(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】高圧電解デバイス
(51)【国際特許分類】
C25B 9/07 20210101AFI20241114BHJP
C25B 1/02 20060101ALI20241114BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241114BHJP
C25B 9/05 20210101ALI20241114BHJP
C25B 9/19 20210101ALI20241114BHJP
C25B 9/015 20210101ALI20241114BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C25B9/07
C25B1/02
C25B9/00 A
C25B9/05
C25B9/19
C25B9/015
C25B15/08 302
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527764
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 NL2022050648
(87)【国際公開番号】W WO2023085938
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524177163
【氏名又は名称】ハイドロ - ゲン ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メールケルク、アリー
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC01
4K021DA05
4K021DB07
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC03
(57)【要約】
水素及び酸素を発生させるための高圧電解槽が提供され、この高圧電解槽は、直列に配設された複数の電解ユニットを備え、各ユニットは、相互接続された水平管と垂直管との組立体で成り立っている導電性金属の本体を含み、この本体はDC電源に接続可能な電極を構成しており、組立体は、3本の水平管と少なくとも2本の垂直管とを含み、垂直管は、それぞれ、細長い中心電極と管状膜とを収容しており、各垂直管は、中心電極、膜及び電極と共に、電解セルを構成し、各ユニット内部の電解セルは並列に接続されており、各ユニットは、中心電極を収容しない、少なくとも2本の垂直管をさらに含み、第1の垂直管は下方水平管を第1上方水平管に接続し、第2の垂直管は下方水平管を第2上方水平管に接続している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素及び酸素を発生させるための高圧電解ユニットであって、
相互接続された水平管及び垂直管(1a~1f)の組立体で成り立っている、導電性金属の本体(1)であって、DC電源に接続可能である電極:アノード又はカソード、を構成する、前記本体を備え、
前記組立体は、3本の水平管(1b、1c、1d)を含み、第1の管は、下方水平管(1b)と定義されて、前記本体の底部を構成し、他の2本の管は、それぞれ、第1上方水平管(1d)及び第2上方水平管(1c)と定義され、前記本体の上部において互いに隣接距離にあり、
前記組立体は、少なくとも2本の垂直管(1a)を含み、前記垂直管は、一列に配設されて、下方外端及び上方外端を有し、前記下方外端は前記下方水平管(1b)に接続され、前記上方外端はシール(5)によって密閉されており、
前記垂直管(1a)は、前記下方水平管(1b)から上方に延びて、次いで、前記第2上方水平管(1c)と前記第1上方水平管(1d)とに相互接続され、前記第1上方水平管をさらに越えて延び、上方外部は、前記本体(1)の頂部を構成しており、
前記垂直管(1a)の各々は、垂直管と電気的に絶縁されて、対向電極:カソード又はアノード、を画定する、細長い中心電極(2)を収容し、各中心電極(2)は、それぞれの前記垂直管(1a)の下部から延びて、前記シール(5)を通り、前記垂直管の前記上方外端の上へと突出し、前記中心電極は、DC電源に接続可能であり、
管状構成の分離膜(3)が、前記カソードと前記アノードとの間で同心円状に、各垂直管内に置かれ、セルをアノード・サブチャンバとカソード・サブチャンバとに分割し、前記分離膜(3)は、前記垂直管の前記下方水平管(1b)との接合部と、前記中心電極(2)の下方外端との間の領域から、前記第2上方水平管(1c)と前記第1上方水平管(1d)との間の領域まで延びており、前記分離膜は、気体の通過に対して密閉するが、液体及びその中に含有されるイオンの通過を可能にしており、
前記本体の前記第1上方水平管(1d)と前記第2水平管(1c)との間で、気密シール(4)が、前記分離膜(3)と前記垂直管(1a)の内壁との間に置かれており、前記シール(4)も前記膜(3)を支持しており、
各中心電極(2)は、前記分離膜(3)と、前記中心電極、前記中心電極を取り囲む垂直管(1a)の前記内壁及び前記電極間に設けられた電解質と共に、電解セルを画定しており、
前記本体(1)は、中心電極が収容されていない、2本の垂直管(1e、1f)をさらに含み、第1の垂直管(1f)は、前記下方水平管(1b)を前記第1上方水平管(1d)に接続し、第2の垂直管は、前記下方水平管(1b)を第2上方水平管(1c)に接続している、高圧電解ユニット。
【請求項2】
前記中心電極(2)の上方外端同士が、好ましくは、導電性材料(6)のプロファイルを用いて、前記垂直管(1a)の外部で、導電可能に相互接続されている、請求項1に記載の高圧電解ユニット。
【請求項3】
前記中心電極(2)の上部が、前記中心電極が上方の2本の水平管を通過する部分にわたり、シール(4)より上の周囲のまわりで電気的に絶縁されている、請求項1又は2に記載の高圧電解ユニット。
【請求項4】
前記垂直管(1a)の前記上方外端の前記シール(4)及び前記中心電極(2)が、解放可能に配設されて、前記中心電極(2)及び/又は分離膜(3)のメンテナンス又は交換を可能にする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の高圧電解ユニット。
【請求項5】
前記中心電極(2)を収容する、前記垂直管(1a)の前記上方端部がねじ切り(7)されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の高圧電解ユニット。
【請求項6】
前記高圧電解ユニットが、並列に相互接続された2つ以上の電解セルを備える、請求項1から5までのいずれか一項に記載の高圧電解ユニット。
【請求項7】
電解質及び/又は脱塩水を前記電解セルに供給するため、又は充填するために、前記電解セルと流体連通する、流体供給接続部(11)をさらに備える、請求項1から6までのいずれか一項に記載の高圧電解ユニット。
【請求項8】
ガスの排出のための少なくとも1つの接続部(12、13)であって、前記電解セルで発生した前記ガスを除去するために前記電解セルと気体連通している、前記少なくとも1つの接続部をさらに備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の高圧電解ユニット。
【請求項9】
前記細長い中心電極(2)がロッド形である、請求項1から8までのいずれか一項に記載の高圧電解ユニット。
【請求項10】
前記分離膜(3)は、前記分離膜の底部において開口している、請求項1から9までのいずれか一項に記載の高圧電解ユニット。
【請求項11】
前記分離膜は、ZIRFON(登録商標)分離膜である、請求項1から10までのいずれか一項に記載の高圧電解ユニット。
【請求項12】
前記本体(1)がアノード(+)を構成し、前記中心電極がカソード(-)を構成し、前記垂直管(+)(1a)、前記分離膜(3)、及び前記中心電極(-)(2)が同軸に配設されている、請求項1から11までのいずれか一項に記載の高圧電解ユニット。
【請求項13】
直列に接続された、請求項1から12までのいずれか一項に記載の複数の高圧電解ユニットを備える、水素及び酸素を発生させるための高圧電解槽。
【請求項14】
前記高圧電解槽に接続された1つ又は複数の冷却・乾燥ユニットと組み合わせて、請求項13に記載の高圧電解槽を備える、高圧で水素及び酸素を発生させるための装置。
【請求項15】
生成された水素ガスの貯蔵のための1つ又は複数の容器と組み合わせて、請求項13に記載の高圧電解槽を備える、高圧で水素及び酸素を発生させるための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、高圧電解槽(high-pressure electrolyzer)を備え、水素及び酸素を発生させるためのデバイスであって、前記電解槽は、直列に配設された複数の高圧電解ユニットを含む、デバイスに関する。本発明はまた、発生された水素ガスを加圧するための別の圧縮機を必要とせずに、100,000KPa以上の圧力の高圧水素と、副生酸素とを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素の電解製造はよく知られている。例えば、WO2004/076721及びそこに引用されている米国特許公報を参照されたい。
【0003】
WO2004/076721の序論に記載されているように、知られている電解機器は、当該技術分野において「電解槽」とも呼ばれ、液体電解質を使用して水素を発生させ、次のように動作する。2つの電極が、水酸化カリウム(KOH)の溶液などの液体電解質の浴槽に置かれる。広範囲の水酸化カリウム濃度を使用してもよいが、通常、約25から30重量%の濃度のKOH溶液が使用される。電極同士は、液体を選択的に通過させるが気体は通過させない分離膜によって、互いに分離されている。電極間に通常は約2~3ボルトの電圧が印加されると、電極間の電解液に電流が流れる。カソードで水素ガスが生成され、アノードで酸素ガスが生成される。分離膜は、発生した気泡が液体電解質中を上昇するときに、水素ガスと酸素ガスを分離した状態に保つ。液体電解質の上には、気密バリアによって、1つのチャンバ又はセクションが水素ガスを受け取り、もう1つが酸素ガスを受け取る、2つの別々のセクションに分離されることによって、互いに隔離された2つの別々のチャンバ又は2つのセクションで構成される、離脱スペースがある。2種のガスは、貯蔵又は通気のために、離脱スペースのそれぞれのセクションから別々に除去される。
【0004】
現在入手可能な電解槽は、主として、プレハブ部品を積み重ねて電解槽を組み立てる、積層設計の低圧電解槽である。積層設計の性質上、圧力は約30バールに制限されている。
【0005】
高圧電解槽は、下流の圧縮機ステージを必要とせずに、高圧の用途、輸送及び貯蔵に使用するのに適しているという点で、低圧電解槽よりも利点があるため、大きな関心を集め始めている。高圧電解槽の種々の設計が当該技術分野において記載されており、これらはしばしば高分子電解質膜(「PEM:polymer electrolyte membrane」)技術に基づいている。例えば、WO2011/012507A1を参照されたい。しかし、PEM技術の重大な欠点は、高価な希少金属材料の触媒が必要であり、電解セル中の触媒層は、様々な負荷要件において、アルカリ電解よりも早く劣化することである。
【0006】
WO2021/029768A1は、高圧アルカリ電解デバイスを開示しており、このデバイスは、アノード又はカソードのいずれかを構成する導電性金属の管及びパイプの組立体を備えて、水入口並びに水素及び酸素出口接続用のパイプを除き、それらの外端で閉じられている、相互接続された垂直及び水平のパイプ及び管のチャネル配設がされており、チャネル配設の内面は、電気絶縁被膜で被覆され、カソード又はアノードをそれぞれ構成する対向電極は、垂直パイプ内に配置されて、円筒形の膜によって封入されると共に、ハウジングの上部における水平パイプ内に設置された電極支持棒によって、支持されて接続されている。この高圧電解デバイスは、電解デバイスの外部から内部に電力供給を行うために、1つ又は複数の圧密に隔離された導電体をさらに備える。
【0007】
EP1597414B1に対応するWO2004/076721A2は、水の電気分解用の電解槽セルを開示しており、この電解槽セルは全体的に管状構成のカソードを備え、カソード内には、全体的に管状構成の分離膜によってカソードから分離されているアノードが配置されており、この構成は、電解質チャンバをアノード・サブチャンバとカソード・サブチャンバとに分割する。電解槽装置は、個々のセルの配列を含み、各セルにはリード線を介してDC発電機によって電位が印加される。セル内で電解質から発生した水素ガスは、水素ガス取出ラインと水素マニホルド・ラインとで除去される。副生酸素は、酸素ガス取出ライン及び酸素マニホルド・ラインによってセルから除去される。
【0008】
NL2023212は、高圧電解デバイスを開示しており、この高圧電解デバイスは、アノード又はカソードのいずれかを構成する導電性金属の大きなブロックを備え、水入口並びに水素及び酸素出口接続のためのチャネルを除き、外端において閉じられている、相互接続された垂直及び水平の円筒形チャネルが配設されており、チャネル配設の内面は、電気絶縁被膜で部分的に被覆されており、カソード又はアノードをそれぞれ構成する対向電極は、垂直チャネル内に配置されて、円筒形の膜によって封入されると共に、ハウジングの上部における水平チャネル内に設置された電極支持棒によって、支持され接続されている。
【0009】
EP3498886A1は、酸化及び還元反応を行う電解システムを開示しており、この電解システムは、並列に接続された2つ以上の群の電解セルを備え、電解セルは、少なくとも一対の電極と、電極間の電解質とで形成され、前記電解セルの組立体は、電解槽;電解槽に電気信号を供給するエネルギー源を画定し、電解槽を形成する電解セルによって受信された電気信号は、各電解槽のセルが、直流パルスの間に、各セルの充電過渡状態において、及び直流パルス間の時間中に各セルの放電過渡状態において、動作するように構成された、直流パルスに対応し、前記充電過渡状態及び放電過渡状態は、円筒形の平板コンデンサの形態の各電解セルの構造によって定義される。
【0010】
米国特許第3,984,303号は、ハロゲンガス及びアルカリ金属水酸化物を製造するための電解セルを開示しており、この電解セルは、カソード内に同心円状に配置された中空管状のアノード部材を有する、中空管状のカソード部材を有し、各電極部材は電解質の循環を可能にする液透過性壁を有する。アノードは、その外表面を、イオンの通過に対して選択的に透過性であって、電解質の流体力学的流れに対して不透過性である材料の、導電性の管状膜で覆われており、この管状膜は、アノードの外表面上に取り付けられ、それによってアノードとカソードの表面を分離している。このようなセルは、直列に接続して、より大きな多重セル電解槽を形成することもできる。
【0011】
コンパクトで柔軟性があり、モジュール式で、スケーラブルであり、且つメンテナンスが少なくて済む、水素の製造及びその他の工業プロセスには、シンプルで効率的で費用対効果の高い高圧電解槽が依然として必要とされている。本発明の目的は、このような高圧電解バイスを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2004/076721
【特許文献2】WO2011/012507A1
【特許文献3】WO2021/029768A1
【特許文献4】EP1597414B1
【特許文献5】WO2004/076721A2
【特許文献6】NL2023212
【特許文献7】EP3498886A1
【特許文献8】米国特許第3,984,303号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】http://www.wermac.org/pipes/pipe_vs_tube.html
【発明の概要】
【0014】
本発明の一態様において、水素及び酸素を発生させるための高圧電解ユニットが提供され、前記高圧電解ユニットは、
相互接続された水平管及び垂直管の組立体で成り立っている、導電性金属の本体であって、DC電源に接続可能である電極:アノード又はカソード、を構成する、前記本体を備え、
前記組立体は、3本の水平管を含み、第1の管は、下方水平管と定義されて、本体の底部を構成し、他の2本の管は、それぞれ、第1上方水平管及び第2上方水平管と定義されて、本体の上部において互いに隣接距離にあり、
前記組立体は、少なくとも2本の垂直管を含み、前記垂直管は、一列に配設されて、下方外端及び上方外端を有し、下方外端は、前記下方水平管に接続され、上方外端は、密閉されており、
前記垂直管は、下方水平管から延びて、次いで、第2上方水平管と第1上方水平管とに相互接続され、さらに第1上方水平管を越えて延び、上方外部は、本体の頂部を構成しており、
前記垂直管の各々は、垂直管と電気的に隔離され、対向電極、カソード又はアノードをそれぞれ画定する、細長い中心電極を収容し、各中心電極は、それぞれの垂直管の下部から延びて、シールを通り前記垂直管の前記上方外端を越えて突出し、前記中心電極は、DC電源に接続可能であり、
垂直管の下方水平管との接続部と、中心電極の下方外端との間の領域から、第2上方水平管と第1上方水平管との間の領域まで延びる、管状構成の分離膜が、カソードとアノードとの間で同心円状に、各垂直管内に置かれ、セルをアノード・サブチャンバとカソード・サブチャンバとに分割し、前記分離膜は、気体の通過に対して密閉するが、液体及び液体担持イオンの通過を可能にしており、
本体の2本の水平管の間で、気密シールが、前記分離膜と垂直管の内壁との間に置かれており、前記気密シールも膜を支持しており、
各中心電極は、前記中心電極を取り囲む垂直管の前記内壁、管状膜、及び前記電極間に設けられた電解質と共に、電解セルを画定しており、
本体は、中心電極を収容しない、少なくとも2本の追加の垂直管をさらに含み、第1の垂直管は、下方水平管を第1上方水平管に接続し、第2の垂直管は、下方水平管を第2上方水平管に接続している。
【0015】
本発明の別の態様では、電気的に直列に接続された、上記で定義される複数の高圧電解ユニットを備える、高圧電解槽が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の態様では、上記で定義される複数の高圧電解ユニットを備え、さらに冷却・乾燥ユニットを備える、高圧電解槽が提供される。
【0017】
本発明のさらなる態様では、上記で定義される複数の高圧電解ユニットを含む高圧電解槽と、1つ又は複数の圧力容器とを備える、デバイスが提供される。
【0018】
本発明のこれら及び他の態様は、その特定の実施例、すなわち、水の高圧電気分解による水素及び酸素の製造を参照して、以下に示す詳細な説明においてより十分に概説されるであろう。しかしながら、当業者は、本発明が他の実施例において利用され得ることを認識するであろう。
【0019】
圧力感知デバイス及び流量感知デバイス、並びにバルブ及びポンプを作動させる制御器などの従来式の既知のデバイスは、そのようなデバイス及びそれらの使用は当該技術分野において周知であるため、説明から大部分が省略されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による高圧電解ユニットの一実施形態を示す概略正面図である。
【
図3】本発明による高圧電解ユニットの別の実施例の概略斜視図である。
【
図4】細長い電極が取り付けられた、垂直管の上部の詳細図である。
【
図5】従来技術による電解セルの部分縦方向図と、本発明による高圧電解ユニットの部分を形成する電解セルの実施例の断面図及び斜視図である。
【
図6】本発明による高圧電解ユニットの実施例の斜視図である。
【
図7】直列配設における、本発明による4つの高圧電解ユニットの実施例の概略側面図である。
【
図8】直列配設における、本発明による多重(16)高圧電解ユニットを備える電解槽と、それに接続された発生ガスの冷却・乾燥デバイスとの実施例の斜視図である。
【
図10】
図9の冷却デバイスのより詳細な概略図である。
【
図11】本発明による電解槽における、発生ガスの冷却デバイスの実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素に同一の番号が付されている図面を参照して読むべきである。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、選択された実施例を描写しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0022】
本発明による高圧電解ユニットは、高圧用で耐熱性の導電性材料の相互接続された水平管及び垂直管の組立体から成り立っており、積層設計はされていない、本体を備える。この組立体は、高圧電解プロセスの格納容器として使用される。高い動作圧力が可能で、製品ガスの貯蔵と分配に圧縮が不要であり、その結果として、下流で製品ガスを圧縮する必要がないため、総合効率が向上する。
【0023】
「管(tube)」及び「パイプ(pipe)」という用語は、それらの間には違いがあるが、当該技術分野においてしばしば同じ意味で使用される。例えば、http://www.wermac.org/pipes/pipe_vs_tube.htmlを参照することができる。本明細書で用いる場合、「管」及び「パイプ」は、別段の記載がない限り、まとめて「管」と称される。当業者は、本発明による設計を適用する際に、どの材料が必要かを理解するのに何の問題もないであろう。
【0024】
電解ユニットの本体は、DC電源に接続可能である電極:アノード又はカソード、を構成する。好ましい実施例では、相互接続された水平管及び垂直管の組立体は、3本の水平管を含む。1本の管は、以下、下方水平管と称し、本体の底部を構成している。他の2本の管は、それぞれ第1上方水平管及び第2上方水平管と称し、互いに隣接する距離にあって、本体の上部の一部を形成する。
【0025】
相互接続された水平管及び垂直管の組立体は、少なくとも2本、好ましくは複数の垂直管、例えば、3から20本から50本以上の垂直管を含む。垂直管の好ましい数は、電解ユニット当たり15~50本の範囲である。下方及び上方の外端を有する垂直管は一列に配設され、下方外端は下方水平管に接続されている。垂直管は、下方水平管から延び、第2上方水平管及び第1上方水平管と相互接続され、さらに第1上方水平管を越えて延びている。垂直管の上方外端は、本体の頂部を構成し、密閉されている。好ましい実施例では、垂直管の上方外端は、ユニットのメンテナンス及び垂直管内への他の部品の組立を容易にするために、ねじ切りされている。垂直管は、ねじ式圧力取付具など、当該技術分野において知られている容易に入手可能な圧力取付具で閉じられてもよい。
【0026】
垂直管は、管の壁から隔離された細長い電極を収容するように適合されている。好ましい実施例では、垂直管の各々は、細長い中心電極を収容し、この電極は、上記垂直管の下部から上方向に延び、垂直管の上方外端のシールを通って前記上方外端を越えて突出している。細長い中心電極は、本体の電極に対して、それぞれ対向電極、カソード又はアノード、を構成し、これらはDC電源に接続可能である。好ましい実施例では、細長い中心電極は、中実で円筒形の棒型又はロッド型の電極である。
【0027】
本体は、液体電解質、例えば脱塩水中の水酸化カリウム(KOH)の溶液で満たされている。広範囲の水酸化カリウム濃度を用いてもよいが、一般的には約25から30重量%の濃度のKOH溶液が使用される。電極、すなわち導電体の一部である垂直管と、中心電極とは、液体電解質に曝露され、それと接触して動作時にガスを発生させる。
【0028】
管状構成の分離膜が、中心電極を囲む各垂直管内に置かれて、こうして、垂直管内の同心円状のスペースをアノード・サブチャンバとカソード・サブチャンバとに分割し、この分離膜は、気体の通過を密閉するが、液体及び液体担持イオンの通過を可能にする。分離膜は、頂部支持され、垂直管の下方水平管との接続部と、中心電極の下方外端との間の領域から、第2上方水平管と第1上方水平管との間の垂直管の領域まで延びている。好ましい実施例では、分離膜は、下側で開口している。別の好ましい実施例では、この膜は、ZIRFON(登録商標)分離膜である。
【0029】
気密シールが、分離膜と、2本の上方水平管の間の垂直管の内壁との間に置かれる。これらのシールは、膜も支持する。中心電極の上部は、好ましくは、その円周のまわりで、シールから上向きに2本の上方水平管の領域を横切って電気的に隔離され、2本の上方水平管内のガスの発生を防止して、製造されたガスの高品質を可能にする。
【0030】
各中心電極は、中心電極が置かれている垂直管の内壁、分離膜、及び前記電極間の電解液と共に、電解セルを画定する。好ましい実施例では、垂直管の内壁は、電解セルのアノード(+)を構成し、中心電極はカソード(-)を構成する。
【0031】
特定の好ましい実施例では、本体は、中心電極を収容しない少なくとも2本の垂直管をさらに含む。第1の垂直管は、下方水平管を第1上方水平管に接続し、第2の垂直管は、下方水平管を第2上方水平管に接続する。これらの追加の管は、電解質の再循環に有利であり、電解セルから発生したガスの除去を改善する。
【0032】
好ましい実施例では、本発明による高圧電解ユニットは、2つ以上の電解セル、例えば、3、4、5、6、7、8、又は最大50個の複数のセルを備え、これらのセルは並列に接続される。さらに好ましい実施例では、中心電極の上部同士は、垂直管の外側で、例えば、次いでDC電源に接続される導電性プロファイルによって、電気的に相互接続される。
【0033】
動作に際して、各電解セルのカソードで水素ガスが生成され、アノードで酸素ガスが生成される。分離膜は、発生した気泡が液体電解質中を上昇するときに、水素ガス及び酸素ガスを分離した状態に保つ。液体電解液の上には、気密シールによって互いに分離された2つのセクションからなる、離脱スペースがあり、1つのセクション、すなわち第1上方水平管は水素ガスを受け、もう1つのセクション、すなわち第2上方水平管は酸素ガスを受け入れる。この2種のガスは、洗浄及び乾燥、貯蔵、輸送、又は通気のために、それぞれの管から別々に除去される。
【0034】
各電解ユニットは、電解セルにおいて発生し、前記管に収集されたガスを管から除去するための、それぞれの2本の上方水平管と液流及び気流で連通する、少なくとも1つ、好ましくは2つのガス取出し接続部を備える。加えて、各ユニットは、液体電解質又は脱塩水(demin-water)を、好ましくはユニットの下方水平管に供給するための送給導管用の接続部を含む。
【0035】
本発明のさらなる態様では、上記で定義され、説明された、直列に接続された、複数の高圧電解ユニットを備える、高圧電解槽が提供される。組み合わされた電解ユニットは、例えば
図7及び
図8に例示されるような方法で、電気的に隔離された隣接する配列に配設するのが好ましい。
図6に例示するように、ユニットは次のように電気的に接続される、すなわち第1のユニットの本体のアノード(+)がDC電源に接続され、第1のユニットの中心電極のカソード(-)は、第2の隣接する電気分解ユニットの本体に接続され、第2の電気分解ユニットの中心電極は、次に隣接する前記電気分解ユニットの本体に接続され、以下同様にして、最後の中心電極(-)はDC電源に接続される。直列接続されたユニットの全体の電圧差は、ユニット数に1つのユニットの電圧降下を乗じたものに等しく、2~3Vdcの範囲である。電流は、並列セルの数に、セルの詳細設計とセルに印加される電圧に依存する、1つのセルを流れる電流を乗じた値に等しい。
【0036】
本発明による高圧電解槽は、少なくとも2つの電解ユニットを備えるが、好ましくは複数、例えば少なくとも10ユニット、より好ましくは少なくとも50~150ユニットである。好ましい実施例では、電解ユニットは、液体電解質及び脱塩水の共通の送給導管、並びに水素及び酸素ガスのガス取出し導管によって、さらに結合される。
【0037】
本発明による高圧ユニットの本体の肉厚は、所望の発生圧力、本体が製作される金属の降伏強度及び電気伝導率などの材料特性によって決定される。一般に、肉厚は、約0.65から1.60cmの範囲で変化してもよい。通常、高圧ユニットの垂直管の長さは、500から2000mmの範囲であり、さらに4000mmまで進展させてもよい。通常、中心電極の直径は約30mmであり、さらに100mmまで進展させてもよい。これらの値は単に指標であり、いかなる点においても本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0038】
本発明のさらなる態様では、本発明による高圧電解デバイスの一部を形成する1つ又は複数の冷却・乾燥ユニットが設けられる。冷却・乾燥ユニットは、生成された水素ガス及び酸素ガスの取出し導管に接続されている。
【0039】
好ましい実施例では、生成された水素ガス及び酸素ガスは、冷却・乾燥デバイスに搬送されて、冷却媒体、例えば冷却水によって冷却される。冷却後、酸素ガスは大気圧まで減圧し、酸素の熱力学的挙動によりさらに温度が低下する。次に、周囲条件の酸素を使用して、まだ高圧下にある水素ガスをさらに冷却する。ガス冷却ユニットは、凝縮水が電気分解ユニットに戻るように設計されている。下流システムでの水蒸気の凝縮が回避される。したがって、水素ガスを周囲温度以下に冷却することにより、大気条件より低い飽和温度まで乾燥させ、下流のシステムでの水凝縮を防止する。
【0040】
本発明の別の態様では、本発明による電解デバイスの一部を形成する1つ又は複数の圧力容器が提供される。圧力容器は、好ましくは、乾燥及び精製されたガスを貯蔵するための冷却・乾燥ユニットに解放可能に接続される。
【0041】
本発明による電解槽は、従来技術の同種の電解槽と比較して、いくつかの利点を有する。これらの利点は、とりわけ、a)高圧環境、b)気液分離、c)重力効果による電解セルからの生成ガスの自然循環及び除去、d)中心電極の隔離、e)装置のメンテナンスの簡素化、f)生成ガスの冷却、に関係する。
【0042】
高圧環境に関しては、圧力格納容器も電極の1つである。同軸アノード/カソード構成により、アノードによって提供される格納容器本体における従来の材料の実用的な肉厚で、非常に高圧の水素発生が可能になる。従来の積層コンセプトはプレートが大きいため、システムに大電流が流れることを可能にする。プレートの周囲は、圧密に保つ必要がある周囲でもある。本電解槽は、アノード/カソード構成及び第1上方水平管及び第2上方水平管の開口の円周が、積層コンセプトにおけるプレートの周囲長よりも大幅に小さくなるように設計されており、この結果として、可燃性ガスの漏洩の可能性のある領域が小さくなる。
【0043】
電解ユニット内の圧力が高い結果として電極領域のガス量が少なくなり、その結果、電解質の体積が大きくなり、電気抵抗が低くなり、効率が向上する。
【0044】
最大1000バール又はそれを超える圧力での水素(及び酸素)生成を可能にする、本発明の装置及び方法の能力は、以前から既知の電解槽の最高圧力を超える。本発明の装置及び方法は、製品水素ガスを加圧するための別個の圧縮機を必要とせずに、このような高圧水素を生成することができる。本発明によるデバイスは、高圧水素生成を、部品コスト及びシステムの複雑さを低減する独自の方法で行うことを可能にし、その結果、機器が容易に入手可能となる。このデバイスは、任意の生成能力に合わせて拡張可能である。
【0045】
気液分離に関して、液体電解質及び発生ガスの循環は、本発明による水平管及び垂直管の組立体によって、特に、下方水平管を第1上方水平管及び第2上方水平管とそれぞれ接続する2本の追加の垂直管によって、改善される。これらの追加の垂直管は、電解セル内でガスを生成することに起因する、他の垂直管の油圧現象による電解液の下流を可能にする。生成されたガスは、自然通風によって電極表面から除去され、これによりシステムの容量が向上する。アクティブな循環システムは必要としない。収集ヘッダは、高圧電解ユニットにおける自然循環及びガス分離を可能にするか、又は改善するために、本発明による電解槽に含まれる。
【0046】
電解液の循環及び電解セルからの生成ガスの除去に関して、本発明の電解ユニットの水平管及び垂直管の組立体は、生成ガスを電極から除去するための能動的な循環システムを必要としないように設計され、システムの容量を向上させる。自然通風は、中心電極を収納せず、したがって開いたままにされて、電解セルでガスを生成することに起因する、垂直セル内の油圧現象による電解液の下流を可能にする、垂直管によって確立される。従来技術は、これらの特徴について言及していない。
【0047】
中心電極の隔離に関しては、中心電極は中実の棒型電極であることが好ましい。電極の上部を電気的に隔離し、収集ヘッダ、すなわち2本の上方水平管でのガスの発生を防止し、高品質のガス生成を可能にする。これは、例えば、収集ヘッダ内のガスの発生を防止するための対策が開示されていない、EP3498886A1と比較すると、改善である。
【0048】
装置のメンテナンスに関しては、中心電極を収容する垂直管の外側上部は、好ましくはねじ切りされており、解放可能なねじ式圧力取付具が設けられている。さらに、中心電極及び周囲の分離膜は、好ましくは頂部支持のみであって、メンテナンス又は交換のための中心電極及び膜の取り外しを容易にする。したがって、装置のメンテナンスが簡素化され、より効率的で安価になる。
【0049】
生成ガスの冷却に関して、本発明のガス冷却ユニットは、水素ガスを冷却することにより、それを大気条件より低い飽和温度まで乾燥させ、それによって下流システムにおける水の凝縮を防止する。従来技術は、この特徴について言及していない。
【0050】
本発明の装置及び方法は、次のような場所で高圧水素を生成するために利用することができる:例えば、水素燃料電池自動車用のサービスステーション;高圧キャニスタを介した水素燃料の小売販売のための地元のエネルギー生産者又は販売業者;オンサイトのエネルギー貯蔵及び/又は化学原料としての使用、燃料電池又は内燃機関ベースの熱及び/又は電力生産での使用のための、(石油)化学プラント、発電所、オフィスビルなどの工場である。
【0051】
図面に目を向けて、特に
図1~3を参照すると、4つの並列電解セルを備える、高圧電解セル・ユニットの実施例が示されており、このユニットは、3本の水平相互接続管1b、1c、1dと、一列に並べられた、4本の垂直相互接続管1aに加えて、すべてが導電性金属からなり、電解液とガスの加圧格納容器を包囲する導電性本体1を構成している、2本の追加の垂直管1e及び1fの、組立体で構成されている。本体の下方水平管には液体電解質又は水の入口11が設けられ、2つの上方水平管1d、1cには、生成ガスである水素及び酸素をそれぞれ外に出す、2つのガス出口12、13が設けられている。本体1はDC電源、本実施例ではアノード(+)に接続可能である。複数の垂直管は、参照符号1aで表わされる。これらの管は、それぞれ電解セルを含み、この実施例では、垂直管1a内の中心にあるカソード(-)と定義される、対向電極2を包囲する。下方水平管1bは、垂直管1aとその下方外端で接続し、電解セル・ユニットの一部を形成する複数のセルに電解液を均一に分布させる。第2上方水平管1c及び第1上方水平管1dは、垂直管1aの上部において隣接距離にあり、垂直管と相互接続され、(電解液とガスとを分離する)酸素及び水素の分離及び収集ヘッダを備える。管1e、1fは下降管であり、それぞれ水平ヘッダ1c、1dから余剰電解液を戻す。円筒形の膜3は、中心電極2の周囲に同心円状に配置され、水平ヘッダ1c及び1dの間の垂直管1aに堅固に嵌合された膜支持・密閉取付具4によって支持されている。中心電極2は、垂直管1a内に配設され、圧力密で電気的に隔離された取付具5によって支持されている。導電性接続プロファイル6は、電解セル・ユニット1の外部で、組立体の頂部において並列に配設された対向電極2を電気的に相互接続する。電気的隔離リング7は、電解セル・ユニット1の本体を、電極2及び導電性接続プロファイル6から隔離する。
【0052】
図4は、電解セルの上部をより詳細に示しており、特に本体1、分離膜3及び支持・密閉取付具4と、電極2a、電極隔離2b、電極密閉取付具5及び隔離リング7との相対的な配設を示す。
【0053】
図5は、左側に従来技術の積層型電解槽のセルの概略図を示し、一方、右側には本発明のセル、すなわち中心電極2と膜3を備えた垂直管1aの断面を示す。
【0054】
図6は、
図1~
図3で説明したように、17個の電解セルを並列に並べた高圧電解ユニットの実施例の3次元図を示す。
【0055】
図7は、直列に接続された、先の図で説明した4つの高圧電解セル・ユニットの概略図である。1つのユニットの本体1は、様々なタイプの電気接続プロファイル6a、6b、及び6cによって隣接ユニットの中心電極2に接続されている。各ユニットの本体は、電気隔離パッド8によってそれぞれ電気的に隔離されている。
【0056】
図8は、直列配設における、複数の(16個の)高圧電解ユニットと、これに接続された発生ガスの冷却・乾燥装置とを備える、電解槽の実施例の斜視図である。
【0057】
図9は、
図8の電解槽及び冷却・乾燥ユニットを示す電解プラント・モジュールの一部の概略図であり、このデバイスは、(脱塩)水の送給導管41、反応生成物水素の主抽出導管43、及び酸化反応生成物(酸素)の主抽出導管42を含む。また、冷却媒体用の送給導管44も示されている。この方式は、本発明の明細書に従った電流及び電圧のニーズに応えるために、セルの各ユニットの送給のための1つ又は複数のモジュールを設計することを可能にする。
【0058】
図10は、冷却・乾燥システムを含む、本発明の実施例の等角図を示す。
【0059】
図11は、水素用の熱交換器51、52、及び53、酸素用の熱交換器54及び55、外部冷却システム57、並びに減圧ステーション56を備える、冷却・乾燥システムを含む本発明の実施例の概略図を示す。
【0060】
動作
空のラックでは、ラック内の最大レベルが確保されるまで、すべての通気デバイスを開いた位置にして、ユニットは電解液で満たされる(最初の充填で、電解液は脱塩水に25~30%の水酸化カリウムの溶液である)。
【0061】
次いで、ユニットをDC電源に接続し、すべての電解セルに2~3Vの電圧降下を発生させることにより、電気分解プロセスが開始される。中心電極(カソード)の表面で水素ガスが生成され、周囲の垂直管(アノード)の内表面で酸素が生成される。生成されたガスは、それぞれ第1上方水平管と第2上方水平管に上昇して収集され、その後環境に放出される。しばらくすると、生成されたガスによってすべての下流の体積が一掃され、下流のシステムに空気が残っていない場合、通気デバイスは閉じられる。生成された気体の体積が、変換された水の体積よりもはるかに大きいため、システム内に圧力が蓄積する。
【0062】
下降管を介した自然循環は、電解セル領域からの生成されたガスの除去と、ヘッダ内のガスの収集を支援する。
【0063】
運転圧力がガス圧に達すると、ガス圧制御システムは、貯蔵システム及び/又はパイプ・ライン・システムなどの下流システムに余剰ガスを放出する。水の変換量は、水位が低レベル又は制御可能なレベルに達したときに脱塩水で補われる。
【0064】
生成された水素ガス及び酸素ガスは、冷却水などの冷却媒体によって冷却される。冷却後、酸素ガスの圧力は周囲圧力まで低下し、酸素の熱力学的挙動により別の温度低下が生ずる。次いで、周囲圧力の冷たい酸素を使用して、まだ加圧されている水素をさらに冷却する。
【0065】
冷却装置は、凝縮した水蒸気が電解槽セル中に戻るように設計されている。
【0066】
水素ガスを上記のように冷却すると、大気条件以下の飽和温度まで乾燥されて、下流システムでの水蒸気の凝縮を防ぐ。
【0067】
以上の説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に把握することができ、その趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で、種々の用途及び条件に適合させるために種々の変更及び修正を加えることができる。したがって、これらの変更及び適合は、添付の特許請求の範囲で請求されているように、本発明の保護範囲内にあるとみなされる。
【国際調査報告】