(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】可変スイッチング周波数を使用した電力コンバータを制御する方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241114BHJP
【FI】
H02M7/48 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527449
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2022081366
(87)【国際公開番号】W WO2023083915
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021212625.1
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522447473
【氏名又は名称】ヴァレオ、イーオートモーティブ、ジャーマニー、ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VALEO EAUTOMOTIVE GERMANY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】マレク、ルバンドウスキー
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA01
5H770AA05
5H770BA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA02
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのスイッチングセル(2)、及び、前記少なくとも1つのスイッチングセル(2)をスイッチング周波数(fs)で制御して出力信号を伝達する制御ユニット(1)、を有する電力コンバータ(I)を制御する方法であって、前記制御ユニット(1)を介して定期的に前記スイッチング周波数(fs)を調整して(S1)、前記スイッチング周波数(fs)を前記出力信号(Sout)の周期(T)内で変化させ、前記スイッチング周波数(fs)は、少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)から選択される、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスイッチングセル(2)、及び、前記少なくとも1つのスイッチングセル(2)をスイッチング周波数(fs)で制御して出力信号を伝達する制御ユニット(1)、を有する電力コンバータ(I)を制御する方法であって、
前記制御ユニット(1)を介して定期的に前記スイッチング周波数(fs)を調整して(S1)、前記スイッチング周波数(fs)を前記出力信号(Sout)の周期(T)内で変化させ、前記スイッチング周波数(fs)は、少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)から選択される、
方法。
【請求項2】
前記制御ユニット(1)を介して前記スイッチング周波数(fs)を調整すること(S1)は、周期的に実行され、
前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)のそれぞれのスイッチング周波数は、関連付けられたプリセットされた時間間隔tiを有し、前記制御ユニット(1)が前記関連付けられたプリセットされた時間間隔tiについて前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)のそれぞれのスイッチング周波数で連続的に前記少なくとも1つのスイッチングセル(2)を制御する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御ユニット(1)によって前記出力信号(Sout)を定期的に受信し(S01)、
前記制御ユニット(1)を介して前記スイッチング周波数(fs)を、前記出力信号(Sout)の代表値(RV)と少なくとも1つのしきい値(12)との比較に基づいて、調整し(S1)、又は、維持する(S1’)、
連続したステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)は、第1スイッチング周波数(fs1)及び第2スイッチング周波数(fs2)を備え、
前記第1スイッチング周波数(fs1)は、前記第2スイッチング周波数(fs2)よりも低い、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのしきい値(12)は、第1しきい値(A)を有し、
前記代表値(RV)が前記第1しきい値(A)以上になる場合に、前記スイッチング周波数(fs)を前記第1スイッチング周波数(fs1)に調整し(S11)、
前記代表値(RV)が前記第1しきい値(A)未満になる場合に、前記スイッチング周波数(fs)を前記第2スイッチング周波数(fs2)に調整する(S12)、
請求項3を引用する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)はさらに、第3スイッチング周波数(fs3)を備え、
前記第2スイッチング周波数(fs2)は、前記第3スイッチング周波数(fs3)よりも低い、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのしきい値(12)は、第1しきい値(A)及び前記第1しきい値(A)よりも大きい第2しきい値(B)を有し、
前記代表値(RV)が前記第2しきい値(B)以上になる場合に、前記スイッチング周波数(fs)を前記第1スイッチング周波数(fs1)に調整し(S11’)、
前記代表値(RV)が前記第1しきい値(A)以上かつ前記第2しきい値(B)未満になる場合に、前記スイッチング周波数(fs)を前記第2スイッチング周波数(fs2)に調整し(S12’)、
前記代表値(RV)が前記第1しきい値(A)未満になる場合に、前記スイッチング周波数(fs)を前記第3スイッチング周波数(fs3)に調整する、
請求項3を引用する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)のそれぞれは、基本スイッチング周波数の倍数である、
請求項1から請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1スイッチング周波数(fs1)は、前記基本スイッチング周波数と同じであり、
前記第2スイッチング周波数(fs2)は、前記基本スイッチング周波数の2倍であり、
前記第3スイッチング周波数(fs3)は、前記基本スイッチング周波数の4倍である、
請求項6を引用する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記制御ユニット(1)を介して前記スイッチング周波数(fs)を調整し(S1)、又は、維持する(S1’)、ことは、周期的に、好ましくは、前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)の中間のスイッチング周波数(fs)で実行される、
請求項3を引用する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記出力信号(Sout)は、前記電力コンバータ(I)の出力電流である、
請求項1から請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記電力コンバータ(I)のレギュレータ回路(14)を介して前記少なくとも1つのしきい値(12)を動的に調整し、前記出力信号(Sout)の前記周期(T)に亘って前記少なくとも1つのスイッチングセル(2)の平均スイッチング周波数を実質的に一定に保つ、
ことを備える、請求項3、又は、請求項3を引用する請求項4から請求項11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つのスイッチングセル(2)と、
少なくとも1つの前記スイッチングセル(2)を請求項1から請求項12のいずれかに記載の方法で制御する、制御ユニット(1)と、
を備える、電力コンバータ(I)。
【請求項14】
高電圧電源バッテリ(B)から出力される直流電圧を交流電圧に変換して電気モータ(M)を駆動する、インバータである、
請求項13に記載の電力コンバータ(I)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのスイッチングセル(2)は、3つのスイッチングセルを有し、前記電気モータ(M)に三相交流電圧を供給し、
前記3つのスイッチングセルのそれぞれの前記スイッチング周波数(fs)を調整する(S1)ことは、前記3つのスイッチングセルの他のセルとは独立して実行される、
請求項14に記載の電力コンバータ(I)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)等の自動車に搭載される電気装置の電力供給を電力で制御する電気システムの分野に関する。このような電気システムは、電力コンバータとして設計される。
【0002】
本発明は、特に、可変スイッチング周波数を使用した電力コンバータを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
知られているように、電気自動車又はハイブリッド自動車は、電気モータと、高電圧電源又は低電圧電源のいずれかによって供給される必要がある電力コンバータといった他の電気装置を含む電気駆動装置を備えている。この文脈において電力コンバータは、入力電圧を出力電圧に変換するように構成される。例えば、インバータは、高電圧電源バッテリから直流(DC)電圧を交流(AC)電圧に変換して電気モータに供給し、自動車を駆動する。
【0004】
一般に、このような電力コンバータは、所望の電圧を達成するためにスイッチングパターンにしたがって制御ユニットによって制御されるスイッチング素子を備える。例えば、スイッチング素子を制御する従来方法は、スイッチング素子のスイッチング周波数が一定に保たれ、それぞれのスイッチング素子の開状態及び閉状態の間の時間比、所謂デューティサイクルが可変である、パルス幅変調(PWM)信号を使用する。
【0005】
スイッチングパターンを確立する際、スイッチング動作中のスイッチング損失と電流リップルの最適化は、取り組むべき重要な課題である。スイッチング損失は、電力コンバータの電力段の加熱を引き起こし、その結果、電力コンバータの寿命を短くする可能性がある。一方、スイッチングパターンは、特に、スイッチング素子と制御ユニットの動作容量、許容電流リップル、並びに、音響及び振動の要件といったいくつかの制約にしたがう必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに関連して、本発明の主な目的は、スイッチング損失及び電流リップルを低減する、電力コンバータを制御する方法及び電力コンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
より正確には、本発明は、少なくとも1つのスイッチングセル、及び、少なくとも1つのスイッチングセルをスイッチング周波数で制御して出力信号を伝達する制御ユニット、を有する電力コンバータを制御する方法に関する。この方法はさらに、制御ユニットを介して定期的にスイッチング周波数を調整して、スイッチング周波数を出力信号の周期内で変化させることを備える。このスイッチング信号は、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットから選択される。
【0008】
少なくとも2つのスイッチング周波数のセットのスイッチング周波数は、特に、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットのスイッチング周波数が低いほど、出力信号に対応する振幅範囲が高くなるようにソートされた方法で選択される。換言すると、本発明に係る方法は、有利に、スイッチング周波数を調整して、出力信号の山と谷でスイッチング周波数を下げ、出力信号のゼロ交差付近でスイッチング周波数を上げることを可能にする。これにより、スイッチング素子のスイッチング損失及び/又は電流リップルを低減すること、ひいては、インバータの寿命を延ばすことを可能とするという実質的な利益が提供される。
【0009】
さらに、本発明に係る方法は、制御ユニット及びスイッチング素子の動作条件に適合するインバータのスイッチングパターンの実装を容易にしながら、スイッチング損失を最適化することを可能とする。例えば、本発明は、出力信号の周期に亘って平均スイッチング周波数を実質的に一定に保ち、動作条件を適合させることを可能にする。
【0010】
一実施形態によれば、制御ユニットを介してスイッチング周波数を調整することは、周期的に実行され、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットのそれぞれのスイッチング周波数は関連付けられたプリセットされた時間間隔tiを有し、制御ユニットが関連付けられたプリセットされた時間間隔tiについて少なくとも2つのスイッチング周波数のセットのそれぞれのスイッチング周波数で連続的に少なくとも1つのスイッチングセルを制御する。本発明のこの実施形態は、スイッチング周波数の調整が事前に調整されるため、制御ユニットを通じて容易に実装できるという利点をもたらす。
【0011】
別の実施形態によれば、この方法は、
-制御ユニットによって出力信号を定期的に受信し、
-制御ユニットを介してスイッチング周波数を、出力信号の代表値と少なくとも1つのしきい値との比較に基づいて、調整し、又は、維持する、
連続したステップを備える。
【0012】
この実施形態により、スイッチング周波数を調整するのが、いつ適切であるかを効果的に監視することができる。
【0013】
有利には、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットは、第1スイッチング周波数及び第2スイッチング周波数を備え、第1スイッチング周波数は、第2スイッチング周波数よりも低い。2つのスイッチング周波数を用いることは、スイッチング損失を低減しながら、出力信号の周期を通じてスイッチング周波数の変更回数をより制限することを可能とする。
【0014】
有利には、少なくとも1つのしきい値は、第1しきい値を有し、この方法は、
-代表値が第1しきい値以上になる場合に、スイッチング周波数を第1スイッチング周波数に調整し、
-代表値が第1しきい値未満になる場合に、スイッチング周波数を第2スイッチング周波数に調整する、
ことを含む。
【0015】
有利には、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットはさらに、第3スイッチング周波数を備え、第2スイッチング周波数は、第3スイッチング周波数よりも低い。本発明は、3つのスイッチング周波数に限定されず、より多くのスイッチング周波数を考慮することができることに留意されたい。スイッチング周波数の数の選択は、出力信号の1周期を通じてスイッチング周波数があまりに頻繁に変更する必要がないことと、スイッチング損失及び/又は電流リップルを低減することとの間の折り合いから行うことができる。
【0016】
有利には、少なくとも1つのしきい値は、第1しきい値及び第1しきい値よりも大きい第2しきい値を有する。そして、この方法は、
-代表値が第2しきい値以上になる場合に、スイッチング周波数を第1スイッチング周波数に調整し、
-代表値が第1しきい値以上かつ第2しきい値未満になる場合に、スイッチング周波数を第2スイッチング周波数に調整し、
-代表値が第1しきい値未満になる場合に、スイッチング周波数を第3スイッチング周波数に調整する、
ことを備える。
【0017】
有利には、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットのそれぞれは、基本周波数の倍数である。そうすることで、特に整数の乗算等の単純で低コストの演算を設定することができるため、方法の実装が容易となる。
【0018】
有利には、第1スイッチング周波数は、基本スイッチング周波数と同じであり、第2スイッチング周波数は、基本スイッチング周波数の2倍であり、第3スイッチング周波数は、基本スイッチング周波数の4倍である。
【0019】
有利には、制御ユニットを介してスイッチング周波数を調整し、又は、維持することは、周期的に、好ましくは、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットの中間のスイッチング周波数で実行される。
【0020】
有利には、出力信号は、電力コンバータの出力電流である。出力電流を用いてスイッチング周波数を調整する利点は、出力電流を測定するための追加手段が必要なく、電流設定値が直接利用できることである。
【0021】
有利には、この方法は、電力コンバータのレギュレータ回路を介して前記少なくとも1つのしきい値を動的に調整し、出力信号の前記周期に亘って少なくとも1つのスイッチングセルの平均スイッチング周波数を実質的に一定に保つ、ことを備える。
【0022】
本発明はまた、少なくとも1つのスイッチングセルと、少なくとも1つのスイッチングセルを前述のいずれかに記載の方法で制御する、制御ユニットと、を備える電力コンバータに関する。
【0023】
本発明の一態様によれば、電力コンバータは、高電圧電源バッテリから出力される直流電圧を交流電圧に変換して、電気自動車又はハイブリッド自動車の電気モータを駆動する、インバータである。AC電圧は、多相AC電圧、特に、三相電圧であってもよい。
【0024】
有利には、少なくとも1つのスイッチングセルは、3つのスイッチングセルを有し、電気モータに三相交流電圧を供給し、電力コンバータは、3つのスイッチングセルのそれぞれのスイッチング周波数を調整することが3つのスイッチングセルの他のセルとは独立して実行される。これにより、少なくとも1つのスイッチングセルのそれぞれについて最適化された方法でスイッチング損失を低減することができる。
【0025】
本発明の他の態様は、電気モータと、DC電圧をAC電圧に変換して電気モータを駆動する前述のインバータと、を含む電気駆動装置である。
【0026】
本発明のさらなる態様は、車両を駆動するための電気駆動装置を備える車両である。この車両は、高電圧電源バッテリ、好ましくは、適切であるならば、インバータにDC電圧を供給するための充電式バッテリを備えることができる。
【0027】
本発明のこれら及び他の目的、特徴、態様並びに利点は、本発明の好ましい実施形態を開示する添付図面と併せて以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、以下の説明を読み、非限定的な例として与えられる添付の図面を参照することによって、よりよく理解され、以下において、同様の対象には同様の参照が付与されている。
【
図1】本発明の一態様によるインバータの一例の概略を示す回路図。
【
図2】本発明によるインバータを制御する方法の第1例のフローチャート。
【
図3】本発明によるインバータを制御する方法の第2例のフローチャート。
【
図4】本発明の一実施形態によるインバータの出力信号及びスイッチング周波数のそれぞれに関連する時間間隔の一例を示す概略図。
【
図5】本発明の別の実施形態によるインバータの出力信号及びスイッチング周波数のそれぞれに関連する時間間隔の一例を示す概略図。
【
図6】本発明によるインバータの制御ユニットの例の概略を示す回路図。
【
図7】本発明の一態様によるインバータを備える電気自動車又はハイブリッド自動車の概略を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の選択された実施形態について、図面を参照して説明する。本開示から当業者には明らかなように、本発明の実施形態に関する以下の説明は、例示のみを目的として提供されており、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される本発明を限定することを目的としていない。
【0030】
図7を参照すると、本発明の一態様は、車輪と、車両の少なくとも1つの車輪を、少なくとも間接的に駆動するように構成された電気駆動装置と、を備える電気自動車又はハイブリッド自動車 EV である。車両は、電気駆動装置に電力を供給する高電圧電源バッテリ B 、好ましくは充電式バッテリを備えていてもよい。
【0031】
本発明の別の態様は、電気モータ M と、高電圧電源バッテリ B からの直流(DC)電圧を交流(AC)電圧に変換して電気モータ M を駆動させるインバータ I と、を備える、電気駆動装置である。電気モータ M は、特に、三相電気モータであってもよい。これに関連して、インバータ I は、相互に120度の位相シフトを有する3つの出力電圧を生成する。
【0032】
本発明のさらなる態様は、インバータ I である。本発明は、前述の用途には限定されず、電源から負荷にAC電圧を供給する電力コンバータに適用することができる。インバータ I は、特に、電力段 PW と、電磁干渉(EMI)フィルタリング段 F と、中間回路コンデンサ C と、バスバーを形成する誘電体と、を備える。
【0033】
図1は、本発明に係るインバータ I の一例の概略回路図を示す。インバータ I は、電力段内の少なくとも1つのスイッチングセル 2 と、特に3つのスイッチングセルと、を備え、電源 Vin から電気モータ M を駆動するための三相AC電圧を供給するように制御される。3つのスイッチングセルのそれぞれは、三相の1つに関連付けられる。少なくとも1つのスイッチングセル 2 のそれぞれは、例えば、上部及び下部のスイッチング素子 K を有するハーフブリッジ構成で配置されてもよい。スイッチング素子 K は、例えば、IGBT又はMOSFETであってもよい。
【0034】
インバータ I はさらに、少なくとも1つのスイッチングセル 2 をスイッチング周波数 fs で制御して出力信号を伝達する制御ユニット 1 を備える。特に、スイッチング周波数 fs において、少なくとも1つのスイッチングセル 2 は、好ましくはパルス幅変調(PWM)を用いて制御され、それぞれのスイッチング素子の開状態と閉状態との間の時間比、所謂デューティ比は、可変である。PWM信号は、例えば、中央揃え(Center-Aligned)であってもよい。その目的でインバータ I は、PWM発生器 3 を有していてもよい。
【0035】
本発明の一態様によれば、本発明は、インバータを制御する方法に関する。本発明のこの態様に係る方法は、制御ユニット 1 を介してスイッチング周波数 fs を定期的に調整し、出力信号 Sout の周期 T 内においてスイッチング周波数 fs を変化させることを備える。出力信号 Sout は、好ましくは、インバータの出力電流、若しくは、出力電圧、出力電力、又は、それらの組み合わせである。出力電流を用いてスイッチング周波数を調整することの利点は、出力電流を測定するための追加手段が必要なく、電流設定値が直接利用できることにある。
【0036】
スイッチング周波数 fs はさらに、少なくとも2つのスイッチング周波数のセット 11 から選択され、この少なくとも2つのスイッチング周波数のセット 11 は、相互に異なる。換言すると、スイッチング周波数は、可能な離散的なスイッチング周波数から選択される。
【0037】
特に、スイッチング周波数は、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットの最低値が出力信号の高振幅範囲に対応し、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットの最高値が出力信号の低振幅範囲に対応するように選択される。少なくとも2つのスイッチング周波数のセットのスイッチング周波数は、特に、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットのスイッチング周波数が低いほど、出力信号の対応する振幅範囲が高くなるようにソートされて選択される。したがって、本発明は、出力信号の山と谷でスイッチング周波数を下げ、出力信号のゼロ交差付近でスイッチング周波数が上がるように、スイッチング周波数を調整することを可能にする。これにより、スイッチング素子のスイッチング損失及び/又は電流リップルを低減することが可能となる。
【0038】
より正確には、出力電流の山と谷に合わせてスイッチング周波数を調整することで、スイッチング損失を最適化することができる。同様に、出力電圧の山と谷に合わせてスイッチング周波数を調整することで、電流リップルを最適化することができる。
【0039】
さらに、本発明に係る方法は、制御ユニット及びスイッチング素子の動作条件に適合するインバータのスイッチングパターンの実装を容易にしながらも、スイッチング損失を低減することができる。例えば、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットのそれぞれは、スイッチング素子の最低及び最高許容周波数に対応すると有利である。さらに、本発明は、平均スイッチング周波数を出力信号の周期に亘って実質的に一定に保ち、動作条件を維持することを可能とする。例えば、平均スイッチング周波数は、プリセットできる。そして、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットの最低周波数は、所望の最低平均スイッチング周波数以下であってもよい。同様に、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットの最高周波数は、所望の最高平均スイッチング周波数以上であってもよい。
【0040】
簡単に言うと、本発明は、スイッチング損失及び電流リップルを最適化し、それによりインバータの寿命を延ばすように、スイッチング周波数の離散範囲間でスイッチング周波数を調整できるという本質的な利点を有する。
【0041】
例えば、少なくとも2つのスイッチング周波数のセット 11 は、第1スイッチング周波数 fs1 及び第2スイッチング周波数 fs2 を含み、第1スイッチング周波数 fs1 は、第2スイッチング周波数 fs2 よりも低い。2つのスイッチング周波数を用いると、スイッチング損失を低減しながら、出力信号の周期に亘るスイッチング周波数の変更回数を制限することができる。
【0042】
別の好ましい例として、少なくとも2つのスイッチング周波数のセット 11 は、上記の例による第1スイッチング周波数 fs1 及び第2スイッチング周波数 fs2 を含み、さらに第3スイッチング周波数 fs3 を含み、第2スイッチング周波数 fs2 は、第3スイッチング周波数 fs3 よりも低い。本発明は、3つのスイッチング周波数に限定されず、より多くのスイッチング周波数を考慮することができることに留意されたい。スイッチング周波数の数の選択は、出力信号の周期に亘ってスイッチング周波数をあまり頻繁に変更する必要がないことと、スイッチング損失及び/又は電流リップルを低減することとの間の折り合いから行うことができる。
【0043】
さらに、少なくとも2つのスイッチング周波数のセット 11 のそれぞれは、基本スイッチング周波数 fsb の倍数であることが望ましい。これにより、特に、整数の乗算等の単純で安価な演算を設定することが可能となり、方法の実装が容易となる。特に、基本スイッチング周波数は、ハードウェア、音響、熱及び制御速度の制約に従って有利に設定される。
【0044】
例えば、第1スイッチング周波数 fs1 は、基本スイッチング周波数 fsb に等しく、第2スイッチング周波数 fs2 は、基本スイッチング周波数 fsb の2倍であり、第3スイッチング周波数 fs3 は、基本スイッチング周波数 fsb の4倍である。例えば、第1スイッチング周波数、第2スイッチング周波数及び第3スイッチング周波数は、それぞれ、4kHz、8kHz及び16kHzである。
【0045】
別の例として、第1スイッチング周波数 fs1 は、基本スイッチング周波数 fsb に等しく、第2スイッチング周波数 fs2 は、基本スイッチング周波数 fsb の2倍であり、第3スイッチング周波数 fs3 は、基本スイッチング周波数 fsb の3倍である。
【0046】
さらに、3つのスイッチングセルのそれぞれのスイッチング周波数 fs を調整するステップ S1 は、3つのスイッチングセルの他のものとは独立して実行することができる。これにより、少なくとも1つのスイッチングセルのそれぞれについてスイッチング損失の最適化された低減が可能となる。ただし、スイッチング周波数は、例えば、タスク同期、又は、雑音及び振動の管理の目的で、3つのスイッチングセル間で調整することができる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、
図4は、出力信号 Sout と、少なくとも1つのスイッチングセル 2 のうち1つが対応するスイッチング周波数で制御される時間間隔と、の図を開示する。ここでは、スイッチング周波数が3つの場合を示している。本発明のこの実施形態によれば、スイッチング周波数 fs を調整すること S1 は、制御ユニット 1 を介して周期的に実行される。少なくとも2つのスイッチング周波数のセット 11 のそれぞれのスイッチング周波数は、関連するプリセット時間間隔 ti を有し、制御ユニット 1 は、それぞれのスイッチング周波数で関連するプリセット時間間隔 ti の間、少なくとも1つのスイッチングセル 2 を連続的に制御するように構成される。
図4の例示では、それぞれのスイッチング周波数 fs1 、 fs2 及び fs3 は、それぞれ、関連するプリセット時間間隔 t1 、 t2 及び t3 を有する。本発明のこの実施形態は、スイッチング周波数の調整が事前に設定されているため、制御ユニット 1 を介して容易に実施できるという利点を有する。
【0048】
本発明の別の実施形態によれば、スイッチング周波数の調整は、例えば、PWM発生器 3 のそれぞれの変調器サイクルの後、又は、出力信号の測定後にイベントドリブンで制御される。これにより、スイッチング周波数の調整がいつ適切であるかを効果的に監視することができる。
【0049】
図5は、出力信号 Sout と、本発明のこの実施形態に係る少なくとも1つのスイッチングセル 2 のうち1つが対応するスイッチング周波数で制御される時間間隔との図を開示する。ここでは、3つのスイッチング周波数を有する特殊なケースを示す。
図6は、本発明のこの実施形態に係る制御ユニット 1 を開示する。次に、
図2及び
図3に示すように、方法は、次の一連の処理、
-制御ユニット 1 による出力信号 Sout の定期的な受信をすること S01 と、
-出力信号 Soutの代表値 RV と、少なくとも1つのしきい値 12 と、の間の比較に基づいて、制御ユニット 1 を介してスイッチング周波数 fs を調整すること S1 、又は、維持すること S1‘ と、
を備える。
【0050】
したがって、この実施形態では、スイッチング周波数が出力信号にしたがって直接調整され、スイッチング損失のさらなる最適化が可能となる。
【0051】
次に、制御ユニットはさらに、
図6に示すようにスイッチング周波数 fs の現在値を調整する S1 か、維持する S1‘ かを決定するために、代表値 RV と、少なくとも1つのしきい値 12 とを比較する S02 比較器 13 を備えることができる。
【0052】
有利には、スイッチング周波数 fs を調整する S1 か、維持するか S1’ の決定は、制御ユニット 1 を介して周期的に、好ましくは必要に応じて、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットの中間スイッチング周波数で実行される。
【0053】
さらに、少なくとも1つのしきい値 12 と比較される代表値 RV は、例えば、生起された出力電流の絶対値、すなわち、電流設定値ベクトルのサイズに対する相電流設定値の絶対値の比とすることができる。次に、少なくとも1つのしきい値 12 のそれぞれを、あらかじめ設定されたパーセンテージに等しく設定することができる。ただし、代表値 RV として他のパラメータを使用することもできる。
【0054】
この方法はさらに、
図6に示すように、インバータのレギュレータ回路 14 を介して少なくとも1つのしきい値 12 を動的に調整することができる。少なくとも1つのしきい値 12 は、好ましくは、少なくとも1つのスイッチングセル 2 の平均スイッチング周波数 fsa が出力信号 Sout の周期 T に亘って本質的に一定に維持されるように調整される。これは、平均スイッチング周波数に対する制限を容易に強化できることを意味する。
【0055】
少なくとも1つのしきい値 12 を調整することによって、特に、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットの最低スイッチング周波数と最高スイッチング周波数との間で、平均スイッチング周波数の広範囲の値を得ることができることに留意されたい。
【0056】
制御ユニット 1 はさらに、それぞれの相のカウンタと、スイッチング周波数制御器と、を備えてもよい。それぞれのスイッチング周波数の調整ステップの後、カウンタは、対応するスイッチング周波数の時間間隔中のスイッチングイベントの数だけインクリメントされる。次に、スイッチングイベントの数は、スイッチング周波数制御器によって周期的にチェックされ、カウントされたスイッチングイベントの数と所望の平均スイッチング周波数との間の適切性がチェックされ、その結果、所望の平均スイッチング周波数を達成するために少なくとも1つのしきい値が調整される。
【0057】
さらに、少なくとも1つのしきい値 12 の調整は、電力段全体に対して、又は、他のスイッチングセルとは独立してそれぞれのスイッチングセルに対して、実行することができる。
【0058】
図2は、上述した本発明の実施形態による方法の第1例を開示する。この例では、少なくとも1つのしきい値 12 は、第1しきい値 A を有する。そして、この方法は、
-代表値 RV が第1しきい値 A 以上になった場合に、スイッチング周波数 fs を第1スイッチング周波数 fs1 に調整すること S11 と、
-代表値 RV が第1しきい値 A 未満になった場合に、スイッチング周波数 fs を第2スイッチング周波数 fs2 に調整すること S12 と、
を含む。
【0059】
図3は、本発明の前述の実施形態に係る方法の第2例を開示する。この例では、少なくとも1つのしきい値 12 は、第1しきい値 A と、第1しきい値 A より高い第2しきい値 B と、を備える。そして、この方法は、
-代表値 RV が第2しきい値 B 以上になった場合に、スイッチング周波数 fs を第1スイッチング周波数 fs1 に調整すること S11’ と、
-代表値 RV が第1しきい値 A 以上かつ第2しきい値 B 未満になった場合に、スイッチング周波数 fs を第2スイッチング周波数 fs2 に調整すること S12’ と、
-代表値 RV が第1しきい値 A 未満になった場合に、スイッチング周波数 fs を第3スイッチング周波数 fs3 に調整すること S13’ と、
を含む。
【0060】
第2例では、上記のように、第1スイッチング周波数 fs1 、第2スイッチング周波数 fs2 及び第3スイッチング周波数 fs3 は、それぞれ、4kHz、8kHz及び16kHzであってもよい。そして、スイッチング周波数 fs を調整する S1 か、維持する S1’ かの決定を、周期的に、特に、8kHzの周波数で実行してもよい。
【0061】
このような場合、最低スイッチング周波数、ここでは4kHzに対応する第1スイッチング周波数 fs1 で制御される位相は、次の決定までの半サイクル動作するか、次の決定後の次のサイクルでleft alignedのPWMを使用するかのいずれかで動作することができる。第2スイッチング周波数 fs2 、ここでは8kHzで制御される位相は、次の決定の前に1サイクル動作する。第3スイッチング周波数 fs3 、ここでは16kHzで制御される位相は、次の決定の前に2サイクル動作する。
【0062】
いずれの例においても、出力信号の値が高くなるほどスイッチング周波数が低くなるように、スイッチング周波数が徐々に調整される。したがって、出力電流である出力信号については、スイッチング損失が有利に低減される。その結果、インバータの寿命が延びる。ただし、インバータの他の側面を最適化する必要がある場合は、別の出力信号を使用してスイッチング周波数を調整することができる。
【0063】
さらに、本方法はさらに、可変周波数モードに対応する他の期間において可変スイッチング周波数でインバータを制御することに加えて、固定周波数モードに対応する一部の期間において固定スイッチング周波数でインバータを制御することを備えていてもよい。したがって、インバータは、特定の動作に対して固定スイッチング周波数で有利に制御できる。可変周波数モードは、本発明の前述の特徴及び実施形態のいずれかにしたがって実行されうる。このような方法の実装を容易にするために、固定スイッチング周波数は、少なくとも2つのスイッチング周波数のセットのうち1つであってもよい。3つの可能なスイッチング周波数がある場合、固定スイッチング周波数は、好ましくは、3つの可能なスイッチング周波数の平均スイッチング周波数に対応していてもよい。
【0064】
そして、スイッチングパターンを調整することで、固定周波数モードと可変周波数モードとの間のスムーズな移行を達成することができる。例えば、少なくとも1つのしきい値がスイッチング周波数の調整をトリガするために使用される実施形態では、少なくとも1つのしきい値は、遷移をなめらかにするために出力信号の複数の周期に亘って徐々に調整されうる。スムーズな移行には、突然の音響や振動の変化を防ぐという利点がある。
【0065】
多数の例示としての実施形態を参照して実施形態を説明したが、当業者であれば、本開示の範囲及び原理に含まれる他の修正及び実施形態を導き出すことができることが理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスイッチングセル(2)、及び、前記少なくとも1つのスイッチングセル(2)をスイッチング周波数(fs)で制御して出力信号を伝達する制御ユニット(1)、を有する電力コンバータ(I)を制御する方法であって、
前記制御ユニット(1)を介して定期的に前記スイッチング周波数(fs)を調整して(S1)、前記スイッチング周波数(fs)を前記出力信号(Sout)の周期(T)内で変化させ、前記スイッチング周波数(fs)は、少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)から選択される、
方法。
【請求項2】
前記制御ユニット(1)を介して前記スイッチング周波数(fs)を調整すること(S1)は、周期的に実行され、
前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)のそれぞれのスイッチング周波数は、関連付けられたプリセットされた時間間隔tiを有し、前記制御ユニット(1)が前記関連付けられたプリセットされた時間間隔tiについて前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)のそれぞれのスイッチング周波数で連続的に前記少なくとも1つのスイッチングセル(2)を制御する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御ユニット(1)によって前記出力信号(Sout)を定期的に受信し(S01)、
前記制御ユニット(1)を介して前記スイッチング周波数(fs)を、前記出力信号(Sout)の代表値(RV)と少なくとも1つのしきい値(12)との比較に基づいて、調整し(S1)、又は、維持する(S1’)、
連続したステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)は、第1スイッチング周波数(fs1)及び第2スイッチング周波数(fs2)を備え、
前記第1スイッチング周波数(fs1)は、前記第2スイッチング周波数(fs2)よりも低い、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのしきい値(12)は、第1しきい値(A)を有し、
前記代表値(RV)が前記第1しきい値(A)以上になる場合に、前記スイッチング周波数(fs)を前記第1スイッチング周波数(fs1)に調整し(S11)、
前記代表値(RV)が前記第1しきい値(A)未満になる場合に、前記スイッチング周波数(fs)を前記第2スイッチング周波数(fs2)に調整する(S12)、
請求項3を引用する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)はさらに、第3スイッチング周波数(fs3)を備え、
前記第2スイッチング周波数(fs2)は、前記第3スイッチング周波数(fs3)よりも低い、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのしきい値(12)は、第1しきい値(A)及び前記第1しきい値(A)よりも大きい第2しきい値(B)を有し、
前記代表値(RV)が前記第2しきい値(B)以上になる場合に、前記スイッチング周波数(fs)を前記第1スイッチング周波数(fs1)に調整し(S11’)、
前記代表値(RV)が前記第1しきい値(A)以上かつ前記第2しきい値(B)未満になる場合に、前記スイッチング周波数(fs)を前記第2スイッチング周波数(fs2)に調整し(S12’)、
前記代表値(RV)が前記第1しきい値(A)未満になる場合に、前記スイッチング周波数(fs)を前記第3スイッチング周波数(fs3)に調整する、
請求項3を引用する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)のそれぞれは、基本スイッチング周波数の倍数である、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)のそれぞれは、基本スイッチング周波数の倍数であり、
前記第1スイッチング周波数(fs1)は、前記基本スイッチング周波数と同じであり、
前記第2スイッチング周波数(fs2)は、前記基本スイッチング周波数の2倍であり、
前記第3スイッチング周波数(fs3)は、前記基本スイッチング周波数の4倍である、
請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)のそれぞれは、基本スイッチング周波数の倍数であり、
前記制御ユニット(1)を介して前記スイッチング周波数(fs)を調整すること(S1)、又は、維持すること(S1’)は、前記少なくとも2つのスイッチング周波数のセット(11)の中間のスイッチング周波数(fs)で周期的に実行される、
請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記出力信号(Sout)は、前記電力コンバータ(I)の出力電流である、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記電力コンバータ(I)のレギュレータ回路(14)を介して前記少なくとも1つのしきい値(12)を動的に調整し、前記出力信号(Sout)の前記周期(T)に亘って前記少なくとも1つのスイッチングセル(2)の平均スイッチング周波数を一定に保つ、
ことを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つのスイッチングセル(2)と、
少なくとも1つの前記スイッチングセル(2)を請求項1に記載の方法で制御する、制御ユニット(1)と、
を備える、電力コンバータ(I)。
【請求項14】
高電圧電源バッテリ(B)から出力される直流電圧を交流電圧に変換して電気モータ(M)を駆動する、インバータである、
請求項13に記載の電力コンバータ(I)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのスイッチングセル(2)は、3つのスイッチングセルを有し、前記電気モータ(M)に三相交流電圧を供給し、
前記3つのスイッチングセルのそれぞれの前記スイッチング周波数(fs)を調整する(S1)ことは、前記3つのスイッチングセルの他のセルとは独立して実行される、
請求項14に記載の電力コンバータ(I)。
【国際調査報告】