(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】信号処理システム及び端末デバイス
(51)【国際特許分類】
G01S 17/34 20200101AFI20241114BHJP
【FI】
G01S17/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527723
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2021129751
(87)【国際公開番号】W WO2023082085
(87)【国際公開日】2023-05-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ジョーンヤーン
(72)【発明者】
【氏名】パン,シーローン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,トーンホゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ユイ,フオンシイ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ムオンリン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ホーンイーン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA07
5J084AC02
5J084AC03
5J084AC04
5J084AC05
5J084BA03
5J084BA43
5J084BA45
5J084CA05
5J084CA09
5J084CA27
(57)【要約】
本願は、信号処理システム及び端末デバイスを開示し、LiDAR技術の分野に関係がある。信号処理システムは変調ユニット及び送信ユニットを含む。変調ユニットは、第2サブキャリア信号を取得するために、第1サブキャリア信号に対して少なくとも第1変調処理を実行するよう構成される。変調ユニットは、伝送信号光を取得するために、第2サブキャリア信号及び第1信号光に対して少なくとも第2変調処理を実行するよう更に構成される。伝送信号光は、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含み、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とは完全には重なり合わない。送信ユニットは、伝送信号光を送信するよう構成される。信号処理システムは、変調処理後に取得される光側波帯信号及び残差光搬送波との間の周波数帯域の重複の問題を解決して、光側波帯信号及び残差光搬送波信号が分離されることを可能にすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調ユニット及び送信ユニットを有し、
前記変調ユニットは、第2サブキャリア信号を取得するために、第1サブキャリア信号に対して少なくとも第1変調処理を実行するよう構成され、
前記変調ユニットは、伝送信号光を取得するために、前記第2サブキャリア信号及び第1信号光に対して少なくとも第2変調処理を実行するよう更に構成され、前記伝送信号光は、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含み、前記単周波数光搬送波信号の周波数帯域と前記光側波帯信号の周波数帯域とは完全には重なり合わず、
前記送信ユニットは、前記伝送信号光を送信するよう構成される、
信号処理システム。
【請求項2】
前記変調ユニットは、前記第2サブキャリア信号を取得するために、位相符号化信号を使用することによって前記第1サブキャリア信号に対して位相変調を行うよう構成される、
請求項1に記載の信号処理システム。
【請求項3】
前記変調ユニットは、前記単周波数光搬送波信号及び前記光側波帯信号を含む前記伝送信号光を取得するために、前記第2サブキャリア信号を使用することによって前記第1信号光に対して変調を実行するよう構成される、
請求項1又は2に記載の信号処理システム。
【請求項4】
前記単周波数光搬送波信号の周波数帯域と前記光側波帯信号の周波数帯域とは重なり合わない、
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の信号処理システム。
【請求項5】
前記変調ユニットは、周波数ミキサ及び変調器を有し、
前記周波数ミキサは、少なくとも前記第1変調処理を実行するよう構成され、
前記変調器は、少なくとも前記第2変調処理を実行するよう構成される、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の信号処理システム。
【請求項6】
前記信号処理システムは、ビート周波数ユニット及び処理ユニットを更に有し、
前記ビート周波数ユニットは、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を出力するために、第2信号光及び反射信号光に対して少なくともビート周波数処理を実行するよう構成され、前記第2信号光及び前記第1信号光は、ビーム分割処理がレーザからの信号光の1チャネルに対して実行された後に取得される信号光の2チャネルであり、前記反射信号光は、前記伝送信号光に対応する反射された信号光であり、前記ドップラー周波数シフト信号及び前記第3サブキャリア信号の周波数帯域は重なり合わず、
前記処理ユニットは、第4サブキャリア信号又は少なくとも1つのターゲットの検出情報を出力するために、前記ドップラー周波数シフト信号及び前記第3サブキャリア信号を処理するよう構成される、
請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の信号処理システム。
【請求項7】
前記ビート周波数ユニットは、検出器及びフィルタユニットを有し、
前記検出器は、前記ビート周波数処理を実行するよう構成され、
前記フィルタユニットは、前記ドップラー周波数シフト信号及び前記第3サブキャリア信号を出力するために、フィルタリング処理を実行するよう構成される、
請求項6に記載の信号処理システム。
【請求項8】
前記ドップラー周波数シフト信号は、前記第2信号光と、前記反射信号光内の前記単周波数光搬送波信号とに基づき、取得され、前記第3サブキャリア信号は、前記第2信号光と、前記反射信号光内の前記光側波帯信号とに基づき、取得される、
請求項6又は7に記載の信号処理システム。
【請求項9】
前記フィルタユニットは、第1フィルタ及び第2フィルタを有し、
前記第1フィルタは、前記ドップラー周波数シフト信号を出力するために、フィルタリング処理を実行するよう構成され、
前記第2フィルタは、前記第3サブキャリア信号を出力するために、フィルタリング処理を実行するよう構成される、
請求項7に記載の信号処理システム。
【請求項10】
前記フィルタユニットは、電力分配器を更に有し、
前記電力分配器は、前記第1フィルタ及び前記第2フィルタに対して信号入力を供給するよう構成される、
請求項9に記載の信号処理システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載の信号処理システムを有する端末デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、LiDAR技術の分野に、特に、信号処理システム及び端末デバイスに関係がある。
【背景技術】
【0002】
位相符号化信号は、典型的なパルス圧縮信号である。時間幅と帯域幅との積が小さい場合、位相符号化信号のピークサイドローブ比は大きく、圧縮性能は優れており、従って、位相符号化信号は、レーダーの動作距離及び分解能の間の衝突を有効に解消でき、最新のレーダーで広く使用されている。
【0003】
現在、光搬送波に対して変調処理を実行して、残差光搬送波及び位相符号化光側波帯信号によって形成された伝送信号を得るために、通常、位相符号化が使用されており、次いで、ターゲットを通じて伝送信号によって反射された信号と、局所発振器光信号とに基づき、ドップラー周波数シフト信号及び位相符号化信号が取得され、ドップラー周波数シフト信号及び位相符号化信号に基づき、ターゲットとレーダーシステムとの間の相対運動速度及び相対距離が測定される。
【0004】
しかし、上記の変調処理方法で取得された残差光搬送波及び位相符号化光側波帯信号の周波数帯域は重なり合い、残差光搬送波信号及び位相符号化光側波帯信号は分離できない。その結果、ドップラー周波数シフト信号及び位相符号化信号の正確さは不十分であり、距離測定及び速度測定の精度は低い。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施形態は、変調処理の後に取得される位相符号化光側波帯信号及び残差光搬送波との間の周波数帯域の重複の問題を解決するように、信号処理システム及び端末デバイスを提供する。
【0006】
第1の態様に従って、本願の実施形態は信号処理システムを提供する。信号処理システムは変調ユニット及び送信ユニットを含む。
【0007】
変調ユニットは、第2サブキャリア信号を取得するために、第1サブキャリア信号に対して少なくとも第1変調処理を実行するよう構成される。
【0008】
変調ユニットは、伝送信号光を取得するために、第2サブキャリア信号及び第1信号光に対して少なくとも第2変調処理を実行するよう更に構成される。伝送信号光は、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含み、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とは完全には重なり合わない。
【0009】
送信ユニットは、伝送信号光を送信するよう構成される。
【0010】
本願のこの実施形態では、信号処理システムの変調ユニットは、第1サブキャリア信号に対して少なくとも第1変調処理を実行して、第2サブキャリア信号を取得し、入力された第1信号光及び第2サブキャリア信号に対して少なくとも第2変調処理を実行して、伝送信号光を取得するよう構成される。伝送信号光は、少なくとも1つのターゲットを検出するために使用され、伝送信号光の成分は、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を主に含む。上記の変調処理により取得される、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全には重なり合わない。従って、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号は分離され得、分離効果は良好である。
【0011】
可能な実施において、変調ユニットが第1変調処理を実行するよう構成されることは、
第2サブキャリア信号を取得するために、位相符号化信号を使用することによって第1サブキャリア信号に対して位相変調を行うことを含む。
【0012】
本願のこの実施形態において、第1変調処理のとり得る具体的な実施が提供される。具体的に、変調ユニットは、位相符号化信号を使用することによって第1サブキャリア信号に対して位相変調を実行して、第2サブキャリア信号を取得する。取得された第2サブキャリア信号の位相は、第1サブキャリア信号の位相とは相違し、ある程度、位相シフトが存在する。そのため、第2サブキャリア信号を使用することによって第1信号光に対して変調をその後に実行することによって取得される、単一周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全に重なり合わないようにできる。更に、本願のこの実施形態は、第2サブキャリア信号を取得するために位相符号化信号を使用することによって第1サブキャリア信号に対して位相変調を実行することに限定されず、他の位相圧縮信号、例えば、線形周波数変調信号又は非線形周波数変調信号を使用することによって第1サブキャリア信号に対して位相変調を実行してもよい。位相変調は、第1サブキャリア信号に対する第2サブキャリア信号の位相シフトを可能にする信号を使用することによって、第1サブキャリア信号に対して実行され得る。
【0013】
可能な実施において、変調ユニットが第2変調処理を実行するよう構成されることは、
単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む伝送信号光を取得するために、第2サブキャリア信号を使用することによって第1信号光に対して変調を実行することを含む。
【0014】
本願のこの実施形態において、第2変調処理のとり得る具体的な実施が提供される。具体的に、変調ユニットは、第2サブキャリア信号を使用することによって第1信号光に対して変調を実行して、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む伝送信号光を取得する。第1信号光はレーザの信号光に由来し、第1信号光に対する変調の実行は、具体的に、強度変調の実行であってよく、伝送信号光は少なくとも1つのターゲットを検出するために使用され、伝送信号光に含まれている、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全には重なり合わず、それにより、良好な分離効果が実現できる。
【0015】
可能な実施において、第2キャリア信号を使用することによって第1信号光に対して変調を実行することは、
第2サブキャリア信号を使用することによって第1信号光に対して強度変調を実行することを含む。
【0016】
本願のこの実施形態において、第2変調処理のとり得る具体的な実施が提供される。具体的に、第2サブキャリア信号を使用することによる第1信号光に対する変調の実行は、具体的に、取得される、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とが完全には重なり合わないように、第1信号光に対して強度変調を実行することであってよい。
【0017】
可能な実施において、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とは重なり合わない。
【0018】
本願のこの実施形態において、第1変調処理により取得された第2サブキャリア信号の位相シフトが十分に大きい場合、第2変調処理により取得された伝送信号光に含まれている単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の間の周波数帯域間隔も十分に大きく、それにより、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とは重なり合わない。この場合、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とが完全には重なり合わない場合と比較して、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の分離効果はより良い。
【0019】
可能な実施において、単周波数光搬送波信号と光側波帯信号との間の周波数帯域間隔は、光側波帯信号の周波数帯域の帯域幅よりも大きいか、又はそれに等しい。
【0020】
本願のこの実施形態において、単周波数光搬送波信号と光側波帯信号との間の周波数帯域間隔が光側波帯信号の周波数帯域の帯域幅よりも大きいか又はそれに等しい場合に、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とが重なり合わないことを実現できるので、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号は分離され、分離効果は良好である。
【0021】
可能な実施において、変調ユニットは、周波数ミキサ及び変調器を含む。
【0022】
周波数ミキサは、少なくとも第1変調処理を実行するよう構成される。
【0023】
変調器は、少なくとも第2変調処理を実行するよう構成される。
【0024】
本願のこの実施形態において、変調ユニットのとり得る具体的な実施が提供される。具体的に言えば、変調ユニットは、具体的に、周波数ミキサ及び変調器を含んでもよい。周波数ミキサは、少なくとも第1変調処理を実行するよう構成され、変調器は、少なくとも第2変調処理を実行するよう構成される。周波数ミキサ及び変調器を使用することによって、変調処理後に取得される残差光搬送波及び光側波帯信号の間の周波数帯域の重複の問題は解決でき、それにより、残差光搬送波信号及び光側波帯信号は分離され、分離効果は良好である。
【0025】
可能な実施において、周波数ミキサはアクティブ周波数ミキサ又はパッシブ周波数ミキサを含み、1つの周波数範囲から他の周波数範囲に信号を移して、ヘテロダイン信号を生成するよう構成され、変調器は電気光学変調器又は熱光学変調器を含み、光信号の振幅、位相、などに対して変調を実行するよう構成される。
【0026】
可能な実施において、信号処理システムは、ビート周波数ユニット及び処理ユニットを更に含む。
【0027】
ビート周波数ユニットは、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を出力するために、第2信号光及び反射信号光に対して少なくともビート周波数処理を実行するよう構成される。第2信号光及び第1信号光は、ビーム分割処理がレーザからの信号光の1チャネルに対して実行された後に取得される信号光の2チャネルであり、反射信号光は、伝送信号光に対応する反射された信号光であり、ドップラー周波数シフト信号の周波数帯域と第3サブキャリア信号の周波数帯域とは重なり合わない。
【0028】
処理ユニットは、第4サブキャリア信号又は少なくとも1つのターゲットの検出情報を出力するために、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を処理するよう構成される。
【0029】
本願のこの実施形態において、信号処理システムはビート周波数ユニット及び処理ユニットを更に含む。具体的に、ビート周波数ユニットは、第2信号光及び反射信号光に対して少なくともビート処理を実行した後、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を出力するよう構成される。処理ユニットは、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を処理して、第4サブキャリア信号又は少なくとも1つのターゲットの検出信号を出力するよう構成される。第2信号光及び第1信号光は、ビート分割処理がレーザからの信号光の1チャネルに対して実行された後に取得される信号光の2チャネルであり、信号光の少なくとも2チャネルは、ビーム分割処理がレーザからの信号光の1チャネルに対して実行された後に取得されるべきである。任意に、信号光の2よりも多いチャネルが取得されることがある。反射信号光は、伝送信号光に対応する反射された信号光である。従って、反射信号光も、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む。単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の周波数帯域は重なり合わず、ビート周波数処理により取得されるドップラー周波数シフト信号の周波数帯域及び第3サブキャリア信号の周波数帯域も重なり合わないので、分離により取得されるドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の精度は高く、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号に基づいた、ターゲットと信号処理システムとの間の相対運動速度及び相対距離の測定の実施精度も高い。ドップラー周波数シフト信号は、ターゲットと信号処理システムとの間の相対運動速度を取得するために使用され、第3サブキャリア信号は、ターゲットと信号処理システムとの間の相対距離情報を取得するために使用され、ターゲットの検出情報には、ターゲットと信号処理システムとの間の相対速度情報及び相対距離情報が含まれるが、これらに限られない。ターゲットと信号処理システムとの間の相対運動によって引き起こされるドップラー効果により、第3サブキャリア信号は更に、特定のドップラー周波数シフトを有しており、第3サブキャリア信号を使用することによる距離測定は十分には正確ではない。従って、ドップラー補償が、ドップラー周波数シフト信号を使用することによって第3サブキャリア信号に対して実行され、第4サブキャリア信号が取得される。第3サブキャリア信号と比較して、第4サブキャリア信号は、ドップラー効果によって引き起こされたドップラー周波数シフトを除去しており、第4サブキャリア信号を使用するによる距離測定の精度は大幅に向上することができる。
【0030】
可能な実施において、ドップラー周波数シフト信号と第3サブキャリア信号との間の周波数帯域間隔は、第3サブキャリア信号の周波数帯域の帯域幅よりも大きいか、又はそれに等しい。
【0031】
本願のこの実施形態において、ドップラー周波数シフト信号と第3サブキャリア信号との間の周波数帯域間隔が第3サブキャリア信号の周波数帯域の帯域幅よりも大きいか、又はそれに等しい場合に、ドップラー周波数シフト信号の周波数帯域と第3サブキャリア信号の周波数帯域とが重なり合わないことを実現できるので、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号は分離され、分離効果は良好である。
【0032】
可能な実施において、ビート周波数ユニットは、検出器及びフィルタユニットを含む。
【0033】
検出器は、ビート周波数処理を実行するよう構成される。
【0034】
フィルタユニットは、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を出力するために、フィルタリング処理を実行するよう構成される。
【0035】
本願のこの実施形態において、ビート周波数ユニットのとり得る具体的な実施が提供される。すなわち、ビート周波数ユニットは、具体的に、検出器及びフィルタユニットを含んでもよい。検出器は、ビート処理を実行して、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を含む信号を取得するよう構成される。フィルタユニットは、その信号に対してフィルタリング処理を実行して、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を分離して出力する。検出器及びフィルタユニットを使用することによって、ビート周波数処理の後に取得されるドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の間に存在する可能性がある周波数帯域の重複の問題は解決できるので、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号は分離され、分離効果は良好である。
【0036】
可能な実施において、ドップラー周波数シフト信号は、第2信号光と、反射信号光内の単周波数光搬送波信号とに基づき、取得され、第3サブキャリア信号は、第2信号光と、反射信号光内の光側波帯信号とに基づき、取得される。
【0037】
本願のこの実施形態において、ビート周波数処理が少なくとも第2信号光及び反射信号光に対して実行された後、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号が出力される。具体的に、ドップラー周波数シフト信号は、第2信号光と、反射信号光内の単周波数光搬送波信号とに基づき取得され、第3サブキャリア信号は、第2信号光と、反射信号光内の光側波帯信号とに基づき取得される。
【0038】
可能な実施において、フィルタユニットは、第1フィルタ及び第2フィルタを含む。
【0039】
第1フィルタは、ドップラー周波数シフト信号を出力するために、フィルタリング処理を実行するよう構成される。
【0040】
第2フィルタは、第3サブキャリア信号を出力するために、フィルタリング処理を実行するよう構成される。
【0041】
本願のこの実施形態において、フィルタユニットのとり得る具体的な実施が提供される。フィルタユニットは、具体的に、第1フィルタ及び第2フィルタを含んでもよい。第1フィルタは、フィルタリング処理を実行して、低周波数のドップラー周波数シフト信号を出力するよう構成され、第2フィルタは、フィルタリング処理を実行して、高周波数の第3サブキャリア信号を出力するよう構成される。第1フィルタ及び第2フィルタを使用することによって、ビート周波数処理の後に取得されるドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の間に存在する可能性がある周波数帯域の重複の問題、それにより、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号は分離され、分離効果は良好である。
【0042】
可能な実施において、第1フィルタはローパスフィルタ又はバンドパスフィルタであり、第2フィルタはハイパスフィルタ又はバンドパスフィルタである。
【0043】
本願のこの実施形態において、第1フィルタはローパスフィルタ又はバンドパスフィルタであってよく、低周波数のドップラー周波数シフト信号を分離するよう構成され、第2フィルタは、ハイパスフィルタ又はバンドパスフィルタであってよく、高周波数の第3サブキャリア信号を分離するよう構成される。
【0044】
可能な実施において、フィルタユニットは、電力分配器を更に含む。
【0045】
電力分配器は、第1フィルタ及び第2フィルタに対して信号入力を供給するよう構成される。
【0046】
本願のこの実施形態において、フィルタユニットは、ビート周波数処理がビート周波数ユニットによって実行された後に取得される1つの信号を比率に基づき2つの信号に分割するよう構成される電力分配器を更に含む。1つの信号とは、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を含む信号であり、2つの信号は、第1フィルタ及び第2フィルタの信号入力として夫々使用され、夫々、低周波数のドップラー周波数シフト信号及び高周波数の第3サブキャリア信号をその後に分離するために夫々使用される。
【0047】
第2の態様に従って、本願の実施形態はLiDARシステムを提供する。LiDARシステムは、第1の態様又は第1の態様のとり得る実施のうちのいずれか1つに従う信号処理システムを含む。なお、センサと一体化された複数のインテリジェントセンサが存在してもよい。インテリジェントセンサがレーザ検出機能を含む場合、インテリジェントセンサはLiDARシステムとも呼ばれ得る。
【0048】
第3の態様に従って、本願の実施形態は端末デバイスを提供する。端末デバイスは、第1の態様又は第1の態様のとり得る実施のうちのいずれか1つに従う信号処理システムを含むか、あるいは、第2の態様に従うLiDARシステムを含む。
【0049】
本願のこの実施形態において、第2サブキャリア信号を取得するために、第1サブキャリア信号に基づき変調が実行され、第2サブキャリア信号を使用することによって、第1信号光に対して変調が実行され、それにより、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む伝送信号光が取得され得る。上記の変調処理により取得される、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全には重なり合わないので、変調処理後に取得される残差光搬送波及び光側波帯信号の間の周波数帯域の重複の問題はうまく解決でき、残差光搬送波信号及び光側波帯信号は分離できる。
【0050】
本願の実施形態における技術的解決法についてより明りょうに記載するために、以下は、実施形態を記載するための添付の図面について簡潔に説明するものである。以下の説明中の添付の図面は、本願の一部の実施形態を示しているに過ぎず、当業者であれば、創造的な労力なしで、これらの添付の図面から他の図面を考え付くことができる、ことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本願の実施形態に従う信号処理システムの構造の模式図である。
【
図2】本願の実施形態に従う他の信号処理システムの構造の模式図である。
【
図3】本願の実施形態に従う他の信号処理システムの構造の模式図である。
【
図4】本願の実施形態に従う他の信号処理システムの構造の模式図である。
【
図5】本願の実施形態に従う他の信号処理システムの構造の模式図である。
【
図6A】本願の実施形態に従う信号の角周波数-振幅の模式図である。
【
図6B】本願の実施形態に従う信号の角周波数-振幅の模式図である。
【
図6C】本願の実施形態に従う信号の角周波数-振幅の模式図である。
【
図6D】本願の実施形態に従う信号の角周波数-振幅の模式図である。
【
図6E】本願の実施形態に従う信号の角周波数-振幅の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本願の目的、技術的解決法、及び利点をより明らかにするために、以下は、本願の実施形態における添付の図面を参照して、本願の実施形態について記載する。
【0053】
本願の明細書、特許請求の範囲、及び添付の図面において、「第1」、「第2」などの用語は、異なるオブジェクトを区別するよう意図されたものであり、特定の順序を示すものではない。更に、「含む」や「持つ」という用語、又はそれらの任意の他の変形は、非包括的な包含をカバーする意図されたものである。例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、又はデバイスは、挙げられているステップ又はユニットに限定されず、任意に、挙げられていないステップ又はユニットを更に含み、あるいは、任意に、プロセス、方法、製品、又はデバイスに固有の他のステップ又はユニットを更に含む。
【0054】
本明細書中で述べられている「実施形態」は、この実施形態を参照して記載されている特定の特徴、構造、又は特性が本願の少なくとも1つの実施形態に含まれる可能性があることを意味する。本明細書中の様々な箇所に示されている当該語句は、必ずしも同じ実施形態に言及してない場合があり、他の実施形態から排他的な独立した又は任意の実施形態ではない。本明細書中で記載される実施形態が他の実施形態と組み合わされてもよいことは、当業者によって明示的及び暗黙的に理解される。
【0055】
本願において、「少なくとも1つの(アイテム)」は、1つ以上を意味し、「複数の~」は2つ以上を意味し、「少なくとも2つの(アイテム)」は、2つ、3つ又はそれ以上を意味し、「及び/又は」は、関連するオブジェクトの間の関連付け関係について記載するために使用され、3つの関係が存在する可能性があることを示す、ことが理解されるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、Aのみ存在、Bのみ存在、及びAとBの両方が存在を意味し、ここで、A及びBは単数であっても複数であってもよい。「/」の文字は、一般に、関連するオブジェクトの間の“論理和”関係を示す。「次のアイテム(片)のうちの少なくとも1つ」又はそれの類似の表現は、単一のアイテム(片)又は複数のアイテム(片)の任意の組み合わせを含む、これらのアイテムの任意の組み合わせを指す。例えば、a、b、又はcのうちの少なくとも1つは、a、b、c、aとb、aとc、bとc、又はaとbとcを示す可能性があり、ここで、a、b、及びcは単数であっても複数であってもよい。
【0056】
背景で記載されたように、現在、残差光搬送波と光側波帯信号との間の周波数帯域の重複の問題をどのように解決すべきかを検討する必要がある。本願は、光搬送波信号と光側波帯信号との間の周波数帯域の重複の問題を有効に解決するために、信号処理システム及び端末デバイスを提供し、LiDAR技術の分野に関係がある。
【0057】
本願の解決法についてより明りょうに記載するために、以下は、最初に、LiDARに関するいくつかの知識について説明する。
【0058】
サブキャリア:サブキャリアは、電子通信信号の搬送波であり、他の搬送波の上端で運ばれ、それにより、2つの信号が同時に送信され得る。サブキャリア光ファイバ通信では、伝送対象の信号が最初に、無線周波数(超短波からマイクロ波までの周波数)波を変調するために使用され、次いで、無線周波数波は、伝送光源を変調するために使用される。受信ポイントでは、光検出器が無線周波数波を信号に戻し、次いで、無線周波数検出器が伝送対象の信号を原信号に戻す。
【0059】
単周波数光搬送波:光搬送波(optical carrier,OC)は、信号を伝送するよう変調される光信号である。一般に、光搬送波の周波数は、変調信号のそれよりもはるかに高い。光搬送波を使用することによる伝送中、情報伝送を実装するために、データの信号を搬送波の信号に乗せることができ、受信器は搬送波の周波数に基づきデータの信号を受信する。単周波数光搬送波は、一般に、単一周波数又は単一周波数範囲を持った光搬送波を指す。
【0060】
光側波帯:光側波帯は、光信号の側波帯として理解され得る。一般に、光信号は変調される。光側波帯は単側波帯及び両側波帯に分類される。両側波帯は、光信号の中心周波数の各側の側波帯である。中心搬送波周波数よりも大きい側波帯は上側波帯であり、中心搬送波周波数よりも小さい側波帯は下側波帯である。単側波帯は、一般に、光信号の上側波帯又は下側波帯を指す。
【0061】
検出技術の急速な発展とともに、レーダーには、動作距離、分解能、及び測定精度など、より高い性能が求められている。レーダーの検出能力を向上させるために、レーダーは、大きい時間幅、帯域幅、及びエネルギ積を有するよう求められる。しかし、レーダーの送信デバイスのピーク電力が限られている場合、大きい信号エネルギは、信号の時間幅を増大させることによってしか取得され得ない。レーダーの動作距離を延ばすことはできるが、分解能は悪化する、つまり、分解能と動作距離との間には衝突が存在する。
【0062】
パルス圧縮は、最新のレーダーの重要なシステムであり、レーダーの動作距離及び分解能の間の衝突を効果的に解消することができ、最新のレーダーで広く使用されている。3つの典型的なタイプのパルス圧縮信号、つまり、線形周波数変調信号、非線形周波数変調信号、及び位相符号化信号、が存在する。時間幅と帯域幅との積が小さい場合、位相符号化信号のピークサイドローブ比は大きく、圧縮性能は良好であり、そのため、位相符号化信号は広く使用されている。
【0063】
現在、光搬送波に対して変調処理を実行して、残差光搬送波及び位相符号化光側波帯信号によって形成された伝送信号を得るために、通常、位相符号化が使用されており、次いで、ターゲットを通じて伝送信号によって反射された信号と、局所発振器光信号とに基づき、ドップラー周波数シフト信号及び位相符号化信号が取得され、ドップラー周波数シフト信号及び位相符号化信号に基づき、ターゲットとレーダーシステムとの間の相対運動速度及び相対距離が測定される。
【0064】
しかし、上記の変調処理方法で取得された残差光搬送波及び位相符号化光側波帯信号の周波数帯域は重なり合い、残差光搬送波信号及び位相符号化光側波帯信号は分離できない。その結果、ドップラー周波数シフト信号及び位相符号化信号の正確さは不十分であり、距離測定及び速度測定の精度は低い。
【0065】
更に、位相符号化信号を使用することによってターゲットのエコー信号に対してパルス圧縮を実行する過程で、ターゲットとレーダーが搭載されているプラットフォームとが相対運動を有し、レーダー信号のラウンドトリップタイム内にシードレーザ搬送波周波数が変化するために、エコー信号はドップラー効果により変調される。ドップラー効果により、ターゲットとレーダーが搭載されているプラットフォームとの間の相対距離情報は、パルス圧縮を通じて位相符号化信号によって取得され得ない。これは、距離測定の性能に深刻な影響を及ぼす。
【0066】
具体的に、ドップラー効果は、波源及びターゲットが相対運動を有する場合に、ターゲットが波を受信する周波数が、波源が波を送信する周波数とは異なる現象を指す。具体的に、波源がターゲットの方に移動するとき、ターゲットによって受信される波の周波数は高くなり、あるいは、波源がターゲットから遠ざかるとき、ターゲットによって受信される波の周波数は低くなる。ターゲットが移動するとき、同じ結論が得られる。ターゲットと波源との間の相対運動速度及び相対距離は、ドップラー効果を使用することによって、ドップラー周波数シフト信号及び位相符号化信号に基づき測定され得る。
【0067】
現在の変調方法で取得される残差光搬送波及び位相符号化光側波帯信号の間の周波数帯域の重複の技術的問題に基づき、本願は新しい信号処理システムを提案する。信号処理システムは、第1サブキャリア信号に対して変調を実行して第2サブキャリア信号を取得し、第2サブキャリア信号を使用することによって第1信号光に対して変調を実行し、それにより、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む伝送信号光が取得され得る。上記の変調処理により取得される、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全には重なり合わないので、変調処理後に取得される残差光搬送及び光側波帯信号の間の周波数帯域の重複の問題は解決でき、残差光搬送波信号及び光側波帯信号は分離できる。
【0068】
以下は、本願の実施形態における添付の図面を参照して、本願の実施形態で提供される信号処理システムについて説明する。
【0069】
図1を参照されたい。
図1は、本願の実施形態に従う信号処理システムの構造の模式図である。
【0070】
図1に示されるように、信号処理システムは、変調ユニット10及び送信ユニット20を含む。
【0071】
いくつかの可能な実施形態で、変調ユニット10及び送信ユニット20の機能は次の通りである。
【0072】
変調ユニット10は、第1サブキャリア信号に対して少なくとも第1変調処理を実行して、第2サブキャリア信号を取得し、入力された第1信号光及び第2サブキャリア信号に対して少なくとも第2変調処理を実行して、伝送信号光を取得する。
【0073】
送信ユニット20は、伝送信号光を送信するよう構成される。
【0074】
伝送信号光は、少なくとも1つのターゲットを検出するために使用され、伝送信号光の成分には、主に、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号が含まれる。変調ユニット10によって実行された変調処理により取得される、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全には重なり合わない。単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とは完全には重なり合わないので、2つ信号は分離され得る。従って、現在の変調処理方法で変調処理後に取得される残差光搬送波及び光側波帯信号の間の周波数帯域の重複の問題は解決できるので、残差光搬送波信号及び光側波帯信号波分離され、分離効果は良好である。
【0075】
いくつかの可能な実施形態で、変調ユニット10が第1サブキャリア信号に対して少なくとも第1変調処理を実行することは、具体的に:第2サブキャリア信号を取得するために、位相符号化信号を使用することによって第1サブキャリア信号に対して位相変調を行うことであってよい。取得された第2サブキャリア信号の位相は、第1サブキャリア信号の位相とは相違し、ある程度、位相シフトが存在する。そのため、第2サブキャリア信号を使用することによって第1信号光に対して変調をその後に実行することによって取得される、単一周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全に重なり合わない。
【0076】
更に、本願のこの実施形態は、第2サブキャリア信号を取得するために位相符号化信号を使用することによって第1サブキャリア信号に対して位相変調を実行することに限定されず、他の位相圧縮信号、例えば、線形周波数変調信号又は非線形周波数変調信号を使用することによって第1サブキャリア信号に対して位相変調を実行してもよい。位相変調は、第1サブキャリア信号に対する第2サブキャリア信号の位相シフトを可能にする信号を使用することによって、第1サブキャリア信号に対して実行され得る。
【0077】
いくつかの可能な実施形態で、変調ユニット10が、入力された第1信号光及び第2サブキャリア信号に対して少なくとも第2変調処理を実行することは、具体的に:単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む伝送信号光を取得するために、第2サブキャリア信号を使用することによって第1信号光に対して変調を実行することであってよい。
【0078】
第1信号光はレーザからの信号光であってよく、第1信号光に対する変調の実行は、具体的に、強度変調の実行であってよい。ここでの強度変調は、第1信号光の強さ(光強さ)が変調信号(第2サブキャリア信号)により規則的に変化するレーザ発振を指す。レーザ変調は、一般に、強度変調形式を採用する。これは、受信器が、一般に、受信器が受けた光の強さの変化に直接反応するからである。伝送信号光は少なくとも1つのターゲットを検出するために使用され、伝送信号光に含まれている、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全には重なり合わず、それにより、良好な分離効果が実現できる。
【0079】
いくつかの可能な実施形態で、変調ユニット10によって実行された変調処理の後、取得される、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、重なり合わない。これは、具体的に、次のいくつかのとり得る場合に分類され得る。
【0080】
場合1
第1変調処理により取得された第2サブキャリア信号の位相がシフトする場合に、第2変調処理により取得された伝送信号光に含まれる単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の間の周波数帯域の間にも特定の間隔が存在し、それにより、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の周波数帯域は完全には重なり合わなくなる。しかし、第1変調処理により取得された第2サブキャリア信号の位相シフトは限られているので、単周波数光搬送波信号と光側波帯信号との間の周波数帯域間隔も限られており、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の周波数帯域は更に部分的に重なり合う可能性がある。
【0081】
場合2
第1変調処理により取得された第2サブキャリア信号の位相シフトが十分に大きい場合、第2変調処理により取得された伝送信号光に含まれている単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の間の周波数帯域間隔も十分に大きく、それにより、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の周波数帯域は完全に全く重なり合わない。単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とが上記の場合1で完全には重なり合わない場合と比較して、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の分離効果はより良い。
【0082】
場合3
単周波数光搬送波信号と光側波帯信号との間の周波数帯域間隔が光側波帯信号の周波数帯域の帯域幅よりも大きいか又はそれに等しい場合に、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とが重なり合わないことを実現できるので、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号は分離され、分離効果は良好である。この場合に、上記の場合2で過度に大きい位相シフトによって引き起こされた単周波数光搬送波信号と光側波帯信号との間の過度に大きい周波数帯域間隔によって引き起こされたリソース浪費の問題は回避でき、つまり、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の周波数帯域は、単周波数光搬送波信号と光側波帯信号との間の周波数帯域間隔が光側波帯信号の周波数帯域の帯域幅よりも大きいか又はそれに等しい限りは全く重なり合うことなく、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の良好な分離効果を達成することができる。
【0083】
本願のこの実施形態において、第2サブキャリア信号を取得するために、第1サブキャリア信号に基づき変調が実行され、第2サブキャリア信号を使用することによって、第1信号光に対して変調が実行され、それにより、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む伝送信号光が取得され得る。上記の変調処理により取得される、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全には重なり合わないので、変調処理後に取得される残差光搬送波及び光側波帯信号の間の周波数帯域の重複の問題はうまく解決でき、残差光搬送波信号及び光側波帯信号は分離できる。
【0084】
以下は、添付の図面を参照して変調ユニット10のとり得る構造について説明する。
【0085】
図2を参照されたい。
図2は、本願の実施形態に従う他の信号処理システムの構造の模式図である。
【0086】
図2に示されるように、変調ユニット10は、周波数ミキサ101及び変調器102を含む。
【0087】
いくつかの可能な実施形態で、周波数ミキサ101及び変調器102の機能は次の通りである。
【0088】
周波数ミキサ101は、少なくとも第1変調処理を実行するよう、つまり、第1サブキャリア信号に対して少なくとも第1変調処理を実行して、第2サブキャリア信号を取得するよう構成される。具体的に、第2サブキャリア信号を取得するよう、位相符号化信号を使用することによって第1サブキャリア信号に対して位相変調が実行される。取得された第2サブキャリア信号の位相は、第1サブキャリア信号の位相とは相違し、ある程度、位相シフトが存在する。そのため、第2サブキャリア信号を使用することによって第1信号光に対して変調をその後に実行することによって取得される、単一周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全に重なり合わない。
【0089】
ここで、それは、第2サブキャリア信号を取得するために位相符号化信号を使用することによって第1サブキャリア信号に対して位相変調を実行することに限定されず、位相変調は、他のパルス圧縮信号、例えば、線形周波数変調信号又は非線形周波数変調信号を使用することによっても第1サブキャリア信号に対して実行されてよい。位相変調は、第1サブキャリア信号に対する第2サブキャリア信号の位相シフトを可能にする信号を使用することによって、第1サブキャリア信号に対して実行され得る。
【0090】
変調器102は、少なくとも第2変調処理を実行するよう、つまり、入力された第1信号光及び第2サブキャリア信号に対して少なくとも第2変調処理を実行して、伝送信号光を取得するよう構成される。具体的に、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む伝送信号光を取得するために、第2サブキャリア信号を使用することによって第1信号光に対して変調が実行される。
【0091】
ここで、第1信号光に対する変調の実行は、具体的に、強度変調の実行であってよい。強度変調は、第1信号光の強さ(光強さ)が変調信号(第2サブキャリア信号)により規則的に変化するレーザ発振を指す。レーザ変調は、一般に、強度変調形式を採用する。これは、受信器が、一般に、受信器が受けた光の強さの変化に直接反応するからである。
【0092】
いくつかの可能な実施形態で、周波数ミキサ101はアクティブ周波数ミキサ又はパッシブ周波数ミキサなどであってよく、1つの周波数範囲から他の周波数範囲に信号を移して、ヘテロダイン信号を生成するよう構成され、変調器102は電気光学変調器又は熱光学変調器であってよく、光信号の振幅、位相、などに対して変調を実行するよう構成される。
【0093】
周波数ミキサ101及び変調器102が変調処理を実行した後、取得された単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とは重なり合わない。具体的な場合は、変調ユニット10によって実行された変調処理の後に取得された上記の場合に一致し、詳細はここで再び記載されない。
【0094】
以下は、添付の図面を参照して信号処理システムの他のとり得る構造について説明する。
【0095】
図3を参照されたい。
図3は、本願の実施形態に従う他の信号処理システムの構造の模式図である。
【0096】
図3に示されるように、信号処理システムは、ビート周波数ユニット30及び処理ユニット40を更に含む。
【0097】
いくつかの可能な実施形態で、ビート周波数ユニット30及び処理ユニット40の機能は次の通りである。
【0098】
ビート周波数ユニット30は、第2信号光及び反射信号光に対して少なくともビート処理を実行した後、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を取得するよう構成される。
【0099】
処理ユニット40は、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を処理して、第4サブキャリア信号又は少なくとも1つのターゲットの検出信号を出力するよう構成される。
【0100】
第2信号光及び第1信号光は、ビート分割処理がレーザからの信号光の1チャネルに対して実行された後に取得される信号光の2チャネルであり、信号光の少なくとも2チャネルは、ビーム分割処理がレーザからの信号光の1チャネルに対して実行された後に取得されるべきである。ビーム分割処理は、具体的に、ファイバビームスプリッタを使用することによって実装されてもよい。任意に、ビーム分割処理の後、信号光の2よりも多いチャネルが取得されて、ビート周波数ユニット30及び変調ユニット10(変調器102)に対する信号入力を別々に供給してもよい。反射信号光は、伝送信号光に対応する反射された信号光であり、具体的に、少なくとも1つのターゲットを通じて伝送信号光によって反射された信号光であり、受信ユニットは反射信号光を受信し得る。従って、反射信号光の成分は伝送信号光の成分に類似しており、やはり単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む。
【0101】
いくつかの可能な実施形態で、ビート周波数ユニット30によって実行されたビート周波数処理の後、取得されたドップラー周波数シフト信号の周波数帯域と第3サブキャリア信号の周波数帯域とは重なり合わない。これは、具体的に、次のいくつかのとり得る場合に分類され得る。
【0102】
場合1
反射信号光に含まれている単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の間の周波数帯域間隔が十分に大きく、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と光側波帯信号の周波数帯域とが全く重なり合わない場合、ドップラー周波数シフト信号は、第2信号光と、反射信号光内の単周波数光搬送波信号とに基づき取得され、第3サブキャリア信号は、第2信号光と、反射信号光内の光側波帯信号とに基づき取得される。この場合に、取得されたドップラー周波数シフト信号の周波数帯域と第3サブキャリア信号の周波数帯域とは全く重なり合わない。ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の周波数帯域が完全には重なり合わない場合と比較して、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の分離効果はより良い。
【0103】
場合2
反射信号光に含まれている単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の間の周波数帯域間隔が、光側波帯信号の周波数帯域の帯域幅よりも大きいか又はそれに等しい場合、ドップラー周波数シフト信号は、第2信号光と、反射信号光内の単周波数光搬送波信号とに基づき取得され、第3サブキャリア信号は、第2信号光と、反射信号光内の光側波帯信号とに基づき取得される。この場合に、取得されたドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の間の周波数帯域間隔は、第3サブキャリア信号の周波数帯域の帯域幅よりも大きいか又はそれに等しく、ドップラー周波数シフト信号の周波数帯域と第3サブキャリア信号の周波数帯域とが重なり合わないことが実現できるので、ドップラー周波数シフト信号と第3サブキャリア信号とは分離され、分離効果は良好である。この場合に、上記の場合1で単周波数光搬送波信号と光側波帯信号との間の過度に大きい周波数帯域幅間隔によって引き起こされたドップラー周波数シフト信号と第3サブキャリア信号との間の過度に大きい周波数帯域間隔によって引き起こされたリソース浪費の問題は回避でき、つまり、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の周波数帯域は、ドップラー周波数シフト信号と第3サブキャリア信号との間の周波数帯域間隔が第3サブキャリア信号の周波数帯域の帯域幅よりも大きいか又はそれに等しい限りは全く重なり合うことなく、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の良好な分離効果が達成される。
【0104】
ビート周波数処理の実行を通じてビート周波数ユニット30によって取得されるドップラー周波数シフト信号の周波数帯域及び第3サブキャリア信号の周波数帯域は重なり合わないので、分離により取得されたドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の精度は高く、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号に基づいた、ターゲットと信号処理システムとの間の相対運動速度及び相対距離の測定の実施精度も高い。ドップラー周波数シフト信号は、ターゲットと信号処理システムとの間の相対運動速度を取得するために使用され、第3サブキャリア信号は、ターゲットと信号処理システムとの間の相対距離情報を取得するために使用され、ターゲットの検出情報には、ターゲットと信号処理システムとの間の相対速度情報及び相対距離情報が含まれるが、これらに限られない。更に、ターゲットと信号処理システムとの間の相対運動によって引き起こされるドップラー効果により、第3サブキャリア信号は更に、特定のドップラー周波数シフトを有しており、第3サブキャリア信号を使用することによる距離測定は十分には正確ではない。従って、ドップラー補償が、ドップラー周波数シフト信号を使用することによって第3サブキャリア信号に対して実行され、第4サブキャリア信号が取得される。第3サブキャリア信号と比較して、第4サブキャリア信号は、ドップラー効果によって引き起こされたドップラー周波数シフトを除去しており、第4サブキャリア信号を使用するによる距離測定の精度は大幅に向上することができる。
【0105】
いくつかの可能な実施形態で、処理ユニット40がドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を処理することは、具体的に:ドップラー周波数シフト信号を使用することによって第3サブキャリア信号に対してドップラー補償を実行して、第4サブキャリア信号を取得し、第4サブキャリア信号を取得することであってよい。代替的に、第4サブキャリア信号が取得された後、ターゲットと信号処理システムとの間の相対距離情報が、第4サブキャリア信号を使用することによって取得され、ターゲットと信号処理システムとの間の相対運動速度が、ドップラー周波数シフト信号を使用することによって取得され、ターゲットと信号処理システムとの間の相対速度情報及び相対距離情報を含むがこれらに限定されないターゲットの距離情報が出力される。
【0106】
本願のこの実施形態において、上記の変調処理により取得される単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号の周波数帯域が完全には重なり合わないことに基づき、取得されたドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の周波数帯域は、第2信号光と、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む反射信号光とに対してビート処理を実行することによって、重なり合わず、それによって、ビート処理後に取得される信号の周波数帯域が重なり合う可能性があるという問題を解決する。更に、ドップラー周波数シフト信号を使用することによって第3サブキャリア信号に対してドップラー補償を実行して第4サブキャリア信号を取得し、第4サブキャリア信号を使用することによってターゲットと信号処理システムとの間の相対距離情報を取得し、ドップラー周波数シフト信号を使用することによってターゲットと信号処理システムとの間の相対運動速度を取得し、それによって、ターゲットの距離測定及び速度測定の精度を大幅に向上させる。
【0107】
以下は、添付の図面を参照して、ビート周波数ユニット30のとり得る構造について説明する。
【0108】
図4を参照されたい。
図4は、本願の実施形態に従う他の信号処理システムの構造の模式図である。
【0109】
図4に示されるように、ビート周波数ユニット30は、検出器301及びフィルタユニット302を含む。
【0110】
いくつかの可能な実施形態で、検出器301及びフィルタユニット302の機能は次の通りである。
【0111】
検出器301は、少なくともビート処理を実行するよう、つまり、第2信号光及び反射信号光に対して少なくともビート処理を実行して、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を含む信号を取得するよう構成される。具体的に、ドップラー周波数シフト信号は、第2信号光と、反射信号光内の単周波数光搬送波信号とに基づき、取得され、第3サブキャリア信号は、第2信号光と、反射信号光内の光側波帯信号とに基づき、取得される。
【0112】
フィルタユニット302は、ドップラー周波数シフト信号と第3サブキャリア信号との間の分離を実装するために、検出器301によって取得された信号に対してフィルタリング処理を実行して、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を分離して出力するよう構成される。
【0113】
検出器301のビート周波数処理の後、取得されたドップラー周波数シフト信号の周波数帯域と第3サブキャリア信号の周波数帯域とは重なり合わない、ことが理解され得る。その具体的な状況は、ビート周波数ユニット30のビート周波数処理の後に取得される状況と一致し、詳細はここで再び記載されない。
【0114】
以下は、添付の図面を参照して、フィルタユニット302のとり得る構造について説明する。
【0115】
図5を参照されたい。
図5は、本願の実施形態に従う他の信号処理システムの構造の模式図である。
【0116】
図5に示されるように、フィルタユニット302は、第1フィルタ3021及び第2フィルタ3022を含む。
【0117】
いくつかの可能な実施形態で、第1フィルタ3021及び第2フィルタ3022の機能は次の通りである。
【0118】
第1フィルタ3021は、低周波数のドップラー周波数シフト信号を出力するために、フィルタリング処理を実行するよう構成される。
【0119】
第2フィルタ3022は、高周波数の第3サブキャリア信号を出力するために、フィルタリング処理を実行するよう構成される。
【0120】
本願のこの実施形態において、第1フィルタ3021及び第2フィルタ3022を使用することによって、ビート周波数処理の後に取得されるドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号は分離され得、分離効果は良好である。
【0121】
いくつかの可能な実施形態で、第1フィルタ3021はローパスフィルタ又はバンドパスフィルタであってよく、低周波数のドップラー周波数シフト信号を分離するよう構成され、第2フィルタ3022は、ハイパスフィルタ又はバンドパスフィルタであってよく、高周波数の第3サブキャリア信号を分離するよう構成される。
【0122】
いくつかの可能な実施形態で、フィルタユニット302は電力分配器3023を更に含み、電力分配器3023の機能は次の通りである。
【0123】
電力分配器3023は、ビート周波数処理が実行された後に取得される1つの信号を比率に基づき2つの信号に分割するよう構成される。1つの信号とは、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を含む信号であり、2つの信号は、第1フィルタ3021及び第2フィルタ3022の信号入力として夫々使用され、夫々、低周波数のドップラー周波数シフト信号及び高周波数の第3サブキャリア信号をその後に分離するために夫々使用される。
【0124】
いくつかの可能な実施形態で、信号処理システムは光ファイバカプラを更に含み、光ファイバカプラの機能は次の通りである。
【0125】
光ファイバカプラは、入力された第2信号光及び反射信号光を結合し、次いで、その後のビート処理を実行するために、第2信号光及び反射信号光を検出器301へ送信するよう構成される。
【0126】
以上は、本願の実施形態における信号処理システムのとり得る構造について詳細に記載してきた。以下は、
図6A~
図6Eを参照して、信号処理システムによって実行される信号処理プロセスについて説明する。
【0127】
理解を容易にするために、
図5に示されている上記の信号処理システムが、説明のための例として使用される。
【0128】
図6Aを参照されたい。
図6Aは、本願の実施形態に従う信号の角周波数-振幅の模式図である。
図6Aに示される信号の角周波数-振幅は、
図5の点Aに対応するレーザによって取得された第1信号光の角周波数-振幅であり、次のように表すことができる:
E
in(t)=E
0exp(iω
Ct)
【0129】
ここで、Ein(t)は第1信号光を表し、ωCは、第1信号光の角周波数を表す。
【0130】
第1信号光が変調器102によって変調された後、
図6Bに示されている信号の角周波数-振幅の模式図が得られる。
図6Bを参照されたい。
図6Bに示されている信号の角周波数-振幅は、
図5の点Bに対応する変調器102によって取得された伝送信号光の角周波数-振幅であり、次のように表すことができる:
【数1】
【0131】
ここで、EMZM(t)は伝送信号光を表し、ωRFは、第2サブキャリア信号の角周波数を表し、θn(t)は位相符号化信号を表し、θn(t)の値は0又はπであり、Vπは、変調器102の半波電圧を表し、VRFは交流駆動電圧振幅を表し、Vbは直流バイアス電圧を表し、β=(π/2)・(VRF/Vπ)は変調係数を表し、φ=(π/2)・(Vb/Vπ)は、変調器102の位相を表す。
【0132】
伝送信号光は、送信ユニットを使用することによって送信され、少なくとも1つのターゲットにより反射される。伝送信号光に対応する反射信号、つまり、
図6Cに示されている信号の角周波数-振幅の模式図は、受信ユニットを使用することによって取得され得る。
図6Cを参照されたい。
図6Cに示されている信号の角周波数-振幅は、
図5の点Cに対応する受信ユニットによって受信された反射信号光の角周波数-振幅であり、次のように表すことができる:
【数2】
【0133】
ここで、Eτ(t-τ)は反射信号光を表し、τは、反射信号光の遅延時間を表し、kは、反射信号光の伝送プロセスにおける電力減衰係数を表し、ωdはドップラー周波数シフトを表す。
【0134】
反射信号光及びレーザによって伝送される第2信号光は、ビート周波数処理を実行するよう、光ファイバカプラによって結合された後に検出器301に入る。ここでの第2信号光は、局所発振器光信号とも呼ばれ、次のように表すことができる:
EL0(t)EL0exp(iωCt)
【0135】
第2信号光及び反射信号光に対してビート周波数処理を実行した後、検出器301は電気信号、つまり、
図6Dに示されている信号の角周波数-振幅の模式図を取得し得る。
図6Dを参照されたい。
図6Dに示されている信号の角周波数-振幅は、
図6の点Dに対応する検出器301によって出力された電気信号の角周波数-振幅であり、次のように表すことができる:
【数3】
【0136】
ここで、iBPD(t)は、ビート周波数処理が第2信号光及び反射信号光に対して実行された後に取得される電気信号を表し、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号を含む。
【0137】
2相コードが説明のための例として使用される。スモール信号変調の場合、上記の信号i
BPD(t)が第1フィルタ3021及び第2フィルタ3022によってフィルタ処理された後、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号が夫々取得され、次のように表すことができる:
【数4】
【0138】
ここで、低周波数信号ilow(t)はドップラー周波数シフト信号を表し、高周波数信号ihigh(t)は第3サブキャリア信号を表す。
【0139】
変調器102のバイアス電圧を調整することによって、低周波数電流信号の強さ及び高周波数電流信号の強さは調整され得る。第3サブキャリア信号がワイドバンド信号であるから、高い信号電力が必要とされるときにのみ、高い信号対雑音比が、一般に、取得され得る。そのため、実際の信号処理システムでは、φは、通常、π/2に近い値を使用する。ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号は周波数領域でうまく分離できるので、低い強度を有するドップラー周波数シフト信号が依然として測定され得る。更に、ドップラー周波数シフト信号の影響は、高周波数信号から取り除かれる。これは、距離測定のより良い精度を得るのに役立つ。
【0140】
距離測定中、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号は処理ユニット40に入力され、処理ユニット40は、第4サブキャリア信号、つまり、
図6Eに示されている信号の角周波数-振幅の模式図を取得するために、ドップラー周波数シフト信号を使用することによって第3サブキャリア信号に対してドップラー補償を実行する。
図6Eを参照されたい。
図6Eに示されている信号の角周波数-振幅は、
図5の点Eに対応する処理ユニット40によって出力された第4サブキャリア信号の角周波数-振幅であり、次のように表すことができる:
【数5】
【0141】
パルス圧縮は、ターゲットと信号処理システムとの間の相対距離情報及び対応する遅延情報を取得するために、第4サブキャリア信号及び元の電流信号v(t)=VRFcos[ωRFt+θnt]に対して実行される。
【0142】
まとめると、本願で提供される信号処理システムによれば、第2サブキャリア信号を取得するために、第1サブキャリア信号に対して変調が実行され、第2サブキャリア信号を使用することによって、第1信号光に対して変調が実行され、それにより、単周波数光搬送波信号及び光側波帯信号を含む伝送信号光が取得され得る。上記の変調処理により取得される、単周波数光搬送波信号の周波数帯域と、光側波帯信号の周波数帯域とは、完全には重なり合わないので、変調処理後に取得される残差光搬送波及び光側波帯信号の間の周波数帯域の重複の問題は解決でき、残差光搬送波信号及び光側波帯信号は分離できる。
【0143】
本願は、端末デバイスを提供する。端末デバイスは、本願で提供される信号処理システムを含む。例えば、端末デバイスは、輸送手段、例えば、自動車、トラック、航空機、無人航空機、低速輸送車両、宇宙船、船舶、又はあらゆる用途で使用される他の輸送手段であってもよく、あるいは、測量及び地図作成装置など、レーザ検出装置を搭載した任意の装置であってもよい。本願で提供される1つ以上の信号処理システムが端末デバイス上に展開される。
【0144】
上記の説明は、本願の具体的な実施にすぎず、本願の保護範囲は、それらに限定されない。本願で開示されている技術的範囲内で当業者が容易に想到する如何なる変形又は置換も、本願の保護範囲内に入るべきである。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
本願のこの実施形態において、フィルタユニットのとり得る具体的な実施が提供される。フィルタユニットは、具体的に、第1フィルタ及び第2フィルタを含んでもよい。第1フィルタは、フィルタリング処理を実行して、低周波数のドップラー周波数シフト信号を出力するよう構成され、第2フィルタは、フィルタリング処理を実行して、高周波数の第3サブキャリア信号を出力するよう構成される。第1フィルタ及び第2フィルタを使用することによって、ビート周波数処理の後に取得されるドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号の間に存在する可能性がある周波数帯域の重複の問題は解決でき、それにより、ドップラー周波数シフト信号及び第3サブキャリア信号は分離され、分離効果は良好である。
【国際調査報告】