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特表2024-543521自動レーシングシステムを有する履物具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】自動レーシングシステムを有する履物具
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20241114BHJP
   A43C 11/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A43B23/02 104
A43C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529243
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 IB2022060994
(87)【国際公開番号】W WO2023089483
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】17/527,501
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ルドン,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】ボック,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ジラード,ロメイン
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050AA06
4F050AA11
4F050BC22
4F050BD01
4F050BE08
4F050JA02
4F050JA04
4F050JA05
4F050JA06
4F050JA09
4F050JA13
4F050MA21
(57)【要約】
履物具のレーシングシステムは、ソール構造と、ソール構造に取り付けられ、外側、内側、及びシュータンを有するアッパーと、シュータン上に配置されたハウジングと、を含む。外側サイドフラップは、ソール構造体からアッパーの外側に沿ってシュータンに向かって延び、シュータンに隣接する上端を有する。内側サイドフラップは、ソール構造からアッパーの内側に沿ってシュータンに向かって延び、シュータンに隣接する上端を有する。外側サイドフラップの上端に沿って複数の外側レースリテーナが配置され、内側サイドフラップの上端に沿って複数の内側レースリテーナが配置される。靴ひもは、ハウジングから、複数の外側及び内側レースリテーナを通って、シュータンを横切って交差するように延びている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソール構造と、
前記ソール構造に取り付けられ、外側、内側、及びシュータンを備える、アッパーと、
前記シュータンの上に配置されたハウジングと、
上端が前記シュータンの外側に隣接するように、前記ソール構造から前記アッパーの前記外側に沿って前記シュータンに向かって延在する外側サイドフラップと、
上端が前記シュータンの内側に隣接するように、前記ソール構造から前記アッパーの前記内側に沿って前記シュータンに向かって延在する内側サイドフラップと、
前記外側サイドフラップの前記上端に沿って配置された複数の外側レースリテーナと、
前記内側サイドフラップの前記上端に沿って配置された複数の内側レースリテーナと、を含み、
靴ひもは、前記ハウジングから前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って交差するように延在し、
前記シュータンは、前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナを通って延びる前記靴ひもの部分を受容するように構成された複数のレースチャンネルを画定し、
前記ハウジングは、前記靴ひもを前記ハウジング内に引き込むように構成される、履物具のレーシングシステム。
【請求項2】
前記ハウジングは、外側開口部及び内側開口部を画定し、
前記靴ひもは、前記外側開口部、前記内側開口部、前記複数の外側レースリテーナ、及び前記複数の内側レースリテーナを通って延在する、請求項1に記載のレーシングシステム。
【請求項3】
前記複数の外側レースリテーナが、第1の外側レースリテーナと、第2の外側レースリテーナと、第3の外側レースリテーナとを含み、
前記複数の内側レースリテーナが、第1の内側レースリテーナと、第2の内側レースリテーナと、第3の内側レースリテーナとを含み、
前記靴ひもが、前記ハウジングから、前記ハウジングの前記外側開口部を通って、前記第1の外側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って、前記第2の内側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って、前記第3の外側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って、前記第3の内側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って、前記第2の外側レースリテーナを横切って、前記シュータンを横切って、前記第1の外側レースリテーナを通って、前記ハウジングの前記内側開口部を通って、前記ハウジング内に戻るように延びる、請求項2に記載のレーシングシステム。
【請求項4】
前記シュータンが、前記ハウジングを受容するように構成されたハウジング凹部をさらに画定し、
前記シュータンの前記複数のレースチャネルが、前記ハウジングの前記外側及び内側開口部及び前記複数の外側レースリテーナと前記複数の内側レースリテーナから延在する前記靴ひもの部分を受容するように構成される、請求項3に記載のレーシングシステム。
【請求項5】
前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナは、前記外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナを通って延在する前記靴ひもの部分を、前記外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナから前記シュータンを横切って延在する前記靴ひもの前記部分に対してある角度で保持するように構成された細長いレース開口部を含む、請求項3に記載のレーシングシステム。
【請求項6】
前記レースが前記ハウジング内に引き込まれると、前記外側フラップが前記アッパーの前記外側に向かって中に引かれ、前記内側フラップが前記アッパーの前記内側に向かって中に引かれ、前記シュータンが前記ソール構造に向かって下方に引かれる、請求項1に記載のレーシングシステム。
【請求項7】
モータと前記ハウジングのベース部内に配置されたホイールギアを含むギアトレインと、
前記ハウジングのベース部カバー上に配置され、前記ハウジングの上部カバーによって画定された前記外側及び内側開口部を通して受けられる前記靴ひもの部分を受容するように構成された前記ホイールギアの上側延長部と、をさらに含み、
前記モータが前記ギアトレインを駆動するとき、前記靴ひもは前記ハウジング内に引き込まれる、請求項2に記載のレーシングシステム。
【請求項8】
前記ソール構造内に配置されたコントローラをさらに備え、前記コントローラがバッテリを含み、
前記コントローラが前記ハウジングに電気的に接続され、前記モータに給電する、請求項7に記載のレーシングシステム。
【請求項9】
前記ハウジングの前記ベース部カバー上に、前記ハウジングの前記トップカバーのパネルに沿って配置されたスワイプセンサをさらに備え、前記スワイプセンサは、前記コントローラの前記バッテリによって給電され、ユーザ入力を受信するように動作可能である、請求項8に記載のレーシングシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記履物具の前記アッパーの開口部を介して前記ソール構造から取り外し可能である、請求項8に記載のレーシングシステム。
【請求項11】
ソール構造と、
前記ソール構造に取り付けられ、シュータンを備えるアッパーと、
前記シュータンの上に配置され、前記アッパーのインステップ領域に隣接するハウジングと、
前記シュータンの外側に沿って上側に配置された複数の外側レースリテーナと、
前記シュータンの内側に沿って上側に配置された複数の内側レースリテーナと、を含み、
靴ひもは、前記ハウジングから前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って交差するように延在し、
前記シュータンは、前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナを通って延在する靴ひもの部分を受容するように構成された複数のレースチャネルを画定し、
前記ハウジングは、前記靴ひもを前記ハウジング内に引き込むように構成される、履物具のレーシングシステム。
【請求項12】
前記靴ひもが前記ハウジング内に引き込まれると、前記シュータンは、前記ソール構造に向かって下方に引かれる、請求項11に記載のレーシングシステム。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記複数の外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナから延在する前記靴ひもの2つ以上の部分を受容するように構成されたレースチャネルを画定し、
前記シュータンは、前記ハウジングを受容するように構成されたハウジング凹部を画定し、
前記シュータンの前記複数のレースチャネルは、前記複数の外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナから延在する前記靴ひもの部分と、前記ハウジングの前記レースチャネルとを受容する、請求項11に記載のレーシングシステム。
【請求項14】
前記靴ひもは、クローズドループの靴ひもである、請求項11に記載のレーシングシステム。
【請求項15】
前記ソール構造内に配置されたコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記ハウジングに電気的に接続される、請求項14に記載のレーシングシステム。
【請求項16】
前記コントローラのバッテリによって電気的に接続され、給電されるモータと、
上側延長部を含むホイールギアを含むギアトレインと、をさらに含み、
前記モータ及び前記ギアトレインが前記ハウジングのベース部内に配置され、前記ホイールギアの前記上側延長部が前記ハウジングのベース部カバー上に配置され、
前記ホイールギアの前記上側延長部が前記ハウリングの上部カバーによって画定される外側開口部及び内側開口部を通して受容される前記靴ひもの部分を受容するように構成された開口部を含み、
前記モータが前記ギアトレインを駆動するとき、前記靴ひもが前記ハウジング内に引き込まれる、請求項15に記載のレーシングシステム。
【請求項17】
インソール、ミッドソール、及びアウトソールを含むソール構造と、
前記ソール構造に取り付けられたアッパーと、
前記アッパー上に配置され、前記アッパーのインステップ領域に隣接するハウジングと、
上端が前記アッパーの前記インステップ領域の外側に隣接するように、前記ソール構造から、前記アッパーの外側に沿って前記ハウジングに向かって延びる外側サイドフラップと、
上端が前記アッパーの前記インステップ領域の内側に隣接するように、前記ソール構造から、前記アッパーの内側に沿って前記ハウジングに向かって延びる内側サイドフラップと、
前記外側サイドフラップの前記上端に沿って配置された複数の外側レースリテーナと、
前記内側サイドフラップの前記上端に沿って配置された複数の内側レースリテーナと、を含み、
靴ひもが、前記ハウジングから前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナを通って、前記アッパーの前記インステップ領域を横切って交差するように延在し、
前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナは、前記外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナを通って延在する前記靴ひもの部分を、前記外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナから延在する前記靴ひもの部分に対してある角度で保持するように構成された細長いレース開口部を含み、
前記インステップ領域に隣接する前記アッパーの部分は、前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナから延びる前記靴ひもの前記部分を受け入れるように構成された複数のレースチャネルを画定し、
モータ及びギアトレインは、ハウジング内に配置され、ギアトレインは、前記靴ひもの部分を受け入れるように構成された開口部を有するホイールギアを含み、
前記モータがギアトレインを駆動すると、前記靴ひもは前記ハウジング内に引き込まれる、履物具のレーシングシステム。
【請求項18】
前記靴ひもが前記ハウジング内に引き込まれると、前記外側サイドフラップは前記アッパーの前記外側に向かって中に引き込まれ、前記内側サイドフラップは前記アッパーの前記内側に向かって中に引き込まれる、請求項17に記載のレーシングシステム。
【請求項19】
前記複数の外側レースリテーナが、第1の外側レースリテーナと、第2の外側レースリテーナと、第3の外側レースリテーナと、を含み、
前記複数の内側レースリテーナが、第1の内側レースリテーナと、第2の内側レースリテーナと、第3の内側レースリテーナと、を含み、
前記靴ひもが、前記ハウジング外側から、前記第1の外側レースリテーナを通って、前記アッパーを横切って、前記第2の内側レースリテーナを通って、前記アッパーを横切って、前記第3の外側レースリテーナを通って、前記アッパーを横切って、前記第3の内側レースリテーナを通って、前記アッパーを横切って、前記第2の外側レースリテーナを横切って、前記アッパーを横切って、前記第1の外側レースリテーナを通って、前記ハウジングの内側まで延在する、請求項18に記載のレーシングシステム。
【請求項20】
前記ソール構造の前記ミッドソール内及び前記履物具の踵領域内に配置されたコントローラをさらに含み、前記コントローラは、前記インソールの開口部及び前記履物具の前記アッパーの開口部を介して前記ソール構造の前記ミッドソールから取り外し可能であり、
前記コントローラは、前記ハウジングに電気的に接続され、前記モータを制御する、請求項17に記載のレーシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、靴ひもを締めたり緩めたりするための自動レーシングシステムを含む履物具に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの従来の靴又は履物具は、一般に、アッパーと、アッパーの下端に取り付けられたソールとを備える。従来の靴は、靴を足に固定する前にユーザの足を受け入れる内部空間、すなわち、アッパー及びソールの内部表面によって形成される空隙又は空洞をさらに含む。ソールは、アッパーの下面に取り付けられ、アッパーと地面との間に配置される。結果として、ソールは、典型的には、靴が着用されている及び/又は使用されているときに、安定性及びクッション性をユーザに提供する。いくつかの例では、ソールは、アウトソール、ミッドソール、及びインソールなどの複数の構成要素を含むことができる。アウトソールは、ソールの底面に牽引力を提供することができ、ミッドソールは、アウトソールの内面に取り付けることができ、ソールにクッション性及び/又は追加の安定性を提供することができる。例えば、ソールは、ソールに沿った1つ以上の所望の位置での安定性を増加させることができる特定の発泡材料、又はユーザが走っているとき、歩いているとき、もしくは別の活動に従事しているときに足及び/もしくは脚への応力又は衝撃エネルギーを減少させることができる発泡材料を含むことができる。
【0003】
アッパーは、一般的に、ソールから上方に延び、足を完全に又は部分的に包む内部空洞を画定する。ほとんどの場合、アッパーは、足の甲及びつま先領域にわたって、並びにその内側及び外側を横切って延在する。多くの履物具はまた、インステップ領域を横切って延在し、空洞内への開口部を画定する、アッパーの内側及び外側の縁部間の間隙を架橋するシュータンを含んでもよい。シュータンはまた、レーシングシステムの下、及びアッパーの内側と外側との間に配置されてもよく、シュータンは、靴の締め付けの調整を可能にするように設けられる。シュータンは、内部空間又は空洞からの足の進入及び/又は退出を可能にするために、ユーザによってさらに操作可能であってもよい。加えて、レーシングシステムは、ユーザがアッパー及び/又はソールの特定の寸法を調整することを可能にし、それによって、アッパーが、様々なサイズ及び形状を有する多種多様なフットタイプを収容することを可能にし得る。
【0004】
アッパーは、靴の1つ以上の意図される用途に基づいて選択され得る多種多様な材料を含み得る。アッパーはまた、アッパーの特定の領域に特有の様々な材料を含む部分を含んでもよい。例えば、より高い程度の抵抗又は剛性を提供するために、追加の安定性が、アッパーの前部で、又はヒール領域の隣で望ましい場合がある。対照的に、靴の他の部分は、耐延伸性、可撓性、通気性、又は吸湿性を有する領域を提供するために、柔らかい織布を含んでもよい。
【0005】
さらに、典型的な靴に関連するレーシングシステムは、歴史的に、十字又は平行に複数のひも穴を通して引かれる単一の靴ひもを含んでいた。多くの靴は、歴史的に、上側の一方の側から他方の側、すなわち、上側の内側から外側に延びるレースを含んでいた。それぞれの靴のための靴ひもは、ひも穴を通され、靴ひもの2つの端部は、ひも穴の外に延在し、それにより、ユーザは、フィットすると思う方法で、端部を把持し、靴を結ぶことができる。靴の中には、ひも穴ではなくギリーを利用するものもあり、ギリーは上方の内側と外側のシュータンの近くに配置されている。各シューズのための靴ひもは、十字又は平行に複数のギリーを通るように結ばれる。いくつかの靴は、ユーザが靴ひもを結ぶことを必要とせず、むしろ、ユーザが靴を装着したときに靴ひもを伸ばすことができるように伸縮可能な靴ひもを含み、ユーザが靴を脱ぐと元の締め付けに戻ることができる。
【0006】
さらに、いくつかの靴は、スリッポンシューズなどのレースを含まず、いくつかの靴は、靴の気密性を変化させるように調整することができるストラップを含む。靴ひもを含む靴に関して、例えば、ユーザが異なる状況において靴ひもの調整可能性を望む場合に、靴ひもを自動的に結ぶことができるシステムを利用することが望ましい場合がある。また、高齢者又は虚弱者などの靴を結ぶことが困難なユーザのための自動レーシングシステムを有することが望ましい場合がある。また、靴ひもが、足の頂部に沿って、足の内側及び外側に沿って力を加える、レーシングシステムを含むことが望ましい場合がある。さらに、ポータブル電子デバイス上に表示されるグラフィカルユーザインターフェースを介して靴を自動的に結ぶことができるシステムを含むことが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、自動レーシングシステムを備えたアッパーを有する履物具が望まれ得る。
【発明を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載の履物具は、様々な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、本開示は、ソール構造と、ソール構造に取り付けられ、外側、内側、及びシュータンを有するアッパーと、シュータン上に配置されたハウジングとを含む、履物具のためのレーシングシステムを提供する。外側サイドフラップは、外側サイドフラップの上端がシュータンの外側に隣接するように、ソール構造からアッパーの外側に沿ってシュータンに向かって延びている。内側サイドフラップは、内側サイドフラップの上端がシュータンの内側に隣接するように、ソール構造からアッパーの内側に沿ってシュータンに向かって延在する。外側サイドフラップの上端に沿って複数の外側レースリテーナが配置され、内側サイドフラップの上端に沿って複数の内側レースリテーナが配置される。靴ひもは、ハウジングから、複数の外側レースリテーナ及び複数の内側レースリテーナを通って、シュータンを横切って交差するように延在する。シュータンによって画定される複数のレースチャネルは、複数の外側及び内側レースリテーナを通って延在する靴ひもの部分を受容するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、外側開口部及び内側開口部を画定してもよく、靴ひもは、外側開口部、内側開口部、並びに複数の外側及び内側レースリテーナを通って延在してもよい。いくつかの実施形態では、複数の外側レースリテーナは、第1、第2、及び第3の外側レースリテーナを含み、複数の内側レースリテーナは、第1、第2、及び第3の内側レースリテーナを含む。靴ひもは、ハウジングから第1の方向にハウジングの外側開口部を通って、第1の外側レースリテーナを通って、第1の方向とは反対の第2の方向にシュータンを横切って、第2の内側レースリテーナを通って、第1の方向にシュータンを横切って、第3の外側レースリテーナを通って、第2の方向にシュータンを横切って、第3の内側レースリテーナを通って、第1の方向にシュータンを横切って、第2の外側レースリテーナを通って、第2の方向にシュータンを横切って、第1の外側レースリテーナを通って、そして第1の方向にシュータンを横切って、ハウジングの内側開口部を通って延びてもよい。いくつかの実施形態では、シュータンは、ハウジングを受容するように構成されたハウジング凹部を画定することができ、シュータンの複数のレースチャネルは、靴ひものハウジングの外側及び内側開口部並びに複数の外側及び内側レースリテーナを通って延びる部分を受容するように構成することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、靴ひもをハウジング内に引き込むように構成される。靴ひもがハウジング内に引き込まれると、外側サイドフラップがアッパーの外側に向かって中に引っ張られ、内側サイドフラップがアッパーの内側に向かって中に引っ張られ、シュータンがソール構造に向かって下方に引っ張られる。いくつかの実施形態では、複数の外側レースリテーナ及び内側レースリテーナは、外側レースリテーナ及び内側レースリテーナを通って延在する靴ひもの部分を、外側レースリテーナ及び内側レースリテーナからシュータンを横切って延在する靴ひもの部分に対してある角度で保持するように構成された細長いレース開口部を含む。いくつかの実施形態では、ハウジングは、モータ及びハウジングのベース部内に配置されたホイールギアとハウジングのベース部カバー上に配置されたホイールギアの上側延長部を有するギアトレインを含む。ホイールギアの上側延長部は、ハウジングの上部カバーによって画定される外側及び内側開口部を通して受容される靴ひもの部分を受容するように構成することができ、モータがギアトレインを駆動すると、靴ひもがハウジング内に引き込まれる。いくつかの実施形態では、レーシングシステムは、履物具のソール構造内に配置されたコントローラを含んでもよい。コントローラは、バッテリを含むことができ、コントローラは、ハウジングに電気的に接続され、モータに給電することができる。いくつかの実施形態では、ハウジングは、ハウジングのベース部カバー上に、ハウジングのトップカバーのパネルに沿って配置されたスワイプセンサを含むことができる。スワイプパネルは、コントローラのバッテリによって給電され、ユーザ入力を受信するように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、履物具のアッパーの開口部を介してソール構造から取り外し可能である。
【0011】
いくつかの実施形態では、履物具のためのレーシングシステムは、ソール構造と、シュータンを含むソール構造に取り付けられたアッパーと、シュータン上に配置され、アッパーの足甲領域に隣接するハウジングと、シュータンの外側に隣接するアッパー上に配置された複数の外側レースリテーナと、シュータンの内側に隣接するアッパー上に配置された複数の内側レースリテーナとを含む。靴ひもは、ハウジングから、複数の外側レースリテーナ及び複数の内側レースリテーナを通って、シュータンを横切って交差するように延在する。複数のレースチャネルは、シュータンによって画定され、複数の外側レースリテーナ及び複数の内側レースリテーナを通って延在するレースの部分を受容するように構成される。シュータン上に配置されたハウジングは、靴ひもをハウジング内に引き込むように構成される。いくつかの実施形態では、シュータンは、靴ひもがハウジング内に引き込まれるとき、ソール構造に向かって下方に引かれる。いくつかの実施形態では、レースチャネルは、ハウジング内に画定され、複数の外側及び内側レースリテーナを通って延在する靴ひもの2つ以上の部分を受容するように構成され、ハウジング凹部は、ハウジングを受容するように構成されるシュータン内に画定される。シュータンの複数のレースチャネルは、ハウジングの複数の外側及び内側レースリテーナ及びレースチャネルを通って延在する靴ひもの部分を受容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、靴ひもは、クローズドループレースである。
【0012】
いくつかの実施形態では、履物具のためのレーシングシステムは、インソール、ミッドソール、及びアウトソールを有するソール構造と、ソール構造に取り付けられたアッパーと、シュータンの上に配置され、アッパーのインステップ領域に隣接するハウジングと、ソール構造からアッパーの外側に沿って延び、インステップ領域の外側に隣接する上端を有する外側サイドフラップと、ソール構造からアッパーの内側に沿ってハウジングに向かって延び、インステップ領域の外側に隣接する上端を有する内側サイドフラップとを含む。外側サイドフラップの上端に沿って複数の外側レースリテーナが配置され、内側サイドフラップの上端に沿って複数の内側レースリテーナが配置される。靴ひもは、ハウジングから複数の外側及び内側レースリテーナを通って延びる。外側レースリテーナ及び内側レースリテーナは、外側レースリテーナ及び内側レースリテーナを通って延びる靴ひもの部分を、外側レースリテーナ及び内側レースリテーナから延びる靴ひもの部分に対してある角度で保持するように構成された細長いレース開口部を含む。複数のレースチャネルは、アッパーの一部によって画定され、複数の外側及び内側レースリテーナを通って延在する靴ひもの部分を受容するように構成される。ハウジングは、モータと、靴ひもの一部を受け入れるように構成された開口部を有するホイールギアを有するギアトレインとを含む。靴ひもは、モータがギアトレインを駆動するとき、ハウジング内に引き込まれる。
【0013】
本明細書に記載される履物具の他の態様(その特徴及び利点を含む)は、図面及び本明細書の詳細な説明を検討すれば、当業者には明らかになるであろう。したがって、履物具のそのような態様はすべて、詳細な説明及びこの概要に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示による、自動レーシング履物アセンブリの斜視図である。
図2図1の一対の靴の斜視図である。
図3図2の靴の1つの正面図である。
図4図3の靴の右側面図又は外側側面図であり、外側サイドフラップが破線で示されている。
図5図3の靴の左側面図又は内側側面図であり、内側サイドフラップが破線で示されている。
図6図3の靴の上面図である。
図7図3の履物具の上面図であり、アッパーが取り除かれ、ユーザの骨格足構造がその上に重ねられている。
図8図3の靴の自動レーシングシステムの詳細図である。
図9図3の靴のレースリテーナの1つの正面図である。
図10図9のレースリテーナの第1又は左側面図である。
図11図9のレースリテーナの上面図である。
図12図3の靴の斜視図であり、ハウジング、外側及び内側サイドフラップ、外側及び内側レースリテーナ、並びに靴ひもが取り外され、別の実施形態のシュータンが取り付けられた状態である。
図13図12のシュータンの別の実施形態を有する図3の靴の斜視図である。
図14図13の靴の自動レーシングシステムの詳細図である。
図15図3の自動レーシングシステムのハウジングの等角図である。
図16図15の自動レーシングシステムのハウジングの底面図である。
図17図15の自動レーシングシステムのハウジングの正面図である。
図18図15の自動レーシングシステムのハウジングの第1又は右側面図である。
図19】ハウジングの上部カバーが取り外され、自動レーシングシステムが緩められた構成で示されている、図3の自動レーシングシステムのいくつかの内部構成要素の詳細斜視仮想図である。
図20】ハウジングの上部カバーが取り外され、自動レーシングシステムが締め付けられた構成で示されている、図3の自動レーシングシステムのいくつかの内部構成要素の詳細斜視仮想図である。
図21図3の自動レーシングシステムのハウジング内に配置された様々な構成要素の分解斜視図である。
図22図21のハウジング内に配置されたいくつかの構成要素の分解斜視図である。
図23図21のハウジングのハウジングベース部、ハウジングベース部カバー、ハウジング上部カバー、及びパワートレインの分解底面図である。
図24図23のハウジングの構成要素の分解上面図である。
図25図22のハウジング内に配置されたいくつかの構成要素の分解側面図である。
図26】緩められた構成で示される、図2の靴のうちの1つの側面図である。
図27】締め付けられた構成で示される、図2の靴のうちの1つの側面図である。
図28図3の自動レーシングシステムのハウジングの側面図であり、自動レーシングシステムのコントローラは、図3の靴を破線で示したハウジングと関連している。
図29図3の靴のソール構造から分離されて示された、図28の自動レーシングシステムのコントローラの斜視図であり、靴のアッパーが除去されている。
図30図28の自動レーシングシステムのコントローラの等角図である。
図31】コントローラの上面の下に配置された仮想線で充電コイルを示す、図30のコントローラの等角図である。
図32図3の靴を破線で示す、コントローラの上の無線充電構成における、図28のハウジング及びコントローラ、並びに図1の自動レーシングシステムの充電パックのうちの1つの側面図である。
図33】ケーブルが充電パックから取り外されて示される、図32の充電パックの斜視図である。
図34】ケーブルが充電パックに挿入された状態で示される、図32の充電パックの斜視図である。
図35図33の充電パックの正面図である。
図36図35の充電パックの上面図である。
図37図35の充電パックの第1又は右側面図である。
図38】嵌合構成における、図1の自動レーシングシステムの充電パックの側面図であり、
図39図6の靴のインソールの別の実施形態の側面図である。
図40図39のインソールの上面図である。
図41図1の自動レーシングシステムの様々な電気構成要素のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の議論及び添付の図面は、靴及び靴用の自動レーシングシステムの様々な実施形態又は構成を開示する。実施形態は、ランニングシューズ、テニスシューズ、バスケットボールシューズなどのスポーツシューズに関して開示されているが、靴の実施形態に関連する概念は、バスケットボールシューズ、クロストレーニングシューズ、フットボールシューズ、ゴルフシューズ、ハイキングシューズ、ハイキングブーツ、スキー及びスノーボードブーツ、サッカーシューズ及びクリート、ウォーキングシューズ、並びにトラッククリートを含む、広範囲の履物及び履物スタイルに適用することができる。靴又は自動レーシングシステムの概念はまた、ドレスシューズ、サンダル、ローファー、スリッパ、及びヒールを含む、非運動用であると考えられる履物具に適用され得る。履物に加えて、自動レーシング概念など、本明細書に記載される特定の概念はまた、ヘルメット、パッド又は保護パッド、脛ガード、及び手袋など、アパレル又は他の運動器具を含む、他のタイプの物品に適用され、組み込まれ得る。さらに、本明細書で説明される特定の概念は、クッション、バックパック、スーツケース、バックパックストラップ、ゴルフクラブ、又は他の消費者製品もしくは工業製品に組み込まれ得る。したがって、本明細書で説明される概念は、様々な製品において利用され得る。
【0016】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、本明細書の開示の実施形態を含み得る、履物具又は他の製品のために使用される典型的な測定及び製造手順、これらの手順における不注意な誤り、組成物又は混合物を作製するために使用される成分の製造、供給源、又は純度の差異などを介して生じ得る数値量の変動を指す。本開示を通して、「約」及び「およそ」という用語は、その用語が先行する数値の±5%の値の範囲を指す。本明細書で使用される用語「スワイプ」又はその変形は、機能を起動するためにパネル又はタッチスクリーンを横切って指を動かす行為又はインスタンスを指す。「スワイプ」は、パネル又はタッチスクリーンに触れること、パネル又はタッチスクリーンに沿って第1の方向に指を動かすこと、及びその後、パネル又はタッチスクリーンとの指の接触を除去することを含む。本明細書で使用される用語「タップ」又はその変形は、機能を起動するためにパネル又はタッチスクリーン上で指を押す行為又は事例を指す。「タップ」は、パネル又はタッチスクリーンを押すこと、パネル又はタッチスクリーン上に指を短時間保持すること、及びその後、パネル又はタッチスクリーンとの指の接触を除去することを含む。
【0017】
本開示は、アッパー及び/又はソールもしくはソール構造などの履物具及び/又は履物具の特定の構成要素、並びに自動レーシングシステムに関する。アッパーは、ニット構成要素、織布、不織布、皮革、メッシュ、スエード、及び/又は前述の材料のうちの1つ以上の組み合わせを含んでもよい。ニット構成要素は、糸の編み物、糸の製織による織布、及び単一の不織ウェブの製造による不織布によって作製されてもよい。ニット織物は、縦編み、横編み、平編み、丸編み、又は他の適切な編み作業によって形成される織物を含む。ニット織物は、例えば、プレーンニット構造、メッシュニット構造、及び/又はリブニット構造を有してもよい。織布としては、限定されるものではないが、例えば、平織り、綾織り、サテン織り、ドビン織り、ジャカード織り、二重織り、及び/又は二重布織りなどの多数の織り形態のいずれかによって形成された織物が挙げられる。不織布としては、例えば、エアレイド法及び/又はスパンレイド法によって製造された布地が挙げられる。アッパーは、様々な特性又は様々な視覚特性を有し得る、第1の糸、第2の糸、及び/又は第3の糸などの様々な材料を備え得る。
【0018】
ここで図面を参照すると、図1は、靴52の対を含む履物アセンブリ50を示し、その各々は、自動レーシングシステム54と、靴52の各々の中に配置された1つ以上のバッテリ(図示せず)を充電するための第1の充電パック60及び第2の充電パック62を含む充電パック56の対と、電子デバイス64とを含む。電子デバイス64は、ユーザからの1つ又は複数の入力に基づいて、1つ又は複数の信号を自動レーシングシステム54に送信するために使用され得る、携帯電話又はタブレットであり得る。履物アセンブリ50は、本明細書で具体的に扱われない追加の構成要素を含むことができる。
【0019】
以下でより詳細に説明するように、履物アセンブリ50は、自動レーシングシステム54の制御パネル又はスワイプパネル66(図2参照)にスワイプ、タップ、プレス、又は圧力を加えることによって、ユーザが各靴52を締めたり緩めたりすることを可能にするように意図されている。非限定的な例として、ユーザは、自動レーシングシステム54の靴52を閉じるか又は締めるために自動レーシングシステム54のパネル66に沿って下方にスワイプし、靴52を開くか又は緩めるために上方にスワイプし、靴52を徐々に緩めるためにパネル66の上端をタップし、又は靴52を徐々に締めるためにパネル66の下端をタップすることができる。これらの特徴及び他の特徴は、以下でより詳細に説明される。
【0020】
図2を参照すると、靴52がより詳細に示されている。靴52は、第1又は左の靴70と、第2又は右の靴72とを備える。左の靴70及び右の靴72は、左の靴70及び右の靴72がそれぞれユーザの左足及び右足を受容するようなサイズ及び形状であることを除いて、すべての材料態様において同様であり得る。開示を容易にするために、単一の靴又は履物具74(図3参照)が、本開示の態様を説明するために参照される。いくつかの図では、履物具74は右の靴として描かれ、いくつかの図では、履物具は左の靴として描かれている。履物具74に関する以下の開示は、左の靴70及び右の靴72の両方に適用可能である。いくつかの実施形態では、左/右の構成以外に、左の靴70と右の靴72との間に相違があってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、左の靴70は自動レーシングシステム54を含んでもよく、右の靴72は自動レーシングシステム54を含まなくてもよく、又はその逆であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、左の靴70は、右の靴72が含まない、又はその逆の1つ又は複数の追加の要素を含むことができる。以下に説明するように、履物具74は、自動レーシングシステム54を含む必要はなく、むしろ、本明細書に開示されるレーシングシステムに従って手動で結ばれてもよい。
【0021】
図3図7は、アッパー80及びソール構造82を含む履物具74の例示的な実施形態を示す。本明細書でさらに論じられるように、アッパー80は、ソール構造82に取り付けられ、ユーザの足が挿入され得る内部空洞84(図4及び図5参照)をともに画定する。参照のために、履物具74は、前足領域86、中足領域88、及び踵領域90を画定する(図6及び7参照)。前足領域86は、一般に、足指、母指球、及び中足骨を足指又は指骨に接続する関節を含む、足の部分を包み込む履物具74の物品の部分に対応する。中足領域88は、前足領域86に近接して隣接し、一般的に、足のブリッジとともに、足のアーチを包む履物具74の部分に対応する。踵領域90は、中足領域88に近接して隣接し、一般的に、踵又は踵骨、足首、及び/又はアキレス腱を含む、足の後部を包む履物具74の部分に対応する。
【0022】
多くの従来の履物アッパーは、複数の要素、例えば、織物、ポリマー発泡体、ポリマーシート、皮革、及び/又は合成皮革から形成され、これらは、継ぎ目での結合又は縫合によって接合される。いくつかの実施形態では、履物具74のアッパー80は、ニット構造又はニット構成要素から形成される。様々な実施形態では、ニット構成要素は、アッパーに異なる特性を提供することができる様々なタイプの糸を組み込むことができる。例えば、アッパー80の1つの領域は、第1のセットの特性を付与する第1のタイプの糸から形成されてもよく、アッパー80の別の領域は、第2のセットの特性を付与する第2のタイプの糸から形成されてもよい。この構成を使用して、アッパー80の異なる領域に対して特定のヤーンを選択することによって、アッパー80の特性をアッパー80全体にわたって変化させることができる。
【0023】
アッパー80を構成する材料に関して、特定のタイプの糸がニット構成要素の領域に与える特定の特性は、糸の様々なフィラメント及び繊維を形成する材料に少なくとも部分的に依存し得る。例えば、綿は、編物材料に柔らかい効果、生分解性、又は自然な美観を提供することができる。エラスタン及び延伸ポリエステルは、それぞれ、所望の弾性及び回復を有するニット構成要素を提供することができる。レーヨンは、高い光沢及び吸湿性材料を提供し得、ウールは、増加した吸湿性を有する材料を提供し得、ナイロンは、耐摩耗性である耐久性材料であり得、ポリエステルは、疎水性で耐久性のある材料を提供し得る。
【0024】
ニット構成要素の他の態様もまた、ニット構成要素の特性に影響を及ぼし、所望の特性を提供するように変更され得る。例えば、ニット構成要素を形成する糸は、モノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸を含むことができ、又は糸は、それぞれ2つ以上の異なる材料から形成されるフィラメントを含むことができる。加えて、ニット構成要素は、特定の特性を有するニット構成要素の領域を付与するために、特定の編みプロセスを使用して形成され得る。したがって、糸を形成する材料及び糸の他の態様の両方は、アッパー80の特定の領域に様々な特性を付与するように選択され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、ニット構造の弾性は、ニット構造が外側にニット構造に加えられる力を有した後の、第1の非延伸状態におけるニット構造の幅又は長さを、第2の延伸状態におけるニット構造の幅又は長さと比較することに基づいて測定され得る。さらなる実施形態では、アッパー80は、追加の構造要素を含むこともできる。例えば、いくつかの実施形態では、ヒールプレート又はカバー(図示せず)を踵領域90に設けて、ユーザの踵に追加の支持を提供することができる。いくつかの例では、他の要素、例えば、プラスチック材料、ロゴ、商標などもまた、接着剤又は熱成形プロセスを使用して外面に適用され、固定されてもよい。いくつかの実施形態では、アッパー80に関連する特性、例えば、ステッチの種類、糸の種類、又は異なるステッチの種類もしくは糸の種類に関連する特性、例えば、弾性、審美的外観、厚さ、通気性、又は耐擦り傷性を変えることができる。
【0026】
図4及び図5を参照すると、履物具74は、外側96及び内側98も画定し、外側96は図4に示され、内側98は図5に示される。ユーザが靴を履いているとき、外側96は履物具74の外側に面する部分に対応し、内側98は履物具74の内側に面する部分に対応する。したがって、左の靴70及び右の靴72は、対向する外側96及び内側98を有し、その結果、ユーザが靴52を装着しているときに内側98が互いに最も近くなり、一方、外側96は、靴52が装着されている間に互いに最も遠い面として画定される。以下でより詳細に説明するように、内側98及び外側96は、履物具74の対向する遠位端において互いに隣接する。
【0027】
図6及び図7を参照すると、内側98及び外側96は、履物具74の長手方向中心平面又は軸100に沿って互いに隣接する。本明細書でさらに説明するように、長手方向中心平面又は軸100は、履物具74の内側98と外側96との間の中心中間軸を画定することができる。言い換えると、長手方向平面又は軸100は、履物具74の後部近位端102と履物具74の前部遠位端104との間に延在してもよく、履物具74のインソール106、ソール構造82、及び/又はアッパー80の中央を連続的に画定してもよく、すなわち、長手方向平面又は軸100は、踵領域90の後部近位端102を通って前足領域86の前部遠位端104まで延在する直線軸である。
【0028】
特に明記しない限り、図6及び図7を参照すると、履物具74は、前足領域86、中足領域88、及び踵領域90によって画定されてもよい。前足領域86は、足指又は指骨112、母指球114、及び足110の中足骨118を足指又は指骨112に接続する関節116のうちの1つ又は複数を含む足110の部分を包み込む履物具74の物品の部分に概して対応し得る。中足領域88は、前足領域86に近接し、隣接する。中足領域88は、一般に、足110のアーチ(図示せず)を、足110のブリッジ(図示せず)と共に包み込む履物具74の部分に対応する。踵領域90は、中足領域88に近接し、中足領域88に隣接する。踵領域90は、一般に、踵又は踵骨120、足首(図示せず)、及び/又はアキレス腱(図示せず)を含む、足110の後部を包む履物具74の部分に対応する。
【0029】
さらに図6及び図7を参照すると、前足領域86、中足領域88、踵領域90、内側98、及び外側96は、履物具74の境界又は領域を画定することが意図されている。そのために、前足領域86、中足領域88、踵領域90、内側98、及び外側96は、一般的に、履物具74のセクションを特徴付ける。本開示のいくつかの態様は、前足領域86、中足領域88、踵領域90、内側98、及び/又は外側96のうちの1つ又は複数と同一の広がりを有する部分又は要素を指し得る。さらに、アッパー80及びソール構造82の両方は、前足領域86、中足領域88、踵領域90、及び/又は内側98及び/又は外側96に沿った部分を有するものとして特徴付けることができる。したがって、アッパー80及びソール構造82、並びに/又はアッパー80及びソール構造82の個々の部分は、前足領域86、中足領域88、踵領域90、並びに/又は内側98及び/もしくは外側96に沿って配置されるその部分を含むことができる。
【0030】
さらに図6及び図7を参照すると、前足領域86、中足領域88、踵領域90、内側98、及び外側96が詳細に示されている。前足領域86は、履物具74のつま先端部122から最も広い部分124まで延在する。最も広い部分124は、つま先端部122の遠位部分からつま先端部122とは反対側の踵端部128の遠位部分まで延在する長手方向軸100に対して垂直である第1の線126に沿って画定又は測定される。中足領域88は、履物具74の最も広い部分124から最も薄い部分130まで延在する。履物具74の最も薄い部分130は、長手方向軸100に対して垂直な第2の線132にわたって測定された履物具74の最も薄い部分として定義される。踵領域90は、履物具74の最も薄い部分130から踵端部128まで延在する。
【0031】
前述の説明を考慮すると、当業者には数多くの修正が明らかであり、その個々の構成要素は、数多くの履物具に組み込まれ得ることを理解されたい。したがって、履物具74及びその構成要素の態様は、本明細書に記載されるように、前足領域86、中足領域88、踵領域90、内側98、及び/又は外側96の境界を理解しながら、履物具74の一般的な領域又は部分を参照して説明され得る。しかしながら、履物具74及びその個々の構成要素の態様は、履物具74の正確な領域又は部分を参照して説明することもでき、本明細書の添付の特許請求の範囲は、本明細書で論じる前足領域86、中足領域88、踵領域90、内側98、及び/又は外側96のこれらの境界に関連する制限を組み込むことができる。
【0032】
さらに図6及び図7を参照すると、内側98は、遠位のつま先端122から始まり、履物74の内側に沿って前足領域86に沿って中足領域88に向かって外側に湾曲する。内側98は、第1の線126に達し、その点で、内側98は、中心の長手方向軸100に向かって内側に曲がる。内側98は、第1の線126、すなわち、最も広い部分124から第2の線132、すなわち、最も薄い部分130に向かって延び、その点で、内側98は、中足領域88に入り、すなわち、第1の線126を横断する。第2の線132に達すると、内側98は、長手方向の中心軸100から離れるように外側に湾曲し、その点で、内側98は、踵領域90内に延在し、すなわち、第2の線132を横断する。次に、内側98は、外側に曲がり、次いで踵端部128に向かって内側に曲がり、内側98が長手方向中心軸100と接触する点で終端する。
【0033】
さらに図6及び図7を参照すると、外側96はまた、遠位のつま先端122から始まり、履物具74の外側に沿って前足領域86に沿って中足領域88に向かって外側に湾曲する。外側96は、第1の線126に達し、この点で、外側96は、長手方向中心軸100に向かって内側に曲がる。外側96は、第1の線126、すなわち最も広い部分124から第2の線132、すなわち最も薄い部分130に向かって延び、その時点で、外側96は、中足領域88に入り、すなわち、第1の線126を横断する。第2の線132に達すると、外側96は、長手方向中心軸100から離れるように外側に湾曲し、その点で、外側96は、踵領域90内に延在し、すなわち、第2の線132を横断する。外側96は、次いで、外側に曲がり、次いで、踵端128に向かって内側に曲がり、外側96が長手方向中心軸100と接触する点で終端する。
【0034】
再び図3図5を参照すると、ソール構造82は、アッパー80に接続又は固定され、履物具74がユーザによって着用されるときに、ユーザの足と地面との間に延びる。ソール構造82はまた、アウトソール、ミッドソール、ヒール、バンプ、及び/又はインソールを含むことができる1つ又は複数の構成要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ソール構造は、ソール構造に構造的完全性を提供するアウトソールと、ユーザに牽引力を提供するアウトソールと、クッションシステムを提供するミッドソールと、ユーザのアーチを支持するインソールとを含むことができる。
【0035】
本実施形態のソール構造82は、アウトソール領域134、ミッドソール領域136、及びインソール領域138(図4及び図5参照)を特徴とすることができる。アウトソール領域134、ミッドソール領域136、及びインソール領域138、及び/又はそれらの任意の構成要素は、前足領域86、中足領域88、及び/又は踵領域90内の部分を含み得る。さらに、アウトソール領域134、ミッドソール領域136、及びインソール領域138、及び/又はそれらの任意の構成要素は、外側96及び/又は内側98上の部分を含むことができる。
【0036】
アウトソール領域134、ミッドソール領域136、及びインソール領域138は、ソール構造82の的確な又は正確な領域を画定することを意図していない。むしろ、アウトソール領域134、ミッドソール領域136、及びインソール領域138は、ソール構造82及びその構成要素の説明を助けるために、本明細書で一般的に定義される。他の例では、アウトソール領域134は、履物具74が着用されたときに、例えば地面などの外面に少なくとも部分的に接触するソール構造82の部分として画定されてもよい。インソール領域138は、履物具が着用されたときにユーザの足に少なくとも部分的に接触するソール構造82の部分として画定されてもよい。最後に、ミッドソール領域136は、アウトソール領域134とインソール領域138との間に延在し、それらを接続するソール構造82の少なくとも一部として画定されてもよい。
【0037】
アッパー80は、図4及び図5に示すように、ソール構造82から上方に延び、ユーザの足を受け入れて固定する内部空洞84を画定する。アッパー80は、足領域140及び足首領域142によって画定されてもよい。一般的に、足領域140は、ソール構造82から、前足領域86、中足領域88、及び踵領域90を通って上方に延びる。足首領域142は、主に踵領域90に位置するが、いくつかの実施形態では、足首領域142は、中足領域88内に部分的に延在してもよい。
【0038】
再び図6及び図7を参照すると、アッパー80は、外側96及び内側98に沿って延在し、前足領域86、中足領域88、及び踵領域90を横切って、ユーザの足を収容し、包囲する。完全に組み立てられると、アッパー80はまた、内面144及び外面146を含む。内面144は、内側に面し、概して、内部空洞84を画定し、アッパー80の外面146は、外側に面し、概して、アッパー80の外周又は境界を画定する。アッパー80はまた、少なくとも部分的に履物具74の踵領域90に位置する開口部148(図4図6参照)を含み、この開口部は、内部空洞84へのアクセスを提供し、そこを通して足を挿入及び取り外すことができる。いくつかの実施形態では、アッパー80はまた、踵領域90の開口部148から、足の甲に対応する領域にわたって、前足領域86に近接する領域まで延在するインステップ領域150(図6参照)を含んでもよい。インステップ領域150は、本実施形態のシュータン152が配置される領域と同様の領域を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アッパー80は、シュータン152を含まず、すなわち、アッパー80は、シュータンなしである。
【0039】
再び図4及び図5を参照すると、ソール構造82は、それぞれ仮想線又は破線で示される、外側サイドウィング又はフラップ154及び内側サイドウィング又はフラップ156を含む。外側サイドフラップ154の下端158は、ソール構造82の外側96から、アッパー80の外面146に隣接して延びる。外側サイドフラップ154は、アッパー80の外側96に沿って延在し、外側サイドフラップ154の頂点又は上端160は、シュータン152に隣接している。同様に、内側サイドフラップ156の下端162は、ソール構造82の内側98から、アッパー80の外面146に隣接して延びる。内側フラップ156は、アッパー80の内側98に沿って延在し、内側フラップ156の頂点又は上端164は、シュータン152に隣接している。いくつかの実施形態では、サイドフラップ154、156は、ソール構造82に取り付けられ、アッパー80の内面144(図6参照)に隣接してソール構造82から延びることができる。いくつかの実施形態では、サイドフラップ154、156は、ソール構造82に取り付けられ、アッパー80の内面144と外面146との間でソール構造82から延びることができる。
【0040】
さらに図4及び図5を参照すると、サイドフラップ154、156は、ソール構造82の踵領域90及び中足領域88の両方の中に配置される。いくつかの実施形態では、サイドフラップ154、156は、ソール構造82の踵領域90、中足領域88、及び/又は前足領域86内に配置される。サイドフラップ154、156は、図4及び図5に示すように、サイドフラップ154、156を通る空気流を提供することができる、外側サイドフラップ154の本体166上及び内側サイドフラップ156の本体168上に配置された開口部を含む。いくつかの実施形態では、サイドフラップ154、156は、連続体166、168を有する。サイドフラップ154、156は、アッパー80を構成する材料と同様の材料、又はプラスチックもしくはゴムなどの異なる材料から構成されてもよい。
【0041】
図4図6を参照すると、自動レーシングシステム54のひも締めの部分がより詳細に示されている。自動レーシングシステム54は、パネル66を画定するハウジング170と、靴ひも172とを含む。自動レーシングシステム54はまた、以下に説明するように、ハウジング170内に配置されるいくつかの電子構成要素を含む。靴ひも172は、外側サイドフラップ154の内面176(図8参照)に配置され、外側サイドフラップ154の上端160に沿って配置された複数の外側ギリー又はレースリテーナ174と、内側サイドフラップ156の内面180(図8参照)に配置され、内側サイドフラップ156の上端164に沿って配置された複数の内側ギリー又はレースリテーナ178とを通って延びる。外側レースリテーナ174は、履物具74のアッパー80の開口部148に最も近い位置に配置された第1の外側レースリテーナ182と、履物具74の第1の外側レースリテーナ182に隣接してかつつま先端122に向かって配置された第2の外側レースリテーナ184と、履物具74の第2の外側レースリテーナ184に隣接してかつつま先端122に最も近い位置に配置された第3の外側レースリテーナ186とを含む。
【0042】
内側レースリテーナ178は、履物具74のアッパー80の開口部148に最も近い位置に配置された第1の内側レースリテーナ188と、履物具74の第1の内側レースリテーナ188に隣接してかつつま先端部122に向かって配置された第2の内側レースリテーナ190と、第2の内側レースリテーナ190に隣接してかつ履物具74のつま先端部122に最も近い位置に配置された第3の内側レースリテーナ192とを含む。図示の実施形態では、外側及び内側のレースリテーナ174、178は、中足領域88及び踵領域90内に配置される。いくつかの実施形態では、レースリテーナ174、178は、完全に中足領域88内に配置される。いくつかの実施形態では、レースリテーナ174、178は、前足領域86、中足領域88、及び踵領域90内に配置される。いくつかの実施形態では、複数の外側レースリテーナ174及び内側レースリテーナ178は、それぞれ、サイドフラップ154、156の外面194、196(図8参照)上に配置される。いくつかの実施形態では、複数の外側レースリテーナ174及び内側レースリテーナ178は、インステップ領域150に隣接して、アッパー80の外面146上に配置される。
【0043】
さらに図4図6を参照すると、靴ひも172の一部(図18及び図19参照)は、ハウジング170内に配置され、これにより、自動レーシングシステム54は、ユーザの特定の入力に応じて、靴ひも172を引き込むことができ、又は靴ひも172を引き出すことができる。図示の実施形態では、靴ひも172はクローズドループであり、靴ひも172の一部がハウジング170内に配置され、靴ひも172の残りの部分がレースリテーナ174、178を通って延びる。いくつかの実施形態では、クローズドループ靴ひも172の部分は、ハウジング170内に固定され、すなわち、靴ひもが完全に引き出されたとき、靴ひも172の同じ部分がハウジング内に配置される。いくつかの実施形態では、靴ひも172は、クローズドループを含まなくてもよく、代わりに、履物具74の部分に固定して取り付けられる端部を有してもよい。いくつかの実施形態では、靴ひも172の端部は、1つ又は複数のレースリテーナ174、178に固定して取り付けられる。いくつかの実施形態では、靴ひも172の端部は、サイドフラップ154、156に固定して取り付けられる。いくつかの実施形態では、靴ひも172の端部は、履物具74に固定して取り付けられなくてもよく、代わりに、ユーザによって互いに結ばれる自由端を有してもよい。
【0044】
図8を参照すると、ハウジング170は、アッパー80の外側96と内側98との間で、アッパー80のインステップ領域150内に位置するシュータン152に沿って中央に配置される。外側レースリテーナ174は、外側サイドフラップ154の上端160に沿って、シュータン152及びアッパーの外側96に隣接して配置される。内側レースリテーナ178は、内側サイドフラップ156の上端164に沿って、アッパー80のシュータン152及び内側98に隣接して配置される。図示の実施形態では、外側レースリテーナ174及び内側レースリテーナ178の各々は、構造が同一であり(図9図11を参照)、外側レースリテーナ174は、内側レースリテーナ178に対して鏡像であり、逆もまた同様である。
【0045】
さらに図8を参照すると、靴ひも172は、ハウジング170の外側開口部204から第1の外側レースリテーナ182の開口部210の近位開口部208に向かって延びる。ハウジング170内に配置された靴ひも172の量に応じて、靴ひも172は、ハウジング170から第1の外側レースリテーナ182の近位開口部208を通って延びるにつれて、わずかに曲がるか、又は角度を成すことができる。靴ひも172は、外側サイドフラップ154の上端160と平行に、開口部210を通って、第1の外側レースリテーナ182の開口部210の遠位開口部212から出るように延在する。靴ひも172は、第1の外側レースリテーナ182の遠位開口部212から、第2の内側レースリテーナ190の開口部218の近位開口部216まで延在し、ハウジング170内のレースチャネル222(図18及び図19参照)の側方開口部220を通ってシュータン152を横切り、ハウジング170の内側開口部224を通ってレースチャネル222から出る。
【0046】
靴ひも172は、ハウジング170内に配置された靴ひも172の量に応じて、シュータン152を横断し、第2の内側レースリテーナ190の近位開口部216を通って延びるにつれて、わずかに曲がるか、又は傾斜してもよい。靴ひも172は、開口部218を通って内側サイドフラップ156の上端164に平行に延び、第2の内側レースリテーナ190の開口部218の遠位開口部230を通って延びる。靴ひも172は、第2の内側レースリテーナ190の遠位開口部230から、シュータン152を横切って、第3の外側レースリテーナ186の開口部236の近位開口部234まで延びる。靴ひも172は、ハウジング170内に配置された靴ひも172の量に応じて、シュータン152を横断し、第3の外側レースリテーナ186の近位開口部234を通って延びるにつれて、わずかに曲がるか、又は角度を成すことができる。靴ひも172は、外側サイドフラップ154の上端160と平行に、開口部236を通って、第3の外側レースリテーナ186の開口部236の遠位開口部238の外に延在する。
【0047】
さらに図8を参照すると、第3の外側レースリテーナ186の遠位開口部238から、靴ひも172は、シュータン152を横切って、第3の内側レースリテーナ192の開口部244の遠位開口部242まで延在する。靴ひも172は、ハウジング170内に配置された靴ひも172の量に応じて、シュータン152を横切って、第3の内側レースリテーナ192の遠位開口部242を通って延びるにつれて、わずかに曲がるか、又は傾斜してもよい。靴ひも172は、内側サイドフラップ156の上端164と平行に、開口部244を通って、第3の内側レースリテーナ192の開口部244の近位開口部246から延在する。靴ひも172は、第3の内側レースリテーナ192の近位開口部246から、シュータン152を横切って、第2の外側レースリテーナ184の開口部252の遠位開口部250まで延在し、シュータン152に沿ってそれ自体を横切る。
【0048】
靴ひも172は、ハウジング170内に配置された靴ひも172の量に応じて、シュータン152を横切って、第2の外側レースリテーナ184の遠位開口部250を通って延びるにつれて、わずかに曲がるか、又は傾くことができる。靴ひも172は、外側サイドフラップ154の上端160と平行に、開口部252を通って、第2の外側レースリテーナ184の開口部252の近位開口部254から延在する。第2の外側レースリテーナ184の近位開口部254から、靴ひも172は、内側開口部224を通ってシュータンを横切って延び、ハウジング170のレースチャネル222の外側開口部220から、第1の内側レースリテーナ188の開口部260の遠位開口部258まで延び、ハウジング170のレースチャネル222内でそれ自体を横切る。
【0049】
靴ひも172は、ハウジング170内に配置された靴ひも172の量に応じて、ハウジング170のレースチャネル222を通って、第1の内側レースリテーナ188の遠位開口部258を通って延びるにつれて、わずかに曲がるか、又は傾くことができる。靴ひも172は、内側サイドフラップ156の上端164と平行に、開口部260を通って、第1の内側レースリテーナ188の開口部260の近位開口部262から延在する。内側レースリテーナ188の近位開口部262から、靴ひも172は、ハウジング170の内側開口部266まで延在する。
【0050】
上記で概説したようなレーシング構造の代替的な構成、例えば、それ自体を横切る靴ひも172のより多い又はより少ない交差部をもたらす、より多い又はより少ないレースリテーナ174、178が企図される。例えば、いくつかの実施形態は、それ自体を横断する靴ひも172の交差部を含まなくてもよい。上述のように、図示の実施形態では、靴ひも172は、それ自体を2回横断する。いくつかの実施形態では、靴ひも172は、それ自体を3回、4回、5回、6回、又は7回横断することができる。他の実施形態では、靴ひも172は、ハウジング170から、履物具74の遠位端104に向かって直列に、シュータン152を横切って、内側レースリテーナ178を通って直列に、ハウジング170に向かって後方に、外側レースリテーナ174を通って延在し、靴ひも172がそれ自体を横切らないようにしてもよい。しかしながら、図示の実施形態では、ハウジング170、レースリテーナ174、178、及びサイドフラップ154、156の特定の配向は、履物具74がユーザの足の周りに適切かつしっかりと締め付けられることを可能にし、靴ひも172によって加えられる力は、履物具74が着用されている間、効率的かつ保持的な方法でユーザの足の上に広がる。その意味で、靴ひも172の好ましい向きは、上述のように、シュータン152を横切って交差するように、ハウジング170からレースリテーナ174、178を通って延びることである。
【0051】
上述のようなレーシングシステム54は、ユーザが、例えば、ユーザが所望するように足の周りにサイドフラップ154、156上に配置されたレースリテーナ174、178を通って延びる靴ひも172を介して、ハウジング170に対して上側80に沿って延びるサイドフラップ154、156を締めたり緩めたりするために、サイドフラップ154、156の外側96及びアッパー80の内側98に沿った締め具合を修正することを可能にすることができる。また、本明細書でさらに詳細に説明されるように、レーシングシステム54は、ユーザが所望するように、ユーザが締め具合を修正することを可能にし得る。靴ひも172を含む材料に関して、材料は、ねじれを防止し、自動レーシングシステム54の動作を改善するために、円形断面を有する従来の綿、ポリエステル、又はナイロンであってもよい。いくつかの実施形態では、靴ひも172は、0.5~1.5ミリメートルの範囲の直径を有するケーブルである。いくつかの実施形態では、靴ひも172は、従来の靴ひもと比較して増加した強度及び耐摩耗性を有する高弾性ポリエチレン繊維ケーブルを含む。
【0052】
ここで図9図11を参照すると、レースリテーナ174、178のうちの1つの実施形態がより詳細に示されている。上述のように、図8に示す実施形態では、外側レースリテーナ174及び内側レースリテーナ178の各々は同一である。開示を容易にするために、単一のレースリテーナ270が、図9図11において、レースリテーナ174、178の態様を説明するために参照される。いくつかの実施形態では、外側レースリテーナ174と内側レースリテーナ178との間に相違があり得る。例えば、外側レースリテーナ174は、内側レースリテーナ178とは異なる位置のレースリテーナ270において異なる特徴を有することができ、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の外側レースリテーナ182、184、186と、第1、第2、及び第3の内側レースリテーナ188、190、192との間に相違があり得る。例えば、第1の外側レースリテーナ182及び第1の内側レースリテーナ174は、第2の外側レースリテーナ184及び第2の内側レースリテーナ190、並びに/又は第3の内側レースリテーナ186及び第3の外側レースリテーナ192とは、レースリテーナ270の異なる位置に異なる特徴を有し得る。
【0053】
さらに図9図11を参照すると、レースリテーナ270は、ベース部272及び本体部分274を含む。ベース部272は、サイドフラップ154、156(図8参照)の内面176、180と接触する第1の面276(図10及び図11参照)と、本体部分274が延在する第2の面278とを含む。図示の実施形態では、ベース部272は、複数のファスナ穴280を含み、これらはそれぞれ、ファスナを受容して、レースリテーナ270をサイドフラップ154、156の内面176、180に固定して取り付けるように構成される。複数のファスナ穴280は、締め付けられた靴ひも172がレースリテーナ270を通過して保持することによって課される、ベース部272に垂直又は平行な力などの力に対抗するように整列される。他の実施形態では、レースリテーナ270は、接着剤又は超音波溶接などの当技術分野で知られている任意の取り付け手段によって、サイドフラップ154、156の内面176、180に固定して取り付けることができる。
【0054】
図10及び図11を参照すると、レースリテーナ270の本体部分274は、靴ひも開口部304を画定する前面294、上面296、底面298、第1の側面300、及び第2の側面302を含む。靴ひも開口部304は、第1及び第2の側面300、302を通って延在する。第1及び第2の側面300、302は、靴ひも開口部304を通過する靴ひも172に対する摩擦を低減する、傾斜面及び丸みを帯びた角など、図示されたもの以外の特徴を含むことができる。同様に、前面294、上面296、及び底面298は、靴ひも172が締め付けられ、レースリテーナ270が履物具74のアッパー80に接触するときに、ユーザの足への刺激を低減する、角度のついた表面及び/又は丸みのついた角を含むことができる。前面294の内側部分は、靴ひも172が締め付けられたときに靴ひも172が接触するための滑らかな表面を提供するように構成された丸いパッド292を含む。いくつかの実施形態では、パッド292は、靴ひも172を受容するように構成されたレースチャネルを含む。いくつかの実施形態では、パッド292は、レースリテーナ270とは異なる材料から構成される。図示の実施形態では、靴ひも開口部304は、ベース部分272の第1の面276と平行に延在する。いくつかの実施形態では、靴ひも開口部304は、ベース部分272の第1の面276に対してある角度で延在する。いくつかの実施形態では、靴ひも開口部304は、靴ひも172の直径と同じか又はそれよりも大きい直径を有する円筒形状の開口部であるように構成される。
【0055】
レースリテーナ270は、上述の様々な3D印刷技術のうちの1つ以上によってなど、付加製造技術によって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、レースリテーナ174、178、又はその構成要素は、サイドフラップ154、156上に、又は中足領域88などのアッパー80の別の領域に沿って、直接3D印刷されてもよい。いくつかの実施形態では、レースリテーナ174、178、又はその構成要素は、3D印刷され、次いで、履物具74の物品の部分に別々に固定されてもよい。
【0056】
ここで図12図14を参照すると、履物具74のシュータン152の代替実施形態が示されている。図12を参照すると、履物具74は、明確にするために内側及び外側サイドフラップ154、156が除去された状態で示されている。アッパー80のシュータン310は、上述したように、図3図8に示す実施形態の履物具74のシュータン152と同じ位置に配置され、同様に機能する。しかしながら、この実施形態におけるシュータン310は、シュータン310の上面314から下面316まで延在するシュータン310の上面314に沿って又はその内部に配置された複数の凹部312を含む。複数の凹部312は、ハウジング凹部318と、複数のレースチャネル320とを含む。ハウジング凹部318は、履物具74の開口部148に隣接するシュータン310の近位端322に向かって配置される。ハウジング凹部318は、ハウジング170(図15図18参照)を受容するように構成され、その結果、ハウジング170は、シュータン310の上面314の下に部分的に位置する。複数のレースチャネル320は、遠位端324に向かってハウジング凹部318の隣及び下方に、シュータン310の外側及び内側326、328に沿って配置される。いくつかの実施形態では、ハウジング凹部318は、下面316の下に延在する。いくつかの実施形態では、ハウジング凹部318がハウジング開口部を画定するように、ハウジング凹部318はシュータン310を通って延在する。
【0057】
さらに図12図14を参照すると、複数のレースチャネル320は、上述したように(図13及び図14に示すように)交差するように、複数の外側及び内側レースリテーナ174、178を通って延びる靴ひも172の部分を受け入れてガイドするように構成される。複数のレースチャネル320は、第1の外側レースチャネル330、第2の外側レースチャネル332、第3の外側レースチャネル334、第4の外側レースチャネル336、第1の内側レースチャネル338、第2の内側レースチャネル340、第3の内側レースチャネル342、及び第4の内側レースチャネル344を含む。第1の外側レースチャネル330は、第1の外側レースリテーナ182の開口部210の近位開口部208と位置合わせされたシュータンの近位端322から、ハウジング凹部318に向かう距離で、ハウジング170がハウジング凹部318内に配置されたときにハウジング170の外側開口部204と位置合わせされる角度で、シュータン310の外側326から延びる(図14参照)。
【0058】
同様に、第1の内側レースチャネル338は、第1の内側レースリテーナ188の開口部260の近位開口部262と位置合わせされたシュータンの近位端322から、ハウジング凹部318まで、ハウジング170がハウジング凹部318内に配置されたときにハウジング170の内側開口部266と位置合わせされる角度で、シュータン310の内側328から距離を置いて延びる(図14参照)。第1の外側レースチャネル330及び第1の内側レースチャネル338はそれぞれ、靴ひも172の直径と同じか又はそれよりも大きい幅を有する(図13及び図14参照)。いくつかの実施形態では、第1の外側レースチャネル330及び第1の内側レースチャネル338は、同じ角度でハウジング凹部318に向かってシュータン310に沿って延在する。いくつかの実施形態では、第1の外側レースチャネル330及び第1の内側レースチャネル338は、ある角度で直線状にハウジング凹部318に向かって延在せず、代わりに、靴ひも172が締め付けられたときにハウジング170に加えられる張力をチャネル330、338の側壁に分配するために成形される。例えば、いくつかの実施形態では、第1の外側レースチャネル330及び第1の内側レースチャネル338は、半径を有する円弧形状を有するか、又は正弦波に似た線に沿って成形される。
【0059】
さらに図12図14を参照すると、第2の外側レースチャネル332は、シュータン310の近位端322に対して第1の外側レースチャネル330の下のシュータン310に沿って配置され、シュータン310の外側326からハウジング凹部318まで延在する。第2の外側レースチャネル332は、シュータン310の外側326から延びる第2の外側レースチャネル332の外側端部が、ハウジング凹部318に近接する他の外側端部よりも幅が広くなるように、三角形状又はテーパ形状になっている。第2の外側レースチャネル332の外側端部は、第2の外側レースチャネル332の外側端部の近位側における第1の外側レースリテーナ182の開口部210の遠位開口部212と、第2の外側レースチャネル332の外側端部の他方の遠位側における第2の外側レースリテーナ184の開口部252の近位開口部254との両方と整列する幅を有する(図14参照)。第1の外側レースチャネル330の内側端部は、外側端部の幅よりも小さい幅を有し、ハウジング170がハウジング凹部318内に配置されたとき、ハウジング170のレースチャネル222の外側開口部220と位置合わせされる(図14参照)。
【0060】
同様に、さらに図12図14を参照すると、第2の内側レースチャネル340は、シュータン310の近位端322に対して第1の内側レースチャネル338の下方のシュータン310に沿って配置され、シュータン310の内側328からハウジング凹部318まで延在する。第2の内側レースチャネル340は、第2の外側レースチャネル332と同様の形状を有するが、鏡像であり、その結果、シュータン310の内側328から延びる第2の内側レースチャネル340の内側端部は、ハウジング凹部318に近接する他の外側端部よりも広い。第2の内側レースチャネル340の内側端部は、第2の内側レースチャネル340の内側端部の近位側における第1の内側レースリテーナ188の開口部260の遠位開口部258と、第2の内側レースチャネル340の内側端部の遠位側における第2の内側レースリテーナ190の開口部218の近位開口部216との両方と整列する幅を有する(図14参照)。
【0061】
第2の内側レースチャネル340の外側端部は、内側端部の幅よりも小さい幅を有し、ハウジング170がハウジング凹部318内に配置されたとき、ハウジング170のレースチャネル222の開口部224と位置合わせされる(図14参照)。いくつかの実施形態では、第2の外側レースチャネル332及び第2の内側レースチャネル340はそれぞれ、2つの別個のレースチャネルを備える。例えば、いくつかの実施形態では、第2の外側レースチャネル332は、第2の外側レースチャネル332の外側端部の近位側からハウジング170のレースチャネル222の外側開口部220の近位側まで延在する第1のチャネルと、第2の外側レースチャネル332の外側端部の遠位側からハウジング170のレースチャネル222の外側開口部220の遠位側まで延在する、第1のチャネルとは別個の第2のチャネルとを備えることができる。
【0062】
さらに図12図14を参照すると、第3及び第4の外側レースチャネル334、336は、第2の外側レースリテーナ184の開口部252の遠位開口部250及び第3の外側レースリテーナ186の開口部236の近位開口部234にそれぞれ一端で隣接して配置され、靴ひも172が他端でハウジング170の下で交差する交差部に配置される(図14参照)。同様に、第3及び第4の内側レースチャネル342、344は、第2の内側レースリテーナ190の開口部218の遠位開口部230及び第3の内側レースリテーナ192の開口部244の近位開口部246のそれぞれの一端に隣接して配置され、靴ひも172がシュータン310に沿ってそれ自体の上を横切る交差部348に配置される(図13及び図14参照)。いくつかの実施形態では、シュータン310は、シュータン310の遠位端324に向かって、第4の外側レースチャネル336及び第4の内側レースチャネル344の下に配置された追加のレースチャネルをさらに含む。例えば、追加のレースチャネルは、一端で第3の外側レースリテーナ186の開口部236の遠位開口部238に隣接して、他端で第3の内側レースリテーナ192の開口部244の遠位開口部242に隣接して配置され得る(図14を参照)。いくつかの実施形態では、複数のレースチャネル320は、複数のレースチャネル320がシュータン310の上面314によって覆われるように、シュータン310内に延在する。
【0063】
特に図12を参照すると、シュータン310又はその構成要素は、上述の様々な3D印刷技術のうちの1つ又は複数によってなど、付加製造技術によって形成され得る。いくつかの実施形態では、シュータン310又はその構成要素は、足甲領域150上に直接、又は中足領域88などの足の別の領域に沿って3D印刷されてもよい。いくつかの実施形態では、シュータン310又はその構成要素は、3D印刷され、履物具74の部分と別々に結合されてもよい。
【0064】
次に、図15図18を参照して、ハウジング170及びその中に配置された構成要素についてより詳細に説明する。ハウジング170は、第1又は近位側350、第2又は遠位側352、第3又は外側354(図15図17参照)、第4又は内側356(図16図18参照)、第5又は上側358、及び第6又は下側360(図16及び図18参照)を有する。スワイプパネル66は、上面358の下方に配置されている。外側開口部204は、ハウジング170の外側354に近位側350に向かって配置され、内側開口部266は、ハウジング170の内側356に近位側350に向かって配置される。外側開口部204及び内側開口部266は、ハウジング170内に靴ひも172の部分を受容するように構成される(図8参照)。レースチャネル222は、ハウジング170の外側及び内側354、356を通って延び、レースチャネル222の外側開口部220及び内側開口部224を含む。レースチャネル222は、ハウジング170が履物具74のアッパー80のシュータン152上に配置されるとき、外側及び内側のレースリテーナ174、178から延びる靴ひも172の部分を受容するように構成される(図8参照)。
【0065】
図16を参照すると、ハウジング170の下側360は、外側354と内側356との間に凹状に形成されている。ハウジング170の凹形状の下側360は、ハウジング170が履物具74のアッパー80のシュータン152上に配置されるとき、ユーザの足110の上面とのより人間工学的な位置合わせを提供する。他の実施形態では、ハウジング170の下側360は、例えば、ハウジング170がシュータン310のハウジング凹部318内に配置される場合(図12及び図13参照)、凸状、又は、平坦であってもよい。図18を参照すると、以下でより詳細に説明するように、ハウジングは、ハウジングベース部362と、ハウジングベース部362の上面に取り付けられたハウジングベース部カバー364(図19図25参照)と、ハウジングベース部362の外面でハウジングベース部カバー364の上方に取り付けられたハウジング上部カバー366とを備える。ハウジング170又はその構成要素は、上述の様々な3D印刷技術のうちの1つ又は複数の付加製造技術などによって形成され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング170又はその構成要素は、足甲領域150上に直接、又は足前領域86、中足領域88、又は踵領域90などの足の別の領域に沿って3D印刷され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング170又はその構成要素は、3D印刷され、次いで、履物具74の部分と別々に結合され得る。
【0066】
次に、図19図25を参照して、自動レーシングシステム54をより詳細に説明する。図19及び図20を参照すると、自動レーシングシステム54のハウジング170のいくつかの内部構成要素のゴースト図は、ハウジングベース部カバー364の上側ホイールギア凹部372内に配置された上側ホイールギアアセンブリ370を示す。ハウジング上部カバー366(図21図25参照)を含むハウジング170の部分は、明確にするために除去されている。ハウジングベース部カバー364は、外側レースチャネル374と、ハウジング上部カバー366(図8及び図15図18参照)の外側及び内側開口部204、266とそれぞれ整列するように構成された第1の端部と、上側ホイールギア凹部372を通って延びる第2の端部とを有する内側レースチャネル376とを含む。外側及び内側レースチャネル374、376は、ハウジング170内に配置された靴ひも172のセクションの外側及び内側部分を受容し、靴ひも172の部分を上側ホイールギアアセンブリ370にガイドし、そこで、靴ひも172は、上側ホイールギアアセンブリ370の開口部378内に受容されるように構成される。
【0067】
さらに図19及び図20を参照すると、上側ホイールギアアセンブリ370は、それを貫通して配置された靴ひも開口部378を有する円筒形本体394(図19)と、円筒形本体394の頂部に配置されたフランジ396とを有する上側延長構成要素392を含む。図示の実施形態では、靴ひも172は、ハウジングベース部カバー364の外側及び内側チャネル374、376に沿ってハウジング170内に入り、上側延長構成要素392の円筒形本体394の靴ひも開口部378を通して受容される。この構成は、自動レーシングシステム54が靴ひも172を締め付けるか又は緩めるために使用されているかどうかに応じて、靴ひも172が矢印A又はB(図20参照)の方向にホイールギア軸390の周りで内側に引かれることを可能にする。
【0068】
図示の実施形態では、初期又は緩い構成(図19に示す)から、上側ホイールギアアセンブリ370の約90度の回転は、第1のレベルの締め付けをもたらし、上側ホイールギアアセンブリ370の約180度の回転は、第2のレベルの締め付けをもたらし、上側ホイールギアアセンブリ370の約270度の回転は、第3のレベルの締め付けをもたらす、などである。いくつかの実施形態では、上側ホイールギアアセンブリ370を約60度の増分で回転させると、第1のレベルの締め付け、第2のレベルの締め付け、第3のレベルの締め付けなどが得られる。いくつかの実施形態では、上側ホイールギアアセンブリ370を約45度の増分だけ回転させると、第1のレベルの締め付け、第2のレベルの締め付け、第3のレベルの締め付けなどが得られる。いくつかの実施形態では、上側ホイールギアアセンブリ370を約30度の増分で回転させると、第1のレベルの締め付け、第2のレベルの締め付け、第3のレベルの締め付けなどが得られる。いくつかの実施形態では、上側ホイールギアアセンブリ370を約15度の増分だけ回転させると、第1のレベルの締め付け、第2のレベルの締め付け、第3のレベルの締め付けなどが得られる。
【0069】
ここで図21図25を参照すると、自動レーシングシステム54の要素が分解構成で示されている。特に図21及び図22を参照すると、モータ382と、ホイールギア384と、ギアトレイン388とを含むパワートレインアセンブリ380が、ハウジングベース部362及びハウジングベース部カバー364内に配置される。パワートレインアセンブリ380のホイールギア384は、ハウジングベース部カバー364上に配置された上側ホイールギアアセンブリ370と機械的に接続されている(図19図21参照)。具体的なギア構成については後述するが、モータ382は、(ギアトレイン388の回転を介したホイールギア384の回転を介して)上側ホイールギアアセンブリ370をホイールギア軸390の周りで回転させるように動作可能であり、これにより、靴ひも172が上側ホイールギアアセンブリ370の円筒形本体394の周りで回転及びスプールすることが可能になる(図20参照)。上側ホイールギアアセンブリ370が回転し、靴ひも172をホイールギア軸390の周りに引くと、靴ひも172は、上側ホイールギアアセンブリ370の回転方向(図20の矢印A及びBを参照)に応じて(及び、延伸、ホイールギア384、ギアトレイン388、及びモータ382によって)、締め付けられるか、又は緩められる。
【0070】
ここで図21を参照すると、自動レーシングシステム54のハウジング170内に配置された構成要素のいくつかの分解斜視図が示されている。構成要素は、ハウジングベース部362と、ハウジングベース部362の下側ガスケットチャネル402内に配置された下側ガスケット400と、ハウジングベース部カバー364と、ハウジングベース部カバー364の上側ガスケットチャネル406内に配置された上側ガスケット404と、ハウジング上部カバー366とを含む。パワートレインアセンブリ380は、ハウジングベース部362及びハウジングベース部カバー364内に配置され、モータ382、ギアトレイン388、及びホイールギア384を含む。ウォームギア410は、第1のシャフト412の周りに設けられ、第1のギア414は、第1のシャフト412の端部に配置される(図21参照)。ウォームギア410、第1のシャフト412、及び第1のギア414は、ギアトレイン388の第1のギアアセンブリ416を備える。第1のギアアセンブリ416は、ホイールギア軸390(図22参照)に垂直な回転軸408を有する。ギアトレイン388の第2のギアアセンブリ418は、第2のシャフト424に沿って配置された第2のギア420及び第3のギア422を含む。第2のギア420と第3のギア422とは、互いに固定的に連結されており、したがって、第2のギア420が回転すると、第3のギア422も回転する。ギアトレイン388の第3のギアセンブリ426も設けられ、第3のギアセンブリ426は、第4のギア428及び第5のギア430を含む(図21参照)。第4のギア428及び第5のギア430は、互いに固定結合され、第3のシャフト432に沿って配置される。ギアトレイン388のモータギア434もまた、モータ382から延在するように示され、モータギア434は、モータシャフト436(図21参照)に沿って配置される。
【0071】
第1のギア414、第2のギア420、第3のギア422、第4のギア428、及び第5のギア430は、スパーギア又は円筒歯車であり得る。スパーギア又はストレートカットギアは、半径方向に突出する歯を有するシリンダ又はディスクを含む。歯は真っ直ぐではないが、各歯の縁部は、真っ直ぐであり、回転軸に平行に整列される。2つのギア、例えば、第1のギア414及び第3のギア422が噛み合うとき、一方のギアが他方よりも大きい(第1のギア414が、第3のギア422よりも大きい直径を有する)場合、2つのギアの回転速度及びトルクがそれらの直径に比例して異なるという機械的利点が生じる。より大きいギアはより遅く回転するので、そのトルクは比例的に大きく、本例では、第3のギア422のトルクは、比例的に第1のギア414のトルクより大きい。
【0072】
さらに図21図25を参照すると、第1のギアアセンブリ416は、ホイールギア384と連通するウォームギア410を含む。ウォームギアは、ヘリカルギアの一種であるが、そのヘリクス角度は、通常、やや大きく(90度に近い)、その本体は、通常、軸方向にかなり長い。当業者が理解するように、ウォームギア410の使用は、ウォームギア410とホイールギア384との間の高トルク、低速ギア比を達成するための単純かつコンパクトな方法をもたらす。本実施形態では、ウォームギア410は、常にホイールギア384を駆動することができるが、その逆は必ずしも真ではない。ウォームギア410とホイールギア384との組み合わせは、セルフロックシステムをもたらし、特定の締め付けレベルが所望されるとき、ウォームギア410がその位置を保持するために容易に使用され得るという利点が得られる。ウォームギア410は、右回りでも左回りでもよい。本開示の目的のために、上述のように、第1のギアアセンブリ416は、ウォームギア410と、第1のシャフト412と、第1のギア414とを含む。ウォームギア410、第1のシャフト412、及び第1のギア414は、単一の材料を含んでもよく、又は異なる材料を含んでもよい。
【0073】
特に図21及び図22を参照すると、第1のギアアセンブリ416は、モータギア434と連通する第3のギアアセンブリ426と連通する、第2のギアアセンブリ418と連通する。その結果、モータシャフト436がモータ382によって回転されるとき、モータギア434は、ホイールギア384が時計回り又は反時計回りに回転されることが意図されるかどうか、すなわち、靴ひも172を締め付けるか又は緩めることが意図されるかどうかに応じて、時計回り又は反時計回りの方向に回転する。モータギア434は、第5のギア430(図21参照)と連通しており、その回転により、第3のシャフト432(図21参照)及び第4のギア428(図21参照)が回転する。第4のギア428(図21参照)は、第3のギア422(図21参照)に固定結合された第2のギア420(図21参照)と連通している。上述のように、第2のギア420、第3のギア422、及び第2のシャフト424(図21参照)は、第2のギアアセンブリ418を構成する。
【0074】
さらに図21及び図22を参照すると、第2のギアアセンブリ418は、第3のギアアセンブリ426がモータギア434によって回転させられるときに、それによって回転させられる。第2のギアアセンブリ418の第3のギア422は、第1のギア414と連通しており、したがって、第3のギア422の回転は、第1のギア414の回転を引き起こす。第1のギア414(図21参照)が第2のギアアセンブリ418によって回転させられると、第1のギア414は、第1のシャフト412(図21参照)を回転させ、第1のシャフト412は、ウォームギア410と固定的に結合される。これにより、ウォームギア410は、第1のギア414(図21参照)を回転させたときに回転する。図22図25に示すように、ホイールギア384は、ウォームギア410と機械的に接続されており、したがって、ホイールギア384は、第1のギアアセンブリ416が回転させられるときにも回転させられる。
【0075】
図22図25に示すように、上側ホイールギアアセンブリ370は、ホイールギア384に固定して取り付けられ、したがって、ホイールギア384が回転すると、上側ホイールギアアセンブリ370が回転させられ、靴ひも172が、(図19及び図20に示すように)ホイールギア軸390の周りでハウジング170内に引き込まれる。上述のように、第1のギアアセンブリ416は、第1のギア414(図21参照)、第1のシャフト412(図21参照)、及びウォームギア410を含む。そのために、モータギア434が回転すると、第3のギアアセンブリ426が回転させられ、これにより、第2のギアアセンブリ418が回転させられ、これにより、第1のギアアセンブリ416が回転させられ、これにより、ホイールギア384が回転させられる。
【0076】
ここで図21を参照すると、上側ホイールギアアセンブリ370は、ファスナ442を介してホイールギア384に結合された上側延長構成要素392を含む。図19及び図20を参照して述べたように、上側延長構成要素392は、それを貫通して配置された靴ひも開口部378及びフランジ396を有する円筒形本体394を含む。ファスナ442は、ハウジングベース部カバー364の円筒形上側ホイールギア凹部372内の上側延長構成要素392の円筒形本体394及びファスナ穴444(図22参照)を通って配置される。ファスナ442は、図22図25に示されるように、ホイールギア384の中心に固定して受容される。したがって、上側ホイールギアアセンブリ370及びホイールギア384は、図21図22、及び図25に示されるように、同じ回転軸390を有する。
【0077】
上述のように、図示の実施形態では、上側ホイールギアアセンブリ370は、ホイールギア384に結合され、図示の実施形態では締め付けられた構成(図20参照)で靴ひも172を保持する。したがって、上側ホイールギアアセンブリ370とホイールギア384との間の接続は、靴ひも172が締め付けられるときに回転摩擦を受け、締め付けられた靴ひも172からの半径方向及び軸方向の荷重も受け得る。図21に示すように、半径方向及び軸方向の荷重を支持し、回転摩擦を低減するために、上側ホイールギアアセンブリ370は、ボールベアリング446と、ボールベアリング446を上側延長構成要素392の底部と接触して保持するように構成されたベアリング保持カラー448と、ベアリング保持カラー448を上側延長構成要素392と軸方向に保持するように構成された外側保持リング450とを含む。いくつかの実施形態では、他の構成要素又は方法を使用して、半径方向負荷及び軸方向の荷重を支持し、動作中にホイールギア384に結合される上側ホイールギアアセンブリ370に課される回転摩擦を低減することができる。
【0078】
ここで図23図25を参照すると、ハウジングベース部362がより詳細に示されている。ハウジングベース部362は、下側458、上側460、第1又は外側面462、第2又は内側面464(図23及び図24参照)、第3又は近位面466、及び第4又は遠位面468を含む。ハウジング170が組み立てられるとき、ハウジングベース部362の下側458は、図15図18に示されるように、ハウジング170の下側360である。パワートレイン380(モータ382、ギアトレイン388、及びホイールギア384を含む)は、ハウジングベース部362の上側460上、及び下側ガスケットチャネル402内に配置される(図24及び図25参照)。具体的には、モータ382は、モータ室472(図24及び図25参照)内に収容され、ウォームギア410は、ウォームギア室474(図24参照)内に収容され、ホイールギア384は、ホイールギア室476(図22及び図24参照)内に収容される。ホイールギア室476(図24参照)は、ホイールギア384を受容するように構成され、その結果、ホイールギア384は、ギアトレイン388を介して回転させられるとき、ホイールギア室476内で自由に回転することができる。ホイールギア384は、ハウジングベース部362から延びる突出部又はシャフト(図示せず)を介してハウジングベース部362に結合されてもよい。モータ382のモータワイヤ480(図21図24に部分的に示される)は、モータギア434とは反対側のモータ382の端部から、ワイヤ穴482(図23及び図24参照)を介してハウジングベース部362の下側458から延在する。図21を参照すると、フレキシブル回路484が、モータ382上に配置され、モータワイヤ480と電気的に接続される。第1の照明素子又は発光ダイオード(LED)488及び第2の照明素子又はLED490を含む照明システム486も、フレキシブル回路484上に配置される。
【0079】
図23図25を参照すると、ハウジングベース部カバー364がより詳細に示されている。ハウジングベース部カバー364は、上側492(図24参照)、第1又は下側494(図25参照)、第2又は外側496、第3又は内側498(図23及び図24参照)、第4又は近位側500、及び第5又は遠位側502を含む。ハウジングベース部カバー364は、ハウジングベース部362上に着座するように形成されている。ハウジングベース部カバー364は、ハウジングベース部362の上側460に含まれる複数の凹部512と嵌合するように構成される、ハウジングベース部カバー364の下側494上に含まれる複数の突起504(図25参照)を介してハウジングベース部362に固定される。ハウジングベース部カバー364は、他の結合方法によってハウジングベース部362に固定することもできる。ハウジングベース部カバー364の側部492、496、498、500、502は、モータ382上に配置されたフレキシブル回路484を含む自動レーシングシステム54のパワートレインアセンブリ380を完全に覆うように形成される(図21及び図22参照)。スワイプセンサ凹部520(図24参照)は、ハウジングベース部カバー364の上側492に配置され、フレキシブル回路484に関連してスワイプセンサ522(図21参照)を受容するように構成される。照明システムカバー穴524(図23及び図24参照)は、ハウジングベース部カバー364の近位側500上に含まれ、フレキシブル回路484(図21及び図22参照)上に配置された照明システム486を囲む照明システムカバー526(図21参照)を受容するように構成される。
【0080】
さらに図23図25を参照すると、ハウジング上部カバー366がより詳細に示されている。ハウジング上部カバー366は、第1又は上側530、第2又は下側532、第3又は外側534、第4又は内側536(図23及び図24参照)、第5又は近位側538、及び第6又は遠位側540を含む。ハウジング上部カバー366は、ハウジングベース部362及びハウジングベース部カバー364の上に着座するように形成され、ハウジング上部カバー366の下側532に含まれる複数の突起542(図23参照)と、ハウジングベース部362の近位側、外側、及び内側462、464、及び466に含まれる複数の凹部554(図24及び25参照)とを介して、ハウジングベース部362に取り付けられる。ハウジング上部カバー366はまた、他の結合方法によって、ハウジングベース部362又はハウジングベース部カバー364に固定可能であってもよい。ハウジング上部カバー366の上側530は、ハウジング上部カバー366の下側532上のハウジングベース部カバー364(図21及び図22参照)上に配置されたスワイプセンサ522と接触する自動レーシングシステム54のパネル66を画定する。上述のように、ハウジング上部カバー366の上側、外側、内側、近位、及び遠位側530、534、536、538、540は、ハウジングベース部362及びハウジングベース部カバー364を完全に覆うことが意図され、ハウジングベース部カバー364のスワイプセンサ凹部520内に配置されたスワイプセンサ522(図21参照)と、ハウジングベース部カバー364の照明システムカバー穴524内に配置された照明システムカバー526(図21参照)とを含む。
【0081】
したがって、ハウジング170が組み立てられるとき、ハウジング上部カバー366の上側、外側、内側、近位側、及び遠位側530、534、536、538、540は、ハウジング170の上側、外側、内側、近位側、及び遠位側358、354、356、350、352である(図15~18参照)。ハウジング上部カバー366は、外側レースチャネル切欠き566(図23及び図25参照)と、上部カバー366の外側及び内側534、536上に配置された内側レースチャネル切欠き568(図23参照)とを含み、ハウジング170が組み立てられるときに、ハウジングベース部362のレースチャネル222の外側及び内側開口部220、224にクリアランスを提供するように構成される。上部カバー366は、黒色を含む任意の色であってもよいが、1つ以上の光源がハウジング170内で作動されると、光が上部カバー366を通して見ることができる。
【0082】
図21を参照して上述したように、フレキシブル回路484は、ハウジングベース部362とハウジングベース部カバー364との間に配置することができる。フレキシブル回路484は、ハウジングベース部カバー364上に配置されたスワイプセンサ522を含み、これは、いくつかの実施形態では、以下で説明する1つ又は複数のコントローラによって送信される信号に応答して、点滅又は点灯させることもできる。いくつかの実施形態では、ハウジング170の別の部分に沿って追加のLEDを設けることができる。自動レーシングシステム54のハウジング170が組み立てられると、フレキシブル回路484のスワイプセンサ522は、ハウジング170のハウジング上部カバー366のパネル66の下に配置され、照明システム486の第1及び第2のLED488、490は、ハウジングベース部カバー364の照明システムカバー穴524内に配置された照明システムカバー526を通って、上部カバー366の近位側及び上側538、530の下に配置される。上部カバー366は、黒色を含む任意の色であってもよいが、照明システム486がハウジング170内で作動されるとき、光が上部カバー366を通して見ることができる。いくつかの実施形態では、上部カバー366は、照明システム486から放射された光が上部カバー366を通して光を投射することを可能にするように、透明又は半透明である部分を有してもよい。照明システム486は、光ベースのフィードバックをユーザに提供することができる。特に、照明システム486は、靴ひも172の締め付けレベル及び/又はコントローラ570のバッテリ(図示せず)のエネルギーレベル(例えば、低電力警告)を示す視覚的合図、並びにバッテリが充電されているときを示す視覚的合図を提供する(図28図32参照)。
【0083】
自動レーシングシステムを有する履物具を含む従来の履物具は、一般的に、ユーザが着用すると、埃や水などの屋外条件に曝される。自動レーシングシステム内の埃及び/又は水の存在は、自動レーシングシステムを有する従来の履物具において一般的に利用される電子部品及び機械部品を損傷する可能性がある。加えて、自動レースシステムを有する従来の履物具においては、自動レースシステムは、その動作中にノイズ/音を発生することがある。例えば、自動レーシングシステムが、例えば、靴ひもの締め付け又は緩めることの間に起動されるたびに、自動レーシングシステム内の構成要素は、ユーザ経験の観点から望ましくない音を生成し得る。
【0084】
したがって、本開示のいくつかの実施形態では、履物具74の自動レーシングシステム54のハウジング170は、侵入保護手段、すなわち、ハウジング170に進入する水又は埃に対する抵抗、及び/又は動作音減衰手段を含んでもよい。図23図25に示すハウジング170の実施形態では、上述のように、パワートレインアセンブリ380、フレキシブル回路484、及び照明システム486は、ハウジングベース部カバー364内に収容される。さらに、スワイプセンサ522は、ハウジングベース部カバー364の上面492に配置されたスワイプセンサ凹部520内に配置され、照明システムカバー526は、ハウジングベース部カバー364の照明システムカバー穴524内に配置される。上述の電子機器及びハウジング170内に配置されたパワートレインアセンブリ380に侵入保護を提供するために、及び/又はパワートレインアセンブリ380の動作中にハウジング170の外部からのノイズを低減するために、ハウジング170は、ハウジングベース部362、ハウジングベース部カバー364、及び/又はハウジング上部カバー366の間に1つ又は複数のシールを提供するように構成される。
【0085】
例えば、図21を参照する図示の実施形態では、ハウジングベース部カバー364は、ハウジングベース部カバー364がハウジングベース部362に取り付けられたときに、ハウジングベース部362の下側ガスケットチャネル402内に配置された下側ガスケット400を介してハウジングベース部362との侵入保護及び/又は騒音低減シールを提供するように構成される。同様に、ハウジング上部カバー366は、ハウジング上部カバー366がハウジングベース部カバー364に取り付けられたときに、ハウジングベース部カバー364の上側ガスケットチャネル406内に配置された上側ガスケット404を介して、スワイプセンサ522及び照明システムカバー526の上でハウジングベース部カバー364との侵入保護及び/又はノイズ低減シールを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、ハウジング170は、IP-31~IP-68の範囲内で、国際規格IEC60529又は欧州規格EN60529において確立されたコードの下で、進入保護定格を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、電子ベースの音減衰など、他の動作音減衰手段が含まれてもよい。
【0086】
ここで図26及び図27を参照すると、履物具74の側面図が、それぞれ、緩められた構成及び締め付けられた構成で示されている。具体的に図26を参照すると、緩められた構成では、靴ひも172は、ぴんと張られていないが、外側及び内側レースリテーナ174、178のそれぞれを通って交差するように結ばれている(図8参照)。したがって、外側及び内側サイドフラップ154、156の上端160、164は、それぞれ、サイドフラップ154、156の固定された下端158、162の周りで、シュータン152及びアッパー80から離れるように自由に旋回することができるが、これは、靴ひも172が、緩められた構成において、外側及び内側レースリテーナ174、178をシュータン152に向かって引っ張って維持しないからである。いくつかの実施形態では、靴ひも172は、シューズが緩められた構成にある場合、より快適な足の甲を確実にするために、わずかな量の事前張力を有する。そのために、図26に示される履物具74は、履物具74が着用されている特定の状況においてユーザによって利用され得る、より快適なインステップ位置を達成する。再び図19を参照すると、緩められた構成では、靴ひも172は、この詳細図に示されるように配置されてもよく、上側ホイールギアアセンブリ370は、靴ひも172が締め付けられるように回転されない。上側ホイールギアアセンブリ370は、緩められた構成では代替構成で配置され得るが、上側ホイールギアアセンブリ370は、好ましくは、緩められた構成では図19に示されるのと同様の様式で配置される。
【0087】
ここで図27を参照すると、自動レーシングシステム54が、靴ひも172、シュータン152を締めるように命令され、したがってハウジング170は、矢印Cの方向に下方に引っ張られ、サイドフラップ154、156の上端160、164は、シュータン152に向かって内側に引っ張られ、一方、サイドフラップ154、156の本体166、168は、履物具74のアッパー80の周りに内側に引っ張られ、それによって、第1の締め付け構成を達成する。自動レーシングシステム54のユーザ入力又はプリセット設定に基づいて達成され得る締め付けレベルに基づいて、任意の数の締め付けられた構成が存在し得る。第1の締め付け構成は、第1のレベルの締め付けを有することができ、第2の締め付け構成は、第1のレベルの締め付けよりも高い第2のレベルの締め付けを有することができる。再び図20を参照すると、(上側ホイールギアアセンブリ370に結合された)ホイールギア384が約15度、又は約30度、又は約45度、又は約60度、又は約90度回転すると、第1のレベルの締め付けが達成され得る。後続の各締め付けレベルは、ホイールギア384を、約15度、又は約30度、又は約45度、又は約60度、又は約90度であり得る別の量だけ回転させることによって達成され得る。
【0088】
一旦、履物具74が第1の締め付け構成を達成すると、ホイールギア384を逆方向に回転させることによって、すなわち、ホイールギア384が矢印A方向に回転することによって締め付けられた場合(図20参照)、次いで、ホイールギア384は、矢印B方向に回転されることによって緩み、履物具74が緩められた構成に戻される。そのために、緩められた構成で示される図26に示される履物具74は、図27に示されるように締め付けられた構成に調整されてもよく、その後、図26に示される元の緩められた構成に戻されてもよい。履物具74の靴ひも172は、任意の回数、任意の増分で締め付け又は緩められてもよい。特定の締め付け/緩めシーケンスが本出願に記載されているが、本開示は限定することを意図するものではない。
【0089】
前述のように、自動レーシングシステム54は、(1)ハウジング170のパネル66との物理的接触、すなわち、ハウジング170内に配置されたスワイプセンサ522とのユーザ相互作用、及び(2)電子デバイス64(図1に示される)を使用する2つの方法を使用して、ユーザによって操作され得る。操作の第1の方法、すなわち物理的調整について説明する。そのために、自動レーシングシステム54は、靴ひも172が所定の締め付けに緩められた、図26の所定の緩められた又は開かれた構成、及び靴ひも172が所定の締め付けに締め付けられた、図27の所定の締め付けられた又は閉じられた構成を含む所定のレベルの締め付けを有することができる。実際には、ユーザは、パネル66の遠位端を下方にスワイプするかタップして、靴ひも172を閉じられた構成の所定の締め具合に締めることができ、又はパネル66の近位端を上方にスワイプするかタップして、靴ひも172を開いた構成の所定の締め具合に緩めることができる。操作の第2の方法、すなわち無線調整は、自動レーシングシステム54が、電子デバイス64を使用して制御されてもよく、電子デバイスは、Bluetooth(登録商標)又は別の無線信号を介してレーシングシステム54と対にされるか、又は接続されてもよく、その詳細は、図40を参照して以下に説明される。
【0090】
ここで図28図31を参照すると、自動レーシングシステム54のコントローラ570がより詳細に示されている。自動レーシングシステム54のコントローラ570は、図28に示されており、履物具74のソール構造82内に配置されている。具体的には、コントローラ570は、履物具74の内部空洞84内にあるソール構造82のインソール領域138内に配置される。コントローラ570は、コントローラ570から履物具74のアッパー80内のハウジング170まで延びるモータワイヤ480を介して、ハウジング170のモータ382と電気的に接続される。モータワイヤ480は、モータ382(図21図25参照)に関連する第1の端部572と、コントローラコネクタ576を有する第2の端部574とを有する。コントローラ570は、自動レーシングシステム54のモータ382に給電し、制御するように構成される。
【0091】
いくつかの実施形態では、コントローラ570は、履物具74のソール構造82内に恒久的に設置される。いくつかの実施形態では、コントローラ570は、ソール構造82から取り外し可能である。例えば、ここで図29を参照すると、履物具74のソール構造82が、明確にするためにアッパー80が取り外されて示されている。図示の実施形態では、コントローラ570は、ソール構造82のインソール領域138上に配置され、履物具74の踵領域90及び中足領域88内に配置されたコントローラ凹部578内に取り外し可能に収容される。いくつかの実施形態では、コントローラ凹部570は、履物具74の踵領域90内に完全に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ凹部570は、履物具74の踵領域90、中足領域88、及び/又は前足領域86内に配置されてもよい。コントローラ凹部578は、コントローラ570を受容するように構成され、コントローラコネクタ凹部580及びモータワイヤ凹部582を含む。モータワイヤ凹部582は、モータワイヤ480を受容するように構成され、コントローラコネクタ凹部580は、モータワイヤ480がコントローラ570に接続されるとき、モータワイヤ480の第2の端部574のコントローラコネクタ576を受容するように構成される。コントローラ凹部カバー584(図29参照)は、コントローラ凹部578を覆い、ソール構造82のインソール領域138の連続面を提供するように構成され、インソール106(図6参照)は、インソール領域138内及び凹部カバー584の頂部に配置され得る。コントローラ570は、コントローラ凹部カバー584が取り外されるか、もしくは開かれるとき、コントローラ凹部578から取り外し可能であり、開口部148を通して履物具74のアッパー80の内部空洞84内にユーザがアクセス可能である(図28参照)。
【0092】
図30を参照すると、コントローラ570は、第1の又は上側590と、第2の又は遠位側592とを有する。コントローラ接続ポート594は、コントローラ570の上側590及び遠位側592に配置されるポート凹部596内に配置され、モータワイヤ480の第2の端部574においてコントローラコネクタ576を受容するように構成される。図31を参照すると、誘導コイル598は、コントローラ570が(図28に示されるように)コントローラ凹部578内に配置されるとき、充電コイル598がソール構造82のインソール領域138から上方を向くように、コントローラ570の上側590の下に配置される。充電コイル598は、二重充電パック56(図1に示される)のうちの1つを介して、コントローラ570のバッテリ600(図41参照)にワイヤレス充電を提供するように構成される。
【0093】
次に、図32図38を参照すると、自動レーシングシステム54の二重充電パック56(図1に示す)の第1の充電パック60が、詳細に、かつ様々な構成で示されている。開示を容易にするために、図32図37は、二重充電パック56の第2の充電パック62と同一の第1の充電パック60を参照する。図32を参照すると、第1の充電パック60は、充電構成で示され、コントローラ凹部578内に配置されたコントローラ570の上側590(図30及び図31参照)の上のソール構造82のインソール領域138上に配置される。第1の充電パック60は、第1の充電パック60が図32に示される充電構成にあるとき、コントローラ570の充電コイル598と誘導接続している第1の充電パック60の下側602(図33図37参照)の上に配置された誘導コイル(図示せず)を介して、コントローラ570のバッテリ600(図41参照)をワイヤレス充電するように構成される。
【0094】
図33図37を参照すると、第1の充電パック60は、第1の側又は下側602、第2の側又は上側604、第3の側又は近位側606、及び近位側606の反対側の第4の側又は遠位側608を含む。電気コネクタポート610は、充電パック60の近位側606に配置され、電気コネクタポート610は、充電ケーブル616の第1の端部614に配置された電気コネクタ612を受容するように構成される。充電ケーブル616の第2の端部618は、外部電源への電気接続を提供するために、USBコネクタ又は他のタイプの電気コネクタを含むことができる。充電パック60の電気コネクタポート610は、ミニUSB又はUSB-Cコネクタなど、コントローラ570のコントローラ接続ポート594と同じ電気コネクタタイプとすることができる。したがって、図32に示されるワイヤレス充電構成の代替として、充電ケーブル616は、コントローラ570が履物具74のソール構造82のコントローラ凹部578から取り外されたときに、コントローラ570のコントローラ接続ポート594を介してコントローラ570のバッテリ600を直接充電するために利用され得る。
【0095】
図38を参照すると、上述のように、第1の充電パック60は、第2の充電パック62と同一であり、二重充電パック56の各々は、左の靴70又は右の靴72のいずれかを無線で充電することができる。充電パック56は、充電パック56が使用されていないときの保管及び輸送を容易にするために、(図38に示されるような)嵌合構成で互いに嵌合するように構成される。具体的には、充電パック56の上側604の各々は、下側602に対して近位端606から下方に傾斜している(図37参照)。したがって、充電パック56の下側602が嵌合されるとき、充電パック56の上側604は互いに平行である。さらに、第1の磁気構成要素(図示せず)は、図38に示される嵌合構成で充電パック56を解放可能に保持するように構成される充電パック56の下側602内に含まれ得る。同様に、第2の磁気構成要素(図示せず)は、図32に示されるワイヤレス充電構成において、ソール構造82のインソール領域138上及びコントローラ570の誘導コイル598上の所定の位置に充電パック60、62のうちの1つを解放可能に保持するように構成される、コントローラ570の上側590内に含まれ得る。
【0096】
ここで図39及び図40を参照すると、履物具74のインソール106の代替実施形態が示されている(図6参照)。インソール630は、図4図7に示す実施形態における履物具74のインソール領域138に配置されたインソール106と同様の同じ位置及び機能に配置されるように構成される。しかしながら、この図示の実施形態におけるインソール630は、充電パック56のうちの1つが図32に示される充電構成であるとき、充電パック56の下側602を、ソール構造82のコントローラ凹部578内に配置されたコントローラ570の誘導コイル598と整列させるように構成される。例えば、インソール630は、履物具74のソール構造82のインソール領域138(図29参照)の内側プロファイル638(図29参照)に接触するように構成された第1の表面又は上面632、第2の表面又は底面634、及び外側プロファイル636を有する。充電パック凹部640は、インソール630の上面632上に配置される。充電パック凹部640は、コントローラ570がソール構造82のコントローラ凹部578内に配置され、インソール630がソール構造82のインソール領域138内に挿入されると、コントローラ570の誘導コイル598と整列するように構成される。いくつかの実施形態では、インソール630は、インソール領域138から完全に取り外し可能な挿入物であってもよい。いくつかの実施形態では、インソール630の第1の部分は、履物具74のつま先端部122付近のインソール領域138に縫い付けられ、又は他の方法で固定して取り付けられ得、インソール630の第2の部分は、ユーザがインソール領域138上に配置されたコントローラ凹部カバー584にアクセスするために、インソール領域138内で回転可能であるか、又は他の方法で移動可能であるように構成され得る。
【0097】
ここで図41を参照すると、自動レーシングシステム54内の上述の様々な電気構成要素を含むブロック図650が示されている。自動レーシングシステム54は、大まかには、少なくとも制御プリント回路基板(PCB)652、充電PCB654、モータ382、フレキシブル回路484、及びバッテリ600を含む。図示の実施形態では、照明システム486、マイクロコントローラ656、及びホール効果センサ658が、フレキシブル回路484に沿って設けられている。図示の実施形態では、制御PCB652は、無線通信モジュール660、電圧レギュレータ662、スイッチングレギュレータ664、モータドライバ668、ジャイロスコープセンサ670、及び加速度計センサ672を含む。モータ382は、モータワイヤ480(図28参照)を介してコントローラ570の制御PCB 652と電気通信する。フレキシブル回路484はまた、モータワイヤ480(図28参照)を介してコントローラの制御PCB652と電気通信する。充電PCB654は、充電モジュール674を含む。バッテリ600は、電気構成要素のすべてと電気通信し、コントローラ570の制御PCB652と直接結合される。図28図32に示すコントローラ570の実施形態では、バッテリ600は、コントローラ570内に含まれる。いくつかの実施形態では、バッテリ600は、コントローラ570とは別個であり得、電気ワイヤ又は他の手段によってコントローラ570に取り外し可能に接続され得る。本明細書で具体的に扱われない追加の電気構成要素も、制御PCB652又はフレキシブル回路484のうちの1つに含まれ得る。
【0098】
さらに図41を参照すると、複数の抵抗器、コンデンサ、及び他の電気構成要素も、制御PCB652に沿って配置されるが、本明細書では具体的に参照されない。無線通信モジュール660は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)無線通信をサポートする。一実施形態では、ワイヤレス通信モジュール660は、オンボード水晶発振器、チップアンテナ、及び受動構成要素を含む。ワイヤレス通信モジュール660は、そのプログラマブルアーキテクチャを通して、いくつかの周辺機能、たとえば、ADC、タイマ、カウンタ、PWM、及びシリアル通信プロトコル、たとえば、I2C、UART、SPIをサポートし得る。ワイヤレス通信モジュール660は、プロセッサと、フラッシュメモリと、タイマと、本明細書で具体的に示されない追加の構成要素とを含み得る。
【0099】
さらに図41を参照すると、モータドライバ668も制御PCB652に設けられている。モータドライバ668は、3V~5Vの論理レベルで動作し、超音波(最大20kHz)パルス幅変調(PWM)をサポートし、電流フィードバック、低電圧保護、過電流保護、及び過温度保護を特徴とする、デュアルブラシ付きDCモータドライバであり得る。モータドライバ668は、チャネル当たり最大3アンペアの連続電流をモータ382に供給することができ、モータ出力電圧の超音波(最大20kHz)PWMをサポートし、これは、PWM速度制御によって引き起こされる可聴スイッチング音を低減するのに役立つ。
【0100】
さらに図41を参照すると、電圧レギュレータ662も設けられ得る。電圧レギュレータ662は、固定出力電圧低ドロップアウト線形レギュレータを備えることができる。電圧レギュレータ662は、内蔵出力電流制限を含むことができる。スイッチングレギュレータ664もまた、制御PCB652上に含まれる。スイッチングレギュレータ664は、一体化された5A、24V電源スイッチを有するモノリシック非同期スイッチングレギュレータであってもよい。スイッチングレギュレータ664は、電流モードPWM制御によって出力電圧を調整することができ、内部発振器を含むことができる。PWMのスイッチング周波数は、外部抵抗によって設定されてもよいし、外部クロック信号に同期して設定されてもよい。スイッチングレギュレータ664は、内部5-A、24-V低サイドMOSFETスイッチ、2.9-V~16-V入力電圧範囲、固定周波数電流モードPWM制御、及び/又は約100kHz~約1.2MHzに調整可能な周波数ハットを含むことができる。
【0101】
さらに図41を参照すると、マイクロコントローラ656は、フレキシブル回路484に配置されて示されている。マイクロコントローラ656は、ハウジング170のパネル66に沿って、容量性タッチセンシングユーザインターフェースを有効にし、制御する。マイクロコントローラ656は、複数の容量性センシング入力をサポートすることができ、容量性ボタン、スライダ、及び/又は近接センサがそれに電気的に結合されることを可能にし、その一部又は全部が、フレキシブル回路484に組み込まれ得る。マイクロコントローラ656は、アナログセンシングチャネルを含むことができ、100:1を超える信号対雑音比(SNR)を送達して、ノイズの多い環境においてもタッチ精度を保証する。マイクロコントローラ656は、すべての環境条件において最適なセンサ性能を動的に監視し、維持するようにプログラムされ得る。LED輝度制御、近接検知、及びシステム診断などの高度な機能は、プログラム可能であり得る。マイクロコントローラ656は、ミスト、水滴、又は水の流れによる誤接触を排除することによって、耐液体設計を可能にするように動作可能であり得る。
【0102】
ホール効果センサ658が設けられてもよく(図41のフレキシブル回路484に配置されて示されている)、これは、NからSへ、又はその逆に、モータ382に隣接する磁界内のスイッチを検出し、次のスイッチまでその検出結果を出力に維持するように動作可能であってもよい。出力は、S極場ではローに、N極場ではハイにプルされる。ホール効果センサ658は、モータ382の方向に関するフィードバックを提供するように動作可能であってもよい。追加のセンサが提供されてもよく、フレキシブル回路484に、又は履物具74の部分に、様々なタイプのセンサが提供されてもよい。したがって、ホール効果センサ658は、回転、位置、開/閉構成、電流検出、及び/又はモータ382の様々な他の態様を検出するように動作し得る。上述のように、ホール効果センサ658は、マイクロコントローラ656と電気的に結合される。
【0103】
ジャイロスコープセンサ670が設けられてもよく(図41の制御PCB652に配置されて示されている)、これは、履物具74の自動レーシングシステム54のハウジング170及び/又はコントローラ570の位置に対するX軸、Y軸、及び/又はZ軸の角度偏差を検出するように動作可能であってもよい。したがって、ジャイロスコープセンサ670は、ユーザがランニングなどの様々なアクティビティを実行している間に、X軸、Y軸、及び/又はZ軸における靴52の角度回転を検出するように動作することができる。ジャイロスコープセンサ670は、代替的に、フレキシブル回路484に、又は履物具74の部分に設けられてもよい。
【0104】
加速度計センサ672が設けられてもよく(図41の制御PCB652に配置されて示されている)、これは、履物具74の自動レーシングシステム54のハウジング170及び/又はコントローラ570のX軸、Y軸、及び/又はZ軸における線形加速度を検出するように動作可能であってもよい。したがって、加速度計センサ672は、ユーザがランニングなどの様々なアクティビティを実行している間に、X軸、Y軸、及び/又はZ軸における靴52の速度及び加速度を検出するように動作することができる。加速度計センサ672は、代替的に、フレキシブル回路484に、又は履物具74の部分に設けられてもよい。
【0105】
さらに図41を参照すると、充電モジュール674が提供されてもよく(充電PCB654に配置されて示されていて、コントローラ570内に収容されてもよい。充電モジュール674は、様々なコンデンサ、ダイオード、及び整流器を備え、いくつかの代替構成を有することができる。充電モジュール674は、コントローラ570の接続ポート594又は誘導コイル598を介してバッテリ600の充電を可能にするように構成される。
【0106】
本明細書に記載される実施形態のいずれも、異なる実施形態に関連して開示される構造又は方法のいずれかを含むように修正することができる。さらに、本開示は、具体的に示されるタイプの履物具に限定されない。さらに、本明細書に開示される実施形態のいずれかの履物具の態様は、任意のタイプの履物、アパレル、又は他の運動用機器で機能するように修正されてもよい。
【0107】
前述のように、本開示は、特定の実施形態及び実施例に関連して上述されているが、本開示は必ずしもそのように限定されず、多数の他の実施形態、実施例、使用、修正、及び実施形態からの逸脱が、本明細書に添付される特許請求の範囲によって包含されることが意図されることが、当業者によって理解されるであろう。本明細書に引用される各特許及び刊行物の全開示は、そのような各特許又は刊行物が参照により個々に本明細書に組み込まれるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の様々な特徴及び利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0108】
前述の説明を考慮すると、本開示に対する多数の修正が当業者には明らかであろう。したがって、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、当業者が本発明を実施及び使用することを可能にする目的で提示される。添付の特許請求の範囲内にあるすべての変更に対する排他的権利が留保される。
【0109】
[関連出願の相互参照]
【0110】
本出願は、2021年11月16日に出願された米国特許出願第17/527,501号の優先権の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソール構造と、
前記ソール構造に取り付けられ、外側、内側、及びシュータンを備える、アッパーと、
前記シュータンの上に配置されたハウジングと、
上端が前記シュータンの外側に隣接するように、前記ソール構造から前記アッパーの前記外側に沿って前記シュータンに向かって延在する外側サイドフラップと、
上端が前記シュータンの内側に隣接するように、前記ソール構造から前記アッパーの前記内側に沿って前記シュータンに向かって延在する内側サイドフラップと、
前記外側サイドフラップの前記上端に沿って配置された複数の外側レースリテーナと、
前記内側サイドフラップの前記上端に沿って配置された複数の内側レースリテーナと、を含み、
靴ひもは、前記ハウジングから前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って交差するように延在し、
前記シュータンは、前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナを通って延びる前記靴ひもの部分を受容するように構成された複数のレースチャンネルを画定し、
前記ハウジングは、前記靴ひもを前記ハウジング内に引き込むように構成される、履物具のレーシングシステム。
【請求項2】
前記ハウジングは、外側開口部及び内側開口部を画定し、
前記靴ひもは、前記外側開口部、前記内側開口部、前記複数の外側レースリテーナ、及び前記複数の内側レースリテーナを通って延在する、請求項1に記載のレーシングシステム。
【請求項3】
前記複数の外側レースリテーナが、第1の外側レースリテーナと、第2の外側レースリテーナと、第3の外側レースリテーナとを含み、
前記複数の内側レースリテーナが、第1の内側レースリテーナと、第2の内側レースリテーナと、第3の内側レースリテーナとを含み、
前記靴ひもが、前記ハウジングから、前記ハウジングの前記外側開口部を通って、前記第1の外側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って、前記第2の内側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って、前記第3の外側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って、前記第3の内側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って、前記第2の外側レースリテーナを横切って、前記シュータンを横切って、前記第1の外側レースリテーナを通って、前記ハウジングの前記内側開口部を通って、前記ハウジング内に戻るように延びる、請求項2に記載のレーシングシステム。
【請求項4】
前記シュータンが、前記ハウジングを受容するように構成されたハウジング凹部をさらに画定し、
前記シュータンの前記複数のレースチャネルが、前記ハウジングの前記外側及び内側開口部及び前記複数の外側レースリテーナと前記複数の内側レースリテーナから延在する前記靴ひもの部分を受容するように構成される、請求項3に記載のレーシングシステム。
【請求項5】
前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナは、前記外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナを通って延在する前記靴ひもの部分を、前記外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナから前記シュータンを横切って延在する前記靴ひもの前記部分に対してある角度で保持するように構成された細長いレース開口部を含む、請求項3に記載のレーシングシステム。
【請求項6】
前記レースが前記ハウジング内に引き込まれると、前記外側フラップが前記アッパーの前記外側に向かって中に引かれ、前記内側フラップが前記アッパーの前記内側に向かって中に引かれ、前記シュータンが前記ソール構造に向かって下方に引かれる、請求項1に記載のレーシングシステム。
【請求項7】
モータと前記ハウジングのベース部内に配置されたホイールギアを含むギアトレインと、
前記ハウジングのベース部カバー上に配置され、前記ハウジングの上部カバーによって画定された前記外側及び内側開口部を通して受けられる前記靴ひもの部分を受容するように構成された前記ホイールギアの上側延長部と、をさらに含み、
前記モータが前記ギアトレインを駆動するとき、前記靴ひもは前記ハウジング内に引き込まれる、請求項2に記載のレーシングシステム。
【請求項8】
前記ソール構造内に配置されたコントローラをさらに備え、前記コントローラがバッテリを含み、
前記コントローラが前記ハウジングに電気的に接続され、前記モータに給電する、請求項7に記載のレーシングシステム。
【請求項9】
前記ハウジングの前記ベース部カバー上に、前記ハウジングの前記トップカバーのパネルに沿って配置されたスワイプセンサをさらに備え、前記スワイプセンサは、前記コントローラの前記バッテリによって給電され、ユーザ入力を受信するように動作可能である、請求項8に記載のレーシングシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記履物具の前記アッパーの開口部を介して前記ソール構造から取り外し可能である、請求項8に記載のレーシングシステム。
【請求項11】
ソール構造と、
前記ソール構造に取り付けられ、シュータンを備えるアッパーと、
前記シュータンの上に配置され、前記アッパーのインステップ領域に隣接するハウジングと、
前記シュータンの外側に沿って上側に配置された複数の外側レースリテーナと、
前記シュータンの内側に沿って上側に配置された複数の内側レースリテーナと、を含み、
靴ひもは、前記ハウジングから前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナを通って、前記シュータンを横切って交差するように延在し、
前記シュータンは、前記ハウジングを受容するように構成されたハウジング凹部、並びに前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナを通って延在する靴ひもの部分を受容するように構成された複数のレースチャネルを画定し、
前記ハウジングは、前記靴ひもを前記ハウジング内に引き込むように構成される、履物具のレーシングシステム。
【請求項12】
前記靴ひもが前記ハウジング内に引き込まれると、前記シュータンは、前記ソール構造に向かって下方に引かれる、請求項11に記載のレーシングシステム。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記複数の外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナから延在する前記靴ひもの2つ以上の部分を受容するように構成されたレースチャネルを画定し、
記シュータンの前記複数のレースチャネルは、前記複数の外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナから延在する前記靴ひもの部分と、前記ハウジングの前記レースチャネルとを受容する、請求項11に記載のレーシングシステム。
【請求項14】
前記靴ひもは、クローズドループの靴ひもである、請求項11に記載のレーシングシステム。
【請求項15】
前記ソール構造内に配置されたコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記ハウジングに電気的に接続される、請求項14に記載のレーシングシステム。
【請求項16】
前記コントローラのバッテリによって電気的に接続され、給電されるモータと、
上側延長部を含むホイールギアを含むギアトレインと、をさらに含み、
前記モータ及び前記ギアトレインが前記ハウジングのベース部内に配置され、前記ホイールギアの前記上側延長部が前記ハウジングのベース部カバー上に配置され、
前記ホイールギアの前記上側延長部が前記ハウリングの上部カバーによって画定される外側開口部及び内側開口部を通して受容される前記靴ひもの部分を受容するように構成された開口部を含み、
前記モータが前記ギアトレインを駆動するとき、前記靴ひもが前記ハウジング内に引き込まれる、請求項15に記載のレーシングシステム。
【請求項17】
インソール、ミッドソール、及びアウトソールを含むソール構造と、
前記ソール構造に取り付けられたアッパーと、
前記アッパー上に配置され、前記アッパーのインステップ領域に隣接するハウジングと、
上端が前記アッパーの前記インステップ領域の外側に隣接するように、前記ソール構造から、前記アッパーの外側に沿って前記ハウジングに向かって延びる外側サイドフラップと、
上端が前記アッパーの前記インステップ領域の内側に隣接するように、前記ソール構造から、前記アッパーの内側に沿って前記ハウジングに向かって延びる内側サイドフラップと、
前記外側サイドフラップの前記上端に沿って配置された複数の外側レースリテーナと、
前記内側サイドフラップの前記上端に沿って配置された複数の内側レースリテーナと、を含み、
靴ひもが、前記ハウジングから前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナを通って、前記アッパーの前記インステップ領域を横切って交差するように延在し、
前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナは、前記外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナを通って延在する前記靴ひもの部分を、前記外側レースリテーナ及び前記内側レースリテーナから延在する前記靴ひもの部分に対してある角度で保持するように構成された細長いレース開口部を含み、
前記インステップ領域に隣接する前記アッパーの部分は、前記複数の外側レースリテーナ及び前記複数の内側レースリテーナから延びる前記靴ひもの前記部分を受け入れるように構成された複数のレースチャネルを画定し、
モータ及びギアトレインは、ハウジング内に配置され、ギアトレインは、前記靴ひもの部分を受け入れるように構成された開口部を有するホイールギアを含み、
前記モータがギアトレインを駆動すると、前記靴ひもは前記ハウジング内に引き込まれる、履物具のレーシングシステム。
【請求項18】
前記靴ひもが前記ハウジング内に引き込まれると、前記外側サイドフラップは前記アッパーの前記外側に向かって中に引き込まれ、前記内側サイドフラップは前記アッパーの前記内側に向かって中に引き込まれる、請求項17に記載のレーシングシステム。
【請求項19】
前記複数の外側レースリテーナが、第1の外側レースリテーナと、第2の外側レースリテーナと、第3の外側レースリテーナと、を含み、
前記複数の内側レースリテーナが、第1の内側レースリテーナと、第2の内側レースリテーナと、第3の内側レースリテーナと、を含み、
前記靴ひもが、前記ハウジング外側から、前記第1の外側レースリテーナを通って、前記アッパーを横切って、前記第2の内側レースリテーナを通って、前記アッパーを横切って、前記第3の外側レースリテーナを通って、前記アッパーを横切って、前記第3の内側レースリテーナを通って、前記アッパーを横切って、前記第2の外側レースリテーナを横切って、前記アッパーを横切って、前記第1の外側レースリテーナを通って、前記ハウジングの内側まで延在する、請求項18に記載のレーシングシステム。
【請求項20】
前記ソール構造の前記ミッドソール内及び前記履物具の踵領域内に配置されたコントローラをさらに含み、前記コントローラは、前記インソールの開口部及び前記履物具の前記アッパーの開口部を介して前記ソール構造の前記ミッドソールから取り外し可能であり、
前記コントローラは、前記ハウジングに電気的に接続され、前記モータを制御する、請求項17に記載のレーシングシステム。
【国際調査報告】