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特表2024-543460アルミニウムスクラップリサイクル用の高度な精製セル
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  • 特表-アルミニウムスクラップリサイクル用の高度な精製セル 図1
  • 特表-アルミニウムスクラップリサイクル用の高度な精製セル 図2
  • 特表-アルミニウムスクラップリサイクル用の高度な精製セル 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】アルミニウムスクラップリサイクル用の高度な精製セル
(51)【国際特許分類】
   C25C 3/08 20060101AFI20241114BHJP
   C22C 1/02 20060101ALI20241114BHJP
   C22B 21/06 20060101ALI20241114BHJP
   C25C 3/24 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C25C3/08
C22C1/02 503J
C22B21/06
C25C3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527808
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 US2022049783
(87)【国際公開番号】W WO2023086616
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/279,447
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/335,984
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317012374
【氏名又は名称】アルコア ユーエスエイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シンフア
【テーマコード(参考)】
4K001
4K058
【Fターム(参考)】
4K001AA02
4K001BA22
4K001BA23
4K001EA13
4K058AA23
4K058BA08
4K058BB07
4K058GB01
4K058GB03
4K058GC01
4K058GC06
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、アルミニウムを精製するための方法を含む。方法は、アルミニウム精製セル内のアルミニウム原料から精製アルミニウムを生成することと、アルミニウム精製セルのセルチャンバからオーバーフロー通路を介して精製金属貯蔵部に精製アルミニウムを流すことと、を含み、精製金属貯蔵部はアルミニウム精製セルの内部に位置する。いくつかの実施形態では、供給貯蔵部はアルミニウム精製セルの内部に位置し、セルチャンバの耐火性トップカバー内に位置する供給ポートを介してアクセスすることができる。いくつかの実施形態では、方法は、セルチャンバの耐火性トップカバー内に位置するタッピングポートを介して、精製アルミニウムを精製金属貯蔵部から除去することを含む。いくつかの実施形態では、除去工程と同時に、方法は、精製アルミニウムの酸化を制限または防止することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムを精製するための方法であって、
(a)アルミニウム精製セル内のアルミニウム原料から精製アルミニウムを生成することであって、前記精製アルミニウムが、前記アルミニウム精製セルの電解質未満の密度を有し、前記電解質が、前記アルミニウム精製セルの溶融金属パッド未満の密度を有する、生成することと、
(b)前記精製アルミニウムを、前記アルミニウム精製セルのセルチャンバから、オーバーフロー通路を介して精製金属貯蔵部に流すことであって、前記精製金属貯蔵部が前記アルミニウム精製セルの内部に位置する、流すことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記生成工程(a)の前に、
前記アルミニウム原料を前記アルミニウム精製セルに供給することを、さらに含み、
前記アルミニウム原料がアルミニウム金属を含み、
前記アルミニウム精製セルが、前記溶融金属パッドおよび前記電解質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルミニウム原料を前記供給する工程が、
前記アルミニウム精製セルの内部に位置する供給貯蔵部を介して、前記溶融金属パッド内に前記アルミニウム原料を流すことを、含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルミニウム原料が、アルミニウム合金スクラップを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記アルミニウム合金スクラップが、1xxx系アルミニウム合金、2xxx系アルミニウム合金、3xxx系アルミニウム合金、4xxx系アルミニウム合金、5xxx系アルミニウム合金、6xxx系アルミニウム合金、7xxx系アルミニウム合金、8xxx系アルミニウム合金、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アルミニウム合金スクラップが、新しいアルミニウムスクラップおよび/または古いアルミニウムスクラップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記アルミニウム精製セルが、耐火性側壁と、耐火性トップカバーと、セル底部とによって少なくとも部分的に画定される前記セルチャンバをさらに備え、前記セル底部が基部の近位に位置する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記セルチャンバの耐火性トップカバーを貫通する供給ポートを介して、前記精製金属貯蔵部へのアクセスを提供することを、さらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記セルチャンバの耐火性トップカバー内に形成された不活性ガス入口を介して前記セルチャンバに不活性ガスを提供し、それによって前記セルチャンバに不活性雰囲気を提供することを、さらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記アルミニウム原料を供給貯蔵部に供給しながら、前記アルミニウム精製セルの前記セルチャンバの前記不活性雰囲気を維持することと、前記精製アルミニウムを生成することと、タッピングポートを介して前記アルミニウム精製セルから前記精製アルミニウムを除去することと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記供給貯蔵部の供給ポートおよび前記精製金属貯蔵部の前記タッピングポートが、前記セルチャンバの密封シールを少なくとも部分的に画定する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記セルチャンバの耐火性トップカバー内に位置するタッピングポートを介して、前記精製アルミニウムを前記精製金属貯蔵部から除去することを、さらに含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記除去工程と同時に、前記精製アルミニウムの酸化を制限または防止することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも一つのアノードが少なくとも一つのカソードと重なり、それによってアノード・カソードの重なりを画定し、前記少なくとも一つのカソードの遠位端が、前記少なくとも一つのアノードの中間部分の近位にあり、前記少なくとも一つのアノードの遠位端が、前記少なくとも一つのカソードの中間部分の近位にある、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記生成工程(a)が、
電流を少なくとも一つのアノードに前記電解質を通して、および少なくとも一つのカソードに流すこと、を含み、
(i)前記少なくとも一つのアノードおよび前記少なくとも一つのカソードが、前記電解質内に部分的に配置され、
(ii)前記少なくとも一つのアノードが前記溶融金属パッド内に部分的に配置されている、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記生成工程(a)が、
前記少なくとも一つのアノードからアルミニウムイオンを生成することと、前記アルミニウムイオンの少なくとも一部を前記電解質内に移動させることと、前記アルミニウム精製セルの少なくとも一つのカソードまたはその近くで前記アルミニウムイオンの前記少なくとも一部を低減することと、を含む、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
アルミニウム精製セルであって、
(a)セル底部、耐火性側壁、および耐火性トップカバーを含む、セルチャンバと、
(b)前記セル底部から上向きに延在する、少なくとも一つのアノードと、
(c)前記耐火性トップカバーの近位に位置する、カソードコネクタと、
(d)前記カソードコネクタから下向きに延びる、少なくとも一つのカソードと、
(e)前記セルチャンバから、前記アルミニウム精製セルの内部に位置する精製金属貯蔵部へと延在する、オーバーフロー通路と、を備える、アルミニウム精製セル。
【請求項18】
前記セルチャンバの前記耐火性トップカバー内に位置する、タッピングポートおよび供給ポートをさらに備える、請求項17に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項19】
前記供給ポートおよび前記タッピングポートが、前記セルチャンバの密封シールを少なくとも部分的に画定する、請求項18に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項20】
前記アルミニウム精製セルの内部に位置する供給貯蔵部を、さらに備える、請求項1~19のいずれかに記載のアルミニウム精製セル。
【請求項21】
前記供給貯蔵部が、アルミニウム原料を前記セルチャンバの溶融金属パッドに直接方向付ける、請求項20に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項22】
前記溶融金属パッドが、少なくとも5重量%のアルミニウム金属、または少なくとも10重量%のアルミニウム金属、または少なくとも15重量%のアルミニウム金属、または少なくとも20重量%のアルミニウム金属、または少なくとも25重量%のアルミニウム金属、または少なくとも30重量%のアルミニウム金属、または少なくとも35重量%のアルミニウム金属、または少なくとも40重量%のアルミニウム金属、または少なくとも45重量%のアルミニウム金属、少なくとも50重量%のアルミニウム金属、少なくとも55重量%のアルミニウム金属、少なくとも60重量%のアルミニウム金属、少なくとも65重量%のアルミニウム金属、少なくとも70重量%のアルミニウム金属、少なくとも75重量%のアルミニウム金属、少なくとも80重量%のアルミニウム金属、少なくとも85重量%のアルミニウム金属、少なくとも90重量%のアルミニウム金属、または少なくとも95重量%のアルミニウム金属、を含む、請求項21に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項23】
前記溶融金属パッドが少なくとも一つの合金を含む、請求項21または請求項22に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項24】
前記少なくとも一つの合金が、Al、Si、Cu、Fe、Sb、Gd、Cd、Sn、Pb、またはそれらの任意の組み合わせのうちの一つ以上を含む、請求項23に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項25】
前記アルミニウム精製セル内の前記少なくとも一つのアノード上の濡れ性材料の組成物が、前記溶融金属パッドと同一であるか、または実質的に類似している、請求項1~24のいずれかに記載のアルミニウム精製セル。
【請求項26】
前記濡れ性材料の前記組成物が金属である、請求項25に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項27】
前記金属が、アルミニウム、マグネシウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項26に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項28】
前記金属が、少なくとも5重量%のアルミニウム、または少なくとも10重量%のアルミニウム、または少なくとも15重量%のアルミニウム、または少なくとも20重量%のアルミニウム、または少なくとも25重量%のアルミニウム、または少なくとも30重量%のアルミニウム、または少なくとも35重量%のアルミニウム、または少なくとも40重量%のアルミニウム、または少なくとも45重量%のアルミニウム、少なくとも50重量%のアルミニウム、少なくとも55重量%のアルミニウム、少なくとも60重量%のアルミニウム、少なくとも65重量%のアルミニウム、少なくとも70重量%のアルミニウム、少なくとも75重量%のアルミニウム、少なくとも80重量%のアルミニウム、少なくとも85重量%のアルミニウム、少なくとも90重量%のアルミニウム、または少なくとも95重量%のアルミニウム、を含む、請求項26に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項29】
前記金属が、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項30】
前記アルミニウム精製セルが、
前記耐火性トップカバー内に形成された不活性ガス入口であって、前記セルチャンバに不活性雰囲気を提供するように構成された不活性ガス入口を、さらに備える、請求項1~29のいずれかに記載のアルミニウム精製セル。
【請求項31】
前記少なくとも一つのアノードの遠位端と前記少なくとも一つのカソードの遠位端とが部分的に重なる、請求項1~30のいずれかに記載のアルミニウム精製セル。
【請求項32】
前記アルミニウム原料がアルミニウム金属を含む、請求項21に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項33】
前記アルミニウム原料が、アルミニウム金属以外の少なくとも一つの他の金属を含む、請求項21または請求項32に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項34】
前記アルミニウム原料が遷移金属を含む、請求項21、32、または33のいずれか一項に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項35】
前記アルミニウム原料が、少なくとも50重量%のアルミニウム金属、少なくとも55重量%のアルミニウム金属、少なくとも60重量%のアルミニウム金属、少なくとも65重量%のアルミニウム金属、少なくとも70重量%のアルミニウム金属、少なくとも75重量%のアルミニウム金属、少なくとも80重量%のアルミニウム金属、少なくとも85重量%のアルミニウム金属、少なくとも90重量%のアルミニウム金属、または少なくとも95重量%のアルミニウム金属を含む、請求項21または32~34のいずれか一項に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項36】
前記アルミニウム原料が不純物を含む、請求項21または32~35のいずれか一項に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項37】
前記アルミニウム原料の前記不純物が、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Ni、Si、Ti、Zn、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項36に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項38】
前記アルミニウム原料が、他の不純物に加えて、最大2重量%のMgを含む、請求項21または32~37のいずれか一項に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項39】
前記アルミニウム原料が、前記アルミニウム原料の0.5重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の5.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の10.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の15.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の20.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の25.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の30.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の35.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の40.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の45.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~45.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~40.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~35.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~30.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~25.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~20.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~15.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~10.0重量%の不純物、または前記アルミニウム原料の0.5重量%~5.0重量%の不純物を含む、請求項21または32~38のいずれか一項に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項40】
前記アルミニウム原料が、少なくとも5重量%の銅、少なくとも10重量%の銅、少なくとも15重量%の銅、少なくとも20重量%の銅、少なくとも25重量%の銅、少なくとも30重量%の銅、少なくとも35重量%の銅、少なくとも40重量%の銅、少なくとも45重量%の銅、または少なくとも50重量%の銅を含む、請求項21または32~39のいずれか一項に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項41】
前記アルミニウム原料がアルミニウム合金スクラップを含む、請求項21または32~40のいずれか一項に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項42】
前記アルミニウム合金スクラップが、1xxx系アルミニウム合金、2xxx系アルミニウム合金、3xxx系アルミニウム合金、4xxx系アルミニウム合金、5xxx系アルミニウム合金、6xxx系アルミニウム合金、7xxx系アルミニウム合金、8xxx系アルミニウム合金、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項41に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項43】
前記アルミニウム合金スクラップが、新しいアルミニウムスクラップおよび/または古いアルミニウムスクラップを含む、請求項41に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項44】
前記溶融金属パッドが、少なくとも5重量%の銅、少なくとも10重量%の銅、少なくとも15重量%の銅、少なくとも20重量%の銅、少なくとも25重量%の銅、少なくとも30重量%の銅、少なくとも35重量%の銅、少なくとも40重量%の銅、少なくとも45重量%の銅、または少なくとも50重量%の銅を含む、請求項21~43のいずれか一項に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項45】
前記アルミニウム原料がアルミニウム金属を含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記アルミニウム原料が、アルミニウム金属以外の少なくとも一つの他の金属を含む、請求項1~16または45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記アルミニウム原料が遷移金属を含む、請求項1~16、45、または46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記アルミニウム原料が、少なくとも50重量%のアルミニウム金属、少なくとも55重量%のアルミニウム金属、少なくとも60重量%のアルミニウム金属、少なくとも65重量%のアルミニウム金属、少なくとも70重量%のアルミニウム金属、少なくとも75重量%のアルミニウム金属、少なくとも80重量%のアルミニウム金属、少なくとも85重量%のアルミニウム金属、少なくとも90重量%のアルミニウム金属、または少なくとも95重量%のアルミニウム金属を含む、請求項1~16または45~47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記アルミニウム原料が不純物を含む、請求項1~16または45~48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記アルミニウム原料の前記不純物が、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Ni、Si、Ti、Zn、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記アルミニウム原料が、他の不純物に加えて、最大2重量%のMgを含む、請求項1~16または45~50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記アルミニウム原料が、前記アルミニウム原料の0.5重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の5.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の10.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の15.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の20.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の25.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の30.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の35.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の40.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の45.0重量%~50.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~45.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~40.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~35.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~30.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~25.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~20.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~15.0重量%の不純物、前記アルミニウム原料の0.5重量%~10.0重量%の不純物、または前記アルミニウム原料の0.5重量%~5.0重量%の不純物を含む、請求項1~16または45~51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記アルミニウム原料が、少なくとも5重量%の銅、少なくとも10重量%の銅、少なくとも15重量%の銅、少なくとも20重量%の銅、少なくとも25重量%の銅、少なくとも30重量%の銅、少なくとも35重量%の銅、少なくとも40重量%の銅、少なくとも45重量%の銅、または少なくとも50重量%の銅を含む、請求項1~16または45~52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記溶融金属パッドが、少なくとも5重量%の銅、少なくとも10重量%の銅、少なくとも15重量%の銅、少なくとも20重量%の銅、少なくとも25重量%の銅、少なくとも30重量%の銅、少なくとも35重量%の銅、少なくとも40重量%の銅、少なくとも45重量%の銅、または少なくとも50重量%の銅を含む、請求項1~16または45~53のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、2021年11月15日に出願された「Advanced Purification Cell for Aluminum Scrap Recycling」と題する米国仮特許出願第63/279,447号、および2022年4月28日に出願された「Advanced Purification Cell for Aluminum Scrap Recycling」と題する米国仮特許出願第63/335,984号に対する優先権を主張するもので、その各々はここに、参照によりその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムは従来、ボーキサイト鉱石に由来するアルミナ(Al)から作られてきた。アルミナ(Al)のアルミニウムへの変換は、通常は、アルミナ(Al)を融剤である氷晶石に溶解し、その後、混合物に電流を流し、炭素アノードからの炭素を溶解アルミナ(Al)の酸素成分に付着させ、副生成物としてアルミニウムおよび二酸化炭素を得る、精錬方法によって実施される。アルミニウムを精製するための様々な努力がなされており、これには、「フープス法」(米国特許第1,534,315号を参照)、ならびに共同所有の国際特許出願WO2016/130823に記載される方法が含まれる。
【発明の概要】
【0003】
概して、本開示は、セルの内部に一つ以上の貯蔵部を含み得るアルミニウム精製セルを介して精製アルミニウムを生成するための方法およびシステムに関する。例えば、一実施形態では、セルは、(i)セルの内部に供給貯蔵部、および(ii)セルの内部に精製金属貯蔵部のうちの一方または両方を含み得る。セルの内部に一つ以上の貯蔵部を配置することは、少なくとも部分的にセルが密封シールされ得るため、酸化を制限/防止する場合がある。いくつかの実施形態では、セルを出入りする流体は、密封シールを維持するためにポートを通して提供されてもよい。例えば、一実施形態では、供給ポートは供給貯蔵部へのアクセスを提供することができ、および/またはタッピングポートは精製金属貯蔵部へのアクセスを提供することができる。一部の例では、不活性ガスはまた、アルミニウム金属の酸化をさらに防止/制限するためにセルに提供されてもよい。一つ以上の貯蔵部がセルの内部に位置する場合、不活性ガスは、一つ以上の貯蔵部を含むセルに不活性雰囲気を提供することができる。いくつかの実施形態では、精製アルミニウムを生成するとき、一つ以上の貯蔵部は、(i)アルミニウム原料をセルに供給すること、および/または(ii)精製アルミニウムを精製金属貯蔵部からタップすることによるセル妨害を低減することができる。本開示はまた、アルミニウム精製セルの動作中に、熱損失を低減し、エネルギー消費を改善することができる。本明細書に開示される方法は、例えば、精製アルミニウム生成物の製造において、よりコスト効果が高い場合がある。
【0004】
一態様では、本開示は、アルミニウムを精製するための方法を含み、これは、アルミニウム精製セル内のアルミニウム原料から精製アルミニウムを生成することであって、精製アルミニウムが、アルミニウム精製セルの電解質より小さい密度を有し、電解質が、アルミニウム精製セルの溶融金属パッドより小さい密度を有する、生成することと、精製アルミニウムをアルミニウム精製セルのセルチャンバからオーバーフロー通路を介して精製金属貯蔵部に流すことであって、精製金属貯蔵部が、アルミニウム精製セルの内部に位置する、流すことと、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、生成工程は、アルミニウム原料をアルミニウム精製セルに供給することを含み、アルミニウム原料はアルミニウム金属(例えば、アルミニウムスクラップ)を含み、アルミニウム精製セルは溶融金属パッドおよび電解質を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、アルミニウム原料を供給する工程は、アルミニウム精製セルの内部に位置する供給貯蔵部を介して溶融金属パッド内にアルミニウム原料を流すことを含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料はアルミニウム合金スクラップである。いくつかの実施形態では、アルミニウム合金スクラップは、1xxx系アルミニウム合金、2xxx系アルミニウム合金、3xxx系アルミニウム合金、4xxx系アルミニウム合金、5xxx系アルミニウム合金、6xxx系アルミニウム合金、7xxx系アルミニウム合金、8xxx系アルミニウム合金、またはそれらの任意の組み合わせのスクラップを含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム合金スクラップは、新しいアルミニウムスクラップおよび/または古いアルミニウムスクラップを含む。
【0007】
アルミニウムスクラップは、新しいスクラップまたは古いスクラップとして説明することができる。新しいアルミニウムスクラップは、製造プロセスからのアルミニウムスクラップであり、古いアルミニウムスクラップは、消費者使用後のアルミニウムスクラップである。アルミニウムの半製造品および最終製品の製造中に、新しいアルミニウムスクラップが生成される。古いアルミニウムスクラップは、消費者による廃棄後に回収された製品からのスクラップである。古いアルミニウムスクラップは、新しいアルミニウムスクラップよりも汚染されている可能性がある。古いアルミニウムスクラップの一部の例としては、寿命末期車両、解体された建物、解体された建設材料、廃棄された包装材料、家庭用およびオフィス用器具、ならびに機械機器が挙げられるが、これらに限定される。
【0008】
アルミニウムスクラップ、例えば、古いアルミニウムスクラップの収集および分類は、数百万の世帯、地方および地域の当局、小規模および中型の収集機、ならびに金属小売業者が関与する複雑なスキームであることがある。廃棄物および環境に関するポリシーはまた、収集スキームの有効性に強い影響を与える可能性がある。
【0009】
金属を溶融炉内で回収できるようになる前に、アルミニウムスクラップを分離し、さらに分類し、前処理する必要がある場合がある。この段階でのアルミニウムスクラップの分離は、磁気、重力、渦電流、または色センサなどの様々な機械的動作によって行うことができる。異なるアルミニウム合金のさらなる分離は、X線、X線蛍光(XRF)分光法、および/またはレーザー誘起破壊分光法(LIBS)法によっても達成され得る。例えば、機械的プロセスの前に、鍛錬用合金および鋳造用合金を分離することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セルは、耐火性側壁と、耐火性トップカバーと、セル底部とによって少なくとも部分的に画定されるセルチャンバを含み、セル底部は基部の近位に位置する。いくつかの実施形態では、本開示は、セルチャンバの耐火性トップカバーを貫通する供給ポートを介して、精製金属貯蔵部へのアクセスを提供することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、セルチャンバの耐火性トップカバー内に形成された不活性ガス入口を介して、不活性ガスをセルチャンバに提供し、それによって不活性雰囲気をセルチャンバに提供することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、アルミニウム原料を供給貯蔵部に供給しながらアルミニウム精製セルのセルチャンバの不活性雰囲気を維持することと、精製アルミニウムを生成することと、タッピングポートを介してアルミニウム精製セルから精製アルミニウムを除去することと、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、セルチャンバの耐火性トップカバー内に位置するタッピングポートを介して、精製アルミニウムを精製金属貯蔵部から除去することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、除去工程と同時に、精製アルミニウムの酸化を制限または防止することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、供給貯蔵部の供給ポートおよび精製金属貯蔵部のタッピングポートが、セルチャンバの密封シールを少なくとも部分的に画定することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも一つのアノードが少なくとも一つのカソードと重なり、それによってアノード・カソードの重なりを画定することを含み、少なくとも一つのカソードの遠位端は少なくとも一つのアノードの中間部分の近位にあり、少なくとも一つのアノードの遠位端は少なくとも一つのカソードの中間部分の近位にある。いくつかの実施形態では、生成工程は、電流を少なくとも一つのアノードに電解質を通して、および少なくとも一つのカソードに流すことを含み、(i)少なくとも一つのアノードおよび少なくとも一つのカソードは電解質内に部分的に配置され、(ii)少なくとも一つのアノードは溶融金属パッド内に部分的に配置される。いくつかの実施形態では、生成工程は、電解質内にアルミニウムイオンを生成することと、アルミニウム精製セルの少なくとも一つのカソードまたはその近くでアルミニウムイオンの少なくとも一部を低減することとを含む。いくつかの実施形態では、生成工程は、少なくとも一つのアノードからアルミニウムイオンを生成することと、アルミニウムイオンの少なくとも一部を電解質内に移動させることと、アルミニウム精製セルの少なくとも一つのカソードまたはその近くでアルミニウムイオンの少なくとも一部を減少させることと、を含む。
【0013】
別の態様では、本開示はアルミニウム精製セルを含み、これは、セル底部、耐火性側壁、および耐火性トップカバーを含む、セルチャンバと、セル底部から上向きに延在する、少なくとも一つのアノードと、耐火性トップカバーの近位に位置する、カソードコネクタと、カソードコネクタから下向きに延在する、少なくとも一つのカソードと、セルチャンバからアルミニウム精製セルの内部に位置する精製金属貯蔵部に延在する、オーバーフロー通路と、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セルは、セルチャンバの耐火性トップカバー内に位置する、タッピングポート200および供給ポートをさらに含む。いくつかの実施形態では、供給ポートおよびタッピングポートは、セルチャンバの密封シールを少なくとも部分的に画定する。いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セルは、アルミニウム精製セルの内部に位置する供給貯蔵部をさらに含む。いくつかの実施形態では、供給貯蔵部は、アルミニウム原料をセルチャンバの溶融金属パッドに直接向ける。いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セルは、耐火性トップカバー内に形成された不活性ガス入口であって、セルチャンバに不活性雰囲気を提供するように構成された不活性ガス入口をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのアノード90の遠位端92および少なくとも一つのカソード150の遠位端152は、部分的に重なる。
【0015】
本開示は概してアルミニウムを精製することを対象とするが、本明細書に記載の装置、システム、および方法は、他の金属(例えば、マグネシウム)を精製することに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一部の実施形態による、アルミニウムを精製するためのアルミニウム精製セルの一実施形態の概略切り取り側面図である。
【0017】
図2図2は、一部の実施形態による、アルミニウムを精製するためのアルミニウム精製セルの一実施形態の概略切り取り側面図である。
【0018】
図3図3は、アルミニウム精製セル中のアルミニウムスクラップなどのアルミニウム金属を精製するための方法の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、添付図面を参照してさらに説明され、同様の構造は、いくつかの図全体を通して同様の数字で言及される。図面は、本明細書の一部を構成し、本開示の例示的な実施形態を含み、様々な目的およびその特徴を例示する。さらに、図は必ずしも縮尺どおりではなく、一部の特徴は、構成要素の詳細を示すために誇張される場合がある。さらに、図に示される任意の寸法、仕様等は、例示であることを目的とするものであり、限定するものではない。したがって、本明細書に開示される特定の構造および機能の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、本開示を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基礎としてのみ解釈されるべきである。
【0020】
開示されたこれらの利点および改良点のうち、本開示の他の目的および利点は、添付の図面と併せて以下の説明から明らかになるであろう。本開示の詳細な実施形態が本明細書に開示される。しかし、開示された実施形態は、様々な形態で具体化されてもよい本開示を単に例示するものであることを理解すべきである。さらに、本開示の様々な実施形態に関連して挙げた例のそれぞれは、例示を目的とするものであり、限定するものではない。
【0021】
本明細書および特許請求の範囲全体を通して、以下の用語は、文脈が別途明確に指示しない限り、本明細書に明示的に関連付けられた意味を有する。本明細書で使用される語句「一実施形態では」および「いくつかの実施形態では」は、同じ実施形態を指す場合があるが、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、本明細書で使用される語句「別の実施形態では」および「いくつかの他の実施形態では」は、別の実施形態を指す場合があるが、必ずしも別の実施形態を指すわけではない。したがって、以下に説明するように、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、本開示の様々な実施形態を容易に組み合わせてもよい。
【0022】
さらに、本明細書で使用される用語「または」は、包括的な「または」作用素であり、文脈が別途明確に指示しない限り、用語「および/または」と同等である。「に基づいて」という用語は、排他的なものではなく、文脈が別途明確に指示しない限り、記載されていない別の要素に基づくことを認める。さらに、本明細書全体を通して、「a」、「an」、および「the」の意味には複数の指示対象が含まれる。「in」の意味には、「in」および「on」が含まれる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アルミニウム原料」は、少なくとも50重量%のアルミニウムを有する材料を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「精製アルミニウム」は、少なくとも99.5重量%のアルミニウムを有する材料を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「溶融金属パッド」は、電解質の下に配置される溶融材料の貯蔵部を意味し、溶融材料はアルミニウムを含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、「アルミニウム濡れ性」とは、90度以下の溶融アルミニウムとの接触角を有することを意味する。
【0027】
本明細書で使用する場合、「電解質」は、イオン/イオン種の移動によって電流が流れる媒体を意味する。一実施形態では、電解質は溶融塩を含んでもよい。
【0028】
本明細書で使用する場合、「エネルギー効率」とは、アルミニウム精製セルによって生成される精製アルミニウム1キログラム当たり、アルミニウム精製セルによって消費されるエネルギー量(キロワット時)を意味する。したがって、エネルギー効率は、キロワット時/生成されるアルミニウムのキログラム(kWh/kg)で表されてもよい。
【0029】
本明細書で使用する場合、「アノード・カソードの重なり」(ACO)は、アノード(例えば、細長い垂直アノード)の遠位端からそれぞれのカソード(例えば、細長い垂直カソード)の遠位端までの垂直距離を意味する。
【0030】
本明細書で使用する場合、「アノード・カソード間距離」(ACD)は、アノード(例えば、細長い垂直アノード)をそれぞれのカソード(例えば、細長い垂直カソード)から分離する水平距離を意味する。
【0031】
図1および図2は、一部の実施形態による、アルミニウムを精製するためのアルミニウム精製セル1の一実施形態の概略切り取り側面図である。アルミニウム精製セル1は、セル底部60、耐火性側壁30、および耐火性トップカバー40を有する、セルチャンバ210と、セル底部60から上向きに延在する、少なくとも一つのアノード90と、耐火性トップカバー40の近位に位置する、カソードコネクタ140と、カソードコネクタ140から下向きに延在する、少なくとも一つのカソード150と、セルチャンバ210から、アルミニウム精製セル1の内部に位置する精製金属貯蔵部260へと延在する、オーバーフロー通路250と、を備える。アルミニウム精製セル1の一例は、2016年2月11日に出願された「Systems and Methods for Purifying Aluminum」と題する共同所有の米国特許第10,407,786号に見出すことができ、これは、その全体が参照により組み込まれる。
【0032】
セルチャンバ210は、耐火性側壁30、耐火性トップカバー40、およびセル底部60によって少なくとも部分的に画定される。セル底部60は、基部10の近位に位置する。いくつかの実施形態では、セルチャンバ210は、タッピングポート200および供給ポート170を含み、両方がセルチャンバ210の耐火性トップカバー40内に位置する。供給ポート170およびタッピングポート200は、セルチャンバ210の密封シールを少なくとも部分的に画定する。供給ポート170は、供給貯蔵部270に接続する。供給貯蔵部270は、アルミニウム精製セル1の内部に位置する。タッピングポート200は、精製金属貯蔵部260に接続する。供給貯蔵部270は、アルミニウム精製セル1の内部に位置する。精製金属貯蔵部260および供給貯蔵部270は、アルミニウム精製セル1の密封シールされた環境内に位置する。
【0033】
アルミニウム精製セル1は、耐火性トップカバー40内に形成された不活性ガス入口220であって、密封シールされたセルチャンバ210に不活性雰囲気を提供するように構成された不活性ガス入口220をさらに含む。不活性ガス入口220に加えて、供給貯蔵部270および精製金属貯蔵部260はそれぞれ、密封シールされた環境のための不活性雰囲気を提供するための不活性ガス入口を有し得る。不活性ガス222をセルチャンバ210内に提供することによって、酸素がセルチャンバ210に入ることをさらに防止または制限する。
【0034】
アルミニウム精製セル1の設計により、セルチャンバ210を空気からシールし、アルミニウム精製セル1内の精製アルミニウム120の上部金属の酸化を防止または制限することができる。供給ポート170は、スクラップ(例えば、アルミニウムを含むスクラップ)を供給し、アノード金属と混合することを可能にする。供給ポート170は、セルチャンバ210へのスクラップの供給中に、セルチャンバ210の溶融金属パッド100への妨害を低減することができる。同様に、タッピングポート200は、金属タッピング中の妨害を排除する。内部に位置する精製金属貯蔵部260および供給貯蔵部270を含む、アルミニウム精製セル1の設計は、アルミニウム原料180を供給貯蔵部270に供給し、アルミニウム原料180をセルチャンバ210内の精製アルミニウム120に精製し、セルチャンバ210の密封シールを維持しながら精製アルミニウム120を精製金属貯蔵部260から除去することを可能にする。
【0035】
いくつかの実施形態では、供給貯蔵部270は炭素系である。いくつかの実施形態では、供給貯蔵部270はアノードであり、電気的に絶縁されていない。供給貯蔵部270は、アルミニウム原料180をセルチャンバ210の溶融金属パッド100に直接方向付ける。いくつかの実施形態では、溶融金属パッド100は、少なくとも50重量%のアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、溶融金属パッド100は、Al、Si、少なくとも0.5重量%のCu、Fe、Sb、Gd、Cd、Sn、Pb、および不純物のうちの一つ以上を含む少なくとも一つの合金を含む。
【0036】
精製金属貯蔵部260は、アルミニウム精製セル1の内部に位置する。いくつかの実施形態では、精製金属貯蔵部260は、耐火材料(例えば、耐火性側壁30)によって実質的に囲まれている。いくつかの実施形態では、精製金属貯蔵部260は、耐火材料によって部分的に囲まれている。精製金属貯蔵部260へのアクセスは、セルチャンバ210の耐火性トップカバー40を貫通するタッピングポート200を介する。
【0037】
タッピングポート200と同様に、供給ポート170は耐火性トップカバー40を貫通し、それによって供給貯蔵部270へのアクセスを提供する。供給貯蔵部270は、溶融金属パッド100を含むセルチャンバ210の下部分へのアクセスを提供する。
【0038】
いくつかの実施形態では、耐火性トップカバー40は、一体型であってもよく、または別個の部品を有してもよい。例えば、耐火性トップカバー40は、供給貯蔵部270および供給ポート170に対して別個の分離したカバーを有し得る。同様に、耐火性トップカバー40は、精製金属貯蔵部260およびタッピングポート200に対して別個の分離したカバーを有し得る。
【0039】
セル底部60は、上面80および下面70を含む。いくつかの実施形態では、セル底部60は平坦である。いくつかの実施形態では、セル底部60は、供給貯蔵部270に向かって下向きに傾斜している。いくつかの実施形態では、セル底部60の傾斜は、10度未満の角度を有する。いくつかの実施形態では、セル底部60の傾斜は、3~5度の角度を有する。
【0040】
アルミニウム精製セル1は、耐火性トップカバー40の近位にカソードコネクタ140を含む。カソードコネクタ140は、外部電源に接続するように構成された上部接続ロッド130を含む。カソードコネクタ140は、下面142および上面144を含む。カソードコネクタ140の反対側で、アルミニウム精製セル1は、セル底部60と電気的に連通するアノードコネクタ50を含む。アノードコネクタ50は、外部電源に接続するように構成されている。
【0041】
少なくとも一つのアノード90および少なくとも一つのカソード150は電極である。いくつかの実施形態では、電極の一部は、同じ材料から作製され、一部は、互いに異なる材料から作製される。いくつかの実施形態では、すべての電極は、互いに異なる材料から作製される。いくつかの実施形態では、すべての電極は、同じ材料から作製される。いくつかの実施形態では、電極の一部は炭素質材料で作製され、電極の一部は非炭素質材料で作製される。
【0042】
電極(すなわち、少なくとも一つのアノード90および少なくとも一つのカソード150)は、アルミニウム濡れ性材料から構成される。いくつかの実施形態では、電極は、TiB、ZrB、HfB、SrB、炭素質材料(例えば、黒鉛)、非炭素質材料、またはそれらの組み合わせのうちの一つ以上を含む。いくつかの実施形態では、電極は、非炭素質材料から作製される。いくつかの実施形態では、電極は、サーメットまたはセラミックから作製される。いくつかの実施形態では、電極はセラミックである。いくつかの実施形態では、電極は、TiBから本質的になる。いくつかの実施形態では、電極は複数の層で作製される。
【0043】
少なくとも一つのアノード90は、アルミニウム精製セル1のセル底部60上に配置される。少なくとも一つのアノード90は、セル底部60の上面80に接続された近位端94を含む。少なくとも一つのアノード90は、アルミニウム精製セル1の耐火性トップカバー40に向かって上向きに延在する遠位端92を含む。少なくとも一つのアノード90は、遠位端92と近位端94との間に中間部分を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのアノード90は垂直アノードである。
【0044】
少なくとも一つのカソード150は、カソードコネクタ140に接続された近位端154と、基部10に向かって下向きに延びる遠位端152とを含む。少なくとも一つのカソード150は、近位端154と遠位端152との間の中間部分を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのカソード150は、垂直カソードである。少なくとも一つのアノード90は、少なくとも一つのカソード150とインターリーブされてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つのアノード90は、少なくとも一つのカソード150と重なり、それによってアノード・カソードの重なり(ACO)290を画定する。少なくとも一つのアノード90の遠位端92および少なくとも一つのカソード150の遠位端152は、部分的に重なる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのカソード150の遠位端152は、少なくとも一つのアノード90の中間部分の近位にあり、少なくとも一つのアノード90の遠位端92は、少なくとも一つのカソード150の中間部分の近位にある。いくつかの実施形態では、アノード・カソードの重なり(ACO)290は、0~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード・カソードの重なり290は、1~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード・カソードの重なり290は、5~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード・カソードの重なり290は、10~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード・カソードの重なり290は、20~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード・カソードの重なり290は、25~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード・カソードの重なり290は、少なくともいくらかの重なりで、最大12インチの重なりである。いくつかの実施形態では、アノード・カソードの重なり290は、少なくとも2インチの重なりから10インチの重なりである。いくつかの実施形態では、アノード・カソードの重なり290は、少なくとも3インチの重なりから8インチの重なりである。いくつかの実施形態では、アノード・カソードの重なり290は、少なくとも3インチの重なりから6インチの重なりである。
【0046】
少なくとも一つのアノード90と少なくとも一つのカソード150との間の横方向間隔距離は、アノード・カソード間距離(ACD)280として指定され得る。いくつかの実施形態では、アノード・カソード間距離280は、1/8インチ~3インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード・カソード間距離280は、1/8インチ~2インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード・カソード間距離280は、1/8インチ~1インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード・カソード間距離280は、1/8インチ~1/4インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード・カソード間距離280は、1/4インチ~1/2インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード・カソード間距離280は、1/8インチ~3/4インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード・カソード間距離280は、1/8インチ~1インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード・カソード間距離280は、1/8インチ~1/2インチであってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1は、外側シェル20を含む。外側シェル20は、鋼または他の好適な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、外側シェル20は、基部10の下に位置するシェル床を含んでもよい。いくつかの実施形態では、外側シェル20は、耐火性側壁30から離間し、かつそれを囲むシェル側壁を含んでもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1は、セルチャンバ210に断熱を提供するためにセルライニング190を含んでもよい。セルライニング190は、耐火性側壁30と外側シェル20との間、および基部10とセル底部60との間に位置してもよい。いくつかの実施形態では、セルライニング190は、セルチャンバ210の実質的にすべて、またはセルチャンバ210の一部分のみを封入してもよい。セルライニング190は、アルミニウム精製セル1の高い電気効率を促進してもよい。
【0049】
図3は、アルミニウム精製セル内のアルミニウムスクラップなどのアルミニウム金属を精製するための方法300の一実施形態を示す。アルミニウムを精製するための方法300は、アルミニウム原料180をアルミニウム精製セル1に供給すること310と、少なくとも一つのアノード90に電流を流すことと、溶融金属パッド100のアルミニウム金属を電解質110に向けることと、電解質110中に少なくともいくらかのイオンを生成することと、アルミニウム原料180から精製アルミニウム120を生成すること320とを含む。方法300は、精製アルミニウム120を、アルミニウム精製セル1のセルチャンバ210から、オーバーフロー通路250を介して精製金属貯蔵部260に流すこと330をさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、セルチャンバ210は、溶融金属パッド100、精製アルミニウム120、および電解質110を含む。溶融金属パッド100は、セル底部60と接触している。電解質110は、精製アルミニウム120を溶融金属パッド100から分離する。アノード90は、セル底部60から溶融金属パッド100を通って上向きに延在し、電解質110内で終端する。カソード150は、カソードコネクタ140から下向きに延在し、カソード150が電解質110内のアノード90と重なるように電解質110内で終端する。したがって、カソード150は、電解質110によってアノード90から分離される。
【0051】
図示した実施形態では、精製アルミニウム120は、アルミニウム精製セル1の電解質110未満の密度を有する。電解質110は、アルミニウム精製セル1の溶融金属パッド100未満の密度を有する。電解質110は、精製アルミニウム120の最上層を溶融金属パッド100から分離する。これに関して、電解質110の組成は、電解質110が溶融金属パッド100よりも低い密度および精製アルミニウム120よりも高い密度を有するように選択され得る。いくつかの実施形態では、電解質110は溶融塩を含む。いくつかの実施形態では、電解質110は、フッ化物および/または塩化物のうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、電解質110は、とりわけ、Na、K、Al、Ba、Ca、Ce、La、Cs、Rb、またはそれらの組み合わせのフッ化物および/または塩化物のうちの少なくとも一つを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、溶融金属パッド100は、少なくとも5重量%のアルミニウム金属、または少なくとも10重量%のアルミニウム金属、または少なくとも15重量%のアルミニウム金属、または少なくとも20重量%のアルミニウム金属、または少なくとも25重量%のアルミニウム金属、または少なくとも30重量%のアルミニウム金属、または少なくとも35重量%のアルミニウム金属、または少なくとも40重量%のアルミニウム金属、または少なくとも45重量%のアルミニウム金属、または少なくとも50重量%のアルミニウム金属、または少なくとも55重量%のアルミニウム金属、または少なくとも60重量%のアルミニウム金属、または少なくとも65重量%のアルミニウム金属、または少なくとも70重量%のアルミニウム金属、または少なくとも75重量%のアルミニウム金属、または少なくとも80重量%のアルミニウム金属、または少なくとも85重量%のアルミニウム金属、または少なくとも90重量%のアルミニウム金属、または少なくとも95重量%のアルミニウム金属、を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、溶融金属パッド100は、Al、Si、Cu、Fe、Sb、Gd、Cd、Sn、Pb、および不純物のうちの一つ以上を含む少なくとも一つの合金を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1内のアノード90上の濡れ性材料の組成は、溶融金属パッド100と同一であるか、または実質的に類似している。いくつかの実施形態では、濡れ性材料の組成物は金属である。いくつかの実施形態では、金属は、アルミニウム、または少なくともアルミニウムおよびマグネシウムを含む。いくつかの実施形態では、金属は、少なくとも5重量%のアルミニウム、または少なくとも10重量%のアルミニウム、または少なくとも15重量%のアルミニウム、または少なくとも20重量%のアルミニウム、または少なくとも25重量%のアルミニウム、または少なくとも30重量%のアルミニウム、または少なくとも35重量%のアルミニウム、または少なくとも40重量%のアルミニウム、または少なくとも45重量%のアルミニウム、または少なくとも50重量%のアルミニウム、または少なくとも55重量%のアルミニウム、または少なくとも60重量%のアルミニウム、または少なくとも65重量%のアルミニウム、または少なくとも70重量%のアルミニウム、または少なくとも75重量%のアルミニウム、または少なくとも80重量%のアルミニウム、または少なくとも85重量%のアルミニウム、または少なくとも90重量%のアルミニウム、または少なくとも95重量%のアルミニウム、を含む。いくつかの実施形態では、金属は、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0054】
方法300は、電流を少なくとも一つのアノード90に電解質110を通して、および少なくとも一つのカソード150に流すことによって、アルミニウム原料180から精製アルミニウム120を生成すること320を含む。いくつかの実施形態では、電流を流すことは、電解質110を通して、少なくとも一つのアノード90から少なくとも一つのカソード150に直流を流すことを含む。精製アルミニウム120を生成する320とき、少なくとも一つのアノード90および少なくとも一つのカソード150は電解質110内に部分的に配置されてもよく、少なくとも一つのアノード90は溶融金属パッド100内に部分的に配置されてもよい。溶融金属パッド100のアルミニウム金属を電解質110に向かって方向付けることは、アルミニウム金属を電解質110に向かって流すことと、少なくとも一つのアノード90に電流を供給することと、を含むことができる。
【0055】
アルミニウム精製セル1は、溶融金属パッド100および電解質110を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180を供給すること310は、アルミニウム精製セル1の内部に位置する供給貯蔵部270を介して、アルミニウム原料180を溶融金属パッド100内に流すことを含む。
【0056】
本明細書で論じるように、アルミニウム原料180を供給すること310は、アルミニウム精製セル1を介し得る。いくつかの実施形態では、供給工程310は、アルミニウム精製セル1の動作中にアルミニウム原料180を連続的に供給することを含む。いくつかの実施形態では、供給工程310は、アルミニウム原料180をアルミニウム精製セル1に定期的に添加することを含む。いくつかの実施形態では、供給工程310は、アルミニウム原料180をアルミニウム精製セル1へ、第一の供給速度で計量することを含む。第一の供給速度は一定に保たれてもよく、またはアルミニウム精製セル1へのアルミニウム原料180の供給310の停止および開始を含めて変化してもよい。いくつかの実施形態では、供給工程310は、アルミニウム精製セル1にアルミニウム原料180を定期的に添加することを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180はアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム金属以外の少なくとも一つの他の金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は遷移金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、少なくとも50重量%のアルミニウム金属、または少なくとも55重量%のアルミニウム金属、または少なくとも60重量%のアルミニウム金属、または少なくとも65重量%のアルミニウム金属、または少なくとも70重量%のアルミニウム金属、または少なくとも75重量%のアルミニウム金属、または少なくとも80重量%のアルミニウム金属、または少なくとも85重量%のアルミニウム金属、または少なくとも90重量%のアルミニウム金属、または少なくとも95重量%のアルミニウム金属を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180の不純物は、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Ni、Si、Ti、およびZnを含むことができる。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、他の不純物に加えて、最大2重量%のMgを有するアルミニウムを有することができる。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の5.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の10.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の15.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の20.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の25.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の30.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の35.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の40.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の45.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~45.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~40.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~35.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~30.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~25.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~20.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~15.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~10.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料180の0.5重量%~5.0重量%の不純物を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、添加物(例えば、銅)をアルミニウム原料180に添加して密度を増加させ、アルミニウム原料180の金属をアルミニウム精製セル1の底部上に溶融金属パッド100に保持する。一部の実施例では、アルミニウム原料180は、少なくとも5重量%の銅、少なくとも10重量%の銅、少なくとも15重量%の銅、少なくとも20重量%の銅、少なくとも25重量%の銅、少なくとも30重量%の銅、少なくとも35重量%の銅、少なくとも40重量%の銅、少なくとも45重量%の銅、または少なくとも50重量%の銅を含む。したがって、溶融金属パッド100は、比較的大量の銅を含み得る。いくつかの実施形態では、溶融金属パッド100は、少なくとも5重量%の銅、少なくとも10重量%の銅、少なくとも15重量%の銅、少なくとも20重量%の銅、少なくとも25重量%の銅、少なくとも30重量%の銅、少なくとも35重量%の銅、少なくとも40重量%の銅、少なくとも45重量%の銅、少なくとも50重量%の銅、またはそれ以上を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム合金スクラップである。いくつかの実施形態では、アルミニウム合金スクラップは、1xxx系アルミニウム合金、2xxx系アルミニウム合金、3xxx系アルミニウム合金、4xxx系アルミニウム合金、5xxx系アルミニウム合金、6xxx系アルミニウム合金、7xxx系アルミニウム合金、8xxx系アルミニウム合金、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも一つを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、生成工程320は、電解質110内にアルミニウムイオンを生成することと、アルミニウム精製セル1の少なくとも一つのカソード150またはその近くでアルミニウムイオンの少なくとも一部を低減することとを含む。いくつかの実施形態では、生成工程320は、電解質110を通して少なくとも一つのカソード150に向かってアルミニウムイオンを移動させることを含む。
【0062】
電解質110の上方の精製アルミニウム120生成物は、最上層を画定する。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、少なくとも99.5重量%~最大99.999重量%のアルミニウム純度を含む。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、少なくとも99.8重量%~最大99.999重量%のアルミニウム純度を含む。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、少なくとも99.9重量%~最大99.999重量%のアルミニウム純度を含む。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、少なくとも99.98重量%~最大99.999重量%のアルミニウム純度を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、1~15kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で、アルミニウム精製セル1を介して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、1~10kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で、アルミニウム精製セル1を介して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、1~8kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で、アルミニウム精製セル1を介して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、1~6kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で、アルミニウム精製セル1を介して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、1~4kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で、アルミニウム精製セル1を介して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、5~15kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で、アルミニウム精製セル1を介して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、10~15kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で、アルミニウム精製セル1を介して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、12~15kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で、アルミニウム精製セル1を介して生成されてもよい。
【0064】
上述のように、方法300は、精製アルミニウム120を、アルミニウム精製セル1のセルチャンバ210から、オーバーフロー通路250を介して精製金属貯蔵部260に流すこと330をさらに含む。別の言い方をすると、オーバーフロー通路250は、セルチャンバ210からアルミニウム精製セル1の内部に位置する精製金属貯蔵部260まで延在する。オーバーフロー通路250は、セルチャンバ210の上部から精製金属貯蔵部260へのアクセスを提供する。精製アルミニウム120がオーバーフロー通路250のレベルに達すると、精製アルミニウム120は、セルチャンバ210の上部から精製金属貯蔵部260に流れる。次いで、精製アルミニウム120を、タッピングポート200を介して精製金属貯蔵部260からタップすることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、本開示は、セルチャンバ210の耐火性トップカバー40内に形成された不活性ガス入口220を介して、不活性ガス222をセルチャンバ210に提供することを含み、それによって、不活性雰囲気をセルチャンバ210に提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アルミニウム原料180を供給貯蔵部270に供給しながら、アルミニウム精製セル1のセルチャンバ210の不活性雰囲気を維持することと、精製アルミニウム120を生成することと、タッピングポート200を介してアルミニウム精製セル1から精製アルミニウム120を除去することと、を含む。
【0066】
精製アルミニウム120は、セルチャンバ210の耐火性トップカバー40内に位置するタッピングポート200を介して、精製金属貯蔵部260から除去することができる。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120の除去と同時に、方法は、精製アルミニウム120を精製金属貯蔵部260から除去するときに、セルチャンバ210内の精製アルミニウム120の空気酸化を制限、低減、または防止することを含む。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120を精製金属貯蔵部260から除去することは、セルチャンバ210の耐火性トップカバー40内に位置するタッピングポート200を介して精製アルミニウム120を除去することを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、本開示は、精製アルミニウム120の最上層の少なくとも一部を、タッピングポート200を介して精製金属貯蔵部260から除去することを含む。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120は、アルミニウム精製セル1の動作中に連続的に除去されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の除去速度は、例えば、少なくとも部分的に第二の除去速度に基づいて制御されてもよい。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120は、アルミニウム精製セル1の動作中に定期的に除去されてもよい。いくつかの実施形態では、除去工程は、生成物を汚染することなく精製アルミニウム120生成物を除去するように構成された機器(例えば、アルミナ、黒鉛、および/またはTiBタッピング機器)で完了する。
【0068】
本開示は、空気がセルチャンバ210に入るのを防止することによって、セルチャンバ210内の精製アルミニウム120の空気酸化を制限、低減、または防止することを達成する。アルミニウム精製セル1の設計により、セルチャンバ210を空気からシールし、アルミニウム精製セル1内の精製アルミニウム120の上部金属の酸化を防止することができる。
【0069】
本開示の多くの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例示にすぎず、限定するものではなく、多くの変更が当業者に明らかになり得ることが理解される。様々な工程は、任意の所望の順序で実施されてもよい(また、任意の所望の工程を追加してもよく、および/または任意の所望の工程を除去してもよい)。例えば、アルミニウム精製セル1の特徴および特性は、任意の他のシステムおよび/または製品と共に、または単独で使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、精製金属貯蔵部260および供給貯蔵部270のうちの一つのみが、アルミニウム精製セル1と一体化され、その内部にあってもよい。実施形態のいずれかに記載されるアルミニウム精製セル1の特徴および特性は、本明細書に記載される任意の他の実施形態で使用することができる。アルミニウム精製セル1の例示的な実施形態は、網羅的であることを意味しない。本開示の特徴および特性は、任意の様式で組み合わせることができる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムを精製するための方法であって、
(a)アルミニウム精製セル内のアルミニウム原料から精製アルミニウムを生成することであって、前記精製アルミニウムが、前記アルミニウム精製セルの電解質未満の密度を有し、前記電解質が、前記アルミニウム精製セルの溶融金属パッド未満の密度を有する、生成することと、
(b)前記精製アルミニウムを、前記アルミニウム精製セルのセルチャンバから、オーバーフロー通路を介して精製金属貯蔵部に流すことであって、前記精製金属貯蔵部が前記アルミニウム精製セルの内部に位置する、流すことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記生成工程(a)の前に、
前記アルミニウム原料を前記アルミニウム精製セルに供給することを、さらに含み、
前記アルミニウム原料がアルミニウム金属を含み、
前記アルミニウム精製セルが、前記溶融金属パッドおよび前記電解質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルミニウム原料を前記供給する工程が、
前記アルミニウム精製セルの内部に位置する供給貯蔵部を介して、前記溶融金属パッド内に前記アルミニウム原料を流すことを、含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルミニウム原料が、アルミニウム合金スクラップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルミニウム合金スクラップが、1xxx系アルミニウム合金、2xxx系アルミニウム合金、3xxx系アルミニウム合金、4xxx系アルミニウム合金、5xxx系アルミニウム合金、6xxx系アルミニウム合金、7xxx系アルミニウム合金、8xxx系アルミニウム合金、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アルミニウム合金スクラップが、新しいアルミニウムスクラップおよび/または古いアルミニウムスクラップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記アルミニウム精製セルが、耐火性側壁と、耐火性トップカバーと、セル底部とによって少なくとも部分的に画定される前記セルチャンバをさらに備え、前記セル底部が基部の近位に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記セルチャンバの耐火性トップカバーを貫通する供給ポートを介して、前記精製金属貯蔵部へのアクセスを提供することを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記セルチャンバの耐火性トップカバー内に形成された不活性ガス入口を介して前記セルチャンバに不活性ガスを提供し、それによって前記セルチャンバに不活性雰囲気を提供することを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アルミニウム原料を供給貯蔵部に供給しながら、前記アルミニウム精製セルの前記セルチャンバの前記不活性雰囲気を維持することと、前記精製アルミニウムを生成することと、タッピングポートを介して前記アルミニウム精製セルから前記精製アルミニウムを除去することと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アルミニウム精製セルであって、
(a)セル底部、耐火性側壁、および耐火性トップカバーを含む、セルチャンバと、
(b)前記セル底部から上向きに延在する、少なくとも一つのアノードと、
(c)前記耐火性トップカバーの近位に位置する、カソードコネクタと、
(d)前記カソードコネクタから下向きに延びる、少なくとも一つのカソードと、
(e)前記セルチャンバから、前記アルミニウム精製セルの内部に位置する精製金属貯蔵部へと延在する、オーバーフロー通路と、を備える、アルミニウム精製セル。
【請求項12】
前記セルチャンバの前記耐火性トップカバー内に位置する、タッピングポートおよび供給ポートをさらに備える、請求項11に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項13】
前記供給ポートおよび前記タッピングポートが、前記セルチャンバの密封シールを少なくとも部分的に画定する、請求項12に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項14】
前記アルミニウム精製セルの内部に位置する供給貯蔵部であって、アルミニウム原料を前記セルチャンバの溶融金属パッドに直接方向付ける、供給貯蔵部を、さらに備える、請求項11に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項15】
前記精製金属貯蔵部が精製アルミニウム金属を含む、請求項11に記載のアルミニウム精製セル。
【国際調査報告】