(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】負極およびこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20241114BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20241114BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20241114BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241114BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20241114BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241114BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241114BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/587
H01M4/48
H01M4/36 E
H01M4/62 Z
H01M4/525
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527825
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2022018080
(87)【国際公開番号】W WO2023090847
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0157520
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】イェ・リン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミ・ル・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ビン・パク
(72)【発明者】
【氏名】スン・ファン・ジョン
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL18
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB29
5H050DA03
5H050DA11
5H050EA23
5H050EA24
5H050HA01
5H050HA04
(57)【要約】
本発明は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置され、第1炭素系活物質、第1シリコン系活物質、および第1バインダーを含む第1負極活物質層と、前記第1負極活物質層上に配置され、第2炭素系活物質、第2シリコン系活物質、および第2バインダーを含む第2負極活物質層とを含み、前記第1シリコン系活物質は、SiOx(0≦x<2)で表される第1シリコン系化合物および前記第1シリコン系化合物にドーピングされた第1金属を含み、前記第2シリコン系活物質は、SiOy(0≦y<2)で表される第2シリコン系化合物および前記第2シリコン系化合物にドーピングされた第2金属を含み、前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対する第1金属の重量比は、前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対する第2金属の重量比より大きく、前記第1バインダーの前記第1負極活物質層の重量基準の重量百分率と、前記第2バインダーの前記第2負極活物質層の重量基準の重量百分率との比は、0.9:1~5.5:1である負極に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体と、
前記負極集電体上に配置され、第1炭素系活物質、第1シリコン系活物質、および第1バインダーを含む第1負極活物質層と、
前記第1負極活物質層上に配置され、第2炭素系活物質、第2シリコン系活物質、および第2バインダーを含む第2負極活物質層とを含み、
前記第1シリコン系活物質は、SiO
x(0≦x<2)で表される第1シリコン系化合物および前記第1シリコン系化合物にドーピングされた第1金属を含み、
前記第2シリコン系活物質は、SiO
y(0≦y<2)で表される第2シリコン系化合物および前記第2シリコン系化合物にドーピングされた第2金属を含み、
前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対する第1金属の重量比は、前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対する第2金属の重量比より大きく、
前記第1バインダーの前記第1負極活物質層の重量基準の重量百分率と、前記第2バインダーの前記第2負極活物質層の重量基準の重量百分率との比は、0.9:1~5.5:1である、負極。
【請求項2】
前記第1金属の重量は、前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対して10重量%~25重量%であり、
前記第2金属の重量は、前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対して3重量%以上10重量%未満である、請求項1に記載の負極。
【請求項3】
前記第1金属および前記第2金属は、互いに独立して、Li、Mg、CaおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む、請求項1に記載の負極。
【請求項4】
前記第1炭素系活物質および前記第1シリコン系活物質は、前記第1負極活物質層に90重量%~99重量%含まれ、
前記第1炭素系活物質および前記第1シリコン系活物質の重量比は、85:15~99:1である、請求項1に記載の負極。
【請求項5】
前記第2炭素系活物質および前記第2シリコン系活物質は、前記第2負極活物質層に90重量%~99重量%含まれ、
前記第2炭素系活物質および前記第2シリコン系活物質の重量比は、85:15~99:1である、請求項1に記載の負極。
【請求項6】
前記第1バインダーは、前記第1負極活物質層に1重量%~15重量%含まれる、請求項1に記載の負極。
【請求項7】
前記第2バインダーは、前記第2負極活物質層に1重量%~15重量%含まれる、請求項1に記載の負極。
【請求項8】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーの重量の総和は、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の重量の総和に対して1重量%~15重量%である、請求項1に記載の負極。
【請求項9】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーは、互いに独立して、ポリビニリデンフルオライド、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フルオロゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリロニトリルおよびポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の負極。
【請求項10】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーは、スチレンブタジエンゴムを含む、請求項1に記載の負極。
【請求項11】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さ比は、1:0.5~1:2である、請求項1に記載の負極。
【請求項12】
前記第1負極活物質層のローディング量および前記第2負極活物質層のローディング量の和は、4mAh/cm
2~8mAh/cm
2である、請求項1に記載の負極。
【請求項13】
請求項1に記載の負極と、
前記負極に対向する正極と、
前記負極と前記正極との間に介在されたセパレータと、
電解質とを含む、二次電池。
【請求項14】
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体上に配置された正極活物質層とを含み、
前記正極活物質層は、リチウム-コバルト系酸化物を含む正極活物質を含む、請求項13に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月16日付けの韓国特許出願第10-2021-0157520号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、負極およびこれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、携帯電話、ノート型パソコン、電気自動車など、電池を使用する電子機器の急速な普及に伴い、小型軽量であるとともに相対的に高容量である二次電池の需要が急速に増大している。特に、リチウム二次電池は、軽量で高エネルギー密度を有しており、ポータブル電子機器の駆動電源として脚光を浴びている。したがって、リチウム二次電池の性能向上のための研究開発の努力が活発になされている。
【0004】
一般的に、リチウム二次電池は、正極、負極、前記正極と負極との間に介在されるセパレータ、電解質、有機溶媒などを含む。また、正極および負極は、集電体上に正極活物質または負極活物質を含む活物質層が形成されることができる。前記正極には、一般的に、LiCoO2、LiMn2O4などのリチウム含有金属酸化物が正極活物質として使用され、これに伴い、負極には、リチウムを含有していない炭素系活物質、シリコン系活物質が負極活物質として使用されている。
【0005】
特に、負極活物質のうち、シリコン系活物質は、炭素系活物質に比べて約10倍程度の高い容量を有する点で注目されており、薄い電極でも高いエネルギー密度を実現できるという利点がある。しかし、シリコン系活物質は、充放電による体積の膨張、これによる活物質粒子の亀裂/損傷、これによる寿命特性の低下の問題によって汎用的に使用されてはいない。
【0006】
また、前記シリコン系活物質は、高電圧で使用する場合、充放電による体積の膨張、負極の構造安定性の低下、固体電解質界面膜(SEI layer)の過剰な形成、電解液枯渇などの問題が深刻化するため、ポータブル電子機器よりも使用電圧の範囲が低い自動車用電池に限定的に使用されている状況である。
【0007】
したがって、シリコン系活物質を使用する負極および二次電池において、高エネルギー密度および高電圧の使用時に高い寿命特性を有する負極および二次電池の開発が求められている。
【0008】
韓国公開特許第10-2017-0074030号は、リチウム二次電池用負極活物質、その製造方法、およびこれを含むリチウム二次電池に関し、多孔性シリコン-炭素複合体を含む負極活物質について開示しているが、上述の問題を解決するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2017-0074030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一課題は、負極内の成分の不均一性による劣化を防止することで、電池の寿命性能、特に高い電圧範囲で使用する場合に、寿命性能が著しく向上する負極を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の課題は、上述の負極を含む二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置され、第1炭素系活物質、第1シリコン系活物質、および第1バインダーを含む第1負極活物質層と、前記第1負極活物質層上に配置され、第2炭素系活物質、第2シリコン系活物質および第2バインダーを含む第2負極活物質層とを含み、前記第1シリコン系活物質は、SiOx(0≦x<2)で表される第1シリコン系化合物および前記第1シリコン系化合物にドーピングされた第1金属を含み、前記第2シリコン系活物質は、SiOy(0≦y<2)で表される第2シリコン系化合物および前記第2シリコン系化合物にドーピングされた第2金属を含み、前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対する第1金属の重量比は、前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対する第2金属の重量比より大きく、前記第1バインダーの前記第1負極活物質層の重量基準の重量百分率と、前記第2バインダーの前記第2負極活物質層の重量基準の重量百分率との比は、0.9:1~5.5:1である負極を提供する。
【0013】
また、本発明は、上述の負極と、前記負極に対向する正極と、前記負極と前記正極との間に介在されるセパレータと、電解質とを含む二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の負極は、負極集電体と、第1負極活物質層と、第2負極活物質層の順次積層構造において、第1負極活物質層に含まれた第1シリコン系活物質の金属ドーピング比率が第2負極活物質層に含まれた金属ドーピング比率に比べて大きく、前記第1負極活物質層に含まれた第1バインダーの重量比と、前記第2負極活物質層に含まれた第2バインダーの重量比との比を特定の範囲に調節したことを特徴とする。本発明の負極によると、金属ドーピング比率が互いに異なる第1シリコン系活物質および第2シリコン系活物質が第1負極活物質層および第2負極活物質層にそれぞれ配置されることにより、負極の全体において均一なリチウムの挿入/脱離が行われることができ、負極の厚さの膨張程度が著しい水準に低減することができる。また、本発明の負極によると、第1バインダーおよび第2バインダーの重量比が調節されることにより、負極の全体のバインダー偏在が防止され、集電体と第1負極活物質層、第1負極活物質層と第2負極活物質層の結着または接着力が向上することができ、シリコン系活物質含有負極の全体的な接着力が向上し、負極の厚さの膨張程度が著しい水準に低減し、負極およびこれを含む二次電池の寿命性能が著しい水準に向上することができる。特に、本発明の負極は、高電圧範囲での使用、または高ローディング負極において卓越した寿命性能の向上を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による負極を説明するための概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者は、自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0017】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定することを意図するものではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有していない限り、複数の表現を含む。
【0018】
本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の異なる特徴や数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないことを理解すべきである。
【0019】
本明細書において、平均粒径(D50)は、粒子の粒径分布曲線において、体積累積量の50%に該当する粒径に定義することができる。前記平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。前記レーザ回折法は、一般的に、サブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性および高分解性の結果を得ることができる。
【0020】
以下、図面を参照して、本発明について具体的に説明する。具体的には、
図1は、本発明による負極を説明するための概略的な側面図である。
【0021】
<負極>
本発明は、負極、具体的には、リチウム二次電池用負極に関する。
【0022】
図1を参照すると、本発明の負極10は、負極集電体100と、前記負極集電体100上に配置され、第1炭素系活物質、第1シリコン系活物質、および第1バインダーを含む第1負極活物質層210と、前記第1負極活物質層210上に配置され、第2炭素系活物質、第2シリコン系活物質、および第2バインダーを含む第2負極活物質層220とを含み、前記第1シリコン系活物質は、SiO
x(0≦x<2)で表される第1シリコン系化合物および前記第1シリコン系化合物にドーピングされた第1金属を含み、前記第2シリコン系活物質は、SiO
y(0≦y<2)で表される第2シリコン系化合物および前記第2シリコン系化合物にドーピングされた第2金属を含み、前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対する第1金属の重量比は、前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対する第2金属の重量比より大きく、前記第1バインダーの前記第1負極活物質層210の重量基準の重量百分率と前記第2バインダーの前記第2負極活物質層220の重量基準の重量百分率との比は、0.9:1~5.5:1であることを特徴とする。
【0023】
従来、シリコン系活物質は、炭素系活物質に比べて高い容量を有する利点があるが、リチウムの挿入および脱離による体積の膨張および収縮の程度が大きいため、汎用的に使用されてはいない。このような問題は、負極を高ローディング化するか、負極を高い電圧範囲で使用する場合により深刻化する。
【0024】
このような問題を解決するために、本発明の負極は、負極集電体と、第1負極活物質層と、第2負極活物質層の順次積層構造において、第1負極活物質層に含まれた第1シリコン系活物質の金属ドーピング比率が第2負極活物質層に含まれた金属ドーピング比率に比べて大きく、前記第1負極活物質層に含まれた第1バインダーの重量比と、前記第2負極活物質層に含まれた第2バインダーの重量比の比を特定の範囲に調節したことを特徴とする。本発明の負極によると、金属ドーピング比率が互いに異なる第1シリコン系活物質および第2シリコン系活物質が第1負極活物質層および第2負極活物質層にそれぞれ配置されることにより、負極の全体において均一なリチウムの挿入/脱離が行われることができ、負極の厚さの膨張程度を著しく低減することができる。また、本発明の負極によると、第1バインダーおよび第2バインダーの重量比が調節されることにより、負極の全体のバインダー偏在が防止され、集電体と第1負極活物質層、第1負極活物質層と第2負極活物質層の結着または接着力が向上し、シリコン系活物質含有負極の全体的な接着力が向上し、負極の厚さの膨張程度を著しく低減して、負極およびこれを含む二次電池の寿命性能を著しく向上させることができる。これにより、本発明の負極は、高電圧範囲での使用、または高ローディング負極で卓越した寿命性能を示すことができる。
【0025】
負極集電体100
前記負極集電体100は、電池に化学的変化を引き起こさず、高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。具体的には、前記負極集電体100は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができ、具体的には、銅を含むことができる。
【0026】
前記負極集電体100は、通常、3~500μmの厚さを有することができる。
【0027】
前記負極集電体100は、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化することもできる。例えば、前記負極集電体は、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など、様々な形態で使用されることができる。
【0028】
第1負極活物質層210
前記第1負極活物質層210は、前記負極集電体100上に配置される。前記第1負極活物質層は、具体的には、前記負極集電体の少なくとも一面に配置されることができ、より具体的には、前記負極集電体の一面または両面に配置されることができる。
【0029】
前記第1負極活物質層210は、第1炭素系活物質、第1シリコン系活物質、および第1バインダーを含む。
【0030】
前記第1炭素系活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンブラック、グラフェンおよび繊維状炭素からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができ、具体的には、人造黒鉛および天然黒鉛からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0031】
前記第1炭素系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時に構造的安定性を図り、電解液との副反応を低減する面で、5μm~35μm、好ましくは10μm~20μmであることができる。
【0032】
前記第1炭素系活物質は、前記第1負極活物質層210に65重量%~98重量%、具体的には80重量%~95重量%含まれることができる。
【0033】
前記第1シリコン系活物質は、SiOx(0≦x<2)で表される第1シリコン系化合物および前記第1シリコン系化合物にドーピングされた第1金属を含むことができる。
【0034】
一般的に、シリコン系活物質の場合、シリコン系活物質内の不可逆サイトの存在によって、初期充電時に負極に移動したリチウムの一部が放電時に正極に戻らない不可逆反応を引き起こす問題がある。このような問題を防止するために、前記第1金属は、前記第1シリコン系化合物にドーピングされ、第1シリコン系化合物の不可逆相を減少させ、効率を向上させるために導入することができる。一方、後述するように、前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対する第1金属の重量比は、前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対する第2金属の重量比より大きい。これにより、負極の下層部に存在するシリコン系活物質の初期効率が増加し、負極充電過程でセパレータと近い負極の上層部に過電圧が過剰にかかる現象を緩和することができ、リチウムの挿入/脱離が負極の上部に偏在することなく、均一に行われることができ、充放電による負極の体積の膨張程度を著しく低減することができ、これにより、負極およびこれを含む二次電池の寿命性能が向上する。
【0035】
前記第1シリコン系化合物は、SiOx(0≦x<2)の化学式で表されることができ、具体的には、SiOx(0<x<2)の化学式で表されることができる。一方、SiO2(前記化学式1において、x=2である場合)の場合、リチウムイオンと反応しないことからリチウムを貯蔵することができないため、xは、前記範囲内であることが好ましい。具体的には、第1シリコン系化合物は、SiOx(0.5≦x≦1.5)の化学式で表されることができる。
【0036】
前記第1金属は、前記第1シリコン系化合物にドーピングされる。具体的には、前記第1金属は、前記第1シリコン系化合物にドーピングされ、前記第1シリコン系化合物の内部、表面、または内部および表面に位置することができる。前記第1金属は、前記第1シリコン系化合物にドーピングされ、第1シリコン系化合物に含まれるシリコン酸化物と金属シリケートを形成し得る。
【0037】
前記第1金属は、Li、Mg、Ca、およびAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含むことができる。具体的には、シリコン系酸化物粒子の体積膨張の制御、損傷の防止、初期効率の向上効果などが優れた水準に実現されることができる面で、LiおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種、より具体的には、Mgを含むことができる。
【0038】
前記第1金属の重量は、前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対して8重量%~20重量%、具体的には10重量%~16重量%であることができる。前記範囲である場合、第2シリコン系活物質との関係でリチウムの挿入および脱離がスムーズに行われることができ、負極の全体の充電性能が向上し、負極の全体でのリチウムの挿入および脱離が均一に行われ、負極の厚さの膨張程度を低減することができ、過剰な金属ドーピングによる容量の減少を防止することができる。前記第1金属の含量は、ICP-AES(誘導結合プラズマ原子放出分光器)を用いて測定されることができる。
【0039】
前記第1シリコン系活物質は、表面に配置された炭素コーティング層をさらに含むことができる。前記炭素コーティング層は、前記第1シリコン系活物質の体積の膨張を抑制し、電解液との副反応を防止する保護層として機能することができる。
【0040】
前記炭素コーティング層は、前記第1シリコン系活物質内に0.1重量%~10重量%、好ましくは3重量%~7重量%含まれることができ、前記範囲である場合、前記炭素コーティング層が第1シリコン系活物質の体積の膨張を優れた水準に制御し、且つ電解液との副反応を防止できる面で好ましい。
【0041】
前記炭素コーティング層は、非晶質炭素コーティング層であることができる。具体的には、前記炭素コーティング層は、メタン、エタンおよびアセチレンからなる群から選択される少なくとも1種の炭化水素ガスを使用する化学気相蒸着法(CVD)により形成されることができる。
【0042】
前記第1シリコン系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時の活物質の構造的安定を図り、粒径が過剰に大きくなるにつれて体積の膨張/収縮水準も大きくなる問題を防止し、粒径が過剰に小さくて初期効率が減少する問題を防止する面で、1μm~15μm、さらに好ましくは2μm~8μmであることができる。
【0043】
前記第1シリコン系活物質は、第1シリコン系活物質の体積の膨張に対する影響を低減し、且つ負極の十分な容量の確保のために、第1負極活物質層210に、1重量%~20重量%、具体的には3重量%~15重量%含まれることができる。
【0044】
前記第1シリコン系活物質の製造方法は、特に制限されない。具体的には、前記第1シリコン系活物質は、(a)SiOa(0≦a<2)で表される化合物を気化して第1蒸気を発生させるステップと、前記第1金属を気化して第2蒸気を発生させるステップと、前記第1蒸気および前記第2蒸気を混合して気相反応させるステップと、前記気相反応の後、冷却して粉末を取得するステップとを含む方法により製造されることができる。前記第1シリコン系活物質の製造時に、当分野において周知の炭素コーティング層の形成工程、平均粒径(D50)の調節工程が付加されることができる。
【0045】
前記第1炭素系活物質および前記第1シリコン系活物質は、前記第1負極活物質層に90重量%~98重量%、具体的には94重量%~98重量%含まれることができる。また、前記第1炭素系活物質および前記第1シリコン系活物質の重量比は、83:17~99:1、具体的には88:12~93:7であることができる。前記範囲である時に、シリコン系活物質の体積膨張に対する影響を低減し、且つ負極の十分な容量の確保が可能であり、高ローディングの負極の実現が可能となる。
【0046】
前記第1バインダーは、負極集電体100と第1負極活物質層210の結着、負極活物質(第1炭素系活物質および第1シリコン系活物質)の結着などのために、第1負極活物質層210に含まれる。
【0047】
前記第1バインダーは、電極接着力をより向上させ、活物質の体積の膨張/収縮に十分な抵抗力を付与することができる面で、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR:styrene butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile butadiene rubber)、アクリルゴム(acrylic rubber)、ブチルゴム(butyl rubber)、フルオロゴム(fluoro rubber)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)、ポリアクリル酸(PAA:polyacrylic acid)、ポリエチレングリコール(PEG:polyethylene glycol)、ポリアクリロニトリル(PAN:polyacrylonitrile)およびポリアクリルアミド(PAM:polyacryl amide)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができ、具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR:styrene butadiene rubber)を含むことができる。
【0048】
前記第1バインダーは、前記第1負極活物質層210に1重量%~15重量%、具体的には2重量%~8重量%、より具体的には3.5重量%~4.5重量%含まれることができる。ただし、前記第1バインダーの含量は、後述する第1バインダーおよび第2バインダーの重量比の比との関係を考慮して調節される必要がある。
【0049】
前記第1負極活物質層210は、前記第1炭素系活物質、前記第1シリコン系活物質、および前記第1バインダーとともに、第1導電材をさらに含むことができる。
【0050】
前記第1導電材は、第1負極活物質層の導電性を向上させるために使用されることができ、化学的変化を引き起こさず、導電性を有することが好ましい。具体的には、前記第1導電材は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、導電性繊維、単層カーボンナノチューブ(Single-Wall Carbon Nanotube、SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(Multi-Wall Carbon Nanotube、MWCNT)、フルオロカーボン、アルミニウム粉末、ニッケル粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化チタンおよびポリフェニレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることができ、好ましくは、第1シリコン系活物質の導電ネットワークの維持などを考慮して、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブから選択される少なくとも1種を含むことができ、より具体的には、単層カーボンナノチューブを含むことができる。
【0051】
前記第1導電材は、前記第1負極活物質層210に0.001重量%~10重量%、具体的には0.01重量%~1重量%含まれることができ、前記範囲にある場合、第1シリコン系活物質の表面の電気伝導度を向上させるとともに、充電時に過電圧が解消され、第1シリコン系活物質の体積の膨張および収縮による導電ネットワークの断絶を防止する面で好ましい。
【0052】
前記第1負極活物質層210は、増粘剤をさらに含むことができる。前記増粘剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)を含むことができる。
【0053】
前記増粘剤は、前記第1負極活物質層210に0.5重量%~5重量%含まれることができるが、これに制限されるものではない。
【0054】
前記第1負極活物質層210の厚さは、10μm~100μm、具体的には15μm~45μmであることができ、本発明によると、第1負極活物質層210が前記範囲の厚さを有しても、優れた接着力および厚さ膨張の制御性能を有することができ、寿命性能が優れた水準に向上することができる。
【0055】
前記第1負極活物質層210のローディング量は、1mAh/cm2~5mAh/cm2、具体的には2mAh/cm2~4mAh/cm2であることができ、本発明によると、第1負極活物質層210が前記範囲のローディング量を有しても、優れた接着力および厚さ膨張の制御性能を有することができ、寿命性能が優れた水準に向上することができる。
【0056】
第2負極活物質層220
前記第2負極活物質層220は、前記第1負極活物質層210上に配置される。前記第1負極活物質層が負極集電体の一面、または両面に配置される場合、これによって、第2負極活物質層も負極集電体の一面または両面に配置された第1負極活物質層上に配置されることができる。
【0057】
前記第2負極活物質層220は、第2炭素系活物質、第2シリコン系活物質、および第2バインダーを含む。
【0058】
前記第2炭素系活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンブラック、グラフェンおよび繊維状炭素からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができ、具体的には、人造黒鉛および天然黒鉛からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0059】
前記第2炭素系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時に構造的安定性を図り、電解液との副反応を低減する面で、5μm~35μm、好ましくは10μm~20μmであることができる。
【0060】
前記第2炭素系活物質は、前記第2負極活物質層220に65重量%~98重量%、具体的には80重量%~95重量%含まれることができる。
【0061】
前記第2シリコン系活物質は、SiOy(0≦y<2)で表される第2シリコン系化合物および前記第2シリコン系化合物にドーピングされた第2金属を含むことができる。前記第2金属は、前記第2シリコン系化合物にドーピングされ、第2シリコン系化合物の非可逆相を減少させ、効率を向上させるために導入されることができる。
【0062】
本発明の負極によると、前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対する第1金属の重量比は、前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対する第2金属の重量比より大きく、これにより、リチウムの挿入および脱離が負極の上部(セパレータと接する部分)に集中することを防止し、負極の全体的に均一に行われることができ、負極の厚さの膨張が防止される。前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対する第1金属の重量比が前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対する第2金属の重量比と同一であるか小さい場合、リチウムの挿入および脱離が負極の上部に集中するか、リチウムの挿入および脱離が負極の全体的に均一に行われない問題が発生するため、負極の充放電性能が低下し、負極の体積の膨張程度が大きくなって寿命性能が急激に低下する問題がある。
【0063】
前記第2シリコン系化合物は、SiOy(0≦y<2)の化学式で表されることができ、具体的には、SiOy(0<y<2)の化学式で表されることができる。より具体的には、第2シリコン系化合物は、SiOy(0.5≦y≦1.5)の化学式で表されることができる。
【0064】
前記第2金属は、前記第2シリコン系化合物にドーピングされる。具体的には、前記第2金属は、前記第2シリコン系化合物にドーピングされ、前記第2シリコン系化合物の内部、表面、または内部および表面に位置することができる。前記第2金属は、前記第2シリコン系化合物にドーピングされ、第2シリコン系化合物に含まれるシリコン酸化物と金属シリケートを形成し得る。
【0065】
前記第2金属は、Li、Mg、Ca、およびAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含むことができる。具体的には、シリコン系酸化物粒子の体積膨張の制御、損傷の防止、初期効率の向上効果などが優れた水準に実現されることができる面で、LiおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種、より具体的には、Mgを含むことができる。
【0066】
前記第2金属の重量は、前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対して3重量%以上10重量%未満、具体的には6.5重量%~9.5重量%含まれることができる。前記範囲にある場合、負極の全体でのリチウムの挿入および脱離が均一に行われ、負極の厚さの膨張程度を低減することができ、過剰な金属ドーピングによる容量の減少を防止することができる。
【0067】
前記第2シリコン系活物質は、表面に配置された炭素コーティング層をさらに含むことができる。前記炭素コーティング層は、前記第2シリコン系活物質の体積の膨張を抑制し、電解液との副反応を防止する保護層として機能することができる。
【0068】
前記炭素コーティング層は、前記第2シリコン系活物質内に0.1重量%~10重量%、好ましくは3重量%~7重量%含まれることができ、前記範囲である場合、前記炭素コーティング層が第2シリコン系活物質の体積の膨張を優れた水準に制御し、且つ電解液との副反応を防止することができる面で好ましい。
【0069】
前記炭素コーティング層は、非晶質炭素コーティング層であることができる。具体的には、前記炭素コーティング層は、メタン、エタンおよびアセチレンからなる群から選択される少なくとも1種の炭化水素ガスを使用する化学気相蒸着法(CVD)により形成されることができる。
【0070】
前記第2シリコン系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時の活物質の構造的安定を図り、粒径が過剰に大きくなるにつれて、体積の膨張/収縮水準も大きくなる問題を防止し、粒径が過剰に低くて初期効率が減少する問題を防止する面で、1μm~15μm、さらに好ましくは2μm~8μmであることができる。
【0071】
前記第2シリコン系活物質は、第2シリコン系活物質の体積膨張に対する影響を低減し、且つ負極の十分な容量の確保のために、第2負極活物質層220に1重量%~20重量%、具体的には3重量%~15重量%含まれることができる。
【0072】
前記第2シリコン系活物質の製造方法は、特に制限されない。具体的には、前記第2シリコン系活物質は、(a)SiOb(0≦b<2)で表される化合物を気化して第1蒸気を発生させるステップと、前記第2金属を気化して第2蒸気を発生させるステップと、前記第1蒸気および前記第2蒸気を混合して気相反応させるステップと、前記気相反応後、冷却して粉末を取得するステップとを含む方法により製造されることができる。前記第2シリコン系活物質の製造時に、当分野において周知の炭素コーティング層の形成工程、平均粒径(D50)の調節工程が付加されることができる。
【0073】
前記第2炭素系活物質および前記第2シリコン系活物質は、前記第2負極活物質層220に90重量%~99重量%、具体的には94重量%~98重量%含まれることができる。また、前記第2炭素系活物質および前記第2シリコン系活物質の重量比は、83:17~99:1、具体的には88:12~93:7であることができる。前記範囲である場合、シリコン系活物質の体積の膨張に対する影響を低減し、且つ負極の十分な容量の確保が可能であり、高ローディングの負極の実現が可能となる。
【0074】
前記第2バインダーは、第1負極活物質層210および第2負極活物質層220の結着、負極活物質(第2炭素系活物質および第2シリコン系活物質)の結着などのために、第2負極活物質層220に含まれる。
【0075】
前記第2バインダーは、電極接着力をより向上させ、活物質の体積の膨張/収縮に十分な抵抗力を付与することができる面で、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR:styrene butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile butadiene rubber)、アクリルゴム(acrylic rubber)、ブチルゴム(butyl rubber)、フルオロゴム(fluoro rubber)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)、ポリアクリル酸(PAA:polyacrylic acid)、ポリエチレングリコール(PEG:polyethylene glycol)、ポリアクリロニトリル(PAN:polyacrylonitrile)およびポリアクリルアミド(PAM:polyacryl amide)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができ、具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR:styrene butadiene rubber)を含むことができる。
【0076】
前記第2バインダーは、前記第2負極活物質層220に1重量%~15重量%、具体的には1.5重量%~5.0重量%、より具体的には2.5重量%~3.5重量%含まれることができる。ただし、前記第2バインダーの含量は、後述する第1バインダーおよび第2バインダーの重量比の比との関係を考慮して調節される必要がある。
【0077】
前記第2負極活物質層220は、前記第2炭素系活物質、前記第2シリコン系活物質、および前記第2バインダーとともに、第2導電材をさらに含むことができる。
【0078】
前記第2導電材は、第2負極活物質層の導電性を向上させるために使用されることができ、化学的変化を引き起こさず、導電性を有することが好ましい。具体的には、前記第1導電材は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、導電性繊維、単層カーボンナノチューブ(Single-Wall Carbon Nanotube、SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(Multi-Wall Carbon Nanotube、MWCNT)、フルオロカーボン、アルミニウム粉末、ニッケル粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化チタンおよびポリフェニレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることができ、好ましくは、第2シリコン系活物質の導電ネットワークの維持などを考慮して、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブから選択される少なくとも1種を含むことができ、より具体的には、単層カーボンナノチューブを含むことができる。
【0079】
前記第2導電材は、前記第2負極活物質層220に0.001重量%~10重量%、具体的には0.01重量%~1重量%含まれることができ、前記範囲にある場合、充放電による体積の膨張を制御することができるが、負極活物質の体積の膨張による導電ネットワークの断絶を防止する面で好ましい。
【0080】
前記第2負極活物質層220は、増粘剤をさらに含むことができる。前記増粘剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)を含むことができる。
【0081】
前記増粘剤は、前記第2負極活物質層220に0.5重量%~5重量%含まれることができるが、これに制限されるものではない。
【0082】
前記第2負極活物質層220の厚さは、10μm~100μm、具体的には15μm~45μmであることができ、本発明によると、第2負極活物質層が前記範囲の厚さを有しても、優れた接着力および厚さ膨張の制御性能を有することができ、寿命性能が優れた水準に向上することができる。
【0083】
前記第2負極活物質層220のローディング量は、1mAh/cm2~5mAh/cm2、具体的には2mAh/cm2~4mAh/cm2であることができ、本発明によると、第2負極活物質層220が前記範囲のローディング量を有しても、優れた接着力および厚さ膨張の制御性能を有することができ、寿命性能が優れた水準に向上することができる。
【0084】
本発明において、前記第1バインダーの前記第1負極活物質層210の重量基準の重量百分率および前記第2バインダーの前記第2負極活物質層220の重量基準の重量百分率の比は0.9:1~5.5:1である。一般的に、単層の負極の製造時に、バインダーが負極の上部(セパレータと接する部分)に偏在し、負極の全体の接着力の低下が発生する問題があるが、本発明によると、第1バインダーおよび第2バインダー比率が前記範囲に調節されることから、負極の全体の接着力が向上することができる。特に、上述の特徴を有する第1バインダーおよび第2バインダーとともに、金属ドーピング比率が互いに異なる第1シリコン系活物質および第2シリコン系活物質が第1負極活物質層および第2負極活物質層にそれぞれ配置されることから、負極の全体的な充放電性能、接着力、厚さ膨張の制御効果が同時に向上することができる。
【0085】
前記第2バインダーの前記第2負極活物質層の重量基準の重量百分率に対する前記第1バインダーの前記第1負極活物質層の重量基準の重量百分率が0.9倍未満の場合には、第1負極活物質層のバインダー不足現象が発生して負極の充放電時に厚さの膨張が過剰に起こり、二次電池の寿命性能が急激に低下し得る。前記第2バインダーの前記第2負極活物質層の重量基準の重量百分率に対する前記第1バインダーの前記第1負極活物質層の重量基準の重量百分率が5.5倍超の場合には、第1負極活物質層と第2負極活物質層との接着力が低下し、負極の充放電時に厚さの膨張が過剰に起こり、二次電池の寿命性能が急激に低下し得る。
【0086】
具体的には、前記第1バインダーの前記第1負極活物質層210の重量基準の重量百分率と前記第2バインダーの前記第2負極活物質層220の重量基準の重量百分率との比は、1.5:1~2.5:1であることができ、前記範囲にある場合、上述の効果がよりよく実現されることができる。
【0087】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーの重量の総和は、前記第1負極活物質層210および前記第2負極活物質層220の重量の総和に対して0.1重量%~10重量%、具体的には2重量%~8重量であることができる。前記範囲にある場合、上述の接着力の向上効果、負極の厚さ膨張の制御効果とともに、優れた容量を有する負極の実現が可能であり、好ましい。
【0088】
前記第1負極活物質層210の厚さと前記第2負極活物質層220の厚さとの比は、1:0.5~1:2、具体的に1:0.8~1:1.3であることができる。前記範囲にある場合、負極の全体的な充放電性能、接着力、厚さ膨張の制御効果が同時に向上することができる面で好ましい。
【0089】
前記第1負極活物質層210のローディング量および前記第2負極活物質層220のローディング量の和は、4mAh/cm2~8mAh/cm2、具体的には4.0mAh/cm2~7.5mAh/cm2、より具体的には4mAh/cm2~7mAh/cm2であることができる。本発明によると、前述のような高ローディング負極でも、高い水準の接着力およびセル厚さ膨張の制御効果を有し、高い寿命性能を有することができる。
【0090】
前記第1負極活物質層210のローディング量と前記第2負極活物質層220のローディング量との比は、1:0.5~1:2、具体的には1:0.8~1:1.3であることができる。前記範囲にある場合、負極の全体的な充放電性能、接着力、厚さ膨張の制御効果が同時に向上することができる面で好ましい。
【0091】
前記第1負極活物質層210および前記第2負極活物質層220全体の電極密度は、1.4~2.0g/cc、具体的には1.5g/cc~1.9g/cc、より具体的には1.6g/cc~1.8g/ccであることができる。本発明によると、高い電極密度およびエネルギー密度でも、優れた寿命性能を示すことができる。
【0092】
前記負極の製造は、上述の特徴を有する第1負極活物質層および第2負極活物質層の実現が可能であれば、特に制限されない。例えば、第1炭素系活物質、第1シリコン系活物質、第1バインダー、第1導電材および/または増粘剤を溶媒(例えば、水)に分散させて第1負極活物質層用スラリーを製造し、前記第2炭素系活物質、前記第2シリコン系活物質、第2バインダー、および/または第2導電材を溶媒(例えば、水)に分散させて第2負極活物質層用スラリーを製造した後、これらを負極集電体に塗布することで、本発明による負極を製造することができる。より具体的には、前述のとおり製造された第1負極活物質層用スラリーを負極集電体に塗布、圧延、および乾燥して第1負極活物質層を形成し、前記第1負極活物質層上に前述のとおり製造された第2負極活物質層用スラリーを塗布、圧延および乾燥して第2負極活物質層を形成することで、本発明による負極を製造することができる。一方、前記第1負極活物質層用スラリーを負極集電体に塗布しながら、実質的に同時に前記第2負極活物質層用スラリーを、塗布される第1負極活物質層用スラリー上に塗布し、圧延および乾燥することで本発明による負極を製造することもできる。
【0093】
<二次電池>
また、本発明は、上述の負極を含む二次電池、具体的にはリチウム二次電池を提供する。具体的には、前記二次電池は、上述の負極と、前記負極に対向する正極と、前記負極と前記正極との間に介在されたセパレータと、電解質とを含むことができる。
【0094】
前記負極に関する説明は、上述のとおりである。
【0095】
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体上に配置された正極活物質層とを含むことができる。
【0096】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を引き起こさず、高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。具体的には、前記正極集電体は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができ、具体的には、アルミニウムを含むことができる。
【0097】
前記正極集電体は、通常、3~500μmの厚さを有することができる。
【0098】
前記正極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化することもできる。例えば、前記正極集電体は、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態で使用されることができる。
【0099】
前記正極活物質層は、前記正極集電体上に配置されることができ、具体的には、正極集電体の一面または両面に配置されることができる。
【0100】
前記正極活物質層は、正極活物質を含むことができる。
【0101】
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物として、具体的には、ニッケル、コバルト、マンガンおよびアルミニウムからなる少なくとも1種の遷移金属とリチウムを含むリチウム遷移金属複合酸化物、好ましくは、ニッケル、コバルトおよびマンガンを含む遷移金属とリチウムを含むリチウム遷移金属複合酸化物を含むことができる。
【0102】
より具体的には、前記リチウム遷移金属複合酸化物としては、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO2、LiMn2O4など)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoO2など)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiO2など)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMnYO2(ここで、0<Y<1)、LiMn2-zNizO4(ここで、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1O2(ここで、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2O2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-z1Coz1O4(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NipCoqMnr1)O2(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r1<1、p+q+r1=1)またはLi(Nip1Coq1Mnr2)O4(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)、またはリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3MS2)O2(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、MgおよびMoからなる群から選択され、p2、q2、r3およびs2は、それぞれ独立した元素の原子分率として、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の化合物が含まれることができる。中でも、電池の容量特性および安定性を高めることができる点で、前記リチウム遷移金属複合酸化物は、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O2、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O2、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O2またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2など)、またはリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2など)などであることができる。
【0103】
より具体的には、前記正極活物質は、リチウム-コバルト系酸化物を含むことができる。前記リチウム-コバルト系酸化物は、高い電圧範囲、例えば、4.4V以上の充電電圧でも、優れた安定性を示すことができる。特に、本発明による負極とリチウム-コバルト系酸化物を含む正極を組み合わせる場合、高い充電電圧で優れた寿命性能を示すことができる。
【0104】
前記正極活物質の平均粒径(D50)は、10μm~30μm、具体的に15μm~20μmであることができ、前記範囲である時に、高い正極エネルギー密度の達成が可能であり、正極活物質のクラックや破損を防止する面で好ましい。
【0105】
前記正極活物質は、正極活物質の十分な容量発揮などを考慮して、正極活物質層内に80重量%~99重量%、好ましくは92重量%~98重量%含まれることができる。
【0106】
前記正極活物質層は、前記正極活物質とともに、正極バインダーおよび正極導電材をさらに含むことができる。
【0107】
前記正極バインダーは、活物質と導電材などの結着と集電体に対する結着に役立つ成分であり、具体的には、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴムおよびフッ素ゴムからなる群から選択される少なくとも1種、好ましくは、ポリビニリデンフルオライドを含むことができる。
【0108】
前記正極バインダーは、正極活物質などの成分間の結着力を十分に確保する面で、正極活物質層内に0.1重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~3重量%、より具体的には0.5重量%~2.5重量%含まれることができる。
【0109】
前記正極導電材は、二次電池に導電性を補助および向上させるために使用されることができ、化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではない。具体的には、前記導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブなどのカーボンナノチューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;およびポリフェニレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができ、具体的には、導電性向上の面で、カーボンブラックおよびカーボンナノチューブ、より具体的には、カーボンブラックおよび多層カーボンナノチューブを含むことができる。
【0110】
前記正極導電材は、電気伝導性を十分に確保する面で、正極活物質層内に0.1重量%~10重量%、具体的には0.1重量%~3.0重量%、より具体的には0.5重量%~2.5重量%含まれることができる。
【0111】
前記正極活物質層の厚さは、30μm~400μm、好ましくは50μm~200μmであることができる。
【0112】
前記正極活物質層のローディング量は、3.5mAh/cm2~7.5mAh/cm2、具体的には4.5mAh/cm2~6.5mAh/cm2であることができる。
【0113】
前記正極は、前記正極集電体上に、正極活物質および選択的にバインダー、導電材および正極スラリー形成用溶媒を含む正極スラリーをコーティングした後、乾燥および圧延して製造されることができる。
【0114】
前記正極スラリー形成用溶媒は、NMP(N-methyl-2-pyrrolidone)などの有機溶媒を含むことができ、前記正極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材などを含む時に、好ましい粘度になる量で使用されることができる。例えば、前記正極スラリー形成用溶媒は、正極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材を含む固形分の濃度が50重量%~95重量%、好ましくは70重量%~90重量%になるように前記正極スラリーに含まれることができる。
【0115】
本発明の二次電池において、下記数式1で計算されるN/P比(N/P ratio)は、1.0~1.5、好ましくは1.0~1.2であることができる。
【0116】
[数式1]
N/P比={(前記負極の単位面積当たりの放電容量)/(前記正極の単位面積当たりの放電容量)}。
【0117】
前記範囲である場合、シリコン系活物質の高い容量および充電特性を発現することができ、且つシリコン系活物質の体積の膨張/収縮が電池に及ぼす影響を最小化して、二次電池の寿命特性がより向上することができる。
【0118】
具体的には、前記負極の単位面積当たりの放電容量は、以下の方法で求めることができる。先ず、使用された負極と同じ負極サンプルを準備する。前記負極サンプル、前記負極に対向するリチウム金属対極、前記負極と前記リチウム金属対極との間に介在されたセパレータ、および電解質を含むコイン型のハーフセル(half-cell)を製造して放電容量を求める。前記放電容量を前記負極サンプルの面積で除して負極の単位面積当たりの放電容量を求めることができる。
【0119】
また、前記正極の単位面積当たりの放電容量は、以下の方法で求めることができる。先ず、使用された正極と同じ正極サンプルを準備する。前記正極サンプル、前記正極に対向するリチウム金属対極、前記正極と前記リチウム金属対極との間に介在されたセパレータ、および電解質を含むコイン型のハーフセル(half-cell)を製造して放電容量を求める。前記放電容量を前記正極サンプルの面積で除して前記正極の単位面積当たりの放電容量を求めることができる。
【0120】
前記セパレータは、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであり、通常、リチウム二次電池において、セパレータとして使用されるものであれば、特に制限なく使用可能であり、特に、電解質のイオン移動に対して低抵抗であるとともに電解液含湿性能に優れたものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が使用されることができる。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されることもできる。また、耐熱性または機械的強度の確保のために、セラミック成分または高分子物質が含まれたコーティングされたセパレータが使用されることもでき、選択的に、単層または多層構造で使用されることができる。
【0121】
また、本発明で使用される電解質としては、二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0122】
具体的には、前記電解質は、有機溶媒およびリチウム塩を含むことができる。
【0123】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関わるイオンが移動することができる媒質の役割を果たすものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記有機溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなどのエステル系溶媒;ジブチルエーテルまたはテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ベンゼン、フルオロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが使用されることができる。中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度および高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の直鎖状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと直鎖状カーボネートは、約1:1~約1:9の体積比で混合して使用することが、電解液が優れた性能を示すことができる。
【0124】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池で使用されるリチウムイオンを提供することができる化合物であれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記リチウム塩としては、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAl04、LiAlCl4、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(C2F5SO3)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiCl、LiI、またはLiB(C2O4)2などが使用されることができる。前記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0Mの範囲内で使用することが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度および粘度を有することから優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0125】
前記二次電池は、前記負極、前記正極、前記セパレータおよび前記電解質を収容する電池ケースをさらに含むことができる。
【0126】
前記二次電池は、通常の二次電池の製造方法にしたがって、上述の負極と正極との間にセパレータを介在させた電極組立体を前記電池ケースの内部に収容し、電解液を注入して製造されることができる。
【0127】
<電池システム>
また、本発明は、上述の二次電池を含む電池システムを提供する。
【0128】
具体的には、前記電池システムは、上述の二次電池、および前記二次電池の充電および放電時の電圧範囲を設定することができる制御ユニットを含む。
【0129】
前記二次電池に関する説明は、上述のとおりである。
【0130】
前記制御ユニットは、二次電池の充電および放電時の電圧範囲を制御することができるものであれば、特に制限されず、例えば、電気化学充放電器であることができる。具体的には、前記制御ユニットは、電池パック内に含まれるBMS(Battery Management System)内に内蔵されることができる。
【0131】
前記制御ユニットによる電圧範囲は、下記数式2を満たすように設定されることができる。
【0132】
[数式2]
0.60≦(Vmax-X)/Y≦0.67
【0133】
前記数式2中、Vmaxは、前記制御ユニットによって設定された最大電圧であり、Yは、式Vmax-Vmin/1.47で計算される値であり、ここで、Vminは、前記制御ユニットによって設定された最小電圧であり、Xは、VmaxおよびVminで前記二次電池を充電および放電した時の平均電圧である。
【0134】
前記数式2において、前記Vmaxは、4.4V~4.6V、具体的には4.40V~4.55Vであることができ、前記Vminは、2.8V~3.3V、具体的には3.0V~3.3Vであることができる。本発明によると、高電圧での使用によっても、二次電池の高い寿命性能発揮が可能であり、前記範囲のVmax、Vminで優れた寿命性能を有する電池システムの実現が可能である。
【0135】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施するように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な相違する形態に実現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0136】
実施例
実施例1:負極および二次電池の製造
1.負極の製造
<第1シリコン系活物質の製造>
第1シリコン系化合物としてSiOを第1トレイに載せ、-100torrの減圧雰囲気で1,400℃で第1熱処理して第1蒸気を発生させた。また、第1金属としてMgを第2トレイに載せ、-100torrの減圧雰囲気で900℃で第2熱処理して第2蒸気を発生させた。それぞれのトレイでの第1熱処理および第2熱処理は、独立して行われた。前記第1トレイに載せられたSiOおよび前記第2トレイに載せられた金属の重量比は86.1:13.9であった。
【0137】
前記第1蒸気および前記第2蒸気を一つの反応器に混合して8時間気相反応させた。
【0138】
前記気相反応完了後、900℃から冷却させてMgがドーピングされたシリコン系化合物を製造した。前記冷却は、8時間行われた。
【0139】
前記Mgがドーピングされたシリコン系化合物をジェットミルで粉砕した。
【0140】
次に、前記Mgがドーピングされたシリコン系化合物に950℃、4時間の条件で、アルゴン(Ar)とメタン(CH4)の混合ガス下でCVD処理をして、炭素コーティング層をMgがドーピングされたシリコン系化合物の表面に形成し、これを実施例1の第1シリコン系活物質とした。前記第1シリコン系活物質において、Mgの重量は、SiOおよびMgの重量の総和に対して13.9重量%である。前記第1シリコン系活物質は、平均粒径(D50)が7μmであり、炭素コーティング層を4重量%含んでいた。
【0141】
<第2シリコン系活物質の製造>
第1トレイに載せられたSiOおよび第2トレイに載せられた金属の重量比を91.7:8.3に調節した以外は、前記第1シリコン系活物質の製造方法と同じ方法で第2シリコン系活物質を製造した。前記第2シリコン系活物質において、Mgの重量はSiOおよびMgの重量の総和に対して8.3重量%である。前記第2シリコン系活物質は平均粒径(D50)が7μmであり、炭素コーティング層を4重量%含んでいた。
【0142】
<第1負極活物質層用スラリーの製造>
第1炭素系活物質として人造黒鉛(平均粒径(D50):18μm)、前述のとおり製造された第1シリコン系活物質、第1バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)および第1導電材として単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を86.1:9.6:3.0:1.0:0.3の重量比で混合し、第1負極活物質層用スラリー溶媒として水に添加して、第1負極活物質層用スラリーを製造した。
【0143】
<第2負極活物質層用スラリーの製造>
第2炭素系活物質として人造黒鉛(平均粒径(D50):18μm)、前述のとおり製造された第2シリコン系活物質、第2バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)および第2導電材として単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を86.1:9.6:3.0:1.0:0.3の重量比で混合し、第2負極活物質層用スラリー溶媒として水に添加して、第2負極活物質層用スラリーを製造した。
【0144】
<第1および第2負極活物質層の形成>
前述のとおり製造された第1負極活物質層用スラリーを負極集電体として銅箔(厚さ:6μm)に塗布しながら、実質的に同時に前述のとおり製造された第2負極活物質層用スラリーを塗布された第1負極活物質層用スラリー上に塗布し、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して、負極集電体、第1負極活物質層、および第2負極活物質層が順に積層された負極を製造した。
【0145】
前記第1負極活物質層の第1バインダーの重量比(3重量%、第1負極活物質層100重量%基準)と前記第2負極活物質層の第2バインダーの重量比(3重量%、第2負極活物質層100重量%基準)との比は約1:1であった。
【0146】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーの重量の総和は、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の重量の総和に対する3重量%であった。
【0147】
前記第1負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第2負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層のローディング量の和は5.5mAh/cm2であった。
【0148】
前記第1負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第2負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さの和は63.5μmであった。
【0149】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の電極密度は、1.7g/ccであった。
【0150】
2.二次電池の製造
正極活物質としてLiCoO2(平均粒径(D50):16.5μm)、導電材としてカーボンブラックと多層カーボンナノチューブを1:0.5の重量比で混合したもの、バインダーとしてポリビニリデンフルオライド(PVdF)を96.0:1.5:1.5の重量比で正極スラリー形成用溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加して、正極スラリーを製造した。
【0151】
正極集電体としてアルミニウム集電体(厚さ:10μm)に前記正極スラリーを5.2mAh/cm2のローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して正極活物質層(厚さ:63.5μm)を形成し、正極を製造した(正極の厚さ:73.5μm)。
【0152】
前述のとおり製造された負極と正極との間にポリエチレンセパレータを介在し、電解質を注入して、実施例1の二次電池を製造した。電解質としてはフルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、エチレンプロピオネート(EP)を20:20:60の体積比で混合した有機溶媒にビニレンカーボネートを3重量%で添加し、リチウム塩としてLiPF6を1mol/Lの濃度で添加したものを使用した。
【0153】
前記実施例1の二次電池のN/P比は1.07であった。
【0154】
実施例2:負極および二次電池の製造
1.負極の製造
<第1負極活物質層用スラリーの製造>
第1炭素系活物質、第1シリコン系活物質、第1バインダー、増粘剤および第1導電材を85.2:9.5:4.0:1.0:0.3の重量比で混合した以外は、実施例1と同じ方法で第1負極活物質層用スラリーを製造した。
【0155】
<第2負極活物質層用スラリーの製造>
第2炭素系活物質、第2シリコン系活物質、第2バインダー、増粘剤および第2導電材を87.0:9.7:2.0:1.0:0.3の重量比で混合した以外は、実施例1と同じ方法で第2負極活物質層用スラリーを製造した。
【0156】
<第1および第2負極活物質層の形成>
前述のとおり製造された第1負極活物質層用スラリーを負極集電体として銅箔(厚さ:6μm)に塗布しながら、実質的に同時に前述のとおり製造された第2負極活物質層用スラリーを塗布された第1負極活物質層用スラリー上に塗布し、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥し、負極集電体、第1負極活物質層、および第2負極活物質層が順に積層された負極を製造した。
【0157】
前記第1負極活物質層の第1バインダーの重量比(4重量%、第1負極活物質層100重量%基準)と前記第2負極活物質層の第2バインダーの重量比(2重量%、第2負極活物質層100重量%基準)との比は約2:1であった。
【0158】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーの重量の総和は、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の重量の総和に対して3重量%であった。
【0159】
前記第1負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第2負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層のローディング量の和は5.5mAh/cm2であった。
【0160】
前記第1負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第2負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さの和は63.5μmであった。
【0161】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の電極密度は1.7g/ccであった。
【0162】
2.二次電池の製造
前述のとおり製造された負極を使用した以外は、実施例1と同じ方法で二次電池を製造した。
【0163】
実施例2の二次電池のN/P比は1.07であった。
【0164】
実施例3:負極および二次電池の製造
第1トレイに載せられたSiOおよび第2トレイに載せられた金属の重量比を90.2:9.8に調節した以外は、実施例2の第2シリコン系活物質の製造方法と同じ方法で第2シリコン系活物質を製造した。前記第2シリコン系活物質において、Mgの重量は、SiOおよびMgの重量の総和に対して9.8重量%である。前記第2シリコン系活物質は平均粒径(D50)が7μmであり、炭素コーティング層を4重量%含んでいる。
【0165】
実施例2で使用された第2シリコン系活物質の代わりに前述のとおり製造された第2シリコン系活物質を使用した以外は、実施例2と同じ方法で負極および二次電池を製造した。
【0166】
前記第1負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第2負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層のローディング量の和は5.5mAh/cm2であった。
【0167】
前記第1負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第2負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さの和は63.5μmであった。
【0168】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の電極密度は1.7g/ccであった。
【0169】
前記実施例3の二次電池のN/P比は1.07であった。
【0170】
実施例4:負極および二次電池の製造
第1トレイに載せられたSiOおよび第2トレイに載せられた金属の重量比を94.2:5.8に調節した以外は、実施例2の第2シリコン系活物質の製造方法と同じ方法で第2シリコン系活物質を製造した。前記第2シリコン系活物質において、Mgの重量はSiOおよびMgの重量の総和に対して5.8重量%である。前記第2シリコン系活物質は、平均粒径(D50)が7μmであり、炭素コーティング層を4重量%含んでいる。
【0171】
実施例2で使用された第2シリコン系活物質の代わりに前述のとおり製造された第2シリコン系活物質を使用した以外は、実施例2と同じ方法で負極および二次電池を製造した。
【0172】
前記第1負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第2負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層のローディング量の和は5.5mAh/cm2であった。
【0173】
前記第1負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第2負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さの和は63.5μmであった。
【0174】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の電極密度は1.7g/ccであった。
【0175】
前記実施例4の二次電池のN/P 比は1.07であった。
【0176】
実施例5:負極および二次電池の製造
第1トレイに載せられたSiOおよび第2トレイに載せられた金属の重量比を79.6:20.4に調節した以外は、実施例2の第1シリコン系活物質の製造方法と同じ方法で第1シリコン系活物質を製造した。前記第1シリコン系活物質において、Mgの重量はSiOおよびMgの重量の総和に対して20.4重量%である。前記第1シリコン系活物質は平均粒径(D50)が7μmであり、炭素コーティング層を4重量%含んでいる。
【0177】
実施例2で使用された第1シリコン系活物質の代わりに前述のとおり製造された第1シリコン系活物質を使用した以外は、実施例2と同じ方法で負極および二次電池を製造した。
【0178】
前記第1負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第2負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層のローディング量の和は5.5mAh/cm2であった。
【0179】
前記第1負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第2負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さの和は63.5μmであった。
【0180】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の電極密度は1.7g/ccであった。
【0181】
前記実施例5の二次電池のN/P比は1.07であった。
【0182】
実施例6:負極および二次電池の製造
第1トレイに載せられたSiOおよび第2トレイに載せられた金属の重量比を89.7:10.3に調節した以外は、実施例2の第1シリコン系活物質の製造方法と同じ方法で第1シリコン系活物質を製造した。前記第1シリコン系活物質において、Mgの重量はSiOおよびMgの重量の総和に対して10.3重量%である。前記第1シリコン系活物質は、平均粒径(D50)が7μmであり、炭素コーティング層を4重量%含んでいる。
【0183】
実施例2で使用された第1シリコン系活物質の代わりに前述のとおり製造された第1シリコン系活物質を使用した以外は、実施例2と同じ方法で負極および二次電池を製造した。
【0184】
前記第1負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第2負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層のローディング量の和は5.5mAh/cm2であった。
【0185】
前記第1負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第2負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さの和は63.5μmであった。
【0186】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の電極密度は1.7g/ccであった。
【0187】
前記実施例6の二次電池のN/P比は1.07であった。
【0188】
比較例1:負極および二次電池の製造
1.負極の製造
実施例2で製造された第2負極活物質層用スラリーと同じ負極活物質層用スラリーを準備した。
【0189】
負極集電体として銅集電体(厚さ:6μm)上に前記負極スラリーを5.5mAh/cm2のローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して負極活物質層(厚さ:63.5μm)を形成し、これを負極とした(電極密度:1.7g/cc)。
【0190】
2.二次電池の製造
実施例1の負極の代わりに前述のとおり製造された負極を使用した以外は、実施例1と同じ方法で二次電池を製造した。
【0191】
前記比較例1の二次電池のN/P比は1.07であった。
【0192】
比較例2:負極および二次電池の製造
1.負極の製造
<第1負極活物質層用スラリーの製造>
第1炭素系活物質、第1シリコン系活物質、第1バインダー、増粘剤および第1導電材を87.0:9.7:2.0:1.0:0.3の重量比で混合した以外は、実施例2と同じ方法で第1負極活物質層用スラリーを製造した。
【0193】
<第2負極活物質層用スラリーの製造>
第2炭素系活物質、第2シリコン系活物質、第2バインダー、増粘剤および第2導電材を85.2:9.5:4.0:1.0:0.3の重量比で混合した以外は、実施例2と同じ方法で第2負極活物質層用スラリーを製造した。
【0194】
<第1および第2負極活物質層の形成>
前述のとおり製造された第1負極活物質層用スラリーを負極集電体として銅箔(厚さ:6μm)に塗布しながら、実質的に同時に前述のとおり製造された第2負極活物質層用スラリーを塗布された第1負極活物質層用スラリー上に塗布し、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して、負極集電体、第1負極活物質層、および第2負極活物質層が順に積層された負極を製造した。
【0195】
前記第1負極活物質層の第1バインダーの重量比(2重量%、第1負極活物質層100重量%基準)と前記第2負極活物質層の第2バインダーの重量比(4重量%、第2負極活物質層100重量%基準)との比は約0.5:1であった。
【0196】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーの重量の総和は、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の重量の総和に対して3重量%であった。
【0197】
前記第1負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第2負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層のローディング量の和は5.5mAh/cm2であった。
【0198】
前記第1負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第2負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さの和は63.5μmであった。
【0199】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の電極密度は1.7g/ccであった。
【0200】
2.二次電池の製造
前述のとおり製造された負極を使用した以外は、実施例2と同じ方法で二次電池を製造した。
【0201】
前記比較例2の二次電池のN/P比は1.07であった。
【0202】
比較例3:負極および二次電池の製造
1.負極の製造
<第1負極活物質層用スラリーの製造>
第1炭素系活物質、第1シリコン系活物質、第1バインダー、増粘剤および第1導電材を84.0:9.3:5.4:1.0:0.3の重量比で混合した以外は、実施例2と同じ方法で第1負極活物質層用スラリーを製造した。
【0203】
<第2負極活物質層用スラリーの製造>
第2炭素系活物質、第2シリコン系活物質、第2バインダー、増粘剤および第2導電材を88.3:9.8:0.6:1.0:0.3の重量比で混合した以外は、実施例2と同じ方法で第2負極活物質層用スラリーを製造した。
【0204】
<第1および第2負極活物質層の形成>
前述のとおり製造された第1負極活物質層用スラリーを負極集電体として銅箔(厚さ:6μm)に塗布しながら、実質的に同時に前述のとおり製造された第2負極活物質層用スラリーを塗布された第1負極活物質層用スラリー上に塗布し、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して、負極集電体、第1負極活物質層、および第2負極活物質層が順に積層された負極を製造した。
【0205】
前記第1負極活物質層の第1バインダーの重量比(5.4重量%、第1負極活物質層100重量%基準)と前記第2負極活物質層の第2バインダーの重量比(0.6重量%、第2負極活物質層100重量%基準)との比は約9:1であった。
【0206】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーの重量の総和は、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の重量の総和に対して3重量%であった。
【0207】
前記第1負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第2負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層のローディング量の和は5.5mAh/cm2であった。
【0208】
前記第1負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第2負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さの和は63.5μmであった。
【0209】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の電極密度は1.7g/ccであった。
【0210】
2.二次電池の製造
前述のとおり製造された負極を使用した以外は、実施例2と同じ方法で二次電池を製造した。
【0211】
前記比較例3の二次電池のN/P比は1.07であった。
【0212】
比較例4:負極および二次電池の製造
1.負極の製造
<第1負極活物質層用スラリーの製造>
実施例2で製造された第1シリコン系活物質の代わりに実施例2で製造された第2シリコン系活物質を使用した以外は、実施例2と同じ方法で第1負極活物質層用スラリーを製造した。
【0213】
<第2負極活物質層用スラリーの製造>
実施例2で製造された第2シリコン系活物質の代わりに実施例2で製造された第1シリコン系活物質を使用した以外は、実施例2と同じ方法で第2負極活物質層用スラリーを製造した。
【0214】
<第1および第2負極活物質層の形成>
前述のとおり製造された第1負極活物質層用スラリーを負極集電体として銅箔(厚さ:6μm)に塗布しながら、実質的に同時に前述のとおり製造された第2負極活物質層用スラリーを塗布された第1負極活物質層用スラリー上に塗布し、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して、負極集電体、第1負極活物質層、および第2負極活物質層が順に積層された負極を製造した。
【0215】
前記第1負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第2負極活物質層のローディング量は2.75mAh/cm2であり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層のローディング量の和は5.5mAh/cm2であった。
【0216】
前記第1負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第2負極活物質層の厚さは31.75μmであり、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さの和は63.5μmであった。
【0217】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の電極密度は1.7g/ccであった。
【0218】
2.二次電池の製造
前述のとおり製造された負極を使用した以外は、実施例1と同じ方法で二次電池を製造した。
【0219】
前記比較例4の二次電池のN/P比は1.07であった。
【0220】
実験例
実験例1:接着力評価
実施例1の負極を2cm×7cmのサイズに打ち抜き、負極サンプルを製造した。次に、負極サンプルを電解質に3時間含浸し、ジメチルカーボネートで洗浄した。この際に使用された電解質としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、エチレンプロピオネート(EP)を20:20:60の体積比で混合した有機溶媒にビニレンカーボネートを3重量%で添加し、リチウム塩としてLiPF6を1mol/Lの濃度で添加したものを使用した。
【0221】
スライドガラスの上に両面テープを貼り付けた後、前記負極サンプルの活物質層がテープが貼り付けられた面と当接するように位置させ、ローラを用いて10回摩擦した。次に、peel test装置を用いて、10cm/minの速度、90度でpeel-offし、この際の力(単位:gf/20mm)を測定した。
【0222】
実施例2~6および比較例1~4の負極も前述の方法と同じ方法で実験した。その結果を下記表1に示す。
【0223】
実験例2:寿命特性評価
実施例1~6および比較例1~4で製造した二次電池に対して、電気化学充放電器を用いてサイクル容量維持率を評価した。
【0224】
サイクル容量維持率の測定は25℃の温度で行われ、充放電条件は、以下のとおりである。
【0225】
充電条件:CC/CVモード、4.5V、0.8C、0.05C cut off
放電条件:CCモード、0.5C、3.2V cut off
【0226】
容量維持率は、下記のように計算した。
【0227】
容量維持率(%)={(N回目のサイクルでの放電容量)/(最初のサイクルでの放電容量)}×100
前記式中、Nは、1以上の整数である。
【0228】
200回目のサイクル容量維持率(%)を下記表1に示す。
【0229】
【0230】
表1を参照すると、実施例1~6の負極および二次電池は、第1バインダーおよび第2バインダー比率が好ましい水準に調節され、第1シリコン系活物質および第2シリコン系活物質の金属ドーピング比率が好ましく調節されることで、比較例1~4に比べて優れた接着力および寿命性能を示すことを確認することができる。
【符号の説明】
【0231】
10 負極
100 負極集電体
210 第1負極活物質層
220 第2負極活物質層
【手続補正書】
【提出日】2024-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体と、
前記負極集電体上に配置され、第1炭素系活物質、第1シリコン系活物質、および第1バインダーを含む第1負極活物質層と、
前記第1負極活物質層上に配置され、第2炭素系活物質、第2シリコン系活物質、および第2バインダーを含む第2負極活物質層とを含み、
前記第1シリコン系活物質は、SiO
x(0≦x<2)で表される第1シリコン系化合物および前記第1シリコン系化合物にドーピングされた第1金属を含み、
前記第2シリコン系活物質は、SiO
y(0≦y<2)で表される第2シリコン系化合物および前記第2シリコン系化合物にドーピングされた第2金属を含み、
前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対する第1金属の重量比は、前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対する第2金属の重量比より大きく、
前記第1バインダーの前記第1負極活物質層の重量基準の重量百分率と、前記第2バインダーの前記第2負極活物質層の重量基準の重量百分率との比は、0.9:1~5.5:1である、負極。
【請求項2】
前記第1金属の重量は、前記第1シリコン系化合物および前記第1金属の重量の総和に対して10重量%~25重量%であり、
前記第2金属の重量は、前記第2シリコン系化合物および前記第2金属の重量の総和に対して3重量%以上10重量%未満である、請求項1に記載の負極。
【請求項3】
前記第1金属および前記第2金属は、互いに独立して、Li、Mg、CaおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む、請求項1に記載の負極。
【請求項4】
前記第1炭素系活物質および前記第1シリコン系活物質は、前記第1負極活物質層に90重量%~99重量%含まれ、
前記第1炭素系活物質および前記第1シリコン系活物質の重量比は、85:15~99:1である、請求項1に記載の負極。
【請求項5】
前記第2炭素系活物質および前記第2シリコン系活物質は、前記第2負極活物質層に90重量%~99重量%含まれ、
前記第2炭素系活物質および前記第2シリコン系活物質の重量比は、85:15~99:1である、請求項1に記載の負極。
【請求項6】
前記第1バインダーは、前記第1負極活物質層に1重量%~15重量%含まれる、請求項1に記載の負極。
【請求項7】
前記第2バインダーは、前記第2負極活物質層に1重量%~15重量%含まれる、請求項1に記載の負極。
【請求項8】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーの重量の総和は、前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の重量の総和に対して1重量%~15重量%である、請求項1に記載の負極。
【請求項9】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーは、互いに独立して、ポリビニリデンフルオライド、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フルオロゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリロニトリルおよびポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の負極。
【請求項10】
前記第1バインダーおよび前記第2バインダーは、スチレンブタジエンゴムを含む、請求項1に記載の負極。
【請求項11】
前記第1負極活物質層および前記第2負極活物質層の厚さ比は、1:0.5~1:2である、請求項1に記載の負極。
【請求項12】
前記第1負極活物質層のローディング量および前記第2負極活物質層のローディング量の和は、4mAh/cm
2~8mAh/cm
2である、請求項1に記載の負極。
【請求項13】
請求項1
から12のいずれか一項に記載の負極と、
前記負極に対向する正極と、
前記負極と前記正極との間に介在されたセパレータと、
電解質とを含む、二次電池。
【請求項14】
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体上に配置された正極活物質層とを含み、
前記正極活物質層は、リチウム-コバルト系酸化物を含む正極活物質を含む、請求項13に記載の二次電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0152
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0152】
前述のとおり製造された負極と正極との間にポリエチレンセパレータを介在し、電解質を注入して、実施例1の二次電池を製造した。電解質としてはフルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、エチルプロピオネート(EP)を20:20:60の体積比で混合した有機溶媒にビニレンカーボネートを3重量%で添加し、リチウム塩としてLiPF6を1mol/Lの濃度で添加したものを使用した。
【国際調査報告】