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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】円形ローラ・クランプ・アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/28 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
A61M39/28 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527561
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 US2022048460
(87)【国際公開番号】W WO2023091292
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/279,959
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイン、ジェイソン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】フラウスト、トマス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066QQ26
(57)【要約】
円形ローラ・クランプ・アセンブリは、IVチューブの一部分を受容するように構成された半円形ハウジングと、モータと、モータに結合されたモータ・アームと、を含む。ローラは、モータ・アームに結合され、ローラは、半円形ハウジング内に配設されたガイド溝によって移動可能に受容される。IVチューブを流れる流体の流量が、ローラのガイド溝に沿った円周方向移動によるガイド溝内のチューブ・チャネルに対するIVチューブのローラ突き当たりに基づいて調節される。円形ローラ・クランプ・アセンブリを有するIVセット及び円形ローラ・クランプ・アセンブリを操作する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形ローラ・クランプ・アセンブリであって、
静脈内(IV)チューブの一部分を受容するように構成された半円形ハウジングと、
モータと、
前記モータに結合されたモータ・アームと、
前記モータ・アームに結合されたローラであって、前記半円形ハウジング内に配設されたガイド溝によって移動可能に受容されるように構成されたローラと、
を備え、
前記円形ローラ・クランプ・アセンブリは、前記ローラの前記ガイド溝に沿った円周方向移動による前記ローラの前記IVチューブとの係合に基づいて、前記IVチューブを流れる流体の流量を調節するように構成されている、円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項2】
前記ガイド溝は、
前記半円形ハウジングの周面から半径方向内側に延在する2つの対向する側壁と、
前記側壁の内側端部に配設されたベース面と、
を備える、請求項1に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項3】
前記半円形ハウジングは、
前記ガイド溝の前記ベース面から半径方向内側に延在し、且つ前記IVチューブの一部分を受容するように構成されたチューブ・チャネルを画定する2つの内周壁を備える、
請求項2に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項4】
前記チューブ・チャネルは、第1の端部における第1の幅から第2の端部における第2の幅までの可変幅を備え、前記第2の幅は、前記第1の幅よりも広い、請求項3に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項5】
前記チューブ・チャネルは、第1の端部における第1の深さから第2の端部における第2の深さまでの可変深さを備え、前記第2の深さは、前記第1の深さよりも深い、請求項3に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項6】
前記内周壁は、鋭角をなして前記ガイド溝の前記ベース面から半径方向内側に延在し、互いに交差して、前記チューブ・チャネルを三角形状として画定する、請求項3に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項7】
前記半円形ハウジングの中央ボア内に配設された前記モータの円筒シャフトと、
前記円筒シャフトと前記中央ボアとの間に配設された周辺間隙と、
を更に備え、
前記モータ・アームは、前記円筒シャフトの端部に結合され、
前記円筒シャフトは、前記中央ボア内で妨げなく回転するように構成されている、
請求項1に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項8】
前記モータ上に配設された電力インターフェースであって、電源から電力を受け取るように構成された電力インターフェースを更に備える、
請求項1に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項9】
前記モータ上に配設された通信インターフェースであって、
プロセッサ及びセンサの一方に通信信号を送ることと、
プロセッサ及びセンサの一方から通信信号を受信することと、
のうちの1つを行うように構成された通信インターフェースを更に備える、
請求項1に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項10】
前記モータ・アームは、
第1のアーム部と、
前記第1のアーム部に移動可能に結合された第2のアーム部と、
前記第1のアーム部に結合された第1のばね端部、及び前記第2のアーム部に結合された第2のばね端部を有するばねと、
備え、
前記ばねは、前記第1のアーム部の前記第2のアーム部に対する反対の移動を提供するように伸び、前記第1のアーム部及び前記第2のアーム部を互いに向かって引っ張る付勢収縮力をベース位置に向かって提供するように構成されている、
請求項1に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項11】
前記モータ・アームは、前記IVチューブの前記ガイド溝への挿入のために前記ローラが前記ガイド溝の外側に位置付けられるように延在するように構成され、前記モータ・アームは、前記ばねの前記付勢力に起因して収縮して前記ローラを前記IVチューブに引っ張りつけるように構成されている、請求項10に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項12】
前記半円形ハウジングは、IVポール上に取り付けられるように構成されている、請求項1に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項13】
前記円形ローラ・クランプ・アセンブリは、磁気面に取り付けられるように構成された磁気カプラを備える、請求項1に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項14】
前記円形ローラ・クランプ・アセンブリは、前記IVチューブに掛けられるように構成されている、請求項1に記載の円形ローラ・クランプ・アセンブリ。
【請求項15】
流体容器に結合されるように構成された静脈内(IV)チューブと、
前記IVチューブに結合された注入構成要素と、
前記IVチューブに結合された円形ローラ・クランプ・アセンブリと、
を備えるIVセットであって、前記円形ローラ・クランプ・アセンブリは、
前記IVチューブを受容するように構成された半円形ハウジングと、
モータと、
前記モータに結合されたモータ・アームと、
前記モータ・アームに結合されたローラであって、前記半円形ハウジング内に配設されたガイド溝によって移動可能に受容されるように構成されたローラと、
を備え、
前記円形ローラ・クランプ・アセンブリは、前記ローラの前記ガイド溝に沿った円周方向移動による前記ローラの前記IVチューブとの係合に基づいて、前記IVチューブを流れる流体の流量を調節するように構成されている、IVセット。
【請求項16】
前記ガイド溝は、前記半円形ハウジングの周面から半径方向内側に延在する2つの対向する側壁と、前記側壁の内側端部に配設されたベース面とを備え、
前記半円形ハウジングは、前記ガイド溝の前記ベース面から半径方向内側に延在し、且つ前記IVチューブの一部分を受容するように構成されたチューブ・チャネルを画定する2つの内周壁を備え、
前記チューブ・チャネルは、
第1の端部における第1の幅から第2の端部における第2の幅までの可変幅であって、前記第2の幅が前記第1の幅よりも広い可変幅と、
前記第1の端部における第1の深さから前記第2の端部における第2の深さまでの可変深さであって、前記第2の深さが前記第1の深さよりも深い可変深さと、
のうちの1つを備える、請求項15に記載のIVセット。
【請求項17】
前記モータ・アームは、
第1のアーム部と、
前記第1のアーム部に移動可能に結合された第2のアーム部と、
前記第1のアーム部及び前記第2のアーム部に結合されたばねと、
を備え、前記ばねは、前記第1のアーム部の前記第2のアーム部に対する反対の移動を提供するように伸び、前記第1のアーム部及び前記第2のアーム部を互いに向かって引っ張る付勢収縮力を提供するように構成され、
前記モータ・アームは、前記IVチューブの前記ガイド溝への挿入のために前記ローラが前記ガイド溝の外側に位置付けられるように延在するように構成され、前記モータ・アームは、前記ばねの前記付勢力に起因して収縮して前記ローラを前記IVチューブに引っ張りつけるように構成されている、請求項15に記載のIVセット。
【請求項18】
円形ローラ・クランプ・アセンブリを操作する方法であって、
延長可能なモータ・アームに結合されたローラを、前記円形ローラ・クランプ・アセンブリの半円形ハウジングの周面に配設されたガイド溝から半径方向外方に引っ張ることと、
前記ローラと前記ガイド溝との間に静脈内(IV)チューブを置くことと、
前記ローラを解放することであって、前記モータ・アームのばねの付勢力が前記モータ・アームを半径方向内方に前記IVチューブ及び前記ガイド溝に向かって収縮させる、解放することと、
前記ローラによって、前記IVチューブを、前記ガイド溝内に配設された可変サイズのチューブ・チャネルに押しつけることと、
モータによって、前記ローラを前記チューブ・チャネルのより小さいサイズの部分に向かって移動させるように前記モータ・アームを第1の方向に回転させて、前記ローラによる前記IVチューブの突き当たりを増加させ、前記IVチューブを通る流体流れの速度を減少させることと、
前記モータによって、前記ローラを前記チューブ・チャネルのより大きいサイズの部分に向かって移動させるように前記モータ・アームを第2の方向に回転させて、前記ローラによる前記IVチューブの突き当たりを減少させ、前記IVチューブを通る前記流体流れの速度を増加させることと、
を備える、方法。
【請求項19】
センサによって、前記IVチューブを通る前記流体流れの速度をモニタリングすることと、
前記流体流れの速度を決定された速度に変更するために前記ローラの位置を調整するように前記モータ・アームを回転させるための制御信号をプロセッサから前記モータに提供することと、
を更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記チューブ・チャネルの最小サイズの部分に前記ローラを位置付けることが、前記ローラに前記IVチューブを閉塞させ、前記閉塞の下流で前記IVチューブを通る流体流れを妨げさせることと、
前記チューブ・チャネルの最大サイズの部分に前記ローラを位置付けることが、前記ローラに前記IVチューブに突き当たらせないようにし、前記ローラの下流で前記IVチューブを通る完全な流体流れを提供させることと、
を更に備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年11月16日出願の「CIRCULAR ROLLER CLAMP ASSEMBLY」と題する米国仮特許出願番号第63/279,959号の優先権の利益を主張するものであり、該出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、重力静脈内(IV:intravenous)セット又は注入ポンプ流れ制御デバイスに関し、具体的には円形ローラ・クランプ・アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
ローラ・クランプの形態のフロー・コントローラは、IV用途のために医療分野で使用されている。典型的なローラ・クランプは、IVチューブを通る流量を、ローラ・ホイールと比較的短い長さの直線ハウジングとの間にチューブをクランプすることによって制御する。この手法は、1つには、ローラ・ホイールのわずかな移動又は寸法変化がチューブを通る流体の流量の大きい変化を引き起こすという点でローラ・ホイールが本質的に敏感すぎるので、限られた範囲の流量制御を提供する。したがって、典型的なローラ・クランプによって提供される比較的粗い流量変更により、正確な流れ制御を提供することが困難になる。
【0004】
また、典型的なローラ・クランプは、チューブ内の流体圧力によりローラ・ホイールが調整位置から転がり戻るときなど、ローラ・ホイールの滑りに基づく流量ドリフト問題を有する。更に、典型的なローラ・クランプは、医療臨床医などのユーザが手動でローラ・クランプを調整する必要がある手動デバイスである。更に、典型的なローラ・クランプは、再使用可能なデバイスではなく、IVセットが捨てられるときにIVセットの残りの部分と共に処分される。
【0005】
よって、大きい範囲の流れ制御分解能を提供し、単純なモータ接続を可能にし、ローラ・ホイールの滑りをなくす又は最小限にする自動化されたローラ・ホイールアセンブリを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
1つ又は複数の実施例では、円形ローラ・クランプ・アセンブリは、IVチューブの一部分を受容するように構成された半円形ハウジングと、モータと、モータに結合されたモータ・アームと、モータ・アームに結合されたローラであって、半円形ハウジング内に配設されたガイド溝によって移動可能に受容されるように構成されたローラと、を備え、円形ローラ・クランプ・アセンブリは、ローラのガイド溝に沿った円周方向移動によるローラのIVチューブとの係合に基づいて、IVチューブを流れる流体の流量を調節するように構成されている。
【0007】
1つ又は複数の実施例では、IVセットは、流体容器に結合されるように構成されたIVチューブと、IVチューブに結合された注入構成要素と、IVチューブに結合された円形ローラ・クランプ・アセンブリと、を備え、円形ローラ・クランプ・アセンブリは、IVチューブを受容するように構成された半円形ハウジングと、モータと、モータに結合されたモータ・アームと、ローラ・アームに結合されたローラであって、半円形ハウジング内に配設されたガイド溝によって移動可能に受容されるように構成されたローラと、を備え、円形ローラ・クランプ・アセンブリは、ローラのガイド溝に沿った円周方向移動によるローラのIVチューブとの係合に基づいて、IVチューブを流れる流体の流量を調節するように構成されている。
【0008】
1つ又は複数の実施例では、円形ローラ・クランプ・アセンブリを操作する方法は、延長可能なモータ・アームに結合されたローラを、円形ローラ・クランプ・アセンブリの半円形ハウジングの周面に配設されたガイド溝から半径方向外方に引っ張ることと、ローラとガイド溝との間にIVチューブを置くことと、ローラを解放することであって、モータ・アームのばねの付勢力がモータ・アームを半径方向内方にIVチューブ及びガイド溝に向かって収縮させる、解放することと、ローラによって、IVチューブを、ガイド溝内に配設された可変サイズのチューブ・チャネルに押しつけることと、モータによって、ローラをチューブ・チャネルのより小さいサイズの部分に向かって移動させるようにモータ・アームを第1の方向に回転させて、ローラによるIVチューブの突き当たりを増加させ、IVチューブを通る流体流れの速度を減少させることと、モータによって、ローラをチューブ・チャネルのより大きいサイズの部分に向かって移動させるようにモータ・アームを第2の方向に回転させて、ローラによるIVチューブの突き当たりを減少させ、IVチューブを通る流体流れの速度を増加させることと、を備える。
【0009】
開示される実施例の前述の及び他の特徴、態様、及び利点が、以下の詳細な説明及び添付図面からより明らかになる。
【0010】
本開示の更なる理解を提供するために含まれ、且つ本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、本開示の実施例を例示し、本説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】典型的なローラ・クランプを有する例示的な注入セットの斜視図を示す。
図2図1のローラ・クランプの断面側面図を示す。
図3】本開示の態様に係る円形ローラ・クランプ・アセンブリを有するIVポールの斜視図を示す。
図4】本開示の態様に係る図3の円形ローラ・クランプ・アセンブリを有するIVポールの斜視図を示す。
図5】本開示の態様に係る図3の円形ローラ・クランプ・アセンブリの斜視図を示す。
図6】本開示の態様に係る図3の円形ローラ・クランプ・アセンブリの正面図を示す。
図7】本開示の態様に係る図3の円形ローラ・クランプ・アセンブリの背面図を示す。
図8】本開示の態様に係る図3の円形ローラ・クランプ・アセンブリの断面斜視図を示す。
図9】本開示の態様に係る円形ローラ・クランプ・アセンブリのモータ・アームの断面斜視図を示す。
図10】本開示の態様に係る円形ローラ・クランプ・アセンブリを操作する方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に記載される詳細な説明は、本願技術の様々な構成を説明するものであり、本願技術を実施することができる唯一の構成を表すことを意図するものではない。詳細な説明は、本願技術の完全な理解を提供することを目的とした特定の詳細を含む。したがって、寸法は、非限定的な実例として特定の態様に関連して提供される。しかしながら、当業者には本願技術をこれらの特定の詳細なしに実施できることが明らかになる。いくつかの事例において、周知の構造及び構成要素は、本願技術の概念を曖昧にすることを避けるためにブロック図の形態で示される。
【0013】
本開示が、本願技術の実例を含み、添付の特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。次に本願技術の様々な態様が特定の非限定的な実例にしたがって開示される。本開示に記載の様々な実施例は、異なる方法及び変形例で、所望の用途又は実装例にしたがって実施されてよい。
【0014】
本開示は、ローラ・クランプに関し、具体的には、重力注入において使用するためのローラ・クランプに関する。ローラ・クランプは、チューブを流れる医療用流体(例えば、患者に投与される薬の溶液又は血液)の流量を調節する。典型的には、流体を注入するために標準的な注入セットが使用される。標準的な注入セットの実例を図1に示す。
【0015】
注入セットは、ゴム栓に突き刺すための鋭利なスパイクであってもよいし、又はバッグに挿入するために丸みを帯び尖っていなくてもよい、貫通スパイク20を含む。スパイクは、流体のための1つのチャネルと、任意選択的に通気のための第2のチャネルとを収容している。ベント21は、通常、空気が液滴チャンバ22に流れ込むことを可能にするために貫通スパイクの近傍にある。ベント21には、細菌が機器に進入することを防止するために細菌フィルタが設けられていてよい。
【0016】
液滴チャンバ22は、あるサイズの液滴を作る液滴生成器23を液滴チャンバ22の上部に有する。液滴生成器23からの液滴が、液滴チャンバ22へと落ち、その結果、液滴チャンバ22には部分的に液体が充填される。これにより、患者にとって有害となる、気泡がコネクタ・チューブ24に進入することが防止される。液滴チャンバ22の下部アパーチャに粒子フィルタが設けられていてよい。
【0017】
コネクタ・チューブ24は、液滴チャンバ22を患者と接続する。コネクタ・チューブ24は、通常、長さが約150cmであり、PVCで製造されていてよい。明確にするために、チューブ24は図1では短縮して示されている。コネクタ・チューブ24は、典型的には、チューブの全長にわたり連続した直径を有する。
【0018】
コネクタ・チューブ24の末端には、ルア継ぎ手25があり、これは標準的なルアコーンを有する他のすべての器具への接続のために標準化されている。当業者は、ルア継ぎ手25を、患者の循環系(例えば静脈)に医療用流体を注入するための皮下注射針(図示せず)に嵌めることができることを理解するであろう。
【0019】
液滴チャンバ22とルア継ぎ手25との間には、コネクタ・チューブ24と係合しているローラ・クランプ26がある。本開示は、改善されたローラ・クランプ・アセンブリに関係するが、次に、当該技術分野で既知の典型的なローラ・クランプ26について背景情報のために説明する。
【0020】
図2に例示するローラ・クランプ26は、互いに並んで、且つ互いに面する一対のガイド溝30を有する2つの対向する側壁27を有する。流れ調節ローラ28が設けられており、ローラ28の両側の中心から突き出た軸方向突出シャフト29を有する。ローラ28は、明確にするために輪郭が示されている。ローラ28のシャフト29は、ガイド溝30によって捕捉されてその中に据えられており、それにより、ローラ28は、図2の矢印によって示すようにガイド溝30を上下に移動することができる。
【0021】
ローラ・クランプ26全体は、開放端の箱状構造の4つの壁(図1参照)を有し、コネクタ・チューブ24を受容するように寸法決め及び構成されている。使用時、チューブ24は、ローラ・クランプ26を通して、2つの対向する側壁27間、ローラ28とローラ28とは対向するガイド壁31との間を通る。
【0022】
ローラ・クランプ26において、ガイド壁31の表面が、その長さに沿ってガイド溝30の位置に向かってガイド溝30の下方方向(例えば、図2の矢印の方向)に収束している。これは、ローラ・クランプ26内のコネクタ・チューブ24を、ガイド溝30に向かって、したがってローラ28に向かって促すのに役立つ。
【0023】
よって、ローラ28を、ガイド溝30に沿って下方に、矢印の方向に徐々に近づくガイド壁31の方向に転がすと、ローラ28がコネクタ・チューブ24に突き当たる。ローラ28がチューブ24に突き当たると、チューブ24はPVCなどの可撓性材料であるので押しつぶされるようになり、そのため注入チューブ24の内腔が小さくなる。このようにして、内腔を狭くすることによって、コネクタ・チューブ24を通る液体の流量を調節することができる。
【0024】
よって、ローラ・クランプ26は、注入チューブ24をローラ28とガイド壁31との間にクランプすることによって、注入チューブ24を通る流量を制御する。上述のように、これは、ローラ28のわずかな移動がチューブ24を通る流体の流量の大きい変化を引き起こすので、粗い流量変更を提供する。また、チューブ24内の流体の力がローラ28に対して付勢力をかけ、これにより、多くの場合、ローラ28の調整位置からの滑りが生じる(例えば、ローラ28が転がり戻る)。更に、ローラ・クランプ26は、手動調整が必要であり、自動化又はプロセッサ制御された調整には好適でない。
【0025】
図3図9を参照すると、IVポール190に取り付けられた円形ローラ・クランプ・アセンブリ100が示されている。円形ローラ・クランプ・アセンブリ100は、半円形構造を有するハウジング110を有し、コネクタ・チューブ24(図4参照)などのチューブ類を受容するように寸法決め及び構成されている。2つの対向する側壁112が、モータ150のモータ・アーム140に結合された軸方向突出シャフト132上に配設された流れ調節ローラ130を受容するガイド溝120を画定する。シャフト132は、ローラ130がガイド溝120に沿ってその中を円周方向に移動することができるように、ハウジング110の外周壁114の外側に位置付けられている。
【0026】
2つの内周壁116が、対向する側壁112から内側に延在し、ガイド溝120内に円周方向に配設されている。例えば、内周壁116の外周面118が、ガイド溝120のベース面122(例えば、底面)を形成していてよい。内周壁116は、チューブ・チャネル160を画定し、これはチューブ・チャネル160の円周方向経路に沿って可変幅及び/又は深さを有する。例えば、チューブ・チャネル160の上端部162は、狭い幅W1を有してよく、チューブ・チャネル160の下端部164は、広い幅W2を有してよい。内周壁116は、平面であり、互いに交差するまでベース面122から内側に角度をなしていてよく、よって、チューブ・チャネル160が三角形状を有するようにする(図6に示す)。本開示の態様では、内周壁116は、湾曲していてもよいし(例えば、凸状、凹状)、又は他の任意の好適な幾何学形状であってもよい。例えば、内周壁116は、チューブ・チャネル160がU字形状を形成するように凹状に湾曲していてよい。
【0027】
モータ150は、ハウジング110の中心軸として設けられていてよい。例えば、図7に示すように、モータ150は、ハウジング110の空洞115内に配設されたモータ・ハウジング151と、円筒シャフト152であって円筒シャフト152とハウジング110の中央ボア111との間に周辺間隙113ができるように中央ボア111内に配設された円筒シャフト152とを有してよい。周辺間隙113により、中央ボア111内での円筒シャフト152の妨げのない回転が可能になる。円筒シャフト152の回転がモータ・アーム140を回転させ、よってこれは、シャフト132及びローラ130をハウジング110の円周に沿って移動させる。電力インターフェース154及びデータ・インターフェース156が、電源から電力を受け取り、プロセッサ及びセンサに及び/又はそれから通信信号を受信/送信するためにモータ150上に位置付けられていてよい。電力インターフェース154及び/又はデータ・インターフェース156は、有線であっても無線であってもよい。本開示の態様では、モータ150は、それ自体の電源(例えば、バッテリ)及び/又は無線通信インターフェースを有してよい。
【0028】
図9に示すように、モータ・アーム140は、2つのアーム部142、144と、ばね146とを含んでよく、第1のばね端部145が第1のアーム部142に結合され、第2のばね端部147が第2のアーム部144に結合されている。アーム部142、144は、互いに対して摺動可能に移動可能であってよく、これにより、アーム部142、144が互いから離れる方向に移動されると、ばね146が伸びる。伸びたばね146は、アーム部142、144に対して付勢力F1を提供して、アーム部142、144を係合位置に向かって戻るように移動させる。
【0029】
使用時、モータ・アーム140は、ローラ130が完全にガイド溝120の外側にくるように、円筒シャフト152から離れる外方方向に引っ張られてよい。次いで、チューブ24がチューブ・チャネル160の上端部162からチューブ・チャネル160の下端部164までのガイド溝120の円筒経路に沿うように、チューブ24がガイド溝120内に送り込まれてよい。次いでモータ・アーム140は、モータ・アーム140が収縮し(例えば、アーム部142、144が付勢力F1に起因して互いに向かって近づくように移動する)、ローラ130がチューブ24に係合するように解放されてよい。こうして、チューブ24は、ローラ・クランプ・アセンブリ100を通して、2つの対向する側壁112間、ローラ130とローラ130とは対向するチューブ・チャネル160との間を通る。
【0030】
ローラ130を円周方向にガイド溝120に沿ってチューブ・チャネル160の上端部162の方向に移動させると、チューブ24のより少ない部分がチューブ・チャネル160のより狭い部分内に収まるので、ローラ130はチューブ24に対してより力強く突き当たる。ローラ130がチューブ24により力強く突き当たると、チューブ24はPVCなどの可撓性材料であるので更に押しつぶされ、そのため注入チューブ24の内腔(例えば、流体流路)が小さくなり、よってチューブ24を通る流体流量が低減する。
【0031】
同様に、ローラ130を円周方向にガイド溝120に沿ってチューブ・チャネル160の下端部164の方向に移動させると、チューブ24のより多くの部分がチューブ・チャネル160のより広い部分内に収まるので、ローラ130はチューブ24に対してあまり力強く突き当たらなくなる。ローラ130がチューブ24にあまり力強く突き当たらないので、チューブ24はあまり押しつぶされず、注入チューブ24の内腔は大きくなり、よってチューブ24を通る流体流量が増加する。このようにして、チューブ24の内腔を狭くしたり広くしたりすることによって、チューブ24を通る液体の流量を調節することができる。
【0032】
例として、図3に示すように、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100は、電力インターフェース154及びデータ・インターフェース156がIVポール190の内部に配設された電力線及び通信ケーブル(図示せず)に接続された状態でIVポール190に取り付けられてよい。ユーザ(例えば、医療臨床医)は、ばね荷重されたモータ・アーム140をハウジング110から外方に引っ張り、IVチューブ24をチューブ・チャネル160に沿ってガイド溝120内に位置付けることができる。次いでユーザは、モータ・アーム140を解放することができ、これにより、ばね146の付勢力F1がローラ130を内方にIVチューブ24に引っ張りつけ、IVチューブ24をチューブ・チャネル160に押しつける。モータ150は、外部フロー・センサと通信し、ローラ130をチューブ・チャネル160に沿って位置付けるようにモータ・アーム140を回転させて、IVチューブ24を通る望ましい流体流量のための必要なIVチューブ24の圧縮を達成することができる。本開示の態様では、モータ150は、高分解能の流れ設定点選択のためにユーザがローラ130の位置を手動で選択することができるように手動で調整可能であるように構成されてよい。
【0033】
円形ローラ・クランプ・アセンブリ100の円形幾何学形状により、流れ制御チャネルの長さが著しく増加し(例えば、半円形チューブ・チャネル160対ローラ・クランプ26を通した直線チャネル)、よって、遥かに大きい流れ制御分解能を可能にする。例えば、半円形チューブ・チャネル160は、ローラ・クランプ26の直線長さよりも、長さが300%増加し得る。また円形幾何学形状により、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100の動作の制御のために単純なモータ150を使用することも可能になる。
【0034】
本開示の態様によれば、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100は、IVポール190に付けられたブラケットに掛けられるように構成されてよい。本開示の態様によれば、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100は、IVライン(例えば、チューブ24)に直接掛けられるように構成されてよい。本開示の態様によれば、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100は、ハウジング110の取り付け面119上に又はそれに隣接して結合機構を含んでよい。例えば、ハウジング110は、取り付け面119上に又はその中に1つ又は複数の磁石を含んでもよいし、又は取り付け面119の複数部分が、磁気材料で形成されていてもよく、それにより、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100を、任意の磁気面(例えば、金属ポール、金属のベッド手摺、金属棚)に素早く容易に付けることができる。別の例として、結合機構は、所望の面(例えば、IVポール、ベッド手摺、棚、テーブル)にクランプされるように構成されたクランプ・デバイスであってもよい。
【0035】
本開示の態様によれば、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100は、スマート・コントローラと一体化されるように構成されてよい。例えば、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100は、コントローラ・ハウジング内に一体化されていてよく、ここでコントローラは、1つ又は複数のセンサ(例えば、下流の流量センサ)から入力を受信し、センサ入力及び/又はプログラムされたパラメータ(例えば、ユーザ又は別のプロセッサによって入力された流れ設定)に基づいて制御信号をモータ150に送ることができる。別の例として、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100は、センサ情報を直接受信し、所望の流量を達成するローラ130の位置を決定し、及び/又は決定された位置にローラ130を位置付けるように制御信号をモータ150に送ることができる、それ自体のスマート・コントローラを含んでもよい。本開示の態様によれば、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100は、有線及び/又は無線通信を介して内部又は外部のセンサ/コントローラ/プロセッサと通信してよい。
【0036】
図10を参照すると、円形ローラ・クランプ・アセンブリ(例えば、円形ローラ・クランプ・アセンブリ100)を操作する方法200が提供される。ステップ210において、ローラ(例えば、ローラ130)がハウジング(例えば、ハウジング110)から引き離される。例えば、モータ・アーム(例えば、モータ・アーム140)がばね荷重された摺動可能部分(例えば、アーム部142、144、及びばね146)により伸長可能であってよく、よって、モータ・アームに結合されたローラを、ばねの付勢力(例えば、付勢力F1)を超える力で引っ張ることが可能になる。チューブ類(例えば、IVチューブ24)が、ステップ220において、ハウジング・チャネル(例えば、ガイド溝120内のチューブ・チャネル160)内に配設されるように、チューブ類がハウジングに置かれるか又は挿入される。
【0037】
ステップ230において、ローラは解放されて引き戻り、チューブ類に係合する。例えば、ローラを解放することにより、ばねの付勢力がモータ・アームを収縮させることが可能になり、よってローラをハウジング・チャネル内に引き込み、これにより、ローラはチューブ類に係合し、チューブ類をハウジング・チャネル内へと圧縮する。ステップ240において、モータ(例えば、モータ150)にローラをハウジング上の特定の位置に移動させるように指示するための制御信号がモータに提供されてよい。例えば、モータは、センサ信号をモニタリングし、流体流量を所望の流量に変更するためにローラ位置を調整してよい。ここで、ローラをチャネル・ハウジングの第1の端部(例えば、チューブ・チャネル160の上端部162)近くに位置付けることにより、ローラは大きい程度にチューブ類に突き当たることができ(例えば、ゼロ又は最小の流体流れ)、一方で、ローラをチャネル・ハウジングの第2の端部(例えば、チューブ・チャネル160の下端部164)近くに位置付けることにより、ローラは非常に低い程度にチューブ類に突き当たることができる(例えば、完全又は最大の流体流れ)。
【0038】
ステップ250において、ローラは、所望のレベルでチューブ類に突き当たるように、モータによってハウジング・チャネルに沿って移動されてよい。例えば、ローラは、チャネル・ハウジングの第2の端部からチャネル・ハウジングの第1の端部に移動されてよく、それにより、ハウジング・チャネルとローラとの間の狭まりが、ローラにチューブ類の収縮部分を圧縮させ又は押しつぶさせ、よって、チューブ類内の流体流量をより低い又は遮られた流量に(例えば、250ml/hrから0ml/hrに)変化させる。同様に、ローラをハウジング・チャネルに沿って反対方向に移動させると、流体流量をより高い又は開放した流量に(例えば、0ml/hrから250ml/hrに)変化させる。よって、チャネル・ハウジングの第1の端部と第2の端部との間の様々な位置にローラを位置付けることにより、流体流量がそれに応じて変化する(例えば、50ml/hr、100ml/hr、150ml/hr、200ml/hr)。
【0039】
1つ又は複数の実施例では、円形ローラ・クランプ・アセンブリは、IVチューブの一部分を受容するように構成された半円形ハウジングと、モータと、モータに結合されたモータ・アームと、モータ・アームに結合されたローラであって、半円形ハウジング内に配設されたガイド溝によって移動可能に受容されるように構成されたローラと、を備え、円形ローラ・クランプ・アセンブリは、ローラのガイド溝に沿った円周方向移動によるローラのIVチューブとの係合に基づいて、IVチューブを流れる流体の流量を調節するように構成されている。
【0040】
本開示の態様では、ガイド溝は、半円形ハウジングの周面から半径方向内側に延在する2つの対向する側壁と、側壁の内側端部に配設されたベース面とを備える。本開示の態様では、半円形ハウジングは、ガイド溝のベース面から半径方向内側に延在し、且つIVチューブの一部分を受容するように構成されたチューブ・チャネルを画定する2つの内周壁を備える。本開示の態様では、チューブ・チャネルは、第1の端部における第1の幅から第2の端部における第2の幅までの可変幅を備え、第2の幅は、第1の幅よりも広い。本開示の態様では、チューブ・チャネルは、第1の端部における第1の深さから第2の端部における第2の深さまでの可変深さを備え、第2の深さは、第1の深さよりも深い。本開示の態様では、内周壁は、鋭角をなしてガイド溝のベース面から半径方向内側に延在し、互いに交差して、チューブ・チャネルを三角形状として画定する。
【0041】
本開示の態様では、モータの円筒シャフトが、半円形ハウジングの中央ボア内に配設され、周辺間隙が、円筒シャフトと中央ボアとの間に配設され、モータ・アームは、円筒シャフトの端部に結合され、円筒シャフトは、中央ボア内で妨げなく回転するように構成されている。本開示の態様では、電力インターフェースが、モータ上に配設され、電力インターフェースは、電源から電力を受け取るように構成されている。本開示の態様では、通信インターフェースが、モータ上に配設され、通信インターフェースは、プロセッサ及びセンサの一方に通信信号を送ることと、プロセッサ及びセンサの一方から通信信号を受信することと、のうちの1つを行うように構成されている。
【0042】
本開示の態様では、モータ・アームは、第1のアーム部と、第1のアーム部に移動可能に結合された第2のアーム部と、第1のアーム部に結合された第1のばね端部、及び第2のアーム部に結合された第2のばね端部を有するばねと、備え、ばねは、第1のアーム部の第2のアーム部に対する反対の移動を提供するように伸び、第1のアーム部及び第2のアーム部を互いに向かって引っ張る付勢収縮力をベース位置に向かって提供するように構成されている。本開示の態様では、モータ・アームは、IVチューブのガイド溝への挿入のためにローラがガイド溝の外側に位置付けられるように延びるように構成され、モータ・アームは、ばねの付勢力に起因して収縮してローラをIVチューブに引っ張りつけるように構成されている。本開示の態様では、半円形ハウジングは、IVポール上に取り付けられるように構成されている。本開示の態様では、円形ローラ・クランプ・アセンブリは、磁気面に取り付けられるように構成された磁気カプラを備える。本開示の態様では、円形ローラ・クランプ・アセンブリは、IVチューブに掛けられるように構成されている。
【0043】
1つ又は複数の実施例では、IVセットは、流体容器に結合されるように構成されたIVチューブと、IVチューブに結合された注入構成要素と、IVチューブに結合された円形ローラ・クランプ・アセンブリと、を備え、円形ローラ・クランプ・アセンブリは、IVチューブを受容するように構成された半円形ハウジングと、モータと、モータに結合されたモータ・アームと、ローラ・アームに結合されたローラであって、半円形ハウジング内に配設されたガイド溝によって移動可能に受容されるように構成されたローラと、を備え、円形ローラ・クランプ・アセンブリは、ローラのガイド溝に沿った円周方向移動によるローラのIVチューブとの係合に基づいて、IVチューブを流れる流体の流量を調節するように構成されている。
【0044】
本開示の態様では、ガイド溝は、半円形ハウジングの周面から半径方向内側に延在する2つの対向する側壁と、側壁の内側端部に配設されたベース面とを備え、半円形ハウジングは、ガイド溝のベース面から半径方向内側に延在し、且つIVチューブの一部分を受容するように構成されたチューブ・チャネルを画定する2つの内周壁を備え、チューブ・チャネルは、第1の端部における第1の幅から第2の端部における第2の幅までの可変幅であって、第2の幅が第1の幅よりも広い可変幅と、第1の端部における第1の深さから第2の端部における第2の深さまでの可変深さであって、第2の深さが第1の深さよりも深い可変深さと、のうちの1つを備える。
【0045】
本開示の態様では、モータ・アームは、第1のアーム部と、第1のアーム部に移動可能に結合された第2のアーム部と、第1のアーム部及び第2のアーム部に結合されたばねと、を備え、ばねは、第1のアーム部の第2のアーム部に対する反対の移動を提供するように伸び、第1のアーム部及び第2のアーム部を互いに向かって引っ張る付勢収縮力を提供するように構成され、モータ・アームは、IVチューブのガイド溝への挿入のためにローラがガイド溝の外側に位置付けられるように延びるように構成され、モータ・アームは、ばねの付勢力に起因して収縮してローラをIVチューブに引っ張りつけるように構成されている。
【0046】
1つ又は複数の実施例では、円形ローラ・クランプ・アセンブリを操作する方法であって、延長可能なモータ・アームに結合されたローラを、円形ローラ・クランプ・アセンブリの半円形ハウジングの周面に配設されたガイド溝から半径方向外方に引っ張ることと、ローラとガイド溝との間に静脈内(IV)チューブを置くことと、ローラを解放することであって、モータ・アームのばねの付勢力がモータ・アームを半径方向内方にIVチューブ及びガイド溝に向かって収縮させる、解放することと、ローラによって、IVチューブを、ガイド溝内に配設された可変サイズのチューブ・チャネルに押しつけることと、モータによって、ローラをチューブ・チャネルのより小さいサイズの部分に向かって移動させるようにモータ・アームを第1の方向に回転させて、ローラによるIVチューブの突き当たりを増加させ、IVチューブを通る流体流れの速度を減少させることと、モータによって、ローラをチューブ・チャネルのより大きいサイズの部分に向かって移動させるようにモータ・アームを第2の方向に回転させて、ローラによるIVチューブの突き当たりを減少させ、IVチューブを通る流体流れの速度を増加させることと、を備える。
【0047】
本開示の態様では、方法は、センサによって、IVチューブを通る流体流れの速度をモニタリングすることと、流体流れの速度を決定された速度に変更するためにローラの位置を調整するようにモータ・アームを回転させるための制御信号をプロセッサからモータに提供することと、を備える。本開示の態様では、方法は、チューブ・チャネルの最小サイズの部分にローラを位置付けることが、ローラにIVチューブを閉塞させ、閉塞の下流でIVチューブを通る流体流れを妨げさせることと、チューブ・チャネルの最大サイズの部分にローラを位置付けることが、ローラにIVチューブに突き当たらせないようにし、ローラの下流でIVチューブを通る完全な流体流れを提供させることと、を備える。
【0048】
開示されたプロセスの方法におけるブロックの任意の特定の順序又は階層が例示的な手法の例示であることを理解されたい。設計又は実装の選好に基づいて、プロセスにおけるブロックの特定の順序又は階層を並べ替えてもよいし、又は例示されたすべてのブロックを行ってもよいことを理解されたい。いくつかの実装例では、ブロックのいずれかは同時に行われてもよい。
【0049】
本開示は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施することを可能にするために提供されている。本開示は、本願技術の様々な実例を提供し、本願技術はこれらの実例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正例が、当業者に容易に明らかとなり、本明細書で定義される包括的な原理は他の態様に適用されてよい。
【0050】
単数形の要素の言及は、そのように明記されていない限り「ただ1つ」ではなくむしろ「1つ又は複数」を意味することを意図している。別段明記されていない限り、「いくつかの」という用語は1つ又は複数を指す。男性代名詞(例えば、彼の(his))は、女性及び中性(例えば、彼女の(her)及びそれの(its))を含み、その逆も同様である。見出し及び小見出しは、ある場合、便宜上のためだけに使用され、本発明を限定するものではない。
【0051】
「例示的な」という用語は、本明細書では、「実例又は例示としての役割をする」という意味で使用される。「例示的な」ものとして本明細書で説明される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利なものとして解釈されるべきではない。1つの態様では、本明細書に記載の様々な代替の構成及び動作が少なくとも同等であると考えられてよい。
【0052】
本明細書で使用されるとき、一連の項目のいずれかを分けるために「又は」という用語を用いた項目に先行する「少なくとも1つ」という語句は、リストの各項目ではなくむしろリスト全体を修飾する。「少なくとも1つ」という語句は、少なくとも1つの項目の選択を必要とせず、むしろその語句は、項目のいずれか1つ、及び/又は項目の任意の組合せの少なくとも1つ、及び/又は項目の各々の少なくとも1つ、のうちの少なくとも1つを含むという意味をもたらす。例として、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という語句は、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、又はA、B、及びCの任意の組合せを指してよい。
【0053】
「態様」などの語句は、そのような態様が本願技術に必須であることも、そのような態様が本願技術のすべての構成に適用されることも含意しない。態様に関する開示は、すべての構成、又は1つ又は複数の構成に適用されてよい。態様は、1つ又は複数の実例を提供してよい。態様などの語句は、1つ又は複数の態様を指し、その逆も同様であってよい。「実施例」などの語句は、そのような実施例が本願技術に必須であることも、そのような実施例が本願技術のすべての構成に適用されることも含意しない。実施例に関する開示は、すべての実施例、又は1つ又は複数の実施例に適用されてよい。実施例は、1つ又は複数の実例を提供してよい。実施例などの語句は、1つ又は複数の実施例を指し、その逆も同様であってよい。「構成」などの語句は、そのような構成が本願技術に必須であることも、そのような構成が本願技術のすべての構成に適用されることも含意しない。構成に関する開示は、すべての構成、又は1つ又は複数の構成に適用されてよい。構成は、1つ又は複数の実例を提供してよい。構成などの語句は、1つ又は複数の構成を指し、その逆も同様であってよい。
【0054】
1つの態様では、別途記載がない限り、以下の特許請求の範囲を含む本明細書に記載されたすべての測定値、値、等級、位置、大きさ、サイズ、及び他の仕様は、厳密なものではなく近似である。1つの態様では、それらは、それらが関連する機能及びそれらが関係する当該技術分野において慣例的なものに矛盾しない妥当な範囲を有することが意図されている。
【0055】
開示されたステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層が、例示的な手法の例示であることを理解されたい。設計の選好に基づいて、ステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層を並べ替えてよいことを理解されたい。ステップ、動作、又はプロセスのいくつかは同時に行われてもよい。ステップ、動作、又はプロセスの一部又は全部が、ユーザの介入なしに自動的に行われてもよい。添付の方法の請求項は、ある場合、例となる順序で様々なステップ、動作、又はプロセスの要素を提示するが、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意味するものではない。
【0056】
当業者に既知である、又は後に知られることになる、本開示全体にわたって説明された様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的な均等物が、参照によって本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。更に、本明細書で開示されたもののいずれも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公に寄与されることを意図したものではない。請求項の要素のいずれも、その要素が「~のための手段」という語句を使用して明記されていない限り、又は、方法の請求項の場合には、その要素が「~のためのステップ」という語句を使用して記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではない。更に、「含む」又は「有する」などの用語が使用される限りにおいて、そのような用語は、用語「備える」が用いられたときに請求項において転換語として解釈されるように「備える」と同様に包括的であることが意図されている。
【0057】
本開示の発明の名称、背景技術、発明の概要、図面の簡単な説明、及び要約は、本明細書によって本開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく本開示の例示的な実例として提供される。それらが特許請求の範囲又は意味を限定するために使用されるものではないという理解のもとで提出される。更に、詳細な説明において、説明が例示的な実例を提供しており、様々な特徴が本開示を簡素化することを目的として様々な実施例において共にグループ化されることがわかる。この開示の方法は、請求項に記載の主題が各請求項に明記されたものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された構成又は動作のすべての特徴よりも少ない特徴にある。以下の特許請求の範囲は、本明細書によって、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個に請求項に記載の主題として独立している。
【0058】
特許請求の範囲は、本明細書に記載の態様に限定されることは意図しておらず、請求項の文言と矛盾しない最大範囲が与えられ、すべての法的均等物を包含するものとする。それにもかかわらず、請求項のいずれも、米国特許法第101条、第102条、又は第103条の要件を満たしていない主題を包含することを意図しておらず、またそのように解釈されるべきではない。
図1
図2
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図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】