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特表2024-543434ガンマ線を使ったAC-225の生成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】ガンマ線を使ったAC-225の生成
(51)【国際特許分類】
   G21G 1/12 20060101AFI20241114BHJP
   G21G 4/08 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G21G1/12
G21G4/08 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527659
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 US2022079372
(87)【国際公開番号】W WO2023086762
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/263,854
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521219442
【氏名又は名称】ウェスティングハウス エレクトリック カンパニー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WESTINGHOUSE ELECTRIC COMPANY LLC
【住所又は居所原語表記】1000 Westinghouse Drive, Suite 141, Cranberry Township, Pennsylvania 16066 United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】507301213
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ピッツバーグ - オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ディ. ヘイベル
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ジェイ. ロプレスティ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ブイ. コンジェード
(57)【要約】
本明細書では、ガンマ線発生器を用いてRa-226からAc-225を生成するデバイス、システム、及び方法が開示されている。ガンマ線発生器は、電子中性子発生器又は原子炉を利用して、高エネルギの即発捕獲ガンマ線を発生させてよい。Ra-226はガンマ線で照射されることによりRa-225を生成し、このRa-225が崩壊してAc-225が生成される。Co-60などの連続的に崩壊する放射性同位体を使用せずに、電子中性子発生器とGd-157などの照射ターゲット物質を使用して高エネルギガンマ線を発生させる方法は、高エネルギガンマ線の発生及びAc-225の生成に関連するコストを大幅に削減し、安全性を高めることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジウム-226(Ra-226)からアクチニウム-225(Ac-225)を生成するためのデバイスであって、
放出端から熱中性子束を発生させる電子中性子発生器と、
前記電子中性子発生器によって生じた前記熱中性子束へ曝露されることに応じてガンマ線を発生させる照射ターゲット物質を備える照射ターゲットインサートであって、前記電子中性子発生器の前記放出端に近接して配置される前記照射ターゲットインサートと、
前記照射ターゲット物質によって生じた前記ガンマ線に曝露されることに応じてRa-225を生成するRa-226ターゲット物質を備えるRa-226インサートと、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、さらに、
前記熱中性子束への前記照射ターゲット物質の曝露を緩和する中性子減速物質を備える端側中性子減速体を備え、
前記端側中性子減速体は、前記照射ターゲットインサートと前記電子中性子発生器の前記放出端との間に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記照射ターゲット物質は、ガドリニウム-157(Gd-157)物質を備え、
前記照射ターゲットインサートは、Gd-157インサートである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記Gd-157物質は、Gd-157を少なくとも約80wt%~100wt%含むように濃縮された酸化ガドリニウム(Gd)を備える、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記Gdは、Gd-157を約87wt%含むように濃縮されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記照射ターゲット物質が、前記Ra-226インサートに最適化されたガンマ線量率及び強度を提供するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記電子中性子発生器は、第1の電子中性子発生器であり、
前記端側中性子減速体は、第1の端側中性子減速体であり、
前記Gd-157インサートは、第1のGd-157インサートであり、
前記Ra-226インサートは、第1のRa-226インサートであり、
前記デバイスは、さらに、
第2の電子中性子発生器と、
前記中性子減速物質を備える第2の端側中性子減速体と、
第2のGd-157インサート及び第3のGd-157インサートであって、これらの各々が前記Gd-157物質を備える、前記第2のGd-157インサート及び前記第3のGd-157インサートと、
前記Ra-226ターゲット物質を備える第2のRa-226インサートと、
第1の内側中性子減速体、第2の内側中性子減速体、第3の内側中性子減速体、及び第4の内側中性子減速体であって、これらの各々が前記中性子減速物質を備える、前記第1の内側中性子減速体、前記第2の内側中性子減速体、前記第3の内側中性子減速体、及び前記第4の内側中性子減速体と、を備え、
前記第1の端側中性子減速体は、前記電子中性子発生器に隣接し、
前記第1のGd-157インサートは、前記端側中性子減速体に隣接し、
前記第1の内側中性子減速体は、前記第1のGd-157インサートに隣接し、
前記第1のRa-226インサートは、前記第1の内側中性子減速体に隣接し、
前記第2の内側中性子減速体は、前記第1のRa-226インサートに隣接し、
前記第2のGd-157インサートは、前記第2の内側中性子減速体に隣接し、
前記第3の内側中性子減速体は、前記第2のGd-157インサートに隣接し、
前記第2のRa-226インサートは、前記第3の内側中性子減速体に隣接し、
前記第4の内側中性子減速体は、前記第2のRa-226インサートに隣接し、
前記第3のGd-157インサートは、前記第4の内側中性子減速体に隣接し、
前記第2の端側中性子減速体は、前記第3のGd-157インサートに隣接し、
前記第2の電子中性子発生器は、前記第2の端側中性子減速体に隣接する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1のGd-157インサート、前記第2のGd-157インサート、及び前記第3のGd-157インサートの各々並びに前記第1のRa-226インサート及び前記第2のRa-226インサートの各々が、取り外し可能に前記デバイスに挿入されている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスは、さらに、
前記Gd-157物質の枯渇レベル又は前記Ra-225の生成量の少なくとも1つを特定するために、前記ガンマ線のレベルを測定するように構成されたモニタを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
Ra-226からAc-225を生成するための方法であって、
電子中性子発生器を用いて中性子束を発生させることと、
照射ターゲット物質を前記中性子束に曝露させることによってガンマ線を発生させることと、
Ra-226ターゲット物質を備えるRa-226インサートに前記ガンマ線を照射することによりRa-225を生成することと、を含む方法。
【請求項11】
前記方法は、さらに、
前記電子中性子発生器を少なくとも部分的に囲む放射線遮蔽物質を用いて前記中性子束を遮蔽することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、さらに、
前記電子中性子発生器と前記照射ターゲット物質との間に配置された中性子減速物質を用いて前記中性子束を減速することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、さらに、
前記ガンマ線のレベルを測定するように構成されたモニタを用いて、前記照射ターゲット物質の枯渇レベル又はAc-225の生成量の少なくとも1つを監視することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
Ra-226からAc-225を生成するためのシステムであって、
炉心を備える原子炉と、
前記炉心に挿入可能な照射ターゲットアセンブリと、を備え、
前記照射ターゲットアセンブリは、
Ra-226を備えるRa-226物質と前記Ra-226物質を包囲し密封するRa-226ホルダとを備えるRa-226ターゲット挿入取り出しデバイスと、
照射ターゲット物質と前記照射ターゲット物質を包囲し密封する照射ターゲットホルダとを備える照射ターゲット格納構造体であって、前記Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスを少なくとも部分的に囲む前記照射ターゲット格納構造体と、
閉じた端を備える外側ラビットシースであって、前記照射ターゲット格納構造体を少なくとも部分的に囲む前記外側ラビットシースと、を備える、システム。
【請求項15】
前記照射ターゲット物質がGd-157物質を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記照射ターゲットアセンブリは、少なくとも1つのガス膨張ギャップをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記Ra-226物質及び前記照射ターゲット物質は、粉末状である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスは円柱形であり、
前記照射ターゲット格納構造体は、円筒形であり、前記Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスと同心であり、
前記外側ラビットシースは、円筒形であり、前記Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスと前記照射ターゲット格納構造体を囲む閉じた端を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムは、さらに、
Ra-225の生成量又は前記照射ターゲット物質の枯渇レベルの少なくとも1つを特定するために、前記照射ターゲットアセンブリの近傍のガンマ線レベルを測定するように構成された1つ又は複数のモニタを備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスと前記照射ターゲット格納構造体とはそれぞれ、前記照射ターゲットアセンブリに取り外し可能に挿入される、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
Ra-226からAc-225を生成するための方法であって、
原子炉の炉心に、Ra-226物質と照射ターゲット物質とを備える照射ターゲットアセンブリを挿入することと、
前記原子炉の前記炉心で中性子束を発生させることと、
前記照射ターゲット物質を前記中性子束に曝露させることによってガンマ線を発生させることと、
前記Ra-226物質に前記ガンマ線を照射することによりRa-225を生成することと、を含む方法。
【請求項22】
前記方法は、さらに、
前記照射ターゲットアセンブリの近傍の前記ガンマ線のレベルを監視することにより、Ra-225の生成量又は前記照射ターゲット物質の枯渇レベルの少なくとも1つを特定することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、さらに、
前記照射ターゲット物質の枯渇レベルが所定の閾値を満たすと判定することと、
前記照射ターゲットアセンブリから前記照射ターゲット物質を取り出し、新しい照射ターゲット物質を前記照射ターゲットアセンブリに挿入することにより、前記照射ターゲットを交換することと、を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、さらに、
前記Ra-225の生成量が所定の閾値を満たすと判定することと、
前記照射ターゲットアセンブリから前記Ra-226ターゲット物質を取り出すことと、
新しいRa-226ターゲット物質を前記照射ターゲットアセンブリに挿入することと、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記照射ターゲット物質がGd-157を備える、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2021年11月10日に出願され、Producing AC-225 USING A GAMMA-RADATION GENERATOR TO PRODUCE HIGH ENERGY PROMPT-CAPTURE GAMMA RADIATIONと題される米国仮出願第63/263,854号の利益及び35 U.S.C.119(e)に基づく優先権を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、Ac-225を生成する方法、システム、及びデバイスに関するものであり、より詳細には、電子中性子発生器又は原子炉によって生じる高エネルギの即発捕獲(prompt-capture)ガンマ線を用いて、ラジウム-226(Ra-226)からアクチニウム-225(Ac-225)を生成する方法、システム、及びデバイスに関する。
【発明の概要】
【0003】
以下の要約は、本明細書に開示される態様に特有の革新的な特徴のいくつかを理解しやすくするために提供されるものであり、完全な説明を意図するものではない。様々な態様の完全な理解は、明細書全体、特許請求の範囲、及び要約を全体として捉えることによって得ることができる。
【0004】
一態様では、Ra-226からAc-225を生成するためのデバイスが開示される。このデバイスは、電子中性子発生器と、照射ターゲットインサートと、Ra-226インサートとを備える。電子中性子発生器は、電子中性子発生器の放出端から熱中性子束を発生させる。照射ターゲットインサートは、電子中性子発生器により生じた熱中性子束へ曝露されることによってガンマ線を発生させる照射ターゲット物質を備える。照射ターゲットインサートは、電子中性子発生器の放出端に近接して配置されている。Ra-226インサートは、照射ターゲット物質によって生じたガンマ線へ曝露されることに応じてRa-225を生成するRa-226ターゲット物質を備える。
【0005】
一態様では、Ra-226からAc-225を生成するための方法が開示される。この方法は、電子中性子発生器を用いて中性子束を発生させることを含む。本方法は、照射ターゲット物質を中性子束に曝露することによりガンマ線を発生させることをさらに含む。本方法は、Ra-226ターゲット物質を含むRa-226インサートにガンマ線を照射することによりRa-225を生成することをさらに含む。
【0006】
一態様では、Ra-226からAc-225を生成するためのシステムが開示される。このシステムは、原子炉と照射ターゲットアセンブリとを備える。原子炉は炉心を含む。照射ターゲットアセンブリは炉心に挿入可能である。照射ターゲットアセンブリは、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスと、照射ターゲット格納構造体と、外側ラビットシースとを備える。Ra-226ターゲット挿入取出しデバイスは、Ra-226を含むRa-226物質と、Ra-226物質を包囲して密封するRa-226ホルダとを含む。照射ターゲット格納構造体は、照射ターゲット物質と、照射ターゲット物質を包囲して密封する照射ターゲットホルダとを含む。照射ターゲット格納構造体は、Ra-226ターゲット挿入取出しデバイスを少なくとも部分的に囲む。外側ラビットシースは、閉じた端を含み、照射ターゲット格納構造体を少なくとも部分的に囲む。
【0007】
一態様では、Ra-226からAc-225を生成するための方法が開示される。この方法は、照射ターゲットアセンブリを原子炉の炉心に挿入することを含む。照射ターゲットアセンブリは、Ra-226物質と照射ターゲット物質とを含む。本方法は、原子炉の炉心で中性子束を発生させることをさらに含む。本方法は、照射ターゲット物質を中性子束に曝露させることによってガンマ線を発生させることをさらに含む。本方法は、Ra-226物質にガンマ線を照射することによりRa-225を生成することをさらに含む。
【0008】
本開示のこれら及び他の目的、特徴、及び特性、ならびに構造の関連要素の動作方法及び機能、ならびに部品の組み合わせ及び製造の経済性は、本明細書を構成する添付の図面を参照して以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することにより、より明らかになり、同様の参照数字はそれぞれの図面において対応する部分を示す。本開示に従って、全ての態様及び実施形態を組み合わせてもよい。しかしながら、図面は、例示及び説明を目的とするだけのものであり、本開示の限定の定義するものとして意図されたものではないことを明示的に理解されたい。
【0009】
本明細書に記載される態様の様々な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。しかしながら、様々な態様は、組織及び操作方法の両方に関して、その利点と共に、以下の添付図面と共に以下の説明に従って理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一態様による、電子中性子発生器により駆動されるガンマ線発生器の断面概略図である。
【0011】
図2】本開示の一態様による、可動式炉内検出システムの概略図である。
【0012】
図3】本開示の一態様による、同位体生成ケーブルアセンブリドライブケーブルアセンブリの概略図である。
【0013】
図4】本開示の一態様による、ターゲットホルダ要素と、ターゲットホルダ要素ケーブルアセンブリを図3に示すドライブケーブルアセンブリに接続するクイック接続解除式の雌部とを示す平面図である。
【0014】
図5A】本開示の一態様による、Ra-226からAc-225を生成するためのシステムの断面概略図を示す。
【0015】
図5B】本開示の一態様による、図5Aのシステムで使用されるRa-226照射ターゲットを備えるRa-226照射デバイスの詳細断面概略図を示す。
【0016】
図5C】本開示の一態様による、図5Aのシステムで使用される取り外し可能なRa-226インサートの詳細断面概略図を示す。
【0017】
図5D】本開示の一態様による、図5CのRa-226照射インサートの線A-Aに沿った概略断面図を示す。
【0018】
図6A】本開示の一態様による、原子炉の炉心に挿入可能な照射ターゲットアセンブリの概略断面図を示す。
【0019】
図6B】本開示の一態様による、図6Aに示す照射ターゲットアセンブリの線B-Bに沿った概略断面図を示す。
【0020】
本明細書に記載の例示は、本開示の様々な態様をある形態で説明するものであり、このような例示は、いかなる場合であっても、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
多関節マニピュレータの様々な態様を詳細に説明する前に、例示的な実施例は、添付図面及び明細書に開示された詳細の適用又は使用において限定されないことに留意すべきである。例示的な実施例は、他の態様、変形例、及び変更例で実施又は組み込まれてよく、様々なやり方で実施又は実行されてよいことが理解されよう。さらに、別段の記載がない限り、本明細書で使われる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されたものであり、実施例の限定を目的とするものではない。
【0022】
アクチニウム-225(225Ac、Ac-225)はアクチニウムの同位体である。アクチニウム-225は、約10日の半減期でフランシウム-221へとアルファ崩壊し、ネプツニウム系列(237Npから始まる崩壊系列)の中間崩壊生成物である。自然界でこの崩壊連鎖から生じる極少量を除くと、Ac-225は完全に合成物である。
【0023】
放射性同位体Ac-225の崩壊特性は標的アルファ療法(TAT)での使用に好ましく、TATの実施で使用されることが増えている。臨床試験では、Ac-225を含む放射性医薬品が様々な種類の癌の治療に適用できることが実証されている。しかし、この同位体はサイクロトロンでの合成が必須であることから、不足しており、適用の可能性が制限されてしまっている。需要に対して、利用可能なAc-225の供給量が少ない。
【0024】
本開示は、ラジウム-226(Ra-226)のガンマ線照射からAc-225を生成するために使用可能な方法、デバイス、及びシステムを提供する。具体的には、Ra-226を使ってラジウム-225(Ra-225)を生成することができ、このラジウム-225がAc-225へと直接崩壊する。以下の学術論文に記載されているように、天然ガス生産工程(例えば、マーセラス層の天然ガス生産)からの逆流水に大量のRa-226が含まれていることがある:「Co-precipitation of Radium with Barium and Strontium Sulfate and Its Impact on the Fate of Radium during Treatment of Produced Water from Unconventional Gas Extraction」、Environmental Science and Technology Journal、Tieyuan Zhang、Kelvin Gregory、Richard W. Hammack、Radisav D. Vidic、2014年3月26日(以下「Zhang-1」);「Analysis of Radium-226 in High Salinity Wastewater from Unconventional Gas Extraction by Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry」、Environmental Science and Technology Journal、Tieyuan Zhang、Daniel Bain、Richard Hammack、Radisav D.Vidic、2015年2月2日(以下、「Zhang-2」);「Fate of Radium in Marcellus Shale Flowback Water Impoundments and Assessment of Associated Health Risks」、Environmental Science and Technology Journal、Tieyuan Zhang、Richard W. Hammack、Radisav D.Vidic、2015年7月8日(以下、「Zhang-3」)。これらの文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
例えば、Zhang-2とZhang-3では、マーセラス層からの天然ガス採掘によって、高レベルの塩分、重金属、自然に存在する放射性物質(NORM)を含む大量の逆流水が生じると報告されている。この水は通常、再利用される前、処理される前、又は処分される前に、集中貯水池やタンクに貯蔵される。Ra-226は、逆流水中で支配的なNORM成分である。ペンシルべニア州南西部にある3つの集中貯水池内のRa-226の動態が2.5年間にわたって調査された。フィールドサンプリングにより、これらの貯蔵施設内のRa-226濃度は、水圧破砕のために逆流水を再利用している間に概して高くなっていることが明らかになった。さらに、Ra-226は底部固形物質(例えば、貯水池の汚泥)内で濃縮されており、新しい汚泥では10pCi/g未満であったのが、古い汚泥では数百pCi/gまで増加していた。貯水池の汚泥の連続抽出(SEP)と化学組成分析を組み合わることにより、汚泥中のRa-226の主要なキャリアがバライトであることが明らかになった。
【0026】
Zhang-2ではさらに、誘導結合質量分析法(ICP-MS)と固相抽出法(SPE)を組み合わせて、高塩濃度溶液中のマトリックス元素からラジウム同位体を分離・精製する改良法も報告されている。この方法は、必要とされる精度と検出限界を維持しつつ、分析時間を短縮する。ラジウム分離は、溶液中でバリウムとラジウムを他のイオンから分離するための強酸性陽イオン交換樹脂と、バリウムからラジウムを分離してICPMSによる分析に適した試料を得るためのストロンチウム特異樹脂との組み合わせを用いて実現される。方法を最適化することにより、全溶解固形分が171,000mg/Lと高い合成マーセラス層廃水(MSW)試料に関して、高いラジウム回収率(標準モードで101±6%、コリジョンモードで97±7%)を達成した。全溶解固形分(TDS)を含む実際のMSW試料中のRa-226濃度は、ICP-MSを用いて415,000mg/Lと高く測定され、ガンマ線スペクトロメトリの結果と非常によく一致した。従って、マーセラス層天然ガス生産工程から生じる逆流水から、大量のRa-226を供給することができる。
【0027】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Diamondらによる「Actinium-225 Production with an Electron Accelerator」、W.T.Diamond、C.K.Ross、2021年1月1日にJournal of Applied Physicsに原稿提出,DOI:10.1063/5.0043509では、種々の癌を治療するためのアルファ放射同位体を用いた標的アルファ療法(TAT)の有用性及び重要なアルファ放射同位体、特にAc-225の可用性の欠如に関する臨床的証拠が増えてきていることが報告されている。Ac-225の供給のほとんどは、毎月数百mCiのAc-225を生成するためにミルキングされる3台のTh-229発生器から提供されてきた。Diamondらは、電子加速器を使ってAc-225を生成するいくつかの別の手段を報告している。例えば、Ra-226(p,2n)Ac-225反応を用いて、少なくとも16MeVの陽子エネルギの医療用同位体サイクロトロンを使って、Ac-225を生成することができる。Ac-225を生成する別の方法は、トリウムターゲットの核破砕に高エネルギ陽子(150~800MeV)を使用することである。Ac-225は、光核反応、Ra-226(γ,n)Ra-225によっても生成できる。Ra-225は、ベータ崩壊により、半減期14.9日でAc-225へと崩壊する。光子は、約25~30MeVのエネルギを持つ電子の強力なビームによって生成される。Diamondらはさらに、ラジウムターゲットとターゲットチャンバの技術的な説明を報告している。このターゲットチャンバは、2~4つの別々の封入ターゲットに分割された1グラムのラジウムを、20kWのビームパワーで10日間照射することで、4キュリーのRa-225を生成することができる。これらのターゲットをミルキングすると、約4キュリーのAc-225が得られる。Diamondらはさらに、Ac-227の生成をAc-225の収量の数百万分の1以下の値まで減少させる方法についても説明している。
【0028】
本開示は、Ra-226(例えば、マーセラス層天然ガス生産工程の逆流水から得られるRa-226、又はウラン採掘中に出る廃水などの他の同様のプロセスから得られるRa-226)からAc-225の供給を作り出す方法、デバイス、及びシステムを提供する。当該方法、デバイス、及びシステムは、電子中性子発生器又は原子炉を用いて、照射ターゲット(例えば、Gd-157物質)に照射される熱中性子を発生させてよい。照射ターゲットは、熱中性子に曝されると、即発捕獲ガンマ線を発生させる。即発捕獲ガンマ線でRa-226を照射して、Ra-225を生成し、このRa-225が崩壊してAc-225が生成される。
【0029】
以下、本明細書はまず、電子中性子発生器を用いてガンマ線を発生させるための様々なデバイス、システム、及び方法を開示する。これらのデバイス、システム、及び方法は、Ra-226にガンマ線を照射してRa-225を生成するために利用可能である。次に、本明細書は、照射ターゲットを炉心に出し入れするためのデバイス、システム、及び方法を開示する。これらのデバイス、システム、及び方法は、Ra-225を生成するためにRa-226にガンマ線を照射するように構成された照射ターゲットアセンブリを、炉心に出し入れするために利用可能である。そして、本明細書は、(i)電子中性子発生器を用いてAc-225を生成するためのデバイス、システム、及び方法、ならびに(ii)原子炉を用いてAc-225を生成するためのデバイス、システム、及び方法を開示する。さらに、本明細書は、熱中性子でGd-157を照射することから得られるRa-225及びAc-225の例示的な生成率に関する詳細を開示する。
【0030】
(電子中性子発生器によるガンマ線の発生)
図1は、本開示のいくつかの非限定的な態様による、中性子発生器102を使用してガンマ線105を発生させるように構成されたデバイス100の断面図を示す。
【0031】
デバイス100は、熱中性子を発生させるように構成された中性子発生器102を含む。いくつかの態様では、中性子発生器102は、市販されている管状の電子中性子発生器であってよい。中性子発生器102によって生じた熱中性子は、中性子束場107を形成する。
【0032】
デバイス100は、入射中性子と反応してガンマ線を発生させるように構成された中性子捕獲物質を含む中性子捕獲リザーバ104(例えば、照射ターゲット)をさらに含む。中性子捕獲リザーバ104は、中性子束場107を発生させるように構成された中性子発生器102の端(例えば、中性子発生器102の核融合反応源端、中性子発生器102の放出端)に近接して配置されてよい。従って、中性子発生器102によって生じた熱中性子(例えば、中性子束場107)は、中性子捕獲リザーバ104へ向けられてよい。中性子発生器102からの入射熱中性子に応じて、中性子捕獲リザーバ104はガンマ線105(例えば、即発中性子捕獲ガンマ線)を放出してよい。さらに、デバイス100は、放出されたガンマ線105がターゲット110(例えば、Ra-226物質)に向かうように構成されていてよい。その結果、ターゲット110はガンマ線105で照射される。Ra-226物質を含むターゲット110にガンマ線105を照射することにより、Ac-225へ崩壊するRa-225を生成することができる。
【0033】
いくつかの態様において、中性子捕獲リザーバ104から放出されるガンマ線105は、高エネルギガンマ線である。本明細書で使用される「高エネルギガンマ線」は、2MeV以上、3MeV以上、4MeV以上、5MeV以上、6MeV以上、7MeV以上、又は約7MeVなど、1.2MeV以上のエネルギを有するガンマ線を指してよい。
【0034】
いくつかの態様において、中性子捕獲リザーバ104及び/又は中性子捕獲リザーバ104に含まれる中性子捕獲物質は、複製可能であってよい。一態様では、中性子捕獲物質はガドリニウム物質を含んでよい。ガドリニウム物質は、ガドリニウム-157(本明細書ではGd-157と呼ぶ場合がある)を多く含んでいてよい。別の態様では、中性子捕獲物質は、ハフニウム物質を含んでよい。ハフニウム物質は、ハフニウム-174(本明細書ではHf-174と呼ぶ場合がある)を多く含んでいてよい。さらに別の態様では、中性子捕獲物質は、高い熱中性子断面積を有してよい。本明細書で使用される「高い熱中性子断面積」とは、ハフニウム-174の熱中性子断面積よりも大きい熱中性子断面積を意味してよい。さらに他の態様では、照射ターゲット物質は、約257,000バーン及び/又は約257,000バーンより大きい熱中性子断面積を有してよい。
【0035】
中性子捕獲リザーバ104は、中性子発生器102によって生じた中性子束場107に曝露されると、ガンマ線105を発生させるように構成されていてよい。さらに、中性子捕獲リザーバ104は、中性子束場107が無くなると、ガンマ線105の発生を停止するように構成されていてよい。換言すれば、デバイス100は、中性子発生器102が停止すると、残留ガンマ線105及び/又は中性子束107がデバイス100から放出されないように構成されていてよい。例えば、ガドリニウム物質は、Gd-157を多く含むGdを含んでよい。Gdは、Gd-157を少なくとも約50wt.%、少なくとも約60wt.%、少なくとも約70wt.%、少なくとも約80wt.%、少なくとも約85wt.%、少なくとも約87wt.%、少なくとも約90wt.%、約87wt.%~100wt.%、又は約87wt.%含むように濃縮されていてよい。
【0036】
Gd-157が中性子発生器102から放出された熱中性子を捕獲すると、Gd-157m同位体が形成される。Gd-157m同位体は、形成されると直ちに、約7MeVの合計エネルギを有し得る1つ又は複数のガンマ光子を放出する。放出された1つ又は複数のガンマ光子は、照射ターゲット110を照射してよい。さらに、Gd-157m同位体が直ちに1つ又は複数のガンマ光子を放出するので、中性子発生器102の停止後は、残留ガンマ線105がデバイスから放出されない。
【0037】
続けて図1を参照すると、いくつかの態様では、デバイス100は、中性子捕獲リザーバ104における中性子束107のレベルを制御及び/又は最適化するように構成された中性子減速体108を含んでよい。中性子減速体108は、中性子発生器102と中性子捕獲リザーバ104との間に配置されてよい。中性子減速体108は、中性子減速体物質と中性子減速体厚さとを含む。いくつかの態様では、中性子減速体物質は、黒鉛、水、重水(D20)、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、中性子減速体厚さは調整可能である。さらに他の態様では、中性子捕獲リザーバ104における熱中性子束107のレベルを制御するために、中性子発生器102及び/又は中性子捕獲リザーバ104に対する中性子減速体108の位置、中性子減速体物質、及び/又は中性子減速体厚さ108を最適化してよい。この最適化は、モンテカルロN粒子輸送コード(MCNP)などの様々なソフトウェアツールを用いて実施されてよい。いくつかの態様では、デバイス100は、中性子減速体120及び/又はデバイス100の他のコンポーネントを配置できるようにアクセスドア及び/又は開口部を含んでよい。
【0038】
続けて図1を参照すると、デバイス100は、デバイス100及び/又はデバイス100のコンポーネントの少なくとも一部を取り囲む遮蔽体106を含んでよい。例えば、遮蔽体106は、図1に示すように、中性子発生器102の細長部の端部を囲み、細長部の端部を越えて延在し、中性子減速体108を囲むように構成されていてよい。いくつかの態様では、遮蔽体106は、中性子発生器102の細長部の端部を越えて延び続け、中性子捕獲リザーバ104を少なくとも部分的に包囲してもよい。例えば、遮蔽体106は、中性子減速体104の側面を囲み、ターゲット110に近接する開口部を有するように構成されていてよい。遮蔽体106は遮蔽物質を含む。いくつかの態様において、遮蔽物質は、鉛、又はガンマ線106がデバイス100から所望しない方向に漏れてしまうことを最小限に抑える及び/又は防ぐのに適した他の同様の遮蔽物質を含んでよい。例えば、遮蔽体116は、中性子捕獲リザーバ104からターゲット110から離れる方向にデバイス100から漏れるガンマ線106の量を最小化するように構成されていてよい。いくつかの態様において、遮蔽物質は、鉛、又はデバイス100内に中性子束場107を収めるのに適した他の同様の遮蔽物質を含んでよい。例えば、遮蔽体106は、中性子発生器102から中性子捕獲リザーバ104から離れる方向にデバイス100から漏れる熱中性子(中性子束場107)の量を最小化するように構成されていてよい。いくつかの態様では、遮蔽体106は調整可能であってもよい。さらに、遮蔽体106は、デバイスの周囲に存在し得る機器が中性子107及び/又はガンマ線105に曝露されるのを最小限に抑えるために、中性子発生器102の外表面の一部の周りに嵌合するように構成されていてよい。遮蔽体106、中性子減速体108、及び/又は中性子捕獲リザーバ104は、従来の管状の電子中性子発生器設計と共に使用されるように構成されていてよい。
【0039】
続けて図1を参照すると、照射ターゲット110におけるガンマ線105場の強度は、中性子捕獲リザーバ104における中性子束場107の特性、中性子捕獲物質の特性(例えば、中性子捕獲リザーバ104内のGd-157の量)、及びターゲット110からの中性子捕獲リザーバ104の距離などの動作パラメータに基づいて制御可能である。さらに、ターゲット110に送達されるガンマ線105の等価線量を、上記のパラメータに基づいて(例えば、ガンマ線105場の強度及びGd-157mの崩壊スキームに基づいて)決定することができる。この照射ターゲット110に送達されるガンマ線105の等価線量の決定は、MCNPなどの市販のソフトウェアパッケージを使用して行われてよい。従って、デバイス100は、所望の線量のガンマ線105をターゲット110に送達するように構成されていてよい。
【0040】
いくつかの態様では、複数のデバイス100を併用して、個々のデバイス100によって生じるガンマ線場の強度の合計と同等の強度を有するガンマ線場を発生させてよい。さらに、複数のデバイス100を様々な配置で構成して、個々のデバイスと比較してより大きい強度、及び/又はより均一な強度を有するガンマ線場を発生させてもよい。いくつかの態様では、複数の中性子発生器102を併用して、共通の中性子捕獲リザーバ104から即発中性子捕獲ガンマ線を発生させるために使用される複数の(例えば、重複する)中性子束場107を発生させてもよい。
【0041】
ガンマ線発生システム、デバイス、及び方法に関するさらなる詳細は、米国仮出願第63/166,718号及び国際出願第PCT/US22/71260号に記載されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。開示されたシステム、デバイス、及び方法のいずれもが、本開示の様々な態様に従って、Ra-226からRa-225を生成するために採用され得る。
【0042】
(炉心への照射ターゲットの出し入れ)
全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,755,829号(‘829号特許)は、照射ターゲットハンドリングデバイスと、ターゲットを原子炉内へ移動させる方法とを開示している。‘829号特許は、原子炉の炉心内で所望の核分裂性物質を生成するために、必要に応じて物質を照射することができるデバイスを開示している。このデバイスは、生成される核分裂性物質の量を特定できるように、照射される物質の近傍で中性子束を監視する手段を提供する。このデバイスは、照射される物質を原子炉内へ挿入して所望の軸方向位置で保持することができ、原子炉を停止させることなく、必要なときに照射された物質を原子炉から取り出すことができる。デバイスの大部分は、後の照射で再利用できる。このデバイスはさらに、ターゲット物質を原子炉に出し入れする原動力を伝達するデバイスの部分に未照射のターゲット物質を簡単且つ迅速に取り付けることができ、処理のために照射された物質をデバイスから迅速に取り外すことができる。ターゲット物質を原子炉内に出し入れする方法は、Ra-226を含有するターゲット物質を原子炉に出し入れするために、本開示に適用可能である(例えば、図6A図6Bに関して後述される、Ra-226ターゲット物質を含む照射ターゲットアセンブリ500など)。図2図4及び以下の説明により、ターゲット物質を原子炉に出し入れする様々な態様に関する詳細が提供される。
【0043】
図2は、可動検出器12を炉心14に挿入するための典型的なシステムを示している。検出器12が押し込まれる格納式シンブル10は、図2に示すように配設されている。シンブル10は、原子炉容器16の底部からコンクリート遮蔽領域18を通ってシンブルシールテーブル20まで延びる導管内を通って炉心14内へ挿入される。格納式シンブルと導管との間の機械的なシールは、シールテーブル20に設けられている。導管22は本質的に原子炉容器16の延長部であり、シンブル10によって炉内計装可動検出器12を挿入することができる。運転中、シンブル10は静止しており、燃料補給時又は保守作業時の減圧条件下でのみ格納される。原子炉容器内で作業が必要な場合には、原子炉容器の底部までシンブルを引くことも可能である。
【0044】
検出器12を挿入するためのドライブシステムは、ドライブユニット24と、リミットスイッチアセンブリ26と、5パスロータリートランスファーデバイス28と、10パスロータリートランスファーデバイス30と、隔離弁32とを含んでよい。各ドライブユニットは、先端に検出器12が取り付けられた状態で中空のヘリカルラップドライブケーブルを炉心内へと押し、中空中心内を通り、検出器の出力を伝達する小径同軸ケーブルをケーブルの基端に戻るように押す。
【0045】
シンブル10は、医療処置に使用される同位体などの照射所望中性子活性剤及び核分裂性物質を生成するため、又はGd-157などの物質を使用して即発中性子捕獲ガンマ線を生じさせるために使用されてよい。以下の図3~4に記載される同位体生成ケーブルは、炉心14内に位置するフラックスシンブルに照射対象の物質を出し入れする手段を提供する。
【0046】
図3~4を参照すると、同位体生成ケーブルアセンブリは、ドライブケーブルアセンブリ36とターゲットホルダ要素38とを含む。ドライブケーブルアセンブリ36は、図2に概略的に示される可動炉内検出器システム及び/又は移動式炉内計装(TIP)システムなどの、商業用原子炉の炉心14にセンサ12を出し入れするのに使用される既存のケーブルドライブシステムの駆動機構要件に適合するように構成されたケーブルを含む。ドライブケーブルアセンブリ36の内部には、自己出力形検出器素子44用の信号リード線42が収納されている。自己出力形検出器44の能動部は、ドライブケーブル40の挿入端の外側に螺旋状に巻かれており、堅牢な信号出力を提供するのに十分な長さを有し、端から端までの軸方向位置の差が最小である。自己出力形検出器44からの出力は、炉心14内の自己出力形検出器の位置での炉束を特定するために使用され、ターゲット物質の軸方向位置を最適化することができる。
【0047】
検出器12のうちの1つが連結されていた既存のドライブケーブルの代替であるドライブケーブルアセンブリ36は、参照番号48及び50によって図3~4に示されるボール留め具構成(ボールチェーン連結としても知られている)を用いて、ターゲットホルダ要素ケーブルアセンブリ38に取り付けられる。ボール留め具構成は、ドライブケーブルアセンブリ36の炉挿入端に接続されたボール又は雄部48を有する。留め具部50は、コネクタピン52を用いて、ターゲットホルダ要素ケーブルアセンブリ38のターゲット物質ホルダ43に取り付けられている。迅速な接続解除カップリング式のボール部48は、留め具部50内に嵌合し、留め具部50によって取り外し可能に保持されるように設計されている。ターゲットホルダ要素ケーブルアセンブリ38は、ターゲット物質ホルダ43を備えており、このターゲット物質ホルダ43は、非常に薄い金属メッシュ47の円筒であり、動作中の炉心14の範囲内に所望量のターゲット物質を保持するのに十分な長さを有する。ターゲット物質が原子炉から取り出された後、ターゲットホルダ要素ケーブルアセンブリ38を、容易且つ迅速にドライブケーブルアセンブリ36から取り外すことができる。ターゲットホルダ要素ケーブルアセンブリ38の挿入端に示されるキャップ45は、リングクランプ46によって所定の位置に保持される。リングクランプ46は簡単に取り外せるように設計されている。リングクランプ46が取り外されると、照射された物質をターゲットホルダ要素ケーブルアセンブリの内部から取り外すことができる。
【0048】
上述された及び‘829号特許に記載された、ターゲット物質を原子炉に出し入れするためのデバイス、システム、及び方法は、照射ターゲットアセンブリ(例えば、照射ターゲットアセンブリ500)及び/又はRa-226を含有するターゲット物質を原子炉に出し入れするために、本開示に適用可能である。
【0049】
(中性子発生器を用いたAc-225の生成)
図5A~5Dは、本開示の様々な態様による、Ra-226を含有する照射ターゲットからRa-225を生成するために使用できる2つの電子中性子発生器402を使用するシステム400の概略図を示す。システム400は2つの電子中性子発生器402を含むが、システム400は、電子中性子発生器402を1つだけ含むように変更されてもよいし、又は電子中性子発生器402を3つ以上含むように変更されてもよい。図5Aに示すように、システム400は、2つの電子中性子発生器402と、Ra-226照射デバイス430とを含む。2つの電子中性子発生器402によって生じた中性子がRa-226照射デバイス430の1つ又は複数の照射ターゲットインサート420内に含まれるターゲット物質(例えば、Gd-157物質)を照射して、ガンマ線(例えば、ガンマ放射線)を発生させることができるように、2つの電子中性子発生器402はRa-226照射デバイス430の両側に配置されている。
【0050】
いくつかの態様において、1つ又は複数の照射ターゲットインサート420内に含まれるターゲット物質(例えば、Gd-157ターゲット物質)は、Gd-157を多く含有するGdを含んでよい。例えば、Gdは、Gd-157を少なくとも約50wt.%、少なくとも約60wt.%、少なくとも約70wt.%、少なくとも約80wt.%、少なくとも約85wt.%、少なくとも約87wt.%、少なくとも約90wt.%、約87wt.%~100wt.%、又は約87wt.%含むように濃縮されてよい。
【0051】
図5Bは、Ra-226照射デバイス430の概略詳細図である。図5A及び図5Bに示すように、Ra-226照射デバイス430は、2つのRa-226インサート414と3つの照射ターゲットインサート420とを含む。他の態様では、Ra-226照射デバイス430に用いられるRa-226インサート414と照射ターゲットインサート420の数は、任意の数であってよい。各Ra-226インサートは、Ra-226ホルダ410と、Ra-226ホルダ410内に配置されたRa-226ディスク408と、ハンドリングロッド412とを含んでよい。各照射ターゲットインサート420は、Gd-157ディスク406を含んでよい。照射デバイス430は、黒鉛、水、及び/又はD2Oなどの中性子減速物質を含む1つ又は複数の中性子減速体404をさらに含んでよい。図5Aの非限定的な態様に示すように、Ra-226照射デバイス430では、コンポーネントが、中性子減速体404、照射ターゲットインサート420、Ra-226インサート414、照射ターゲットインサート420、Ra-226インサート414、照射ターゲットインサート420、中性子減速体404の順で配置されるように構成されている。中性子減速体404は、中性子減速物質を保持する及び/又は密封するホルダを含んでよい。密封されたGd-157ディスク406の近くにRa-226ホルダ410に収容されたRa-226ディスク408を配置することにより、Gd-157ディスク406のGd-157物質から発生する高エネルギガンマ線をRa-226物質に照射することができ、それによりRa-226物質からRa-225を生成することができる。Ra-226ディスク408の間にGd-157の層又はGd-157ディスク406の層を配置することにより、Ra-226における高エネルギガンマ線反応により生じた光電子がさらにガンマ線を発生させるので、高エネルギガンマ線の発生を増やすことができる。これにより、Ra-225の生成も増やすことができる。
【0052】
Ra-226照射デバイス430は、密封されたRa-226ディスク408及び/又はGa-157ディスク420からガスを放出させることなく、Ra-226ターゲット物質及び/又は照射ターゲット物質(例えば、Gd-157)の照射中に発生するガス(例えば、ヘリウム)を膨張させることにより、Ra-225の生成量を最大にするように構成されていてよい。Ra-225の生成を最大化するために、例えば、Gd-157物質への熱中性子照射によって生じるガンマ線の平均エネルギに基づいて、Ra-226照射デバイス430、Ra-226ディスク408、及びGd-157ディスクの厚さ及び他の寸法を最適化してよい。Ra-226ディスク408において所定量のRa-225が生成されると、ディスク408をRa-226照射デバイス420から取り出して、新しいRa-226ディスク408と交換してよい。図5A及び図5Bに示されるRa-226照射デバイス430の構成は、代替的又は追加的に、Gd-157の枯渇レベルが所定の閾値に達したときに、Gd-157ディスク406を新しいディスクと交換することを可能にしてもよい。Ra-226の生成レベル及び/又はGd-157の枯渇レベルを特定するために、デバイスの周囲のガンマ線レベルが測定されて、使用されてよい。
【0053】
Ra-226ディスク408及び/又はGd-157ディスク406の形状は、円柱、立方体、直方体、六角柱、楕円、又は他の形状であってよい。一態様では、Ra-226ディスク408及びGd-157ディスク406はともに、円柱形であってよい。別の態様では、Ra-226ディスク408及びGd-157ディスク406はともに、直方体形状であってよい。Ra-225の生成を最大化するために、例えば、Gd-157物質への熱中性子照射によって生じるガンマ線の平均エネルギに基づいて、Ra-226照射デバイス430、Ra-226ディスク408、及び/又はGd-157ディスクのそれぞれの形状及び寸法(直径、厚さ、高さ、長さ、幅、及び他の寸法など)を最適化してよい。
【0054】
図5Bに示すように、Ra-226照射デバイス430は、Ra-226インサート414と照射ターゲットインサート420との間に4つの中性子減速体404をさらに含んでよい。このように、いくつかの態様では、Ra-226照射デバイス430は2つのRa-226インサート414を含んでよく、各Ra-226インサート414は、Ra-226ホルダ410と、Ra-226ホルダ410内に配置されたRa-226ディスク408と、Ra-226ディスク408の端に位置するガス膨張ギャップ418と、ハンドリングロッド412とを含む。Ra-226照射デバイス430は3つの照射ターゲットインサート420をさらに含んでよく、各照射ターゲットインサート420は、Gd-157ディスク406と、照射ターゲットインサート420の端に位置するガス膨張ギャップ416とを含む。Ra-226照射デバイス430は4つの中性子減速体404をさらに含んでよく、図5Bに示すように、各中性子減速体404はRa-226インサート414と照射ターゲットインサート420との間の各境界に配置されている。インサート414、420をRa-226照射デバイス430に抜き差しできるように、Ra-226インサート414と照射ターゲットインサート420のそれぞれは、互いから及びRa-226照射デバイス430から分離可能であってよい。中性子減速体404は、黒鉛、水、及び/又は重水(DO)などの中性子減速物質を含んでよい。
【0055】
図5Cは、図5A及び図5BのRa-226インサート414の詳細断面図を示す。図5Dは、図5CのRa-226照射インサート414の線A-Aに沿った概略断面図を示しており、Ra-226インサート414は円柱形をしている。図5C及び図5Dに示すように、Ra-226インサート414は、Ra-226ホルダ410と、Ra-226ホルダ410内に配置されたRa-226ディスク408と、ハンドリングロッド412と、Ra-226ディスク408の端に位置する及び/又はRa-226ディスク408を囲むガス膨張ギャップ418とを含む。Ra-226インサート414がガス膨張ギャップ418を有するこの設計は、Gd-157ガンマ源から生成され得るRa-225の量を最大化することができ、密封されたRa-226インサート414からガスを放出させることなく、Ra-226ディスクの膨張と、Ra-226の照射中に生成されるヘリウム(He)、ラドン、又は他のガスなどのガスの膨張を可能にする。
【0056】
(原子炉を用いたAc-225の生成)
様々な態様において、本開示は、加圧水型原子炉(PWR)又は沸騰水型原子炉(BWR)などの原子炉を用いてAc-225を生成するためのデバイス、システム、及び方法を提供する。図6A及び図6Bは、多くの加圧水型原子炉(PWR)設計で一般的な可動炉内検出器システム(MIDS)(例えば、図2に関して上述したMIDSシステム)を用いて原子炉の炉心に出し入れ可能な、Ra-226を含む照射ターゲットアセンブリ500の概略図を示す。追加的又は代替的に、照射ターゲットアセンブリ500照射ターゲットアセンブリは、多くの沸騰水型原子炉(BWR)設計で一般的な移動式炉内計装システム(TIPS)を用いて、原子炉の炉心に出し入れ可能である。
【0057】
図6Aは、本開示の少なくとも一態様による、例示的な照射ターゲットアセンブリ500の断面側面図を示す。図6Bは、本開示の少なくとも一態様による、図6Aの照射ターゲットアセンブリ500の断面線B-Bに沿った断面図を示す。照射ターゲットアセンブリ500は、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540と、照射ターゲット物質506(例えば、Gd-157ターゲット物質)と照射ターゲットホルダ522(例えば、Gd-157ターゲットホルダ)とを含む照射ターゲット格納構造体550(例えば、Gd-157ターゲット格納構造体)と、弾頭を有する外側ラビットシース530とを含む。図6Aに示すように、外側ラビットシース530は、一端を除いて、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540と照射ターゲット格納構造体550を囲んでいる。
【0058】
いくつかの態様において、照射ターゲット物質506(例えば、Gd-157ターゲット物質)は、Gd-157を多く含有するGdを含んでよい。例えば、Gdは、Gd-157を少なくとも約50wt.%、少なくとも約60wt.%、少なくとも約70wt.%、少なくとも約80wt.%、少なくとも約85wt.%、少なくとも約87wt.%、少なくとも約90wt.%、約87wt.%~100wt.%、又は約87wt.%含むように濃縮されてよい。
【0059】
Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540は、照射ターゲット格納構造体550の円筒内に収容される。Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540は、照射ターゲット格納構造体550及び外側ラビットシース530から分離可能であり、自由に動くことができ、照射ターゲット格納構造体550に出し入れ可能である。Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540は、Ra-226を含むRa-226ターゲット物質508と、Ra-226ターゲット物質508を包囲するRa-226ホルダ534と、Ra-226ホルダ534に接続されたハンドリングノブ524とを含んでよい。ハンドリングノブ524は、照射ターゲット格納構造体550へのRa-226ターゲット物質508の挿入、及び/又は照射ターゲット格納構造体550からのRa-226ターゲット物質508の取出しを容易にする。
【0060】
Ra-226ホルダ534は、第1の壁528と、中心ロッド526と、第2の壁532と、第3の壁536とを含み、Ra-226ターゲット物質508を包囲する。中心ロッドは、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540の中心軸に沿っている。Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540は、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540の端に位置するガス膨張ギャップ518をさらに含んでよい。一態様において、Ra-226ターゲット物質508は、1つ又は複数の固体片の形態であってもよいし、あるいはRa-226ホルダ534内に詰められた粉末の形態であってもよい。別の態様では、Gd-157物質506は、1つ又は複数の固体片の形態であってもよいし、あるいは照射ターゲットホルダ522内に詰められた粉末の形態であってもよい。
【0061】
Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540のガス膨張ギャップ518は、少なくとも1.0cmのガス膨張容積を有してよい。Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540がガス膨張ギャップ518を有するこのデバイス設計は、照射ターゲット(例えば、Gd-157)ガンマ源から生成され得るRa-225の量を最大化することができ、密封されたRa-226ターゲット挿入取り出しデバイス540からガスを放出させることなく、Ra-226物質の膨張と、Ra-226の照射中に生じるヘリウム(He)、ラドン、又は他のガスなどのガスの膨張を可能にする。
【0062】
一態様では、照射ターゲットアセンブリ500は円柱形である。別の態様では、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540は円柱形である。別の態様では、照射ターゲット格納構造体550は、円筒形であり、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540と同心である。さらに別の態様では、外側ラビットシース530は、図6Aに示すように、閉じた弾頭端を有する円筒形であり、一端を除いて、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540及び照射ターゲット格納構造体550を囲む。外側ラビットシース530は、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540及び照射ターゲット格納構造体550と同心である。一態様では、外側ラビットシース530は、金属、又はSS-315ステンレス鋼、316ステンレス鋼、Alloy-690、又はジルカロイなどの金属合金で作られている。Ra-226ホルダ534、ハンドリングノブ524、及び照射ターゲットホルダ522はそれぞれ、金属、又はSS-315ステンレス鋼、Alloy-690、又はジルカロイなどの金属合金で作られていてよい。
【0063】
様々な態様において、照射ターゲットアセンブリ500は、Ra-225を生成するために、照射ターゲットアセンブリ500内でRa-226ターゲット物質508を囲むGd-157物質の層(すなわち、照射ターゲット物質506)を使用して、Ra-226を照射するのに十分なエネルギを有するガンマ線を発生させる。Gd-157がRa-226ターゲット物質を囲むこの構成でないと、核分裂スペクトルのガンマ線エネルギが低すぎて、Ra-226中で光中性子反応が始まらない可能性がある。図6A及び図6Bに概略的に示される照射ターゲットアセンブリ500は、(例えば、MIDSの、TIPSの)ラビットホルダ内に配置されてもよい。照射ターゲット格納構造体550は、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540から分離可能であり、ラビットシース530又は「皮膚(skin)」からも分離可能である。これにより、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス540を照射ターゲットアセンブリ500(すなわち、ラビット500)から取り出すことができ、新しいRa-226ターゲット挿入取り出しデバイス540を設置することができる。照射ターゲット格納構造体550は、追加的又は代替的に、枯渇レベルが所定の閾値に達した場合に交換されてよい。Ra-226ターゲット物質508の利用可能な断面積内における照射対象であるRa-226ターゲット物質508の質量に基づいて、照射ターゲットアセンブリ500、ターゲット挿入取り出しデバイス540、及び照射ターゲット格納構造体550の長さ、直径、及びその他の寸法が決められてよい。照射ターゲットアセンブリ500の形状は、円柱、立方体、直方体、又は他の形状であってよい。一態様では、照射ターゲットアセンブリ500は円柱形であり、ラビット500の外径は、可動炉内検出システム(MIDS)及び/又は移動式炉内計装システム(TIPS)により使用される核分裂チャンバの最大外径によって決定される。Ra-226ターゲット物質508の長さは、Ac-225の生成を最大化するような所望のターゲット質量含有量が得られるように調整されてよい。
【0064】
照射ターゲットアセンブリ500は、ガンマ線を発生させ、さらにはRa-226からRa-225(Ac-225へ崩壊する)を生成するために、原子炉の炉心の内外へ移動されてよい。Ra-225の生成及びGd-157の枯渇レベルを特定するために、照射ターゲットアセンブリ500の周囲のガンマ線レベルが測定され、使用されてよい。上述したように、Heibelらは、‘829号特許(例えば、図2~4に関して上述した部分)において、ターゲットを原子炉内へ移動させるための照射ターゲットハンドリングデバイスを開示しており、また、生成される核分裂性物質の量を特定できるように、照射される物質の近傍の中性子束を監視するためのデバイス及びシステムを提供している。ターゲット物質を原子炉の炉心内外へ移動させるための‘829号特許の方法及びデバイスは、Ra-226ターゲット物質508を原子炉の炉心内外へ移動させるための照射ターゲットアセンブリ500にも同様に適用することができる。生成される核分裂性物質の量を特定できるように照射される物質の近傍の中性子束を監視するためのデバイス及びシステムもまた、Ra-225の生成及びGd-157の枯渇レベルを監視及び/又は特定するための照射ターゲットアセンブリ500に同様に適用することができる。
【0065】
本明細書で述べられる電子中性子発生器及び/又は原子炉を用いてAc-225を生成する種々のデバイス、システム、及び方法によって、かなりの量のAc-225を生成することができる。Ac-225を生成するために電子中性子発生器を使用するデバイス、システム、及び方法は、照射ターゲットアセンブリの後処理をより迅速にすることができ、Ac-225の崩壊損失を最小限に抑えることができる。いくつかの態様において、電子中性子発生器を使用する種々のアプローチは、原子炉所有者が生成に参加することを必要とせず、電子中性子発生器から得ることができる最大中性子束の進歩から大きな利益を得ることができる。原子炉の使用を伴う様々なアプローチにより、比較的高いAc-225放射能密度(activity density)を得ることができる。
【0066】
本明細書で述べられるAc-225を生成するためのデバイス、システム、及び方法は、標的アルファ療法(TAT)で使用される非常に望ましいアルファ放出体(Ac-225)を生成する解決策を提供する。Ac-225の現在の市場価格は、放射能のミリキュリー(mCi)当たり8000ドルを超えることがある。本開示のデバイス、システム、及び方法は、年間数千mCiの生産が可能である。この生産を支えるのに必要なRa-226の供給は、破砕作業から得ることができる。例えば、Ra-226は、マーセラス層天然ガス生産工程中に生じる逆流水やウラン採掘中に生じる廃水から回収及び再利用することができる。
【0067】
(熱中性子でGd-157を照射することによるRa-225とAc-225の生成率の例)
ガドリニウム(Gd)が、酸化ガドリニウム(III)(Gd)の理論密度の100%で100%ガドリニウム-157(Gd-157)であると想定すると、Gdの巨視的中性子断面積(Σ Gd2O3)は、5945.5cm-1であることが知られている。cm当たりのGd内のGd-157の中性子反応率(R)は、以下の式で与えられる。
【数1】
【0068】
電子中性子発生器からの熱中性子束強度(φ)は、1E8n/cm/sに等しく、ターゲットは直径4インチ、厚さ(T)少なくとも1インチの円柱である。ターゲット物質内のRの値はターゲット内の中性子強度の関数である。通常、φの値は物質内で本質的に一定であると想定される。Gd-157の熱中性子吸収断面積が非常に大きい場合、ターゲット内の中性子反応率Rを特定するためには、一定の照射ターゲット面積(A)と厚さ(T)の関数としての中性子強度を考慮する必要がある。式1は次のように表される。
【数2】
【0069】
φ(x)の値は次のように表される。
【数3】
【0070】
つまり、ターゲットまでの距離xにおけるRの値は次のようになる。
【数4】
【0071】
そして、ターゲット体積内の全反応率は次のようになる。
【数5】
【0072】
Σ Gd2O3の値が大きいので、Tの値がどれだけ大きくても、積分は急速に1/Σ Gd2O3の値となり、その結果Rの値はAφ(0)となる。
【0073】
電子中性子発生器から供給される熱中性子束が1×10^n/cm/sであり、ターゲットの円柱面積が81.8cmである場合、Rの値はターゲット内で8.1×109反応/sである。これがガンマ総放出率に相当するので、ターゲットディスク内の総ガンマ放射能は0.219Ciとなり得る。これはターゲットの0.003Ci/cmに相当する。ターゲットディスクの表面から0.1cmの点における対応する総放射能は約0.19Ciである。Rad Proを使用して7MeVガンマ放射能をレントゲン/時間(R/hr)の被爆率に換算すると、1.27×10^R/hrの被爆率が得られる。照射される流体について、1R/hrが線量率で0.01グレイ/hr(Gy/hr)に等しいという換算を使用すると仮定すると、この値はターゲットディスクから0.1cmの位置で127kGy/hrの線量率に相当する。しかし、流体は想定肉厚5mmの鋼管内にあるため、水が鋼管内壁に接触して受ける線量は約4.5kGy/hrである。
【0074】
鋼管内の流体を滅菌する場合、滅菌に必要な総線量は4kGyと想定される。従って、完全に滅菌するためには、流体を1.13時間以上曝露する必要がある。ガンマ線を実用的に適用するには、低流量を小径パイプ中で乱流で使用して、最小数の照射デバイスによって比較的短いパイプ区間で流体を確実に殺菌できるようにする必要がある。
【0075】
ガンマ線は、パイプ壁から流体中にデルタ線を放出させるということにも注意すべきである。ターゲットの総ガンマ放射能は0.219Ciである。これは、ターゲット面積のパイプ外径での総線量率3.22E7R/hrに相当する。Co-60ガンマ線に対する鉄製の自己出力形検出器素子の感度の測定値に基づくと、7MeVガンマ線に対するパイプ壁の感度は約9E-16Amp/(R/hr)/mmとなる。デバイスあたりの有効表面積が81.1cm(8110mm)であると想定すると、0.00024Amp相当の電子が生じる。これは約1.5E15e/cm/sに相当するので、照射ターゲットエリアのパイプ壁内面では、約2E5kGyの線量率に相当する。その結果、デルタ線による流体への線量は、管壁におけるガンマ線による線量を大幅に上回る可能性がある。ベータ線量率はパイプ内の流体まで2cmのところで実質的にゼロになってしまうので、ガンマ線によるデルタ線量を活用するには、大きな乱流を伴う小型で薄壁のパイプを使う必要があることに注意すべきである。
【0076】
ガンマ線によって生じるデルタ線は、鋼管内の制動放射相互作用による大きなX線成分も生じさせる。これもまた、パイプ内の流体が受ける放射線量に大きく寄与する。流体への線量率は平均X線エネルギに比例し、平均X線エネルギは平均デルタ線エネルギに比例する。平均デルタ線エネルギは平均ガンマ線エネルギに比例する。Gd-157mからのガンマ線のピークは約7MeVなので、平均デルタ線エネルギとして7MeVを使用することができる。流体中のX線線量率を特定するためには、パイプ壁で生じるX線放射線の強度を計算するために、壁厚1cmあたりの実効X線生成断面積が必要である。
【0077】
すべての放射線量生成メカニズムを総合すると、デバイス設計を商業廃水や都市廃水の処理に実用的に使用できる可能性がある。
【0078】
このセクションでは、熱中性子でGd-157を照射することによって生成されるRa-225とAc-225の生成率を特定するための計算が提供されている。このセクションではさらに、米国仮出願第63/166,718号に記載されるデバイスから予想されるRa-226の反応率の計算と、電子中性子発生器が適用された場合と‘829号特許に記載された方法が使われた場合の両方について、照射時間の関数としてのRa-225とAc-225の純生成量が提供されている。計算結果は、本明細書に記載されたどのアプローチを用いても、数千mCiのAc-225が生成できることを示している。
【0079】
本開示のさらなる態様を以下に示す。
【0080】
本明細書には、様々な態様において、ガンマ線発生器を用いてAc-225を生成するデバイス、システム、及び方法が開示されている。一態様において、ガンマ線発生器は、電子中性子発生器を利用して高エネルギの即発捕獲ガンマ線を発生させる。別の態様では、ガンマ線発生器は、加圧水型原子炉(PWR)や沸騰水型原子炉(BWR)などの商業用原子炉を利用する。
【0081】
本明細書には、一態様において、電子中性子発生器を利用して高エネルギの即発中性子捕獲ガンマ線を発生させるガンマ線発生器を用いてAc-225を生成するデバイス、システム、及び方法が開示されている。このシステムは、以下に開示するRa-226からAc-225を生成するためのデバイスと、デバイスの周囲のガンマ線レベルを測定するための、ひいてはAc-225へと崩壊するRa-225の生成を監視するための少なくとも1つのモニタとを備える。
【0082】
本明細書には、一態様において、電子中性子発生器を利用して高エネルギの即発中性子捕獲ガンマ線を発生させるガンマ線発生器を用いてAc-225を生成するデバイスが開示されている。一態様において、このデバイスは、中性子又は熱中性子束を発生させるように構成された少なくとも1つの電子中性子発生器と、Ra-226照射デバイスと、2つの端側中性子減速体とを備える。
【0083】
このデバイスは、中性子をRa-226照射デバイスへ向けるように構成されている。一態様において、Ra-226照射デバイスは、Ra-226を有するRa-226ターゲット物質とガンマ線発生物質とを備える。一態様では、ガンマ線発生物質は、Gd-157又はHf-174であり、好ましくはGd-157である。
【0084】
一態様において、Ra-226照射デバイスは、Ra-226ホルダとRa-226ホルダに包囲され密封されたRa-226ディスクとを含む少なくとも1つのRa-226インサートと、Gd-157ホルダとGd-157ホルダに包囲され密封された(好ましくは密閉された)Gd-157ディスクとを含む少なくとも1つのGd-157インサートとを備える。Ra-226ディスクは、Ra-226を少なくとも約30wt%、少なくとも約40wt%、少なくとも約50wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約80wt%、少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%、又は約50~100wt%含むRa-226ターゲット物質を備える。Gd-157ディスクはGd-157ターゲット物質を備える。Gd-157ターゲット物質は、Gd-157を少なくとも約50wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約80wt%、少なくとも約85wt%、少なくとも約87wt%、少なくとも約90wt%、約87wt%~100wt%、又は約87wt%含むように濃縮された酸化ガドリニウム(Gd)を備える。Gd-157ターゲット物質は、照射されるRa-226インサートに最適なガンマ線量率と強度を与えるように制御された所定の質量と幾何学的特性を有する。一態様において、デバイスは、電子中性子発生器によって生じた中性子を、Gd-157インサートに密閉されたGd-157ターゲット物質に向けて照射し、高エネルギガンマ線又はガンマ放射線を発生させるように構成されている。
【0085】
一態様において、2つの端側中性子減速体の各々は、Gd-157インサートに密閉されたGd-157ディスクでの熱中性子束曝露を最適化するように、所定の質量及び幾何学的特性を有する中性子減速物質を含む。
【0086】
一態様において、Ra-226照射デバイスは、少なくとも1つの内側中性子減速体をさらに備える。内側中性子減速体は、水、重水(DO)又は黒鉛などの中性子減速物質を備える。中性子減速物質は、Gd-157インサートに密閉されたGd-157ディスクでの熱中性子束曝露を最適化するように、所定の質量及び幾何学的特性を有する。
【0087】
一態様では、少なくとも1つの電子中性子発生器は、2つ、3つ又は4つ以上の電子中性子発生器である。少なくとも1つのRa-226インサートは、2つ、3つ又は4つ以上のRa-226インサートである。一態様では、少なくとも1つのGd-157インサートは、2つ、3つ、4つ又は5つ以上のGd-157インサートである。少なくとも1つの中性子減速体は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又は7つ以上の中性子減速体である。
【0088】
一態様において、Ra-226照射デバイスは、2つの電子中性子発生器;Ra-226照射デバイス;を備える。Ra-226照射デバイスは、2つのRa-226インサートであって、これらの各々がRa-226ディスクとRa-226ホルダを含む、2つのRa-226インサートと、3つのGd-157インサートであって、これらの各々がGd-157ディスクとGd-157ホルダを含む、3つのGd-157インサートと、4つの内側中性子減速体とを備え、Ra-226照射デバイスは、これらすべてのコンポーネントを左から右に向かって、第1のGd-157インサート、第1の内側中性子減速体、第1のRa-226、第2の内側中性子減速体、第2のGd-157インサート、第3の内側中性子減速体、第2のRa-226インサート、第4の内側中性子減速体、第3のGd-157インサートの順に互いに隣接又は隣り合うように配置させるよう構成されている。Ra-226照射デバイスのこの構成では、各Ra-226インサートが2つのGd-157インサートの間に挟まれており、Ra-226インサートにおける高エネルギガンマ線反応によって生じる光電子によってさらにガンマ線を発生させることができるので、高エネルギガンマ線の発生が促進され、ひいてはAc-225へ崩壊するRa-225の生成が促進される。
【0089】
一態様では、デバイスは、全てのコンポーネント(2つの電子中性子発生器、2つの端側中性子減速体、及びRa-226照射デバイスを含む)を、左から右に向かって、第1の電子中性子発生器、第1の端側中性子減速体、Ra-226照射デバイス、第2の中性子減速体、第2の電子中性子発生器の順で配置させるように構成されている。
【0090】
一態様において、デバイスは、Ra-226照射デバイスに隣接する端側中性子減速体に直接隣接しない表面から放出される中性子及びガンマ線を最小限に抑えるために、Ra-226照射デバイスに隣接しない電子中性子発生器に隣接して配置され、当該電子中性子発生器の側面を囲むように構成された放射線遮蔽物質をさらに備える。一態様では、放射線遮蔽物質は鉛(Pb)である。
【0091】
一態様では、Ra-226インサート及びGd-157インサートの各々は、Ra-226照射デバイスの他のコンポーネントから分離可能であり、自由に移動可能であり、Ra-226照射デバイスに抜き差し可能である。
【0092】
一態様において、Ra-226インサートは、Ra-226照射デバイスへの抜き差しを容易にするためのハンドリングロッドをさらに含む。
【0093】
一態様では、各Ra-226インサートは、1つ又は複数のガス膨張ギャップを有する。1つ又は複数のガス膨張ギャップは、Ra-226ディスクの上端、又は下端、又は両端に位置するか、又はRa-226インサートに密封されたRa-226ディスクを囲んでいる。このデバイス設計は、Gd-157ガンマ線源から生成され得るRa-225の量を最大にするためであり、密封されたRa-226ディスクからガスを放出させることなく、Ra-226ディスクの膨張と、Ra-226の照射中に生成されるヘリウムなどのガスの膨張とを可能にする。Ra-226インサートの1つ又は複数のガス膨張ギャップは、少なくとも1.0cmのガス膨張容積を有する。Ra-226インサートがガス膨張ギャップを有するこのデバイス設計は、Gd-157ガンマ線源から生成され得るRa-225の量を最大にするためであり、密封されたRa-226インサートからガスを放出させることなく、Ra-226ディスクの膨張と、Ra-226の照射中に生成されるヘリウム(He)、ラドン、又は他のガスなどのガスの膨張とを可能にする。
【0094】
一態様において、各Gd-157インサートは、1つ又は複数の膨張ギャップを有してよい。1つ又は複数のガス膨張ギャップは、Gd-157ディスクの上端、又は下端、又は両端に位置するか、又はGd-157インサートに密封されたGd-157ディスクを囲んでいる。Gd-157インサートが膨張ギャップを有するこのデバイス設計は、Gd-157ガンマ線源から生成され得るRa-225の量を最大にするためであり、密封されたGd-157インサートからガスを放出させることなく、Gd-157ディスクの膨張と、Gd-157の照射中に生成され得るガスの膨張とを可能にする。
【0095】
一態様において、デバイスは、Ra-225の生成及びGd-157の枯渇レベルを監視するために、デバイスの周囲のガンマ線レベルを測定するモニタをさらに備える。デバイスは、Ra-226インサート内でのRa-225の生成が所定のレベルを超えた場合に、Ra-226インサートを新しいRa-226インサートと交換できるように構成されている。デバイスは、Gd-157の枯渇レベルが所定のレベルを超えた場合に、Gd-157インサートを新しいGd-157インサートと交換できるように構成されている。
【0096】
一態様では、デバイスは電子中性子発生器を備えていない。中性子発生器は別で設けられる。一態様において、デバイスは、デバイスの周囲のガンマ線レベルを測定するモニタを備えていない。モニタは別で設けられる。
【0097】
一態様では、デバイスは、放射線遮蔽物質をさらに備えてよい。放射線遮蔽物質は、照射ターゲット物質に直接隣接していない表面から放出される放射線を最小限に抑えるために、Ra-226照射デバイスに隣接していない電子中性子発生器に隣接して配置され、当該電子中性子発生器の側面を囲むように構成されている。一態様では、放射線遮蔽物質は鉛(Pb)である。
【0098】
本明細書には、一態様において、電子中性子発生器を用いて高エネルギガンマ線を発生させる装置及びプロセスが開示されている。一態様において、高エネルギガンマ線は、Ra-226からAc-225を生成するためにRa-226ターゲット物質に照射される。
【0099】
一態様において、装置は、熱中性子束を発生させるための少なくとも1つの電子中性子発生器と、照射ターゲット物質を含むアセンブリとを備える。照射ターゲット物質を含むアセンブリは、核融合反応源端などの電子中性子発生器の一端に隣接して配置されるよう構成されている。中性子束は、照射ターゲット物質へ向けられ、照射ターゲット物質と相互作用して、照射ターゲット物質において中性子即発捕獲高エネルギガンマ線を発生させる。一態様では、照射ターゲット物質はGd-157ターゲット物質である。アセンブリは、Gd-157ターゲット物質を含む少なくとも1つのGd-157インサートを備え、Gd-157ターゲット物質はGd-157インサート内に密封されている。一態様では、アセンブリは上述したRa-226照射デバイスであり、照射ターゲット物質はRa-226照射デバイスに含まれるように構成されている。
【0100】
一態様において、高エネルギガンマ線を発生させるための装置は、熱中性子束を発生させるように構成された電子中性子発生器と、照射ターゲット物質を含むアセンブリと、中性子及び/又はガンマ線を遮蔽するための放射線遮蔽物質とを備えてよい。一態様では、照射ターゲット物質を含むアセンブリは、電子中性子発生器の核融合反応源端に隣接して配置されるように構成されている。装置は、照射ターゲット物質を含むアセンブリの方へ中性子束を向かせるように構成されており、その結果、照射ターゲット物質が中性子束の少なくとも一部を捕獲して相互作用し、中性子即発捕獲高エネルギガンマ線を発生させる。中性子・ガンマ線遮蔽物質は、照射ターゲット物質に直接隣接していない表面から放出される放射線を最小限に抑えるために、照射ターゲット物質を含むアセンブリに隣接していない電子中性子発生器の側面に隣接し、当該側面を囲むように構成されている。一態様において、放射線遮蔽物質は鉛(Pb)を含んでよい。一態様では、照射ターゲット物質はGd-157ターゲット物質である。アセンブリはGd-157ターゲット物質を含む少なくとも1つのGd-157インサートを備え、Gd-157ターゲット物質はGd-157インサート内に密閉されている。一態様では、アセンブリは上述したRa-226照射デバイスであり、照射ターゲット物質はRa-226照射デバイスに含まれるように構成されている。
【0101】
一態様では、装置は高エネルギガンマ線を物体へ向けるように構成されている。一態様では、物体はRa-226ターゲット物質を備える。一態様では、物体はRa-226ターゲット物質を有するRa-226インサートを備え、Ra-226ターゲット物質はRa-226インサート内に密封されている。一態様では、物体は上述したアセンブリの一部であり、アセンブリは上述したRa-226照射デバイスである。
【0102】
一態様において、装置は中性子減速物質をさらに備えてよい。一態様では、中性子減速物質は、電子中性子発生器の核融合反応源端とアセンブリとの間に配置されるように構成されている。一態様において、中性子減速物質は、黒鉛、水、又は重水を含むか、又は黒鉛、水、又は重水である。
【0103】
一態様では、中性子減速物質の量と幾何学的特性は、照射ターゲット物質(Gd-157ターゲット物質)における熱中性子束曝露が最適化されるように制御される。
【0104】
一態様において、照射ターゲット物質は、ガドリニウム-157(Gd-157)物質などの中性子捕獲物質、又は即発捕獲ガンマ線を放出する非常に高い熱中性子捕獲断面積を有する他の物質を含んでよい。一態様において、Gd-157物質は、Gd-157を約87%、少なくとも約50%、少なくとも約87%、又は約87%~100%有するように濃縮された酸化ガドリニウム(Gd)を含んでよい。Gd-157物質は、電子中性子発生器によって生じた中性子を捕獲し、相互作用して、高エネルギガンマ線を発生させる。
【0105】
一態様では、Gd-157物質の質量と幾何学的特性は、物体が受けるガンマ線量率とエネルギが最適化されるように制御される。
【0106】
一態様では、装置は電子中性子発生器を含まず、電子中性子発生器はデバイスとは別に設けられる。
【0107】
一態様では、高エネルギガンマ線を発生させるための方法が提供される。本方法は、電子中性子発生器を準備するステップと、電子中性子発生器によって中性子束を発生させるステップと、中性子束を照射ターゲット物質へ向けるステップと、中性子束と照射ターゲット物質との間の相互作用によって、照射ターゲット物質で中性子即発捕獲ガンマ線を発生させるステップとのうちの1つ又は複数のステップを含んでよい。一態様では、本方法は、ガンマ線を物体へ向けることをさらに含む。一態様では、照射ターゲット物質は、電子中性子発生器の一端に隣接するように配置され、且つ電子中性子発生器の当該端と物体との間に配置されるように構成されている。
【0108】
一態様において、方法は、照射ターゲット物質に直接隣接していない表面から放出される放射線を最小限に抑えるために、照射ターゲット物質に隣接していない電子中性子発生器の側面に隣接して配置され、当該側面を囲むように構成されている放射線遮蔽物質を使用することをさらに含んでよい。
【0109】
一態様において、方法は、電子中性子発生器の照射ターゲット物質に最も近い端と照射ターゲット物質との間に中性子減速物質を追加することをさらに含んでよい。
【0110】
本明細書では、一態様において、上述のように発生される高エネルギガンマ線を用いてRa-226からAc-225を生成するためのデバイス、システム、及び方法が開示されている。
【0111】
一態様において、高エネルギガンマ線を用いてRa-226からAc-225を生成する方法は、電子中性子発生器を準備するステップと、電子中性子発生器で中性子束を発生させるステップと、中性子束を照射ターゲット物質へ向けるステップと、中性子束と照射ターゲット物質との間の相互作用によって、照射ターゲット物質で中性子即発捕獲ガンマ線を発生させるステップと、ガンマ線を照射対象であるRa-226ターゲット物質へ向けるステップと、Ra-226ターゲット物質を照射して、Ra-226インサート内でRa-226からRa-225を生成するステップとのうちの1つ又は複数のステップを含んでよい。一態様では、照射ターゲット物質は、電子中性子発生器の一端に隣接して配置され、且つ電子中性子発生器の当該端とRa-226ターゲット物質との間に配置されるように構成されている。
【0112】
一態様において、方法は、照射ターゲット物質の質量及び幾何学的特性を、照射されるRa-226ターゲット物質が受けるガンマ線量率及び強度が最適化されるように制御することをさらに含んでよい。
【0113】
一態様では、照射ターゲット物質は、Gd-157インサート内に含まれ密封されるように構成されており、Ra-226ターゲット物質は、Ra-226インサート内に含まれ密封されるように構成されている。
【0114】
一態様では、方法は、Ra-226インサートをガンマ線照射から外すことと、Ra-226中のRa-225を崩壊させてAc-225を生成することとをさらに含む。
【0115】
一態様において、方法は、Gd-157インサート及びRa-226インサートの周囲のガンマ線レベルを測定することと、測定されたガンマ線レベルが所定のレベルより低いと判定することと、Ra-226インサートをガンマ線から外すことと、Ra-226インサートを新しいRa-226インサートと交換することと、Gd-157インサートを新しいGd-157インサートと交換することとをさらに含んでよい。
【0116】
一態様において、方法は、照射ターゲット物質に直接隣接していない表面から放出される放射線を最小限に抑えるために、照射ターゲット物質に隣接していない電子中性子発生器の側面に隣接して配置され、当該側面を囲むように構成された放射線遮蔽物質を使用することをさらに含んでよい。
【0117】
一態様において、方法は、電子中性子発生器の照射ターゲット物質に最も近い端と照射ターゲット物質との間に中性子減速物質を追加することをさらに含んでよい。
【0118】
一態様において、方法は、中性子減速物質の量及び幾何学的特性を、照射ターゲット物質における中性子束曝露が最適化されるように制御することをさらに含んでよい。
【0119】
一態様では、照射ターゲット物質は、約257000バーン(b)の熱中性子捕獲断面積を有する。
【0120】
一態様では、Ra-226ターゲット物質が受けるガンマ線の線量率は、約625R/秒以上又は2.25×106R/時間以上である。
【0121】
本開示の一態様では、商業用原子炉を用いてRa-226からAc-225を生成するためのシステム、デバイス、及び方法が提供されている。このシステムは、照射ターゲットアセンブリを備える。照射ターゲットアセンブリは、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスと、照射ターゲット物質及び照射ターゲットホルダを含む照射ターゲット格納構造体と、閉じた弾頭端を有する外側ラビットシースとを備え、外側ラビットシースは、226ターゲット挿入取り出しデバイス及び照射ターゲット格納構造体を、これらの上端を除いて、囲む。
【0122】
一態様では、照射ターゲット格納構造体はGd-157格納構造体である。照射ターゲット物質はGd-157ターゲット物質を含む。照射ターゲットホルダはGd-157ホルダである。
【0123】
一態様において、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスは、Ra-226を含むRa-226ターゲット物質と、Ra-226ターゲット物質を包囲して密封するRa-226ホルダと、Ra-226ホルダに接続されたハンドリングノブとを備える。ハンドリングノブは、Gd-157格納構造体へのRa-226ターゲット物質の出し入れを容易にする。Ra-226ホルダは、Ra-226ターゲット物質を包囲し密閉する。中心ロッドは、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスの中心軸に沿っている。Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスは、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスの上端に位置するガス膨張ギャップをさらに備える。ガス膨張ギャップは、少なくとも1.0cmのガス膨張容積を有してよい。Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスがガス膨張ギャップを有するこのデバイス設計は、Gd-157ガンマ線源から生成され得るRa-225の量を最大にするためであり、密封されたRa-226ターゲット挿入取り出しデバイスからガスを放出させることなく、Ra-226の膨張と、Ra-226の照射中に生成されるヘリウム(He)、ラドンなどのガスの膨張とを可能にする
【0124】
一態様では、Ra-226ターゲット物質は、固体状であるか、又はRa-226ホルダ内に詰められた粉末である。Gd-157物質は、固体状であるか、又はGd-157ホルダ内に詰められた粉末である。
【0125】
一態様では、照射ターゲットアセンブリは円柱形状である。Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスは円柱形状である。Gd-157格納構造体は、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスと同心の円筒形状である。外側ラビットシースは、図6Aに示すように、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスとGd-157格納構造体を、これらの上端を除いて包囲・密封し、閉じた弾頭端を有する円筒形状である。外側ラビットシースは、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス及びGd-157格納構造体と同心である。一態様では、外側ラビットシースは、SS-315ステンレス鋼、Alloy-690、又はジルカロイなどの材料で作られている。Ra-226ホルダ534、ハンドリングノブ524、及びGd-157ホルダはそれぞれ、SS-315ステンレス鋼、Alloy-690、又はジルカロイなどの材料で作られている。
【0126】
一態様では、Gd-157格納構造体、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス、及びラビットシースは互いに分離可能であり、従って、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスをラビットに出し入れすることができ、新しいRa-226ターゲット挿入取り出しデバイスを設置することができる。また、Gd-157格納構造体も、枯渇レベルが所望のレベルを超えた場合に交換されてよい。Ra-226ターゲット物質の利用可能な断面積内で照射されるRa-226ターゲット物質の質量に基づいて、照射ターゲットアセンブリ、ターゲット挿入取り出しデバイス、及びGd-157格納構造体の長さ、直径、その他の寸法が決定される。
【0127】
一態様において、システムは、加圧水型原子炉(PWR)などの商業用原子炉と、Heibelら(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,755,829号(‘829号特許))により開示されているような、多くの加圧水型原子炉(PWR)設計で一般的な可動炉心検出器システム(MIDS)とをさらに備えてよい。
【0128】
一態様において、照射ターゲットアセンブリは円柱形状であってよい。ラビットの外径は、‘829号特許に開示されているような多くの加圧水型原子炉(PWR)設計で一般的な可動炉内検出器システム(MIDS)で使用される核分裂チャンバの最大外径によって決定される。Ra-226ターゲット物質の長さは、Ac-225の生成を最大化するために、所望のターゲット質量含有量が得られるように調整されてよい。
【0129】
一態様において、システムは、Ra-225の生成レベル及びGd-157ターゲット物質の枯渇レベルを特定できるように、照射ターゲットアセンブリの近傍の中性子束及び/又はガンマ線レベルを測定するモニタをさらに備える。測定されたデータは、所定のレベルと比較して、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス及び/又はGd-157格納構造体を交換するか否かを判定するために使用されてよい。
【0130】
一態様では、商業用原子炉及び上述のシステムを用いてRa-226からAc-225を生成するための方法が提供されている。本方法は、中性子束を発生させることと、中性子束を、照射ターゲット物質及び照射ターゲットホルダを含む照射ターゲット格納構造体へ向けることと、中性子束と照射ターゲット物質の間の相互作用により、照射ターゲット物質で中性子即発捕獲ガンマ線を発生させることと、ガンマ線を照射対象であるRa-226ターゲット物質へ向けることと、Ra-226ターゲット物質を照射して、Ra-226ターゲット物質中のRa-226からRa-225を生成することとを含む。
【0131】
一態様では、方法は、Ra-226ターゲット物質をガンマ線から外すことと、照射されたRa-226ターゲット物質中のRa-225を崩壊させてAc-225を生成することとをさらに含む。
【0132】
一態様では、照射ターゲット格納構造体とRa-226ターゲット物質は、上述の照射ターゲットアセンブリに含まれている。
【0133】
一態様では、方法は、加圧水型原子炉(PWR)や沸騰水型原子炉(BWR)などの炉心を有する原子炉を準備することをさらに含み、原子炉は、照射ターゲットアセンブリを原子炉の炉心へ送り込む手段を有する。一態様では、中性子反射は原子炉によって発生される。
【0134】
一態様において、方法は、照射ターゲットアセンブリの周囲のガンマ線レベルを測定してGd-157の枯渇レベルを特定することと、Gd-157の枯渇レベルが所定のレベルより上であると判定することと、Gd-157格納構造体を交換することと、Ra-225の生成量を計算することと、Ra-225の生成量が所定量より多いと判断することと、照射されたRa-226挿入取り出しデバイスを取り出すことと、新しいRa-226挿入取り出しデバイスと交換することと、照射されたRa-226挿入取り出しデバイス内のRa-225を崩壊させてAc-225を生成することと、をさらに含む。
【0135】
一態様において、方法は、Gd-157ターゲット物質の質量及び幾何学的特性を、照射されるRa-226ターゲット物質が受けるガンマ線量率と強度が最適化されるように制御することをさらに含んでよい。
【0136】
一態様では、方法は、Ra-226挿入取り出しデバイスとGd-157格納構造体との間に中性子減速物質を追加することをさらに含んでよい。
【0137】
一態様において、方法は、中性子減速物質の量及び幾何学的特性を、照射ターゲット物質における中性子束曝露が最適化されるように制御することをさらに含んでよい。
【0138】
以下の各項において、本開示のさらなる態様が提供される。
【0139】
(項1)Ra-226からAc-225を生成するためのデバイスであって、放出端から熱中性子束を発生させる電子中性子発生器と、電子中性子発生器によって生じた熱中性子束へ曝露されることに応じてガンマ線を発生させる照射ターゲット物質を備え、電子中性子発生器の放出端に近接して配置される照射ターゲットインサートと、照射ターゲット物質によって生じたガンマ線へ曝露されることに応じてRa-225を生成するRa-226ターゲット物質を備えるRa-226インサートと、を備えるデバイス。
【0140】
(項2)照射ターゲット物質の熱中性子束への曝露を緩和する中性子減速物質を備える端側中性子減速体をさらに備え、端側中性子減速体は、照射ターゲットインサートと電子中性子発生器の放出端との間に配置されている、項1に記載のデバイス。
【0141】
(項3)照射ターゲット物質がガドリニウム-157(Gd-157)物質を備え、照射ターゲットインサートがGd-157インサートである、項1~2のいずれかに記載のデバイス。
【0142】
(項4)Gd-157物質は、Gd-157を少なくとも約80wt%~100wt%含むように濃縮された酸化ガドリニウム(Gd)を備える、項1~3のいずれかに記載のデバイス。
【0143】
(項5)GdがGd-157を約87wt.%含むように濃縮されている、項1~4のいずれかに記載のデバイス。
【0144】
(項6)照射ターゲット物質が、最適化されたガンマ線量率及び強度をRa-226インサートに提供するように構成されている、項1~5のいずれかに記載のデバイス。
【0145】
(項7)電子中性子発生器が第1の電子中性子発生器であり、端側中性子減速体が第1の端側中性子減速体であり、Gd-157インサートが第1のGd-157インサートであり、Ra-226インサートが第1のRa-226インサートであり、デバイスは、第2の電子中性子発生器と、中性子減速物質を備える第2の端側中性子減速体と、第2のGd-157インサート及び第3のGd-157インサートであって、これらの各々がGd-157物質を備える、第2及び第3のGd-157インサートと、Ra-226ターゲット物質を備える第2のRa-226インサートと、第1、第2、第3及び第4の内側中性子減速体であって、これらの各々が中性子減速物質を備える、第1、第2、第3及び第4の内側中性子減速体とをさらに備え、第1の端側中性子減速体は電子中性子発生器に隣接し、第1のGd-157インサートは端側中性子減速体に隣接し、第1の内側中性子減速体は第1のGd-157インサートに隣接し、第1のRa-226インサートは第1の内側中性子減速体に隣接し、第2の内側中性子減速体は第1のRa-226インサートに隣接し、第2のGd-157インサートは第2の内側中性子減速体に隣接し、第3の内側中性子減速体は第2のGd-157インサートに隣接し、第2のRa-226インサートは第3の内側中性子減速体に隣接し、第4の内側中性子減速体は第2のRa-226インサートに隣接し、第3のGd-157インサートは第4の内側中性子減速体に隣接し、第2の端側中性子減速体は第3のGd-157インサートに隣接し、第2の電子中性子発生器は第2の端側中性子減速体に隣接する、項1~6のいずれかに記載のデバイス。
【0146】
(項8)第1、第2及び第3のGd-157インサートの各々並びに第1及び第2のRa-226インサートの各々が、取り外し可能にデバイスに挿入されている、項1~7のいずれかに記載のデバイス。
【0147】
(項9)Gd-157物質の枯渇レベル及びRa-225の生成量の少なくとも1つを特定するために、ガンマ線のレベルを測定するように構成されたモニタをさらに備える、項1~8のいずれかに記載のデバイス。
【0148】
(項10)Ra-226からAc-225を生成するための方法であって、電子中性子発生器を用いて中性子束を発生させることと、照射ターゲット物質を中性子束に曝露させることによりガンマ線を発生させることと、Ra-226ターゲット物質を備えるRa-226インサートにガンマ線を照射することによりRa-225を生成することと、を含む方法。
【0149】
(項11)電子中性子発生器を少なくとも部分的に囲む放射線遮蔽物質を用いて中性子束を遮蔽することをさらに含む、項10に記載の方法。
【0150】
(項12)電子中性子発生器と照射ターゲット物質との間に配置された中性子減速物質を用いて中性子束を減速させることをさらに含む、項10~11のいずれかに記載の方法。
【0151】
(項13)ガンマ線のレベルを測定するように構成されたモニタを用いて、照射ターゲット物質の枯渇レベル及びAc-225生成量の少なくとも1つを監視することをさらに含む、項10~12のいずれかに記載の方法。
【0152】
(項14)Ra-226からAc-225を生成するためのシステムであって、システムは、炉心を備える原子炉と、炉心に挿入可能な照射ターゲットアセンブリとを備え、照射ターゲットアセンブリが、Ra-226を備えるRa-226物質とRa-226物質を包囲し密封するRa-226ホルダとを備えるRa-226ターゲット挿入取り出しデバイスと、照射ターゲット物質と照射ターゲット物質を包囲し密封する照射ターゲットホルダとを備える照射ターゲット格納構造体であって、少なくとも部分的にRa-226ターゲット挿入取り出しデバイスを囲む照射ターゲット格納構造体と、閉じた端を有する外側ラビットシースであって、少なくとも部分的に照射ターゲット格納構造体を囲む外側ラビットシースとを備える、システム。
【0153】
(項15)照射ターゲット物質がGd-157物質を備える、項14に記載のシステム。
【0154】
(項16)照射ターゲットアセンブリは、少なくとも1つのガス膨張ギャップをさらに備える、項14~15のいずれかに記載のシステム。
【0155】
(項17)Ra-226物質及び照射ターゲット物質は粉末状である、項14~16のいずれかに記載のシステム。
【0156】
(項18)Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスは円柱形であり、照射ターゲット格納構造体は、円筒形であり、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスと同心であり、外側ラビットシースは、円筒形であり、Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス及び照射ターゲット格納構造体を囲む閉じた端を備える、項14~項17のいずれかに記載のシステム。
【0157】
(項19)Ra-225の生成量及び照射ターゲット物質の枯渇レベルの少なくとも1つを特定するために、照射ターゲットアセンブリの近傍のガンマ線レベルを測定するように構成された1つ又は複数のモニタをさらに備える、項14~項18のいずれかに記載のシステム。
【0158】
(項20)Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイス及び照射ターゲット格納構造体はそれぞれ、取り外し可能に照射ターゲットアセンブリに挿入される、項14~項19のいずれかに記載のシステム。
【0159】
(項21)Ra-226からAc-225を生成するための方法であって、原子炉の炉心にRa-226物質と照射ターゲット物質とを備える照射ターゲットアセンブリを挿入することと、原子炉の炉心で中性子束を発生させることと、照射ターゲット物質を中性子束に曝露させることによりガンマ線を発生させることと、Ra-226にガンマ線を照射することによりRa-225を生成することとを含む方法。
【0160】
(項22)照射ターゲットアセンブリの近傍のガンマ線のレベルを監視することにより、Ra-225の生成量及び照射ターゲット物質の枯渇レベルの少なくとも1つを特定することをさらに含む、項21に記載の方法。
【0161】
(項23)照射ターゲット物質の枯渇レベルが所定の閾値を満たすと判定することと、照射ターゲットアセンブリから照射ターゲット物質を取り出して、照射ターゲットアセンブリに新しい照射ターゲット物質を挿入することにより、照射ターゲットを交換することと、をさらに含む、項21~項22のいずれかに記載の方法。
【0162】
(項24)Ra-225の生成量が所定の閾値を満たすと判定することと、照射ターゲットアセンブリからRa-226ターゲット物質を取り出すことと、照射ターゲットアセンブリに新しいRa-226ターゲット物質を挿入することとをさらに含む、項21~項23のいずれかに記載の方法。
【0163】
(項25)照射ターゲット物質がGd-157を備える、項21~24のいずれかに記載の方法。
【0164】
本明細書に記載される及び/又はアプリケーションデータシートに記載されるすべての特許、特許出願、刊行物、その他の開示資料は、個々の参照資料がそれぞれ明示的に参照により組み込まれたかのように、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書において参照により組み込まれるとされるすべての参考資料、いかなる資料又はその一部は、組み込まれる資料が本開示に記載される既存の定義、記述、又はその他の開示資料と矛盾しない範囲においてのみ、本明細書に組み込まれる。そのため、必要な範囲において、本明細書の開示は、参照により本明細書に組み込まれる矛盾する資料に優先し、本出願に明示的に記載される開示が支配する。
【0165】
様々な例示的及び例示的な態様を参照して、本開示を説明した。本明細書に記載された態様は、開示された本開示の様々な態様の様々な詳細の例示的特徴を提供するものと理解され、従って、特に指定されない限り、可能な範囲で、開示された態様の1つ又は複数の特徴、要素、コンポーネント、成分、構成要素、構造、モジュール、及び/又は態様は、開示された本開示の範囲から逸脱することなく、開示された態様の1つ又は複数の他の特徴、要素、コンポーネント、成分、構成要素、構造、モジュール、及び/又は態様と組み合わされてよく、分離されてよく、入れ替えられてよく、及び/又は再構成されてよいことが理解されるべきである。従って、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、例示的な態様の様々な置換、変更又は組合せがなされ得ることが分かるであろう。加えて、当業者であれば、本明細書を読めば、日常的な実験以上のことを行わずとも、本明細書に記載された本開示の様々な態様の多くの等価物が分かる、もしくは特定することができるであろう。従って、本開示は、様々な態様の記載によって限定されるものではなく、むしろ特許請求の範囲によって限定されるものである。
【0166】
当業者であれば、一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)で使用される用語が、通常「オープン」な用語(例えば、「含んでいる」という語は「~を含んでいるが~に限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という語は、「少なくとも~有する」と解釈されるべきであり、「含む」という語は、「~を含むが~限定されない」と解釈されるべきである等)として使用されていることが分かるであろう。当業者であればさらに、請求項の要素の特定の数が意図される場合、そのような意図は請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合には、そのような意図は存在しないことが理解されよう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲では、特許請求の要素を導入するために「少なくとも1つの」及び「1つ又は複数の」という導入句が使用されている場合がある。しかしながら、このような句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の要素の導入が、そのように導入された請求項の要素を含む特定の請求項を、同じ請求項が導入句「1つ又は複数の」又は「少なくとも1つの」及び不定冠詞「a」又は「an」などを含む場合であっても、そのような要素を1つだけ含む請求項に限定することを意味すると解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は、通常、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」を意味するものと解釈されるべきである)。請求項の要素を導入するのに使用される定冠詞にも同じことが言える。
【0167】
さらに、請求項の要素の特定の数が明示的に記載されている場合であっても、当業者であれば、そのような記載は、通常、少なくとも記載された数であること意味すると解釈されるべきであることが分かるであろう(例えば、他の修飾語句を伴わない「2つの要素」という記載は、通常、少なくとも2つの要素、又は2つ又は複数の要素を意味する)。さらに、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つなど」に類似する表現が使用される場合、一般的に、そのような表現は、当業者がその表現を理解する意味を意図している(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、A及びB、A及びC、B及びC、及び/又はA、B、及びCなどを有するシステムを含むが、これらに限定されない)。「A、B、又はCのうちの少なくとも1つなど」に類似する表現が使用される場合、一般に、そのような表現は、当業者がその表現を理解する意味を意図している(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、A及びB、A及びC、B及びC、及び/又はA、B、及びC等を有するシステムを含むが、これらに限定されない)。当業者であればさらに理解することであろうが、詳細な説明、特許請求の範囲、又は図面に関わらず、2つ以上の代替的な語を提示する離接語及び/又は離接句は、通常、文脈上別段の指示がない限り、語の一方、語のいずれか、又は語の両方を含む可能性を企図するものと理解されるべきである。例えば、「A又はB」という句は、通常、「A又はB」、あるいは「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0168】
特許請求の範囲に関して、当業者であれば、そこに記載された動作は、一般に、どのような順序で実行されてもよいことを理解するであろう。また、請求項の要素が順序で示されていても、様々な動作は、記載されている順序以外の順序で実行されてもよく、又は同時に実行されてもよいことが理解されるべきである。そのような代替順序の例としては、文脈上別段の指示がない限り、重複順序、インターリーブ順序、中断順序、再順序、増分順序、準備順序、補足順序、同時順序、逆順序、又は他の変形順序が挙げられる。さらに、「~に応じて」、「~に関連する」、過去形の形容詞などの語は、文脈上別段の指示がない限り、一般に、このような変形を除外することを意図していない。
【0169】
「一態様」、「ある態様」、「ある例示」、「1つの例示」などへの言及は、その態様に関して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの態様に含まれることを意味することに留意されたい。従って、本明細書中の様々な箇所で見られる「一態様において」、「ある態様において」、「ある例示において」、及び「一例示において」という表現は、必ずしもすべてが同じ態様を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の態様において任意の適切に組み合わせられてよい。
【0170】
本明細書で使用される「a」、「an」、「the」という単数形は、文脈上そうでないことが明らかな場合を除き、複数形も含む。
【0171】
本明細書で使用される、例えば、上、下、左、右、下、上、前、後、及びそれらの変形など(これらに限定されない)の方向を示す語句は、添付図面に示される要素の方向に関するものであり、別途明示的に記載されない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0172】
本開示で使用される「約」又は「およそ」という語は、特に指定がない限り、当業者によって決定される特定の値に対する許容可能な誤差を意味し、これは値がどのように測定又は決定されるかに部分的に依存する。特定の態様において、「約」又は「およそ」という語は、1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。特定の態様において、「約」又は「およそ」という語は、所与の値又は範囲の50%、200%、105%、100%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。
【0173】
本明細書では、特に断りのない限り、すべての数値パラメータは、すべての場合において、「約」という語によって前置きされ、修飾されるものと理解される。この場合、数値パラメータは、パラメータの数値を決定するために使用される基礎的な測定技術に特有の固有の変動性を有する。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではないが、本明細書に記載される各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の桁数を考慮し、通常の丸め技術を適用して解釈されるべきである。
【0174】
本明細書で言及される数値範囲には、言及される範囲に包含されるすべての下位範囲が含まれる。例えば、「1~100」の範囲は、最小値である1と最大値である100との間のすべての下位範囲を含む(及びそれを含む)、すなわち、1以上の最小値と100以下の最大値とを有するすべての下位範囲を含む。また、本明細書で言及されるすべての範囲は、言及される範囲の端点を含む。例えば、「1~100」の範囲は、端点である1及び100を含む。本明細書に記載されている最大数値限定は、そこに包含されるすべての下位数値限定を含むことを意図しており、本明細書に記載されている最小数値限定は、そこに包含されるすべての上位数値限定を含むことを意図している。従って、出願人は、明示的に記載された範囲に包含される任意の下位範囲を明示的に記載するように特許請求の範囲を含む本明細書を補正する権利を有する。そのような範囲はすべて、本明細書に本質的に記載されている。
【0175】
「備える」(及び「備えた」や「備えている」などの「備える」いかなる形)、「有する」(及び「有した」や「有している」などの「有する」のいかなる形)、「含む」(及び「含んだ」や「含んでいる」などの「含む」のいかなる形)、「含有する」(及び「含有した」や「含有している」などの「含有する」のいかなる形)は、オープンエンドの連結動詞である。従って、1つ又は複数の要素を「備える」、「有する」、「含む」、又は「含有する」システムは、それらの1つ又は複数の要素を持っているが、それらの1つ又は複数の要素のみを持っていることに限定されない。同様に、1つ又は複数の特徴を「備える」、「有する」、「含む」、又は「含有する」システム、デバイス、又は装置の要素は、それらの1つ又は複数の特徴を有するが、それらの1つ又は複数の特徴のみを有することに限定されない。
【0176】
本出願の態様及び実施形態を説明する際、明確性のために特定の用語が使用される。しかしながら、本開示は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではない。本明細書のいかなる部分も、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0177】
提示された全ての例は、代表的且つ非限定的である。上述の態様及び実施形態は、上述の教示に照らして当業者に理解されるように、本開示から逸脱することなく、変更又は変形されてよい。従って、特許請求の範囲及びその均等物の範囲内において、本開示は、具体的に記載されたのとは別のやり方で実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0178】
これ以上詳しく説明しなくても、当業者であれば、前述の説明を用いて、特許請求される開示内容を最大限に利用することができると考えられる。本明細書に開示された例、態様及び実施形態は、単に例示的なものとして解釈されるべきであり、いかなる意味においても本開示の範囲を限定するものではない。当業者であれば、論じた基本原理から逸脱することなく、上述の態様及び実施形態の細部に様々な変更及び変形を加えることができることは明らかであろう。換言すれば、上記の説明において具体的に開示された態様及び実施形態の様々な変更及び改良は、添付の特許請求の範囲内にある。例えば、上述された様々な態様及び実施形態の特徴の任意の好適な組み合わせが企図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジウム-226(Ra-226)からアクチニウム-225(Ac-225)を生成するためのデバイスであって、
放出端から熱中性子束を発生させる電子中性子発生器と、
前記電子中性子発生器によって生じた前記熱中性子束へ曝露されることに応じてガンマ線を発生させる照射ターゲット物質を備える照射ターゲットインサートであって、前記電子中性子発生器の前記放出端に近接して配置される前記照射ターゲットインサートと、
前記照射ターゲット物質によって生じた前記ガンマ線に曝露されることに応じてRa-225を生成するRa-226ターゲット物質を備えるRa-226インサートと、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、さらに、
前記熱中性子束への前記照射ターゲット物質の曝露を緩和する中性子減速物質を備える端側中性子減速体を備え、
前記端側中性子減速体は、前記照射ターゲットインサートと前記電子中性子発生器の前記放出端との間に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記照射ターゲット物質は、ガドリニウム-157(Gd-157)物質を備え、
前記照射ターゲットインサートは、Gd-157インサートである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記Gd-157物質は、Gd-157を少なくとも約80wt%~100wt%含むように濃縮された酸化ガドリニウム(Gd)を備える、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記Gdは、Gd-157を約87wt%含むように濃縮されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記照射ターゲット物質が、前記Ra-226インサートに最適化されたガンマ線量率及び強度を提供するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記電子中性子発生器は、第1の電子中性子発生器であり、
前記端側中性子減速体は、第1の端側中性子減速体であり、
前記Gd-157インサートは、第1のGd-157インサートであり、
前記Ra-226インサートは、第1のRa-226インサートであり、
前記デバイスは、さらに、
第2の電子中性子発生器と、
前記中性子減速物質を備える第2の端側中性子減速体と、
第2のGd-157インサート及び第3のGd-157インサートであって、これらの各々が前記Gd-157物質を備える、前記第2のGd-157インサート及び前記第3のGd-157インサートと、
前記Ra-226ターゲット物質を備える第2のRa-226インサートと、
第1の内側中性子減速体、第2の内側中性子減速体、第3の内側中性子減速体、及び第4の内側中性子減速体であって、これらの各々が前記中性子減速物質を備える、前記第1の内側中性子減速体、前記第2の内側中性子減速体、前記第3の内側中性子減速体、及び前記第4の内側中性子減速体と、を備え、
前記第1の端側中性子減速体は、前記第1の電子中性子発生器に隣接し、
前記第1のGd-157インサートは、前記第1の端側中性子減速体に隣接し、
前記第1の内側中性子減速体は、前記第1のGd-157インサートに隣接し、
前記第1のRa-226インサートは、前記第1の内側中性子減速体に隣接し、
前記第2の内側中性子減速体は、前記第1のRa-226インサートに隣接し、
前記第2のGd-157インサートは、前記第2の内側中性子減速体に隣接し、
前記第3の内側中性子減速体は、前記第2のGd-157インサートに隣接し、
前記第2のRa-226インサートは、前記第3の内側中性子減速体に隣接し、
前記第4の内側中性子減速体は、前記第2のRa-226インサートに隣接し、
前記第3のGd-157インサートは、前記第4の内側中性子減速体に隣接し、
前記第2の端側中性子減速体は、前記第3のGd-157インサートに隣接し、
前記第2の電子中性子発生器は、前記第2の端側中性子減速体に隣接する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1のGd-157インサート、前記第2のGd-157インサート、及び前記第3のGd-157インサートの各々並びに前記第1のRa-226インサート及び前記第2のRa-226インサートの各々が、取り外し可能に前記デバイスに挿入されている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスは、さらに、
前記Gd-157物質の枯渇レベル又は前記Ra-225の生成量の少なくとも1つを特定するために、前記ガンマ線のレベルを測定するように構成されたモニタを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
Ra-226からAc-225を生成するための方法であって、
電子中性子発生器を用いて中性子束を発生させることと、
照射ターゲット物質を前記中性子束に曝露させることによってガンマ線を発生させることと、
Ra-226ターゲット物質を備えるRa-226インサートに前記ガンマ線を照射することによりRa-225を生成することと、を含む方法。
【請求項11】
前記方法は、さらに、
前記電子中性子発生器を少なくとも部分的に囲む放射線遮蔽物質を用いて前記中性子束を遮蔽することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、さらに、
前記電子中性子発生器と前記照射ターゲット物質との間に配置された中性子減速物質を用いて前記中性子束を減速することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、さらに、
前記ガンマ線のレベルを測定するように構成されたモニタを用いて、前記照射ターゲット物質の枯渇レベル又はAc-225の生成量の少なくとも1つを監視することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
Ra-226からAc-225を生成するためのシステムであって、
炉心を備える原子炉と、
前記炉心に挿入可能な照射ターゲットアセンブリと、を備え、
前記照射ターゲットアセンブリは、
Ra-226を備えるRa-226物質と前記Ra-226物質を包囲し密封するRa-226ホルダとを備えるRa-226ターゲット挿入取り出しデバイスと、
照射ターゲット物質と前記照射ターゲット物質を包囲し密封する照射ターゲットホルダとを備える照射ターゲット格納構造体であって、前記Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスを少なくとも部分的に囲む前記照射ターゲット格納構造体と、
閉じた端を備える外側ラビットシースであって、前記照射ターゲット格納構造体を少なくとも部分的に囲む前記外側ラビットシースと、を備える、システム。
【請求項15】
前記照射ターゲット物質がGd-157物質を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記照射ターゲットアセンブリは、少なくとも1つのガス膨張ギャップをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記Ra-226物質及び前記照射ターゲット物質は、粉末状である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスは円柱形であり、
前記照射ターゲット格納構造体は、円筒形であり、前記Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスと同心であり、
前記外側ラビットシースは、円筒形であり、前記Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスと前記照射ターゲット格納構造体を囲む閉じた端を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムは、さらに、
Ra-225の生成量又は前記照射ターゲット物質の枯渇レベルの少なくとも1つを特定するために、前記照射ターゲットアセンブリの近傍のガンマ線レベルを測定するように構成された1つ又は複数のモニタを備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記Ra-226ターゲット挿入取り出しデバイスと前記照射ターゲット格納構造体とはそれぞれ、前記照射ターゲットアセンブリに取り外し可能に挿入される、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
Ra-226からAc-225を生成するための方法であって、
原子炉の炉心に、Ra-226物質と照射ターゲット物質とを備える照射ターゲットアセンブリを挿入することと、
前記原子炉の前記炉心で中性子束を発生させることと、
前記照射ターゲット物質を前記中性子束に曝露させることによってガンマ線を発生させることと、
前記Ra-226物質に前記ガンマ線を照射することによりRa-225を生成することと、を含む方法。
【請求項22】
前記方法は、さらに、
前記照射ターゲットアセンブリの近傍の前記ガンマ線のレベルを監視することにより、Ra-225の生成量又は前記照射ターゲット物質の枯渇レベルの少なくとも1つを特定することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、さらに、
前記照射ターゲット物質の枯渇レベルが所定の閾値を満たすと判定することと、
前記照射ターゲットアセンブリから前記照射ターゲット物質を取り出し、新しい照射ターゲット物質を前記照射ターゲットアセンブリに挿入することにより、前記照射ターゲット物質を交換することと、を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、さらに、
前記Ra-225の生成量が所定の閾値を満たすと判定することと、
前記照射ターゲットアセンブリから前記Ra-226ターゲット物質を取り出すことと、
新しいRa-226ターゲット物質を前記照射ターゲットアセンブリに挿入することと、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記照射ターゲット物質がGd-157を備える、請求項21に記載の方法。

【国際調査報告】