(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】癌の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20241114BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241114BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241114BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241114BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241114BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20241114BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20241114BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241114BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20241114BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241114BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241114BHJP
【FI】
A61K38/16
A61K47/02
A61K47/26
A61K9/08
A61P35/00
A61P1/00
A61P1/18
A61P11/00
A61P13/00
A61K39/395 U
A61K47/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529127
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 GB2022052903
(87)【国際公開番号】W WO2023089308
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519226757
【氏名又は名称】バイスクルテクス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】スメサースト,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ウパディアヤ,プニト
(72)【発明者】
【氏名】ウィティ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マクドネル,ケビン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076CC27
4C076DD23
4C076DD30
4C076DD38
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA25
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4C084BA41
4C084CA59
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4C084MA66
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG02
(57)【要約】
本発明は、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体のBT7480もしくはその医薬的に許容される塩またはその医薬組成物、およびその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトールおよび水酸化ナトリウムを含む、固形医薬組成物。
【請求項2】
BT7480またはその医薬的に許容される塩1mg当たり約0.1mgのトリス塩基を含む、請求項1に記載の固形医薬組成物。
【請求項3】
BT7480またはその医薬的に許容される塩1mg当たり約0.4mgのマンニトールを含む、請求項1または2に記載の固形医薬組成物。
【請求項4】
水酸化ナトリウムの量が、固形医薬組成物を水中で再構成するとき約7.0~7.5のpHをもたらす量である、請求項1~3のいずれか一項に記載の固形医薬組成物。
【請求項5】
約66mgのBT7480またはその医薬的に許容される塩;
約6.6mgのトリス塩基;
約26.4mgのマンニトール;および
固形医薬組成物を水中で再構成するとき約7.0~7.5のpHをもたらす量の、水酸化ナトリウム
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の固形医薬組成物。
【請求項6】
BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウムおよび水を含む、水性医薬組成物。
【請求項7】
約60mg/mL BT7480またはその医薬的に許容される塩を含む、請求項6に記載の水性医薬組成物。
【請求項8】
約6mg/mLトリス塩基を含む、請求項6または7に記載の水性医薬組成物。
【請求項9】
約24mg/mLマンニトールを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
【請求項10】
水性医薬組成物のpHが、約7.0~7.5である、請求項6~9のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
【請求項11】
約1.1mLの容量である、請求項6~10のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
【請求項12】
約60mg/mL BT7480またはその医薬的に許容される塩;
約6mg/mLトリス塩基;
約24mg/mLマンニトール;
水酸化ナトリウム;および
水
を含み、水性医薬組成物のpHが、約7.0~7.5である、請求項6~11のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
【請求項13】
塩化ナトリウムをさらに含む、請求項6~12のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。
【請求項14】
請求項6~13のいずれか一項に記載の水性医薬組成物を患者に静脈内投与することを含む、患者においてネクチン-4関連進行性悪性腫瘍を処置するための方法。
【請求項15】
ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍が、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、胃/上部消化管(GI)癌、膵臓癌、尿路上皮癌、膀胱癌、頭頸部癌、食道癌および黒色腫からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
水性医薬組成物が、1週間に1回投与される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
水性医薬組成物が、約7.5mg/kgまでの用量で投与される、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
水性医薬組成物が、約60分間のIV点滴により投与される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ニボルマブを投与することをさらに含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ニボルマブが、約30分間のIV点滴により投与される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年11月16日出願の米国仮出願第63/264,132号に基づく優先権を主張し、これは出典明示によりその全体として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体のBT7480もしくはその医薬的に許容される塩またはその医薬組成物に関する。本発明は、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍を予防または処置するための、ヘテロタンデム二環式ペプチド複合体のBT7480もしくはその医薬的に許容される塩またはその医薬組成物の使用を提供する。
【背景技術】
【0003】
環状ペプチドは、タンパク質標的に対して高い親和性と標的特異性で結合できるため、治療薬の開発にとって魅力的な分子クラスである。実際、抗菌ペプチドのバンコマイシン、免疫抑制薬のシクロスポリン、抗癌薬のオクトレオチドなど、いくつかの環状ペプチドはすでに臨床での使用に成功している(Driggers et al. (2008), Nat Rev Drug Discov 7 (7), 608-24)。良好な結合特性は、ペプチドと標的の間に形成される比較的大きな相互作用表面と、環状構造のコンフォメーション柔軟性の低下によって生じる。典型的には、マクロ環は、例えば、環状ペプチドCXCR4アンタゴニストCVX15(400Å2;Wu et al. (2007), Science 330, 1066-71)、インテグリンαVb3に結合するArg-Gly-Aspモチーフを有する環状ペプチド(355Å2;Xiong et al. (2002), Science 296 (5565), 151-5)またはウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクティベーターに結合する環状ペプチド阻害剤upain-1(603Å2;Zhao et al. (2007), J Struct Biol 160 (1), 1-10)のように、数百平方オングストロームの表面に結合する。
【0004】
ペプチドマクロ環は、環状構造のため、線状ペプチドより柔軟性が低く、これにより、標的に結合する際のエントロピー損失が少なくなり、結合親和性が高くなる。柔軟性の低下はまた、標的特異的なコンフォメーションをロックし、線状ペプチドと比較して結合特異性を高める。この効果は、マトリックスメタロプロテアーゼ8(MMP-8)の強力かつ選択的な阻害剤によって例証されており、これは開環すると他のMMPを超える選択性を失う(Cherney et al. (1998), J Med Chem 41 (11), 1749-51)。マクロ環状化によって達成される好ましい結合特性は、例えばバンコマイシン、ナイシンおよびアクチノマイシンなどの複数のペプチド環を有する多環式ペプチドにおいてさらに顕著になる。
【0005】
これまで、様々な研究チームが、システイン残基を有するポリペプチドを合成分子構造に結び付けてきた(Kemp and McNamara (1985), J. Org. Chem; Timmerman et al. (2005), ChemBioChem)。Meloenらは、タンパク質表面の構造模倣のための合成足場上で複数のペプチドループを迅速かつ定量的に環化するために、トリス(ブロモメチル)ベンゼンと関連分子を用いている(Timmerman et al. (2005), ChemBioChem)。候補薬物化合物は、システイン含有ポリペプチドを、例えばTATA(1,1',1''-(1,3,5-トリアジナン-1,3,5-トリイル)トリプロパ-2-エン-1-オン、Heinis et al. Angew Chem, Int Ed. 2014; 53:1602-1606)などの分子足場に結合する方法によって生成される。
【0006】
ファージディスプレイに基づくコンビナトリアルアプローチは、目的の標的に対する二環式ペプチドの大規模なライブラリーを生成およびスクリーニングするために開発された(Heinis et al. (2009), Nat Chem Biol 5 (7), 502-7およびWO 2009/098450)。簡単には、3つのシステイン残基と、6つのランダムアミノ酸を有する2つの領域を含む線状ペプチド(Cys-(Xaa)6-Cys-(Xaa)6-Cys)のコンビナトリアルライブラリーをファージ上に表示させ、システイン側鎖を小分子の足場に共有結合させることによって環化した。
【発明の概要】
【0007】
一態様によれば、本発明は、BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトールおよび水酸化ナトリウムを含む固形医薬組成物を提供する。別の態様によれば、本発明は、BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウムおよび水を含む水性医薬組成物を提供する。
【0008】
別の態様において、本明細書に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、患者においてネクチン-4関連進行性悪性腫瘍を処置するための方法を提供する。いくつかの実施態様において、BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウムおよび水を含む水性医薬組成物をIV点滴によって患者に投与することを含む、患者においてネクチン-4関連進行性悪性腫瘍を処置するための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.本発明の特定の実施態様の一般的説明
一実施態様において、本発明は、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍を処置するために本明細書に記載の医薬組成物を用いる方法を提供する。
【0010】
いくつかの実施態様において、BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウムおよび水を含む水性医薬組成物をIV点滴によって患者に週に1回投与することを含む、患者においてネクチン-4関連進行性悪性腫瘍を処置するための方法を提供する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の水性医薬組成物は、ニボルマブと組み合わせて投与される。
【0011】
いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、膀胱癌、食道癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部癌、卵巣癌、乳癌、例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC)、胃/上部消化管(GI)癌、黒色腫、膵臓癌および尿路上皮癌からなる群より選択される。
【0012】
いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、卵巣癌である。いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、乳癌、例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC)である。いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、胃/上部消化管(GI)である。いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、膵臓癌である。いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、尿路上皮癌である。いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、膀胱癌である。いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、頭頸部癌である。いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、食道癌である。いくつかの実施態様において、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍は、黒色腫である。
【0013】
2.化合物および定義:
本明細書で用いる用語「BT7480」は、N-(酸-PEG
3)-N-ビス(PEG
3-アジド)リンカーによって2つのCD137特異的ペプチドに結合しているネクチン-4特異的ペプチドからなるヘテロタンデム二環式ペプチド複合体であり、以下に示す構造を有する。
【化1】
【0014】
本明細書で用いる用語「医薬的に許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比に見合った塩を指す。医薬的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、S. M. Bergeらは、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19で医薬的に許容される塩について詳しく記載しており、その内容は出典明示により本明細書に組み込まれる。本発明の化合物の医薬的に許容される塩は、適切な無機および有機酸および塩基から誘導されるものを含む。医薬的に許容される無毒性の酸付加塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸と、または有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸と、または当該技術分野の他の方法、例えばイオン交換を用いることにより、形成されるアミノ基の塩である。他の医薬的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸、グルコン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。
【0015】
適切な塩基由来の塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属、アンモニウム塩およびN+(C1-4アルキル)4塩を含む。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む。更なる医薬的に許容される塩は、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される無毒性アンモニウム、第4級アンモニウムおよびアミンカチオンを含む。塩形態は本発明の範囲内であり、ペプチドリガンドへの言及には当該リガンドの塩形態が含まれることを理解されたい。
【0016】
本発明の塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、従来の化学的方法によって合成し得て、例えば方法は、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, P. Heinrich Stahl (Editor), Camille G. Wermuth (Editor), ISBN: 3-90639-026-8, Hardcover, 388 pages, August 2002に記載されている。一般的に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、水または有機溶媒中、あるいはその2つの混合物中で適切な塩基または酸と反応させることによって製造し得る。
【0017】
本明細書で用いる用語「約」は、所与の値または範囲の10%以内を意味する。いくつかの実施態様において、用語「約」は、所与の値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%以内を指す。
【0018】
他に断らない限り、本明細書に示す構造には、構造のすべての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何異性体(または配座異性体))形態も含まれるものとし;例えば、各不斉中心のRおよびS配置、ZおよびE二重結合異性体、ならびにZおよびE配座異性体を含む。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何異性体(または配座異性体)混合物は、本発明の範囲内である。他に断らない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体は本発明の範囲内である。さらに、他に断らない限り、本明細書に示す構造には、1つ以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物が含まれるものとする。例えば、重水素または三重水素による水素の置き換え、またはC13または14Cに富む炭素による炭素の置き換えを含む本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または本発明による治療剤として有用である。
【0019】
3.医薬組成物
一態様によれば、本発明は、BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトールおよび水酸化ナトリウムを含む固形医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明の固形医薬組成物は、約66mgのBT7480またはその医薬的に許容される塩を含む。
【0020】
いくつかの実施態様において、本発明の固形医薬組成物は、粉末形態である。いくつかの実施態様において、本発明の固形医薬組成物は、凍結乾燥粉末である。いくつかの実施態様において、本発明の固形医薬組成物は、滅菌凍結乾燥粉末である。
【0021】
いくつかの実施態様において、本発明は、本明細書に記載の固形医薬組成物を含有する4R注射バイアルを提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、66mgのBT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトールおよび水酸化ナトリウムを含有する4R注射バイアルを提供する。
【0022】
一態様によれば、本発明は、BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウムおよび水を含む水性医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様において、水性医薬組成物は、60mg/mLの濃度のBT7480、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウムおよび水を含む。いくつかの実施態様において、本発明は、本明細書に記載の水性医薬組成物を含有する4R注射バイアルを提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、60mg/mLの濃度のBT7480、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウムおよび水を含む1.1mLの水性医薬組成物を含有する4R注射バイアルを提供する。
【0023】
いくつかの実施態様において、本発明は、BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウムおよび水を含む水性医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様において、水性医薬組成物は、60mg/mLの濃度のBT7480、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウムおよび水を含む水性医薬組成物を、0.9%生理食塩水に希釈することにより調製される。いくつかの実施態様において、本発明は、BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウムおよび水を含有する点滴バッグを提供する。
【0024】
いくつかの実施態様において、本発明の水性医薬組成物は、許容されるビヒクルまたは溶媒を含む。いくつかの実施態様において、許容されるビヒクルまたは溶媒は、滅菌水、リンガー液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液より選択される。いくつかの実施態様において、許容されるビヒクルまたは溶媒は、滅菌水である。いくつかの実施態様において、許容されるビヒクルまたは溶媒は、滅菌注射用媒体である。
【0025】
いくつかの実施態様において、医薬的に許容される添加剤または担体は、緩衝剤を含む。いくつかの実施態様において、緩衝剤は、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂より選択される。いくつかの実施態様において、緩衝剤は、ヒスチジンである。いくつかの実施態様において、緩衝剤は、水酸化ナトリウムである。いくつかの実施態様において、緩衝剤は、塩酸である。
【0026】
いくつかの実施態様において、本発明の水性医薬組成物のpHは、約6~8である。いくつかの実施態様において、本発明の水性医薬組成物のpHは、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、7.9または約8.0である。いくつかの実施態様において、本発明の水性医薬組成物のpHは、約7.0または約7.5である。いくつかの実施態様において、本発明の水性医薬組成物のpHは、約7.0~7.5である。
【0027】
いくつかの実施態様において、医薬的に許容される添加剤または担体は、安定化剤または凍結保護剤を含む。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、エチレングリコールである。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、グリセロールである。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、プロピレングリコールである。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、2-メチル-2、4-ペンタンジオール(MPD)である。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、トレハロースである。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、ホルムアミドである。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、プロリンである。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、グリセロール3-ホスフェートである。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、ソルビトールである。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、ジエチルグリコールである。いくつかの実施態様において、安定化剤または凍結保護剤は、スクロースである。
【0028】
いくつかの実施態様において、医薬的に許容される添加剤または担体は、浸透圧調節剤を含む。いくつかの実施態様において、浸透圧調節剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、塩化カルシウム、またはこれらの組合せである。いくつかの実施態様において、浸透圧調節剤は、デキストロースである。いくつかの実施態様において、浸透圧調節剤は、塩化ナトリウムである。いくつかの実施態様において、浸透圧調節剤は、塩化ナトリウムとデキストロースの組合せである。
【0029】
いくつかの実施態様において、本発明は、
BT7480またはその医薬的に許容される塩;
BT7480またはその医薬的に許容される塩1mg当たり約0.1mgのトリス塩基;
BT7480またはその医薬的に許容される塩1mg当たり約0.4mgのマンニトール;および
固形医薬組成物を水中で再構成するとき約7.0~7.5のpHをもたらす量の、水酸化ナトリウム
を含む固形医薬組成物を提供する。
【0030】
いくつかの実施態様において、本発明は、凍結乾燥粉末である固形医薬組成物であって、
約66mgのBT7480またはその医薬的に許容される塩;
約6.6mgのトリス塩基;
約26.4mgのマンニトール;および
固形医薬組成物を水中で再構成するとき約7.0~7.5のpHをもたらす量の、水酸化ナトリウム
を含む固形医薬組成物を提供する。
【0031】
いくつかの実施態様において、本発明は、
約60mg/mL BT7480またはその医薬的に許容される塩;
約6mg/mLトリス塩基;
約24mg/mLマンニトール;
水酸化ナトリウム;および
水
を含む水性医薬組成物であって、水性医薬組成物のpHが、約7.0~7.5である、水性医薬組成物を提供する。
【0032】
いくつかの実施態様において、本発明は、約1.1mLの容量の水性医薬組成物であって、
約60mg/mL BT7480またはその医薬的に許容される塩;
約6mg/mLトリス塩基;
約24mg/mLマンニトール;
水酸化ナトリウム;および
水
を含み、水性医薬組成物のpHが、約7.0~7.5である、水性医薬組成物を提供する。
【0033】
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の固形医薬組成物を水中で再構成することにより調製される水性医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の固形医薬組成物を注射用媒体(例えば、0.9%w/v生理食塩水)中に溶解させることにより調製される水性医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の固形医薬組成物を水中で再構成し、続いて0.9%w/v生理食塩水に希釈することにより調製される水性医薬組成物を提供する。いくつかの実施態様において、水性医薬組成物は、IV点滴のために0.9%w/v生理食塩水IVバッグに希釈される。
【0034】
4.医薬組成物の使用
一実施態様において、本発明は、本発明の医薬組成物を患者に投与することを含む、患者においてネクチン-4関連進行性悪性腫瘍を処置するための方法または使用を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の医薬組成物を腎不全の患者に投与することを含む、ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍を処置するための方法または使用を提供する。いくつかの実施態様において、腎不全は、MDRD式によりCLcr>30~59mL/分または現地の同等のものを指す。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法または使用は、ニボルマブを患者に投与することをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施態様において、ニボルマブは、240mgの用量レベルで2週間に1回約30分間の点滴により投与される。いくつかの実施態様において、ニボルマブは、0.9%塩化ナトリウムに希釈される。いくつかの実施態様において、ニボルマブは、5%デキストロースに希釈される。いくつかの実施態様において、ニボルマブは、点滴前に約1mg/mL~約10mg/mlの最終濃度に希釈される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の水性医薬組成物は、最初にBT7480を、続いてニボルマブを連続注入することにより、ニボルマブと組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の水性医薬組成物は、ニボルマブが投与される約1時間前に投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の水性医薬組成物は、ニボルマブが投与される約10分、約20分、約30分、約40分または約50分前に投与される。
【0036】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本明細書に記載の医薬組成物を患者に静脈内投与することを含む。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、IV注射により投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、IV点滴により投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物のIV点滴は、約5~30分間続く。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物のIV点滴は、約30~60分間続く。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物のIV点滴は、約55~75分間続く。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物のIV点滴は、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、約60分間、約65分間、約70分間、約75分間、約80分間、約85分間または約90分間続く。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物のIV点滴は、約60分間続く。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物のIV点滴は、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間または約4時間続く。
【0037】
いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、患者に1、2、3、4、5、6または7日間に1回投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物の患者への2回の投与間が、約6時間である。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物の患者への2回の投与間が、約12時間、約18時間または約24時間である。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物の患者への2回の投与間が、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約84時間、約96時間または約108時間である。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、患者に1週間に1回投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、患者に2週間に1回投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、患者に3週間に1回投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、患者に4週間に1回投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、患者に1か月に1回投与される。
【0038】
いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、約10mg/kgまでの用量で投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、約0.002mg/kg~約7.5mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、約0.02mg/kg~約7.5mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、約0.05mg/kg~約7.5mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、約0.15mg/kg~約7.5mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、約0.02~6mg/kg、約0.05~6mg/kg、約0.15~6mg/kg、約0.3~6mg/kg、約0.6~6mg/kg、約1.3~6mg/kgまたは約2.6~6mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、本発明の医薬組成物は、約0.002mg/kg、約0.006mg/kg、約0.02mg/kg、約0.05mg/kg、約0.15mg/kg、約0.3mg/kg、約0.6mg/kg、約1.3mg/kg、約2.0mg/kg、約2.6mg/kg、約3.0mg/kg、約3.5mg/kg、約3.9mg/kg、約4.25mg/kg、約5.0mg/kg、約5.75mg/kg、約6.0mg/kg、約6.5mg/kg、約7.0mg/kgまたは約7.5mg/kgの用量で投与される。
【0039】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、標準治療に反応しない局所進行性または転移性疾患を有する患者を処置するためのものである。
【0040】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、例えば、尿路上皮(移行細胞)癌;頭頸部扁平上皮細胞癌;非小細胞性肺癌;卵巣癌;乳癌;胃癌;または食道癌を含む、ネクチン-4発現に関連する組織学的または細胞学的に確認された悪性固形腫瘍を有する患者を処置するためのものである。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、尿路上皮(移行細胞)癌患者を処置するためのものである。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、頭頸部扁平上皮細胞癌患者を処置するためのものである。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、非小細胞性肺癌患者を処置するためのものである。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、卵巣癌患者を処置するためのものである。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、乳癌患者を処置するためのものである。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、胃癌患者を処置するためのものである。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、食道癌患者を処置するためのものである。
【0041】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、固形腫瘍の治療効果判断基準(RECIST)1.1に従ってX線写真上で確認された転移性または局所進行性疾患を有する患者を処置するためのものである。
【0042】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、測定不可能な疾患を有する患者を処置するためのものである。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、測定可能な疾患を有する患者を処置するためのものである。
【0043】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、少なくとも18歳の患者を処置するためのものである。
【0044】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータススコアが0または1である(スコア0:完全に活動的であり、発症前のすべてのパフォーマンスを制限なく行える;スコア1:肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽い家事、事務作業などの軽作業または座っての作業は行うことができる)患者を処置するためのものである。
【0045】
いくつかの実施態様において、患者は、許容される臓器機能を有し、以下の状態の1つ以上を有する:
Cockcroft-Gault式または現地の同等式によるクレアチニンクリアランス(CLcr)≧60mL/分の腎機能;
総ビリルビン≦1.5×正常値上限(ULN);
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦2.5×ULN、または肝転移がある場合≦5×ULN;
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×ULN、または肝転移がある場合≦5×ULN;および
国際標準比<1.5または≦施設ULN。
【0046】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、スクリーニング時にModification of Diet in Renal Disease(MDRD)式によりCLcrが>30~59mL/分である腎機能障害を有する患者を処置するためのものである。
【0047】
いくつかの実施態様において、患者は、許容される血液学的機能を有し、以下の状態の1つ以上を有する:
ヘモグロビン≧9g/dL;
絶対好中球数(ANC)≧1500細胞/mm3;および
血小板数≧75,000細胞/mm3。
【0048】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、スクリーニング時に授乳中ではない、または血清妊娠(β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン)検査が陰性であり、本発明の医薬組成物の初回投与前72時間以内に尿妊娠検査が陰性であることにより確認される、妊娠していない女性患者を処置するためのものである。
【0049】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本発明の医薬組成物の初回投与前14日以内にあらゆる細胞毒性、小分子または他の全身性化学療法が投与されていないか、または投与されたことがない患者を処置するためのものである。
【0050】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本発明の医薬組成物の初回投与の28日または5半減期以内に、モノクローナル抗体を含むあらゆる免疫療法が投与されていないか、または投与されたことがない患者を処置するためのものである。
【0051】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本発明の医薬組成物の初回投与の60日以内に、キメラ抗原受容体T細胞治療を含むあらゆる細胞ベースの治療が投与されていないか、または投与されたことがない患者を処置するためのものである。
【0052】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本発明の医薬組成物の初回投与の28日または5半減期以内に、全身性抗癌治療以外のあらゆる実験的処置が投与されていないか、または投与されたことがない患者を処置するためのものである。
【0053】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本発明の医薬組成物の初回投与の28日以内にあらゆる放射線療法が投与されていないか、または投与されたことがない患者を処置するためのものである。
【0054】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本発明の医薬組成物の初回投与の28日以内に、血管アクセスの配置を除く侵襲手術を受けていない患者を処置するためのものである。いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本発明の医薬組成物の初回投与の14日以内に、低侵襲(腹腔鏡、インターベンショナルラジオロジーまたはロボット)手術を受けていない患者を処置するためのものである。
【0055】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本発明の医薬組成物の初回投与前にあらゆるCD137標的療法が投与されていないか、または投与されたことがない患者を処置するためのものである。
【0056】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本発明の医薬組成物の初回投与の14日以内にあらゆる赤血球輸血、血小板輸血または増殖因子を受けていないか、または受けたことがない患者を処置するためのものである。
【0057】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本発明の医薬組成物の初回投与の4週間以内に赤血球増殖因子が投与されていない、腎機能障害を有する患者を処置するためのものである。
【0058】
いくつかの実施態様において、患者は、本発明の医薬組成物の初回投与前に米国国立がん研究所(NCI)有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン5.0に従ったグレード2まで回復していない以前の処置関連毒性を有していない。
【0059】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、ボディマス指数が<35kg/m2である患者を処置するためのものである。
【0060】
いくつかの実施態様において、患者は、重大な病状、例えば皮膚に影響を及ぼす状態(自己免疫状態、例えば中等度/重度の活動性湿疹または乾癬を含む)を有しない。いくつかの実施態様において、患者は、活動性で非制御の全身感染を有しない。いくつかの実施態様において、患者は、臓器系の機能不全(例えば重度の腹水、凝血障害または脳症を含む)を有しない。いくつかの実施態様において、患者は、あらゆる消化管、皮膚または肺の合併症を有しない。
【0061】
いくつかの実施態様において、患者は、本発明の医薬組成物の初回投与前6か月以内に確認された、例えば卒中または一過性虚血発作を含む脳血管イベント、不安定狭心症、心筋梗塞、またはNew York Heart AssociationクラスIIIからIVの心不全の兆候もしくは症状の既往歴を有しない。
【0062】
いくつかの実施態様において、患者は、3回測定した心電図(ECG)において平均安静時QTc(例えば、QTcF)>470ミリ秒を有しない。
【0063】
いくつかの実施態様において、患者は、例えば、重度の心不全、低カリウム血症、先天性QT延長症候群、QT延長症候群の家族既往歴、40歳未満での原因不明の突然死、またはQT間隔を延長するおよび/またはトルサード・ド・ポアントを引き起こすことが知られている任意の併用薬の使用を含む、QTc延長のリスクまたは不整脈イベントのリスクを増大させるあらゆる要因を有しない。
【0064】
いくつかの実施態様において、患者は、例えばペースメーカーなどによって制御されない完全左脚ブロックまたは第3度心ブロックを含む、安静時心電図のリズム、伝導、または形態における臨床的に重要な異常を有しない。
【0065】
いくつかの実施態様において、患者は、糖化ヘモグロビンが≧8%である非制御糖尿病を有しない。
【0066】
いくつかの実施態様において、患者は、非制御の症候性脳転移を有しない。
【0067】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、脳転移が処置された患者であって、中枢神経系を標的とした処置後少なくとも4週間進行がない患者を処置するためのものである。
【0068】
いくつかの実施態様において、患者は、非制御高血圧(介入に反応しない、収縮期血圧(BP)≧160mmHgまたは拡張期BP≧100mmHgが繰り返し測定される)を有しない。
【0069】
いくつかの実施態様において、患者は、HIV感染または後天性免疫不全症候群を有しない。いくつかの実施態様において、患者が組入れ時に以下の基準すべてを満たす場合、HIV感染患者は許可される:a. CD4+T細胞(CD4+)数≧350細胞/μL;b. 少なくとも4週間の確立された抗レトロウイルス治療(ART);およびc. HIVウイルス負荷<400コピー/mL。
【0070】
いくつかの実施態様において、患者は、活動性B型肝炎(HBV)感染を有しない。
【0071】
いくつかの実施態様において、患者は、B型肝炎(HBV)感染が制御(処置)されており、HBVの抗ウイルス治療が、本発明の医薬組成物の初回投与前少なくとも1か月投与される。
【0072】
いくつかの実施態様において、患者は、B型肝炎(HBV)感染が制御(処置)されており、HBVウイルス負荷が、本発明の医薬組成物の初回投与前に<2000IU/mL(104コピー/mL)である。
【0073】
いくつかの実施態様において、患者は、ウイルス負荷が<2000IU/mL(104コピー/mL)である制御された(処置された)B型肝炎ウイルス(HBV)感染を有し、試験処置を通して同じ抗ウイルスHBV治療を受け続ける。
【0074】
いくつかの実施態様において、患者は、活動性C型肝炎(HCV)感染を有しない。
【0075】
いくつかの実施態様において、患者は、HCV処置を受けていて、本発明の医薬組成物の初回投与前の4週間に12週間目(SVR12)または24週間目(SVR24)のウイルス学的持続陰性化を有する。
【0076】
いくつかの実施態様において、患者は、本発明の医薬組成物の初回投与前3年以内にあらゆる以前または同時の悪性腫瘍を有しない。いくつかの実施態様において、患者は、本発明の医薬組成物の初回投与前に以前診断された悪性腫瘍からの残存疾患のあらゆる証拠を有しない。
【0077】
いくつかの実施態様において、患者は、基底細胞癌、皮膚の扁平上皮細胞癌、子宮頸部上皮内腫瘍、子宮頸部上皮内癌、上皮内黒色腫、または乳房の非浸潤性乳管癌に対する根治目的の処置により、以前または同時の悪性腫瘍が適切に管理されている。
【0078】
いくつかの実施態様において、患者は、本発明の医薬組成物の初回投与の30日以内に、あらゆる生ワクチンまたは弱毒化ワクチンを受けていない。
【0079】
いくつかの実施態様において、患者は、臨床的に関連する免疫不全と診断されていないか、または有しない。
【0080】
いくつかの実施態様において、患者は、毎日10mg以上のプレドニゾンもしくは同等なものまたは別の強力な全身免疫抑制薬(例えば、カルシニューリン阻害薬、抗増殖薬、mTOR(哺乳類ラパマイシン標的)阻害薬を含む)を使用していない。
【0081】
いくつかの実施態様において、患者は、本発明の医薬組成物の初回投与前の14日以内に静脈内抗感染処置を受けていない。
【0082】
いくつかの実施態様において、患者は、本発明の医薬組成物の初回投与前の14日以内に基礎疾患に起因しない発熱を有しない。
【0083】
いくつかの実施態様において、患者は、同種造血細胞移植を含む、あらゆる以前の臓器または造血細胞移植を有しない。
【0084】
いくつかの実施態様において、患者は、自己免疫疾患を有しない。
【0085】
いくつかの実施態様において、患者は、よく制御されている糖尿病、脱毛症、よく制御されている甲状腺疾患または白斑症を有する。
【0086】
いくつかの実施態様において、患者は、間質性肺疾患を有しない。
【0087】
例示的な癌
別の態様において、本明細書に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、患者において癌を処置するための方法を提供する。いくつかの実施態様において、BT7480またはその医薬的に許容される塩、トリス塩基、マンニトール、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウムおよび水を含む水性医薬組成物をIV点滴によって患者に投与することを含む、患者において癌を処置するための方法を提供する。
【0088】
いくつかの実施態様において、癌は、ネクチン-4に関連する。いくつかの実施態様において、癌は、高ネクチン-4発現である。
【0089】
いくつかの実施態様において、癌は、固形腫瘍である。
【0090】
いくつかの実施態様において、癌は、膀胱癌である。いくつかの実施態様において、膀胱癌は、基底癌、p53様癌および管腔癌からなる群より選択される。
【0091】
いくつかの実施態様において、癌は、子宮内膜癌である。いくつかの実施態様において、子宮内膜癌は、MMR-D、POLE EDM、p53 WT、p53以上、I型、II型、癌、癌肉腫、類内膜腺癌、漿液性癌、明細胞癌、粘液性癌、混合または未分化癌、漿液性癌と類内膜癌の混合、漿液性癌と低グレード類内膜癌の混合および未分化癌からなる群より選択される。
【0092】
いくつかの実施態様において、癌は、食道癌である。いくつかの実施態様において、食道癌は、腺癌(EAC)、扁平上皮細胞癌(ESCC)、染色体不安定癌(CIN)、エプスタイン・バーウイルス癌(EBV)、ゲノム安定癌(GS)およびマイクロサテライト不安定癌(MSI)からなる群より選択される。
【0093】
いくつかの実施態様において、癌は、神経膠芽腫である。いくつかの実施態様において、神経膠芽腫は、前神経性、神経性、古典的および間葉性からなる群より選択される。
【0094】
いくつかの実施態様において、癌は、中皮腫である。いくつかの実施態様において、中皮腫は、胸膜中皮腫、腹膜中皮腫、心膜中皮腫、類上皮型中皮腫、肉腫様中皮腫、二相性中皮腫および悪性中皮腫からなる群より選択される。
【0095】
いくつかの実施態様において、癌は、多発性骨髄腫である。いくつかの実施態様において、多発性骨髄腫は、高二倍体、非高二倍体、サイクリンD転座、MMSET転座、MAF転座および未分類からなる群より選択される。
【0096】
いくつかの実施態様において、癌は、卵巣癌である。いくつかの実施態様において、卵巣癌は、明細胞、類内膜、粘液性、高グレード漿液性および低グレード漿液性卵巣癌からなる群より選択される。
【0097】
いくつかの実施態様において、癌は、膵臓癌である。いくつかの実施態様において、膵臓癌は、扁平上皮癌、膵臓前駆癌、免疫原性癌およびADEX(異常分化内分泌外分泌)膵臓癌からなる群より選択される。
【0098】
いくつかの実施態様において、癌は、前立腺癌である。いくつかの実施態様において、前立腺癌は、AZGP1(サブタイプI)、MUC1(サブタイプII)およびMUC1(サブタイプIII)前立腺癌からなる群より選択される。
【0099】
いくつかの実施態様において、癌は、肺癌である。いくつかの実施態様において、肺癌は、met増幅扁平上皮NSCLC、野生型EGFRを有する扁平上皮細胞NSCLCまたはT790M EGFR発現肺腺癌である。
【0100】
いくつかの実施態様において、癌は、乳癌である。いくつかの実施態様において、乳癌は、トリプルネガティブ乳癌である。いくつかの実施態様において、乳癌は、類基底細胞トリプルネガティブ乳癌である。
【0101】
いくつかの実施態様において、癌は、結腸癌である。いくつかの実施態様において、癌は、大腸腺癌である。いくつかの実施態様において、大腸腺癌は、高pgp発現大腸腺癌である。
【0102】
いくつかの実施態様において、癌は、胃癌である。いくつかの実施態様において、胃癌は、FGFR増幅胃癌である。
【0103】
いくつかの実施態様において、癌は、頭頸部癌である。いくつかの実施態様において、頭頸部癌は、鼻中隔扁平上皮細胞癌である。
【0104】
いくつかの実施態様において、癌は、肉腫である。いくつかの実施態様において、肉腫は、線維肉腫である。いくつかの実施態様において、線維肉腫は、N-ras変異体/IDH1変異体軟部組織肉腫(STS)である。
【0105】
一実施態様において、癌は、限定されないが、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性多血症、リンパ腫(例えば、ホジキン病または非ホジキン病)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、重鎖病、および固形腫瘍、例えば肉腫および癌(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸部癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、多形神経膠芽腫(GBM、神経膠芽腫としても知られている)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、シュワン腫、神経線維肉腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫および網膜芽細胞腫)を含む。
【0106】
いくつかの実施態様において、癌は、神経膠腫、星状細胞腫、多形神経膠芽腫(GBM、神経膠芽腫としても知られている)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、シュワン腫、神経線維肉腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫または網膜芽細胞腫である。
【0107】
いくつかの実施態様において、癌は、聴神経腫瘍、星状細胞腫(例えば、グレードIは毛様細胞性星細胞腫、グレードIIは低グレードの星状細胞腫、グレードIIIは未分化星状細胞腫またはグレードIVは神経膠芽腫(GBM))、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、混合神経膠腫、視神経膠腫、上衣下腫、髄芽腫、髄膜腫、転移脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)腫瘍またはシュワン腫である。いくつかの実施態様において、癌は、成人より子供でより一般的に見られるタイプ、例えば脳幹神経膠腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、若年性毛様細胞性星細胞腫(JPA)、髄芽腫、視神経膠腫、松果体腫瘍、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)またはラブドイド腫瘍である。いくつかの実施態様において、患者は、成人である。いくつかの実施態様において、患者は、子供または小児患者である。
【0108】
別の実施態様において、癌は、限定されないが、中皮腫、肝胆道系(肝臓および胆管)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼球内黒色腫、卵巣癌、結腸癌、大腸癌、肛門領域の癌、胃癌、消化器系(胃、結腸直腸および十二指腸)、子宮癌、卵管の癌、子宮内膜の癌、子宮頸の癌、膣の癌、外陰部の癌、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟部組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、または前記癌の1つ以上の組合せを含む。
【0109】
いくつかの実施態様において、癌は、肝細胞癌、卵巣癌、卵巣上皮癌または卵管癌;乳頭漿液性嚢胞腺癌または子宮乳頭漿液性癌(UPSC);前立腺癌;精巣癌;胆嚢癌;肝胆管癌;軟部組織および骨滑膜肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;未分化甲状腺癌;副腎皮質腺腫;膵臓癌;膵管癌または膵腺癌;消化管/胃(GIST)癌;リンパ腫;頭頸部の扁平上皮細胞癌(SCCHN);唾液腺癌;神経膠腫または脳癌;神経線維腫症-1関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST);ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;または髄芽腫より選択される。
【0110】
いくつかの実施態様において、癌は、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸癌、大腸癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵管癌、乳頭漿液性嚢胞腺癌、子宮乳頭漿液性癌(UPSC)、肝胆管癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、未分化甲状腺癌、副腎皮質腺腫、膵臓癌、膵管癌、膵腺癌、神経膠腫、神経線維腫症-1関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症または髄芽腫より選択される。
【0111】
いくつかの実施態様において、癌は、固形腫瘍、例えば肉腫、癌またはリンパ腫である。固形腫瘍は一般に、嚢胞または液体領域を典型的に含まない組織の異常な塊を含む。いくつかの実施態様において、癌は、腎細胞癌または腎臓癌;肝細胞癌(HCC)または肝芽腫または肝臓癌;黒色腫;乳癌;結腸大腸癌または結腸大腸癌;結腸癌;大腸癌;肛門癌;肺癌、例えば非小細胞性肺癌(NSCLC)または小細胞肺癌(SCLC);卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣癌または卵管癌;乳頭漿液性嚢胞腺癌または子宮乳頭漿液性癌(UPSC);前立腺癌;精巣癌;胆嚢癌;肝胆管癌;軟部組織および骨滑膜肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;未分化甲状腺癌;副腎皮質癌;膵臓癌;膵管癌または膵腺癌;消化管/胃(GIST)癌;リンパ腫;頭頸部の扁平上皮細胞癌(SCCHN);唾液腺癌;神経膠腫または脳癌;神経線維腫症-1関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST);ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;または髄芽腫より選択される。
【0112】
いくつかの実施態様において、癌は、腎細胞癌、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸大腸癌、結腸大腸癌、結腸癌、大腸癌、肛門癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣癌、卵管癌、乳頭漿液性嚢胞腺癌、子宮乳頭漿液性癌(UPSC)、肝胆管癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、未分化甲状腺癌、副腎皮質癌、膵臓癌、膵管癌、膵腺癌、神経膠腫、脳癌、神経線維腫症-1関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症または髄芽腫より選択される。
【0113】
いくつかの実施態様において、癌は、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸癌、大腸癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣癌、卵管癌、乳頭漿液性嚢胞腺癌、子宮乳頭漿液性癌(UPSC)、肝胆管癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、未分化甲状腺癌、副腎皮質癌、膵臓癌、膵管癌、膵腺癌、神経膠腫、神経線維腫症-1関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症または髄芽腫より選択される。
【0114】
いくつかの実施態様において、癌は、肝細胞癌(HCC)である。いくつかの実施態様において、癌は、肝芽腫である。いくつかの実施態様において、癌は、結腸癌である。いくつかの実施態様において、癌は、大腸癌である。いくつかの実施態様において、癌は、卵巣癌または卵巣癌である。いくつかの実施態様において、癌は、卵巣上皮癌である。いくつかの実施態様において、癌は、卵管癌である。いくつかの実施態様において、癌は、乳頭漿液性嚢胞腺癌である。いくつかの実施態様において、癌は、子宮乳頭漿液性癌(UPSC)である。いくつかの実施態様において、癌は、肝胆管癌である。いくつかの実施態様において、癌は、軟部組織および骨滑膜肉腫である。いくつかの実施態様において、癌は、横紋筋肉腫である。いくつかの実施態様において、癌は、骨肉腫である。いくつかの実施態様において、癌は、未分化甲状腺癌である。いくつかの実施態様において、癌は、副腎皮質癌である。いくつかの実施態様において、癌は、膵臓癌または膵管癌である。いくつかの実施態様において、癌は、膵腺癌である。いくつかの実施態様において、癌は、神経膠腫である。いくつかの実施態様において、癌は、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)である。いくつかの実施態様において、癌は、神経線維腫症-1関連MPNSTである。いくつかの実施態様において、癌は、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症である。いくつかの実施態様において、癌は、髄芽腫である。
【0115】
いくつかの実施態様において、癌は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連固形腫瘍、ヒトパピローマウイルス(HPV)-16陽性の治療不可能な固形腫瘍、およびヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)によって引き起こされ、白血病細胞におけるHTLV-Iのクローン組み込みを特徴とするCD4+T細胞白血病の極めて攻撃的な形態である成人T細胞白血病(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/ NCT02631746参照)を含むウイルス関連癌;ならびに胃癌、鼻咽頭癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、頭頸部扁平上皮細胞癌およびメルケル細胞癌におけるウイルス関連腫瘍である(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02488759;https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT0240886;https://clinicaltrials.gov/ct2/show/ NCT02426892参照)。
【0116】
いくつかの実施態様において、癌は、黒色腫癌である。いくつかの実施態様において、癌は、乳癌である。いくつかの実施態様において、癌は、肺癌である。いくつかの実施態様において、癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。いくつかの実施態様において、癌は、非小細胞性肺癌(NSCLC)である。
【実施例】
【0117】
実施例1 ネクチン-4関連進行性悪性腫瘍患者におけるBT7480の安全性、薬物動態および予備的臨床活性の第1/2相試験
主要目的
第1相
ネクチン-4発現に関連する進行性固形腫瘍の患者において、単剤治療としておよびニボルマブと組み合わせて、BT7480の安全性および忍容性を評価すること;および
腎不全および進行性固形腫瘍の患者において、単剤治療として、BT7480の安全性および忍容性を評価すること。
【0118】
第2相
ネクチン-4発現に関連する進行性固形腫瘍の患者において、単剤治療としておよびニボルマブと組み合わせて、BT7480の臨床活性を評価すること。
【0119】
副次目的
第1相
ネクチン-4発現に関連する進行性固形腫瘍の患者において、単剤治療としておよびニボルマブと組み合わせて、BT7480の臨床活性を評価すること;および
腎不全および進行性固形腫瘍の患者において、単剤治療として、BT7480の臨床活性を評価すること。
【0120】
第2相
ネクチン-4発現に関連する進行性固形腫瘍の患者において、単剤治療としておよびニボルマブと組み合わせて、BT7480の安全性および忍容性を評価すること。
【0121】
第1相および第2相
単剤治療としておよびニボルマブと組み合わせて、BT7480の抗腫瘍効果の追加指標を評価すること;
BT7480、ネクチン-4発現に関連する進行性固形腫瘍の患者において、単剤治療としておよびニボルマブと組み合わせて、BT7480の薬物動態学的(PK)パラメーターを評価すること;
腎不全および進行性固形腫瘍の患者において、単剤治療として、BT7480のPKパラメーターを評価すること;
BT7480で処置した患者において、抗薬物抗体(ADA)の発生を評価すること;および
単剤治療としておよびニボルマブと組み合わせて、BT7480で処置した患者の末梢血において、分化クラスター(CD)137標的関与を評価すること。
【0122】
探索目的
第1相および第2相
BT7480で処置した患者の血液および腫瘍におけるPK/ターゲットエンゲージメントに関連する潜在的な薬力学的(トランスクリプトミクスおよびプロテオーム)活性を評価すること;
BT7480で処置した患者において薬理活性に関連するバイオマーカーを評価すること;
BT7480で処置した患者において薬理ゲノム(PGx)を評価すること;
BT7480で処置した患者において循環腫瘍デオキシリボ核酸(ctDNA)を評価すること。
【0123】
組入れ基準
以下の基準を満たす患者が試験に参加する資格がある:
1. 治験責任医師により判断される、標準治療に反応しないか、または標準治療が適切ではないかもしくは臨床的利益をもたらさないと判断される局所進行性または転移性疾患を有しなければならない;
2. ネクチン-4発現に関連する組織学的または細胞学的に確認された悪性固形腫瘍(尿路上皮(移行細胞)癌;頭頸部扁平上皮細胞癌;非小細胞性肺癌;および卵巣癌、乳癌、胃癌または食道癌を含む)を有しなければならない;
注:腎細胞癌および多形神経膠芽腫は、ネクチン-4発現がほとんどないと考えられる。
3. 固形腫瘍の治療効果判断基準(RECIST)1.1に従ってX線写真上で確認された転移性または局所進行性疾患を有しなければならない;
注:単剤治療の用量漸増では、測定不可能な疾患を有する患者もコホート1~3に登録され得て、測定可能な疾患を有する患者のみがコホート4以降に登録される。
4. 新鮮なまたは保管した腫瘍組織を提出しなければならない;
5. あらゆる試験特有の手順、サンプリングまたは分析を実施する前に、現地のガイドラインに従って、患者または法定後見人によって署名および日付が記入された書面によるインフォームドコンセントを提供しなければならない;
6. 少なくとも18歳でなければならない;
7. Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータススコアが0または1(スコア0:完全に活動的であり、発症前のすべてのパフォーマンスを制限なく行える;スコア1:肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽い家事、事務作業などの軽作業または座っての作業は行うことができる)でなければならない;
8. 以下のすべての検査データによって証明されるように、許容される臓器機能を有しなければならない:
a. Cockcroft-Gault式によるクレアチニンクリアランス(CLcr)≧60mL/分または現地の同等な腎機能;
注:オプションの腎機能障害コホートに登録する患者は、スクリーニング時にModification of Diet in Renal Disease(MDRD)式によりCLcr>30~59mL/分を有する腎機能障害を有する必要がある。
b. 総ビリルビン≦1.5×正常値上限(ULN);
注:ジルベール症候群の患者は、直接ビリルビンが≦1.5×ULNの場合資格がある。
c. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦2.5×ULN、または肝転移がある場合≦5×ULN;
d. アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×ULN、または肝転移がある場合≦5×ULN;および
e. 国際標準比<1.5または≦施設ULN。
9. 以下のすべての検査データによって証明されるように、許容される血液学的機能を有しなければならない:
f. ヘモグロビン≧9g/dL;
g. 絶対好中球数(ANC)≧1500細胞/mm3;および
h. 血小板数≧75,000細胞/mm3。
10. 女性患者は、スクリーニング時に授乳中であってはならない、または血清妊娠(β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン)検査が陰性であり、試験薬物の初回投与前72時間以内に尿妊娠検査が陰性であることにより確認される、妊娠していてはならない。すべての女性は、閉経後(無月経が少なくとも12か月あり、スクリーニング時に卵胞刺激ホルモンが閉経後範囲内にある)または外科的に不妊でない限り、妊娠の可能性があるとみなされる;
11. 生殖能力のある男性患者、および妊娠リスクのある妊娠の可能性がある女性患者は、試験参加期間中、およびBT7480の最終投与後3か月まで、および該当する場合はニボルマブの最終投与後5か月まで、有効性の高い(失敗率1%未満)プロトコール推奨の避妊法と、許容できるが有効性の高くない(失敗率1%以上)方法を併用することに同意しなければならない;
12. 生殖能力のある男性患者は、BT7480の最終投与後1日目から少なくとも3か月まで、および該当する場合はニボルマブの最終投与後5か月まで、精子提供を控えることに同意しなければならない;
13. 治験責任医師の判断により、試験薬物の開始後に余命が≧12週間でなければならない;および
14. プロトコール、予定された来院、処置計画、治験の制限事項、臨床検査、避妊ガイドライン、および他の試験手順に従う意思と能力がある。
【0124】
除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、試験の参加から除外される:
1. 以下のいずれかの以前の治療:
i. 試験薬物の初回投与の14日以内に細胞毒性、小分子または他の全身性化学療法;
j. 試験薬物の初回投与の28日または5半減期のいずれか短い期間以内に、モノクローナル抗体を含む免疫療法;
k. 試験薬物の初回投与の60日以内に、キメラ抗原受容体T細胞治療を含む細胞ベースの治療;
l. 試験薬物の初回投与の28日または5半減期のいずれか短い期間以内に、全身性抗癌治療以外の実験的処置;
m. 試験薬物の初回投与の28日以内に放射線療法;
n. 侵襲手術の場合、試験薬物の初回投与28日以内に、または低侵襲(腹腔鏡、インターベンショナルラジオロジーまたはロボット)の場合、試験薬物の初回投与の14日以内に、血管アクセスの配置を除く大手術;
注:患者は、手術後、試験薬物開始前に、十分に回復してなければならない。
o. CD137標的療法;または
p. BT7480の初回投与の14日以内に赤血球輸血、血小板輸血または増殖因子。
注:オプションの腎機能障害コホートの患者は、臨床的適応がある場合、BT7480の初回投与の4週間以内に赤血球増殖因子が投与されていてもよい。
2. 米国国立がん研究所(NCI)有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン5.0に従ったグレード2まで回復していない以前の処置関連毒性;
3. ボディマス指数≧35kg/m2;
4. 試験薬物の成分いずれかに対する既知の過敏症;
5. 治験責任医師の意見で、患者の安全性または試験結果の完全性を損なうまたは妨害する可能性がある重大な病状、例えば、皮膚に影響を及ぼす状態(中等度/重度および活動性湿疹または乾癬などの自己免疫疾患を含む、発疹のモニタリングに関連する、または発疹のモニタリングを妨害する可能性のある疾患)、すぐに生命を脅かす疾患(癌以外)、活動性で非制御の全身感染、臓器系の機能不全(例えば重度の腹水、凝血障害または脳症)、または他の消化管、皮膚または肺(臨床的適応がある場合、胸部コンピューター断層撮影(CT)のスクリーニング検査後)の合併症;
6. 試験薬物の初回投与前6か月以内に確認された、脳血管イベント(例えば、卒中または一過性虚血発作)、不安定狭心症、心筋梗塞、またはNew York Heart AssociationクラスIIIからIVの心不全の兆候もしくは症状の既往歴;
7. スクリーニング時に得られた3回測定した心電図(ECG)において、平均安静時QTc(例えば、QTcF)>470ミリ秒;
8. 重度の心不全、低カリウム血症、先天性QT延長症候群、QT延長症候群の家族既往歴、40歳未満での原因不明の突然死、またはQT間隔を延長するおよび/またはトルサード・ド・ポアントを引き起こすことが知られている任意の併用薬の使用などの、QTc延長のリスクまたは不整脈イベントのリスクを増大させるあらゆる要因;
9. 治験責任医師によって評価される、安静時心電図のリズム、伝導または形態におけるあらゆる臨床的に重要な異常、例えばペースメーカーなどによって制御されない完全左脚ブロックまたは第3度心ブロック;
10. 糖化ヘモグロビンが≧8%である非制御糖尿病;
11. 非制御の症候性脳転移;
注:中枢神経系を標的とした処置後少なくとも4週間進行の証拠がない場合、脳転移が処置された患者は資格がある。
12. スクリーニング時または試験薬物の開始前に、非制御高血圧(介入に反応しない、収縮期血圧(BP)≧160mmHgまたは拡張期BP≧100mmHgが繰り返し測定される);
13. 既知のHIV感染または後天性免疫不全症候群;
注:患者が組入れ時に以下の基準すべてを満たす場合、HIVは十分に制御されていると認められる:
a. CD4+T細胞(CD4+)数≧350細胞/μL;
b. 少なくとも4週間の確立された抗レトロウイルス治療(ART)
c. HIVウイルス負荷<400コピー/mL
14. 活動性B型肝炎(HBV)感染;
注:患者が以下の基準すべてを満たす場合、肝炎は制御(処置)されていると認められる:
q. HBVの抗ウイルス治療が、試験薬物の初回投与前少なくとも1か月投与されなければならない;
r. HBVウイルス負荷が、試験薬物の初回投与前に<2000IU/mL(104コピー/mL)でなければならない;および
s. ウイルス負荷が<2000IU/mL(104コピー/mL)である活動性HBV治療中の者は、試験処置を通して同じ抗ウイルスHBV治療を継続する必要がある。
15. 活動性C型肝炎(HCV)感染;
注:12週間目(SVR12)または24週間目(SVR24)のウイルス学的持続陰性化として定義される、慢性HCV感染の処置が成功している患者は、ウイルス持続陰性化達成(SVR12またはSVR24)と試験薬物の開始との間に4週間ある場合許可される。
16. その自然経過または処置が治験レジメンの安全性または有効性の評価を妨げる可能性がある以前または同時の悪性腫瘍、特に試験薬物の初回投与前3年以内に別の悪性腫瘍の既往歴がある患者、または以前診断された悪性腫瘍からの残存病変の証拠がある患者(基底細胞癌、皮膚の扁平上皮細胞癌、子宮頸部上皮内腫瘍、子宮頸部上皮内癌、上皮内黒色腫、または乳房の非浸潤性乳管癌に対する根治目的の処置により適切に管理されているものは除く)。
17. 試験薬物の初回投与の30日以内に、生ワクチンまたは弱毒化ワクチンの接種;
注:新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けた患者は、メディカルモニターと協議後、個別に検討される。
18. 臨床的に関連する免疫不全の診断;
19. 毎日10mg以上のプレドニゾンもしくは同等のものまたは別の強力な全身免疫抑制薬(例えば、カルシニューリン阻害薬、抗増殖薬、mTOR(哺乳類ラパマイシン標的)阻害薬)の使用;
20. 試験薬物の初回投与前の14日以内に、静脈内抗感染処置を受けたか、または基礎疾患に起因しない発熱がある;
21. プロトコールおよび/またはプロトコールに概説されているフォローアップ手順の遵守を困難とする心理的、家族的、社会的または地理的条件;
22. 以前のチェックポイント阻害薬治療に関連する臨床的に重大な安全性の懸念;
23. 同種造血細胞移植を含む、以前の臓器または造血細胞移植;
24. 自己免疫疾患の既往歴(よく制御されている糖尿病、脱毛症、よく制御されている甲状腺疾患または白斑症は除く);
25. 間質性肺疾患の既往歴;または
26. 試験の結果を混乱させ、患者の参加を妨げる可能性のある、または治験責任医師の意見で、試験に参加することが患者の最善の利益にならないと考えられる、あらゆる状態、治療または検査異常の以前または現在の証拠。
【0125】
試験デザインおよび期間
これは、ネクチン-4発現に関連する進行性固形腫瘍患者におけるBT7480の安全性、PKおよび臨床活性を評価するための第1/2相ヒト初回投与(FIH)、非盲検、用量漸増、用量確認および用量拡大の多施設試験である。腎機能障害の可能性があるコホートを用いたBT7480単独療法の用量漸増および用量拡大が、本試験の第1相部分の焦点となる。ニボルマブと組み合わせたBT7480を評価する後続の用量漸増および用量拡大コホートもまた、第1相の一部として評価され得る。オプションの腎機能障害コホートへの登録は、単剤治療の用量拡大/併用治療の用量漸増コホートへの登録と同時であり得る。試験の第2相は、第1相で決定した第2相推奨用量(RP2D)で投与される、単剤治療としてまたはニボルマブと組み合わせて、BT7480の有効性を評価する計画である。本試験は、世界で最大20か所の臨床施設で実施される計画である。
【0126】
ネクチン-4発現に関連する組織学的または細胞学的に確認された悪性固形腫瘍を有する患者を本試験に登録する。患者は、標準治療に反応しないか、または治験責任医師の判断により、標準治療が適切ではないかもしくは臨床的利益をもたらさないと判断される、局所進行性または転移性疾患を有しなければならない。
【0127】
患者は、ベースライン時に新鮮なまたは保管した腫瘍組織を提出し、ECOGがパフォーマンスステータススコア0または1であり、プロトコールで定義される許容可能な臓器および血液機能を有し、そして余命が≧12週間である必要がある。腫瘍に関連するネクチン-4発現レベルは、スクリーニング中に採取される保管腫瘍組織または新鮮な腫瘍生検を用いて、すべての患者についてレトロスペクティブに決定される。
【0128】
第1相単剤治療(用量漸増(コホート3以降)、拡大および腎機能障害コホート)中および第1相併用治療(用量漸増および拡大コホート)中に、患者は、オプションの対をなす(処置前および処置中)腫瘍生検を提供してもよい。患者がオプションの対をなす腫瘍生検に同意した場合、処置前ベースラインの腫瘍生検と保管腫瘍組織の両方が要求される。処置中の生検サンプル採取は、サイクル1の1日目の後いつでも許可され、該当し、かつ可能である場合、再発時も許可される。
【0129】
安全性および忍容性を、インフォームドコンセント時から安全性フォローアップ来院まで、バイタルサイン、身体検査、12誘導ECG、通常の臨床検査による評価(化学、血液学、凝固および尿検査)、ADAおよび有害事象(AE)により評価する。ニボルマブとの併用治療を受けるコホートの場合、自己免疫および内分泌障害についての更なるモニタリングが計画される。
【0130】
RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価のために、CTもしくは磁気共鳴画像スキャンまたは視覚病変の手動測定、または他の種類の画像撮影を、スクリーニング時;最初の12か月は8週間(±7日)ごと;その後は疾患の進行、死亡または別の反応中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごとに実施する必要がある。サイクル3以降、RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価を、12か月間は奇数サイクルの開始時(±7日)ごと、その後は疾患の進行、死亡または別の反応中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごとに実施する必要がある。疾患の進行は、特定の状況において、偽進行の可能性について更なる評価を必要とする場合があることも認められている。
【0131】
BT7480のPKを、事前に指定された時点で採取される連続血液および尿サンプルを用いて評価する。また、腫瘍濃度を、利用可能な場合、同様の方法で分析する。処置に対する薬力学的反応を、バイオマーカー分析(例えば、CD137標的関与(循環機構タンパク質およびフローサイトメトリーに基づく受容体占有率)、血液および腫瘍における探索的トランスクリプトミクスおよびプロテオミクス免疫プロファイル(炎症性サイトカイン、中和抗体、フローサイトメトリーイムノフェノタイピング、マルチプレックス免疫蛍光、RNA免疫プロファイル))により評価する。生殖細胞ゲノミクスのための単一血液サンプルを、サイクル1の1日目に投与前に採取し、ctDNA PGxのための血液サンプルを、事前に指定された時点で採取する。
【0132】
試験期間は約36か月で、用量漸増が約24か月、用量拡大が約12か月である。
【0133】
スクリーニング期間中(-4週目から0週目まで)に参加基準を満たす患者を試験に登録する。
【0134】
第1相用量漸増 - BT7480単剤治療
【0135】
BT7480単剤治療の用量漸増コホートの開始用量は、0.002mg/kgと計画する。患者は順次、BT7480の用量を増加するように割り当てられる(表1参照)。BT7480の用量は、各コホートに登録された患者が計画された用量と用量制限毒性(DLT)期間(初回投与後28日)の両方を完了した後、後続のコホートで増加される。DLT期間内に計画された用量が投与されなかったがDLTを経験した患者は、DLT評価可能とみなされる。肝機能不全のモニタリングを、患者が試験に参加する全期間継続する。
【0136】
測定不可能な疾患を有する患者は、コホート1~3に登録され得て、測定可能な疾患を有する患者のみが、コホート4~13に登録される。最初の4つのコホートのうちの1つの被験者が少なくとも試験薬物に関連している可能性のあるグレード2以上の有害事象を経験しない限り、少なくとも1名の評価可能な患者が、最初の4つのコホートのそれぞれに登録される。そのような事態が生じた場合、次の後続のコホートは、少なくとも3名の評価可能な患者が含まれ;被験者がDLTを経験する場合、3名の被験者を追加してさらに拡大する必要がある。被験者が、単一の患者拡大コホートのいずれかにおいてグレード3以上の毒性を経験する場合、現在のコホートは少なくとも3名の患者に拡大される。
【表1】
【0137】
後続の用量漸増コホート(コホート5以降、またはそのコホートで3名の患者拡大が生じた場合それ以前のコホート)は、3名の患者を最初に登録し、各用量レベルで処置する3+3デザインに基づいて患者を登録する。3+3デザイン、およびDLTが生じた場合の行動計画を、表2に示す。すべての3+3コホートにおいて、患者への初回投与とその後の患者への投与との間に少なくとも48時間ある。処置サイクルは、表S1の評価計画(SOA)に従って連続的に行われる。
【表2】
【0138】
3+3設計において、1名の患者がDLTを経験する場合、さらに3名の患者を同じ用量で処置する。次の用量レベルに進む前に、DLT期間(初回投与後28日)を完了した少なくとも3名の患者のコホートの評価が必要である。ある用量レベルで6名までのうち2名以上の患者がDLTを経験する場合、最大耐用量(MTD)を上回っている。ある用量レベルで6名までのうち2名以上の患者がDLTを経験し、3名の患者のみが前の(次に低い)用量で評価されていた場合、さらに3名の患者を前の(次に低い)用量で評価し;0または1名の患者がDLTを有する場合、安全性評価委員会(SRC)は、表1で特定される、後の方の用量レベルより低い中間用量レベルで患者の登録を検討する。中間用量レベルの漸増時にDLTがない場合、SRCは会合してMTDを決定する。
【0139】
MTDは上記のガイドラインに従って定義されるが、SRCの決定後に、所与のイベントの因果関係または重症度の帰属を変更する可能性のある更なるデータ(例えば、イベントのその後の展開、フォローアップ調査またはフォローアップ観察に基づく)が入手可能になった場合、SRCは用量漸増を再開することを決定し、以前のMTDが取り消される可能性がある。RP2Dは、MTDを超えず、有効性データを含む利用可能な安全性、PKおよび薬力学データに基づいてSRCによって決定される。
【0140】
DLTの観察期間は、主に急性イベントを評価するように設計されている。数サイクルの治療を通じて生じる可能性のある、肝機能に特に注意を要する長期的かつおそらく免疫関連のAEは、各SRC会議中に実施される評価で考慮される。
【0141】
各コホートのDLT期間の完了後、SRCは、有効性データを含む利用可能な安全性、PKおよび薬力学的データを確認し、用量漸増の可能性と次のコホートの推奨用量レベルを決定する。データは、SRCが投与の継続に納得できる十分な最低基準(SRC憲章に特定されている)を満たしていなければならない。
【0142】
患者内用量漸増:メディカルモニターおよび治験責任医師の裁量により、1つ前の低用量コホートの患者は、SRCによる正式な用量漸増決定により安全とみなされる最高用量レベルより1つ用量レベルが低い高用量を投与される場合がある。例えば、患者が0.006mg/kgに忍容性があり、0.05mg/kgが安全であるといえる場合、患者は0.02mg/kgの用量に増量し得る。高用量コホートにおける患者の臨床経験は、SRCによるデータ全体の一部として考慮されるが、すでに行われている正式な用量漸増の決定には寄与しない。
【0143】
オプションのバックフィルコホート:用量漸増中に、BT7480の忍容性、PK、薬力学および生物学的活性をさらに評価するために、選択された用量レベルをさらに拡大し(バックフィルとも呼ばれる)、所与の用量レベルごとに最大10名の患者を含めることができる。患者が不必要に治療用量以下のレベルに登録されることがないようにするために、これらの用量レベルの拡大は、SRCによってすでに安全であると宣言された用量レベルが治療曝露、標的関与、または治験責任医師が評価した反応の証拠が示している場合にのみ開始される。
【0144】
これを超える後続用量レベルも、SRCによって安全であると宣言された後、登録の拡大の対象となる。オプションのバックフィルコホートと用量漸増コホートの両方で同時に枠が利用可能な場合は、用量漸増コホートへの登録が優先される。
【0145】
中止した患者、またはDLT以外の理由で試験完了前に処置を終了し、MTDを決定する集団に含めるための最低要件を満たさない患者は、各コホートの適切な安全性評価を確実にするために、必要に応じて入れ替えられる。
【0146】
第1相用量確認 - オプションのBT7480単剤治療の腎機能障害コホート
【0147】
SRCがBT7480単剤治療の用量を決定した後、中等度の腎不全(MDRD式によりCLcr>30~59mL/分または現地の同等なもの)を各々有する6名の患者の2コホートは、正常腎機能および軽度腎機能障害(クレアチニンクリアランス≧60mL/分)を有する患者におけるPK、薬力学、安全性および有効性の全体に基づく用量で登録される。用量漸増中の治療指数に関して十分な懸念がある場合、SRCは腎臓コホートに対してより低い用量を指示する。CLcrが50~59mL/分である6名の患者が最初に登録され、その後CLcrが>30~49mL/分である6名の患者が登録される。処置サイクルは表S2に示すとおり連続的に行われる。
【0148】
患者が6名以下の腎機能障害コホートで2名以上の患者がDLT期間(初回投与後28日)中にDLTを経験する場合、MTDを超えており、SRCの審査が行われるまで登録を中止する。SRCは、有効性データを含む利用可能な安全性、PKおよび薬力学データを審査し、更なるコホート/患者が必要かを決定する。中止した患者、またはDLT以外の理由で試験完了前に処置を終了し、MTDを決定する集団に含めるための最低要件を満たさない患者は、各コホートの適切な安全性評価を確実にするために、必要に応じて入れ替えられる。
【0149】
第1相用量漸増 - オプションの併用治療
【0150】
SRCがBT7480単剤治療の用量を決定した後、併用治療(BT7480+ニボルマブ)の用量漸増を開始し得る。併用治療におけるBT7480の開始用量は、BT7480単剤治療RP2Dより1用量レベル低い。表3参照。患者は、3+3デザインに基づいて登録され、3名の患者が最初に各用量レベルに登録され、処置される。処置サイクルは表S3に示すとおり連続的に行われる。
【表3】
【0151】
これら3名の患者の内1名がDLT期間(初回投与後28日)中にDLTを経験する場合、用量レベルを6名の患者に拡大する。BT7480用量は、各コホートに登録される患者が計画した用量のBT7480およびニボルマブならびにDLT期間を完了した後、後続コホートで増加させる。DLT期間内に計画した用量を投与されていないがDLTを経験した患者は、DLTが評価可能とみなされる。
【0152】
患者が6名以下のあらゆるコホートにおいて2名以上の患者がDLTを経験する場合、MSDを超えている。各コホートの後に、SRCは有効性データを含む利用可能な安全性、PKおよび薬力学データを審査し、更なるコホート/患者が必要かを決定する。用量レベルがBT7480単剤治療RP2Dを超えることはない。
【0153】
患者が、BT7480と関連しないと考えられる併発イベントを有する場合、患者は、SRC検討に評価可能とみなし得る。患者がDLTではないがBT7480に関連し、SRCにより臨床的に重大であるとみなされるイベントを有する場合、当該イベントは用量漸増の決定のために評価する。
【0154】
中止した患者、またはDLT以外の理由で試験完了前に処置を終了し、MTDを決定する集団に含めるための最低要件を満たさない患者は、各コホートの適切な安全性評価を確実にするために、必要に応じて入れ替えられる。
【0155】
第1相用量拡大 - 単剤治療およびオプションの併用治療
【0156】
単剤治療(BT7480)または併用治療(BT7480+ニボルマブ)のいずれかのRP2Dを決定した後、試験を拡大し、2つのコホートの最大20名の患者が、単剤治療および併用治療のために選択された用量に曝露される。処置サイクルは、単剤治療の場合は表S1、併用治療の場合は表S3に示すとおり行われる。
【0157】
第2相有効性評価 - 単剤治療およびオプションの併用治療
【0158】
第1相の用量漸増および用量拡大で観察された臨床活動に基づいて、第2相の試験中に最大2つのコホートの患者が、2つの腫瘍定義コホートに登録され得る。BT7480は、第1相の単剤治療または併用治療コホートから決定されたRP2Dで投与される。処置サイクルは、単剤治療の場合は表S1、併用治療の場合は表S3に示すとおり行われる。
【0159】
用量制限毒性
毒性を、他に明記されない限り、NCI CTCAEバージョン5.0を用いて評価する。毒性は、DLTの定義を満たし、DLT期間(初回投与後28日)中に発生し、BT7480に関連する場合、「用量制限」毒性とみなされる。これらの基準は、初回投与または組合せを投与されるときに適用されることに留意されたい。SRCは、その後に支持療法薬が投与されるかも考慮する。ALT、AST、総ビリルビンおよびアルカリホスファターゼ(ALP)を含む関連パラメーターの継続的な測定は、DLT期間を超えて行われ、CD137アゴニスト標的薬の履歴に留意しながら、SRCと個々の治験責任医師によって定期的に検査される。
【0160】
併用治療コホートでは、ニボルマブに関連することが知られている毒性は、治験責任医師の判断により異常であるか、または重症度もしくは持続期間が著しく増加している場合を除き、必ずしもDLTであると判断されるわけではない。ニボルマブと直接関連することが知られており、ニボルマブ処置の中止の原因となる毒性を有する併用治療コホートの患者は、治験責任医師の裁量により単剤のBT7480を投与され、試験を継続し得る。BT7480と直接関連すると推定されるか、または関連することが知られている毒性を有する併用治療コホートの患者もまた、ニボルマブを中止し、治験責任医師の裁量により安全性フォローアップのために試験を継続し得る。
【0161】
DLT定義には下記が含まれる:
1. 血液学的AE:
a. グレード4以上の好中球減少症が5日を超えて継続;
b. 発熱性好中球減少症(ANCが<1000細胞/mm3と定義され、単回の体温が38.3℃(101°F)、または1時間を超えて38℃(100.4°F)の体温が持続);
c. グレード4以上の血小板減少症;
d. 臨床的に重大な出血を伴う、グレード3の血小板減少症;または
e. 基礎疾患または既存の腎機能障害によって説明できないグレード3以上の貧血(腎機能障害コホート)。
2. 非血液学的AE:
a. グレード3以上の疲労が5日以上継続;
b. サイクル1の1日目の点滴開始からDLT期間終了までの期間中に生じたあらゆる臨床的に重大な期間のあらゆるグレード3以上の非血液学的AE(支持療法に反応し、72時間以下の継続であるグレード3以上の悪心、嘔吐または下痢を除く);
c. グレード3以上の高血圧;
d. 毒性以外の状況(例えば、参加者の非順守、基礎疾患状態の顕著な寄与または薬物送達に関する物流上の問題)を除き、DLT期間に計画された総投与量の少なくとも75%を送達することができないことにつながるあらゆる関連AE;または
e. 薬剤誘発性肝障害(Hyの法則)基準を満たすアミノトランスフェラーゼおよび総ビリルビンの上昇、すなわち以下の要素が同時に発生する場合:
・ALTまたはASTが>3×ULN(または、肝転移患者の場合>3×ベースライン);
・総ビリルビンが>2×ULN(または、肝転移患者の場合>2×ベースライン);
・ALPが<2×ULN;および
・ウイルス性肝炎、アルコール濫用、虚血、既存の肝疾患、または観察された傷害を引き起こすことができる別の薬物などの、アミノトランスフェラーゼおよび血清総ビリルビンの増加の組合せを説明する他の理由が認められない。
【0162】
DLTと自動的にみなされないイベントには下記が含まれる:
・グレード3以下の悪心、嘔吐または下痢が72時間以下の継続;
・グレード3以上の電解質異常が72時間以下で継続し、臨床的に複雑ではなく、自然に解消するか、または従来の医学的加入に反応する;
・膵炎の臨床症状を伴わない、グレード3以上のアミラーゼまたはリパーゼ;および
・疾患、既存の状態、ニボルマブまたは環境要因に明らかに関連するAE。
【0163】
疾患の進行または治療中止により早期に処置を中止する患者は、処置終了時の安全性評価をすべて実施するように求められる。中止した患者、またはDLT以外の理由で試験完了前に処置を終了し、MTDを決定する集団に含めるための最低要件を満たさない患者は、用量漸増およびオプションの腎機能障害の各コホートの適切な安全性評価を確実にするために、必要に応じて入れ替えられる。
【0164】
投与形態および投与経路
BT7480
BT7480は、1バイアル当たり66mgのBT7480を含む4R注射バイアルで提供される。製剤を、注射用水1mLで再構成して(再構成された総容量は1.1mLとなる)、BT7480を目標濃度60mg/mLで得て、静脈内投与(点滴)前に0.9%生理食塩水点滴バッグに希釈される。
【0165】
用量は、用量コホートの割り当ておよび患者の体重(kg)に基づいて計算する。サイクルの1日目から体重が10%以上変化しない限り、サイクル中に用量の再調整は実施しない。
【0166】
管理可能な点滴関連反応が観察される場合、必要に応じて、その後の投与時に前投薬(例えば、ジフェンヒドラミン、アセトアミノフェン)が推奨される。ステロイド類は、前投薬/予防として避けるべきである。
【0167】
BT7480は、60(-5/+15)分かけて(すなわち、55~75分間の注入時間が許容される)静脈内点滴としてQW投与される。
【0168】
ニボルマブ
ニボルマブは、40mg/4mL、100mg/10mLおよび240mg/24mLのバイアルとして提供される。試験中に投与される用量は240mg Q2Wとなる。
【0169】
ニボルマブは、0.9%塩化ナトリウム注射液または5%デキストロース注射液で希釈して、最終濃度を1mg/mL~10mg/mLの範囲にする。点滴の総量は160mLを超えてはならない。
【0170】
ニボルマブの前投薬は、現地の標準治療(例えば、アセトアミノフェン、ジフェンヒドラミン)に従う必要がある。ステロイド類は、前投薬/予防として避けるべきである。
【0171】
ニボルマブ240mgは、併用治療の一部として、30(-5/+15)分かけて静脈内点滴としてQW投与される。ニボルマブ投与の総期間は、患者の処置に対する反応および治験担当医師の判断に基づく。
【0172】
ニボルマブ同時投与日は、先ずBT7480を投与し、その後少なくとも1時間観察し、その後、最初のラインを適切に洗浄後、または別のラインを介してニボルマブを静脈内点滴として投与する必要がある。
【0173】
評価項目
主要評価項目
第1相
・NCI CTCAEバージョン5.0を用いた、臨床検査結果、ECG所見およびバイタルサインの異常を潜在的に含む、処置関連有害事象(TEAE)の発生率および重症度。
【0174】
第2相
・治験責任医師の評価に基づいてRECIST 1.1により、完全奏効(CR)と部分奏効(PR)として定義される、全奏効率(ORR);および
・治験責任医師の評価に基づいてRECIST 1.1により、8週間以上CR、PRまたは安定疾患(SD)を有する患者の割合として定義される、臨床的有益率(CBR)。
【0175】
副次評価項目
第1相
・治験責任医師の評価に基づいてRECIST 1.1による、ORR;および
・治験責任医師の評価に基づいてRECIST 1.1により、8週間以上CR、PRまたはSDを有する患者の割合として定義される、CBR。
【0176】
第2相
・NCI CTCAEバージョン5.0を用いた、臨床検査結果、ECG所見およびバイタルサインの異常を含む、TEAEの発生率および重症度。
【0177】
第1相および第2相
・RECIST 1.1による、治療に対する最初の反応(CRまたはPR)とその後の疾患の進行との間の時間として定義される、奏効期間(DoR);
・単剤治療としてまたはニボルマブと組み合わせて、BT7480で処置した患者における、6か月および全期間での無増悪生存期間、増悪までの時間、奏効期間、12か月での全生存期間ならびに奏効までの時間;
・単剤治療としてまたはニボルマブと組み合わせて、BT7480で処置した腎機能が正常および低下した患者におけるBT7480のPKパラメーター;
・単剤治療としてまたはニボルマブと組み合わせて、BT7480で処置した患者におけるADAの発生率;および
・単剤治療としてまたはニボルマブと組み合わせて、BT7480で処置した患者の末梢血中のCD137標的関与の決定。
【0178】
探索的評価項目
第1相および第2相
・BT7480で処置した患者の血液および腫瘍における免疫細胞活性化の潜在的な変化の評価(トランスクリプトミクスおよびプロテオームプロファイリング);
・BT7480で処置した患者の免疫細胞と腫瘍細胞間の空間プロテオミクスプロファイルの潜在的な変化の評価;
・BT7480で処置した患者の血漿中の可溶性標的および炎症性サイトカインのベースラインからの潜在的な変化の評価;
・ベースラインの腫瘍および末梢血サンプルからのバイオマーカーの評価(これらに限定されないが、ネクチン-4、CD137、プログラム細胞死タンパク質1/PD-L1など);
・BT7480で処置した患者における生殖細胞PGxの評価;および
・BT7480で処置した患者におけるctDNAの定量。
【0179】
薬物動態評価
単剤治療としておよびニボルマブと組み合わせたBT7480のPK特性評価は、有効な生体分析法で実施し、非コンパートメント分析を用いた以下のパラメーターの計算を含む:
・最大血漿濃度(Cmax);
・Cmaxまでの時間;
・終末半減期;
・時間0から時間tまでの血漿濃度時間曲線下面積;
・時間0から無限までの血漿濃度時間曲線下面積;
・血漿からの薬物の見かけの全身クリアランス;
・見かけの分布容積。
利用可能な場合、BT7480の尿中濃度を用いて、以下のPKパラメーターを計算する:
・尿中に排泄されるBT7480の累積量;
・腎クリアランス;および
・腎臓から排泄される投与量の割合。
【0180】
相関テスト:
患者は、組織学的または細胞学的確認、ネクチン-4発現レベルの評価、ならびに免疫状態のマーカー(例えばプログラム死リガンド1(PD-L1)発現および免疫細胞浸潤)、増殖(例えばKi-67)および/または免疫原性細胞死を含むがこれらに限定されない更なる分子的または遺伝子的特定評価のために、ベースライン時に新鮮なまたは保管した腫瘍組織を提出しなければならない。
【0181】
対をなす(処置前および処置中)腫瘍生検を採取して、BT7480の腫瘍内PKおよび薬力学的効果を調べる場合がある。
【0182】
投与前および投与後の血液サンプルを採取して、薬力学的反応、BT7480反応に関連するバイオマーカーおよび処置抵抗性バイオマーカーを評価する。
【0183】
統計分析:
以下の分析対象集団が定義される。分析対象集団は、各試験フェーズで個別に定義される。
【0184】
完全分析セットには、登録されたすべての患者が含まれる。
【0185】
安全性分析セットには、BT7480を少なくとも1回投与されたすべての患者が含まれる。
【0186】
反応評価可能分析セットには、BT7480を少なくとも1回投与され、ベースライン後のRECIST 1.1評価が少なくとも1回評価可能なすべての患者が含まれる。
【0187】
PK分析セットには、BT7480を少なくとも1回投与され、投与後の血漿濃度が少なくとも3回測定可能なすべての患者が含まれる。
【0188】
他の分析セットは必要に応じて定義され得て、該当する場合は統計分析計画に記載される。
【0189】
正式な仮説検定は計画されず、要約は一般的に記述的なものとなる。データの種類(連続またはカテゴリー)に基づいて、各評価に適切な要約が提供される。
【0190】
他に記載がない限り、分析は通常、試験フェーズおよびBT7480の投与量レベル(第1相)およびコホート(第2相)ごとに別々に示される。第1相の要約について適切な場合、腎機能障害コホート患者および併用治療で処置された患者は、分析に応じて、別々に示される場合がある。
【0191】
第2相では、主要有効性分析は、ORRとCBRの点推定値と、安全性分析セットの関連する95%の正確な信頼区間を示す。ORRの計算に含めるには、次のRECIST 1.1評価で奏効を確認される必要がある。患者が8週間の前にSD(またはそれ以上)の反応を示し、その後の評価がない場合、その患者はCBRの計算では不成功とみなされる。安全性分析セットと反応評価可能分析セットが異なる場合、反応評価可能分析セットを用いて感度分析を実施し得る。
【0192】
副次有効性解析では、イベントまでの時間の評価項目(無増悪生存期間、増悪までの時間、奏効期間、全生存期間、および奏効までの時間)は、カプラン・マイヤー法を用いて要約する。打ち切りルールに関する更なる詳細は、統計分析計画に記載する。末梢血中のCD137標的関与のレベルは、記述的に要約する。
【0193】
安全性分析は、安全性分析セットを用いて実施される。安全性評価は、連続変数について実際の値とベースラインからの変化を記述的に要約する。TEAE、重篤なAEおよびDLTは、器官別大分類および基本語に要約する。重症度、重篤度および試験薬との関係によるAEの更なる要約が提示される。ADAの発生率も要約する。更なる詳細は統計分析計画に記載する。
【0194】
BT7480のPKパラメーターは、標準的な非コンパートメント分析法を用いて計算し、記述統計を用いて要約する。PK濃度データは、記述統計を用いて要約する。血漿BT7480濃度は、タイムポイントに対してプロットする(線形および片対数)。更なる詳細は統計分析計画に記載する。
【0195】
第2相における正式な中間分析は計画されない。
【0196】
有効性データを含む利用可能な安全性、PKおよび薬力学データは、SRCによって継続的に審査される。
【0197】
サンプルサイズの決定
試験全体では、合計約200名の患者が登録される。
【0198】
第1相
第1相において、登録される患者総数は、約110名(オプションのコホートを含む)である。サンプルサイズは、観測データおよびRP2Dの決定に基づいて決定する。約40名の患者を単剤治療の用量漸増コホートに登録することを計画する。中等度の腎機能障害を有する約12名の患者を、正常腎機能および軽度腎機能障害(クレアチニンクリアランス60≧mL/分)を有する患者におけるPK、薬力学、安全性および有効性の全体に基づく用量で用量確認のために登録し得る。単剤治療RP2Dの決定後、約12名の患者を併用治療用量漸増コホートに登録し得る。
【0199】
単剤治療および併用治療のRP2Dの決定時に、約20名の更なる評価可能な患者を、単剤治療および併用治療の各用量拡大コホートに登録し得る。ベースライン後のRECIST 1.1評価を少なくとも1回受けていない患者は、用量拡大コホートにおいて変え得る。
【0200】
中等度の腎機能障害コホートに想定される12名の患者は、腎機能障害患者における曲線下面積が2倍超なるなど、腎臓への全体的な影響を示すのに十分であると考えられる。これはFIH試験であるため、個人間の変動の程度は現時点では不明であり、それ故に正式なサンプルサイズの計算を行うことはできない。
【0201】
膀胱癌などの一部の症状では、50%もの患者がある程度の腎機能障害を有する可能性がある。このコホートは、このような患者を早期段階の腫瘍学的試験に含めることを可能にすると同時に、かなりの腎ろ過を受けることが予測されるこの薬剤における腎機能障害の影響についての初期の概算も得られる。
【0202】
第2相
用量拡大後、プロトコールは第2相の各コホートにさらに45名の評価可能な患者を含めるように進め得る。第2相に登録される予定の患者総数は約90名である(オプションのコホートを含む)。
【0203】
臨床検査分析項目
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0204】
【表12】
注:[X]のついた手順については、サンプル採取スケジュールの表S4を参照。
a. 長期投与後PKおよび薬力学サンプルの採取に対応できない一部の施設には在宅医療訪問を提供し得る(表S4参照)。
b. DLT期間は、用量漸増コホートのみに適用される。
c. 患者がBT7480を永久的に中止するとき、好ましくは新たな癌治療を開始する前に、EOT来院を実施しなければならない。当該来院は、BT7480の投与後1週間(±2日)以内かつ14日以内、および安全性FU来院前に、実施する必要がある。患者がPDを有することなく終了する場合、RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価を、過去4週間以内に実施されていない限り実施しなければならない。
d. 安全性FU来院は、BT7480の最後の投与の30(±5)日後に実施しなければならない。
e. 安全性FU来院後の更なるFU来院は、最初の12か月は8週間(±7日)ごと、その後は疾患の進行、死亡または別の治療中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごとに実施される。
f. 疾患の進行後、患者は死亡するまで、または最後の患者が生じた後最大1年間、生存を12週間(±28日)ごとに追跡される。患者は、外来または電話により連絡を受けることができる。
g. ビジットウィンドウは延長され得る(脚注aaおよびbb参照)。
h. C1D1に、BT7480の点滴前にすべての手順および臨床検査を完了する。BT7480の初回投与の開始前72時間以内(またはPKおよびバイオマーカーのサンプル採取については14日目;表4参照)スクリーニングおよび臨床検査を実施する場合、ECOGパフォーマンスステータス、略式身体検査、バイタルサインおよび3回繰り返す12誘導ECGを除き、C1D1にスクリーニングおよび臨床検査を繰り返す必要はない。
i. BT7480を静脈内点滴として60(-5/+15)分かけて(すなわち55~75分の注入時間が許容される)1週間に1回(またはSRCで特定されるとおり)投与する。C1中に、バイタルサインを含む注入部位反応について、開始前30分以内、点滴中(最低30(±10)分ごと)、EOI時(-5分)およびEOI後30および60(±10)分にて患者は評価を受けなければならない。
j. 全身体検査は、次の評価を含む:頭部、耳、鼻、喉、心臓血管系、呼吸器系、消化管系、神経系、皮膚科系、筋骨格系および該当する場合は泌尿生殖器系。
k. 略式身体検査は、治験責任医師の裁量による症状に基づく検査を含む。スクリーニング評価をC1D1のBT7480の初回投与開始前の72時間以内実施している場合、C1D1に略式身体検査(全身体検査ではない)を実施する。
l. 体重が10%以上変化した患者についてBT7480用量を再計算する。身長はスクリーニング時にのみ測定し、BMIの計算に用いる。
m. 患者が少なくとも5分間座位で休息した後、バイタルサイン(収縮期および拡張期血圧、心拍数、呼吸数および体温)を評価する。
n. 他の手順前かつ患者が少なくとも3分間休息した後12誘導ECG(安全性モニタリングのため)を得て、局所的に評価する。また、スクリーニング、C1D1およびC1D15のトレーシングは、中央ECGベンダーによって3回繰り返し行われ、将来の分析可能性のために保存される(第1相の用量漸増コホートのみ)。サイクル1中に、D1とD15の投与前、EOIおよびEOI後60分にて血漿PKサンプル採取と同時にECGが行われる。サイクル2以降中では、D1の投与前およびEOIにて血漿PKサンプル採取と同時にECGが行われる。3回繰り返すとき、各記録は約1分ずつ区切られ、3回のECGが5分間の範囲で収集される。安全性ECGは、3回繰り返しECGを収集するかにかからわず実施しなければならない。
o. 先行投薬はスクリーニング時にのみ登録する。同時投薬は医学的に指示されている場合投与されてもよい。インフォームドコンセントから安全性FU来院までの試験中に患者が摂取したあらゆる投薬は、同時投薬とみなされる。すべての同時投薬を、使用理由、投与日および投与量と共に患者のCRFに記録しなければならない。
p. すべてのAEを、因果関係または重症度にかかわらず、インフォームドコンセントからBT7480の最後の投与後30(±5)日まで記録する。治験責任医師は、進行中の治験薬関連のAEが解消/安定するまで、または状態が事実上慢性化するまで、患者の追跡を継続しなければならない。
q. C4後、D1およびD15にのみ、分画数でのCBCを予定する。
r. 投与前にC1D1化学結果を確認する。C4後、D1およびD15にのみ、化学を予定する。
s. スクリーニング時、C1来院およびEOT時に完全な尿検査を実施する;他のすべての来院時は反射沈降法による試験紙検査に置き換え得る。
t. WOCBPの妊娠検査を、スクリーニング時(血清)、C1から始まる各処置サイクルの開始時(C1の場合は尿、後続のサイクルの場合は尿または血清)、および安全性FU時(尿または血清)にのみ実施する。
u. ウイルス検査および血清学的マーカー。
v. 時間ごとのPK血液サンプル採取およびPK尿サンプル採取の詳細については表S4参照。計画したBT7480の投与がAEのため保留され、その週の後の日に投与されるとき、実際の投与日に処置前のPKサンプルを採取し、「計画外」とラベルを付ける必要がある。
w. この試験で計画されるバイオマーカーのためのサンプル採取の詳細については表S4参照。
x. ベースライン腫瘍組織(10~15枚の未染色のFFPEスライド)の提供が必須である。腫瘍のネクチン-4発現を、スクリーニング中に採取される保管腫瘍組織または新鮮な腫瘍生検を用いて、すべての患者について遡って分析する。保管腫瘍組織は、組織ブロックまたは10~15枚のFFPE未染色スライドとして提供する必要がある。
y. 第1相単剤治療(用量漸増(コホート3以降)および拡大)中に、患者は、オプションの対をなす(処置前および処置中)腫瘍生検を提供してもよい。患者がオプションの対をなす腫瘍生検に同意した場合、処置前ベースラインの腫瘍生検と保管腫瘍組織の両方が要求される。処置中の生検サンプル採取は、C1D1後いつでも許可され、該当し可能である場合、再発時も許可される。腫瘍生検採取中に、1つの凍結PKサンプルとFFPEブロック(少なくとも10~15枚のスライド)ための材料を提供するのに十分なコア(≧3)を採取する。コア針生検を用いた腫瘍組織の採取が不可能なとき、十分なサンプル数(≧5)が採取される場合、細針吸引サンプルが許容される。
z. 生検が実施可能で、更なる生検に同意したアクセス可能な腫瘍病変を有する患者については、処置中の腫瘍生検および正常皮膚生検を実施する。
aa. RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価のために、CTもしくはMRIスキャンまたは視覚病変の手動測定、または他の種類の画像撮影を、スクリーニング時;最初の12か月は8週間(±7日)ごと、その後は疾患の進行、死亡または別の反応中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごとに実施する。
bb. C3以降、RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価を、12か月間は奇数サイクルの開始時(±7日)ごと、その後は疾患の進行、死亡または別の反応中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごと実施する。
AE=有害事象;BMI=ボディマス指数;C=サイクル;CBC=全血球計算;CT=コンピューター断層撮影;D=サイクル中の日数;DLT=用量制限毒性;ECG=心電図;ECOG=Eastern Cooperative Oncology Group;eCRF=電子症例報告書;EOI=点滴終了;EOT=処置終了;FFPE=ホルマリン固定パラフィン包埋;FSH=卵胞刺激ホルモン;FU=フォローアップ;h=時間;min=分;MRI=磁気共鳴画像撮影;OS=全生存期間;PD=進行性疾患;PFS=無増悪生存期間;PK=薬物動態;RECIST=固形腫瘍の治療効果判断基準;screen=スクリーニング;SRC=安全性評価委員会;WOCBP=妊娠可能な女性。
【0205】
【表13】
注:[X]のついた手順については、サンプル採取スケジュールの表S4を参照。
a. 長期投与後PKおよび薬力学サンプルの採取に対応できない一部の施設には在宅医療訪問を提供し得る(表S4参照)。
b. 患者がBT7480を永久的に中止するとき、好ましくは新たな癌治療を開始する前に、EOT来院を実施しなければならない。当該来院は、BT7480の投与後1週間(±2日)以内かつ14日以内、および安全性FU来院前に、実施する必要がある。患者がPDを有することなく終了する場合、RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価を、過去4週間以内に実施されていない限り実施しなければならない。
c. 安全性FU来院は、BT7480の最後の投与の30(±5)日後に実施しなければならない。
d. 安全性FU来院後の更なるFU来院は、最初の12か月は8週間(±7日)ごと、その後は疾患の進行、死亡または別の治療中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごとに実施される。
e. 疾患の進行後、患者は死亡するまで、または最後の患者が生じた後最大1年間、生存を12週間(±28日)ごとに追跡される。患者は、外来または電話により連絡を受けることができる。
f. ビジットウィンドウは延長され得る(脚注zおよびaa参照)。
g. C1D1に、BT7480の点滴前にすべての手順および臨床検査を完了する。BT7480の初回投与の開始前72時間以内(またはPKおよびバイオマーカーのサンプル採取については14日目;表4参照)スクリーニングおよび臨床検査を実施する場合、ECOGパフォーマンスステータス、略式身体検査、バイタルサインおよび12誘導ECGを除き、C1D1にスクリーニングおよび臨床検査を繰り返す必要はない。
h. BT7480を静脈内点滴として60(-5/+15)分かけて(すなわち55~75分の注入時間が許容される)1週間に1回投与する。C1中に、バイタルサインを含む注入部位反応について、開始前30分以内、点滴中(最低30(±10)分ごと)、EOI時(-5分)およびEOI後30および60(±10)分にて患者は評価を受けなければならない。
i. 全身体検査は、次の評価を含む:頭部、耳、鼻、喉、心臓血管系、呼吸器系、消化管系、神経系、皮膚科系、筋骨格系および該当する場合は泌尿生殖器系。
j. 略式身体検査は、治験責任医師の裁量による症状に基づく検査を含む。スクリーニング評価をC1D1のBT7480の初回投与開始前の72時間以内実施している場合、C1D1に略式身体検査(全身体検査ではない)を実施する。
k. 体重が10%以上変化した患者についてBT7480用量を再計算する。身長はスクリーニング時にのみ測定し、BMIの計算に用いる。
l. 患者が少なくとも5分間座位で休息した後、バイタルサイン(収縮期および拡張期血圧、心拍数、呼吸数および体温)を評価する。
m. 他の手順前かつ患者が少なくとも3分間休息した後12誘導ECG(安全性モニタリングのため)を得て、局所的に評価する。サイクル1中に、D1とD15の投与前、EOIおよびEOI後60分にて血漿PKサンプル採取と同時にECGが行われる。サイクル2以降中では、D1の投与前およびEOIにて血漿PKサンプル採取と同時にECGが行われる。
n. 先行投薬はスクリーニング時にのみ登録する。同時投薬は医学的に指示されている場合投与されてもよい。インフォームドコンセントから安全性FU来院までの試験中に患者が摂取したあらゆる投薬は、同時投薬とみなされる。すべての同時投薬を、使用理由、投与日および投与量と共に患者のCRFに記録しなければならない。
o. すべてのAEを、因果関係または重症度にかかわらず、インフォームドコンセントからBT7480の最後の投与後30(±5)日まで記録する。治験責任医師は、進行中の治験薬関連のAEが解消/安定するまで、または状態が事実上慢性化するまで、患者の追跡を継続しなければならない。
p. C4後、D1およびD15にのみ、分画数でのCBCを予定する。
q. 投与前にC1D1化学結果を確認する。C4後、D1およびD15にのみ、化学を予定する。
r. スクリーニング時、C1来院およびEOT時に完全な尿検査を実施する;他のすべての来院時は反射沈降法による試験紙検査に置き換え得る。
s. WOCBPの妊娠検査を、スクリーニング時(血清)、C1から始まる各処置サイクルの開始時(C1の場合は尿、後続のサイクルの場合は尿または血清)、および安全性FU時(尿または血清)にのみ実施する。
t. ウイルス検査および血清学的マーカー。
u. 時間ごとのPK血液サンプル採取およびPK尿サンプル採取の詳細については表S4参照。計画したBT7480の投与がAEのため保留され、その週の後の日に投与されるとき、実際の投与日に処置前のPKサンプルを採取し、「計画外」とラベルを付ける必要がある。
v. この試験で計画されるバイオマーカーのためのサンプル採取の詳細については表S4参照。
w. ベースライン腫瘍組織(10~15枚の未染色のFFPEスライド)の提供が必須である。腫瘍のネクチン-4発現を、スクリーニング中に採取される保管腫瘍組織または新鮮な腫瘍生検を用いて、すべての患者について遡って分析する。保管腫瘍組織は、組織ブロックまたは10~15枚のFFPE未染色スライドとして提供する必要がある。
x. 腎機能障害コホートの患者は、オプションの対をなす(処置前および処置中)腫瘍生検を提供してもよい。患者がオプションの対をなす腫瘍生検に同意した場合、処置前ベースラインの腫瘍生検と保管腫瘍組織の両方が要求される。処置中の生検サンプル採取は、C1D1後いつでも許可され、該当し可能である場合、再発時も許可される。腫瘍生検採取中に、1つの凍結PKサンプルとFFPEブロック(少なくとも10~15枚のスライド)ための材料を提供するのに十分なコア(≧3)を採取する。コア針生検を用いた腫瘍組織の採取が不可能なとき、十分なサンプル数(≧5)が採取される場合、細針吸引サンプルが許容される。
y. 生検が実施可能で、更なる生検に同意したアクセス可能な腫瘍病変を有する患者については、処置中の腫瘍生検および正常皮膚生検を実施する。
z. RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価のために、CTもしくはMRIスキャンまたは視覚病変の手動測定、または他の種類の画像撮影を、スクリーニング時;最初の12か月は8週間(±7日)ごと;その後は疾患の進行、死亡または別の反応中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごとに実施する。
aa. C3以降、RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価を、12か月間は奇数サイクルの開始時(±7日)ごと、その後は疾患の進行、死亡または別の反応中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごと実施する。
AE=有害事象;BMI=ボディマス指数;C=サイクル;CBC=全血球計算;CT=コンピューター断層撮影;D=サイクル中の日数;DLT=用量制限毒性;ECG=心電図;ECOG=Eastern Cooperative Oncology Group;eCRF=電子症例報告書;EOI=点滴終了;EOT=処置終了;FFPE=ホルマリン固定パラフィン包埋;FSH=卵胞刺激ホルモン;FU=フォローアップ;h=時間;min=分;MRI=磁気共鳴画像撮影;OS=全生存期間;PD=進行性疾患;PFS=無増悪生存期間;PK=薬物動態;RECIST=固形腫瘍の治療効果判断基準;screen=スクリーニング;WOCBP=妊娠可能な女性。
【0206】
【表14】
注:[X]のついた手順については、サンプル採取スケジュールの表S4を参照。
注:併用治療の場合、EOIはBT7480点滴の終了を指す。
a. 長期投与後PKおよび薬力学サンプルの採取に対応できない一部の施設には在宅医療訪問を提供し得る(表S4参照)。
b. DLT期間は、用量漸増コホートのみに適用される。
c. 患者が試験薬物(BT7480および/またはニボルマブ)を永久的に中止するとき、好ましくは新たな癌治療を開始する前に、EOT来院を実施しなければならない。当該来院は、試験薬物の投与後1週間(±2日)以内かつ14日以内、および安全性FU来院前に、実施する必要がある。患者がPDを有することなく終了する場合、RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価を、過去4週間以内に実施されていない限り実施しなければならない。
d. 安全性FUは、試験薬物の最後の投与の125(±5)日後に実施しなければならない。
e. 安全性FU来院後の更なるFU来院は、最初の12か月は8週間(±7日)ごと、その後は疾患の進行、死亡または別の治療中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごとに実施される。
f. 疾患の進行後、患者は死亡するまで、または最後の患者が生じた後最大1年間、生存を12週間(±28日)ごとに追跡される。患者は、外来または電話により連絡を受けることができる。
g. ビジットウィンドウは延長され得る(脚注ccおよびdd参照)。
h. C1D1に、BT7480の点滴前にすべての手順および臨床検査を完了する。BT7480の初回投与の開始前72時間以内(またはPKおよびバイオマーカーのサンプル採取については14日目;表4参照)スクリーニングおよび臨床検査を実施する場合、ECOGパフォーマンスステータス、略式身体検査、バイタルサインおよび3回繰り返す12誘導ECGを除き、C1D1にスクリーニングおよび臨床検査を繰り返す必要はない。
i. BT7480を静脈内点滴として60(-5/+15)分かけて(すなわち55~75分の注入時間が許容される)1週間に1回(またはSRCで特定されるとおり)投与する。C1中に、バイタルサインを含む注入部位反応について、開始前30分以内、点滴中(最低30(±10)分ごと)、EOI時(-5分)およびEOI後30および60(±10)分にて患者は評価を受けなければならない。
j. ニボルマブ同時投与日は、先ずBT7480を投与し、少なくとも1時間観察し、その後、ニボルマブ240mgを静脈内点滴として(最初のラインを適切に洗浄後、または別のラインを介して)30(-5/+15)分かけて2週間に1回、USPI、SmPCまたは他の現地添付文書に従って投与する。ニボルマブの点滴完了後、AEおよび点滴関連反応について、少なくとも30分間、または現地添付文書もしくは施設の慣行に従って患者を観察する。ニボルマブ投与の総期間は、患者の処置に対する反応および治験担当医師の判断に基づいて決定される。
k. 全身体検査は、次の評価を含む:頭部、耳、鼻、喉、心臓血管系、呼吸器系、消化管系、神経系、皮膚科系、筋骨格系および該当する場合は泌尿生殖器系。
l. 略式身体検査は、治験責任医師の裁量による症状に基づく検査を含む。スクリーニング評価をC1D1のBT7480の初回投与開始前の72時間以内実施している場合、C1D1に略式身体検査(全身体検査ではない)を実施する。
m. 体重が10%以上変化した患者についてBT7480用量を再計算する。身長はスクリーニング時にのみ測定し、BMIの計算に用いる。
n. 患者が少なくとも5分間座位で休息した後、バイタルサイン(収縮期および拡張期血圧、心拍数、呼吸数および体温)を評価する。
o. 他の手順前かつ患者が少なくとも3分間休息した後12誘導ECG(安全性モニタリングのため)を得て、局所的に評価する。また、スクリーニング、C1D1およびC1D15のトレーシングは、中央ECGベンダーによって3回繰り返し行われ、将来の分析可能性のために保存される(第1相の用量漸増コホートのみ)。サイクル1中に、D1とD15の投与前、EOIおよびEOI後60分にて血漿PKサンプル採取と同時にECGが行われる。サイクル2以降中では、D1の投与前およびEOIにて血漿PKサンプル採取と同時にECGが行われる。3回繰り返すとき、各記録は約1分ずつ区切られ、3回のECGが5分間の範囲で収集される。安全性ECGは、3回繰り返しECGを収集するかにかからわず実施しなければならない。
p. 先行投薬はスクリーニング時にのみ登録する。同時投薬は医学的に指示されている場合投与されてもよい。インフォームドコンセントから安全性FU来院までの試験中に患者が摂取したあらゆる投薬は、同時投薬とみなされる。すべての同時投薬を、使用理由、投与日および投与量と共に患者のCRFに記録しなければならない。
q. すべてのAEを、因果関係または重症度にかかわらず、インフォームドコンセントからニボルマブの最後の投与後125(±5)日まで記録する。治験責任医師は、進行中の治験薬関連のAEが解消/安定するまで、または状態が事実上慢性化するまで、患者の追跡を継続しなければならない。
r. C4後、D1およびD15にのみ、分画数でのCBCを予定する。
s. 投与前にC1D1化学結果を確認する。C4後、D1およびD15にのみ、化学を予定する。
t. ニボルマブを投与される患者については、抗核抗体、リウマチ因子、副腎皮質刺激ホルモン、遊離T3、遊離T4およびTSHの評価のために、スクリーニング時、C2D1時、およびその後は疾患の進行、死亡または別の治療中止基準を満たすまで6か月ごとに血液サンプルを採取する。
u. スクリーニング時、C1来院およびEOT時に完全な尿検査を実施する;他のすべての来院時は反射沈降法による試験紙検査に置き換え得る。
v. WOCBPの妊娠検査を、スクリーニング時(血清)、C1から始まる各処置サイクルの開始時(C1の場合は尿、後続のサイクルの場合は尿または血清)、および安全性FU時(尿または血清)にのみ実施する。
w. ウイルス検査および血清学的マーカー。
x. 時間ごとのPK血液サンプル採取およびPK尿サンプル採取の詳細については表S4参照。計画したBT7480の投与がAEのため保留され、その週の後の日に投与されるとき、実際の投与日に処置前のPKサンプルを採取し、「計画外」とラベルを付ける必要がある。
y. この試験で計画されるバイオマーカーのための採血チャートについては表S4参照。
z. ベースライン腫瘍組織(10~15枚の未染色のFFPEスライド)の提供が必須である。腫瘍のネクチン-4発現を、スクリーニング中に採取される保管腫瘍組織または新鮮な腫瘍生検を用いて、すべての患者について遡って分析する。保管腫瘍組織は、組織ブロックまたは10~15枚のFFPE未染色スライドとして提供する必要がある。
aa. 第1相併用治療(用量漸増および拡大)中に、患者は、オプションの対をなす(処置前および処置中)腫瘍生検を提供してもよい。患者がオプションの対をなす腫瘍生検に同意した場合、処置前ベースラインの腫瘍生検と保管腫瘍組織の両方が要求される。処置中の生検サンプル採取は、C1D1後いつでも許可され、該当し可能である場合、再発時も許可される。腫瘍生検採取中に、1つの凍結PKサンプルとFFPEブロック(少なくとも10~15枚のスライド)ための材料を提供するのに十分なコア(≧3)を採取する。コア針生検を用いた腫瘍組織の採取が不可能なとき、十分なサンプル数(≧5)が採取される場合、細針吸引サンプルが許容される。
bb. 生検が実施可能で、更なる生検に同意したアクセス可能な腫瘍病変を有する患者については、処置中の腫瘍生検および正常皮膚生検を実施する。
cc. RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価のために、CTもしくはMRIスキャンまたは視覚病変の手動測定、または他の種類の画像撮影を、スクリーニング時;最初の12か月は8週間(±7日)ごと;その後は疾患の進行、死亡または別の反応中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごとに実施する。
dd. C3以降、RECIST 1.1に従った治験責任医師による疾患評価を、12か月間は奇数サイクルの開始時(±7日)ごと、その後は疾患の進行、死亡または別の反応中止基準を満たすまで12週間(±28日)ごと実施する。
AE=有害事象;BMI=ボディマス指数;C=サイクル;CBC=全血球計算;CT=コンピューター断層撮影;D=サイクル中の日数;DLT=用量制限毒性;ECG=心電図;ECOG=Eastern Cooperative Oncology Group;eCRF=電子症例報告書;EOI=点滴終了;EOT=処置終了;FFPE=ホルマリン固定パラフィン包埋;FSH=卵胞刺激ホルモン;FU=フォローアップ;h=時間;min=分;MRI=磁気共鳴画像撮影;OS=全生存期間;PD=進行性疾患;PFS=無増悪生存期間;PK=薬物動態;RECIST=固形腫瘍の治療効果判断基準;screen=スクリーニング;SmPC=製品特性概要;SOI=点滴開始;SRC=安全性評価委員会;T3=トリヨードチロニン;T4=チロキシン;TSH=甲状腺刺激ホルモン;USPI=United States Prescribing Information;WOCBP=妊娠可能な女性。
【0207】
【表15】
a. サンプル採取の正確なタイミングを、適切な電子奨励報告書および要求ページに記録しなければならない。
b. 併用治療の場合、EOIはBT7480点滴の終了を指す。
c. BT7480点滴の終了直前に、PK分析のための血液サンプルを採取する。
d. C1D1およびC1D15におけるEOI後48(±12)、72(±12)および96(±12)時間でのサンプルの採取に対応できない一部の施設には在宅医療訪問を提供し得る。
e. SOIからEOI後6時間まで尿を採取し、総排泄量を記録する。総排泄量は24、48、72および96時間では必要ない。
f. PK血液サンプル採取時に、EOI後24(±3)時間から72(±12)時間の間に1回サンプルを採取する。
g. C2D1のみでサンプルを収集する。
h. 点滴関連反応またはサイトカイン放出症候群疑いが観察される事象においては、直ちに血液サンプルを採取する必要がある。
i. C1D1のみでサンプルを採取する。
ADA=抗薬物抗体;C=サイクル;CD=分化クラスター;circ.=循環;ctDNA=循環腫瘍デオキシリボ核酸;D=サイクル中の日数;EOI=点滴終了;EOT=処置終了;h=時間;m=分;mech.=機構;NAb=中和抗体;PGx=薬理ゲノム;PK=薬物動態;RNA=リボ核酸;RO=受容体占有率;scr=スクリーニング;SOI=点滴開始。
【国際調査報告】