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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】キメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20241114BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20241114BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241114BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241114BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241114BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20241114BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C07K7/06
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61K35/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528451
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 US2022049611
(87)【国際公開番号】W WO2023086517
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/277,984
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/307,612
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524178252
【氏名又は名称】アウトペース・バイオ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ラジョイ,マーク・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイツナー,ブライアン・ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ボイケン,スコット・エドワード
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
CARを発現する細胞と標的細胞との間に細胞間距離を与えるスペーサー配列を含むキメラ抗原受容体(CAR)が本明細書で提供される。CARの細胞外要素がスペーサー配列を含む実施形態であって、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が、端点を含めて約17nm~約25nmである実施形態が提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)標的に特異的に結合する結合要素、および
(ii)スペーサー配列
を含む細胞外要素、
(b)膜貫通要素、ならびに
(c)細胞内要素
を含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、
CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が、端点を含めて約17nm~約25nmである、CAR。
【請求項2】
CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が約17nm~約22nmである、請求項1に記載のCAR。
【請求項3】
CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が約20nmである、請求項1に記載のCAR。
【請求項4】
スペーサー配列が、端点を含めて約2ナノメートル(nm)~約20nmの長さを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項5】
スペーサー配列が、端点を含めて約3nm~約20nmの長さを含む、請求項1に記載のCAR。
【請求項6】
スペーサー配列が、端点を含めて約4nm~約20nmの長さを含む、請求項1に記載のCAR。
【請求項7】
スペーサー配列がリンカー配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項8】
リンカーがグリシン-セリン(GS)リンカーを含む、請求項7に記載のCAR。
【請求項9】
リンカー配列がGGGSG(配列番号77)を含む、請求項7または8に記載のCAR。
【請求項10】
スペーサー配列が、配列番号1~44からなる群から選択される1つまたは複数の配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項11】
スペーサー配列が、欠失、挿入、置換、逆位、短縮または改変のうちの1つまたは複数を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項12】
スペーサー配列が、配列番号1~44のうちの1つまたは複数に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、80%、95%、97%、99%の同一性を有する配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項13】
スペーサー配列が少なくとも1つの天然に存在しない残基を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項14】
置換が、1個の第1のアミノ酸の第2のアミノ酸への置き換えを含み、第1のアミノ酸および第2のアミノ酸が、極性、側鎖長、または疎水性のうちの1つまたは複数を有する、請求項11~13のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項15】
結合要素が抗原認識ドメインを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項16】
結合要素が第1の抗原認識ドメインおよび第2の抗原認識ドメインを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項17】
結合要素または抗原認識ドメインが、抗体、タンパク質スカフォールド、抗体模倣物、またはそれらの抗原結合性配列を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項18】
膜貫通要素が、CD28タンパク質の配列から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項19】
細胞内要素が、共刺激要素およびCD3-ゼータシグナル伝達要素のうちの1つまたは複数を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項20】
結合要素または抗原認識ドメインが、細胞外抗原から単離されたかまたはそれに由来する標的またはその任意の部分に特異的に結合する、請求項1~19のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項21】
細胞外抗原から単離されたかまたはそれに由来する標的またはその任意の部分が、細胞の表面上に存在するかまたは発現される、請求項20に記載のCAR。
【請求項22】
標的発現細胞が、インビボ、インビトロ、またはエクスビボにある、請求項1~21のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項23】
標的発現細胞が1つまたは複数の改変を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項24】
標的発現細胞が遺伝的に改変されている、請求項23に記載のCAR。
【請求項25】
(a)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約3nm~約4nmの間にあり、
スペーサー配列が約14nm~約19nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号6、36、43、31、または7のうちのいずれか1つの配列を含み、
(b)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約5nm~約6nmの間にあり、
スペーサー配列が約12nm~約17nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号36、43、31、または7のうちのいずれか1つの配列を含み、
(c)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約6nm~約7nmの間にあり、
スペーサー配列が約11nm~約16nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号36、43、31、7、14、27、または40のうちのいずれか1つの配列を含み、
(d)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約7nm~約8nmの間にあり、
スペーサー配列が約10nm~約15nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号43、31、7、14、27、40、32または42のうちのいずれか1つの配列を含み、
(e)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約8nm~約9nmの間にあり、
スペーサー配列が約9nm~約14nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号43、31、7、14、27、40、32、42または8のうちのいずれか1つの配列を含み、
(f)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約9nm~約10nmの間にあり、
スペーサー配列が約8nm~約13nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号14、27、40、32、42、8または23のうちのいずれか1つの配列を含み、
(g)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約10nm~約11nmの間にあり、
スペーサー配列が約7nm~約12nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号14、27、40、32、42、8、23、9、10、24、11、3、または18のうちのいずれか1つの配列を含み、
(h)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約11nm~約12nmの間にあり、
スペーサー配列が約6nm~約11nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号32、42、8、23、9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37または39のうちのいずれか1つの配列を含み、
(i)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約12nm~約13nmの間にあり、
スペーサー配列が約5nm~約10nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号32、42、8、23、9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、1、または17のうちのいずれか1つの配列を含み、
(j)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約13nm~約14nmの間にあり、
スペーサー配列が約4nm~約9nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号23、9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、1、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
(k)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約14nm~約15nmの間にあり、
スペーサー配列が約3nm~約8nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、1、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
(l)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約15nm~約16nmの間にあり、
スペーサー配列が約2nm~約7nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、1、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
(m)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約16nm~約17nmの間にあり、
スペーサー配列が約1nm~約6nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号2、15、16、26、28、1、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が、端点を含めて約17nm~23nmである、請求項1~24のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項26】
(a)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約3nm~約4nmの間にあり、
スペーサー配列が約15nm~約18nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号36の配列を含み、
(b)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約5nm~約6nmの間にあり、
スペーサー配列が約13nm~約16nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号36、43、31、または7のうちのいずれか1つの配列を含み、
(c)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約6nm~約7nmの間にあり、
スペーサー配列が約12nm~約15nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号43、31、または7のうちのいずれか1つの配列を含み、
(d)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約7nm~約8nmの間にあり、
スペーサー配列が約11nm~約14nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号43、31、7、14、27、または40のうちのいずれか1つの配列を含み、
(e)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約8nm~約9nmの間にあり、
スペーサー配列が約10nm~約13nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号14、27、40、32または42のうちのいずれか1つの配列を含み、
(f)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約9nm~約10nmの間にあり、
スペーサー配列が約9nm~約12nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号14、27、40、32、42、8または23のうちのいずれか1つの配列を含み、
(g)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約10nm~約11nmの間にあり、
スペーサー配列が約8nm~約11nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号32、42、8または23のうちのいずれか1つの配列を含み、
(h)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約11nm~約12nmの間にあり、
スペーサー配列が約7nm~約10nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号8、23、9、10、24、11、3、または18のうちのいずれか1つの配列を含み、
(i)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約12nm~約13nmの間にあり、
スペーサー配列が約6nm~約9nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号23、9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37、または39のうちのいずれか1つの配列を含み、
(j)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約13nm~約14nmの間にあり、
スペーサー配列が約5nm~約8nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、または17のうちのいずれか1つの配列を含み、
(k)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約14nm~約15nmの間にあり、
スペーサー配列が約4nm~約7nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
(l)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約15nm~約16nmの間にあり、
スペーサー配列が約3nm~約6nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号2、15、16、26、28、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
(m)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約16nm~約17nmの間にあり、
スペーサー配列が約2nm~約5nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が、端点を含めて約18nm~22nmである、請求項1~24のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項27】
(a)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約3nm~約4nmの間にあり、
スペーサー配列が約14nm~約21nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号5、6、30、33、36または41の配列を含み、
(b)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約5nm~約6nmの間にあり、
スペーサー配列が約12nm~約19nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号6、7、31、36または43のうちのいずれか1つの配列を含み、
(c)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約6nm~約7nmの間にあり、
スペーサー配列が約11nm~約18nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号7、14、27、31、36、40、または43のうちのいずれか1つの配列を含み、
(d)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約7nm~約8nmの間にあり、
スペーサー配列が約10nm~約17nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号7、14、27、31、32、36、40、42または43のうちのいずれか1つの配列を含み、
(e)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約8nm~約9nmの間にあり、
スペーサー配列が約9nm~約16nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号7、8、14、27、31、32、36、40、42または43のうちのいずれか1つの配列を含み、
(f)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約9nm~約10nmの間にあり、
スペーサー配列が約8nm~約15nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号7、8、14、23、27、31、32、40、42または43のうちのいずれか1つの配列を含み、
(g)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約10nm~約11nmの間にあり、
スペーサー配列が約7nm~約14nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号3、8、9、10、11、14、18、23、24、27、32、40、または42のうちのいずれか1つの配列を含み、
(h)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約11nm~約12nmの間にあり、
スペーサー配列が約6nm~約13nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号3、8、9、10、11、14、18、21、23、24、25、27、29、32、37、38、39、40、または42のうちのいずれか1つの配列を含み、
(i)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約12nm~約13nmの間にあり、
スペーサー配列が約5nm~約12nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号1、2、3、6、7、8、9、10、11、14、15、16、17、18、21、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、36、37、38、39、40、41、42または43のうちのいずれか1つの配列を含み、
(j)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約13nm~約14nmの間にあり、
スペーサー配列が約4nm~約11nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号1、2、3、8、9、10、11、12、13、15、16、17、18、19、20、21、23、24、25、26、28、29、32、37、38、39、42または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
(k)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約14nm~約15nmの間にあり、
スペーサー配列が約3nm~約10nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号1、2、3、8、9、10、11、12、13、15、16、17、18、19、20、21、23、24、25、26、28、29、37、38、39または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
(l)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約15nm~約16nmの間にあり、
スペーサー配列が約2nm~約9nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号1、2、3、9、10、11、12、13、15、16、17、18、19、20、21、23、24、25、26、28、29、37、38、39または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
(m)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約16nm~約17nmの間にあり、
スペーサー配列が約1nm~約8nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号1、2、3、9、10、11、12、13、15、16、17、18、19、20、21、24、25、26、28、29、37、38、39または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
(n)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約18nm~約19nmの間にあり、
スペーサー配列が約1nm~約6nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号1、2、12、13、15、16、17、19、20、26、28、29、37、38、39または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
(o)結合要素が標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列が標的細胞の表面から約19nm~約20nmの間にあり、
スペーサー配列が約1nm~約5nmの長さを有し、
スペーサー配列が、配列番号12、13、19、20または44のうちのいずれか1つの配列を含み、
CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が、端点を含めて約18nm~22nmである、請求項1~24のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項28】
スペーサー配列が、欠失、挿入、置換、逆位、短縮または改変のうちの1つまたは複数を含む、請求項25~27のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項29】
スペーサー配列が、配列番号1~44のうちの1つまたは複数に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、80%、95%、97%、99%の同一性を有する配列を含む、請求項25~28のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項30】
スペーサー配列が、少なくとも1つの天然に存在しない残基を含む、請求項25~29のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項31】
置換が、1個の第1のアミノ酸の第2のアミノ酸への置き換えを含み、第1のアミノ酸および第2のアミノ酸が、極性、側鎖長、または疎水性のうちの1つまたは複数を有する、請求項27~30のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載のCARまたはそのいずれかの要素をコードする核酸配列。
【請求項33】
請求項32に記載の核酸を含むベクター。
【請求項34】
請求項1~31のいずれか一項に記載のCARを含む細胞。
【請求項35】
請求項32に記載の核酸配列を含む細胞。
【請求項36】
請求項33に記載のベクターを含む細胞。
【請求項37】
請求項1~31のいずれか一項に記載のCARまたはそのいずれかの要素を含む組成物。
【請求項38】
請求項32に記載の核酸を含む組成物。
【請求項39】
請求項33に記載のベクターを含む組成物。
【請求項40】
請求項34~36のいずれか一項に記載の細胞を含む組成物。
【請求項41】
請求項1~31のいずれか一項に記載のCARと薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項42】
請求項32に記載の核酸と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項43】
請求項33に記載のベクターと薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項44】
請求項34~36のいずれか一項に記載の細胞と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項45】
請求項37~40のいずれか一項に記載の組成物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項46】
疾患または障害の処置または予防のための医薬の製造に使用するための、請求項1~31のいずれか一項に記載のCAR、請求項32に記載の核酸、請求項33に記載のベクター、請求項34~26のいずれか一項に記載の細胞、請求項37~40のいずれか一項に記載の組成物、または請求項41~45のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項47】
疾患または障害の処置または予防のための、請求項1~31のいずれか一項に記載のCAR、請求項32に記載の核酸、請求項33に記載のベクター、請求項34~26のいずれか一項に記載の細胞、請求項37~40のいずれか一項に記載の組成物、または請求項41~45のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項48】
疾患または障害ががんを含む、請求項46または47に記載の使用。
【請求項49】
疾患または障害を処置する方法であって、請求項1~31のいずれか一項に記載のCAR、請求項32に記載の核酸、請求項33に記載のベクター、請求項34~26のいずれか一項に記載の細胞、請求項37~40のいずれか一項に記載の組成物、または請求項41~45のいずれか一項に記載の医薬組成物の治療有効量を対象に投与するステップを含み、疾患または障害の徴候または症状の重症度が低下し、それによって疾患または障害を処置する方法。
【請求項50】
疾患または障害ががんを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
疾患または障害を予防する方法であって、請求項1~31のいずれか一項に記載のCAR、請求項32に記載の核酸、請求項33に記載のベクター、請求項34~26のいずれか一項に記載の細胞、請求項37~40のいずれか一項に記載の組成物、または請求項41~45のいずれか一項に記載の医薬組成物の治療有効量を対象に投与するステップを含み、疾患または障害の徴候または症状の発生または再発が遅延するかまたは阻害され、それによって疾患または障害を予防する方法。
【請求項52】
疾患または障害ががんを含む、請求項51に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
[1]本開示は、スペーサードメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)、CARを含む組成物、およびCARをコードする配列、ならびに使用方法に関する。
相互参照
[2]本出願は、2021年11月10日に出願された米国仮特許出願第63/277,984号および2022年2月7日に出願された米国仮特許出願第63/307,612号の利益を主張するものであり、これらはそれぞれ、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[3]キメラ抗原受容体(CAR)は、操作された特異性を免疫細胞に与えるために使用することができる合成受容体である。T細胞の再方向付けを行って標的細胞を認識させるためのCARの使用は、がん免疫療法に対する有望なアプローチである。CARの設計は、抗原結合性ドメインを同定すること、およびT細胞エフェクター機能を活性化するための細胞内シグナル伝達モジュールを設定することに焦点を当ててきた。本開示は、優れたCAR活性を達成し、その結果、細胞がこれらのCARをその表面上に発現する細胞療法について優れた有効性を達成するための、スペーサーを組み込んだCAR、CARの使用のための組成物および方法を提供する。
参照による組み込み
[4]本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照によって組み込まれることが具体的かつ個別に示される場合と同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0003】
[5]本開示は、(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が、端点を含めて約17nm~約25nmである、CARを提供する。一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、約17nm~約22nmである。一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、約17nm~約23nmである。一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、約18nm~約22nmである。一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、約20nmである。一部の実施形態では、標的はエピトープを含む。一部の実施形態では、標的は、直鎖状エピトープ、連続エピトープ、不連続エピトープ、および/または高次構造エピトープを含む。一部の実施形態では、標的は抗原を含む。一部の実施形態では、標的はアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、標的はアミノ酸を含まない。
【0004】
[6](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、スペーサー配列は、端点を含めて約2ナノメートル(nm)~約20nmの長さを含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は、端点を含めて約3nm~20nmの長さを含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は、端点を含めて約4nm~20nmの長さを含む。
【0005】
[7](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、それぞれの場合に、端点を含めて約17nm~約18nm、約18nm~約19nm、約19nm~約20nm、約20nm~約21nm、約21nm~約22nm、約22nm~約23nm、約23nm~約24nm、または約24nm~約25nmである。
【0006】
[8](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、それぞれの場合に、端点を含めて約17nm~約25nm、約18nm~約24nm、約19nm~約23nm、約20nm~約22nm、または約21nm~約23nmである。
【0007】
[9](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、それぞれの場合に、約17nm、約18nm、約19nm、約20nm、約21nm、約22nm、約23nm、約24nm、または約25nmである。
【0008】
[10](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、それぞれの場合に、17nm、18nm、19nm、20nm、21nm、22nm、23nm、24nm、または25nmである。
【0009】
[11](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、それぞれの場合に、端点を含めて約17nm~約19nm、約18nm~約20nm、約19nm~約21nm、約20nm~約22nm、約21nm~約23nm、約22nm~約24nm、または約23nm~約25nmである。
【0010】
[12](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、スペーサー配列はリンカー配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、グリシン-セリン(GS)リンカーを含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、GGGSG(配列番号77)を含む。
【0011】
[13](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、細胞外要素はリンカー配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、グリシン-セリン(GS)リンカーを含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、GGGSG(配列番号77)を含む。
【0012】
[14](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、細胞内要素はリンカー配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、グリシン-セリン(GS)リンカーを含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、GGGSG(配列番号77)を含む。
【0013】
[15](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、スペーサー配列は、配列番号1~44からなる群から選択される1つまたは複数の配列を含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は、配列番号1~44の配列のうちのいずれか1つを含む。
【0014】
[16]本開示は、本開示のCARまたはその任意の要素をコードする核酸配列を提供する。一部の実施形態では、核酸配列は、1つまたは複数の制御配列をさらに含む。一部の実施形態では、制御配列はヒト配列を含む。一部の実施形態では、制御配列は、ヒト配列から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、制御配列は、哺乳動物配列から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、核酸配列は、制御配列の少なくとも1つの反復物をさらに含む。一部の実施形態では、核酸配列は、さらに、制御配列の少なくとも2つの反復物、および2つの反復物の間に位置する連結配列を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の制御配列としては、応答要素、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー、インスレーター、サイレンサー、イントロン、エクソン、非翻訳領域(UTR)、5’UTR、3’UTR、翻訳後制御配列(PRE)、またはそれらの任意の最小機能配列をコードするか、含むか、またはそれらからなる配列が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、応答要素は誘導性応答要素を含む。一部の実施形態では、プロモーターは誘導性プロモーターを含む。代替的、または追加的に、プロモーターは最小プロモーターを含む。一部の実施形態では、PREはウッドチャックPRE(WPRE)を含む。
【0015】
[17]本開示は、本開示のCARをコードする核酸配列を含む、本開示の核酸配列を含むベクターを提供する。一部の実施形態では、ベクターは、本開示の1つまたは複数の制御配列をさらに含む。一部の実施形態では、制御配列はヒト配列を含む。一部の実施形態では、制御配列は、ヒト配列から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、制御配列は、哺乳動物配列から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、核酸配列は、制御配列の少なくとも1つの反復物をさらに含む。一部の実施形態では、核酸配列は、制御配列の少なくとも2つの反復物、および2つの反復物の間に位置する連結配列をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の制御配列としては、応答要素、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー、インスレーター、サイレンサー、イントロン、エクソン、非翻訳領域(UTR)、5’UTR、3’UTR、翻訳後制御配列(PRE)、またはそれらの任意の最小機能配列をコードするか、含むか、またはそれらからなる配列が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、応答要素は誘導性応答要素を含む。一部の実施形態では、プロモーターは誘導性プロモーターを含む。代替的、または追加的に、プロモーターは最小プロモーターを含む。一部の実施形態では、PREはウッドチャックPRE(WPRE)を含む。一部の実施形態では、ベクターは、1つまたは複数の組み込み配列をさらに含み、これには末端反復配列、逆位末端反復配列、長末端反復配列、標的配列と相同な配列、相同組換えを促進し得る配列、転移因子、および/またはトランスポゾン配列が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ベクターは、1つまたは複数の逆位末端反復配列(ITR)をさらに含む。一部の実施形態では、ベクターは、選択要素をコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、ベクターは、ポリシストロン配列または自己切断性配列をさらに含む。ベクターがポリシストロン配列または自己切断性配列をさらに含む一部の実施形態では、ベクターは、選択要素をコードする配列をさらに含む。ベクターがポリシストロン配列または自己切断性配列をさらに含む一部の実施形態では、ベクターは、安全スイッチをさらに含む。ベクターがポリシストロン配列または自己切断性配列をさらに含む一部の実施形態では、ベクターは、第2の治療的に有効な薬剤をさらに含む。一部の実施形態では、自己切断性配列は2A自己切断性配列を含む。一部の実施形態では、2A自己切断性配列としては、口蹄疫ウイルス(F2A)配列、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)配列、ブタテッショウウイルス-1 2A(P2A)配列、またはトーセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス2(T2A)配列が挙げられる。一部の実施形態では、2A自己切断性配列は、GDVEXNPGP(配列番号80)を含む。一部の実施形態では、P2A自己切断性配列は、ATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号81)を含む。一部の実施形態では、T2A自己切断性配列は、EGRGSLLTLGDVEENPGP(配列番号83)を含む。一部の実施形態では、E2A自己切断性配列は、QCTNYALLKLAGDVESNPGP(配列番号84)を含む。
【0016】
[18]本開示は、本開示のCARまたはその任意の要素を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示のCARは、「第1世代」CARを含む。一部の実施形態では、本開示のCARは、細胞外要素、膜貫通要素、および細胞内要素を含み、ここで細胞内要素はCD3シグナル伝達要素を含む。一部の実施形態では、本開示のCARは、「第2世代」CARを含む。一部の実施形態では、本開示のCARは、細胞外要素、膜貫通要素、および細胞内要素を含み、ここで細胞内要素は、CD28シグナル伝達要素およびCD3シグナル伝達要素を含む。一部の実施形態では、本開示のCARは、「第3世代」CARを含む。一部の実施形態では、本開示のCARは、細胞外要素、膜貫通要素、および細胞内要素を含み、ここで細胞内要素は、CD28シグナル伝達要素、41BBシグナル伝達要素、およびCD3シグナル伝達要素を含む。一部の実施形態では、本開示のCARは、「第4世代」CARを含む。一部の実施形態では、本開示のCARは、細胞外要素、膜貫通要素、および細胞内要素を含み、ここで細胞内要素は、CD28シグナル伝達要素、41BBシグナル伝達要素、誘導性要素およびCD3シグナル伝達要素を含む。一部の実施形態では、誘導性要素は、トランスジェニック配列の発現を誘導することによってCAR活性化に応答する。本開示のCARの一部の実施形態では、細胞外ドメインは結合要素を含み、ここで結合要素はscFvを含む。本開示のCARのすべての実施形態において、細胞外要素はスペーサー配列を含む。
【0017】
[19]本開示は、T細胞内で発現された場合に、改変細胞をTRUCK、すなわち、普遍的なサイトカイン媒介性死滅のために再方向付けられたT細胞(T-cell Redirected for Universal Cytokine-mediated Killing)に形質転換させるCARを提供する。一部の実施形態では、CARは「第4世代」CARを含む。一部の実施形態では、本開示のCARは、細胞外要素、膜貫通要素、および細胞内要素を含み、ここで細胞内要素は、CD28シグナル伝達要素、41BBシグナル伝達要素、誘導性要素およびCD3シグナル伝達要素を含む。一部の実施形態では、誘導性要素は、トランスジェニック配列の発現を誘導することによってCAR活性化に応答する。一部の実施形態では、誘導性配列はサイトカインをコードする。
【0018】
[20]本開示は、本開示の核酸を含む組成物を提供する。
[21]本開示は、本開示のベクターを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、ベクターは、本開示の細胞において本開示の核酸配列を発現することができる発現ベクターである。一部の実施形態では、発現ベクターは、哺乳動物細胞において本開示の核酸配列を発現することができる。一部の実施形態では、発現ベクターは、ヒト細胞において本開示の核酸配列を発現することができる。一部の実施形態では、発現ベクターはプラスミドを含む。一部の実施形態では、ベクターは、本開示の核酸配列、アミノ酸配列、または組成物を、本開示の細胞または本開示の対象に導入することができる送達ベクターである。一部の実施形態では、送達ベクターはウイルスベクターを含む。一部の実施形態では、送達ベクターは非ウイルス性ベクターを含む。
【0019】
[22]本開示は、本開示のCARを含む細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、免疫細胞またはその前駆体である。一部の実施形態では、免疫細胞または前駆体は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞または前駆体はヒト細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞または前駆体は、幹細胞、成体幹細胞、骨髄細胞、造血幹細胞(HSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、脱分化細胞または分化転換細胞である。一部の実施形態では、幹細胞はヒト胚性幹細胞ではない。一部の実施形態では、細胞は、初代細胞、培養細胞、不死化細胞、または細胞株から単離されたかもしくはそれに由来する細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、またはマクロファージである。一部の実施形態では、T細胞は、メモリーT細胞、エフェクターT細胞、ヘルパーT細胞、またはナチュラルキラー(NK)T細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、アルファベータ(αβ)エフェクターT細胞またはガンマデルタ(γδ)T細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、非刺激T細胞またはナイーブT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、刺激されたT細胞、幹細胞メモリーT細胞(TSCM)、ナイーブな表現型を有する免疫記憶細胞(TMNP)、またはエフェクターT細胞である。一部の実施形態では、メモリーT細胞は、幹細胞メモリーT細胞、ナイーブな表現型を有する免疫記憶細胞(TMNP)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT細胞(TEM)、または残存メモリーT細胞(TRM)である。一部の実施形態では、メモリーT細胞は、1種もしくは複数種の抗原と接触したか、または同じ抗原と1回もしくは複数回の接触を有する刺激された細胞であり、メモリーT細胞は、幹細胞メモリーT細胞、ナイーブな表現型を有する免疫記憶細胞(TMNP)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT細胞(TEM)、または残存メモリーT細胞(TRM)である。
【0020】
[23]本開示は、本開示の核酸を含む細胞を提供する。
[24]本開示は、本開示のベクターを含む細胞を提供する。
[25]本開示は、本開示の細胞を含む組成物を提供する。
【0021】
[26]本開示は、本開示のCARと薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
[27]本開示は、請求項23に記載の核酸と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0022】
[28]本開示は、本開示のベクターと薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
[29]本開示は、本開示の細胞と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0023】
[30]本開示の一部の実施形態では、医薬組成物は、本開示の対象への全身投与のために製剤化される。一部の実施形態では、医薬組成物は、静脈注射または注入による対象への全身投与のために製剤化される。一部の実施形態では、医薬組成物は、本開示の対象への局所投与のために製剤化される。一部の実施形態では、医薬組成物は、腫瘍内注射または注入による対象への局所投与のために製剤化される。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、細胞療法の実行可能性を維持するかもしくは改善し、免疫原性を低下させ、対象の注射部位の不快感を低下させ、ならびに/または生理学的pH、細胞密度、および粘度のうちの1つもしくは複数を維持するために、1種または複数の薬剤を個々にまたは組み合わせて含む滅菌溶液である。
【0024】
[31]本開示は、医薬の製造のための、本開示のCAR、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示のうちのいずれか1つの細胞、または本開示の医薬組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、医薬は、本開示の疾患もしくは障害を処置することができるか、または本開示の疾患もしくは障害を処置するのに好適である。一部の実施形態では、医薬は、本開示の疾患または障害を処置するのに使用するために処方される。一部の実施形態では、CARは、疾患もしくは障害の原因因子、疾患もしくは障害の原因因子の制御因子、疾患もしくは障害のバイオマーカー、疾患もしくは障害の重症度のレベルの徴候、および/または疾患もしくは障害の予後の徴候として、疾患または障害に関連する抗原またはエピトープを選択的に標的とする。
【0025】
[32]本開示は、疾患または障害の処置または予防のための、本開示のCAR、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示のうちのいずれか1つの細胞、または本開示の医薬組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、疾患または障害はがんを含む。一部の実施形態では、CARは、疾患もしくは障害の原因因子、疾患もしくは障害の原因因子の制御因子、疾患もしくは障害のバイオマーカー、疾患もしくは障害の重症度のレベルの徴候、および/または疾患もしくは障害の予後の徴候として、疾患または障害に関連する抗原またはエピトープを選択的に標的とする。
【0026】
[33]本開示は、疾患または障害を処置する方法であって、本開示のCAR、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示のうちのいずれか1つの細胞、または本開示の医薬組成物の治療有効量を対象に投与するステップを含み、疾患または障害の徴候または症状の重症度が低下し、それによって疾患または障害を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、疾患または障害はがんを含む。一部の実施形態では、CARは、疾患もしくは障害の原因因子、疾患もしくは障害の原因因子の制御因子、疾患もしくは障害のバイオマーカー、疾患もしくは障害の重症度のレベルの徴候、および/もしくは疾患もしくは障害の予後の徴候として、疾患または障害に関連する抗原またはエピトープを選択的に標的とする。
【0027】
[34]本開示は、疾患または障害を予防する方法であって、本開示のCAR、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示のうちのいずれか1つの細胞、または本開示の医薬組成物の治療有効量を対象に投与するステップを含み、疾患または障害の徴候または症状の発生または再発が遅延するかまたは阻害され、それによって疾患または障害を予防する方法を提供する。一部の実施形態では、疾患または障害はがんを含む。一部の実施形態では、CARは、疾患もしくは障害の原因因子、疾患もしくは障害の原因因子の制御因子、疾患もしくは障害のバイオマーカー、疾患もしくは障害の重症度のレベルの徴候、および/または疾患もしくは障害の予後の徴候として、疾患または障害に関連する抗原またはエピトープを選択的に標的とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】[35]図1は、本開示の例示的なCARの概略図であり、一部の実施形態では、これは細胞外要素(一部の実施形態では、結合要素およびスペーサー要素を含む)、膜貫通要素、および細胞内要素(任意選択で、共刺激要素および1つまたは複数のシグナル伝達要素を含む)を含む。
図2】[36]図2は、標的細胞の表面上のエピトープとCAR T細胞の表面上の結合要素との間の例示的な空間的関係を示す概略図であり、これは細胞間距離の例示的な測定の図解を含む。
図3】[37]図3は、一部の実施形態では、異なる構成要素の構成を示す、本開示の例示的なCAR構築物の概略図である。
図4】[38]図4は、本開示の例示的なHA特異的CAR構築物の概略図である。
図5】[39]図5は、HA-エピトープ構築物の別々の要素の例示的な構成を示す、例示的なHA-エピトープ構築物の概略図である。
図6】[40]図6は、本開示の例示的なHA-エピトープ構築物の概略図である。
図7A】[41]図7Aは、生きたA549-NLR細胞上での形質導入マーカーGFPの発現によって測定された形質導入標的細胞のパーセンテージを示すプロットである。
図7B】[42]図7Bは、形質導入されたGFP+細胞上のHAタグ表面発現のパーセンテージを示すプロットである。データは、発現されたエピトープがA549-NLR標的細胞上で検出可能であることを示す。
図7C】[43]図7Cは、生きた形質導入細胞(GRP+細胞)上の結合した抗HA抗体に関する蛍光強度中央値(MFI)を示すプロットである。
図8-1】[44]図8Aおよび図8Bは、それぞれドナー1およびドナー2における生きた初代T細胞上のEGFR由来形質導入マーカーの表面発現によって測定された形質導入細胞のパーセンテージを示すプロットである。
図8-2】[45]図8Cおよび図8Dは、それぞれドナー1およびドナー2における生きた形質導入細胞(EGFRt+細胞)上の結合したHA-Fcタンパク質に関する形質導入効率の尺度として蛍光強度中央値(MFI)を示すプロットである。
図9A】[46]図9A、9B、9C、および9Dは、ドナー1において膜近位HA標的エピトープ(A549-HA標的1)を発現するNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す一連のプロットである。
図9B】同上。
図9C】同上。
図9D】同上。
図10A】[47]図10A、10B、10C、および10Dは、ドナー2において膜近位HA標的エピトープ(A549-HA標的1)を発現するNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す一連のプロットである。
図10B】同上。
図10C】同上。
図10D】同上。
図11A】[48]図11A、11B、11C、および11Dは、ドナー1において中間の膜距離でHA標的エピトープ(A549-HA標的6)を発現するNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す一連のプロットである。
図11B】同上。
図11C】同上。
図11D】同上。
図12A】[49]図12A、12B、12C、および12Dは、ドナー2において中間の膜距離でHA標的エピトープ(A549-HA標的6)を発現するNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す一連のプロットである。
図12B】同上。
図12C】同上。
図12D】同上。
図13A】[50]図13A、13B、13C、および13Dは、ドナー1において膜遠位HA標的エピトープ(A549-HA標的16)を発現するNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す一連のプロットである。
図13B】同上。
図13C】同上。
図13D】同上。
図14A】[51]図14A、14B、14C、および14Dは、ドナー2において膜遠位HA標的エピトープ(A549-HA標的16)を発現するNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す一連のプロットである。
図14B】同上。
図14C】同上。
図14D】同上。
図15A】[52]図15A、15B、15C、および15Dは、HA標的エピトープを有しないNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す一連のプロットである。
図15B】同上。
図15C】同上。
図15D】同上。
図16】[53]図16Aおよび図16Bは、標的細胞の非存在下で示されたスペーサーを発現する、それぞれドナー1およびドナー2由来のHA CAR-T細胞上のIFN-γ分泌プロファイルを示すプロットである。
図17A】[54]図17Aは、A549-HA標的細胞(すなわち、標的細胞1から4、表2参照)と共培養したドナー1 CAR T細胞について、標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対して最適な抗HA CARスペーサー長に関するHAエピトープ膜間距離を系統的に変化させた効果をまとめた一連の散布図である。
図17B】[55]図17Bは、A549-HA標的細胞(すなわち、標的細胞1から4、表2参照)と共培養したドナー2 CAR T細胞について、標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対して最適な抗HA CARスペーサー長に関するHAエピトープ膜間距離を系統的に変化させた効果をまとめた一連の散布図である。
図18A】[56]図18Aは、A549-HA標的細胞(すなわち、標的細胞5から8、表2参照)と共培養したドナー1 CAR T細胞について、標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対して最適な抗HA CARスペーサー長に関するHAエピトープ膜間距離を系統的に変化させた効果をまとめた一連の散布図である。
図18B】[57]図18Bは、A549-HA標的細胞(すなわち、標的細胞5から8、表2参照)と共培養したドナー2 CAR T細胞について、標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対して最適な抗HA CARスペーサー長に関するHAエピトープ膜間距離を系統的に変化させた効果をまとめた一連の散布図である。
図19A】[58]図19Aは、A549-HA標的細胞(すなわち、標的細胞9から12、表2参照)と共培養したドナー1 CAR T細胞について、標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対して最適な抗HA CARスペーサー長に関するHAエピトープ膜間距離を系統的に変化させた効果をまとめた一連の散布図である。
図19B】[59]図19Bは、A549-HA標的細胞(すなわち、標的細胞9から12、表2参照)と共培養したドナー2 CAR T細胞について、標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対して最適な抗HA CARスペーサー長に関するHAエピトープ膜間距離を系統的に変化させた効果をまとめた一連の散布図である。
図20A】[60]図20Aは、A549-HA標的細胞(すなわち、標的細胞13から16、表2参照)と共培養したドナー1 CAR T細胞について、標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対して最適な抗HA CARスペーサー長に関するHAエピトープ膜間距離を系統的に変化させた効果をまとめた一連の散布図である。
図20B】[61]図20Bは、A549-HA標的細胞(すなわち、標的細胞13から16、表2参照)と共培養したドナー2 CAR T細胞について、標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対して最適な抗HA CARスペーサー長に関するHAエピトープ膜間距離を系統的に変化させた効果をまとめた一連の散布図である。
図21A】[62]図21Aは、共培養の24時間後に測定した、それぞれドナー1およびドナー2におけるIncuCyte死滅曲線およびIFN-γ分泌から計算したAUCに対する細胞間距離の効果をまとめた一対の重ね合わせ散布図である。
図21B】[63]図21Bは、それぞれドナー1およびドナー2におけるIFN-γ分泌に対する細胞間距離の効果をまとめた一対の重ね合わせ散布図である。
図22A】[64]図22Aは、各標的細胞株(すなわち、標的1から16)と対にしたドナー1およびドナー2において発現されたCARスペーサーCD27_1およびスペーサー1に関するIFN-γ分泌レベルを示す一連のプロットである。
図22B】[65]図22Bは、各標的細胞株(すなわち、標的1から16)と対にしたドナー1およびドナー2において発現されたCARスペーサーICOSおよびスペーサー29に関するIFN-γ分泌レベルを示す一連のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[66]本開示は、免疫シナプスのCAR発現細胞と抗原発現細胞との間の最適な細胞間距離が、本開示前に予想されていたよりも大きいことを実証する。免疫シナプスのTCR発現細胞と抗原発現細胞との間の機能的な細胞間距離には、約15nmの上限がある。対照的に、本開示は、免疫シナプスのCAR発現細胞と抗原発現細胞との間の細胞間距離が約17nm~約25nmである場合に、CARは最適に、それを発現する細胞を刺激することを実証する。この範囲内で、本開示は、免疫シナプスのCAR発現細胞と抗原発現細胞との間の細胞間距離が約20nmである場合に、CARは最適に、それを発現する細胞を刺激することを実証する。CAR発現細胞を有する免疫シナプスの細胞間距離は、CARを介してより優れた活性化または刺激を達成する変数である。一部の実施形態では、免疫シナプスのCAR発現細胞と抗原発現細胞との間に約17nm~約25nmの細胞間距離を達成する本開示のCARのスペーサーは、本開示の最適に活性化されたCAR発現細胞というより優れた結果をもたらす。一部の実施形態では、免疫シナプスのCAR発現細胞と抗原発現細胞との間に約20nmの細胞間距離を達成する本開示のCARのスペーサーは、本開示の最適に活性化されたCAR発現細胞というより優れた結果をもたらす。
【0030】
[67]本開示は、本開示によって記載される各スペーサー配列の物理的長さを提供する。所与の配列のスペーサーの物理的長さは、本開示の細胞によって発現される場合のスペーサータンパク質の長さを指すことができる。一部の実施形態では、それぞれが同じ数のアミノ酸を有する所与の2つのスペーサーは、各スペーサーの配列に関するアミノ酸の特性、スペーサーの二次構造、および/または発現されて折り畳まれたタンパク質とそれに融合したさらなるタンパク質を含むその環境との相互作用に起因して、異なる物理的長さを有し得る。一部の実施形態では、本開示の細胞によって発現される場合の所与の配列のスペーサーの物理的長さは、核酸配列を転写するのに好適な条件下で、核酸をアミノ酸に翻訳するのに好適な条件下で、アミノ酸配列を機能性タンパク質に折り畳むのに好適な条件下で、および/または共有結合もしくは非共有結合の形成に好適な条件下で、任意の細胞によって発現される場合のスペーサーの物理的長さとほぼ同じであるか、またはおおよそ同じである。
【0031】
[68]本開示は、(a)(i)標的に特異的に結合する結合要素および(ii)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が、端点を含めて約17nm~約25nmである、CARを提供する。一部の実施形態では、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、約20nmである。一部の実施形態では、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、20nmである。スペーサー配列の長さが、例えば、細胞の表面上に発現された場合に、およびそれが特異的に結合することができる抗原と接触した場合に、より優れたCARシグナル伝達効率をもたらす変数として発見されたことは、予想外のことである。主要組織適合抗原複合体(MHC)による標的の提示およびT細胞受容体(TCR)を介したシグナル伝達を含む免疫シナプスの以前の研究に基づいて、当業者は、そのシナプスでの14~15nmの細胞間距離が有効なTCRシグナル伝達を与えることを容易に認識するであろう。しかし、本開示は、免疫シナプスがCARに抗原を提示するMHCによって形成される場合に、免疫シナプスでの最適な細胞間距離は約17nm~約25nmであり、有効性ピークは約20nmに存在することを示す経験的証拠を提供する。本開示のCARは、このMHC-CARシナプスでの約17nm~約25nm、好ましくは約20nmの細胞間距離を達成するためのスペーサー配列を含むように設計される。
【0032】
[69]以下の表は、標的発現細胞からの標的距離、スペーサー配列の長さおよび細胞間距離の間の関係を示す。
[70]
【0033】
【表A-1】
【0034】
【表A-2】
【0035】
【表A-3】
【0036】
【表A-4】
【0037】
【表A-5】
【0038】
[71]
【0039】
【表B-1】
【0040】
【表B-2】
【0041】
【表B-3】
【0042】
[72]
【0043】
【表C-1】
【0044】
【表C-2】
【0045】
【表C-3】
【0046】
【表C-4】
【0047】
【表C-5】
【0048】
【表C-6】
【0049】
【表C-7】
【0050】
[73]本開示は、(a)(i)標的に特異的に結合する結合要素および(ii)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が、端点を含めて約17nm~約25nmである、CARを提供する。本開示のCARの設計は、本明細書で提供される研究に基づいており、その結果は、CARが約17nm~約25nmの細胞間距離を達成するのに十分な所与の長さのスペーサーを含む場合に、CAR活性が、この細胞間距離を与えないスペーサーを有するCARと比較した場合に、またはスペーサー配列を欠くCARと比較した場合により優れることを実証する。約17nm~約25nmの範囲内にある細胞間距離を達成するのに十分なスペーサー長の結果効果変数は、本開示の前には解明されていない。さらに、本開示のCARは、さまざまな長さおよび形式を有する結合要素(例えば、scFv、モノクローナル抗体、タンパク質スカフォールド)を含むことができ、標的はさまざまなサイズおよびそれを発現する細胞からの距離を有することができるため、本開示は、各結合要素および標的について、約17nm~約25nmの細胞間距離を達成するCARを作製するためのスペーサー配列の選択に関する詳細なガイダンスを提供する。
【0051】
キメラ抗原受容体(CAR)
[74]本開示は、(a)(i)標的に特異的に結合する結合要素および(ii)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むCARであって、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が、端点を含めて約17nm~約25nmである、CARを提供する。一部の実施形態では、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、約20nmである。
【0052】
[75]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは、1つまたは複数のヒト配列を含むことができる。一部の実施形態では、CARは、ヒト配列から単離されたかまたはそれに由来する1つまたは複数の配列を含むことができる。一部の実施形態では、ヒト配列に由来する1つまたは複数の配列は、天然に存在するヒト配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、またはその間にある任意のパーセンテージの同一性を有することができる。一部の実施形態では、ヒト配列に由来する1つまたは複数の配列は、1つまたは複数の合成アミノ酸を有することができる。一部の実施形態では、CARは、合成アミノ酸を含む合成部分に共有結合性または非共有結合性に結合するように改変された1つまたは複数の配列を含むことができる。一部の実施形態では、CARは、天然に存在する配列中にはともに存在しないかまたは同じ内因性経路では機能しない1つまたは複数の配列を含むことができ、それによってCARはキメラ受容体となる。一部の実施形態では、CARは、非ヒト配列から単離されたかまたはそれに由来する1つまたは複数の配列を含むことができる。一部の実施形態では、非ヒト配列に由来する1つまたは複数の配列は、天然に存在する非ヒト配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、またはその間にある任意のパーセンテージの同一性を有することができる。
【0053】
[76](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、結合要素は抗原認識ドメインを含む。一部の実施形態では、結合要素は、第1の抗原認識ドメインおよび第2の抗原認識ドメインを含む。一部の実施形態では、結合要素または抗原認識ドメインは、抗体(モノクローナル抗体を含むが、これには限定されない)、タンパク質スカフォールド、抗体模倣物、またはそれらの抗原結合性配列を含む。一部の実施形態では、結合要素または抗原認識ドメインは、モノクローナル抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン抗体、VHもしくはVHH、モノボディまたは単鎖可変断片(scFv)のうちの1つまたは複数を含む。
【0054】
[77](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、結合要素は抗原認識ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通要素は、CD4タンパク質の配列から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通要素は、CD8タンパク質の配列から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通要素は、CD28タンパク質の配列から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、CD28タンパク質は、
1 MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSC KYSYNLFSRE FRASLHKGLD
61 SAVEVCVVYG NYSQQLQVYS KTGFNCDGKL GNESVTFYLQ NLYVNQTDIY FCKIEVMYPP
121 PYLDNEKSNG TIIHVKGKHL CPSPLFPGPS KPFWVLVVVG GVLACYSLLV TVAFIIFWVR
181 SKRSRLLHSD YMNMTPRRPG PTRKHYQPYA PPRDFAAYRS
(配列番号45およびUniProtKB受託番号P10747-1)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通要素は、CD28タンパク質の配列から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む。一部の実施形態では、CD28タンパク質は、
1 MLRLLLALNL FPSIQVTGKH LCPSPLFPGP SKPFWVLVVV GGVLACYSLL VTVAFIIFWV
61 RSKRSRLLHS DYMNMTPRRP GPTRKHYQPY APPRDFAAYR S
(配列番号46およびUniProtKB受託番号P10747-2)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD28タンパク質は、
1 MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSY NEKSNGTIIH VKGKHLCPSP
61 LFPGPSKPFW VLVVVGGVLA CYSLLVTVAF IIFWVRSKRS RLLHSDYMNM TPRRPGPTRK
121 HYQPYAPPRD FAAYRS
(配列番号47およびUniProtKB受託番号P10747-3)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD28タンパク質は、
1 MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSW KHLCPSPLFP GPSKPFWVLV
61 VVGGVLACYS LLVTVAFIIF WVRSKRSRLL HSDYMNMTPR RPGPTRKHYQ PYAPPRDFAA
121 YRS
(配列番号48およびUniProtKB受託番号P10747-4)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD28タンパク質は、
1 MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSY NEKSNGTIIH VKGEE
(配列番号49およびUniProtKB受託番号P10747-5)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD28タンパク質は、
1 MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSY NEKSNGTIIH VKGKHLCPSP
61 LFPGPSKPYA PPRDFAAYRS
(配列番号:50およびUniProtKB受託番号P10747-6)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD28タンパク質は、
1 MPCGLSALIM CPKGMVAVVV AVDDGDSQAL AGNKILVKQS PMLVAYDNAV NLSCKYSYNL
61 FSREFRASLH KGLDSAVEVC VVYGNYSQQL QVYSKTGFNC DGKLGNESVT FYLQNLYVNQ
121 TDIYFCKIEV MYPPPYLDNE KSNGTIIHVK GKHLCPSPLF PGPSKPFWVL VVVGGVLACY
181 SLLVTVAFII FWVRSKRSRL LHSDYMNMTP RRPGPTRKHY QPYAPPRDFA AYRS
(配列番号51およびUniProtKB受託番号P10747-7)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD28タンパク質は、FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV(配列番号52)のアミノ酸配列を含む。
【0055】
[78](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、細胞内要素は、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)タンパク質、および活性化ナチュラルキラー細胞受容体のうちの1つまたは複数から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む共刺激要素を含む。一部の実施形態では、細胞内要素は、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3、およびMyD88のうちの1つまたは複数から単離されたかまたはそれに由来する配列を含む共刺激要素を含む。
【0056】
[79](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、細胞内要素は、4-1BB共刺激要素を含む。一部の実施形態では、4-1BB共刺激要素は、
1 MGNSCYNIVA TLLLVLNFER TRSLQDPCSN CPAGTFCDNN RNQICSPCPP NSFSSAGGQR
61 TCDICRQCKG VFRTRKECSS TSNAECDCTP GFHCLGAGCS MCEQDCKQGQ ELTKKGCKDC
121 CFGTFNDQKR GICRPWTNCS LDGKSVLVNG TKERDVVCGP SPADLSPGAS SVTPPAPARE
181 PGHSPQIISF FLALTSTALL FLLFFLTLRF SVVKRGRKKL LYIFKQPFMR PVQTTQEEDG
241 CSCRFPEEEE GGCEL
(配列番号53およびUniProtKB受託番号Q07011-1)の配列を含む。一部の実施形態では、4-1BB共刺激要素は、KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号54)の配列を含む。
【0057】
[80](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素;(b)膜貫通要素;および(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が、端点を含めて約17nm~約25nmであり、細胞内要素は、CD28共刺激要素を含む。一部の実施形態では、CD28共刺激要素は、配列番号45~52の配列を含む。一部の実施形態では、CD28共刺激要素は、配列番号45~52に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、またはその間にある任意のパーセンテージの同一性を有する配列を含む。
【0058】
[81](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、細胞内要素はCD27共刺激要素を含む。一部の実施形態では、CD27共刺激要素は、
1 MARPHPWWLC VLGTLVGLSA TPAPKSCPER HYWAQGKLCC QMCEPGTFLV KDCDQHRKAA
61 QCDPCIPGVS FSPDHHTRPH CESCRHCNSG LLVRNCTITA NAECACRNGW QCRDKECTEC
121 DPLPNPSLTA RSSQALSPHP QPTHLPYVSE MLEARTAGHM QTLADFRQLP ARTLSTHWPP
181 QRSLCSSDFI RILVIFSGMF LVFTLAGALF LHQRRKYRSN KGESPVEPAE PCHYSCPREE
241 EGSTIPIQED YRKPEPACSP
(配列番号:55およびUniProt受託番号P26842-1)の配列を含む。
【0059】
[82](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、細胞内要素はCD3ゼータシグナル伝達要素を含む。一部の実施形態では、CD3ゼータシグナル伝達要素は、
1 MKWKALFTAA ILQAQLPITE AQSFGLLDPK LCYLLDGILF IYGVILTALF LRVKFSRSAD
61 APAYQQGQNQ LYNELNLGRR EEYDVLDKRR GRDPEMGGKP QRRKNPQEGL YNELQKDKMA
121 EAYSEIGMKG ERRRGKGHDG LYQGLSTATK DTYDALHMQA LPPR
(配列番号76およびUniProtKB受託番号P20963-1)の配列を含む。一部の実施形態では、CD3ゼータシグナル伝達要素は、
1 MKWKALFTAA ILQAQLPITE AQSFGLLDPK LCYLLDGILF IYGVILTALF LRVKFSRSAD
61 APAYQQGQNQ LYNELNLGRR EEYDVLDKRR GRDPEMGGKP RRKNPQEGLY NELQKDKMAE
121 AYSEIGMKGE RRRGKGHDGL YQGLSTATKD TYDALHMQAL PPR
(配列番号56およびUniProtKB受託番号P20963-3)の配列を含む。一部の実施形態では、CD3ゼータシグナル伝達要素は、
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号57)
の配列を含む。
【0060】
[83](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、細胞内要素は、本開示の4-1BB共刺激要素および本開示のCD3ゼータシグナル伝達要素を含む。一部の実施形態では、細胞内要素は、形質導入マーカーをさらに含む。一部の実施形態では、形質導入マーカーはEGFR由来マーカーを含む。一部の実施形態では、EGFR由来マーカーは、短縮型EGFR(EGFRt)を含む。一部の実施形態では、細胞内要素は、自己切断性ペプチドを含む配列をさらに含む。一部の実施形態では、自己切断性ペプチドを含む配列は、形質導入マーカーと、本開示の4-1BB共刺激要素または本開示のCD3ゼータシグナル伝達要素のいずれかとの間に位置する。
【0061】
[84](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、結合要素または抗原認識ドメインは、細胞外抗原から単離されたかまたはそれに由来する標的またはその任意の部分に特異的に結合する。一部の実施形態では、細胞外抗原から単離されたかまたはそれに由来する標的またはその任意の部分は、細胞の表面上に存在するかまたは発現される。
【0062】
[85](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~約25nmであり、標的発現細胞は、インビボ、インビトロ、またはエクスビボにある。一部の実施形態では、標的発現細胞は1つまたは複数の改変を含む。一部の実施形態では、標的発現細胞は遺伝的に改変されている。
【0063】
[86]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは、(i)細胞外抗原認識要素を含むキメラ融合タンパク質と、(ii)膜貫通要素と、(iii)刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素を含む細胞内シグナル伝達要素と、(iv)細胞外抗原認識要素を膜貫通要素に連結するスペーサーとを含むキメラポリペプチドを含む。
【0064】
[87]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは、(i)細胞外抗原認識要素を含むキメラ融合タンパク質と、(ii)膜貫通要素と、(iii)共刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素および刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素を含む細胞内シグナル伝達要素と、(iv)細胞外抗原認識要素を膜貫通要素に連結するスペーサーとを含むキメラポリペプチドを含む。
【0065】
[88]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは、(i)細胞外抗原認識要素と、(ii)膜貫通要素と、1つまたは複数の共刺激分子に由来する2つの機能的シグナル伝達要素および刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素を含む細胞内シグナル伝達要素と、(iii)細胞外抗原認識要素を膜貫通要素に連結するスペーサーとを含むキメラポリペプチドを含む。
【0066】
[89]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは、キメラ性の(i)細胞外抗原認識要素と、(ii)膜貫通要素と、(iii)1つまたは複数の共刺激分子に由来する少なくとも2つの機能的シグナル伝達要素および刺激分子に由来する機能的シグナル伝達要素を含む細胞内シグナル伝達要素と、(iv)細胞外抗原認識要素を膜貫通要素に連結するスペーサーとを含む。
【0067】
[90]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは、任意選択的なリーダー配列を含む。一部の実施形態では、リーダー配列は、CARのアミノ末端(N末端)に位置する。一部の実施形態では、CARは融合タンパク質を含む。一部の実施形態では、リーダー配列は、CAR融合タンパク質のN末端に位置する。一部の実施形態では、リーダー配列は、CARの細胞外要素のN末端に位置する。一部の実施形態では、切断可能な配列が、リーダー配列とCARとの間、またはリーダー配列とCARの細胞外要素との間に位置する。一部の実施形態では、切断可能な配列は自己切断性ペプチドを含む。一部の実施形態では、リーダー配列は、細胞プロセシングの間にCARから切断される。一部の実施形態では、リーダー配列の切断は、CARの細胞膜への局在を誘導する。
【0068】
[91]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは融合タンパク質を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質はリーダー配列を含む。一部の実施形態では、切断可能な配列は、リーダー配列とCARとの間に位置する。一部の実施形態では、切断可能な配列は自己切断性ペプチドを含む。一部の実施形態では、リーダー配列は、細胞プロセシングの間にCARから切断される。一部の実施形態では、リーダー配列の切断は、CARの細胞膜への局在を誘導する。
【0069】
[92](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約3nm~約4nmの間にあり、スペーサー配列は約14nm~約19nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約3nm~約4nmの間にあり、スペーサー配列は約14nm~約19nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号6、36、43、31、または7のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0070】
[93](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約5nm~約6nmの間にあり、スペーサー配列は約12nm~約17nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約5nm~約6nmの間にあり、スペーサー配列は約12nm~約17nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号36、43、31、または7のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0071】
[94](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約6nm~約7nmの間にあり、スペーサー配列は約11nm~約16nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約6nm~約7nmの間にあり、スペーサー配列は約11nm~約16nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号36、43、31、7、14、27、または40のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0072】
[95](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約7nm~約8nmの間にあり、スペーサー配列は約10nm~約15nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約7nm~約8nmの間にあり、スペーサー配列は約10nm~約15nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号43、31、7、14、27、40、32、または42のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0073】
[96](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約8nm~約9nmの間にあり、スペーサー配列は約9nm~約14nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約8nm~約9nmの間にあり、スペーサー配列は約9nm~約14nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号43、31、7、14、27、40、32、42、または8のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0074】
[97](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約9nm~約10nmの間にあり、スペーサー配列は約8nm~約13nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約9nm~約10nmの間にあり、スペーサー配列は約8nm~約13nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号14、27、40、32、42、8、または23のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0075】
[98](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約10nm~約11nmの間にあり、スペーサー配列は約7nm~約12nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約10nm~約11nmの間にあり、スペーサー配列は約7nm~約12nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号14、27、40、32、42、8、23、9、10、24、11、3、または18のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0076】
[99](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約11nm~約12nmの間にあり、スペーサー配列は約6nm~約11nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号32、42、8、23、9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37または39のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約11nm~約12nmの間にあり、スペーサー配列は約6nm~約11nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号32、42、8、23、9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37または39のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0077】
[100](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約12nm~約13nmの間にあり、スペーサー配列は約5nm~約10nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約12nm~約13nmの間にあり、スペーサー配列は約5nm~約10nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号32、42、8、23、9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、1、または17のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0078】
[101](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約13nm~約14nmの間にあり、スペーサー配列は約4nm~約9nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約13nm~約14nmの間にあり、スペーサー配列は約4nm~約9nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号23、9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、1、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0079】
[102](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約14nm~約15nmの間にあり、スペーサー配列は約3nm~約8nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約14nm~約15nmの間にあり、スペーサー配列は約3nm~約8nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、1、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0080】
[103](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約15nm~約16nmの間にあり、スペーサー配列は約2nm~約7nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約15nm~約16nmの間にあり、スペーサー配列は約2nm~約7nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、1、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0081】
[104](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約16nm~約17nmの間にあり、スペーサー配列は約1nm~約6nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約16nm~約17nmの間にあり、スペーサー配列は約1nm~約6nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号2、15、16、26、28、1、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約17nm~23nmである。
【0082】
[105](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約3nm~約4nmの間にあり、スペーサー配列は約15nm~約18nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約3nm~約4nmの間にあり、スペーサー配列は約15nm~約18nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号36の配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0083】
[106](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約5nm~約6nmの間にあり、スペーサー配列は約13nm~約16nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約5nm~約6nmの間にあり、スペーサー配列は約13nm~約16nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号36、43、31、または7のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0084】
[107](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約6nm~約7nmの間にあり、スペーサー配列は約12nm~約15nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約6nm~約7nmの間にあり、スペーサー配列は約12nm~約15nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号43、31、または7のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0085】
[108](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約7nm~約8nmの間にあり、スペーサー配列は約11nm~約14nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約7nm~約8nmの間にあり、スペーサー配列は約11nm~約14nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号43、31、7、14、27、または40のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0086】
[109](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約8nm~約9nmの間にあり、スペーサー配列は約10nm~約13nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約8nm~約9nmの間にあり、スペーサー配列は約10nm~約13nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号14、27、40、32、または42のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0087】
[110](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約9nm~約10nmの間にあり、スペーサー配列は約9nm~約12nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約9nm~約10nmの間にあり、スペーサー配列は約9nm~約12nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号14、27、40、32、42、8、または23のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0088】
[111](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約10nm~約11nmの間にあり、スペーサー配列は約8nm~約11nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約10nm~約11nmの間にあり、スペーサー配列は約8nm~約11nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号32、42、8、または23のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0089】
[112](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約11nm~約12nmの間にあり、スペーサー配列は約7nm~約10nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約11nm~約12nmの間にあり、スペーサー配列は約7nm~約10nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号8、23、9、10、24、11、3、または18のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0090】
[113](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約12nm~約13nmの間にあり、スペーサー配列は約6nm~約9nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約12nm~約13nmの間にあり、スペーサー配列は約6nm~約9nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号23、9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37、または39のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0091】
[114](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約13nm~約14nmの間にあり、スペーサー配列は約5nm~約8nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約13nm~約14nmの間にあり、スペーサー配列は約5nm~約8nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号9、10、24、11、3、18、25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、または17のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0092】
[115](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約14nm~約15nmの間にあり、スペーサー配列は約4nm~約7nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約14nm~約15nmの間にあり、スペーサー配列は約4nm~約7nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号25、38、21、29、37、39、2、15、16、26、28、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0093】
[116](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約15nm~約16nmの間にあり、スペーサー配列は約3nm~約6nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約15nm~約16nmの間にあり、スペーサー配列は約3nm~約6nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号2、15、16、26、28、17、12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0094】
[117](a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約16nm~約17nmの間にあり、スペーサー配列は約2nm~約5nmの長さを有し、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。(a)(1)標的に特異的に結合する結合要素および(2)スペーサー配列を含む細胞外要素、(b)膜貫通要素、ならびに(c)細胞内要素を含むものを含む、本開示のCARの一部の実施形態では、結合要素は標的に特異的に結合し、標的配列が標的細胞の表面上に発現される場合に、標的配列は標的細胞の表面から約16nm~約17nmの間にあり、スペーサー配列は約2nm~約5nmの長さを有し、スペーサー配列は、配列番号12、13、19、20、または44のうちのいずれか1つの配列を含み、CARが細胞の表面上に発現される場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離は、端点を含めて約18nm~22nmである。
【0095】
スペーサー
[118]本開示は、約17nm~約25nmまたは17nm~25nmの細胞間距離を達成するための各CAR-エピトープ結合ペアについてのスペーサー配列を提供する。一部の実施形態では、本開示は、約17nm~約25nmまたは17nm~25nmの細胞間距離を達成するための各CAR-エピトープ結合ペアについてのスペーサー配列のセットを提供する。
【0096】
[119]本開示は、約17nm~約22nmまたは17nm~22nmの細胞間距離を達成するための各CAR-エピトープ結合ペアについてのスペーサー配列を提供する。一部の実施形態では、本開示は、約17nm~約22nmまたは17nm~22nmの細胞間距離を達成するための各CAR-エピトープ結合ペアについてのスペーサー配列のセットを提供する。
【0097】
[120]本開示は、約20nmまたは20nmの細胞間距離を達成するための、各CAR-エピトープ結合ペアについてのスペーサー配列を提供する。一部の実施形態では、本開示は、約20nmまたは20nmの細胞間距離を達成するための各CAR-エピトープ結合ペアについてのスペーサー配列のセットを提供する。
【0098】
[121]一部の実施形態では、被験スペーサーのセットは、第1の被験スペーサーおよび第2の被験スペーサーを含む。一部の実施形態では、スペーサーのセットは、配列番号1~44の配列を含む少なくとも1種のスペーサーを含む。一部の実施形態では、スペーサーのセットは、配列番号1~44の配列を含む少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、15種、20種、25種、30種、35種、40種または44種のスペーサーを含む。一部の実施形態では、スペーサーのセットは、配列番号1~44の配列をそれぞれ1つずつ含む。
【0099】
[122]本開示のスペーサー配列の一部の実施形態では、スペーサー配列は、別個の配列、別個の長さ、別個の二次形状、別個の三次形状、別個の柔軟性、別個の電荷プロファイル、別個の疎水性、別個の親水性、および別個の免疫原性のうちの1つまたは複数を含む。
【0100】
[123]本開示のスペーサー配列の一部の実施形態では、スペーサー配列は別個の長さを含む。
[124]本開示のスペーサー配列の一部の実施形態では、スペーサー配列は約2nm~約20nmの長さを含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は約3nm~約20nmの長さを含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は約4nm~約20nmの長さを含む。
【0101】
[125]本開示のスペーサー配列の一部の実施形態では、スペーサー配列は、配列番号1~44の配列を含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は、配列番号1~44の配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一な配列を含む。
【0102】
[126]本開示のスペーサー配列の一部の実施形態では、スペーサー配列は、ヒト免疫グロブリン(Ig)タンパク質、免疫グロブリンタンパク質のヒンジ領域、またはタンパク質の細胞外ドメインのうちの1つまたは複数に由来する。本開示のスペーサー配列の一部の実施形態では、スペーサー配列はデノボで操作される。本開示のスペーサー配列の一部の実施形態では、スペーサー配列は、任意の既知のヒト配列に対して50%未満の同一性を含む。
【0103】
[127]本開示のスペーサー配列の一部の実施形態では、スペーサー配列はリンカー配列を含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、柔軟なリンカーを含むか、または柔軟なリンカーをコードする。一部の実施形態では、リンカー配列は、グリシン-セリン(GS)リンカーを含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、GGGSG(配列番号77)の配列を含む。
【0104】
[128]本開示のスペーサー配列の一部の実施形態では、CARはリンカー配列を含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、柔軟なリンカーを含むか、または柔軟なリンカーをコードする。一部の実施形態では、リンカー配列は、グリシン-セリン(GS)リンカーを含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、GGGSG(配列番号77)の配列を含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、結合要素とスペーサー配列との間に位置する。
【0105】
[129]表1は、本開示の例示的なスペーサー配列を提供する。一部の実施形態では、本開示のCARは、表1の1つまたは複数のスペーサー配列を含む。一部の実施形態では、本開示のCARは、本開示の1つまたは複数のスペーサー配列(表1に提供されるものを含む)を含み、ここでスペーサー配列は、欠失、挿入、置換、逆位、短縮または改変のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は、配列番号1~44のうちの1つまたは複数に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、80%、95%、97%、99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、スペーサー配列は、少なくとも1つの天然に存在しない残基を含む。一部の実施形態では、置換は、1個の第1のアミノ酸の第2のアミノ酸への置き換えを含み、第1のアミノ酸および第2のアミノ酸は、極性、側鎖長、または疎水性のうちの1つまたは複数を有する。例えば、一部の実施形態では、システイン(C)は、セリン(S)によって置き換えられる。
【0106】
[130]
【0107】
【表1-1】
【0108】
【表1-2】
【0109】
【表1-3】
【0110】
[131]
【0111】
【表2】
【0112】
スペーサーの選択方法
[132]本開示は、約17nm~約25nmの細胞間距離を達成するために、各CAR-エピトープ結合ペアについてスペーサー配列を設計するための方法を提供する。
【0113】
[133]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、方法は、(a)第1の細胞において標的に特異的に結合するCARを発現させるステップであって、CARが被験スペーサー配列を含むステップ、(b)第1の細胞を第2の細胞に接触させるステップであって、第2の細胞が標的を発現するステップ、(c)第1の細胞と第2の細胞との間の細胞間距離を測定するステップ、(d)細胞間距離が約17nm~約25nmである場合に被験スペーサーを選択するステップを含む。一部の実施形態では、被験スペーサーのセットはその被験スペーサーを含む。
【0114】
[134]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、CARを発現する細胞は免疫細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、リンパ球、B細胞および/またはT細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞は前駆細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞は造血幹細胞(HSC)である。一部の実施形態では、免疫細胞は、任意選択で、人工多能性幹細胞(iPSC)から分化した分化細胞である。
【0115】
[135]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、標的を発現する細胞は、抗原提示細胞(APC)である。一部の実施形態では、(APC)は、単球、樹状細胞、マクロファージ、B細胞または本開示の標的細胞である。一部の実施形態では、APCは、標的を発現するように改変される。一部の実施形態では、APCは、標的を発現するように改変されない。一部の実施形態では、標的は、天然に存在する抗原を含む。一部の実施形態では、標的はがん抗原を含む。一部の実施形態では、標的は、合成抗原またはネオ抗原を含む。一部の実施形態では、標的は、標的スペーサー配列またはエピトープスペーサー配列を含む。一部の実施形態では、標的スペーサー配列またはエピトープスペーサー配列は、標的またはエピトープの、例えばMHCの一部としての提示に応じて、インビトロアッセイの間に標的を発現する細胞からの標的の延長部を模倣する。例示的な標的スペーサーまたはエピトープスペーサーは、本開示の表2に提供される。
【0116】
[136]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、標的を発現する細胞は、初代細胞である。一部の実施形態では、初代細胞は、生体試料から単離されるかまたはそれに由来する。一部の実施形態では、生体試料は、対象から得られる。一部の実施形態では、初代細胞は改変される。一部の実施形態では、初代細胞は改変されない。
【0117】
[137]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、標的を発現する細胞は、培養細胞である。一部の実施形態では、培養細胞は、生体試料から単離されるかまたはそれに由来する。一部の実施形態では、生体試料は、対象から得られる。一部の実施形態では、培養細胞は改変される。一部の実施形態では、培養細胞は不死化される。一部の実施形態では、培養細胞は、標的を発現するように改変される。一部の実施形態では、培養細胞による標的の発現は改変される。一部の実施形態では、培養細胞による標的の発現は、増加するか、減少するか、または誘導性にされる。
【0118】
[138]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、方法は、(a)標的に特異的に結合する第1のCARを第1の細胞において発現させるステップであって、CARが第1の被験スペーサー配列を含むステップ、(b)標的に特異的に結合する第2のCARを第2の細胞において発現させるステップであって、CARが第2の被験スペーサー配列を含むステップ、(c)第1の細胞および第2の細胞を第3の細胞と接触させるステップであって、第3の細胞が標的を発現するステップ、(d)第1の細胞と第3の細胞との間の細胞間距離を測定し、第2の細胞と第3の細胞との間の細胞間距離を測定するステップ、ならびに(d)細胞間距離が約17nm~約25nmである場合に第1の被験物を選択するステップ、または細胞間距離が約17nm~約25nmである場合に第2の被験物を選択するステップを含む。一部の実施形態では、被験スペーサーのセットは、第1の被験スペーサーおよび第2の被験スペーサーを含む。一部の実施形態では、スペーサーのセットは、配列番号1~44の配列を含む少なくとも1種のスペーサーを含む。一部の実施形態では、スペーサーのセットは、配列番号1~44の配列を含む少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、15種、20種、25種、30種、35種、40種または44種のスペーサーを含む。一部の実施形態では、スペーサーのセットは、配列番号1~44の配列のそれぞれ1つずつを含む。
【0119】
[139]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、方法は、細胞間距離が約17nm~約22nmである場合に、被験スペーサーを選択するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、細胞間距離が約17nm~約22nmである場合に、第1の被験物を選択するステップを含む。
【0120】
[140]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、方法は、細胞間距離が約20nmである場合に、被験スペーサーを選択するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、細胞間距離が約20nmである場合に、第1の被験物を選択するステップを含む。
【0121】
[141]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、第1の被験スペーサーおよび第2の被験スペーサーは、別個の配列、別個の長さ、別個の二次形状、別個の三次形状、別個の柔軟性、別個の電荷プロファイル、別個の疎水性、別個の親水性、および別個の免疫原性のうちの1つまたは複数を含む。
【0122】
[142]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、第1の被験スペーサーおよび第2の被験スペーサーは別個の長さを含む。
[143]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、被験スペーサーは約2nm~約20nmの長さを含む。一部の実施形態では、被験スペーサーは約3nm~約19nmの長さを含む。一部の実施形態では、被験スペーサーは約4nm~約17nmの長さを含む。
【0123】
[144]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、第1の被験スペーサーまたは第2の被験スペーサーは、配列番号1~44の配列を含む。本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、第1の被験スペーサーまたは第2の被験スペーサーは、配列番号1~44の配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一な配列を含む。
【0124】
[145]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、方法は、(a)標的細胞の表面上に標的を発現させるステップであって、標的が直鎖状エピトープを含み、直鎖状エピトープが標的細胞の表面からさまざまな距離で提示されるステップ、(b)標的細胞をCAR発現細胞と接触させるステップであって、CARが標的に選択的に結合し、CARが被験スペーサー配列を含むステップ、および(c)第1の細胞と第2の細胞との間の細胞間距離を測定するステップ、(d)細胞間距離が約17nm~約25nmである場合に、被験スペーサー配列を選択するステップを含む。
【0125】
[146]本開示のスペーサー配列を設計するための方法の一部の実施形態では、方法は、CAR内部のスペーサー配列および標的内部のスペーサー配列の長さを変化させてT細胞機能のペアワイズ分析を実施するステップを含み、これには標的細胞溶解の測定することおよびサイトカイン産生を測定することが含まれるが、これらに限定されない。
【0126】
[147]図2は、標的細胞の表面上の例示的なHAエピトープ(標的)と、CAR T細胞の表面上に発現されたCARの結合要素との間の細胞間距離を示す図である。この例では、細胞間距離DはA+B+Cの合計であり、ここで距離Aは、CARスペーサー(GSリンカーを含む)の細胞間距離への寄与であり、距離Bは、エピトープに結合するエピトープ結合要素の細胞間距離への寄与であり、距離Cは、GSリンカーも含むエピトープスペーサーの細胞間距離への寄与である。
【0127】
[148]本開示のスペーサー設計方法は、結合相互作用中の細胞間距離を実験的に推定するかまたは決定することを含むことができ、任意選択で、モデル化またはコンピュータモデル化によって経験的データを推定すること、決定すること、検証すること、または確認することができる。本開示のスペーサー設計方法は、さまざまな経験的に測定された距離、例えば、X線結晶学研究によって決定された距離を含むことができる。
【0128】
[149]本開示のスペーサー配列は、スペーサー配列の1つまたは複数のライブラリーを作製するために使用することができる。本開示のスペーサーライブラリーは、特定の標的に特異的に結合するCARとともに使用するのに好適なスペーサー配列、例えば、標的特異的CARに組み込まれた場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が約17nm~約25nmとなる複数のスペーサー配列を含むことができる。一部の実施形態では、本開示のスペーサーライブラリーは、特定の標的に特異的に結合するCARとともに使用するのに好適なスペーサー配列、例えば、標的特異的CARに組み込まれた場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が約17nm~約22nmとなる複数のスペーサー配列を含む。一部の実施形態では、本開示のスペーサーライブラリーは、特定の標的に特異的に結合するCARとともに使用するのに好適なスペーサー配列、例えば、標的特異的CARに組み込まれた場合に、CAR発現細胞と標的発現細胞との間の細胞間距離が約20nmとなる複数のスペーサー配列を含む。
【0129】
細胞
[150]本開示は、本開示のCAR、本開示のCARをコードする配列、本開示のCARをコードするベクター、および本開示の組成物(本開示の医薬組成物を含む)のうちの1つまたは複数を含む細胞を提供する。
【0130】
[151]本開示の一部の実施形態では、本開示の組成物および方法の細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態では、本開示の組成物および方法の細胞は、非ヒト細胞である。一部の実施形態では、本開示の組成物および方法の細胞は、哺乳動物細胞、非ヒト霊長類細胞、齧歯類細胞、ラット細胞、マウス細胞、またはそれらのハイブリドーマである。
【0131】
[152]本開示の一部の実施形態では、本開示の組成物および方法の細胞は、免疫細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、リンパ球、B細胞および/またはT細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞は前駆細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞は造血幹細胞(HSC)である。一部の実施形態では、免疫細胞は、任意選択で、人工多能性幹細胞(iPSC)から分化した分化細胞である。
【0132】
[153]本開示の一部の実施形態では、本開示の組成物および方法の細胞は、抗原提示細胞(APC)である。一部の実施形態では、本開示のAPCとしては、単球、樹状細胞、マクロファージ、B細胞または本開示の標的細胞が挙げられるが、これらには限定されない。一部の実施形態では、APCは、標的を発現するように改変される。一部の実施形態では、APCは、標的を発現するように改変されない。一部の実施形態では、標的は、天然に存在する抗原を含む。一部の実施形態では、標的はがん抗原を含む。一部の実施形態では、標的は、合成抗原またはネオ抗原を含む。一部の実施形態では、標的は、標的スペーサー配列またはエピトープスペーサー配列を含む。一部の実施形態では、標的スペーサー配列またはエピトープスペーサー配列は、標的またはエピトープの、例えばMHCの一部としての提示に応じて、インビトロアッセイの間に標的を発現する細胞からの標的の延長部を模倣する。例示的な標的またはエピトープスペーサーは、本開示の表2に提供される。
【0133】
[154]本開示の一部の実施形態では、本開示の組成物および方法の細胞は、初代細胞である。一部の実施形態では、初代細胞は、生体試料から単離されるかまたはそれに由来する。一部の実施形態では、生体試料は、対象から得られる。一部の実施形態では、初代細胞は改変される。一部の実施形態では、初代細胞は改変されない。
【0134】
[155]本開示の一部の実施形態では、本開示の組成物および方法の細胞は、培養細胞である。一部の実施形態では、培養細胞は、生体試料から単離されるかまたはそれに由来する。一部の実施形態では、生体試料は、対象から得られる。一部の実施形態では、培養細胞は改変される。一部の実施形態では、培養細胞は不死化される。一部の実施形態では、培養細胞は、標的を発現するように改変される。一部の実施形態では、培養細胞による標的の発現は改変される。一部の実施形態では、培養細胞による標的の発現は、増加するか、減少するか、または誘導性にされる。
【0135】
[156]本開示の一部の実施形態では、本開示の組成物および方法の細胞は、疾患細胞である。一部の実施形態では、疾患細胞は、生体試料から単離されるかまたはそれに由来する。一部の実施形態では、生体試料は、対象から得られる。一部の実施形態では、生体試料は生検試料である。一部の実施形態では、疾患細胞は、腫瘍から単離されるかまたはそれに由来する。一部の実施形態では、腫瘍は悪性腫瘍である。一部の実施形態では、疾患細胞は、がん性細胞、形質転換細胞または悪性細胞である。
【0136】
[157]本開示の一部の実施形態では、本開示の組成物および方法の細胞は、改変細胞である。一部の実施形態では、改変細胞は、本開示のCARを発現する。一部の実施形態では、改変細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態では、改変細胞は、ヒトT細胞またはヒトNK細胞である。一部の実施形態では、改変されたヒトT細胞または改変されたヒトNK細胞は、配列番号1~44のスペーサー配列を含むCARを含む。
【0137】
[158]本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするアミノ酸配列および核酸配列を提供する。一部の実施形態では、データセットは、スペーサー選択モデルの経験的評価に使用するための、アミノ酸配列または核酸配列のライブラリーを含む。一部の実施形態では、データセットは、スペーサー選択モデルの経験的評価に使用するための、1つまたは複数のスペーサーをコードするアミノ酸配列または核酸配列のライブラリーを含む。データセットの配列は、本開示のスペーサーをコードするアミノ酸配列または核酸配列へのアセンブリのために、ライブラリーから物理的に選択することができる。データセットの配列は、本開示のCARをコードするアミノ酸配列または核酸配列へのアセンブリのために、ライブラリーから物理的に選択することができる。データセットの配列は、特に、本開示のスペーサー選択方法に使用するために、本開示の標的をコードするアミノ酸配列または核酸配列へのアセンブリのために、ライブラリーから物理的に選択することができる。配列は、種々の手法を使用して物理的に選択することができ、例えば、手作業で、マイクロ流体的に、またはロボット制御により選択される。
【0138】
標的
[159]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは標的に選択的および特異的に結合する。一部の実施形態では、標的は、本開示の標的細胞上で発現される。一部の実施形態では、標的は抗原を含む。一部の実施形態では、標的はエピトープを含む。一部の実施形態では、エピトープは直鎖状である。一部の実施形態では、エピトープは非直鎖状である。一部の実施形態では、エピトープは高次構造的または不連続的である。
【0139】
[160]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは標的に選択的および特異的に結合する。一部の実施形態では、標的は、タンパク質、炭水化物、または糖脂質分子のうちの1つまたは複数を含む。
【0140】
[161]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは標的に選択的および特異的に結合する。一部の実施形態では、標的は抗原を含む。一部の実施形態では、標的は、腫瘍抗原、または腫瘍微小環境(TME)のマーカーを含む。一部の実施形態では、標的は、細胞型マーカーまたはバイオマーカーを含む。
【0141】
[162]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは、がん細胞上で発現される標的に選択的および特異的に結合する。一部の実施形態では、がん細胞は、以下のがんのうちの1つまたは複数から単離されるかまたはそれらに由来する:急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、思春期がん、副腎皮質癌 AIDS関連がん(カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、AIDS関連リンパ腫(リンパ腫)、および原発性CNSリンパ腫(リンパ腫)を含むが、これらに限定されない)、肛門がん、虫垂がん(消化管カルチノイド腫瘍も)、星状細胞腫、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系がん、皮膚の基底細胞癌(皮膚がんも)、胆管がん、膀胱がん、骨がん(ユーイング肉腫および骨肉腫および悪性線維性組織球腫を含む)、脳腫瘍(脳がんも)、乳がん、気管支腫瘍(肺がん)、バーキットリンパ腫(非ホジキンリンパ腫も)、カルチノイド腫瘍(消化管腫瘍も)、原発不明癌、心(心臓)腫瘍、中枢神経系がん非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍(脳がん)、髄芽腫および他のCNS胎児性腫瘍(脳がん)、胚細胞腫瘍脳がん)、原発性CNSリンパ腫、子宮頸がん、小児がん、小児期の稀ながん、胆管細胞癌(胆管がんも)、脊索腫(骨がん)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性腫瘍、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫(脳がん)、皮膚T細胞リンパ腫(リンパ腫および菌状息肉症およびセザリー症候群も)、非浸潤性乳管癌(DCIS)(乳がんも)、胚芽腫、髄芽腫および他の中枢神経系(脳がん)、子宮内膜がん(子宮がん)、上衣腫(脳がん)、食道がん、感覚神経芽腫(頭頸部がん)、ユーイング肉腫(骨がん)、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫、卵管がん、胆嚢がん、胃(Gastric)(胃(Stomach))がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)(軟部組織肉腫)、胚細胞腫瘍、小児中枢神経系胚細胞腫瘍(脳がん)、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、精巣がん、妊娠性絨毛性疾患、ヘアリーセル白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、肝細胞(肝臓)がん、組織球症(ランゲルハンス細胞)、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん(頭頸部がん)、眼球内黒色腫、膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、腎(腎細胞)がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん(頭頸部がん)、白血病、口唇および口腔がん(頭頸部がん)、肝がん、肺がん(非小細胞、小細胞、胸膜肺芽腫、および気管気管支腫瘍)、リンパ腫、男性乳がん、黒色腫、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞癌(皮膚がん)、中皮腫(悪性)、転移性がん、原発不明の転移性頸部扁平上皮がん(頭頸部がん)、NUT遺伝子変化を伴う正中線癌、口腔がん(頭頸部がん)、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉症(リンパ腫)、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、骨髄性白血病、慢性(CML)、骨髄性白血病、急性(AML)、骨髄増殖性腫瘍、慢性、鼻腔および副鼻腔がん(頭頸部がん)、上咽頭がん(頭頸部がん)、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口腔がん、口唇および口腔がんならびに中咽頭がん(頭頸部がん)、骨肉腫および骨の未分化多形肉腫の処置、卵巣がん、膵がん、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、乳頭腫症(小児喉頭)、傍神経節腫、副鼻腔および鼻腔がん(頭頸部がん)、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん(頭頸部がん)、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫(肺がん)、妊娠および乳がん、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、小児期の稀ながん、直腸がん、再発がん、腎細胞(腎)がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、小児(軟部組織肉腫)、唾液腺がん(頭頸部がん)、肉腫、小児横紋筋肉腫(軟部組織肉腫)、小児血管腫瘍(軟部組織肉腫)、ユーイング肉腫(骨がん)、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、骨肉腫(骨がん)、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群(リンパ腫)、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、皮膚の扁平上皮癌(皮膚がん)、原発不明および転移性の頸部扁平上皮がん(頭頸部がん)、胃(Stomach)(胃(Gastric))がん、T細胞リンパ腫(皮膚リンパ腫、菌状息肉症およびセザリー症候群も)、精巣がん、咽頭がん(頭頸部がん)、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺がん、気管気管支腫瘍(肺がん)、腎盂および尿管の移行上皮がん(腎(腎細胞)がん)、原発不明癌、尿管および腎盂、移行上皮がん(腎(腎細胞)がん、尿道がん、子宮がん(子宮内膜も)、子宮肉腫、膣がん、血管腫瘍(軟部組織肉腫)、外陰がん、ウィルムス腫瘍および他の小児腎腫瘍、ならびに若年成人がん。
【0142】
結合要素
[163]本開示のCARの一部の実施形態では、CARは細胞外要素を含む。本開示のCARの一部の実施形態では、細胞外要素は結合要素を含む。本開示のCARの一部の実施形態では、細胞外要素は少なくとも1つの結合要素を含む。本開示のCARの一部の実施形態では、細胞外要素は1つまたは複数の結合要素を含む。本開示のCARの一部の実施形態では、細胞外要素は二重特異性結合要素を含む。本開示のCARの一部の実施形態では、細胞外要素は三重特異性結合要素を含む。本開示のCARの一部の実施形態では、細胞外要素は多重特異性結合要素を含む。
【0143】
[164]本開示の例示的な結合要素は、任意の形態をとることができる。本開示の例示的な結合要素は、本開示の標的に選択的および特異的に結合する。一部の実施形態では、結合要素は、改変されていない結合要素と比較した場合に、結合親和性、選択性または特異性を高めるための1つまたは複数の改変を含む。
【0144】
[165]本開示の例示的な結合要素は、任意の形態をとることができる。本開示の例示的な結合要素は、本開示の標的に選択的および特異的に結合する。一部の実施形態では、結合要素はタンパク質スカフォールドを含む。一部の実施形態では、タンパク質スカフォールドは、ヒトフィブロネクチンタンパク質から単離されたかまたはそれに由来する1つまたは複数の配列を含む。一部の実施形態では、タンパク質スカフォールドは、改変されていないタンパク質スカフォールドと比較した場合に、結合親和性、選択性または特異性を高めるための1つまたは複数の改変を含む。一部の実施形態では、結合要素またはタンパク質スカフォールドは、モノボディを含む。
【0145】
[166]本開示の例示的な結合要素は、任意の形態をとることができる。本開示の例示的な結合要素は、本開示の標的に選択的および特異的に結合する。一部の実施形態では、結合要素は、抗体またはその機能的断片を含む。一部の実施形態では、抗体はモノクローナル抗体を含む。一部の実施形態では、抗体は、単一ドメインまたはドメイン抗体を含む。一部の実施形態では、抗体は、ラクダ科抗体を含む。一部の実施形態では、抗体断片は、完全抗体が結合する抗原に結合する完全抗体の一部分を含む、完全抗体以外の分子を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFv断片、直鎖状抗体、単一ドメイン抗体、例えば、sdAb(VまたはVのいずれか)、ラクダ科VHHドメイン、ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0146】
[167]本開示の例示的な結合要素は、任意の形態をとることができる。本開示の例示的な結合要素は、本開示の標的に選択的および特異的に結合する。一部の実施形態では、結合要素は、抗体模倣物またはその機能的断片を含む。
【0147】
[168]本開示の例示的な結合要素は、任意の形態をとることができる。本開示の例示的な結合要素は、本開示の標的に選択的および特異的に結合する。一部の実施形態では、結合要素は、単鎖可変断片(scFv)を含む。本開示の一部の実施形態では、scFvは、柔軟なペプチドリンカーによって連結された重鎖(VH)の可変領域および軽鎖(VL)の可変領域を含む。
【0148】
[169]本開示の例示的な結合要素は、任意の形態をとることができる。本開示の例示的な結合要素は、本開示の標的に選択的および特異的に結合する。一部の実施形態では、結合要素は融合タンパク質を含む。
【0149】
[170]本開示の結合要素は、本開示の標的に特異的および/または選択的に結合する。本開示の多重特異性結合要素は、本開示の2つまたはそれを上回る標的に特異的および/または選択的に結合する。
【0150】
[171]本開示の一部の実施形態では、標的はエピトープを含む。一部の実施形態では、標的は、直鎖状エピトープ、連続エピトープ、不連続エピトープ、および/または高次構造エピトープを含む。
【0151】
[172]本開示の一部の実施形態では、標的は抗原を含む。
[173]本開示の一部の実施形態では、標的はアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、標的はアミノ酸を含まない。
【0152】
作製の方法:ポリヌクレオチド
[174]本開示は、本開示のポリヌクレオチド、例えば、本開示のDNAベクターおよびその部分的構成要素、ならびに本開示のパッケージングベクターおよびプラスミドを産生させる方法を提供する。標準的な分子生物学の手法を使用して、本開示のポリヌクレオチドを構築することができる。ポリヌクレオチドは化学的に合成することができる。
【0153】
作製の方法:パッケージングされたウイルスカプシド
[175]本開示は、本開示のポリヌクレオチドを含有するウイルスカプシドを作製する方法を含む。一般に、本開示のウイルスカプシドは、本開示のパッケージングポリヌクレオチドを細胞に供給することによって産生させることができる。パッケージングポリヌクレオチドは、プラスミドとしてパッケージング細胞に供給することができる。パッケージング細胞を培養して、本開示のポリヌクレオチドを含有するウイルスカプシドを産生させることができる。好ましくは、パッケージングされたウイルスカプシドは、複製能力がない。
【0154】
[176]種々の市販のキットが、本開示のパッケージングされたウイルスカプシドを産生させるのに好適である。例としては、MISSION(登録商標)Lentiviral Packaging Mix(Millipore Sigma社から入手可能)、LV-Max Lentiviral Packaging Mix(ThermoFisher Scientific社から入手可能)が挙げられる。
【0155】
[177]パッケージング細胞によって産生されるウイルスカプシドは、下流の方法、例えば、ポリペプチドの産生における使用のための細胞への送達、細胞ベースの療法における使用のための細胞への送達、または遺伝子療法の方法のための対象への送達において使用するために精製することができる。精製は、宿主細胞または培養培地から汚染物質を排除するための処理を含み得る。精製ステップは、プラスミドの物理的および/または化学的特徴に基づくステップを含み得る。化学的特徴としては、例えば、親水性-疎水性を挙げることができる。物理的特徴としては、例えば、サイズを挙げることができる。粒径に基づく精製戦略の例としては、密度勾配超遠心分離、限外濾過、沈殿、二相抽出システムおよびサイズ排除クロマトグラフィーが挙げられる。一部の場合には、沈殿を、例えば、ポリエチレングリコール、硫酸アンモニウムまたはリン酸カルシウムを使用する遠心分離とともに用いることができる。一部の場合には、PEG、デキストランまたはポリビニルアルコールを用いる水性二相分離システムを使用することができる。一部の場合には、膜ベースの接線流濾過手法が使用され、その例としては、限外濾過、透析濾過および精密濾過が挙げられる。他の実施形態では、ウイルスカプシドを精製するためにクロマトグラフィー手段を使用することができる。さらに他の実施形態では、関連するカプシドに対して特異性を有するモノクローナル抗体を使用してカプシドを捕捉するために免疫アフィニティー法を使用することができる。Morenweiser,R.、「Downstream processing of viral vectors and vaccines」、Gene Therapy(2005年)12、S103~S110ページ(2005年)を参照されたく、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
[178]好適なウイルスカプシドの例としては、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、センダイウイルスベクター、バキュロウイルス、エプスタインバーウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、単純ヘルペスウイルス、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
作製の方法:細胞
[179]本開示は、本開示のCARを発現させるための改変細胞を作製する方法を提供する。
【0158】
[180]ある特定の実施形態では、本開示は、細胞療法を必要とする対象を処置する際に使用するための治療用細胞を作製する方法を提供する。一態様では、本開示は、CARを発現する治療用細胞を生成または調製する方法を提供する。
【0159】
[181]ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、宿主細胞内で染色体外ポリヌクレオチドとして維持される。ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、宿主細胞内のベクター(例えば、発現ベクター)中に存在する。ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドまたはそのサブセットもしくは部分的構成要素は、宿主細胞の染色体に組み込まれる。
【0160】
[182]さまざまな方法を使用して、本開示のポリヌクレオチドをコードする発現ベクターを細胞に導入して、本開示の細胞を生成することができる。例えば、Greenら、Molecular cloning:A laboratory manual. Cold Spring Harbor, NY:Cold Spring Harbor Laboratory Press(2014年)を参照のこと。
【0161】
[183]当技術分野で公知のポリヌクレオチドを改変する方法を使用して、本開示のポリヌクレオチドを用いて宿主細胞を作製するかまたは改変することができる。例としては、標的化相同組換え(例えば、「ヒットエンドラン」、「二重置換」)、部位特異的リコンビナーゼ(例えば、CreリコンビナーゼおよびFlpリコンビナーゼ)、PBトランスポザーゼ(例えば、Sleeping Beauty、piggyBac、To12またはFrog Prince)、操作されたヌクレアーゼ(例えば、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)およびCRISPR/Casシステム)によるゲノム編集、および組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)プラットフォームを使用するゲノム編集が挙げられる。目的の遺伝子に核酸変化を導入するための薬剤は、公的に入手可能な供給源を使用して設計することもでき、またはTransposagen社、Addgene社およびSangamo Biosciences社から商業的に得ることもできる。本開示のベクターは、これらの方法を利用して、本開示のポリヌクレオチドを宿主ゲノムに組み込むことができる。本開示のポリヌクレオチドおよびベクターは、本開示のポリヌクレオチドを宿主ゲノムに組み込むためのこれらの方法の実施に必要なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。
【0162】
[184]ポリヌクレオチドを宿主細胞ゲノムに組み込むのに好適なさまざまなアプローチが当技術分野で公知であり、これにはランダムな組み込みまたは部位特異的組み込み(例えば、「ランディングパッド」アプローチ)が含まれる;例えば、Zhao,M.ら、(2018年)Appl.Microbiol.Biotechnol.102:6105~6117ページ;Lee,J.S.ら(2015年)Sci.Rep.5:8572;およびGaidukov,L.ら(2018年)Nucleic Acids Res.46:4072~4086ページを参照のこと。本開示のベクターは、これらの方法を利用して、本開示のポリヌクレオチドを宿主ゲノムに組み込むことができる。本開示のベクターは、本開示のポリヌクレオチドを宿主ゲノムに組み込むためのこれらの方法の実施に必要なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができる。
【0163】
[185]宿主細胞は、当技術分野で公知の方法および組成物を使用して培養することができる。本開示の宿主細胞を培養するのに好適な市販の培地の例としては、Ham’s F10(Sigma社)、最小必須培地((MEM)、(Sigma社)、RP MI-1640(Sigma社)、およびダルベッコ変法イーグル培地((DMEM)、Sigma社)が含まれる。
【0164】
[186]培養培地には、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(GENTAMYCIN(商標)薬など)、微量元素(通常、マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物と定義される)、ならびにグルコースまたは同等のエネルギー源を補充することができる。他の必要な補充物も、当業者に公知であろう適切な濃度で含めることができる。温度、pHなどの培養条件は、当業者には明らかであろう。
【0165】
医薬組成物
[187]本開示は、本開示のCAR、本開示のCARを含むかもしくはコードする配列、本開示のCARをコードする配列を含むベクター、またはこれら一連のもののうちの1つもしくは複数を含む細胞を、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0166】
[188]本開示の医薬組成物の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、対象の血流の生理学的状態または腫瘍微小環境の局所状態の平衡を保つかまたはそれを模倣する滅菌食塩水または塩溶液を含む。
【0167】
[189]本開示の医薬組成物の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、対象の免疫系または免疫応答のモジュレーションのためのアジュバントを含む。
[190]本開示の医薬組成物の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、組成物中のアミノ酸または核酸配列を安定化するかまたはその分解を防止するための薬剤を含む。
【0168】
[191]本開示の医薬組成物の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、組成物の溶解性、安定性、張性、または粘性を最適化するための薬剤を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、増量剤、界面活性剤、およびキレート剤のうちの1つまたは複数を含む。
【0169】
[192]本開示の医薬組成物の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、対象への投与に先立って医薬組成物のpHを調整するための薬剤を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は緩衝剤を含む。
【0170】
[193]本開示の医薬組成物の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、組成物の細胞または細胞の任意の構成要素の生存能力を維持するかまたはその活性を高めるための薬剤を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、IL-2、IL-7、IL-12および/またはIL-15を含むがこれらに限定されない免疫刺激性サイトカインを含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体はケモカインを含む。
【0171】
[194]本開示の医薬組成物の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、リポソーム、ウイルスカプシド、ミセル、ポリマーソーム、またはナノ粒子のうちの1つまたは複数を含む。本開示の医薬組成物の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は同種細胞を含む。本開示の医薬組成物の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は同種T細胞を含む。
【0172】
[195]本開示の医薬組成物の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、1種または複数の薬学的に許容される塩を含む。薬学的に許容される塩としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩としては、例えば、無毒性の無機酸または有機酸から形成される親化合物の従来の無毒性塩または第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の無毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導される塩、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製される塩が挙げられる。例えば、本開示のCARは、薬学的に許容される塩として提供することができる小分子によってモジュレートすることができる。
【0173】
治療方法
[196]本開示は、医薬の製造のための、本開示のCAR、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示の細胞、または本開示の医薬組成物の使用を提供する。
【0174】
[197]本開示は、疾患または障害の処置または予防のための、本開示のCAR、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示の細胞、または本開示の医薬組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、疾患または障害はがんを含む。一部の実施形態では、がんは、循環血中またはリンパ液中に生じる(液性腫瘍)。一部の実施形態では、がんは、細胞のシート中または非流体臓器中に生じる(固形腫瘍)。一部の実施形態では、がんは転移性がんである。一部の実施形態では、がんは、本開示に記載されるがんを含む。
【0175】
[198]本開示は、疾患または障害を処置する方法であって、本開示のCAR、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示の細胞、または本開示の医薬組成物の治療有効量を対象に投与するステップを含み、疾患または障害の徴候または症状の重症度が低下し、それによって疾患または障害を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、疾患または障害はがんを含む。一部の実施形態では、がんは、循環血中またはリンパ液中に生じる(液性腫瘍)。一部の実施形態では、がんは、細胞のシート中または非流体臓器中に生じる(固形腫瘍)。一部の実施形態では、がんは転移性がんである。一部の実施形態では、がんは、本開示に記載されるがんを含む。
【0176】
[199]本開示の一部の実施形態では、疾患または障害の徴候は、疾患または障害の客観的な指標である。徴候、さらには徴候の重症度の変化は、身体診察、身体スキャン(MRI、catスキャン、CTスキャン、X線)、生検(液体または固体)、遺伝子検査、代謝産物分析、血液分析、尿分析などを含むがこれらに限定されない客観的な手段によって測定することができる。徴候は、医療専門家によって解釈されることがある。
【0177】
[200]本開示の一部の実施形態では、疾患または障害の症状は、疾患または障害の対象指標の主観的な経験である。症状、さらには症状の重症度の変化は、疾患の発生前から現在まで、または処置前から処置後までの比較状態を含むがこれらに限定されない主観的な手段によって測定することができる。検査することができる例示的な状態としては、疼痛レベル、エネルギー(または疲労)、可動性、悪心、食欲、およびがんの種類に関連する特定の要因(例えば、局所腫脹または臓器機能)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0178】
[201]本開示は、疾患または障害を予防する方法であって、本開示のCAR、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示の細胞、または本開示の医薬組成物の治療有効量を対象に投与するステップを含み、疾患または障害の徴候または症状の発生または再発が遅延するかまたは阻害され、それによって疾患または障害を予防する方法を提供する。一部の実施形態では、疾患または障害はがんを含む。一部の実施形態では、がんは、循環血中またはリンパ液中に発生する(液性腫瘍)。一部の実施形態では、がんは、細胞のシート中または非流体臓器中に生じる(固形腫瘍)。一部の実施形態では、がんは転移性がんである。一部の実施形態では、がんは、本開示に記載されるがんを含む。
【0179】
[202]本開示の一部の実施形態では、疾患または障害の徴候または症状の発生または再発は、発生または再発が、予測された期間(例えば、類似の集団にわたる既知のまたは平均のタイミングに基づく予後)の後に起こった場合に遅延される。本開示の一部の実施形態では、がんの徴候または症状の発生または再発は、対象の予想される無がん生存期間が3年であり、対象が3年を超えて無がん状態にある場合に、遅延される。本開示の一部の実施形態では、疾患または障害の徴候または症状の発生または再発は、検討中の疾患または障害の徴候(疾患または状態に特異的であってもよい)がもはや検出可能でない場合に、阻害される。本開示の一部の実施形態では、液性腫瘍の徴候または症状の発生または再発は、対象の循環血中またはリンパ液中にがん細胞が検出可能でない場合に、阻害される。
【0180】
[203]本開示は、細胞療法を必要とする対象を処置する方法を提供する。本方法は、本開示のCAR T細胞を含む組成物の治療有効量を対象に投与するステップを含むことができる。
【0181】
[204]一部の実施形態では、本方法は、(i)目的の治療用ポリペプチド産物(例えば、CAR)をコードする治療用細胞と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物の治療有効量を対象に投与するステップ、(ii)処置の有効性をモニタリングするステップ、ならびに(iii)(i)および(ii)を必要に応じて繰り返すステップを含む。一部の実施形態では、CARは、薬学的に許容される担体とともに投与することができる。
【0182】
[205]一部の実施形態では、本開示は、がんの処置を必要とする対象において、がん、例えば、腫瘍を処置する方法を提供する。本方法は、がんを有する対象に、本開示のCARをコードする治療用細胞を含む医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含むことができる。CARは、薬学的に許容される担体とともに投与することができる。
【0183】
[206]本明細書に開示された医薬組成物を用いて処置することができる例示的ながんとしては、黒色腫、リンパ腫、肉腫、および結腸、腎臓、胃、膀胱、脳(例えば、神経膠腫、神経膠芽腫、星状細胞腫、髄芽腫)、前立腺、膀胱、直腸、食道、膵臓、肝臓、肺、乳房、子宮、子宮頸部、卵巣、血液(例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、バーキットリンパ腫、EBV誘発性B細胞リンパ腫)のがんが挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
[207]一部の実施形態では、自己細胞が対象に投与される。
[208]一部の実施形態では、同種細胞が対象に投与される。
[209]本開示の対象は、任意の年齢であり得る。一部の実施形態では、本開示の方法の対象は成人である。一部の実施形態では、成人は18~80歳である。一部の実施形態では、本開示の方法の対象は高齢者である。一部の実施形態では、高齢者は少なくとも80歳である。一部の実施形態では、本開示の方法の対象は青少年である。一部の実施形態では、青少年は12~18歳である。一部の実施形態では、本開示の方法の対象は小児である。一部の実施形態では、小児は5~11歳である。一部の実施形態では、本開示の方法の対象は幼児である。一部の実施形態では、幼児は2~5歳である。一部の実施形態では、本開示の方法の対象は乳児である。一部の実施形態では、乳児は2歳未満である。
【0185】
[210]本開示の対象は、1本または2本のX染色体を有することができる。本開示の対象は、Y染色体を有してもよい。
[211]本開示の対象は、本開示の方法の開始前に、疾患または障害を有すると診断されていてもよい。一部の実施形態では、本開示の対象は、本開示の疾患または障害を発症するリスクがある。一部の実施形態では、対象は、遺伝子検査、家族歴、職場または家庭での曝露、および健康レベルのうちの1つまたは複数に基づいて「リスクがある」と同定され、これらは累積的にリスクの評価を提供する。
【0186】
[212]本開示の対象は、疾患または障害を処置または予防するための第1の医学的介入を提供されていてもよく、それは部分的に有効であってもよく、または無効であってもよい。一部の実施形態では、対象は第1の医学的介入を施された後に再発しており、したがって対象は本開示の方法による処置を必要とする。
【0187】
[213]本開示の対象は、本開示の方法の開始前に、既存の処置に反応しないものとして特定されていてもよい。一部の実施形態では、本開示の対象は、遺伝子またはバイオマーカーの検査、家族歴、健康レベル、および特定の介入に関する過去の経験のうちの1つまたは複数に基づいて、標準的処置に反応しないと決定されてもよく、これらは累積的に処置に対する反応性の評価を提供する。
【0188】
[214]本開示の対象は、本開示の組成物および方法と同時にまたは逐次的に、第2の医学的介入を受けることができる。
[215]一部の実施形態では、本開示の対象はヒトである。一部の実施形態では、本開示の対象は、非ヒト霊長類である。一部の実施形態では、本開示の対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、本開示の対象は、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ブタ、ニワトリ、モルモット、齧歯類、ラット、またはマウスである。
【0189】
ヌクレオチド
[216]「核酸」、特にDNAまたはRNA分子は、分子の一次構造および二次構造のみを指し、いかなる特定の三次形態にも限定されない。したがって、この用語は、とりわけ、直鎖状または環状のDNA分子(例えば、制限酵素断片)、プラスミド、スーパーコイルDNAおよび染色体中に見られる二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造を考察する際に、配列は、DNAの非転写鎖(すなわち、メッセンジャーRNAまたはmRNAに相同な配列を有する鎖)に沿って、5’から3’の方向に左から右に配列を記述するという通常の慣例に従って提供される。特に明記しない限り、すべての核酸配列およびヌクレオチド配列は、5’から3’の配向で左から右に記述される。
【0190】
[217]ヌクレオチドは、IUPAC-IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される、その一般的に知られている1文字記号によって言及される。したがって、「A」はアデニンを表し、「C」はシトシンを表し、「G」はグアニンを表し、「T」はチミンを表し、「U」はウラシルを表す。
【0191】
[218]「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらの類似体、またはそれらの混合物を含む、任意の長さまたはタイプのヌクレオチドのポリマーを意味する。この用語は、分子の一次構造を指す。この用語には、デオキシリボ核酸(「DNA」)およびリボ核酸(「RNA」)を含む二本鎖および一本鎖核酸が含まれる。また、例えば、アルキル化および/またはキャッピングによって改変された形態、ならびにポリヌクレオチドの非改変形態も含まれる。
【0192】
[219]一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、DNA、例えば、ベクターに挿入されたDNAを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはmRNAを含む。一部の実施形態では、mRNAは合成mRNAである。一部の実施形態では、合成mRNAは、少なくとも1つの非天然核酸塩基を含む。一部の実施形態では、ある特定のクラスのすべての核酸塩基は、非天然核酸塩基で置き換えられている(例えば、ポリヌクレオチド中のすべてのウリジンを、非天然核酸塩基、例えば、5-メトキシウリジンで置き換えることができる)。
【0193】
[220]「発現ベクター」は、細胞内でのポリペプチド発現のために設計されたプラスミド、ウイルス、または他の核酸を意味する。ベクターまたは構築物は、遺伝子を宿主細胞に導入するために使用され、それによってベクターは、細胞内のポリメラーゼと相互作用して、ベクター/構築物においてコードされるタンパク質を発現する。発現ベクターは、細胞内で染色体外に存在してもよく、または染色体内に組み込まれてもよい。発現ベクターは、ベクターを原核生物、真核生物、または好ましくは両方における複製および組み込みに好適なものとする追加の配列を含むことができる(例えば、シャトルベクター)。本開示のポリヌクレオチドは、発現ベクターの構成要素として提供することができる。
【0194】
[221]「クローニングベクター」は、ポリヌクレオチドのコピーを産生するために設計されたプラスミド、ウイルス、または他の核酸を意味する。クローニングベクターは、転写および翻訳開始配列、転写および翻訳終結配列、ならびにポリアデニル化シグナルを含有することができる。そのような構築物は、典型的には、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第2鎖DNA合成の起点、および3’LTRまたはその一部分を含むことができる。本開示のポリヌクレオチドは、本開示のポリヌクレオチドを産生させるために使用することができるクローニングベクターの構成要素として提供することができる。
【0195】
[222]「プロモーター」は、遺伝子の転写がどこで開始され、転写がどの方向に継続するかを示すヌクレオチド配列を指す。
[223]「コードする」または同様のものは、ポリヌクレオチド(例えば、遺伝子、cDNA、またはmRNA)中の特定のヌクレオチドの配列が、定義されたヌクレオチドの配列(例えば、rRNA、tRNA、およびmRNA)または定義されたアミノ酸の配列のいずれかを有する生物学的プロセスにおいて、他のポリマーおよび高分子の合成のためのテンプレートとして役立つ固有の特性を指す。したがって、遺伝子、cDNA、またはRNAは、その遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が細胞または他の生物系においてタンパク質を産生させる場合に、タンパク質をコードする。コード鎖および非コード鎖の両方は、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードするものと称することができる。
【0196】
[224]特に明記されない限り、「アミノ酸配列をコードする」ヌクレオチド配列、例えば、本開示の以下で定義されるキメラポリペプチドを「コードする」ポリヌクレオチドは、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。
【0197】
ポリペプチド
[225]アミノ酸は、その一般的に知られている3文字記号、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される1文字記号のいずれかによって言及される。アミノ酸残基は以下のように略記され、括弧内に略語が示される:アラニン(Ala;A)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、アルギニン(Arg;R)、システイン(Cys;C)、グルタミン酸(Glu;E)、グルタミン(Gln;Q)、グリシン(Gly;G)、ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(Ile;I)、ロイシン(Leu;L)、リジン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロリン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、トレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)、およびバリン(Val;V)。
【0198】
[226]アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの配向で左から右に記述される。
[227]「ポリペプチド」は、アミノ酸サブユニットの配列を指して、最も広義に使用される。一部の実施形態では、「ペプチド」は、50アミノ酸長以下、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長であり得る。「ポリペプチド」は、任意の長さ、サイズ、構造、または機能のタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを指す。「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指して、互換的に使用される。
【0199】
[228]ポリペプチドは、天然または合成的に作製されるかまたは改変されたアミノ酸、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または標識構成要素とのコンジュゲーションなどの任意の他の操作もしくは改変を含むことができる。また、この定義には、例えば、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸(例えば、ホモシステイン、オルニチン、p-アセチルフェニルアラニン、D-アミノ酸、およびクレアチンなどの合成アミノ酸を含む)の人工的な化学的類似体であるポリペプチド、ならびに当技術分野で公知の他の改変も含まれる。ポリペプチドはまた、前述の遺伝子産物、相同体、オルソログ、パラログ、断片および他の同等物、バリアント、ならびに類似体を含む。ポリペプチドは、単一のポリペプチドであることもでき、ダイマー、トリマーまたはテトラマーなどの多分子複合体であることもできる。ポリペプチドには、一本鎖または多重鎖ポリペプチドも含まれる。ジスルフィド結合が、多重鎖ポリペプチド中に存在してもよい。記載されるポリペプチドは、化学合成することもでき、組換えによって発現させることもできる。
【0200】
[229]本開示のポリペプチドは、N末端、C末端、ポリペプチド内部、またはそれらの組合せに追加の残基または部分を含むことができ、これらの追加の残基または部分は、参照ポリペプチドに対する本開示のポリペプチドのパーセント同一性を決定する際に含まれない。そのような残基は、タグを含むがこれに限定されない、使用の意図に適した任意の残基であり得る。
【0201】
[230]「タグ」としては、例えば、検出可能な部分(例えば、蛍光タンパク質、抗体エピトープタグなど)、治療剤、精製タグ(Hisタグなど)、リンカー、精製の目的に好適なリガンド、ポリペプチドの局在を生じさせるためのリガンド、および/またはポリペプチドに機能性を追加するペプチドドメインを挙げることができる。
【0202】
[231]「キメラポリペプチド」は、第2の供給源に由来する第2のアミノ酸配列に共有結合性または非共有結合性に結合した、第1の供給源に由来する第1のアミノ酸配列を含む任意のポリペプチドを指し、ここで第1および第2の供給源は同一ではない。同一ではない第1の供給源および第2の供給源には、2つの異なる生物学的実体、または同じ生物学的実体由来の2つの異なるタンパク質、または生物学的実体および非生物学的実体が含まれ得る。キメラタンパク質には、例えば、少なくとも2つの異なる生物学的供給源に由来するタンパク質が含まれ得る。生物学的供給源には、任意の非合成的に産生された核酸またはアミノ酸配列(例えば、ゲノム配列もしくはcDNA配列、プラスミドもしくはウイルスベクター、天然ビリオン、または上記のいずれかの突然変異体もしくは類似体)が含まれ得る。合成源には、生物系(例えば、アミノ酸配列の固相合成)によってではなく、化学的に生成されたタンパク質または核酸配列が含まれ得る。キメラタンパク質にはまた、少なくとも2つの異なる合成源に由来するタンパク質、または少なくとも1つの生物学的供給源および少なくとも1つの合成源に由来するタンパク質も含まれ得る。キメラタンパク質はまた、第1の供給源に由来する第1のアミノ酸配列が、任意の供給源に由来する核酸と、または任意の供給源に由来する小型の有機分子もしくは無機分子と共有結合性または非共有結合性に連結されたものも含まれ得る。キメラタンパク質は、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列との間、または第1のアミノ酸配列と核酸との間、または第1のアミノ酸配列と小型の有機分子もしくは無機分子との間にリンカー分子を含み得る。
【0203】
[232]ポリペプチドの「断片」、または「短縮ポリペプチド」は、天然に存在する配列よりも短いポリペプチドのアミノ酸配列を指す。天然に存在するポリペプチドと比較して、断片は、N末端および/もしくはC末端が欠失していてもよく、またはポリペプチドの任意の部分が欠失していてもよい。したがって、断片は、必ずしもN末端および/またはC末端アミノ酸のみが欠失している必要はない。天然に存在する配列に関して内部アミノ酸が欠失しているポリペプチドもまた、断片とみなされる。本開示のポリペプチド構成要素は、断片または短縮ポリペプチドとして提供することができる。
【0204】
[233]「機能的断片」は、ポリペプチドの機能を保持するポリペプチド断片を指す。したがって、一部の実施形態では、生物活性ペプチドの機能的断片、例えば、酵素は、生物学的作用を触媒する能力を保持し、例えば、酵素の触媒ドメインを有する。本開示のポリペプチドは、機能的断片を含んでもよく、または機能的断片として提供されてもよい。
【0205】
[234]「機能的バリアント」は、ポリペプチド、断片、またはポリペプチドのクラスのメンバーの改変形態であって、ポリペプチドの機能を維持するものを指す。本開示のポリペプチド構成要素は、機能的バリアントとして提供されてもよい。
【0206】
[235]「アミノ酸置換」は、親配列または参照配列(例えば、野生型配列)中に存在するアミノ酸残基を別のアミノ酸残基で置き換えることを指す。アミノ酸は、例えば、化学的ペプチド合成を介して、または組換え法を通して置換することができる。例えば、アミノ酸残基を代替アミノ酸残基で置換することは、第1のアミノ酸をコードするコドンを第2のアミノ酸をコードするコドンで置換することによって実施することができる。本開示のポリペプチドは、アミノ酸置換を含み得る。
【0207】
[236]「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸残基が、化学的に類似した側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが当技術分野で定義されている。したがって、ポリペプチド中のアミノ酸が同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸で置き換えられる場合に、その置換は保存的であるとみなされる。別の態様では、アミノ酸の連鎖を、側鎖ファミリーメンバーの順序および/または組成が異なる化学的に類似した連鎖で保存的に置き換えることができる。本開示のさまざまなポリペプチド構成要素は、保存的アミノ酸置換を伴って提供されてもよい。
【0208】
[237]「非保存的アミノ酸置換」には、(i)正電荷側鎖(例えば、Arg、HisまたはLys)を有する残基が、負電荷残基(例えば、GluまたはAsp)を置換するか、もしくはそれによって置換されるもの、(ii)親水性残基(例えば、SerまたはThr)が、疎水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、PheまたはVal)を置換するか、もしくはそれによって置換されるもの、(iii)システインまたはプロリンが、任意の他の残基を置換するか、もしくはそれによって置換されるもの、または(iv)かさ高い疎水性もしくは芳香族の側鎖を有する残基(例えば、Val、His、IleまたはTrp)が、より小さい側鎖を有するもの(例えば、AlaまたはSer)もしくは側鎖を有しないもの(例えば、Gly)を置換するか、またはそれによって置換されるものが含まれる。本開示のさまざまなポリペプチド構成要素は、非保存的アミノ酸置換を伴って提供されてもよい。前述の非保存的置換のうちの1つがタンパク質の機能的特性を変化させることができる可能性は、タンパク質の機能的に重要な領域に関する置換の位置にも相関し、それ故にいくつかの非保存的置換は、生物学的特性にほとんどまたは全く影響を及ぼさない。本開示のさまざまなポリペプチド構成要素は、一部の場合には、変化した構成要素の機能を著しくは変化させない非保存的アミノ酸置換を伴って提供されてもよい。本開示のさまざまなポリペプチド構成要素は、一部の場合には、機能を強化するかまたは低下させることによって、変化した構成要素の機能を変化させる非保存的アミノ酸置換を伴って提供されてもよい。
【0209】
配列の同一性または類似性
[238]「保存されている」は、比較される2つまたはそれを上回る配列の同じ位置に変化することなく存在する、ポリヌクレオチド配列のヌクレオチドまたはポリペプチド配列のアミノ酸残基を指す。保存されているヌクレオチドまたはアミノ酸は、配列中の他の場所に存在するヌクレオチドまたはアミノ酸よりも、より関連した配列の間で保存されているものである。一部の実施形態では、2つまたはそれを上回る配列は、それらが互いに少なくとも約30%同一、少なくとも約35%同一、少なくとも約40%同一、少なくとも約45%同一、少なくとも約50%同一、少なくとも約55%、少なくとも約60%同一、少なくとも約65%同一、少なくとも約70%同一、少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一である場合に、「保存されている」と言われる。配列の保存は、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの全長に適用することもでき、またはそれらの一部、領域もしくは特徴に適用することもできる。
【0210】
[239]一部の実施形態では、2つまたはそれを上回る配列は、それらが互いに100%同一である場合に、「完全に保存されている」かまたは「同一である」と言われる。一部の実施形態では、2つまたはそれを上回る配列は、それらが互いに少なくとも約70%同一、少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約98%同一、または少なくとも約99%同一である場合に、「高度に保存されている」と言われる。
【0211】
[240]「相同性」は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子間および/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。相同性には、同一性および類似性の両方が含まれる。
[241]一部の実施形態では、ポリマー分子は、分子中のモノマーの少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%が同一(全く同じモノマー)であるかまたは類似(保存的置換)である場合に、互いに「相同」であるとみなされる。「相同な」は、必然的に、少なくとも2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列間の比較を指す。さまざまな態様では、本開示は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドおよびポリペプチドと相同であるポリヌクレオチドおよびポリペプチドを含む。
【0212】
[242]「同一性」は、ポリマー分子間、例えば、ポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子間の全体的なモノマー保存を指す。いかなる追加の修飾語も伴わない「同一な」、例えば、プロテインAがプロテインBと同一であることは、配列が100%同一(100%の配列同一性)であることを意味する。2つの配列を、例えば「70%同一」として記載することは、それらを、例えば「70%の配列同一性」を有するものとして記載することと等価である。
【0213】
[243]第1の配列中のある位置が第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸によって占有されている場合に、分子はその位置で同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、ギャップの数、および2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要がある各ギャップの長さを考慮に入れた、配列によって共有される同一の位置の数の関数である。2つの配列間の配列の比較およびパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。
【0214】
[244]一部の実施形態では、第2のアミノ酸(または核酸)配列に対する第1のアミノ酸(または核酸)配列のパーセント同一性(%ID)は、%ID=100(Y/Z)として計算され、式中、Yは、(目視検査または特定の配列アラインメントプログラムによってアラインメントされた)第1および第2の配列のアラインメントにおいて同一の一致としてスコア化されたアミノ酸(または核酸塩基)残基の数であり、Zは、第2の配列中の残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列よりも長い場合に、第2の配列に対する第1の配列のパーセント同一性は、第1の配列に対する第2の配列のパーセント同一性よりも高くなる。
【0215】
[245]例えば、2つのポリペプチド配列のパーセント同一性の計算は、最適な比較を目的として2つの配列をアラインメントすることによって行うことができる。例えば、ギャップは、最適なアラインメントのために第1および第2のポリペプチド配列の一方または両方に導入することができ、同一でない配列は、比較目的には無視することができる。一部の実施形態では、比較目的のためにアラインメントされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。続いて、対応するアミノ酸位置のアミノ酸を比較する。
【0216】
[246]パーセント配列同一性を計算するための配列アラインメントの生成は、一次配列データのみによって行われる二元配列間比較に限定されない。配列アラインメントは、配列データを、構造データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能データ(例えば、突然変異の位置)、または系統学的データなどの不均一な情報源からのデータと統合することによって生成することができる。不均一なデータを統合して多重配列アラインメントを生成するソフトウェアを使用することができ、その1つの例は、www.tcoffee.orgで入手可能な、あるいは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute)(EBI)のウェブサイトebi.ac.uk/Tools/psaから入手可能な、T-Coffeeである。パーセント配列同一性を計算するために使用される最終的なアラインメントは、自動的にまたは手作業で精選することができる。
【0217】
[247]ポリペプチドおよびヌクレオチド配列のアラインメントのためのソフトウェアが利用可能である。パーセント配列同一性を決定するために使用される1つのプログラムはbl2seqであり、これは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のBLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なBLASTプログラムスイートの一部である。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して比較を行う。BLASTNは核酸配列を比較するために使用され、一方、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の適切なプログラムは、例えば、EMBOSSバイオインフォマティクスプログラムスイートの一部であるNeedle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、これはEBIからも入手可能である。配列アラインメントは、当技術分野で既知の方法、例えば、MAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal XまたはClustal Omega)、MUSCLEを使用して実施することができる。ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列とアラインメントする単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域は、それぞれ、それら自身のパーセント配列同一性を有し得る。パーセント配列同一性の値は、最も近い小数第1位に丸められることに留意されたい。例えば、80.11~80.14の値は80.1に丸められ、80.15~80.19の値は80.2に丸められる。また、長さの値は常に整数になることにも留意されたい。
【0218】
[248]「類似性」は、ポリマー分子間、例えば、ポリヌクレオチド分子間および/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。ポリマー分子の互いに対するパーセント類似性の計算は、パーセント類似性の計算が保存的置換を考慮に入れることを除いて、パーセント同一性の計算と同じ方法で行うことができる。類似性のパーセンテージは、使用される比較尺度、例えば、アミノ酸が、例えば、それらの進化的近接性、電荷、体積、柔軟性、極性、疎水性、芳香族性、等電点、抗原性、またはそれらの組合せに従って比較されるか否かに依存する。
【0219】
細胞療法
[249]本開示の一部の実施形態では、造血細胞は、造血幹細胞から生じる細胞である。これには、骨髄系前駆細胞、リンパ系前駆細胞、巨核球、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、マクロファージ、血小板、単球、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球、Bリンパ球および形質細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0220】
[250]本開示の一部の実施形態では、Tリンパ球またはT細胞は、通常は胸腺内で発生する造血細胞を意味する。本開示のTリンパ球またはT細胞には、ナチュラルキラーT細胞、制御性T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、ガンマデルタT細胞、および粘膜インバリアントT細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0221】
[251]本開示の一部の実施形態では、自己細胞は、それを療法として投与することができる、同じ個体から得られた細胞である(細胞は対象に対して自己性である)。本開示の自己細胞には、造血細胞および幹細胞、例えば、造血幹細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0222】
[252]本開示の一部の実施形態では、同種細胞は、療法としての細胞の意図されたレシピエントではない個体から得られる細胞である(細胞は対象に対して同種性である)。本開示の同種細胞は、本開示の方法の対象に関して免疫学的に適合性のあるドナーから選択することができる。本開示の同種細胞は、意図しない免疫原性を伴わない任意の対象への投与に好適な「普遍的な」同種細胞が生じるように改変することができる。本開示の同種細胞には、造血細胞および幹細胞、例えば、造血幹細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0223】
一般的な用語
[253]「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という用語は、文脈上別段の指示がない限り、それらの複数形を含む。
【0224】
[254]「および」は、特に明記されていない限り、「または」と互換的に使用される。
[255]「および/または」は、2つの指定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示として、他方を伴うかまたは伴わないものとして解釈されるべきである。したがって、「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含む。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」は、以下の態様のそれぞれを範囲に含むことを意図している:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0225】
[256]「約」は、おおよそ、大まか、その前後、または領域内を意味する。「約」が数値範囲とともに使用される場合に、それは記載された数値の上下の境界を拡張することによって、その範囲を変更する。「約」は、記載された値の上下の数値を分散によって変更することができる。本開示の全体を通して使用される場合、「約」の文脈で開示される任意の数値もまた、「約」という用語が存在しない場合も述べていることが意図される。例えば、「約17nm」という用語は、「17nm」という用語も開示することを意図している。
【0226】
[257]数値範囲は、範囲を定義する数値を含む。値の範囲が記載される場合、その範囲の列挙された上限と下限との間に介在する各整数値およびその各端数も、そのような値の間の各部分範囲と同様に、具体的に開示される。任意の範囲の上限および下限は独立して、その範囲に含まれるかまたはその範囲から除外することができ、いずれかの限界が含まれるか、いずれの限界も含まれないか、または両方の限界が含まれる各範囲も本開示の範囲に含まれる。したがって、範囲は、列挙された端点を含む、範囲内のすべての値の省略表現であると理解される。
【0227】
[258]値が明示的に記載される場合、記載された値とほぼ同じ数量または量である(または実質的に同様の機序によって実質的に同様の結果をもたらす)同等の値もまた、本開示の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0228】
[259]組合せが開示される場合、その組合せの要素の各部分的組合せも具体的に開示され、本開示の範囲内にある。逆に、異なる要素または要素の群が個別に開示される場合、それらの組合せも開示される。
【0229】
[260]本開示の任意の要素が複数の代替物を有するものとして開示される場合、各代替物が単独で、または他の代替物との任意の組合せで除外されるその開示の例も開示され、本開示の2つまたはそれを上回る要素はそのような除外を有することができ、そのような除外を有する要素のすべての組合せが本明細書に開示される。
【0230】
[261]文脈が明らかに別のことを要求していない限り、説明および特許請求の範囲を通じて、「含む」、「含むこと」などの語は、「含むが、これに限定されない」という意味で解釈されることを意味する。
【0231】
[262]単数形または複数形の語は、それぞれ複数形および単数形も含む。
[263]「上記」および「下記」ならびに同様の意味を有する語は、本出願全体を指しており、この出願のいかなる特定の部分も指していない。
【0232】
[264]「セット」は、1つまたは複数の要素または物体のセットを含む。セットの「サブセット」は、セットの要素の1つからすべての要素までの、セットからの任意の数の要素または物体を含む。
【0233】
[265]見出しは、参照のため、およびさまざまなセクションの位置を特定するのを助けるために、本開示を通して含まれる。これらの見出しは、見出しに関して記載される概念の範囲を制限することを意図していない。そのような概念は、本明細書を通して適用性を有し得る。
【0234】
[266]本開示は、明確さおよび理解の目的のために、例示および例としてある程度詳細に記載されているが、ある特定の変更および修正が実施されてもよい。「本開示」などへの言及は、本開示の多岐にわたる実施形態または態様のいずれかへの言及を意図しており、本開示を単一の実施形態または態様に限定するものではない。
【0235】
[267]説明および実施例は、本開示の範囲を本明細書に記載された実施形態および例に限定するものと解釈されるべきではなく、本開示の真の範囲および趣旨の中にあるすべての修正および代替物を範囲に含むものとして解釈されるべきである。
【0236】
装置(デバイス)
[268]本開示は、本開示のCAR、本開示のCARを含むかまたはコードする配列(スペーサー配列を含む)、本開示のCARをコードする配列(スペーサー配列を含む)を含むベクター、前述のもののうちのいずれか1つまたは複数を含む本開示の細胞、前述のもののうちのいずれか1つまたは複数を含む本開示の組成物、および前述のもののうちのいずれか1つまたは複数を含む本開示の医薬組成物を含む装置を提供する。
【0237】
[269]本開示の例示的な装置としては、注射器、針、およびバイアルが挙げられるが、これらに限定されない。
キット
[270]本開示は、CAR、CARを含むかまたはコードする配列のうちの1つまたは複数を含むキットまたは製造品を提供する。キットは、例えば、細胞または対象へのポリヌクレオチドの送達のための構成要素を含むことができる。キットは、例えば、本開示のCAR T細胞などの細胞を対象に送達するための構成要素を含むことができる。ポリヌクレオチドは、T細胞における発現のために構成された発現ベクターの一部としてキット中に提供することができる。ある特定の実施形態では、キットまたは製造品は、本開示の場合に、CARを産生させるために目的の遺伝子を発現するように細胞を形質転換するためにポリヌクレオチドのセットを使用するための説明書をさらに含む。ある特定の実施形態では、キットまたは製造品は、対象を処置するために細胞を使用するための説明書をさらに含む。
【実施例
【0238】
実施例1:CARの有効性にとってのスペーサー配列選択の機能的利点
[271]本研究は、抗原指向性サイトカインの放出および効力の誘導に対する、さまざまなIg由来または細胞外ドメイン由来のスペーサーの影響について記載する。抗HA scFv(クローン2E2)をCARバインダーとして使用し、HAペプチド(YPYDVPDYA)を標的細胞の膜から異なる距離で系統的に提示することができるモデル直鎖状エピトープとして使用した。このアプローチは、CAR T細胞の最適な細胞間距離の系統的な評価を可能にした。
【0239】
[272]本研究では、インビトロスクリーニング戦略を使用して、抗原指向性サイトカイン放出および効力の誘導に対するCARスペーサー長の影響を評価した。スクリーニング戦略には以下が含まれた:
(i)標的細胞の表面からのエピトープの距離を変化させること、
(ii)CAR T細胞の表面からの対応するエピトープバインダー(「バインダー」)の距離を変化させること、
(iii)基本的な機能パラメーター(例えば、標的細胞の溶解およびサイトカイン産生)について、標的細胞とCAR T細胞のペアワイズの組合せを評価すること。
【0240】
[273]レンチウイルス構築物を、二シストロン性発現構築物を用いて作製した。以下のコード配列をインフレームに連結し、MNDプロモーターの調節下に置いた:
(i)HA特異的CAR
(ii)P2A自己切断性ペプチド、および
(iii)EGFRt形質導入マーカー(すなわち、ドメインIIIおよびIVのみならびに膜貫通ドメインを有する短縮型EGFR)。
図3は、構築物の構成要素の構成を示す。
【0241】
[274]本研究に使用したHA特異的CARには、ヒト免疫グロブリン(Ig)ヒンジ領域または細胞外タンパク質ドメイン(ECD)に由来するスペーサー配列が、共通のGly-Ser(GS)リンカー配列に結合したものを含めた。
【0242】
[275]CAR T細胞の機能に対するスペーサー長の影響を分析するために、HA特異的CARにおける他の構成要素を一定に保ちながら、スペーサー長を変化させた。例えば、抗原結合要素は抗HA scFv(クローン2E2)であり、膜貫通要素はCD28タンパク質膜貫通ドメインに由来し、細胞間要素は4-1BBタンパク質共刺激ドメインおよびCD3ゼータシグナル伝達ドメインに由来した。
【0243】
[276]図4は、本研究に使用したHA特異的CAR構築物の一例である。
[277]本研究に使用したスペーサーの配列および長さを表1に示す。スペーサー配列は、スペーサー番号1~31または他の示された名称によって識別される。CARスペーサーの全長はオングストローム単位で示され、これはリンカー配列およびスペーサー配列の両方を含む。
【0244】
[278]2人の正常ドナー(ドナー1およびドナー2)からヒト初代T細胞を得た。HA特異的CARを、二シストロン性発現カセットをコードするレンチウイルス構築物を使用して、ドナー1およびドナー2のT細胞に導入した。
【0245】
[279]図5は、種々の要素の構成を示す例示的なHA-エピトープ構築物を提示しており、本実施例の文脈では、この構築物を使用した。
[280]本研究に使用したHA-エピトープ発現構築物には、共通のGSリンカー配列に連結されたヒト免疫グロブリン(Ig)タンパク質由来のスペーサー配列を含めた。A549標的細胞の表面からのHA-エピトープの距離を系統的に変化させるために、発現構築物中の他の構成要素、すなわち、ミニFLAGタグ配列(HA-エピトープ表面発現を決定するため)、HAエピトープ配列、CD28タンパク質由来の膜貫通ドメイン、細胞内リンカー配列、およびeGFP導入マーカーを一定に保ちながら、スペーサー配列の長さを変化させた。図6は、本研究に使用したHA-エピトープ構築物の一例の概略図である。
【0246】
[281]本研究に使用したエピトープスペーサーの配列および長さを表2に示す。標的エピトープは、標的エピトープ番号1~16によって識別され、ここで1は最も短いエピトープスペーサー長に割り当てられ(すなわち、標的エピトープは標的細胞の膜に最も近いと考えられる)、16は最も長いエピトープ長に割り当てられる(すなわち、標的エピトープは標的細胞の膜から最も遠いと考えられる)。エピトープスペーサーの全長はオングストローム単位で示され、これはリンカー配列およびスペーサー配列の両方を含む。
【0247】
[282]A549-NLR細胞を、HA-エピトープ構築物の発現のための標的細胞バックグラウンドとして使用した。それぞれが細胞膜の表面から異なる距離でHAエピトープを発現する、16種のA549-NLR標的細胞株を作製した。
【0248】
[283]以下に記載する機能アッセイにおいて、16種のA549-NLR標的細胞株は、表2に示される標的エピトープ番号に基づいて、標的1、標的2、標的3などと命名される。例えば、標的1は最も膜近位のHAエピトープを発現し、標的6は中間の膜距離でHAエピトープを発現し、標的16は最も膜遠位のHAエピトープを発現する。
【0249】
[284]機能アッセイでは、CAR T細胞により媒介される標的細胞の死滅と標的依存性サイトカイン分泌を相関付けて、HAエピトープ標的細胞と抗HA CAR T細胞のペアワイズ組合せの有効性を評価する。
【0250】
[285]曲線下面積(AUC)値は、正規化された標的細胞死滅曲線の下の面積を積分することによって計算した。AUC値が低いほど、CAR T細胞により媒介される死滅の有効性が高くなる。
【0251】
[286]長さを調節したさまざまなHA-エピトープ構築物によるA549-NLR細胞の形質導入効率を、形質導入マーカーのパーセンテージ(GFP+)、HA表面発現(%HATag+)、および平均蛍光強度中央値(MFI)によって評価した。
【0252】
[287]図7Aは、生きたA549-NLR細胞上での形質導入マーカーGFPの発現によって測定した形質導入標的細胞のパーセンテージを示すプロットである。形質導入細胞を、第4継代(P4)および第5継代(P5)にわたる増大の間にモニタリングした。データは、長さを調節したHAエピトープをそれぞれが発現する16種のA549-NLR標的細胞株を本発明者らが作製することができたことを示す。
【0253】
[288]図7Bは、形質導入されたGFP+細胞上のHAタグ表面発現のパーセンテージを示すプロットである。データは、発現されたエピトープがA549-NLR標的細胞上で検出可能であることを示す。
【0254】
[289]図7Cは、生きた形質導入細胞(GRP+細胞)上の結合した抗HA抗体に関する蛍光強度中央値(MFI)を示すプロットである。データは、HAエピトープの表面発現に関して細胞株ごとにある程度の差があることを示す。
【0255】
[290]さまざまな抗HA CAR構築物によるドナー1およびドナー2の細胞の形質導入効率を、形質導入マーカー(EGFRt+)のパーセンテージおよび平均蛍光強度中央値(MFI)によって評価した。
【0256】
[291]図8Aおよび図8Bは、それぞれドナー1およびドナー2における生きた初代T細胞上の形質導入マーカーEGFRtの表面発現によって測定された形質導入細胞のパーセンテージを示すプロットである。使用した抗HA CARをx軸上に列挙する(表1参照)。機能アッセイのカットオフは20%未満に設定し、破線で示してある。ここで図8Aを参照すると、ドナー1について十分には形質導入されなかった抗HA CAR構築物は、スペーサー14およびスペーサーOX40を有する構築物であった。これらの2つの構築物は、その後の機能アッセイ実験から省略された。ここで図8Bを参照すると、すべての抗HA CAR構築物は、ドナー2については十分に形質導入され、その後の機能アッセイ実験に含められた。
【0257】
[292]図8Cおよび図8Dは、それぞれドナー1およびドナー2における生きた形質導入細胞(EGFRt+細胞)上の結合したHA-Fcタンパク質に関する形質導入効率の尺度としての蛍光強度中央値(MFI)を示すプロットである。
【0258】
[293]T細胞の有効性と、CAR T細胞と標的細胞のペアワイズ組合せ間の細胞間距離との関係を証明するために、系統的なスクリーニング戦略を使用した。標的細胞の死滅および標的依存性サイトカイン産生を、CAR T細胞の有効性の指標として使用した。
【0259】
[294]図9A、9B、9C、および9Dは、ドナー1において最も膜近位のHA標的エピトープ(A549-HA標的1)を発現するNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す。
【0260】
[295]ここで図9Aを参照すると、これは、示されたスペーサーを有する各CARバリアントのIncuCyte死滅曲線について計算した曲線下面積(AUC)を示すプロットである。形質導入されていない初代T細胞は「NTC」として示される。AUC値が小さいほど、抗HA CAR T細胞の死滅効果は大きい。この例では、スペーサー6(スペーサー長187.2Å)および7(スペーサー長133.2Å)を発現するドナー1 CAR T細胞は、最小のAUC値を有し、このことは、最も膜近位のHAエピトープを発現するA549-HA標的1の死滅がより大きいことを示す。
【0261】
[296]ここで図9Bおよび図9Cを参照すると、これは、共培養24時間後の共培養培地中のIFN-γおよびIL-2の濃度をそれぞれ示す棒グラフである。サイトカイン分泌は、標的細胞の死滅と直接相関する。例えば、最良の死滅効果(図9A参照)を示したスペーサー6および7を発現するドナー1 CAR T細胞はまた、最高レベルのサイトカイン分泌も示す。
【0262】
[297]ここで図9Dを参照すると、これは、A549-HA標的1と共培養した場合の抗HA CAR-T細胞に関する標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対する示されたスペーサー長の効果を示す散布図である。正規化されたAUCがy軸であり、スペーサー長がx軸である。このプロットでは、ドットサイズはIFN-γを表し、ドットサイズが大きいほどIFN-γの分泌レベルが高くなる。データは、例えば、膜近位の標的1を死滅させるための最適なスペーサー長が約130Åであり、これはIFNγ分泌の最高レベルと相関することを示す。データはU字型の曲線を示し、このことは、所与の標的について、最適なスペーサー長から離れてx軸上で左または右のいずれかに移動するにつれて、死滅効力およびサイトカイン分泌が低下し始めることを示す(すなわち、データポイントはAUCについては増加し始め、IFNγに関するドットサイズは減少する)。
【0263】
[298]図10A、10B、10C、および10Dは、ドナー2において最も膜近位のHA標的エピトープ(A549-HA標的1)を発現するNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す。図10Aは、示されたスペーサーを有する各CARバリアントのIncuCyte死滅曲線について計算した曲線下面積(AUC)を示すプロットである。形質導入されていない初代T細胞は、「NTC」として示される。図10Bおよび図10Cは、共培養24時間後の共培養培地中のIFN-γおよびIL-2の濃度をそれぞれ示す棒グラフである。図10Dは、A549-HA標的1と共培養した場合の、抗HA CAR-T細胞に関する標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対する示されたスペーサー長の効果をまとめた散布図である。ドットサイズはIFN-γを表し、ドットサイズが大きいほどIFN-γの分泌レベルは高くなる。
【0264】
[299]図11A、11B、11C、および11Dは、ドナー1において中間の膜距離でHA標的エピトープを発現するNucLight Red標識A549標的細胞(A549-HA標的6)の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す。図11Aは、示されたスペーサーを有する各CARバリアントのIncuCyte死滅曲線について計算した曲線下面積(AUC)を示すプロットである。形質導入されていない初代T細胞は、「NTC」として示される。図11Bおよび図11Cは、共培養24時間後の共培養培地中のIFN-γおよびIL-2のそれぞれの濃度を示す棒グラフである。図11Dは、A549-HA標的6と共培養した場合の、抗HA CAR-T細胞に関する標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対する示されたスペーサー長の効果をまとめた散布図である。ドットサイズはIFN-γを表し、ドットサイズが大きいほどIFN-γの分泌レベルは高くなる。
【0265】
[300]図12A、12B、12C、および12Dは、ドナー2において中間の膜距離でHA標的エピトープを発現するNucLight Red標識A549標的細胞(A549-HA標的6)の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す。図12Aは、示されたスペーサーを有する各CARバリアントのIncuCyte死滅曲線について計算した曲線下面積(AUC)を示すプロットである。形質導入されていない初代T細胞は、「NTC」として示される。図12Bおよび図12Cは、共培養24時間後の共培養培地中のIFN-γおよびIL-2のそれぞれの濃度を示す棒グラフである。図12Dは、A549-HA標的6と共培養した場合の、抗HA CAR-T細胞に関する標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対する示されたスペーサー長の効果を示す散布図である。ドットサイズはIFN-γを表し、ドットサイズが大きいほどIFN-γの分泌レベルは高くなる。
【0266】
[301]図13A、13B、13C、および13Dは、ドナー1において最も膜遠位のHA標的エピトープ(A549-HA標的16)を発現するNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す。図13Aは、示されたスペーサーを有する各CARバリアントのIncuCyte死滅曲線について計算した曲線下面積(AUC)を示すプロットである。形質導入されていない初代T細胞は、「NTC」として示される。図13Bおよび図13Cは、共培養24時間後の共培養培地中のIFN-γおよびIL-2の濃度をそれぞれ示す棒グラフである。図13Dは、A549-HA標的16と共培養した場合の、抗HA CAR-T細胞に関する標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対する示されたスペーサー長の効果をまとめた散布図である。ドットサイズはIFN-γを表し、ドットサイズが大きいほどIFN-γの分泌レベルは高くなる。
【0267】
[302]図14A、14B、14C、および14Dは、ドナー2において最も膜遠位のHA標的エピトープ(A549-HA標的16)を発現するNucLight Red標識A549標的細胞の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す。図14Aは、示されたスペーサーを有する各CARバリアントのIncuCyte死滅曲線について計算した曲線下面積(AUC)を示すプロットである。形質導入されていない初代T細胞は、「NTC」として示される。図14Bおよび図14Cは、共培養24時間後の共培養培地中のIFN-γおよびIL-2の濃度をそれぞれ示す棒グラフである。図14Dは、A549-HA標的16と共培養した場合の、抗HA CAR-T細胞に関する標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対する示されたスペーサー長の効果をまとめた散布図である。ドットサイズはIFN-γを表し、ドットサイズが大きいほどIFN-γの分泌レベルは高くなる。
【0268】
[303]図15A、15B、15C、および15Dは、HA標的エピトープを有しないNucLight Red標識A549標的細胞(すなわち、抗原陰性の野生型A549細胞=標的17)の存在下での抗HA scFv誘導細胞毒性に対する示されたスペーサーの効果を示す。ここで図15Aを参照すると、これは、示されたスペーサーを有するドナー1由来の各CARバリアントに関するIncuCyte動態死滅曲線(経時的なNucLight Redシグナル)を示すプロットである。形質導入されていない初代T細胞は、「NTC」として示される。図15Bは、ドナー1からの共培養24時間後の共培養培地中のIFN-γの濃度を示す棒グラフである。データは、全長41BBおよび全長CD27 ECDスペーサーが、IFN-γ産生の増加、および抗原陰性A549細胞に対する細胞傷害活性を呈することを示す。
【0269】
[304]ここで図15Cを参照すると、これは、示されたスペーサーを有するドナー2由来の各CARバリアントに関するIncuCyte動態死滅曲線(経時的なNucLight Redシグナル)を示すプロットである。形質導入されていない初代T細胞は、「NTC」として示される。図15Dは、ドナー2からの共培養24時間後の共培養培地中のIFN-γの濃度を示す棒グラフである。データは、中間のスペーサー、全長41BBおよび全長CD27 ECDスペーサーが、IFN-γ産生の増加、および抗原陰性A549細胞に対する細胞傷害活性を呈することを示す。
【0270】
[305]図16Aおよび図16Bは、標的細胞の非存在下で示されたスペーサーを発現する、それぞれドナー1およびドナー2由来のHA CAR-T細胞上のIFN-γ分泌プロファイルを示すプロットである。標的細胞の非存在下でサイトカイン産生の増加を示すスペーサーは、持続性シグナル伝達を示すと考えられる。
【0271】
[306]図17図20は、A549-HA標的細胞(すなわち、標的細胞1から16、表2参照)と共培養したドナー1およびドナー2 CAR T細胞について、標的依存性サイトカイン分泌および死滅AUCに対して最適な抗HA CARスペーサー長に関するHAエピトープ膜間距離を系統的に変化させた効果をまとめた散布図である。正規化されたAUCがy軸であり、スペーサー長がx軸である。黒のドットはIFN-γを表し、ドットサイズが大きいほどIFN-γの分泌レベルは高くなる。青のドットはIL-2を表し、青色の強度が高いほどIL-2の分泌レベルは高くなる。図17A図18A図19A、および図20Aは、標的細胞膜からの距離が増加しているHAエピトープを発現するA549標的細胞と共培養したドナー1由来のHA CAR-Tを示す。図17B図18B図19B、および図20Bは、標的細胞膜からの距離が増加しているHAエピトープを発現するA549標的細胞と共培養したドナー2由来のHA CAR-Tを示す。データは、標的細胞表面からの標的エピトープ距離が増加するにつれて(すなわち、標的1から16、表2参照)、好ましいスペーサー長が減少することを示す。例えば、エピトープ距離が最も長い標的16(プロット20B参照)では、最も短いCARスペーサーのみが十分なサイトカイン分泌および標的細胞死滅を媒介する。このデータはまた、IL-2およびIFN-γ分泌の変化が、標的エピトープ距離の変化と類似した傾向をたどることも示す。
【0272】
[307]図2を参照して上述したように、細胞間距離は、CARスペーサー(GSリンカーを含む)と、エピトープに結合するscFv-エピトープ結合要素の合計長によって推定することができる。本研究に使用したHA-エピトープおよび抗HA結合要素について、scFv C-termに関するHA-エピトープC-termは、その結晶構造からの測定では36.5Åである。CARスペーサーの長さは既知であり、表1に示されている。HA-エピトープスペーサーの長さも既知であり、表2に示されている。
【0273】
[308]図21Aは、共培養の24時間後に測定した、それぞれドナー1およびドナー2におけるIncuCyte死滅曲線およびIFN-γ分泌から計算したAUCに対する細胞間距離の効果をまとめた重ね合わせ散布図を示す。正規化されたAUCがy軸であり、組み合わされたスペーサー長がx軸である。ドットサイズはIFN-γレベルを表し、ドットサイズが大きいほどIFN-γの分泌レベルは高くなる。重ね合わせ散布図は、700を上回るデータポイント、すなわち、CARスペーサー(n=42、表1参照)およびエピトープスペーサー(n=16、表2参照)の700を上回るペアワイズ組合せからのデータを表す。図21Bは、それぞれドナー1およびドナー2におけるIFN-γ分泌に対する細胞間距離の影響をまとめた重ね合わせ散布図を示す。ここで図21Aおよび図21Bを参照すると、データは、最も高い死滅効力および細胞毒性が、合計長がおよそ200Åに等しい場合に観察されることを示す。この結果は、CAR T細胞と標的細胞との間の最適な相互作用は、シナプス距離が約200Åの場合に生じることを示す。
【0274】
[309]図22Aは、各標的細胞株(すなわち、標的1から16)と対にしたドナー1およびドナー2において発現されたCARスペーサーCD27_1およびスペーサー1に関するIFN-γ分泌レベルを示す一連のプロットである。スペーサーCD27_1は約324Åの長さを有し、これはCAR T細胞についての最適な細胞間距離である約200Åよりも長い。約50Åの長さを有するスペーサー1を、参照対照として使用する。データは、任意の所与の標的1~16に対して、長すぎるスペーサーCD27_1は最大に満たないIFN-γレベルをもたらすことを示し、これはスペーサーと標的細胞の表面上の他のタンパク質との相互作用に起因する可能性が高い。対照的に、スペーサー1は、標的細胞の表面からのエピトープの距離に対して同等のIFN-γ分泌レベルを示す。
【0275】
[310]図22Bは、各標的細胞株(すなわち、標的1から16)と対にしたドナー1およびドナー2において発現されたCARスペーサーICOSおよびスペーサー29に関するIFN-γ分泌レベルを示す一連のプロットである。ICOSおよびスペーサー29はいずれも約112Åの長さを有し、これはスペーサーとして適した長さであり、すなわち、短すぎることも長すぎることもないと考えられる。データは、ICOSおよびスペーサー29の両方が、参照スペーサー1(図22Aを参照)よりも約10分の1の低さであるIFN-γレベルをもたらすことを示し、このことは、スペーサー長とは関係のない配列組成が、これらのCAR T細胞の成績に影響を及ぼすことを示す可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8-1】
図8-2】
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
【国際調査報告】