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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】コンピュータ支援医療処置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/51 20240101AFI20241114BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61B6/51 500
A61B6/03 550R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527661
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2022080461
(87)【国際公開番号】W WO2023083648
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】21207749.9
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ホン・クン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA13
4C093DA05
4C093FC25
4C093FD07
(57)【要約】
患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するための方法であって、頭部生体構造に関する複数のスキャンデータセットを提供することと、患者の1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを提供することと、口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出された部分を決定することと、決定に応答して、スキャンデータセットから医療スキャンを構築する及び/又は補正することとを備える、方法。本発明の教示はまた、CTスキャンを改善する方法、システム、デバイス、及び記憶媒体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するためのコンピュータ実装方法であって、
前記頭部生体構造に関する複数のスキャンデータセットを提供することと、ここで、前記スキャンデータセットの少なくともいくつかが、前記医療スキャンを得るために使用可能であり、
取得部によって前記スキャンデータセットの取得中に取り込まれた、前記患者の1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを提供することと、
前記取得部に対して確定的に配置された口腔内部材を提供することと、
前記口腔内データを使用して、前記スキャンデータセットのうち、その取得中に前記口腔内特徴に関する動きが検出された部分を決定することと、ここで、前記口腔内特徴の前記動きは前記口腔内部材に対して相対的であり、
前記決定に応答して、前記スキャンデータセットから前記医療スキャンを構築すること、及び/又は補正することと
を備える、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記医療スキャンを構築すること、及び/又は補正することが、前記動きの影響を前記医療スキャンから低減するための任意の1つ又は複数の動作、より具体的には、前記スキャンデータセットの前記部分のデータを削除すること、置き換えること、平均化すること、補償すること、再算出すること、外挿すること、又はマスキングすることのうちの任意の1つの又は複数を含む動作を実施することを伴う、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記医療スキャンを補正することが、対応する1つ又は複数のスキャンデータセット内で起こった動きを補償することを伴う、請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記医療スキャンを補正することが、前記口腔内データからの座標を前記スキャンデータセットに関する座標に変換することを伴う、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記コンピュータ実装方法がまた、前記口腔内データから決定された相対座標変換を前記医療スキャンの座標系に適用することを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記コンピュータ実装方法がまた、前記口腔内特徴のうちの1つ又は複数に対して1つ又は複数の基準口腔内位置を決定することを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記コンピュータ実装方法がまた、前記口腔内特徴のうちの前記1つ又は複数の、そのそれぞれの基準口腔内位置からの変位を測定することによって、1つ又は複数の動き値を決定することを備える、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
適切なコンピューティングユニットによって実行されたときに、前記コンピューティングユニットに請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法に係るステップを実施させる命令を備える、コンピュータソフトウェア製品、又はプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法を実施するための手段を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の教示は、一般に、医療処置を改善するためのコンピュータ実装方法及び製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の種類の医療処置は、その処置が完了するまで患者を静止したままにすることを必要とし得る。そのような状況における患者の動きは、処置の品質に対して致命的となり得る。たとえば、コンピュータ断層撮影法(「CT」)スキャンを取り込むときなどの医療撮像中、撮像されている生体構造内の動きを回避することは、患者にとって重要になり得る。生体構造内の動きの結果、スキャンの品質を低減する望ましくないアーチファクトが生じることがある。したがって、より良好なスキャンを得るために撮像動作が繰り返されない限り、健康管理者は、正しい診断に到達することが妨げられ得る。同様に、スキャンがデータ駆動型の技術を使用して解釈されるケースでは、低品質のスキャンが、データ駆動型ロジックによって正しく解釈されないことがある。これは、同じ生体構造のスキャンの繰り返しを必要とすることがあり、それによって患者が椅子に座っている時間を増大させる。これは不便になり得るだけでなく、患者が必要以上の高い放射線量を受ける結果にもなり得る。
【0003】
同様に、特定の治療、特に自動化された治療では、治療が正しい場所に適用され得るように患者が自身の動きを抑制することが必要とされ得る。たとえば、口腔内の場所における削りなどの処置では、患者が動いた結果、処置は、低品質の結果になり得る。
【0004】
本出願人は、診断及び/治療処置を支援するための改善された方法及び製品が必要とされることを認識した。
【発明の概要】
【0005】
前述に関連付けられた制限の少なくともいくつかは、独立請求項1に定義される方法、独立請求項8に定義されるソフトウェア製品、及び独立請求項9に定義されるシステムの主題によって克服され得る。追加の有利な代替策の少なくともいくつかは、従属請求項において概説される。
【0006】
本出願人は、患者の頭部の生体構造を含む少なくともいくつかの医療診断及び/又は治療が、患者の動き、特にそれぞれの診断及び/又は治療中に起こるあらゆる動きをより正確に決定することによって改善され得ることを認識した。特に連続的に又は異なる時間に異なるセッションにおいて実施される必要がある診断及び/又は治療において、本発明の教示は、異なるセッション間であっても患者の頭部生体構造を所望の位置又は基準位置に位置合わせすることを可能にすることもできる。これは、診断及び/又は治療をより効果的に及び/又はセッション間でより等しくすることができる。
【0007】
より詳細には、本出願人は、患者の頭部の動きが、患者の口腔内の動きを追跡することによって有利に決定され得ることを認識した。さらに詳細には、歯列及び/又は歯肉及び/又は骨格により剛性に取り付けられた他の口腔内生体構造特徴などの口腔内特徴は、舌又は頬などのより軟質の組織と比較して、患者の頭部の動きを決定するためにより有利に追跡され得る。
【0008】
第1の観点から見ると、患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するためのコンピュータ実装方法であって、
頭部生体構造に関する複数のスキャンデータセットを提供することと、ここにおいて、スキャンデータセットの少なくともいくつかが、医療スキャンを得るために使用可能である、
スキャンデータセットの取得中に取り込まれた、患者の1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを提供することと、
口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出された部分を決定することと、
決定に応答して、スキャンデータセットから医療スキャンを構築する及び/又は補正することと
を備えるコンピュータ実装方法が、提供され得る。
【0009】
本出願人は、そのように行うことにより、スキャンデータセット又はその一部のうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出されたものの少なくともいくつかを有することなくスキャンをビルドすることによって、医療スキャンが改善され得ることを認識した。換言すれば、動きに対応するスキャンデータは、医療スキャンを構築又は再構築するために含まれず、又は前記データは、医療スキャンをビルドする間最小にされる。スキャン品質は、こうして改善され得る。
【0010】
追加的又は代替的に、いくつかのケースでは、口腔内データは、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出された部分を決定するために使用されることもあってもよく、又はその取得間で動きが検出されたスキャンデータセットを決定することもあってもよい。これは、2つの取得間で患者の位置合わせ又は位置(たとえば頭部生体構造の位置)が変更されたかどうかを決定するために有益であることができる。健康管理者はこうして警告されることが可能であり、及び/又は位置合わせ又は位置の影響が医療スキャン内で少なくとも部分的に自動的に補正及び/又は補償されることが可能であり、ならびに/又は医療スキャンは、変更された位置の影響を除去又は低減するように構築される。
【0011】
頭部の動きに関連付けられたスキャンデータセット、又は動作に関連付けられたデータセットは、こうして、医療スキャンのビルディング又は再構築中に拒否され、置き換えられ、又は低減されることが可能であり、及び/又は動作に関連付けられたデータセットの影響は、動作に関連付けられたスキャンデータセットを含んでビルドされた不正確な医療スキャンに対して補正を適用することによって、医療スキャンから低減されるか、又は排除されることが可能である。
【0012】
したがって、そのようなケースでは、方法はまた、スキャンデータセットを使用して不正確な医療スキャンを構築することを備えてもよい。
【0013】
「医療スキャン」は、患者に対して実施されるあらゆる種類の診断スキャンの出力、より具体的には口腔外スキャンを指し得る。非限定的な数例として、医療スキャンは、X線コンピュータ断層撮影法(「CT」)、磁気共鳴映像法(「MRI」)、単一光子放射断層撮影法(「SPECT」)、ポジトロン放出断層撮影法(「PET」)、ハイデルベルク網膜断層撮影法(「HRT」)、光干渉断層撮影法(「OCT」)、超音波断層撮影法、コーンビームコンピュータ断層撮影法(「CBCT」)、たとえば歯科CBCT及び/又は歯科MRI、又は断層撮影撮像技術の任意の組み合わせもしくはバリエーション、たとえばPET-CT又は血管造影検査などの、診断又はスキャン処置の結果から得られてもよい。医療スキャンは、ヒト解釈可能フォーマットであってもよく、及び/又はこれは、コンピュータ可読フォーマットであってもよい。たとえば、医療スキャンは、複数のCBCT画像の形態であってもよい。いくつかのケースでは、医療スキャンは、患者の頭部生体構造のデジタル三次元(「3D」)モデルの形態でもあってもよい。
【0014】
医療スキャンを「構築する」とは、スキャンデータセットからの医療スキャンのあらゆる種類の再構築又はビルディングを意味する。たとえば、医療スキャンは、X線源及び検出器を介して取り込まれた複数のCBCT投影画像の形態のスキャンデータセットからビルド又は再構築された、歯科パノラマCBCTスキャンであってもよい。
【0015】
医療スキャンを「補正する」とは、スキャンデータセットの取得中に患者の頭部の動きによって生じる1つ又は複数の望ましくない影響又はアーチファクトを除去するために、少なくとも部分的に不正確な医療スキャン上に実施されるあらゆる種類の動作を意味する。したがって、補正することは、少なくとも部分的に不正確な医療スキャン内の動作に関連付けられたスキャンデータセット又はその影響を削除すること、置き換えること、平均化すること、補償すること、再算出すること、変換すること、外挿すること、又はマスキングすることを含む、動きの影響を医療スキャンから低減するための任意の1つ又は複数の動作を実施することを指し得る。
【0016】
したがって、一態様によれば、医療スキャンを補正する及び/又は構築することは、動きの影響を医療スキャンから低減するための任意の1つ又は複数の動作、より具体的には、スキャンデータセットのその部分のデータを削除すること、置き換えること、平均化すること、補償すること、変換すること、再算出すること、外挿すること、又はマスキングすることの任意のうちの1つの又は複数を含む動作を実施することを伴う。したがって、破棄すること、選択すること、重み係数を適用すること、削除すること、置き換えること、平均化すること、補償すること、変換すること、再算出すること、外挿すること、又はマスキングすることなどを含む動作又は処理機能の任意のうちの1つ又は複数が、スキャンデータセットのうちの任意の1つ又は複数に適用されてもよい。処理機能のうちの1つ又は複数は、決定に応答して適用されてもよい。
【0017】
追加的又は代替的に、医療スキャンを補正することは、口腔内データからの座標をスキャンデータセットに関する座標に変換することを伴ってもよい。したがって、少なくとも1つの座標変換を適用することにより、少なくとも二次元の動き、好ましくは三次元の動きが、医療スキャンの補正のために使用され得る。これは、関連する座標に沿って動きを補正することを可能にすることができる。さらに、動きの方向の知識は、より適切な補正を適用することを可能にすることができる。任意の適切な変換技術、たとえばコンピュータビジョンの分野で使用可能な技術が、口腔内データから動きを決定し、それをスキャンデータの座標系に変換するために適用されてもよい。
【0018】
故に、一態様によれば、方法は、口腔内データから決定された相対座標変換を医療スキャンの座標系に適用することを備える。
【0019】
たとえば、変換は、スキャンデータの座標系内の対応する変化を算出するために、口腔内データからの1つ又は複数の特徴の位置及び/又は向きの変化を適用することを伴ってもよい。
【0020】
より好ましくは、動きには、口腔内データ内で測定値が提供される。そのように行う利点は、動きの尺度に応じて、補正の定量化された尺度が適用され、したがってその結果、医療スキャンのより良好な補正が得られ得ることであることができる。
【0021】
一態様によれば、反復最接近点(「ICP」)変換、そのようなもの、又はその任意の変形体が、口腔内データと対応するスキャンデータセットとの間の座標変換に使用される。
【0022】
相対座標変換は、口腔内データから算出された動きの動き尺度を、動きが測定された間の医療スキャン及び/又は対応するデータ用の1つ又は複数の動き補正値に転換する。したがって、この変換は、医療スキャンを補正するために使用され得る。
【0023】
「頭部生体構造」とは、患者の頭部のあらゆる部分を意味する。本文脈では、これは、診断及び/又は治療される生体構造部分を意味する。たとえば、頭部生体構造は、患者の任意の頭蓋骨部分を指し得る。加えて、又は代替的には、頭部生体構造は、下顎生体構造を指し得る。さらなる非限定的な例として、頭部生体構造は、歯列、顎、歯肉、舌、骨、神経、目、脳、頭蓋骨、及び頭部の血管の任意のうちの1つ又は複数を指し得る。
【0024】
用語「スキャンデータセット」は、頭部生体構造に対して実施される診断又はスキャン処置から取得されたデータを指し得る。データは、連続的に、順次、又は規則的なもしくは不規則的な時間期間で間欠的に取り込まれてもよい。スキャンデータセットの少なくともいくつかはそれぞれ個々に、自己充足型データセットであってもよく、たとえば、スキャンデータセットは、診断又はスキャン処置中に取り込まれた単一の画像の形態であってもよい。いくつかのケースでは、スキャンデータセットは、複数の画像の形態であってもよい。たとえば、スキャンデータは、ポイントクラウドデータ、グリッド、メッシュ、又はそのようなものの形態であってもよい。代替的に、又は加えて、各データセットは、診断又はスキャン処置中に測定された所定の1つ又は複数のパラメータの1つ又は複数の値を備えてもよい。代替的に、又は加えて、スキャンデータセットの少なくともいくつかは、診断又はスキャン処置中に生成されたデータブロック又はデータストリームの一部であってもよい。データブロック又はデータストリームは、複数の画像及び/又は所定のパラメータの測定された値を備えてもよい。より具体的には、スキャンデータセットは、口腔外診断又はスキャン処置から生成されたデータを指す。スキャンデータセットはまた、各データセット、又は恐らくは各データセット内の各データ点さえも生成されるときの対応する時間スタンプを備えてもよい。したがって、スキャンデータ又はデータセットは、時系列データの形態であってもよい。スキャンデータセットは、メモリ場所又はデータ記憶装置、たとえばデータベースに提供されてもよい。
【0025】
「口腔内特徴」は、歯列及び/又は歯肉などの口腔内特徴ならびに/又は頭蓋骨により剛性に取り付けられた他の口腔内生体構造特徴などの口腔内構造に関する情報を指す。代替的に、又は加えて、口腔内特徴が監視又は追跡される口腔内構造の少なくともいくつかは、1つ又は複数の歯科用置換品、たとえば歯科用クラウン、ブレース、ベニア、ブリッジなどの1つ又は複数の人工構造であってもよい。代替的に、又は加えて、口腔内構造は、いくつかのケースでは、スキャンボディ(又はスキャンボディ)、又は患者の顎に同様に剛性に取り付けられた他の天然及び/又は人工構造でもあってもよい。
【0026】
より具体的には、口腔内特徴によって追跡される口腔内構造に関する情報は、前記構造内の動きを示すことができる位置、変位、距離、速度、又は任意の他のパラメータのうちの任意の1つ又は複数であってもよい。動きは、基準に対して、たとえば地上の所定の地点に対して、又は地上の所定の地点に対して固定された地点又は場所を参照して測定されてもよい。故に、いくつかのケースでは、動きは、別の地点又は場所に対して相対的に測定されてもよい。好ましくは、口腔内特徴は、カメラ、スキャナ、又は口腔内特徴の動きを検出するために使用可能である任意の他のセンサを使用して、前記特徴の光学測定によって測定又は監視される。より具体的には、口腔内特徴は、口腔内部材内の少なくとも1つのセンサによって測定又は監視される。口腔内部材は、複数のスキャンデータセットを取得する前に患者の口腔内に配置可能である口腔内部分を備えてもよい。センサのうちの任意の1つ又は複数が、口腔内部分内に含まれてもよく、及び/又はセンサのうちの任意の1つ又は複数が、口腔内に配置可能である口腔内部分の外部に配置されてもよい。外部センサは、口腔内部分が口腔内に配置されたときに口腔内特徴の動きを検出することができるように、適切なチャネルを介して、口腔内部分に機能的に結合されてもよい。チャネルは、たとえば、光チャネル、プリズム、鏡、ビーム偏光器、光スプリッタ、レンズ、又は任意の他の光要素のうちの任意の1つ又は複数であってもよく、又はそれを備えてもよい。いくつかのケースでは、口腔内部材はまた、口腔内部分内に及び/又は口腔内部分の外部に配置された1つ又は複数の光源を含んでもよい。光源は、口腔内特徴の動きを検出するようにセンサを支援するために口腔内生体構造を照明するために使用されてもよい。外部センサと同様に、光源は、光チャネルなどの適切なチャネルを介して、口腔内部分に機能的に結合されてもよい。口腔内部材は、これ以後さらに詳細に論じられる。
【0027】
口腔内特徴に関する「動き」は、基準点に対する、又は基準点に対して相対的な口腔内特徴の動きを示す任意の適切なパラメータによって測定されてもよい。たとえば、動きは、口腔内特徴のうちの任意の1つ又は複数の距離、向き、又は変位を測定することによって測定されてもよい。追加的又は代替的には、他の適切なパラメータが、使用されてもよい。たとえば、スピード又は速度、加速度、回転など。基準点は、地上の任意の場所に固定された点であってもよく、又はこれは、パラメータがそれに対して測定される相対基準であってもよい。
【0028】
「口腔内データ」は、1つ又は複数の口腔内特徴に関する情報を備える1つ又は複数の信号及び/又はデータを指す。情報は、前記構造の動きを示すことができる、口腔内特徴又は構造に関する任意の測定可能なパラメータの形態であってもよい。口腔内データは、口腔内特徴を監視するために配設された1つ又は複数のセンサを介して生成されてもよい。口腔内データは、スキャンデータ又はデータセットの取得と同時に取得される。たとえば、口腔内データは、表面データ、ポイントクラウド、グリッド、メッシュ又はそのようなものの形態であってもよい。口腔内データは、時間スタンプも備えてもよい。したがって、いくつかのケースでは、口腔内データは、時系列データの形態であってもよい。
【0029】
好ましくは、口腔内データは、診断又はスキャン処置中、口腔内特徴内の動きを検出するのに適したセンサを介して少なくとも部分的に生成される。いくつかのケースでは、口腔内データは、スキャンデータ又はデータセットの取得中に生成されるデータストリームの形態であってもよい。いくつかのケースでは、口腔内データは、動きが検出されたイベントにおいてのみ生成されてもよい。そのようなイベントに基づく口腔内データは、動きによって影響され得るスキャンデータ又は1つ又は複数のスキャンデータセットの対応する部分に直接リンク付けされてもよく、及び/又はイベントに基づく口腔内データには、時間スタンプが提供されてもよく、この時間スタンプは次いで、たとえば、動きが起こった時間に関連付けられたスキャンデータ又は1つ又は複数のスキャンデータセットの部分を相関付けするか、又は見出すことによって、医療スキャンを構築及び/又は補正するために使用される。好ましくは、口腔内データは、動きの少なくとも1つの測定された値を備える。測定された値は、2D又は3D空間における動きの大きさの定量化であってもよい。追加的に、測定された値はまた、指向性情報を備えてもよく、又はこれには、指向性情報が提供される。指向性情報は、動きが起こった方向を示すものであってもよい。
【0030】
一態様によれば、口腔内特徴内の動きの検出に応答して、対応するスキャンデータセット又はその一部は、マークされるか、又はタグ付けされる。これは、好ましくは、診断スキャンが実施されている間に行われる。そのように行う利点は、スキャンを実施する健康管理者又は技術者が、動きのアーチファクトが生じ得る診断スキャンの部分について詳細に警告され得ることであることができる。したがって、管理者は、たとえば、スキャン中に動きが起こったスポットのスキャンを反復することによって、是正処置をとることが可能にされてもよい。
【0031】
代替的に、又は加えて、言及されたように、口腔内データの時間スタンプは、動きが検出される間の時間スタンプ又はその範囲が記録されるように、スキャンデータセットの時間スタンプと時間同期された状態で提供されてもよい。したがって、動きによって影響され得る対応するスキャンデータセット又はその一部は、スキャンデータセットの取得後に決定されることも可能である。
【0032】
いくつかのケースでは、基準口腔内位置が、動きを検出するために決定されてもよい。したがって、一態様によれば、方法はまた、口腔内特徴のうちの1つ又は複数に対して1つ又は複数の基準口腔内位置を決定することを備えてもよい。
【0033】
1つ又は複数の対応する口腔内特徴の基準位置は、特定の特徴がスキャンデータの取り込み中に移動したかどうかを検出するために使用されてもよい。基準位置は、動きを定量化するために、又は動きの大きさ及び/又は方向を測定するために使用されることもあってもよい。これは、所望の基準位置からのあらゆる動きを追跡することを容易にすることができる。この文脈における基準位置は、動きがそれに対して検出される位置を指し得る。たとえば、初期化ステップが開始時に実施されてもよく、この初期ステップは、そのときに特定の口腔内特徴の初期位置を記録する。次いで、スキャンデータセットが取得されるときに、これらの特徴のいずれかの位置が初期又は基準位置に関して変化したかどうかの決定が行われてもよい。
【0034】
方法はまた、口腔内特徴のうちの1つ又は複数の、1つ又は複数の動き値を、そのそれぞれの基準口腔内位置から決定することを備えてもよい。
【0035】
動き値又は動き尺度は、たとえば、口腔内特徴の、そのそれぞれの基準口腔内位置からの変位を測定することによって決定されてもよい。追加的又は代替的に、速度及び加速度などの任意の1つ又は複数の他の動き尺度が、決定され得る。
【0036】
たとえば、本発明の教示の断層撮影用途により特化した態様によれば、患者の頭蓋骨及び/又は下顎の生体構造のコンピュータ断層撮影スキャンを改善するためのコンピュータ実装方法であって、方法が、
頭蓋骨及び/又は下顎の生体構造の複数の断層撮影画像を提供することと、ここにおいて、断層撮影画像の少なくともいくつかが、コンピュータ断層撮影スキャンを得るために使用可能である、
断層撮影画像の取得中に取り込まれた、1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを提供することと、
口腔内データを使用して、断層撮影画像のうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出されたものを決定することと、
決定に基づいて、コンピュータ断層撮影スキャンを構築する及び/又は補正することと
を備えるコンピュータ実装方法が、提供され得る。
【0037】
「断層撮影画像」は、1つ又は複数のデータセットの形態であってもよいことが理解されるものとする。
【0038】
前述に関して、別の観点から見て、本発明の教示が、患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するためのコンピュータ実装方法であって、方法が、
取得部に対して確定的に配置された口腔内部材を提供することと、
取得部を介して、頭部生体構造の複数のスキャンデータセットを取得することと、
スキャンデータセットの取得中、口腔内部材を介して、1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを取り込むことと、
口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出されたものを決定することと、
決定に基づいて、医療スキャンを構築する及び/又は補正することと
を備えるコンピュータ実装方法を提供できることを、当業者は理解するものとする。
【0039】
医療スキャンが、取得部を介して取得された複数の画像から構築可能であることが理解されるものとする。
【0040】
「口腔内部材」は、口腔内データがそれを介して取り込まれる部材を指す。前に論じられたように、口腔内部材は、患者の口腔内に配置可能である口腔内部分を備えてもよい。口腔内部材は、1つ又は複数のセンサと、任意選択により1つ又は複数の光源とを備えてもよい。センサ及び/又は光源は、口腔内部分内又は口腔内部分の外部に配置されてもよい。したがって、いくつかのケースでは、口腔内部材は、口腔内部分と、口腔内部分に接続された口腔外部分とを備えてもよい。したがって、光源及び/又はセンサの少なくともいくつかは、口腔外部分内に配置されてもよい。したがって、口腔外部分は、患者の口に挿入されることが必要とされない口腔内部材の部分である。たとえば、口腔内部分は、患者口に挿入されるバイトブロックであってもよい。バイトブロックは、口腔外部分に接続されてもよい。バイトブロックは、任意選択により、口腔内特徴を測定するための1つ又は複数のレンズなどの光学手段を備えてもよい。バイトブロックは、任意選択により、口腔内特徴に光を投影するためのさらなる光学手段を備えてもよい。光学手段及びさらなる光学手段は、同じ光学系であっても、異なる光学系であってもよい。光源及び/又はセンサが口腔内部分の外側に配置されるケースでは、対応する光学系は、対応する信号を外部光源及び/又はセンサから、ならびに/又は外部光源及び/又はセンサに伝えるために1つ又は複数の光チャネルに結合されてもよい。したがって、光学測定のために、光源及び/又はセンサは、口腔内部分内の光学系と直接的に、又は光学系と口腔外に配置された光源及び/又はセンサとを接続する光チャネルを介して光学的に結合される。
【0041】
バイトブロックは、使い捨て可能であってもよく、又はこれは、たとえば殺菌後に再使用可能であってもよい。
【0042】
センサ及び光源を口腔内部分内ではなく口腔外部分内に置くことの利点は、口腔内部分が医療スキャンを妨害しない材料で作製され得ることであることができる。たとえば、X線を伴う診断では、金属材料はスキャンを妨害し、その結果、アーチファクトを生じさせることがある。したがって、口腔内部分内の電子機器を回避することにより、口腔内データは、診断動作を妨害することなく、又はその品質に影響を与えることなく、確実に記録され得る。
【0043】
論じられたように、口腔内部材、より詳細には口腔内部分は、バイトブロックの形態であってもよい。これは、口腔内特徴が口腔内データを記録するためにより良好に位置合わせされるという利点を有することができる。
【0044】
いくつかのケースでは、口腔内部材は、歯科用スキャナの形態であってもよく、又はこれは、歯科用スキャナを備えてもよい。たとえば、携帯型歯科用スキャナが、口腔内データを提供するために使用されるように適合され得る。たとえば、歯科用スキャナには、これを取得部に対して確定的に配置することを可能にする取付体が設けられてもよい。たとえば、歯科用スキャナは、口腔内データを取得するために、診断及び/又は治療システムの本体などの物体に取り付けられた取付体内に固定して保持されてもよい。スキャナは、取付体に恒久的に固定されてもよく、又はこれは、取付体に取り外し可能に取り付け可能であってもよい。そのように行う利点は、口腔内スキャナが、口腔内データを取得すると共に歯科用スキャナとして通常の方法で使用可能であるように活用され得ることであることができる。患者の口の生体構造に挿入可能であるスキャナの部分は口腔内部分として考えられてもよく、外側に留まる部分は口腔外部分として考えられてもよいことが理解されるものとする。一態様によれば、歯科用スキャナには、スキャナのセンサ側に取り付け可能なエンドピースが設けられてもよい。エンドピースは、スキャナ上に取り付けてもよく、又はこれは、歯科用スキャンのために使用される通常のエンドピースを置き換えてもよい。たとえば、エンドピースは、バイトブロックを備えてもよい。スキャナが口腔内データを取得するために使用された後、スキャナは、エンドピースから取り外されてもよく、通常のエンドピースが、従来の使用のために、たとえば口の生体構造の3Dモデルを生成するための歯科用スキャナとして取り付けられてもよい。いくつかのケースでは、エンドピースは、口腔内部分(たとえばバイトブロック又はバイトブロック)を口腔外部分(たとえばスキャナの持ち手部分)に結合するチャネルを備えてもよい。前に論じられたように、スキャナ又はその口腔内部分を取得部に対して確定的に配置することを可能にする移動可能な取付体を有することも、企図され得る。エンドピースは、バイトブロックと完全に一体化されても、されなくてもよい。エンドピース及び/又はバイトブロックは、使い捨て可能であってもよく、又はこれは、再使用可能であってもよい。いくつかのケースでは、エンドピース及び/又はバイトブロックは、口腔内特徴を監視するために使用される光要素の曇りを防止するように特別に製造されてもよい。これは、曇りを防止するために光要素を暖めるための加熱要素を提供すること、光要素に曇り止めフィルムを設けることのうちの任意の1つ又は複数を含んでもよい。いずれの再使用可能な部分も、たとえば、加熱する及び/又はたとえば殺菌剤を用いて洗浄することによって殺菌可能であってもよい。そのような構成要素のいかなる仕様も、本発明の教示の範囲又は汎用性を限定するものではない。
【0045】
「取得部」は、治療及び/又は診断システムの、スキャンデータセットがそれを介して取得される部分を指す。たとえば、取得部は、X線センサであってもよい。いくつかのケースでは、取得部は、X線センサ及び対応するX線源さえも指し得る。
【0046】
口腔内部材は、取得部に対して確定的に配置される。これは、いかなるときでも、口腔内部材の位置が取得部の位置に対して相対的に決定され得ることを意味する。故に、いかなるときでも、口腔内部材に関する座標を知ることにより、取得部に関する座標が決定されることが可能であり、その逆も可能である。いくつかのケースでは、口腔内部材は、固定された物体、たとえば診断及び/又は治療を実施するために使用される機械の本体又はフレームに剛性に取り付けられてもよい。そのようなケースでは、患者の口腔内特徴内で動きが検出された場合、対応する動きが、補正の目的でそのスキャンについて算出され得る。代替的には、動き検出は、対応するスキャンデータセットの寄与を医療スキャンから排除又は低減するためだけに使用されてもよい。当業者は、口腔内部材が固定された物体に剛性に取り付けられる場合であっても、取得部はそうであっても、なくてもよいことを理解するものとする。故に、取得部は、口腔内部材に対して静止状態であっても、移動可能であってもよい。いくつかのケースでは、取得部と口腔内部材又は口腔内部分の両方が、互いに対して移動可能であってもよい。これらは、たとえばこれらの部分のそれぞれの動きの測定値によって、互いに対して依然として確定的に配置されてもよい。
【0047】
したがって、口腔内特徴に関する動きが、口腔内部材又は口腔内部分と患者の対応する口の生体構造との間で動きを測定することによって検出されてもよく、又はこれは、口腔内部材又は口腔内部分の動きを測定することによって検出されてもよいことが理解されるものとする。前者の状況は、口腔内部材又は口腔内部分が物体に固定的又は相対的に剛性に取り付けられているときに起こる可能性があり、一方で後者の状況は、口腔内部材又は口腔内部分が患者の口内できつく保持されているが、その一部が物体に固定的に取り付けられていないときに対応することができる。したがって、この後者のケースでは、患者が頭部を動かした場合、口腔内部材又は口腔内部分はそれに従って動く。口腔内部材又は口腔内部分の動きを測定することにより、頭部の動きが算出され得る。動き尺度は、その後、医療スキャンを補正及び/又は構築するために使用され得る。
【0048】
さらに別の観点から見ると、本明細書において開示さる方法のいずれかを実施するための手段を備えるシステムもまた、提供され得る。又は、本明細書において開示される方法のいずれかを実施するように構成されたシステムが、提供され得る。
【0049】
たとえば、医療スキャニングシステムであって、
医療スキャンを実施するためのアクティブ部と、
アクティブ部に対して確定的に配置された口腔内部材と、口腔内部材が、複数のスキャンデータセットを取得する前に患者の口腔内に配置可能である口腔内部分と、患者の1つ又は複数の口腔内特徴を監視し、断層撮影画像の取得中に前記特徴を含む口腔内データを生成するためのセンサとを備える、
口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出されたものを決定すること、及び、
決定に基づいて医療スキャンを構築及び/又は補正することをするように構成されたコンピューティングユニットと
を備える医療スキャニングシステムが、提供され得る。
【0050】
論じられたように、医療スキャンは、スキャンデータセットから構築される。
【0051】
又は、より一般的には、別の観点から見て、本発明の教示は、システムであって、
患者の治療及び/又は診断を実施するためのアクティブ部と、
アクティブ部に対して確定的に配置可能な口腔内部材と、口腔内部材が、治療及び/又は診断を実施する前に患者の口腔内に配置可能である口腔内部分と、患者の1つ又は複数の口腔内特徴を監視し、治療又は診断中に前記特徴を含む口腔内データを生成するためのセンサとを備える、
口腔内データから口腔内特徴に関する動きを決定すること、及び、
動きに応答して治療及び/又は診断を適合させることをするように構成されたコンピューティングユニットと
を備えるシステムも提供することができる。
【0052】
当業者は、ここで「センサ」と呼ばれるものは、「少なくとも1つのセンサ」を含むことも意味することを理解するものとする。
【0053】
特に、診断及び/又は治療が連続セッションに関するケースでは、システムであって、
患者の治療及び/又は診断を実施するためのアクティブ部と、
アクティブ部に対して確定的に配置可能な口腔内部材と、口腔内部材が、治療及び/又は診断を実施する前に患者の口腔内に配置可能である口腔内部分と、患者の1つ又は複数の口腔内特徴を監視し、前記特徴を含む口腔内データを生成するためのセンサとを備える、
口腔内データから口腔内特徴に関する動き及び/又は位置を決定すること、及び、
動きに応答して治療及び/又は診断を適合させることをするように構成されたコンピューティングユニットと
を備えるシステムも提供され得る。
【0054】
したがって、患者の位置、又はより詳細には患者の頭部生体構造の位置が異なるセッションに合わせて位置合わせされるケースでは、口腔内データはまた、前の治療及び/又は診断セッションからのデータを備えてもよい。口腔内データ内に備えられる、そのようなケースにおける前の口腔内データは、たとえば、前のセッションと同じ又は同様の口腔内部材に対する位置に口腔内特徴を位置合わせするために使用可能である基準位置データの形態であってもよい。これは、患者をより正確に位置合わせすることにより、より等しい診断及び/又は治療が患者に提供され得るという利点を有することができる。
【0055】
治療及び/又は診断を「適合させる」とは、上記で論じられたように、動きに応答して医療スキャンを補正及び/又は構築することを意味する。追加的又は代替的に、治療及び/又は診断を適合させることは、治療に対する動きの影響を低減又は排除することを備えてもよい。たとえば、治療は、患者に対して実施されている外科的処置であってもよく、したがって、動きを検出することにより、アクティブ部は、治療処置の望ましくないいかなる動きの影響も低減又は排除されるように、調整され、中断され、再位置合わせされ、又は全般的に適合されてもよい。故に、診断及び/又は治療器具のより正確な及びしっかりした配置が、可能にされ得る。これは、そのような治療を患者の頭部の動きによる影響からより安全にすることにより、自動化された、又はロボット式の治療において特に有利であることができる。いくつかの処置において、患者の頭部は、現在、固定化されることが必要とされている。そのようなケースの少なくともいくつかにおける本発明の教示は、その代わりに、動きに応答して治療自体を適合させることによって、少なくとも完全な頭部の固定化の必要性を無くす。任意選択により、いくつかのケースでは、患者の他の体部分の動きもまた、1つ又は複数の口腔外センサによって追跡されてもよい。したがって、全般的には、本発明の教示は、口腔内データを使用して頭部の動きのリアルタイムの追跡又は監視を可能にすることができる。有利には、そのような追跡又は監視は、診断及び/又は治療を適合させるために使用され得る。
【0056】
本明細書で「治療」とは、任意の種類の物理的、機械的、熱的、粒子、又は放射線ベースの治療を意味する。本発明の教示が適用され得るいくつかの非限定的な例は、腫瘍治療、放射線治療、定位手術的照射、陽子治療、重イオン治療、及び歯科治療を含む。非限定的な例として、治療は、完全自律式で、部分的自律式で、又は歯科施術者によって制御されて、医療ロボット又はロボットアームを介して患者に提供されてもよい。医療治療の別の非限定的な例は、放射線又は粒子ベースの腫瘍治療である。
【0057】
本明細書に開示されるシステムのいずれもが、1つ又は複数のコンピューティングユニットを備えてもよい。任意選択により、システムのいずれもが、及び/又はコンピューティングユニットのいずれもが、たとえば、1つ又は複数のネットワークインターフェース及び/又は接続インターフェースを介して、ネットワークに動作可能に接続するように構成されてもよい。
【0058】
メモリ場所は、コンピューティングユニット及び/又はシステムの一部であってもよく、又はこれは、コンピューティングユニットのいずれかを介して遠隔的に動作可能にアクセス可能に配置されてもよい。
【0059】
別の観点から見て、適切なコンピューティングユニット又はコンピューティングユニットを備えるシステムによって実行されたときに、コンピューティングユニットに本明細書において開示される方法のいずれかを実施させる命令を備える、コンピュータソフトウェア製品、又はプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体もまた、提供され得る。
【0060】
たとえば、コンピュータソフトウェア製品、又はプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、1つ又は複数のコンピューティングユニットによって実行されたとき、コンピューティングユニットのいずれかに、
頭部の生体構造に関する複数のスキャンデータセットを提供することと、ここにおいて、スキャンデータセットの少なくともいくつかが、医療スキャンを得るために使用可能である、
スキャンデータセットの取得中に取り込まれた、患者の1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを提供することと、
口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出された部分を決定することと、
決定に応答して、スキャンデータセットから医療スキャンを構築する及び/又は補正することと
を行わせる命令を備える、コンピュータソフトウェア製品、又はプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体が、提供され得る。
【0061】
コンピュータソフトウェア製品、又はプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、適切なコンピューティングユニットによって実行されたとき、コンピューティングユニットを、
スキャンデータセット及び/又は口腔内データを得るか、又はこれにアクセスするためにメモリ場所に動作可能に接続させる命令も備えてもよい。
【0062】
コンピュータ可読データ媒体又はキャリアは、1つ又は複数の命令のセット(又はソフトウェア)が本明細書に開示される任意の1つ又は複数の方法論を実装するために記憶される、任意の適切なデータ記憶デバイスを含む。命令は、コンピュータ可読記憶媒体を構成し得る処理ユニット、コンピューティングユニット、及び主要メモリによるその実行中に、主要メモリ内及び/又はプロセッサ内に部分的に又は完全に常駐することもあってもよい。命令は、ネットワークデバイスを介してネットワーク上で送信又は受信されることもあってもよい。
【0063】
本明細書において説明される実施形態の任意の1つ又は複数を実装するためのコンピュータプログラムは、別のハードウェアと共に又はその一部として提供される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶及び/又は分散されてもよいが、インターネット又は他の有線もしくはワイヤレス電気通信システムなどを介して、他の形態で分散されてもよい。しかし、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされることが可能である。
【0064】
さらに、本明細書に開示される方法のいずれかによる方法を実施するように構成されたコンピュータプログラム製品をダウンロードに利用可能にするためのデータキャリア又はデータ記憶媒体もまた、提供され得る。
【0065】
別の観点から見ると、本明細書に開示される方法を実施するためのコンピュータプログラムコードを備えるコンピューティングユニットもまた、提供され得る。また、本明細書に開示される方法のいずれかを行うためのコンピュータプログラムコードを備えるメモリ記憶装置に動作可能に結合されたコンピューティングユニットが、提供され得る。
【0066】
2つ以上の構成要素が「動作可能に」結合又は接続されることが、当業者に明確であるものとする。非限定的な方法では、これは、結合又は接続された構成要素間に少なくとも1つの通信接続が存在し得ること、たとえば、これらが、ネットワークインターフェース又は任意の適切なインターフェースであることを意味する。通信接続は、固定されてもよく、又はこれは、取り外し可能であってもよい。さらに、通信接続は、一方向性であってもよく、又はこれは、双方向性であってもよい。さらに、通信接続は、有線及び/又はワイヤレスであってもよい。いくつかのケースでは、通信接続はまた、制御信号を提供するために使用されてもよい。
【0067】
「コンピューティングユニット」又は「処理ユニット」は、1つ又は複数のコンピュータ処理コアを有する、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどの処理手段又はコンピュータプロセッサを備えてもよく、又はこれは、その処理手段又はコンピュータプロセッサであってもよい。
【0068】
「コンピュータプロセッサ」は、コンピュータ又はシステムの基本的オペレーションを実施するように構成された任意のロジック回路、及び/又は通常は、算出又はロジックオペレーションを実施するように構成されたデバイスを指す。特に、処理手段又はコンピュータプロセッサは、コンピュータ又はシステムを駆動する基本的な命令を処理するように構成されてもよい。一例として、処理手段又はコンピュータプロセッサは、少なくとも1つの演算論理ユニット(「ALU」)、演算コプロセッサ又は数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(「FPU」)、複数のレジスタ、詳細にはALUにオペランドを供給し、オペレーションの結果を記憶するように構成されたレジスタ、ならびにL1及びL2キャッシュメモリなどのメモリを備えてもよい。特に、処理手段又はコンピュータプロセッサは、マルチコアプロセッサであってもよい。詳細には、処理手段又はコンピュータプロセッサは、中央処理ユニット(「CPU」)であってもよく、又はそれを備えてもよい。処理手段又はコンピュータプロセッサは、複合命令セットコンピューティング(「CISC」)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティングマイクロプロセッサ(「RISC」)、超長命令語(「VLIW」)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令のセットの組み合わせを実装するプロセッサであってもよく、又はそれを備えてもよい。処理手段は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、複合プログラマブルロジックデバイス(「CPLD」)、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、ネットワークプロセッサなどの1つ又は複数の専用目的処理デバイスであってもよい。本明細書に開示される方法、システム、及びデバイスは、DSP内、マイクロコントローラ内、又はASIC、CPLD、もしくはFPGA内のハードウェアユニットなどの任意の他のサイドプロセッサ内のソフトウェアとして実装されてもよい。処理手段又はプロセッサという用語はまた、複数のコンピュータシステム(クラウドコンピューティングなど)にわたって配置された処理デバイスの分散されたシステムなどの1つ又は複数の処理デバイスを指してもよく、別途明記されない限り単一のデバイスに限定されないことを理解されたい。
【0069】
「接続インターフェース」又は「通信インターフェース」は、信号又はデータの転送又は交換などの通信を確立するためのソフトウェア及び/又はハードウェアインターフェースを指す。通信は、有線であってよく、又はこれは、ワイヤレスであってもよい。接続インターフェースは、好ましくは、1つ又は複数の通信プロトコルに基づき、又はこれは、その1つ又は複数の通信プロトコルを支持する。通信プロトコルは、ワイヤレスプロトコル、たとえば、Bluetooth(登録商標)もしくはWi-Fiなどの短距離通信プロトコル、又はセルラーもしくはモバイルネットワーク、たとえば第2世代セルラーネットワークシステム(「2G」)、3G、4G、ロングタームエボリューション(「LTE(登録商標)」)もしくは5Gなどの長距離通信プロトコルであってもよい。代替的に、又は加えて、接続インターフェースは、独自の短距離又は長距離プロトコルに基づくこともあってもよい。接続インターフェースは、1つ又は複数の標準及び/又は独自のプロトコルを支持してもよい。
【0070】
「ネットワークインターフェース」は、ネットワークとの動作可能な接続を可能にするデバイス、又は1つ又は複数のハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素のグループを指す。
【0071】
「メモリ記憶装置」は、適切な記憶媒体内の、データの形態の情報の記憶のためのデバイスを指し得る。好ましくは、メモリ記憶装置は、機械可読型であるデジタル形態の情報、たとえばコンピュータプロセッサによって読み取り可能であるデジタルデータを記憶するのに適したデジタル記憶装置である。したがって、メモリ記憶装置は、コンピュータプロセッサによって読み取り可能であるデジタルメモリ記憶デバイスとして実現されてもよい。さらに好ましくは、デジタルメモリ記憶デバイス上のメモリ記憶装置はまた、コンピュータプロセッサによって操作されてもよい。たとえば、デジタルメモリ記憶デバイス上に記録されたデータの任意の部分が、書き込みされてもよく、及び/又は削除されてもよく、及び/又はコンピュータプロセッサによって新しいデータに部分的に又は全体的に書き換えられてもよい。
【0072】
本明細書において論じられる「ネットワーク」は、有線、ワイヤレス、又はその組み合わせの任意の適切な種類のデータ送信媒体であってもよい。特有の種類のネットワークは、本発明の教示の範囲又は汎用性を限定するものではない。故に、ネットワークは、少なくとも1つの通信エンドポイントから別の通信エンドポイントまでのいずれかの適切な任意の相互接続を指すことができる。ネットワークは、1つ又は複数の分散点、ルータ、又は他のタイプの通信ハードウェアを備えてもよい。ネットワークの相互接続は、物理的ハード配線、光及び/又はワイヤレス無線周波数(「RF」)方法によって形成されてもよい。ネットワークは、詳細には、光ファイバネットワークなどのハード配線によって完全にもしくは部分的に作製された物理的ネットワーク、又は導電性ケーブルによって完全にもしくは部分的に作製されたネットワーク、又はその組み合わせであってもよく、又はそれを備えてもよい。ネットワークは少なくとも部分的にインターネットを備えてもよい。
【0073】
本発明の教示の特定の態様が、次に、例として前記態様を説明する添付の図を参照して論じられる。本発明の教示の汎用性はこれに依存していないため、図は、原寸比通りでないことがある。方法及びシステム態様が、理解を容易にするために併用して論じられ得る。図に示される特定の特徴は、本発明の教示の汎用性又は範囲に影響を与えることなく、理解するために物理的特徴と一緒になって示される論理的特徴であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】本発明の教示に従ったCBCTシステムを示す図。
図2】本発明の教示に従った代替のCBCTシステムを示す図。
図3】CBCTシステムの別の図。
図4】CBCTシステムに適用されたときの本発明の教示の観点の拡大図。
図5】本発明の教示の一態様に従ったバイトブロックを示す図。
図6】代替の診断/治療システムへの本発明の教示の適用を示す図。
図7】患者の頭部の固定化の例を示す図。
図8】診断/治療システムに適用されたときの本発明の教示の態様を示す図。
図9】一態様によるフローチャート900を示す図。
図10】別の態様による別のフローチャート1000を示す図。
図11】さらに別の態様によるさらなるフローチャート1100を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本明細書に説明される例示的な態様によると、方法、たとえば患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するための方法、システム、及びコンピュータ可読記憶媒体が、提供され得る。
【0076】
図1は、CBCT機102としてこの例で示される診断システム102を示す。コーンビームコンピュータ断層撮影法又はCBCTは、医療スキャンを得るために使用される。CBCT機102は、供給源104と検出器106とを備えるアセンブリ126をアクティブ部として備える。この場合の供給源104は、X線源であり、検出器106は、X線検出器である。アセンブリ126は、患者のCBCTスキャンを実施している間回転されるように、本体又はハウジング108に回転可能に装着される(図1には明示的に示されず)。アセンブリ126は、故に、診断動作を実施するために使用される。
【0077】
CBCT機102は、診断動作を開始する前に患者の頭部生体構造を所望の位置に位置合わせするための額支持体120及びこめかみ支持体122を備える。しかし、診断動作が実施されている間に患者が自発的に又は無意識に自身の頭部を動かすこともあり得る。コンピュータ化された機械では、医療スキャンは、典型的には1つ又は複数のスキャンデータセットから生成される。したがって、この例では、断層撮影画像は、1つ又は複数のスキャンデータセットとして取得される。医療スキャン中の患者の頭部の動きにより、スキャンデータセットのうちの1つ又は複数は、低品質となり得る。本発明の教示は、頭部の動きに関連付けられた問題の少なくとも一部を軽減するために口腔内部材112を提案する。
【0078】
したがって、診断システム102はまた、この例ではグリップ124に装着されて示される口腔内部材112を備える。グリップ124は、コンソール110に取り付けられ、コンソールはさらに、本体又はハウジング108に取り付けられる。口腔内部材112は、患者の位置に従って口腔内部材112の高さを調整するために使用され得る調整機構118を介して、グリップ124に装着される。口腔内部材112は、医療スキャンが実施されている間患者の口腔の内側に配置される口腔内部分114を備える。任意選択により、口腔内部材112はまた、診断動作が実施されている間患者の口の外側に配置される口腔外部分116を備えてもよい。口腔内部材112が、アクティブ部又はアセンブリ126に対して確定的に配置されることが理解されるものとする。この例の確定的な配置は、診断動作中、口腔内部材112をアセンブリ126に対して固定的に装着されたままに保つことによって達成される。いくつかのケースでは、確定的な配置は、口腔内部材112の移動可能な接続の形態であってもよい。そのようなケースでは、口腔内部材112の位置の変化が測定され、対応するアクティブ部がそれに従って適合されてもよい。本出願人は、治療に使用されるアクティブ部が、口腔内部材自体の動きを考慮に入れることによって正しく配置され得る、こうした特に有益な治療用途を見出した。
【0079】
口腔内部材112は、診断動作中に患者の1つ又は複数の口腔内特徴を監視するために使用される。口腔内部材112は、1つ又は複数のセンサを備えてもよく、及び/又はこれは、そのセンサに動作可能に結合されてもよい。1つ又は複数のセンサは、患者の1つ又は複数の口腔内特徴を監視するために使用される。1つ又は複数のセンサは、スキャンデータセット又は断層撮影画像の取得中に前記特徴の情報を含む口腔内データを生成する。より好ましくは、CBCT用途の場合、センサは、アーチファクトを引き起こし得る物体がX線路内で回避され得るように、口腔内部材112の外部に配置される。そのようなケースでは、口腔内部材112は、光路を介して1つ又は複数のセンサに動作可能に結合されてもよい。光路は、プリズム、鏡、光チャネルなどのうちの任意の1つ又は複数などの屈折要素及び/又は反射要素を備えてもよい。光路は、口腔内特徴に関する光情報をセンサに送信し、センサはさらに、この光情報を、コンピュータプロセッサを介して分析され得る口腔内データに変換する。同様に、コンピュータプロセッサもまた、好ましくは、口腔内部材112の外側に位置してもよい。同様に、口腔内部材112は、口腔内部材112内に及び/又はその外部に配置されてもよい1つ又は複数の光源に動作可能に結合されてもよい。
【0080】
それにもかかわらず、口腔内部材112は、1つ又は複数のコンピューティングユニット(図1には明示的に示されず)に動作可能に接続される。論じられたように、診断システムに応じて、コンピューティングユニットのいずれかが、口腔内部材内及び/又はその外部に配置されてもよい。たとえば、コンピューティングユニットの少なくとも1つは、コンソール110又はハウジング108内に配置されてもよい。いくつかのケースでは、コンピューティングユニットの少なくとも一部は、クラウドコンピューティングサービスの一部であってもよい。
【0081】
スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出されたものが、コンピューティングユニットのいずれかを介して決定される。決定に基づいて、医療スキャンは、取得されたスキャンデータセットから構築され、及び/又はこれは、補正されてもよい。医療スキャンの品質は、こうして改善され得る。
【0082】
図2は、図1に示されるのと同様のCBCT機102の別の配置202を示す。診断システム102とは対照的に、別の配置202は、水平に装着された口腔内部材112を有する。他の部分及び方法は、図1に論じられたものと同様である。
【0083】
図3は、CBCT機102のより詳細な図を示す。患者302もまた、CBCT機102の患者領域内に配置されて示される。診断動作を開始する前、患者302は、患者の額が額支持体120に接触し、こめかみ支持体122が適正に配置されるように、自身の頭部生体構造304を前方に動かす。いくつかのケースでは、CBCT機102はまた、たとえば額支持体120に対する患者の頭部生体構造304の位置合わせを助けるための鏡308を備える。診断動作中、患者302は、自身の頭部をCBCT機102に対してできるだけ静止して保つことを助けるために、グリップ124をきつく保持してもよい。
【0084】
図3及び図4では、口腔内部分114は、診断動作を開始する前に患者302が噛むことができるバイトブロックとして示される。患者302は、次いで、診断動作が実施されている間バイト位置を保持することが求められる。これは、頭部生体構造304内の動きを低減することを助けることができる。しかし、バイトがきつくない場合、及び/又は頭部がいずれかの方向に傾斜している場合、依然として動きが起こることがある。口腔内部材112を介して生成された口腔内データ内の1つ又は複数の口腔内特徴を監視することにより、頭部の動きは、医療スキャンのために補正及び/又は補償され得る。
【0085】
図4は、口腔内部分114が患者の口腔内に配置されているときの患者302の図を拡大して示す。ここで歯として示される1つ又は複数の口腔内特徴306は、前に論じられたように口腔内部材112を介して監視されてもよい。調整機構118は図3及び図4では明示的に論じられないが、同様の機構が、患者302に従って口腔内部材112を調整するために存在してもよい。
【0086】
図5は、いくつかのケースでは口腔内部分114であってもよいバイトブロック502の一例を示す。バイトブロック502は、1つ又は複数の口腔内特徴306に関する光情報を取り込むために使用される1つ又は複数の光要素506を備える。光要素506は、センサ及び/又は光源を備えてもよい。いくつかのケースでは、光要素506のいずれか又はすべては、レンズ、プリズム、鏡、又は光チャネルのうちの任意の1つ又は複数などの単なる屈折要素及び/又は反射要素であってもよい。そのようなケースでは、光要素506からの光情報は、1つ又は複数のチャネル504を介して送信されてもよい。光要素506及び/又はバイトブロック502が電子機器を備えるケースでは、チャネル504は、電子信号を送信してもよい。単なる光バイトブロック又は電子機器を有さないバイトブロック502を有する利点は、バイトブロック502が使い捨て用に作製されてもよく、及び/又はこれが、たとえばオートクレーブなどの高温処理によってより容易に殺菌され得るということであることができる。
【0087】
図6は、診断システムのみ、治療システムのみ、又はその両方の組み合わせに関し得る代替のセットアップ602を示す。患者302は、診断/治療システム606に配置されたベッド又は治療テーブル604上に横たわって示されている。診断/治療システム606は、ここでは放射線源608として示されるアクティブ部を備える。治療を正しい場所に適用するために、患者302を放射線源608に対して位置合わせすることが重要になり得る。時間をあけて行われる複数のセッションにおいて治療が行われる場合、患者302を後続のセッションにおいて前のセッションと同様の位置に位置合わせすることは、難しくなり得る。
【0088】
論じられたように、口腔内部材112が提供され、その口腔内部分114は、患者の口腔内特徴を監視し、口腔内データを提供するために患者302の口内に配置される。口腔内特徴を監視することにより、口腔内特徴に関する動きが検出されたかどうかが、口腔内データから決定される。そのようなケースでは、診断及び/又は治療が複数のセッションにおいて実施される必要がある場合、口腔内データはまた、前の口腔内データを備えてもよい。前の口腔内データは、たとえば、前のセッションと同じ又は同様の口腔内部材112に対する位置に口腔内特徴306を位置合わせするために使用される基準位置データの形態であってもよい。その結果、より等しい診断及び/又はより効果的で標的化された治療を得ることができる。セッション間で口腔内特徴306を監視することにより、患者302は、疾患(たとえば腫瘍)が配置されるところに治療が適用され得るように、所望の位置に対して配置され得る。口腔内特徴306を監視することにより、患者は、いくつかの治療セッション間でより正しく配置され得る。患者302が治療テーブル604の動きによって再配置される場合であっても、アクティブ部又は放射線源608を口腔内部材112に対して確定的に配置することにより、位置合わせされた状態が、依然として達成され得る。
【0089】
追加的に、前に論じられたように、治療及び/又は診断は、そのセッション中の動きに応答して適合されてもよい。そのように行うために、たとえば、治療及び/又は診断を実施するために使用されるアクティブ部は、動きに応答して操作され得る。代替的に、又は加えて、医療スキャンは、それに従って、前に説明されたように補正又はビルドされてもよい。
【0090】
図7は、患者302の頭部生体構造304の周りに置かれたネット702の形態の固定化手段の一例を示す。ネット702は、治療テーブル604などの固定された構造に締め付けられて保持される。ネット702の目的は、たとえば治療中、患者302が自身の頭部を動かすことを防止することである。そのような固定化手段は、不快感又は疼痛を患者302に引き起こす可能性がある。不快感を低減するために、ネット702は弛められてもよいが、そのため固定化が低減されることがあり、故に治療及び/又は診断において妨害し得る頭部の動きが起こることがある。
【0091】
図8は、図7に示されるものと同様のシナリオにおいて、口腔内部材112が患者302の頭部生体構造304内の動きを追跡するために使用される例を示す。口腔内部材112は、治療テーブル604に固定的に取り付けられて示されているが、代替的には、これは、移動可能であるが、前に説明されたように確定的に取り付けられることも可能である。口腔内部分114が、1つ又は複数の口腔内特徴を監視するために患者302の口内に挿入される。口腔内データから検出された動きに応答して、治療及び/又は診断が、適合され得る。固定化手段802、たとえば熱可塑性マスクが、図8にも示されているが、少なくともいくつかのケースでは、頭部生体構造304を固定された位置に保持する必要性よりも、動きの検出が治療を適合させることを可能にすることができるため、固定化手段802は排除されてもよい。他のケースでは、固定化手段802は、依然として必要とされる場合であっても、患者302の快適性を改善するために弛められてもよい。
【0092】
図9は、1つ又は複数のコンピューティングユニットによって実行可能なコンピュータルーチンとして実装されてもよい、本発明の教示の方法態様を示すフローチャート900を示す。方法態様もまた、前の図において論じられたシステム態様から当業者に明確になるものとする。
【0093】
たとえば、患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するために、ブロック902では、頭部生体構造304に関する複数のスキャンデータセットが、提供され、ここにおいて、スキャンデータセットの少なくともいくつかは、医療スキャンを得るために使用可能である。ブロック904では、スキャンデータセットの取得中に取り込まれた、患者の1つ又は複数の口腔内特徴306に関する口腔内データが、提供される。ブロック906では、口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴306に関する動きが検出された部分が、決定される。ブロック908では、決定に応答して、医療スキャンは、スキャンデータセットから構築及び/又は補正される。
【0094】
図10は、コンピュータルーチンとして実装されてもよい、本発明の教示の別であるが、同様の方法態様を示す別のフローチャート1000を示す。
【0095】
たとえば、患者302の頭部生体構造304の医療スキャンを改善するために、ブロック1002では、取得部、たとえばアセンブリ126に対して確定的に配置された口腔内部材112が、提供される。ブロック1004では、頭部生体構造304の複数のスキャンデータセットが、取得部を介して取得される。ブロック1006では、スキャンデータセットの取得中、口腔内部材を介して、1つ又は複数の口腔内特徴306に関する口腔内データが、取り込まれる。ブロック1008では、口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴306に関する動きが検出されたものが、決定される。ブロック1010では、医療スキャンは、決定に基づいて構築及び/又は補正される。
【0096】
図11は、コンピュータルーチンとして実装されてもよい、本発明の教示のさらに別であるが、同様の方法態様を示すさらに別のフローチャート1100を示す。
【0097】
たとえば、患者302の頭蓋骨及び/又は下顎の生体構造、又は頭部生体構造304のコンピュータ断層撮影スキャンを改善するために、ブロック1102では、頭蓋骨及び/又は下顎の生体構造の複数の断層撮影画像が、提供され、ここにおいて、断層撮影画像の少なくともいくつかは、コンピュータ断層撮影スキャンを得るために使用可能である。ブロック1104では、断層撮影画像の取得中に取り込まれた、1つ又は複数の口腔内特徴306に関する口腔内データが、提供される。ブロック1106では、口腔内データを使用して、断層撮影画像のうち、その取得中に口腔内特徴306に関する動きが検出されたものが、決定される。ブロック1108では、コンピュータ断層撮影スキャンは、決定に基づいて構築及び/又は補正される。
【0098】
方法ステップは、例又は態様にリストされて示される順序で実施されてもよい。しかし、特有の状況では、異なる順序もまた、可能であってもよいことに留意されたい。さらに、方法ステップのうちの1つ又は複数を1回だけ又は反復的に実施することも可能である。これらのステップは、規則的な又は不規則的な時間期間で反復されてもよい。さらに、詳細には方法ステップのいくつか又はそれ以上が反復的に実施される場合に、方法ステップの2つ以上を同時に、又は時間的に重複した形で実施することが可能である。方法は、リストされないさらなるステップを備えてもよい。
【0099】
言葉「備えている」は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「1つ(a)」又は「1つ(an)」は、複数を排除しない。単一の処理手段、プロセッサ、コントローラ又は他の類似のユニットが、特許請求の範囲に挙げられるいくつかの項目の機能を達成してもよい。特定の対策が互いに異なる従属請求項に挙げられているという事実だけで、これらの対策の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる異なる符号も、本範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【0100】
さらに、本開示では、用語「少なくとも1つ」、「1つ又は複数」、又は特徴もしくは要素が1回以上存在し得ることを示す同様の表現が、それぞれの特徴又は要素を導入する際に1回しか使用されていない場合があることにも留意されたい。したがって、いくつかのケースでは、別途明確に述べられない限り、それぞれの特徴又は要素に言及するとき、表現「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」は、それぞれの特徴又は要素が1回以上存在し得るという事実にもかかわらず、反復されないことがある。
【0101】
さらに、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「具体的に」、「より具体的に」、「詳細に」、又は「より詳細に」、又は類似用語は、代替的な可能性を制限することなく、任意選択の特徴と併用して使用される。したがって、これらの用語によって導入されるいずれの特徴も、任意選択の特徴であり、特許請求の範囲をいかなる方法においても制限するようには意図されない。本発明の教示は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実施されてもよい。同様に、「一態様による」、又は同様の表現によって導入される特徴は、本発明の教示の代替策に関していかなる制限もない、本発明の教示の範囲に関していかなる制限もない、また、そのようにして導入された特徴を本発明の教示の他の任意選択の又は任意選択ではない特徴と組み合わせる可能性に関していかなる制限もない、任意選択の特徴であるように意図される。
【0102】
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明の教示が属する当技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0103】
さまざまな例が、方法、システム、デバイス、用途、ソフトウェアプログラム、及び本明細書に開示される方法を行うためのコンピュータプログラムコードを備えるコンピューティングユニットについて上記で開示されてきた。たとえば、患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するための方法であって、頭部生体構造に関する複数のスキャンデータセットを提供することと、患者の1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを提供することと、口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出された部分を決定することと、決定に応答して、スキャンデータセットから医療スキャンを構築する及び/又は補正することとを備える方法が、開示されてきた。本発明の教示はまた、CTスキャンを改善する方法、システム、デバイス、及び記憶媒体に関する。しかし、添付の特許請求の範囲及びその等価物の趣旨及び範囲から逸脱することなく、変更及び改変がこれらの例に加えられてもよいことを当業者は理解するであろう。本明細書において論じられる方法及び製品の実施形態からの態様が自由に組み合わせられてもよいことが、さらに理解されよう。
【0104】
本説明内で利用されるいずれの見出しも、便宜上にすぎず、法的又は制限的効果を有するものではない。
【0105】
さらなる可能な実施形態を排除するものではないがまとめると、本発明の教示の特定の例示的実施形態は、以下の条項においてまとめられる。
【0106】
条項1.患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するためのコンピュータ実装方法であって、
頭部生体構造に関する複数のスキャンデータセットを提供することと、ここにおいて、スキャンデータセットの少なくともいくつかが、医療スキャンを得るために使用可能である、
スキャンデータセットの取得中に取り込まれた、患者の1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを提供することと、
口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出された部分を決定することと、
決定に応答して、スキャンデータセットから医療スキャンを構築する及び/又は補正することと
を備える、コンピュータ実装方法。
【0107】
条項2.医療スキャンを構築する及び/又は補正することが、動きの影響を医療スキャンから低減するための任意の1つ又は複数の動作、より具体的には、スキャンデータセットのその部分のデータを削除すること、置き換えること、平均化すること、補償すること、再算出すること、外挿すること、又はマスキングすることのうちの任意の1つの又は複数を含む動作を実施することを伴う、条項1の方法。
【0108】
条項3.医療スキャンを補正することが、対応する1つ又は複数のスキャンデータセット内で起こった動きを補償することを伴う、条項1又は2の方法。
【0109】
条項4.医療スキャンを補正することが、口腔内データからの座標をスキャンデータセットに関する座標に変換することを伴う、上記条項のいずれかの方法。
【0110】
条項5.方法がまた、口腔内データから決定された相対座標変換を医療スキャンの座標系に適用することを備える、条項1から4のいずれかの方法。
【0111】
条項6.方法がまた、口腔内特徴のうちの1つ又は複数に対して1つ又は複数の基準口腔内位置を決定することを備える、条項1から5のいずれかの方法。
【0112】
条項7.方法がまた、口腔内特徴のうちの1つ又は複数の、そのそれぞれの基準口腔内位置からの変位を測定することによって、1つ又は複数の動き値を決定することを備える、条項6の方法。
【0113】
条項8.患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するためのコンピュータ実装方法であって、
取得部に対して確定的に配置された口腔内部材を提供することと、
取得部を介して、頭部生体構造の複数のスキャンデータセットを取得することと、
スキャンデータセットの取得中、口腔内部材を介して、1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを取り込むことと、
口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出されたものを決定することと、
決定に基づいて、医療スキャンを構築する及び/又は補正することと
を備える、コンピュータ実装方法。
【0114】
条項9.患者の頭蓋骨及び/又は下顎の生体構造のコンピュータ断層撮影スキャンを改善するためのコンピュータ実装方法であって、
頭蓋骨及び/又は下顎の生体構造の複数の断層撮影画像を提供することと、ここにおいて、断層撮影画像の少なくともいくつかが、コンピュータ断層撮影スキャンを得るために使用可能である、
断層撮影画像の取得中に取り込まれた、1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを提供することと、
口腔内データを使用して、断層撮影画像のうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出されたものを決定することと、
決定に基づいて、コンピュータ断層撮影スキャンを構築する及び/又は補正することと
を備える、コンピュータ実装方法。
【0115】
条項10.適切なコンピューティングユニットによって実行されたときに、コンピューティングユニットに上記の方法の条項のいずれかのステップを実施させる命令を備える、コンピュータソフトウェア製品、又はプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0116】
条項11.上記の方法の条項のいずれかのステップを実施するように構成されたシステム。
【0117】
条項12.上記の方法の条項のいずれかの方法を実施するための手段を備えるシステム。
【0118】
条項13.医療スキャニングシステムであって、
医療スキャンを実施するためのアクティブ部と、
アクティブ部に対して確定的に配置された口腔内部材と、口腔内部材が、複数のスキャンデータセットを取得する前に患者の口腔内に配置可能である口腔内部分と、患者の1つ又は複数の口腔内特徴を監視し、断層撮影画像の取得中に前記特徴を含む口腔内データを生成するためのセンサとを備える、
口腔内データを使用して、スキャンデータセットのうち、その取得中に口腔内特徴に関する動きが検出されたものを決定することと、
決定に基づいて医療スキャンを構築する及び/又は補正することと、ここにおいて、医療スキャンが、スキャンデータセットからビルドされる、
を行うように構成されたコンピューティングユニットと
を備える、医療スキャニングシステム。
【0119】
条項14.システムであって、
患者の治療及び/又は診断を実施するためのアクティブ部と、
アクティブ部に対して確定的に配置可能な口腔内部材と、口腔内部材が、治療及び/又は診断を実施する前に患者の口腔内に配置可能である口腔内部分と、患者の1つ又は複数の口腔内特徴を監視し、治療又は診断中に前記特徴を含む口腔内データを生成するためのセンサとを備える、
口腔内データから口腔内特徴に関する動きを決定すること、及び、
動きに応答して治療及び/又は診断を適合させることをするように構成されたコンピューティングユニットと
を備える、システム。
【0120】
条項15.システムであって、
患者の治療及び/又は診断を実施するためのアクティブ部と、
アクティブ部に対して確定的に配置可能な口腔内部材と、口腔内部材が、治療及び/又は診断を実施する前に患者の口腔内に配置可能である口腔内部分と、患者の1つ又は複数の口腔内特徴を監視し、前記特徴を含む口腔内データを生成するためのセンサとを備える、
口腔内データから口腔内特徴に関する動き及び/又は位置を決定すること、及び、
動きに応答して治療及び/又は診断を適合させることをするように構成されたコンピューティングユニットと
を備える、システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するためのコンピュータ実装方法であって、
前記頭部生体構造に関する複数のスキャンデータセットを提供することと、ここで、前記スキャンデータセットの少なくともいくつかが、前記医療スキャンを得るために使用可能であり、
取得部によって前記スキャンデータセットの取得中に取り込まれた、前記患者の1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを提供することと、
前記取得部に対して確定的に配置された口腔内部材を提供することと、
前記口腔内データを使用して、前記スキャンデータセットのうち、その取得中に前記口腔内特徴に関する動きが検出された部分を決定することと、ここで、前記口腔内特徴の前記動きは前記口腔内部材に対して相対的であり、
前記決定に応答して、前記スキャンデータセットから前記医療スキャンを構築すること、及び/又は補正することと
を備える、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記医療スキャンを構築すること、及び/又は補正することが、前記動きの影響を前記医療スキャンから低減するための任意の1つ又は複数の動作、より具体的には、前記スキャンデータセットの前記部分のデータを削除すること、置き換えること、平均化すること、補償すること、再算出すること、外挿すること、又はマスキングすることのうちの任意の1つの又は複数を含む動作を実施することを伴う、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記医療スキャンを補正することが、対応する1つ又は複数のスキャンデータセット内で起こった動きを補償することを伴う、請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記医療スキャンを補正することが、前記口腔内データからの座標を前記スキャンデータセットに関する座標に変換することを伴う、請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記コンピュータ実装方法がまた、前記口腔内データから決定された相対座標変換を前記医療スキャンの座標系に適用することを備える、請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記コンピュータ実装方法がまた、前記口腔内特徴のうちの1つ又は複数に対して1つ又は複数の基準口腔内位置を決定することを備える、請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記コンピュータ実装方法がまた、前記口腔内特徴のうちの前記1つ又は複数の、そのそれぞれの基準口腔内位置からの変位を測定することによって、1つ又は複数の動き値を決定することを備える、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
適切なコンピューティングユニットによって実行されたときに、前記コンピューティングユニットに請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法に係るステップを実施させる命令を備える、コンピュータソフトウェア製品、又はプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法を実施するための手段を備えるシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
条項15.システムであって、
患者の治療及び/又は診断を実施するためのアクティブ部と、
アクティブ部に対して確定的に配置可能な口腔内部材と、口腔内部材が、治療及び/又は診断を実施する前に患者の口腔内に配置可能である口腔内部分と、患者の1つ又は複数の口腔内特徴を監視し、前記特徴を含む口腔内データを生成するためのセンサとを備える、
口腔内データから口腔内特徴に関する動き及び/又は位置を決定すること、及び、
動きに応答して治療及び/又は診断を適合させることをするように構成されたコンピューティングユニットと
を備える、システム。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 患者の頭部生体構造の医療スキャンを改善するためのコンピュータ実装方法であって、
前記頭部生体構造に関する複数のスキャンデータセットを提供することと、ここで、前記スキャンデータセットの少なくともいくつかが、前記医療スキャンを得るために使用可能であり、
取得部によって前記スキャンデータセットの取得中に取り込まれた、前記患者の1つ又は複数の口腔内特徴に関する口腔内データを提供することと、
前記取得部に対して確定的に配置された口腔内部材を提供することと、
前記口腔内データを使用して、前記スキャンデータセットのうち、その取得中に前記口腔内特徴に関する動きが検出された部分を決定することと、ここで、前記口腔内特徴の前記動きは前記口腔内部材に対して相対的であり、
前記決定に応答して、前記スキャンデータセットから前記医療スキャンを構築すること、及び/又は補正することと
を備える、コンピュータ実装方法。
[2] 前記医療スキャンを構築すること、及び/又は補正することが、前記動きの影響を前記医療スキャンから低減するための任意の1つ又は複数の動作、より具体的には、前記スキャンデータセットの前記部分のデータを削除すること、置き換えること、平均化すること、補償すること、再算出すること、外挿すること、又はマスキングすることのうちの任意の1つの又は複数を含む動作を実施することを伴う、[1]に記載のコンピュータ実装方法。
[3] 前記医療スキャンを補正することが、対応する1つ又は複数のスキャンデータセット内で起こった動きを補償することを伴う、[1]又は[2]に記載のコンピュータ実装方法。
[4] 前記医療スキャンを補正することが、前記口腔内データからの座標を前記スキャンデータセットに関する座標に変換することを伴う、[1]から[3]のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
[5] 前記コンピュータ実装方法がまた、前記口腔内データから決定された相対座標変換を前記医療スキャンの座標系に適用することを備える、[1]から[4]のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
[6] 前記コンピュータ実装方法がまた、前記口腔内特徴のうちの1つ又は複数に対して1つ又は複数の基準口腔内位置を決定することを備える、[1]から[5]のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
[7] 前記コンピュータ実装方法がまた、前記口腔内特徴のうちの前記1つ又は複数の、そのそれぞれの基準口腔内位置からの変位を測定することによって、1つ又は複数の動き値を決定することを備える、[6]に記載のコンピュータ実装方法。
[8] 適切なコンピューティングユニットによって実行されたときに、前記コンピューティングユニットに[1]から[7]のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法に係るステップを実施させる命令を備える、コンピュータソフトウェア製品、又はプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[9] [1]から[7]のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法を実施するための手段を備えるシステム。
【国際調査報告】