(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物、医薬組成物、及び医学的状態を治療する際のそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20241114BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20241114BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241114BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20241114BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241114BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20241114BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241114BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241114BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C07D471/04 107A
C07D471/04 CSP
A61K31/437
A61P19/02
A61P25/04
A61P29/00
A61P19/08
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P37/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527604
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 US2022049695
(87)【国際公開番号】W WO2023086564
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500034653
【氏名又は名称】ジェンザイム・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ロベール,ブノワ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB05
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物、医薬組成物、トロポミオシン関連キナーゼ及び/またはc-FMSを阻害する方法、ならびに医学的疾患及び病態、例えば、疼痛を治療する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の化合物3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物。
【請求項2】
前記X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):16.6±0.2にピークを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.6±0.2にピークを含む、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.9±0.2にピークを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):12.8±0.2、13.2±0.2、17.3±0.2、19.0±0.2、23.9±0.2、26.5±0.2、28.4±0.2、及び28.8±0.2にピークを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記回折角(2θ)での前記ピークの相対強度は、少なくとも15%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記回折角(2θ)での前記ピークの相対強度は、少なくとも20%である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記回折角(2θ)での前記ピークの相対強度は、少なくとも30%である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
回折角2θ、面間距離d、及び相対強度(最も強いピークに対するパーセンテージで表される)で表される以下のX線粉末回折パターンによって特性決定される、請求項1に記載の化合物。
【表1】
【請求項10】
前記X線粉末回折パターンは、実質的に
図1に示されているようなものである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物は、実質的に
図2と同じ示差走査熱量測定曲線を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項13】
炎症性疾患、自己免疫疾患、疼痛、変形性関節症、骨代謝欠陥、及びがんからなる群から選択される疾患または病態を治療する方法であって、請求項1~11のいずれか1項に記載の治療有効量の化合物を、それを必要とする対象に投与して、前記疾患または前記病態を治療することを含む、前記方法。
【請求項14】
前記疾患または前記病態は、炎症性疾患である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記疾患または前記病態は、自己免疫疾患である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記疾患または前記病態は、疼痛である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患または前記病態は、変形性関節症に起因する疼痛である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患または前記病態は、手術後の疼痛である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患または前記病態は、変形性関節症である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患または前記病態は、がんである、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記対象は、ヒトである、請求項13~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
トロポミオシン関連キナーゼの活性を阻害する方法であって、トロポミオシン関連キナーゼを請求項1~11のいずれか1項に記載の有効量の化合物と接触させて、前記トロポミオシン関連キナーゼの活性を阻害することを含む、前記方法。
【請求項23】
前記トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼAである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼBである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼCである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
コロニー刺激因子1に対する細胞受容体の活性を阻害する方法であって、コロニー刺激因子1に対する前記細胞受容体を請求項1~11のいずれか1項に記載の有効量の化合物と接触させて、コロニー刺激因子1に対する前記細胞受容体の活性を阻害することを含む、前記方法。
【請求項27】
請求項1の化合物を調製する方法であって、
a.(i)アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを含有する第1溶液と、(ii)回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物のアリコートとを混合して、第1混合物を得ることと、
b.約45℃~約55℃の範囲の温度で、少なくとも2時間の期間にわたって前記第1混合物を維持して、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の豊富な3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物を含有する結晶化混合物を生成することと、
c.前記結晶化混合物から請求項1に記載の化合物を単離することと、のステップを含む、前記方法。
【請求項28】
前記第1溶液中のアセトン対水の比率は、約80:20w/wである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1溶液は、温度が約45℃~約55℃の範囲である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1溶液は、温度が約50℃である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項31】
前記第1混合物は、温度が約50℃である、請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを混合することと、前記得られた溶液を約65℃~約75℃の温度まで加熱することと、次に、前記得られた溶液を冷却して、前記第1溶液を得ることと、をさらに含む、請求項27~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1溶液を得るための前記冷却は、毎時約-10℃の速度で実施される、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月12日に出願の欧州特許出願第21207942.0号の利益及び優先権を主張し、その内容は、それら全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物、医薬組成物、トロポミオシン関連キナーゼ及び/またはc-FMSを阻害する方法、ならびに医学的疾患及び病態、例えば、疼痛を治療する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
疼痛は、健康なヒト及び動物が組織損傷を回避し、及び/または損傷した組織のさらなる損傷を防ぐことができるようにする保護メカニズムとして機能することがある。しかし、その有用性を越えて疼痛が持続する事例が多く存在する。疼痛によるこの種の不必要な苦痛は、ヒトの身体的な運動性、精神的能力、正常に睡眠をとる能力、業務に従事する能力を弱める可能性があり、鬱病の原因となる場合もある。相当な数の患者に影響を及ぼす疼痛の1つには、変形性関節症の疼痛がある。変形性関節症の疼痛により衰弱する場合がある。例えば、膝関節の変形性関節症の疼痛に苦しむ患者は、多くの場合、歩行または階段の昇降といった単純な日常的な動作を行う能力が損なわれる。椅子に座る、またはベッドに横になるといった時でさえ、疼痛を感じる場合があり、睡眠を妨げることもある。膝関節の変形性関節症の疼痛を長期間緩和することは、膝関節の変形性関節症の疼痛に苦しむ患者に実質的な利益をもたらすであろう。
【0004】
トロポミオシン関連キナーゼを阻害する化合物が、変形性関節症の疼痛などの疼痛の治療時の使用に関して報告されている。トロポミオシン関連キナーゼは、ニュートロフィン(neutrophin)と呼ばれる可溶性成長因子によって活性化される高親和性受容体である。トロポミオシン関連キナーゼの活性化は、細胞増殖、生存、血管新生、及び転移などの細胞シグナル伝達に関与する下流キナーゼの活性化に繋がる。国際特許出願公開第WO2015/089139号及び同WO2016/100677号は、トロポミオシン関連キナーゼを阻害する特定の化合物について記載している。トロポミオシン関連キナーゼを阻害し、かつ優れた特性を有するさらなる化合物が望ましい。
【0005】
本発明は、さらなる化合物に対するこのニーズに対処し、かつ他の関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物、医薬組成物、トロポミオシン関連キナーゼ及び/またはc-FMSを阻害する方法、ならびに医学的疾患及び病態、例えば、疼痛を治療する方法を提供する。例えば、本発明の一態様は、化合物結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3を提供する。上記結晶性化合物は、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンに従って特性決定され得る。結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3は、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1よりも熱力学的により安定しているといった利益を提供する。結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3は、本明細書に記載の医薬組成物及び治療方法に使用することができる。種々の態様及び実施形態については、以下にさらに詳しく記載する。
【0007】
したがって、本発明の一態様は、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の化合物3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物を提供する。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):16.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.9±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):12.8±0.2、13.2±0.2、17.3±0.2、19.0±0.2、23.9±0.2、26.5±0.2、28.4±0.2、及び28.8±0.2にピークを含む。化合物は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の一部であり得る。
【0008】
本発明の別の態様は、炎症性疾患、自己免疫疾患、疼痛、変形性関節症、骨代謝欠陥、及びがんからなる群から選択される疾患または病態を治療する方法を提供する。方法は、本明細書に記載の治療有効量の化合物をそれを必要とする対象に投与して、疾患または病態を治療することを含む。特定の実施形態では、疾患または病態は、変形性関節症に起因する疼痛などの疼痛である。特定の実施形態では、疾患または病態は、変形性関節症である。
【0009】
本発明の別の態様は、トロポミオシン関連キナーゼの活性を阻害する方法を提供する。方法は、トロポミオシン関連キナーゼを、本明細書に記載の有効量の化合物と接触させて、上記トロポミオシン関連キナーゼの活性を阻害することを含む。特定の実施形態では、トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼAである。特定の実施形態では、トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼBである。特定の実施形態では、トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼCである。
【0010】
本発明の別の態様は、コロニー刺激因子1に対する細胞受容体の活性を阻害する方法を提供する。方法は、コロニー刺激因子1に対する上記細胞受容体を、本明細書に記載の有効量の化合物と接触させて、コロニー刺激因子1に対する上記細胞受容体の活性を阻害することを含む。
【0011】
本発明の別の態様は、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の化合物3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物を調製する方法を提供する。方法は、
a.(i)アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを含有する第1溶液と、(ii)回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物のアリコートとを混合して、第1混合物を得ることと、
b.約45℃~約55℃の範囲の温度で、少なくとも2時間の期間にわたって第1混合物を維持して、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の豊富な3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物を含有する結晶化混合物を生成することと、
c.該結晶化混合物から結晶形態の上記化合物を単離することと、のステップを含む。
【0012】
特定の実施形態では、第1溶液中のアセトン対水の比率は、約80:20w/wである。特定の実施形態では、第1溶液は、温度が約45℃~約55℃の範囲である。さらなる実施形態については、本明細書中で後述する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例3にてさらに説明するような、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3のX線粉末回折図を示す。
【
図2】実施例3にてさらに説明するような、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3の示差走査熱量測定曲線を示す。
【
図3】実施例3にてさらに説明するような、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3のDVS等温線プロットを示す。
【
図4】実施例3にてさらに説明するような、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3の熱重量分析/質量分析(TGA-MS)プロファイルを示す。
【
図5】実施例5にてさらに説明するような、関節内液体をシミュレートした、溶液中の試験組成物:結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3(「形態3化合物」)、及び結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1(「形態1化合物」)の透析溶解を評価する透析溶解実験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物、医薬組成物、トロポミオシン関連キナーゼ及び/またはc-FMSを阻害する方法、ならびに医学的疾患及び病態、例えば、疼痛を治療する方法を提供する。例えば、本発明の一態様は、化合物結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3を提供する。上記結晶性化合物は、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンに従って特性決定され得る。結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3は、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1よりも熱力学的により安定しているといった利益を提供する。結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3は、本明細書に記載の医薬組成物及び治療方法に使用することができる。本発明の実施は、別段の指示がない限り、有機化学、薬理学、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の技術を使用する。そのような技術は“Comprehensive Organic Synthesis”(B.M.Trost & I.Fleming,eds.,1991-1992)、“Handbook of experimental immunology”(D.M.Weir & C.C.Blackwell,eds.)、“Current protocols in molecular biology”(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987,及び定期的な最新版)、ならびに“Current protocols in immunology”(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)などの文献にて説明されており、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0015】
本発明の種々の態様は、以下の章に記載されるが、ある特定の章に記載される本発明の態様は、いずれの特定の章にも限定されるものではない。さらに、変数に定義が付随していない場合、変数の以前の定義が優先される。
【0016】
定義
本明細書で使用される用語は、それらの通常の意味を有し、そのような用語の意味は、その各出現において独立している。それにもかかわらず、別段の記載がない限り、以下の定義が明細書及び特許請求の範囲全体に適用される。化学名、一般名、及び化学構造は、同じ構造を説明するために互換的に使用される場合がある。化学的化合物が化学構造及び化学名の両方を用いて言及され、かつ構造と名称との間が不明瞭である場合、構造が優先される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「a」及び「an」という用語は、「1つ以上」を意味し、文脈が不適切でない限り、複数を含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、同じ意味で用いられ、本発明の方法によって治療される生物を指す。このような生物としては、好ましくは、哺乳類(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)が挙げられ、最も好ましくは、ヒトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、有益な結果または所望の結果(例えば、治療上の結果、寛解性結果、阻害結果、または予防的結果)を達成するのに十分な化合物の量を指す。有効量は、1回以上の投与、適用、または投与量で投与することができ、特定の製剤または投与経路に限定されることを意図しない。本明細書で使用される場合、「治療すること」という用語は、病態、疾患、障害などの改善、またはそれらの症状の緩和をもたらす、任意の効果、例えば、軽減、低減、調整、緩和、または除去を含む。
【0020】
特に指定しない限り、「約」という用語は、記載の値の±10%の範囲内を指す。本発明は、値が記載の値の±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、または±1%以内である実施形態を包含する。
【0021】
化学名「3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン」は、以下の式を有する化合物を指す。
【化1】
【0022】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、活性剤と、組成物をインビボまたはエクスビボでの診断用途または治療用途に特に好適なものにする不活性または活性の担体との組み合わせを指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、乳濁液(例えば、油/水または水/油乳濁液など)、及び種々のタイプの湿潤剤などの、標準的な薬学的担体のいずれかを指す。組成物はまた、安定剤及び防腐剤を含んでもよい。担体、安定剤、及びアジュバントの例については、例えば、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Mack Publ.Co.,Easton,PA[1975]を参照されたい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の任意の薬学的に許容される塩(例えば、酸または塩基)を指し、対象への投与後に本発明の化合物またはその活性代謝物もしくは残留物を提供することができる。当業者に周知の通り、本発明の化合物の「塩」は、無機または有機酸及び塩基に由来し得る。酸の例としては、限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それら自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際に、中間物として有用な塩の調製において利用されてもよい。
【0025】
塩基の例としては、限定されるものではないが、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、水酸化物、アンモニア、及び式NW4
+の化合物などが挙げられ、式中、WはC1~4アルキルなどである。
【0026】
塩の例としては、限定されるものではないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート(トルエンスルホン酸塩としても知られている)、ウンデカン酸塩などが挙げられる。塩の他の例としては、例えば、Na+、NH4
+、及びNW4
+(式中、Wは、C1~4アルキル基である)などの好適なカチオンと化合される、本発明の化合物のアニオンなどが挙げられる。塩のさらなる例としては、限定されるものではないが、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、硝酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、及び硫酸などが挙げられる。さらに、塩基性医薬化合物から薬学的に有用な塩を形成するのに適していると一般に見なされている酸については、例えば、P.Stahl et al.,Camille G.(eds.)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley-VCH、S.Berge et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1-19、P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201-217、Anderson et al.,The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York、及びThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.のウェブサイト)によって説明されている。これらの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0027】
本発明の組成物中に含有される特定の化合物は、特に、幾何学的形態または立体異性形態で存在し得る。さらに、本明細書に記載の特定の化合物は、光学活性であり得る。本発明は、シス異性体及びトランス異性体、R鏡像異性体及びS鏡像異性体、ジアステレオ異性体、(D)異性体、(L)異性体、それらのラセミ混合物、ならびにそれらの他の混合物を含み、同時に、本発明の範囲に包含される、そのような全ての化合物を企図する。化合物は、1つ以上の不斉中心を含む場合がある。例えば、不斉炭素原子が、アルキル基などの置換基に存在する場合がある。そのような全ての異性体、ならびにそれらの混合物、例えば、ラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオ異性混合物、及び個々のジアステレオ異性体などは、本発明に包含されることが意図される。さらなる不斉中心が、分子上の種々の置換基の性質に応じて存在し得る。そのような不斉中心のそれぞれは、独立して2つの光学異性体を生成し、考えられる光学異性体、混合物中のジアステレオ異性体、及び純粋なまたは部分的に精製された化合物の全ては、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0028】
ジアステレオ異性混合物は、例えば、クロマトグラフィー及び/または分別再結晶などの当業者に周知の方法によって、それらの物理化学的差異に基づいてそれらの個々のジアステレオ異性体に分離することができる。鏡像異性体は、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールまたはモッシャー酸塩化物などのキラル補助剤)との反応により鏡像異性混合物をジアステレオ異性混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、個々のジアステレオ異性体を対応する純粋な鏡像異性体に変換(例えば加水分解)することによって分離できる。あるいは、本発明の化合物の特定の鏡像異性体は、不斉合成によって調製され得る。さらに、分子が塩基性官能基(アミノなど)または酸性官能基(カルボン酸など)を含む場合、ジアステレオ異性塩が、適切な光学活性酸または塩基で形成され、続いて、そのようにして形成されたジアステレオ異性体が、分別再結晶または当技術分野において知られているクロマトグラフィー手段によって分割され、次に、純粋な鏡像異性体が回収される。
【0029】
本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含んでいない場合があるか、または、例えば、ラセミ体として、もしくは、他の全ての、もしくは他の選択した立体異性体と混合されてよい。本発明の化合物中のキラル中心(複数可)は、IUPAC 1974 Recommendationsによって定義されるような、SまたはR立体配置を有し得る。さらに、本明細書に記載の化合物がアトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)として存在する可能性がある限り、そのようなアトロプ異性体の全ての形態は、本発明の一部と見なされる。
【0030】
本発明は、原子のうち1つ以上が同じ原子番号を有するが、自然界で主に見られる原子質量または質量数とは原子質量または質量数が異なる特定の同位体で人工的に濃縮される化合物を含む。本発明は、本発明の化合物の適切な同位体変形形態の全てを含むことを意図している。例えば、水素(H)の異なる同位体形態には、プロチウム(1H)及びジュウテリウム(2H)が含まれる。プロチウムは、自然界で主に見られる水素同位体である。ジュウテリウムを濃縮すると、特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の延長または投与量要件の低減を得ることができるか、または生物学的サンプルの特性決定の標準として有用な化合物が生じる可能性がある。同位体濃縮化合物は、当業者に周知の従来技術による過度な実験を行うことなく調製するか、または適切な同位体濃縮試薬及び/または中間体を使用して本明細書のスキーム及び実施例で説明されるのと類似したプロセスによって調製することができる。
【0031】
本明細書全体を通して、組成物が特定の構成要素を有する、含む(including)、または含む(comprising)と説明される場合、またはプロセス及び方法が特定のステップを有する、含む(including)、または含む(comprising)と説明される場合、さらに、列挙された構成要素から本質的になる、またはそれらからなる本発明の組成物が存在すること、及び列挙された処理ステップから本質的になる、またはそれらからなる本発明によるプロセス及び方法が存在することが企図される。
【0032】
一般的に、パーセンテージを指定する組成物は、特に指定しない限り、重量%である。
【0033】
I.結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物
本発明は、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3として本明細書に記載の結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物を提供する。結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物は、X線粉末回折、示差走査熱量測定、及びその他の分光技術によって特性決定され得る。化合物を調製し、かつ使用する方法については、本明細書中で後述する。結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3は、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1よりも熱力学的により安定しているといった利益を提供する。結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1については、国際特許出願公開第WO2016/100677号に記載されている。
【0034】
したがって、本発明の一態様は、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の化合物3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物を提供する。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):16.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.9±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):12.8±0.2、13.2±0.2、17.3±0.2、19.0±0.2、23.9±0.2、26.5±0.2、28.4±0.2、及び28.8±0.2のうち1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):12.8±0.2、13.2±0.2、17.3±0.2、19.0±0.2、23.9±0.2、26.5±0.2、28.4±0.2、及び28.8±0.2にピークを含む。
【0035】
特定の実施形態では、上記回折角(2θ)でのピークの相対強度は、少なくとも15%である。特定の実施形態では、上記回折角(2θ)でのピークの相対強度は、少なくとも20%である。特定の実施形態では、上記回折角(2θ)でのピークの相対強度は、少なくとも30%である。
【0036】
特定の実施形態では、化合物は、回折角2θ、面間距離d、及び相対強度(最も強いピークに対するパーセンテージで表される)で表される以下のX線粉末回折パターンによって特性決定される。
【表1】
【0037】
特定の実施形態では、化合物は、実質的に
図1に示されているようなX線粉末回折パターンを有する。
【0038】
特定の実施形態では、化合物は、実質的に
図2と同じ示差走査熱量測定曲線を有する。
【0039】
結晶性化合物は、例えば、実施例に記載されるようなアセトン/水溶液からの結晶化によって調製することができる。
【0040】
II.結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物及び医薬組成物の治療応用
本明細書に記載の結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物は、炎症性疾患、自己免疫疾患、疼痛、変形性関節症、骨代謝欠陥、及びがんを治療するために使用することができる。したがって、本発明の一態様は、炎症性疾患、自己免疫疾患、疼痛、変形性関節症、骨代謝欠陥、及びがんからなる群から選択される疾患または病態を治療する方法を提供する。方法は、本明細書に記載の治療有効量の化合物をそれを必要とする対象に投与して、疾患または病態を治療することを含む。本化合物は、医薬組成物として製剤化することができる。好ましくは、化合物は、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物である。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):16.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.9±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):12.8±0.2、13.2±0.2、17.3±0.2、19.0±0.2、23.9±0.2、26.5±0.2、28.4±0.2、及び28.8±0.2にピークを含む。
【0041】
特定の実施形態では、疾患または病態は、炎症性疾患である。特定の実施形態では、疾患または病態は、自己免疫疾患である。特定の実施形態では、疾患または病態は、疼痛である。特定の実施形態では、疾患または病態は、変形性関節症に起因する疼痛である。特定の実施形態では、疾患または病態は、変形性関節症に起因する関節痛、例えば、変形性関節症に起因する膝関節痛である。特定の実施形態では、疾患または病態は、手術後の疼痛である。特定の実施形態では、疾患または病態は、変形性関節症である。特定の実施形態では、疾患または病態は、がんである。
【0042】
特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0043】
本発明の別の態様は、トロポミオシン関連キナーゼの活性を阻害する方法を提供する。方法は、トロポミオシン関連キナーゼを、本明細書に記載の有効量の化合物と接触させて、上記トロポミオシン関連キナーゼの活性を阻害することを含む。特定の実施形態では、トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼAである。特定の実施形態では、トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼBである。特定の実施形態では、トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼCである。好ましくは、化合物は、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物である。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):16.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.9±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):12.8±0.2、13.2±0.2、17.3±0.2、19.0±0.2、23.9±0.2、26.5±0.2、28.4±0.2、及び28.8±0.2にピークを含む。
【0044】
本発明の別の態様は、コロニー刺激因子1に対する細胞受容体の活性を阻害する方法を提供する。方法は、コロニー刺激因子1に対する上記細胞受容体を、本明細書に記載の有効量の化合物と接触させて、コロニー刺激因子1に対する上記細胞受容体の活性を阻害することを含む。好ましくは、化合物は、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物である。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.9±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):12.8±0.2、13.2±0.2、17.3±0.2、19.0±0.2、23.9±0.2、26.5±0.2、28.4±0.2、及び28.8±0.2にピークを含む。
【0045】
本発明の別の態様は、医薬品の製造における本明細書に記載の化合物の使用を提供する。特定の実施形態では、医薬品は、疼痛などの本明細書に記載の障害を治療するためのものである。
【0046】
本発明の別の態様は、本明細書に記載の医学的障害(例えば、疼痛)などの医学的障害を治療するための本明細書に記載の化合物の使用を提供する。
【0047】
III.結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物を調製する方法
本発明の別の態様は、結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物を調製する方法を提供する。方法は、概して、アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを含有する溶液から、3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3を結晶化すること、を伴う。
【0048】
したがって、本発明の一態様は、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物を調製する方法を提供する。方法は、
a.(i)アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを含有する第1溶液と、(ii)回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物のアリコートとを混合して、第1混合物を得ることと、
b.約45℃~約55℃の範囲の温度で、少なくとも2時間の期間にわたって第1混合物を維持して、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の豊富な3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物を含有する結晶化混合物を生成することと、
c.該結晶化混合物から回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の上記3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物を単離することと、のステップを含む。
【0049】
方法は、さらに、方法及び/または追加の実施形態の特定の特徴に従ってさらに特性決定される場合がある。例えば、特定の実施形態では、第1溶液中のアセトン対水の比率は、約80:20w/wである。特定の実施形態では、第1溶液は、温度が約45℃~約55℃の範囲である。特定の実施形態では、第1溶液は、温度が約50℃である。特定の実施形態では、第1混合物は、温度が約50℃である。
【0050】
特定の実施形態では、ステップ(b)は、約50℃の温度で、少なくとも2時間の期間にわたって第1混合物を維持することを含む。特定の実施形態では、ステップ(b)は、約45℃~約55℃の範囲の温度で、少なくとも3時間の期間にわたって第1混合物を維持することを含む。特定の実施形態では、ステップ(b)は、約50℃の温度で、少なくとも3時間の期間にわたって第1混合物を維持することを含む。特定の実施形態では、ステップ(b)は、約45℃~約55℃の範囲の温度で、約3時間の期間にわたって第1混合物を維持することを含む。特定の実施形態では、ステップ(b)は、約50℃の温度で、約3時間の期間にわたって第1混合物を維持することを含む。
【0051】
特定の実施形態では、方法は、ステップ(b)の後、結晶化混合物を約-5℃~約5℃の範囲の温度まで(例えば、毎時約-5℃の速度で)冷却させることと、次に、結晶化混合物を約45℃~約55℃の範囲の温度まで加熱することとをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、ステップ(b)の後、結晶化混合物を約-5℃~約5℃の範囲の温度まで(例えば、毎時約-5℃の速度で)冷却させることと、結晶化混合物を約-5℃~約5℃の範囲の温度で、少なくとも1時間維持することと、次に、結晶化混合物を約45℃~約55℃の範囲の温度まで加熱することとをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、ステップ(b)の後、結晶化混合物を約0℃の温度まで(例えば、毎時約-5℃の速度で)冷却させることと、次に、結晶化混合物を約50℃の温度まで加熱することとをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、ステップ(b)の後、結晶化混合物を約0℃の温度まで(例えば、毎時約-5℃の速度で)冷却させることと、結晶化混合物を約0℃の温度で、少なくとも1時間維持することと、次に、結晶化混合物を約50℃の温度まで加熱することとをさらに含む。
【0052】
特定の実施形態では、ステップ(c)の単離することは、結晶化混合物を濾過して、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物の結晶を得ることを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):16.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.6±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.9±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):12.8±0.2、13.2±0.2、17.3±0.2、19.0±0.2、23.9±0.2、26.5±0.2、28.4±0.2、及び28.8±0.2にピークを含む。特定の実施形態では、方法は、上記結晶を溶媒(例えば、アセトンと水との混合物であって、より好ましくは、80:20w/wのアセトンと水との混合物)を用いて洗浄することをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、上記結晶を溶媒(例えば、アセトンと水との混合物であって、より好ましくは、80:20w/wのアセトンと水との混合物)を用いて洗浄することと、次に、結晶を真空下で、35℃未満の温度で(例えば、少なくとも4時間の期間にわたって)乾燥させることと、をさらに含む。
【0053】
特定の実施形態では、方法は、アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを混合することと、得られた溶液を約65℃~約75℃の温度まで加熱することと、次に、得られた溶液を冷却して、第1溶液を得ることと、をさらに含む。特定の実施形態では、方法は、アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを混合することと、得られた溶液を約65℃~約75℃の温度まで加熱することと、次に、得られた溶液を約50℃~約60℃の温度まで冷却させることと、溶液を(例えば、約0.1μm~約0.5μmのカートリッジ、またはより好ましくは、約0.2μmのカートリッジに通して)濾過し、それによって、第1溶液を得ることと、をさらに含む。特定の実施形態では、第1溶液を得るための上記冷却は、毎時約-10℃の速度で実施される。
【0054】
特定の実施形態では、方法は、アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを混合することと、得られた溶液を約70℃の温度まで加熱することと、次に、得られた溶液を冷却して、第1溶液を得ることと、をさらに含む。
【0055】
特定の実施形態では、方法は、アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを混合することと、得られた溶液を約70℃の温度まで加熱することと、次に、得られた溶液を約55℃の温度まで冷却させることと、溶液を(例えば、約0.1μm~約0.5μmのカートリッジ、またはより好ましくは、約0.2μmのカートリッジに通して)濾過し、それによって、第1溶液を得ることと、をさらに含む。特定の実施形態では、第1溶液を得るための上記冷却は、毎時約-10℃の速度で実施される。
【0056】
IV.併用療法
本発明の別の態様は、併用療法を提供する。結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物は、炎症性疾患、自己免疫疾患、疼痛、変形性関節症、骨代謝欠陥、及びがんなどの医学的疾患または病態を治療するために、追加の治療剤と組み合わせて使用することができる。特定の実施形態では、追加の治療剤は、疼痛を治療するためのものである。特定の実施形態では、追加の治療剤は、変形性関節症に起因する疼痛を治療するためのものである。特定の実施形態では、追加の治療剤は、変形性関節症を治療するためのものである。
【0057】
結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物及び追加の治療剤の量、ならびに投与の相対的なタイミングは、所望の組み合わせた治療効果を実現するために選択されてよい。例えば、併用療法を、そのような投与を必要とする患者に投与する場合、組み合わせにおける治療剤、または治療剤を含む医薬組成物もしくは組成物は、例えば、連続的に、並行して、一緒に、同時になど任意の順序で投与されてよい。さらに、例えば、結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物は、追加の治療剤(複数可)がその予防効果または治療効果を発揮している間に投与されよく、逆もまた同じである。
【0058】
併用療法で使用される活性成分の用量及び投与計画は、主治の臨床医によって決定されてよい。特定の実施形態では、結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物及び追加の治療剤(複数可)は、かかる薬剤が障害を治療するために単独療法で使用される場合に一般に利用される用量で投与される。その他の実施形態では、結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物及び追加の治療剤(複数可)は、かかる薬剤が障害を治療するために単独療法で使用される場合に一般に利用される用量未満の用量で投与される。特定の実施形態では、結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物及び追加の治療剤(複数可)は、経口投与に適した同じ組成物中に存在する。
【0059】
特定の実施形態では、結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物は、相加的または相乗的に作用する場合がある。相乗的組み合わせにより、併用療法の1つ以上の薬剤のより少ない投与量及び/または1つ以上の薬剤のより少ない頻度の投与が可能となる場合がある。1つ以上の薬剤のより少ない投与量またはより少ない頻度の投与は、治療の効果を低減することなく、治療の毒性を低下させる可能性がある。
【0060】
本発明の別の態様は、治療有効量の結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物、薬学的に許容される担体、ビヒクル、または希釈剤、及び任意に少なくとも1つの上記の追加の治療剤を含むキットである。
【0061】
V.例示的実施形態
例示的実施形態を以下に示す。
1.回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の化合物3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物。
【0062】
2.前記X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):16.6±0.2にピークを含む、実施形態1に記載の化合物。
【0063】
3.前記X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.6±0.2にピークを含む、実施形態1または2に記載の化合物。
【0064】
4.前記X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):22.9±0.2にピークを含む、実施形態1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【0065】
5.前記X線粉末回折パターンは、さらに、回折角(2θ):12.8±0.2、13.2±0.2、17.3±0.2、19.0±0.2、23.9±0.2、26.5±0.2、28.4±0.2、及び28.8±0.2にピークを含む、実施形態1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【0066】
6.前記回折角(2θ)での前記ピークの相対強度は、少なくとも15%である、実施形態1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【0067】
7.前記回折角(2θ)での前記ピークの相対強度は、少なくとも20%である、実施形態1に記載の化合物。
【0068】
8.前記回折角(2θ)での前記ピークの相対強度は、少なくとも30%である、実施形態1に記載の化合物。
【0069】
9.回折角2θ、面間距離d、及び相対強度(最も強いピークに対するパーセンテージで表される)で表される以下のX線粉末回折パターンによって特性決定される、実施形態1に記載の化合物。
【表2】
【0070】
10.前記X線粉末回折パターンは、実質的に
図1に示されているようなものである、実施形態1に記載の化合物。
【0071】
11.前記化合物は、実質的に
図2と同じ示差走査熱量測定曲線を有する、実施形態1~10のいずれか1項に記載の化合物。
【0072】
12.実施形態1~11のいずれか1項に記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【0073】
13.炎症性疾患、自己免疫疾患、疼痛、変形性関節症、骨代謝欠陥、及びがんからなる群から選択される疾患または病態を治療する方法であって、実施形態1~11のいずれか1項に記載の治療有効量の化合物を、それを必要とする対象に投与して、前記疾患または前記病態を治療することを含む、前記方法。
【0074】
14.前記疾患または前記病態は、炎症性疾患である、実施形態13に記載の方法。
【0075】
15.前記疾患または前記病態は、自己免疫疾患である、実施形態13に記載の方法。
【0076】
16.前記疾患または前記病態は、疼痛である、実施形態13に記載の方法。
【0077】
17.前記疾患または前記病態は、変形性関節症に起因する疼痛である、実施形態13に記載の方法。
【0078】
18.前記疾患または前記病態は、手術後の疼痛である、実施形態13に記載の方法。
【0079】
19.前記疾患または前記病態は、変形性関節症である、実施形態13に記載の方法。
【0080】
20.前記疾患または前記病態は、がんである、実施形態13に記載の方法。
【0081】
21.前記対象は、ヒトである、実施形態13~20のいずれか1項に記載の方法。
【0082】
22.トロポミオシン関連キナーゼの活性を阻害する方法であって、トロポミオシン関連キナーゼを実施形態1~11のいずれか1項に記載の有効量の化合物と接触させて、前記トロポミオシン関連キナーゼの活性を阻害することを含む、前記方法。
【0083】
23.前記トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼAである、実施形態22に記載の方法。
【0084】
24.前記トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼBである、実施形態22に記載の方法。
【0085】
25.前記トロポミオシン関連キナーゼは、トロポミオシン関連キナーゼCである、実施形態22に記載の方法。
【0086】
26.コロニー刺激因子1に対する細胞受容体の活性を阻害する方法であって、コロニー刺激因子1に対する前記細胞受容体を実施形態1~11のいずれか1項に記載の有効量の化合物と接触させて、コロニー刺激因子1に対する前記細胞受容体の活性を阻害することを含む、前記方法。
【0087】
27.実施形態1の化合物を調製する方法であって、
a.(i)アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを含有する第1溶液と、(ii)回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物のアリコートとを混合して、第1混合物を得ることと、
b. 約45℃~約55℃の範囲の温度で、少なくとも2時間の期間にわたって前記第1混合物を維持して、回折角(2θ):14.9±0.2、20.2±0.2、20.7±0.2、21.4±0.2、25.1±0.2、28.0±0.2、及び30.0±0.2にピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶形態の豊富な3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物を含有する結晶化混合物を生成することと、
c.前記結晶化混合物から実施形態1に記載の化合物を単離することと、のステップを含む、前記方法。
【0088】
28.前記第1溶液中のアセトン対水の比率は、約80:20w/wである、実施形態27に記載の方法。
【0089】
29.前記第1溶液は、温度が約45℃~約55℃の範囲である、実施形態27または28に記載の方法。
【0090】
30.前記第1溶液は、温度が約50℃である、実施形態27または28に記載の方法。
【0091】
31.前記第1混合物は、温度が約50℃である、実施形態27~30のいずれか1項に記載の方法。
【0092】
32.アセトン、水、及び3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを混合することと、前記得られた溶液を約65℃~約75℃の温度まで加熱することと、次に、前記得られた溶液を冷却して、前記第1溶液を得ることと、をさらに含む、実施形態27~31のいずれか1項に記載の方法。
【0093】
33.前記第1溶液を得るための前記冷却は、毎時約-10℃の速度で実施される、実施形態32に記載の方法。
【0094】
VI.医薬組成物及び投薬上の留意事項
上述のように、本発明は、1つ以上の薬学的に許容される担体(添加剤)及び/または希釈剤と共に製剤化された、治療有効量の上記化合物のうち1つ以上を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、固体または液体形態での投与向けに特別に製剤化されたものであり得、(1)経口投与、例えば、水薬(水溶液または非水溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、口腔内、舌下、及び全身吸収を目的とするもの、ボーラス、散剤、顆粒、舌への適用のためのペースト、(2)非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、または硬膜外注射による、例えば、無菌溶液または懸濁液、または徐放性製剤としてのもの、(3)局所適用、例えば、皮膚に塗布されるクリーム、軟膏、または制御放出パッチもしくはスプレー、(4)膣内または直腸内の、例えば、膣坐薬、クリーム、またはフォームとしてのもの、(5)舌下の、(6)眼球への、(7)経皮の、あるいは(8)経鼻の投与に適応させたものが含まれる。特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0095】
「治療有効量」という語句は、本明細書で使用される場合、本発明の化合物を含む化合物、材料、または組成物の量であって、いかなる医学的処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で動物内の細胞の少なくとも部分母集団において、いくらかの所望の治療効果を生み出すのに有効な量を意味する。
【0096】
「薬学的に許容される」という語句は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適した、安全な医学的判断の範囲内にあり、合理的な利益/リスク比に見合う、化合物、材料、組成物及び/または剤形を指すために本明細書で用いられる。
【0097】
湿潤剤、乳化剤、及び滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤、防腐剤、及び抗酸化剤もまた、組成物中に存在し得る。
【0098】
薬剤的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤、及び(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
【0099】
本発明の製剤は、経口、経鼻、局所(口腔内及び舌下を含む)、直腸、膣内、及び/または非経口投与に好適なものを含む。本製剤は、好都合にも単位剤形で提供することができ、薬学の分野において周知である任意の方法によって調製することができる。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置されるホスト、投与の特定の様式に応じて変化する。単一剤形を生成するための担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、概して治療効果を生じさせる化合物の量となる。概して、100パーセントのうち、この量は、活性成分の約0.1パーセント~約99パーセントの範囲、好ましくは、約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは、約10パーセント~約30パーセントとなる。
【0100】
特定の実施形態では、本発明の製剤は、シクロデキストリン、セルロース、リポソーム、ミセル形成剤、例えば、胆汁酸、及びポリマー担体、例えば、ポリエステル及びポリ無水物からなる群から選択される賦形剤と、本発明の化合物とを含む。特定の実施形態では、上述の製剤化により、本発明の化合物が経口的に生体利用可能となる。
【0101】
これらの製剤または組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、担体及び任意に1つ以上の補助成分と結合させるステップを含む。一般に、製剤は、本発明の化合物を液体担体もしくは微粉化固体担体またはその両方と均一かつ密接に結合させ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
【0102】
経口投与に好適な本発明の製剤は、それぞれが活性成分として所定の量の本発明の化合物を含有する、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(風味付けされた基剤、通常はショ糖及びアカシアまたはトラガカントを使用する)、散剤、顆粒の形態、または水性もしくは非水性液体の溶液もしくは懸濁液、または水中油型もしくは油中水型液体乳濁液、またはエリキシル剤もしくはシロップ、または香錠(ゼラチン及びグリセリン、もしくはショ糖及びアカシアなどの不活性基剤を使用する)、及び/またはうがい薬などであり得る。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与されてもよい。
【0103】
経口投与向けの本発明の固体剤形(カプセル、錠剤、丸剤、糖剤、散剤、顆粒、トローチなど)において、活性成分は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸ニカルシウム、及び/または、(1)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、及び/またはケイ酸、(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、及び/またはアカシア、(3)保湿剤、例えば、グリセロール、(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、(5)溶液遅延剤、例えば、パラフィン、(6)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、及び界面活性剤、例えば、ポロキサマ及びラウリル硫酸ナトリウム、(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、及び非イオン性界面活性剤、(8)吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土、(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、及びそれらの混合物、(10)着色剤、ならびに(11)制御放出剤、例えば、クロスポピドンまたはエチルセルロース、のうちいずれかのような1つ以上の薬学的に許容される担体と混合される。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合、本医薬組成物はまた、緩衝剤も含み得る。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質及び硬質シェルゼラチンカプセル中の充填剤として用いることもできる。
【0104】
錠剤は、圧縮または成形によって、任意に1つ以上の補助成分と共に、作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、または分散剤を使用して調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末の化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製され得る。
【0105】
本発明の医薬組成物の錠剤、ならびに糖剤、カプセル、丸剤、及び顆粒などのその他の固体剤形は、必要に応じて、腸溶性コーティング及び医薬製剤技術でよく知られている他のコーティング材などのコーティング材及びシェルを用いて割線が入れられるか、または調製され得る。それらはまた、例えば、所望の放出プロファイルを得るように様々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、及び/または微粒子を使用して、それらの中の活性成分を徐放または制御放出させるように製剤化され得る。それらは、急速放出向けに製剤化されてよく、例えば、凍結乾燥されてよい。それらはまた、例えば、細菌保持フィルタを通した濾過によって、または、使用直前に滅菌水またはいくつかの他の滅菌注射用媒体中に溶解可能な滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。これらの組成物はまた、必要に応じて、不透明化剤を含有してもよく、かつ、活性成分(複数可)を、消化管の特定の部分のみに、または当該部分に優先的に、必要に応じて、遅延様式で、放出する組成物であってよい。使用可能な包埋組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。活性成分はまた、適切な場合、上述した賦形剤のうち1つ以上と共にマイクロカプセル化された形態であり得る。
【0106】
本発明の化合物の経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容される乳濁液、マイクロ乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(具体的には、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物などの当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含有し得る。
【0107】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤、及び懸濁剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤、及び防腐剤などのアジュバントを含むこともできる。
【0108】
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、及びトラガカント、ならびにそれらの混合物を含有し得る。
【0109】
直腸または膣内投与向けの本発明の医薬組成物の製剤は、坐薬として提供され得、該坐薬は、本発明の1つ以上の化合物を、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、坐薬ワックスまたはサリチル酸塩を含む1つ以上の好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製することができ、かつ、室温では固体であるが、体温では液体であり、ゆえに、直腸または膣腔で溶けて、活性化合物を放出する。
【0110】
膣内投与に適した本発明の製剤としては、適切であることが当技術分野において周知のような担体を含有する膣坐薬、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤も挙げられる。
【0111】
本発明の化合物の局所または経皮投与向けの剤形としては、散剤、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、溶液、パッチ、及び吸入剤が挙げられる。活性化合物は、薬学的に許容される担体と、及び、必要な場合は、任意の防腐剤、緩衝剤、または噴霧剤と共に、滅菌条件下で混合され得る。
【0112】
軟膏、ペースト、クリーム、及びジェルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、またはこれらの混合物などの賦形剤を含有し得る。
【0113】
散剤及びスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有し得る。スプレーは、追加的に、クロロフルオロ炭化水素、ならびにブタン及びプロパンなどの揮発性非置換炭化水素などの一般的な噴霧剤を含有し得る。
【0114】
経皮パッチには、身体への本発明の化合物の制御性送達をもたらすといったさらなる利点がある。このような剤形は、適切な媒体中に化合物を溶解させるか、または分散させることによって作製することができる。皮膚を横断する化合物の流れを増加させるために吸収向上剤もまた使用することができる。このような流れの速度は、速度制御膜を設けることによるか、またはポリマーマトリックスもしくはジェル中に化合物を分散させることによるかのいずれかによって制御することができる。
【0115】
眼科製剤、眼軟膏剤、散剤、溶液などもまた、本発明の範囲内であることが企図される。
【0116】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される滅菌等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液もしくは乳濁液と、あるいは、使用直前に、糖類、アルコール、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、製剤を投与対象者の血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含有し得る滅菌注射用溶液もしくは分散液に溶液調製され得る滅菌散剤と組み合わせた本発明の1つ以上の化合物を含む。
【0117】
本発明の医薬組成物中で使用され得る好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物性油、ならびにエチルオレイン酸塩などの注射用有機物エステルが挙げられる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用によって、分散の場合には要求される粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0118】
これらの組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントも含有し得る。目的の化合物に対する微生物の作用の防止は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など、を含めることによって確保することができる。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含めることもまた望ましい場合がある。加えて、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の含有によってもたらすことができる。
【0119】
場合によっては、薬物の効果を延長させるために、皮下注射または筋肉内注射による薬物の吸収を遅らせることが望ましい。このことは、難水溶性の結晶質材料または非晶質材料の液体懸濁液を使用することによって達成することができる。その場合、薬物の吸収速度は、溶解速度に依存し、その溶解速度は、結晶サイズ及び結晶形態に依存する場合がある。代替的に、非経口投与薬物形態の遅延吸収は、油性溶媒中に薬物を溶解させるか、または懸濁させることによって達成される。
【0120】
注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で目的の化合物のマイクロカプセル化マトリックスを形成させることによって作製される。薬物対ポリマーの比率、及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、体内組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を封入することによって調製することができる。
【0121】
本発明の化合物が医薬品としてヒト及び動物に投与される場合、それらは、それ自体で投与されるか、または例えば、薬学的に許容される担体と組み合わせて、0.1~99%(より好ましくは、10~30%)の活性成分を含有する医薬組成物として投与され得る。
【0122】
本発明の調製物は、経口、非経口、局所、または直腸投与され得る。それらは、当然、各投与経路に適した形態で投与される。例えば、それらは、錠剤またはカプセルの形態で、注射、吸入、点眼剤、軟膏、坐薬など、注射、点滴または吸入による投与によって、ローションまたは軟膏によって局所に、坐薬によって直腸に投与される。経口投与が好ましい。
【0123】
「非経口投与」及び「非経口投与される」という語句は、本明細書で使用される場合、経腸投与及び局所投与以外の、通常は注射による投与方法を意味し、これには、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、及び胸骨内の注射及び注入が挙げられる。
【0124】
「全身投与」、「全身投与される」、「末梢投与」、及び「末梢投与される」という語句は、本明細書で使用される場合、化合物、薬物、または他の材料を、中枢神経系へ直接投与するのではなく、それらが患者の体内に取り込まれ、ゆえに、代謝及び他の類似のプロセスの対象となるような投与、例えば、皮下投与を意味する。
【0125】
これらの化合物は、経口、経鼻(例えば、スプレーによるような)、直腸、膣内、非経口、槽内、及び局所(散剤、軟膏または滴剤によるような)を含み、口腔内及び舌下を含む、任意の好適な投与経路による治療のためにヒト及び他の動物に投与され得る。
【0126】
選択された投与経路に関係なく、好適な水和形態で使用することができる本発明の化合物、及び/または本発明の医薬組成物は、当業者に既知の従来の方法によって薬学的に許容される剤形に製剤化される。
【0127】
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に対して毒性であることなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に関して所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るように、変化され得る。
【0128】
選択された投与量レベルは、用いられる本発明の特定の化合物、またはエステル、塩、もしくはそのアミドの活性、投与経路、投与時期、用いられる特定の化合物の排泄もしくは代謝速度、吸収の速度及び程度、治療期間、用いられる特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/または材料、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康状態及び既往歴、ならびに医療分野において周知である同様の因子を含む種々の因子に依存するであろう。
【0129】
当該分野において通常の技術を有する医師または獣医は、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、医薬組成物中で用いられる本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させる場合がある。
【0130】
概して、本発明の化合物の好適な一日量は、治療効果を生じさせるのに有効な最低用量である化合物の量である。そのような有効用量は、一般に上記の因子に依存する。好ましくは、化合物は、約0.01mg/kg~約200mg/kg、より好ましくは、約0.1mg/kg~約100mg/kg、さらにより好ましくは、約0.5mg/kg~約50mg/kgで投与される。本明細書に記載の化合物が別の薬剤(例えば、増感剤として)同時投与される場合、有効量は、薬剤が単独で使用される場合より少ない量である場合がある。
【0131】
所望される場合、活性化合物の有効一日量は、1日中の適切な間隔で別々に投与される2回、3回、4回、5回、6回、またはそれ以上の副用量として、任意に単位剤形で投与され得る。好ましい投与は、1日1回の投与である。
【0132】
本発明は、本明細書に記載の医学的疾患または病態の治療のために、治療有効量で、本明細書に記載の結晶性イミダゾ[4,5-b]ピリジン化合物を含む単位剤形(錠剤またはカプセルなど)をさらに提供する。
【実施例】
【0133】
ここに概して説明される本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、それらは、単に本発明の特定の態様及び実施形態の例示の目的のために含まれ、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書に記載の出発物質は、商業的供給源から得ることができるか、または当業者に既知の変換を使用して市販の材料から容易に調製することができる。
【0134】
実施例1-結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3の調製
表題化合物を以下の手順に従って調製した。アセトンと水の混合物中(この際、混合物はアセトン対水が80/20w/wであった)のセスキ水和物3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの懸濁液を、撹拌することなく50℃の温度まで加熱した。その後、得られた混合物から、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3を単離した。
【0135】
本実施例で使用するセスキ水和物3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン出発物質については、国際特許出願公開第WO2016/100677号に記載されている。
【0136】
実施例2-結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3の調製
表題化合物を以下の手順に従って調製した。3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンを、80/20w/wのアセトンと水の混合物中に溶解させて、70℃の温度まで加熱した。得られた溶液を55℃の温度まで冷却し、次に、0.2μmのカートリッジに通して濾過した。濾過した溶液を50℃の温度まで冷却し(この際、冷却は、毎時-10℃の速度で行った)、次に、溶液に2重量%の結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3を入れた。得られた混合物を、50℃で、少なくとも3時間維持し、次に、2回の冷却/加熱サイクルを行い、結晶のサイズを増加させた。各加熱/冷却サイクルでは、最初に、混合物を0℃まで冷却し(この際、冷却は、毎時-5℃の速度で行った)、混合物を、0℃での温度で1時間維持し、次に、混合物を、50℃の温度まで加熱した。2回の冷却/加熱サイクルの完了後、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3を、フィルタドライヤを使用して混合物から単離し、80/20w/wのアセトン/水の混合物を用いて2回洗浄し、次に、温度を35℃未満に維持しながら少なくとも4時間真空下で乾燥させて、最終物質、すなわち、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3を得た。
【0137】
実施例3-結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3の物理的特性決定
結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3を、X線粉末回折、単結晶X線回折、示差走査熱量測定、動的蒸気吸着、熱重量分析/質量分析(TGA-MS)、及び粒子形態解析によって特性決定した。結果を下記に示す。
【0138】
X線粉末回折
結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3のX線粉末回折図を
図1に示す。
図1のX線粉末回折図の特性を表にしたものを、下記表に示す。この表は、回折角2θ、面間距離d、及び相対強度(最も強いピークに対するパーセンテージで表される)を一覧にしたものである。
【表3】
【0139】
単結晶X線回折
結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3の結晶を、単結晶X線回折によって特性決定した。結晶構造を、27℃でXRSCDによって確認した。単斜晶系格子が空間群C2/cであることを確認した。結晶の格子パラメータを以下に示す。
【表4】
【0140】
示差走査熱量測定
結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3の示差走査熱量測定曲線を
図2に示す。130℃の温度での質量損失は、水分子1個の離脱に相当する。
【0141】
動的蒸気吸着
結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3の動的蒸気吸着等温線プロットを
図3に示す。動的蒸気吸着等温線プロット結果は、0%の相対湿度での乾燥段階の後、化合物サンプルを25℃で、相対湿度を5%ずつ増加及び減少させる2回のサイクルに供する手順によるものである。この際、実験全体を通してサンプルの質量を記録した。
【0142】
結果は、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3が吸湿性でないことを示している。
【0143】
熱重量分析/質量分析(TGA-MS)
結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3のTGA-MSプロファイルを
図4に示す。質量プロファイルは、130℃で、ある段階を示した。3.7%の質量損失は、3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンあたり水分子1個の離脱に相当し、3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物の脱水を反映している。
【0144】
粒子形態解析
結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3の粒子に、棒状の粒子が含まれていることを確認した。棒状の粒子には、乾燥した粒状形態で、より良好な流動性をもたらすといった利点がある。また、棒状の粒子には、上記粒子を含有する液体懸濁液を濾過する際に、より良好な濾過をもたらすといった利点もある。
【0145】
実施例4-結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3と、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1との安定性の比較
結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3の安定性を、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1と比較した。物理的特性として、脱水の温度を分析した。結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1は、国際特許出願公開第WO2016/100677号に記載されているものである。
【0146】
結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1は、窒素ガス流下で室温で脱水することが観察された。
【0147】
対照的に、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3は、130℃の温度に加熱するまで脱水しなかった。
【0148】
実施例5-シミュレートした関節内液体中の結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3及び結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1の透析溶解分析
下記のシミュレートした関節内液体中の試験組成物の透析溶解を分析した。
・結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3、及び
・結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1
【0149】
手順としては、試験組成物を、媒体Aと共に透析バッグに入れた。次に、透析バッグを閉じ、媒体Bが入っている密閉したボトルに入れた。実験での使用前に、媒体A及びBを37℃まで余熱した。密閉したボトルを、透析バッグ内部での懸濁液沈降を回避するように20RPMで動作する回転混合器システムに入れた。3時間、6時間、24時間、29時間、48時間、72時間、144時間、168時間、192時間、216時間、及び240時間の時点で、媒体Bのアリコートをボトルから取り除き、UV検出を備えた高速液体クロマトグラフィーによって分析して、透析バッグを通した媒体Aからの試験組成物の媒体Bへの透析溶解による媒体B中の3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの量を確認した。1つの試験組成物を360時間の時点で分析した。媒体Aは、pH7.4の再構成リン酸緩衝生理食塩水中の40g/Lウシ血清アルブミン(BSA)(+0.2g/Lアジ化ナトリウム)、3g/Lヒアルロン酸塩であった。媒体Bは、pH7.4の再構成リン酸緩衝生理食塩水中の40g/Lウシ血清アルブミン(BSA)(+0.2g/Lアジ化ナトリウム)であった。
【0150】
確認した経時的な各試験組成物の溶解のパーセントを
図5に示す。
図5のデータは、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3は、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1と比較して、透析溶解率が大幅に低かったことを示している。例えば、
図5のデータは、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1では半分溶解時間が66時間であり、その一方で、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3では半分溶解時間が112時間であったことを示している。
【0151】
さらに、
図5のデータは、7日目の時点で、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1では平均放出率が0.54%/時間であり、その一方で、結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3では平均放出率が0.35%/時間であったことを示している。
【0152】
実施例6-ラットへの関節内投与後の結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3及び結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1の薬物動態分析
雄ラットに、試験物質:結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態3(「形態3化合物」)または結晶性3-(3-メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物形態1(「形態1化合物」)のいずれかを左膝関節への関節内投与を介して投与し、その後、薬物動態特性をモニタリングした。実験手順及び結果を下記に示す。
【0153】
パートI-実験手順
雄のSprague Dawleyラットを、各群が250g~300gの範囲の体重、7~9週齢の12匹のラットを含むように、4つの群に分けた。下記表1に記載の実験デザインに従って、試験物質を懸濁液の形態で関節内注射を介してラットの左膝関節に投与した。
【表5】
【0154】
各試験物質は、ビヒクルに懸濁した明記したメトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物化合物を含有していた。ビヒクルは、pH7.4の水性リン酸緩衝液中の2%ポビジンK17、4.5%ソルビトールであった。懸濁液の形態の各試験物質は、明記した結晶形態の20mg/mLのメトキシ-4-((4-メトキシ-ベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミン一水和物を含有していた。
【0155】
ラットの頚静脈から注射器及び針を介して血液サンプルを採取し、K3EDTAを含有するチューブに移した。試験物質の投与後、2分、10分、1時間、4時間、12時間、72時間、336時間、及び672時間に、最初の6匹の動物/群から血液サンプルを採取した。試験物質の投与後、5分、0.5時間、2時間、8時間、24時間、168時間、1008時間、及び1344時間に、2番目の6匹の動物/群から血液サンプルを採取した。血液サンプルの遠心分離後、ドライアイスを使用して血漿を冷却し、その後、液体クロマトグラフィー-質量分析を使用して解析的分析を行い、化合物メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの量を確認した。
【0156】
投与から約672時間後の最後の血液採取時点での屠殺後、最初の6匹の動物/群から、5~10mmの脛骨及び大腿骨の両方と共にラットの左膝関節(関節包を傷つけずに)を採取した。採取した膝関節の重さを量った。投与から約1344時間後の最後の血液採取時点での屠殺後、2番目の6匹の動物/群から、5~10mmの脛骨及び大腿骨の両方と共にラットの左膝関節(関節包を傷つけずに)を採取した。採取した膝関節の重さを量った。組織サンプルを、ドライアイス上に維持し、その後、-60℃~-80℃で保存した。膝関節サンプルを粉砕し、次に、アセトニトリル/水を用いて抽出して溶液とし、それを、液体クロマトグラフィー-質量分析を使用して分析し、化合物メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの量を確認した。
【0157】
パートII-結果
血漿中で観察された薬物動態パラメータの結果を、下記表2及び3に示す。化合物メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの平均膝関節中濃度を下記表4に示す。化合物メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの観察された膝関節/血漿中濃度の比率を下記表5に示す。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0158】
上記表の結果は、形態1化合物と比較して、形態3化合物は、吸収がより遅く、かつより長く持続したことを示している。形態1化合物と比較して、形態3化合物は、血漿Cmaxが1.4~3.0分の1であった。形態1化合物と比較して、形態3化合物は、血漿AUCが1.7~2.0分の1であった。形態1化合物と比較して、形態3化合物は、終末半減期が2.4~2.8倍長かった。さらに、形態1化合物と比較して、形態3化合物は、平均滞留時間が2.7~3.7倍長かった。
【0159】
0.1mg用量の化合物を投与した場合、672時間での化合物メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの膝関節中濃度は、形態3化合物を投与した大部分の動物では、血漿中のメトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの濃度よりも一貫して高かったが、化合物メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの膝関節中濃度は、形態1化合物を投与した大部分の動物では、定量限度未満であったことが観察された。
【0160】
1mgの用量の化合物を投与した場合、化合物メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの膝関節中濃度は、形態1化合物を投与した動物と比較して、形態3化合物を投与した動物では、5.40~13.6倍高かったことが観察された。
【0161】
1mgの用量の化合物を投与した場合、化合物メトキシ-4-((4-メトキシベンジル)オキシ)ベンジル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-アミンの膝関節/血漿中濃度の比率は、形態1化合物を投与した動物と比較して、形態3化合物を投与した動物では、1.96~2.64倍高かった。
【0162】
参照による援用
本明細書で参照される特許文献及び科学論文の各々の開示全体は、あらゆる目的のために参照により援用される。
【0163】
等価物
本発明は、その精神または本質的特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載される本発明を限定するのではなく、全ての点で例示的であると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び同等性の範囲内に入る全ての変更は、その中に包含されることが意図される。
【国際調査報告】