された構成要素の順序または順位を示すものではない。1より大きい序数は、更なるこのような構成要素が存在しなければならないことを必ずしも意味するものではない。
【0011】
好ましくは、摩擦デバイスは可変であり、すなわち、摩擦トルクは、一次フランジに対する二次フランジの相対回転に依存する。
【0012】
トルクを調節するためのロッカーユニットは、少なくとも1つのロッカー要素を含む。ロッカー要素は、少なくとも1つ以上(好ましくは、2つまたは3つ)のローラーによって一次フランジ上および/または二次フランジ上に取り付けられ、その結果、回転方向に対して枢動、すなわち、揺動され得る(または、回転運動に重畳され得る)。好ましくは、2つのエネルギー貯蔵要素および2つのロッカー要素が提供される。
【0013】
2つ以上のロッカー要素が提供される場合、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素は、好ましくは、2つのロッカー要素の間に提供され、2つのロッカー要素の揺動運動は、2つのロッカー要素の互いに対する相対運動をもたらす。この相対運動により、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素のエネルギーポテンシャルに変化をもたらす。2つのロッカー要素が提供される場合、好ましくは、1つまたは2つのエネルギー貯蔵要素が提供され、これらのエネルギー貯蔵要素は、好ましくは、各場合においてロッカー要素の両端部に配置される。3つのロッカー要素が提供される場合、好ましくは、3つのエネルギー貯蔵要素が提供される。ロッカー要素が1つだけ提供される場合、エネルギー貯蔵要素は、好ましくは、ロッカー要素と、二次フランジまたは一次フランジのいずれかとの間に配置され、その結果、エネルギー貯蔵要素のエネルギーポテンシャルは、揺動運動の結果生じる、ロッカー要素と、二次フランジまたは一次フランジとの間の相対運動中に変化する。
【0014】
ロッカーユニットの一次フランジは、トルクが伝達するように第1の外部接続部に接続されるか、または接続され得、ロッカーユニットの二次フランジは、トルクが伝達するように第2の外部接続部に接続されるか、または接続され得る。一次フランジ、二次フランジ、および/または少なくとも1つのロッカー要素は、好ましくは、ディスクまたはディスクセグメントのように、特に好ましくは、打ち抜き加工および/または板金成形によって形成される。
【0015】
少なくとも1つのローラーは、ロッカー側ローラートラックおよびそれに相補的な一次フランジ側ローラートラック上に、トルクなしの状態で、または小さいトルクが加えられているとき、ローラートラック内の静止位置にあるように配置される。(より大きな)トルクが加えられたとき、少なくとも1つのローラーは、対応するローラートラック上を(少なくともほとんど)スリップなしで転動する。好ましくは、少なくとも1つのローラーは、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素によって、ローラートラックに対して予荷重が加えられる。したがって、ランプギアが、少なくとも1つのローラーおよび対応するローラートラックによって形成される。ローラートラックは、勾配を克服するために、追加の(運動)エネルギーまたは仕事が必要となるように選択された勾配を有する。必要な(運動)エネルギーは、ねじり振動または調節されるトルクを低減することによって達成され得る。例えば、剛性または減衰値は、ローラートラックの勾配および/またはエネルギー貯蔵要素の剛性によって表わされ得、または調整され得る。これにより、一次フランジから二次フランジへ、またはその逆へと、トルク伝達を調節することができる。少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素は、例えば、直線状のばね軸を有する、例えば、らせん状の圧縮ばね、弓形ばねまたはガス蓄圧器である。エネルギー貯蔵要素は、一次フランジと二次フランジが互いに対して動くことによって伸縮され得る。
【0016】
好ましい実施形態では、2つのエネルギー貯蔵要素は、トルクが加えられたときに両方のエネルギー貯蔵要素が圧縮されるように、回転軸に対して横方向に配置され、その結果、経路対(複数可)のランプ勾配と共にエネルギー貯蔵要素の剛性によってトルクが調節され得る。
【0017】
例えば、回転運動が一次フランジなどの外部接続部によって開始される場合、一次フランジと二次フランジとの間の相対運動は、ロッカー側ローラートラックおよび相補的な外側ローラートラック上のローラーを、ランプ状ローラートラック上の対応する方向において静止位置から転動(上に)させる。「上に転動する(rolling up)」という用語は、本明細書では、単に仕事が実施されていることを説明するために使用される。より正確には、幾何学的な関係により、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の対抗力が克服される。したがって、「下に転動する(rolling down)」という用語は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素から貯蔵(運動)エネルギーを放出することを指す。したがって、「上に」および「下に」という用語は、必ずしも空間的な方向に対応していない。
【0018】
二次フランジと、対応する第2の外部接続部とを介して開始される回転運動はまた、上述のようにトルクを調節できることに留意されたい。本明細書で提案されるロッカーユニットは、それぞれのロッカー要素上のローラートラックの配置によって非常にコンパクトな構成を可能にしているため、非常にコンパクトである。
【0019】
好ましい実施形態では、一次フランジと二次フランジとの間に2組のローラーが、各場合において各々2つのローラートラックを有する、対応する2対のローラートラック上に提供されている。この場合、第1の対のローラートラックは、少なくとも1つの一次側ローラーまたは一組の一次側ローラーを転動可能に受容するように、少なくとも1つのロッカー要素の第1のロッカー側ローラートラックと、一次フランジの一次フランジ側ローラートラックを備えて配置されている。この実施形態では、第2の対のローラートラックは、ロッカー要素の第2のロッカー側ローラートラックと、二次フランジの二次フランジ側ローラートラックと、を含み、少なくとも1つの二次側ローラーまたは一組の二次側ローラーを転動可能に受容するように構成されている。特に好ましくは、第1の対のローラートラックは、第2の対のローラートラックの径方向外側に配置されている。
【0020】
第1の構成要素が、一次フランジと一体に形成されている場合、および/または第2の構成要素が、二次フランジと一体に形成されている場合、有利である。これにより、振り子ロッカーダンパーを特にコンパクトに構成することができる。
【0021】
更に、第1の構成要素が、一次フランジに、振り子ロッカーダンパーの径方向において内側に突出している部分として形成されている場合、または一次フランジに接続されている場合、有利である。これにより、振り子ロッカーダンパーを特にコンパクトに構成することができる。
【0022】
更に、第2の構成要素が、二次フランジに、振り子ロッカーダンパーの径方向において外側に突出している部分として形成されている場合、または二次フランジに接続されている場合、有利である。これにより、振り子ロッカーダンパーを特にコンパクトに構成することができる。
【0023】
好ましくは、一次フランジと二次フランジとは、振り子ロッカーダンパーの軸方向において重なり合っている。特に好ましくは、これらのフランジは、同じ軸平面内に配置されている。これにより、振り子ロッカーダンパーを特にコンパクトに構成することができる。
【0024】
第1の構成要素が、二次フランジに対して振り子ロッカーダンパーの軸方向に予荷重を加えたばねデバイスとして構成されている場合、および/または第2の構成要素が、一次フランジに対して振り子ロッカーダンパーの軸方向に予荷重を加えたばねデバイスとして構成されている場合、有利である。
【0025】
好ましくは、ばねデバイスは、二次フランジに固定されている2つのばね板を有し、ばね板の一方は、二次フランジの一方の側に配置され、ばね板の他方は、軸方向において二次フランジの他方の側に配置されており、両ばね板は、両ばね板間の一次フランジを、摩擦ロックするようにクランプする。
【0026】
ばね板が、二次フランジの径方向に外側に突出している部分に固定され、一次フランジの円弧部分と摩擦ロックにより接触しており、円弧部分が、径方向において内側に突出している2つの停止部によって振り子ロッカーダンパーの円周方向に制限され、二次フランジ側の部分が、振り子ロッカーダンパーの回転を制限するように、各場合において停止部のうちの1つと接触し得る場合、有利である。これにより、振り子ロッカーダンパーを特にコンパクトに構成することができる。
【0027】
好ましくは、ばねデバイスは、一次フランジに固定されている2つのばね板を有し、ばね板の一方は、一次フランジの一方の側に配置され、ばね板の他方は、軸方向において一次フランジの他方の側に配置されており、両ばね板は、両ばね板間の二次フランジを、摩擦ロックするようにクランプする。
【0028】
ばね板が、円弧セグメントの形態に構成され、二次フランジの外側に突出している部分と摩擦ロックにより接触しており、一次フランジが、径方向において内側に突出し、かつ振り子ロッカーダンパーの円周方向において互いから離間した2つの停止部を有し、二次フランジ側の部分が、振り子ロッカーダンパーの回転を制限するように、各場合において停止部のうちの1つと接触し得る場合、有利である。これにより、振り子ロッカーダンパーを特にコンパクトに構成することができる。
【0029】
上述の発明は、好ましい例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、関連する技術的背景に対して以下に詳細に説明される。本発明は、純粋に概略的な図面を用いて決して制限されないが、図面は、寸法的に正確ではなく、比率を定義するには好適ではないことに留意されたい。以下の図面の説明において、本発明に必須であると特定されていない特徴は、任意選択的であると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】摩擦デバイスを有する振り子ロッカーダンパーの第1の例示的な実施形態の上面図である。
図2図1の振り子ロッカーダンパーの断面図である。
図3図1の振り子ロッカーダンパーの上面図であり、上側のロッカー要素、すなわち、図2を参照すると右側のロッカー要素が取り除かれており、オーバーランモード(図3a)、ニュートラル状態(図3b)、およびトラクションモード(図3c)を示す。
図4】二次フランジに固定された、図1の振り子ロッカーダンパーの摩擦デバイスの斜視図であり、一次フランジは含んでいない。
図5】二次フランジに固定された、図1の振り子ロッカーダンパーの摩擦デバイスの斜視図であり、一次フランジを含む。
図6図1の振り子ロッカーダンパーの一次フランジおよび二次フランジの詳細の上面図である。
図7】摩擦デバイスを有する振り子ロッカーダンパーの第2の例示的な実施形態の上面図(図7a)であり、図7aを参照して上側のロッカー要素が取り除かれており(図7b)、図7aを参照して上側のロッカー要素と摩擦デバイスの一部が取り除かれている。
図8】一次フランジに固定された、図7aの振り子ロッカーダンパーの摩擦デバイスの斜視図であり、二次フランジは含んでいない。
図9】一次フランジに固定された、図7aの振り子ロッカーダンパーの摩擦デバイスの斜視図であり、二次フランジを含む。
図10】一次フランジに固定された、図7aの振り子ロッカーダンパーの摩擦デバイスの異なる断面平面による斜視図であり、二次フランジを含む。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1図6は、振り子ロッカーダンパー1の第1の例示的な実施形態に関する。図1を参照して、振り子ロッカーダンパー1の基本構造および基本動作モードが以下に記載され、これらは、第2の例示的な実施形態にも等しく関連する。
【0032】
振り子ロッカーダンパー1は、トルクを調節するためのロッカーユニット4を有し、このロッカーユニット4は、振り子ロッカーダンパー1の回転軸Dを中心に回転するように配置されている。ロッカーユニット4は、トルクが伝達するように第1の外部接続部7に接続され得る一次フランジ5と、トルクが伝達するように第2の外部接続部8に接続され得る二次フランジ6と、を有する。二次フランジ6は、振り子ロッカーダンパー1の径方向Rにおいて、一次フランジ5の内側に配置されている。
【0033】
振り子ロッカーダンパー1は、好ましくは、自動車のドライブトレインに設けられる。例えば、ロッカーユニット4の一次フランジ5は、クラッチディスクの摩擦ライニング、スリップクラッチの出力側、またはフライホイールの出力側に接続され得る。例えば、ロッカーユニット4の二次フランジ6は、ハブ2に接続され得るか、またはハブ2を含むことができ、これによって、振り子ロッカーダンパー1が、例えば、中間シャフトまたは変速機の入力シャフトに取り付けられ、接続され得る。
【0034】
また、ロッカーユニット4は、エネルギー貯蔵要素10によって予荷重が加えられる少なくとも1つのロッカー要素9を有する。複数のロッカー要素9(この場合、振り子ロッカーダンパー1の軸方向Aにおいて各々離間され、スペーサボルトによって互いに回転不能に接続された2つのロッカー要素)は、好ましくは環状の一次フランジ5と二次フランジ6との間のトルクフロー方向において提供される。図示の例示的な実施形態では、一次フランジ5と二次フランジ6とは、軸方向Aにおいて、軸方向Aにおいて離間された2つのロッカー要素9の間に配置されている。
【0035】
一次フランジ5と二次フランジ6とは、振り子ロッカーダンパー1の軸方向Aにおいて重なり合っている。具体的には、一次フランジ5と二次フランジ6とは、同じ軸平面内、少なくともロッカー要素9の領域内に配置されている。これは、フランジ5、6の少なくとも一方が、他方のフランジ6、5の軸方向延長部内に完全に配置されていることを意味する。
【0036】
図に示すような上側のロッカー要素9と図に示すような下側のロッカー要素9との間には、本明細書では、ロッカー要素9の数に対応して2つのエネルギー貯蔵要素10が配置されており、これらのエネルギー貯蔵要素10は、好ましくは、直線状のばね軸を有するらせん状の圧縮ばねとして構成されている。エネルギー貯蔵要素10は、図示の位置で2つのロッカー要素9を静止位置に保持する。本明細書に示したエネルギー貯蔵要素10は、(任意選択的に)同一である。
【0037】
2つのロッカー要素9は各々、第1のロッカー側ローラートラック13および一次フランジ側ローラートラック15を介して、(ここでは純粋に任意選択的に4つの)一次側ローラー11によって、トルクが伝達するように一次フランジ5に単独で接続されている。一次フランジ5は、一次フランジ側ローラートラック15を形成し、したがって、第1のロッカー側ローラートラック13によってこのように形成されたカムギアを介して、ロッカー要素9に結合されている。一次側ローラー11には、ここでは、エネルギー貯蔵要素10によって、一次フランジ5のそれぞれ対応する一次フランジ側ローラートラック15およびロッカー要素9の第1のロッカー側ローラートラック13に対して(任意選択的に)予荷重が加えられており、したがって、転動するようにのみ動かすことができる。
【0038】
ロッカー要素9は(第2のロッカー側ローラートラック14を形成して)、そこに形成された更なるカムギアを介して、(ここでは純粋に任意選択的に単一の)二次側ローラー12によって、二次フランジ側ローラートラック16を介して、トルクが伝達するように二次フランジ6に、そしてこれを介してハブ2に結合されている。二次フランジ6は、純粋に任意選択的にはプレダンパー(図示せず)によって、トルクが伝達するようにハブ2に接続されている。
【0039】
したがって、ロッカーユニット4は、少なくとも第1のローラー11および第2のローラー12を有する。第1のローラー11は、第1のロッカー側ローラートラック13と、第1のロッカー側ローラートラック13に相補的な一次フランジ側ローラートラック15上で転動可能に取り付けられている。第2のローラー12は、第2のロッカー側ローラートラック14と、第2のロッカー側ローラートラック14に相補的な二次フランジ側ローラートラック16上で転動可能に取り付けられている。
【0040】
トルク勾配が加えられたとき(一次フランジ5から二次フランジ6へ)、一次フランジ5は、二次フランジ6に対して振り子ロッカーダンパー1の円周方向Uにおいて回転し、その結果、ロッカー要素9は、この実施形態では、ローラー11、12が、一次フランジ5とロッカー要素9の、または二次フランジ6とロッカー要素9の、対応する(ランプ状の)ローラートラック13、15、14、16上で転動することによって、互いに向かって動く。このプロセスでは、エネルギー貯蔵要素10は、一次フランジ5と二次フランジ6との間の相対回転角度がエネルギー貯蔵要素10の対応するばね撓みに変換されるため、圧縮される。
【0041】
この文脈では、第1の例示的な実施形態に関して図3a~図3cも参照され、ここでは、図面平面の上側に位置するロッカー要素9が取り除かれており、図3aは、オーバーランモードの振り子ロッカーダンパー1であり、図3bは、ニュートラル状態の振り子ロッカーダンパー1であり、図3cは、トラクションモードの振り子ロッカーダンパー1である。
【0042】
ローラートラック13、15、14、16(カムギア)の幾何学的形状は、回転角度とばね撓みとの間の比率を調整するために使用され得る。トルクは、エネルギー貯蔵要素10の剛性(または、むしろ柔軟性)を介して調節され得る、すなわち、トルク勾配は、入力トルクの関数として定義され得る。
【0043】
図2は、図1の振り子ロッカーダンパー1の断面図であり、一次フランジ5と二次フランジ6との間に配置され、図1では図面平面の上側に位置するロッカー要素9によって隠されている摩擦デバイス3を見ることができる。
【0044】
特に図2図4、および図5から分かるように、一次フランジ5に対して軸方向Aに予荷重を加えたばねデバイス21が、二次フランジ6に形成されている。より正確には、ばねデバイス21は、二次フランジ6に固定されている2つのばね板22で構成されている。ばね板22の一方は、二次フランジ6の一方の側に配置されている。ばね板22の他方は、軸方向Aにおいて二次フランジ6の他方の側に配置されている。両ばね板22は、特に図4から分かるように、軸方向Aにおいてピンセットのように互いに対して予荷重が加えられ、両ばね板22は、特に図5から分かるように、両ばね板22間の一次フランジ5を、摩擦ロックするようにクランプする。ばねデバイス21または2つのばね板22は、二次フランジ6に対して回転不能である。
【0045】
2つのばね板22は、二次フランジ6の径方向Rに外側に突出している部分20に固定され、一次フランジ5の円弧部分25と摩擦ロックにより接触しており、円弧部分25は、径方向Rにおいて内側に突出している一次フランジ5の2つの停止部24によって円周方向Uにおいて制限されている。振り子ロッカーダンパー1がトラクションモード(図3cおよび図6)であるか、またはオーバーランモード(図3a)であるかに応じて、径方向Rにおいて外側に突出している二次フランジ側の部分20は、振り子ロッカーダンパー1の回転を制限するように、各場合において停止部24のうちの1つと接触し得る。
【0046】
摩擦デバイス3の第1の構成要素17、本例示的な実施形態では一次フランジ5の円弧部分25は、一次フランジ5に対して回転不能に構成されている。より正確には、第1の構成要素17は、一次フランジ5と一体に形成されている。摩擦デバイス3の第2の構成要素18、本例示的な実施形態ではばねデバイス21または2つのばね板22が固定された、径方向Rにおいて外側に突出している部分20は、二次フランジ6と一体に形成されている。代替的に、またはそれに加えて、第2の構成要素18は、一次フランジ5に対して振り子ロッカーダンパー1の軸方向Aに予荷重を加えたばねデバイス21として構成され得る。
【0047】
好ましくは、ばねデバイス21は、二次フランジ6の二次フランジ側ローラートラック16の近傍に提供されている。特に、ばねデバイス21の数は、二次フランジ側ローラートラック16の数に対応しており、図示の例示的な実施形態では2つ、すなわち、2対のばね板22がある。
【0048】
図7a~図10は、摩擦デバイス3を有する振り子ロッカーダンパー1の第2の例示的な実施形態に関する。図7aは、振り子ロッカーダンパー1の上面図である。図7bでは、図7aを参照して上側にあるロッカー要素9が取り除かれている。図7cでは、図7aを参照して上側にあるロッカー要素9および摩擦デバイス3の一部が取り除かれている。
【0049】
ばねデバイス21は、一次フランジ5に固定されている2つのばね板23を有する。ばね板23の一方は、一次フランジ5の一方の側に配置されている。ばね板23の他方は、軸方向Aにおいて一次フランジ5の他方の側に配置されている。両ばね板23は、特に図8から分かるように、軸方向Aにおいてピンセットのように互いに対して予荷重が加えられ、両ばね板23は、特に図9および図10から分かるように、両ばね板23間の二次フランジ6を、摩擦ロックするようにクランプする。ばねデバイス21または2つのばね板23は、一次フランジ5に対して回転不能である。
【0050】
2つのばね板23は、円弧セグメントの形態に構成され、二次フランジ6の外側に突出している部分20と摩擦ロックにより接触している。一次フランジ5は、径方向Rにおいて内側に突出し、かつ振り子ロッカーダンパー1の円周方向Uにおいて互いから離間した2つの停止部24を有する。振り子ロッカーダンパー1がトラクションモードであるか、またはオーバーランモードであるかに応じて、径方向Rにおいて外側に突出している二次フランジ側の部分20は、振り子ロッカーダンパー1の回転を制限するように、各場合において停止部24のうちの1つと接触し得る。
【0051】
摩擦デバイス3の第2の構成要素18、本例示的な実施形態では径方向Rにおいて外側に突出している、二次フランジ6の部分20は、二次フランジ6に対して回転不能に構成されている。より正確には、第2の構成要素18は、二次フランジ6と一体に形成されている。
【0052】
第1の構成要素17は、振り子ロッカーダンパー1の径方向Rにおいて内側に突出している部分19の形態にあり、本例示的な実施形態では、二次フランジ6に対して軸方向Aに予荷重を加えたばねデバイス21として、または2つのばね板23として、一次フランジ5に回転不能に接続されている。代替的に、第1の構成要素は、一次フランジ5に形成され得るか、または一次フランジと一体に形成され得る。
【0053】
前述の例示的な実施形態は、自動車のドライブトレイン用の、回転軸Dを有し、トルクを調節するためのロッカーユニット4を有する、振り子ロッカーダンパー1に関する。振り子ロッカーダンパー1は、トルクが伝達するように第1の外部接続部7に接続され得る一次フランジ5と、エネルギー貯蔵要素10によって予荷重が加えられる少なくとも1つのロッカー要素9と、少なくとも1つの第1のローラー11および少なくとも1つの第2のローラー12と、トルクが伝達するように第2の外部接続部8に接続され得る二次フランジ6と、を備える。第1のローラー11は、第1のロッカー側ローラートラック13と、第1のロッカー側ローラートラック13に相補的な一次フランジ側ローラートラック15上で転動可能に取り付けられており、第2のローラー12は、第2のロッカー側ローラートラック14と、第2のロッカー側ローラートラック14に相補的な二次フランジ側ローラートラック16上で転動可能に取り付けられており、摩擦デバイス3が、一次フランジ5と二次フランジ6との間に配置されており、摩擦デバイス3の第1の構成要素17が、一次フランジ5に対して回転不能に構成され、摩擦デバイス3の第2の構成要素18が、二次フランジ6に対して回転不能に構成されている。
【0054】
摩擦デバイス3または摩擦デバイス3の2つの構成要素17、18は、入力トルクを打ち消す摩擦トルクを生成し、したがって、ダンパーとして作用する。したがって、一次フランジ5に対する二次フランジ6の相対回転に必要なエネルギーは、摩擦デバイス3内で熱エネルギーの形態である程度散逸し、回転角度に依存したヒステリシスが生じる。好ましくは、摩擦デバイスは可変であり、すなわち、摩擦トルクは、一次フランジ5に対する二次フランジ6の相対回転に依存する。特に、本明細書で提案された振り子ロッカーダンパー1は、小さな設置スペースでトルクを調節すると同時に、過大トルクに対する保護を提供するために使用され得る。
【符号の説明】
【0055】
1 振り子ロッカーダンパー
2 ハブ
3 摩擦デバイス
4 ロッカーユニット
5 一次フランジ
6 二次フランジ
7 一次側外部接続部
8 二次側外部接続部
9 ロッカー要素
10 エネルギー貯蔵要素
11 一次側ローラー
12 二次側ローラー
13 第1のロッカー側ローラートラック
14 第2のロッカー側ローラートラック
15 一次フランジ側ローラートラック
16 二次フランジ側ローラートラック
17 第1の構成要素
18 第2の構成要素
19 内側に突出した部分
20 外側に突出した部分
21 ばねデバイス
22 ばね板
23 ばね板
24 停止部
25 円弧部分
A 軸方向
D 回転軸
R 径方向
U 円周方向
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドライブトレイン用の、回転軸(D)を有し、トルクを調節するためのロッカーユニット(4)を有する、振り子ロッカーダンパー(1)であって、
トルクが伝達するように第1の外部接続部(7)に接続され得る一次フランジ(5)と、
エネルギー貯蔵要素(10)によって予荷重が加えられる少なくとも1つのロッカー要素(9)と、
少なくとも1つの第1のローラーおよび少なくとも1つの第2のローラー(11、12)と、
トルクが伝達するように第2の外部接続部(8)に接続され得る二次フランジ(6)と、を備え、
前記第1のローラー(11)は、第1のロッカー側ローラートラック(13)と、前記第1のロッカー側ローラートラック(13)に相補的な一次フランジ側ローラートラック(15)上で転動可能に取り付けられており、
前記第2のローラー(12)は、第2のロッカー側ローラートラック(14)と、前記第2のロッカー側ローラートラック(14)に相補的な二次フランジ側ローラートラック(16)上で転動可能に取り付けられており、
摩擦デバイス(3)が、前記一次フランジ(5)と前記二次フランジ(6)との間に配置されており、前記摩擦デバイス(3)の第1の構成要素(17)が、前記一次フランジ(5)に対して回転不能に構成され、前記摩擦デバイス(3)の第2の構成要素(18)が、前記二次フランジ(6)に対して回転不能に構成されている、振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項2】
前記第1の構成要素(17)は、前記一次フランジ(5)と一体に形成され、かつ/または前記第2の構成要素(18)は、前記二次フランジ(6)と一体に形成されている、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項3】
前記第1の構成要素(17)は、前記一次フランジ(5)に、前記振り子ロッカーダンパー(1)の径方向(R)において内側に突出している部分(19)として形成されているか、または前記一次フランジ(5)に接続されている、請求項1または2に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項4】
前記第2の構成要素(18)は、前記二次フランジ(6)に、前記振り子ロッカーダンパー(1)の径方向(R)において外側に突出している部分(20)として形成されているか、または前記二次フランジ(6)に接続されている、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項5】
前記一次フランジ(5)と前記二次フランジ(6)とは、前記振り子ロッカーダンパー(1)の軸方向(A)において重なり合い、好ましくは同じ軸平面内に配置されている、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項6】
前記第1の構成要素(17)は、前記二次フランジ(6)に対して前記振り子ロッカーダンパー(1)の前記軸方向(A)に予荷重を加えたばねデバイス(21)として構成され、かつ/または前記第2の構成要素(18)は、前記一次フランジ(5)に対して前記振り子ロッカーダンパー(1)の前記軸方向(A)に予荷重を加えたばねデバイス(21)として構成されている、請求項1に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項7】
前記ばねデバイス(21)は、前記二次フランジ(6)に固定されている2つのばね板(22)を有し、前記ばね板(22)の一方は、前記二次フランジ(6)の一方の側に配置され、前記ばね板(22)の他方は、前記軸方向(A)において前記二次フランジ(6)の他方の側に配置されており、前記両ばね板(22)は、前記両ばね板(22)間の前記一次フランジ(5)を、摩擦ロックするようにクランプする、請求項6に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項8】
前記ばね板(22)は、前記二次フランジ(6)の前記径方向(R)に外側に突出している前記部分(20)に固定され、前記一次フランジ(5)の円弧部分(25)と摩擦ロックにより接触しており、前記円弧部分(25)は、前記径方向(R)において内側に突出している2つの停止部(24)によって前記振り子ロッカーダンパー(1)の円周方向(U)に制限され、二次フランジ側の前記部分(20)は、前記振り子ロッカーダンパー(1)の回転を制限するように、各場合において前記停止部(24)のうちの1つと接触し得る、請求項7に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項9】
前記ばねデバイス(21)は、前記一次フランジ(5)に固定されている2つのばね板(23)を有し、前記ばね板(23)の一方は、前記一次フランジ(5)の一方の側に配置され、前記ばね板(23)の他方は、前記軸方向(A)において前記一次フランジ(5)の他方の側に配置されており、前記両ばね板(23)は、前記両ばね板(23)間の前記二次フランジ(6)を、摩擦ロックするようにクランプする、請求項6に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【請求項10】
前記ばね板(23)は、円弧セグメントの形態に構成され、前記二次フランジ(6)の外側に突出している前記部分(20)と摩擦ロックにより接触しており、前記一次フランジ(5)は、前記径方向(R)において内側に突出し、かつ前記振り子ロッカーダンパー(1)の円周方向(U)において互いから離間した2つの停止部(24)を有し、二次フランジ側の前記部分(20)は、前記振り子ロッカーダンパー(1)の回転を制限するように、各場合において前記停止部(24)のうちの1つと接触し得る、請求項9に記載の振り子ロッカーダンパー(1)。
【国際調査報告】