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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/52 20060101AFI20241114BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241114BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20241114BHJP
【FI】
H01M10/52 101
H01M10/052
H01M10/0566
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527651
(86)(22)【出願日】2023-04-11
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 KR2023004872
(87)【国際公開番号】W WO2023214703
(87)【国際公開日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0054194
(32)【優先日】2022-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヒ・イム
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミ-ナ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-キュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ホ・イ
【テーマコード(参考)】
5H029
5H031
【Fターム(参考)】
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM07
5H029BJ27
5H029CJ05
5H029CJ12
5H029DJ10
5H029EJ08
5H029EJ11
5H029EJ12
5H029HJ01
5H029HJ04
5H031AA00
5H031BB03
5H031EE04
5H031HH03
5H031HH08
5H031MM00
5H031MM22
(57)【要約】
本発明は、電極組立体と、前記電極組立体に付着した電極リードと、前記電極リードの一部が外部に露出するように前記電極組立体を収納する収納部、及び前記電極組立体を封止するために形成されたシール部を含むケースと、前記収納部の内部に位置し、ガス吸着素材がポリオレフィンマトリックス樹脂に所定重量範囲で分散したガス吸着フィルムを備えるガス吸着部材と、を含む二次電池を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と、
前記電極組立体に含浸された電解液と、
前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、
前記電極リードの一部が外部に露出するように前記電極組立体を収納する収納部、及び前記電極組立体を封止するために形成されたシール部を含むケースと、
前記収納部の内部に位置するガス吸着部材と、を含み、
前記ガス吸着部材は、ガス吸着素材がポリオレフィンマトリックス樹脂に分散したガス吸着フィルムを備え、
前記ガス吸着素材と前記ポリオレフィンマトリックス樹脂の重量比は20:80から50:50であることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
電極組立体と、
前記電極組立体に含浸された電解液と、
前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、
前記電極リードの一部が外部に露出するように前記電極組立体を収納する収納部、及び前記電極組立体を封止するために形成されたシール部を含むケースと、
前記収納部の内部に位置するガス吸着部材と、を含み、
前記ガス吸着部材は、ガス吸着素材がポリオレフィンマトリックス樹脂に分散したガス吸着フィルム、及び前記ガス吸着フィルムの両面にそれぞれ積層されたポリオレフィン樹脂フィルムを備え、
前記ガス吸着フィルムに含まれたガス吸着素材とポリオレフィンマトリックス樹脂の重量比は20:80から60:40であることを特徴とする、二次電池。
【請求項3】
前記ガス吸着フィルムは、前記ガス吸着素材が溶融したポリオレフィンマトリックス樹脂に分散した混合物が押出されて形成されたフィルム形状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記ガス吸着フィルム、及び前記ガス吸着フィルムの両面にそれぞれ積層されたポリオレフィン樹脂フィルムは、前記ガス吸着素材が溶融したポリオレフィンマトリックス樹脂に分散した混合物と前記混合物の両面に位置するポリオレフィン樹脂の溶融物とを共押出して形成されたフィルム形状であることを特徴とする、請求項2に記載の二次電池。
【請求項5】
前記ガス吸着部材は、前記電極組立体の積層方向を基準として前記電極組立体の上部、下部又は上部及び下部の両方に接着されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項6】
前記ガス吸着部材の接着は、前記ガス吸着部材の加熱による熱接着であることを特徴とする、請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記ガス吸着部材は、前記収納部の内面に接着されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項8】
前記ガス吸着部材の接着は、前記ガス吸着部材の加熱による熱接着であることを特徴とする、請求項7に記載の二次電池。
【請求項9】
前記ガス吸着部材の厚さが50から300μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項10】
前記ポリオレフィン樹脂フィルムの厚さは、5から50μmであることを特徴とする、請求項2に記載の二次電池。
【請求項11】
前記ポリオレフィンマトリックス樹脂及び前記ポリオレフィン樹脂は、互いに独立してポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの混合物であることを特徴とする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項12】
前記ガス吸着素材が炭素系物質、セラミック物質、金属有機骨格体(MOF、Metal Organic Framework)、アンモニウム系有機物、又はこれらのうちの2つ以上を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項13】
前記ガス吸着素材は、二酸化炭素を吸着することを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項14】
前記二次電池は、リチウム二次電池であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関し、より詳しくは、ガス吸着素材を備えた二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2022年5月2日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0054194号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加することにつれ、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心が寄せられている。
【0004】
このような二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒型又は角型の金属缶に組み込まれている円筒型電池及び角型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに組み込まれているパウチ型電池とに分類される。ここで、電池ケースに組み込まれる電極組立体は、正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜の構造でなり、充放電が可能な発電素子であり、活物質が塗布された長いシート状の正極と負極との間に分離膜を介在して巻き取ったゼリーロール型と、複数の正極と負極を分離膜に介在した状態で順に積層した積層型とに分類される。
【0005】
これらの中でも、特に積層型又は積層/折畳型電極組立体をアルミニウムラミネートシートのパウチ型電池ケースに組み込んだ構造のパウチ型電池は、製造コストが低く、重量が小さく、変形しやすい形態などの理由で使用量が徐々に増加している。
【0006】
しかし、最近、電池セルのエネルギー密度が増加することにつれ、電池セルの内部で発生するガス量も増加するという問題がある。
【0007】
電池セルの内部で発生するガス量が増加すると、電池の内圧が上昇し、電池ケースを変形又は破損する可能性がある。また、ガスは電池性能の劣化を促進すると知られている。
【0008】
これによって、電池には発生したガスが所定圧力以上で作動するガスを排出する安全装置が設けられ得るが、電子内圧の上昇によって安全装置が作動すると、ガスとともに電解質成分が放出され、電池の寿命が短くなるなど電子機器に悪影響を与える。
【0009】
このような問題を解決するために、電池セルの内部で発生したガスを吸着するガス吸着素材を含むガス吸着部材を電池セルの内部に設ける方法が提案された。
【0010】
例えば、韓国公開特許第10-2015-0014668号公報は、ガス吸着素材を含む多孔性基材からなるガス吸着部材を電池セルの内部に設けた電池を開示している。上述した文献のガス吸着素材は、発泡した合成樹脂に形成された気孔内に位置する。また、特開第2003-77549号公報は、ガス吸着素材粒子と非水溶媒に対する疎液材粒子の混合物を焼結して形成するか、又はこれらの混合物が分散媒に分散した分散液を撒布及び乾燥してガス吸着部材を製造することで、疎液材粒子の間又は疎液材粒子とガス吸着素材粒子との間にガスの通路を形成したガス吸着部材を製造する方法を開示している。
【0011】
しかし、このような先行技術文献のガス吸着部材は製造方法が複雑であり、時間が経つと電解液と反応して電池性能に悪影響を与える可能性がある。これにより、電解液に対する反応性がより抑制されたガス吸着部材に対する開発が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の一実施形態によって解決しようとする課題は、長期にわたって二次電池内部で発生するガスを安定に吸収するとともに電解液との反応を抑制できるガス吸着部材を備える二次電池を提供することである。
【0013】
本発明の他の実施形態によって解決しようとする課題は、上述した目的以外に電池内部に堅固に固定できるガス吸着部材を備える二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の一態様によると、下記の実施形態の二次電池が提供される。
【0015】
第1実施形態は、電極組立体と、前記電極組立体に含浸された電解液と、前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、前記電極リードの一部が外部に露出するように前記電極組立体を収納する収納部、及び前記電極組立体を封止するために形成されたシール部を含むケースと、前記収納部の内部に位置するガス吸着部材と、を含み、前記ガス吸着部材は、ガス吸着素材がポリオレフィンマトリックス樹脂に分散したガス吸着フィルムを備え、前記ガス吸着素材と前記ポリオレフィンマトリックス樹脂の重量比は20:80から50:50であることを特徴とする二次電池を提供する。
【0016】
第2実施形態は、電極組立体と、前記電極組立体に含浸された電解液と、前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、前記電極リードの一部が外部に露出するように前記電極組立体を収納する収納部、及び前記電極組立体を封止するために形成されたシール部を含むケースと、前記収納部の内部に位置するガス吸着部材と、を含み、前記ガス吸着部材は、ガス吸着素材がポリオレフィンマトリックス樹脂に分散したガス吸着フィルム、及び前記ガス吸着フィルムの両面にそれぞれ積層されたポリオレフィン樹脂フィルムを備え、前記ガス吸着フィルムに含まれたガス吸着素材とポリオレフィンマトリックス樹脂の重量比は20:80から60:40であることを特徴とする二次電池を提供する。
【0017】
第3実施形態は、第1実施形態又は第2実施形態において、前記ガス吸着フィルムは、前記ガス吸着素材が溶融したポリオレフィンマトリックス樹脂に分散した混合物が押出されて形成されたものであり得る。第4実施形態は、第2実施形態又は第3実施形態において、前記ガス吸着フィルム、及び前記ガス吸着フィルムの両面にそれぞれ積層されたポリオレフィン樹脂フィルムは、前記ガス吸着素材が溶融したポリオレフィンマトリックス樹脂に分散した混合物と前記混合物の両面に位置するポリオレフィン樹脂の溶融物とを共押出して形成されたものであり得る。
【0018】
第5実施形態は、第1実施形態から第4実施形態のいずれかにおいて、前記ガス吸着部材は、前記電極組立体の積層方向を基準として前記電極組立体の上部、下部又は上部及び下部の両方に接着されたものであり得る。
【0019】
第6実施形態は、第5実施形態において、前記ガス吸着部材の接着は、前記ガス吸着部材の加熱による熱接着であり得る。
【0020】
第7実施形態は、第1実施形態から第4実施形態のいずれかにおいて、前記ガス吸着部材は、前記収納部の内面に接着されたものであり得る。
【0021】
第8実施形態は、第7実施形態において、前記ガス吸着部材の接着は、前記ガス吸着部材の加熱による熱接着であり得る。
【0022】
第9実施形態は、第1実施形態から第8実施形態のいずれかにおいて、前記ガス吸着部材の厚さが50から300μmであり得る。
【0023】
第10実施形態は、第2実施形態から第9実施形態のいずれかにおいて、前記ポリオレフィン樹脂フィルムの厚さは、5から50μmであり得る。
【0024】
第11実施形態は、第1実施形態から第10実施形態のいずれかにおいて、前記ポリオレフィンマトリックス樹脂及び前記ポリオレフィン樹脂は、互いに独立してポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの混合物であり得る。
【0025】
第12実施形態は、第1実施形態から第11実施形態のいずれかにおいて、前記ガス吸着素材が炭素系物質、セラミック、金属有機骨格体(MOF、Metal Organic Framework)、アンモニウム系有機物、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができる。
【0026】
第13実施形態は、第1実施形態から第12実施形態のいずれかにおいて、前記ガス吸着素材は、二酸化炭素を吸着することができる。
【0027】
第14実施形態は、第1実施形態から第13実施形態のいずれかにおいて、前記二次電池は、リチウム二次電池であり得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施形態による二次電池は、ガス吸着部材であり、ガス吸着素材が所定の重量比でポリオレフィンマトリックス樹脂に分散した形態のガス吸着フィルムを備えることによって、長期にわたって二次電池内部で発生するガスを安定に吸収するとともに電解液との反応も抑制される。これによって、電池を長期間使用する場合にガス吸着部材が電解液との反応によって電池性能を劣化させる現象を低減させることができる。
【0029】
また、本発明によるガス吸着部材は、熱接着が容易であるため、電極組立体の上部又は下部や電池収納部の内面に容易に接着でき、電池に堅固に固定することができる。
【0030】
上述した本発明の効果は、本発明の一実施形態によるガス吸着素材がポリオレフィンマトリックス樹脂に分散したガス吸着フィルム、及び前記ガス吸着フィルムの両面にそれぞれ積層されたポリオレフィン樹脂フィルムを備えるガス吸着部材を用いるときにさらに大きく発現され得る。
【0031】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態による二次電池を概略的に示す部分切開斜視図である。
図2図1の断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるガス吸着部材を概略的に示す断面図である。
図4】本発明の他の実施形態によるガス吸着部材を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されるものである。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施形態に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0035】
本発明の一態様による二次電池は、電極組立体と、前記電極組立体に含浸された電解液と、前記電極組立体に付着した電極リードと、前記電極リードの一部が外部に露出するように前記電極組立体を収納する収納部、及び前記電極組立体を封止するために形成されたシール部を含むケースと、前記収納部の内部に位置するガス吸着部材と、を含み、前記ガス吸着部材は、ガス吸着素材がポリオレフィンマトリックス樹脂に分散したガス吸着フィルムを備え、前記ガス吸着素材と前記ポリオレフィンマトリックス樹脂の重量比は20:80から50:50である。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態による二次電池を概略的に示す部分切開斜視図であり、図2は、図1の断面図である。
【0037】
図1を参照すると、二次電池10は、電極リード11が付着した電極組立体12、及びケース13を備える。
【0038】
電極組立体12は、通常知られている正極板、負極板及び分離膜を含むことができる。電極組立体12は、分離膜を挟んで正極板と負極板が順に積層され得る。
【0039】
正極板は、導電性に優れた金属薄板からなる正極集電体と、その少なくとも一面にコーティングされた正極活物質層を含むことができる。
【0040】
正極集電体は、電池に化学的変化を引き起こすことなく導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素又はアルミニウムやステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを用いることができる。アルミニウム箔からなる正極集電体を特に用いることができる。また、前記正極集電体は、通常3から500μmの厚さを有することができ、前記正極集電体の表面上に微小な凹凸を形成して正極活物質の接着力を向上させることもできる。例えば、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態で用いることができる。
【0041】
正極活物質層は、公知の正極活物質、導電材及びバインダーを含むことができる。
【0042】
正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や、1又はそれ以上の遷移金属で置換された化合物と、化学式Li1+xMn2-x(ここで、xは0~0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物と、リチウム銅酸化物(LiCuO)と、LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物と、化学式LiNi1-x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B又はGaであり、x=0.01~0.3である)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物と、化学式LiMn2-x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、Zn又はTaであり、x=0.01~0.1である)又はLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、Cu又はZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物と、化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMnと、ジスルフィド化合物と、Fe(MoOなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
導電材は、電極に導電性を付与するために用いるものであり、構成される電池において、化学変化を引き起こすことなく電子伝導性を有するものであれば特に限定することなく使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛と、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質と、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末又は金属繊維と、酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ホイスカーと、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、又はポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などが挙げられ、これらのうちの1種単独又は2種以上の混合物を用いることができる。導電材は通常、正極活物質層の総重量に対して1から30重量%で含まれ得る。
【0044】
バインダーは、正極活物質粒子間の付着、及び正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割をする。具体的な例としては、ポリビニリデンフロリド(PVDF)、ビニリデンフロリド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、又はこれらの様々な共重合体などが挙げられ、これらのうちの1種単独又は2種以上の混合物を用いることができる。バインダーは、正極活物質層の総重量に対して1から30重量%で含まれ得る。
【0045】
正極板は、通常の正極板の製造方法によって製造することができる。具体的に、正極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を含む正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に塗布した後、乾燥及び圧延することで製造することができる。このとき、前記正極活物質、バインダー、導電材の種類及び含有量は上述した通りである。また、他の方法によって、正極板は、正極活物質層形成用組成物を別途の支持体上にキャスティングした後、この支持体から剥離して得たフィルムを正極集電体上にラミネートすることで製造することもできる。
【0046】
また、正極板は一側端部に金属材料、例えばアルミニウム(Al)材料からなる正極タブを含むことができる。正極タブは、正極板の一側端部から突出することができる。正極タブは、正極板の一側端部に溶接されるか、又は導電性接着剤を用いて接合することができる。
【0047】
負極板は、導電性の金属薄板からなる負極集電体と、その少なくとも一面にコーティングされた負極活物質層を含むことができる。
【0048】
負極集電体は、電池に化学的変化を引き起こすことなく、高い導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などを用いることができる。特に、銅箔を用いることができる。また、負極集電体は、通常3から500μmの厚さを有することができ、正極集電体と同様に、前記集電体の表面に微小な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化することもできる。例えば、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態で用いることができる。
【0049】
負極活物質層は、負極活物質とともに選択的にバインダー及び導電材を含む。負極活物質層は、一例として負極集電体上に負極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を含む負極形成用組成物を塗布して乾燥するか、又は負極形成用組成物を別途の支持体上にキャスティングした後、この支持体から剥離して得たフィルムを負極集電体上にラミネートすることで製造することもできる。
【0050】
負極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションが可能な化合物を用いることができる。具体的な例としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質の材料と、Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金又はAl合金などリチウムと合金化が可能な金属質物質と、SiOβ(0<β<2)、SnO、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物のようにリチウムをドープ及び脱ドープすることができる金属酸化物、又はSi-C複合体又はSn-C複合体のように金属質物質と炭素質の材料を含む複合物などが挙げられ、これらのうちのいずれか1つ又は2つ以上の混合物を用いることができる。また、負極活物質として、金属リチウム薄膜を用いることもできる。また、炭素材料は、低結晶炭素及び高結晶性炭素などのいずれも使用可能である。低結晶性炭素としては、軟化炭素(soft carbon)及び硬化炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては、無定形、板状、鱗片状、球状又は繊維状の天然黒鉛又は人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、炭素微小球体(meso-carbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)及び石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。一方、バインダー及び導電材は、上述した正極活物質で説明されたバインダーと導電材を用いることができる。
【0051】
また、負極板は一側端部に金属材料、例えばニッケル(Ni)材料から形成された負極タブを含むことができる。負極タブは、負極板の一側端部から突出することができる。前記負極タブは、負極板の一側端部に溶接されるか、又は導電性接着剤を用いて接合することができる。
【0052】
分離膜は、正極板と負極板との間に位置し、正極板と負極板を互いに電気的に絶縁する。分離膜は、正極板と負極板との間でリチウムイオンが互いに通過できるように多孔性膜であることもあり、例えば、ポリエチレン(PE)、又はポリプロピレン(PP)、又はこれらの複合フィルムを用いたポリオレフィン多孔性膜を用いることができる。分離膜の表面には、電池の安全性を改善するために、高分子と無機物粒子を含むコーティング層を備えることができる。無機物コーティング層は、無機物粒子がバインダーによって互いに接続及び固定され、無機物粒子の間に気孔が形成された構造を有することができる。
【0053】
電極組立体12は、長いシート状の正極板と負極板を分離膜が介在した状態で巻き取った構造のゼリーロール(巻取型)電極組立体、所定サイズの単位で切り取った複数の正極板と負極板を分離膜が介在した状態で順に積層した積層型(スタック型)電極組立体、所定単位の正極板と負極板を分離膜が介在した状態で積層したバイセル(Bi-cell)又はフルセル(Full dell)を巻き取った構造の積層/折畳型電極組立体などであり得る。
【0054】
一方、電極組立体12はケース13に収納される。
【0055】
本発明の一実施形態において、ケース13は、図1及び図2に示されたように、電極組立体12を収納する収納部13a、及び電極組立体12を封止するために収納部13の外周面に形成されたシール部13bを備えることができる。
【0056】
シール部13bは、シーラント樹脂を含むことができ、シール部に含まれたシーラント樹脂が収納部13aの外周面に沿って溶着して電極組立体12を封止することができる。
【0057】
本発明の一実施形態において、ケース13は、外部からの衝撃を保護するための外層、水分を遮断する金属バリア層、及びケースを封止するシーラント層の多層構造のフィルム状で形成されることができる。
【0058】
外層は、ポリ(エチレンテレフタレート)(Poly(ethylene terephthalate);PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロンなどを用いたポリエステル系フィルムを含むことができ、単層又は多層で構成され得る。
【0059】
金属バリア層は、アルミニウム、銅などを含むことができる。
【0060】
シーラント層は、シーラント樹脂を含むことができ、単層又は多層で構成され得る。
【0061】
シーラント樹脂は、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン(Acid modified polypropylene;PPa)、ランダムポリプロピレン(random polypropylene)、エチレンプロピレン共重合体、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができる。エチレンプロピレン共重合体は、エチレンプロピレンゴム(ethylene-propylene rubber)、エチレン-プロピレンブロック共重合体などを含むことができるが、これらに限定されない。
【0062】
本発明の一実施形態において、ケース13はパウチ型であり得る。
【0063】
パウチ型のケース13は、上部パウチと下部パウチを含むことができる。ケース13が上部パウチと下部パウチを含む場合、シーラント樹脂が互いに対向するように上部パウチと下部パウチを配置した後、対向するシーラント樹脂が熱と圧力によって互いに溶着することで電池を封止する構造を有することができる。
【0064】
シール部13bの溶着は、熱溶着、超音波による溶着などであり得るが、シール部13bを溶着できれば特に限定されない。
【0065】
シール部13bは、一実施形態において、ケース13の縁部で4面シール又は3面シールされ得る。3面シール構造において、上部パウチと下部パウチが1つのパウチシートに形成された後、上部パウチ及び下部パウチの境界面を折り曲げ、上部パウチ及び下部パウチに形成された収納部13aを重ねた状態で折曲部を除いた残りの3面の縁部がシールされる。
【0066】
電極リード11は、図1及び図2に示されたように、電極組立体12に付着している。電極リード11は、電極リード11の一部がケース13の外部に露出するようにケース13に収納され得る。
【0067】
本発明の一実施形態によると、リードフィルム14が電極リード11の外面の一部を取り囲み、電極リード11とケース13との間に介在することができる。例えば、電極リード11とケース13との結着のために、リードフィルム14は、電極リード11と電極リード11がケース13から突出又は延長する部分のケース13のシール部13bとの間に介在することができる。
【0068】
上述したようにケース13に収納された電極組立体12は電解液に含浸される。具体的に、電解液は、有機溶媒及びリチウム塩を含む非水電解液であり得る。
【0069】
有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をするものであれば特に限定することなく用いることができる。具体的に、有機溶媒としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、ε-カプロラクトン(ε-caprolactone)などのエステル系溶媒と、ジブチルエーテル(dibutyl ether)又はテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒と、シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒と、ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒と、ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)などのカーボネート系溶媒と、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒と、R-CN(Rは、C2からC20の直鎖状、分岐状又は環状構造の炭化水素基であり、環外二重結合又はエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類と、ジメチルホルムアミドなどのアミド類と、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、又はスルホラン(sulfolane)類などを用いることができる。これらの中でもカーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を向上させることができる高いイオン伝導度及び高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、約1:1から約1:9の体積比で混合して使用することにより、優れた電解液性能を得ることができる。
【0070】
リチウム塩は、例えば、リチウム二次電池で用いるリチウムイオンを提供できる化合物であれば、特に限定することなく用いることができる。具体的に、リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiI、又はLiB(Cなどを用いることができる。リチウム塩の濃度は、0.1から2.0Mの範囲内で用いた方が好ましい。リチウム塩の濃度が上記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するので、優れた電解質性能を有することができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0071】
電解液には、上述した成分以外にも電池の寿命特性の向上、電池容量減少の抑制、電池の放電容量の向上などを目的として、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール又は三塩化アルミニウムなどの添加剤を1種以上さらに含むこともできる。このとき、前記添加剤は、電解質の総重量に対して0.1から5重量%で含まれ得る。
【0072】
このような二次電池は、特にリチウム二次電池であり、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯機器、及びハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などに有用に用いることができる。
【0073】
一方、図1及び図2に示されたように、ケース13の収納部13aの内部にはガス吸着部材15が含まれる。
【0074】
ガス吸着部材15は、ガス吸着素材がポリオレフィンマトリックス樹脂に分散したガス吸着フィルムを備える。
【0075】
図3は、本発明の一実施形態によるガス吸着フィルムからなるガス吸着部材を概略的に示す断面図であり、図4は、本発明の他の実施形態によるガス吸着部材を概略的に示す断面図である。
【0076】
図3を参照すると、ガス吸着部材15は、ポリオレフィンマトリックス樹脂を基本基材にして、ガス吸着素材3がポリオレフィンマトリックス樹脂1に分散してフィルム状をなす。
【0077】
ガス吸着素材3としては、炭素系物質、セラミック、金属有機骨格体(MOF、Metal Organic Framework)、アンモニウム系有機物、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができる。ガス吸着素材3は、特に二酸化炭素を容易に吸着する素材を選択することができる。ガス吸着素材3は、二酸化炭素以外にメタン又はエタンも吸着するものであり得る。
【0078】
前記炭素系物質は、炭素繊維、活性炭素、多孔性炭素、グラフェン、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができる。前記セラミックは、シリカ(silica)、アルミナ、ゼオライト、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができる。
【0079】
本発明の一実施形態において、ガス吸着素材3の含有量が電池容量に対して0.1g/Ahから0.10g/Ahであり得る。ガス吸着素材3の含有量が上述した範囲を満たすと、ベントが発生しないように二次電池内部で発生するガスを吸着することがより容易になり得る。
【0080】
上述したように、ガス吸着部材15は、電解液との反応が抑制された場合にのみ、電池性能に対する悪影響を低減することができる。ガス吸着部材15に含まれるガス吸着素材3は、時間の経過とともに電解液と反応して電池性能に悪影響を与えるため、本発明においては、電解液に対する反応性の低いポリオレフィンマトリックス樹脂1の内部にガス吸着素材3を分散させることによって、このような問題を軽減した。
【0081】
このような側面で、図3のガス吸着部材15を構成するガス吸着素材3と前記ポリオレフィンマトリックス樹脂1の重量比は20:80から50:50である。ガス吸着素材3に対するポリオレフィンマトリックス樹脂1の重量比が定義された割合を超えると、ガス吸着効率が低下し、ガス吸着素材3に対するポリオレフィンマトリックス樹脂1の重量比が定義された割合に達していないと、フィルム状を良好に維持できず、ガス吸着部材15の電解液に対する反応性が高くなる可能性がある。
【0082】
このように、ガス吸着部材15としてのガス吸着素材3が所定の重量比でポリオレフィンマトリックス樹脂1に分散した形態のガス吸着フィルムを備えることによって、長期にわたって二次電池内部で発生するガスを安定に吸収するとともに電解液との反応も抑制される。これによって、電池を長期間使用する場合に、ガス吸着部材15が電解液と反応することによって電池性能を劣化させる現象を低減することができる。
【0083】
ポリオレフィンマトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの混合物を用いることができるが、これらに限定されない。
【0084】
ガス吸着部材15は、図4に示されたように、ガス吸着素材3がポリオレフィンマトリックス樹脂1に分散したガス吸着フィルム5、及びガス吸着フィルム5の両面にそれぞれ積層されたポリオレフィン樹脂フィルム7a、7bを備えることができる。ガス吸着フィルム5の両面にそれぞれ積層されたポリオレフィン樹脂フィルム7a、7bは、ガス吸着素材3の電解液に対する接触をさらに抑制してガス吸着部材15の電解液に対する反応をさらに低減することができる。このような3層構造のガス吸着部材15において、ガス吸着フィルムに含まれたガス吸着素材とポリオレフィンマトリックス樹脂の重量比は20:80から60:40である。ガス吸着素材3に対するポリオレフィンマトリックス樹脂1の重量比が定義された割合を超えると、ガス吸着効率が低下し、ガス吸着素材3に対するポリオレフィンマトリックス樹脂1の重量比が定義された割合に達していないと、図4のフィルム状に製造することが容易でない。
【0085】
図3及び図4のガス吸着部材15は、ガス吸着部材の厚さが50から300μmであり、図4のガス吸着部材15のポリオレフィン樹脂フィルム7a、7bの厚さは、ガス吸着フィルムの一面に積層されたポリオレフィン樹脂フィルムの厚さに基づいて5から50μm、さらに詳しくは10から50μmであり得る。
【0086】
図4のガス吸着部材15を構成するポリオレフィンマトリックス樹脂1及びポリオレフィン樹脂フィルム7a、7bを構成するポリオレフィン樹脂は、互いに独立してポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの混合物であり得る。
【0087】
図3及び図4のガス吸着部材15を構成するガス吸着フィルムは、それぞれガス吸着素材が溶融したポリオレフィンマトリックス樹脂に分散した混合物が押出されて形成されたものであり得る。すなわち、ガス吸着フィルムは、例えば、T-ダイを備えた押出機にポリオレフィンマトリックス樹脂とガス吸着素材を投入し、ポリオレフィンマトリックス樹脂よりも高い温度で加熱及び混合した後に押出して製造することができる。図4による3層構造のガス吸着部材15は、ガス吸着素材が溶融したポリオレフィンマトリックス樹脂に分散した混合物と、前記混合物の両面にポリオレフィン樹脂の溶融物を配置して共押出することで製造することができる。或いは、ガス吸着フィルムとポリオレフィン樹脂フィルムをそれぞれ押出によって製造した後、ガス吸着フィルムの両面にポリオレフィン樹脂フィルムをそれぞれ積層して接着剤又は加熱によって互いに接着することで製造することもできる。
【0088】
ガス吸着部材は、ケースの収納部の内部であれば多様に位置し得るが、電極組立体の積層方向を基準として前記電極組立体の上部、下部又は上下部の両方に接着されるか、収納部の内面に接着して位置し得る。このようにガス吸着部材を配置する場合、ケースなどの設計を変更することなくガス吸着部材を二次電池に備えることができ、ガス吸着部材による二次電池のエネルギー密度の減少を最小化することができる。
【0089】
ガス吸着部材の表面は、ポリオレフィン樹脂を基本材料として製造されるため、電極組立体又は収納部の内面に対するガス吸着部材の接着は、ガス吸着部材を加熱することで容易に熱接着を行うことができる。特に、電極組立体の外面にポリオレフィン分離膜が位置すると、ポリオレフィン樹脂を材料とするガス吸着部材の熱接着がさらに容易である。収納部の内面も、ポリオレフィン樹脂を含む場合、ポリオレフィン樹脂を材料とするガス吸着部材の熱接着がさらに容易である。これによって、ガス吸着部材を電池に堅固に固定することができる。
【0090】
本発明の一実施形態において、前記ガス吸着素材3の含有量が電池容量に対して0.1g/Ahから0.10g/Ahであり得る。前記ガス吸着素材3の含有量が上述した範囲を満たすと、ベントが発生しないように二次電池内部で発生するガスを吸着することがより容易になり得る。
【0091】
前記ガス吸着部材15の厚さは、1gのガス吸着素材3が100ccのガスを吸着するように設定され得る。例えば、前記ガス吸着部材15の厚さが50から300μmであり得る。前記ガス吸着部材15の厚さが上述した範囲を満たすと、ベントが発生しないように前記ガス吸着素材3が二次電池内部で発生するガスを吸着することがより容易になり得る。
【0092】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳しく説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0093】
比較例1
ガス吸着素材としてアミン系化合物であるポリエチレンイミン(Polyethyleneimine)1gを100mlのビーカーに入れた後、ガス吸着量、吸着効率、電解液反応性、熱接着性などを測定して下記表1に示す。
【0094】
実施例1-1
比較例1で用いられたガス吸着素材をポリオレフィンマトリックス樹脂であるポリプロピレンと20:80の重量比で押出機にそれぞれ投入し、ポリプロピレンの融点以上に加熱及びコンパウンドした後、Tダイにより押出して100μm厚さのガス吸着フィルムを製造した。
【0095】
実施例1-2
ガス吸着素材とポリプロピレンマトリックス樹脂の重量比を30:70に調節したことを除いては、実施例1-1と同様にしてガス吸着フィルムを製造した。
【0096】
実施例1-3
ガス吸着素材とポリプロピレンマトリックス樹脂の重量比を50:50に調節したことを除いては、実施例1-1と同様にしてガス吸着フィルムを製造した。
【0097】
実施例2-1
比較例1で用いられたガス吸着素材およびポリオレフィンマトリックス樹脂であるポリプロピレンを50:50の重量比で押出機にそれぞれ投入し、ポリプロピレンの融点以上に加熱及びコンパウンドし、ポリプロピレンを押出機の両シース部にそれぞれ投入してポリプロピレンの融点以上に加熱した後、Tダイにより同時押出し、コア部の厚さが80μmのガス吸着フィルムの両面にそれぞれ厚さ10μmのポリプロピレンフィルムが積層された3層構造のガス吸着部材を製造した。
【0098】
【表1】
【0099】
表1の物性は、以下のような方法により測定した。
【0100】
[ガス吸着量]
理論値:理論値は、ガス吸着素材が理論的に吸着可能な量を計算して求めた。
実験値:ガス吸着素材又はガス吸着部材形態のフィルムが含まれた、4面がシールされた電池用パウチをMFCが接続されたチューブと連結し、内部圧力が常圧に対して0.5atmになるまで一定速度(50cc/min.)でCOガスを注入した。当該圧力に達するとバルブを閉じ、指定された所定時間の間保管した後、またチューブと連結して内部圧力が0.5atmに達するまでさらに注入したCOガス量を、実験値によるガス吸着量として計算した。
吸着効率:実験値から計算された吸着量を理論値の吸着量で除して計算した。
【0101】
[電解液反応性]
EC/PC/EP/PPが20/10/25/45のVol%でなる溶媒にLiPFを1.2M溶解させた電解液10mlを0.5gのガス吸着素材とともに30mlのビーカーに投入した後、電極としてPt Proveを用いて1.0~5.0Vの範囲の酸化/還元反応試験を行った。
【0102】
電解液以外に何も入れていないブランクサンプルと比較して、さらなる酸化/還元反応の有無により以下のように反応性を評価した。
○:電解液の色の変化なし
X:電解液の色が茶色に変化する
【0103】
[熱接着性]
実施例及び比較例のガス吸着部材を厚さ100μmのポリエチレンフィルムの上に積層した後、これをホットプレスを用いて180℃、0.5MPaの圧力で10秒間押した後、1cm幅にカットした。カットした試料からガス吸着部材を5N/cmの力で剥離する180゜剥離試験を行い、ガス吸着部材が剥離されなかった場合は○、剥離された場合はXと表記した。
【0104】
表1のデータを参照すると、比較例1のガス吸着部材は、電解液との反応性が大きい。一方、実施例のガス吸着部材は、長期間使用時に理論値に相当するガス吸着量を示すものの、電解液との反応性が低いことを確認できる。また、実施例のガス吸着部材は熱接着性に優れていた。
【符号の説明】
【0105】
1:ポリオレフィンマトリックス樹脂
3:ガス吸着素材
5:ガス吸着フィルム
7a、7b:ポリオレフィン樹脂フィルム
10:二次電池
11:電極リード
12:電極組立体
13:ケース
13a:収納部
13b:シール部
14:リードフィルム
15:ガス吸着部材
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】