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特表2024-543472コンポーネントを生産する方法およびコンポーネント自体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】コンポーネントを生産する方法およびコンポーネント自体
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20241114BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20241114BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20241114BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20241114BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241114BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20241114BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/106
B29C64/118
B33Y50/02
B33Y10/00
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528443
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2022081374
(87)【国際公開番号】W WO2023083922
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021129750.8
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520113158
【氏名又は名称】クモビス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145791
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 志麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】パマー,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】レオンハルト,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】クリーガー,ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】ブルイアス,アルノー
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC03
4F213AH63
4F213AP05
4F213AP06
4F213AR06
4F213AR07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
4F213WL27
4F213WL32
4F213WL85
(57)【要約】
本発明は、付加生産方法によってコンポーネント(10、110、210)を生産する方法に関し、少なくとも以下のステップ:- コンポーネント(10、110、210)のための生産計画がデジタルデータから生成されるステップ、- コンポーネント(10、110、210)が、生産中のコンポーネント(10、110、210)内の温度に関してその構造および/またはその生産パラメータに関して分析されるステップ、ならびに、- 構造および/または生産パラメータが生産中に不均一温度分布をもたらすことになることを分析が明らかする場所において、補充構造(12、112、212)がコンポーネント(10、110、210)に付加されるステップを含む。本発明は、付加生産方法によって生産されるコンポーネントにさらに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加生産方法によってコンポーネント(10、110、210)を生産する方法であって、少なくとも以下のステップ:
- 前記コンポーネント(10、110、210)のための生産計画がデジタルデータから生成されるステップ、
- 前記コンポーネント(10、110、210)が、生産中の前記コンポーネント(10、110、210)内の温度に関して前記コンポーネント(10、110、210)の構造および/または前記コンポーネント(10、110、210)の生産パラメータに関して分析されるステップ、ならびに、
- 前記構造および/または前記生産パラメータが生産中に不均一温度分布をもたらすことになることを前記分析が明らかする場所において、補充構造(12、112、212)が前記コンポーネント(10、110、210)に付加されるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記付加生産法は、溶融堆積モデリング(FDM)法または溶融層モデリング(FLM)法または溶融フィラメント作製(FFF)法であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補充構造(12、112、212)は、オリジナルのコンポーネント幾何形状の修正によって生成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記補充構造は、少なくとも1つの別個の幾何学的本体の付加によって生成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記補充構造(12、112、212)は、前記コンポーネント(10、110、210)の材料と異なる材料によって形成されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
所定の破断点は、前記コンポーネント(10、110、210)と前記補充構造(12、112、212)との間に生成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記コンポーネント(10、110、210)の材料は、半結晶ポリマーであるかまたはそれを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記補充構造(12、112、212)は、前記コンポーネント(10、110、210)の冷却プロセスのための強化および/または安定化構造として使用されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記補充構造(12、112、212)の少なくとも前記付加は、半自動的にまたは自動的に行われることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
付加生産法によって、特に、請求項1~9のいずれか1項に記載の生産方法によって生産されるコンポーネント(10、110、210)であって、少なくとも1つの補充構造(12、112、212)を備える、コンポーネント(10、110、210)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加生産方法によってコンポーネントを生産する方法ならびに付加生産方法によって生産されるコンポーネントに関する。特に、コンポーネントは、医療製品のコンポーネントまたは医療製品自体とすることができる。
【背景技術】
【0002】
付加または汎用製造方法(3Dプリント法とも呼ばれる)は、技術的進歩によって過去数十年で益々重要になってきており、将来、益々重要になり続けるであろう。
【0003】
一般に材料の、および、例えば、特に医療アプリケーションについての(例えば、インプラントについての)特にプラスチックの3Dプリントの文脈で、特に、現在達成可能なコンポーネント品質(反り、公差、強度、靭性など)ならびに特定のコンポーネント特性(微細構造または表面特性など)は、益々、多くの科学調査の的になっている。
【0004】
3Dプリントプロセスは、従来技術から、同様に医療製品、特にインプラントに関連して既に知られている。
【0005】
例えば、少なくとも1つのプリントヘッドユニットを備える3Dプリントデバイス、特にFFF印刷デバイスは、独国特許出願公開第10 2015 111 504号明細書から既に知られており、その明細書において、プリントヘッドユニットは、高性能プラスチック、特に高性能熱可塑性材料によって少なくとも部分的に形成される印刷材料を溶解させるために少なくとも1つの動作状態に設けられる。
【0006】
さらに、欧州特許出願公開第3 173 233号明細書において、3次元製造装置が開示され、3次元製造装置は、このために設けられる処理チャンバ加熱ユニットによって加熱される処理チャンバを備える。
【0007】
さらに、米国特許第6,722,872号明細書は、加熱式構築チャンバ内で3次元物体を構築するために設けられる3次元モデリング装置を開示する。
【0008】
さらに、米国特許出願公開第2015/110911号明細書は、例えば、付加製造技術のそれぞれの環境に対する付加製造技術のインターフェースとして使用される環境モニタリングまたは制御ユニットを示す。
【0009】
ちなみに、国際公開第2016/063198号パンフレットは、「溶融堆積モデリング(Fused Deposition Modeling)」によって3次元物体を生産するための方法および装置を示し、生産装置は、放射加熱要素を備え、放射加熱要素は、放射加熱要素にさらされる、作製される物体の表面を加熱することができる。
【0010】
国際公開第2017/108477号パンフレットから、「溶融堆積モデリング」プリンターを使用して3次元物体を生産する方法が、さらに集められ得る。
【発明の概要】
【0011】
有利な方法で、特に、コンポーネントの製造精度および寸法精度が改善され得るという趣旨で、付加生産方法によってコンポーネントを生産する方法ならびに上記の付加生産方法によって生産されるコンポーネントをさらに開発することが本発明の目的である。
【0012】
この目的は、請求項1の特徴を有する付加生産方法によってコンポーネントを生産する方法による本発明に従って達成される。これによれば、付加生産方法によってコンポーネントを生産する方法が、少なくとも以下のステップ:
- コンポーネントのための生産計画がデジタルデータから生成されるステップ、
- コンポーネントが、生産中のコンポーネント内の温度に関してその構造および/またはその生産パラメータに関して分析されるステップ、ならびに、
- 構造および/または生産パラメータが生産中に不均一温度分布をもたらすことになることを分析が明らかする場所において、補充構造がコンポーネントに付加されるステップ
を含むものとする。
【0013】
本発明は、コンポーネントの温度管理、したがって、コンポーネントの付加製造におけるプロセス安定性を改善する基本的考えに基づく。
【0014】
個別化された補充構造は、改善された機械的特性そして同時に最適化された表面品質を有するコンポーネントを製造するために使用され得る。機能的補充構造を生成するとき、コンポーネント幾何形状の断面積および/またはプロセスパラメータは、付加製造プロセスが個々の層において適合されように補充構造を設計するために使用され、したがって、コンポーネント内の温度分布は製造プロセス中に影響を受ける可能性がある。さらに、補充構造は、付加製造の製造プロセスに影響を及ぼすために使用され得る(例えば、付加製造中に押し出し速度をできる限り一定に維持することによる体積流量の最適化)。これは、例えば、高性能プラスチック(例えば、医療技術(インプラント、機器)、航空宇宙、自動車、・・・において使用される)の印刷において、そして、ここで特に同様に、半結晶性プラスチック変種を印刷するときに、有利に使用され得る。従来の支持構造と比較して、説明する機能的補充構造の的は、印刷プロセス中のコンポーネントの純粋に幾何学的な安定化にではなく、コンポーネントの温度管理に、したがって、付加製造プロセスのプロセス安定性にある。
【0015】
特に、付加生産方法が、溶融堆積モデリング(FDM:Fused Deposition Modeling)法または溶融層モデリング(FLM:Fused Layer Modeling)法または溶融フィラメント作製(FFF:Fused Filament Fabrication)法であるものとし得る。これらの方法は、コンポーネント、特に、医療アプリケーション用のコンポーネントを確実に生産することを可能にする。開始点は、例えば、STL/STEP/OBJ/汎用CADファイルとすることができる。前記ファイルは、プロセス最適化方法において最初に指向される。幾何形状およびプロセス関連境界条件(断面積、オーバーハング、層当たりの構築回数、材料、プロセスパラメータなど)を考慮して、コンポーネントは、構築プラットフォームまたはプリント方向に対して位置合わせされる。その後、コンポーネントは、構築プラットフォームに平行なその断面積に関しておよび/または印刷プロセスパラメータに関して分析され得る。この分析に従って、印刷プロセス中に温度管理を著しく改善する機能的補充構造が生成される。
【0016】
機能的補充構造の設計プロセスの1つの狙いは、例えば、コンポーネントにおける改善された機械的特性または減少した反りを達成するために、コンポーネント全体を通して温度を「均一化する(homogenize)」こととすることができる。
【0017】
補充構造は、同様に、できる限り一定であるフィラメント放出(体積流量)を用いてコンポーネントを付加製造することを可能にし、それは、ノズルにおいて、特に、FLM/FFF法などの押し出しプロセスにおいて、溶解物形成に非常に有益な影響を及ぼす。
【0018】
機能的補充構造のための設計プロセスの目標は、例えば、コンポーネント内の機械的特性の断面ごとの適合(例えば、半結晶ポリマーの場合、異なる結晶化速度を通した)、コンポーネント内のホットスポットの生成(例えば、材料内の添加剤を活性化するため)、または、コンポーネント内の熱蓄積の回避(例えば、材料(例えば、医薬混和剤)内の熱感応性添加剤の過熱を防止するため)を同様に含むことができる。
【0019】
さらに、補充構造が、オリジナルコンポーネント幾何形状の修正によって生成されることが考えられる。
【0020】
補充構造が、少なくとも1つの別個の幾何学的本体の付加によって生成されることも考えられる。
【0021】
補充構造は、オリジナルコンポーネント幾何形状の修正によって、または、さらなる別個の幾何学的本体の生成によって実現され得る。機能的補充構造は、足場またはフレームワーク構造、多孔質構造などのような薄壁(例えば、一貫性のある断面積を作成するために分離された断面積を接続する)として実現され得、従来の支持構造の機能(アンダーカットされた幾何形状の支持、コンポーネントの安定化、ベッド接着力、・・・)を引き継ぐ/統合することができる。
【0022】
補充構造が、コンポーネントの材料と異なる材料によって形成されることも可能である。これは、例えば、2K印刷または3K印刷によって行われ得る。
【0023】
コンポーネントと補充構造との間に所定の破断点を生成することも可能である。補充構造の容易な取り外しは、別の設計目標であり、その目標は、ターゲットの所定の破断点を統合することによって、または、取り外すことが容易である構造(例えば、多孔質構造)を統合することによって達成され得る。
【0024】
コンポーネントの材料は、半結晶ポリマーであるかまたはそれを含むことができる。例えば、PEEK(:polyetheretherketone、ポリエーテルエーテルケトン)の使用が考えられる。
【0025】
特に、医療適合性プラスチックおよび/または人間または動物の身体によって再吸収され得る少なくとも1つのプラスチックを使用することが考えられる。これらの材料は、インプラント用の多数のアプリケーションにとって興味深いため、本発明の文脈におけるそれらの使用は、特に有利である。上記材料PEEKに加えて、医療適合性プラスチックは、例えば、PEKK(:polyetherketoneketone、ポリエーテルエーテルケトンケトン)、PAEK(:polyaryletherketone、ポリアリールエーテルケトン)、PEI(:polyetherimide、ポリエーテルイミド)、またはPPSU(:polyphenylsulfone、ポリフェニルスルフォン)を含むかまたはそれであることができ、一方、人間または動物の身体によって再吸収され得るプラスチックは、例えば、PCL(:polycaprolactone、ポリカプロラクトン)、PDO(:poly-p-dioxanone、ポリ-p-ジオキサノン)、PLLA(:poly-L-lactide、ポリ-L-ラクチド)、PDLA(:poly-D-lactide、ポリ-D-ラクチド)、PGA(:poly glycolic acid、ポリグリコール酸)、またはPGLA(:polylactide-co-glycolide、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド))を含むことができる。
【0026】
同様に、補充構造が、コンポーネントの冷却プロセスのために強化および/または安定化構造として使用されるものとし得る。さらに、補充構造は、コンポーネントにおける歪みを防止/最小化するために、製造されるコンポーネントの機械的補剛材として同様に使用され得る。コンポーネントの生産中に、コンポーネントの大きい温度勾配が、プラスチック溶解物の冷却プロセスにおいて起こり、コンポーネントの不均一収縮をもたらす(特に、材料の溶解温度からガラス転移温度に冷却するときに)。幾何形状および製造プロセスに応じて、これは、コンポーネントの歪みにつながる可能性がある。この歪は、特別に配置された補剛構造によって防止/最小化され得る。特に、補充構造は、補充構造内の材料の収縮が、コンポーネント内の材料の収縮を補償するように設計され得、したがって、コンポーネントの歪みを最小化する。
【0027】
さらに、少なくとも補充構造の付加が、半自動的にまたは自動的に行われることが考えられる。
【0028】
さらに、本発明は、コンポーネントに関する。これによれば、コンポーネントが、付加生産方法によって、特に、上記で説明した生産方法によって生産されるものとし、コンポーネントは少なくとも1つの補充構造を備える。
【0029】
特に、コンポーネントは、医療デバイスのコンポーネントまたは医療デバイス自体とすることができる。
【0030】
本発明のさらなる詳細および利点は、ここで、図面においてより詳細に示される例示的な実施形態に基づいて説明されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明によるコンポーネントのための本発明による方法の例示的な実施形態において生成される補充構造の略図であり、補充構造は、層当たりの断面積を単一化するのに役立つ。
図2】本発明によるコンポーネントのための本発明による方法のさらなる例示的な実施形態について、層当たりの断面積の粗い調整および層内のプリントヘッドの単一化のための補充構造の略図である。
図3】過去の標準によるインプラントと比較した、本発明による方法の例示的な実施形態による機能的補充構造を有する頭蓋インプラントの形態の本発明によるコンポーネントの例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明によるコンポーネント10の例示的な実施形態の略図である。
【0033】
コンポーネント10は、ここで、補充構造12を備える。補充構造12は、本発明による方法の例示的な実施形態によって生成される。
【0034】
ここで、補充構造12は、以下で説明することになるように、層当たりの断面積を単一化するのに役立つ。
【0035】
この例において、コンポーネント10は円錐の形状を有する。コンポーネント10が、古典的な方法で、すなわち、層ごとに構築された場合、特に、エリアS1の断面積より著しく小さい断面積を有する断面平面S2のエリアにおいて、より高速な冷却および寸法精度に関する問題が生産中に起こる可能性があるというリスクが存在することになる。
【0036】
これは、補充構造12の付加によって防止される。
【0037】
断面平面S1において、A1_sは、エリアS1における補充構造12の断面積を示し、A1_pは、実際のコンポーネント10の断面積を示す。
【0038】
断面平面S2において、A2_sは、エリアS2における補充構造12の断面積を示し、A2_pは、実際のコンポーネント10の断面積を示す。
【0039】
補充構造12によって、補充構造12およびコンポーネント10の累積断面積は、コンポーネント10が製造されると、ほぼ同一または同一であり、それは、温度分布および同様に冷却挙動が本質的に同一であることを意味する。
【0040】
図2は、同様に本発明の例示的な実施形態である類似のコンポーネント110を示す。図2において、匹敵するまたは同一のフィーチャは、同じ参照符号または値100だけ増加した参照符号でマーク付けされる。
【0041】
図3は、左側に、本発明によるコンポーネント210の例示的な実施形態を、本発明による方法の例示的な実施形態による機能的補充構造を含む頭蓋インプラントの形態で示す。これと比較すると、付加製造方法における過去の標準によるインプラント310は、図3の右に示される。
【0042】
コンポーネント210は、補充構造212を備え、それに同様に接続される。これらは、付加製造プロセス中に基材214上に共通に生成される。ここで、補充構造212は、コンポーネント210が、全ての縁部で補充構造212に接続されることを確実にする。これは、コンポーネント210が、製造中におよび同様に冷却プロセス中に均一温度分布を有することを確実にする。
【0043】
対照的に、補充構造312は、コンポーネント310上で、特に、上側部分、すなわち、基材314から外方に向く部分で抜けている。ここで、特に、冷却フェーズにおいて、コンポーネント310は、基材314に向くエリアにおけるより速く冷却することになる。支持構造312は、この効果および任意の温度勾配をさらに増幅するため、さらなる焼き戻しなどの対策ない状態で、コンポーネントの第1の冷却構造の反りが、徐冷構造と比較して起こる可能性がある。
【0044】
コンポーネント10または110または210の生産方法は、ほぼ以下の通りに説明され得る:
【0045】
付加生産方法によってコンポーネント10、110、210を生産する方法は、少なくとも以下のステップ:
- コンポーネント(10、110、210)のための生産計画がデジタルデータから生成されるステップ、
- コンポーネント(10、110、210)が、生産中のコンポーネント(10、110、210)内の温度に関してその構造および/またはその生産パラメータに関して分析されるステップ、および、
- 構造および/または生産パラメータが生産中に不均一温度分布をもたらすことになることを分析が明らかする場所において、補充構造(12、112、212)がコンポーネント(10、110、210)に付加されるステップ
を含む。
【0046】
生産方法は、溶融堆積モデリング(FDM)法または溶融層モデリング(FLM)法または溶融フィラメント作製(FFF)法とすることができる。
【0047】
補充構造12、112、212は、オリジナルコンポーネント幾何形状の修正によって生成され得る。
【0048】
しかしながら、補充構造が、少なくとも1つの別個の幾何学的本体の付加によって生成されるも可能である。
【0049】
補充構造は、コンポーネントの材料と異なる材料によって形成され得る。
【0050】
さらに、所定の破断点が、コンポーネントと補充構造との間に生成され得る。
【0051】
コンポーネント10、110、210の材料は、半結晶ポリマーであるかまたはそれを含むことができる。図1図3に示す例示的な実施形態において、前記材料はPEEKである。
【0052】
補充構造12、112、212は、コンポーネントの冷却プロセスのための強化および/または安定化構造として役立つ。
【0053】
補充構造12、112、212の付加は、半自動的にまたは自動的に行われる。
【0054】
方法および方法によって得られるコンポーネント10、110、210の利点は、以下の通りに説明され得る:
【0055】
利点は、特に、FLM/FFF法(3Dプリント)において、コンポーネント10、110、210における温度管理、したがって、コンポーネントの付加製造におけるプロセス安定性を改善する可能性であり、コンポーネントの中、上、周りに機能的補充構造を印刷することで達成される。
【0056】
個別化された補充構造は、改善された機械的特性を有し、同時に、最適化された表面品質を有する-特に同様に半結晶プラスチックから-コンポーネントを製造することを可能にする。
【0057】
機能的補充構造を生成するとき、コンポーネント幾何形状内の断面積および/またはFFFプロセスパラメータは、FFF印刷プロセスが個々の層において適合されるように補充構造を設計するために使用され、したがって、コンポーネント内の温度分布は、印刷プロセス中に影響を受ける可能性がある。
【0058】
さらに、補充構造は、FLM/FFF中に押し出しプロセスに影響を及ぼすために使用され得る(例えば、押し出し速度をできる限り一定に維持することによる体積流量の最適化)。これは、例えば、高性能プラスチック(例えば、医療技術(インプラント、機器)、航空宇宙、自動車、・・・において使用される)の印刷において、そして、ここで特に同様に、半結晶性プラスチック変種を印刷するときに、有利に使用され得る。
【0059】
従来の支持構造と比較して、説明する機能的補充構造の的は、印刷プロセス中のコンポーネントの純粋に幾何学的な安定化にではなく、コンポーネントの温度管理に、したがって、付加製造プロセスのプロセス安定性にある。
【0060】
各層について幾何学的に最適化された機能的補充構造を生成するためのここで説明する方法に加えて、断面に依存する速度適合が、スライシングスキームで補充構造のエリアにおいて同様に実施され得る(Gコード生成)。
【0061】
開始点は、例えば、STL/STEP/OBJ/汎用CADファイルである。
【0062】
このファイルは、プロセス最適化方法で最初に指向される。
【0063】
幾何形状およびプロセス関連境界条件(断面積、オーバーハング、層当たりの構築回数、材料、プロセスパラメータなど)を考慮して、コンポーネントは、構築プラットフォームまたはプリント方向に対して配向される。
【0064】
その後、コンポーネントは、構築プラットフォームに平行なその断面積に関しておよび/または印刷プロセスパラメータに関して分析される。この分析に従って、印刷プロセス中に温度管理を著しく改善する機能的補充構造が生成される。
【0065】
本発明による機能的補充構造の設計プロセスの1つの目標は、例えば、コンポーネント10、110、210における改善された機械的特性または減少した反りを達成するために、コンポーネント10、110、210全体において温度を「均一化する(homogenize)」ことであるとすることができる。
【0066】
補充構造12、112、212は、同様に、できる限り一定であるフィラメント放出(体積流量)を用いてコンポーネント10、110、210を付加製造することを可能にし、それは、ノズルにおいて、特に、FLM/FFF法などの押し出しプロセスにおいて、溶解物形成に非常に有益な影響を及ぼす。
【0067】
機能的補充構造のための設計プロセスの目標は、例えば、コンポーネント内の機械的特性の断面ごとの適合(例えば、半結晶ポリマーの場合、異なる結晶化速度を通した)、コンポーネント内のホットスポットの生成(例えば、材料内の添加剤を活性化するため)、または、コンポーネント内の熱蓄積の回避(例えば、材料(例えば、医薬混和剤)内の熱感応性添加剤の過熱を防止するため)を同様に含むことができる。
【0068】
補充構造は、オリジナルコンポーネント幾何形状の修正によって、または、さらなる別個の幾何学的本体の生成によって実現され得る。機能的補充構造は、足場またはフレームワーク構造、多孔質構造などのような薄壁(例えば、一貫性のある断面積を作成するために分離された断面積を接続する)として実現され得、従来の支持構造の機能(アンダーカットされた幾何形状の支持、コンポーネントの安定化、ベッド接着力、・・・)を引き継ぐ/統合することができる。
【0069】
補充構造の容易な取り外しは、別の設計目標であり、その目標は、ターゲットの所定の破断点を統合することによって、または、容易に取り外し可能な構造(例えば、多孔質構造)を統合することによって達成され得る。
【0070】
補充構造は、任意選択で、異なる材料によって作られ得る(2Kまたは3K印刷)。
【0071】
断面幾何形状の分析中のz方向における微細離散化によって(例えば、図1および図2参照)、機能的補充構造は、層当たりの総断面がコンポーネント全体にわたってほぼ一定に維持されるように生成され得る。しかしながら、プロセス制御/安定性に関する利点は、より粗い離散化によって既に達成され得る。したがって、断面の正確な「均一化(homogenization)」が、方法についての必須要件ではないが、目指され(aim at)得る。
【0072】
さらに、付加製造中のプリントヘッドの動的挙動(経路計画)は、層/コンポーネント層当たりの回数にこうして影響を与えることができるように、補充構造を生成するときに、任意選択で考慮され得る。
【0073】
さらに、印刷プロセスおよび押し出し材料の熱特徴は、コンポーネント内へのエネルギー入力をより一層具体的に評価するために、補充構造の生成時に考慮され得る(例えば、補充構造幾何形状の計算における有限要素アプローチの包含)。
【0074】
機能的補充構造のための設計プロセスの部分的または完全自動化は、有利でかつ可能である。
【0075】
優れた機械的特定値が、良好な表面特性と組み合わされなければならない医療アプリケーションの例は、個別化された頭蓋インプラントである(図3、コンポーネント210参照)。これらは、層内の温度がコンポーネントにわたって「均一化」されるように、フレームに似た機能的補充構造と組み合わせて印刷プロセスによって半結晶ポリマー(例えば、PEEK)を用いて印刷され得、したがって、高い機械的強度、良好な表面品質、および最小化された幾何形状歪みが達成され得る。
【0076】
コンポーネントおよび/または補充構造のための材料は、医療適合性プラスチックおよび/または人間または動物の身体によって吸収可能である少なくとも1つのプラスチックとすることができる。これらの材料は、インプラント用の多数のアプリケーションにとって興味深いため、本発明の文脈におけるそれらの使用は、特に有利である。上記材料PEEKに加えて、医療適合性プラスチックは、例えば、PEKK(ポリエーテルエーテルケトンケトン)、PAEK(ポリアリールエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、またはPPSU(ポリフェニルスルフォン)を含むかまたはそれであることができ、一方、人間または動物の身体によって再吸収され得るプラスチックは、例えば、PCL(ポリカプロラクトン)、PDO(ポリ-p-ジオキサノン)、PLLA(ポリ-L-ラクチド)、PDLA(ポリ-D-ラクチド)、PGA(ポリグリコール酸)、またはPGLA(ポリ(ラクチド-コ-グリコリド))を含むことができる。
【0077】
さらに、補充構造は、上記で説明した主要な機能に加えて、補充構造の所定の部分が下流のQAプロセスのために使用されるように、実装され得る。特に、補充構造は、例えば、試験片が機械的試験(例えば、ISO 527による引っ張り試験またはISO 178による曲げ試験、または他の試験)のために補充構造から採取され得る、または、例えば、試験片が生物学的試験(例えば、ISO 10993-18による化学的特徴付けまたはISO 10993-5による細胞傷害試験または他の試験)のために補充構造から採取され得るように設計され得る。そのため、各製造コンポーネントについて、製造プロセスが、それを用いて特徴付けられ得る1つまたは複数の試験トークンが利用可能である。
【0078】
さらに、補充構造は、コンポーネント内の歪みを防止/最小化するために製造コンポーネントの機械的強化材として役立つこともできる。
【0079】
コンポーネントの生産中に、コンポーネントの大きい温度勾配が、プラスチック溶解物の冷却プロセスにおいて起こり、コンポーネントの不均一収縮をもたらす(特に、材料の溶解温度からガラス転移温度に冷却するときに)。幾何形状および製造プロセスに応じて、これは、コンポーネントの歪みにつながる可能性がある。この歪は、特別に配置された補剛構造によって防止/最小化され得る。特に、補充構造は、補充構造内の材料の収縮が、コンポーネント内の材料の収縮を補償するように設計され得、したがって、コンポーネントの歪みを最小化する。
【0080】
機能的補充構造の概念は、FLM/FFFに加えて、他の付加製造プロセスにも適用され得る。
【符号の説明】
【0081】
10 コンポーネント
12 補充構造
14 基材
210 コンポーネント
212 補充構造
214 基材
310 コンポーネント
312 補充構造
314 基材
S1 断面平面1
S2 断面平面2
A1_s 断面平面1内の補充構造の断面積
A1_p 断面平面1内のコンポーネントの断面積
A2_s 断面平面2内の補充構造の断面積
A2_p 断面平面2内のコンポーネントの断面積
図1
図2
図3
【国際調査報告】