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特表2024-543428リチウム二次電池および前記リチウム二次電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】リチウム二次電池および前記リチウム二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20241114BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALI20241114BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20241114BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20241114BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20241114BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0583
H01M50/449
H01M50/414
H01M50/457
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527649
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 KR2022014300
(87)【国際公開番号】W WO2023120883
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187034
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0120348
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キョン・シク・ホン
(72)【発明者】
【氏名】セン・フン・ハン
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5H021CC04
5H021HH03
5H021HH06
5H029AJ03
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029CJ05
5H029HJ00
5H029HJ14
(57)【要約】
本発明は、リチウム二次電池およびリチウム二次電池の製造方法について開示する。前記リチウム二次電池は、負極およびセパレータを含む負極-セパレータ複合体を含み、前記負極は、リチウム金属層を含み、前記セパレータは、前記負極の一面上に配置された第1セパレータ、および前記負極の他面上に配置された第2セパレータを含み、前記第1セパレータと前記第2セパレータは、前記負極を内部に収容した状態で、前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部が互いに接着されてシール部を形成し、前記シール部の透気度が50,000sec/100cc以上であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極およびセパレータを含む負極-セパレータ複合体を含み、
前記負極は、リチウム金属層を含み、
前記セパレータは、前記負極の一面上に配置された第1セパレータ、および前記負極の他面上に配置された第2セパレータを含み、
前記第1セパレータと前記第2セパレータは、前記負極を内部に収容した状態で、前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部が互いに接着されてシール部を形成し、
前記シール部の、前記負極の水平方向における透気度が50,000sec/100cc以上である、リチウム二次電池。
【請求項2】
前記シール部の透気度は65,000sec/100cc~100,000sec/100ccである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記負極は、負極タブを含み、
前記シール部は、前記負極タブを除いた前記負極の残りの部分が前記セパレータの外部に露出しないように形成される、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
前記負極-セパレータ複合体は、前記負極と前記セパレータとの間に位置し、粘着用バインダーを含む粘着層をさらに含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項5】
前記セパレータは、平均粒径が0.1nm~1,000nmの気孔を含むコーティング層をさらに含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記リチウム二次電池は、正極活物質を含む正極をさらに含み、
前記セパレータは、前記正極と前記負極との間に位置する、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記正極活物質は、無機硫黄(S)、Lin1(n1≧1)、ジスルフィド化合物、有機硫黄化合物、および炭素-硫黄ポリマー((Cn2、x=2.5~50、n2≧2)からなる群から選択される1種以上を含む、請求項6に記載のリチウム二次電池。
【請求項8】
リチウム金属層を含む負極の一面上に第1セパレータを配置し、前記負極の他面上に第2セパレータを配置するステップと、
前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部を互いに接着させてシール部を形成し、負極-セパレータ複合体を製造するステップと、
を含み、
前記シール部の透気度が50,000sec/100cc以上である、リチウム二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記シール部は、前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部を互いに熱融着させて形成される、請求項8に記載のリチウム二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記熱融着は、110℃~140℃の温度で行われる、請求項9に記載のリチウム二次電池の製造方法。
【請求項11】
前記負極-セパレータ複合体と正極を接するようにするステップをさらに含む、請求項8に記載のリチウム二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月24日付けの韓国特許出願第10-2021-0187034号および2022年9月22日付けの韓国特許出願第10-2022-0120348号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、負極およびセパレータを含む負極-セパレータ複合体を含み、前記負極は、リチウム金属層を含み、前記セパレータは、前記負極の一面上に配置された第1セパレータ、および前記負極の他面上に配置された第2セパレータを含み、前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部が互いに接着されてシール部を形成し、前記セパレータの内部に前記負極が収容され、前記シール部の透気度が50,000sec/100cc以上であるリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、電子製品、電子機器、通信機器などの小型軽量化が急速に進められており、環境問題と関連して電気自動車の必要性が大きく台頭するにつれ、これらの製品の動力源として用いられる二次電池の性能改善に対する要求も増加している。中でも、リチウム二次電池は、高エネルギー密度および高い標準電極電位を有するため、高性能電池として相当な脚光を浴びている。リチウム二次電池は、一般的に、正極、負極、電解質、およびセパレータで構成される。
【0004】
前記負極としてはリチウム金属負極を用いることができる。前記リチウム金属負極は、リチウム金属層からなるか、またはリチウム金属層が負極集電体上に配置された形態の負極を意味する。
【0005】
図1を参照すると、前記リチウム金属負極10を用いる場合、電池駆動時に前記負極10からリチウムが析出し、前記負極の表面にリチウムが成長(例えば、リチウムデンドライト)する問題が発生する。リチウムの成長は、正極と対面する前記負極の広い面上(垂直方向)に形成されるだけでなく、前記負極の側面(水平方向、図1のA方向)にも発生し得る。この場合、電池の駆動過程で負極の大きさが水平方向に増加することになり、前記負極の側面に成長したリチウム10aが前記セパレータ30の外部に成長して正極20と負極10の短絡を引き起こし得る。このような現象は、電池の早期劣化および寿命低下につながり、特に電池の駆動電流が高くなるほど、前記問題状況はさらに加速される。一方、適した圧力が加えられない状態で前記負極の側面にリチウム10aが成長するため、前記リチウム10aが不均一な形状に形成され、リチウム金属負極10の可逆性が低下し、電解質の副反応の増加により電池の性能、特に電池の寿命が低下する。また、リチウムは低い融点を有するため、電池駆動時にリチウム金属が溶融して前記セパレータ30の側面方向に流出し、正極20と負極10の短絡がさらに発生しやすくなり得る。
【0006】
このような問題を解決するために、従来は、リチウム金属負極の大きさを小さく製造するか、またはリチウムの成長を抑制し負極を安定化できる多様な電解質を使用しようとした。しかし、リチウム金属負極の大きさを小さく製造する際には、電池の容量が低下するという問題がある。また、負極を安定化させるために特定の電解質を使用しようとする試みは、負極の水平方向にリチウムが成長して正極と負極が短絡する可能性を完全に遮断させることができないため、依然として電池の寿命および安全性の低下問題が残っている。
そこで、負極の水平方向へのリチウムの成長を抑制できる新しい技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする一課題は、リチウム金属層を含む負極の側面にリチウムが過度かつ不均一に成長するのを抑制させることができるリチウム二次電池を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記リチウム二次電池の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によると、負極およびセパレータを含む負極-セパレータ複合体を含み、前記負極は、リチウム金属層を含み、前記セパレータは、前記負極の一面上に配置された第1セパレータ、および前記負極の他面上に配置された第2セパレータを含み、前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部が互いに接着されてシール部を形成し、前記セパレータの内部に前記負極が収容され、前記シール部の透気度が50,000sec/100cc以上である、リチウム二次電池が提供される。
【0010】
本発明の他の実施形態によると、リチウム金属層を含む負極の一面上に第1セパレータを配置し、前記負極の他面上に第2セパレータを配置するステップと、前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部を互いに接着させてシール部を形成し、負極-セパレータ複合体を製造するステップと、を含み、前記シール部の透気度が50,000sec/100cc以上である、リチウム二次電池の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、第1セパレータおよび第2セパレータが接着されて形成されたシール部により、リチウム金属層を含む負極の側面が露出するのを最小化することができる。これにより、電池駆動時に成長したリチウムが負極の側面に過度に突出するのを抑制し、正極と負極の短絡が効果的に防止することができる。
【0012】
また、前記リチウムが負極の側面に成長する際に、前記シール部により前記負極の側面に適した圧力が加えられることができる。これにより、前記リチウムが前記負極の側面に均一に成長することができるため、前記負極の可逆性および寿命を改善することができる。
【0013】
さらに、電池駆動時に発生する熱によりリチウムが一部溶融しても、前記溶融したリチウムが負極-セパレータ複合体の外部に抜け出るのを効果的に抑制することができる。
【0014】
一方、前記シール部が特定の透気度を有する。したがって、正極が硫黄元素を含む正極活物質を含む場合(例えば、リチウム二次電池がリチウム-硫黄二次電池である場合)にも、前記正極から形成されたリチウムポリスルフィドが前記負極と接触して副反応を起こす現象を抑制することができる。これにより、リチウム二次電池の安全性および寿命特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来のリチウム二次電池に発生する問題を説明するための模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池に含まれた負極-セパレータ複合体を示した模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法を説明するための模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法を説明するための模式図である。
図6】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法を説明するための模式図である。
図7】実施例1および比較例1、2のリチウム二次電池のサイクル当たりの容量を示したグラフである。
図8】実施例1および比較例1、2のリチウム二次電池のサイクル当たりのクーロン効率を示したグラフである。
図9】実施例1のリチウム二次電池を240サイクル駆動させた後に電池内の負極を確認した写真である。
図10】比較例1のリチウム二次電池を60サイクル駆動させた後に電池内の負極を確認した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に対する理解を助けるために本発明をより詳細に説明する。
本明細書および特許請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0017】
本明細書で用いられている用語は、単に例示的な実施形態を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに他を意味しない限り、複数の表現を含む。
【0018】
本明細書において、「含む」、「備える」、または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないことを理解しなければならない。
【0019】
本明細書において、透気度は、ASAHI SEIKO社のOken Type Air-permeability & Smoothness Testing Controller装置を用いて下記条件で測定することができる。
【0020】
Time:6sec(秒)
Value:500
Measure Mode:JIS(sec)
【0021】
<リチウム二次電池>
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池は、負極およびセパレータを含む負極-セパレータ複合体を含み、前記負極は、リチウム金属層を含み、前記セパレータは、前記負極の一面上に配置された第1セパレータ、および前記負極の他面上に配置された第2セパレータを含み、前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部が互いに接着されてシール部を形成し、前記セパレータの内部に前記負極が収容され、前記シール部の透気度が50,000sec/100cc以上であってもよい。
【0022】
(1)負極-セパレータ複合体
前記リチウム二次電池は、負極-セパレータ複合体を含んでもよい。前記負極-セパレータ複合体は、負極およびセパレータを含んでもよい。
【0023】
1)負極
前記負極は、リチウム金属負極であってもよい。前記リチウム金属負極とは、当該分野でリチウム金属二次電池(リチウム-硫黄二次電池を含む)の負極を意味し得る。
【0024】
前記負極は、リチウム金属層を含んでもよい。前記リチウム金属層は、リチウムを貯蔵し放出する役割をすることができる。前記リチウム金属層は、リチウム金属およびリチウム合金のうち少なくともいずれか1つを含んでもよく、具体的に、リチウム金属およびリチウム合金のうち少なくともいずれか1つからなってもよい。例えば、前記リチウム金属層は、リチウム金属からなってもよい。前記リチウム合金は、リチウムと合金化が可能な元素を含み、この際、その元素は、Si、Sn、C、Pt、Ir、Ni、Cu、Ti、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Al、Co、またはこれらの合金であってもよい。
【0025】
前記リチウム金属層は、シートまたは箔であってもよい。前記リチウム金属層自体で前記負極が構成されてもよい。これとは異なり、前記負極は、負極集電体をさらに含んでもよく、前記負極集電体上に前記リチウム金属またはリチウム合金が乾式工程により蒸着またはコーティングされた形態であるか、または粒子状の金属および合金が湿式工程などにより蒸着またはコーティングされた形態であってもよい。前記負極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず、かつ、導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが用いられてもよい。また、その形態は、表面に微細な凹凸が形成された/形成されていないフィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が用いられてもよい。
前記負極は、四角形のシート状であってもよく、所定の厚さを有してもよい。
【0026】
一方、前記負極は、負極タブをさらに含んでもよい。前記負極タブは、外部の電線と連結され、前記負極と外部との間で電流が移動できるようにする。前記負極タブは、前記負極の側面から突出した形態を有してもよい。
【0027】
2)セパレータ
図2は、本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を説明するための模式図であり、図3は、図2に示された負極-セパレータ複合体100の断面B-B’を示した模式図である。
【0028】
図2および図3を参照すると、前記負極-セパレータ複合体100は、負極110およびセパレータ120を含み、前記セパレータ120は、前記負極110上に配置されてもよい。前記セパレータ120は、第1セパレータ121および第2セパレータ122を含んでもよい。
【0029】
前記第1セパレータ121は、前記負極110の一面上に配置されてもよく、前記第2セパレータ122は、前記負極110の一面の反対に位置した他面上に配置されてもよい。
【0030】
前記第1セパレータ121と前記第2セパレータ122は、それぞれ多孔性基材を含んでもよい。前記多孔性基材は、通常、電気化学素子に用いられる多孔性基材であればいずれも使用可能であり、例えば、ポリオレフィン系多孔性膜または不織布を用いてもよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0031】
前記ポリオレフィン系多孔性膜の例としては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子をそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子から形成された膜(membrane)が挙げられる。
【0032】
前記不織布としては、ポリオレフィン系不織布の他に、例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキシド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)、およびポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate)などをそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子から形成された不織布が挙げられる。また、前記不織布は、高融点のガラス繊維またはセラミック物質などからなる不織布を含んでもよい。また、前記不織布の構造は、長繊維で構成されたスパンボンド不織布またはメルトブローン不織布であってもよい。
【0033】
前記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、1~100μm、好ましくは5~50μmであってもよい。
前記多孔性基材に存在する気孔の大きさおよび気孔率も特に制限されないが、それぞれ0.001~50μmおよび10~95%であってもよい。
【0034】
場合によっては、前記第1セパレータおよび前記第2セパレータそれぞれは、前記多孔性基材上に配置された粘着層(図示せず)を含んでもよい。前記粘着層は、前記負極と前記セパレータとの間に位置し、粘着用バインダーを含んでもよい。これにより、前記負極と前記セパレータが安定的に接することができるため、前記負極-セパレータ複合体の安定性を改善することができる。
【0035】
一方、場合によっては、前記セパレータ(前記第1セパレータおよび前記第2セパレータそれぞれ)は、前記多孔性基材上に配置されたコーティング層(図示せず)をさらに含んでもよい。前記コーティング層は、無機粒子、または無機粒子およびバインダーからなってもよい。前記コーティング層により、前記セパレータの熱的安定性を改善することができる。
【0036】
前記コーティング層は、気孔を含んでもよい。前記気孔は、リチウムポリスルフィドが通過し難い大きさを有してもよい。具体的に、前記気孔の粒径は0.1nm~1,000nm、具体的には0.5nm~500nmの気孔を含んでもよい。これにより、正極が硫黄元素を含む正極活物質を含む際(リチウム-硫黄二次電池の場合)に、正極から形成されたリチウムポリスルフィドが前記負極に到達するのを抑制し、リチウムポリスルフィドによる副反応を抑制し、これにより、電池の寿命特性および効率を改善することができる。
【0037】
前記第1セパレータ121と前記第2セパレータ122それぞれの縁部121’、122’の少なくとも一部が互いに接着されてシール部120aを形成してもよい。前記縁部121’、122’とは、前記第1セパレータ121および第2セパレータ122それぞれにおいて、前記負極110と接しない領域を意味する。前記縁部121’、122’は、前記負極110の四側面に並んで形成されていてもよい。
【0038】
前記シール部120aにより、リチウム金属層を含む負極110の側面が露出するのを最小化することができる。これにより、電池駆動時に成長したリチウムが負極110の側面に過度に突出するのを抑制し、正極200と負極110の短絡を効果的に防止することができる。また、前記リチウムが負極110の側面に成長しても、前記シール部120aにより前記負極110の側面に適した圧力が加えられることができるため、前記リチウムが前記負極110の側面に均一に成長することができるため、前記負極110の可逆性および寿命を改善することができる。さらに、電池駆動時に発生する熱によりリチウムが一部溶融しても、前記溶融したリチウムが負極-セパレータ複合体100の外部に抜け出るのを効果的に抑制することができる。これにより、リチウム二次電池の寿命特性を改善することができる。
【0039】
前記シール部120aは、前記負極タブ(図示せず)を除いた前記負極110の残りの部分が前記セパレータ120の外部に露出しないように形成されてもよい。すなわち、前記第1セパレータ121および前記第2セパレータ122それぞれの縁部は、前記負極の四側面を取り囲んで互いに接着され、前記シール部120aが前記負極110の四側面を取り囲んで存在し得るが、前記負極タブと接する前記第1セパレータ121および前記第2セパレータ122の領域にのみシール部120aが形成されていなくてもよい。上記のような形態を有する負極-セパレータ複合体100が形成される際に、電池駆動時に成長したリチウムが負極の側面に過度に突出するのを抑制し、正極200と負極110の短絡をさらに効果的に防止することができる。溶融したリチウムが負極-セパレータ複合体100の外部に抜け出るのをさらに効果的に抑制することができる。これにより、リチウム二次電池の寿命特性をさらに効果的に改善することができる。一方、「負極タブ」と「第1セパレータおよび/または第2セパレータ」は、互いに接着されて接していてもよく、離れていてもよい。
【0040】
前記シール部120aの透気度は50,000sec/100cc以上であってもよく、具体的には65,000sec/100cc~100,000sec/100cc、より具体的には80,000sec/100cc~100,000sec/100ccであってもよい。前記透気度が50,000sec/100cc未満である場合、成長したリチウムがシール部120aを通過してセパレータ外部に存在し得るため、電池の安定性が低下し得る。また、前記透気度が50,000sec/100cc未満である場合、正極が硫黄元素を含む正極活物質を含む際(リチウム-硫黄二次電池の場合)に、正極から形成されたリチウムポリスルフィドが前記シール部120aを通過して負極とともに副反応を起こし得る。これにより、電池の寿命特性が低下し得る。
【0041】
すなわち、前記シール部120aの透気度を50,000sec/100cc以上に制御することは、電池の寿命特性を改善するのに非常に主要な因子である。また、前記透気度範囲は、負極、セパレータ、正極を全て含む電極組立体を製造する前に、負極と第1セパレータ、第2セパレータを接触させた後、適正レベルの熱で熱融着させることで導き出されることができる。
【0042】
仮に、正極が硫黄元素を含む正極活物質を含む場合において、負極-セパレータ複合体ではなく、正極の両面に配置されたセパレータを接するようにして正極-セパレータ複合体を製造すると、正極-セパレータ複合体のシール部の高い透気度(50,000sec/100cc以上)により、リチウムポリスルフィドが正極-セパレータ複合体の内部を脱することができず、正極近くの電解液の粘度が過度に高くなり、電池の駆動能力が低下するという問題がある。本発明は、正極ではなく、負極に対して負極-セパレータ複合体を形成するため、上述した問題が発生しない。
【0043】
3)正極
前記正極は、正極活物質を含んでもよい。具体的に、前記正極は、正極活物質層を含んでもよく、前記正極活物質は、前記正極活物質層に含まれてもよい。前記正極活物質層は、それ自体で正極をなしてもよく、これとは異なり、正極集電体上に前記正極活物質層が配置された状態で正極が構成されてもよい。
【0044】
前記正極活物質は、通常用いられる正極活物質であってもよい。具体的に、前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;LiFeなどのリチウム鉄酸化物;Li1+a2+cを含んでもよい。前記Mは、Ni、Co、Mn、Fe、P、Al、Mg、Ca、Zr、Zn、Ti、Ru、Nb、W、B、Si、Na、K、Mo、およびVからなる群から選択される少なくともいずれか1つの元素であってもよく、-0.2≦a≦0.2、0<b≦2、0≦c≦2であってもよい。
【0045】
前記正極活物質は、硫黄元素を含む硫黄系化合物を含んでもよい。前記硫黄系化合物は、無機硫黄(S)、Lin1(n1≧1)、ジスルフィド化合物、有機硫黄化合物、および炭素-硫黄ポリマー((Cn2、x=2.5~50、n2≧2)からなる群から選択される1種以上であってもよい。好ましくは、無機硫黄(S)を用いてもよい。
【0046】
前記硫黄系化合物は、単独では電気伝導性がないため、導電材と複合化して用いられる。好ましくは、前記正極活物質は、硫黄-炭素複合体であってもよい。
【0047】
前記硫黄-炭素複合体において、炭素は、多孔性炭素材であって、正極活物質である硫黄が均一かつ安定的に固定できる骨格を提供し、硫黄の電気伝導度を補って電気化学反応が円滑に行われるようにする。
【0048】
前記多孔性炭素材は、一般的に多様な炭素材質の前駆体を炭化させることで製造することができる。前記多孔性炭素材は、内部に一定ではない気孔を含み、前記気孔の平均直径は、1~200nmの範囲であり、気孔率または空隙率は、多孔性の全体積の10~90%の範囲であってもよい。仮に前記気孔の平均直径が前記範囲未満である場合には、気孔の大きさが分子レベルにすぎず、硫黄の含浸が不可能であり、その逆に前記範囲を超過する場合には、多孔性炭素の機械的強度が弱化し、電極の製造工程に適用するのに好ましくない。
【0049】
前記多孔性炭素材の形態は、球状、棒状、針状、板状、チューブ状、またはバルク状であり、リチウム-硫黄電池に通常用いられるものであれば制限なく用いられてもよい。
【0050】
前記多孔性炭素材は、多孔性構造であるかまたは比表面積が高いものであり、当業界で通常用いられるものであればいずれを用いてもよい。例えば、前記多孔性炭素材としては、グラファイト(graphite);グラフェン(graphene);デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)などのカーボンナノチューブ(CNT);グラファイトナノファイバー(GNF)、カーボンナノファイバー(CNF)、活性化炭素ファイバー(ACF)などの炭素繊維;天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、および活性炭素からなる群から選択された1種以上であってもよいが、これに制限されない。好ましくは、前記多孔性炭素材は、カーボンナノチューブであってもよい。
【0051】
前記硫黄-炭素複合体は、硫黄-炭素複合体100重量部を基準として硫黄を60~90重量部、好ましくは65~85重量部、より好ましくは70~80重量部で含んでもよい。前記硫黄の含量が前述した範囲未満である場合には、硫黄-炭素複合体中の多孔性炭素材の含量が相対的に多くなることで比表面積が増加し、スラリーの製造時にバインダーの含量が増加する。このようなバインダーの使用量の増加は、結局、正極の面抵抗を増加させ、電子移動(electron pass)を防ぐ絶縁体の役割をすることになり、電池の性能を低下させ得る。その逆に前記硫黄の含量が前述した範囲を超過する場合には、多孔性炭素材と結合できなかった硫黄または硫黄化合物同士で凝集するかまたは多孔性炭素材の表面に再溶出することで電子を受け取り難く、電気化学反応に参加できなくなり、電池の容量損失が発生し得る。
【0052】
前記正極活物質は、前述した組成以外に遷移金属元素、2族元素、3族元素、これらの元素の硫黄化合物、およびこれらの元素と硫黄の合金の中から選択される1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。前記遷移金属元素としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Au、またはHgなどが含まれ、前記2族元素としては、Al、Ga、In、Tiなどが含まれ、前記3族元素としては、Ge、Sn、Pbなどが含まれてもよい。
【0053】
前記正極活物質は、前記正極活物質層中に50重量%~99重量%で含まれてもよく、具体的には60重量%~90重量%、より具体的には65重量%~85重量%で含まれてもよい。前記正極活物質の含量が前記範囲未満である場合には、正極の電気化学反応を充分に発揮し難く、その逆に前記範囲を超過する場合には、後述する導電材とバインダーの含量が相対的に不足して正極の抵抗が上昇し、正極の物理的性質が低下するという問題がある。
【0054】
前記正極は、正極導電材をさらに含んでもよく、前記正極導電材は、電解質と正極活物質を電気的に連結させ、集電体(current collector)から電子が正極活物質まで移動する経路の役割をする物質であり、多孔性および導電性を有するものであれば制限なく用いられてもよい。例えば、前記正極導電材としては、多孔性を有する炭素系物質を用いてもよく、このような炭素系物質としては、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、活性炭、炭素繊維などが挙げられ、金属メッシュなどの金属性繊維;銅、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属性粉末;またはポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料が挙げられる。前記導電性材料は、単独または混合して用いられてもよい。
【0055】
前記正極導電材は、前記正極活物質層中に1重量%~10重量%、具体的には4重量%~7重量%で含まれてもよい。前記導電材の含量が前記範囲未満であると、正極内の硫黄中の反応できない部分が増加することになり、結局、容量減少を引き起こすことになる。その逆に前記範囲超過であると、高効率放電特性および充、放電サイクル寿命に悪影響を及ぼすため、上述した範囲内で適正含量を決めることが好ましい。
【0056】
前記正極は、正極バインダーをさらに含んでもよく、前記正極バインダーは、正極を構成する成分間およびこれらと集電体との間の結着力をさらに高めるものであり、当業界で公知のいずれのバインダーを用いてもよい。例えば、前記正極バインダーは、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride、PVdF)またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)を含むフッ素樹脂系バインダー;スチレン-ブタジエンゴム(styrene butadiene rubber、SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴムを含むゴム系バインダー;カルボキシメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose、CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロースを含むセルロース系バインダー;ポリアルコール系バインダー;ポリエチレン、ポリプロピレンを含むポリオレフィン系バインダー;ポリイミド系バインダー;ポリエステル系バインダー;およびシラン系バインダー;からなる群から選択された1種、2種以上の混合物または共重合体を用いてもよい。
【0057】
前記正極バインダーは、前記正極活物質層中に1重量%~10重量%で含まれてもよい。前記正極バインダーの含量が前記範囲未満であると、正極の物理的性質が低下して正極活物質と正極導電材が脱落し得、前記範囲超過であると、正極での正極活物質と正極導電材の割合が相対的に減少して電池容量が減少し得るため、上述した範囲内で適正含量を決めることが好ましい。
【0058】
図6を参照すると、前記正極200は、前記負極-セパレータ複合体100と接して存在してもよい。具体的に、前記セパレータ120は、前記正極200と前記負極110との間に位置してもよい。
【0059】
4)電解質
前記リチウム二次電池は、電解質をさらに含んでもよい。
前記電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0060】
具体的に、前記電解質は、非水系有機溶媒および金属塩を含んでもよい。
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が用いられてもよい。
【0061】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒として、誘電率が高く、リチウム塩をよく解離させるため好ましく用いることができ、このような環状カーボネートにジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の直鎖状カーボネートを適した割合で混合して用いると、高い電気伝導率を有する電解質を作製することができるためさらに好ましく用いることができる。
【0062】
前記金属塩としては、リチウム塩を用いてもよく、前記リチウム塩は、前記非水電解液に溶解されやすい物質であって、例えば、前記リチウム塩のアニオンとしては、F、Cl、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN、および(CFCFSOからなる群から選択される1種以上を用いてもよい。
【0063】
前記電解質には、前記電解質の構成成分の他にも電池の寿命特性の向上、電池容量の減少抑制、電池の放電容量の向上などのために、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、または三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれてもよい。
【0064】
<リチウム二次電池の製造方法>
本発明の他の実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法は、リチウム金属層を含む負極の一面上に第1セパレータを配置し、前記負極の他面上に第2セパレータを配置するステップと、前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部を互いに接着させてシール部を形成し、負極-セパレータ複合体を製造するステップと、を含み、前記シール部の透気度が50,000sec/100cc以上であってもよい。
【0065】
前記リチウム金属層、前記負極、前記第1セパレータ、前記第2セパレータ、前記シール部、前記負極-セパレータ複合体、前記シール部、および前記リチウム二次電池は、上述した実施形態のリチウム金属層、負極、第1セパレータ、第2セパレータ、シール部、負極-セパレータ複合体、シール部、およびリチウム二次電池と同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0066】
図4を参照すると、負極110の一面上に第1セパレータ121が配置されてもよく、前記負極110の他面上に第2セパレータ122が配置されてもよい。前記第1セパレータ121と第2セパレータ122の幅は前記負極110の幅よりも広いため、前記第1セパレータ121と前記第2セパレータ122は、それぞれ前記負極110と接しない縁部を含むことができる。
【0067】
図5を参照すると、前記第1セパレータ121と前記第2セパレータ122それぞれの縁部の少なくとも一部を互いに接着させてシール部120aを形成して負極-セパレータ複合体を製造するステップにおいて、前記シール部120aは、前記第1セパレータ121と前記第2セパレータ122それぞれの縁部の少なくとも一部を互いに熱融着させて形成されてもよい。
【0068】
前記熱融着は110℃~140℃の温度で行われてもよく、具体的には120℃~135℃、より具体的には125℃~135℃の温度で行われてもよい。前記範囲を満たす場合、前記シール部120aの気孔が効果的に閉鎖されることができ、具体的に、前記シール部120aの透気度が50,000sec/100cc以上であってもよい。これにより、正極活物質が硫黄元素を含む正極活物質を用いる場合にも、正極から形成されたリチウムポリスルフィドが前記シール部120aを通過し難くなるため、前記リチウムポリスルフィドが負極で副反応を起こすのを効果的に防止することができる。
【0069】
前記熱融着は100psi~300psiの圧力、具体的には120psi~250psi、より具体的には150psi~200psiの圧力を加えることを含んでもよい。前記範囲を満たす際にシール部の気孔が均一に閉鎖されることができる。
【0070】
図6を参照すると、前記負極-セパレータ複合体100と正極200を接するようにするステップをさらに含んでもよい。前記正極は、上述した実施形態において紹介した正極と同様であるため、正極に関する説明は省略する。
【0071】
前記リチウム二次電池の製造方法は、負極、正極、第1セパレータ、および第2セパレータを含む電極組立体を製造した後、第1セパレータと第2セパレータを接するようにする方法とは異なる。具体的に、本発明のリチウム二次電池の製造方法は、負極、第1セパレータ、および第2セパレータにより負極-セパレータ複合体を先に製造した後、前記正極と前記負極-セパレータ複合体を接するようにすることができる。
【0072】
このように電極組立体を製造する前に予め第1セパレータと第2セパレータそれぞれの縁部を少なくとも一部接着させてシール部を形成する場合、前記負極と第1セパレータ(または第2セパレータ)がさらに密着して負極-セパレータ複合体を形成することができる。これにより、前記負極-セパレータ複合体中で負極と第1セパレータ(または第2セパレータ)との間の空いた空間(いわゆる、death space)が効果的に減ることができるため、負極の水平方向にリチウムが成長するのをさらに効果的に抑制することができる。
【0073】
本発明のまた他の一実施形態によると、前記リチウム二次電池を単位セルとして含む電池モジュールおよびそれを含む電池パックを提供する。前記電池モジュールおよび電池パックは、高容量、高いレート特性、およびサイクル特性を有する前記リチウム二次電池を含むため、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグ-インハイブリッド電気自動車、および電力貯蔵用システムからなる群から選択される中大型デバイスの電源として用いることができる。
【0074】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本記載を例示するものにすぎず、本記載の範囲および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することはいうまでもない。
【0075】
実施例および比較例
実施例1:リチウム二次電池の製造
(1)負極-セパレータ複合体の製造
第1セパレータと第2セパレータとして、それぞれ16μm厚さのポリエチレン多孔性フィルム(気孔率68%)を用いた。80μm厚さのリチウム金属層(リチウム箔)からなる負極の一面に前記第1セパレータを配置し、前記負極の他面(一面とは反対方向に位置)上に前記第2セパレータを配置した。前記第1セパレータの横、縦長さは、前記負極の横、縦長さよりも1mmさらに大きく、前記第2セパレータの横、縦長さは、前記負極の横、縦長さよりも1mmさらに大きかった。
【0076】
その後、負極タブと前記第1セパレータおよび第2セパレータが接する地点を除いては、前記第1セパレータと前記負極が接しない部分(第1セパレータの縁部)と、前記第2セパレータと前記負極が接しない部分(第2セパレータの縁部)とを接着させ、負極の四側面に沿ってシール部を形成した。前記接着は、130℃の温度で、170psiの圧力で熱融着して行った。前記シール部は前記負極の四側面を取り囲んで形成され、前記シール部の透気度は89,000sec/100ccであった。前記透気度は、ASAHI SEIKO社のOken Type Air-permeability & Smoothness Testing Controller装置を用いて、Time:6sec、Value:500、Measure Mode:JIS(sec)の条件で測定された。
【0077】
(2)正極の製造
正極活物質として硫黄-炭素複合体(S:C=75:25)、正極バインダーとしてスチレンブタジエンゴムとカルボキシメチルセルロース(SBR:CMC=7:3)を溶媒である脱イオン水(DI water)に混合し、正極スラリー組成物を製造した。前記正極スラリー組成物をアルミニウム集電体の両面に塗布した後、80℃で乾燥して圧延(ロールプレス)し、正極活物質層(ローディング量:2.7mAh/cm)を含む正極を製造した。前記硫黄-炭素複合体は、前記正極活物質層中に96重量%で含まれ、前記正極バインダーは、前記正極活物質層中に4重量%で含まれた。
【0078】
(3)リチウム二次電池の製造
前記負極-セパレータ複合体を8個および前記正極を7個準備した後、前記セパレータを間に置いて前記負極と前記正極が離隔するように、前記負極-セパレータ複合体と前記正極を交互に積層して電極組立体を製造した。その後、前記電極組立体を電池ケースに入れ、電解質(1,3-ジオキソランとジメチルエーテル(DOL:DME=1:1(体積比))からなる有機溶媒に1M濃度のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)と1重量%の硝酸リチウム(LiNO)を溶解させた混合液)を前記電池ケースに注入した後、前記電池ケースを密封し、リチウム二次電池(リチウム-硫黄二次電池)を製造した。
【0079】
比較例1:リチウム二次電池の製造
16μm厚さのポリエチレン多孔性フィルムをセパレータとして(総14個)準備し、実施例1で用いられた負極を8個、実施例1で用いられた正極を7個準備した。前記負極と前記正極が交互に積層されるようにするが、この際、前記負極と前記正極との間にセパレータを配置して電極組立体を形成した。すなわち、セパレータ間に互いに接着されてシールされていないため、実施例1のようなシール部は存在しない。
【0080】
その後、前記電極組立体を電池ケースに入れ、電解質(1,3-ジオキソランとジメチルエーテル(DOL:DME=1:1(体積比))からなる有機溶媒に1M濃度のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)と1重量%の硝酸リチウム(LiNO)を溶解させた混合液)を前記電池ケースに注入した後、前記電池ケースを密封し、リチウム二次電池(リチウム-硫黄二次電池)を製造した。前記比較例1のリチウム二次電池は、実施例1とは異なり、シール部を含む負極-セパレータ複合体が含まれていない。
【0081】
比較例2:リチウム二次電池の製造
セパレータの接着時に接着温度として100℃の温度を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。前記シール部は前記負極の四側面を取り囲んで形成され、前記シール部の透気度は3,000sec/100ccであった。前記透気度は、ASAHI SEIKO社のOken Type Air-permeability & Smoothness Testing Controller装置を用いて、Time:6sec、Value:500、Measure Mode:JIS(sec)の条件で測定された。
【0082】
実験例1:リチウム二次電池のサイクル当たりの放電容量の評価およびクーロン効率の評価
実施例1および比較例1、2のリチウム二次電池それぞれに対して25℃で充電および放電を行い、サイクル当たりの放電容量およびクーロン効率をそれぞれグラフ(図7図8)で示した。1回サイクル当たりに0.2Cで充電し(2.5Vまで充電)、2.0Cで放電(1.7Vまで放電)した(CCモード)。
【0083】
図7は、サイクル当たりの放電容量を示し、図8は、サイクル当たりのクーロン効率(充電容量100%を基準とする際の放電容量の割合)を示した。
図7および図8を参照すると、実施例1のリチウム二次電池は、比較例1、2のリチウム二次電池に比べて優れたサイクル当たりの放電容量およびクーロン効率を有することが分かる。
【0084】
実験例2:リチウムが不均一に成長するか否かの確認
実施例1および比較例1に対して実験例1のテストを行い、実施例1の電池内の負極と比較例1の電池内の負極の変化を確認した。
【0085】
具体的に、図9は、240サイクル後の実施例1の電池内の負極の写真であり、図10は、60サイクル後の比較例1の電池内の負極の写真である。写真内の点線は、電池駆動前の負極の本来の大きさを示す(比較例1は、60サイクル後には電圧降下によりセルの駆動が停止したため、60サイクルでの負極を確認するしかなかった。)。
【0086】
図9を参照すると、実施例1の電池に用いられた負極は、240サイクル後にも初めての大きさをそのまま維持することが分かる。これに対し、図10を参照すると、比較例1の電池に用いられた負極は、わずか60サイクルが経過したにもかかわらず、負極の側面にリチウムが不均一に成長し、負極の大きさが増加したことが分かる。
【符号の説明】
【0087】
100:負極-セパレータ複合体
110:負極
120:セパレータ
121:第1セパレータ
122:第2セパレータ
121’:第1セパレータの縁部
122’:第2セパレータの縁部
120a:シール部
200:正極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極およびセパレータを含む負極-セパレータ複合体を含み、
前記負極は、リチウム金属層を含み、
前記セパレータは、前記負極の一面上に配置された第1セパレータ、および前記負極の他面上に配置された第2セパレータを含み、
前記第1セパレータと前記第2セパレータは、前記負極を内部に収容した状態で、前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部が互いに接着されてシール部を形成し、
前記シール部の、前記負極の水平方向における透気度が50,000sec/100cc以上である、リチウム二次電池。
【請求項2】
前記シール部の透気度は65,000sec/100cc~100,000sec/100ccである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記負極は、負極タブを含み、
前記シール部は、前記負極タブを除いた前記負極の残りの部分が前記セパレータの外部に露出しないように形成される、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
前記負極-セパレータ複合体は、前記負極と前記セパレータとの間に位置し、粘着用バインダーを含む粘着層をさらに含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項5】
前記セパレータは、平均細孔径が0.1nm~1,000nmの気孔を含むコーティング層をさらに含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記リチウム二次電池は、正極活物質を含む正極をさらに含み、
前記セパレータは、前記正極と前記負極との間に位置する、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記正極活物質は、無機硫黄(S)、Lin1(n1≧1)、ジスルフィド化合物、有機硫黄化合物、および炭素-硫黄ポリマー((Cn2、x=2.5~50、n2≧2)からなる群から選択される1種以上を含む、請求項6に記載のリチウム二次電池。
【請求項8】
リチウム金属層を含む負極の一面上に第1セパレータを配置し、前記負極の他面上に第2セパレータを配置するステップと、
前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部を互いに接着させてシール部を形成し、負極-セパレータ複合体を製造するステップと、
を含み、
前記シール部の透気度が50,000sec/100cc以上である、リチウム二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記シール部は、前記第1セパレータと前記第2セパレータそれぞれの縁部の少なくとも一部を互いに熱融着させて形成される、請求項8に記載のリチウム二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記熱融着は、110℃~140℃の温度で行われる、請求項9に記載のリチウム二次電池の製造方法。
【請求項11】
前記負極-セパレータ複合体と正極を接するようにするステップをさらに含む、請求項8に記載のリチウム二次電池の製造方法。
【国際調査報告】