(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】胸部X線撮像における肩甲骨ポジショニングの支援
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20241114BHJP
【FI】
A61B6/00 520M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527551
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2022080931
(87)【国際公開番号】W WO2023088710
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】クローンケ ヒル スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ビストロフ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベルグソルド マルティン
(72)【発明者】
【氏名】メンサー ベルンド
(72)【発明者】
【氏名】セネガス ユリアン トーマス
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA17
4C093CA35
4C093DA03
4C093EE16
(57)【要約】
本発明は、胸部X線撮像における肩甲骨のポジショニングを支援することに関する。胸部X線撮像における被検体のポジショニングを支援するシステム及び関連する方法が提供され、前記システムは、光学的検出装置110と、ユーザインタフェース130と、光学的検出装置110及びユーザインタフェース130に接続されるプロセッサ120と、を有する。それによって、プロセッサ120は、被検体Sの背面ビューの光学画像信号を受信するステップと、前記光学画像信号に基づいて被検体Sの肩甲骨の現在のポジショニングを決定するステップであって、肩甲骨の現在のポジショニングは、撮像される被検体の肺野と当該肩甲骨がオーバラップするか否か、及び/又はどの程度オーバラップするかに関して評価される、ステップと、肩甲骨の決定された現在のポジショニングに基づいて、被検体S及び/又はその肩甲骨をポジショニングするためのフィードバックを決定するステップと、を実行するように構成される。ユーザインタフェース130は、被検体をポジショニングするためのフィードバックを提供するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸部X線撮像における被検体のポジショニングを支援するためのコンピュータ実現方法であって、
被検体の背面ビューの光学画像信号を受信するステップと、
前記光学画像信号に基づいて、前記被検体の肩甲骨の現在のポジショニングを決定するステップであって、前記肩甲骨の現在のポジショニングは、撮像される前記被検体の肺野と前記肩甲骨がオーバラップするか否か、及び/又はどの程度オーバラップするか、について評価される、ステップと、
決定された前記肩甲骨の前記現在のポジショニングに基づいて、前記被検体及び/又は前記肩甲骨をポジショニングするためのフィードバックを決定するステップと、
前記被検体をポジショニングするためのフィードバックを提供するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記肩甲骨の前記現在のポジショニングを決定する前記ステップは、前記光学画像信号から、前記肩甲骨の前記現在のポジショニングを示す前記被検体の腕及び/又は手首のポジショニングを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被検体上の又は前記被検体のランドマークの組が、前記肩甲骨の前記現在のポジショニングを評価するために前記光学画像信号から導出される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記肩甲骨の前記現在のポジショニングを示す幾何学的関係が、前記ランドマークの組から決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記被検体の1つ又は複数の体肢にまたがる平面が、前記ランドマークの組から決定され、前記決定された平面が目標値と比較されることで、前記肩甲骨の前記現在のポジショニングが導出される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記被検体の腕とその胴体及び/又はその身体中心及び/又はX線撮像デバイスの検出器平面との間の少なくとも1つの角度が、前記ランドマークの組から決定され、前記少なくとも1つの決定された角度が目標値と比較されることで、前記肩甲骨の前記現在のポジショニングが導出される、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ランドマークの組は、前記被検体の両側、又は、前記被検体の両側の肩甲骨について決定され、両側の対称性及び/又は合同性が、前記肩甲骨の前記現在のポジショニングを評価するために決定される、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記肩甲骨の前記現在のポジショニングを評価するために、前記被検体の1つ又は複数の輪郭及び/又は前記被検体の1つ又は複数の表面特性が少なくとも前記光学画像信号から導出される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記光学画像信号が、注釈付き訓練データに対して訓練された分類器又はモデルから受信され、前記分類器又はモデルが、少なくとも前記光学画像信号に基づいて、前記肩甲骨の前記現在のポジショニングを決定する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
深さ情報データが、前記被検体の前記背面ビューの前記光学画像信号を取得するために使用される光学検出装置の深さチャネルから受信される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
深さ情報データが、少なくとも前記光学画像信号に基づいて3D深さマップから直接受信される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記被検体の背面ビューの前記光学画像信号を取得するために使用されるステレオ光学検出装置に基づいて、深さ情報データが決定される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記フィードバックが、前記肩甲骨の前記現在のポジショニングに基づいて画像取得を制御し及び/又は防止するように構成されるトリガ信号を有し又は形成する、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
胸部X線撮像における被検体のポジショニングを支援するシステムであって、
光学検出装置と、
ユーザインタフェースと、
前記光学検出装置及び前記ユーザインタフェースに接続されるプロセッサと、
を有し、前記プロセッサが、
前記被検体の背面ビューの光学画像信号を受信するステップと、
前記光学画像信号に基づいて、前記被検体の肩甲骨の現在のポジショニングを決定するステップであって、前記肩甲骨の前記現在のポジショニングは、撮像される前記被検体の肺野と当該肩甲骨がオーバラップするか否か、及び/又はどの程度オーバラップするか、について評価される、ステップと、
前記肩甲骨の決定された前記現在のポジショニングに基づいて、前記被検体及び/又はその肩甲骨をポジショニングするためのフィードバックを決定するステップと、
を実行するように構成され、前記ユーザインタフェースが、前記被検体をポジショニングするための前記フィードバックを提供する、システム。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、プロセッサによって実行される場合に、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法を実行する及び/又は請求項14に記載のシステムを制御するように構成されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用撮像に関し、特に、胸部X線撮像において被検体のポジショニングを支援するためのコンピュータ実現方法、胸部X線撮像において被検体のポジショニングを支援するシステム、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばX線撮像のような医用撮像において、診断品質のX線画像を達成するために、適切な被検体のポジショニングが重要であると見なすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
胸部X線撮像の場合、肩甲骨は、肺野の外側に回転されなければならず、なぜならば、そのように回転されない場合には肺野の重要な部分が部分的に遮られることがあり、画像の読影を困難にするからである。
【0004】
肩甲骨のポジショニングが肺野の遮蔽又は肺野とのオーバラップをもたらす場合、画像取得を繰り返す必要がありえ、これは時間の浪費であり、X線撮像装置のより長い占有を引き起こし、患者に対するより高い放射線量をもたらす。それによって、要求される被検体の姿勢は、その姿勢を取るのが容易ではなくかなり厄介であり、そのため、オペレータによる詳細な指示が、適切な肩甲骨のポジショニングを達成するために必要とされる。更に、時間的プレッシャ及び経験の欠如は、X線画像の診断品質を低下させる不適切な被検体のポジショニングをもたらす可能性がある。
【0005】
したがって、肩甲骨が所望のポジショニングにある状態で医用画像を取得することを可能にするやり方で、被検体のポジショニングを少なくとも支援する改善された手段が必要とされうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、独立請求項の主題により解決され、他の実施形態が従属請求項に組み込まれる。
【0007】
第1の態様によれば、胸部X線撮像における被検体のポジショニングを支援するためのコンピュータ実現方法が提供される。本方法は、被検体の背面ビューの光学画像信号を受信するステップと、光学画像信号に基づいて被検体の肩甲骨の現在のポジショニングを決定するステップであって、前記肩甲骨の現在のポジショニングは、肩甲骨が撮像される被検体の肺野とオーバラップするか否か、及び/又はどの程度オーバラップするかに関して評価される、ステップと、を有する。更に、本方法は、肩甲骨の決定された現在のポジショニングに基づいて、被検体及び/又はその肩甲骨をポジショニングするためのフィードバックを決定するステップと、被検体をポジショニングするためのフィードバックを提供するステップとを有する。
【0008】
このようにして、被検体の要求されるポジショニング及び/又はその肩甲骨の要求されるポジショニングは、そのポジショニングを取るのがかなり厄介でありかつ容易ではないが、良好な肩甲骨のポジショニングを達成するために自動的に適切な指示を決定するとともに、かかる指示を例えばX線撮影技師のようなオペレータに提供することによって、自動的に支援されることができる。更に、上記の方法は、例えばカメラ等からの光学画像信号が使用されるので、放射線なしで実施される、それにより、被検体に対する放射線量が制限され、又は更には低減されることができる。
【0009】
言い換えれば、胸部撮像において、肩甲骨は肺野の外側に回転されることが望ましく、なぜならば、そのように回転されない場合には肺野の重要な部分がマスクされ、部分的に遮られることがあるからであり、上記方法は、撮像品質に対するポジショニングの影響に関して、肩甲骨のポジショニングを評価し、改善することを可能にする。
【0010】
本明細書で使用されるとき、被検体の背面ビュー又はその光学画像は、胸部及び肩甲骨の高さにおける被検体の背中の画像として理解されることができる。それによって、光学画像は、放射線なしで撮影された画像としてX線画像と区別して理解することができ、光学画像は、実際のX線撮像に使用されるX線装置、例えばそのX線管の焦点に対する既知の相対位置を有する、光学カメラ、深さ分解カメラなどの光学検出装置によって取得されることができる。
【0011】
深さ情報は、例えば、被検体のから光学検出装置及び/又はX線装置までの距離に関するピクセル単位の情報として理解されることができる。深さ情報は更に、深さマップを含むことができる。例えば、被検体の隆起、陥没、平坦化などが、これから認識されることができる。
【0012】
例えばディスプレイ等を介してグラフィカルに、又は例えばラウドスピーカ、ヘッドフォン等を介してオーディオにより、出力されることができるフィードバックは、少なくとも十分なやり方で、ポジショニングが既に正しいことを示すことができる。すなわち、フィードバックは、正しいポジショニングを確認することができる。しかしながら、現在のポジショニングと所望の目標ポジショニングとの間にずれがある場合、フィードバックは、被検体及び/又は肩甲骨のポジショニングが、目標のポジショニング又は所望のポジショニングに従うようにどのように変更されるべきかを示すことができ、かかる目標ポジショニング又は所望のポジショニングでは、撮像される被検体の肺野を覆わない又はオーバラップしない。
【0013】
本明細書で使用される場合、光学画像信号は、被検体の身体の胴体及び/又は中心に対する肩甲骨の外側への回転を示すことができる。それによって、十分な外側への回転で、肺野の良好な視覚化を達成することができる。
【0014】
一実施形態では、肩甲骨の現在のポジショニングを決定することは、光学画像信号から、肩甲骨の現在のポジショニングを示す被検体の腕及び/又は手首のポジショニングを決定することを含むことができる。例えば、被検体が受ける検査は、手首が被検体の臀部及び/又は背中にあると仮定することができる。上記の方法は、測定された光学画像信号、例えばカメラ信号からこれを自動的にチェックすることを可能にし、フィードバック及び/又は警告が、必要に応じてオペレータに通信されることができる。更に、すべての場合ではないが、被検体は、例えば、物理的な制約のために、被検体にとって常に可能であるとは限らないので、臀部及び/又は背中に手首を配置するように求められる。したがって、患者は、例えばX線撮像装置、例えば検出器に取り付けられたハンドホールドを使用するように求められることも考えられる。この場合、手首を検出する代わりに、例えば被検体の前腕を検出し、肩甲骨の位置を決定するために使用することができる。
【0015】
一実施形態によれば、被検体上又は被検体のランドマークの組が、肩甲骨の現在のポジショニングを評価するために、光学画像信号から導出されることができる。例えば、肩甲骨の位置を示すランドマークの組は、例えばディープコンボリューションニューラルネットワークを介して、光学画像信号内で又は光学画像信号から、自動的に検出されることもできる。ランドマークが光学検出装置のRGBチャネル上でのみ検出される場合、3D空間におけるそれらの対応する位置は、深さチャネルから推測されることができ、あるいは、ステレオ、すなわち、マルチビューカメラ装置を使用して評価されることもできる。更に、訓練されたニューラルネットワークを使用して、単一のRGBカメラから評価される距離を計算することも可能でありうる。例として、検出されたランドマークの組が与えられると、それらのコンステレーションは、肩甲骨のポジショニングに関する良好な品質のX線画像のために、分析され、所望のコンステレーションと比較されることができる。これは、例えば、被検体の左側及び右側の肩、肘、及び手首上のランドマークによってスパンされる、又は背中上のランドマークによってスパンされる平面を導出することによって、及び/又はアンギュレーション角度を計算し、臨床研究などから得ることができる良好な肩甲骨のポジショニングを達成するための閾値とこれらの角度を比較することによって達成されることができる。このようにして、肩甲骨のポジショニングは、放射線を使用することなく、単純な方法でかつ高い精度で、決定されることができる。
【0016】
一実施形態では、肩甲骨の現在のポジショニングを示す幾何学的関係が、ランドマークの組から決定されることができる。例えば、幾何学的関係は、肩甲骨のポジショニングに関する良好な品質の所望のコンステレーションを示すことができる。例として、ランドマークの組のコンステレーションは、ランドマークを例えば三角形にグループ化し、アンギュレーション角度を計算し、それらを、例えば肩甲骨を完全に肺野の外側に回転させるための以前に学習された閾値角度と比較することによって評価されることができる。このようにして、肩甲骨のポジショニングは、単純な方法で、かつ高い精度で、放射線を使用せずに決定することができる。
【0017】
一実施形態によれば、被検体の1つ又は複数の体肢にまたがる平面は、ランドマークの組から決定されることができ、決定された平面が目標値と比較されることにより、肩甲骨の現在のポジショニングを導出されることができる。例えば、平面、又は複数の平面は、背中のランドマークによってスパンされることができ、及び/又は肩のランドマークによってスパンされることができ、及び/又は被検体の肘及び手首によってスパンされることができる。このようにして、肩甲骨のポジショニングは、単純な方法で、かつ高い精度で、放射線を使用せずに決定することができる。
【0018】
一実施形態では、被検体の腕と、その胴体及び/又はその身体中心、及び/又は胸部X線撮像に使用されるX線撮像装置検出器との間の少なくとも1つの角度が、ランドマークの組から決定され、少なくとも1つの決定された角度が目標値と比較されることで、肩甲骨の現在のポジショニングが導出される。例えば、アンギュレーション角度は、計算され、臨床研究などから取得されることができる良好な肩甲骨ポジショニングを達成するための閾値と比較されることができる。このようにして、肩甲骨のポジショニングは、放射線を使用することなく、単純な方法でかつ高い精度で決定されることができる。
【0019】
一実施形態によれば、平面及び/又は角度は、被検体の両側、すなわち、両方の肩甲骨について決定されることができ、両側の対称性及び/又は合同性が、肩甲骨の現在のポジショニングを導出するために決定される。このようにして、肩甲骨のポジショニングは、放射線を使用することなく、単純な方法でかつ高い精度で決定されることができる。
【0020】
一実施形態では、被検体の1つ又は複数の輪郭及び/又は被検体の1つ又は複数の表面特性が、肩甲骨の現在のポジショニングを評価するために、少なくとも光学画像信号から導出されることができる。例えば、ランドマークを検出及び/又は決定することに代えて、又はそれに加えて、肩甲骨のポジショニングを予測する他の特徴が自動的に検出及び評価されることができる。これらの特徴は、輪郭、例えば輪郭の部分、又は被検体の表面特性、例えば曲率を含むことができる。このようにして、肩甲骨のポジショニングは、放射線を使用することなく、単純な方法でかつ高い精度で決定されることができる。
【0021】
一実施形態によれば、フィードバックは、肩甲骨のポジショニングに基づいて、画像取得を制御する及び/又は防止するように構成されたトリガ信号を含む又は形成することができる。例えば、本方法は、X線撮像装置の取得システムにおいて実現されることができ、又はX線撮像装置の取得システムに接続されることができ、これにより、例えば、オペレータが取得室を離れた後など、取得の直前に被検体が肩甲骨を動かした場合に、オペレータに警告が伝達される。更に、本方法は、そのような潜在的な品質問題が検出された場合に、取得リリースボタンをディスエーブルすることを可能にすることができる。このようにして、肩甲骨のポジショニングに基づいてX線画像取得を制御することができる。
【0022】
一実施形態では、光学画像信号は、注釈付き訓練データに対して訓練された分類器及び/又はモデルによって受信されることができ、この場合、分類器は、少なくとも光学画像信号に基づいて、肩甲骨の現在のポジショニングを決定する。例えば、光学画像信号は、RGBカメラ、RGB-Dカメラ、すなわち深さ分解カメラ、ステレオカメラ装置などでありうる光学検出装置によって取得され、供給されることができる。分類器及び/又はモデルは、光学画像信号を、肩甲骨オーバラップの予測にマッピングするように構成されることができ、かかる分類器及び/又はモデルは、十分な、例えば注釈付きの光学画像信号-目標ポジショニングデータ又はペアに対して訓練されたものでありうる。このようにして、いくつかのカメラ装置を使用して、光学画像信号を供給することができる。
【0023】
一実施形態によれば、深さ情報データは、被検体の背面ビューの光学画像信号を取得するために使用される光学検出装置の深さチャネルから受信されることができる。例えば、深さ情報は、X線管の焦点に対する既知の相対位置を有する深さ分解カメラから受信されることができ、かかるカメラは、例えば、X線管ヘッド等に取り付けられることができる。
【0024】
一実施形態では、深さ情報データは、少なくとも光学画像信号に基づいて3D深さマップから直接受信されることができる。例えば、最初にランドマーク、輪郭などの特徴を検出し、次いでそれらを評価する2ステップアプローチを使用する代わりに、エンドツーエンドの方法で訓練された単一のフォワードモデルが使用されることもできる。
【0025】
一実施形態によれば、深さ情報データは、被検体の背面ビューの光学画像信号を取得するために使用されるステレオ光学検出装置に基づいて決定されることができる。
【0026】
一実施形態によれば、深さ情報データは、注釈付き訓練データに対して訓練された分類器から受信されることができ、かかる分類器は、少なくとも光学画像信号に基づいて肩甲骨の現在のポジショニングを決定する。例えば、光学画像信号及び/又は深さ情報データから導出された、又は光学画像信号及び/又は深さ情報データにおいて検出された特徴は、注釈付きデータに対して訓練された分類器、例えばニューラルネットワークに供給されることができる。更に、分類器は、BMI、被検体の厚さ、又は被検体の体肢の割合などのさらなる要因を考慮に入れるように構成され及び/又は訓練されることもできる。このようにして、肩甲骨のポジショニングは、単純な方法で、かつ高い精度で、放射線を使用することなく決定されることができる。
【0027】
第2の態様によれば、胸部X線撮像における被検体のポジショニングを支援するシステムが提供される。システムは、第1の態様による方法を実行するように構成されることができる。システムは、光学的検出装置と、ユーザインタフェースと、光学的検出装置及びユーザインタフェースに接続されたプロセッサとを有する。それによって、プロセッサは、被検体の背面ビューの光学画像信号を受信するステップと、光学画像信号に基づいて被検体の肩甲骨の現在のポジショニングを決定するステップであって、肩甲骨の現在のポジショニングが、それが撮像される被検体の肺野とオーバラップするか又はオーバラップしないか、及び/又はそのオーバラップの程度に関して評価されるステップと、肩甲骨の決定された現在のポジショニングに基づいて、被検体及び/又はその肩甲骨をポジショニングするためのフィードバックを決定するように構成される。更に、ユーザインタフェースは、被検体をポジショニングするためのフィードバックを提供するように構成される。
【0028】
このようにして、必要とされる被検体のポジショニング及び/又はその肩甲骨のポジショニングは、そのポジショニングを取るのがかなり厄介でありかつ容易ではないが、良好な肩甲骨のポジショニングを達成するために自動的に適切な指示を決定するとともに、かかる指示を例えばX線撮影技師のようなオペレータに提供することによって、自動的に支援されることができる。
【0029】
例えば、光学検出装置は、X線撮像に使用されるX線撮像装置の焦点に対して既知の相対位置に取り付けることができる。例として、光学検出装置は、例えばRGBカメラのような単一のカメラ、深さチャネルを有するRGBカメラのような深さ分解カメラ、飛行時間光学検出装置、ステレオカメラ装置などでありうる。
【0030】
プロセッサは、分類器又はモデルを利用して、光学画像信号から肩甲骨のポジショニングを決定(例えば予測)することができる。任意には、分類器又はモデルは、光学検出装置の深さチャネルによって、又はステレオカメラ装置などによって、提供されることができる深さ情報データを更に考慮するように構成されることができる。
【0031】
一実施形態では、例えば、肩甲骨のポジショニングが目標のポジショニングを満たさない、又は目標のポジショニングに合致しない場合、取得リリースボタンをディスエーブルするためのシステムが、X線撮像装置に統合され又は接続されることができる。
【0032】
第3の態様によれば、プロセッサによって実行される場合に、第1の態様の方法を実行するように、及び/又は第2の態様によるシステムを制御するように構成されたコンピュータプログラムが提供される。
【0033】
第4の態様によれば、第3の態様によるコンピュータプログラムを記憶し又は伝達するコンピュータ可読記憶又は伝送媒体が提供される。
【0034】
上記の実施形態は、関与する態様にかかわらず、互いに組み合わせられることができることに留意されたい。したがって、方法は、他の態様の装置及び/又はシステムの構造的特徴と組み合わされることができ、同様に、装置及びシステムは、互いの特徴と組み合わされることができ、方法に関連して上述した特徴と組み合わされることができる。
【0035】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それらを参照して説明される。
【0036】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】一実施形態による、胸部X線撮像における被検体のポジショニングを支援するシステムを示す概略ブロック図。
【
図2A】一実施形態による、肩甲骨ポジショニングの決定を概略的に示す図。
【
図2B】一実施形態による、肩甲骨ポジショニングの決定を概略的に示す図。
【
図3】一実施形態による、胸部X線撮像における被検体のポジショニングを支援する方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、胸部X線画像における被検体Sのポジショニングを支援するように構成されたシステム100を概略ブロック図で示し、X線画像は、放射線源210、例えばX線管、及び検出器220を有するX線装置を利用することができる。システム100は、光学検出装置110と、プロセッサ120と、ユーザインタフェース130とを備える。
【0039】
光学検出装置110は、光学画像信号において被検体Sの背面ビューを撮像するように構成されている。これは、例えば、単一のRGBカメラ、深さ分解カメラ、RGB-Dカメラ、飛行時間光学検出装置、ステレオカメラセットアップなどのような異なる形態で実施することができる。光学検出装置110は、X線管の焦点に対する既知の相対位置を有して配置されることができ、例えば、放射線源210上に取り付けられることができる。
【0040】
プロセッサ120は、光学検出装置110及びユーザインタフェース130に接続される。プロセッサ120は、光学検出装置110から受信された光学画像信号を処理するのに適したコンピュータプログラムを記憶するランダムアクセスメモリするように構成される。更に、プロセッサ120は、例えば光学画像信号-肩甲骨ポジショニング対に基づいて訓練された分類器及び/又はモデル122であって、肩甲骨-肺野オーバラップの予測を光学検出装置から受信された光学画像信号にマッピングするように構成された分類器及び/又はモデル122にアクセスするように構成されることができる。更に、プロセッサ120は、光学検出装置110から光学画像信号を受信し、光学画像信号に基づいて被検体Sの肩甲骨の現在のポジショニングを決定するように構成され、肩甲骨の現在のポジショニングは、撮像される被検体の肺野と当該肩甲骨がオーバラップするか否か、及び/又はどの程度オーバラップするかに関して評価される。更に、プロセッサ120は、決定された肩甲骨の現在のポジショニングに基づいて、被検体S及び/又はその肩甲骨をポジショニングするためのフィードバックを決定するように構成される。フィードバックは、被検体のポジショニングが既に正しいかどうか、又は所望の目標ポジショニングに適合するようにポジショニングを変更すべきかどうか、及び/又はどのように変更すべきか、の情報をオペレータ又は医療スタッフに供給するのに適したグラフィカルフィードバック、オーディオフィードバック等を含むことができる。
【0041】
図2Aは、肩甲骨のポジショニングの決定を概略的に示しており、ここでは、肩甲骨の現在のポジショニングを決定し及び/又は評価するために、被検体S上の又は被検体Sの1組のランドマーク140が光学画像信号から導出される。ランドマーク140の組は、プロセッサ120によって、光学検出装置110から受信された光学画像信号から、例えば1つ又は複数のイメージング解析技術及び/又は分類器及び/又はモデル122を利用することによって、決定されることができる。例えば、ランドマーク140の組は、被検体Sの身体特性を示すか、又はそれによって形成される1つ又は複数のランドマークを含むことができ、
図2Aは、被検体Sの腕及び/又は肘、手首、前腕、又は他の適切な身体部分に位置するランドマーク140を例示する。
【0042】
図2Bは、プロセッサ120が、一組のランドマーク140から、肩甲骨の現在のポジショニングを示す幾何学的関係を決定するように構成されることができることを概略的に示す。例えば、被検体の1つ又は複数の体肢にまたがる平面が、ランドマークの組から決定されることができ、この場合、決定された平面を目標値と比較することにより、肩甲骨の現在のポジショニングが導出されることができる。例えば、平面、又は複数の平面は、背中上のランドマークによってスパンされることができ、及び/又は肩上のランドマークによってスパンされることができ、及び/又は被検体の肘及び手首によってスパンされることができる。例として、ランドマーク140のコンステレーションは、それらを三角形B(背中)、L(左側)、及びR(右側)にグループ化し、LとBとRとの角度角を計算し、それらを、肩甲骨を肺野の外側に完全に回転させるための閾値角と比較することによって評価される。
【0043】
図3は、胸部X線画像において被検体のポジショニングを支援するためのコンピュータ実現方法を概略的なフローチャートで示す。この方法は、上述のようにシステム100によって実行されることができる。
【0044】
ステップS1では、被検体Sの背面ビューの光学画像信号を受信する。光学画像信号は、光学検出装置110によって取得され、提供されることができ、かかる光学画像信号は、例えば1つ又は複数の画像、画像フレームなどを含みうる。
【0045】
ステップS2では、光学画像信号に基づいて、被検体Sの肩甲骨の現在のポジショニングは、撮像される被検体の肺野と当該肩甲骨がオーバラップするか否か、及び/又はどの程度オーバラップするかについて、評価される。例えば、現在のポジショニングは、上記で説明したようにプロセッサ120によって決定されることができる。
【0046】
ステップS3において、肩甲骨の決定された現在のポジショニングに基づいて、被検体S及び/又はその肩甲骨をポジショニングするためのフィードバックが行われる。例えば、フィードバックは、上記で説明したようにプロセッサ120によって決定されることができる。
【0047】
ステップS4において、被検体Sをポジショニングするためのフィードバックは、上述のようにユーザインタフェース130を介して提供されることができる。
【0048】
任意には、肩甲骨の現在のポジショニングを決定することは、光学画像信号から、肩甲骨の現在のポジショニングを示す被検体Sの腕及び/又は手首のポジショニングを決定することを含む。
【0049】
任意には、肩甲骨の現在のポジショニングを評価するために、被検体S上又は被検体Sの1組のランドマーク140が光学画像信号から導出される。
【0050】
任意には、肩甲骨の現在のポジショニングを示す幾何学的関係が、ランドマークの組140から決定される。
【0051】
任意には、被検体Sの1つ又は複数の体肢にまたがる平面は、ランドマーク140の組から決定され、決定された平面が目標値と比較されることにより、肩甲骨の現在のポジショニングが導出される。
【0052】
任意には、被検体Sの腕とその胴体及び/又はその身体中心及び/又はX線撮像デバイスの検出器平面との間の少なくとも1つの角度が、ランドマークの組から決定され、少なくとも1つの決定された角度が目標値と比較されることで、肩甲骨の現在のポジショニングが導出される。
【0053】
任意には、ランドマーク140の組は、被検体Sの両側で、すなわち、両肩甲骨について決定され、両側の対称性及び/又は合同性が、肩甲骨の現在のポジショニングを評価するために決定される。
【0054】
任意には、被検体の1つ又は複数の輪郭及び/又は被検体Sの1つ又は複数の表面特性は、肩甲骨の現在のポジショニングを評価するために、少なくとも光学画像信号から導出される。
【0055】
任意には、光学画像信号データが、注釈付き訓練データに対して訓練された分類器によって受信され、分類器が、少なくとも光学画像信号に基づいて肩甲骨の現在のポジショニングを決定する
【0056】
任意には、深さ情報データは、光検出器110の深さチャネルから受信される。
【0057】
任意には、深さ情報データは、少なくとも光学画像信号に基づいて3D深さマップから直接受信される。
【0058】
任意には、深さ情報データは、被検体Sの背面ビューの光学画像信号を取得するために使用されるステレオ光学検出装置に基づいて決定される。
【0059】
任意には、フィードバックは、肩甲骨のポジショニングに基づいて画像取得を制御し及び/又は防止するように構成されたトリガ信号を含み又はトリガ信号を形成する。例えば、システム100は、決定されたポジショニング及び/又はフィードバックに基づいて画像取得を制御するために、放射線源210及び/又は検出器220に接続されることができる。
【0060】
別の例示的な実施形態では、前述の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップをシステム100上で実行するように構成されることを特徴とする、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラムが提供される。
【0061】
したがって、コンピュータプログラムは、実施形態の一部でありうるプロセッサ120によって実行されるように記憶されることができる。このプロセッサユニットは、上述の方法のステップを実行し又はその実行を引き起こすように構成されることができる。更に、プロセッサユニットは、上述した装置及び/又はシステムのコンポーネントを動作させるように構成されることができる。計算ユニットは、自動的に動作するように、及び/又はユーザの命令を実行するように構成されることができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされることができる。したがって、データプロセッサは、前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されることができる。
【0062】
更に、コンピュータプログラムは、上述の方法の例示的な実施形態のプロシージャを果たすのに必要なすべてのステップを提供することができる。
【0063】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、CDーROM、USBスティックなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体は、媒体上に記憶されたコンピュータプログラムを有し、かかるコンピュータプログラムは、先行するセクションによって説明される。
【0064】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶され及び/又は配布されることができるが、インターネット又は他の有線もしくは無線電気通信システムなどの他の形態で配布されることもできる。
【0065】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークを通じて提示されることもでき、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされることもできる。本発明の他の例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラムをダウンロードのために利用可能にするための媒体が提供され、このコンピュータプログラムは、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0066】
本考案の実施形態は、様々な主題に関連して説明される。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項を参照して説明され、他の実施形態は、装置タイプの請求項を参照して説明される。しかしながら、当業者は上記及び下記の説明から、別段の通知がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されることを理解するであろう。しかしながら、すべての特徴を組み合わせて、特徴の単純な合計よりも高い相乗効果を提供することが可能である。
【0067】
本発明は図面及び前述の説明において詳しく図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は例示的又は説明的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示及び従属請求項の検討から、請求項に記載の発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。
【0068】
請求項において、単語「有する、含む(comprising)」は、他の構成要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項の中で言及される幾つかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0069】
100 システム
110 光学検出装置
120 プロセッサ
121 メモリ
122 分類器及び/又はモデル
130 ユーザインタフェース
140 ランドマークの組
210 放射線源
220 検出器
【国際調査報告】